JPWO2014192550A1 - 無機薄膜積層フィルム - Google Patents
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Abstract
Description
1. フィルム基材の少なくとも片面上に直接、または他の層を介して、無機薄膜を積層したフィルムであって、銀/塩化銀を参照電極としたフェロシアン化物イオンのサイクリックボルタンメトリー測定において、+0.2Vから+0.9Vの間の電位に酸化ピーク電流を、−0.3Vから+0.4Vの間の電位に還元ピーク電流を示すことを特徴とする無機薄膜積層フィルム。
2. フィルム基材と無機薄膜の間に中間層を有し、中間層が、チタン若しくはニッケル−チタン合金のいずれかの薄膜であることを特徴とする上記第1に記載の無機薄膜積層フィルム。
3. 2回のサイクリックボルタンメトリー測定を行う場合に、2回目のサイクリックボルタンメトリー測定から得られる酸化ピーク電流と還元ピーク電流が、1回目のサイクリックボルタンメトリー測定から得られる酸化ピーク電流と還元ピーク電流と、各々実質的に同一の電流を示すことを特徴とする上記第1又は2に記載の無機薄膜積層フィルム。
4. 表面抵抗値が、300Ω/□以下であることを特徴とする上記第1から第3のいずれかに記載の無機薄膜積層フィルム。
5. 無機薄膜が、インジウム錫酸化物、パラジウム、ルテニウム、ニッケル、ニッケル−銅合金(ニッケルの含有率が40重量%以上で銅の含有率が60重量%以下)、ニッケル−パラジウム合金のいずれかからなる薄膜であるか、またはこれらの薄膜の積層物であることを特徴とする上記第1から第4のいずれかに記載の無機薄膜積層フィルム。
6. 無機薄膜と中間層の膜厚の合計が、5nm以上400nm以下であることを特徴とする上記第1から第5のいずれかに記載の無機薄膜積層フィルム。
7. 上記第1から第6のいずれかに記載の無機薄膜積層フィルムに、パターニングが施されてなることを特徴とする血糖値センサー用電極フィルム。
8. 上記第7に記載の血糖値センサー用電極フィルムが用いられてなることを特徴とする血糖値センサー用ストリップ。
9. 上記第8に記載の血糖値センサー用ストリップが用いられてなることを特徴とする血糖値センサーデバイス。
本発明で用いるフィルム基材とは、有機高分子をフィルム状に溶融押出し又は溶液押出しをしてフィルム状に成形し、必要に応じ、長手方向及び/又は幅方向に延伸、熱固定、熱弛緩処理等を施したフィルムである。有機高分子としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ナイロン6、ナイロン4、ナイロン66、ナイロン12、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルサルファン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリアリレート、セルロースプロピオネート、ポリ塩化ビニール、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキサイド、ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、ノルボルネン系ポリマーなどが挙げられる。
本発明における無機薄膜と後述の中間層の合計膜厚は、5〜400nmの範囲が好ましく、更に好ましくは10〜300nm、特に好ましくは15〜200nmである。この膜厚が5nm未満の場合、薄膜のピンホールが生成し、血糖値センサーの電極として使用した際に電気信号が得づらくなるので好ましくない。一方、この膜厚が400nmよりも厚い場合、無機薄膜の応力が大きくなり、剥離が発生しやすく、密着性が低下する恐れがあり、また、基材の反りも発生するので、好ましくない。
無機薄膜積層フィルムを50mm×5mm幅の短冊状に切り出した。5mMのフェロシアン化カリウムおよび1Mの硝酸カリウムを含む水溶液に、短冊状の無機薄膜積層フィルムを10mm浸漬させた。参照極の銀/塩化銀、対極の白金コイルも該溶液に設置した。対銀/塩化銀にて、まず、開始電圧を、+0.1V、折り返し電圧を+0.5V、終了電圧を+0.1Vとし、50mV/sの走査速度で測定を行った。この+0.1V〜+0.5Vの範囲に酸化ピーク電流及び還元ピーク電流が見られた場合には、前記の測定を1回目測定とし、続いて2回目も同一条件で測定した。一方、この+0.1V〜+0.5Vの範囲に酸化ピーク電流及び/又は還元ピーク電流が見られない場合には、開始電圧を−0.3V、折り返し電圧を+0.9V、終了電圧を−0.3Vとして再測定した。
JIS−K7194に準拠し、4端子法にて測定した。測定機は、三菱油化(株)製 Lotest AMCP−T400を用いた。
無機薄膜積層フィルム試料片を1mm×10mmの大きさに切り出し、電子顕微鏡用エポキシ樹脂に包埋した。これをウルトラミクロトームの試料ホルダに固定し、包埋した試料片の短辺に平行な断面薄切片を作製した。次いで、この切片の薄膜の著しい損傷がない部位において、透過型電子顕微鏡(JEOL社製、JEM−2010)を用い、加速電圧200kV、明視野で観察倍率1万倍にて写真撮影を行って得られた写真から膜厚を求めた。
プラスチックフィルムとして、厚み250μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系フィルム(E5001、東洋紡社製)を用いた。
〔実施例2〕
二軸延伸ポリエステルフィルムの片面に、スパッタリングにて膜厚10nmのチタン薄膜を積層し、さらにその上に膜厚60nmのルテニウム薄膜を積層したこと以外は、実施例1と同様に実施した。表1に示すように、1回目の測定において、好適な電位に酸化ピーク電流と還元ピーク電流が観測され、さらに2回目の測定が1回目の測定と実質的に同一となっていることから、この無機薄膜は血糖値センサー用電極として好適に使用できるものである。
ニッケル(65重量%)−銅(35重量%)の合金ターゲットを用いて、二軸延伸ポリエステルフィルムの片面に、膜厚100nmのニッケル(65重量%)−銅(35重量%)の合金薄膜を成膜したこと以外は、実施例1と同様に実施した。表1に示すように、1回目の測定において、好適な電位に酸化ピーク電流と還元ピーク電流が観測され、さらに2回目の測定が1回目の測定と実質的に同一となっていることから、この無機薄膜は血糖値センサー用電極として好適に使用できるものである。
二軸延伸ポリエステルフィルムの片面に、スパッタリングにて膜厚100nmのニッケル(65重量%)−銅(35重量%)合金薄膜を積層し、さらにその上に膜厚10nmのパラジウム薄膜層を積層したこと以外は、実施例1と同様に実施した。表1に示すように、1回目の測定において、好適な電位に酸化ピーク電流と還元ピーク電流が観測され、さらに2回目の測定が1回目の測定と実質的に同一となっていることから、この無機薄膜は血糖値センサー用電極として好適に使用できるものである。
二軸延伸ポリエステルフィルムの片面に、スパッタリングにて膜厚100nmのニッケル薄膜を積層したこと以外は、実施例1と同様に実施した。表1に示すように、1回目の
測定において、好適な電位に酸化ピーク電流と還元ピーク電流が観測され、さらに2回目の測定が1回目の測定と実質的に同一となっていることから、この無機薄膜は血糖値センサー用電極として好適に使用できるものである。
二軸延伸ポリエステルフィルムの片面に、スパッタリングにて膜厚100nmのニッケル薄膜を積層し、さらにその上に膜厚10nmのパラジウム薄膜を積層したこと以外は、実施例1と同様に実施した。表1に示すように、1回目の測定において、好適な電位に酸化ピーク電流と還元ピーク電流が観測され、さらに2回目の測定が1回目の測定と実質的に同一となっていることから、この無機薄膜は血糖値センサー用電極として好適に使用できるものである。
ニッケル(65重量%)−パラジウム(35重量%)の合金ターゲットを用いて、二軸延伸ポリエステルフィルムの片面に、ニッケル(65重量%)−パラジウム(35重量%)の合金薄膜を成膜したこと以外は、実施例1と同様に実施した。表1に示すように、1回目の測定において、好適な電位に酸化ピーク電流と還元ピーク電流が観測され、さらに2回目の測定が1回目の測定と実質的に同一となっていることから、この無機薄膜は血糖値センサー用電極として好適に使用できるものである。
ニッケル(75重量%)−パラジウム(25重量%)の合金ターゲットを用いて、二軸延伸ポリエステルフィルムの片面に、ニッケル(75重量%)−パラジウム(25重量%)の合金薄膜を成膜したこと以外は、実施例1と同様に実施した。表1に示すように、1回目の測定において、好適な電位に酸化ピーク電流と還元ピーク電流が観測され、さらに2回目の測定が1回目の測定と実質的に同一となっていることから、この無機薄膜は血糖値センサー用電極として好適に使用できるものである。
ニッケル(87重量%)−パラジウム(13重量%)の合金ターゲットを用いて、二軸延伸ポリエステルフィルムの片面に、ニッケル(87重量%)−パラジウム(13重量%)の合金薄膜を成膜したこと以外は、実施例1と同様に実施した。図2と表1に示すように、1回目の測定において、酸化ピーク電流が+0.32Vの電位に+0.30mAの電流値で観測され、還元ピーク電流が+0.22Vの電位に−0.12mAの電流にて観測された。1回目の測定においては、好適な電位に酸化ピーク電流と還元ピーク電流が観測されたので、2回目の測定における測定結果の同一性は不十分だったものの、この無機薄膜はシングルユースの血糖値センサー用電極としては好適に使用できるものである。
二軸延伸ポリエステルフィルムの片面に、スパッタリングにて膜厚100nmのチタン薄膜を積層し、さらにその上に膜厚10nmのパラジウム薄膜を積層したこと以外は、実施例1と同様に実施した。表1に示すように、1回目の測定において、好適な電位に酸化ピーク電流と還元ピーク電流が観測され、さらに2回目の測定が1回目の測定と実質的に同一となっていることから、この無機薄膜は血糖値センサー用電極として好適に使用できるものである。
ニッケル(50重量%)−チタン(50重量%)の合金ターゲットを使用し、二軸延伸ポリエステルフィルムの片面に、膜厚100nmのニッケル(50重量%)−チタン(50重量%)の合金薄膜層を積層し、さらにその上に膜厚10nmのパラジウム薄膜を積層したこと以外は、実施例1と同様に実施した。表1に示すように、1回目の測定において、好適な電位に酸化ピーク電流と還元ピーク電流が観測され、さらに2回目の測定が1回目の測定と実質的に同一となっていることから、この無機薄膜は血糖値センサー用電極として好適に使用できるものである。
インジウム錫酸化物(In:Sn=90重量%:10重量%)ターゲットを使用し、二軸延伸ポリエステルフィルムの片面に、膜厚30nmのインジウム錫酸化物を積層し、さらに、150℃、1時間の加熱処理を行い、表面抵抗値が150Ω/□の積層フィルムを得たこと、及びイクリックボルタンメトリー測定においては、一回目の折り返し電圧を0.8V、二回目の折り返し電圧を−0.2Vとしたこと以外は、実施例1と同様に実施した。表1に示すように、1回目の測定において、好適な電位に酸化ピーク電流と還元ピーク電流が観測され、さらに2回目の測定が1回目の測定と実質的に同一となっていることから、この無機薄膜は血糖値センサー用電極として好適に使用できるものである。
光重合開始剤含有紫外線硬化型アクリル系樹脂(大日精化工業社製、セイカビームEXF−01J)100質量部に、溶剤としてトルエン/MEK(80/20:質量比)の混合溶媒を、固形分濃度が50質量%になるように加え、撹拌して均一に溶解し塗布液を調製した。
二軸延伸ポリエステルフィルムの片面に、スパッタリングにて膜厚50nmの銀薄膜を積層したこと以外は、実施例1と同様に実施した。表1に示すように、電圧範囲を−0.3〜+0.9Vに拡げて測定し直したが、1回目の測定において、酸化ピーク電流と還元ピーク電流が認識できなかった。この無機薄膜は血糖値センサー用電極として好適に使用できるものでない。
ニッケル(92.5重量%)−チタン(7.5重量%)の合金ターゲットを使用し、二軸延伸ポリエステルフィルムの片面に、膜厚100nmのニッケル(92.5重量%)−チタン(7.5重量%)の合金薄膜を積層したこと以外は、実施例1と同様に実施した。表1に示すように、1回目の測定において、酸化ピーク電流が+0.34Vの電位に+0.27mAの電流値で観測されたが、還元ピーク電流を認めることはできなかった。電圧範囲を−0.3〜+0.9Vに拡げて再測定したが、前記と同様結果であった。この無機薄膜は血糖値センサー用電極として好適に使用できるものでない。
ニッケル(30重量%)−銅(70重量%)の合金ターゲットを使用し、二軸延伸ポリエステルフィルムの片面に、膜厚100nmのニッケル(30重量%)−銅(70重量%)の合金薄膜を積層したこと以外は、実施例1と同様に実施した。表1に示すように、電圧範囲を−0.3〜+0.9Vに拡げて測定し直したが、1回目の測定において、酸化ピーク電流と還元ピーク電流が認識できなかった。この無機薄膜は血糖値センサー用電極として好適に使用できるものでない。
Claims (9)
- フィルム基材の少なくとも片面上に直接、または他の層を介して、無機薄膜を積層したフィルムであって、銀/塩化銀を参照電極としたフェロシアン化物イオンのサイクリックボルタンメトリー測定において、+0.2Vから+0.9Vの間の電位に酸化ピーク電流を、−0.3Vから+0.4Vの間の電位に還元ピーク電流を示すことを特徴とする無機薄膜積層フィルム。
- フィルム基材と無機薄膜の間に中間層を有し、中間層が、チタン若しくはニッケル−チタン合金のいずれかの薄膜であることを特徴とする請求項1に記載の無機薄膜積層フィルム。
- 2回のサイクリックボルタンメトリー測定を行う場合に、2回目のサイクリックボルタンメトリー測定から得られる酸化ピーク電流と還元ピーク電流が、1回目のサイクリックボルタンメトリー測定から得られる酸化ピーク電流と還元ピーク電流と、各々実質的に同一の電流を示すことを特徴とする請求項1又は2に記載の無機薄膜積層フィルム。
- 表面抵抗値が、300Ω/□以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の無機薄膜積層フィルム。
- 無機薄膜が、インジウム錫酸化物、パラジウム、ルテニウム、ニッケル、ニッケル−銅合金(ニッケルの含有率が40重量%以上で銅の含有率が60重量%以下)、ニッケル−パラジウム合金のいずれかからなる薄膜であるか、またはこれらの薄膜の積層物であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の無機薄膜積層フィルム。
- 無機薄膜と中間層の膜厚の合計が、5nm以上400nm以下であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の無機薄膜積層フィルム。
- 請求項1から6のいずれかに記載の無機薄膜積層フィルムに、パターニングが施されてなることを特徴とする血糖値センサー用電極フィルム。
- 請求項7に記載の血糖値センサー用電極フィルムが用いられてなることを特徴とする血糖値センサー用ストリップ。
- 請求項8に記載の血糖値センサー用ストリップが用いられてなることを特徴とする血糖値センサーデバイス。
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