第3世代と呼ばれる通信方式のうち、W−CDMA(Wideband Code division Multiple Access)方式が、2001年から日本で商用サービスが開始されている。また、下りリンク(個別データチャネル、個別制御チャネル)にパケット伝送用のチャネル(High Speed-Downlink Shared Channel:HS−DSCH)を追加することにより、下りリンクを用いたデータ送信の更なる高速化を実現するHSDPA(High Speed Downlink Packet Access)のサービスが開始されている。さらに、上り方向のデータ送信をより高速化するために、HSUPA(High Speed Uplink Packet Access)方式についてもサービスが開始されている。W−CDMAは、移動体通信システムの規格化団体である3GPP(3rd Generation Partnership Project)により定められた通信方式であり、リリース10版の規格書がとりまとめられている。
また、3GPPにおいて、W−CDMAとは別の通信方式として、無線区間についてはロングタームエボリューション(Long Term Evolution:LTE)と称し、コアネットワークおよび無線アクセスネットワーク(以下、まとめて、ネットワークとも称する)を含めたシステム全体構成については、システムアーキテクチャエボリューション(System Architecture Evolution:SAE)と称される新たな通信方式が検討されている。この通信方式は3.9G(3.9 Generation)システムとも呼ばれる。
LTEでは、アクセス方式、無線のチャネル構成やプロトコルが、W−CDMA(HSDPA/HSUPA)とは全く異なるものになる。例えば、アクセス方式は、W−CDMAが符号分割多元接続(Code Division Multiple Access)を用いているのに対して、LTEは下り方向はOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)、上り方向はSC−FDMA(Single Career Frequency Division Multiple Access)を用いる。また、帯域幅は、W−CDMAが5MHzであるのに対し、LTEでは1.4MHz,3MHz,5MHz,10MHz,15MHz,20MHzの中で基地局毎に選択可能となっている。また、LTEでは、W−CDMAとは異なり、回線交換を含まず、パケット通信方式のみになる。
LTEでは、W−CDMAのコアネットワークであるGPRS(General Packet Radio Service)とは異なる新たなコアネットワークを用いて通信システムが構成されるので、LTEの無線アクセス網(無線アクセスネットワーク(radio access network))は、W−CDMA網とは別の独立した無線アクセス網として定義される。
したがって、W−CDMAの通信システムと区別するために、LTEの通信システムでは、コアネットワークはEPC(Evolved Packet Core)と称され、無線アクセスネットワークはE−UTRAN(Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network)と称される。また無線アクセスネットワークにおいて、通信端末装置である移動端末(User Equipment:UE)と通信を行う基地局(Base station)はeNB(E-UTRAN NodeB)と称される。また複数の基地局と制御データおよびユーザデータのやり取りを行う基地局制御装置(Radio Network Controller)の機能は、EPCが担う。EPCは、aGW(Access Gateway)とも称される。またEPCとE−UTRANとで構成されるシステムは、EPS(Evolved Packet System)と称される。
LTEの通信システムでは、ユニキャスト(Unicast)サービスとE-MBMSサービス(Evolved Multimedia Broadcast Multicast Service)とが提供される。E−MBMSサービスとは、放送型マルチメディアサービスである。E−MBMSサービスは、単にMBMSと称される場合もある。E−MBMSサービスでは、複数の移動端末に対して、ニュースおよび天気予報、ならびにモバイル放送などの大容量放送コンテンツが送信される。これを1対多(Point to Multipoint)サービスともいう。
3GPPでの、LTEシステムにおける全体的なアーキテクチャ(Architecture)に関する決定事項が、非特許文献1(4章)に記載されている。全体的なアーキテクチャについて図1を用いて説明する。図1は、LTE方式の通信システムの構成を示す説明図である。図1において、移動端末101に対する制御プロトコル、例えばRRC(Radio Resource Control)と、ユーザプレイン、例えばPDCP(Packet Data Convergence Protocol)、RLC(Radio Link Control)、MAC(Medium Access Control)、PHY(Physical layer)とが基地局102で終端するならば、E−UTRANは1つあるいは複数の基地局102によって構成される。
基地局102は、移動管理エンティティ(Mobility Management Entity:MME)103から通知されるページング信号(Paging Signal、ページングメッセージ(paging messages)とも称される)のスケジューリング(Scheduling)および送信を行う。基地局102は、X2インタフェースにより、互いに接続される。また基地局102は、S1インタフェースによりEPC(Evolved Packet Core)に接続される。より明確には、基地局102は、S1_MMEインタフェースによりMME(Mobility Management Entity)103に接続され、S1_UインタフェースによりS−GW(Serving Gateway)104に接続される。
MME103は、複数あるいは単数の基地局102へのページング信号の分配を行う。また、MME103は、待受け状態(Idle State)のモビリティ制御(Mobility control)を行う。MME103は、移動端末が待ち受け状態の際、および、アクティブ状態(Active State)の際に、トラッキングエリア(Tracking Area)リストの管理を行う。
S−GW104は、一つまたは複数の基地局102とユーザデータの送受信を行う。S−GW104は、基地局間のハンドオーバの際、ローカルな移動性のアンカーポイント(Mobility Anchor Point)となる。EPCには、さらにP−GW(PDN Gateway)が存在する。P−GWは、ユーザ毎のパケットフィルタリングおよびUE−IDアドレスの割当などを行う。
移動端末101と基地局102との間の制御プロトコルRRCは、報知(Broadcast)、ページング(paging)、RRC接続マネージメント(RRC connection management)などを行う。RRCにおける基地局と移動端末との状態として、RRC_IDLEと、RRC_CONNECTEDとがある。RRC_IDLEでは、PLMN(Public Land Mobile Network)選択、システム情報(System Information:SI)の報知、ページング(paging)、セル再選択(cell re-selection)、モビリティなどが行われる。RRC_CONNECTEDでは、移動端末はRRC接続(connection)を有し、ネットワークとのデータの送受信を行うことができる。またRRC_CONNECTEDでは、ハンドオーバ(Handover:HO)、隣接セル(Neighbour cell)のメジャメントなどが行われる。
非特許文献1(5章)に記載される、3GPPでの、LTEシステムにおけるフレーム構成に関する決定事項について、図2を用いて説明する。図2は、LTE方式の通信システムで使用される無線フレームの構成を示す説明図である。図2において、1つの無線フレーム(Radio frame)は10msである。無線フレームは10個の等しい大きさのサブフレーム(Subframe)に分割される。サブフレームは、2個の等しい大きさのスロット(slot)に分割される。無線フレーム毎に1番目および6番目のサブフレームに下り同期信号(Downlink Synchronization Signal:SS)が含まれる。同期信号には、第一同期信号(Primary Synchronization Signal:P−SS)と、第二同期信号(Secondary Synchronization Signal:S−SS)とがある。
サブフレーム単位で、MBSFN(Multimedia Broadcast multicast service Single Frequency Network)用のチャネルと、MBSFN以外用のチャネルとの多重が行われる。MBSFN送信(MBSFN Transmission)とは、同時に複数のセルから同じ波形の送信により実現される同時放送送信技術(simulcast transmission technique)である。MBSFN領域(MBSFN Area)の複数のセルからのMBSFN送信は、移動端末には、1つの送信と認識される。MBSFNとは、このようなMBSFN送信をサポートするネットワークである。以降、MBSFN送信用のサブフレームをMBSFNサブフレーム(MBSFN subframe)と称する。
非特許文献2に、MBSFNサブフレームの割り当て時のシグナリング例が記載されている。図3は、MBSFNフレームの構成を示す説明図である。図3に示すように、割当周期(radio Frame Allocation Period)毎にMBSFNサブフレームを含む無線フレームが割り当てられる。MBSFNサブフレームは、割当周期と割当オフセット(radio Frame Allocation Offset)とによって定義された無線フレームにてMBSFNのために割り当てられるサブフレームであり、マルチメディアデータを伝送するためのサブフレームである。以下の式(1)を満たす無線フレームが、MBSFNサブフレームを含む無線フレームである。
SFN mod radioFrameAllocationPeriod=radioFrameAllocationOffset …(1)
MBSFNサブフレームの割当は6ビットにて行われる。図3の1番左のビットは、サブフレームの2番目(#1)のMBSFN割当を定義する。左から2番目のビットはサブフレームの3番目(#2)、左から3番目のビットはサブフレームの4番目(#3)、左から4番目のビットはサブフレームの7番目(#6)、左から5番目のビットはサブフレームの8番目(#7)、左から6番目のビットはサブフレームの9番目(#8)のMBSFN割当を定義する。該ビットが「1」を示す場合、対応するサブフレームがMBSFNのために割当てられることを示す。
3GPPでの、LTEシステムにおけるチャネル構成に関する決定事項が、非特許文献1(5章)に記載されている。CSG(Closed Subscriber Group)セルにおいてもnon−CSGセルと同じチャネル構成が用いられると想定されている。物理チャネル(Physical channel)について、図4を用いて説明する。図4は、LTE方式の通信システムで使用される物理チャネルを説明する説明図である。
図4において、物理報知チャネル(Physical Broadcast channel:PBCH)401は、基地局102から移動端末101への下り送信用のチャネルである。BCHトランスポートブロック(transport block)は、40ms間隔中の4個のサブフレームにマッピングされる。40msタイミングの明白なシグナリングはない。
物理制御フォーマットインジケータチャネル(Physical Control Format Indicator Channel:PCFICH)402は、基地局102から移動端末101への下り送信用のチャネルである。PCFICHは、PDCCHsのために用いるOFDMシンボルの数を、基地局102から移動端末101へ通知する。PCFICHは、サブフレーム毎に送信される。
物理下り制御チャネル(Physical Downlink Control Channel:PDCCH)403は、基地局102から移動端末101への下り送信用のチャネルである。PDCCHは、後述の図5に示されるトランスポートチャネルの1つである下り共有チャネル(Downlink Shared Channel:DL−SCH)のリソース割り当て(allocation)情報、図5に示されるトランスポートチャネルの1つであるページングチャネル(Paging Channel:PCH)のリソース割り当て(allocation)情報、DL−SCHに関するHARQ(Hybrid Automatic Repeat reQuest)情報を通知する。PDCCHは、上りスケジューリンググラント(Uplink Scheduling Grant)を運ぶ。PDCCHは、上り送信に対する応答信号であるAck(Acknowledgement)/Nack(Negative Acknowledgement)を運ぶ。PDCCHは、L1/L2制御信号とも呼ばれる。
物理下り共有チャネル(Physical Downlink Shared Channel:PDSCH)404は、基地局102から移動端末101への下り送信用のチャネルである。PDSCHには、トランスポートチャネルである下り共有チャネル(DL−SCH)、およびトランスポートチャネルであるPCHがマッピングされている。
物理マルチキャストチャネル(Physical Multicast Channel:PMCH)405は、基地局102から移動端末101への下り送信用のチャネルである。PMCHには、トランスポートチャネルであるマルチキャストチャネル(Multicast Channel:MCH)がマッピングされている。
物理上り制御チャネル(Physical Uplink Control Channel:PUCCH)406は、移動端末101から基地局102への上り送信用のチャネルである。PUCCHは、下り送信に対する応答信号(response signal)であるAck/Nackを運ぶ。PUCCHは、CQI(Channel Quality Indicator)レポートを運ぶ。CQIとは、受信したデータの品質、もしくは通信路品質を示す品質情報である。またPUCCHは、スケジューリングリクエスト(Scheduling Request:SR)を運ぶ。
物理上り共有チャネル(Physical Uplink Shared Channel:PUSCH)407は、移動端末101から基地局102への上り送信用のチャネルである。PUSCHには、図5に示されるトランスポートチャネルの1つである上り共有チャネル(Uplink Shared Channel:UL−SCH)がマッピングされている。
物理HARQインジケータチャネル(Physical Hybrid ARQ Indicator Channel:PHICH)408は、基地局102から移動端末101への下り送信用のチャネルである。PHICHは、上り送信に対する応答信号であるAck/Nackを運ぶ。物理ランダムアクセスチャネル(Physical Random Access Channel:PRACH)409は、移動端末101から基地局102への上り送信用のチャネルである。PRACHは、ランダムアクセスプリアンブル(random access preamble)を運ぶ。
下り参照信号(リファレンスシグナル(Reference Signal):RS)は、LTE方式の通信システムとして既知のシンボルである。以下の5種類の下りリファレンスシグナルが定義されている。セル固有参照信号(Cell-specific Reference Signals:CRS)、MBSFN参照信号(MBSFN reference signals)、UE固有参照信号(UE-specific reference signals)であるデータ復調用参照信号(Demodulation Reference Signal:DM−RS)、位置決定参照信号(Positioning Reference Signals:PRS)、チャネル情報参照信号(Channel-State Information Reference Signals:CSI−RS)。移動端末の物理レイヤの測定として、リファレンスシグナルの受信電力(Reference Signal Received Power:RSRP)測定がある。
非特許文献1(5章)に記載されるトランスポートチャネル(Transport channel)について、図5を用いて説明する。図5は、LTE方式の通信システムで使用されるトランスポートチャネルを説明する説明図である。図5(A)には、下りトランスポートチャネルと下り物理チャネルとの間のマッピングを示す。図5(B)には、上りトランスポートチャネルと上り物理チャネルとの間のマッピングを示す。
図5(A)に示す下りトランスポートチャネルのうち、報知チャネル(Broadcast Channel:BCH)は、その基地局(セル)のカバレッジ全体に報知される。BCHは、物理報知チャネル(PBCH)にマッピングされる。
下り共有チャネル(Downlink Shared Channel:DL−SCH)には、HARQ(Hybrid ARQ)による再送制御が適用される。DL−SCHは、基地局(セル)のカバレッジ全体への報知が可能である。DL−SCHは、ダイナミックあるいは準静的(Semi-static)なリソース割り当てをサポートする。準静的なリソース割り当ては、パーシステントスケジューリング(Persistent Scheduling)ともいわれる。DL−SCHは、移動端末の低消費電力化のために移動端末の間欠受信(Discontinuous reception:DRX)をサポートする。DL−SCHは、物理下り共有チャネル(PDSCH)へマッピングされる。
ページングチャネル(Paging Channel:PCH)は、移動端末の低消費電力を可能とするために移動端末のDRXをサポートする。PCHは、基地局(セル)のカバレッジ全体への報知が要求される。PCHは、動的にトラフィックに利用できる物理下り共有チャネル(PDSCH)のような物理リソースへマッピングされる。
マルチキャストチャネル(Multicast Channel:MCH)は、基地局(セル)のカバレッジ全体への報知に使用される。MCHは、マルチセル送信におけるMBMSサービス(MTCHとMCCH)のSFN合成をサポートする。MCHは、準静的なリソース割り当てをサポートする。MCHは、PMCHへマッピングされる。
図5(B)に示す上りトランスポートチャネルのうち、上り共有チャネル(Uplink Shared Channel:UL−SCH)には、HARQ(Hybrid ARQ)による再送制御が適用される。UL−SCHは、ダイナミックあるいは準静的(Semi-static)なリソース割り当てをサポートする。UL−SCHは、物理上り共有チャネル(PUSCH)へマッピングされる。
図5(B)に示されるランダムアクセスチャネル(Random Access Channel:RACH)は、制御情報に限られている。RACHは、衝突のリスクがある。RACHは、物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)へマッピングされる。
HARQについて説明する。HARQとは、自動再送要求(Automatic Repeat reQuest:ARQ)と誤り訂正(Forward Error Correction)との組合せにより、伝送路の通信品質を向上させる技術である。HARQには、通信品質が変化する伝送路に対しても、再送により誤り訂正が有効に機能するという利点がある。特に、再送にあたって初送の受信結果と再送の受信結果との合成をすることで、更なる品質向上を得ることも可能である。
再送の方法の一例を説明する。受信側にて、受信データが正しくデコードできなかった場合、換言すればCRC(Cyclic Redundancy Check)エラーが発生した場合(CRC=NG)、受信側から送信側へ「Nack」を送信する。「Nack」を受信した送信側は、データを再送する。受信側にて、受信データが正しくデコードできた場合、換言すればCRCエラーが発生しない場合(CRC=OK)、受信側から送信側へ「Ack」を送信する。「Ack」を受信した送信側は次のデータを送信する。
HARQ方式の一例として、チェースコンバイニング(Chase Combining)がある。チェースコンバイニングとは、初送と再送とにおいて、同じデータを送信するものであり、再送において初送のデータと再送のデータとの合成を行うことで、利得を向上させる方式である。チェースコンバイニングは、初送データに誤りがあったとしても、部分的に正確なものも含まれており、正確な部分の初送データと再送データとを合成することで、より高精度にデータを送信できるという考え方に基づいている。また、HARQ方式の別の例として、IR(Incremental Redundancy)がある。IRとは、冗長度を増加させるものであり、再送においてパリティビットを送信することで、初送と組合せて冗長度を増加させ、誤り訂正機能により品質を向上させるものである。
非特許文献1(6章)に記載される論理チャネル(ロジカルチャネル:Logical channel)について、図6を用いて説明する。図6は、LTE方式の通信システムで使用される論理チャネルを説明する説明図である。図6(A)には、下りロジカルチャネルと下りトランスポートチャネルとの間のマッピングを示す。図6(B)には、上りロジカルチャネルと上りトランスポートチャネルとの間のマッピングを示す。
報知制御チャネル(Broadcast Control Channel:BCCH)は、報知システム制御情報のための下りチャネルである。論理チャネルであるBCCHは、トランスポートチャネルである報知チャネル(BCH)、あるいは下り共有チャネル(DL−SCH)へマッピングされる。
ページング制御チャネル(Paging Control Channel:PCCH)は、ページング情報(Paging Information)およびシステム情報(System Information)の変更を送信するための下りチャネルである。PCCHは、移動端末のセルロケーションをネットワークが知らない場合に用いられる。論理チャネルであるPCCHは、トランスポートチャネルであるページングチャネル(PCH)へマッピングされる。
共有制御チャネル(Common Control Channel:CCCH)は、移動端末と基地局との間の送信制御情報のためのチャネルである。CCCHは、移動端末がネットワークとの間でRRC接続(connection)を有していない場合に用いられる。下り方向では、CCCHは、トランスポートチャネルである下り共有チャネル(DL−SCH)へマッピングされる。上り方向では、CCCHは、トランスポートチャネルである上り共有チャネル(UL−SCH)へマッピングされる。
マルチキャスト制御チャネル(Multicast Control Channel:MCCH)は、1対多の送信のための下りチャネルである。MCCHは、ネットワークから移動端末への1つあるいはいくつかのMTCH用のMBMS制御情報の送信のために用いられる。MCCHは、MBMS受信中の移動端末のみに用いられる。MCCHは、トランスポートチャネルであるマルチキャストチャネル(MCH)へマッピングされる。
個別制御チャネル(Dedicated Control Channel:DCCH)は、1対1にて、移動端末とネットワークとの間の個別制御情報を送信するチャネルである。DCCHは、移動端末がRRC接続(connection)である場合に用いられる。DCCHは、上りでは上り共有チャネル(UL−SCH)へマッピングされ、下りでは下り共有チャネル(DL−SCH)にマッピングされる。
個別トラフィックチャネル(Dedicated Traffic Channel:DTCH)は、ユーザ情報の送信のための個別移動端末への1対1通信のチャネルである。DTCHは、上りおよび下りともに存在する。DTCHは、上りでは上り共有チャネル(UL−SCH)へマッピングされ、下りでは下り共有チャネル(DL−SCH)へマッピングされる。
マルチキャストトラフィックチャネル(Multicast Traffic channel:MTCH)は、ネットワークから移動端末へのトラフィックデータ送信のための下りチャネルである。MTCHは、MBMS受信中の移動端末のみに用いられるチャネルである。MTCHは、マルチキャストチャネル(MCH)へマッピングされる。
CGIとは、セルグローバル識別子(Cell Global Identification)のことである。ECGIとは、E−UTRANセルグローバル識別子(E-UTRAN Cell Global Identification)のことである。LTE、後述のLTE−A(Long Term Evolution Advanced)およびUMTS(Universal Mobile Telecommunication System)において、CSG(Closed Subscriber Group)セルが導入される。CSGセルについて以下に説明する(非特許文献3 3.1章参照)。
CSG(Closed Subscriber Group)セルとは、利用可能な加入者をオペレータが特定しているセル(以下「特定加入者用セル」という場合がある)である。特定された加入者は、PLMN(Public Land Mobile Network)の1つ以上のセルにアクセスすることが許可される。特定された加入者がアクセスを許可されている1つ以上のセルを「CSGセル(CSG cell(s))」と呼ぶ。ただし、PLMNにはアクセス制限がある。
CSGセルは、固有のCSGアイデンティティ(CSG identity:CSG ID;CSG−ID)を報知し、CSGインジケーション(CSG Indication)にて「TRUE」を報知するPLMNの一部である。予め利用登録し、許可された加入者グループのメンバーは、アクセス許可情報であるところのCSG−IDを用いてCSGセルにアクセスする。
CSG−IDは、CSGセルまたはセルによって報知される。LTE方式の通信システムにCSG−IDは複数存在する。そして、CSG−IDは、CSG関連のメンバーのアクセスを容易にするために、移動端末(UE)によって使用される。
移動端末の位置追跡は、1つ以上のセルからなる区域を単位に行われる。位置追跡は、待受け状態であっても移動端末の位置を追跡し、移動端末を呼び出す、換言すれば移動端末が着呼することを可能にするために行われる。この移動端末の位置追跡のための区域をトラッキングエリアと呼ぶ。
CSGホワイトリスト(CSG White List)とは、加入者が属するCSGセルのすべてのCSG IDが記録されている、USIM(Universal Subscriber Identity Module)に格納されることもあるリストである。CSGホワイトリストは、単にホワイトリスト、あるいは許可CSGリスト(Allowed CSG List)と呼ばれることもある。CSGセルを通しての移動端末のアクセスは、MMEがアクセスコントロール(access control)を実行する(非特許文献4 4.3.1.2章参照)。移動端末のアクセスの具体例としては、アタッチ(attach)、コンバインドアタッチ(combined attach)、デタッチ(detach)、サービスリクエスト(service request)、トラッキングエリアアップデートプロシジャー(Tracking Area Update procedure)などがある(非特許文献4 4.3.1.2章参照)。
待受け状態の移動端末のサービスタイプについて以下に説明する(非特許文献3 4.3章参照)。待受け状態の移動端末のサービスタイプとしては、制限されたサービス(Limited service、限られたサービスとも称される)、標準サービス(ノーマルサービス(Normal service))、オペレータサービス(Operator service)がある。制限されたサービスとは、後述のアクセプタブルセル上の緊急呼(Emergency calls)、ETWS(Earthquake and Tsunami Warning System)、CMAS(Commercial Mobile Alert System)である。標準サービス(通常サービスとも称される)とは、後述の適切なセル上の公共のサービスである。オペレータサービスとは、後述のリザーブセル上のオペレータのためのみのサービスである。
「適切なセル(Suitable cell)」について以下に説明する。「適切なセル(Suitable cell)」とは、UEが通常(normal)サービスを受けるためにキャンプオン(Camp ON)するかもしれないセルである。そのようなセルは、以下の(1),(2)の条件を満たすものとする。
(1)セルは、選択されたPLMNもしくは登録されたPLMN、または「Equivalent PLMNリスト」のPLMNの一部であること。
(2)NAS(Non-Access Stratum)によって提供された最新情報にて、さらに以下の(a)〜(d)の条件を満たすこと。
(a)そのセルが禁じられた(barred)セルでないこと。
(b)そのセルが「ローミングのための禁止されたLAs」リストの一部でないトラッキングエリア(Tracking Area)の一部であること。その場合、そのセルは前記(1)を満たす必要がある。
(c)そのセルが、セル選択評価基準を満たしていること。
(d)そのセルが、CSGセルとしてシステム情報(System Information:SI)によって特定されたセルに関しては、CSG−IDはUEの「CSGホワイトリスト」(CSG WhiteList)の一部であること、すなわちUEのCSG WhiteList中に含まれること。
「アクセプタブルセル(Acceptable cell)」について以下に説明する。「アクセプタブルセル(Acceptable cell)」とは、UEが制限されたサービスを受けるためにキャンプオンするかもしれないセルである。そのようなセルは、以下の(1),(2)のすべての要件を充足するものとする。
(1)そのセルが禁じられたセル(「バードセル(Barred cell)」とも称される)でないこと。
(2)そのセルが、セル選択評価基準を満たしていること。
「バードセル(Barred cell)」は、システム情報で指示がある。「リザーブセル(Reserved cell)」は、システム情報で指示がある。
「セルにキャンプオン(camp on)する」とは、UEがセル選択(cell selection)またはセル再選択(cell reselection)の処理を完了し、UEがシステム情報とページング情報とをモニタするセルを選択した状態になることをいう。UEがキャンプオンするセルを「サービングセル(Serving cell)」と称することがある。
3GPPにおいて、Home−NodeB(Home−NB;HNB)、Home−eNodeB(Home−eNB;HeNB)と称される基地局が検討されている。UTRANにおけるHNB、およびE−UTRANにおけるHeNBは、例えば家庭、法人、商業用のアクセスサービス向けの基地局である。非特許文献5には、HeNBおよびHNBへのアクセスの3つの異なるモードが開示されている。具体的には、オープンアクセスモード(Open access mode)と、クローズドアクセスモード(Closed access mode)と、ハイブリッドアクセスモード(Hybrid access mode)とが開示されている。
各々のモードは、以下のような特徴を有する。オープンアクセスモードでは、HeNBおよびHNBは、通常のオペレータのノーマルセルとして操作される。クローズドアクセスモードでは、HeNBおよびHNBは、CSGセルとして操作される。このCSGセルは、CSGメンバーのみアクセス可能なCSGセルである。ハイブリッドアクセスモードでは、HeNBおよびHNBは、非CSGメンバーも同時にアクセス許可されているCSGセルとして操作される。言い換えれば、ハイブリッドアクセスモードのセル(ハイブリッドセルとも称する)は、オープンアクセスモードとクローズドアクセスモードとの両方をサポートするセルである。
3GPPでは、全PCI(Physical Cell Identity)のうち、CSGセルで使用するためにネットワークによって予約されたPCI範囲がある(非特許文献1 10.5.1.1章参照)。PCI範囲を分割することをPCIスプリットと称することがある。PCIスプリットに関する情報(PCIスプリット情報とも称する)は、システム情報によって基地局から傘下の移動端末に対して報知される。基地局の傘下とは、該基地局をサービングセルとすることを意味する。
非特許文献6は、PCIスプリットを用いた移動端末の基本動作を開示する。PCIスプリット情報を有していない移動端末は、全PCIを用いて、例えば504コード全てを用いて、セルサーチを行う必要がある。これに対して、PCIスプリット情報を有する移動端末は、当該PCIスプリット情報を用いてセルサーチを行うことが可能である。
また3GPPでは、リリース10として、ロングタームエボリューションアドヴァンスド(Long Term Evolution Advanced:LTE−A)の規格策定が進められている(非特許文献7、非特許文献8参照)。
LTE−Aシステムでは、高い通信速度、セルエッジでの高いスループット、新たなカバレッジエリアなどを得るために、リレー(Relay)およびリレーノード(Relay Node:RN)をサポートすることが検討されている。中継装置であるリレーノードは、ドナーセル(Donor cell、以下「ドナーeNB(Donor eNB;DeNB)」という場合がある)と呼ばれるセルを介して、無線アクセスネットワークに無線で接続される。ドナーセルの範囲内で、ネットワーク(Network:NW)からリレーノードへのリンクは、ネットワークからUEへのリンクと同じ周波数帯域(周波数バンド(band))を共用する。この場合、3GPPのリリース8対応のUEも該ドナーセルに接続可能とする。ドナーセルとリレーノードとの間のリンクをバックホールリンク(backhaul link)と称し、リレーノードとUEとの間のリンクをアクセスリンク(access link)と称する。
FDD(Frequency Division Duplex)におけるバックホールリンクの多重方法として、DeNBからRNへの送信は下り(DL)周波数バンドで行われ、RNからDeNBへの送信は上り(UL)周波数バンドで行われる。リレーにおけるリソースの分割方法として、DeNBからRNへのリンクおよびRNからUEへのリンクが一つの周波数バンドで時分割多重され、RNからDeNBへのリンクおよびUEからRNへのリンクも一つの周波数バンドで時分割多重される。こうすることで、リレーにおいて、リレーの送信が自リレーの受信へ干渉することを防ぐことができる。
3GPPでは、通常のeNB(マクロセル)だけでなく、ピコeNB(ピコセル(pico cell))、HeNB(HNB、CSGセル)、ホットゾーンセル用のノード、リレーノード、リモートラジオヘッド(Remote Radio Head:RRH)、リピータなどのいわゆるローカルノードが検討されている。前述のような各種タイプのセルからなるネットワークは、異機種ネットワーク(heterogeneous network、ヘットネット)と称されることもある。
LTEでは、通信に使用可能な周波数バンド(以下「オペレーティングバンド」という場合がある)が予め決められている。非特許文献9には、該周波数バンドが記載されている。
LTE−Aシステムでは、100MHzまでのより広い周波数帯域幅(transmission bandwidths)をサポートするために、二つ以上のコンポーネントキャリア(Component Carrier:CC)を集約する(「アグリゲーション(aggregation)する」とも称する)、キャリアアグリゲーション(Carrier Aggregation:CA)が検討されている。
LTE対応である、3GPPのリリース8または9対応のUEは、一つのサービングセルに相当する一つのCC上のみで送受信可能である。これに対して、3GPPのリリース10対応のUEは、複数のサービングセルに相当する複数のCC上で同時に送受信、あるいは受信のみ、あるいは送信のみをするための能力(ケーパビリティ、capability)を有することが考えられている。
各CCは、3GPPのリリース8または9の構成を用いており、CAは、連続CC、非連続CC、および異なる周波数帯域幅のCCをサポートする。UEが下りリンクのCC(DL CC)の個数以上の個数の、上りリンクのCC(UL CC)を構成することは不可能である。同一eNBから構成されるCCは、同じカバレッジを提供する必要は無い。CCは、3GPPのリリース8または9と互換性を有する。
CAにおいて、上りリンク、下りリンクともに、サービングセル毎に一つの独立したHARQエンティティがある。トランスポートブロックは、サービングセル毎にTTI毎に生成される。各トランスポートブロックとHARQ再送とは、シングルサービングセルにマッピングされる。
CAが構成される場合、UEはNWと唯一つのRRC接続(RRC connection)を有する。RRC接続において、一つのサービングセルがNASモビリティ情報とセキュリティ入力を与える。このセルをプライマリセル(Primary Cell:PCell)と呼ぶ。下りリンクで、PCellに対応するキャリアは、下りプライマリコンポーネントキャリア(Downlink Primary Component Carrier:DL PCC)である。上りリンクで、PCellに対応するキャリアは、上りプライマリコンポーネントキャリア(Uplink Primary Component Carrier:UL PCC)である。
UEの能力(ケーパビリティ(capability))に応じて、セカンダリセル(Secondary Cell:SCell)が、PCellとサービングセルとの組を形成するために構成される。下りリンクで、SCellに対応するキャリアは、下りセカンダリコンポーネントキャリア(Downlink Secondary Component Carrier:DL SCC)である。上りリンクで、SCellに対応するキャリアは、上りセカンダリコンポーネントキャリア(Uplink Secondary Component Carrier:UL SCC)である。
一つのUEに対して、一つのPCellと、一つ以上のSCellからなるサービングセルとの組が構成される。
3GPPにおいて、さらに進んだ新たな無線区間の通信方式として、前述のLTEアドヴァンスド(LTE Advanced:LTE−A)が検討されている(非特許文献7および非特許文献8参照)。LTE−Aは、LTEの無線区間通信方式を基本とし、それにいくつかの新技術を加えて構成される。新技術としては、より広い帯域をサポートする技術(Wider bandwidth extension)、および多地点協調送受信(Coordinated Multiple Point transmission and reception:CoMP)技術などがある。3GPPでLTE−Aのために検討されているCoMPについては、非特許文献10に記載されている。
CoMPとは、地理的に分離された多地点間で協調した送信あるいは受信を行うことによって、高いデータレートのカバレッジの拡大、セルエッジでのスループットの向上、および通信システムにおけるスループットの増大を図る技術である。CoMPには、下りCoMP(DL CoMP)と、上りCoMP(UL CoMP)とがある。
DL CoMPでは、一つの移動端末(UE)へのPDSCHを多地点(マルチポイント)間で協調して送信する。一つのUEへのPDSCHを、マルチポイントの一つのポイントから送信してもよいし、マルチポイントの複数のポイントから送信してもよい。DL CoMPにおいて、サービングセルとは、PDCCHによってリソース割当を送信する単独のセルである。
DL CoMPの方法として、結合処理(Joint Processing:JP)と、協調スケジューリング(Coordinated Scheduling:CS)または協調ビームフォーミング(Coordinated Beamforming:CB)(以下「CS/CB」という場合がある)とが検討されている。
JPは、CoMPコオペレーティングセット(CoMP cooperating set)中のそれぞれのポイントでデータが利用可能である。JPには、結合送信(Joint Transmission:JT)と、動的ポイント選択(Dynamic Point Selection:DPS)とがある。DPSは、動的セル選択(Dynamic Cell Selection:DCS)を含む。JTでは、ある時点で複数のポイント、具体的にはCoMPコオペレーティングセット(CoMP cooperating set)の一部あるいは全部から、PDSCHの送信が行われる。DPSでは、ある時点でCoMPコオペレーティングセット内の1つのポイントから、PDSCHの送信が行われる。
CS/CBは、サービングセルからのデータ送信でのみ利用可能である。CS/CBでは、CoMPコオペレーティングセットに対応するセル間での調整と併せて、ユーザスケジューリングまたはビームフォーミングの決定がなされる。
マルチポイントで送受信するポイントとしてユニットおよびセルが、ユニットおよびセルとして基地局(NB、eNB、HNB、HeNB)、RRU(Remote Radio Unit)、RRE(Remote Radio Equipment)、RRH(Remote Radio Head)、リレーノード(Relay Node:RN)などが検討されている。多地点協調送信を行うユニットおよびセルを、それぞれマルチポイントユニット、マルチポイントセルと称する場合がある。
3GPPにおいて、リリース12版の規格書の策定が進められている。この中で、将来の膨大なトラフィックに対応するために、スモールeNB(以下「スモールセル」という場合がある)を用いた検討がなされている。例えば、多数のスモールeNB(スモールセル)を設置することによって周波数利用効率を高めて、通信容量の増大を図る技術などが検討されている。
実施の形態1.
図7は、3GPPにおいて議論されているLTE方式の通信システムの全体的な構成を示すブロック図である。3GPPにおいては、CSG(Closed Subscriber Group)セル(E−UTRANのHome−eNodeB(Home−eNB;HeNB)、UTRANのHome−NB(HNB))と、non−CSGセル(E−UTRANのeNodeB(eNB)、UTRANのNodeB(NB)、GERANのBSS)とを含めたシステムの全体的な構成が検討されており、E−UTRANについては、図7のような構成が提案されている(非特許文献1 4.6.1章参照)。
図7について説明する。通信端末装置である移動端末装置(以下「移動端末(User Equipment:UE)」という)71は、基地局装置(以下「基地局」という)72と無線通信可能であり、無線通信で信号の送受信を行う。基地局72は、eNB72−1と、Home−eNB72−2とに分類される。
eNB72−1は、MME、あるいはS−GW、あるいはMMEおよびS−GWを含むMME/S−GW部(以下「MME部」という場合がある)73とS1インタフェースにより接続され、eNB72−1とMME部73との間で制御情報が通信される。一つのeNB72−1に対して、複数のMME部73が接続されてもよい。MME部73は、コアネットワークであるEPCに含まれる。eNB72−1間は、X2インタフェースにより接続され、eNB72−1間で制御情報が通信される。
Home−eNB72−2は、MME部73とS1インタフェースにより接続され、Home−eNB72−2とMME部73との間で制御情報が通信される。一つのMME部73に対して、複数のHome−eNB72−2が接続される。あるいは、Home−eNB72−2は、HeNBGW(Home-eNB GateWay)74を介してMME部73と接続される。Home−eNB72−2とHeNBGW74とは、S1インタフェースにより接続され、HeNBGW74とMME部73とはS1インタフェースを介して接続される。
一つまたは複数のHome−eNB72−2が一つのHeNBGW74と接続され、S1インタフェースを通して情報が通信される。HeNBGW74は、一つまたは複数のMME部73と接続され、S1インタフェースを通して情報が通信される。
MME部73およびHeNBGW74は、上位ノード装置であり、基地局であるeNB72−1およびHome−eNB72−2と、移動端末(UE)71との接続を制御する。MME部73およびHeNBGW74は、コアネットワークであるEPCに含まれる。
さらに3GPPでは、以下のような構成が検討されている。Home−eNB72−2間のX2インタフェースはサポートされる。すなわち、Home−eNB72−2間は、X2インタフェースにより接続され、Home−eNB72−2間で制御情報が通信される。MME部73からは、HeNBGW74はHome−eNB72−2として見える。Home−eNB72−2からは、HeNBGW74はMME部73として見える。
Home−eNB72−2が、HeNBGW74を介してMME部73に接続される場合および直接MME部73に接続される場合のいずれの場合も、Home−eNB72−2とMME部73との間のインタフェースは、S1インタフェースで同じである。HeNBGW74は、複数のMME部73にまたがるような、Home−eNB72−2へのモビリティ、あるいはHome−eNB72−2からのモビリティはサポートしない。Home−eNB72−2は、唯一のセルを構成する。
基地局装置は、例えばHome−eNB72−2のように唯一のセルを構成するが、これに限定されず、複数のセルを構成してもよい。セルは、通信端末装置と通信可能な範囲であるカバレッジとして予め定める範囲を有し、カバレッジ内で通信端末装置と無線通信を行う。1つの基地局装置が複数のセルを構成する場合、1つ1つのセルが、移動端末と通信可能に構成される。
図8は、本発明に係る移動端末である図7に示す移動端末71の構成を示すブロック図である。図8に示す移動端末71の送信処理を説明する。まず、プロトコル処理部801からの制御データ、およびアプリケーション部802からのユーザデータが、送信データバッファ部803へ保存される。送信データバッファ部803に保存されたデータは、エンコーダー部804へ渡され、誤り訂正などのエンコード処理が施される。エンコード処理を施さずに、送信データバッファ部803から変調部805へ直接出力されるデータが存在してもよい。エンコーダー部804でエンコード処理されたデータは、変調部805にて変調処理が行われる。変調されたデータは、ベースバンド信号に変換された後、周波数変換部806へ出力され、無線送信周波数に変換される。その後、アンテナ807から基地局72に送信信号が送信される。
また、移動端末71の受信処理は、以下のように実行される。基地局72からの無線信号がアンテナ807により受信される。受信信号は、周波数変換部806にて無線受信周波数からベースバンド信号に変換され、復調部808において復調処理が行われる。復調後のデータは、デコーダー部809へ渡され、誤り訂正などのデコード処理が行われる。デコードされたデータのうち、制御データはプロトコル処理部801へ渡され、ユーザデータはアプリケーション部802へ渡される。移動端末71の一連の処理は、制御部810によって制御される。よって制御部810は、図8では省略しているが、各部801〜809と接続している。
図9は、本発明に係る基地局である図7に示す基地局72の構成を示すブロック図である。図9に示す基地局72の送信処理を説明する。EPC通信部901は、基地局72とEPC(MME部73、HeNBGW74など)との間のデータの送受信を行う。他基地局通信部902は、他の基地局との間のデータの送受信を行う。EPC通信部901および他基地局通信部902は、それぞれプロトコル処理部903と情報の受け渡しを行う。プロトコル処理部903からの制御データ、ならびにEPC通信部901および他基地局通信部902からのユーザデータおよび制御データは、送信データバッファ部904へ保存される。
送信データバッファ部904に保存されたデータは、エンコーダー部905へ渡され、誤り訂正などのエンコード処理が施される。エンコード処理を施さずに、送信データバッファ部904から変調部906へ直接出力されるデータが存在してもよい。エンコードされたデータは、変調部906にて変調処理が行われる。変調されたデータは、ベースバンド信号に変換された後、周波数変換部907へ出力され、無線送信周波数に変換される。その後、アンテナ908より一つもしくは複数の移動端末71に対して送信信号が送信される。
また、基地局72の受信処理は以下のように実行される。一つもしくは複数の移動端末71からの無線信号が、アンテナ908により受信される。受信信号は、周波数変換部907にて無線受信周波数からベースバンド信号に変換され、復調部909で復調処理が行われる。復調されたデータは、デコーダー部910へ渡され、誤り訂正などのデコード処理が行われる。デコードされたデータのうち、制御データはプロトコル処理部903あるいはEPC通信部901、他基地局通信部902へ渡され、ユーザデータはEPC通信部901および他基地局通信部902へ渡される。基地局72の一連の処理は、制御部911によって制御される。よって制御部911は、図9では省略しているが、各部901〜910と接続している。
3GPPにおいて議論されているHome−eNB72−2の機能を以下に示す(非特許文献1 4.6.2章参照)。Home−eNB72−2は、eNB72−1と同じ機能を有する。加えて、HeNBGW74と接続する場合、Home−eNB72−2は、適当なサービングHeNBGW74を発見する機能を有する。Home−eNB72−2は、1つのHeNBGW74に唯一接続する。つまり、HeNBGW74との接続の場合は、Home−eNB72−2は、S1インタフェースにおけるFlex機能を使用しない。Home−eNB72−2は、1つのHeNBGW74に接続すると、同時に別のHeNBGW74および別のMME部73に接続しない。
Home−eNB72−2のTAC(Tracking Area Code)とPLMN IDは、HeNBGW74によってサポートされる。Home−eNB72−2がHeNBGW74に接続されると、「UE attachment」でのMME部73の選択は、Home−eNB72−2の代わりに、HeNBGW74によって行われる。Home−eNB72−2は、ネットワーク計画なしで配備される可能性がある。この場合、Home−eNB72−2は、1つの地理的な領域から別の地理的な領域へ移される。したがって、この場合のHome−eNB72−2は、位置によって、異なったHeNBGW74に接続する必要がある。
図10は、本発明に係るMMEの構成を示すブロック図である。図10では、前述の図7に示すMME部73に含まれるMME73aの構成を示す。PDN GW通信部1001は、MME73aとPDN GWとの間のデータの送受信を行う。基地局通信部1002は、MME73aと基地局72との間のS1インタフェースによるデータの送受信を行う。PDN GWから受信したデータがユーザデータであった場合、ユーザデータは、PDN GW通信部1001から、ユーザプレイン通信部1003経由で基地局通信部1002に渡され、1つあるいは複数の基地局72へ送信される。基地局72から受信したデータがユーザデータであった場合、ユーザデータは、基地局通信部1002から、ユーザプレイン通信部1003経由でPDN GW通信部1001に渡され、PDN GWへ送信される。
PDN GWから受信したデータが制御データであった場合、制御データは、PDN GW通信部1001から制御プレイン制御部1005へ渡される。基地局72から受信したデータが制御データであった場合、制御データは、基地局通信部1002から制御プレイン制御部1005へ渡される。
HeNBGW通信部1004は、HeNBGW74が存在する場合に設けられ、情報種別によって、MME73aとHeNBGW74との間のインタフェース(IF)によるデータの送受信を行う。HeNBGW通信部1004から受信した制御データは、HeNBGW通信部1004から制御プレイン制御部1005へ渡される。制御プレイン制御部1005での処理の結果は、PDN GW通信部1001経由でPDN GWへ送信される。また、制御プレイン制御部1005で処理された結果は、基地局通信部1002経由でS1インタフェースにより1つあるいは複数の基地局72へ送信され、またHeNBGW通信部1004経由で1つあるいは複数のHeNBGW74へ送信される。
制御プレイン制御部1005には、NASセキュリティ部1005−1、SAEベアラコントロール部1005−2、アイドルステート(Idle State)モビリティ管理部1005―3などが含まれ、制御プレインに対する処理全般を行う。NASセキュリティ部1005―1は、NAS(Non-Access Stratum)メッセージのセキュリティなどを行う。SAEベアラコントロール部1005―2は、SAE(System Architecture Evolution)のベアラの管理などを行う。アイドルステートモビリティ管理部1005―3は、待受け状態(アイドルステート(Idle State);LTE−IDLE状態、または、単にアイドルとも称される)のモビリティ管理、待受け状態時のページング信号の生成および制御、傘下の1つあるいは複数の移動端末71のトラッキングエリアの追加、削除、更新、検索、トラッキングエリアリスト管理などを行う。
MME73aは、UEが登録されている(registered)追跡領域(トラッキングエリア:Tracking Area)に属するセルへ、ページングメッセージを送信することで、ページングプロトコルに着手する。MME73aに接続されるHome−eNB72−2のCSGの管理およびCSG−IDの管理、そしてホワイトリスト管理は、アイドルステートモビリティ管理部1005―3で行われてもよい。
CSG−IDの管理では、CSG−IDに対応する移動端末とCSGセルとの関係が管理(例えば追加、削除、更新、検索)される。この関係は、例えば、あるCSG−IDにユーザアクセス登録された一つまたは複数の移動端末と該CSG−IDに属するCSGセルとの関係であってもよい。ホワイトリスト管理では、移動端末とCSG−IDとの関係が管理(例えば追加、削除、更新、検索)される。例えば、ホワイトリストには、ある移動端末がユーザ登録した一つまたは複数のCSG−IDが記憶されてもよい。これらのCSGに関する管理は、MME73aの中の他の部分で行われてもよい。MME73aの一連の処理は、制御部1006によって制御される。よって制御部1006は、図10では省略しているが、各部1001〜1005と接続している。
3GPPにおいて議論されているMME73aの機能を以下に示す(非特許文献1 4.6.2章参照)。MME73aは、CSG(Closed Subscriber Group)のメンバーの1つあるいは複数の移動端末のアクセスコントロールを行う。MME73aは、ページングの最適化(Paging optimization)の実行をオプションとして認める。
図11は、本発明に係るHeNBGWである図7に示すHeNBGW74の構成を示すブロック図である。EPC通信部1101は、HeNBGW74とMME73aとの間のS1インタフェースによるデータの送受信を行う。基地局通信部1102は、HeNBGW74とHome−eNB72−2との間のS1インタフェースによるデータの送受信を行う。ロケーション処理部1103は、EPC通信部1101経由で渡されたMME73aからのデータのうちレジストレーション情報などを、複数のHome−eNB72−2に送信する処理を行う。ロケーション処理部1103で処理されたデータは、基地局通信部1102に渡され、一つまたは複数のHome−eNB72−2にS1インタフェースを介して送信される。
ロケーション処理部1103での処理を必要とせず通過(透過)させるだけのデータは、EPC通信部1101から基地局通信部1102に渡され、一つまたは複数のHome−eNB72−2にS1インタフェースを介して送信される。HeNBGW74の一連の処理は、制御部1104によって制御される。よって制御部1104は、図11では省略しているが、各部1101〜1103と接続している。
3GPPにおいて議論されているHeNBGW74の機能を以下に示す(非特許文献1 4.6.2章参照)。HeNBGW74は、S1アプリケーションについてリレーする。Home−eNB72−2へのMME73aの手順の一部分であるが、HeNBGW74は、移動端末71に関係しないS1アプリケーションについて終端する。HeNBGW74が配置されるとき、移動端末71に無関係な手順がHome−eNB72−2とHeNBGW74との間、そしてHeNBGW74とMME73aとの間を通信される。HeNBGW74と他のノードとの間でX2インタフェースは設定されない。HeNBGW74は、ページングの最適化(Paging optimization)の実行をオプションとして認める。
次に通信システムにおけるセルサーチ方法の一例を示す。図12は、LTE方式の通信システムにおいて移動端末(UE)が行うセルサーチから待ち受け動作までの概略を示すフローチャートである。移動端末は、セルサーチを開始すると、ステップST1201で、周辺の基地局から送信される第一同期信号(P−SS)、および第二同期信号(S−SS)を用いて、スロットタイミング、フレームタイミングの同期をとる。
P−SSとS−SSとを合わせて、同期信号(SS)という。同期信号(SS)には、セル毎に割り当てられたPCI(Physical Cell Identity)に1対1に対応するシンクロナイゼーションコードが割り当てられている。PCIの数は504通りが検討されている。この504通りのPCIを用いて同期をとるとともに、同期がとれたセルのPCIを検出(特定)する。
次に同期がとれたセルに対して、ステップST1202で、基地局からセル毎に送信される参照信号(リファレンスシグナル:RS)であるセル固有参照信号(Cell-specific Reference Signal:CRS)を検出し、RSの受信電力(Reference Signal Received Power:RSRP)の測定を行う。参照信号(RS)には、PCIと1対1に対応したコードが用いられている。そのコードで相関をとることによって他セルと分離できる。ステップST1201で特定したPCIから、該セルのRS用のコードを導出することによって、RSを検出し、RSの受信電力を測定することが可能となる。
次にステップST1203で、ステップST1202までで検出された一つ以上のセルの中から、RSの受信品質が最もよいセル、例えば、RSの受信電力が最も高いセル、つまりベストセルを選択する。
次にステップST1204で、ベストセルのPBCHを受信して、報知情報であるBCCHを得る。PBCH上のBCCHには、セル構成情報が含まれるMIB(Master Information Block)がマッピングされる。したがってPBCHを受信してBCCHを得ることで、MIBが得られる。MIBの情報としては、例えば、DL(ダウンリンク)システム帯域幅(送信帯域幅設定(transmission bandwidth configuration:dl-bandwidth)とも呼ばれる)、送信アンテナ数、SFN(System Frame Number)などがある。
次にステップST1205で、MIBのセル構成情報をもとに該セルのDL−SCHを受信して、報知情報BCCHの中のSIB(System Information Block)1を得る。SIB1には、該セルへのアクセスに関する情報、セルセレクションに関する情報、他のSIB(SIBk;k≧2の整数)のスケジューリング情報が含まれる。また、SIB1には、トラッキングエリアコード(Tracking Area Code:TAC)が含まれる。
次にステップST1206で、移動端末は、ステップST1205で受信したSIB1のTACと、移動端末が既に保有しているトラッキングエリアリスト内のトラッキングエリア識別子(Tracking Area Identity:TAI)のTAC部分とを比較する。トラッキングエリアリストは、TAIリスト(TAI list)とも称される。TAIはトラッキングエリアの識別子であり、MCC(Mobile Country Code)と、MNC(Mobile Network Code)と、TAC(Tracking Area Code)とによって構成される。MCCは国コードである。MNCはネットワークコードである。TACはトラッキングエリアのコード番号である。
移動端末は、ステップST1206で比較した結果、ステップST1205で受信したTACがトラッキングエリアリスト内に含まれるTACと同じならば、該セルで待ち受け動作に入る。比較して、ステップST1205で受信したTACがトラッキングエリアリスト内に含まれなければ、移動端末は、該セルを通して、MMEなどが含まれるコアネットワーク(Core Network,EPC)へ、TAU(Tracking Area Update)を行うためにトラッキングエリアの変更を要求する。
コアネットワークは、TAU要求信号とともに移動端末から送られてくる該移動端末の識別番号(UE−IDなど)をもとに、トラッキングエリアリストの更新を行う。コアネットワークは、移動端末に更新後のトラッキングエリアリストを送信する。移動端末は、受信したトラッキングエリアリストに基づいて、移動端末が保有するTACリストを書き換える(更新する)。その後、移動端末は、該セルで待ち受け動作に入る。
LTE、LTE−AおよびUMTS(Universal Mobile Telecommunication System)においては、CSG(Closed Subscriber Group)セルの導入が検討されている。前述したように、CSGセルに登録した一つまたは複数の移動端末のみにアクセスが許される。CSGセルと登録された一つまたは複数の移動端末とが一つのCSGを構成する。このように構成されたCSGには、CSG−IDと呼ばれる固有の識別番号が付される。一つのCSGには、複数のCSGセルがあってもよい。移動端末は、どれか一つのCSGセルに登録すれば、そのCSGセルが属するCSGの他のCSGセルにアクセス可能となる。
また、LTEおよびLTE−AでのHome−eNB、ならびにUMTSでのHome−NBが、CSGセルとして使われることがある。CSGセルに登録した移動端末は、ホワイトリストを有する。具体的には、ホワイトリストはSIM(Subscriber Identity Module)またはUSIMに記憶される。ホワイトリストには、移動端末が登録したCSGセルのCSG情報が格納される。CSG情報として具体的には、CSG−ID、TAI(Tracking Area Identity)、TACなどが考えられる。CSG−IDとTACとが対応付けられていれば、どちらか一方でよい。また、CSG−IDおよびTACと、ECGIとが対応付けられていれば、ECGIでもよい。
以上から、ホワイトリストを有しない(本発明においては、ホワイトリストが空(empty)の場合も含める)移動端末は、CSGセルにアクセスすることは不可能であり、non−CSGセルのみにしかアクセスできない。一方、ホワイトリストを有する移動端末は、登録したCSG−IDのCSGセルにも、non−CSGセルにもアクセスすることが可能となる。
HeNBおよびHNBに対しては、様々なサービスへの対応が求められている。例えば、あるサービスでは、オペレータは、ある決められたHeNBおよびHNBに移動端末を登録させ、登録した移動端末のみにHeNBおよびHNBのセルへのアクセスを許可することで、該移動端末が使用できる無線リソースを増大させて、高速に通信を行えるようにする。その分、オペレータは、課金料を通常よりも高く設定する。
このようなサービスを実現するために、登録した(加入した、メンバーとなった)移動端末のみがアクセスできるCSG(Closed Subscriber Group)セルが導入されている。CSG(Closed Subscriber Group)セルは、商店街、マンション、学校、会社などへ数多く設置されることが要求される。例えば、商店街では店舗毎、マンションでは部屋毎、学校では教室毎、会社ではセクション毎にCSGセルを設置し、各CSGセルに登録したユーザのみが該CSGセルを使用可能とするような使用方法が要求されている。
HeNB/HNBは、マクロセルのカバレッジ外での通信を補完するため(エリア補完型HeNB/HNB)だけでなく、上述したような様々なサービスへの対応(サービス提供型HeNB/HNB)が求められている。このため、HeNB/HNBがマクロセルのカバレッジ内に設置される場合も生じる。
スマートフォンおよびタブレット端末の普及によって、セルラー系無線通信によるトラフィックが爆発的に増大しており、世界中で無線リソースの不足が懸念されている。これに対応して周波数利用効率を高めるために、小セル化し、空間分離を進めることが検討されている。
図13は、従来のセルの構成の概念を示す図である。マクロeNB(マクロセル)は、比較的広い範囲のカバレッジ1301を構成する。従来は、複数のマクロeNB(マクロセル)による比較的広い範囲のカバレッジによって、あるエリアを覆うようにしている。
図14は、小セル化を行った場合のセルの構成の概念を示す図である。スモールeNB(スモールセル)は、マクロeNB(マクロセル)のカバレッジ1301に比べて範囲が狭いカバレッジ1302を構成する。したがって、従来と同様に、あるエリアを覆うためには、マクロeNB(マクロセル)に比べて、多数のスモールeNB(スモールセル)が必要となる。
図15は、マクロeNB(マクロセル)とスモールeNB(スモールセル)とが混在する場合のセルの構成の概念を示す図である。マクロeNB(マクロセル)は、比較的広い範囲のカバレッジ1303を構成する。スモールeNB(スモールセル)は、マクロeNB(マクロセル)のカバレッジ1303に比べて範囲が狭いカバレッジ1304を構成する。図15では、あるeNB(セル)のカバレッジが、他のeNB(セル)のカバレッジ内に含まれる場合も存在する。
図15に示すセルの構成では、マクロeNB(マクロセル)のカバレッジ1303と、スモールeNB(スモールセル)のカバレッジ1304とが複雑に重複するような場合が生じる。また、マクロeNB(マクロセル)のカバレッジ1303と、スモールeNB(スモールセル)のカバレッジ1307とが重複しない場合も生じる。さらには、多数のスモールeNB(スモールセル)が一つのマクロeNB(マクロセル)のカバレッジ内に構成されるような場合も生じる。
実施の形態1で解決する課題について、図15を用いて以下に説明する。スモールセルの設置場所としては、例えばスモールセル1305のように、マクロeNB(マクロセル)が構成するカバレッジ1303内と、例えばスモールセル1306のように、マクロセルのカバレッジ1303外とがともに検討されている。
ここで、マクロセルとは、比較的広い範囲のカバレッジを構成するセル、すなわちカバレッジエリアが比較的広いセルのことであり、マクロeNBとは、マクロセルを構成するeNBのことである。マクロeNBは、例えば「Wide Area Base Station」(3GPP TS 36.141 V11.1.0(以下「非特許文献11」という)参照)であってもよい。マクロeNBは、大規模基地局装置に相当する。
スモールセルとは、比較的狭い範囲のカバレッジを構成するセル、すなわちカバレッジエリアが比較的狭いセルのことであり、スモールeNBとは、スモールセルを構成するeNBのことである。スモールeNBは、例えば、ローパワーノード、ローカルエリアノード、ホットスポットなどであってもよい。また、スモールeNBは、ピコセルを構成するピコeNB、フェムトセルを構成するフェムトeNB、HeNB、RRH、RRU、RRE、RNであってもよい。また、スモールeNBは、「Local Area Base Station」、「Home Base Station」(非特許文献11参照)であってもよい。スモールeNBは、小規模基地局装置に相当する。
スモールセルの動作モードとしては、マクロセルと同様の動作を行うスタンドアローン(Standalone)モードと、マクロセルに付随、またはマクロセルと協調して動作を行うマクロサポートモードとがともに検討されている。マクロサポートモードの具体例として、以下の(1),(2)の2つを開示する。
(1)3GPPにおいて、複数のRRC接続(RRC connection)を確立せずに複数のセルを用いて通信を行う方法として、制御/ユーザデータプレイン分離(C/U plane split)、およびマルチストリームが提案されている(3GPP RWS-120010(以下「非特許文献12」という)、3GPP RWS-120006(以下「非特許文献13」という)参照)。制御/ユーザデータプレイン分離(C/U plane split)時に、制御プレイン(C plane)をマクロセルが送受信し、ユーザデータプレイン(U plane)をスモールセルが送受信することが考えられる。
(2)3GPPにおいて、追加のキャリアタイプ(additional carrier type)が議論されている(3GPP RAN1 66BIS会合レポート(以下「非特許文献14」という)参照)。以下、追加のキャリアタイプのことを、新たなキャリアタイプ(New Carrier Type:NCT)と称することがある。スモールセルがNCTを構成することが考えられている。
スモールセルは、数多く設置されることが予想される。この数多くのスモールセルの設定は、何の工夫もしなければ、スモールセル毎に、設置場所、またはスモールセルがサポートしているモードを考慮して、オペレータが行う必要がある。したがって、スモールセルを設置するときに、オペレータによる運用管理が煩雑になるという課題が生じる。
実施の形態1での解決策を以下に示す。設置されたスモールセルは、既に設置されているネットワーク機器に、自セルの能力(Capability)を通知する。設置されたスモールセルから該スモールセルの能力を受信したネットワーク機器は、該スモールセルの能力に適した設定を該スモールセルに対して実行する。ネットワーク機器は、受信したスモールセルの能力に基づいて、該スモールセルの能力に適した設定パラメータを選択することによって、該スモールセルの能力に適した設定を実行してもよい。ネットワーク機器は、ネットワーク装置に相当する。
この実施の形態1での解決策によって、オペレータが、スモールセルが設置される度に、スモールセル毎に、設置場所、またはスモールセルがサポートしているモードを考慮して、スモールセルの設定を行う必要がなくなる。したがって、スモールセルを設置するときに、オペレータによる運用管理が煩雑になることを回避することができる。
実施の形態1での解決策を、以下に具体的に説明する。既に設置されているネットワーク機器の具体例として、以下の(1)〜(4)の4つを開示する。以下に示すMME、OAMおよびHeNBGWは、上位装置に相当する。ここで、上位装置とは、基地局(eNB)を基準として、コアネットワーク側にある装置をいう。
(1)基地局(eNB)。
(2)MME。
(3)OAM(operation administration and maintenance)。
(4)HeNBGW。
スモールセルは、自セルの能力をネットワーク機器に通知する場合、併せて自セルの設定を要求してもよい。すなわち、スモールセルは、ネットワーク機器に対して、自セルの能力を通知するとともに、自セルの動作モードの設定を要求してもよい。
また、スモールセルは、自セルの能力をネットワーク機器に通知する代わりに、自セルの設定を要求してもよいし、自セルの動作モードの設定を要求してもよい。自セルの設定を要求する場合、併せて自セルの能力を通知してもよい。
また、設置されたスモールセルは、自セルの能力を、周辺eNB(周辺セル)、例えば、他のスモールセル、マクロセルに通知してもよい。スモールセルから能力の通知を受信した周辺eNBが他のスモールセルである場合、他のスモールセルは、前記通知の応答として、自セルの能力を通知してもよい。
また、設置されたスモールセルは、所定の条件を満たす場合に、自セルの能力をネットワーク機器に通知し、所定の条件を満たさない場合には、自セルの能力をネットワーク機器に通知しないようにしてもよい。所定の条件の具体例として、以下の(1),(2)の2つを開示する。
(1)所定の条件を、スモールセルが他のセルのカバレッジ内に設置されているか否かとする。スモールセルが他のセルのカバレッジ内に設置されている場合、スモールセルは、ネットワーク機器に自セルの能力を通知する。スモールセルが他のセルのカバレッジ内に設置されていない場合、スモールセルは、ネットワーク機器に自セルの能力を通知しない。スモールセルが他のセルのカバレッジ内に設置されていない場合には、併せて、スタンドアローンモードで動作を開始するようにしてもよい。これは、スモールセルが他のセルのカバレッジ内に設置されていないとマクロサポートモードでの動作が不可能であるような場合に適用すると効果的である。
本具体例(1)のように、所定の条件を、スモールセルが他のセルのカバレッジ内に設置されるか否かとすることによって、スモールセルの設置場所に適した設定を、オペレータを介在させることなく、実行することができる。したがって、スモールセルを設置するときに、オペレータによる運用管理が煩雑になることを回避することができる。
(2)所定の条件を、スモールセルがマクロセルのカバレッジ内に設置されているか否かとする。このように、スモールセルが自セルのカバレッジ内に設置されているマクロセルを「カバレッジマクロセル」と称する。スモールセルがマクロセルのカバレッジ内に設置されている場合、スモールセルは、ネットワーク機器に自セルの能力を通知する。スモールセルがマクロセルのカバレッジ内に設置されていない場合、スモールセルは、ネットワーク機器に自セルの能力を通知しない。スモールセルがマクロセルのカバレッジ内に設置されていない場合には、併せて、スタンドアローンモードで動作を開始するようにしてもよい。これは、スモールセルがマクロセルのカバレッジ内に設置されていないとマクロサポートモードでの動作が不可能であるような場合に適用すると効果的である。
本具体例(2)のように、所定の条件を、スモールセルがマクロセルのカバレッジ内に設置されているか否かとすることによって、スモールセルの設置場所に適した設定を、オペレータを介在させることなく、実行することができる。したがって、スモールセルを設置するときに、オペレータによる運用管理が煩雑になることを回避することができる。
スモールセルが、他のセルまたはマクロセルのカバレッジ内に設置されているか否かを判断する方法の具体例を、以下に開示する。スモールセルは、セルサーチ(周辺セルサーチ)を行い、所定の閾値以上の受信品質を持つセルが存在するか否かを判断する。受信品質の具体例としては、RSの受信電力がある。スモールセルは、所定の閾値以上の受信品質を持つセルが存在すると判断した場合には、自セルが他のセルまたはマクロセルのカバレッジ内に設置されていると判断する。スモールセルは、所定の閾値以上の受信品質を持つセルが存在しないと判断した場合には、自セルが他のセルまたはマクロセルのカバレッジ内に設置されていないと判断する。
前記所定の条件の具体例(2)において、スモールセルがマクロセルのカバレッジ内に設置されている場合、スモールセルは、カバレッジマクロセルに自セルの能力を通知するようにしてもよい。スモールセルがマクロサポートモードで動作する場合に、付随して動作するマクロセル、あるいは協調して動作するマクロセルが、カバレッジマクロセルとなる場合が考えられる。その場合、スモールセルがカバレッジマクロセルに自セルの能力を通知することは、マクロサポートモードで動作する場合の、例えば付随して動作するマクロセルに自セルの能力を通知することになる。該スモールセルの能力を受信した、マクロサポートモードで動作する場合の、例えば付随して動作するマクロセルは、該スモールセルの能力に適した設定を該スモールセルに対して実行することができる。これによって、スモールセルがマクロサポートモードで動作する場合の運用管理を更にスムーズにすることが可能な通信システムを実現することができる。
以下の説明では、スモールセルが自セルの能力を通知する動作を「能力通知動作」という場合がある。
スモールセルに対するカバレッジマクロセルが複数存在する場合の能力通知動作の具体例として、以下の(1)〜(4)の4つを開示する。
(1)スモールセルのセルサーチによって取得した受信品質が最も高いカバレッジマクロセルに能力を通知する。
(2)全てのカバレッジマクロセルに能力を通知する。この場合、能力を受信したカバレッジマクロセル間で、いずれのカバレッジマクロセルが該スモールセルの能力に適した設定を行うかを調整する。
(3)上位装置からスモールセルに、能力通知先のカバレッジマクロセルの数を通知する。スモールセルは、該数以下のカバレッジマクロセルに能力を通知する。受信品質が高いカバレッジマクロセルから順に通知してもよい。
(4)上位装置からスモールセルに、能力通知先のカバレッジマクロセルを通知する。スモールセルは、該カバレッジマクロセルに能力を通知する。
スモールセルが、セルサーチの際に、対象のセルがマクロセルであるか否かを判断する方法の具体例を、以下に開示する。セルは、マクロセルであるか否かのインジケータを報知する。スモールセルは、セルサーチを行った結果、所定の閾値以上の受信品質を持つセルの報知情報を受信し、マクロセルであるか否かのインジケータを確認する。
また、セルは、マクロサポートモードをサポートしているか否かのインジケータを報知してもよい。スモールセルは、セルサーチを行った結果、所定の閾値以上の受信品質を持つセルの報知情報を受信し、マクロセルサポートモードをサポートしているか否かのインジケータを確認する。本発明において、スモールセルが自セルのカバレッジ内に設置されており、更にマクロサポートモードをサポートしているマクロセルを「カバレッジマクロセル」としてもよい。スモールセルが自セルのカバレッジ内に設定されているマクロセルであっても、マクロサポートモードをサポートしていなければ、該スモールセルが付随して動作したり、協調して動作したりすることをサポートできないからである。
スモールセルは、自セルの能力を表す能力情報、例えば自セルの能力を表す能力パラメータをネットワーク機器に通知することによって、自セルの能力をネットワーク機器に通知する。スモールセルがネットワーク機器に通知する自セルの能力(能力パラメータ)の具体例として、以下の(1)〜(7)の7つを開示する。
(1)スモールセルである旨。これによって、オペレータを介在させることなく、既に設置されているネットワーク機器が、新たに設置されたセルがスモールセルであることを認識することが可能となる。
(2)サポートするモードの情報。モードとしては、前記スタンドアローンモード、マクロサポートモードなどがある。マクロサポートモードには、(2−1)制御/ユーザデータプレイン分離(C/U plane split)モード、(2−2)NCTモードがある。前記(2−2)のNCTモードの場合は、さらに以下の(2−2−1)〜(2−2−7)の7つの能力パラメータのいずれか、または全てを通知するとよい。(2−2−1)キャリアアグリゲーションが可能か否か。(2−2−2)スモールセルの無線リソースと、他セルの無線リソースの集約(「セルアグリゲーション」と称する)が可能か否か。(2−2−3)送受信可能な帯域幅。(2−2−4)送受信可能な周波数バンド。(2−2−5)サポート可能なCC数、またはセル数。(2−2−6)送受信可能なキャリア周波数。(2−2−7)CRSのマッピング位置。本具体例(2)によって、オペレータを介在させることなく、既に設置されているネットワーク機器が、新たに設置されたスモールセルがサポートするモードに関する情報を取得することが可能となる。
(3)自セルがセルサーチで検出したカバレッジセルのセル識別情報。セル識別情報の具体例としては、PCI、セルグローバル識別子(Cell Global Identification:CGI)などがある。本具体例(3)によって、オペレータを介在させることなく、既に設置されているネットワーク機器が、新たに設置されたスモールセルをマクロサポートモードで動作させる場合の、共に動作させるマクロセルの選択を容易に行うことができる。また、既に設置されているネットワーク機器が、スモールセルが実際に設置された場所の電波環境による情報を取得可能となることから、より適切なセルを、共に動作させるマクロセルとして選択することが可能となる。
(4)前記(3)の受信品質。
(5)自セル設置場所情報(ロケーション情報)。
(6)送信パワー。基地局のランクであってもよい。これによって、オペレータを介在させることなく、既に設置されているネットワーク機器が、新たに設置されたスモールセルのカバレッジの大きさを予測することが可能となる。
(7)前記(1)〜(6)の組合せ。
スモールセルからネットワーク機器への能力の通知に用いられるインタフェースの具体例として、以下の(1)〜(4)の4つを開示する。
(1)ネットワーク機器が基地局である場合のインタフェースとしては、X2インタフェース、または、MME経由によるS1インタフェースがある。なお、スモールセルが、自セルの能力を周辺eNB(周辺セル)に通知する場合も、同様のインタフェースを用いることができる。
(2)ネットワーク機器がMMEである場合のインタフェースとしては、S1インタフェースがある。
(3)ネットワーク機器がHeNBGWである場合のインタフェースとしては、S1インタフェースがある。
(4)新たなインタフェースを設けてもよい。
スモールセルからネットワーク機器への能力の通知にX2インタフェースを用いる場合の通知方法の具体例として、以下の(1),(2)の2つを開示する。
(1)新たなシグナリングを設ける。
(2)既存のシグナリングである「X2 SETUP REQUEST」メッセージ(3GPP TS 36.423 V11.3.0(以下「非特許文献15」という)9.1.2.3章参照)に、新たにパラメータを追加して通知する。「X2 SETUP REQUEST」メッセージは、eNBから周辺のeNBに初期情報を送信する場合に用いられるメッセージである。したがって、自セルの能力を「X2 SETUP REQUEST」メッセージで通知することによって、同様のパラメータを一度に送受信することが可能となる。これによって、通信システムが複雑化することを回避することができる。
スモールセルからネットワーク機器への能力の通知にS1インタフェースを用いる場合の通知方法の具体例として、以下の(1),(2)の2つを開示する。
(1)新たなシグナリングを設ける。
(2)既存のシグナリングである「S1 SETUP REQUEST」メッセージ(3GPP TS 36.413 V11.2.0(以下「非特許文献16」という)9.1.8.4章参照)に、新たにパラメータを追加して通知する。「S1 SETUP REQUEST」メッセージは、eNBからMMEに初期情報を送信する場合に用いられるメッセージである。したがって、自セルの能力を「S1 SETUP REQUEST」メッセージで通知することによって、同様のパラメータを一度に送受信することが可能となる。これによって、通信システムが複雑化することを回避することができる。
ネットワーク機器がスモールセルに対して、該スモールセルの能力に適した設定を行う場合の設定パラメータの具体例として、以下の(1)〜(5)の5つを開示する。
(1)該スモールセルのサポートするモードから、適したモードを設定する。つまり、該スモールセルのサポートするモードから、該スモールセルの動作モードを選択し、設定する。具体例としては、スタンドアローンモード、またはマクロサポートモードの別を設定する。動作モードを選択する方法の具体例としては、カバレッジマクロセルの処理負荷が高い場合は、スタンドアローンモードを選択し、カバレッジマクロセルの処理負荷が低い場合は、マクロサポートモードを選択する。
マクロサポートモードを設定する場合の設定パラメータの具体例として、以下の(1−1)〜(1−5)の5つを開示する。
(1−1)マクロサポートモード中の動作モードの別。具体例としては、制御/ユーザデータプレイン分離(C/U plane split)モード、またはNCTモードの別。スモールセルが、前記以外のマクロサポートモードをサポートしている場合は、該動作モードの別を選択し、設定してもよい。また、例えば制御/ユーザデータプレイン分離(C/U plane split)モードかつNCTモードとの設定を可能としてもよい。
(1−2)共に動作させるマクロセルの識別情報。共に動作させるマクロセルの具体例として、以下の(1−2−1),(1−2−2)の2つを開示する。
(1−2−1)カバレッジマクロセル。あるいは、スモールセルのカバレッジマクロセルのうち、スモールセルの設置時のセルサーチで、受信品質が最も良好であったカバレッジマクロセル(「第一カバレッジマクロセル」とも称する)。
(1−2−2)該UEに対して該スモールセルのリソースのスケジューリングを行うセル(「スケジューリング主体のセル」と称することもある)。または、スモールセルに対して、クロスキャリアスケジューリングするスケジューリングを行うセル(「スケジューリング主体のセル」と称することもある)。または、スモールセルのリソースを用いて送受信するUEがPDCCHをモニタするセル(「スケジューリング主体のセル」と称することもある)。
マクロサポートモード中の動作モードが制御/ユーザデータプレイン分離(C/U plane split)モードの場合の共に動作させるマクロセルの具体例を以下に開示する。スモールセルがユーザデータプレインを送受信するUEに対して、制御プレインを送受信するセルを、共に動作させるマクロセルとする。このようなマクロセルとしては、カバレッジマクロセル、さらには第一カバレッジマクロセルが挙げられる。
マクロサポートモード中の動作モードがNCTモードの場合の共に動作させるマクロセルの具体例を、以下に開示する。UEにおいてセルアグリゲーションされるセルのうち、該UEに対して該スモールセルのリソースのスケジューリングを行うセル(「スケジューリング主体のセル」と称することもある)を、共に動作させるマクロセルとする。または、スモールセルに対して、クロスキャリアスケジューリングするスケジューリングを行うセル(「スケジューリング主体のセル」と称することもある)を、共に動作させるマクロセルとする。または、スモールセルのリソースを用いて送受信するUEがPDCCHをモニタするセル(「スケジューリング主体のセル」と称することもある)を、共に動作させるマクロセルとする。
スケジューリング主体のセルは、例えば、スモールセルのカバレッジマクロセルである。さらには、スケジューリング主体のセルは、第一カバレッジマクロセルである。
(1−3)キャリア周波数。
(1−4)帯域幅。
(1−5)周波数バンド。
(2)消費電力低減(Energy Saving:ES)ポリシー。詳細は、実施の形態2に開示する。
(3)カバレッジマクロセルのキャリア周波数。
(4)スモールセルが属する集合(以下「スモールセルクラスタ」または「スモールセルグループ」という場合がある)の識別子。スモールセルが属するスモールセルクラスタは複数であっても構わない。また、スモールセルクラスタ内のスモールセルの番号を併せて通知してもよい。これによって、スモールセルを識別するための情報であるスモールセル識別情報として、PCIに加えて、「スモールセルの属するスモールセルクラスタの識別子」、または、「スモールセルクラスタの識別子とスモールセルクラスタ内のスモールセルの番号とを含む情報」を用いることができる。
スモールセルは、小さい範囲に数多く設置することが可能である。PCIの種類は全部で504コードであり、有限であるので、スモールセルの導入前と比較して、スモールセルの導入後は、PCIの重複が懸念される。PCIが重複した場合は、CGIおよびECGIを用いてセルを識別することも可能である。しかし、CGIおよびECGIのビット数は大きいので、UEとeNBとの間などでCGIおよびECGIのやり取りを行うためには、PCIのやり取りを行う場合と比較して、多くの無線リソースを必要とするという問題がある。
「PCIとスモールセルの属するスモールセルクラスタの識別子とを含む情報」、または、「PCIとスモールセルクラスタの識別子とスモールセルクラスタ内のスモールセルの番号とを含む情報」が、CGIおよびECGIと比較して、必要なビット数が少ない場合、PCIが重複した場合のセル識別方法として、「PCIとスモールセルの属するスモールセルクラスタの識別子とを含む情報」、または、「PCIとスモールセルクラスタの識別子とスモールセルクラスタ内のスモールセルの番号とを含む情報」を用いることは、無線リソースを有効に活用するという観点で有効である。また、あわせて、同じスモールセルクラスタに属するスモールセルの識別情報を通知してもよい。
(5)前記(1)〜(4)の組合せ。
スモールセルクラスタの具体例として、以下の(1)〜(5)の5つを開示する。
(1)同じスケジューリング主体となるスモールセルの集合。同じ集中制御ノードとなるスモールセルの集合。例えば、セルアグリゲーションの際、およびCoMPの際に、同じ集中制御ノード、またはスケジューリング主体、コンセントレータによって制御されるスモールセルの集合。
(2)設置場所に応じたスモールセルの集合。ある特定のエリア内に設置されたスモールセルの集合。例えば、同じ駅構内に設置されたスモールセルの集合、または同じ学校内に設置されたスモールセルの集合。
(3)同じESポリシーとなるスモールセルの集合。
(4)同じCoMPコオペレーティングセットに属するスモールセルの集合。
(5)同じ周波数レイヤに属するスモールセルの集合。
ネットワーク機器からスモールセルへの設定の通知に用いられるインタフェースの具体例は、前述のスモールセルからネットワーク機器への能力の通知に用いられるインタフェースの具体例と同様であるので、説明を省略する。
ネットワーク機器からスモールセルへの設定の通知にX2インタフェースを用いる場合の通知方法の具体例として、以下の(1),(2)の2つを開示する。
(1)新たなシグナリングを設ける。
(2)既存のシグナリングである「X2 SETUP RESPONSE」メッセージ(非特許文献15 9.1.2.4章参照)に、新たにパラメータを追加して通知する。「X2 SETUP RESPONSE」メッセージは、eNBから周辺のeNBに初期情報を送信する場合に用いられる応答メッセージである。したがって、スモールセルへの設定を「X2 SETUP RESPONSE」メッセージで通知することによって、通信システムが複雑化することを回避することができる。
スモールセルからネットワーク機器への能力の通知にS1インタフェースを用いる場合の通知方法の具体例として、以下の(1),(2)の2つを開示する。
(1)新たなシグナリングを設ける。
(2)既存のシグナリングである「S1 SETUP RESPONSE」メッセージ(非特許文献16 9.1.8.5章参照)に、新たにパラメータを追加して通知する。「S1 SETUP RESPONSE」メッセージは、eNBからMMEに初期情報を送信する場合に用いられる応答メッセージである。したがって、スモールセルへの設定を「S1 SETUP RESPONSE」メッセージで通知することによって、通信システムが複雑化することを回避することができる。
ネットワーク機器から設定パラメータを受信した場合のスモールセルの動作の具体例として、以下の(1)〜(5)の5つを開示する。
(1)設定されたモード、つまり設定された動作モードで動作を開始する。
(1−1)例えばスタンドアローンモードと設定された場合について説明する。この場合は、通常のセルと同様の動作を行う。
(1−2)例えばマクロサポートモードと設定された場合について説明する。
(1−2−1)傘下のUEへマクロサポートモードで動作中である旨を通知する。例えば、傘下のUEに、キャンプオン不可能なセルであることを通知する。
傘下のUEへの通知方法の具体例として、以下の(1−2−1−a),(1−2−1−b)の2つを開示する。
(1−2−1−a)報知情報で通知する。これによって、待ち受け状態(RRC_IDLE)のUEと、接続状態(RRC_CONNECTED)のUEとの双方が、該情報を受信することが可能となる。
(1−2−1−b)報知情報内の「cellBarred」を「barred」に変更する。このように、既存のパラメータを用いることによって、通信システムが複雑化することを回避することができる。また、後方互換性(backward compatibility:バックワードコンパチビリティ)に優れた通信システムを構築することが可能となる。
(1−2−2)PDCCHの送信を行わない。
(1−2−3)ページングの送信を行わない。
マクロサポートモード中の動作モードが制御/ユーザデータプレイン分離(C/U plane split)モードと設定された場合のスモールセルの動作の具体例を、以下に説明する。ユーザデータプレインセルとしての動作を開始する。すなわち、制御プレイン接続のためのRRCプロトコル、PDCPプロトコルおよびRLCプロトコルの動作を停止させる。
マクロサポートモード中の動作モードがNCTモードと設定された場合のスモールセルの動作の具体例を、以下に説明する。通常のセルよりもCRSのマッピング数を削減する。CRSをNCT時のマッピング位置で送信する。PBCHおよびMIBの送信を行わない。また、PDCCHの送信を行わない。また、ページングメッセージの送信を行わない。
(2)設定されたESポリシーで動作を開始する。
(3)カバレッジマクロセルのキャリア周波数が設定された場合、設定されたカバレッジマクロセルのキャリア周波数を、傘下のUEに通知する。このときの傘下のUEへの通知方法の具体例を以下に開示する。
カバレッジマクロセルのキャリア周波数が、セル再選択時の優先順位の高い周波数であることを通知する。具体的には、RRCメッセージで通知する。「RRC Connection Release」メッセージで通知する。または、報知情報で通知する。報知情報中のシステム情報の「cell Reselection Priority」の高い周波数に設定する(非特許文献2 5.2.4.1章、5.2.4.7章参照)。
本具体例(3)のように、カバレッジマクロセルのキャリア周波数を傘下のUEに通知することによって、スモールセルがES動作に移行した場合に、スモールセルの傘下のUEが、カバレッジマクロセルを優先的に選択することができる。
(4)設定パラメータを周辺セルに通知する。同じクラスタ内のスモールセルに設定パラメータを通知するようにしてもよい。周辺セルは、スモールセルが実行したセルサーチによって、所定の閾値以上の受信品質を持つセルと判断されたセルとしてもよい。設定パラメータの通知には、X2インタフェースを用いることができる。X2インタフェースを用いる場合の通知方法の具体例は、前述のスモールセルからネットワーク機器への能力の通知にX2インタフェースを用いる場合の通知方法の具体例と同様であるので、説明を省略する。
(5)前記(1)〜(4)の組合せ。
次に、図16および図17を用いて、実施の形態1の解決策を用いた場合の通信システムのシーケンスの具体例を説明する。図16および図17は、実施の形態1における通信システムのシーケンスの一例を示す図である。図16と図17とは、境界線BL1の位置で、つながっている。
ステップST1401において、スモールセルが設置される。ステップST1402において、スモールセルは、周辺セルサーチを実行する。
ステップST1403において、スモールセルは、マクロセルのカバレッジ内に設置されているか否かを判断することによって、カバレッジマクロセルが有るか否かを判断する。スモールセルは、マクロセルのカバレッジ内に設置されていると判断した場合には、カバレッジマクロセルが有ると判断して、ステップST1404に移行する。スモールセルは、マクロセルのカバレッジ内に設置されていないと判断した場合には、カバレッジマクロセルが無いと判断して、ステップST1411に移行する。
ステップST1404およびステップST1405において、スモールセルは、自セルの能力を、カバレッジマクロセルを含む周辺セルに通知する。具体的には、スモールセルは、自セルの能力を、ステップST1404において、カバレッジマクロセルに通知し、ステップST1405において、カバレッジマクロセル以外の周辺セルに通知する。
ステップST1404でスモールセルの能力を受信したカバレッジマクロセルは、ステップST1406において、スモールセルの能力に適した設定を選択する。具体的には、カバレッジマクロセルは、スモールセルの能力に適した設定パラメータを選択する。
ステップST1407において、カバレッジマクロセルは、ステップST1406で選択した設定パラメータをスモールセルに通知する。
ステップST1408において、スモールセルは、ステップST1407で受信した設定パラメータの中に、カバレッジマクロセルのキャリア周波数が含まれているか否かを判断する。スモールセルは、設定パラメータの中にカバレッジマクロセルのキャリア周波数が含まれていると判断した場合には、ステップST1409に移行する。スモールセルは、設定パラメータの中にカバレッジマクロセルのキャリア周波数が含まれていないと判断した場合には、ステップST1410に移行する。
ステップST1409において、スモールセルは、ステップST1407で受信した設定パラメータの中に含まれるカバレッジマクロセルのキャリア周波数を、傘下のUEに通知する。傘下のUEの受信方法の具体例として、以下の(1)〜(3)の3つを開示する。(1)カバレッジマクロセルのキャリア周波数がRRCメッセージにマッピングされている場合、該RRCメッセージ受信時。(2)カバレッジマクロセルのキャリア周波数が報知情報にマッピングされている場合、セル選択、またはセル再選択時の報知情報受信時。(3)カバレッジマクロセルのキャリア周波数が報知情報にマッピングされている場合、システム情報の更新通知受信時。
ステップST1410において、スモールセルは、ステップST1407で受信した設定パラメータに基づいて、スタンドアローン(Standalone)モードが設定されたか否かを判断する。スモールセルは、スタンドアローンモードが設定されたと判断した場合には、ステップST1411に移行する。スモールセルは、スタンドアローンモードが設定されていないと判断した場合には、ステップST1412に移行する。スモールセルは、スタンドアローンモードが設定されていないと判断した場合、マクロサポートモードが設定されたと判断して、ステップST1412に移行するようにしてもよい。
ステップST1411において、スモールセルは、スタンドアローンモードで動作を開始する。
ステップST1412において、スモールセルは、ステップST1407で受信した設定パラメータに基づいて、制御/ユーザデータプレイン分離(C/U plane split)モードが設定されたか否かを判断する。スモールセルは、制御/ユーザデータプレイン分離(C/U plane split)モードが設定されたと判断した場合には、ステップST1414に移行する。スモールセルは、制御/ユーザデータプレイン分離(C/U plane split)モードが設定されていないと判断した場合には、ステップST1413に移行する。
ステップST1413において、スモールセルは、ステップST1407で受信した設定パラメータに基づいて、NCTモードが設定されたか否かを判断する。スモールセルは、NCTモードが設定されたと判断した場合には、ステップST1415に移行する。スモールセルは、NCTモードが設定されていないと判断した場合には、設置時の処理を終了し、他の処理に移行する。ただし、マクロサポートモードに、制御/ユーザデータプレイン分離(C/U plane split)モードおよびNCTモード以外の他のモードが存在する場合には、この限りではない。すなわち、スモールセルは、他のモードについても設定されたか否かを判断し、設定されたと判断した場合には、他のモードで動作を開始し、設定されていないと判断した場合には、設置時の処理を終了して、他の処理に移行する。他の処理は、本発明の特徴的な部分ではないので、説明を省略する。
ステップST1414において、スモールセルは、制御/ユーザデータプレイン分離(C/U plane split)モードで動作を開始する。ステップST1415において、スモールセルは、NCTモードで動作を開始する。
以上のステップST1412〜ステップST1415の処理は、例えば制御/ユーザデータプレイン分離(C/U plane split)モードかつNCTモードの設定を可能とした場合には、この限りではない。すなわち、制御/ユーザデータプレイン分離(C/U plane split)モードかつNCTモードが設定されたか否かが判断され、設定されたと判断されると、制御/ユーザデータプレイン分離(C/U plane split)モードかつNCTモードで動作が開始される。
ステップST1417において、UEは、セル選択、またはセル再選択を行うか否かを判断する。UEは、セル選択、またはセル再選択を行わないと判断した場合には、ステップST1417の処理を繰り返す。UEは、セル選択、またはセル再選択を行うと判断した場合には、ステップST1418に移行する。
ステップST1418において、UEは、報知情報に従ってセルを選択する。例えば、ステップST1409でカバレッジマクロセルのキャリア周波数を受信していた場合には、UEは、セル選択、またはセル再選択の際に、カバレッジマクロセルのキャリア周波数から優先的にセルサーチを実行する。
実施の形態1によって、以下の効果を得ることができる。スモールセルの設置場所、スモールセルのサポートモードによらず、スモールセルを設置する際に、オペレータを介在させることなく、スモールセルの動作を開始させることが可能となる。これによって、スモールセルを設置するときのオペレータによる運用管理を容易にすることができる。
実施の形態1 変形例1.
実施の形態1では、スモールセルクラスタを開示したが、実施の形態1で開示したスモールセルクラスタの管理方法については、3GPPでの議論の結果として開示されたものがない。したがって、統一のとれた通信システムの動作を実現することができないという課題がある。そこで、本実施の形態1の変形例1では、スモールセルクラスタの管理方法について開示する。
スモールセルクラスタの管理方法は、例えば、以下の(1),(2)の2つのステップを含む。ステップ(1)、ステップ(2)の順に実行される。ステップ(1)、ステップ(2)の処理は、繰り返し実行可能、また随時実行可能である。
(1)スモールセルクラスタに含まれるスモールセルを決定する。(2)スモールセルクラスタに含まれるスモールセルのリストを、スモールセルクラスタの管理主体に記憶する。
ステップ(1)のスモールセルクラスタに含まれるスモールセルの決定方法の具体例として、以下の(1−1)〜(1−6)の6つを開示する。
(1−1)セルアグリゲーションに基づいて、スモールセルクラスタに含まれるスモールセルを決定する。例えば、スモールセルクラスタには、同じスケジューリング主体となるスモールセルを含めるように決定する。
(1−2)設置場所に基づいて、スモールセルクラスタに含まれるスモールセルを決定する。例えば、スモールセルクラスタには、同じ駅構内に設置されたスモールセルを含めるように決定する。また例えば、スモールセルクラスタには、同じカバレッジマクロセルのカバレッジ内に設置されたスモールセルを含めるように決定する。また例えば、スモールセルクラスタには、同じトラッキングエリア(Tracking Area:TA)内に設置されたスモールセルを含めるように決定する。
(1−3)CoMPに基づいて、スモールセルクラスタに含まれるスモールセルを決定する。例えば、スモールセルクラスタには、同じCoMPコオペレーティングセットに含まれるスモールセルを含めるように決定する。
(1−4)接続ネットワーク機器に基づいて、スモールセルクラスタに含まれるスモールセルを決定する。例えば、スモールセルクラスタには、同じMMEに接続されたスモールセルを含めるように決定する。また例えば、スモールセルクラスタには、同じHeNBGWに接続されたスモールセルを含めるように決定する。
(1−5)ESポリシーに基づいて、スモールセルクラスタに含まれるスモールセルを決定する。例えば、スモールセルクラスタには、同じESポリシーとなるスモールセルを含めるように決定する。また例えば、スモールセルクラスタには、同じタイミングで、通常動作から消費電力低減動作に移行させたいスモールセルを含めるように決定する。また例えば、スモールセルクラスタには、同じタイミングで、消費電力低減動作から通常動作に移行させたいスモールセルを含めるように決定する。
(1−6)前記(1−1)〜(1−5)の組合せ。
ステップ(2)でスモールセルクラスタに含まれるスモールセルのリストを記憶するスモールセルクラスタの管理主体の具体例として、以下の(2−1)〜(2−6)の6つを開示する。
(2−1)セルアグリゲーションする際のスケジューリング主体。セルアグリゲーションする際の集中制御ノード。本具体例(2−1)は、前述のスモールセルクラスタに含まれるスモールセルの決定方法の具体例(1−1)と親和性が高い。すなわち、スモールセルクラスタの管理主体を、セルアグリゲーションする際のスケジューリング主体にすることによって、セルアグリゲーションする際のスケジューリング主体とスモールセルクラスタの管理主体とが同じになる。したがって、同じスケジューリング主体となるスモールセルの情報などのやり取りが不要となるので、通信システムが複雑化することを回避することができる。
(2−2)CoMP用の協調制御エンティティ(「CoMPコンセントレータ」、「集中制御ノード」とも称する)。本具体例(2−2)は、前述のスモールセルクラスタに含まれるスモールセルの決定方法の具体例(1−3)と親和性が高い。すなわち、スモールセルクラスタの管理主体を、CoMPコンセントレータにすることによって、1つのCoMPコンセントレータが司るセルのセットがCoMPコオペレーティングセットである場合、CoMPコオペレーティングセットに含まれるセルを管理する主体とスモールセルクラスタの管理主体とが同じになる。したがって、同じCoMPコオペレーティングセットに含まれるスモールセルの情報などのやり取りが不要となるので、通信システムが複雑化することを回避することができる。
(2−3)OAM(operation administration and maintenance)。本具体例(2−3)は、前述のスモールセルクラスタに含まれるスモールセルの決定方法の具体例(1−2)および(1−5)と親和性が高い。セルが新たに設置された場合、セルは、OAMに設置場所を報告する場合がある。この場合、スモールセルクラスタの管理主体をOAMにすることによって、セルの設置場所を把握する主体とスモールセルクラスタの管理主体とが同じになる。したがって、セルの設置場所の情報などのやり取りが不要となるので、通信システムが複雑化することを回避することができる。また、OAMがESポリシーを設定する場合がある。この場合、スモールセルクラスタの管理主体をOAMにすることによって、ESポリシーの設定主体とスモールセルクラスタの管理主体とが同じになる。したがって、セルのESポリシー情報などのやり取りが不要となるので、通信システムが複雑化することを回避することができる。
(2−4)カバレッジマクロセル。本具体例(2−4)は、前述のスモールセルクラスタに含まれるスモールセルの決定方法の具体例(1−2)のうち、スモールセルクラスタには、同じカバレッジマクロ内に設置されたスモールセルを含めるように決定する場合、および前述のスモールセルクラスタに含まれるスモールセルの決定方法の具体例(1−5)と親和性が高い。すなわち、スモールセルクラスタの管理主体をカバレッジマクロセルにすることによって、カバレッジマクロセルがESポリシーを設定する場合、ESポリシーの設定主体とスモールセルクラスタの管理主体とが同じになる。したがって、セルのESポリシー情報などのやり取りが不要となるので、通信システムが複雑化することを回避することができる。
(2−5)MME。本具体例(2−5)は、前述のスモールセルクラスタに含まれるスモールセルの決定方法の具体例(1−2)のうち、スモールセルクラスタには、同じTA内に設置されたスモールセルを含めるように決定する場合、および前述のスモールセルクラスタに含まれるスモールセルの決定方法の具体例(1−4)のうち、スモールセルクラスタには、同じMMEに接続されたスモールセルを含めるように決定する場合と親和性が高い。MMEはTAを管理する。したがって、同じTA内に設置されたスモールセルを把握する主体とスモールセルクラスタの管理主体とが同じになる。したがって、セルの同じTA内に設置されたスモールセル情報などのやり取りが不要となるので、通信システムが複雑化することを回避することができる。
(2−6)HeNBGW。本具体例(2−6)は、前述のスモールセルクラスタに含まれるスモールセルの決定方法の具体例(1−2)のうち、スモールセルクラスタには、同じ駅構内に設置されたスモールセルを含めるように決定する場合、および前述のスモールセルクラスタに含まれるスモールセルの決定方法の具体例(1−4)のうち、スモールセルクラスタには、同じHeNBGWに接続されたスモールセルを含めるように決定する場合と親和性が高い。例えば、駅構内にHeNBGWを設置し、駅構内のHeNBを、該HeNBGWに接続させる場合がある。その場合、スモールセルクラスタの管理主体をHeNBGWにすることによって、同じ駅構内に設置されたスモールセルを把握する主体とスモールセルクラスタの管理主体とが同じになる。したがって、同じ駅構内に設置されたスモールセル情報などのやり取りが不要となるので、通信システムが複雑化することを回避することができる。
実施の形態1の変形例1によって、以下の効果を得ることができる。スモールセルクラスタの管理方法が明確となり、統一のとれた通信システムの動作を実現することが可能となる。
実施の形態2.
実施の形態2で解決する課題について、以下に説明する。3GPPでは、インフラ(infrastructure)の消費電力低減(Energy Saving:ES)について議論されている。ESを実現するために、スモールセルおよびマクロセルなどのセルは、後述の通常動作を行っている状態(「活性状態」、「オン状態」とも称する)と、後述の消費電力低減動作を行っている状態(「休眠(dormant)状態」、「オフ状態」とも称する)とを切替え可能に構成される。ここで、消費電力低減動作とは、通常動作よりも消費電力が低減された動作のことである。以下の説明では、オン状態からオフ状態に切替える動作を「スイッチオフ」といい、オフ状態からオン状態に切替える動作を「スイッチオン」という場合がある。
従来のESポリシーを以下に説明する。従来のESポリシーでは、セルは、自セルの判断で、スイッチオフ、具体的には、通常動作から消費電力低減動作への移行(「活性状態から休眠(dormant)状態への移行」とも称する)をする。スイッチオフをする場合、周辺セルにスイッチオフをする旨を通知する。周辺セルは、負荷が高くなった場合、スイッチオフされているセルに、スイッチオン、具体的には、消費電力低減動作から通常動作への移行(「休眠(dormant)状態からの再活性化」とも称する)を要求する(非特許文献1参照)。
また非特許文献1には、オペレータが、ES機能を設定できることが開示されている。設定情報には、以下の(1),(2)が含まれる。(1)eNBが自律的にセルのスイッチオフを行う能力。(2)周辺eNBによって所有される休眠(dormant)セルを再活性化させる能力。
また非特許文献1には、OAMが、以下の(1),(2)を設定することが開示されている。(1)eNBによって用いられるスイッチオフの決定ポリシー。(2)周辺eNBによって用いられる休眠(dormant)セルの再活性化要求のポリシー。
実施の形態2で解決する課題について、図15を用いて以下に説明する。スモールセルの設置場所としては、例えばスモールセル1305のように、マクロeNB(マクロセル)が構成するカバレッジ1303内と、例えばスモールセル1306のように、マクロセルのカバレッジ1303外とがともに検討されている。
また、スモールセルの動作モードとしては、マクロセルと同様の動作を行うスタンドアローン(Standalone)モードと、マクロセルに付随、またはマクロセルと協調して動作を行うマクロサポートモードとがともに検討されている。
スモールセルを導入した場合、従来のような1種類のESポリシーでは不適切となる場合が考えられる。不適切となる場合の具体例を、以下に説明する。
従来のESポリシーであっても、周辺セルは、負荷が高くなった場合、スイッチオフされているセルにスイッチオンを要求することができるようになっている。ここで、周辺セルがカバレッジマクロセルであり、該カバレッジマクロセル内に多くのスモールセルが設置されている場合を考える。数多くのスモールセルが、従来通り、自セルの判断でスイッチオフをしたとする。カバレッジマクロセルは、自セルの負荷が高くなった場合に、スイッチオフされているスモールセルにスイッチオンを要求する。この場合、スイッチオフされているスモールセルが数多くあるので、スイッチオンを要求する相手が多くなる。したがって、カバレッジマクロセルの処理負荷が高くなり、また、送受信される情報も多くなるという課題がある。
実施の形態2での解決策を以下に示す。実施の形態2では、従来とは異なる、スモールセル独自のESポリシーを新設する。これによって、スモールセルを導入した場合の通信システムとして最適なES動作を実現することができる。実施の形態2での解決策を、以下に具体的に説明する。
前述のように、非特許文献1には、OAMが、eNBによって用いられるスイッチオフの決定ポリシー、または周辺eNBによって用いられる休眠(dormant)セルの再活性化要求のポリシーを設定することが開示されている。しかし、前記「スイッチオフの決定ポリシー」および「休眠(dormant)セルの再活性化要求のポリシー」は、ともに従来の1種類のESポリシーの中でのバリエーションに過ぎない。従来の1種類のESポリシーとは、「自セルの判断で、スイッチオフ、具体的には消費電力低減動作への移行(「休眠(dormant)状態への移行」とも称する)をする。スイッチオフをする場合、周辺セルにスイッチオフをする旨を通知する。周辺セルは、負荷が高くなった場合、スイッチオフされているセルに、スイッチオン、具体的には、通常動作への移行、または再活性化を要求する(非特許文献1参照)。」というものである。
実施の形態2で新設されるスモールセル独自のESポリシーの具体例として、以下の(1),(2)の2つを開示する。
(1)スモールセルは、他のセルからのスイッチオフの許可(以下、単に「スイッチオフ許可」という場合がある)、またはスイッチオフの不許可(以下、単に「スイッチオフ不許可」という場合がある)の指示に従う。また、他のセルは、スモールセルの集中制御ノードであってもよい。また、他のセルはESの集中制御ノード(「ESコンセントレータ」とも称する)であってもよい。また、スモールセルは、他のセルのカバレッジ内に設置された場合に、該他のセルからのスイッチオフ許可、またはスイッチオフ不許可の指示に従うとしてもよい。
スモールセル独自のESポリシーとして、スイッチオフ許可と指示されたスモールセルは、以下のように動作する。スモールセルの判断でスイッチオフをすることを可能とする。スイッチオフをする場合は、周辺セルにスイッチオフをする旨を通知する。スイッチオフする旨を通知する際、スモールセルであるか否かのインジケータを併せて通知してもよい。また、自セルの識別子を併せて通知してもよい。周辺セルからスイッチオンを要求された場合は、スイッチオンをする。
スイッチオフ不許可と指示されたスモールセルは、以下のように動作する。スモールセルの判断でスイッチオフをすることを不可能とする。すなわち、スイッチオフをしない。
他のセルのカバレッジ内に存在するスモールセルは、前記スモールセル独自のESポリシーと同様に動作し、他のセルのカバレッジ外に存在するスモールセルは、以下のように動作する。スモールセルの判断でスイッチオフをすることを可能とする。スイッチオフをする場合は、周辺セルにスイッチオフをする旨を通知する。スイッチオフする旨を通知する際、スモールセルであるか否かのインジケータを併せて通知してもよい。また、自セルの識別子を併せて通知してもよい。周辺セルからスイッチオンを要求された場合は、スイッチオンをする。
(2)スモールセルは、マクロセルのカバレッジ内に設置された場合、該カバレッジマクロセルのスイッチオフの許可、またはスイッチオフの不許可の指示に従う。
スイッチオフ許可と指示されたスモールセルは、以下のように動作する。スモールセルの判断でスイッチオフをすることを可能とする。スイッチオフをする場合は、カバレッジマクロセルにスイッチオフをする旨を通知する。スイッチオフをする旨を通知する際、スモールセルであるか否かのインジケータを併せて通知してもよい。また、自セルの識別子を併せて通知してもよい。カバレッジマクロセルからスイッチオンを要求された場合は、スイッチオンをする。
スイッチオフ不許可と指示されたスモールセルは、以下のように動作する。スモールセルの判断でスイッチオフをすることを不可能とする。すなわち、スイッチオフをしない。
マクロセルのカバレッジ外に存在するスモールセルは、以下のように動作する。スモールセルの判断でスイッチオフをすることを可能とする。スイッチオフをする場合は、周辺セルにスイッチオフをする旨を通知する。スイッチオフをする旨を通知する際、スモールセルであるか否かのインジケータを併せて通知してもよい。また、自セルの識別子を併せて通知してもよい。周辺セルからスイッチオンを要求された場合は、スイッチオンをする。
スモールセルが、他のセル、またはマクロセルのカバレッジ内に設置されたか否かを判断する方法の具体例は、前述の実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。
スモールセルが、セルサーチの際に、対象のセルがマクロセルであるか否かを判断する方法の具体例は、前述の実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。
スモールセル独自のESポリシーの具体例(1)において、他のセルが複数存在する場合の動作の具体例として、以下の(1−1),(1−2)の2つを開示する。
(1−1)全ての他セルの指示に従う。具体的には、全ての他セルから、スイッチオフ許可と指示されたスモールセルは、以下のように動作する。スモールセルの判断でスイッチオフをすることを可能とする。スイッチオフをする場合は、周辺セルにスイッチオフをする旨を通知する。周辺セルからスイッチオンを要求された場合は、スイッチオンをする。
少なくとも1つの他のセルからスイッチオフ不許可と指示されたスモールセルは、以下のように動作する。スモールセルの判断でスイッチオフをすることを不可能とする。すなわち、スイッチオフをしない。
(1−2)複数の他のセルの中で代表となる他のセル(以下「代表他セル」という場合がある)の指示に従う。具体的には、代表他セルを決定する。
代表他セルから、スイッチオフ許可と指示されたスモールセルは、以下のように動作する。スモールセルの判断でスイッチオフをすることを可能とする。スイッチオフをする場合は、代表他セル、または周辺セルにスイッチオフをする旨を通知する。代表他セル、または周辺セルからスイッチオンを要求された場合は、スイッチオンをする。
代表他セルからスイッチオフ不許可と指示されたスモールセルは、以下のように動作する。スモールセルの判断でスイッチオフをすることを不可能とする。すなわち、スイッチオフをしない。
代表他セルの決定方法の具体例として、以下の(1−2−1)〜(1−2−3)の3つを開示する。
(1−2−1)スモールセルのセルサーチによる受信品質が最も高いセルを代表他セルとする。
(1−2−2)実施の形態1を用いて、スモールセルの能力に適した設定を行ったセルを代表他セルとする。
(1−2−3)マクロサポートモードにおいて、スモールセルと共に動作させるセルを代表他セルとする。スモールセルと共に動作させるセルの具体例は、前述の実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。
スモールセル独自のESポリシーの具体例(2)において、カバレッジマクロセルが複数存在する場合の動作の具体例として、以下の(2−1),(2−2)の2つを開示する。
(2−1)全てのカバレッジマクロセルの指示に従う。具体的には、全てのカバレッジマクロセルから、スイッチオフ許可と指示されたスモールセルは、以下のように動作する。スモールセルの判断でスイッチオフをすることを可能とする。スイッチオフをする場合は、全てのカバレッジマクロセルにスイッチオフをする旨を通知する。カバレッジマクロセルからスイッチオンを要求された場合は、スイッチオンをする。
少なくとも1つのカバレッジマクロセルからスイッチオフ不許可と指示されたスモールセルは、以下のように動作する。スモールセルの判断でスイッチオフをすることを不可能とする。すなわち、スイッチオフをしない。
(2−2)複数のカバレッジマクロセルの中で代表となるカバレッジマクロセル(以下「代表カバレッジマクロセル」という場合がある)の指示に従う。具体的には、代表カバレッジマクロセルを決定する。
代表カバレッジマクロセルから、スイッチオフ許可と指示されたスモールセルは、以下のように動作する。スモールセルの判断でスイッチオフをすることを可能とする。スイッチオフをする場合は、代表カバレッジマクロセル、またはカバレッジマクロセルにスイッチオフをする旨を通知する。代表カバレッジマクロセル、またはカバレッジマクロセルからスイッチオンを要求された場合は、スイッチオンをする。
代表カバレッジマクロセルからスイッチオフ不許可と指示されたスモールセルは、以下のように動作する。スモールセルの判断でスイッチオフをすることを不可能とする。すなわち、スイッチオフをしない。
代表カバレッジマクロセルの決定方法の具体例として、以下の(2−2−1)〜(2−2−3)の3つを開示する。
(2−2−1)スモールセルのセルサーチによる受信品質が最も高いカバレッジマクロセルを代表カバレッジマクロセルとする。つまり、第一カバレッジマクロセルを代表カバレッジマクロセルとする。
(2−2−2)実施の形態1を用いて、スモールセルの能力に適した設定を行ったカバレッジマクロセルを代表カバレッジマクロセルとする。
(2−2−3)マクロサポートモードにおいて、スモールセルと共に動作させるマクロセルを代表カバレッジマクロセルとする。スモールセルと共に動作させるマクロセルの具体例は、前述の実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。
スモールセル独自のESポリシーを用いるか否かの設定主体、およびスモールセルにおけるスモールセル独自のESポリシーを用いるか否かの設定方法(「ESポリシー設定方法」と称する)の具体例として、以下の(1)〜(3)の3つを開示する。
(1)静的に決定する。スモールセルは、スモールセル独自のESポリシーを用いる。これによって、スモールセル独自のESポリシーを用いるか否かの設定、およびスモールセルにおけるスモールセル独自のESポリシーを用いるか否かの判断は不要である。後述の具体例(2),(3)と比較して設定処理が不要となり、設定などのシグナリングが不要となるので、通信システムが複雑化することを回避することができる。
(2)スモールセル自体が、スモールセル独自のESポリシーを用いるか否かを設定する。スモールセル自体が設定するので、スモールセルにおけるESポリシーを用いるか否かの判断は不要である。その場合の具体例として、以下の(2−1),(2−2)の2つを開示する。
(2−1)スモールセルは、他のセルのカバレッジ内に設置される場合、つまりスモールセルがカバレッジセルを持つ場合は、スモールセル独自のESポリシーを用いることを設定する。スモールセルは、他のセルのカバレッジ内に設置されていない場合、つまりスモールセルがカバレッジセルを持たない場合は、スモールセル独自のESポリシーを用いないことを設定する。または、従来通りのESポリシーを用いることを設定してもよい。
(2−2)スモールセルは、マクロセルのカバレッジ内に設置される場合、つまりスモールセルがカバレッジマクロセルを持つ場合は、スモールセル独自のESポリシーを用いることを設定する。スモールセルは、マクロセルのカバレッジ内に設置されていない場合、つまりスモールセルがカバレッジマクロセルを持たない場合は、スモールセル独自のESポリシーを用いないことを設定する。例えば、従来通りのESポリシーを用いるようにしてもよい。
(3)実施の形態1と同様に、既に設置されているネットワーク機器が、スモールセル独自のESポリシーを用いるか否かの設定を行う。スモールセルが設置された場合に、ネットワーク機器からスモールセルに通知される、該スモールセルの能力に適した設定パラメータを用いて設定する。具体的には、設定パラメータの消費電力低減(Energy Saving:ES)ポリシーを用いて設定する。設定パラメータの消費電力低減(Energy Saving:ES)ポリシーが無い場合は、スモールセル独自のESポリシーを用いないと設定されてもよい。または、設定パラメータのESポリシーが無い場合は、従来通りのESポリシーを用いると設定されてもよい。スモールセル独自のESポリシーを用いるか否かの判断は、既に設置されているネットワーク機器が行えばよい。既に設置されているネットワーク機器の具体例は、前述の実施の形態1の具体例に加えて、ESコンセントレータなどがある。スモールセル独自のESポリシーを用いるか否かの判断主体と、スモールセル独自のESポリシーを用いるか否かの設定主体とが異なる場合は、判断主体から設定主体に、スモールセル独自のESポリシーを用いるか否かの情報を通知すればよい。スモールセルは、設定主体であるネットワーク機器から通知された設定パラメータに基づいて、スモールセル独自のESポリシーを用いるか否かを判断すればよい。
スモールセルに、「スイッチオフ許可」または「スイッチオフ不許可」を通知する、他のセル(カバレッジセル、カバレッジマクロセル、周辺セルなど)が、対象のセルがスモールセル独自のESポリシーを用いるか否かを知る方法の具体例を、ESポリシー設定方法の具体例毎に、以下に開示する。
ESポリシーの設定方法(1)とした場合の具体例として、以下の(1−1),(1−2)の2つを開示する。
(1−1)スモールセルは、スモールセルである旨を報知する。他のセルは、対象のセルの報知情報を受信し、スモールセルであるか否かを確認する。
(1−2)実施の形態1を用いて、スモールセルが設置された場合に、スモールセルから通知される自セルの能力パラメータに基づいて判断する。能力パラメータに、スモールセルである旨が含まれている場合は、対象のセルをスモールセルと判断する。または、自セルの能力パラメータを通知してきたセルは、スモールセルであると判断してもよい。
ESポリシーの設定方法(2)とした場合の具体例として、以下の(2−1)を開示する。
(2−1)実施の形態1に開示したネットワーク機器から設定パラメータを受信した場合のスモールセルの動作の具体例(4)を用いる。
ESポリシーの設定方法(3)とした場合の具体例として、以下の(3−1),(3−2)の2つを開示する。
(3−1)前記(2−1)と同様に、実施の形態1に開示したネットワーク機器から設定パラメータを受信した場合のスモールセルの動作の具体例(4)を用いる。
(3−2)スモールセルへスモールセル独自のESポリシーを用いるか否かの設定を行うネットワーク機器が、他のセルに、該スモールセルのスモールセル独自のESポリシーを用いるか否かの設定を通知する。
他のセルまたはカバレッジマクロセルからスモールセルへのスイッチオフ許可、もしくはスイッチオフ不許可の指示の通知に用いられるインタフェースの具体例として、以下の(1)〜(4)の4つを開示する。
(1)報知情報を用いて通知する。新たなインジケータを追加する。本具体例(1)は、セル内に多くのスモールセルが設置される場合などに、スモールセル毎に個別にスイッチオフ許可またはスイッチオフ不許可の指示を通知する必要が無い点において、後述するインタフェースの具体例(2),(3)と比較して優れている。スモールセルにおける報知情報を受信する方法の具体例として、以下の(1−1),(1−2)の2つを開示する。(1−1)周辺セルサーチ時の報知情報受信時。(1−2)他のセル、またはカバレッジマクロセルのシステム情報の更新通知受信時。
(2)X2インタフェースを用いて通知する。既存のメッセージにインジケータを追加してもよい。既存のメッセージの具体例として、以下の(2−1)〜(2−3)の3つを開示する。
(2−1)「CELL ACTIVATION REQUEST」メッセージ(非特許文献15 8.3.1章参照)。従来のESポリシーにおいて、スイッチオフされているセルにスイッチオンを要求するメッセージである。ES関連の情報を同じメッセージで送受信することが可能となるので、通信システムが複雑化することを回避することができる。
(2−2)「LOAD INFORMATION」メッセージ(非特許文献15 9.1.2.1章参照)。後述のように、スイッチオフ許可、またはスイッチオフ不許可にする場合の判断に、無線リソースの状況を用いる場合は、無線リソース関連の情報を同じメッセージで送受信することが可能となるので、通信システムが複雑化することを回避することができる。
(2−3)「eNB Configuration Update」メッセージ(非特許文献15 8.3.5章参照)。セルの設定、または状況の情報を同じメッセージで送受信することが可能となるので、通信システムが複雑化することを回避することができる。
(3)MME経由でS1インタフェースを用いて通知する。既存のメッセージにインジケータを追加してもよい。既存のメッセージの具体例を、以下に開示する。「eNB Configuration Update」メッセージ(非特許文献16 8.7.4章参照)。セルの設定、または状況の情報を同じメッセージで送受信することが可能となるので、通信システムが複雑化することを回避することができる。
(4)新たなインタフェースを設けてもよい。
他のセルまたはカバレッジマクロセルのスモールセルへのスイッチオフ許可、もしくはスイッチオフ不許可の判断の具体例を、以下に開示する。
他のセルまたはカバレッジマクロセルは、自セルの負荷が高い場合は、スイッチオフ不許可とする。これによって、スイッチオフ不許可の指示を受信したスモールセルが、スモールセルの判断でスイッチオフを行うことがない。したがって、スモールセルのカバレッジ内に位置するUEがスモールセルを用いることが可能となるので、他のセルまたはカバレッジマクロセルで無線リソースが不足することを解消することができる。また、同じ理由で、他のセルまたはカバレッジマクロセルの処理負荷を軽減することが可能となる。
他のセルまたはカバレッジマクロセルは、自セルの負荷が低い場合は、スイッチオフ許可とする。これによって、スイッチオフ許可の指示を受信したスモールセルが、スモールセルの判断でスイッチオフを行う。したがって、他のセルまたはカバレッジマクロセルの負荷が低いことから、スモールセルがスイッチオフをした場合であっても、スイッチオフをしたスモールセルの傘下のUEとの通信を、他のセルまたはカバレッジマクロセルが問題なく担うことができる。また、併せて、スモールセルがスイッチオフをすることによって、低消費電力化を実現することが可能となる。
次に、図18および図19を用いて、実施の形態2の解決策を用いた場合の通信システムのシーケンスの具体例を説明する。図18および図19は、実施の形態2における通信システムのシーケンスの一例を示す図である。図18と図19とは、境界線BL2の位置で、つながっている。図18および図19において、図16および図17に対応するステップについては、同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。
ステップST1401において、スモールセルが設置され、ステップST1402において、スモールセルによって周辺セルサーチが実行されると、ステップST1403に移行する。
ステップST1403において、スモールセルは、マクロセルのカバレッジ内に設置されているか否かを判断することによって、カバレッジマクロセルが有るか否かを判断する。ステップST1403において、スモールセルは、マクロセルのカバレッジ内に設置されていないと判断した場合は、カバレッジマクロセルが無いと判断して、ステップST1500に移行する。ステップST1403において、スモールセルは、マクロセルのカバレッジ内に設置されていると判断した場合は、カバレッジマクロセルが有ると判断して、ステップST1501に移行する。
ステップST1500において、スモールセルは、従来通りのESポリシーを用いることを決定する。スモールセル独自のESポリシーを用いないことを決定するとしてもよい。ステップST1500の処理が完了すると、設置時の処理を終了し、他の処理に移行する。ステップST1500の後の他の処理は、本発明の特徴的な部分ではないので、説明を省略する。
ステップST1501において、スモールセルは、スモールセル独自のESポリシーを用いることを決定する。
ステップST1502において、カバレッジマクロセルは、カバレッジ内のスモールセルのスイッチオフ許可、またはスイッチオフ不許可のインジケータを報知情報にマッピングして、マッピングした報知情報をスモールセルに送信する。
ステップST1503において、スモールセルは、報知情報を受信する。カバレッジマクロセルの報知情報を受信するとしてもよい。
ステップST1504において、スモールセルは、スイッチオフが許可されているか否かを判断する。本例では、スモールセルは、ステップST1503で受信した報知情報の中に、スイッチオフ許可のインジケータが含まれているか否かを判断することによって、スイッチオフが許可されているか否かを判断する。
スモールセルは、ステップST1504において、報知情報の中に、スイッチオフ許可のインジケータが含まれていると判断した場合は、スイッチオフが許可されていると判断し、ステップST1505に移行する。スモールセルは、ステップST1504において、報知情報の中に、スイッチオフ許可のインジケータが含まれていないと判断した場合は、スイッチオフが許可されていないと判断し、ステップST1503に戻る。
ステップST1505において、スモールセルは、自セルの判断でスイッチオフをするか否かを判断する。スモールセルは、ステップST1505において、スイッチオフをすると判断した場合は、図19のステップST1506に移行する。スモールセルは、ステップST1505において、スイッチオフをしないと判断した場合は、ステップST1503に戻る。または、ステップST1505の処理を繰り返すようにしてもよい。
図18および図19に示す例では、ステップST1503およびステップST1504の処理の後にステップST1505の処理を行っているが、処理の順序を入れ替えて、ステップST1505の処理の後にステップST1503およびステップST1504の処理を行うようにしてもよい。
ステップST1506において、スモールセルは、スイッチオフをする。ステップST1507において、スモールセルは、カバレッジマクロセルに、スイッチオフをした旨を通知する。
図18および図19に示す例では、ステップST1506の処理の後にステップST1507の処理を行っているが、処理の順序を入れ替えて、ステップST1507の処理の後にステップST1506の処理を行うようにしてもよい。この場合、ステップST1507の処理としては、スイッチオフをする旨をカバレッジマクロセルに通知する処理を行えばよい。
ステップST1508において、カバレッジマクロセルは、負荷が高くなったか否かを判断する。カバレッジマクロセルは、ステップST1508において、負荷が高くなったと判断した場合は、ステップST1509に移行する。カバレッジマクロセルは、ステップST1508において、負荷が高くなっていないと判断した場合は、ステップST1508の処理を繰り返す。
ステップST1509において、カバレッジマクロセルは、スモールセルに、スイッチオンをするように要求するスイッチオン要求を通知する。
ステップST1510において、スモールセルは、カバレッジマクロセルからスイッチオン要求を受信したか否かを判断する。スモールセルは、ステップST1510において、スイッチオン要求を受信したと判断した場合は、ステップST1511に移行する。ステップST1510において、スモールセルがスイッチオン要求を受信していないと判断した場合は、ステップST1509に戻る。
ステップST1511において、スモールセルは、スイッチオンをする。ステップST1512において、スモールセルは、カバレッジマクロセルに、スイッチオンをした旨を通知する。
図18および図19に示す例では、ステップST1511の処理の後にステップST1512の処理を行っているが、処理の順序を入れ替えて、ステップST1512の処理の後にステップST1511の処理を行うようにしてもよい。この場合、ステップST1512の処理としては、スイッチオンをする旨をカバレッジマクロセルに通知する処理を行えばよい。
次に、図20および図21を用いて、実施の形態2の解決策を用いた場合の通信システムの他のシーケンスの具体例を説明する。図20および図21は、実施の形態2における通信システムのシーケンスの他の例を示す図である。図20と図21とは、境界線BL3の位置で、つながっている。図20および図21に示す例では、図18および図19に示す例とは異なる処理を行う。図20および図21において、図16〜図19に対応するステップについては、同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。
ステップST1401において、スモールセルが設置され、ステップST1402において、スモールセルによって周辺セルサーチが実行されると、ステップST1403に移行する。
ステップST1403において、スモールセルがマクロセルのカバレッジ内に設置されていないと判断された場合は、カバレッジマクロセルが無いと判断されて、ステップST1500に移行する。ステップST1403において、スモールセルがマクロセルのカバレッジ内に設置されていると判断された場合は、カバレッジマクロセルが有ると判断されて、ステップST1404に移行する。ステップST1404において、スモールセルは、自セルの能力を、カバレッジマクロセルに通知する。
ステップST1404でスモールセルの能力を受信したカバレッジマクロセルは、ステップST1406において、スモールセルの能力に適した設定を選択する。具体的には、カバレッジマクロセルは、スモールセルの能力に適した設定パラメータを選択する。本例では、カバレッジマクロセルは、ESポリシーとして、スモールセル独自のESポリシーを選択し、スモールセル独自のESポリシーを設定した設定パラメータを選択する。
次いで、ステップST1601において、カバレッジマクロセルは、ステップST1406で選択した設定パラメータをスモールセルに通知する。本例では、カバレッジマクロセルは、ESポリシーとして、スモールセル独自のESポリシーを設定した設定パラメータをスモールセルに通知する。
ステップST1602において、スモールセルは、ステップST1601で受信した設定パラメータに従って、スモールセル独自のESポリシーを用いることを決定する。
ステップST1603において、カバレッジマクロセルは、カバレッジ内のスモールセルに、スイッチオフ許可、またはスイッチオフ不許可のインジケータを通知する。
ステップST1604において、スモールセルは、カバレッジマクロセルからスイッチオフ許可、またはスイッチオフ不許可のインジケータを受信する。スイッチオフ許可、またはスイッチオフ不許可のインジケータを受信すると、ステップST1504に移行する。
ステップST1504において、スモールセルは、スイッチオフが許可されているか否かを判断する。本例では、スモールセルは、ステップST1604で受信したインジケータが、スイッチオフ許可のインジケータであるか否かを判断することによって、スイッチオフが許可されているか否かを判断する。
スモールセルは、ステップST1504において、スイッチオフ許可のインジケータであると判断した場合は、スイッチオフが許可されていると判断し、ステップST1505に移行する。スモールセルは、ステップST1504において、スイッチオフ許可のインジケータではない、換言すればスイッチオフ不許可のインジケータであると判断した場合は、スイッチオフが許可されていないと判断し、ステップST1603に戻る。
ステップST1505において、スモールセルは、自セルの判断でスイッチオフをするか否かを判断し、スイッチオフをすると判断した場合は、図21のステップST1506に移行する。スモールセルは、ステップST1505において、スイッチオフをしないと判断した場合は、ステップST1603に戻る。または、ステップST1505の処理を繰り返すようにしてもよい。
次に、ステップST1506〜ステップST1512において、図19のステップST1506〜ステップST1512と同様の処理を行う。
実施の形態2によって、以下の効果を得ることができる。スモールセルに適したES動作を実現することができる。通信システムとして負荷を考慮した消費電力低減が可能となる。また、スモールセルの設置場所に応じた、スモールセルのES動作とすることができる。スモールセル設置の際、オペレータを介在させることなく、スモールセルのESポリシーを設定することが可能となる。これによって、スモールセルを設置するときのオペレータによる運用管理を容易にすることができる。
実施の形態2 変形例1.
実施の形態2の変形例1では、実施の形態2と同様の課題を解決する。実施の形態2の変形例1での解決策を以下に示す。
実施の形態2の変形例1では、従来とは異なる、スモールセル独自のES方法を新設する。具体的には、従来のESポリシーにおいて、スモールセル独自のスイッチオフ方法、スモールセル独自の再活性化要求方法を新設する。前述の実施の形態2のスモールセル独自のESポリシーを新設する方法と比較して、ESポリシー自体の新設は行わない点において、通信システムが複雑化することを回避することができる。また、後方互換性(backward compatibility:バックワードコンパチビリティ)に優れた通信システムを構築することが可能となる。これによって、スモールセルを導入した場合の通信システムとして最適なES動作を実現することができる。
実施の形態2の変形例1での解決策を、以下に具体的に説明する。スモールセル独自のES方法の具体例として、以下の(1)〜(4)の4つを開示する。
(1)スモールセル独自のスイッチオフ方法の具体例として、スモールセルは、スイッチオフをする前に、他のセルにスイッチオフをしてよいか否かの問合せをする。また、他のセルは、スモールセルの集中制御ノードであってもよい。また、他のセルは、ESの集中制御ノード(「ESコンセントレータ」とも称する)であってもよい。また、スモールセルが他のセルのカバレッジ内に設置されている場合、スモールセルは、スイッチオフをする前に、該他のセルにスイッチオフをして良いか否かの問合せをするようにしてもよい。
スイッチオフをして良いか否かの問合せの応答が、スイッチオフ許可である場合、スモールセルはスイッチオフをする。
スイッチオフをして良いか否かの問合せの応答が、スイッチオフ不許可である場合、スモールセルはスイッチオフをしない。他のセルは、スイッチオフ不許可を通知する場合に、併せて不許可期間を通知してもよい。スモールセルは、スイッチオフ不許可期間は、スイッチオフをしない。
他のセルのカバレッジ外に存在するスモールセルは、以下のように動作するとしてもよい。スモールセルの判断でスイッチオフをすることを可能とする。スイッチオフをする場合は、周辺セルにスイッチオフをする旨を通知する。周辺セルからスイッチオンを要求された場合は、スイッチオンをする。
(2)スモールセル独自のスイッチオフ方法の具体例として、スモールセルがマクロセルのカバレッジ内に設置されている場合、スモールセルは、スイッチオフをする前に、該カバレッジマクロセルにスイッチオフをして良いか否かの問合せをする。
スイッチオフをして良いか否かの問合せの応答が、スイッチオフ許可である場合、スモールセルはスイッチオフをする。
スイッチオフをして良いか否かの問合せの応答が、スイッチオフ不許可である場合、スモールセルはスイッチオフをしない。カバレッジマクロセルは、スイッチオフ不許可を通知する場合に、併せてスイッチオフ不許可期間を通知してもよい。スモールセルは、スイッチオフ不許可期間は、スイッチオフをしない。
マクロセルのカバレッジ外に存在するスモールセルは、以下のように動作する。スモールセルの判断でスイッチオフをすることを可能とする。スイッチオフをする場合は、周辺セルにスイッチオフをする旨を通知する。周辺セルからスイッチオンを要求された場合は、スイッチオンをする。
(3)スモールセル独自の再活性化要求方法の具体例として、周辺セルによって、スイッチオフ状態のスモールセルに対して、スイッチオン要求を通知する場合、スイッチオフ不許可期間を設定する。スイッチオフをする旨の通知の際に、スモールセルである旨を通知したセルに対して、スイッチオン要求を通知する場合、スイッチオフ不許可期間を設定するようにしてもよい。また、周辺セルは、スモールセルの集中制御ノードであってもよい。また、周辺セルはESの集中制御ノード(「ESコンセントレータ」とも称する)であってもよい。スモールセルは、スイッチオフ不許可期間は、スイッチオフをしない。
(4)スモールセル独自の再活性化要求方法の具体例として、カバレッジマクロセルによって、スイッチオフ状態のスモールセルに対して、スイッチオン要求を通知する場合、スイッチオフ不許可期間を設定する。スイッチオフをする旨の通知の際に、スモールセルである旨を通知したセルに対して、スイッチオン要求を通知する場合、スイッチオフ不許可期間を設定するようにしてもよい。スモールセルは、スイッチオフ不許可期間は、スイッチオフをしない。
前述のように、非特許文献1には、OAMが、eNBによって用いられるスイッチオフの決定ポリシーを設定することは開示されているが、その具体的な内容は開示されていない。つまり、スイッチオフをする前に、他のセルにスイッチオフをして良いか否かの問合せをすることについては、非特許文献1には開示されていない。また、前述のように、非特許文献1には、OAMが、周辺eNBによって用いられる再活性化要求ポリシーを設定することは開示されているが、その具体的な内容は開示されていない。つまり、スイッチオフ不許可期間についても、非特許文献1には開示されていない。
スモールセルが、他のセルまたはマクロセルのカバレッジ内に設置されているか否かを判断する方法の具体例は、前述の実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。
スモールセルが、セルサーチの際に、対象のセルがマクロセルであるか否かを判断する方法の具体例は、前述の実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。
スモールセル独自のES方法の具体例(1)において、他のセルが複数存在する場合の動作の具体例として、以下の(1−1),(1−2)の2つを開示する。
(1−1)全ての他のセルの指示に従う。具体的には、全ての他のセルに問合せを行う。全ての他のセルから、スイッチオフ許可と指示されたスモールセルは、以下のように動作する。スモールセルの判断でスイッチオフをすることを可能とする。スイッチオフをする場合は、周辺セルにスイッチオフをする旨を通知する。周辺セルからスイッチオンを要求された場合は、スイッチオンをする。
少なくとも1つの他のセルからスイッチオフ不許可と指示されたスモールセルは、以下のように動作する。スモールセルの判断でスイッチオフをすることを不可能とする。すなわち、スイッチオフをしない。
(1−2)複数の他のセルの中の代表他セルの指示に従う。具体的には、代表他セルを決定する。
さらに具体的には、代表他セルに問合せを行う。代表他セルから、スイッチオフ許可と指示されたスモールセルは、以下のように動作する。スモールセルの判断でスイッチオフをすることを可能とする。スイッチオフをする場合は、代表他セルまたは周辺セルに、スイッチオフをする旨を通知する。代表他セルまたは周辺セルからスイッチオンを要求された場合は、スイッチオンをする。
代表他セルからスイッチオフ不許可と指示されたスモールセルは、以下のように動作する。スモールセルの判断でスイッチオフをすることを不可能とする。すなわち、スイッチオフをしない。
代表他セルの決定方法の具体例として、以下の(1−2−1),(1−2−2)の2つを開示する。
(1−2−1)スモールセルのセルサーチによる受信品質が最も高いカバレッジセルを代表他セルとする。
(1−2−2)実施の形態1を用いて、スモールセルの能力に適した設定を行ったカバレッジセルを代表他セルとする。
スモールセル独自のES方法の具体例(2)において、カバレッジマクロセルが複数存在する場合の動作の具体例として、以下の(2−1),(2−2)の2つを開示する。
(2−1)全てのカバレッジマクロセルの指示に従う。
具体的には、全てのカバレッジマクロセルに問合せを行う。全てのカバレッジマクロセルから、スイッチオフ許可と指示されたスモールセルは、以下のように動作する。スモールセルの判断でスイッチオフをすることを可能とする。スイッチオフをする場合は、全てのカバレッジマクロセルにスイッチオフをする旨を通知する。カバレッジマクロセルからスイッチオンを要求された場合は、スイッチオンをする。
少なくとも1つのカバレッジマクロセルからスイッチオフ不許可と指示されたスモールセルは、以下のように動作する。スモールセルの判断でスイッチオフをすることを不可能とする。すなわち、スイッチオフをしない。
(2−2)複数のカバレッジマクロセルの中の代表カバレッジマクロセルの指示に従う。具体的には、代表カバレッジマクロセルを決定する。
さらに具体的には、代表カバレッジセルに問合せを行う。代表カバレッジマクロセルから、スイッチオフ許可と指示されたスモールセルは、以下のように動作する。スモールセルの判断でスイッチオフをすることを可能とする。スイッチオフをする場合は、代表カバレッジマクロセル、またはカバレッジマクロセルにスイッチオフをする旨を通知する。代表カバレッジマクロセル、またはカバレッジマクロセルからスイッチオンを要求された場合は、スイッチオンをする。
代表カバレッジマクロセルからスイッチオフ不許可と指示されたスモールセルは、以下のように動作する。スモールセルの判断でスイッチオフをすることを不可能とする。すなわち、スイッチオフをしない。
代表カバレッジマクロセルの決定方法の具体例として、以下の(2−2−1)〜(2−2−3)の3つを開示する。
(2−2−1)スモールセルのセルサーチによる受信品質が最も高いカバレッジマクロセルを代表カバレッジマクロセルとする。
(2−2−2)実施の形態1を用いて、スモールセルの能力に適した設定を行ったカバレッジマクロセルを代表カバレッジマクロセルとする。
(2−2−3)マクロサポートモードにおいて、スモールセルと共に動作させるマクロセルを代表カバレッジマクロセルとする。スモールセルと共に動作させるマクロセルの具体例は、前述の実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。
スモールセル独自のES方法の具体例(3)において、他のセルが複数存在する場合の動作の具体例として、以下の(3−1),(3−2)の2つを開示する。
(3−1)全ての他セルの指示に従う。
具体的には、全ての他のセルから通知されるスイッチオフ不許可期間のうち、最も長いスイッチオフ不許可期間に従う。スモールセルは、スイッチオフ不許可期間は、スモールセルの判断でスイッチオフをすることを不可能とする。すなわち、スイッチオフをしない。
(3−2)複数の他のセルの中の代表他セルの指示に従う。具体的には、代表他セルを決定する。
さらに具体的には、代表他セルから通知されるスイッチ不許可期間に従う。スモールセルは、代表他セルから通知されるスイッチオフ不許可期間は、スモールセルの判断でスイッチオフをすることを不可能とする。すなわち、スイッチオフをしない。
代表他セルの決定方法の具体例は、前述のスモールセル独自のES方法の具体例(1)の(1−2)における代表他セルの決定方法の具体例と同様であるので、説明を省略する。
スモールセル独自のES方法の具体例(4)において、カバレッジマクロセルが複数存在する場合の動作の具体例として、以下の(4−1),(4−2)の2つを開示する。
(4−1)全てのカバレッジマクロセルの指示に従う。
具体的には、全てのカバレッジマクロセルから通知されるスイッチオフ不許可期間のうち、最も長いスイッチオフ不許可期間に従う。スモールセルは、スイッチオフ不許可期間は、スモールセルの判断でスイッチオフをすることを不可能とする。すなわち、スイッチオフをしない。
(4−2)複数のカバレッジマクロセルの中の代表カバレッジマクロセルの指示に従う。具体的には、代表カバレッジマクロセルを決定する。
さらに具体的には、代表カバレッジマクロセルから通知されるスイッチ不許可期間に従う。スモールセルは、代表カバレッジマクロセルから通知されるスイッチオフ不許可期間は、スモールセルの判断でスイッチオフをすることを不可能とする。すなわち、スイッチオフをしない。
代表カバレッジマクロセルの決定方法の具体例は、前述のスモールセル独自のES方法の具体例(2)の(2−2)における代表カバレッジマクロセルの決定方法の具体例と同様であるので、説明を省略する。
他のセルまたはカバレッジマクロセルが、スイッチオフをしているセルがスモールセルであるか否かを判断する方法の具体例として、以下の(1)〜(3)の3つを開示する。
(1)セルは、スモールセルであるか否かのインジケータを報知する。他のセルまたはカバレッジマクロセルは、対象のセルの報知情報を受信し、スモールセルであるか否かのインジケータを確認する。
(2)実施の形態1を用いて、スモールセルが設置された場合に、スモールセルから通知される自セルの能力パラメータに基づいて判断する。能力パラメータに、スモールセルである旨が含まれている場合は、対象のセルをスモールセルと判断する。または、自セルの能力パラメータを通知してきたセルは、スモールセルであると判断してもよい。自セルの識別子を併せて通知してもよい。また、周辺セルにスイッチオフをする旨を通知する際に、スモールセルであるか否かのインジケータを併せて通知してもよい。
(3)スモールセル独自のES方法の具体例(1),(2)を用いて、スイッチオフをする前に、スイッチオフをして良いか否かの問合せをしてきたセルは、スモールセルであると判断する。自セルの識別子を併せて通知してもよい。
スモールセル独自のES方法を用いるか否かの設定主体、およびスモールセルにおけるスモールセル独自のES方法を用いるか否かの判断方法の具体例は、前述の実施の形態2のスモールセル独自のESポリシーを用いるか否かの設定主体、およびスモールセルにおけるスモールセル独自のESポリシーを用いるか否かの判断方法の具体例と同様であるので、説明を省略する。
スモールセルが、スイッチオフをする前に、他のセルまたはカバレッジマクロセルへのスイッチオフをして良いか否かの問合せの通知に用いられるインタフェースの具体例として、以下の(1)〜(3)の3つを開示する。
(1)X2インタフェースを用いて通知する。既存のメッセージにインジケータを追加してもよい。既存のメッセージの具体例として、以下を開示する。「eNB Configuration Update」メッセージ(非特許文献15 8.3.5章参照)。既存のES方法において、自セルの判断でスイッチオフをする場合、周辺セルにスイッチオフをする旨を通知する場合に用いるメッセージである。したがって、ES関連の情報を同じメッセージで送受信することが可能となるので、通信システムが複雑化することを回避することができる。
(2)MME経由でS1インタフェースを用いて通知する。既存のメッセージにインジケータを追加してもよい。既存のメッセージの具体例を、以下に開示する。「eNB Configuration Update」メッセージ(非特許文献16 8.7.4章参照)。セルの設定、または状況の情報を同じメッセージで送受信することが可能となるので、通信システムが複雑化することを回避することができる。
(3)新たなインタフェースを設けてもよい。
他のセルまたはカバレッジマクロセルが、スモールセルにスイッチオフ不許可期間を通知する場合に用いられるインタフェースの具体例として、以下の(1)〜(3)の3つを開示する。
(1)報知情報を用いて通知する。新たなインジケータを追加する。セル内に多くのスモールセルが設置される場合などに、スモールセル毎に個別にスイッチオフ不許可期間を通知する必要が無い点において、後述するインタフェースの具体例(2),(3)と比較して優れている。スモールセルにおける報知情報を受信する方法の具体例として、以下の(1−1)〜(1−3)の3つを開示する。(1−1)周辺セルサーチ時の報知情報受信時。(1−2)他のセル、またはカバレッジマクロセルのシステム情報の更新通知受信時。(1−3)他セルまたはカバレッジマクロセルからスイッチオンの要求を受信したスモールセルは、該他のセルまたは該カバレッジマクロセルの報知情報を受信し、スイッチオフ不許可期間を確認する。
(2)X2インタフェースを用いて通知する。既存のメッセージにインジケータを追加してもよい。既存のメッセージの具体例として、以下の(2−1)〜(2−3)の3つを開示する。
(2−1)「CELL ACTIVATION REQUEST」メッセージ(非特許文献15 8.3.1章参照)。従来のES動作において、スイッチオフされているセルにスイッチオンを要求するメッセージである。ES関連の情報を同じメッセージで送受信することが可能となるので、通信システムが複雑化することを回避することができる。
(2−2)「LOAD INFORMATION」メッセージ(非特許文献15 9.1.2.1章参照)。後述のように、スイッチオフ許可、またはスイッチオフ不許可にする場合の判断に、無線リソースの状況を用いる場合は、無線リソース関連の情報を同じメッセージで送受信することが可能となるので、通信システムが複雑化することを回避することができる。
(2−3)「eNB Configuration Update」メッセージ(非特許文献15 8.3.5章参照)。セルの設定、または状況の情報を同じメッセージで送受信することが可能となるので、通信システムが複雑化することを回避することができる。
(3)MME経由でS1インタフェースを用いて通知する。既存のメッセージにインジケータを追加してもよい。既存のメッセージの具体例を、以下に開示する。「eNB Configuration Update」メッセージ(非特許文献16 8.7.4章参照)。セルの設定、または状況の情報を同じメッセージで送受信することが可能となるので、通信システムが複雑化することを回避することができる。
(4)新たなインタフェースを設けてもよい。
スイッチオフ不許可期間の表し方の具体例として、以下の(1),(2)の2つを開示する。
(1)スモールセルをスイッチオンしてからの期間。つまり相対時間。
(2)スイッチオフ不許可の期間。例えば、午前9時から午後5時までなどの期間。つまり絶対時間。
他のセルまたはカバレッジマクロセルが、スモールセルにスイッチオフ不許可期間を設定するか否かの判断の具体例を、以下に開示する。
他のセルまたはカバレッジマクロセルは、自セルの負荷が高い場合は、スイッチオフ不許可期間を設定すると判断する。これによって、スイッチオフ不許可期間において、スモールセルが、スモールセルの判断でスイッチオフを行うことがない。したがって、スモールセルのカバレッジ内に位置するUEがスモールセルを用いることが可能となるので、他のセルまたはカバレッジマクロセルで無線リソースが不足することを解消することができる。また、同じ理由で、他のセルまたはカバレッジマクロセルの処理負荷を軽減することが可能となる。
他セルまたはカバレッジマクロセルは、自セルの負荷が低い場合は、スイッチオフ不許可期間を設定しないと判断する。これによって、スモールセルが、スモールセルの判断でスイッチオフを行う。したがって、他のセルまたはカバレッジマクロセルの負荷が低いことから、スモールセルがスイッチオフをした場合であっても、スイッチオフをしたスモールセルの傘下のUEとの通信を、他のセルまたはカバレッジマクロセルが問題なく担うことができる。また、併せて、スモールセルがスイッチオフをすることによって、低消費電力化を実現することが可能となる。
次に、図22および図23を用いて、実施の形態2の変形例1の解決策を用いた場合の通信システムのシーケンスの具体例を説明する。図22および図23は、実施の形態2の変形例1における通信システムのシーケンスの一例を示す図である。図22と図23とは、境界線BL4の位置で、つながっている。図22および図23において、図16〜図19に対応するステップについては同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。
ステップST1401において、スモールセルが設置され、ステップST1402において、スモールセルによって周辺セルサーチが実行されると、ステップST1403に移行する。
ステップST1403において、スモールセルは、マクロセルのカバレッジ内に設置されているか否かを判断することによって、カバレッジマクロセルが有るか否かを判断する。ステップST1403において、スモールセルは、マクロセルのカバレッジ内に設置されていないと判断した場合は、カバレッジマクロセルが無いと判断して、ステップST1700に移行する。ステップST1403において、スモールセルは、マクロセルのカバレッジ内に設置されていると判断した場合は、カバレッジマクロセルが有ると判断して、ステップST1701に移行する。
ステップST1700において、スモールセルは、従来通りのES方法を用いることを決定する。スモールセル独自のES方法を用いないことを決定するとしてもよい。ステップST1700の処理が完了すると、設置時の処理を終了し、他の処理に移行する。ステップST1700の後の他の処理は、本発明の特徴的な部分ではないので、説明を省略する。
ステップST1701において、スモールセルは、スモールセル独自のES方法を用いることを決定する。スモールセル独自のES方法を用いることを決定すると、ステップST1505に移行する。
ステップST1505において、スモールセルは、自セルの判断でスイッチオフをするか否かを判断する。スモールセルは、ステップST1505において、スイッチオフをすると判断した場合は、ステップST1506に移行する。スモールセルは、ステップST1505において、スイッチオフをしないと判断した場合は、ステップST1505の処理を繰り返す。
次に、図22のステップST1506〜ステップST1507および図23のステップST1508〜ステップST1512において、図19のステップST1506〜ステップST1512と同様の処理を行う。
次に、図23のステップST1702において、カバレッジマクロセルは、カバレッジ内のスモールセルのスイッチオフ不許可期間を報知情報にマッピングして、マッピングした報知情報をスモールセルに送信する。
ステップST1511でスイッチオンをしたスモールセル、またはステップST1509でカバレッジマクロセルからスイッチオン要求を受信したスモールセルは、ステップST1703において、カバレッジマクロセルからの報知情報を受信する。
ステップST1704において、スモールセルは、ステップST1703で受信した報知情報の中に、スイッチオフ不許可期間が含まれているか否かを判断する。スモールセルは、ステップST1704において、報知情報の中に、スイッチオフ不許可期間が含まれていると判断した場合は、ステップST1705に移行する。スモールセルは、ステップST1704において、報知情報の中に、スイッチオフ不許可期間が含まれていないと判断した場合は、ステップST1705の処理を行わない。
ステップST1705において、スモールセルは、スイッチオフ不許可期間は、スイッチオフをしない。
次に、図24および図25を用いて、実施の形態2の変形例1の解決策を用いた場合の通信システムの他のシーケンスの具体例を説明する。図24および図25は、実施の形態2の変形例1における通信システムのシーケンスの他の例を示す図である。図24と図25とは、境界線BL5の位置で、つながっている。図24および図25に示す例では、図22および図23に示す例とは異なる処理を行う。図24および図25において、図16〜図19、図22および図23に対応するステップについては、同一のステップ番号を付して、共通する説明を省略する。
ステップST1401において、スモールセルが設置され、ステップST1402において、スモールセルによって周辺セルサーチが実行されると、ステップST1403に移行する。
ステップST1403において、スモールセルがマクロセルのカバレッジ内に設置されていないと判断された場合は、カバレッジマクロセルが無いと判断されて、ステップST1700に移行する。ステップST1403において、スモールセルがマクロセルのカバレッジ内に設置されていると判断された場合は、カバレッジマクロセルが有ると判断されて、ステップST1404に移行する。
ステップST1404において、スモールセルは、自セルの能力を、カバレッジマクロセルに通知する。ステップST1404でスモールセルの能力を受信したカバレッジマクロセルは、ステップST1406において、スモールセルの能力に適した設定を選択する。具体的には、カバレッジマクロセルは、スモールセルの能力に適した設定パラメータを選択する。本例では、カバレッジマクロセルは、ES方法として、スモールセル独自のES方法を選択し、スモールセル独自のES方法を設定した設定パラメータを選択する。
次いで、ステップST1801において、カバレッジマクロセルは、ステップST1406で選択した設定パラメータをスモールセルに通知する。本例では、カバレッジマクロセルは、ES方法として、スモールセル独自のES方法を設定した設定パラメータをスモールセルに通知する。
次に、ステップST1701において、スモールセルは、スモールセル独自のES方法を用いることを決定する。スモールセル独自のES方法を用いることを決定すると、ステップST1505に移行する。
ステップST1505において、スモールセルは、自セルの判断でスイッチオフをするか否かを判断する。スモールセルは、ステップST1505において、スイッチオフをすると判断した場合は、ステップST1802に移行する。スモールセルは、ステップST1505において、スイッチオフをしないと判断した場合は、ステップST1505の処理を繰り返す。
ステップST1802において、スモールセルは、カバレッジマクロセルに、スイッチオフをして良いか否かの問合せを行う。
ステップST1803において、カバレッジマクロセルは、ステップST1802で受信した、スイッチオフをして良いか否かの問合せに対する応答を、スモールセルに通知する。応答の内容は、スイッチオフ許可またはスイッチオフ不許可である。
次に、ステップST1504において、スイッチオフが許可されているか否かを判断する。本例では、スモールセルは、ステップST1803で受信した応答の内容がスイッチオフ許可であるか否かを判断することによって、スイッチオフが許可されているか否かを判断する。
スモールセルは、ステップST1504において、ステップST1803で受信した応答の内容がスイッチオフ許可であると判断した場合は、スイッチオフが許可されていると判断し、図25のステップST1506に移行する。スモールセルは、ステップST1504において、ステップST1803で受信した応答の内容がスイッチオフ許可でないと判断した場合、換言すればスイッチオフ不許可であると判断した場合は、スイッチオフが許可されていないと判断し、ステップST1505に戻る。
次に、図25のステップST1506〜ステップST1512において、図19のステップST1506〜ステップST1512と同様の処理を行う。
実施の形態2の変形例1によって、前述の実施の形態2と同様の効果を得ることができる。
実施の形態2 変形例2.
実施の形態2の変形例2で解決する課題について、以下に説明する。3GPPでは、スモールセルクラスタについて議論されているが、スモールセルクラスタを導入した場合のES動作については議論されていない。したがって、3GPPでは、スモールセルクラスタを導入した場合の最適なES動作については議論されていない。
実施の形態2の変形例2での解決策を以下に示す。本変形例では、実施の形態2に加えて、スモールセルクラスタに適したESポリシーを新設する。
スモールセルクラスタに適したESポリシーの具体例としては、スモールセルクラスタ毎のES動作とする。
スモールセルクラスタ毎のES動作を制御するエンティティを、「スモールセルクラスタESコンセントレータ」と称する。
スモールセルクラスタの具体例は、実施の形態1と同じであるので説明を省略する。
スモールセルクラスタ毎のES動作の具体例として、以下の(1)〜(3)の3つを開示する。
(1)スモールセルクラスタESコンセントレータは、スモールセルクラスタ内のいずれか1つがスイッチオンになったか否かを判断する。スモールセルクラスタ内のいずれか1つがスイッチオンになった場合、スモールセルクラスタESコンセントレータは、クラスタ内に含まれる全てのスモールセルに対して、スイッチオンを指示し、かつクラスタ内に含まれる全てのスモールセルに対して、スイッチオフ不許可を指示する。
(2)スモールセルクラスタESコンセントレータは、スモールセルクラスタ内のいずれか1つのスモールセルの傘下に、接続状態(CONNECTED)のUEが存在するか否かを判断する。スモールセルクラスタ内のいずれか1つのスモールセルの傘下に、接続状態(CONNECTED)のUEが存在する場合、スモールセルクラスタESコンセントレータは、クラスタ内に含まれる全てのスモールセルに対して、スイッチオンを指示し、かつクラスタ内に含まれる全てのスモールセルに対して、スイッチオフ不許可を指示する。
また、スモールセルクラスタ内の全てのセルの傘下に、接続状態(CONNECTED)のUEが存在しない場合、スモールセルクラスタESコンセントレータは、クラスタ内に含まれる全てのスモールセルに対して、スイッチオフ許可を指示する。あるいはクラスタ内に含まれる全てのスモールセルに対して、スイッチオフを指示してもよい。
(3)前記(1),(2)の組合せ。
スモールセルクラスタESコンセントレータの具体例として、以下の(1)〜(6)の6つを開示する。
(1)セルアグリゲーションする際のスケジューリング主体。
(2)CoMP用の協調制御エンティティ(「CoMPコンセントレータ」とも称する)。
(3)OAM(operation administration and maintenance)。OAMがESポリシーを設定する場合がある。スモールセルクラスタESコンセントレータをOAMにすることによって、ESポリシー設定主体とスモールセルクラスタESコンセントレータとが同じになる。したがって、セルのESポリシー情報などのやり取りが不要となるので、通信システムが複雑化することを回避することができる。
(4)カバレッジマクロセル。
(5)MME。
(6)HeNBGW。
スモールセルクラスタESコンセントレータと、スモールセルクラスタの管理主体とは同じであるとよい。スモールセルクラスタの管理主体は、スモールセルクラスタに含まれるスモールセルのリストを記憶していることから、スモールセルクラスタに含まれるスモールセルのリストの情報のやり取りが不要となるので、通信システムが複雑化することを回避することができる。
スモールセルクラスタの管理主体の具体例は、前述の実施の形態1の変形例1と同じであるので、説明を省略する。
「スモールセルクラスタ内のいずれか1つのスモールセルの傘下に、接続状態(CONNECTED)のUEが存在するか否か」を、スモールセルクラスタESコンセントレータが把握する方法の具体例として、以下の(1),(2)の2つを開示する。
(1)MMEが所有する、UEとMMEの傘下の各セルとの接続情報をスモールセルクラスタESコンセントレータに通知する。
(2)各スモールセルから、接続状態(CONNECTED)のUEが存在するか否かの情報をスモールセルクラスタESコンセントレータに通知する。
「スモールセルクラスタ内のいずれか1つがスイッチオンになったか否か」を、スモールセルクラスタESコンセントレータが把握する方法の具体例を、以下に開示する。ES動作において、スイッチオフをする場合、スモールセルクラスタESコンセントレータにスイッチオフをする旨を通知する。また、スイッチオンをする場合、スモールセルクラスタESコンセントレータにスイッチオンをした旨を通知する。スイッチオフ、スイッチオンした旨を通知する際、スモールセルであるか否かのインジケータを併せて通知してもよい。また、自セルの識別子を併せて通知してもよい。
実施の形態2の変形例2によって、以下の効果を得ることができる。スモールセルクラスタを導入した場合の最適なES動作を得ることができる。スモールセルクラスタを導入した場合、スモールセルクラスタ毎のES動作を得ることができる。具体例を挙げて、以下に、効果を説明する。
スモールセルクラスタが同じスケジューリング主体となるスモールセルの集合である場合、セルアグリゲーションにおいて用いられる可能性のあるスモールセルのES動作を同じにすることができる。したがって、各スモールセルのES動作を考慮せずに、セルアグリゲーションに用いるスモールセルを選択することが可能となる。これによって、セルアグリゲーションの制御が容易となる。
スモールセルクラスタが設置場所に応じたスモールセルの集合である場合、同じ条件でスイッチオフ、またはスイッチオンをしたいスモールセルのES動作を同じにすることができる。同じ条件とは、例えば学校が休校である場合は、学校内に設置されたスモールセルは、スイッチオフとしたいなどである。
スモールセルクラスタが同じCoMPコオペレーティングセットに属するスモールセルの集合ある場合、CoMPにおいて用いられる可能性のあるスモールセルのES動作を同じにすることができる。したがって、各スモールセルのES動作を考慮せずに、CoMPに用いるスモールセルを選択することが可能となる。これによって、CoMPの制御が容易となる。
実施の形態2 変形例3.
実施の形態2の変形例3で解決する課題について、以下に説明する。スモールセルは、数多く設置されることが予想される。また、スモールセルは、比較的カバレッジエリアが狭いことが予想される。したがって、eNBによって用いられるスイッチオフの決定ポリシーが、例えば、接続状態(CONNECTED)のUEに関するものである場合を考える。接続状態(CONNECTED)のUEが一定の速度で移動する場合、カバレッジエリアの差から、スモールセルのスイッチの切替えは、マクロセルのスイッチの切替えと比較して頻繁になることが予想される。また、セルは、スイッチオフからスイッチオンされ、UEにとって通常通り使用可能、つまりUEとセルとがデータの送受信が可能となるまでの準備期間が必要であることが一般的である。頻繁なスイッチの切替えによって、前記準備期間が不足し、移動するUEの連続的な送受信が不可能となるという問題が生じる。また頻繁なスイッチの切替えによって、かえって制御情報などが必要となり、ES効果を得られないことも考えられる。
実施の形態2の変形例3での解決策として、以下の(A),(B)の2つを開示する。
(A)1つのスモールセルが、複数のスモールセルクラスタに属することを可能とし、実施の形態2の変形例2を用いてスモールセルクラスタ毎のES動作とする。具体例を、図26を用いて説明する。図26は、実施の形態2の変形例3の解決策の概念を説明するための図である。各スモールセルは、予め定める範囲のカバレッジ1901〜1917を構成する。図26では、理解を容易にするために、各スモールセルの図示を省略し、各スモールセルを、そのカバレッジによって表している。以下の説明では、各スモールセルを、そのカバレッジを示す参照符号「1901」〜「1917」で示す。
クラスタaには、スモールセル1910,1911,1914,1915,1916が含まれるとする。クラスタbには、スモールセル1907,1908,1911,1912,1913,1916,1917が含まれるとする。クラスタcには、スモールセル1901,1902,1905,1906,1907,1910,1911が含まれるとする。
ロケーション1919において、UE1900は、スモールセル1911と接続状態にあるとする。または、UE1900は、スモールセル1911とユーザデータの送受信を行うものとする。
接続状態(CONNECTED)のUEがスモールセル1911に存在する場合には、スモールセル1911はクラスタa、クラスタb、クラスタcに含まれるので、クラスタa、クラスタb、クラスタcに含まれるスモールセルをスイッチオンとする。クラスタa、クラスタb、クラスタcに含まれるスモールセルをスイッチオフ不許可とする。
UE1900が、ロケーション1919からロケーション1918に移動した場合について説明する。
ロケーション1918において、UE1900は、スモールセル1907と接続状態となる。または、UE1900は、スモールセル1907とユーザデータの送受信を行う。
接続状態(CONNECTED)のUEがスモールセル1907に存在する場合には、スモールセル1907はクラスタb、クラスタcに含まれるので、クラスタb、クラスタcに含まれるスモールセルをスイッチオンとする。クラスタb、クラスタcに含まれるスモールセルをスイッチオフ不許可とする。
前述のように、移動後にUE1900の送受信を担うスモールセル1907は、UE1900がロケーション1919に存在し、スモールセル1911がUE1900の送受信を担っている間にもスイッチオンされていることが判る。このように、UEの移動の事前にスイッチオンされていることから、準備期間が確保され、移動するUEの連続的な送受信が可能となる。
また、UE1900がロケーション1919からロケーション1918に移動した後、少し後戻りし、ロケーション1919に戻った場合を考える。スモールセル1911は、UE1900がロケーション1918に存在し、スモールセル1907がUE1900の送受信を担っている間にもスイッチオンされていることが判る。また、少々後戻りが生じた場合であっても、移動前のスモールセルがすぐにスイッチオフをされることがないので、準備期間が確保され、移動するUEの連続的な送受信が可能となる。また、移動したからといって、移動前のスモールセルが、すぐにスイッチオフをされないので、頻繁なスイッチの切替えが抑制される。
具体例(A)では、スモールセルクラスタに含まれるスモールセルは、静的、または準静的に決定できるので、具体例(B)と比較して、スイッチオフ不許可、スイッチオフ許可を通知する主体は、通知先の判断が容易となり、処理負荷が軽減される。
(B)スモールセルクラスタに適したESポリシーを新設する。スモールセルクラスタに適したESポリシーの具体例として、以下の(1),(2)の2つを開示する。
(1)接続状態(CONNECTED)のUEが存在するスモールセルの周辺スモールセルをスイッチオンとする。接続状態(CONNECTED)のUEが存在するスモールセルの周辺スモールセルをスイッチオフ不許可とする。
または、ユーザデータプレイン(U plane)を送受信するUEが存在するスモールセルの周辺スモールセルをスイッチオンとする。ユーザデータプレイン(U plane)を送受信するUEが存在するスモールセルの周辺スモールセルをスイッチオフ不許可とする。
(2)接続状態(CONNECTED)のUEが存在しないスモールセルの周辺スモールセルをスイッチオフ許可とする。
または、ユーザデータプレイン(U plane)を送受信するUEが存在しないスモールセルの周辺スモールセルをスイッチオフ許可とする。
図26に示すロケーション1919において、UE1900は、スモールセル1911と接続状態にあるとする。または、UE1900は、スモールセル1911とユーザデータの送受信を行うものとする。
接続状態(CONNECTED)のUEが存在するスモールセル1911の周辺スモールセルである、例えばスモールセル1906,1907,1910,1912,1915,1916をスイッチオンとする。接続状態(CONNECTED)のUEが存在するスモールセル1911の周辺スモールセルである、例えばスモールセル1906,1907,1910,1912,1915,1916をスイッチオフ不許可とする。
UE1900が、ロケーション1919からロケーション1918に移動した場合について説明する。
ロケーション1918において、UE1900は、スモールセル1907と接続状態となる。または、UE1900は、スモールセル1907とユーザデータの送受信を行う。
接続状態(CONNECTED)のUEが存在するスモールセル1907の周辺スモールセルである、例えばスモールセル1902,1903,1906,1908,1911,1912をスイッチオンとする。接続状態(CONNECTED)のUEが存在するスモールセル1911の周辺スモールセルである、例えばスモールセル1902,1903,1906,1908,1911,1912をスイッチオフ不許可とする。
前述のように、移動後にUE1900の送受信を担うスモールセル1907は、UE1900がロケーション1919に存在し、スモールセル1911がUE1900の送受信を担っている間にもスイッチオンされていることが判る。このように、UEの移動の事前にスイッチオンされていることから、準備期間が確保され、移動するUEの連続的な送受信が可能となる。
また、UE1900がロケーション1919からロケーション1918に移動した後、少し後戻りし、ロケーション1919に戻った場合を考える。スモールセル1911は、UE1900がロケーション1918に存在し、スモールセル1907がUE1900の送受信を担っている間にもスイッチオンされていることが判る。また、少々後戻りが生じた場合であっても、移動前のスモールセルがすぐにスイッチオフされることがないので、準備期間が確保され、移動するUEの連続的な送受信が可能となる。また、移動したからといって、移動前のスモールセルが、すぐにスイッチオフされないことから、頻繁なスイッチの切替えが抑制される。
各スモールセルにスイッチオンまたはスイッチオフ不許可、スイッチオフ許可を通知する主体の具体例として、以下の(1)〜(4)の4つを開示する。
(1)MME。UEとMMEの傘下の各セルとの接続情報を保持しているので、判断が容易である。
(2)接続状態(CONNECTED)のUEが存在するスモールセル。自セルの接続情報を保持しているので、判断が容易である。
(3)カバレッジマクロセル。
(4)ESの集中制御ノード(ESコンセントレータ)。
スイッチオンまたはスイッチオフ不許可、スイッチオフ許可の通知に用いられるインタフェースの具体例として、以下の(1)〜(3)の3つを開示する。
(1)X2インタフェースを用いて通知する。既存のメッセージにインジケータを追加してもよい。既存のメッセージの具体例として、以下の(2−1)〜(2−3)の3つを開示する。
(1−1)「CELL ACTIVATION REQUEST」メッセージ(非特許文献15 8.3.1章参照)。従来のESポリシーにおいて、スイッチオフされているセルにスイッチオンを要求するメッセージである。ES関連の情報を同じメッセージで送受信することが可能となるので、通信システムが複雑化することを回避することができる。
(1−2)「LOAD INFORMATION」メッセージ(非特許文献15 9.1.2.1章参照)。接続状態(CONNECTED)のUEが存在するか否かは、無線リソースを該UEに割当てているか否かでもあるので、無線リソース関連の情報を同じメッセージで送受信可能となる。これによって、通信システムが複雑化することを回避することができる。
(1−3)「eNB Configuration Update」メッセージ(非特許文献15 8.3.5章参照)。セルの設定または状況の情報を、同じメッセージで送受信することが可能となるので、通信システムが複雑化することを回避することができる。
(2)S1インタフェースを用いて通知する。既存のメッセージにインジケータを追加してもよい。既存のメッセージの具体例を、以下に開示する。「MME Configuration Update」メッセージ(非特許文献16 8.7.5章参照)。新たなメッセージを設けないことによって、通信システムが複雑化することを回避することができる。
(3)新たなインタフェースを設けてもよい。
実施の形態2の変形例3によって、以下の効果を得ることができる。スモールセル間をUEが移動する場合、UEの移動の事前に移動先のスモールセルがスイッチオンされていることから、準備期間が確保され、移動するUEの連続的な送受信が可能となる。また、移動したからといって、移動前のスモールセルが、すぐにスイッチオフされないことから、UEの少々の移動による頻繁なスイッチの切替えが抑制される。
実施の形態3.
実施の形態3で解決する課題について、以下に説明する。スモールセルは、カバレッジエリアが比較的狭いことが予想される。eNBによって用いられるスイッチオフの決定ポリシーが、例えば、接続状態(CONNECTED)のUEに関するものである場合を考える。カバレッジエリアの差から、スモールセルの傘下に、接続状態(CONNECTED)のUEが存在する頻度は、マクロセルの傘下と比べて低いことが予想される。つまり、スモールセルのスイッチの切替えは、マクロセルのスイッチの切替えと比較して、頻繁になることが予想される。
前述の図15を用いて、実施の形態3で解決する課題を説明する。例えば、UE1がスモールセル1305のカバレッジ1304内に存在するとする。UE1は、スモールセル1305にキャンプオン(待受け中)しているものとする。つまり、接続状態にはないものとする。スモールセル1305は、接続状態(CONNECTED)のUEが存在しなくなったため、自セルの判断で、スイッチオフをする。
待受け中のUE1は、セルリセレクションを行う。UE1は、スモールセル1305とオーバレイしているカバレッジ1303を有するマクロセル1303を選択する。
UE1は、マクロセル1303をセル再選択して、マクロセル1303のTACを確認する。
マクロセル1303のTACと、スモールセル1305のTACとが異なる場合、UE1は、マクロセル1303にTAUの処理を行う。
何の工夫もしなければ、数多く設置されることが予想されるスモールセルによって、UEからのTAUが頻繁に発生するという問題が生じる。
実施の形態3での解決策を以下に示す。カバレッジマクロセルとスモールセルとは、同じTACとする。さらに、同じカバレッジマクロセル持つスモールセルは、同じTACとする。
カバレッジマクロセルとスモールセルとを同じTACにする方法の具体例として、以下の(1),(2)の2つを開示する。
(1)実施の形態1と同様に、既に設置されているネットワーク機器が、スモールセルの能力に適した設定時に合わせてTACを設定する。カバレッジマクロセルのTACと同じTACを設定する。
(2)スモールセルが設定する。スモールセルは、設置の際にセルサーチ(周辺セルサーチ)を行い、カバレッジマクロセルが存在した場合、カバレッジマクロセルのTACを確認し、該TACに自セルのTACを設定する。
TACを設定したスモールセルの動作の具体例として、以下の(1),(2)の2つを開示する。
(1)TACを報知情報にマッピングして、傘下のUEに通知する。
(2)設定したTACをMMEに報告する。
また、スモールセルのシステム情報をカバレッジマクロセルから、スモールセルの傘下のUEに通知する場合、スモールセルのTACは、カバレッジマクロセルのTACと同じとして、省略してもよい。これによって、通信量を削減することができる。
実施の形態3によって、以下の効果を得ることができる。つまり、スモールセルのスイッチの切替えは、マクロセルのスイッチの切替えと比較して頻繁になった場合であっても、スモールセルが数多く設置された場合であっても、UEからのTAUの送信を抑制することが可能となる。
この発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。