移動体通信システムの規格化団体である3GPP(3rd Generation Partnership Project)において、無線区間についてはロングタームエボリューション(Long Term Evolution:LTE)と称し、コアネットワークおよび無線アクセスネットワーク(以下、まとめて、ネットワークとも称する)を含めたシステム全体構成については、システムアーキテクチャエボリューション(System Architecture Evolution:SAE)と称される新たな通信方式が検討されている。この通信方式は3.9G(3.9 Generation)システムとも呼ばれる。
LTEのアクセス方式としては、下り方向はOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)、上り方向はSC−FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)が用いられる。また、LTEは、W−CDMA(Wideband Code division Multiple Access)とは異なり、回線交換を含まず、パケット通信方式のみになる。
非特許文献1(5章)に記載される、3GPPでの、LTEシステムにおけるフレーム構成に関する決定事項について、図1を用いて説明する。図1は、LTE方式の通信システムで使用される無線フレームの構成を示す説明図である。図1において、1つの無線フレーム(Radio frame)は10msである。無線フレームは10個の等しい大きさのサブフレーム(Subframe)に分割される。サブフレームは、2個の等しい大きさのスロット(slot)に分割される。無線フレーム毎に1番目および6番目のサブフレームに下り同期信号(Downlink Synchronization Signal:SS)が含まれる。同期信号には、第一同期信号(Primary Synchronization Signal:P−SS)と、第二同期信号(Secondary Synchronization Signal:S−SS)とがある。
3GPPでの、LTEシステムにおけるチャネル構成に関する決定事項が、非特許文献1(5章)に記載されている。CSG(Closed Subscriber Group)セルにおいてもnon−CSGセルと同じチャネル構成が用いられると想定されている。CSGセルについて、以下に説明する(非特許文献2 3.1章参照)。
物理報知チャネル(Physical Broadcast channel:PBCH)は、基地局から移動端末への下り送信用のチャネルである。BCHトランスポートブロック(transport block)は、40ms間隔中の4個のサブフレームにマッピングされる。40msタイミングの明白なシグナリングはない。
物理制御フォーマットインジケータチャネル(Physical Control Format Indicator Channel:PCFICH)は、基地局から移動端末への下り送信用のチャネルである。PCFICHは、PDCCHsのために用いるOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)シンボルの数について基地局から移動端末へ通知する。PCFICHは、サブフレーム毎に送信される。
物理下り制御チャネル(Physical Downlink Control Channel:PDCCH)は、基地局から移動端末への下り送信用のチャネルである。PDCCHは、後述のトランスポートチャネルの1つである下り共有チャネル(Downlink Shared Channel:DL−SCH)のリソース割り当て(allocation)情報、後述のトランスポートチャネルの1つであるページングチャネル(Paging Channel:PCH)のリソース割り当て(allocation)情報、DL−SCHに関するHARQ(Hybrid Automatic Repeat reQuest)情報を通知する。PDCCHは、上りスケジューリンググラント(Uplink Scheduling Grant)を運ぶ。PDCCHは、上り送信に対する応答信号であるAck(Acknowledgement)/Nack(Negative Acknowledgement)を運ぶ。PDCCHは、L1/L2制御信号とも呼ばれる。
物理下り共有チャネル(Physical Downlink Shared Channel:PDSCH)は、基地局から移動端末への下り送信用のチャネルである。PDSCHには、トランスポートチャネルである下り共有チャネル(DL−SCH)、およびトランスポートチャネルであるPCHがマッピングされている。
物理マルチキャストチャネル(Physical Multicast Channel:PMCH)は、基地局から移動端末への下り送信用のチャネルである。PMCHには、トランスポートチャネルであるマルチキャストチャネル(Multicast Channel:MCH)がマッピングされている。
物理上り制御チャネル(Physical Uplink Control Channel:PUCCH)は、移動端末から基地局への上り送信用のチャネルである。PUCCHは、下り送信に対する応答信号(response signal)であるAck/Nackを運ぶ。PUCCHは、CQI(Channel Quality Indicator)レポートを運ぶ。CQIとは、受信したデータの品質、もしくは通信路品質を示す品質情報である。またPUCCHは、スケジューリングリクエスト(Scheduling Request:SR)を運ぶ。
物理上り共有チャネル(Physical Uplink Shared Channel:PUSCH)は、移動端末から基地局への上り送信用のチャネルである。PUSCHには、トランスポートチャネルの1つである上り共有チャネル(Uplink Shared Channel:UL−SCH)がマッピングされている。
物理HARQインジケータチャネル(Physical Hybrid ARQ Indicator Channel:PHICH)は、基地局から移動端末への下り送信用のチャネルである。PHICHは、上り送信に対する応答信号であるAck/Nackを運ぶ。物理ランダムアクセスチャネル(Physical Random Access Channel:PRACH)は、移動端末から基地局への上り送信用のチャネルである。PRACHは、ランダムアクセスプリアンブル(random access preamble)を運ぶ。
下り参照信号(リファレンスシグナル(Reference Signal):RS)は、LTE方式の通信システムとして既知のシンボルである。以下の5種類の下りリファレンスシグナルが定義されている。セル固有参照信号(Cell-specific Reference Signals:CRS)、MBSFN参照信号(MBSFN reference signals)、UE固有参照信号(UE-specific reference signals)であるデータ復調用参照信号(Demodulation Reference Signal:DM−RS)、位置決定参照信号(Positioning Reference Signals:PRS)、チャネル情報参照信号(Channel-State Information Reference Signals:CSI−RS)。移動端末の物理レイヤの測定として、リファレンスシグナルの受信電力(Reference Signal Received Power:RSRP)測定がある。
非特許文献1(5章)に記載されるトランスポートチャネル(Transport channel)について、説明する。下りトランスポートチャネルのうち、報知チャネル(Broadcast Channel:BCH)は、その基地局(セル)のカバレッジ全体に報知される。BCHは、物理報知チャネル(PBCH)にマッピングされる。
下り共有チャネル(Downlink Shared Channel:DL−SCH)には、HARQ(Hybrid ARQ)による再送制御が適用される。DL−SCHは、基地局(セル)のカバレッジ全体への報知が可能である。DL−SCHは、ダイナミックあるいは準静的(Semi-static)なリソース割り当てをサポートする。準静的なリソース割り当ては、パーシステントスケジューリング(Persistent Scheduling)ともいわれる。DL−SCHは、移動端末の低消費電力化のために移動端末の間欠受信(Discontinuous reception:DRX)をサポートする。DL−SCHは、物理下り共有チャネル(PDSCH)へマッピングされる。
ページングチャネル(Paging Channel:PCH)は、移動端末の低消費電力を可能とするために移動端末のDRXをサポートする。PCHは、基地局(セル)のカバレッジ全体への報知が要求される。PCHは、動的にトラフィックに利用できる物理下り共有チャネル(PDSCH)のような物理リソースへマッピングされる。
マルチキャストチャネル(Multicast Channel:MCH)は、基地局(セル)のカバレッジ全体への報知に使用される。MCHは、マルチセル送信におけるMBMSサービス(MTCHとMCCH)のSFN合成をサポートする。MCHは、準静的なリソース割り当てをサポートする。MCHは、PMCHへマッピングされる。
上りトランスポートチャネルのうち、上り共有チャネル(Uplink Shared Channel:UL−SCH)には、HARQ(Hybrid ARQ)による再送制御が適用される。UL−SCHは、ダイナミックあるいは準静的(Semi-static)なリソース割り当てをサポートする。UL−SCHは、物理上り共有チャネル(PUSCH)へマッピングされる。
ランダムアクセスチャネル(Random Access Channel:RACH)は、制御情報に限られている。RACHは、衝突のリスクがある。RACHは、物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)へマッピングされる。
HARQについて説明する。HARQとは、自動再送要求(Automatic Repeat reQuest:ARQ)と誤り訂正(Forward Error Correction)との組合せにより、伝送路の通信品質を向上させる技術である。HARQには、通信品質が変化する伝送路に対しても、再送により誤り訂正が有効に機能するという利点がある。特に、再送にあたって初送の受信結果と再送の受信結果との合成をすることで、更なる品質向上を得ることも可能である。
再送の方法の一例を説明する。受信側にて、受信データが正しくデコードできなかった場合、換言すればCRC(Cyclic Redundancy Check)エラーが発生した場合(CRC=NG)、受信側から送信側へ「Nack」を送信する。「Nack」を受信した送信側は、データを再送する。受信側にて、受信データが正しくデコードできた場合、換言すればCRCエラーが発生しない場合(CRC=OK)、受信側から送信側へ「Ack」を送信する。「Ack」を受信した送信側は次のデータを送信する。
非特許文献1(6章)に記載される論理チャネル(ロジカルチャネル:Logical channel)について、説明する。報知制御チャネル(Broadcast Control Channel:BCCH)は、報知システム制御情報のための下りチャネルである。論理チャネルであるBCCHは、トランスポートチャネルである報知チャネル(BCH)、あるいは下り共有チャネル(DL−SCH)へマッピングされる。
ページング制御チャネル(Paging Control Channel:PCCH)は、ページング情報(Paging Information)およびシステム情報(System Information)の変更を送信するための下りチャネルである。PCCHは、移動端末のセルロケーションをネットワークが知らない場合に用いられる。論理チャネルであるPCCHは、トランスポートチャネルであるページングチャネル(PCH)へマッピングされる。
共有制御チャネル(Common Control Channel:CCCH)は、移動端末と基地局との間の送信制御情報のためのチャネルである。CCCHは、移動端末がネットワークとの間でRRC接続(connection)を有していない場合に用いられる。下り方向では、CCCHは、トランスポートチャネルである下り共有チャネル(DL−SCH)へマッピングされる。上り方向では、CCCHは、トランスポートチャネルである上り共有チャネル(UL−SCH)へマッピングされる。
マルチキャスト制御チャネル(Multicast Control Channel:MCCH)は、1対多の送信のための下りチャネルである。MCCHは、ネットワークから移動端末への1つあるいはいくつかのMTCH用のMBMS制御情報の送信のために用いられる。MCCHは、MBMS受信中の移動端末のみに用いられる。MCCHは、トランスポートチャネルであるマルチキャストチャネル(MCH)へマッピングされる。
個別制御チャネル(Dedicated Control Channel:DCCH)は、1対1にて、移動端末とネットワークとの間の個別制御情報を送信するチャネルである。DCCHは、移動端末がRRC接続(connection)である場合に用いられる。DCCHは、上りでは上り共有チャネル(UL−SCH)へマッピングされ、下りでは下り共有チャネル(DL−SCH)にマッピングされる。
個別トラフィックチャネル(Dedicated Traffic Channel:DTCH)は、ユーザ情報の送信のための個別移動端末への1対1通信のチャネルである。DTCHは、上りおよび下りともに存在する。DTCHは、上りでは上り共有チャネル(UL−SCH)へマッピングされ、下りでは下り共有チャネル(DL−SCH)へマッピングされる。
マルチキャストトラフィックチャネル(Multicast Traffic channel:MTCH)は、ネットワークから移動端末へのトラフィックデータ送信のための下りチャネルである。MTCHは、MBMS受信中の移動端末のみに用いられるチャネルである。MTCHは、マルチキャストチャネル(MCH)へマッピングされる。
CGIとは、セルグローバル識別子(Cell Global Identifier)のことである。ECGIとは、E−UTRANセルグローバル識別子(E-UTRAN Cell Global Identifier)のことである。LTE、後述のLTE−A(Long Term Evolution Advanced)およびUMTS(Universal Mobile Telecommunication System)において、CSG(Closed Subscriber Group)セルが導入される。
CSG(Closed Subscriber Group)セルとは、利用可能な加入者をオペレータが特定しているセル(以下「特定加入者用セル」という場合がある)である。特定された加入者は、PLMN(Public Land Mobile Network)の1つ以上のセルにアクセスすることが許可される。特定された加入者がアクセスを許可されている1つ以上のセルを「CSGセル(CSG cell(s))」と呼ぶ。ただし、PLMNにはアクセス制限がある。
CSGセルは、固有のCSGアイデンティティ(CSG identity:CSG ID;CSG−ID)を報知し、CSGインジケーション(CSG Indication)にて「TRUE」を報知するPLMNの一部である。予め利用登録し、許可された加入者グループのメンバーは、アクセス許可情報であるところのCSG−IDを用いてCSGセルにアクセスする。
CSG−IDは、CSGセルまたはセルによって報知される。LTE方式の通信システムにCSG−IDは複数存在する。そして、CSG−IDは、CSG関連のメンバーのアクセスを容易にするために、移動端末(UE)によって使用される。
移動端末の位置追跡は、1つ以上のセルからなる区域を単位に行われる。位置追跡は、待受け状態であっても移動端末の位置を追跡し、移動端末を呼び出す、換言すれば移動端末が着呼することを可能にするために行われる。この移動端末の位置追跡のための区域をトラッキングエリアと呼ぶ。
3GPPにおいて、Home−NodeB(Home−NB;HNB)、Home−eNodeB(Home−eNB;HeNB)と称される基地局が検討されている。UTRANにおけるHNB、およびE−UTRANにおけるHeNBは、例えば家庭、法人、商業用のアクセスサービス向けの基地局である。非特許文献3には、HeNBおよびHNBへのアクセスの3つの異なるモードが開示されている。具体的には、オープンアクセスモード(Open access mode)と、クローズドアクセスモード(Closed access mode)と、ハイブリッドアクセスモード(Hybrid access mode)とが開示されている。
各々のモードは、以下のような特徴を有する。オープンアクセスモードでは、HeNBおよびHNBは、通常のオペレータのノーマルセルとして操作される。クローズドアクセスモードでは、HeNBおよびHNBは、CSGセルとして操作される。このCSGセルは、CSGメンバーのみアクセス可能なCSGセルである。ハイブリッドアクセスモードでは、HeNBおよびHNBは、非CSGメンバーも同時にアクセス許可されているCSGセルとして操作される。言い換えれば、ハイブリッドアクセスモードのセル(ハイブリッドセルとも称する)は、オープンアクセスモードとクローズドアクセスモードとの両方をサポートするセルである。
3GPPでは、全ての物理セル識別子(Physical Cell Identifier:PCI)のうち、CSGセルで使用するためにネットワークによって予約されたPCI範囲がある(非特許文献1 10.5.1.1章参照)。PCI範囲を分割することをPCIスプリットと称することがある。PCIスプリットに関する情報(PCIスプリット情報とも称する)は、システム情報によって基地局から傘下の移動端末に対して報知される。基地局の傘下とは、該基地局をサービングセルとすることを意味する。
非特許文献4は、PCIスプリットを用いた移動端末の基本動作を開示する。PCIスプリット情報を有していない移動端末は、全PCIを用いて、例えば504コード全てを用いて、セルサーチを行う必要がある。これに対して、PCIスプリット情報を有する移動端末は、当該PCIスプリット情報を用いてセルサーチを行うことが可能である。
また3GPPでは、リリース10として、ロングタームエボリューションアドヴァンスド(Long Term Evolution Advanced:LTE−A)の規格策定が進められている(非特許文献5、非特許文献6参照)。LTE−Aは、LTEの無線区間通信方式を基本とし、それにいくつかの新技術を加えて構成される。
LTE−Aシステムでは、100MHzまでのより広い周波数帯域幅(transmission bandwidths)をサポートするために、二つ以上のコンポーネントキャリア(Component Carrier:CC)を集約する(「アグリゲーション(aggregation)する」とも称する)、キャリアアグリゲーション(Carrier Aggregation:CA)が検討されている。
CAが構成される場合、UEはネットワーク(Network:NW)と唯一つのRRC接続(RRC connection)を有する。RRC接続において、一つのサービングセルがNASモビリティ情報とセキュリティ入力を与える。このセルをプライマリセル(Primary Cell:PCell)と呼ぶ。下りリンク(ダウンリンク(Downlink))で、PCellに対応するキャリアは、下りプライマリコンポーネントキャリア(Downlink Primary Component Carrier:DL PCC)である。上りリンク(アップリンク(Uplink))で、PCellに対応するキャリアは、上りプライマリコンポーネントキャリア(Uplink Primary Component Carrier:UL PCC)である。
UEの能力(ケーパビリティ(capability))に応じて、セカンダリセル(Secondary Cell:SCell)が、PCellとサービングセルとの組を形成するために構成される。下りリンクで、SCellに対応するキャリアは、下りセカンダリコンポーネントキャリア(Downlink Secondary Component Carrier:DL SCC)である。上りリンクで、SCellに対応するキャリアは、上りセカンダリコンポーネントキャリア(Uplink Secondary Component Carrier:UL SCC)である。
一つのUEに対して、一つのPCellと、一つ以上のSCellからなるサービングセルとの組が構成される。
また、LTE−Aでの新技術としては、より広い帯域をサポートする技術(Wider bandwidth extension)、および多地点協調送受信(Coordinated Multiple Point transmission and reception:CoMP)技術などがある。3GPPでLTE−Aのために検討されているCoMPについては、非特許文献7に記載されている。
また、3GPPにおいて、リリース12版の規格書の策定が進められている。この中で、将来の膨大なトラフィックに対応するために、スモールセルを構成するスモールeNBを用いることが検討されている。例えば、多数のスモールeNBを設置して、多数のスモールセルを構成することによって、周波数利用効率を高めて、通信容量の増大を図る技術などが検討されている。
モバイルネットワークのトラフィック量は、増加傾向にあり、通信速度も高速化が進んでいる。LTEおよびLTE−Aが本格的に運用を開始されると、更に通信速度が高速化され、トラフィック量が増加することが見込まれる。
従来の移動体通信システムでは、トラフィック量の増加に伴い、ネットワークにおける遅延、およびデータの欠落が発生する確率(以下「発生確率」という場合がある)が更に高まるおそれがあるという問題がある。このような問題を解決するための技術が、例えば特許文献1に開示されている。
特許文献1には、セルにおける混雑度の測定値に基づいて、データ送信用のセルを選択する手段を有するユーザ装置が開示されている。
実施の形態1.
図2は、3GPPにおいて議論されているLTE方式の通信システム700の全体的な構成を示すブロック図である。図2について説明する。無線アクセスネットワークは、E−UTRAN(Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network)70と称される。通信端末装置である移動端末装置(以下「移動端末(User Equipment:UE)」という)71は、基地局装置(以下「基地局(E-UTRAN NodeB:eNB)」という)72と無線通信可能であり、無線通信で信号の送受信を行う。
移動端末71と基地局72との間の制御プロトコルRRCは、報知(Broadcast)、ページング(paging)、RRC接続マネージメント(RRC connection management)などを行う。RRCにおける基地局72と移動端末71との状態として、RRC_IDLEと、RRC_CONNECTEDとがある。
RRC_IDLEでは、PLMN(Public Land Mobile Network)選択、システム情報(System Information:SI)の報知、ページング(paging)、セル再選択(cell re-selection)、モビリティなどが行われる。RRC_CONNECTEDでは、移動端末はRRC接続(connection)を有し、ネットワークとのデータの送受信を行うことができる。またRRC_CONNECTEDでは、ハンドオーバ(Handover:HO)、隣接セル(Neighbour cell)の測定(メジャメント(measurement))などが行われる。
基地局72は、eNB76と、Home−eNB75とに分類される。通信システム700は、複数のeNB76を含むeNB群72−1と、複数のHome−eNB75を含むHome−eNB群72−2とを備える。またコアネットワークであるEPC(Evolved Packet Core)と、無線アクセスネットワークであるE−UTRAN70とで構成されるシステムは、EPS(Evolved Packet System)と称される。コアネットワークであるEPCと、無線アクセスネットワークであるE−UTRAN70とを合わせて、「ネットワーク」という場合がある。
eNB76は、MME、あるいはS−GW、あるいはMMEおよびS−GWを含むMME/S−GW部(以下「MME部」という場合がある)73とS1インタフェースにより接続され、eNB76とMME部73との間で制御情報が通信される。一つのeNB76に対して、複数のMME部73が接続されてもよい。eNB76間は、X2インタフェースにより接続され、eNB76間で制御情報が通信される。
Home−eNB75は、MME部73とS1インタフェースにより接続され、Home−eNB75とMME部73との間で制御情報が通信される。一つのMME部73に対して、複数のHome−eNB75が接続される。あるいは、Home−eNB75は、HeNBGW(Home-eNB GateWay)74を介してMME部73と接続される。Home−eNB75とHeNBGW74とは、S1インタフェースにより接続され、HeNBGW74とMME部73とはS1インタフェースを介して接続される。
一つまたは複数のHome−eNB75が一つのHeNBGW74と接続され、S1インタフェースを通して情報が通信される。HeNBGW74は、一つまたは複数のMME部73と接続され、S1インタフェースを通して情報が通信される。
MME部73およびHeNBGW74は、上位装置、具体的には上位ノードであり、基地局であるeNB76およびHome−eNB75と、移動端末(UE)71との接続を制御する。MME部73は、コアネットワークであるEPCを構成する。基地局72およびHeNBGW74は、E−UTRAN70を構成する。
さらに3GPPでは、以下のような構成が検討されている。Home−eNB75間のX2インタフェースはサポートされる。すなわち、Home−eNB75間は、X2インタフェースにより接続され、Home−eNB75間で制御情報が通信される。MME部73からは、HeNBGW74はHome−eNB75として見える。Home−eNB75からは、HeNBGW74はMME部73として見える。
Home−eNB75が、HeNBGW74を介してMME部73に接続される場合および直接MME部73に接続される場合のいずれの場合も、Home−eNB75とMME部73との間のインタフェースは、S1インタフェースで同じである。
基地局装置72は、1つのセルを構成してもよいし、複数のセルを構成してもよい。各セルは、通信端末装置と通信可能な範囲であるカバレッジとして予め定める範囲を有し、カバレッジ内で通信端末装置と無線通信を行う。1つの基地局装置が複数のセルを構成する場合、1つ1つのセルが、移動端末と通信可能に構成される。
図3は、本発明に係る移動端末である図2に示す移動端末71の構成を示すブロック図である。図3に示す移動端末71の送信処理を説明する。まず、プロトコル処理部801からの制御データ、およびアプリケーション部802からのユーザデータが、送信データバッファ部803へ保存される。送信データバッファ部803に保存されたデータは、エンコーダー部804へ渡され、誤り訂正などのエンコード処理が施される。エンコード処理を施さずに、送信データバッファ部803から変調部805へ直接出力されるデータが存在してもよい。エンコーダー部804でエンコード処理されたデータは、変調部805にて変調処理が行われる。変調されたデータは、ベースバンド信号に変換された後、周波数変換部806へ出力され、無線送信周波数に変換される。その後、アンテナ807から基地局72に送信信号が送信される。
また、移動端末71の受信処理は、以下のように実行される。基地局72からの無線信号がアンテナ807により受信される。受信信号は、周波数変換部806にて無線受信周波数からベースバンド信号に変換され、復調部808において復調処理が行われる。復調後のデータは、デコーダー部809へ渡され、誤り訂正などのデコード処理が行われる。デコードされたデータのうち、制御データはプロトコル処理部801へ渡され、ユーザデータはアプリケーション部802へ渡される。移動端末71の一連の処理は、制御部810によって制御される。よって制御部810は、図3では省略しているが、各部801〜809と接続している。
図4は、本発明に係る基地局である図2に示す基地局72の構成を示すブロック図である。図4に示す基地局72の送信処理を説明する。EPC通信部901は、基地局72とEPC(MME部73など)、HeNBGW74などとの間のデータの送受信を行う。他基地局通信部902は、他の基地局との間のデータの送受信を行う。EPC通信部901および他基地局通信部902は、それぞれプロトコル処理部903と情報の受け渡しを行う。プロトコル処理部903からの制御データ、ならびにEPC通信部901および他基地局通信部902からのユーザデータおよび制御データは、送信データバッファ部904へ保存される。
送信データバッファ部904に保存されたデータは、エンコーダー部905へ渡され、誤り訂正などのエンコード処理が施される。エンコード処理を施さずに、送信データバッファ部904から変調部906へ直接出力されるデータが存在してもよい。エンコードされたデータは、変調部906にて変調処理が行われる。変調されたデータは、ベースバンド信号に変換された後、周波数変換部907へ出力され、無線送信周波数に変換される。その後、アンテナ908より一つもしくは複数の移動端末71に対して送信信号が送信される。
また、基地局72の受信処理は以下のように実行される。一つもしくは複数の移動端末71からの無線信号が、アンテナ908により受信される。受信信号は、周波数変換部907にて無線受信周波数からベースバンド信号に変換され、復調部909で復調処理が行われる。復調されたデータは、デコーダー部910へ渡され、誤り訂正などのデコード処理が行われる。デコードされたデータのうち、制御データはプロトコル処理部903あるいはEPC通信部901、他基地局通信部902へ渡され、ユーザデータはEPC通信部901および他基地局通信部902へ渡される。基地局72の一連の処理は、制御部911によって制御される。よって制御部911は、図4では省略しているが、各部901〜910と接続している。
図5は、本発明に係るMMEの構成を示すブロック図である。図5では、前述の図2に示すMME部73に含まれるMME73aの構成を示す。PDN GW通信部1001は、MME73aとPDN GWとの間のデータの送受信を行う。基地局通信部1002は、MME73aと基地局72との間のS1インタフェースによるデータの送受信を行う。PDN GWから受信したデータがユーザデータであった場合、ユーザデータは、PDN GW通信部1001から、ユーザプレイン通信部1003経由で基地局通信部1002に渡され、1つあるいは複数の基地局72へ送信される。基地局72から受信したデータがユーザデータであった場合、ユーザデータは、基地局通信部1002から、ユーザプレイン通信部1003経由でPDN GW通信部1001に渡され、PDN GWへ送信される。
PDN GWから受信したデータが制御データであった場合、制御データは、PDN GW通信部1001から制御プレイン制御部1005へ渡される。基地局72から受信したデータが制御データであった場合、制御データは、基地局通信部1002から制御プレイン制御部1005へ渡される。
HeNBGW通信部1004は、HeNBGW74が存在する場合に設けられ、情報種別によって、MME73aとHeNBGW74との間のインタフェース(IF)によるデータの送受信を行う。HeNBGW通信部1004から受信した制御データは、HeNBGW通信部1004から制御プレイン制御部1005へ渡される。制御プレイン制御部1005での処理の結果は、PDN GW通信部1001経由でPDN GWへ送信される。また、制御プレイン制御部1005で処理された結果は、基地局通信部1002経由でS1インタフェースにより1つあるいは複数の基地局72へ送信され、またHeNBGW通信部1004経由で1つあるいは複数のHeNBGW74へ送信される。
制御プレイン制御部1005には、NASセキュリティ部1005−1、SAEベアラコントロール部1005−2、アイドルステート(Idle State)モビリティ管理部1005−3などが含まれ、制御プレインに対する処理全般を行う。NASセキュリティ部1005−1は、NAS(Non-Access Stratum)メッセージのセキュリティなどを行う。SAEベアラコントロール部1005−2は、SAE(System Architecture Evolution)のベアラの管理などを行う。アイドルステートモビリティ管理部1005−3は、待受け状態(アイドルステート(Idle State);LTE−IDLE状態、または、単にアイドルとも称される)のモビリティ管理、待受け状態時のページング信号の生成および制御、傘下の1つあるいは複数の移動端末71のトラッキングエリアの追加、削除、更新、検索、トラッキングエリアリスト管理などを行う。
MME73aは、1つまたは複数の基地局72に対して、ページング信号の分配を行う。また、MME73aは、待受け状態(Idle State)のモビリティ制御(Mobility control)を行う。MME73aは、移動端末が待ち受け状態のとき、および、アクティブ状態(Active State)のときに、トラッキングエリア(Tracking Area)リストの管理を行う。MME73aは、UEが登録されている(registered)追跡領域(トラッキングエリア:Tracking Area)に属するセルへ、ページングメッセージを送信することで、ページングプロトコルに着手する。MME73aに接続されるHome−eNB75のCSGの管理やCSG−IDの管理、そしてホワイトリスト管理は、アイドルステートモビリティ管理部1005−3で行ってもよい。
次に通信システムにおけるセルサーチ方法の一例を示す。図6は、LTE方式の通信システムにおいて移動端末(UE)が行うセルサーチから待ち受け動作までの概略を示すフローチャートである。移動端末は、セルサーチを開始すると、ステップST1201で、周辺の基地局から送信される第一同期信号(P−SS)、および第二同期信号(S−SS)を用いて、スロットタイミング、フレームタイミングの同期をとる。
P−SSとS−SSとを合わせて、同期信号(SS)という。同期信号(SS)には、セル毎に割り当てられたPCIに1対1に対応するシンクロナイゼーションコードが割り当てられている。PCIの数は504通りが検討されている。この504通りのPCIを用いて同期をとるとともに、同期がとれたセルのPCIを検出(特定)する。
次に同期がとれたセルに対して、ステップST1202で、基地局からセル毎に送信される参照信号(リファレンスシグナル:RS)であるセル固有参照信号(Cell-specific Reference Signal:CRS)を検出し、RSの受信電力(Reference Signal Received Power:RSRP)の測定を行う。参照信号(RS)には、PCIと1対1に対応したコードが用いられている。そのコードで相関をとることによって他セルと分離できる。ステップST1201で特定したPCIから、該セルのRS用のコードを導出することによって、RSを検出し、RSの受信電力を測定することが可能となる。
次にステップST1203で、ステップST1202までで検出された一つ以上のセルの中から、RSの受信品質が最もよいセル、例えば、RSの受信電力が最も高いセル、つまりベストセルを選択する。
次にステップST1204で、ベストセルのPBCHを受信して、報知情報であるBCCHを得る。PBCH上のBCCHには、セル構成情報が含まれるMIB(Master Information Block)がマッピングされる。したがってPBCHを受信してBCCHを得ることで、MIBが得られる。MIBの情報としては、例えば、DL(ダウンリンク)システム帯域幅(送信帯域幅設定(transmission bandwidth configuration:dl-bandwidth)とも呼ばれる)、送信アンテナ数、SFN(System Frame Number)などがある。
次にステップST1205で、MIBのセル構成情報をもとに該セルのDL−SCHを受信して、報知情報BCCHの中のSIB(System Information Block)1を得る。SIB1には、該セルへのアクセスに関する情報や、セルセレクションに関する情報、他のSIB(SIBk;k≧2の整数)のスケジューリング情報が含まれる。また、SIB1には、トラッキングエリアコード(Tracking Area Code:TAC)が含まれる。
次にステップST1206で、移動端末は、ステップST1205で受信したSIB1のTACと、移動端末が既に保有しているトラッキングエリアリスト内のトラッキングエリア識別子(Tracking Area Identifier:TAI)のTAC部分とを比較する。トラッキングエリアリストは、TAIリスト(TAI list)とも称される。TAIはトラッキングエリアを識別するための識別情報であり、MCC(Mobile Country Code)と、MNC(Mobile Network Code)と、TAC(Tracking Area Code)とによって構成される。MCCは国コードである。MNCはネットワークコードである。TACはトラッキングエリアのコード番号である。
移動端末は、ステップST1206で比較した結果、ステップST1205で受信したTACがトラッキングエリアリスト内に含まれるTACと同じならば、該セルで待ち受け動作に入る。比較して、ステップST1205で受信したTACがトラッキングエリアリスト内に含まれなければ、移動端末は、該セルを通して、MMEなどが含まれるコアネットワーク(Core Network,EPC)へ、TAU(Tracking Area Update)を行うためにトラッキングエリアの変更を要求する。
コアネットワークを構成する装置(以下「コアネットワーク側装置」という場合がある)は、TAU要求信号とともに移動端末から送られてくる該移動端末の識別番号(UE−IDなど)をもとに、トラッキングエリアリストの更新を行う。コアネットワーク側装置は、移動端末に更新後のトラッキングエリアリストを送信する。移動端末は、受信したトラッキングエリアリストに基づいて、移動端末が保有するTACリストを書き換える(更新する)。その後、移動端末は、該セルで待ち受け動作に入る。
スマートフォンおよびタブレット端末の普及によって、セルラー系無線通信によるトラフィックが爆発的に増大しており、世界中で無線リソースの不足が懸念されている。これに対応して周波数利用効率を高めるために、小セル化し、空間分離を進めることが検討されている。
従来のセルの構成では、eNBによって構成されるセルは、比較的広い範囲のカバレッジを有する。従来は、複数のeNBによって構成される複数のセルの比較的広い範囲のカバレッジによって、あるエリアを覆うように、セルが構成されている。
小セル化された場合、eNBによって構成されるセルは、従来のeNBによって構成されるセルのカバレッジに比べて範囲が狭いカバレッジを有する。したがって、従来と同様に、あるエリアを覆うためには、従来のeNBに比べて、多数の小セル化されたeNBが必要となる。
以下の説明では、従来のeNBによって構成されるセルのように、比較的広い範囲のカバレッジを構成するセル、すなわちカバレッジエリアが比較的広いセルを「マクロセル」といい、マクロセルを構成するeNBを「マクロeNB」という。また、小セル化されたセルのように、比較的狭い範囲のカバレッジを構成するセル、すなわちカバレッジエリアが比較的狭いセルを「スモールセル」といい、スモールセルを構成するeNBを「スモールeNB」という。
マクロeNBは、例えば、3GPP TS 36.141 V11.1.0(以下「非特許文献8」という)に記載される「ワイドエリア基地局(Wide Area Base Station)」であってもよい。
スモールeNBは、例えば、ローパワーノード、ローカルエリアノード、ホットスポットなどであってもよい。また、スモールeNBは、ピコセルを構成するピコeNB、フェムトセルを構成するフェムトeNB、HeNB、RRH、RRU、RREまたはRNであってもよい。また、スモールeNBは、非特許文献8に記載される「ローカルエリア基地局(Local Area Base Station)」または「ホーム基地局(Home Base Station)」であってもよい。
図7は、マクロeNBとスモールeNBとが混在する場合のセルの構成の概念を示す図である。マクロeNBによって構成されるマクロセルは、比較的広い範囲のカバレッジ1301を有する。スモールeNBによって構成されるスモールセルは、マクロeNBによって構成されるマクロセルのカバレッジ1301に比べて範囲が狭いカバレッジ1302を有する。
複数のeNBが混在する場合、あるeNBによって構成されるセルのカバレッジが、他のeNBによって構成されるセルのカバレッジ内に含まれる場合がある。図7に示すセルの構成では、参照符号「1304」または「1305」で示されるように、スモールeNBによって構成されるスモールセルのカバレッジ1302が、マクロeNBによって構成されるマクロセルのカバレッジ1301内に含まれる場合がある。
また、参照符号「1305」で示されるように、複数、例えば2つのスモールセルのカバレッジ1302が、1つのマクロセルのカバレッジ1301内に含まれる場合もある。移動端末(UE)1303は、例えばスモールセルのカバレッジ1302内に含まれ、スモールセルを介して通信を行う。
また図7に示すセルの構成では、参照符号「1306」で示されるように、マクロeNBによって構成されるマクロセルのカバレッジ1301と、スモールeNBによって構成されるスモールセルのカバレッジ1302とが複雑に重複する場合が生じる。
また、参照符号「1307」で示されるように、マクロeNBによって構成されるマクロセルのカバレッジ1301と、スモールeNBによって構成されるスモールセルのカバレッジ1302とが重複しない場合も生じる。
さらには、参照符号「1308」で示されるように、多数のスモールeNBによって構成される多数のスモールセルのカバレッジ1302が、一つのマクロeNBによって構成される1つのマクロセルのカバレッジ1301内に構成される場合も生じる。
実施の形態1で解決する課題、およびその解決策について、以下に示す。本実施の形態では、マクロeNBによって構成されるマクロセルのカバレッジ内に、スモールeNBによって構成されるスモールセルのカバレッジが含まれる構成を考える。
前述のように、将来の膨大なトラフィックに対応するために、例えば、多数のスモールeNBを設置して、多数のスモールセルを設置することによって、周波数利用効率を高めて、通信容量の増大を図る技術などが検討されている。
多数のスモールセルを設置した場合、UEが接続するスモールセルをどれにしたらよいかが課題になる。
例えば、従来技術のように、UEにおける受信電力が最大となるスモールセルを選択した場合を考える。この場合に、選択されたスモールセルの負荷が既に過大であると、該スモールセルに接続したUEに与えられる無線リソースが少なくなり、高いスループットが得られなくなる。したがって、データの送達に高い遅延が生じるなどの課題が生じる。
本実施の形態では、このような課題を解決するために、UEと接続するスモールセルを選択するときに、データの流量(以下「データ流量」という場合がある)についての情報を用いる。これによって、スモールセルの処理負荷を分散させ、ネットワーク全体の遅延を改善することを目的とする。
図8は、本発明の実施の形態1における通信システム1400の構成を示すブロック図である。通信システム1400は、UE1401、スモールセルクラスタ1402、MME1403、S−GW1404、マクロセル1406およびコンセントレータ1407を備えて構成される。スモールセルクラスタ1402は、1つまたは複数のスモールセル1405を備える。
MME1403およびS−GW1404は、上位装置に相当する。ここで、上位装置とは、基地局装置の上位に設けられる装置をいう。すなわち上位装置は、基地局装置を基準として、コアネットワーク側に設けられる。上位装置としては、上位エンティティおよび上位ノードがある。
基地局装置は、例えばマクロeNBおよびスモールeNBであり、マクロセルおよびスモールセルなどのセルを構成する。複数のセルが設置される場合、複数のセルは、1つの基地局装置によって構成されてもよいし、複数の基地局装置によって構成されてもよい。
図8では、スモールセルクラスタ1402が、3つのスモールセル1405を備える場合を示している。以下の説明において、3つのスモールセル1405を区別して示す場合には、参照符号「1405」に添字「a」、「b」、「c」を付して、それぞれ、第1のスモールセル#1 1405a、第2のスモールセル#2 1405b、および第3のスモールセル#3 1405cという。3つのスモールセル1405を区別せずに示す場合には、参照符号「1405」を付して示す。
スモールセル1405は、スモールeNBによって構成される。スモールセル1405を構成するeNBは、例えば、前述の図2に示すHome−eNB75に相当する。マクロセル1406は、マクロeNBによって構成される。マクロセル1406を構成するマクロeNBは、例えば、前述の図2に示すeNB76に相当する。
本実施の形態の通信システム1400は、従来技術の通信システムのアーキテクチャとは異なり、マクロセル1406とスモールセル1405との間に、コンセントレータ1407を備えて構成される。コンセントレータ1407は、1つまたは複数のスモールセル1405からなるスモールセルクラスタ1402内のスモールセル1405をまとめて制御するエンティティ(Entity)である。
マクロセル1406とコンセントレータ1407とは、新たなインタフェースを介して接続される。スモールセル1405とコンセントレータ1407とは、新たなインタフェースを介して接続される。1つのコンセントレータ1407に、複数のスモールセル1405が接続される。図8に示す例では、3つのスモールセル1405が、1つのコンセントレータ1407に接続されている。スモールセル1405間はインタフェースを介して接続される。スモールセルが各々一つのスモールeNBによって構成される場合、スモールセル1405間のインタフェースとして、X2インタフェースが用いられる。
図9は、本発明の実施の形態1における通信システム1400のデータの流れを示す図である。図9では、上りリンク(UL)トラフィックを参照符号「41」の矢印で示し、下りリンク(DL)トラフィックを参照符号「42」の矢印で示す。
コンセントレータ1407は、自身の管理対象であるスモールセルクラスタ1402内の各スモールセル1405について、スモールセル1405内のデータ流量の合計(以下「総データ流量」という場合がある)を取得する機能を有する。またコンセントレータ1407は、UE1401が接続するスモールセル1405を選択する機能を有する。
各スモールセル1405は、自セル内のデータ流量を測定する機能と、測定した自セル内のデータ流量をコンセントレータ1407に通知する機能とを有する。各スモールセル1405は、測定した自セル内のデータ流量をコンセントレータ1407に通知するときに、自セルのセル識別情報を合わせて通知することが好ましい。各スモールセル1405のセル識別情報は、コンセントレータ1407がスモールセル1405を選択するときに有用である。
データ流量としては、例えば、各スモールセル1405内で取扱われるデータのサイズ(以下「データサイズ」という場合がある)または量(以下「データ量」という場合がある)を表す情報を用いてもよいし、各スモールセル1405からUE1401にデータを送信するときに、送信データバッファ部で取扱われるデータのデータサイズを表す情報を用いてもよい。
各スモールセル1405の上りリンクに関するデータ流量(以下「上りリンクのデータ流量」という場合がある)の具体例として、以下の(1)〜(4)の4つを開示する。
(1)各スモールセル1405が、上位エンティティあるいは上位ノードに送信したデータ(以下「送信データ」という場合がある)のデータサイズ。
(2)各スモールセル1405が、下位エンティティあるいは下位ノードから受信したデータ(以下「受信データ」という場合がある)のデータサイズ。
(3)各スモールセル1405が、自セル1405に接続するUE1401から受信したバッファ状態報告(Buffer Status Report:BSR)情報。
(4)前記(1)〜(3)の組合せ。
BSR情報(以下、単に「BSR」という場合がある)は、UE1401から各スモールセル1405に送信するデータを一時的に記憶するバッファ部の状態を示す。バッファ部は、前述の図3に示す送信データバッファ部803に相当する。BSRは、受信データの流量を表す。
具体的に述べると、BSRには、UE1401の送信データバッファ部で取扱われたデータのデータサイズを表す情報が含まれる。したがって、BSRを用いることによって、各スモールセル1405の上りリンクのデータ流量を測定することが可能となる。
本実施の形態では、各スモールセル1405が、データ流量を測定する機能を有する。したがって、前述の上りリンクのデータ流量の具体例(1)では、スモールセル1405が、上位ノードであるコンセントレータ1407に送信したデータのデータサイズとするとよい。前記具体例(2)では、下位ノードはUE1401となるので、スモールセル1405が、自セル1405に接続するUE1401から受信したデータのデータサイズとするとよい。前記具体例(3)では、スモールセル1405が、自セル1405に接続するUE1401から受信したBSR情報とするとよい。
前記具体例(1),(2)では、いずれも、スモールセル1405と接続するUE1401毎のデータサイズであってもよいし、スモールセル1405と接続する全てのUE1401の合計のデータサイズであってもよい。
スモールセル1405と接続するUE1401毎のデータサイズの場合は、データ流量を取得し、対象となるUE1401のセルを選択するエンティティであるコンセントレータ1407が、各スモールセル1405と接続する全てのUE1401の合計のデータサイズを導出すればよい。これによって、スモールセル1405毎のデータ流量を導出することができる。この場合、スモールセル1405が全てのUE1401の合計のデータサイズを導出する必要が無くなるので、制御を簡略化することができる。
スモールセル1405と接続する全てのUE1401の合計のデータサイズの場合は、データ流量を取得し、対象となるUE1401のセルを選択するエンティティであるコンセントレータ1407が、この合計のデータサイズをスモールセル1405毎のデータ流量とすればよい。スモールセル1405は、接続する全てのUE1401の合計のデータサイズを通知するので、UE1401毎のデータサイズを通知する場合に比べて、コンセントレータ1407における計算量を削減することができる。
前記具体例(3)においても、スモールセル1405と接続するUE1401毎のBSR情報としてもよいし、スモールセル1405と接続する全てのUE1401のBSR情報としてもよい。これによって、前記具体例(1),(2)と同様の効果を得ることができる。
スモールセル1405と接続する全てのUE1401のBSR情報としては、UE1401毎のBSR情報と該UE1401の識別情報、例えばUE−IDとの対応を表す一覧表であってもよいし、スモールセル1405が受信した全てのUE1401のBSR情報から導出した上りデータサイズであってもよい。
また、多数のスモールセル1405が用いられ、UE1401が複数のセルと接続するような場合が考えられる。その場合、従来技術のように、制御プレイン(C-plane)が接続されるセルにBSRを通知すると、UE1401が接続する他のセルでは、該UE1401に起因するデータ流量を把握することができない。
そこで、本実施の形態では、UE1401が接続するエンティティ毎、すなわちセル毎のデータサイズ、あるいはBSRを通知する。UE1401が接続するエンティティ毎のデータサイズ、あるいはBSRの通知は、該エンティティに対して、あるいは制御プレイン(C-plane)が接続されるセルに対して行えばよい。制御プレイン(C-plane)が接続されるセルに対して通知する場合は、データサイズあるいはBSRとして、セル識別情報と、データサイズあるいはBSRとの対応を表す一覧表を通知してもよい。
このように構成することによって、従来の制御プレイン(C-plane)が接続されるセルにのみBSRが通知される場合とは異なり、UE1401が複数のセルと接続するような場合でも、ネットワーク側がエンティティ毎、すなわちセル毎のデータ流量を把握することができる。
また、ユーザプレイン(U-plane)接続におけるデータサイズあるいはBSR情報としてもよい。
多数のスモールセル1405が用いられ、UE1401が複数のセルと接続するような場合、従来技術と異なり、制御プレイン(C-plane)が接続されるセルとユーザプレイン(U-plane)が接続されるセルとが異なる場合がある。
そこで、本実施の形態では、ユーザプレイン(U-plane)接続におけるエンティティ、またはノードに特定したデータサイズもしくはBSR情報を、データ流量とする。これによって、ユーザプレイン(U-plane)接続におけるデータ流量を測定することが可能となる。
データ流量の測定は、予め定める期間の量を測定するとよい。予め定める期間としては、始期と期間とを設定するようにしてもよいし、あるいは始期と終期とを設定するようにしてもよい。予め定める期間は、静的に予め決められていてもよいし、準静的あるいは動的に適宜変更可能としてもよい。データ流量としては、予め定める期間当たりのパケット数、ビット数、バイト数としてもよい。あるいは予め定める期間のデータ流量の測定から求めた、単位時間当たりのパケット数、ビット数、バイト数としてもよい。予め定める期間の変更は、コンセントレータ1407の指示によって行われるようにしてもよい。
データ流量を測定する機能を有するエンティティあるいはノードは、対象とするUE1401が接続するスモールセル1405を選択する機能を有するエンティティあるいはノードに対して、データ流量についての情報を通知する。
本実施の形態においては、各スモールセル1405が、データ流量を測定する機能を有するノードであり、コンセントレータ1407が、対象となるUE1401が接続するスモールセル1405を選択する機能を有するエンティティである。この場合、各スモールセル1405からコンセントレータ1407に対して、データ流量についての情報が通知される。コンセントレータ1407は、各スモールセル1405から、データ流量についての情報を受信する。
データ流量についての情報を通知する契機の具体例として、以下の(1)〜(3)の3つを開示する。
(1)周期的、あるいは、定期的。
(2)所定の閾値を設けて、データ流量が該閾値以上になった場合、あるいは該閾値を超えた場合。
(3)スモールセルを選択する機能を有するエンティティからの要求を受信した場合。
データ流量についての情報の通知に用いるインタフェースとして、スモールセル1405とコンセントレータ1407との間に、新たなインタフェースを設けるとよい。
データ流量の情報量を削減するために、データ流量を一つまたは複数の予め定める範囲に分割し、該範囲にそれぞれ、インデックスを設けるとよい。該インデックスをデータ流量についての情報とする。このようにすることによって、ノード間で通知される情報量、例えばビット数などを少なくすることが可能となる。したがって、多くのスモールセル1405が運用される場合に、ノード間でシグナリングされる情報量を低減することができるので、混雑を低減することが可能となる。
前述の図8において、上りリンクのデータ流量にBSR情報を用いた場合について説明する(TS36.321 V11.2.0(以下「非特許文献9」という)の5.4.5章参照)。UE1401から通知されるBSRは、非特許文献9で規定されている規格では、スモールセル1405で終端される。
BSRは、MAC情報である(非特許文献9参照)。従来の基地局、例えばマクロセルでは、移動端末に対する制御プロトコル、例えばRRC(Radio Resource Control)と、ユーザプレイン、例えばPDCP(Packet Data Convergence Protocol)、RLC(Radio Link Control)、MAC(Medium Access Control)、PHY(Physical layer)は、基地局で終端する。これによって、MAC情報であるBSRも、移動端末から基地局までの情報となる。
したがって、従来の方法では、図8において、BSRは、UE1401から、該UE1401と接続されるスモールセル1405までの情報となる。
従来の方法では、UE1401と直接接続されている基地局であるeNB以外のエンティティが、セルのデータ流量に基づく接続セルの選択を実現することは不可能である。
そこで、本実施の形態では、BSR情報を、スモールセル1405からコンセントレータ1407に通知するようにしている。
このBSRで報告された送信データのデータサイズを用いて、コンセントレータ1407は、UE1401が接続すべきスモールセル1405を選択する。
コンセントレータ1407は、対象となるUE1401が現在接続しているスモールセル1405に、選択したスモールセル1405の情報を、UE1401が接続すべきスモールセル1405の情報として通知する。選択したスモールセル1405の情報は、対象となるUE1401の識別子とともに通知するとよい。
UE1401が現在接続しているスモールセル1405は、対象となるUE1401が接続すべきスモールセル1405の情報を受信し、RRC再設定(RRC Reconfiguration)メッセージを送信することによって、UE1401へ、接続すべきスモールセル1405の情報を通知する。
UE1401は、受信したRRC再設定(RRC Reconfiguration)メッセージを用いて、コンセントレータ1407が選択したスモールセル1405への接続を実行する。
UE1401が現在接続しているスモールセル1405とUE1401との間でRRC接続が行われていない場合、コンセントレータ1407は、該UE1401とRRC接続が行われているセルに対して、UE1401が接続すべきスモールセル1405の情報を通知すればよい。UE1401が接続すべきスモールセル1405の情報は、対象となるUE1401の識別子とともに通知するとよい。
UE1401とRRC接続が行われているセルは、対象となるUE1401が接続すべきスモールセル1405の情報を受信し、RRC再設定(RRC Reconfiguration)メッセージを送信することによって、UE1401へ、接続すべきスモールセル1405の情報を通知する。
例えば、該UE1401とRRC接続が行われているセルがマクロセル1406である場合、コンセントレータ1407は、マクロセル1406に対して、UE1401が接続すべきスモールセル1405の情報を通知する。該マクロセル1406は、対象となるUE1401が接続すべきスモールセル1405の情報を受信し、RRC再設定(RRC Reconfiguration)メッセージを送信することによって、UE1401へ、接続すべきスモールセル1405の情報を通知する。
UE1401は、受信したRRC再設定(RRC Reconfiguration)メッセージを用いて、コンセントレータ1407が選択したスモールセル1405への接続を実行する。
ハンドオーバのターゲットセル用に接続先を通知された場合、UE1401は、通知された接続すべきスモールセル1405に、ハンドオーバを実施する。
キャリアアグリゲーション(Carrier Aggregation)のセカンダリセル用に接続先を通知された場合、UE1401は、通知された接続すべきスモールセル1405をセカンダリセルとして設定する。
図10は、従来技術の通信システム1410におけるプロトコルスタックの構成を示す図である。図11は、本発明の実施の形態1の通信システム1400におけるプロトコルスタックの構成を示す図である。
従来の基地局であるマクロセル1406では、ユーザプレインは、PDCPまで、すなわちPDCP、RLC、MAC、PHYを終端する。これに対し、本実施の形態では、スモールセル1405によってRLC、MAC、PHYを終端し、マクロセル1406によってPDCPを終端する。
コンセントレータ1407は、対象となるUE1401と接続するスモールセル1405を選択する機能を有する。
BSR情報は、UE1401からスモールセル1405へ通知される。スモールセル1405は、BSR情報をさらにコンセントレータ1407へ通知する。例えば、BSR情報は、UE1401から第3のスモールセル#3 1405cに通知され、第3のスモールセル#3 1405cからコンセントレータ1407に通知される。
これによって、コンセントレータ1407は、各スモールセル1405の上りデータ流量を取得することができ、該上りデータ流量を用いて、対象となるUE1401と接続すべきスモールセル1405を選択することが可能となる。
対象となるUE1401からの上りデータは、コンセントレータ1407によって選択されたスモールセル1405を介して、マクロセル1406に送信されることになる。例えば、対象となるUE1401と接続するためにコンセントレータ1407によって選択されたスモールセル1405が、第1のスモールセル#1 1405aである場合、UE1401からの上りデータは、第1のスモールセル#1 1405aを介して、マクロセル1406に送信される。
このように、UE1401と接続するスモールセル1405を選択するときに、データ流量についての情報を用いることによって、例えば上りデータ流量の多大なスモールセル1405を選択することを避けることが可能となる。これによって、スモールセル1405の処理負荷を分散させることができる。したがって、ネットワーク全体の遅延を改善することが可能となる。
また、スモールセル1405は、UE1401からBSRを受信したとき、コンセントレータ1407へ送信するか否かの判断に、Short BSR、Long BSRの違いを用いてもよい。
例えば、Short BSRにDCCHの送信データのデータ量の情報を含め、Long BSRにDTCHの送信データのデータ量の情報を含めて、スモールセル1405は、Long BSRの情報のみをコンセントレータ1407へ通知するとよい。
これによって、コンセントレータ1407は、Long BSRの情報から、ユーザプレイン(U-plane)の送信データのデータ量を認識することが可能となり、ユーザプレイン(U-plane)の送信データのデータ量を用いて、スモールセル1405の選択を行うことが可能となる。したがって、スモールセル1405とコンセントレータ1407との間の通信データ量を削減することができる。
データ流量についての情報を通知する契機の具体例としては、前述の具体例(1)〜(3)に代えて、以下に示す方法としてもよい。
前述の図8において、コンセントレータ1407がBSRを受信したとき、自身の管理するスモールセルクラスタ1402内に、予め定める時間、BSRを送信していないスモールセル1405が存在した場合、コンセントレータ1407からスモールセル1405に対して、総データ流量を問い合わせてもよい。
これによって、コンセントレータ1407は、スモールセルクラスタ1402内に含まれるスモールセル1405のデータ流量を把握した上で、最適なスモールセル1405を選択することができる。
また、スモールセル1405は、UE1401からのBSRの受信の有無に関わらず、周期的にコンセントレータ1407にBSRを送信してもよい。
次に、各スモールセル1405の下りリンクに関するデータ流量(以下「下りリンクのデータ流量」という場合がある)の具体例として、以下の(1)〜(3)の3つを開示する。
(1)各スモールセル1405が、上位エンティティあるいは上位ノードから受信したデータのデータサイズ。
(2)各スモールセル1405が、下位エンティティあるいは下位ノードへ送信したデータのデータサイズ。
(3)前記(1),(2)の組合せ。
本実施の形態では、スモールセル1405がデータ流量を測定する機能を有する。したがって、前述の下りリンクのデータ流量の具体例(1)では、スモールセル1405が、上位ノードであるコンセントレータ1407から受信したデータのデータサイズとするとよい。前記具体例(2)では、下位ノードはUE1401となるので、スモールセル1405が、自セル1405に接続するUE1401へ送信したデータのデータサイズとするとよい。
前記具体例(1),(2)では、いずれも、スモールセル1405と接続するUE1401毎のデータサイズであってもよいし、スモールセル1405と接続する全てのUE1401の合計のデータサイズであってもよい。上りリンクのデータ流量の場合と同様である。
また、ユーザプレイン(U-plane)接続におけるデータサイズとしてもよい。上りリンクのデータ流量の場合と同様である。
データ流量の測定期間、データ流量の通知、データ流量の通知の契機、データ流量の通知のためのインタフェースなどは、上りリンクに関して開示した前述のインタフェースなどを適宜適用することが可能である。このように上りリンクに関して開示した前述のインタフェースなどを適宜適用することによって、上りリンクの場合と同様の効果を得ることができる。
図8において、下りリンクのデータ流量として、下位エンティティあるいは下位ノードへ送信したデータのデータサイズを用いた場合について説明する。
スモールセル1405は、自セル1405から、自セル1405と接続するUE1401に送信したデータのデータサイズを測定し、測定した、UE1401に送信したデータのデータサイズを、コンセントレータ1407に通知する。コンセントレータ1407は、自身の管理するスモールセルクラスタ1402内の各スモールセル1405の下りデータ流量を用いて、対象となるUE1401が接続すべきスモールセル1405を選択する。
コンセントレータ1407が、対象となるUE1401に対して、UE1401が接続すべきスモールセル1405として選択したスモールセル1405を通知する方法としては、上りリンクのデータ流量を通知する方法で開示した方法を適用することができる。
UE1401は、ハンドオーバのターゲットセル用に接続先を通知された場合、通知された接続すべきスモールセル1405にハンドオーバを実施する。
UE1401は、キャリアアグリゲーション(Carrier Aggregation)のセカンダリセル用に接続先を通知された場合、通知された接続すべきスモールセル1405をセカンダリセルとして設定する。
対象とするUE1401が接続するスモールセル1405を選択する機能を有するエンティティは、上りリンクのデータ流量と下りリンクのデータ流量との両方、あるいはいずれか一方を用いて、スモールセル1405を選択してもよい。上りリンクのデータ流量と下りリンクのデータ流量との両方を用いることによって、対象となるUE1401が双方向の通信をする場合に、最適なスモールセル1405を選択することが可能となる。
対象となるUE1401に対して、高スループットなどを要求されるリンクが、上りリンクおよび下りリンクのいずれか一方の場合、いずれか一方のリンクのデータ流量を用いてスモールセル1405を選択するようにしてもよい。これによって、UE1401の通信にとって最適なスモールセル1405を選択することが可能となる。
データ流量を測定する機能を有するエンティティは、対象とするUE1401が接続するスモールセル1405を選択する機能を有するエンティティに対して、上りリンクのデータ流量と下りリンクのデータ流量とを合わせて通知するようにしてもよい。各リンクのデータ流量をリスト形式で通知するようにしてもよいし、合計値としてもよい。これによって、通知するメッセージ量を削減することができる。
UE1401が接続すべきスモールセル1405を、上りリンクと下りリンクとで独立に選択してもよい。上りリンクのデータ流量と下りリンクのデータ流量とを、上りリンクと下りリンクとに対してそれぞれ使用することによって、各リンクにおいて最適なスモールセル1405を選択することが可能となる。
例えば、スモールセルクラスタ1402内のスモールセル1405を同じ周波数帯、および同じTAGで構成する。対象となるUE1401が接続するスモールセル1405をスモールセルクラスタ1402内で選択する場合、下りリンク(DL)と上りリンク(UL)とで、UE1401が接続するスモールセル1405が異なってもよい。コンセントレータ1407は、下りリンク(DL)と上りリンク(UL)とで、独立にスモールセル1405の選択を実施する。
スモールセルクラスタ1402内のスモールセル1405が同じ周波数帯、および同じTAGで構成されるので、下りリンクで選択したスモールセル1405に対する上りリンクの送信タイミングは同一となる。したがって、上りリンクにどのスモールセル1405を用いても、送信タイミングを変更する必要が無く、UE1401における制御を簡略化することが可能となる。
また、上りリンクおよび下りリンクにおいて、それぞれ、最適なスモールセル1405を選択することが可能となるので、どちらのリンクにおいても高スループット、低遅延を実現することが可能となる。
例えば、スモールセルクラスタ1402内のスモールセル1405を同じTA(Tracking Area)で構成する。対象となるUE1401が接続するスモールセル1405を該スモールセルクラスタ1402内で選択する場合、下りリンク(DL)と上りリンク(UL)とで、UE1401が接続するスモールセル1405が異なってもよい。コンセントレータ1407は、下りリンク(DL)と上りリンク(UL)とで、独立にスモールセル1405の選択を実施する。スモールセルクラスタ1402内のスモールセル1405が同じTA、TACで構成されるので、TAU(Tracking Area Update)の手続きを実施する必要がなく、制御を簡略化することが可能となる。
UE1401が接続するスモールセル1405を選択する機能において、該選択に用いる情報の具体例として、以下の(1)〜(5)の5つを開示する。
(1)データ流量
(2)負荷(Load)
(3)通信品質
(4)QoS(Quality of Service)
(5)前記(1)〜(4)の組合せ。
セルの選択において、スモールセル1405の負荷状態および通信品質を考慮してもよい。流量は少ないが、通信品質が低いので、転送負荷が高い場合が考えられる。
また、セル選択において、データに要求されるQoSを考慮してもよい。例えば、QoSとして低いパケットエラーロスレートが要求されるデータは、通信品質の高いスモールセル1405を選択することとしてもよい。
前記具体例(1)のデータ流量としては、上りリンクのデータ流量および下りリンクのデータ流量の少なくとも一方がある。これについては、前述したので、ここでは説明を省略する。
前記具体例(2)の負荷としては、例えば、データ送達遅延時間、スループット、スモールセル1405に接続しているUE1401の数、CPU(Central Processing Unit)の使用率、無線リソースの使用率、上りデータおよび下りデータ用の少なくとも一方のバッファ滞留量などがある。
各スモールセル1405は、負荷を測定する機能を有し、各スモールセル1405からコンセントレータ1407へ、負荷についての情報(以下「負荷情報」という場合がある)を通知する。コンセントレータ1407は、各スモールセル1405から、負荷情報を受信する。コンセントレータ1407は、通知された負荷情報を用いて、対象となるUE1401が接続すべきスモールセル1405を選択する。
負荷の測定期間、負荷情報の通知、負荷情報の通知の契機、負荷情報の通知のためのインタフェースなどは、データ流量に関して開示した方法を適宜適用することが可能である。これによって、データ流量に関して開示した方法と同様の効果を得ることができる。
前記具体例(3)の通信品質の具体例として、以下の(3−1)〜(3−9)の9つを開示する。
まず、下りリンクに関して、以下の(3−1)〜(3−4)の4つを開示する。
(3−1)下りデータに対するHARQのACK/NACKの回数
(3−2)下りデータに対するRLCのACK/NACKの回数
(3−3)CQI
(3−4)CSI
次に、上りリンクに関して、以下の(3−5)〜(3−9)の5つを開示する。
(3−5)上りデータに対するHARQのACK/NACKの回数
(3−6)上りデータに対するRLCのACK/NACKの回数
(3−7)UEからスモールセルに送信されるサウンディング用参照信号(Sounding Reference Signal:SRS)の受信電力
(3−8)PUCCHの受信品質。PUCCHのDMRSの受信品質であってもよい。
(3−9)PUSCHの受信品質。PUSCHのDMRSの受信品質であってもよい。
下りデータに対するHARQのACK/NACKの回数、CQI、CSIは、物理レイヤがMACレイヤに提供する情報である(非特許文献9の4.3.2章参照)。HARQは、MACがオペレーションする(非特許文献9の5.3.2章参照)。
従来の基地局、例えばマクロセルでは、移動端末に対する制御プロトコル、例えばRRC(Radio Resource Control)と、ユーザプレイン、例えばPDCP(Packet Data Convergence Protocol)、RLC(Radio Link Control)、MAC(Medium Access Control)、PHY(Physical layer)とが基地局で終端する。これによって、物理レイヤがMACレイヤに提供する情報である、下りデータに対するHARQのACK/NACKの回数、CQI、CSIも、移動端末から基地局までの情報となる。
したがって、RLCのACK/NACKの回数は、RLCプロトコルを終端する基地局の情報となる。
MACがオペレーションするHARQの上りデータに対するACK/NACKの回数は、基地局の情報となる。
無線区間の受信品質の測定情報である、サウンディング用参照信号(Sounding Reference Signal:SRS)の受信電力、PUCCHの受信品質、PUSCHの受信品質は、基地局の情報となる。
したがって、従来の方法では、UE1401と直接接続されている基地局であるeNB以外のエンティティが、通信品質に基づく接続セルの選択を実現することは不可能である。
そこで、本実施の形態では、通信品質を、スモールセル1405から、対象とするUE1401が接続するスモールセル1405を選択する機能を有するエンティティあるいはノードに通知する。
対象とするUE1401が接続するスモールセル1405を選択する機能を有するエンティティあるいはノードは、通知された通信品質を用いて、UE1401が接続すべきスモールセル1405を選択する。
通信品質の測定期間、通信品質情報の通知、通信品質情報の通知の契機、通信品質情報の通知のためのインタフェースなどは、データ流量に関して開示した方法を適宜適用することが可能である。これによって、データ流量に関して開示した方法と同様の効果を得ることができる。
前記具体例(4)のQoSの具体例として、以下の(4−1)〜(4−6)の6つを開示する。
(4−1)QCI(QoS Class Identifier)
(4−2)ARP(Allocation and Retention Priority)
(4−3)GBR(Guaranteed Bit Rate)
(4−4)MBR(Maximum Bit Rate)
(4−5)パケット遅延量
(4−6)パケットエラーロスレート
QoSの情報を有するエンティティは、対象とするUE1401が接続するスモールセル1405を選択する機能を有するエンティティに、QoSの情報を通知する。
QoS情報の通知、QoS情報の通知の契機、QoS情報の通知のためのインタフェースなどは、データ流量に関して開示した方法を適宜適用することが可能である。これによって、データ流量に関して開示した方法と同様の効果を得ることができる。
前記具体例(5)において、スモールセル1405は、各情報を組合せて測定する機能を有するようにしてもよい。
また、スモールセル1405は、コンセントレータ1407に対して、各々の情報を異なるタイミングで通知してもよいし、一つまたは複数の情報を同じタイミングで通知してもよい。
また、コンセントレータ1407は、各スモールセル1405から受信した情報の一部または全部を用いて、対象となるUE1401が接続すべきスモールセル1405を選択するようにしてもよい。
これによって、対象とするUE1401とスモールセルクラスタ1402内のスモールセル1405との間の電波環境によって、選択されるスモールセル1405を適宜変更することができる。したがって、最適なスモールセル1405を選択することが可能となる。
本実施の形態で開示した方法を採用し、コンセントレータ1407が、UE1401と接続するスモールセル1405を選択するときに、データ流量についての情報を用いることによって、スモールセル1405の処理負荷を分散させることが可能となる。これによって、ネットワーク全体の遅延を改善することができる。
また、コンセントレータ1407は、UE1401と接続するスモールセル1405を選択するときに、他の種々の情報を用いることが可能となり、より通信に最適なスモールセル1405を選択することが可能となる。これによって、高いスループット、低遅延での通信が可能となる。
以上のように本実施の形態によれば、各スモールセル1405がUE1401から受信する受信データ、および各スモールセル1405がUE1401に送信する送信データのうち、少なくとも一方の流量に基づいて、複数のスモールセル1405のうち、UE1401が接続すべきスモールセル1405が選択される。これによって、通信システム1400内のトラフィック量が増加した場合に、スモールセルクラスタ1402を構成する各スモールセル1405に負荷を分散することが可能となる。したがって、特定のスモールセル1405にトラフィックが集中することを防ぐことができるので、ネットワークにおける遅延、およびデータの欠落の発生確率を低減させることができる。
本実施の形態では、通信システム1400は、コンセントレータ1407を備える。コンセントレータ1407は、各スモールセル1405がUE1401から受信する受信データ、および各スモールセル1405がUE1401に送信する送信データのうち、少なくとも一方の流量に基づいて、複数のスモールセル1405のうち、UE1401が接続すべきスモールセル1405を選択する。
このようなコンセントレータ1407を設けることによって、前述のようにネットワークにおける遅延、およびデータの欠落の発生確率を低減させることができる通信システム1400を、簡単な構成で実現することができる。
また本実施の形態では、受信データの流量は、BSR情報で表される。BSR情報は、UE1401からスモールセル1405に送信されるとともに、スモールセル1405から、コンセントレータ1407または他の上位装置に送信される。スモールセル1405からBSR情報を受信したコンセントレータ1407または他の上位装置は、BSR情報に基づいて、複数のスモールセル1405のうち、UE1401が接続すべきスモールセル1405を選択する。
このようにBSR情報に基づいて、UE1401が接続すべきスモールセル1405を選択することによって、より通信に最適なスモールセル1405を選択することが可能となる。これによって、高いスループット、低遅延での通信が可能となる。
また本実施の形態では、通信システム1400は、マクロセル1406と複数のスモールセル1405とを備える。複数のスモールセル1405のうち、UE1401が接続すべきスモールセル1405が、各スモールセル1405の受信データおよび送信データのうち、少なくとも一方の流量に基づいて選択される。これによって、多数のスモールセル1405が設置される場合に、各スモールセル1405に対して、処理の負荷を適切に分散させることができる。したがって、ネットワーク全体の遅延を、より確実に改善することができる。
実施の形態1 変形例1.
実施の形態1で開示した例では、スモールセル1405が、データ流量を測定する機能を有する。本変形例では、各スモールセル1405のデータ流量を測定する機能は、コンセントレータ1407が有する。
この場合、上りリンクに関しては、下位エンティティである各スモールセル1405から受信したデータのデータサイズを測定すればよい。下りリンクに関しては、下位エンティティである各スモールセル1405へ送信したデータのデータサイズを測定すればよい。このようにすることによって、コンセントレータ1407は、各スモールセル1405のデータ流量を測定することができる。
各スモールセル1405のデータ流量を測定する機能をコンセントレータ1407が有するようにすることによって、データ流量を測定するエンティティと、UE1401と接続するスモールセル1405を選択するエンティティとを同じにすることができる。
これによって、各スモールセル1405からコンセントレータ1407へ、データ流量の測定結果を通知する必要が無くなるので、シグナリング量を削減することができる。また、測定と選択とをコンセントレータ1407内で一元化することができるので、測定タイミングを柔軟に設定することができる。したがって、よりタイムリーに動的なスモールセル1405の選択を行うことが可能となる。
実施の形態1 変形例2.
実施の形態1で開示した例では、コンセントレータ1407が、UE1401と接続するスモールセル1405を選択する機能を有する。本変形例では、UE1401と接続するスモールセル1405を選択する機能は、マクロセル1406が有する。
この場合、データ流量を測定する機能を有するエンティティは、マクロセル1406に、各スモールセル1405のデータ流量を通知する。マクロセル1406は、各スモールセル1405のデータ流量を取得する。マクロセル1406は、各スモールセル1405のデータ流量を用いて、UE1401と接続するスモールセル1405を選択する。
マクロセル1406は、選択したスモールセル1405の情報をUE1401に通知する。この通知は、コンセントレータ1407、およびUE1401と接続しているスモールセル1405を介して通知してもよいし、UE1401がマクロセル1406と接続している場合には、マクロセル1406から直接UE1401に通知してもよい。スモールセル1405またはマクロセル1406からUE1401への通知方法は、前述の実施の形態1で開示した方法を適用することができる。
例えば、各スモールセル1405が、自セル1405のデータ流量を測定する機能を有する場合、各スモールセル1405は、測定した自セル1405のデータ流量を、コンセントレータ1407を介して、マクロセル1406に通知するとよい。
このようにすることによって、コンセントレータ1407の機能を増大させる必要がなくなる。したがって、コンセントレータ1407をマクロセル1406と別個に構成するような場合、コンセントレータ1407の構成を容易にすることが可能となる。
実施の形態1 変形例3.
実施の形態1で開示した例では、スモールセル1405に接続するUE1401とS−GW1404との間のユーザプレイン(U-plane)接続において、S−GW1404とコンセントレータ1407とは、マクロセル1406を介して接続されている。
本変形例では、スモールセル1405に接続するUE1401とS−GW1404との間のユーザプレイン(U-plane)接続において、S−GW1404とコンセントレータ1407とは、直接接続される。これによって、S−GW1404とスモールセル1405とが、マクロセル1406を介さずに、コンセントレータ1407を介して接続される。
したがって、スモールセル1405で扱うユーザプレイン(U-plane)データが、マクロセル1406を通らないので、マクロセル1406での処理を削減することが可能となる。
この場合、UE1401に対するPDCPは、コンセントレータ1407が有するようにしてもよいし、あるいは、スモールセル1405が有するようにしてもよい。
実施の形態2.
図12は、本発明の実施の形態2における通信システム1500の構成を示すブロック図である。本実施の形態の通信システム1500は、UE1501、スモールセルクラスタ1502、MME1503、S−GW1504およびマクロセル1506を備えて構成される。
スモールセルクラスタ1502は、1つまたは複数のスモールセル1505を備える。図12では、スモールセルクラスタ1502が、3つのスモールセル1505を備える場合を示している。
以下の説明において、3つのスモールセル1505を区別して示す場合には、参照符号「1505」に添字「a」、「b」、「c」を付して、それぞれ、第1のスモールセル#1 1505a、第2のスモールセル#2 1505b、および第3のスモールセル#3 1505cという。3つのスモールセル1505を区別せずに示す場合には、参照符号「1505」を付して示す。
前述の実施の形態1では、図8に示すように、コンセントレータ1407は、マクロセル1406と別個に構成されている。これに対し、本実施の形態では、マクロセル1506が、コンセントレータ1507の機能を併せ持っている。すなわち、マクロセル1506は、コンセントレータ1507を備える。
コンセントレータ1507の機能は、実施の形態1で開示したコンセントレータ1407と同様に、1つまたは複数のスモールセル1505を含むスモールセルクラスタ1502内のスモールセル1505をまとめて制御する機能である。
本実施の形態では、マクロセル1506に、コンセントレータ1507の機能を追加する。スモールセル1505に接続するUE1501と、S−GW1504との間のユーザプレイン(U-plane)接続は、マクロセル1506を介して行われる。
マクロセル1506は、自身が有するコンセントレータ1507の機能における管理対象であるスモールセルクラスタ1502内の各スモールセル1505について、データ流量を取得する機能と、UE1501が接続するスモールセル1505を選択する機能とを有する。
各スモールセル1505は、データ流量を測定する機能と、測定したデータ流量を、コンセントレータ1507の機能を有するマクロセル1506へ通知する機能とを有する。
図12に示す構成において、実施の形態1で開示した方法を適宜採用し、マクロセル1506が、UE1501と接続するスモールセル1505を選択するときに、データ流量についての情報を用いることによって、スモールセル1505の処理負荷を分散させることが可能となる。これによって、ネットワーク全体の遅延を改善することができる。
また、マクロセル1506が、UE1501と接続するスモールセル1505を選択するときに、他の種々の情報を用いることが可能となり、より通信に最適なスモールセル1505を選択することが可能となる。これによって、高いスループット、低遅延な通信が可能となる。
また、UE1501が、1つ以上のスモールセル1505だけでなく、マクロセル1506と接続している場合に、マクロセル1506がUE1501と接続するスモールセル1505の選択を行うことが可能となる。これによって、UE1501に対する制御をマクロセル1506にまとめることが可能となる。したがって、誤動作を低減することが可能となる。
各スモールセル1505のデータ流量を測定する機能は、コンセントレータ1507の機能を有するマクロセル1506が有してもよい。
この場合、上りリンクに関しては、下位エンティティである各スモールセル1505から受信したデータのデータサイズを測定すればよい。下りリンクに関しては、下位エンティティである各スモールセル1505へ送信したデータのデータサイズを測定すればよい。
このようにすることによって、マクロセル1506は、各スモールセル1505のデータ流量を測定することができる。これによって、各スモールセル1505からマクロセル1506へ、データ流量の測定結果を通知する必要が無くなるので、シグナリング量を削減することができる。したがって、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
本実施の形態では、図12に示すように、スモールセル1505に接続するUE1501とS−GW1504との間のユーザプレイン(U-plane)接続は、マクロセル1506を介して行われている。
スモールセル1505に接続するUE1501とS−GW1504との間のユーザプレイン(U-plane)接続では、S−GW1504とスモールセル1505とが直接接続されてもよい。この場合、S−GW1504とスモールセル1505とが、マクロセル1506を介さずに接続されることになる。
したがって、スモールセル1505で扱うユーザプレイン(U-plane)データが、マクロセル1506を通らないので、マクロセル1506での処理を削減することが可能となる。また、この場合、UE1501に対するPDCPは、スモールセル1505が有するようにしてもよい。
スモールセル1505に接続するUE1501とS−GW1504との間のユーザプレイン(U-plane)接続において、S−GW1504とスモールセル1505とが直接接続されている場合、各スモールセル1505のデータ流量を測定する機能は、S−GW1504が有するようにしてもよい。
この場合、上りリンクに関しては、下位エンティティである各スモールセル1505から受信したデータのデータサイズを測定すればよい。下りリンクに関しては、下位エンティティである各スモールセル1505へ送信したデータのデータサイズを測定すればよい。
このようにすることによって、S−GW1504は、各スモールセル1505のデータ流量を測定することができる。
S−GW1504は、測定した各スモールセル1505のデータ流量を、UE1501と接続するスモールセル1505を選択するエンティティに通知する。例えば、UE1501と接続するスモールセル1505を選択するエンティティがマクロセル1506である場合、マクロセル1506に通知する。S−GW1504からマクロセル1506へは、MME1503を介して通知するとよい。
これによって、スモールセル1505からマクロセル1506へ、データ流量の測定結果を通知する必要が無くなるので、スモールセル1505とマクロセル1506との間のシグナリング量を削減することができる。
以上のように本実施の形態によれば、マクロセル1506は、コンセントレータ1507の機能を有する。これによって、各スモールセル1505からマクロセル1506へ、データ流量の測定結果を通知する必要が無くなるので、シグナリング量を削減することができる。したがって、ネットワーク全体の遅延を、さらに改善することができる。
実施の形態3.
図13は、本発明の実施の形態3における通信システム1600の構成を示すブロック図である。本実施の形態の通信システム1600は、UE1601、スモールセルクラスタ1602、MME1603およびS−GW1604を備えて構成される。スモールセルクラスタ1602は、1つまたは複数のスモールセル1605を備える。図13では、スモールセルクラスタ1602が、3つのスモールセル1605を備える場合を示している。
以下の説明において、3つのスモールセル1605を区別して示す場合には、参照符号「1605」に添字「a」、「b」、「c」を付して、それぞれ、第1のスモールセル#1 1605a、第2のスモールセル#2 1605b、および第3のスモールセル#3 1605cという。3つのスモールセル1605を区別せずに示す場合には、参照符号「1605」を付して示す。
前述の実施の形態2では、図12に示すように、マクロセル1506が、コンセントレータ1507の機能を併せ持っている。これに対し、本実施の形態では、MME1603が、コンセントレータ1607の機能を併せ持っている。すなわち、MME1603は、コンセントレータ1607を備える。
コンセントレータ1607の機能は、実施の形態1で開示したコンセントレータ1407と同様に、1つまたは複数のスモールセル1605を含むスモールセルクラスタ1602内のスモールセル1605をまとめて制御する機能である。
本実施の形態では、MME1603に、コンセントレータ1607の機能を追加する。MME1603は、各スモールセル1605と直接接続される。また、S−GW1604と各スモールセル1605とは、直接接続される。
MME1603は、自身が有するコンセントレータ1607の機能における管理対象であるスモールセルクラスタ1602内の各スモールセル1605について、データ流量を取得する機能と、UE1601が接続するスモールセル1605を選択する機能とを有する。
各スモールセル1605は、データ流量を測定する機能と、測定したデータ流量を、コンセントレータ1607の機能を有するMME1603へ通知する機能とを有する。
本実施の形態では、図13に示す構成において、実施の形態1で開示した方法を適宜用いるとよい。また、MME1603は、UE1601に対して、UE1601と接続しているスモールセル1605を介して、選択したスモールセル1605の情報を通知すればよい。
このようにすることによって、MME1603が、UE1601と接続するスモールセル1605を選択するときに、データ流量についての情報を用いることが可能となる。これによって、スモールセル1605の処理負荷を分散させることが可能となる。したがって、ネットワーク全体の遅延を改善することができる。
また、MME1603が、UE1601と接続するスモールセル1605を選択するときに、他の種々の情報を用いることが可能となり、より通信に最適なスモールセル1605を選択することが可能となる。これによって、高いスループット、低遅延での通信が可能となる。
また、MME1603が、UE1601と接続するスモールセル1605を選択する機能を有するので、UE1601と接続するスモールセル1605の情報をS−GW1604に直接通知することが可能となる。したがって、ネットワーク側で必要となるシグナリング量が少なくて済む。
また、MME1603が、UE1601と接続するスモールセル1605を選択した後、S−GW1604において、UE1601が接続する1つ以上のスモールセル1605へのデータのルーティングを、低度の遅延時間で行うことが可能となる。したがって、UE1601と接続するスモールセル1605の変更を、遅延を抑えて、柔軟に行うことが可能となる。したがって、刻々と変化する周辺電波環境に対応したスモールセル1605の選択を行うことが可能となる。
以上に述べた実施の形態1〜実施の形態3では、通信システム1400,1500,1600内には、1つのスモールセルクラスタ1402,1502,1602が存在する。通信システム1400,1500,1600内に存在するスモールセルクラスタ1402,1502,1602の数は、1つに限定されない。通信システム1400,1500,1600内には、複数のスモールセルクラスタ1402,1502,1602が存在してもよい。
通信システム1400,1500,1600内に複数のスモールセルクラスタ1402,1502,1602が存在する場合、各スモールセルクラスタ1402,1502,1602に対応して、複数のコンセントレータ1407,1507,1607が構成される。この場合、各実施の形態で開示した方法を適用して、UE1401,1501,1601に接続するスモールセル1405,1505,1605を制御するコンセントレータ1407,1507,1607を選択するようにしてもよい。
例えば、図8に示す実施の形態1のように、マクロセル1406が、各スモールセルクラスタ1402に対応するコンセントレータ1407と接続される場合を考える。この場合、マクロセル1406が、各スモールセルクラスタ1402のデータ流量を取得する機能と、UE1401が、どのスモールセルクラスタ1402内のスモールセル1405と接続するかを選択する機能とを有するように構成される。
また、この場合、各スモールセルクラスタ1402は、データ流量を測定する機能と、測定したデータ流量を、コンセントレータ1407を経由してマクロセル1406へ通知する機能とを有するように構成される。
これに限定されず、各スモールセル1405にデータ流量を測定する機能を持たせて、各スモールセル1405が、UE1401が接続するスモールセルクラスタ1402に、測定したデータ流量を通知するようにしてもよい。各スモールセルクラスタ1402は、自クラスタに属するスモールセル1405全体のデータ流量を導出する。
以上の構成において、実施の形態1で開示した方法を適宜採用し、マクロセル1406が、UE1401と接続するスモールセル1405を選択するときに、各スモールセルクラスタ1402のデータ流量についての情報を用いることによって、スモールセルクラスタ1402の処理負荷を分散させることが可能となる。これによって、ネットワーク全体の遅延を改善することができる。
前述の各実施の形態およびその変形例は、本発明の例示に過ぎず、本発明の範囲内において、各実施の形態およびその変形例を自由に組合せることができる。また、各実施の形態およびその変形例の任意の構成要素を適宜、変更または省略することができる。これによって、スモールセルを構成するスモールeNBの設置によって、高い通信容量を得る通信システムを提供することができる。
例えば、本発明の他の実施の形態では、通信システムは、通信端末装置と、前記通信端末装置と無線通信を行う1つまたは複数の基地局装置とを備える通信システムであって、前記1つまたは複数の基地局装置によって構成され、前記通信端末装置と接続されて前記通信端末装置と無線通信を行う複数のセルと、前記基地局装置の上位に設けられる上位装置とを備え、各前記セルが前記通信端末装置から受信した受信データの流量に基づいて、前記複数のセルのうち、前記通信端末装置が接続すべきセルが選択される、通信システムであってもよい。
これによって、前述の各実施の形態およびその変形例と同様に、通信システム内のトラフィック量が増加した場合に、各セルに負荷を分散することが可能となる。したがって、特定のセルにトラフィックが集中することを防ぐことができるので、ネットワークにおける遅延、およびデータの欠落の発生確率を低減させることができる。
また本発明のさらに他の実施の形態では、通信システムは、通信端末装置と、前記通信端末装置と無線通信を行う1つまたは複数の基地局装置とを備える通信システムであって、前記1つまたは複数の基地局装置によって構成され、前記通信端末装置と接続されて前記通信端末装置と無線通信を行う複数のセルと、前記基地局装置の上位に設けられる上位装置とを備え、各前記セルが前記上位装置に送信した送信データの流量に基づいて、前記複数のセルのうち、前記通信端末装置が接続すべきセルが選択される、通信システムであってもよい。
これによって、前述の各実施の形態およびその変形例と同様に、通信システム内のトラフィック量が増加した場合に、各セルに負荷を分散することが可能となる。したがって、特定のセルにトラフィックが集中することを防ぐことができるので、ネットワークにおける遅延、およびデータの欠落の発生確率を低減させることができる。
本発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、本発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、本発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。