第3世代と呼ばれる通信方式のうち、W−CDMA(Wideband Code division Multiple Access)方式が2001年から日本で商用サービスが開始されている。また、下りリンク(個別データチャネル、個別制御チャネル)にパケット伝送用のチャネル(High Speed-Downlink Shared Channel:HS−DSCH)を追加することにより、下りリンクを用いたデータ送信の更なる高速化を実現するHSDPA(High Speed Downlink Packet Access)のサービスが開始されている。さらに、上り方向のデータ送信をより高速化するためHSUPA(High Speed Uplink Packet Access)方式についてもサービスが開始されている。W−CDMAは、移動体通信システムの規格化団体である3GPP(3rd Generation Partnership Project)により定められた通信方式であり、リリース8版の規格書がとりまとめられている。
また、3GPPにおいて、W−CDMAとは別の通信方式として、無線区間についてはロングタームエボリューション(Long Term Evolution:LTE)、コアネットワーク(単にネットワークとも称する)を含めたシステム全体構成については、システムアーキテクチャエボリューション(System Architecture Evolution:SAE)と称される新たな通信方式が検討されている。
LTEでは、アクセス方式、無線のチャネル構成やプロトコルが、現在のW−CDMA(HSDPA/HSUPA)とは全く異なるものになる。例えば、アクセス方式は、W−CDMAが符号分割多元接続(Code Division Multiple Access)を用いているのに対して、LTEは下り方向はOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)、上り方向はSC−FDMA(Single Career Frequency Division Multiple Access)を用いる。また、帯域幅は、W−CDMAが5MHzであるのに対し、LTEでは1.4MHz,3MHz,5MHz,10MHz,15MHz,20MHzの中で基地局毎に選択可能となっている。また、LTEでは、W−CDMAのように回線交換を含まず、パケット通信方式のみになる。
LTEは、W−CDMAのコアネットワークであるGeneral Packet Radio Service(GPRS)とは異なる新たなコアネットワークを用いて通信システムが構成されるため、W−CDMA網とは別の独立した無線アクセス網として定義される。したがって、W−CDMAの通信システムと区別するため、LTEの通信システムでは、移動端末(User Equipment:UE)と通信を行う基地局(Base station)はeNB(E-UTRAN NodeB)と称され、複数の基地局と制御データやユーザデータのやり取りを行う基地局制御装置(Radio Network Controller)は、EPC(Evolved Packet Core)またはaGW(Access Gateway)と称される。このLTEの通信システムでは、ユニキャスト(Unicast)サービスとE-MBMSサービス(Evolved Multimedia Broadcast Multicast Service)とが提供される。E−MBMSサービスとは、放送型マルチメディアサービスであり、単にMBMSと称される場合もある。複数の移動端末に対してニュースや天気予報、モバイル放送などの大容量放送コンテンツが送信される。これを1対多(Point to Multipoint)サービスともいう。
3GPPでの、LTEシステムにおける全体的なアーキテクチャ(Architecture)に関する現在の決定事項が、非特許文献1(4.6.1章)に記載されている。全体的なアーキテクチャについて図1を用いて説明する。図1は、LTE方式の通信システムの構成を示す説明図である。図1において、移動端末101に対する制御プロトコル、例えばRRC(Radio Resource Control)と、ユーザプレイン、例えばPDCP(Packet Data Convergence Protocol)、RLC(Radio Link Control)、MAC(Medium Access Control)、PHY(Physical layer)とが基地局102で終端するならば、E−UTRAN(Evolved Universal Terrestrial Radio Access)は1つあるいは複数の基地局102によって構成される。
基地局102は、MME(Mobility Management Entity)103から通知されるページング信号(Paging Signal、ページングメッセージ(paging messages)とも称される)のスケジューリング(Scheduling)および送信を行う。基地局102は、X2インタフェースにより、互いに接続される。また基地局102は、S1インタフェースによりEPC(Evolved Packet Core)に接続される。より明確には、基地局102は、S1_MMEインタフェースによりMME(Mobility Management Entity)103に接続され、S1_UインタフェースによりS−GW(Serving Gateway)104に接続される。
MME103は、複数あるいは単数の基地局102へのページング信号の分配を行う。また、MME103は待受け状態(Idle State)のモビリティ制御(Mobility control)を行う。MME103は、移動端末が待ち受け状態の際、および、アクティブ状態(Active State)の際に、トラッキングエリア(Tracking Area)リストの管理を行う。
S−GW104は、ひとつまたは複数の基地局102とユーザデータの送受信を行う。S−GW104は、基地局間のハンドオーバの際、ローカルな移動性のアンカーポイント(Mobility Anchor Point)となる。EPCには、さらにP−GW(PDN Gateway)が存在し、ユーザ毎のパケットフィルタリングやUE−IDアドレスの割当などを行う。
移動端末101と基地局102との間の制御プロトコルRRCは、報知(Broadcast)、ページング(paging)、RRC接続マネージメント(RRC connection management)などを行う。RRCにおける基地局と移動端末の状態として、RRC_IDLEと、RRC_CONNECTEDとがある。RRC_IDLEでは、PLMN(Public Land Mobile Network)選択、システム情報(System Information:SI)の報知、ページング(paging)、セル再選択(cell re-selection)、モビリティ等が行われる。RRC_CONNECTEDでは、移動端末はRRC接続(connection)を有し、ネットワークとのデータの送受信を行うことができ、また、ハンドオーバ(Handover:HO)、隣接セル(Neighbour cell)のメジャメント等が行われる。RRC_IDLEを単にIDLE、待ちうけ状態とも称する。RRC_CONNECTEDを単にCONNECTED、接続状態とも称する。
非特許文献1(5章)に記載される3GPPでの、LTEシステムにおけるフレーム構成に関する現在の決定事項について、図2を用いて説明する。図2は、LTE方式の通信システムで使用される無線フレームの構成を示す説明図である。図2において、1つの無線フレーム(Radio frame)は10msである。無線フレームは10個の等しい大きさのサブフレーム(Subframe)に分割される。サブフレームは、2個の等しい大きさのスロット(slot)に分割される。無線フレーム毎に1番目と6番目のサブフレームに下り同期信号(Downlink Synchronization Signal:SS)が含まれる。同期信号には、第一同期信号(Primary Synchronization Signal:P−SS)と、第二同期信号(Secondary Synchronization Signal:S−SS)とがある。サブフレーム単位で、MBSFN(Multimedia Broadcast multicast service Single Frequency Network)用のチャネルと、MBSFN以外用のチャネルとの多重が行われる。以降、MBSFN送信用のサブフレームをMBSFNサブフレーム(MBSFN subframe)と称する。
非特許文献2に、MBSFNサブフレームの割り当て時のシグナリング例が記載されている。図3は、MBSFNフレームの構成を示す説明図である。図3において、MBSFNフレーム(MBSFN frame)毎にMBSFNサブフレームが割り当てられる。MBSFNフレームの集合(MBSFN frame Cluster)がスケジュールされる。MBSFNフレームの集合の繰り返し周期(Repetition Period)が割り当てられる。
3GPPでの、LTEシステムにおけるチャネル構成に関する現在の決定事項が、非特許文献1(5章)に記載されている。CSGセル(Closed Subscriber Group cell)においてもnon−CSGセルと同じチャネル構成が用いられると想定されている。物理チャネル(Physical channel)について、図4を用いて説明する。図4は、LTE方式の通信システムで使用される物理チャネルを説明する説明図である。図4において、物理報知チャネル(Physical Broadcast channel:PBCH)401は、基地局102から移動端末101への下り送信用のチャネルである。BCHトランスポートブロック(transport block)は、40ms間隔中の4個のサブフレームにマッピングされる。40msタイミングの明白なシグナリングはない。物理制御チャネルフォーマットインジケータチャネル(Physical Control Format Indicator Channel:PCFICH)402は、基地局102から移動端末101への下り送信用のチャネルである。PCFICHは、PDCCHsのために用いるOFDMシンボルの数について基地局102から移動端末101へ通知する。PCFICHは、サブフレーム毎に送信される。
物理下り制御チャネル(Physical Downlink Control Channel:PDCCH)403は、基地局102から移動端末101への下り送信用のチャネルである。PDCCHは、リソース割り当て(allocation)、DL−SCH(後述の図5に示されるトランスポートチャネルの1つである下り共有チャネル)に関するHARQ(Hybrid Automatic Repeat reQuest)情報、PCH(図5に示されるトランスポートチャネルの1つであるページングチャネル)を通知する。PDCCHは、上りスケジューリンググラント(Uplink Scheduling Grant)を運ぶ。PDCCHは、上り送信に対する応答信号であるAck(Acknowledgement)/Nack(Negative Acknowledgement)を運ぶ。PDCCHは、L1/L2制御信号とも呼ばれる。
物理下り共有チャネル(Physical Downlink Shared Channel:PDSCH)404は、基地局102から移動端末101への下り送信用のチャネルである。PDSCHには、トランスポートチャネルであるDL-SCH(下り共有チャネル)やトランスポートチャネルであるPCHがマッピングされている。物理マルチキャストチャネル(Physical Multicast Channel:PMCH)405は、基地局102から移動端末101への下り送信用のチャネルである。PMCHには、トランスポートチャネルであるマルチキャストチャネル(Multicast Channel:MCH)がマッピングされている。
物理上り制御チャネル(Physical Uplink Control Channel:PUCCH)406は、移動端末101から基地局102への上り送信用のチャネルである。PUCCHは、下り送信に対する応答信号(response)であるAck/Nackを運ぶ。PUCCHは、CQI(Channel Quality Indicator)レポートを運ぶ。CQIとは受信したデータの品質、もしくは通信路品質を示す品質情報である。またPUCCHは、スケジューリングリクエスト(Scheduling Request:SR)を運ぶ。物理上り共有チャネル(Physical Uplink Shared Channel:PUSCH)407は、移動端末101から基地局102への上り送信用のチャネルである。PUSCHには、UL−SCH(図5に示されるトランスポートチャネルの1つである上り共有チャネル)がマッピングされている。
物理HARQインジケータチャネル(Physical Hybrid ARQ Indicator Channel:PHICH)408は、基地局102から移動端末101への下り送信用のチャネルである。PHICHは、上り送信に対する応答であるAck/Nackを運ぶ。物理ランダムアクセスチャネル(Physical Random Access Channel:PRACH)409は、移動端末101から基地局102への上り送信用のチャネルである。PRACHは、ランダムアクセスプリアンブル(random access preamble)を運ぶ。
下りリファレンスシグナル(Reference signal)は、移動体通信システムとして既知のシンボルである。下りリファレンスシグナルは、毎スロットの最初、3番目、最後のOFDMシンボルに挿入される。移動端末の物理レイヤの測定として、リファレンスシンボルの受信電力(Reference Symbol Received Power:RSRP)測定がある。
非特許文献1(5章)に記載されるトランスポートチャネル(Transport channel)について、図5を用いて説明する。図5は、LTE方式の通信システムで使用されるトランスポートチャネルを説明する説明図である。図5(A)には、下りトランスポートチャネルと下り物理チャネルとの間のマッピングを示す。図5(B)には、上りトランスポートチャネルと上り物理チャネルとの間のマッピングを示す。下りトランスポートチャネルについて報知チャネル(Broadcast Channel:BCH)は、その基地局(セル)のカバレッジ全体に報知される。BCHは、物理報知チャネル(PBCH)にマッピングされる。
下り共有チャネル(Downlink Shared Channel:DL−SCH)には、HARQ(Hybrid ARQ)による再送制御が適用される。DL−SCHは、基地局(セル)のカバレッジ全体への報知が可能である。DL−SCHは、ダイナミックあるいは準静的(Semi-static)なリソース割り当てをサポートする。準静的なリソース割り当ては、パーシステントスケジューリング(Persistent Scheduling)とも言われる。DL−SCHは、移動端末の低消費電力化のために移動端末のDRX(Discontinuous reception)をサポートする。DL−SCHは、物理下り共有チャネル(PDSCH)へマッピングされる。
ページングチャネル(Paging Channel:PCH)は、移動端末の低消費電力を可能とするために移動端末のDRXをサポートする。PCHは、基地局(セル)のカバレッジ全体への報知が要求される。PCHは、動的にトラフィックに利用できる物理下り共有チャネル(PDSCH)のような物理リソース、あるいは他の制御チャネルの物理下り制御チャネル(PDCCH)のような物理リソースへマッピングされる。マルチキャストチャネル(Multicast Channel:MCH)は、基地局(セル)のカバレッジ全体への報知に使用される。MCHは、マルチセル送信におけるMBMSサービス(MTCHとMCCH)のSFN合成をサポートする。MCHは、準静的なリソース割り当てをサポートする。MCHは、PMCHへマッピングされる。
上り共有チャネル(Uplink Shared Channel:UL−SCH)には、HARQ(Hybrid ARQ)による再送制御が適用される。UL−SCHは、ダイナミックあるいは準静的(Semi-static)なリソース割り当てをサポートする。UL−SCHは、物理上り共有チャネル(PUSCH)へマッピングされる。図5(B)に示されるランダムアクセスチャネル(Random Access Channel:RACH)は、制御情報に限られている。RACHは、衝突のリスクがある。RACHは、物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)へマッピングされる。
HARQについて説明する。HARQとは、自動再送要求(Automatic Repeat reQuest:ARQ)と誤り訂正(Forward Error Correction)との組み合わせにより、伝送路の通信品質を向上させる技術である。HARQには、通信品質が変化する伝送路に対しても、再送により誤り訂正が有効に機能するという利点がある。特に、再送にあたって初送の受信結果と再送の受信結果との合成をすることで、更なる品質向上を得ることも可能である。
再送の方法の一例を説明する。受信側にて、受信データが正しくデコードできなかった場合、換言すればCRC(Cyclic Redundancy Check)エラーが発生した場合(CRC=NG)、受信側から送信側へ「Nack」を送信する。「Nack」を受信した送信側は、データを再送する。受信側にて、受信データが正しくデコードできた場合、換言すればCRCエラーが発生しない場合(CRC=OK)、受信側から送信側へ「Ack」を送信する。「Ack」を受信した送信側は次のデータを送信する。
HARQ方式の一例として、チェースコンバイニング(Chase Combining)がある。チェースコンバイニングとは、初送と再送とにおいて、同じデータを送信するもので、再送において初送のデータと再送のデータとの合成を行うことで、利得を向上させる方式である。これは、初送データに誤りがあったとしても、部分的に正確なものも含まれており、正確な部分の初送データと再送データとを合成することで、より高精度にデータを送信できるという考え方に基づいている。また、HARQ方式の別の例として、IR(Incremental Redundancy)がある。IRとは、冗長度を増加させるものであり、再送においてパリティビットを送信することで、初送と組み合わせて冗長度を増加させ、誤り訂正機能により品質を向上させるものである。
非特許文献1(6章)に記載される論理チャネル(ロジカルチャネル:Logical channel)について、図6を用いて説明する。図6は、LTE方式の通信システムで使用される論理チャネルを説明する説明図である。図6(A)には、下りロジカルチャネルと下りトランスポートチャネルとの間のマッピングを示す。図6(B)には、上りロジカルチャネルと上りトランスポートチャネルとの間のマッピングを示す。報知制御チャネル(Broadcast Control Channel:BCCH)は、報知システム制御情報のための下りチャネルである。論理チャネルであるBCCHは、トランスポートチャネルである報知チャネル(BCH)、あるいは下り共有チャネル(DL−SCH)へマッピングされる。
ページング制御チャネル(Paging Control Channel:PCCH)は、ページング信号を送信するための下りチャネルである。PCCHは、移動端末のセルロケーションをネットワークが知らない場合に用いられる。論理チャネルであるPCCHは、トランスポートチャネルであるページングチャネル(PCH)へマッピングされる。共有制御チャネル(Common Control Channel:CCCH)は、移動端末と基地局との間の送信制御情報のためのチャネルである。CCCHは、移動端末がネットワークとの間でRRC接続(connection)を持っていない場合に用いられる。下り方向では、CCCHは、トランスポートチャネルである下り共有チャネル(DL−SCH)へマッピングされる。上り方向では、CCCHは、トランスポートチャネルである上り共有チャネル(UL−SCH)へマッピングされる。
マルチキャスト制御チャネル(Multicast Control Channel:MCCH)は、1対多の送信のための下りチャネルである。MCCHは、ネットワークから移動端末への1つあるいはいくつかのMTCH用のMBMS制御情報の送信のために用いられる。MCCHは、MBMS受信中の移動端末のみに用いられる。MCCHは、トランスポートチャネルである下り共有チャネル(DL−SCH)あるいはマルチキャストチャネル(MCH)へマッピングされる。
個別制御チャネル(Dedicated Control Channel:DCCH)は、移動端末とネットワークとの間の個別制御情報を送信するチャネルである。DCCHは、上りでは上り共有チャネル(UL−SCH)へマッピングされ、下りでは下り共有チャネル(DL−SCH)にマッピングされる。
個別トラフィックチャネル(Dedicated Traffic Channel:DTCH)は、ユーザ情報の送信のための個別移動端末への1対1通信のチャネルである。DTCHは、上りおよび下りともに存在する。DTCHは、上りでは上り共有チャネル(UL−SCH)へマッピングされ、下りでは下り共有チャネル(DL−SCH)へマッピングされる。
マルチキャストトラフィックチャネル(Multicast Traffic channel:MTCH)は、ネットワークから移動端末へのトラフィックデータ送信のための下りチャネルである。MTCHは、MBMS受信中の移動端末のみに用いられるチャネルである。MTCHは、下り共有チャネル(DL−SCH)あるいはマルチキャストチャネル(MCH)へマッピングされる。
GCIとは、グローバルセル識別子(Global Cell Identity)のことである。LTEおよびUMTS(Universal Mobile Telecommunication System)において、CSGセル(Closed Subscriber Group cell)が導入される。CSGセルについて以下に説明する(非特許文献3 3.1章参照)。CSG(Closed Subscriber Group)セルとは、利用可能な加入者をオペレータが特定しているセル(以下「特定加入者用セル」という場合がある)である。特定された加入者は、PLMN(Public Land Mobile Network)の1つ以上のE-UTRANセルにアクセスすることが許可される。特定された加入者がアクセスを許可されている1つ以上のE−UTRANセルを「CSGセル(CSG cell(s))」と呼ぶ。ただし、PLMNにはアクセス制限がある。CSGセルとは、固有のCSGアイデンティティ(CSG identity:CSG ID;CSG−ID)を報知するPLMNの一部である。予め利用登録し、許可された加入者グループのメンバーは、アクセス許可情報であるところのCSG−IDを用いてCSGセルにアクセスする。
CSG−IDは、CSGセルまたはセルによって報知される。移動体通信システムにCSG−IDは複数存在する。そして、CSG−IDは、CSG関連のメンバーのアクセスを容易にするために、移動端末(UE)によって使用される。移動端末の位置追跡は、1つ以上のセルからなる区域を単位に行われる。位置追跡は、待受け状態であっても移動端末の位置を追跡し、呼び出す(移動端末が着呼する)ことを可能にするためである。この移動端末の位置追跡のための区域をトラッキングエリアと呼ぶ。CSGホワイトリスト(CSG White List)とは、加入者が属するCSGセルのすべてのCSG IDが記録されている、USIM(Universal Subscriber Identity Module)に格納されたリストである。CSGホワイトリストは、許可CSGリスト(Allowed CSG ID List)と呼ばれることもある。
「適切なセル」(Suitable cell)について以下に説明する(非特許文献3 4.3章参照)。「適切なセル」(Suitable cell)とは、UEが通常(normal)サービスを受けるためにキャンプオン(Camp ON)するセルである。そのようなセルは、以下の条件を満たすものとする。
(1)セルは、選択されたPLMNもしくは登録されたPLMN、または「Equivalent PLMNリスト」のPLMNの一部であること。
(2)NAS(Non-Access Stratum)によって提供された最新情報にて、さらに以下の条件を満たすこと
(a)そのセルが禁じられた(barred)セルでないこと
(b)そのセルが「ローミングのための禁止されたLAs」リストの一部ではなく、少なくとも1つのトラッキングエリア(Tracking Area:TA)の一部であること。その場合、そのセルは上記(1)を満たす必要がある
(c)そのセルが、セル選択評価基準を満たしていること
(d)そのセルが、CSGセルとしてシステム情報(System Information:SI)によって特定されたセルに関しては、CSG−IDはUEの「CSGホワイトリスト」(CSG WhiteList)の一部であること(UEのCSG WhiteList中に含まれること)。
「アクセプタブルセル」(Acceptable cell)について以下に説明する(非特許文献3 4.3章参照)。これは、UEが限られたサービス(緊急通報)を受けるためにキャンプオンするセルである。そのようなセルは、以下のすべての要件を充足するものとする。つまり、E−UTRANネットワークで緊急通報を開始するための最小のセットの要件を以下に示す。(1)そのセルが禁じられた(barred)セルでないこと。(2)そのセルが、セル選択評価基準を満たしていること。
「セルにキャンプオン(camp on)する」とは、UEがセル選択(cell selection)またはセル再選択(cell re-selection)の処理を完了し、UEがシステム情報とページング情報をモニタするセルを選択した状態である。
3GPPにおいて、Home−NodeB(Home−NB;HNB)、Home−eNodeB(Home−eNB;HeNB)と称される基地局が検討されている。UTRANにおけるHNB、またはE-UTRANにおけるHeNBは、例えば家庭、法人、商業用のアクセスサービス向けの基地局である。非特許文献4には、HeNBおよびHNBへのアクセスの3つの異なるモードが開示されている。具体的には、オープンアクセスモード(Open access mode)と、クローズドアクセスモード(Closed access mode)と、ハイブリッドアクセスモード(Hybrid access mode)である。
各々のモードは、以下のような特徴を有する。オープンアクセスモードでは、HeNBやHNBは通常のオペレータのノーマルセルとして操作される。クローズドアクセスモードでは、HeNBやHNBがCSGセルとして操作される。これはCSGメンバーのみアクセス可能なCSGセルである。ハイブリッドアクセスモードでは、非CSGメンバーも同時にアクセス許可されているCSGセルである。ハイブリッドアクセスモードのセル(ハイブリッドセルとも称する)は、言い換えれば、オープンアクセスモードとクローズドアクセスモードの両方をサポートするセルである。
3GPPでは、全PCI(Physical Cell Identity)を、CSGセル用とnon−CSGセル用とに分割(PCIスプリットと称する)することが議論されている(非特許文献5参照)。またPCIスプリット情報は、システム情報にて基地局から傘下の移動端末に対して報知されることが議論されている。非特許文献5は、PCIスプリットを用いた移動端末の基本動作を開示する。PCIスプリット情報を有していない移動端末は、全PCIを用いて、例えば504コード全てを用いて、セルサーチを行う必要がある。これに対して、PCIスプリット情報を有する移動端末は、当該PCIスプリット情報を用いてセルサーチを行うことが可能である。
また3GPPでは、リリース10として、ロングタームエボリューションアドヴァンスド(Long Term Evolution Advanced:LTE−A)の規格策定が進められている(非特許文献6、非特許文献7参照)。
LTE−Aシステムでは、高い通信速度、セルエッジでの高いスループット、新たなカバレッジエリアなどを得るために、リレー(Relay:リレーノード(RN))をサポートすることが検討されている。リレーノードは、ドナーセル(Donor cell;Donor eNB;DeNB)を介して無線アクセスネットワークに無線で接続される。ドナーセルの範囲内で、ネットワーク(Network:NW)からリレーへのリンクは、ネットワークからUEへのリンクと同じ周波数バンドを共用する。この場合、リリース8のUEも該ドナーセルに接続することを可能とする。ドナーセルとリレーノードとの間のリンクをバックホールリンク(backhaul link)と称し、リレーノードとUEとの間のリンクをアクセスリンク(access link)と称す。
FDD(Frequency Division Duplex)におけるバックホールリンクの多重方法として、DeNBからRNへの送信は下り(DL)周波数バンドで行われ、RNからDeNBへの送信は上り(UL)周波数バンドで行われる。リレーにおけるリソースの分割方法として、DeNBからRNへのリンクおよびRNからUEへのリンクが一つの周波数バンドで時分割多重され、RNからDeNBへのリンクおよびUEからRNへのリンクも一つの周波数バンドで時分割多重される。こうすることで、リレーにおいて、リレーの送信が自リレーの受信へ干渉することを防ぐことができる。
LTE−Aで検討される技術の一つとして、ヘテロジーニアスネットワークス(Heterogeneous networks:HetNets)が加えられた。3GPPでは、ピコeNB(ピコセル(pico cell))、ホットゾーンセル用のノード、HeNB/HNB/CSGセル、リレーノード、リモートラジオヘッド(RRH)のような低出力電力のローカルエリアレンジのネットワークノードを扱うことが決定されている。
また、3GPPでは、インフラ(infrastructure)の消費電力低減(Energy Saving)について議論がされている。現在のインフラの消費電力低減の議論は、以下のとおりである。キャパシティーブースター(capacity booster)として採用された基地局、あるいはセルは、トラフィック負荷(traffic load)を監視し、トラフィックがある閾値以下で、ある期間その状態が続いた場合、スイッチオフ(switch off)できる(非特許文献8参照)。動作中の基地局にて負荷が高い場合、該基地局はスイッチオフされた基地局に対してスイッチオンを要求できる(非特許文献8参照)。スイッチオフできる基地局とは、基本的なカバレッジ(basic coverage)と基本的なキャパシティー(basic capacity)を提供するセルとされている(非特許文献9参照)。
一般的に基本的なカバレッジと基本的なキャパシティーとを提供するセルは、ワイドエリアeNB(wide-area eNBs)と考えられている(非特許文献10参照)。このことから、非特許文献8に開示される技術では、ローカルエリアレンジのネットワークノードについては考慮されていないと考えられる。よって非特許文献8に開示される技術では、ローカルエリアレンジのネットワークノードにおける、低消費電力化が実現できないという問題が発生する。
ローカルエリアレンジのネットワークノードにおける低消費電力化に関する技術が、特許文献1に開示されている。特許文献1に開示される技術では、Home−eNBなどのフェムト基地局を備える無線通信システムにおいて、基地局によって形成されるセル内の移動端末の在圏状況に応じて、基地局にネットワーク側からS1インタフェースなどを介して制御信号を与えることによって、フェムト基地局の無線信号出力を停止または開始する。
実施の形態1.
図7は、現在3GPPにおいて議論されているLTE方式の移動体通信システムの全体的な構成を示すブロック図である。現在3GPPにおいては、CSG(Closed Subscriber Group)セル(E−UTRANのHome−eNodeB(Home−eNB;HeNB)、UTRANのHome−NB(HNB))と、non−CSGセル(E−UTRANのeNodeB(eNB)、UTRANのNodeB(NB)、GERANのBSS)とを含めたシステムの全体的な構成が検討されており、E−UTRANについては、図7のような構成が提案されている(非特許文献1 4.6.1.章参照)。
図7について説明する。移動端末装置(以下「移動端末(User Equipment:UE)」という)71は、基地局装置(以下「基地局」という)72と無線通信可能であり、無線通信で信号の送受信を行う。基地局72は、eNB72−1と、Home−eNB72−2とに分類される。eNB72−1は、MME、あるいはS−GW、あるいはMMEおよびS−GWを含むMME/S−GW部(以下「MME部」という)73とS1インタフェースにより接続され、eNB72−1とMME部73との間で制御情報が通信される。ひとつのeNB72−1に対して、複数のMME部73が接続されてもよい。eNB72−1間は、X2インタフェースにより接続され、eNB72−1間で制御情報が通信される。
Home−eNB72−2は、MME部73とS1インタフェースにより接続され、Home−eNB72−2とMME部73との間で制御情報が通信される。ひとつのMME部73に対して、複数のHome−eNB72−2が接続される。あるいは、Home−eNB72−2は、HeNBGW(Home-eNB GateWay)74を介してMME部73と接続される。Home−eNB72−2とHeNBGW74とは、S1インタフェースにより接続され、HeNBGW74とMME部73とはS1インタフェースを介して接続される。ひとつまたは複数のHome−eNB72−2がひとつのHeNBGW74と接続され、S1インタフェースを通して情報が通信される。HeNBGW74は、ひとつまたは複数のMME部73と接続され、S1インタフェースを通して情報が通信される。
さらに現在3GPPでは、以下のような構成が検討されている。Home−eNB72−2間のX2インタフェースはサポートされない。MME部73からは、HeNBGW74はeNB72−1として見える。Home−eNB72−2からは、HeNBGW74はMME部73として見える。Home−eNB72−2が、HeNBGW74を介してMME部73に接続されるか否かに関係なく、Home−eNB72−2とMME部73との間のインタフェースは、S1インタフェースで同じである。HeNBGW74は、複数のMME部73にまたがるような、Home−eNB72−2へのモビリティ、あるいはHome−eNB72−2からのモビリティはサポートしない。Home−eNB72−2は、唯一のセルをサポートする。
図8は、本発明に係る移動端末(図7の移動端末71)の構成を示すブロック図である。図8に示す移動端末71の送信処理を説明する。まず、プロトコル処理部801からの制御データ、およびアプリケーション部802からのユーザデータが、送信データバッファ部803へ保存される。送信データバッファ部803に保存されたデータは、エンコーダー部804へ渡され、誤り訂正などのエンコード処理が施される。エンコード処理を施さずに、送信データバッファ部803から変調部805へ直接出力されるデータが存在してもよい。エンコーダー部804でエンコード処理されたデータは、変調部805にて変調処理が行われる。変調されたデータは、ベースバンド信号に変換された後、周波数変換部806へ出力され、無線送信周波数に変換される。その後、アンテナ807から基地局72に送信信号が送信される。
また、移動端末71の受信処理は、以下のとおりに実行される。基地局72からの無線信号がアンテナ807により受信される。受信信号は、周波数変換部806にて無線受信周波数からベースバンド信号に変換され、復調部808において復調処理が行われる。復調後のデータは、デコーダー部809へ渡され、誤り訂正などのデコード処理が行われる。デコードされたデータのうち、制御データはプロトコル処理部801へ渡され、ユーザデータはアプリケーション部802へ渡される。移動端末71の一連の処理は、制御部810によって制御される。よって制御部810は、図8では省略しているが、各部801〜809と接続している。
図9は、本発明に係る基地局(図7の基地局72)の構成を示すブロック図である。図9に示す基地局72の送信処理を説明する。EPC通信部901は、基地局72と、コアネットワークであるEPC(MME部73、HeNBGW74などを含む)との間のデータの送受信を行う。他基地局通信部902は、他の基地局との間のデータの送受信を行う。Home−eNB72−2間のX2インタフェースはサポートされない方向であるため、Home−eNB72−2では、他基地局通信部902が存在しないことも考えられる。EPC通信部901および他基地局通信部902は、それぞれプロトコル処理部903と情報の受け渡しを行う。プロトコル処理部903からの制御データ、ならびにEPC通信部901および他基地局通信部902からのユーザデータおよび制御データは、送信データバッファ部904へ保存される。
送信データバッファ部904に保存されたデータは、エンコーダー部905へ渡され、誤り訂正などのエンコード処理が施される。エンコード処理を施さずに、送信データバッファ部904から変調部906へ直接出力されるデータが存在してもよい。エンコードされたデータは、変調部906にて変調処理が行われる。変調されたデータは、ベースバンド信号に変換された後、周波数変換部907へ出力され、無線送信周波数に変換される。その後、アンテナ908より一つもしくは複数の移動端末71に対して送信信号が送信される。
また、基地局72の受信処理は以下のとおりに実行される。ひとつもしくは複数の移動端末71からの無線信号が、アンテナ908により受信される。受信信号は、周波数変換部907にて無線受信周波数からベースバンド信号に変換され、復調部909で復調処理が行われる。復調されたデータは、デコーダー部910へ渡され、誤り訂正などのデコード処理が行われる。デコードされたデータのうち、制御データはプロトコル処理部903あるいはEPC通信部901、他基地局通信部902へ渡され、ユーザデータはEPC通信部901および他基地局通信部902へ渡される。基地局72の一連の処理は、制御部911によって制御される。よって制御部911は、図9では省略しているが、各部901〜910と接続している。
現在3GPPにおいて議論されているHome−eNB72−2の機能を以下に示す(非特許文献1 4.6.2章参照)。Home−eNB72−2は、eNB72−1と同じ機能を有する。加えて、HeNBGW74と接続する場合、Home−eNB72−2は、適当なサービングHeNBGW74を発見する機能を有する。Home−eNB72−2は、1つのHeNBGW74に唯一接続する。つまり、HeNBGW74との接続の場合は、Home−eNB72−2は、S1インタフェースにおけるFlex機能を使用しない。Home−eNB72−2は、1つのHeNBGW74に接続されると、同時に別のHeNBGW74や別のMME部73に接続しない。
Home−eNB72−2のTACとPLMN IDは、HeNBGW74によってサポートされる。Home−eNB72−2をHeNBGW74に接続すると、「UE attachment」でのMME部73の選択は、Home−eNB72−2の代わりに、HeNBGW74によって行われる。Home−eNB72−2は、ネットワーク計画なしで配備される可能性がある。この場合、Home−eNB72−2は、1つの地理的な領域から別の地理的な領域へ移される。したがって、この場合のHome−eNB72−2は、位置によって、異なったHeNBGW74に接続する必要がある。
図10は、本発明に係るMME(図7のMME部73)の構成を示すブロック図である。PDN GW通信部1001は、MME部73とPDN GWとの間のデータの送受信を行う。基地局通信部1002は、MME部73と基地局72との間のS1インタフェースによるデータの送受信を行う。PDN GWから受信したデータがユーザデータであった場合、ユーザデータは、PDN GW通信部1001から、ユーザプレイン通信部1003経由で基地局通信部1002に渡され、1つあるいは複数の基地局72へ送信される。基地局72から受信したデータがユーザデータであった場合、ユーザデータは、基地局通信部1002から、ユーザプレイン通信部1003経由でPDN GW通信部1001に渡され、PDN GWへ送信される。
PDN GWから受信したデータが制御データであった場合、制御データは、PDN GW通信部1001から制御プレイン制御部1005へ渡される。基地局72から受信したデータが制御データであった場合、制御データは、基地局通信部1002から制御プレイン制御部1005へ渡される。
HeNBGW通信部1004は、HeNBGW74が存在する場合に設けられ、情報種別によって、MME部73とHeNBGW74との間のインタフェース(IF)によるデータの送受信を行う。HeNBGW通信部1004から受信した制御データは、HeNBGW通信部1004から制御プレイン制御部1005へ渡される。制御プレイン制御部1005での処理の結果は、PDN GW通信部1001経由でPDN GWへ送信される。また、制御プレイン制御部1005で処理された結果は、基地局通信部1002経由でS1インタフェースにより1つあるいは複数の基地局72へ送信され、またHeNBGW通信部1004経由で1つあるいは複数のHeNBGW74へ送信される。
制御プレイン制御部1005には、NASセキュリティ部1005−1、SAEベアラコントロール部1005−2、アイドルステート(Idle State)モビリティ管理部1005―3などが含まれ、制御プレインに対する処理全般を行う。NASセキュリティ部1005―1は、NAS(Non-Access Stratum)メッセージのセキュリティなどを行う。SAEベアラコントロール部1005―2は、SAE(System Architecture Evolution)のベアラの管理などを行う。アイドルステートモビリティ管理部1005―3は、待受け状態(LTE−IDLE状態、単にアイドルとも称される)のモビリティ管理、待受け状態時のページング信号の生成および制御、傘下の1つあるいは複数の移動端末71のトラッキングエリア(TA)の追加、削除、更新、検索、トラッキングエリアリスト(TA List)管理などを行う。
MME部73は、UEが登録されている(registered)追跡領域(トラッキングエリア:Tracking Area:TA)に属するセルへ、ページングメッセージを送信することで、ページングプロトコルに着手する。MME部73に接続されるHome−eNB72−2のCSGの管理やCSG−IDの管理、そしてホワイトリスト管理は、アイドルステートモビリティ管理部1005―3で行ってもよい。
CSG−IDの管理では、CSG−IDに対応する移動端末とCSGセルとの関係が管理(追加、削除、更新、検索)される。例えば、あるCSG−IDにユーザアクセス登録された一つまたは複数の移動端末と該CSG−IDに属するCSGセルとの関係であってもよい。ホワイトリスト管理では、移動端末とCSG−IDとの関係が管理(追加、削除、更新、検索)される。例えば、ホワイトリストには、ある移動端末がユーザ登録した一つまたは複数のCSG−IDが記憶されてもよい。これらのCSGに関する管理は、MME部73の中の他の部分で行われてもよい。MME部73の一連の処理は、制御部1006によって制御される。よって制御部1006は、図10では省略しているが、各部1001〜1005と接続している。
現在3GPPにおいて議論されているMMEの機能を以下に示す(非特許文献1 4.6.2章参照)。MMEは、CSG(Closed Subscriber Group)のメンバーの1つ、あるいは複数の移動端末のアクセスコントロールを行う。MMEは、ページングの最適化(Paging optimization)の実行をオプションとして認める。
図11は、本発明に係るHeNBGWである図7に示すHeNBGW74の構成を示すブロック図である。EPC通信部1101は、HeNBGW74とMME部73との間のS1インタフェースによるデータの送受信を行う。基地局通信部1102は、HeNBGW74とHome−eNB72−2との間のS1インタフェースによるデータの送受信を行う。ロケーション処理部1103は、EPC通信部1101経由で渡されたMME部73からのデータのうちレジストレーション情報などを、複数のHome−eNB72−2に送信する処理を行う。ロケーション処理部1103で処理されたデータは、基地局通信部1102に渡され、ひとつまたは複数のHome−eNB72−2にS1インタフェースを介して送信される。
ロケーション処理部1103での処理を必要とせず通過(透過)させるだけのデータは、EPC通信部1101から基地局通信部1102に渡され、ひとつまたは複数のHome−eNB72−2にS1インタフェースを介して送信される。HeNBGW74の一連の処理は、制御部1104によって制御される。よって制御部1104は、図11では省略しているが、各部1101〜1103と接続している。
現在3GPPにおいて議論されているHeNBGW74の機能を以下に示す(非特許文献1 4.6.2章参照)。HeNBGW74は、S1アプリケーションについてリレーする。Home−eNB72−2へのMME部73の手順の一部分であるが、HeNBGW74は、移動端末71に関係しないS1アプリケーションについて終端する。HeNBGW74が配置されるとき、移動端末71に無関係な手順がHome−eNB72−2とHeNBGW74との間、そしてHeNBGW74とMME部73との間を通信される。HeNBGW74と他のノードとの間でX2インタフェースは設定されない。HeNBGW74は、ページングの最適化(Paging optimization)の実行をオプションとして認める。
次に移動体通信システムにおける一般的なセルサーチ方法の一例を示す。図12は、LTE方式の通信システムにおいて移動端末(UE)が行うセルサーチから待ち受け動作までの概略を示すフローチャートである。移動端末は、セルサーチを開始すると、ステップST1201で、周辺の基地局から送信される第一同期信号(P−SS)、および第二同期信号(S−SS)を用いて、スロットタイミング、フレームタイミングの同期をとる。P−SSとS−SSとを合わせて、同期信号(SS)には、セル毎に割り当てられたPCI(Physical Cell Identity)に1対1に対応するシンクロナイゼーションコードが割り当てられている。PCIの数は現在504通りが検討されており、この504通りのPCIを用いて同期をとるとともに、同期がとれたセルのPCIを検出(特定)する。
次に同期がとれたセルに対して、ステップST1202で、基地局からセル毎に送信される参照信号RS(Reference Signal)を検出し受信電力の測定を行う。参照信号RSには、PCIと1対1に対応したコードが用いられており、そのコードで相関をとることによって他セルと分離できる。ステップST1201で特定したPCIから、該セルのRS用のコードを導出することによって、RSを検出し、RS受信電力を測定することが可能となる。
次にステップST1203で、ステップST1202までで検出されたひとつ以上のセルの中から、RSの受信品質が最も良いセル、例えば、RSの受信電力が最も高いセル、つまりベストセルを選択する。
次にステップST1204で、ベストセルのPBCHを受信して、報知情報であるBCCHを得る。PBCH上のBCCHには、セル構成情報が含まれるMIB(Master Information Block)がのる。したがってPBCHを受信してBCCHを得ることで、MIBが得られる。MIBの情報としては、例えば、DL(ダウンリンク)システム帯域幅(送信帯域幅設定(transmission bandwidth configuration:dl-bandwidth)とも呼ばれる)、送信アンテナ数、SFN(System Frame Number)などがある。
次にステップST1205で、MIBのセル構成情報をもとに該セルのDL−SCHを受信して、報知情報BCCHの中のSIB(System Information Block)1を得る。SIB1には、該セルへのアクセスに関する情報や、セルセレクションに関する情報、他のSIB(SIBk;k≧2の整数)のスケジューリング情報が含まれる。また、SIB1には、TAC(Tracking Area Code)が含まれる。
次にステップST1206で、移動端末は、ステップST1205で受信したSIB1のTACと、移動端末が既に保有しているTACとを比較する。比較した結果、同じならば、該セルで待ち受け動作に入る。比較して異なる場合は、移動端末は該セルを通してコアネットワーク(Core Network,EPC)(MMEなどが含まれる)へ、TAU(Tracking Area Update)を行うためにTAの変更を要求する。コアネットワークは、TAU要求信号とともに移動端末から送られてくる該移動端末の識別番号(UE−IDなど)をもとに、TAの更新を行う。コアネットワークは、TAの更新後、移動端末にTAU受領信号を送信する。移動端末は、該セルのTACで、移動端末が保有するTAC(あるいはTACリスト)を書き換える(更新する)。その後、移動端末は、該セルで待ち受け動作に入る。
LTEやUMTS(Universal Mobile Telecommunication System)においては、CSG(Closed Subscriber Group)セルの導入が検討されている。前述したように、CSGセルに登録したひとつまたは複数の移動端末のみにアクセスが許される。CSGセルと登録されたひとつまたは複数の移動端末とがひとつのCSGを構成する。このように構成されたCSGには、CSG−IDと呼ばれる固有の識別番号が付される。なお、ひとつのCSGには、複数のCSGセルがあってもよい。移動端末は、どれかひとつのCSGセルに登録すれば、そのCSGセルが属するCSGの他のCSGセルにはアクセス可能となる。
また、LTEでのHome−eNBやUMTSでのHome−NBが、CSGセルとして使われることがある。CSGセルに登録した移動端末は、ホワイトリストを有する。具体的には、ホワイトリストはSIM(Subscriber Identity Module)/USIMに記憶される。ホワイトリストには、移動端末が登録したCSGセルのCSG情報が格納される。CSG情報として具体的には、CSG−ID、TAI(Tracking Area Identity)、TACなどが考えられる。CSG−IDとTACとが対応付けられていれば、どちらか一方でよい。また、CSG−IDおよびTACと、GCI(Global Cell Identity)とが対応付けられていればGCIでもよい。
以上から、ホワイトリストを有しない(本発明においては、ホワイトリストが空(empty)の場合も含める)移動端末は、CSGセルにアクセスすることは不可能であり、non−CSGセルのみにしかアクセスできない。一方、ホワイトリストを有する移動端末は、登録したCSG−IDのCSGセルにも、non−CSGセルにもアクセスすることが可能となる。
3GPPでは、全PCI(Physical Cell Identity)を、CSGセル用とnon−CSGセル用とに分割(PCIスプリットと称する)することが議論されている(非特許文献5参照)。またPCIスプリット情報は、システム情報にて基地局から傘下の移動端末に対して報知されることが議論されている。非特許文献5は、PCIスプリットを用いた移動端末の基本動作を開示する。PCIスプリット情報を有していない移動端末は、全PCIを用いて、例えば504コード全てを用いて、セルサーチを行う必要がある。これに対して、PCIスプリット情報を有する移動端末は、当該PCIスプリット情報を用いてセルサーチを行うことが可能である。
また3GPPでは、ハイブリッドセルのためのPCIは、CSGセル用のPCI範囲の中には含まれないことが決定されている(非特許文献1 10.7章参照)。
HeNBおよびHNBに対しては、様々なサービスへの対応が求められている。例えば、オペレータは、ある決められたHeNBおよびHNBに移動端末を登録させ、登録した移動端末のみにHeNBおよびHNBのセルへのアクセスを許可することで、該移動端末が使用できる無線リソースを増大させて、高速に通信を行えるようにする。その分、オペレータは、課金料を通常よりも高く設定する、といったサービスである。
このようなサービスを実現するため、登録した(加入した、メンバーとなった)移動端末のみがアクセスできるCSGセル(Closed Subscriber Group cell)が導入されている。CSGセル(Closed Subscriber Group cell)は、商店街やマンション、学校、会社などへ数多く設置されることが要求される。例えば、商店街では店舗毎、マンションでは部屋毎、学校では教室毎、会社ではセクション毎にCSGセルを設置し、各CSGセルに登録したユーザのみが該CSGセルを使用可能とするような使用方法が要求されている。HeNB/HNBは、マクロセルのカバレッジ外での通信を補完するためだけでなく、上述したような様々なサービスへの対応が求められている。このため、HeNB/HNBがマクロセルのカバレッジ内に設置される場合も生じる。
LTE−Aで検討される技術の一つとして、ヘテロジーニアスネットワークス(Heterogeneous networks:HetNets)が加えられた。3GPPでは、ピコeNB(ピコセル(pico cell))、ホットゾーンセル用のノード、HeNB/HNB/CSGセル、リレーノード、リモートラジオヘッド(RRH)のような低出力電力のローカルエリアレンジ(Local-area range)のネットワークノード(ローカルエリアレンジノード(local area range node)、ローカルエリアノード(local area node)、ローカルノード(local node))を扱う。したがって、通常のeNB(マクロセル)に、このようなローカルエリアレンジノードを一つ以上組み入れたネットワークの運用が要求される。通常のeNB(マクロセル)に、このようなローカルエリアレンジノードを一つ以上組み入れたネットワークがヘテロジーニアスネットワークスと呼ばれ、干渉低減方法、キャパシティー改善方法などが検討される。
現在3GPPでは、インフラ(infrastructure)の消費電力低減(Energy Saving)について議論がされている。具体的には、以下の議論がなされている。キャパシティーブースター(capacity booster)として採用された基地局、あるいはセルは、トラフィック負荷(traffic load)を監視し、トラフィックがある閾値以下で、ある期間その状態が続いた場合、スイッチオフ(switch off)できる(非特許文献8参照)。動作中の基地局にて負荷が高い場合、該基地局は、スイッチオフされた基地局に対してスイッチオンを要求できる(非特許文献8参照)。スイッチオフできる基地局とは、基本的なカバレッジ(basic coverage)と基本的なキャパシティー(basic capacity)とを提供するセルとされている(非特許文献9参照)。
実施の形態1において解決する課題について、以下に説明する。前述のように、非特許文献8に開示される技術では、基本的なカバレッジと基本的なキャパシティーとを提供するセルについて考慮されている。基本的なカバレッジと基本的なキャパシティーとを提供するセルは、ワイドエリアeNB(wide-area eNBs)と考えられている(非特許文献10参照)。このことから、非特許文献8に開示される技術では、ローカルエリアレンジのネットワークノードについては考慮されていないと考えられる。
以降、便宜のためローカルエリアレンジのネットワークノードを、ローカルeNB(Local eNB)と記載する。また、ワイドエリアeNBの代表例としては、通常のeNB(マクロセル)が考えられる。ローカルeNBは、出力電力が比較的小さい。ワイドエリアeNB、例えば通常のeNB(マクロセル)は、出力電力が比較的大きい。換言すれば、ローカルeNBの出力電力は、ワイドエリアeNBの出力電力に比べて小さい。
非特許文献8では、X2インタフェースを用いて、消費電力の低減を実現することが規定されている。一方、上記のとおりローカルeNBの一つであるHeNBにおいては、X2インタフェースがサポートされない(非特許文献1 4.6.1.章参照)。よってHeNBでは、非特許文献8に開示される方法では消費電力の低減を実現することができない。
このように非特許文献8に開示される技術では、ローカルエリアレンジのネットワークノードにおける低消費電力化が実現できないという課題が発生する。
ローカルエリアレンジのネットワークノードにおける低消費電力化に関する技術については、前述の特許文献1に開示されている。特許文献1に開示される技術では、Home−eNBなどのフェムト基地局を備える無線通信システムにおいて、基地局によって形成されるセル内の移動端末の在圏状況に応じて、基地局にネットワーク側からS1インタフェースなどを介して制御信号を与えることによって、フェムト基地局の無線信号出力を停止または開始する。このようにネットワーク側からの指示によって、フェムト基地局の無線信号出力を制御すると、ネットワーク側の負荷が増大することになる。
また特許文献1に開示される無線通信システムでは、移動端末の在圏状況に応じて、フェムト基地局の無線信号出力を制御しているが、移動端末の在圏状況以外の要因で、フェムト基地局などのネットワークノードの動作を制限した方が良い場合がある。
例えば、HeNBのバックホール側の機器が、故障等でHeNBとの接続ができない場合、HeNBは正常動作ができない。この場合、HeNBの電源をオン(On)状態にしていても、UEとの通信が正常に行われないので、HeNBの電源をオン状態にしておくと、消費電力の無駄が生じるという課題がある。
この課題を解決するための技術については、特許文献1には開示されていない。このように従来の技術では、ローカルエリアレンジのネットワークノードの低消費電力化を効率良く行うことができない。
上記の課題を解決するための実施の形態1での解決策を以下に示す。本実施の形態では、HeNBとバックホールとの接続が切断された場合、HeNBを通常の動作から消費電力の低減動作に移行させる。消費電力の低減動作を、低電力動作またはEnergySaving動作と称し、この動作状態を低電力動作状態と称する。通常の動作を、通常動作またはNormal動作と称し、この動作状態を通常動作状態と称する。
図13は、本発明の実施の形態1の移動体通信システム600の構成を示すブロック図である。移動体通信システム600は、HeNB606のEnergySaving動作の構成として、送受信オフ(OFF)でかつ、有線側間欠動作を実現する構成を有する。「送受信オフ」とは、HeNB606において、UEへ送信すべき信号である下り送信信号の送信動作、およびUEから送信される信号である上り送信信号の受信動作を停止することをいう。
移動体通信システム600は、MME(Mobility Management Entity)およびS−GW(Serving Gateway)を備えるコアネットワークであるEPC601と、HeNB−GW(Gateway)602と、BB(Broadband)アクセス網(以下「IP(Internet Protocol)網」という場合がある)603と、フェムト基地局装置604とを備えて構成される。フェムト基地局装置604は、光回線終端装置605およびHeNB606を備える。光回線終端装置605は、フェムト基地局装置604内に存在しなくてもよい。この場合、フェムト基地局装置604はHeNBと称されることもある。EPC601は、前述の図7および図10に示すMME部73と同様の構成を有する。HeNB−GW602は、前述の図7および図11に示すHeNBGW74と同様の構成を有する。HeNB606は、前述の図7および図9に示す基地局72と同様の構成を有する。
EPC601は、HeNB−GW602と接続される。HeNB−GW602は、IP網603を介して、EPC601とフェムト基地局装置604とを接続する。図7に示したように、現在3GPPにおいて議論されているLTE方式の移動体通信システムでは、HeNB−GW602を用いない場合も存在する。本実施の形態は、HeNB−GW602が存在しない場合においても適用可能である。フェムト基地局装置604は、例えば宅内に設置される。フェムト基地局装置604のHeNB606は、光回線終端装置605を介してIP網603に接続される。このようにしてHeNB606は、EPC601に有線通信可能に接続される。
移動体通信システム600は、HeNB606とバックホールとの接続が切断されたか否かを検出可能に構成される。ここで、「バックホール」とは、基地局からコアネットワークまでの伝送路をいう。本実施の形態では、基地局であるHeNB606から、コアネットワークであるEPC601までの伝送路、具体的には、光回線終端部605a、IP網603およびHeNB−GW602、ならびに、それらを接続する回線を「バックホール」という。バックホールは、接続装置に相当し、HeNB606とEPC601とを有線通信可能に接続する。
光回線終端装置605は、具体的には、光回線終端部605aおよび接続切断検出部605bを備える。接続切断検出部605bは、HeNB606とバックホールとの接続が切断されたか否かを検出する。接続切断検出部605bは、接続切断検出手段に相当する。光回線終端部605aは、HeNB606と接続される。光回線終端装置605は、光回線終端部605aによってHeNB606と接続される。接続切断検出部605bは、光回線終端装置605に代えて、HeNB606に備えられてもよい。
HeNB606とバックホールとの接続が切断された場合、例えば、光回線終端部605aが動作不能となった場合、接続切断検出部605bによって、バックホールとの接続が切断されたことが検出される。接続切断検出部605bは、バックホールとの接続が切断されたことを検出すると、HeNB606に制御信号を送信することによって、HeNB606を、Normal動作からEnergySaving動作へ移行させる。本実施の形態では、EnergySaving動作として、送受信オフ(OFF)かつ有線側間欠動作を行う。具体的には、UEとの送受信動作をオフ(OFF)状態にするとともに、有線側、すなわちIP網603および光回線終端装置605を介したHeNB−GW602との通信を間欠動作とする。UEとの送受信動作をオフ状態にする具体的な方法としては、変調部へのクロック信号の供給を停止してもよいし、送信アンプへの電力の供給を停止してもよい。
バックホールとの接続が切断されたことの検出方法の具体例を、以下に2つ開示する。(1)接続切断検出部605bが、一定時間HeNB−GW602、あるいはEPC601より応答信号を受信しない場合、接続切断検出部605bは、バックホールとの接続が切断されたと判断する。(2)接続切断検出部605bが、一定時間HeNB−GW602、あるいはEPC601よりデータ(ユーザデータ、制御データ)を受信しない場合、接続切断検出部605bは、バックホールとの接続が切断されたと判断する。
接続切断検出部605bからHeNB606へ通知される制御信号の具体例を、以下に5つ開示する。(1)バックホールとの接続が切断されたか否かの情報。(2)バックホールとの接続が切断された旨の情報。(3)バックホールとの接続が切断されていない旨の情報。(4)EnergySaving動作への移行指示情報。(5)EnergySaving動作への移行許可情報。
バックホールとの接続が回復した場合、接続切断検出部605bによって、バックホールとの接続が回復したことが検出される。接続切断検出部605bは、バックホールとの接続が回復したことを検出すると、HeNB606に制御信号を送信し、HeNB606を、EnergySaving動作からNormal動作へ移行させる。Normal動作へ移行すると、UEとの送受信動作をオン(ON)状態にするとともに、有線側を連続動作とする。UEとの送受信動作をオン状態にする具体的な方法としては、変調部へのクロック信号の供給を停止していた場合は、クロック信号の供給を再開する。送信アンプへの電力の供給を停止していた場合は、電力の供給を再開する。
バックホールとの接続が回復したことの検出方法の具体例を、以下に2つ開示する。(1)接続切断検出部605bが、HeNB−GW602、あるいはEPC601より応答信号を受信した場合、接続切断検出部605bは、バックホールとの接続が回復されたと判断する。(2)接続切断検出部605bが、HeNB−GW602、あるいはEPC601よりデータ(ユーザデータ、制御データ)を受信した場合、接続切断検出部605bは、バックホールとの接続が回復されたと判断する。
接続切断検出部605bからHeNB606へ通知される制御信号の具体例を、以下に5つ開示する。(1)バックホールとの接続が回復されたか否かの情報。(2)バックホールとの接続が回復された旨の情報。(3)バックホールとの接続が回復されていない旨の情報。(4)Normal動作への移行指示情報。(5)EnergySaving動作への移行不許可情報。
以上のように本実施の形態によれば、HeNB606のバックホールとの接続が切断され、基地局としての動作ができなくなっている場合、HeNB606にEnergySaving動作を行わせる。これによって、基地局としての動作ができなくなっているHeNB606にNormal動作を行わせる場合に比べて、消費電力を低減することができる。したがって、ローカルエリアレンジのネットワークノードであるHeNB606における低消費電力化を効率良く行うことができる。
参考形態1.
参考形態1において解決する課題について説明する。HeNBのバックホールの回線品質が悪化した場合、UE側でもスループットが悪化する。近隣のeNBと接続した方が、スループットが改善する場合は、該HeNBと接続するメリットが無い場合がある。このようにHeNBのバックホールの回線品質が悪化した場合に、HeNBの通常動作を継続させると、UE側のスループットが悪化するという課題がある。
参考形態1での解決策を以下に示す。図14は、参考形態1のHeNB1200の構成を示すブロック図である。HeNB1200は、バックホールの回線品質を測定する機能を備える。HeNB1200は、EPC通信部1201、他基地局通信部1202、プロトコル通信部1203、送信データバッファ部1204、エンコーダー部1205、変調部1206、周波数変換部1207、アンテナ1208、復調部1209、デコーダー部1210、制御部1211および回線品質測定部1212を備えて構成される。制御部1211および回線品質測定部1212は、回線品質比較手段に相当する。現在の3GPPにおいて、HeNB間のX2インタフェースはサポートされていない。しかし、今後の議論によっては、HeNB間のX2インタフェースがサポートされることも考えられるため、本参考形態および図14では、他基地局通信部1202(X2インタフェース)についても説明する。
EPC通信部1201は、LTE、3Gおよび無線LANなどのアクセスネットワークを統合的に収容するコアネットワークであるEPCとの間のデータの送受信を行う。制御部1211は、HeNB1200を構成する各ブロックの設定などを行う。
EPC通信部1201、他基地局通信部1202、プロトコル通信部1203、送信データバッファ部1204、エンコーダー部1205、変調部1206、周波数変換部1207、アンテナ1208、復調部1209、デコーダー部1210および制御部1211は、それぞれ、前述の図9に示す基地局72のEPC通信部901、他基地局通信部902、プロトコル通信部903、送信データバッファ部904、エンコーダー部905、変調部906、周波数変換部907、アンテナ908、復調部909、デコーダー部910および制御部911と同様の構成を有する。本参考形態では、EPC通信部1201とプロトコル処理部1203とは、回線品質測定部1212を介して接続される。また他基地局通信部1202とプロトコル処理部1203とは、回線品質測定部1212を介して接続される。
HeNB1200は、自HeNB1200の回線品質と、他の基地局の回線品質とを比較する。他の基地局の回線品質の方が良いと判断した場合、HeNB1200は、自セル傘下のUEが他の基地局と接続するように動作する。
回線品質の具体例を以下に3つ開示する。(1)スループット。一定時間あたりの通信データ量。(2)ビット誤り率(Bit Error Rate:BER)。(3)フレーム破棄率。
自HeNB1200の回線品質と他の基地局の回線品質とを比較する方法の具体例について、以下に2つ開示する。(1)無線区間の無線回線品質を比較する。(2)バックホールの回線品質を比較する。
具体例(1)の無線区間の無線回線品質を比較する方法の具体例について、以下に開示する。
まず、自HeNB1200と傘下のUEとの間の無線回線品質の測定方法の具体例について、以下に開示する。HeNB1200では、傘下のUEからの無線信号がアンテナ1208によって受信され、受信信号として周波数変換部1207に与えられる。受信信号は、周波数変換部1207でベースバンド信号に変換され、復調部1209において検波処理および復調処理が行われる。復調後のデータは、デコーダー部1210に与えられ、誤り訂正などの復号処理を施されて復号される。復号されたデータのうち、制御データおよび呼制御情報は、EPC通信部1201およびプロトコル処理部1203に与えられる。それらの結果、EPC通信部1201およびプロトコル処理部1203から回線品質測定部1212に、品質測定情報が与えられる。
回線品質測定部1212は、EPC通信部1201およびプロトコル処理部1203から与えられる品質測定情報に基づいて、HeNB1200とUEとの間の無線回線の伝送品質である無線回線品質、すなわちHeNB1200とUEとの間に確立される無線回線の品質を測定する。無線回線品質は、回線品質測定部1212で直接測定されてもよく、復調部1209およびデコーダー部1210において、回線品質を測定し、その情報をプロトコル処理部1203およびEPC通信部1201経由で、回線品質測定部1212へ与えることで、回線品質測定部1212に取得されてもよい。無線区間の無線回線品質としては、例として、受信レベル、信号対干渉比(Signal to Interference Ratio:SIR)などがある。
次に、他の基地局と他の基地局傘下のUEとの間の無線回線品質(以下「他の基地局の無線回線品質」という場合がある)の取得方法の具体例について、以下に開示する。HeNB1200では、他の基地局の無線回線品質の情報は、回線品質測定部1212が他基地局通信部1202、あるいはEPC通信部1201経由で受信する。他の基地局の無線回線品質の情報は、他の基地局と他の基地局の傘下のUEとの間の無線回線の伝送品質である無線回線品質、すなわち他の基地局とUEとの間に確立される無線回線である他の無線回線の品質を表す。本具体例のHeNB1200における他の基地局の無線回線品質の情報の受信は、ある1つのUEが、アンテナ1208、周波数変換部1207、復調部1209およびデコーダー部1210を備えるHeNB1200で実現される基地局と、その基地局と他基地局通信部1202を介して通信を行う他の基地局との両方に接続されている場合に有効である。なぜなら、実際のUEにおける回線品質を比較することができるからである。
回線品質測定部1212は、自装置であるHeNB1200とUEとの無線回線、および他の基地局とUEとの無線回線のうち、品質の勝っている方、すなわち品質の高い方の無線回線を確立している基地局、具体的には回線品質が高い基地局と通信をするべきであるとの判定を行う。無線区間の無線回線品質としては、例として、受信レベル、SIRなどがある。
制御部1211は、回線品質測定部1212の判定に基づいて、HeNB1200の動作を制御する。具体的には、回線品質測定部1212によって、他の基地局とUEとの無線回線の品質の方が高いと判断され、他の基地局と通信をするべきであると判定されると、制御部1211は、自装置であるHeNB1200側の変調部1206または復調部1209へのクロック信号の入力を停止したり、アンテナ1208に接続される送信アンプへの電力の供給を停止したりするなどのEnergySaving動作を行う。このとき、バックホール側のインタフェース(I/F)部である送信データバッファ部1204およびデコーダー部1210は、そのまま動作させておく。すなわち本参考形態では、HeNB1200のEnergySaving動作として、送受信オフ(OFF)でかつ、バックホール側I/F部をオン(ON)の状態とする。
自HeNB1200の回線品質と他の基地局の回線品質とを比較する方法の具体例のうち、具体例(2)のバックホールの回線品質を比較する方法の具体例について、以下に開示する。
自HeNB1200のバックホールの回線品質の測定方法の具体例について、以下に開示する。EPC通信部1201、あるいは回線品質測定部1212は、バックホールの回線品質を測定する。
他の基地局のバックホールの回線品質の取得方法の具体例について、以下に開示する。他の基地局のEPC通信部1201、あるいは回線品質測定部1212は、バックホールの回線品質を測定する。自HeNB1200の回線品質測定部1212は、該測定結果を他基地局通信部1202、あるいはEPC通信部1201経由で受信する。
回線品質測定部1212は、自装置であるHeNB1200のバックホール回線と、他の基地局のバックホール回線とのうち、品質の勝っている方、すなわち品質の高い方の無線回線を確立している基地局、具体的には回線品質が高い基地局と通信をするべきであるとの判定を行う。
バックホールの回線品質を比較する方法の具体例として、有線側の回線品質を測定する場合を以下に示す。
有線側の回線品質を測定する場合には、回線品質測定部1212は、プロトコル処理部1203およびEPC通信部1201から、イーサネット(Ethernet)(登録商標)フレームのフレームチェック結果によるイーサネットフレームの廃棄率(以下「フレーム廃棄率」という場合がある)、自装置であるHeNB1200および他の基地局におけるネットワークとの間のレート制御設定が低レートのままである時間(以下「低レート継続時間」という場合がある)などを、有線側の回線品質として取得する。そして、回線品質測定部1212は、フレーム廃棄率の高低、および低レート継続時間の長短などに基づいて判定を行う。
回線品質測定部1212は、例えば自装置であるHeNB1200におけるフレーム廃棄率の方が高い場合には、フレーム廃棄率が低い方の基地局、すなわち他の基地局と通信をするべきであると判定する。また回線品質測定部1212は、自装置における低レート継続時間の方が短い場合には、低レート継続時間が長い方の基地局、すなわち他基地局と通信をするべきであると判定する。
自セル傘下のUEが他の基地局と接続するようにする動作の具体例について、以下に2つ開示する。(1)自HeNBをEnergySaving動作へ移行する。(2)自HeNBがUEより、セル選択されないように、あるいはハンドオーバ先として選択されないようにする。
具体例(1)の自HeNBをEnergySaving動作へ移行する方法の具体例について以下に開示する。回線品質測定部1212によって他の基地局と通信をするべきであると判定されると、制御部1211は、他の基地局とUEとが通信を行うように、変調部1206または復調部1209へのクロック信号の入力を停止したり、アンテナ1208に接続される送信アンプへの電力の供給を停止したりするなどのEnergySaving動作を行う。このとき、バックホール側のI/F部である送信データバッファ部1204およびデコーダー部1210は、そのまま動作させておく。すなわち、HeNBのEnergySaving動作としては、送受信オフ(OFF)でかつ、バックホール側I/F部をオン(ON)の状態とする。これにより、傘下のUEにおけるHeNB1200の受信品質(RSRPなど)が低下し、セル再選択、あるいはハンドオーバが実行される。
具体例(2)の自HeNBがUEより、セル選択されないように、あるいはハンドオーバ先として選択されないようにする方法の具体例について以下に開示する。HeNB1200は、セル選択先、あるいはハンドオーバ先として、自セルを選択対象に含めないよう指示する情報を送信する。該送信には報知情報を用いるとよい。カバレッジ内の移動端末へ、該移動端末(UE)の状態(待受け中、通話中)によらず、通知可能との効果を得る。これにより、傘下のUEの接続は維持しつつ、更なるUEの接続などを防ぐことができる。
回線品質測定部1212は、本参考形態ではHeNB1200側に備えられるが、コアネットワーク側に備えられてもよい。本参考形態のように回線品質測定部1212がHeNB1200側にある場合に、回線品質測定結果が、HeNB1200側の回線品質の劣化を判定したときには、コアネットワーク側にアラーム信号を出力し、バックホール品質悪化によるEnergySaving動作を行うことを通知する。EnergySaving動作を行うことを通知した場合には、HeNB1200は、前述のように、変調部1206または復調部1209へのクロック信号の入力を停止したり、アンテナ1208に接続される送信アンプへの電力の供給を停止したりするなどのEnergySaving動作を行う。このとき、バックホール側のI/F部である送信データバッファ部1204およびデコーダー部1210は、そのまま動作させておく。すなわち、HeNB1200のEnergySaving動作としては、送受信オフ(OFF)でかつ、バックホール側I/F部をオン(ON)の状態とする。
以上のように本参考形態によれば、バックホール品質が低下し、スループットが低下することにより、ユーザがデメリットを受ける場合、例えばHeNB1200の専用サービスが受けられない場合には、HeNB1200にEnergySaving動作を行わせる。これによって、ユーザが使用しているUEに、他の基地局と通信を行うように促すことができるので、ユーザがデメリットを受ける可能性を低くすることができる。
また本参考形態では、HeNB1200は、UEとの間に、他の基地局に比べて、より品質の高い無線回線を確立することができる場合は通常動作状態で動作され、より品質の低い無線回線が確立される場合は低電力動作状態に移行される。これによって、常にHeNB1200を通常動作状態で動作させる場合に比べて、消費電力を低減することができる。したがって、ローカルエリアレンジのネットワークノードであるHeNB1200における低消費電力化を効率良く行うことができる。
また本参考形態では、HeNB1200は、回線品質測定部1212によって、コアネットワーク側へのバックホール回線品質の低下を検出すると、コアネットワーク側へのバックホール回線品質の低下を、コアネットワーク側に通知する。これによって、コアネットワーク側のオペレータに対して、バックホール回線の異常によって、HeNB1200がEnergySaving動作をしていることを認識させることができる。またコアネットワーク側のオペレータがHeNB1200の傘下のUEに対して、バックホール回線の異常によるEnergySaving動作をしていることを通知することによって、UEのユーザに対しても、バックホール回線の異常によるEnergySaving動作であることを認識させることができる。
参考形態2.
参考形態2において解決する課題について説明する。前述のNormal動作において、HeNBは、登録されたUEのみに対し動作するが、HeNBの収容数が、登録されているUEの数(以下「登録ユーザ数」という)よりも多い場合(HeNBの収容数>登録ユーザ数)、動作しない回路が発生する。このように動作しない回路にも電力が供給されることになるので、消費電力の無駄が生じるという課題が発生する。
上記の課題を解決するための参考形態2での解決策を以下に示す。図15および図16は、参考形態2のHeNBの構成を示すブロック図である。図15は、登録ユーザ数が「4」の場合の構成を示しており、図16は、登録ユーザ数が「1」の場合の構成を示している。図15に示す登録ユーザ数が「4」の場合のHeNBを参照符700で示し、図16に示す登録ユーザ数が「1」の場合のHeNBを参照符700Aで示す。HeNB700,700Aは、前述の図13に示すHeNB606と同様に、HeNB−GW602などのバックホールを介して、MMEなどを備えるコアネットワークであるEPC601に接続される。
本参考形態のHeNB700,700Aは、利用者として登録されたUE(以下「登録UE」という場合がある)を記憶するように構成される。HeNB700,700Aは、以下の手法などにより、該HeNB700,700Aに登録するUEの情報を取得する。例えば、UEがHeNB700,700Aを登録するとき、具体的にはHeNB700,700AのCSG−IDを登録するときに、MMEからHeNB700,700Aに、登録されるUEの情報を通知する。あるいは、HeNBのオーナーによって通知してもよい。また登録されるUEから通知してもよい。これによってHeNB700,700Aは、登録UEの情報を取得する。MMEは、HeNB700,700Aに、該HeNB700,700AのCSG−IDが登録されたUEの属性、例えばUEの識別子(UE−ID;加入者識別子(International Mobile Subscriber Identity:IMSI)など)、UEカテゴリを通知し、HeNB700,700Aに記憶させる機能を有するように構成される。
本参考形態のHeNB700,700Aは、該HeNB700,700Aに登録されているUEをネットワーク(Network:NW)側から取得するサービスを構成するものである。
図15に示すHeNB700は、書換可能デバイス701、CPU(Central Processing Unit)702、ユーザ数登録メモリ703およびROM(Read Only Member)704を備えて構成される。図15に示す書換可能デバイス701は、登録ユーザ数が4である場合の書き換え可能なロジック回路デバイスであり、4つのユーザ処理回路705を備える。ユーザ処理回路705は、UEとの無線通信動作を処理する。CPU702は、書換可能デバイス701、ユーザ数登録メモリ703およびROM704を統括的に制御する。ユーザ数登録メモリ703には、登録ユーザ数が記憶される。ROM704には、最大収容数分までの回路情報を有するロジック回路バイナリデータが記憶される。
図16に示すHeNB700Aは、書換可能デバイス701A、CPU702、ユーザ数登録メモリ703およびROM704を備えて構成される。図16に示すHeNB700Aにおいて、書換可能デバイス701Aを除くその他の構成は、図15に示すHeNB700と同様である。図16に示す書換可能デバイス701Aは、登録ユーザ数が1である場合の書き換え可能なロジック回路デバイスであり、1つのユーザ処理回路705を備える。図16示すHeNB700Aにおいて、CPU702は、書換可能デバイス701A、ユーザ数登録メモリ703およびROM704を統括的に制御する。
HeNB700,700Aの書換可能デバイス701,701Aは、処理手段に相当する。書換可能デバイス701,701Aは、FPGA(Field Programmable Gate Array)等によって実現される。HeNB700,700Aは、登録ユーザ数(以下「UE数」という場合がある)に応じて、書換可能デバイス701,701Aの回路構成を静的に変更し、HeNB700,700Aの収容数が登録ユーザ数以下(HeNBの収容数≦登録ユーザ数)となる構成をとる。
本参考形態のHeNB700,700Aは、以下のように動作する。ROM704には、1、2、…、最大収容数分までの回路情報を有するロジック回路バイナリデータを格納しておく。HeNB700,700Aが起動されると、CPU702は、起動動作を開始する。具体的には、CPU702は、ユーザ数登録メモリ703から、登録ユーザ数を読み取り、対応する登録ユーザ数に応じたロジック回路バイナリデータをROM704から読み取り、書換可能デバイス701,701Aに展開する。CPU702は、書換手段に相当する。
起動動作が終了した段階では、書換可能デバイス701,701Aは、登録ユーザ数分のユーザ処理回路705のみが存在し、動作しない回路が存在しない状態となる。例えば登録ユーザ数が「4」の場合、図15に示すように、4つのユーザ処理回路705のみが存在し、動作しない回路が存在しない状態となる。また登録ユーザ数が「1」の場合、図16に示すように、1つのユーザ処理回路705のみが存在し、動作しない回路が存在しない状態となる。HeNB700,700Aは、このように登録ユーザ数分の回路のみが存在する状態で、前述のNormal動作を行う。
以上のように本参考形態によれば、HeNB700,700Aは、書換可能デバイス701,701Aを備え、CPU702によって、登録ユーザ数に応じたロジック回路バイナリデータを書換可能デバイス701,701Aに展開する。具体的には、CPU702は、登録ユーザ数と同数のユーザ処理回路705が形成されるように、書換可能デバイス701,701Aのユーザ処理回路705を書換える。これによって、HeNB700,700Aの収容可能なUE数に対し、登録ユーザ数が少ない場合は、動作する回路を限定することが可能となるので、登録ユーザ数に応じた回路構成とすることができる。したがって、収容可能なUE数と同数のユーザ処理回路705が予め設けられる場合に比べて、Normal動作中のHeNB700,700Aの消費電力を低減することができるので、ローカルエリアレンジのネットワークノードである基地局装置における低消費電力化を効率良く行うことができる。
また本参考形態では、HeNB700,700Aは、Normal動作とEnergySaving動作とを切替可能に構成される。HeNB700,700Aは、例えば以下の(1)〜(3)の場合に、Normal動作からEnergySaving動作に移行する。
(1)HeNB700,700Aと接続状態にあるUEが、予め定める期間存在しない場合。具体的には、HeNB700,700Aの傘下に、ある期間、CONNECTEDのUEが存在しない場合、あるいはHeNB700,700Aの傘下に、ある期間、IDLEのUEのみが存在する場合。
(2)HeNB700,700Aの消費電力低減スイッチがオン(ON)された場合。
(3)MMEなどからEnergySaving動作への移行が指示された場合。
HeNB700,700Aは、EnergySaving動作として、例えばUEへの下り送信信号の送信動作を停止し、UEからの上り送信信号の受信動作を継続する。すなわち、送信動作をオフ(OFF)状態とし、受信動作をオン(ON)状態とする。
送信動作をオフ状態にする具体的な方法としては、前述の実施の形態1および参考形態1において送受信動作をオフ状態にする方法と同様の方法が挙げられる。具体的には、変調部へのクロック信号の入力を停止したり、アンテナに接続される送信アンプへの電力の供給を停止したりする。
受信動作のオン状態では、HeNB700,700Aは、UEから送信される上り送信信号を受信可能な状態とされる。このとき、HeNB700,700Aは、UEから送信される上り送信信号を常に受信可能な状態とする連続受信動作を行ってもよいが、間欠的に受信可能な状態となる間欠受信動作を行ってもよい。間欠受信動作は、連続受信動作と比較して低消費電力化に有効である。
HeNB700,700Aは、例えば、EnergySaving動作状態において、UEから送信されるウェイクアップ(Wakeup)用上り送信信号を受信すると、EnergySaving動作からNormal動作に移行する。ここで、ウェイクアップ用上り送信信号とは、HeNB700,700AをEnergySaving動作からNormal動作に移行させるためにUEから送信される上り送信信号をいう。
UEは、ウェイクアップ用上り送信信号に、UEの識別番号(UE−ID)を格納して送信する。本参考形態では、MMEは、前述のようにHeNB700,700Aに、登録UEの属性を通知して記憶させる機能を有するように構成されるので、HeNB700,700Aは、登録UEの属性を記憶している。これによってHeNB700,700Aは、例えばウェイクアップ用上り送信設定が、設定Aから設定Bに変更となった場合、設定Bの状態でUEからウェイクアップ用上り送信信号を受信したときのUE−IDから、上り送信設定が更新されたことを認識することができる。
参考形態3.
参考形態3において解決する課題について説明する。HeNBに接続を許可されたUE数およびUEの性能によっては、HeNBでカバーする周波数帯域幅が、オーバースペック、すなわち過剰となる場合がある。広帯域幅で処理を行う場合は、消費電力の無駄が生じるという課題が発生する。
上記のような課題を解決するための参考形態3での解決策を以下に示す。図17は、参考形態3のHeNB1300の構成を示すブロック図である。本参考形態のHeNB1300は、図14に示す参考形態1のHeNB1200と同様の構成を有するので、対応する部分については同一の参照符を付して、共通する説明を省略する。
本参考形態のHeNB1300は、EPC通信部1201、他基地局通信部1202、プロトコル通信部1203、送信データバッファ部1204、エンコーダー部1205、変調部1206、周波数変換部1207、アンテナ1208、復調部1209、デコーダー部1210、制御部1211、帯域切替部1301、RF(Radio Frequency)部1302、登録UE属性記憶部1303および動作周波数切替部1304を備えて構成される。RF部1302は、無線部に相当し、UEと無線通信する。HeNB1300は、前述の図13に示すHeNB606と同様に、HeNB−GW602などのバックホールを介して、MMEなどを備えるコアネットワークであるEPC601に接続される。
RF部1302は、広帯域対応のRF回路(以下「広帯域用RF回路」という場合がある)と、狭帯域対応のRF回路(以下「狭帯域用RF回路」という場合がある)とを備える。広帯域用RF回路は、広帯域用の帯域制限フィルタおよびアンプを備えて構成される。狭帯域用RF回路は、狭帯域用の帯域制限フィルタおよびアンプを備えて構成される。図17では、広帯域用および狭帯域用のアンプを代表して図示しているが、アンプは2種類に限らない。
帯域制限フィルタは、HeNB1300の処理を行う帯域(以下「処理帯域」という場合がある)を所定の帯域に制限する。広帯域用の帯域制限フィルタは、処理帯域を比較的広い帯域に制限する。狭帯域用の帯域制限フィルタは、処理帯域を比較的狭い帯域に制限する。帯域切替部1301は、RF部1302で使用される周波数帯域を切替える。具体的には、帯域切替部1301は、RF部1302の帯域制限フィルタの選択を行う。帯域切替部1301によって選択された帯域制限フィルタを備えるRF回路が、周波数変換部1207およびアンテナ1208に接続されて動作する。例えば帯域切替部1301によって広帯域用の帯域制限フィルタが選択された場合、広帯域用RF回路が周波数変換部1207およびアンテナ1208に接続され、HeNB1300の処理帯域が広帯域に選択される。帯域切替部1301によって狭帯域用の帯域制限フィルタが選択された場合、狭帯域用RF回路が周波数変換部1207およびアンテナ1208に接続されて、HeNB1300の処理帯域が狭帯域に選択される。
動作周波数切替部1304は、HeNB1300の処理帯域に応じて、HeNB1300の動作周波数、すなわちクロック周波数を切替える。HeNB1300の処理帯域が広帯域に選択される場合、比較的高速のクロック(以下「広帯域用の高速クロック」という場合がある)が用いられ、HeNB1300の処理帯域が狭帯域に選択される場合、比較的低速のクロック(以下「狭帯域用の低速クロック」という場合がある)が用いられる。動作周波数切替部1304は、広帯域用の高速クロックと、狭帯域用の低速クロックとを切り替える。
登録UE属性記憶部1303は、登録UEの情報を記憶する。登録UEの情報は、移動端末情報に相当する。登録UEの情報は、HeNB1300に登録されるUEの数および属性のうち、少なくとも一方を含む。登録UEの属性としては、例えばUE−IDおよびUEカテゴリなどが挙げられる。UEカテゴリには、UEの性能が規定されている。本参考形態のHeNB1300は、前述の図15および図16に示す参考形態2のHeNB700,700Aと同様に、以下の手法などにより、該HeNB1300に登録するUEの情報を取得する。
例えば、UEがHeNBを登録するとき、具体的にはHeNB1300のCSG−IDを登録するときに、MMEからHeNB1300に、登録されるUEの情報を通知する。あるいは、HeNBのオーナーによって通知してもよい。また登録されるUEから通知してもよい。これによってHeNB1300は、登録UEの情報を取得する。MMEは、HeNB1300に、登録UEの情報、具体的には、該HeNB1300のCSG−IDが登録されたUEの数、ならびにUEの属性、例えばUEの識別子(UE−ID;IMSIなど)、UEカテゴリを通知し、HeNB1300に記憶させる機能を有するように構成される。
また、HeNBのオーナーの意思の情報を記憶してもよい。オーナーの意思の情報の具体例を以下に開示する。(1)低消費電力優先か否かの情報。(2)低消費電力優先の旨の情報。(3)低消費電力優先ではない旨の情報。(4)スループット優先か否かの情報。(5)スループット優先の旨の情報。(6)スループット優先ではない旨の情報。オーナーの意思の入力方法の具体例を以下に2つ開示する。(1)HeNBの外部ボタン。(2)登録UEからの通信。該通信には赤外線通信などを用いることができる。
また本参考形態のHeNB1300は、前述の図15および図16に示すHeNB700,700Aと同様に、Normal動作とEnergySaving動作とを切替可能に構成される。UEは、ウェイクアップ用上り送信信号に、UEの識別番号(UE−ID)を格納して送信する。本参考形態では、MMEは、前述のようにHeNB1300に、登録UEの属性を通知して記憶させる機能を有するように構成されるので、HeNB1300は、登録UEの属性を記憶している。
これによってHeNB1300は、例えばウェイクアップ用上り送信設定が、設定Aから設定Bに変更となった場合、設定Bの状態でUEからウェイクアップ用上り送信信号を受信したときのUE−IDから、上り送信設定が更新されたことを認識することができる。
本参考形態のHeNB1300は、以下のように動作する。制御部1211は、登録UE属性記憶部1303から、登録UEの情報を取得する。制御部1211は、取得した登録UEの情報に基づいて、HeNB1300が処理帯域として必要とする周波数帯域を求める。そして制御部1211は、求めた周波数帯域に応じて、帯域切替部1301によってRF部1302の帯域制限フィルタおよびアンプを選択することによって、処理帯域選択を行う。
制御部1211は、処理帯域として求めた周波数帯域に応じて、動作周波数切替部1304によって動作周波数を切り替える。制御部1211は、処理帯域が狭帯域の場合は、動作周波数を低速にする、すなわち低速クロックに切替える。処理帯域が狭帯域の場合は、低伝送レートとなるが、低速クロックの度合いは、低伝送レートでも処理時間が十分システムとして成り立つ程度の周波数に選ばれる。クロック周波数を下げることにより、低消費電力化を図ることができる。
周波数帯域を選択する具体例を以下に8つ開示する。
(1)登録されたUEの数が少ない場合、使用する無線リソースが少なくて良いと判断し、帯域切替部1301により、狭帯域用の帯域制限フィルタおよびアンプを選択する。また、動作周波数切替部1304にて狭帯域用の低速クロックを選択する。一方、登録されたUEの数が多い場合、使用する無線リソースが多く必要であると判断し、帯域切替部1301により、広帯域用の帯域制限フィルタおよびアンプを選択する。また、動作周波数切替部1304にて広帯域用の高速クロックを選択する。
(2)登録されたUEのカテゴリが、低性能(Capability)を示す場合、使用する無線リソースが少なくて良いと判断し、帯域切替部1301により、狭帯域用の帯域制限フィルタおよびアンプを選択する。また、動作周波数切替部1304にて狭帯域用の低速クロックを選択する。一方、登録されたUEのカテゴリが、高性能を示す場合、使用する無線リソースが多く必要であると判断し、帯域切替部1301により、広帯域用の帯域制限フィルタおよびアンプを選択する。また、動作周波数切替部1304にて広帯域用の高速クロックを選択する。
(3)HeNBのオーナーの意思の情報が低消費電力優先を示す場合、帯域切替部1301により、低消費電力に効果的な狭帯域用の帯域制限フィルタおよびアンプを選択する。また、動作周波数切替部1304にて狭帯域用の低速クロックを選択する。一方、オーナーの意思の情報が、低消費電力優先しない旨を示す場合、帯域切替部1301により、広帯域用の帯域制限フィルタおよびアンプを選択する。また、動作周波数切替部1304にて広帯域用の高速クロックを選択する。なお、オーナーは、HeNBに対し、手動で低消費電力優先を示すこともできるし、自動で、時間指定で低消費電力優先を示すこともできる。手動の場合は、外部スイッチから帯域切替部1301に制御信号を送信することで切替えることができる。
(4)HeNBのオーナーの意思の情報がスループット優先を示さない場合、帯域切替部1301により、狭帯域用の帯域制限フィルタおよびアンプを選択する。また、動作周波数切替部1304にて狭帯域用の低速クロックを選択する。一方、オーナーの意思の情報が、スループット優先を示す場合、帯域切替部1301により、広帯域用の帯域制限フィルタおよびアンプを選択する。また、動作周波数切替部1304にて広帯域用の高速クロックを選択する。
(5)上位装置とのデータのやり取りがない場合、帯域切替部1301により、低消費電力に効果的な狭帯域用の帯域制限フィルタおよびアンプを選択する。また、動作周波数切替部1304にて狭帯域用の低速クロックを選択する。一方、オーナーの意思の情報が、低消費電力優先しない旨を示す場合、帯域切替部1301により、広帯域用の帯域制限フィルタおよびアンプを選択する。また、動作周波数切替部1304にて広帯域用の高速クロックを選択する。
(6)電力会社からの要求などにより、上位装置から低消費電力動作を指示された場合、帯域切替部1301により、低消費電力に効果的な狭帯域用の帯域制限フィルタおよびアンプを選択する。また、動作周波数切替部1304にて狭帯域用の低速クロックを選択する。一方、オーナーの意思の情報が、低消費電力優先しない旨を示す場合、帯域切替部1301により、広帯域用の帯域制限フィルタおよびアンプを選択する。また、動作周波数切替部1304にて広帯域用の高速クロックを選択する。
(7)HeNBと端末(UE)との間で一定時間通信が行われていなかった場合、帯域切替部1301により、低消費電力に効果的な狭帯域用の帯域制限フィルタおよびアンプを選択する。また、動作周波数切替部1304にて狭帯域用の低速クロックを選択する。一方、オーナーの意思の情報が、低消費電力優先しない旨を示す場合、帯域切替部1301により、広帯域用の帯域制限フィルタおよびアンプを選択する。また、動作周波数切替部1304にて広帯域用の高速クロックを選択する。
(8)明け方や夜中などのトラフィックの少ない時間帯となった場合、帯域切替部1301により、低消費電力に効果的な狭帯域用の帯域制限フィルタおよびアンプを選択する。また、動作周波数切替部1304にて狭帯域用の低速クロックを選択する。一方、オーナーの意思が、低消費電力優先しない旨を示す場合、帯域切替部1301により、広帯域用の帯域制限フィルタおよびアンプを選択する。また、動作周波数切替部1304にて広帯域用の高速クロックを選択する。
上記具体例(1)の登録されたUEの数および具体例(2)の登録されたUEのカテゴリを含む登録UEの情報、具体例(3)および(4)のHeNBのオーナーの意思の情報、具体例(5)の上位装置とのデータのやり取りがあるか否かの情報、具体例(7)のHeNBとUEとの間で一定時間通信が行われていないか否かの情報、具体例(8)のトラフィックの少ない時間帯となったか否かの情報は、基地局装置で判断される情報に相当する。具体例(5)および(6)の上位装置は、基地局上位装置に相当し、具体的には、MME、HeNB−GWなどである。具体例(6)の上位装置からの低消費電力動作指示は、基地局上位装置からの指示に相当する。
HeNB1300において、変調部1206、復調部1209、エンコーダー部1205およびデコーダー部1210は、ベースバンド信号処理部を構成する。ベースバンド信号処理部を構成する各部、すなわち変調部1206、復調部1209、エンコーダー部1205およびデコーダー部1210は、同一のクロックを供給する同期回路としておく。これにより、クロック発信機から一元的にクロック信号を供給することができるので、クロック周波数を変化させても、ベースバンド信号処理部を構成する各部は同期して動作することができる。
装置内部のシステムタイミングカウンタは、3GPPなどで規定されているものについてはカウンタ変化周期が変わってはいけないので、クロック周波数が変わっても変わらないように、イネーブル(enable)信号などを用いた回路としておく。上位装置とのタイミング関係の変化は、送信側では、送信データバッファ部1204によりタイミングを吸収する。
前述のように本参考形態では、登録UE属性記憶部1303には、HeNB1300に登録されるUE数、UEカテゴリが記憶されている。これらの情報から、制御部1211は、HeNB1300が処理帯域として必要とする周波数帯域を求め、求めた周波数帯域に応じて、帯域切替部1213によりRF部1302の帯域制限フィルタを選択して、広帯域用RF回路または狭帯域用RF回路を選択する。UEが狭帯域に対応しており、広帯域への対応が不要の場合は、狭帯域用RF回路が選択される。これによって、消費電力を削減することができる。
このようにHeNB1300に登録するUEの数および属性に合わせて、HeNB1300の動作を制限することによって、HeNB1300の低消費電力化が可能となる。したがって、ローカルエリアレンジのネットワークノードであるHeNB1300における低消費電力化を効率良く行うことができる。
また登録するUEの数および属性に代えて、前述の上位装置とのデータのやり取りがあるか否かの情報などの基地局装置で判断される情報、または基地局上位装置からの指示に基づいて、処理帯域として必要とする周波数帯域を切替える場合も、同様の効果を得ることができる。基地局装置で判断される情報に基づいて、処理帯域として必要とする周波数帯域を切替えることによって、基地局装置で判断される情報に合わせて、無線部で使用される周波数帯域を制限して無線部の動作を制限し、消費電力を削減することができる。また基地局上位装置からの指示に基づいて、処理帯域として必要とする周波数帯域を切替えることによって、基地局上位装置からの指示に合わせて、無線部で使用される周波数帯域を制限して無線部の動作を制限し、消費電力を削減することができる。したがって、いずれの場合も、ローカルエリアレンジのネットワークノードである基地局装置における低消費電力化を効率良く行うことができる。
本参考形態では、広帯域には高速クロック、広帯域用の帯域制限フィルタおよびアンプ、狭帯域には低速クロック、狭帯域用の帯域制限フィルタおよびアンプ、としているが、クロック速度と、帯域制限フィルタ、アンプは、それぞれ独立であってもよい。つまり、クロック速度はそのままで、制御信号により、広帯域用の帯域制限フィルタおよびアンプを選択することも、狭帯域用の帯域制限フィルタおよびアンプを選択することも可能である。
また、帯域制限の考え方として、先行文献「Energy saving at eNB(R1-100298)」(3GPP TSG RAN WG1 Meeting#59bis Valencia,Spain,January 18-22,2010,NTT DOCOMO)にあるように、図18で帯域A、Bの2つがあったときに、片方の帯域Bを無くす帯域制限方法、あるいは、同じ帯域AないしBの帯域幅をそれぞれ減らす方法がある。
図18は、周波数スケジューリングを示す図である。図18において、斜線で示される四角(□)は、リソースブロックなどの周波数の塊を表す。例として、図18に示す斜線の□を1サブキャリアとして描いたサブキャリアの図を図19および図20に示す。図19は、サブキャリア1本の例を示す図であり、図20は、周波数帯域を構成するサブキャリアを示す図である。図19において、斜線で示される部分は、無線伝送路状態により直交性が崩れた場合に、干渉となり得る部分である。図19に示すように、伝送路条件により、隣り同士のサブキャリア間で直交性が崩れ、干渉する可能性がある。
図21は、図18に示す2つの帯域A,Bのうち、片方の帯域Bを無くす帯域制限方法を用いた場合の周波数スケジューリングおよびサブキャリアを示す図である。図22は、図18に示す2つの帯域A,Bの帯域幅をそれぞれ減らす方法を用いた場合の周波数スケジューリングおよびサブキャリアを示す図である。図21(a)および図22(a)は周波数スケジューリングを示し、図21(b)および図22(b)はサブキャリアを示す。図21(a)および図22(a)では、実際には存在しない周波数の塊を破線の四角(□)で示す。図21(b)および図22(b)では、実際には存在しないサブキャリアを破線で示す。図21(b)および図22(b)において、斜線で示される部分は、無線伝送路状態により直交性が崩れた場合に、干渉となり得る部分である。
図21および図22で用いた方法は、隣り同士の帯域をまとめて残す帯域制限方法であり、無線伝送路の歪みなどの問題により、隣り合う周波数同士のサブキャリアの直交性が崩れた場合に、サブキャリア間干渉を起こす問題はそのまま残される。例えば図21(b)および図22(b)に示すように、伝送路条件により、隣り同士のサブキャリア間で直交性が崩れ、干渉する可能性がある。
そこで、リソースブロックなどの周波数の塊ごとに、最小単位ではサブキャリアごとに、交互にデータ伝送を無くす歯抜けのようにすることが考えられる。図23は、サブキャリア毎に交互にデータ伝送を無くす帯域制限方法を用いた場合の周波数スケジューリングおよびサブキャリアを示す図である。図23(a)は周波数スケジューリングを示し、図23(b)はサブキャリアを示す。図23(a)では、実際には存在しない周波数の塊を破線の四角(□)で示す。図23(b)では、実際には存在しないサブキャリアを破線で示す。図23(b)において、斜線で示される部分は、無線伝送路状態により直交性が崩れた場合に、干渉となり得る部分である。
図23(b)に示すように、隣りのサブキャリアを送信しないような間引きを行うことで、サブキャリア間の干渉を少なくすることができる。これによって送信電力を小さく抑えることができ、省電力化につながる。このようにリソースブロックなどの周波数の塊ごとに、例えばサブキャリアごとに交互にデータ伝送を無くすように帯域制限することにより、サブキャリア干渉を少なくすることができ、送信電力を小さく抑えられる。これによって、消費電力の低減効果を得ることができる。
以上の実施の形態および各参考形態では、LTEシステム(E−UTRAN)を中心に記載したが、本発明の移動体通信システムは、LTEアドヴァンスド(LTE-Advanced)およびW−CDMAシステム(UTRAN、UMTS)に適用可能である。また、以上の実施の形態および各参考形態では、HeNBを中心に記載しているが、マイクロセル(micro cells)、ピコセル(pico cells)およびリレーノード(relay nodes)でも同様に実施可能である。
この発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。