JPWO2015002170A1 - 車両 - Google Patents

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JPWO2015002170A1
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薫 佐々木
充昭 太田
充昭 太田
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Abstract

インナーフェンダー(225)は、カバー面(70)、左突出部(711)、および右突出部(712)を備えている。車体フレーム21の直立状態かつ左前輪(31)と右前輪(32)が回動されていない状態において、左突出部(711)は、左前輪(31)の後縁(31a)より後方においてカバー面(70)から前方に突出しており、右突出部(721)は、右前輪(32)の後縁(32a)より後方においてカバー面(70)から前方に突出しており、左突出部(711)と右突出部(712)の間に位置するカバー面(70)の一部は、左前輪(31)と右前輪(32)の間の空間に面している。

Description

本発明は、傾斜可能な車体フレームと左右方向に並んだ2つの前輪を備えた車両に関する。
左右旋回時に左右方向に傾斜する車体フレームと、その車体フレームの左右方向に並んだ2つの前輪を備えた車両が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
左右旋回時に車両の左右方向に傾斜する車体フレームと、その車体フレームの左右方向に並んで配置された2つの前輪を備えた車両が知られている(例えば、特許文献1を参照)。この種の車両は、車体フレームが鉛直方向に対して傾斜した状態で旋回できる車両である。より具体的には、車体フレームは、右旋回時において車両の右方に傾斜し、左旋回時において車両の左方に傾斜する。この種の車両においては、車体フレームの傾斜量を大きく確保するために、車体フレームの左右方向に並べて配置された2つの前輪の間隔は、一般的な四輪車両のものと比較すると非常に狭い。したがって、この種の車両は、車体フレームの左右方向にコンパクトである。
米国意匠特許547242号公報
この種の車両の走行試験を行なった結果、雨天走行時や水溜まり走行時において、各前輪によって跳ね上げられた水が、各前輪より後方に配置されているシートに着座した乗員の脚部などにかかるという現象が確認された。
よって本発明は、傾斜可能な車体フレームと左右方向に並んだ2つの前輪を備えた車両を小型化しつつ、当該2つの前輪によって跳ね上げられた水が、シートに着座した乗員の脚部などにかかる現象の発生を抑制することを目的とする。
上記の目的を達成するために本発明がとりうる一態様は、車両であって、
左旋回時において前記車両の左方へ傾斜し、右旋回時において前記車両の右方へ傾斜する車体フレームと、
前記車体フレームの左右方向に並んで配置された左前輪および右前輪と、
前記左前輪および前記右前輪より前記車体フレームの前後方向の後方に配置され、前記車体フレームに支持されたシートと、
前記左前輪および前記右前輪を回動させる操舵装置と、
前記左前輪および前記右前輪より前記前後方向の後方、かつ前記シートより前記前後方向の前方に配置されたインナーフェンダーと、
を備えており、
前記インナーフェンダーは、
前記車体フレームの直立状態かつ前記操舵装置により前記左前輪および前記右前輪が回動されていない状態において、前記左前輪および前記右前輪の各後縁より前記前後方向の後方に配置されたカバー面と、
前記車体フレームの直立状態かつ前記操舵装置により前記左前輪および前記右前輪が回動されていない状態において、前記左右方向における前記車両の中央より左方、かつ前記左右方向における前記車両の左端より右方、かつ前記左前輪の後縁より前記前後方向の後方に配置され、前記カバー面より前記前後方向の前方に突出するとともに前記車体フレームの上下方向に延びる左突出部と、
前記車体フレームの直立状態かつ前記操舵装置により前記左前輪および前記右前輪が回動されていない状態において、前記左右方向における前記車両の中央より右方、かつ前記左右方向における前記車両の右端より左方、かつ前記右前輪の後縁より前記前後方向の後方に配置され、前記カバー面より前記前後方向の前方に突出するとともに前記車体フレームの上下方向に延びる右突出部と、
を有しており、
少なくとも前記車体フレームの直立状態かつ前記操舵装置により前記左前輪および前記右前輪が回動されていない状態において、前記左突出部と前記右突出部の間に位置する前記カバー面の少なくとも一部は、前記左前輪と前記右前輪の間の空間に面している。
本願発明者らは、2つの前輪によって跳ね上げられた水が乗員の脚部などにかかる現象の発生メカニズムを詳細に検証した。その結果、次のような現象が確認できた。
走行中に左前輪および右前輪により跳ね上げられた水は、両前輪の各後縁より後方に配置されたインナーフェンダーに付着する。インナーフェンダーに付着した水の一部は、左前輪と右前輪の間の空間を経由して左前輪の後縁とインナーフェンダーの間を通過する気流に押されてインナーフェンダーの左端部へ移動する。移動した水は、車両の左方を後方に向かって流れる空気の流れに乗って、インナーフェンダーの左端部から後方へ飛散する。飛散した水は、左前輪より後方に配置されているシートに着座している乗員の脚部などにかかる。同様に、インナーフェンダーに付着した水の一部は、左前輪と右前輪の間の空間を経由して右前輪の後縁とインナーフェンダーの間を通過する気流に押されてインナーフェンダーの右端部へ移動する。移動した水は、車両の右方を後方に向かって流れる空気の流れに乗って、インナーフェンダーの右端部から後方へ飛散する。飛散した水は、右前輪より後方に配置されているシートに着座している乗員の脚部などにかかる。
すなわち、上記の現象は、傾斜可能な車体フレームと、その車体フレームの左右方向に並んで配置された2つの前輪を備える車両において、左前輪と右前輪の間の空間を経由して左前輪の後方とインナーフェンダーの間、および右前輪の後縁とインナーフェンダーの間の各々を通過する気流が発生することに起因する。換言すると、上記の現象は、傾斜可能な車体フレームと、その車体フレームの左右方向に並んで配置された2つの前輪を備える車両に特有な現象であることがわかった。そこで、後方に飛散する水滴をブロックするために、シートに着座した乗員の脚部の前面を覆うシールドを左右方向に張り出すことを検討した。しかしながら、効果を得るためにはシールドの張り出し量を大きくする必要があり、車両が大型化する。
そこで発明者らは、車両を小型化しつつ、車両の後方へ流れる水の量を抑制可能な構成を検討した。その結果、左前輪と右前輪の間の空間を経由して左前輪の後方とインナーフェンダーの間を通過する気流に押されることによる当該インナーフェンダーに付着した水の移動をブロックする左突出部と、左前輪と右前輪の間の空間を経由して右前輪の後方とインナーフェンダーの間を通過する気流に押されることによる当該インナーフェンダーに付着した水の移動をブロックする右突出部を、当該インナーフェンダーの前方へ突出させる構造に思い至った。
具体的には、インナーフェンダーは、前記車体フレームの直立状態かつ前記操舵装置により前記左前輪および前記右前輪が回動されていない状態において、前記左前輪および前記右前輪の各後縁より前記車体フレームの前後方向の後方に配置されたカバー面を有している。また、インナーフェンダーは、前記車体フレームの直立状態かつ前記操舵装置により前記左前輪および前記右前輪が回動されていない状態において、前記左右方向における前記車両の中央より左方、かつ前記左右方向における前記車両の左端より右方、かつ前記左前輪の後縁より前記前後方向の後方に配置され、前記カバー面より前記前後方向の前方に突出するとともに前記車体フレームの上下方向に延びる左突出部と、前記車体フレームの直立状態かつ前記操舵装置により前記左前輪および前記右前輪が回動されていない状態において、前記左右方向における前記車両の中央より右方、かつ前記左右方向における前記車両の右端より左方、かつ前記右前輪の後縁より前記前後方向の後方に配置され、前記カバー面より前記前後方向の前方に突出するとともに前記車体フレームの上下方向に延びる右突出部とを有している。さらに、少なくとも前記車体フレームの直立状態かつ前記操舵装置により前記左前輪および前記右前輪が回動されていない状態において、前記カバー面における前記左突出部と前記右突出部の間の少なくとも一部は、前記左前輪と前記右前輪の間の空間に面している。
このような構成によれば、左前輪および右前輪により跳ね上げられ、左前輪と右前輪の間の空間を通過した水の一部は、カバー面における左突出部と右突出部の間の部分に付着する。カバー面に付着した水の一部は、左前輪と右前輪の間の空間を経由して左前輪の後縁とインナーフェンダーの間を通過する気流に押され、インナーフェンダーの左端部に向かって移動するが、左突出部により当該左端部への到達がブロックされる。また、カバー面に付着した水の一部は、左前輪と右前輪の間の空間を経由して右前輪の後縁とインナーフェンダーの間を通過する気流に押され、インナーフェンダーの右端部に向かって移動するが、右突出部により当該右端部への到達がブロックされる。
さらに、左突出部と右突出部が上記のように設けられることにより、両突出部が存在しない左右方向に開放的な構造と比較すると、両突出部の間の空間に、カバー面に沿って車両の下方へ向かう速度の速い空気の流れを形成できることを見出した。カバー面に付着した水は、左突出部と右突出部によりインナーフェンダーの左右両端部への移動をブロックされるだけでなく、両突出部の間に形成された速度の速い空気の流れにより、車両の下方へ導かれる。したがって、インナーフェンダーの左右両端部を経由して後方へ飛散する水の量を抑制できる。
なお、上記の効果を得るにあたり、シールドのような車体フレームの左右方向に張り出す構造を設ける必要がないため、車両の小型化が可能である。
したがって、傾斜可能な車体フレームと、その車体フレームの左右方向に並んで配置された2つの前輪を備える車両を小型化しつつ、当該2つの前輪によって跳ね上げられた水がシートに着座した乗員の脚部などにかかる現象の発生を抑制できる。
前記左突出部は、前記左右方向の右方を向いた右側面を有しており、
前記右突出部は、前記左右方向の左方を向いた左側面を有しており、
前記左突出部の前記右側面と前記カバー面は、前記上下方向に延びる左屈折部を形成しており、
前記右突出部の前記左側面と前記カバー面は、前記上下方向に延びる右屈折部を形成している、
構成としてもよい。
このような構成によれば、左前輪と右前輪の間の空間を経由して左前輪の後縁とインナーフェンダーの間を通過する気流に押された水が左突出部を乗り越える現象の発生をより抑制できる。また、左前輪と右前輪の間の空間を経由して右前輪の後縁とインナーフェンダーの間を通過する気流に押された水が右突出部を乗り越える現象の発生をより抑制できる。したがって、傾斜可能な車体フレームと、その車体フレームの左右方向に並んで配置された2つの前輪を備える車両を小型化しつつ、当該2つの前輪によって跳ね上げられた水がシートに着座した乗員の脚部などにかかる現象の発生をより抑制できる。
前記左屈折部および前記右屈折部の各々がなす角は、45度以上135度以下である構成としてもよい。
このような構成によれば、左前輪と右前輪の間の空間を経由して左前輪の後縁とインナーフェンダーの間を通過する気流に押された水を左突出部の右側面において保持しやすくなり、当該水が左突出部を乗り越える現象の発生をより抑制できる。また、左前輪と右前輪の間の空間を経由して右前輪の後縁とインナーフェンダーの間を通過する気流に押された水を右突出部の左側面において保持しやすくなり、当該水が右突出部を乗り越える現象の発生をより抑制できる。したがって、傾斜可能な車体フレームと、その車体フレームの左右方向に並んで配置された2つの前輪を備える車両を小型化しつつ、当該2つの前輪によって跳ね上げられた水がシートに着座した乗員の脚部などにかかる現象の発生をより抑制できる。
前記車体フレームの直立状態かつ前記操舵装置による転舵がなされていない状態において、前記左突出部の少なくとも一部は、前記前後方向における前記左前輪の後方に位置しており、
前記車体フレームの直立状態かつ前記操舵装置による転舵がなされていない状態において、前記右突出部の少なくとも一部は、前記前後方向における前記右前輪の後方に位置している、
構成としてもよい。
左前輪と右前輪の間の空間を経由して左前輪の後縁とインナーフェンダーの間を通過する気流は、左前輪の後方において速度が速くなる。当該箇所に左突出部が配置されることにより、そのような速い気流に押されて移動する水が、左突出部により効果的にブロックされる。同様に、左前輪と右前輪の間の空間を経由して右前輪の後縁とインナーフェンダーの間を通過する気流は、右前輪の後方において速度が速くなる。当該箇所に右突出部が配置されることにより、そのような速い気流に押されて移動する水が、右突出部により効果的にブロックされる。したがって、傾斜可能な車体フレームと、その車体フレームの左右方向に並んで配置された2つの前輪を備える車両を小型化しつつ、当該2つの前輪によって跳ね上げられた水がシートに着座した乗員の脚部などにかかる現象の発生をより抑制できる。
前記カバー面は、
前記車体フレームの直立状態かつ前記操舵装置により前記左前輪および前記右前輪が回動されていない状態において、前記車両の中央より前記左右方向の左方に配置されている左カバー面と、
前記車体フレームの直立状態かつ前記操舵装置により前記左前輪および前記右前輪が回動されていない状態において、前記車両の中央より前記左右方向の右方に配置されている右カバー面と、
を備えており、
前記車体フレームの直立状態かつ前記操舵装置により前記左前輪および前記右前輪が回動されていない状態において、前記左カバー面の左部は、当該左カバー面の右部より前記前後方向の後方に配置されており、
前記車体フレームの直立状態かつ前記操舵装置により前記左前輪および前記右前輪が回動されていない状態において、前記右カバー面の右部は、当該右カバー面の左部より前記前後方向の後方に配置されており、
前記左突出部は、前記左カバー面の前記左部に隣接しており、
前記右突出部は、前記右カバー面の前記右部に隣接している、
構成としてもよい。
ここで「左カバー面の左部」とは、左カバー面の右端部より左端部に近い領域を意味する。「左カバー面の右部」とは、左カバー面の左端部より右端部に近い領域を意味する。「右カバー面の左部」とは、右カバー面の右端部より左端部に近い領域を意味する。「右カバー面の右部」とは、右カバー面の左端部より右端部に近い領域を意味する。
このような構成によれば、左カバー面の左部が右部より後方に配置されているため、左カバー面に付着した水は、左前輪と右前輪の間の空間を経由して左前輪の後縁とインナーフェンダーの間を通過する気流に押されて後方へ移動する。当該気流に押された水は後方に向かって移動しているため、前方に突出した左突出部を乗り越えにくい。また、右カバー面の右部が左部より後方に配置されているため、右カバー面に付着した水は、左前輪と右前輪の間の空間を経由して右前輪の後縁とインナーフェンダーの間を通過する気流に押されて後方へ移動する。当該気流に押された水は後方に向かって移動しているため、前方に突出した右突出部を乗り越えにくい。したがって、傾斜可能な車体フレームと、その車体フレームの左右方向に並んで配置された2つの前輪を備える車両をより小型化しつつ、当該2つの前輪によって跳ね上げられた水がシートに着座した乗員の脚部などにかかる現象の発生を抑制できる。
前記左突出部および前記右突出部の前記カバー面からの突出量は、前記上下方向の上方に向かうにつれて大きくなっている構成としてもよい。
このような構成によれば、左前輪と右前輪の間の空間を経由して左前輪の後縁とインナーフェンダーの間を通過する気流に押されてカバー面を移動する水が左突出部を乗り越えにくくできる。また、左前輪と右前輪の間の空間を経由して右前輪の後縁とインナーフェンダーの間を通過する気流に押されてカバー面を移動する水が右突出部を乗り越えにくくできる。さらに、カバー面に付着した水を左突出部と右突出部の間に発生する気流により車両の下方へ誘導する効果をより高めることができる。したがって、傾斜可能な車体フレームと、その車体フレームの左右方向に並んで配置された2つの前輪を備える車両を小型化しつつ、当該2つの前輪によって跳ね上げられた水がシートに着座した乗員の脚部などにかかる現象の発生をより抑制できる。
前記左突出部と前記右突出部の間において前記カバー面より前記前後方向の前方に突出するとともに、前記左右方向に延びる壁部を備えている構成としてもよい。
このような構成によれば、インナーフェンダーに付着した水の上方への移動が壁部によりブロックされる。これにより、インナーフェンダーに付着した水を左突出部と右突出部の間に発生する気流により車両の下方へ誘導する効果を高めることができる。したがって、傾斜可能な車体フレームと、その車体フレームの左右方向に並んで配置された2つの前輪を備える車両を小型化しつつ、当該2つの前輪によって跳ね上げられた水がシートに着座した乗員の脚部などにかかる現象の発生をより抑制できる。
前記左突出部および前記右突出部の前記カバー面からの突出量は、前記壁部の前記カバー面からの突出量より大きい構成としてもよい。
このような構成によれば、インナーフェンダーに付着し、壁部により上方への移動をブロックされた水が、左突出部と右突出部を乗り越えて車両の左右側方へ到達する現象の発生を抑制できる。したがって、傾斜可能な車体フレームと、その車体フレームの左右方向に並んで配置された2つの前輪を備える車両を小型化しつつ、当該2つの前輪によって跳ね上げられた水がシートに着座した乗員の脚部などにかかる現象の発生をより抑制できる。
前記壁部は、
前記車体フレームの直立状態かつ前記操舵装置により前記左前輪および前記右前輪が回動されていない状態において、前記車両の中央より前記左右方向の左方に配置された左壁部と、
前記車体フレームの直立状態かつ前記操舵装置により前記左前輪および前記右前輪が回動されていない状態において、前記車両の中央より前記左右方向の右方に配置された右壁部と、
を含んでおり、
前記左突出部は、前記左右方向の右方を向いた右側面を有しており、
前記右突出部は、前記左右方向の左方を向いた左側面を有しており、
前記左壁部の左端部は、前記右側面に接しており、
前記右壁部の右端部は、前記左側面に接している、
構成としてもよい。
このような構成によれば、インナーフェンダーに付着して左壁部により上方への移動をブロックされた水が、左突出部と右突出部の間に発生した気流により、右側面に沿って下方に移動しやすくなる。同様に、インナーフェンダーに付着して右壁部により上方への移動をブロックされた水が、左突出部と右突出部の間に発生した気流により、左側面に沿って下方に移動しやすくなる。これにより、インナーフェンダーに付着した水が左突出部と右突出部を乗り越えて車両の左右側方へ到達する現象の発生をより抑制できる。したがって、傾斜可能な車体フレームと、その車体フレームの左右方向に並んで配置された2つの前輪を備える車両を小型化しつつ、当該2つの前輪によって跳ね上げられた水がシートに着座した乗員の脚部などにかかる現象の発生をより抑制できる。
前記壁部は、前記上下方向の下方に傾斜するように前記カバー面から突出している構成としてもよい。
このような構成によれば、インナーフェンダーに付着した水の上方への移動をより抑制できる。これにより、インナーフェンダーに付着した水を左突出部と右突出部の間に発生する気流により車両の下方へ誘導する効果をより高めることができる。したがって、傾斜可能な車体フレームと、その車体フレームの左右方向に並んで配置された2つの前輪を備える車両を小型化しつつ、当該2つの前輪によって跳ね上げられた水がシートに着座した乗員の脚部などにかかる現象の発生をより抑制できる。
前記壁部の下方に前記カバー面を貫通する開口が形成されている構成としてもよい。
このような構成によれば、インナーフェンダーに付着して壁部により上方への移動をブロックされた水を、開口内に導くことができる。開口に進入した水は、例えばインナーフェンダー内を伝って車両の下方へ落下する。これにより、左突出部と右突出部を乗り越えて車両の左右側方へ到達する可能性がある水の量を減らすことができる。したがって、傾斜可能な車体フレームと、その車体フレームの左右方向に並んで配置された2つの前輪を備える車両を小型化しつつ、当該2つの前輪によって跳ね上げられた水がシートに着座した乗員の脚部などにかかる現象の発生をより抑制できる。
前記左前輪および前記右前輪より前記上下方向の上方に配置され、前記車体フレームに対する前記左前輪および前記右前輪の相対位置を変更して前記車体フレームを前記左方または前記右方に傾斜させるリンク機構を備えており、
前記リンク機構は、
上クロス部材と、
前記上クロス部材より下方に配置された下クロス部材と、
前記左前輪より前記上下方向の上方に配置された左サイド部材と、
前記右前輪より前記上下方向の上方に配置された右サイド部材と、
を備えており、
前記上クロス部材、前記下クロス部材、前記左サイド部材、および前記右サイド部材は、前記上クロス部材と前記下クロス部材が相互に平行な姿勢を保ち、前記左サイド部材と前記右サイド部材が相互に平行な姿勢を保つように連結されている、
構成としてもよい。
このような構成によれば、いわゆるダブルウィッシュボーン方式のリンク機構と比較すると、リンク機構を構成する部品群を集約しやすい。したがって、傾斜可能な車体フレームと、その車体フレームの左右方向に並んで配置された2つの前輪を備える車両の大型化をより抑制しつつ、当該2つの前輪によって跳ね上げられた水がシートに着座した乗員の脚部などにかかる現象の発生を抑制できる。
一実施形態に係る車両の全体を左方から見た側面図である。 図1の車両の前部を示す正面図である。 図1の車両の前部を示す平面図である。 転舵時における図1の車両の前部を示す平面図である。 傾斜時における図1の車両の前部を示す正面図である。 傾斜および転舵時における図1の車両の前部を示す正面図である。 図1の車両が備えるインナーフェンダーの一部の形状を示す正面図である。 図7における線VIII−VIIIに沿う上記インナーフェンダーの一部断面を示す平面図である。 上記インナーフェンダーの一部形状を示す斜視図である。 上記インナーフェンダーに設けられた壁部の断面形状を示す右側面図である。
添付の図面を参照しつつ、好ましい実施形態の例について以下詳細に説明する。
添付の図面において、矢印Fは、車両の前方向を示している。矢印Bは、車両の後方向を示している。矢印Uは、車両の上方向を示している。矢印Dは、車両の下方向を示している。矢印Rは、車両の右方向を示している。矢印Lは、車両の左方向を示している。
車両は、車体フレームを鉛直方向に対して車両の左右方向に傾斜させて旋回する。そこで車両を基準とした方向に加え、車体フレームを基準とした方向が定められる。添付の図面において、矢印FFは、車体フレームの前方向を示している。矢印FBは、車体フレームの後方向を示している。矢印FUは、車体フレームの上方向を示している。矢印FDは、車体フレームの下方向を示している。矢印FRは、車体フレームの右方向を示している。矢印FLは、車体フレームの左方向を示している。
本明細書において、「車体フレームの前後方向」、「車体フレームの左右方向」、および「車体フレームの上下方向」とは、車両を運転する乗員から見て、車体フレームを基準とした前後方向、左右方向、および上下方向を意味する。「車体フレームの側方」とは、車体フレームの右方向あるいは左方向を意味している。
本明細書において、「車体フレームの前後方向に延びる」とは、車体フレームの前後方向に対して傾いて延びることを含み、車体フレームの左右方向および上下方向と比較して、車体フレームの前後方向に近い傾きで延びることを意味する。
本明細書において、「車体フレームの左右方向に延びる」とは、車体フレームの左右方向に対して傾いて延びることを含み、車体フレームの前後方向および上下方向と比較して、車体フレームの左右方向に近い傾きで延びることを意味する。
本明細書において、「車体フレームの上下方向に延びる」とは、車体フレームの上下方向に対して傾いて延びることを含み、車体フレームの前後方向および左右方向と比較して、車体フレームの上下方向に近い傾きで延びることを意味する。
本明細書において、「車体フレームの直立状態」とは、無転舵状態かつ車体フレームの上下方向が鉛直方向と一致している状態を意味する。この状態においては、車両を基準にした方向と車両フレームを基準にした方向は一致する。車体フレームを鉛直方向に対して左右方向に傾斜させて旋回しているときは、車両の左右方向と車体フレームの左右方向は一致しない。また車両の上下方向と車体フレームの上下方向も一致しない。しかしながら、車両の前後方向と車体フレームの前後方向は一致する。
図1から図10を参照しつつ、一実施形態に係る車両1について説明する。車両1は、動力源から発生する動力により駆動され、傾斜可能な車体フレームと、その車体フレームの左右方向に並んで配置された2つの前輪を備える車両である。
図1は、車両1の全体を左方から見た左側面図である。車両1は、車両本体部2、左右一対の前輪3、後輪4、リンク機構5、および操舵装置7を備えている。
車両本体部2は、車体フレーム21、車体カバー22、シート24、およびパワーユニット25を含んでいる。図1において、車体フレーム21は直立状態にある。図1を参照する以降の説明は、車体フレーム21の直立状態を前提にしている。
車体フレーム21は、ヘッドパイプ211、ダウンフレーム212、リアフレーム213、を含んでいる。図1においては、車体フレーム21のうち、車体カバー22に隠れた部分は破線で示している。車体フレーム21は、シート24とパワーユニット25を支持している。パワーユニット25は、後輪4を支持している。パワーユニット25は、エンジン、電動モータ、バッテリなどの動力源や、トランスミッションなどの装置を備えている。動力源は、車両1を駆動する力を生成する。
ヘッドパイプ211は、車両1の前部に配置されている。車体フレーム21の左方から見て、ヘッドパイプ211の上部は、ヘッドパイプ211の下部より後方に配置されている。
ダウンフレーム212は、ヘッドパイプ211に接続されている。ダウンフレーム212は、ヘッドパイプ211の後方に配置されている。ダウンフレーム212は、車体フレーム21の上下方向に延びている。
リアフレーム213は、ダウンフレーム212の後方に配置されている。リアフレーム213は、車体フレーム21の前後方向に延びている。リアフレーム213は、シート24とパワーユニット25を支持している。
車体カバー22は、フロントカバー221、左右一対のフロントフェンダー223、リアフェンダー224、およびインナーフェンダー225を含んでいる。車体カバー22は、左右一対の前輪3、車体フレーム21、リンク機構5などの車両1に搭載される車体部品の少なくとも一部を覆う車体部品である。
フロントカバー221は、シート24より前方に配置されている。フロントカバー221は、リンク機構5と操舵装置7の少なくとも一部を覆っている。
左右一対のフロントフェンダー223の少なくとも一部は、フロントカバー221の下方にそれぞれ配置されている。左右一対のフロントフェンダー223の少なくとも一部は、左右一対の前輪3の上方にそれぞれ配置されている。
リアフェンダー224の少なくとも一部は、後輪4の上方に配置されている。
インナーフェンダー225は、乗員の脚部の少なくとも一部を覆う位置に配置されている。インナーフェンダー225は、左右一対の前輪3より後方かつシート24より前方に配置されている。
左右一対の前輪3の少なくとも一部は、ヘッドパイプ211の下方に配置されている。左右一対の前輪3の少なくとも一部は、フロントカバー221の下方に配置されている。
後輪4の少なくとも一部は、シート24より下方に配置されている。後輪4の少なくとも一部は、リアフェンダー224の下方に配置されている。
図2は、車両1の前部を車体フレーム21の前方から見た正面図である。図2において、車体フレーム21は直立状態にある。図2を参照する以降の説明は、車体フレーム21の直立状態を前提にしている。図2においては、破線で示すフロントカバー221、および左右一対のフロントフェンダー223を透視した状態を示している。
左右一対の前輪3は、左前輪31と右前輪32を含んでいる。左前輪31は、車体フレーム21の一部であるヘッドパイプ211より左方に配置されている。右前輪32は、ヘッドパイプ211より右方に配置されている。左前輪31と右前輪32は、車体フレーム21の左右方向に並んで配置されている。
操舵装置7は、左緩衝機構33、右緩衝機構34、左ブラケット317、および右ブラケット327を含んでいる。
左緩衝機構33は、左外筒33aを含んでいる。左外筒33aは、左前輪31を支持している。左外筒33aは、車体フレーム21の上下方向に延びている。左外筒33aは、その下端部に左支持軸314を備えている。左前輪31は、左支持軸314に支持されている。
左緩衝機構33は、左内筒33bを含んでいる。左内筒33bは、車体フレーム21の上下方向に延びている。左内筒33bは、その一部が左外筒33aに挿入された状態で、左外筒33aの上方に配置されている。左内筒33bの上部は、左ブラケット317に固定されている。
左緩衝機構33は、いわゆるテレスコピック式の緩衝機構である。左内筒33bが左外筒33aに対して左外筒33aの延びる方向に相対移動することにより、左緩衝機構33は、当該方向に伸縮可能である。これにより、左緩衝機構33は、左内筒33bに対する左前輪31の車体フレーム21の上下方向における変位を緩衝する。
左外筒33aと左内筒33bは、車体フレーム21の前後方向に並んで配列された一対のテレスコピック要素を構成している。
右緩衝機構34は、右外筒34aを含んでいる。右外筒34aは、右前輪32を支持している。右外筒34aは、車体フレーム21の上下方向に延びている。右外筒34aは、その下端部に右支持軸324を備えている。右前輪32は、右支持軸324に支持されている。
右緩衝機構34は、右内筒34bを含んでいる。右内筒34bは、車体フレーム21の上下方向に延びている。右内筒34bは、その一部が右外筒34aに挿入された状態で、右外筒34aの上方に配置されている。右内筒34bの上部は、右ブラケット327に固定されている。
右緩衝機構34は、いわゆるテレスコピック式の緩衝機構である。右内筒34bが右外筒34aに対して右外筒34aの延びる方向に相対移動することにより、右緩衝機構34は、当該方向に伸縮可能である。これにより、右緩衝機構34は、右内筒34bに対する右前輪32の車体フレーム21の上下方向における変位を緩衝する。
右外筒34aと右内筒34bは、車体フレーム21の前後方向に並んで配列された一対のテレスコピック要素を構成している。
操舵装置7は、操舵力伝達機構6を含んでいる。操舵力伝達機構6は、ハンドルバー23とステアリングシャフト60を含んでいる。ハンドルバー23は、ステアリングシャフト60の上部に取り付けられている。ステアリングシャフト60は、その一部がヘッドパイプ211に回動可能に支持されている。ステアリングシャフト60の中間回動軸Zは、車体フレーム21の上下方向に延びている。図1に示すように、ステアリングシャフト60の上部は、その下部より後方に配置されている。したがって、ステアリングシャフト60の中間回動軸Zは、車体フレーム21の前後方向に傾斜している。ステアリングシャフト60は、乗員によるハンドルバー23の操作に応じて、中間回動軸Zを中心に回動する。ハンドルバー23の左部には左バックミラー231が設けられている。ハンドルバー23の右部には右バックミラー232が設けられている。
操舵力伝達機構6は、乗員がハンドルバー23を操作する操舵力を、左ブラケット317と右ブラケット327に伝達する。具体的な構成については、後に詳述する。
本実施形態に係る車両1においては、平行四節リンク(パラレログラムリンクとも呼ばれる)方式のリンク機構5を採用している。
図2に示すように、リンク機構5は、ハンドルバー23より下方に配置されている。リンク機構5は、左前輪31と右前輪32より上方に配置されている。リンク機構5は、上クロス部材51、下クロス部材52、左サイド部材53、および右サイド部材54を含んでいる。リンク機構5は、ハンドルバー23の操作に伴うステアリングシャフト60の中間回動軸Zを中心とする回動によらず、当該中間回動軸Zを中心に、車体フレーム21に対して回動しない。
上クロス部材51は、板状部材512を含んでいる。板状部材512は、ヘッドパイプ211の前方に配置されている。板状部材512は、車体フレーム21の左右方向に延びている。
上クロス部材51の中間部は、支持部Cによってヘッドパイプ211に支持されている。上クロス部材51は、支持部Cを通り車体フレーム21の前後方向に延びる中間上軸線を中心に、ヘッドパイプ211に対して回動可能である。
上クロス部材51の左端部は、支持部Dによって左サイド部材53に支持されている。上クロス部材51は、支持部Dを通り車体フレーム21の前後方向に延びる左上軸線を中心に、左サイド部材53に対して回動可能である。
上クロス部材51の右端部は、支持部Eによって右サイド部材54に支持されている。上クロス部材51は、支持部Eを通り車体フレーム21の前後方向に延びる右上軸線を中心に、右サイド部材54に対して回動可能である。
図3は、車両1の前部を車体フレーム21の上方から見た平面図である。図3において、車体フレーム21は直立状態にある。図3を参照する以降の説明は、車体フレーム21の直立状態を前提にしている。図3においては、破線で示すフロントカバー221と一対のフロントフェンダー223を透視した状態を示している。
図3に示すように、下クロス部材52は、前板状部材522aと後板状部材522bを含んでいる。前板状部材522aは、ヘッドパイプ211の前方に配置されている。後板状部材522bは、ヘッドパイプ211の後方に配置されている。前板状部材522aと後板状部材522bは、車体フレーム21の左右方向に延びている。前板状部材522aと後板状部材522bは、左連結ブロック523aと右連結ブロック523bにより連結されている。左連結ブロック523aは、ヘッドパイプ211より左方に配置されている。右連結ブロック523bは、ヘッドパイプ211より右方に配置されている。
下クロス部材52は、上クロス部材51より下方に配置されている。下クロス部材52の車体フレーム21の左右方向における長さ寸法は、上クロス部材51の車体フレーム21の左右方向における長さ寸法と同一または同等である。下クロス部材52は、上クロス部材51と平行に延びている。
下クロス部材52の中間部は、支持部Fによってヘッドパイプ211に支持されている。下クロス部材52は、支持部Fを通り車体フレーム21の前後方向に延びる中間下軸線を中心に回動可能である。
下クロス部材52の左端部は、支持部Gによって左サイド部材53に支持されている。下クロス部材52は、支持部Gを通り車体フレーム21の前後方向に延びる左下軸線を中心に回動可能である。
下クロス部材52の右端部は、支持部Hによって右サイド部材54に支持されている。下クロス部材52は、支持部Hを通り車体フレーム21の前後方向に延びる右下軸線を中心に回動可能である。
中間上軸線、右上軸線、左上軸線、中間下軸線、右下軸線、および左下軸線は、互いに平行に延びている。中間上軸線、右上軸線、左上軸線、中間下軸線、右下軸線、および左下軸線は、左前輪31と右前輪32より上方に配置されている。
図2と図3に示すように、左サイド部材53は、ヘッドパイプ211の左方に配置されている。左サイド部材53は、左前輪31より上方に配置されている。左サイド部材53は、ヘッドパイプ211が延びる方向に延びている。左サイド部材53は、ステアリングシャフト60の中間回動軸Zが延びる方向に延びている。左サイド部材53の上部は、その下部より後方に配置されている。
左サイド部材53の下部は、左ブラケット317に接続されている。左ブラケット317は、左サイド部材53に対して、左中心軸Xを中心に回動可能である。左中心軸Xは、左サイド部材53が延びる方向に延びている。図2に示すように、左中心軸Xは、車体フレーム21の上下方向において、ステアリングシャフト60の中間回動軸Zと平行に延びている。図3に示すように、左中心軸Xは、車体フレーム21の前後方向において、ステアリングシャフト60の中間回動軸Zと平行に延びている。
図2と図3に示すように、右サイド部材54は、ヘッドパイプ211の右方に配置されている。右サイド部材54は、右前輪32より上方に配置されている。右サイド部材54は、ヘッドパイプ211が延びる方向に延びている。右サイド部材54は、ステアリングシャフト60の中間回動軸Zが延びる方向に延びている。右サイド部材54の上部は、その下部より後方に配置されている。
右サイド部材54の下部は、右ブラケット327に接続されている。右ブラケット327は、右サイド部材54に対して、右中心軸Yを中心に回動可能である。右中心軸Yは、右サイド部材54が延びる方向に延びている。図2に示すように、右中心軸Yは、車体フレーム21の上下方向において、ステアリングシャフト60の中間回動軸Zと平行に延びている。図3に示すように、右中心軸Yは、車体フレーム21の前後方向において、ステアリングシャフト60の中間回動軸Zと平行に延びている。
以上説明したように、上クロス部材51、下クロス部材52、左サイド部材53、および右サイド部材54は、上クロス部材51と下クロス部材52が相互に平行な姿勢を保ち、左サイド部材53と右サイド部材54が相互に平行な姿勢を保つように、車体フレーム21に支持されている。
図2と図3に示すように、操舵力伝達機構6は、前述のハンドルバー23とステアリングシャフト60に加え、中間伝達プレート61、左伝達プレート62、右伝達プレート63、中間ジョイント64、左ジョイント65、右ジョイント66、およびタイロッド67を含んでいる。
中間伝達プレート61は、ステアリングシャフト60の下部に接続されている。中間伝達プレート61は、ステアリングシャフト60に対して相対回動不能である。中間伝達プレート61は、ヘッドパイプ211に対して、ステアリングシャフト60の中間回動軸Zを中心に回動可能である。中間伝達プレート61の前部は、その後部より車体フレーム21の左右方向における幅が狭くなっている。
左伝達プレート62は、中間伝達プレート61の左方に配置されている。左伝達プレート62は、左ブラケット317の下部に接続されている。左伝達プレート62は、左ブラケット317に対して相対回動不能である。左伝達プレート62は、左サイド部材53に対して、左中心軸Xを中心に回動可能である。左伝達プレート62の前部は、その後部より車体フレーム21の左右方向における幅が狭くなっている。
右伝達プレート63は、中間伝達プレート61の右方に配置されている。右伝達プレート63は、右ブラケット327の下部に接続されている。右伝達プレート63は、右ブラケット327に対して相対回動不能である。右伝達プレート63は、右サイド部材54に対して、右中心軸Yを中心に回動可能である。右伝達プレート63の前部は、その後部より車体フレーム21の左右方向における幅が狭くなっている。
図3に示すように、中間ジョイント64は、車体フレーム21の上下方向に延びる軸部を介して中間伝達プレート61の前部に連結されている。中間伝達プレート61と中間ジョイント64は、当該軸部を中心として相対回動可能とされている。左ジョイント65は、中間ジョイント64の左方に配置されている。左ジョイント65は、車体フレームの上下方向に延びる軸部を介して左伝達プレート62の前部に連結されている。左伝達プレート62と左ジョイント65は、当該軸部を中心として相対回動可能とされている。右ジョイント66は、中間ジョイント64の右方に配置されている。右ジョイント66は、車体フレームの上下方向に延びる軸部を介して右伝達プレート63の前部に連結されている。右伝達プレート63と右ジョイント66は、当該軸部を中心として相対回動可能とされている。
中間ジョイント64の前部には、車体フレーム21の前後方向に延びる軸部が設けられている。左ジョイント65の前部には、車体フレーム21の前後方向に延びる軸部が設けられている。右ジョイント66の前部には、車体フレーム21の前後方向に延びる軸部が設けられている。タイロッド67は、車体フレーム21の左右方向に延びている。タイロッド67は、これらの軸部を介して、中間ジョイント64、左ジョイント65、および右ジョイント66に連結されている。タイロッド67と中間ジョイント64は、中間ジョイント64の前部に設けられた軸部を中心として相対回動可能とされている。タイロッド67と左ジョイント65は、左ジョイント65の前部に設けられた軸部を中心として相対回動可能とされている。タイロッド67と右ジョイント66は、右ジョイント66の前部に設けられた軸部を中心として相対回動可能とされている。
次に図3と図4を参照しつつ、車両1の操舵動作について説明する。図4は、左前輪31と右前輪32を左転舵させた状態における車両1の前部を、車体フレーム21の上方から見た平面図である。図4においては、破線で示すフロントカバー221と一対のフロントフェンダー223を透視した状態を示している。
乗員がハンドルバー23を操作すると、ステアリングシャフト60は、中間回動軸Zを中心にヘッドパイプ211に対して回動する。図4に示す左転舵の場合、ステアリングシャフト60は、矢印Tの方向に回動する。ステアリングシャフト60の回動に伴って、中間伝達プレート61は、ヘッドパイプ211に対して、中間回動軸Zを中心に矢印Tの方向へ回動する。
中間伝達プレート61の矢印Tの方向への回動に伴って、タイロッド67の中間ジョイント64は、中間伝達プレート61に対して、矢印S方向に回動する。これにより、タイロッド67は、その姿勢を維持したまま右後方へ移動する。
タイロッド67の右後方への移動に伴って、タイロッド67の左ジョイント65と右ジョイント66は、それぞれ左伝達プレート62と右伝達プレート63に対して矢印S方向に回動する。これにより、タイロッド67はその姿勢を維持したまま、左伝達プレート62と右伝達プレート63が、矢印Tの方向に回動する。
左伝達プレート62が矢印Tの方向に回動すると、左伝達プレート62に対して相対回動不能である左ブラケット317が、左サイド部材53に対して、左中心軸Xを中心に、矢印Tの方向に回動する。
右伝達プレート63が矢印Tの方向に回動すると、右伝達プレート63に対して相対回動不能である右ブラケット327が、右サイド部材54に対して、右中心軸Yを中心に、矢印Tの方向に回動する。
左ブラケット317が矢印Tの方向に回動すると、左内筒33bを介して左ブラケット317に接続されている左緩衝機構33が、左サイド部材53に対して、左中心軸Xを中心に、矢印Tの方向に回動する。左緩衝機構33が矢印Tの方向に回動すると、左支持軸314を介して左緩衝機構33に支持されている左前輪31が、左サイド部材53に対して、左中心軸Xを中心に、矢印Tの方向に回動する。
右ブラケット327が矢印Tの方向に回動すると、右内筒34bを介して右ブラケット327に接続されている右緩衝機構34が、右サイド部材54に対して、右中心軸Yを中心に、矢印Tの方向に回動する。右緩衝機構34が矢印Tの方向に回動すると、右支持軸324を介して右緩衝機構34に支持されている右前輪32が、右サイド部材54に対して、右中心軸Yを中心に、矢印Tの方向に回動する。
右転舵するように乗員がハンドルバー23を操作すると、上述した各要素は、矢印Sの方向に回動する。各要素の動きは左右が逆になるのみであるため、詳細な説明は省略する。
以上説明したように、操舵力伝達機構6は、乗員によるハンドルバー23の操作に応じて、操舵力を左前輪31と右前輪32に伝達する。左前輪31と右前輪32は、それぞれ左中心軸Xと右中心軸Yを中心に、乗員によるハンドルバー23の操作方向に応じた方向に回動する。
次に図2と図5を参照しつつ、車両1の傾斜動作について説明する。図5は、車体フレーム21が車両1の左方に傾斜した状態における車両1の前部を、車体フレーム21の前方から見た正面図である。図5においては、破線で示すフロントカバー221と一対のフロントフェンダー223を透視した状態を示している。
図2に示すように、車体フレーム21の直立状態においては、車体フレーム21の前方から車両1を見ると、リンク機構5は長方形状をなしている。図5に示すように、車体フレーム21の傾斜状態においては、車体フレーム21の前方から車両1を見ると、リンク機構5は平行四辺形状をなしている。リンク機構5の変形と車体フレーム21の車両1の左右方向への傾斜は連動する。リンク機構5の作動とは、リンク機構5を構成する上クロス部材51、下クロス部材52、左サイド部材53、および右サイド部材54が、それぞれの支持部C〜Hを通る回動軸線を中心に相対回動し、リンク機構5の形状が変化することを意味している。
例えば図5に示すように、乗員が車両1を左方に傾斜させると、ヘッドパイプ211が鉛直方向に対して左方に傾斜する。ヘッドパイプ211が傾斜すると、上クロス部材51は、支持部Cを通る中間上軸線を中心に、ヘッドパイプ211に対して、車両1の前方から見て反時計回りに回動する。同様に、下クロス部材52は、支持部Fを通る中間下軸線を中心に、ヘッドパイプ211に対して、車両1の前方から見て反時計回りに回動する。これにより、上クロス部材51は、下クロス部材52に対して左方に移動する。
上クロス部材51の左方への移動に伴い、上クロス部材51は、支持部Dを通る左上軸線と支持部Eを通る右上軸線を中心に、それぞれ左サイド部材53と右サイド部材54に対して、車両1の前方から見て反時計回りに回動する。同様に、下クロス部材52は、支持部Gを通る左下軸線と支持部Hを通る右下軸線を中心に、それぞれ左サイド部材53と右サイド部材54に対して、車両1の前方から見て反時計回りに回動する。これにより、左サイド部材53と右サイド部材54は、ヘッドパイプ211と平行な姿勢を保ったまま、鉛直方向に対して左方に傾斜する。
このとき下クロス部材52は、タイロッド67に対して左方に移動する。下クロス部材52の左方への移動に伴い、中間ジョイント64、左ジョイント65、および右ジョイント66の各前部に設けられた軸部がタイロッド67に対して回動する。これにより、タイロッド67は、上クロス部材51および下クロス部材52と平行な姿勢を保つ。
左サイド部材53の左方への傾斜に伴い、左サイド部材53に接続されている左ブラケット317が左方に傾斜する。左ブラケット317の左方への傾斜に伴い、左ブラケット317に接続されている左緩衝機構33が左方に傾斜する。左緩衝機構33の左方への傾斜に伴い、左緩衝機構33に支持されている左前輪31が、ヘッドパイプ211と平行な姿勢を保ったまま左方に傾斜する。
右サイド部材54の左方への傾斜に伴い、右サイド部材54に接続されている右ブラケット327が左方に傾斜する。右ブラケット327の左方への傾斜に伴い、右ブラケット327に接続されている右緩衝機構34が左方に傾斜する。右緩衝機構34の左方への傾斜に伴い、右緩衝機構34に支持されている右前輪32が、ヘッドパイプ211と平行な姿勢を保ったまま左方に傾斜する。
上記の左前輪31と右前輪32の傾斜動作に係る説明は、鉛直方向を基準としている。しかしながら、車両1の傾斜動作時(リンク機構5の作動時)においては、車体フレーム21の上下方向と鉛直上下方向は一致しない。車体フレーム21の上下方向を基準とした場合、リンク機構5の作動時において、左前輪31と右前輪32は、車体フレーム21に対する相対位置が変化している。換言すると、リンク機構5は、左前輪31と右前輪32の車体フレーム21に対する相対位置を、車体フレーム21の上下方向に変更することにより、車体フレーム21を鉛直方向に対して傾斜させる。
乗員が車両1を右方に傾斜させると、各要素は右方に傾斜する。各要素の動きは左右が逆になるのみであるため、詳細な説明は省略する。
図6は、車両1を傾斜させ、かつ転舵させた状態における車両前部の正面図である。車両1が左方に傾斜した状態で左方に転舵した状態を示している。操舵動作により左前輪31と右前輪32が左方に回動され、傾斜動作により左前輪31と右前輪32が車体フレーム21とともに左方に傾斜している。すなわち、この状態においては、リンク機構5は平行四辺形状を呈しており、タイロッド67は、車体フレーム21の直立状態における位置から左後方に移動している。
次に、図7と図8を参照しつつ、車両1が備えるインナーフェンダー225の形状について詳細に説明する。図7は、車両1の前部を車体フレーム21の前後方向の前方から見た外観を示している。図7においては、破線で示すフロントカバー221および一対のフロントフェンダー223を透視した状態を示している。図8は、図7における線VIII−VIIIに沿う断面でインナーフェンダー225の一部を示している。図8においては、インナーフェンダー225に対する左前輪31と右前輪32の位置を二点鎖線で示している。図7と図8においては、車体フレーム21は直立状態にあり、操舵装置7により左前輪31および右前輪32が回動されていない状態を示している。ここで「左前輪31および右前輪32が回動されていない状態」とは、図8に示した左前輪31の前端と後端を通る直線CLの向き、および右前輪32の前端と後端を通る直線CRの向きが車体フレーム21の前後方向と一致している状態を意味する。図7と図8を参照する以降の説明は、この状態を前提にしている。言い換えれば、「左前輪31および右前輪32が回動されていない状態」とは、車両が直進しているときの左前輪31および右前輪32の状態である。但し、この状態は、車両が動いているか停止しているかを限定していない。この状態は、車両が動いている場合も停止している場合も含む。
図7と図8に示すように、インナーフェンダー225は、カバー面70を備えている。カバー面70は、左前輪31の後縁31aと右前輪32の後縁32aより車体フレーム21の前後方向の後方に配置されている。ここで「左前輪31の後縁31a」とは、左支持軸314より車体フレーム21の前後方向の後方に位置する左前輪31の外周面を意味する。また、「右前輪32の後縁32a」とは、右支持軸324より車体フレーム21の前後方向の後方に位置する右前輪32の外周面を意味する。
図7と図8に示すように、インナーフェンダー225は、左突出部711を備えている。図7と図8に示した状態において、左突出部711は、車体フレーム21の左右方向における車両1の中央Cより左方、かつ車体フレーム21の左右方向における車両1の左端VL(本実施形態においては、図2に示す左バックミラー231の左端)より右方、かつ車体フレーム21の前後方向における左前輪31の後縁31aより後方に配置されている。図7と図8に示した状態において、左突出部711は、カバー面70より車体フレーム21の前後方向の前方に突出するとともに、車体フレーム21の上下方向に延びている。
図7と図8に示すように、インナーフェンダー225は、右突出部721を備えている。図7と図8に示した状態において、右突出部721は、車体フレーム21の左右方向における車両1の中央Cより右方、かつ車体フレーム21の左右方向における車両1の右端VR(本実施形態においては、図2に示す右バックミラー232の右端)より右方、かつ車体フレーム21の前後方向における右前輪32の後縁32aより後方に配置されている。図7と図8に示した状態において、右突出部721は、カバー面70より車体フレーム21の前後方向の前方に突出するとともに、車体フレーム21の上下方向に延びている。
少なくとも図7と図8に示した状態において、左突出部711と右突出部721の間に位置するカバー面70の一部は、左前輪31と右前輪32の間の空間に面している。
本願発明者らは、2つの前輪によって跳ね上げられた水が乗員の脚部などにかかる現象の発生メカニズムを詳細に検証した。その結果、次のような現象が確認できた。
走行中に左前輪および右前輪により跳ね上げられた水は、両前輪の各後縁より後方に配置されたインナーフェンダーに付着する。インナーフェンダーに付着した水の一部は、左前輪と右前輪の間の空間を経由して左前輪の後縁とインナーフェンダーの間を通過する気流に押されてインナーフェンダーの左端部へ移動する。移動した水は、車両の左方を後方に向かって流れる空気の流れに乗って、インナーフェンダーの左端部から後方へ飛散する。飛散した水は、左前輪より後方に配置されているシートに着座している乗員の脚部などにかかる。同様に、インナーフェンダーに付着した水の一部は、左前輪と右前輪の間の空間を経由して右前輪の後縁とインナーフェンダーの間を通過する気流に押されてインナーフェンダーの右端部へ移動する。移動した水は、車両の右方を後方に向かって流れる空気の流れに乗って、インナーフェンダーの右端部から後方へ飛散する。飛散した水は、右前輪より後方に配置されているシートに着座している乗員の脚部などにかかる。
すなわち、上記の現象は、傾斜可能な車体フレームと、その車体フレームの左右方向に並んで配置された2つの前輪を備える車両において、左前輪と右前輪の間の空間を経由して左前輪の後方とインナーフェンダーの間、および左前輪と右前輪の間の空間を経由して右前輪の後縁とインナーフェンダーの間の各々を通過する気流が発生することに起因する。換言すると、上記の現象は、傾斜可能な車体フレームと、その車体フレームの左右方向に並んで配置された2つの前輪を備える車両に特有な現象であることがわかった。そこで、後方に飛散する水滴をブロックするために、シートに着座した乗員の脚部の前面を覆うシールドを左右方向に張り出すことを検討した。しかしながら、効果を得るためにはシールドの張り出し量を大きくする必要があり、車両が大型化する。
そこで発明者らは、車両1を小型化しつつ、車両1の後方へ流れる水の量を抑制可能な構成を検討した。その結果、左前輪31の後方とインナーフェンダー225の間を通過する気流に押されることによるインナーフェンダー225に付着した水の移動をブロックする左突出部711と、右前輪32の後方とインナーフェンダー225の間を通過する気流に押されることによるインナーフェンダー225に付着した水の移動をブロックする右突出部721を、インナーフェンダー225の前方へ突出させる構造に思い至った。
具体的には、インナーフェンダー225は、車体フレーム21の直立状態かつ操舵装置7により左前輪31および右前輪32が回動されていない状態において、左前輪31の後縁31aと右前輪32の後縁32aより車体フレーム21の前後方向の後方に配置されたカバー面70を有している。また、インナーフェンダー225は、車体フレーム21の直立状態かつ操舵装置7により左前輪31および右前輪32が回動されていない状態において、車体フレーム21の左右方向における車両1の中央Cより左方、かつ車体フレーム21の左右方向における車両1の左端VLより右方、かつ左前輪31の後縁31aより車体フレーム21の前後方向の後方に配置され、カバー面70より車体フレーム21の前後方向の前方に突出するとともに車体フレーム21の上下方向に延びる左突出部711と、車体フレーム21の直立状態かつ操舵装置7により左前輪31および右前輪32が回動されていない状態において、車体フレーム21の左右方向における車両1の中央Cより右方、かつ車体フレーム21の左右方向における車両1の右端VRより左方、かつ右前輪32の後縁32aより車体フレーム21の前後方向の後方に配置され、カバー面70より車体フレーム21の前後方向の前方に突出するとともに車体フレーム21の上下方向に延びる右突出部721とを有している。さらに、少なくとも車体フレーム21の直立状態かつ操舵装置7により左前輪31および右前輪32が回動されていない状態において、左突出部711と右突出部721の間に位置するカバー面70の一部は、左前輪31と右前輪32の間の空間に面している。
このような構成によれば、左前輪31と右前輪32により跳ね上げられ、左前輪31と右前輪32の間の空間を通過した水の一部は、カバー面70における左突出部711と右突出部721の間に位置する部分に付着する。カバー面70に付着した水の一部は、左前輪31と右前輪32の間の空間を経由して左前輪31の後縁31aとインナーフェンダー225の間を通過する気流に押され、インナーフェンダー225の左端部に向かって移動するが、左突出部711により当該左端部への到達がブロックされる。また、カバー面70に付着した水の一部は、左前輪31と右前輪32の間の空間を経由して右前輪32の後縁32aとインナーフェンダー225の間を通過する気流に押され、インナーフェンダー225の右端部に向かって移動するが、右突出部721により当該右端部への到達がブロックされる。
さらに、左突出部711と右突出部721が上記のように設けられることにより、両突出部が存在しない左右方向に開放的な構造と比較すると、両突出部の間の空間に、カバー面70に沿って車両1の下方へ向かう速度の速い空気の流れを形成できることを見出した。カバー面70に付着した水は、左突出部711と右突出部721によりインナーフェンダー225の左右両端部への移動をブロックされるだけでなく、両突出部の間に形成された速度の速い空気の流れにより、車両1の下方へ導かれる。したがって、インナーフェンダー225の左右両端部を経由して後方へ飛散する水の量を抑制できる。
なお、上記の効果を得るにあたり、シールドのような車体フレーム21の左右方向に張り出す構造を設ける必要がないため、車両の小型化が可能である。
したがって、傾斜可能な車体フレーム21と、その車体フレーム21の左右方向に並んで配置された2つの前輪3を備える車両1を小型化しつつ、当該2つの前輪3によって跳ね上げられた水がシート24に着座した乗員の脚部などにかかる現象の発生を抑制できる。
図7と図8に示すように、左突出部711は、車体フレーム21の左右方向の右方を向いた右側面711aを有している。右側面711aとカバー面70は、車体フレーム21の上下方向に延びる左屈折部714を形成している。より具体的には、カバー面70は、左カバー面713を含んでいる。左カバー面713は、車体フレーム21の直立状態かつ操舵装置7により左前輪31および右前輪32が回動されていない状態において、車体フレーム21の左右方向における車両1の中央Cより当該左右方向の左方に配置されている。左屈折部714は、左カバー面713と左突出部711の右側面711aにより形成されている。
図7と図8に示すように、右突出部721は、車体フレーム21の左右方向の左方を向いた左側面721aを有している。左側面721aとカバー面70は、車体フレーム21の上下方向に延びる右屈折部724を形成している。より具体的には、カバー面70は、右カバー面723を含んでいる。右カバー面723は、車体フレーム21の直立状態かつ操舵装置7により左前輪31および右前輪32が回動されていない状態において、車体フレーム21の左右方向における車両1の中央Cより当該左右方向の右方に配置されている。右屈折部724は、右カバー面723と右突出部721の左側面721aにより形成されている。
すなわち「屈折部」とは、車体フレーム21の前後方向と左右方向を含む横断面内において延びる方向が異なる2つの平面が交わることで区画される部分を意味しており、連続的な湾曲面とは区別される。
このような構成によれば、左前輪31と右前輪32の間の空間を経由して左前輪31の後縁31aとインナーフェンダー225の間を通過する気流に押された水が左突出部711を乗り越える現象の発生をより抑制できる。また、左前輪31と右前輪32の間の空間を経由して右前輪32の後縁32aとインナーフェンダーの間を通過する気流に押された水が右突出部721を乗り越える現象の発生をより抑制できる。したがって、傾斜可能な車体フレーム21と、その車体フレーム21の左右方向に並んで配置された2つの前輪3を備える車両1を小型化しつつ、当該2つの前輪3によって跳ね上げられた水がシート24に着座した乗員の脚部などにかかる現象の発生をより抑制できる。
左屈折部714のなす角度θLは、45度以上、135度以下とされる。ここで「左屈折部714のなす角度θL」は、次のように定義される。図8は、車体フレーム21の前後方向と左右方向を含むインナーフェンダー225の横断面を示している。当該横断面内において、一点鎖線714aは、左カバー面713と平行に延びる直線である。一点鎖線714bは、左突出部711の右側面711aと平行に延びる平行な直線である。角度θLは、直線714aの前方かつ直線714bの右方において両直線により形成される角度である。換言すると、角度θLは、左屈折部714を区画する2つの平面のうち、車体フレーム21の前後方向の後方に位置する平面と平行に延びる直線714aの前方、かつ当該前後方向の前方に位置する平面と平行に延びる直線714bの右方において両直線により形成される角度である。
右屈折部724のなす角度θRは、45度以上、135度以下とされる。ここで「右屈折部724のなす角度θR」は、次のように定義される。図8に示したインナーフェンダー225の横断面内において、一点鎖線724aは、右カバー面723と平行に延びる直線である。一点鎖線724bは、右突出部721の左側面721aと平行に延びる直線である。角度θRは、直線724aの前方かつ直線724bの左方において両直線により形成される角度である。換言すると、角度θRは、右屈折部724を区画する2つの平面のうち、車体フレーム21の前後方向の後方に位置する平面と平行に延びる直線724aの前方、かつ当該前後方向の前方に位置する平面と平行に延びる直線724bの左方において両直線により形成される角度である。
このような構成によれば、左前輪31と右前輪32の間の空間を経由して左前輪31の後縁31aとインナーフェンダー225の間を通過する気流に押された水を左突出部711の右側面711aにおいて保持しやすくなり、当該水が左突出部711を乗り越える現象の発生をより抑制できる。また、左前輪31と右前輪32の間の空間を経由して右前輪32の後縁32aとインナーフェンダー225の間を通過する気流に押された水を右突出部721の左側面721aにおいて保持しやすくなり、当該水が右突出部721を乗り越える現象の発生をより抑制できる。したがって、傾斜可能な車体フレーム21と、その車体フレーム21の左右方向に並んで配置された2つの前輪3を備える車両1を小型化しつつ、当該2つの前輪3によって跳ね上げられた水がシート24に着座した乗員の脚部などにかかる現象の発生をより抑制できる。
図7と図8に示す状態において、左突出部711は、車体フレーム21の前後方向における左前輪31の後方に位置している。
図7と図8に示す状態において、右突出部721は、車体フレーム21の前後方向における右前輪32の後方に位置している。
左前輪31と右前輪32の間の空間を経由して左前輪31の後縁31aとインナーフェンダー225の間を通過する気流は、左前輪31の後方において速度が速くなる。当該箇所に左突出部711が配置されることにより、そのような速い気流に押されて移動する水が、左突出部711により効果的にブロックされる。同様に、左前輪31と右前輪32の間の空間を経由して右前輪32の後縁32aとインナーフェンダー225の間を通過する気流は、右前輪32の後方において速度が速くなる。当該箇所に右突出部721が配置されることにより、そのような速い気流に押されて移動する水が、右突出部721により効果的にブロックされる。したがって、傾斜可能な車体フレーム21と、その車体フレーム21の左右方向に並んで配置された2つの前輪3を備える車両1を小型化しつつ、当該2つの前輪3によって跳ね上げられた水がシート24に着座した乗員の脚部などにかかる現象の発生をより抑制できる。
図7と図8に示すように、車体フレーム21の直立状態かつ操舵装置7により左前輪31および右前輪32が回動されていない状態において、左カバー面713の左端部713a(左カバー面の左部の一例)は、左カバー面713の右端部713b(左カバー面の右部の一例)より車体フレーム21の前後方向の後方に配置されている。左突出部711は、左カバー面713の左端部713aに隣接している。
図7と図8に示すように、車体フレーム21の直立状態かつ操舵装置7により左前輪31および右前輪32が回動されていない状態において、右カバー面723の右端部723a(右カバー面の右部の一例)は、右カバー面723の左端部723b(右カバー面の左部の一例)より車体フレーム21の前後方向の後方に配置されている。右突出部721は、右カバー面723の右端部723aに隣接している。
このような構成によれば、左カバー面713の左端部713aが右端部713bより後方に配置されているため、左カバー面713に付着した水は、左前輪31と右前輪32の間の空間を経由して左前輪31の後縁31aとインナーフェンダー225の間を通過する気流に押されて後方へ移動する。当該気流に押された水は後方に向かって移動しているため、前方に突出した左突出部711を乗り越えにくい。また、右カバー面723の右端部723aが左端部723bより後方に配置されているため、右カバー面723に付着した水は、左前輪31と右前輪32の間の空間を経由して右前輪32の後縁32aとインナーフェンダー225の間を通過する気流に押されて後方へ移動する。当該気流に押された水は後方に向かって移動しているため、前方に突出した右突出部721を乗り越えにくい。したがって、傾斜可能な車体フレーム21と、その車体フレーム21の左右方向に並んで配置された2つの前輪3を備える車両1をより小型化しつつ、当該2つの前輪3によって跳ね上げられた水がシート24に着座した乗員の脚部などにかかる現象の発生を抑制できる。
図9は、インナーフェンダー225の一部を示す斜視図である。図中に示された横断面は、図8に示された横断面に対応している。図9においては、ダウンフレーム212を含む車体フレーム21は直立状態にある。図9を参照する以降の説明は、この状態を前提にしている。
図9に示すように、右突出部721のカバー面70からの突出量L1は、車体フレーム21の上下方向の上方に向かうにつれて大きくなっている。同様に、左突出部711のカバー面70からの突出量も、車体フレーム21の上下方向の上方に向かうにつれて大きくなっている。
このような構成によれば、左前輪31と右前輪32の間の空間を経由して左前輪31の後縁31aとインナーフェンダー225の間を通過する気流に押されてカバー面70を移動する水が左突出部711を乗り越えにくくできる。また、左前輪31と右前輪32の間の空間を経由して右前輪32の後縁32aとインナーフェンダー225の間を通過する気流に押されてカバー面70を移動する水が右突出部721を乗り越えにくくできる。さらに、カバー面70に付着した水を左突出部711と右突出部721の間に発生する気流により車両1の下方へ誘導する効果をより高めることができる。したがって、傾斜可能な車体フレーム21と、その車体フレーム21の左右方向に並んで配置された2つの前輪3を備える車両1を小型化しつつ、当該2つの前輪3によって跳ね上げられた水がシート24に着座した乗員の脚部などにかかる現象の発生をより抑制できる。
図7から図9に示すように、車両1は、壁部800を備えている。壁部800は、左突出部711と右突出部721の間において、カバー面70より車体フレーム21の前後方向の前方へ突出している。壁部800は、車体フレーム21の左右方向に延びている。
このような構成によれば、インナーフェンダー225に付着した水の上方への移動が壁部800によりブロックされる。これにより、インナーフェンダー225に付着した水を左突出部711と右突出部721の間に発生する気流により車両1の下方へ誘導する効果を高めることができる。したがって、傾斜可能な車体フレーム21と、その車体フレーム21の左右方向に並んで配置された2つの前輪3を備える車両1を小型化しつつ、当該2つの前輪3によって跳ね上げられた水がシート24に着座した乗員の脚部などにかかる現象の発生をより抑制できる。
図8と図9に示すように、左突出部711および右突出部721のカバー面70からの突出量は、壁部800のカバー面70からの突出量より大きい。
このような構成によれば、インナーフェンダー225に付着し、壁部800により上方への移動をブロックされた水が、左突出部711と右突出部721を乗り越えて車両1の左右側方へ到達する現象の発生を抑制できる。したがって、傾斜可能な車体フレーム21と、その車体フレーム21の左右方向に並んで配置された2つの前輪3を備える車両1を小型化しつつ、当該2つの前輪3によって跳ね上げられた水がシート24に着座した乗員の脚部などにかかる現象の発生をより抑制できる。
図7から図9に示すように、壁部800は、一対の左壁部715と一対の右壁部725を含んでいる。図7と図8に示した状態において、一対の左壁部715は、車体フレーム21の左右方向における車両1の中央Cより当該左右方向の左方に配置されている。一対の左壁部715は、車体フレーム21の上下方向に並んで配置されている。一対の右壁部725は、車体フレーム21の左右方向における車両1の中央Cより当該左右方向の右方に配置されている。図7と図8に示した状態において、一対の右壁部725は、車体フレーム21の上下方向に並んで配置されている。一対の左壁部715の各左端部は、左突出部711の右側面711aに接している。一対の右壁部725の各右端部は、右突出部721の左側面721aに接している。
このような構成によれば、インナーフェンダー225に付着して各左壁部715により上方への移動をブロックされた水が、左突出部711と右突出部721の間に発生した気流により、右側面711aに沿って下方に移動しやすくなる。同様に、インナーフェンダーに付着して各右壁部725により上方への移動をブロックされた水が、左突出部711と右突出部721の間に発生した気流により、左側面721aに沿って下方に移動しやすくなる。これにより、インナーフェンダー225に付着した水が左突出部711と右突出部721を乗り越えて車両1の左右側方へ到達する現象の発生をより抑制できる。したがって、傾斜可能な車体フレーム21と、その車体フレーム21の左右方向に並んで配置された2つの前輪3を備える車両1を小型化しつつ、当該2つの前輪3によって跳ね上げられた水がシート24に着座した乗員の脚部などにかかる現象の発生をより抑制できる。
図10は、壁部800の1つの縦断面形状を示す右側面図である。図10においては、図示しない車体フレーム21は直立状態にある。図10を参照する以降の説明は、この状態を前提にしている。壁部800は、車体フレーム21の上下方向の下方に傾斜するようにカバー面70から突出している。
このような構成によれば、インナーフェンダー225に付着した水の上方への移動をより抑制できる。これにより、インナーフェンダー225に付着した水を左突出部711と右突出部721の間に発生する気流により車両の下方へ誘導する効果をより高めることができる。したがって、傾斜可能な車体フレーム21と、その車体フレーム21の左右方向に並んで配置された2つの前輪3を備える車両1を小型化しつつ、当該2つの前輪3によって跳ね上げられた水がシート24に着座した乗員の脚部などにかかる現象の発生をより抑制できる。
図10に示すように、壁部800の下方には、カバー面70を貫通する開口801が形成されている。
このような構成によれば、インナーフェンダー225に付着して壁部800により上方への移動をブロックされた水を、開口801内に導くことができる。開口801に進入した水は、インナーフェンダー225内を伝って車両1の下方へ落下する。これにより、左突出部711と右突出部721を乗り越えて車両1の左右側方へ到達する可能性がある水の量を減らすことができる。したがって、傾斜可能な車体フレーム21と、その車体フレーム21の左右方向に並んで配置された2つの前輪3を備える車両1を小型化しつつ、当該2つの前輪3によって跳ね上げられた水がシート24に着座した乗員の脚部などにかかる現象の発生をより抑制できる。
上記の実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであって、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく変更・改良されうると共に、本発明にはその等価物が含まれることは明らかである。
上記の実施形態においては、図7と図8に示した状態において、左突出部711と右突出部721の間に位置するカバー面70の一部が、左前輪31と右前輪32の間の空間に面している。しかしながら、同状態において、左突出部711と右突出部721の間に位置するカバー面70全体が、左前輪31と右前輪32の間の空間に面している構成としてもよい。
上記の実施形態においては、左突出部711と右突出部721は、それぞれインナーフェンダー225の左端部と右端部に設けられている。しかしながら、図7と図8に示した状態において、左突出部711と右突出部721の間に位置するカバー面70の少なくとも一部が左前輪31と右前輪32の間の空間に面していれば、左突出部711と右突出部721のインナーフェンダー225における配置は任意である。
上記の実施形態においては、図7と図8に示した状態において、左突出部711の一部が、車体フレーム21の前後方向における左前輪31の後方に位置している。しかしながら、同状態において、左突出部711の全体が左前輪31の後方に位置している構成としてもよい。あるいは、同状態において、左突出部711の全体が左前輪31より右方または左方に位置している構成としてもよい。
上記の実施形態においては、図7と図8に示した状態において、右突出部721の一部が、車体フレーム21の前後方向における右前輪32の後方に位置している。しかしながら、同状態において、右突出部721の全体が右前輪32の後方に位置している構成としてもよい。あるいは、同状態において、右突出部712の全体が右前輪31より右方または左方に位置している構成としてもよい。
上記の実施形態においては、左突出部711の前端とカバー面70の間に、単一の左屈折部714が形成されている。しかしながら、複数の左屈折部714が形成されている構成としてもよい。車体フレーム21の前後方向と左右方向を含む横断面内において、各左屈折部714を区画する2つの平面が交わる部分に湾曲部が形成されていてもよい。
上記の実施形態においては、右突出部721の前端とカバー面70の間に、単一の右屈折部724が形成されている。しかしながら、複数の右屈折部724が形成されている構成としてもよい。車体フレーム21の前後方向と左右方向を含む横断面内において、各右屈折部724を区画する2つの平面が交わる部分に湾曲部が形成されていてもよい。
上記の実施形態においては、左カバー面713は、左端部713aが右端部713bより車体フレーム21の前後方向の後方に配置されている。しかしながら、左屈折部714を形成可能な限りにおいて、左カバー面713の形状と配置は適宜に定められうる。例えば、左カバー面713は、車体フレーム21の左右方向と平行に延びている構成としてもよい。あるいは、左カバー面713は、左端部713aが右端部713bより車体フレーム21の前後方向の前方に配置されている構成としてもよい。
上記の実施形態においては、右カバー面723は、右端部723aが左端部723bより車体フレーム21の前後方向の後方に配置されている。しかしながら、右屈折部724を形成可能な限りにおいて、右カバー面723の形状と配置は適宜に定められうる。例えば、右カバー面723は、車体フレーム21の左右方向と平行に延びている構成としてもよい。あるいは、左カバー面713は、右端部723aが左端部723bより車体フレーム21の前後方向の前方に配置されている構成としてもよい。
上記の実施形態においては、一対の左壁部715が設けられている。しかしながら、単一の左壁部715が設けられる構成としてもよいし、3つ以上の左壁部715が車体フレーム21の上下方向に並んで設けられる構成としてもよい。その場合、複数の左壁部715について、車体フレーム21の左右方向における位置が一致している必要はない。
上記の実施形態においては、一対の右壁部725が設けられている。しかしながら、単一の右壁部725が設けられる構成としてもよいし、3つ以上の右壁部725が車体フレーム21の上下方向に並んで設けられる構成としてもよい。その場合、複数の右壁部725について、車体フレーム21の左右方向における位置が一致している必要はない。
上記の実施形態においては、左緩衝機構33と右緩衝機構34は、それぞれ一対のテレスコピック機構を備えている。しかしながら、車両1の仕様に応じて、左緩衝機構33と右緩衝機構34がそれぞれ備えるテレスコピック機構の数は、1つであってもよい。
上記の実施形態においては、車両1は、1つの後輪4を備えている。しかしながら、後輪の数は、複数でもよい。
上記の実施形態においては、後輪4の車体フレーム21の左右方向における中央は、車体フレーム21の左右方向における左前輪31と右前輪32の間隔の中央と一致している。このような構成が好ましいものの、後輪4の車体フレーム21の左右方向における中央は、車体フレーム21の左右方向における左前輪31と右前輪32の間隔の中央と一致していなくてもよい。
上記の実施形態においては、リンク機構5は、上クロス部材51と下クロス部材52を備えている。しかしながら、リンク機構5は、上クロス部材51と下クロス部材52以外のクロス部材を備えていてもよい。「上クロス部材」と「下クロス部材」は、相対的な上下関係に基づいて命名しているに過ぎない。上クロス部材は、リンク機構5における最上位のクロス部材を意味していない。上クロス部材は、それより下方の別のクロス部材より上方にあるクロス部材を意味する。下クロス部材は、リンク機構5における最下位のクロス部材を意味していない。下クロス部材は、それより上方の別のクロス部材より下方にあるクロス部材を意味する。上クロス部材51と下クロス部材52の少なくとも一方は、右クロス部材と左クロス部材の2つの部品で構成されていてもよい。このように、上クロス部材51と下クロス部材52は、リンク機能を有する範囲で、複数のクロス部材で構成してもよい。
上記の実施形態においては、リンク機構5は、平行四節リンクを構成している。平行四節リンクは、いわゆるダブルウィッシュボーン方式のリンク機構と比較すると、リンク機構5を構成する部品群をフロントカバー221内に集約しやすく、車体フレーム21の左右方向における左前輪31と右前輪32の間隔を狭めやすい。したがって、傾斜可能な車体フレーム21と、その車体フレーム21の左右方向に並んで配置された2つの前輪3を備える車両1の大型化をより抑制しつつ、当該2つの前輪3によって跳ね上げられた水がシート24に着座した乗員の脚部などにかかる現象の発生を抑制できる。しかしながら、リンク機構5は、ダブルウィッシュボーン方式の構成を採用してもよい。
本明細書で用いられた用語および表現は、説明のために用いられたものであって、限定的に解釈するために用いられたものではない。本明細書に示され、かつ述べられた特徴事項のいかなる均等物をも排除するものではなく、本発明のクレームされた範囲内における各種変形をも許容するものであると認識されねばならない。
本明細書で用いられている「平行」という語は、±40°の範囲で傾斜するが、部材としては交わらない2つの直線も含む意味である。本明細書において方向や部材に関して用いられている「沿う」という語は、±40°の範囲で傾斜する場合も含む意味である。本明細書で用いられている「方向に延びる」という語は、当該方向に対して±40°の範囲で傾斜する場合も含む意味である。
本発明は、多くの異なった形態で具現化され得るものである。本明細書は、本発明の原理の実施形態を提供するものと見なされるべきである。本明細書において記載と図示の少なくとも一方がなされた好ましい実施形態は、当該実施形態に本発明が限定されることを意図するものではないという了解に基づいている。
本発明は、本明細書に開示された実施形態例に基づいて当業者によって認識されうる、均等な要素、修正、削除、組み合わせ(例えば、各種実施形態に跨る特徴の組み合わせ)、改良、変更を含むあらゆる実施形態も包含する。クレームの限定事項はそのクレームで用いられた用語に基づいて広く解釈されるべきであり、本明細書あるいは本願のプロセキューション中に記載された実施形態に限定されるべきではない。そのような実施形態は非排他的であると解釈されるべきである。例えば、本明細書において、「好ましくは」、「よい」という用語は非排他的なものであって、「好ましいがこれに限定されるものではない」「よいがこれに限定されるものではない」ということを意味する。
本出願の記載の一部を構成するものとして、2013年7月1日に提出された日本国特許出願2013−138486の内容を援用する。すなわち、以下に列挙する構成もまた、本出願の記載の一部を構成する。
(1):
車体フレームと、
前記車体フレームに対して回転可能に支持される操舵部材と、
車両の車幅方向中央より左側に配置されるとともに、前記操舵部材の回転動作に伴って動く第1前輪と、
車両の車幅方向中央より右側に配置されるとともに、前記操舵部材の回転動作に伴って動く第2前輪と、
前記車体フレームに支持されるとともに、車両前方から見て前記第1前輪及び前記第2前輪の後方に、前記第1前輪及び前記第2前輪に対向するように配置されるフロント下部カバー部と、
を備え、
前記フロント下部カバー部は、
車両前方から見て前記第1前輪の後方に少なくとも一部が配置され、上下方向に延びるとともに車両前方へ突出する第1突出部と、
車両前方から見て前記第2前輪の後方に少なくとも一部が配置され、上下方向に延びるとともに車両前方へ突出する第2突出部と、
を有する、鞍乗型車両。
(2):
前記フロント下部カバー部は、
前記第1突出部の車両中央側の面の後端部から右方かつ前方に向けて延びる第1前面部と、
前記第2突出部の車両中央側の面の後端部から左方かつ前方に向けて延びる第2前面部と、
を有する、(1)に記載の鞍乗型車両。
(3):
前記車体フレームは、前記操舵部材が回転可能に挿入されるヘッドパイプと、前記ヘッドパイプに接続されるとともに前記ヘッドパイプの後方に配置されるダウンフレームと、
前記ダウンフレームの下部に接続されるアンダーフレームと、を有し、
前記ダウンフレームは、車幅方向において前記第1前面部と前記第2前面部との間に配置されるとともに、車両前後方向において前記第1前面部及び前記第2前面部と重なる位置に配置されている、(2)に記載の鞍乗型車両。
(4):
前記第1突出部の車両中央側の面と前記第1前面部とを接続する第1接続部は角状に形成され、
前記第2突出部の車両中央側の面と前記第2前面部とを接続する第2接続部は角状に形成されている、(2)または(3)に記載の鞍乗型車両。
(5):
前記フロント下部カバー部は、
前記第1接続部に形成され、前記第1前面部を伝って下方から上方に流れてくる水の勢いを低減する第1水勢低減部と、
前記第2接続部に形成され、前記第2前面部を伝って下方から上方に流れてくる水の勢いを低減する第2水勢低減部と、
を有する、(4)に記載の鞍乗型車両。
(6):
前記フロント下部カバー部の後方に向かい合うように配置されるバック下部カバー部を備え、
前記第1水勢低減部は、前記第1前面部から車両前方に向けて張り出す第1張出部と、
前記第1張出部の下方に形成された第1開口部とを有し、
前記第2水勢低減部は、前記第2前面部から車両前方に向けて張り出す第2張出部と、
前記第2張出部の下方に形成された第2開口部とを有する、(5)に記載の鞍乗型車両。
(7):
前記第1突出部および前記第2突出部は、下方から上方に向けて徐々に突出寸法が大きくなるように形成されている、(1)から(6)のいずれか一項に記載の鞍乗型車両。

Claims (12)

  1. 車両であって、
    左旋回時において前記車両の左方へ傾斜し、右旋回時において前記車両の右方へ傾斜する車体フレームと、
    前記車体フレームの左右方向に並んで配置された左前輪および右前輪と、
    前記左前輪および前記右前輪より前記車体フレームの前後方向の後方に配置され、前記車体フレームに支持されたシートと、
    前記左前輪および前記右前輪を回動させる操舵装置と、
    前記左前輪および前記右前輪より前記前後方向の後方、かつ前記シートより前記前後方向の前方に配置されたインナーフェンダーと、
    を備えており、
    前記インナーフェンダーは、
    前記車体フレームの直立状態かつ前記操舵装置により前記左前輪および前記右前輪が回動されていない状態において、前記左前輪および前記右前輪の各後縁より前記前後方向の後方に配置されたカバー面と、
    前記車体フレームの直立状態かつ前記操舵装置により前記左前輪および前記右前輪が回動されていない状態において、前記左右方向における前記車両の中央より左方、かつ前記左右方向における前記車両の左端より右方、かつ前記左前輪の後縁より前記前後方向の後方に配置され、前記カバー面より前記前後方向の前方に突出するとともに前記車体フレームの上下方向に延びる左突出部と、
    前記車体フレームの直立状態かつ前記操舵装置により前記左前輪および前記右前輪が回動されていない状態において、前記左右方向における前記車両の中央より右方、かつ前記左右方向における前記車両の右端より左方、かつ前記右前輪の後縁より前記前後方向の後方に配置され、前記カバー面より前記前後方向の前方に突出するとともに前記車体フレームの上下方向に延びる右突出部と、
    を有しており、
    少なくとも前記車体フレームの直立状態かつ前記操舵装置により前記左前輪および前記右前輪が回動されていない状態において、前記左突出部と前記右突出部の間に位置する前記カバー面の少なくとも一部は、前記左前輪と前記右前輪の間の空間に面している、
    車両。
  2. 前記左突出部は、前記左右方向の右方を向いた右側面を有しており、
    前記右突出部は、前記左右方向の左方を向いた左側面を有しており、
    前記左突出部の前記右側面と前記カバー面は、前記上下方向に延びる左屈折部を形成しており、
    前記右突出部の前記左側面と前記カバー面は、前記上下方向に延びる右屈折部を形成している、
    請求項1に記載の車両。
  3. 前記左屈折部および前記右屈折部の各々がなす角は、45度以上135度以下である、
    請求項2に記載の車両。
  4. 前記車体フレームの直立状態かつ前記操舵装置による転舵がなされていない状態において、前記左突出部の少なくとも一部は、前記前後方向における前記左前輪の後方に位置しており、
    前記車体フレームの直立状態かつ前記操舵装置による転舵がなされていない状態において、前記右突出部の少なくとも一部は、前記前後方向における前記右前輪の後方に位置している、
    請求項1から3のいずれか一項に記載の車両。
  5. 前記カバー面は、
    前記車体フレームの直立状態かつ前記操舵装置により前記左前輪および前記右前輪が回動されていない状態において、前記車両の中央より前記左右方向の左方に配置されている左カバー面と、
    前記車体フレームの直立状態かつ前記操舵装置により前記左前輪および前記右前輪が回動されていない状態において、前記車両の中央より前記左右方向の右方に配置されている右カバー面と、
    を備えており、
    前記車体フレームの直立状態かつ前記操舵装置により前記左前輪および前記右前輪が回動されていない状態において、前記左カバー面の左部は、当該左カバー面の右部より前記前後方向の後方に配置されており、
    前記車体フレームの直立状態かつ前記操舵装置により前記左前輪および前記右前輪が回動されていない状態において、前記右カバー面の右部は、当該右カバー面の左部より前記前後方向の後方に配置されており、
    前記左突出部は、前記左カバー面の前記左部に隣接しており、
    前記右突出部は、前記右カバー面の前記右部に隣接している、
    請求項1から4のいずれか一項に記載の車両。
  6. 前記左突出部および前記右突出部の前記カバー面からの突出量は、前記上下方向の上方に向かうにつれて大きくなっている、
    請求項1から5のいずれか一項に記載の車両。
  7. 前記左突出部と前記右突出部の間において前記カバー面より前記前後方向の前方に突出するとともに、前記左右方向に延びる壁部を備えている、
    請求項1から6のいずれか一項に記載の車両。
  8. 前記左突出部および前記右突出部の前記カバー面からの突出量は、前記壁部の前記カバー面からの突出量より大きい、
    請求項7に記載の車両。
  9. 前記壁部は、
    前記車体フレームの直立状態かつ前記操舵装置により前記左前輪および前記右前輪が回動されていない状態において、前記車両の中央より前記左右方向の左方に配置された左壁部と、
    前記車体フレームの直立状態かつ前記操舵装置により前記左前輪および前記右前輪が回動されていない状態において、前記車両の中央より前記左右方向の右方に配置された右壁部と、
    を含んでおり、
    前記左突出部は、前記左右方向の右方を向いた右側面を有しており、
    前記右突出部は、前記左右方向の左方を向いた左側面を有しており、
    前記左壁部の左端部は、前記右側面に接しており、
    前記右壁部の右端部は、前記左側面に接している、
    請求項7または8に記載の車両。
  10. 前記壁部は、前記上下方向の下方に傾斜するように前記カバー面から突出している、
    請求項7から9のいずれか一項に記載の車両。
  11. 前記壁部の下方に前記カバー面を貫通する開口が形成されている、
    請求項7から10のいずれか一項に記載の車両。
  12. 前記左前輪および前記右前輪より前記上下方向の上方に配置され、前記車体フレームに対する前記左前輪および前記右前輪の相対位置を変更して前記車体フレームを前記左方または前記右方に傾斜させるリンク機構を備えており、
    前記リンク機構は、
    上クロス部材と、
    前記上クロス部材より下方に配置された下クロス部材と、
    前記左前輪より前記上下方向の上方に配置された左サイド部材と、
    前記右前輪より前記上下方向の上方に配置された右サイド部材と、
    を備えており、
    前記上クロス部材、前記下クロス部材、前記左サイド部材、および前記右サイド部材は、前記上クロス部材と前記下クロス部材が相互に平行な姿勢を保ち、前記左サイド部材と前記右サイド部材が相互に平行な姿勢を保つように連結されている、
    請求項1から11のいずれか一項に記載の車両。
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