JPWO2015005292A1 - 延伸フィルム及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、この方法では、最大面積が得られるように裁断しても、裁断ロスが必ず生じ、製品歩留まりに乏しいという問題があった。
しかしながら、この方法で得られる延伸フィルムは皺が発生したり、厚みムラ等が生じたりして、精度に優れたフィルムを得ることが困難であった。
しかしながら、ノルボルネン系重合体は工業的な供給量が少ないため、工業的により汎用性が高い樹脂を用いる斜め配向フィルムが望まれている。また、ビニル脂環式炭化水素重合体の斜め延伸フィルムには、位相差フィルムに望まれるような位相差が必ずしも十分に発現されず、斜め延伸されるフィルムの膜厚の均一性も必ずしも十分でない等の問題があった。
しかしながら、この文献には、連続的に斜め方向に延伸することに関しての記載はなく、また、斜め延伸したフィルムの位相差や位相差を制御するために望ましいブロック共重合体水素化物の分子量や分子量分布についての開示もない。
本発明の延伸フィルムにおいては、前記芳香族ビニル化合物がスチレンであり、前記鎖状共役ジエン化合物がブタジエン及び/又はイソプレンであることが好ましい。
本発明の第2によれば、本発明の延伸フィルムの製造方法であって、前記ブロック共重合体水素化物[2]のペレットを、押出機によって溶融させて当該押出機に取り付けられたダイスからフィルム状に押出し、引き続いて、押出されたフィルムを、横及び縦方向に左右独立した速度の送り力若しくは引張り力または引取り力を付加できるテンター式延伸機を使用して、フィルムを幅方向に対して5〜80°の方向に連続的に斜め延伸して長尺の延伸フィルムを製造する方法において、50〜120℃の温度で、2時間以上保持したブロック共重合体水素化物[2]のペレットを使用することを特徴とする延伸フィルムの製造方法が提供される。
本発明の延伸フィルムは、偏光板保護フィルムや位相差フィルム等の光学用フィルムとして有用である。
本発明の延伸フィルムは、短冊状のものであっても、長尺状のものであってもよいが、取扱い性及び生産性の観点から、長尺状のものが好ましい。ここで、「長尺」とは、フィルムの幅方向に対し少なくとも5倍程度以上の長さを有するものをいい、好ましくは10倍もしくはそれ以上の長さを有し、具体的にはロール状に巻回されて保管又は運搬される程度の長さを有するものをいう。
本発明に用いるブロック共重合体水素化物[2]は、前駆体であるブロック共重合体[1]の全不飽和結合の90%以上を水素化して得られるものである。ブロック共重合体[1]は、少なくとも2つの重合体ブロック[A]と、少なくとも1つの重合体ブロック[B]とからなる。
また、重合体ブロック[A]は、芳香族ビニル化合物由来の構造単位以外の成分を含有していてもよい。かかる成分としては、鎖状共役ジエン由来の構造単位及び/又はその他のビニル化合物由来の構造単位が挙げられる。その含有量は、重合体ブロック[A]に対して、通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下、より好ましくは1重量%以下である。重合体ブロック[A]中の芳香族ビニル化合物由来の構造単位が少なすぎると、本発明の延伸フィルムの耐熱性が低下するおそれがある。
複数の重合体ブロック[A]は、上記の範囲を満足すれば互いに同じであっても、異なっていても良い。
また、重合体ブロック[B]は、鎖状共役ジエン化合物由来の構造単位以外の成分を含有していてもよい。かかる成分としては、芳香族ビニル化合物由来の構造単位及び/又はその他のビニル化合物由来の構造単位が挙げられる。その含有量は、重合体ブロック[B]に対して、通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下、より好ましくは1重量%以下である。重合体ブロック[B]中の芳香族ビニル化合物由来の構造単位の含有量が増加すると、フィルムの複屈折発現性が低下するおそれがある。
重合体ブロック[B]が複数有る場合には、重合体ブロック[B]は、上記の範囲を満足すれば互いに同じであっても、異なっていても良い。
本発明に係るブロック共重合体水素化物[2]は、上記のブロック共重合体[1]の主鎖及び側鎖の炭素−炭素不飽和結合、並びに芳香環の炭素−炭素不飽和結合を水素化して得られるものである。その水素化率は、通常90%以上、好ましくは97%以上、より好ましくは99%以上である。水素化率が高いほど、成形体の耐候性、耐熱性が良好である。ブロック共重合体水素化物[2]の水素化率は、1H−NMRによる測定において求めることができる。
また、ブロック共重合体水素化物[2]の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.3以下、特に好ましくは1.2以下である。Mw及びMw/Mnが上記範囲となるようにすると、成形したフィルムの機械強度や耐熱性が向上する。Mwが上記範囲の下限を下回る場合は、成形したフィルムの機械強度及び位相差発現性が低下し、望ましい位相差を有するフィルムが得られなくなるおそれがあり、Mwが上記範囲の上限を上回る場合は、フィルムを延伸した際に配向軸角度の精度が低下するおそれがある。また、Mw/Mnが上記範囲の上限を上回る場合は、フィルムを延伸した際に位相差の精度及び配向軸角度の精度が低下するおそれがある。
フェノール系酸化防止剤としては、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等が挙げられる。リン系酸化防止剤としては、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト等が挙げられる。イオウ系酸化防止剤としては、ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート等が挙げられる。
酸化防止剤の配合量は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択されるが、ブロック共重合体水素化物[2]100重量部に対して、通常0.005〜1重量部、好ましくは0.01〜0.5重量部である。
本発明に用いる溶融押出しフィルムは、通常、ブロック共重合体水素化物[2]を押出機によって溶融させて、当該押出機に取り付けられたダイスからシート状に押出し、押出されたシートを少なくとも1つの冷却ドラムに密着させて成形して引き取る方法で成形される。
光学フィルムの成形法としては、溶融押し出し法と溶液キャスト法がある。ブロック共重合体水素化物を製造する場合、重合・水素化工程が飽和のシクロヘキサン溶媒中で行われるため、そのままシクロヘキサン溶液から溶液キャスト法でフィルム化することも考えられる。しかしながら、設備を防爆仕様にしなければならず、厚膜のフィルムでは乾燥に時間がかかり過ぎること等の理由から、溶融押し出し法が工業的に生産する上で有利である。
加熱処理の温度及び時間が上記範囲を下回る場合は、溶存空気の除去量が少なく、フィルム厚さのムラやダイラインの発生を十分抑止できなくなり、また、加熱処理の温度が上記範囲を上回る場合は、ブロック共重合体水素化物[2]のペレットがブロッキングを生じ易くなり、押出し成形に供することができなくなるおそれがあり、加熱処理の時間が上記範囲を上回る場合は、色調が悪化するおそれがある。
加熱処理により溶存空気量を低減した後、室温に冷却しておくと、水分を遮断した雰囲気下でも再び空気を吸収して元に戻るため、加熱処理したペレットは、加熱状態を維持したまま溶融押出し工程に供するか、冷却後に再び空気を吸収して元に戻る前に溶融押出し工程に供することが必要である。冷却後は、通常1時間以内、好ましくは0.5時間以内に溶融押出し工程に供することが望ましい。
以上のようにして得られた溶融押出しフィルムを、その幅方向に対して任意の角度θ1(5°≦θ≦80°)の方向に連続的に斜め延伸することにより、フィルムの幅方向に対して角度θS(ただし、θS≦θ1)の配向軸を有する延伸フィルムを得ることができる。
また、延伸倍率は、通常、1.2〜10倍、好ましくは1.3〜5倍、より好ましくは1.5〜3倍である。
以上のようにして得られる本発明の斜め延伸フィルムは、幅方向に対して5°から80°の配向軸を有する。また、皺や厚みムラがなく、かつ、部位によるムラの小さい均等な位相差を有し、光学特性の安定性が優れるので、偏光フィルムや位相差フィルム,配向軸の角度15°のλ/2の位相差板、配向軸の角度75°のλ/4の位相差板等として有用である。
(1)重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)
ブロック共重合体及びブロック共重合体水素化物の分子量は、テトラヒドロフラン(THF)を溶離液とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ(GPC)による標準ポリスチレン換算値として、38℃において測定した。測定装置としては、東ソー社製HLC8020GPCを用いた。
(2)水素化率
ブロック共重合体水素化物[2]の、主鎖、側鎖及び芳香環の水素化率は、1H−NMRスペクトルを測定して算出した。
(3)ガラス転移温度
ブロック共重合体水素化物をプレス成形して、長さ20mm、幅4mm、厚さ1mmの試験片を作成し、JIS K 7244−4法に基づき、損失弾性率測定装置(製品名「DMS6100」、セイコーインスツル社製)を用い、−100℃から+150℃の範囲で、振動周波数10Hz、昇温速度5℃/分で粘弾性スペクトルを測定し、損失係数tanδの高温側のピークトップ温度からガラス転移温度を求めた。
膜厚計(製品名「RC−1 ROTARY CALIPER」、明産社製)を用いて、延伸フィルムの幅方向に、フィルムの中央部1340mmにわたり5mm間隔で厚さを測定し、平均値をフィルムの厚さとした。
(5)面内のレターデーション値(Re)及び精度
位相差計(製品名「KOBRA(登録商標)21−ADH」、王子計測社製)を用いて、波長590nmで、延伸フィルムの幅方向に、フィルムの中央部1340mmにわたり5cm間隔で位相差を測定し、その平均値を測定値とした。また、位相差の最大値及び最小値のそれぞれと平均値との差の大きい方を精度(%)とした。位相差の精度は2%以下であれば良好と判断できる。
(6)配向軸の角度及び精度
偏光顕微鏡(製品名「ECLIPSE(登録商標) E600 POL」、ニコン社製)を用いて、延伸フィルムの幅方向に、フィルムの中央部1340mmにわたり5cm間隔で面内方向の遅相軸の、延伸フィルムの幅方向に対する角度を測定した。角度の平均値θSを求め、配向軸の角度の精度は、配向軸の角度の最大値と最小値の差とした。配向軸の角度の精度は1°以下であれば良好と判断できる。
ブロック共重合体水素化物[2]−1
(ブロック共重合体[1]−1の合成)
内部が充分に窒素置換された攪拌装置を備えた反応器に、脱水シクロヘキサン550部、脱水スチレン30.0部及びn−ジブチルエーテル0.475部を入れ、60℃で攪拌しながら、n−ブチルリチウム(15%シクロヘキサン溶液)0.61部を加えて重合を開始させた。攪拌しながら60℃で60分反応させた。ガスクロマトグラフィーにより測定したこの時点で重合転化率は99.5%であった。
次に、脱水イソプレン40.0部を加えそのまま30分攪拌を続けた。この時点で重合転化率は99.5%であった。
その後、更に、脱水スチレンを30.0部加え、60分攪拌した。この時点での重合転化率はほぼ100%であった。
次いで、反応液にイソプロピルアルコール0.5部を加えて反応を停止させた。得られたブロック共重合体[1]−1の重量平均分子量(Mw)は80,400、分子量分布(Mw/Mn)は1.03、wA:wB=60:40であった。
次に、上記重合体溶液を、攪拌装置を備えた耐圧反応器に移送し、水素化触媒として珪藻土担持型ニッケル触媒(製品名「T−8400RL」、ズードケミー触媒社製)3.0部及び脱水シクロヘキサン100部を添加して混合した。反応器内部を水素ガスで置換し、さらに溶液を攪拌しながら水素を供給し、温度190℃、圧力4.5MPaにて6時間水素化反応を行った。水素化反応後のブロック共重合体水素化物[2]−1の重量平均分子量(Mw)は81,200、分子量分布(Mw/Mn)は1.04であった。
次いで、上記溶液を、金属ファイバー製フィルター(孔径0.4μm、ニチダイ社製)にてろ過して微小な固形分を除去した後、円筒型濃縮乾燥器(製品名「コントロ」、日立製作所社製)を用いて、温度260℃、圧力0.001MPa以下で、溶液から、溶媒であるシクロヘキサン、キシレン及びその他の揮発成分を除去した。連続して溶融ポリマーを、濃縮乾燥器に連結した孔径5μmのステンレス製焼結フィルターを備えたポリマーフィルター(富士フィルター社製)により、温度260℃でろ過した後、ダイから溶融ポリマーをストランド状に押出し、冷却後、ペレタイザーによりブロック共重合体水素化物[2]−1のペレット95部を作成した。
得られたペレット状のブロック共重合体水素化物[2]−1の重量平均分子量(Mw)は80,200、分子量分布(Mw/Mn)は1.04であった。水素化率はほぼ100%、ガラス転移温度は143℃であった。
ブロック共重合体水素化物[2]−2
(ブロック共重合体[1]−2の合成)
スチレンとイソプレンを5回に分け、スチレン20.0部、イソプレン20.0部、スチレン20.0部、イソプレン20.0部及びスチレン20.0部をこの順に加える以外は製造例1と同様に重合及び反応停止を行った。
得られたブロック共重合体[1]−2の重量平均分子量(Mw)は79,100、分子量分布(Mw/Mn)は1.04、wA:wB=60:40であった。
次に、上記重合体溶液を、製造例1と同様にして水素化反応を行った。水素化反応後のブロック共重合体水素化物[2]−2の重量平均分子量(Mw)は79,900、分子量分布(Mw/Mn)は1.06であった。
得られたペレット状のブロック共重合体水素化物[2]−2の重量平均分子量(Mw)は78,900、分子量分布(Mw/Mn)は1.06であった。水素化率はほぼ100%、ガラス転移温度は135℃であった。
製造例1で得られたブロック共重合体水素化物[2]−1のペレットを、空気を流通させた熱風乾燥機を用いて85℃で、4時間加熱処理を行った。この加熱処理後のペレットを1時間以内に、ポリマーフィルター及び炭化タングステンを材質としたダイスリップ全幅における表面粗さRaの平均値0.03μmのダイスリップを有するT型ダイスを備えた押出し機に供給し、シリンダー温度230℃で、80℃に保持したキャスティングドラム上にシート状に押出し、延伸はせずに冷却し、厚さ150μmの長尺の溶融押出しフィルム[2]−1A1を得た。溶融押出しフィルム[2]−1A1はロールに巻き取った。
実施例1で使用したのと同じブロック共重合体水素化物[2]−1のペレット5.0126gを精秤して、摺り合せコック及び摺り合せジョイント付きのガラス製試験管に入れた。摺り合せジョイントを介してテプラーポンプに接続し、25℃で試験管内の空気を25秒間で脱気した。試験管のコックを閉じ、試験管をオイルバスにて実施例1の加熱処理と同条件の80℃で4時間加熱し、ブロック共重合体水素化物[2]−1のペレットに溶存している空気を放出させた。試験管を80℃に保持したまま、試験管内に放出された空気の量をテプラーポンプにより、25℃、常圧で測定した。測定した空気量は0.787mlであった。なお、同じ脱気条件で空の試験管を脱気した場合の、試験管内の残存空気量は0.01ml以下であり、無視できる量であった。空気の平均分子量を28.8として、放出された空気量を算出した結果、10.12×10−4gであり、ブロック共重合体水素化物[2]−1ペレットの重量に対し202ppmであった。
製造例2で得られたブロック共重合体水素化物[2]−2のペレットを使用し、ペレットの加熱処理温度を80℃とする以外は実施例1と同様にして、厚さ150μm、の長尺の溶融押出しフィルム[2]−2A2を成形し、ロールに巻き取った。
製造例2で得られたブロック共重合体水素化物[2]−2のペレットを使用し、ペレットの加熱処理温度を60℃、加熱処理時間を5時間とする以外は実施例1と同様にして、厚さ150μm、の長尺の溶融押出しフィルム[2]−2A3を成形し、ロールに巻き取った。
ブロック共重合体水素化物[2]−3
(ブロック共重合体[1]−3の合成)
重合開始剤であるn−ブチルリチウム(15%シクロヘキサン溶液)の量を1.10部とする以外は製造例1と同様に重合及び反応停止を行った。得られたブロック共重合体[1]−3の重量平均分子量(Mw)は44,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.02、wA:wB=60:40であった。
次に、上記重合体溶液を、製造例1と同様にして水素化反応を行った。水素化反応後のブロック共重合体水素化物[2]−3の重量平均分子量(Mw)は44,400、分子量分布(Mw/Mn)は1.03であった。
ブロック共重合体水素化物[2]−4
(ブロック共重合体[1]−4の合成)
重合開始剤であるn−ブチルリチウム(15%シクロヘキサン溶液)の量を0.40部とする以外は製造例1と同様に重合及び反応停止を行った。得られたブロック共重合体[1]−4の重量平均分子量(Mw)は121,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.15、wA:wB=60:40であった。
次に、上記重合体溶液を、水素化触媒を5.0部、温度を210℃とする以外は製造例1と同様にして水素化反応を行った。水素化反応後のブロック共重合体水素化物[2]−4の重量平均分子量(Mw)は105,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.25であった。
ブロック共重合体水素化物[2]−5
(ブロック共重合体[1]−5の合成)
反応器に脱水シクロヘキサン600部を導入した後、n−ブチルリチウム(15%シクロヘキサン溶液)0.12部を加えて30分間攪拌し、水分を十分に除去する前処理を実施した。その後、重合開始剤であるn−ブチルリチウム(15%シクロヘキサン溶液)を0.28部とする以外は製造例1と同様に重合及び反応停止を行った。得られたブロック共重合体[1]−5の重量平均分子量(Mw)は167,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.05、wA:wB=60:40であった。
次に、上記重合体溶液を、水素化触媒を6.0部、水素化反応条件を温度190℃、圧力4.5MPaで反応時間4時間に引き続き、温度200℃、圧力5.0MPaで反応時間5時間を追加する以外は製造例1と同様にして水素化反応を行った。水素化反応後のブロック共重合体水素化物[2]−5の重量平均分子量(Mw)は168,600、分子量分布(Mw/Mn)は1.08であった。
製造例3で得られたブロック共重合体水素化物[2]−3のペレットを使用し、ペレットの加熱処理温度を60℃、加熱処理時間を5時間とし、押出し条件をシリンダー温度200℃、キャスティングドラム温度60℃とする以外は実施例1と同様にして厚さ150μmの長尺の溶融押出しフィルム[2]−3A4を成形し、ロールに巻き取った。
製造例4で得られたブロック共重合体水素化物[2]−4のペレットを使用し、ペレットの加熱処理温度を60℃、加熱処理時間を5時間とし、押出し条件をシリンダー温度235℃、キャスティングドラム温度50℃とするとする以外は実施例1と同様にして、厚さ150μm、の長尺の溶融押出しフィルム[2]−4A5を成形し、ロールに巻き取った。
製造例5で得られたブロック共重合体水素化物[2]−5のペレットを使用し、ペレットの加熱処理温度を85℃、加熱処理時間を5時間行い、押出し条件をシリンダー温度250℃とすること以外は実施例1と同様にして、厚さ150μm、の長尺の溶融押出しフィルム[2]−5A6を成形し、ロールに巻き取った。
ブロック共重合体水素化物[2]−6
(ブロック共重合体[1]−6の合成)
スチレンとイソプレンを3回に分け、スチレン30.0部、イソプレン45.0部、スチレン25.0部をこの順に加え、n−ブチルリチウム(15%シクロヘキサン溶液)を0.91部に変える以外は製造例1と同様に重合及び反応停止を行った。得られたブロック共重合体[1]−6の重量平均分子量(Mw)は46,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.04、wA:wB=55:45であった。
次に、上記重合体溶液を、製造例1と同様にして水素化反応を行った。水素化反応後のブロック共重合体水素化物[2]−6の重量平均分子量(Mw)は48,700、分子量分布(Mw/Mn)は1.05であった。
ブロック共重合体水素化物[2]−7
(ブロック共重合体[1]−7の合成)
スチレンとイソプレンを3回に分け、スチレン35.0部、イソプレン30.0部、スチレン35.0部をこの順に加え、n−ブチルリチウム(15%シクロヘキサン溶液)を0.64部に変える以外は製造例1と同様に重合及び反応停止を行った。得られたブロック共重合体[1]−7の重量平均分子量(Mw)は66,700、分子量分布(Mw/Mn)は1.04、wA:wB=70:30であった。
ブロック共重合体水素化物[2]−8
(ブロック共重合体[1]−8の合成)
スチレンとイソプレンを3回に分け、スチレン35.0部、イソプレン30.0部、スチレン35.0部をこの順に加え、n−ブチルリチウム(15%シクロヘキサン溶液)を0.32部に変える以外は製造例1と同様に重合及び反応停止を行った。得られたブロック共重合体[1]−8の重量平均分子量(Mw)は141,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.04、wA:wB=70:30であった。
ブロック共重合体水素化物[2]−9
(ブロック共重合体[1]−9の合成)
スチレンとイソプレンを3回に分け、スチレン40.0部、イソプレン20.0部、スチレン40.0部をこの順に加え、n−ブチルリチウム(15%シクロヘキサン溶液)を0.64部に変える以外は製造例1と同様に重合及び反応停止を行った。得られたブロック共重合体[1]−9の重量平均分子量(Mw)は67,600、分子量分布(Mw/Mn)は1.04、wA:wB=80:20であった。
ブロック共重合体水素化物[2]−10
(ブロック共重合体[1]−10の合成)
スチレンとイソプレンを3回に分け、スチレン20.0部、イソプレン60.0部、スチレン20.0部をこの順に加え、n−ブチルリチウム(15%シクロヘキサン溶液)を0.77部に変える以外は製造例1と同様に重合及び反応停止を行った。得られたブロック共重合体[1]−10の重量平均分子量(Mw)は52,700、分子量分布(Mw/Mn)は1.03、wA:wB=40:60であった。
製造例1で得られたブロック共重合体水素化物[2]−1のペレットを使用し、ペレットの加熱処理温度を45℃、加熱処理時間を5時間とする以外は実施例1と同様にして、厚さ150μmの長尺の溶融押出しフィルム[2]−1A7を成形し、ロールに巻き取った。
製造例1で得られたブロック共重合体水素化物[2]−1のペレットを使用し、ペレットの加熱処理温度を85℃、加熱処理時間を1時間とする以外は実施例1と同様にして、厚さ150μmの長尺の溶融押出しフィルム[2]−1A8を成形し、ロールに巻き取った。
製造例6で得られたブロック共重合体水素化物[2]−6のペレットを使用し、ペレットの加熱処理温度を60℃、加熱処理時間を5時間とする以外は実施例1と同様にして、厚さ150μmの長尺の溶融押出しフィルム[2]−6A9を成形し、ロールに巻き取った。
製造例7で得られたブロック共重合体水素化物[2]−7のペレットを使用する以外は実施例1と同様にして、厚さ150μmの長尺の溶融押出しフィルム[2]−7A10を成形し、ロールに巻き取った。
製造例8で得られたブロック共重合体水素化物[2]−8のペレットを使用し、押出し条件をシリンダー温度250℃とすること以外は実施例1と同様にして、厚さ150μmの長尺の溶融押出しフィルム[2]−8A11を成形し、ロールに巻き取った。
製造例9で得られたブロック共重合体水素化物[2]−9のペレットを使用し、押出し条件をシリンダー温度260℃とすること以外は実施例1と同様にして、厚さ150μmの長尺の溶融押出しフィルム[2]−9A12を成形し、ロールに巻き取った。
製造例10で得られたブロック共重合体水素化物[2]−10のペレットを使用し、ペレットの加熱処理温度を60℃、加熱処理時間を5時間とし、押出し条件をシリンダー温度200℃、キャスティングドラム温度60℃とする以外は実施例1と同様にして厚さ150μmの長尺の溶融押出しフィルム[2]−10A13を成形し、ロールに巻き取った。
実施例1〜8の斜め延伸フィルム(本発明の斜め延伸フィルム)は、位相差の精度、配向軸角度の精度において、比較例2〜3で得られた斜め延伸フィルムに比べて優れており、良好と判断できる。
ブロック共重合体水素化物[2]の分子量(Mw)が本発明の範囲より大きい場合(比較例3)は、斜め延伸時に配向軸の角度の精度が不十分となる。
また、本発明の延伸フィルムが長尺状のものである場合には、ロール状に巻き取って保存することができる。例えば、本発明の延伸フィルムを位相差板として用い、長尺の1/4波長板と貼り合わせて(楕)円偏光板を製造する場合には、連続生産が可能となるため、高い生産性が得られるという利点がある。
さらに、本発明の延伸フィルムは、所定の角度に延伸しているので、所定の角度になるように斜めに切り出す必要がなく、例えば、ロールトゥロール等のような連続処理が可能である。
2・・・斜め延伸フィルム
3・・・テンター把持クリップ(図示せず)が走行するレール
4・・・搬送方向
5L・・・左移動速度
5R・・・右移動速度
6・・・予熱ゾーン
7・・・延伸ゾーン
8・・・固定ゾーン
A・・・幅方向
B・・・配向軸の方向
θS・・・配向軸の角度
θ1・・・溶融押出しフィルム1の送り出し方向に対する延伸フィルム2の送り進路4のなす角度
Claims (3)
- 芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位を主成分とする、少なくとも2つの重合体ブロック[A]と、鎖状共役ジエン化合物由来の繰り返し単位を主成分とする、少なくとも1つの重合体ブロック[B]とからなり、全重合体ブロック[A]のブロック共重合体全体に占める重量分率をwAとし、全重合体ブロック[B]のブロック共重合体全体に占める重量分率をwBとしたときに、wAとwBとの比(wA:wB)が50:50〜75:25であるブロック共重合体[1]の、全不飽和結合の90%以上を水素化してなり、重量平均分子量(Mw)が45,000〜150,000であり、分子量分布(Mw/Mn)が1.5以下であるブロック共重合体水素化物[2]からなる溶融押出しフィルムを、その幅方向に対して5〜80°の方向に連続的に斜め延伸して得られる延伸フィルム。
- 前記芳香族ビニル化合物がスチレンであり、前記鎖状共役ジエン化合物がブタジエン及び/又はイソプレンである請求項1に記載の延伸フィルム。
- 芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位を主成分とする、少なくとも2つの重合体ブロック[A]と、鎖状共役ジエン化合物由来の繰り返し単位を主成分とする、少なくとも1つの重合体ブロック[B]とからなり、全重合体ブロック[A]のブロック共重合体全体に占める重量分率をwAとし、全重合体ブロック[B]のブロック共重合体全体に占める重量分率をwBとしたときに、wAとwBとの比(wA:wB)が50:50〜75:25であるブロック共重合体[1]の、全不飽和結合の90%以上を水素化してなり、重量平均分子量(Mw)が45,000〜150,000であり、分子量分布(Mw/Mn)が1.5以下であるブロック共重合体水素化物[2]のペレットを、押出機によって溶融させて、当該押出機に取り付けられたダイスからフィルム状に押出し、引き続いて、押出されたフィルムを、横及び縦方向に左右独立した速度の送り力若しくは引張り力または引取り力を付加できるテンター式延伸機を使用して、フィルムを幅方向に対して5〜80°の方向に連続的に斜め延伸して長尺の延伸フィルムを製造する方法において、
50〜120℃の温度で、2時間以上保持したブロック共重合体水素化物[2]のペレットを使用することを特徴とする、延伸フィルムの製造方法。
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