JPWO2014171504A1 - ガラス積層体 - Google Patents

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Abstract

薄膜ガラス上に接着剤を介して樹脂層を積層した構成であっても、ヒートショック試験耐性を有し、かつハンドリング性の良いガラス積層体を提供することを目的とする。そのため、ガラス積層体は、薄膜ガラスと第1の樹脂層とが第1の接着剤で接着されており、第1の接着剤は、反応性金属化合物と水酸基含有高分子化合物との共縮合物を含み、第1の樹脂層は、JIS Z 0208に準拠して測定される40℃、90%RHにおける透湿度が、1000g/m2・24hr以上である構成とする。

Description

本発明は、薄膜ガラス上に接着剤を介して樹脂層を積層したガラス積層体に関する。
近年、表示装置の大型化が進む一方でモバイル化も進んでおり、薄型・軽量な表示装置が必要とされている。表示装置には、一般的にガラス基板が使用されており、このガラス基板を薄膜化することで、表示装置を薄型・軽量にすることができる。しかし、ガラス基板を薄膜化すると、ガラス基板が割れやすくなり、ハンドリング性が悪くなる。この対策として、薄膜ガラスとフィルムを貼り合わせ、薄膜ガラスの柔軟性及び割れ性を補う手法が提案されている。
例えば、特許文献1では、厚さ0.1μm〜100μmのガラスフィルムにアクリル系の接着剤を介して樹脂フィルムを接着することで、ガラスフィルムを取り扱う際の破損低減を図っている。
特開2001−97733号公報(請求項1、段落〔0017〕、〔0059〕等参照)
ところで、表示装置はモバイル用途、車載用途、デジタルサイネージ用途など様々な用途で利用されるため、多様な環境に置かれる可能性がある。したがって、薄膜ガラスとフィルム(樹脂層)の積層体(以下、ガラス積層体と記すことがある)を表示装置の部材(例えば、有機ELのガスバリア層など)として用いる場合、厳しいヒートショック試験耐性が要求される。そこで、薄膜ガラスとフィルムを一般的なアクリル系粘着剤で貼合したガラス積層体を用いてヒートショック試験にかけたところ、フィルムと薄膜ガラスが剥離してしまうという問題が発生した。
本発明の目的は、前記の事情に鑑み、薄膜ガラス上に接着剤を介して樹脂層を積層した構成であっても、ヒートショック試験耐性を有し、かつハンドリング性の良いガラス積層体を提供することにある。
本発明の上記目的は以下の構成により達成される。
1.薄膜ガラスと第1の樹脂層とが第1の接着剤で接着されており、
第1の接着剤は、反応性金属化合物と水酸基含有高分子化合物との共縮合物を含み、
第1の樹脂層は、JIS Z 0208に準拠して測定される40℃、90%RHにおける透湿度が、1000g/m・24hr以上であることを特徴とするガラス積層体。
2.第1の樹脂層は、セルロース誘導体を含んでいることを特徴とする前記1に記載のガラス積層体。
3.第1の接着剤に含まれる水酸基含有高分子化合物は、セルロース誘導体を含んでいることを特徴とする前記1又は2に記載のガラス積層体。
4.第1の接着剤に含まれるセルロース誘導体が、セルロースエステルであることを特徴とする前記3に記載のガラス積層体。
5.第1の接着剤に含まれる反応性金属化合物が、金属アルコキシドであることを特徴とする前記1〜4の何れかに記載のガラス積層体。
6.前記薄膜ガラスの第1の樹脂層が積層されている側とは反対側に、第2の樹脂層が第2の接着剤で接着されており、
第2の接着剤は、反応性金属化合物と水酸基含有高分子化合物との共縮合物を含んでいることを特徴とする前記1〜5の何れかに記載のガラス積層体。
7.第2の樹脂層は、セルロース誘導体を含んでいることを特徴とする前記6に記載のガラス積層体。
8.第2の接着剤に含まれる水酸基含有高分子化合物は、セルロース誘導体を含んでいることを特徴とする前記6又は7に記載のガラス積層体。
9.第2の接着剤に含まれるセルロース誘導体が、セルロースエステルであることを特徴とする前記8に記載のガラス積層体。
10.第2の接着剤に含まれる反応性金属化合物が、金属アルコキシドであることを特徴とする前記6〜9の何れかに記載のガラス積層体。
11.薄膜ガラスの膜厚が5〜100μmであることを特徴とする前記1〜10の何れかに記載のガラス積層体。
反応性金属化合物に含まれる金属成分は、ガラス成分と共有結合することができる。一方、水酸基含有高分子化合物は、水酸基を含んでおり、樹脂との親和性が高い。このため、薄膜ガラスと第1の樹脂層とを接着する第1の接着剤が、反応性金属化合物と水酸基含有高分子化合物との共縮合物であり、反応性金属化合物の特性と水酸基含有高分子化合物の特性とを両方持つことにより、薄膜ガラスと第1の樹脂層との両方に対して良好な接着性を確保することができる。そして、第1の接着剤を介して、薄膜ガラスと第1の樹脂層との密着性を向上させることができる。
また、第1の樹脂層として高透湿性フィルムを用いることにより、第1の接着剤で貼着したときに生じるアルコールを速やかに逃がすことができ、ヒートショック試験にかけても逆反応が生じず、ヒートショック試験後も接着力を維持できる。したがって、このガラス積層体を表示装置に用いた場合、様々な用途で利用され、多様な環境に置かれた場合でも、長期間に亘って問題なく使用することができる。
また、ガラス積層体は薄膜ガラスに第1の樹脂層を積層しているので、ハンドリング性が良好となり、取り扱い時に破損しにくくなる。
本発明の実施の形態に係るガラス積層体が適用される有機EL表示装置の概略の構成を示す断面図である。 上記有機EL表示装置に用いられる偏光板の、図1に示したものとは別の構成例を示す断面図である。 上記ガラス積層体の、図1に示したものとは別の構成例を示す断面図である。 上記ガラス積層体が適用される液晶表示装置の概略の構成を示す断面図である。
本発明の実施の一形態について、図面に基づいて説明すれば以下の通りである。なお、本明細書において、数値範囲をA〜Bと表記した場合、その数値範囲に下限Aおよび上限Bの値は含まれるものとする。
〔有機EL表示装置の構成〕
図1は、本実施形態の有機EL表示装置1の概略の構成を示す断面図である。有機EL表示装置1は、有機EL素子2と、ガラス積層体3と、偏光板4とをこの順で積層して構成されている。なお、同図では、有機EL素子2、ガラス積層体3、偏光板4を明確に区別する目的で、これらを離間して示している。
有機EL素子2は、OLED(Organic light-Emitting Diode)とも呼ばれる表示ディスプレイであり、ガラスやポリイミド等を用いた基板21上に、順に、例えばアルミニウムからなる金属電極22、発光層23および透明電極(例えばITO;Indium Tin Oxide)24を有して構成されている。なお、本来、透明電極24上には、表面保護のための封止ガラスが設けられるが、本実施形態では、偏光板4を貼り合わせたガラス積層体3を、この封止ガラスの代わりとして用いている。
金属電極22と透明電極24とに電圧を印加すると、発光層23に対して、金属電極22および透明電極24のうちで陰極となる電極から電子が注入され、陽極となる電極から正孔が注入され、両者が発光層23で再結合することにより、発光層23の発光特性に対応した可視光線の発光が生じる。発光層23で生じた光は、直接、または金属電極22で反射した後、透明電極24およびガラス積層体3を介して外部に取り出されることになる。
ガラス積層体3は、本実施形態では透過光に対して波長λ(nm)の1/4程度の面内位相差を付与する機能を有しており、その詳細な構成ついては後述する。なお、本発明においてガラス積層体は、光学的に透明であれば特に他の光学的な機能を有していないものも含むものとする。
偏光板4は、所定の直線偏光を透過するものであり、偏光層41(偏光子)と保護層42とを積層して構成されている。偏光層41は、例えばポリビニルアルコールフィルムを二色性色素で染色し、高倍率延伸することで得られる。偏光層41の厚さは、例えば10μm以下である。保護層42は、例えばセルロース系樹脂やハードコート層で構成されており、偏光層41の表面を保護する目的で設けられている。保護層42は、紫外線硬化型接着剤を介して偏光層41に接着されたり、ポリビニルアルコール水溶液を接着剤(水糊)として偏光層41に貼り合わせられる。
なお、図1では、偏光層41の片側のみに保護層42を形成して偏光板4を構成しているが、図2に示すように、偏光層41を両側から保護層42・42で挟んで偏光板4を構成してもよい。
上記のように、有機EL素子2の外光入射側に、ガラス積層体3および偏光板4を配置することにより、これらは、有機EL素子2に入射する外光の反射を防止する円偏光板として機能する。すなわち、偏光板4に入射する外光のうち、偏光層41を透過した光(直線偏光)は、ガラス積層体3によって円偏光に変換され、有機EL素子2の金属電極22で反射される際に位相が180°反転し、逆回りの円偏光として反射される。この反射光は、再びガラス積層体3に入射して、偏光層41の透過軸に垂直な直線偏光に変換され、偏光層41で全て吸収されることになる。
〔ガラス積層体の詳細〕
次に、上記したガラス積層体3の詳細について説明する。図1に示すように、ガラス積層体3は、薄膜ガラス31の一方の面側に、接着層32(第1の接着剤)、λ/4位相差層33(第1の樹脂層)をこの順で積層し、他方の面側に、接着層34(第2の接着剤)および樹脂層35(第2の樹脂層)をこの順で積層して構成されている。本実施形態では、ガラス積層体3は、λ/4位相差層33が薄膜ガラス31に対して有機EL素子2とは反対側に位置するように配置されており、λ/4位相差層33に上記の偏光層41が貼り合わされている。なお、ガラス積層体3は、上記の接着層34および樹脂層35を省略した構成であってもよい。つまり、図3に示すように、薄膜ガラス31の一方の面側に、接着層32およびλ/4位相差層33を積層し、他方の面側には樹脂層を設けない構成であってもよい。
なお、接着層32、34が明確に層として存在していない場合も本発明の範囲に含まれる。これは接着層に含まれる成分がλ/4位相差層33あるいは偏光層41へ浸透、反応することにより、一体化した状態が想定される。
λ/4位相差層33は、透過光に対して波長の1/4程度の面内位相差を付与する層である。λ/4位相差層33の遅相軸と偏光層41の吸収軸とのなす角度は、30〜60°に設定されている。これにより、λ/4位相差層33と偏光層41との組み合わせで、入射光の偏光状態を直線偏光と円偏光(または楕円偏光)との間で切り替えることが可能となる。
なお、偏光層41がλ/4位相差層33に直接貼り合わされていることにより、環境変動(例えば温度変化)による影響は、偏光層41もλ/4位相差層33も同じように受ける。このため、環境変動によって、λ/4位相差層33の遅相軸の方向と、偏光層41の吸収軸の方向とがずれる、いわゆる軸ズレが生じることはほとんどない。
λ/4位相差層33は、セルロース系樹脂(セルロース誘導体)やポリカーボネート樹脂(PC)を含んで構成されるが、耐久試験時の耐熱性の観点からは、耐熱性を有するセルロース系樹脂(セルロース誘導体)を含んでいることが望ましい。このようなセルロース系樹脂としては、例えばジアセチルセルロース(DAC)やセルロースアセテートプロピオネート(CAP)を用いることができる。
薄膜ガラス31と、λ/4位相差層33を接着する接着層32は、反応性金属化合物(無機系の化合物)と水酸基含有高分子化合物(有機系の化合物)との共縮合物を含む、有機−無機ハイブリッド型の接着層(HB糊)である。反応性金属化合物と水酸基含有高分子化合物の共縮合物とは、反応性金属化合物から生じた水酸基と水酸基含有高分子化合物中の水酸基が縮合反応した構造を含むことを意味する。反応性金属化合物としては、例えばテトラエトキシシラン(TEOS)やテトラメトキシシラン(TMOS)などのシリコンアルコキシドを用いることができる。また、水酸基含有高分子化合物としては、例えばジアセチルセルロース(DAC)やセルロースアセテートプロピオネート(CAP)を用いることができる。なお、反応性金属化合物および水酸基含有高分子化合物の詳細については後述する。
反応性金属化合物に含まれる金属成分は、共有結合などの化学結合により、ガラスの材料成分と強固に結びつきやすい。また、水酸基含有高分子化合物は水酸基を含んでいるため、樹脂との親和性が高く、接着性を向上させることができる。したがって、上記の有機−無機ハイブリッド型の接着層32を用いることにより、この接着層32を介して薄膜ガラス31とλ/4位相差層33との密着性を向上させることができる。これにより、耐久試験時の環境変動(温度変化、湿度変化)によるλ/4位相差層33の寸法変化(樹脂の伸縮)を抑えることができ、λ/4位相差層33の遅相軸の方向が所定の方向からずれるのを抑えることができる。その結果、λ/4位相差層33によって透過光に付与される位相差にムラが生じるのを抑えることができる。また、一般的に、有機系の化合物と無機系の化合物とは相溶性に乏しいが、これらの縮合物を構成することで、単層構造で双方の特性を有する接着層32を容易に実現することができる。
樹脂層35は、ガラス積層体3の強度をさらに向上させる目的で、薄膜ガラス31に対してλ/4位相差層33とは反対側に、接着層34を介して積層されている。つまり、樹脂層35を設けることにより、薄膜ガラス31は両側から樹脂層(λ/4位相差層33、樹脂層35)で挟まれるため、薄膜ガラス31の片面にのみ樹脂層(λ/4位相差層33)を設ける構成に比べて、ガラス積層体3全体の強度をさらに向上させることができる。この結果、ガラス積層体3のハンドリング性が良好となり、取り扱い時に破損しにくくなる。
ここで、上記した有機EL素子2の発光層23が例えば白色を発光するように構成されている場合、カラー表示に対応するためには、R(赤)・G(緑)・B(青)のカラーフィルタが必要となる。この場合、例えばラテント顔料をインクとして用い、インクジェット方式によってガラス積層体3の樹脂層35側にカラーフィルタを形成する手法がある。この方式では、ラテント顔料の定着のために加熱が必要となる。そこで、この加熱に対する耐熱性の観点から、樹脂層35としては、トリアセチルセルロース(TAC)など、耐熱性を有するセルロース系樹脂を用いることが望ましい。
なお、発光層23がRGBのそれぞれ光を発光するように構成されている場合、樹脂層35には上記したカラーフィルタ形成時の耐熱性は不要であるため、樹脂層35をセルロース系樹脂以外の樹脂(例えばポリカーボネート樹脂)で構成することができる。
また、偏光板4を持たない有機EL表示装置の場合、ガラス積層体3はλ/4位相差層33の代わりに位相差機能を持たない樹脂層35を用いることができる。樹脂層35は、λ/4位相差層33と同様に、セルロース系樹脂(セルロース誘導体)やポリカーボネート樹脂(PC)を含んで構成されるが、耐久試験時の耐熱性の観点からは、耐熱性を有するセルロース系樹脂(セルロース誘導体)を含んでいることが望ましい。このようなセルロース系樹脂としては、例えばジアセチルセルロース(DAC)やセルロースアセテートプロピオネート(CAP)を用いることができる。
薄膜ガラス31と樹脂層35を接着する接着層34は、薄膜ガラス31と樹脂層35とを接着できるものあれば、どのような材料で構成されてもよく、公知のアクリル系の粘着剤(例えばPSA;Pressure Sensitive Adhesive 、感圧接着剤)や熱硬化性のエポキシ樹脂を用いて構成することが可能であるが、本実施形態では、接着層32と同様の有機−無機ハイブリッド型の接着層で構成されている。
上記したように、反応性金属化合物に含まれる金属成分はガラスの材料成分と強固に結びつきやすく、水酸基含有高分子化合物は樹脂との親和性が高いため、薄膜ガラス31と樹脂層35との接着層34として、接着層32と同様の有機−無機ハイブリッド型の接着層を用いることにより、薄膜ガラス31と樹脂層35との密着性を向上させることができる。これにより、使用時の有機EL素子2からの熱によって樹脂層35が劣化して、その光学特性(例えば位相差(リタデーション))が変動するのを抑えることができる。
また、上記の水酸基含有高分子化合物は、総アシル基置換度が1.0〜2.6のセルロースエステル(例えばDACやCAP)であることが望ましい。このようなセルロースエステルは、水酸基を含有し、樹脂からなるλ/4位相差層33または樹脂層35との親和性が向上するため、薄膜ガラス31とλ/4位相差層33との接着性、または薄膜ガラス31と樹脂層35との接着性を向上させる材料として非常に有効である。
ここで、接着層32、34として用いられるHB糊は、アルコキシ基の加水分解やアルコキシ基と水酸基の縮合反応が起こった場合、接着層中にアルコールが発生する。このとき、λ/4位相差層33や樹脂層35の透湿性が低いと、接着層32、34中に多量のアルコールが残存する。その状態でヒートショック試験にかけると加熱されたアルコールにより逆反応が生じ、縮合が解けて接着力が低下し、薄膜ガラス31とλ/4位相差層33又は樹脂層35とが剥離する。そこで、λ/4位相差層33や樹脂層35に高透湿性フィルムを用いることで、HB糊から発生するアルコールを速やかに逃がすことができ、逆反応が生じず、ヒートショック試験後も接着力を維持できると推測している。
そこで、λ/4位相差層33及び樹脂層35としては、JIS Z 0208に準拠して測定される40℃、90%RHにおける透湿度が、1000g/m・24hr以上である高透湿性フィルムを用いる。この透湿度を導いた試験結果は後述する。
また、λ/4位相差層33及び樹脂層35は、薄膜ガラス31を補強する観点から、その膜厚は5μm以上であることが望ましい。
上記したガラス積層体3の構成によれば、ヒートショック試験耐性を有するので、ガラス積層体3を有機EL素子2上に備えた有機EL表示装置1においては、様々な用途で利用され、多様な環境に置かれた場合でも、長期間に亘って問題なく使用することができる。また、ガラス積層体3のハンドリング性が良好であるので、生産性が良い。
〔液晶表示装置の構成〕
図4は、本実施形態の液晶表示装置51の概略の構成を示す断面図である。上記したガラス積層体3は、液晶表示装置51にも適用することができる。
液晶表示装置51は、液晶パネル52と、液晶パネル52を照明するバックライト53とを有している。液晶パネル52は、2枚の基板61・62で液晶層63を挟持して構成されている。液晶層63は、2枚の基板61・62間でシール材64によってシールされている。また、基板61・62の外側(液晶層63とは反対側)には、偏光板(図示せず)がクロスニコル状態で配置されている。
2枚の基板61・62は、それぞれ上記のガラス積層体3で構成されている。このとき、使用時に発生する熱(例えば液晶セルの電極で発生する熱)によるλ/4位相差層33の寸法変化を抑えるため、ガラス積層体3は、λ/4位相差層33が薄膜ガラス31に対して液晶層63とは反対側に位置するように配置される。また、基板61・62においては、λ/4位相差層33の遅相軸は互いに垂直となるようにし、外側の2枚の偏光板の透過軸も互いに垂直となるようにする。
基板62の液晶層63側には、各画素に対応する画素電極と、各画素における表示のON/OFFを制御するためのスイッチング素子であるTFT(Thin Film Transistor)と、TFTと接続される各種配線(走査線、信号線を含む)と、液晶分子を配向させるための配向膜とが形成されている。基板61の液晶層63側には、共通電極と、カラー表示を行うためのカラーフィルタと、配向膜とが形成されている。
上記の構成において、バックライト53から出射された光のうち、基板62の外側の偏光板を透過した光(直線偏光)は、基板62を介して液晶層63に入射し、液晶層63の厚み方向に伝播しながら、液晶のもつ屈折率異方性(複屈折)に応じてその偏光状態が変化する。液晶層63を介して基板61に入射した光のうち、特定方向の偏光成分の光だけが基板61の外側の偏光板を通過し、表示光として視認側に出射される。したがって、TFTのON/OFF制御により、画素ごとに液晶層63に印加する電圧を変化させて液晶分子の配向を変化させることにより、映像を表示することができる。
また、液晶層63を挟むように、λ/4位相差層33を位置させることで、液晶のディスクリネーション部分(液晶の配向が不連続となる部位)が存在することによる輝度低下を改善することができるが、ガラス積層体3を用いることで、耐久試験時の環境変動による位相差ムラの発生を抑えることができるので、環境変動に関係なく上記した輝度低下の改善を画面全体で均一に図ることができる。
なお、このような効果は、2枚の基板61・62の一方のみがガラス積層体3で構成されていても(他方の基板がPSAなどの従来の接着剤によってλ/4位相差層とガラスとを接着したものであっても)得ることができるが、両方の基板61・62をガラス積層体3で構成することで、その効果を最大限得ることができる。
上記のようにガラス積層体3を液晶表示装置51に適用する場合においても、ガラス積層体3のλ/4位相差層33は、TACなどの耐熱性を有するセルロース系樹脂で構成されることが望ましい。これは、ラテント顔料を用いてインクジェット方式によってカラーフィルタを基板61(ガラス積層体3)上に形成する場合には、ラテント顔料の定着時の加熱に対する耐熱性が必要となるからである。
なお、TFTが形成される基板62側にカラーフィルタを形成した、いわゆるCOA(Color filter On Array)方式の液晶表示装置においては、基板61として用いられるガラス積層体3のλ/4位相差層33には、カラーフィルタ形成時の耐熱性は不要であるため、λ/4位相差層33をセルロース系樹脂以外の樹脂で構成することができる。
本実施形態のガラス積層体3は、TN(Twisted Nematic)、IPS(In-Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertical Alignment)、HAN(Hybrid Aligned Nematic)といった様々な表示モードの液晶表示装置のセル基板として用いることができる。
中でも、IPS方式は、TN方式やVA方式に比べて視野角性能に優れているという特徴があるため、本実施形態のガラス積層体3(樹脂層35付き)をIPS方式のセル基板として用いる場合は、樹脂層35における位相差はほとんどゼロであることが望ましい(位相差がゼロに近いほうが視認性を向上させることができる)。このことから、樹脂層35の面内位相差Roは0〜5nmであり、厚み方向の位相差Rtは−10〜10nmであることが望ましい。
また、上記のようにガラス積層体3を液晶表示装置51に適用する場合においても、液晶表示装置51はモバイル用途、車載用途、デジタルサイネージ用途など様々な用途で利用されるため、多様な環境に置かれる可能性がある。したがって、ヒートショック試験耐性が要求される。よって、上記と同様に、λ/4位相差層33及び樹脂層35としては、JIS Z 0208に準拠して測定される40℃、90%RHにおける透湿度が、1000g/m・24hr以上である高透湿性フィルムを用いることとする。これにより、HB糊から発生するアルコールを速やかに逃がすことができ、逆反応が生じず、ヒートショック試験後も接着力を維持できる。
〔各層の詳細について〕
以下、ガラス積層体を構成する各層の詳細について説明する。
(薄膜ガラス)
ガラス積層体を構成する薄膜ガラスとしては、各種成形法によって成形されたものを使用することができる。例えばロールアウト法、リドロー法、ダウンドロー法、フロート法、フュージョン法等によって成形された薄膜ガラスを使用できる。
薄膜ガラスの形状については特に限定はなく、チップカット形状であってもよいが、ロール・トゥ・ロールでの生産の適性の観点から、ロール状であることが好ましい。
薄膜ガラスの平均厚さは、5〜200μmであることが好ましく、5〜100μmであることがより好ましい。厚さが5μm未満では、搬送などの取り扱いが難しく、厚さが200μmを超えると、薄膜の価値が薄れてしまうからである。
薄膜ガラスは、多成分系酸化物ガラスであれば特に限定はない。例えば、無アルカリガラス、硼珪酸ガラス、アルミノシリケートガラス等が薄膜ガラスとして特に好適であり、その中でも無アルカリガラスは最も好ましい。
薄膜ガラスの表面は、適切に洗浄されている事が好ましい。皮脂やほこりなどの有機物が付着していると、接着層との接着性が低下してしまう。洗浄方法は公知のガラス洗浄方法に従うが、例えば、アルカリ洗浄、酸洗浄、洗剤洗浄、溶媒洗浄、液体噴射洗浄、UV洗浄、エキシマー洗浄、プラズマ洗浄、イオン洗浄、スパッター洗浄、加熱洗浄、ドライアイス噴射洗浄等が洗浄方法として好適であり、その中でもアルカリ洗浄、UV洗浄、エキシマー洗浄が好ましい。
また、薄膜ガラスに予め表面処理が施されていてもよい。例えば、TEOSやTMOSなどのシリコンアルコキシドや、シランカップリング剤で処理されていることが好ましい。
(偏光層)
偏光層は、一定方向の偏波面の光だけを通す素子(偏光子)である。偏光層として現在用いられている代表的な素子としては、ポリビニルアルコール系樹脂を用いた偏光子があり、これには、ポリビニルアルコール系樹脂にヨウ素を染色させたものと二色性染料を染色させたものとがある。
偏光子としては、ポリビニルアルコール水溶液をフィルム状に製膜し、これを原反として一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を行ったものを用いることができる。原反の膜厚を薄くすることで、薄膜の偏光子を得ることができる。
また、延伸用フィルム基材上にポリビニルアルコール水溶液を塗布・乾燥した積層体を延伸・染色・架橋することで得られた塗布型の薄膜偏光子を用いることもできる。例えば、特許第4279944号、特開2009−93074号、特許第4691205号、特許第4751481号、特許第4804588号、特許第4804589号、特許第1701555号、特開2011−248293号、の各公報などを参考にして塗布型の薄膜偏光子を得ることができる。
延伸用フィルム基材の上で作製された偏光子をλ/4位相差層上に転写後、延伸用フィルム基材を剥離してもよいし、剥離せずにそのまま保護層として活用してもよい。塗布型の薄膜偏光子は、フィルム原反を用いる偏光子よりも薄膜化が容易であるため、好ましく用いられる。
また、偏光層におけるλ/4位相差層との接着側とは反対側の面には、別途保護層を形成してもよい。保護層を粘着剤、水糊、紫外線(UV)硬化型接着剤などの接着剤を使用して偏光層に貼合してもよいし、偏光子の表面にハードコート(HC)などの表面加工を施すことで保護層を形成してもよい。
偏光層の厚さは、2〜10μmであることが好ましい。厚さが2μm未満では、ガラス強度が不足し、厚さが10μmを超えると薄型化の意味が薄れる。
(λ/4位相差層)
λ/4位相差層は、所定の光の波長(通常、可視光領域)に対して、フィルムの面内位相差が約1/4となるフィルムをいう。λ/4位相差層は、可視光の波長の範囲においてほぼ完全な円偏光を得るため、可視光の波長の範囲において概ね波長の1/4の位相差を有する広帯域λ/4位相差フィルムであることが好ましい。
本実施形態のλ/4位相差層の面内位相差Roおよび膜厚方向の位相差Rtは、それぞれ以下の式で表される。なお、位相差の値は、たとえばAxometrcs社製のAxoscanを用いて、23℃、55%RHの環境下で、各波長での複屈折率を測定することにより算出することができる。
Ro=(nx−ny)×d
Rt=〔(nx+ny)/2−nz〕×d
ただし、式中、nx、ny、nzは、それぞれ23℃、55%RHの環境下で測定した、550nmにおける屈折率であり、nxはフィルムの面内の最大の屈折率(遅相軸方向の屈折率)であり、nyはフィルム面内で遅相軸に直交する方向の屈折率であり、nzはフィルム面内に垂直な厚さ方向の屈折率であり、dはフィルムの厚さ(nm)である。
λ/4位相差層の面内位相差Roは、115〜160nmであればよく、好ましくは120〜160nmであり、より好ましくは130〜150nmである。Roが115〜160nmの範囲を超える場合、波長550nmにおける位相差が概ね1/4波長とならず、このようなフィルムを用いて長尺円偏光板を作製して例えば有機ELディスプレイに適用した場合に、室内照明の映り込みなどが激しく、明所では黒色が表現できなくなる傾向がある。
λ/4位相差層の膜厚方向の位相差Rtは、60〜200nmの範囲内であることが好ましく、70〜150nmの範囲内であることがより好ましく、70〜100nmの範囲内であることがさらに好ましい。Rtが60〜200nmの範囲を超える場合、大画面で斜めから見たときの色相が劣化してしまう傾向がある。
λ/4位相差層としては、光学的に透明な樹脂であれば特に限定はなく、例えば、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、セルロース系樹脂などを用いることができる。
中でも、λ/4位相差層としては、耐久試験時の耐熱性を考慮して、セルロース系樹脂を用いることが好ましい。
また、λ/4位相差層は、ヒートショック試験耐性を考慮して、JIS Z 0208に準拠して測定される40℃、90%RHにおける透湿度が、1000g/m・24hr以上であるものとする。
(樹脂層)
薄膜ガラスに対してλ/4位相差層とは反対側に、接着層を介して樹脂層が形成されていることが、ガラスの強度向上の点から好ましい。樹脂層としては、光学的に透明な樹脂であれば特に限定はなく、例えば、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、セルロース系樹脂(セルロース誘導体)などを用いることができる。
中でも、樹脂層としては、カラーフィルタ形成時の耐熱性を考慮して、セルロース系樹脂を用いることが好ましい。
樹脂層は、面内方向位相差(リタデーション)Roと厚み方向位相差(リタデーション)Rtが両方とも小さいことが好ましく、さらに好ましくは、Roが0〜5nmの範囲であり、かつ、Rtが−10〜10nmの範囲である。
また、上記のRoおよびRtは、以下の方法によっても求めることができる。
1)得られた樹脂層を、23℃55%RHで調湿する。調湿後の樹脂層の平均屈折率を、アッベ屈折計にて測定する。
2)調湿後の樹脂層に、樹脂層法線方向から測定波長590nmの光を入射させたときのRoを、KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)にて測定する。
3)KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)により、樹脂層法線方向に対してθの角度(入射角(θ))から測定波長590nmの光を入射させたときのリタデーション値R(θ)を測定する。θは、好ましくは30°〜50°としうる。
4)測定されたRoおよびR(θ)と、前述の平均屈折率と膜厚とから、KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)により、nx、nyおよびnzを算出して、測定波長590nmでのRtを算出する。リタデーションの測定は、23℃55%RH条件下で例えば12時間程度調質処理を行った後に行うことができる。
樹脂層は、予めフィルム状に形成したものを準備し、接着層を介してガラスに接着してもよいし、ガラス上に接着層を形成した上に、樹脂層を直接塗布や流延することによって形成してもよい。
また、樹脂層は、ヒートショック試験耐性を考慮して、JIS Z 0208に準拠して測定される40℃、90%RHにおける透湿度が、1000g/m・24hr以上であるものとする。
また、樹脂層は、薄膜ガラスを補強する観点から、その膜厚は5μm以上であることが望ましい。
<セルロース系樹脂(セルロース誘導体)>
本実施形態で用いるセルロース系樹脂(セルロース誘導体)としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、シアノエチルセルロースなどのセルロースエーテル類と、トリアセチルセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース(DAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、硝酸セルロース等のセルロースエステル類が挙げられるが、好ましくはセルロースエステル類である。あるいは、特開2002−179701号公報の段落番号[0010]〜[0027]記載の芳香族カルボン酸エステルが用いられ、特に特開2002−17979号公報の段落番号[0028]〜[0036]のセルロースアシレートが好ましく用いられる。
セルロース系樹脂の原料のセルロースとしては、特に限定はないが、綿花リンター、木材パルプ、ケナフなどを挙げることができる。また、これらから得られたセルロース系樹脂は、それぞれを単独あるいは任意の割合で混合使用することができるが、綿花リンターを50質量%以上使用することが好ましい。
セルロースエステルの分子量が大きいと弾性率が大きくなるが、分子量を上げ過ぎるとセルロースエステルの溶解液の粘度が高くなり過ぎるため生産性が低下する。セルロースエステルの分子量は数平均分子量で70000〜200000のものが好ましく、100000〜200000のものが更に好ましい。本実施形態で用いるセルロースエステルは、重量平均分子量をMwとし、数平均分子量をMnとして、Mw/Mn比が1.4〜3.0であることが好ましく、更に好ましくは1.4〜2.3である。
セルロースエステルの平均分子量及び分子量分布は、高速液体クロマトグラフィーを用いて測定することができるので、これを用いて数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)を算出し、その比を計算することができる。なお、測定条件は以下の通りである。
溶媒: メチレンクロライド
カラム: Shodex K806,K805,K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1,000,000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いることが好ましい。
セルロースエステルの総アシル基置換度は1.0〜2.9のものが好ましく用いられ、更に好ましくは1.5〜2.9である。総アシル基置換度はASTM−D817−96に準じて測定することができる。
〈添加剤〉
本実施形態のλ/4位相差層及び樹脂層に用いる樹脂フィルムには、フィルムに加工性・柔軟性・防湿性を付与する可塑剤、紫外線吸収機能を付与する紫外線吸収剤、フィルムに滑り性を付与する微粒子(マット剤)、フィルムの劣化を防止する酸化防止剤、フィルムのリタデーションを調整するリタデーション調整剤等を含有させてもよい。
《可塑剤》
用いられる可塑剤しては特に限定はないが、フィルムにヘイズを発生させたり、フィルムからブリードアウトや揮発が生じないように、接着層と相互作用可能である官能基を有していることが好ましい。
このような官能基としては、水酸基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、カルボン酸残基、アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、シアノ基、ニトロ基、スルホニル基、スルホン酸残基、ホスホニル基、ホスホン酸残基等が挙げられるが、好ましくはカルボニル基、エステル基、ホスホニル基である。
このような可塑剤の例として、リン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸系可塑剤、多価アルコールエステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤、カルボン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤などを好ましく用いることができる。特に好ましくは、多価アルコールエステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤等の非リン酸エステル系可塑剤である。
多価アルコールエステルは、2価以上の脂肪族多価アルコールとモノカルボン酸のエステルよりなり、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有することが好ましい。
《紫外線吸収剤》
本実施形態のλ/4位相差層及び樹脂層に用いる樹脂フィルムには、液晶の劣化防止の観点から、紫外線吸収剤を含有させることが望ましい。なお、樹脂フィルム上に紫外線吸収機能を持つ層を形成してもよい。
紫外線吸収機能のある紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。好ましく用いられる紫外線吸収剤の具体例としては、例えばトリアジン系化合物、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられるが、これらに限定されない。また、特開平6−148430号公報に記載の高分子紫外線吸収剤も好ましく用いられる。
《マット剤》
本実施形態のλ/4位相差層及び樹脂層に用いる樹脂フィルムには、滑り性を付与するためにマット剤等の微粒子を添加することができる。微粒子としては、無機化合物の微粒子または有機化合物の微粒子が挙げられる。
無機化合物の例としては、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化錫等の微粒子が挙げられる。この中では、ケイ素原子を含有する化合物であることが好ましく、特に二酸化ケイ素微粒子が好ましい。二酸化ケイ素微粒子としては、例えばアエロジル(株)製のAEROSIL 200、200V、300、R972、R972V、R974、R202、R812、R805、OX50、TT600などが挙げられる。
有機化合物の例としては、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素化合物樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。
《酸化防止剤》
酸化防止剤は、劣化防止剤ともいわれる。高湿高温の状態に液晶表示装置が置かれた場合には、光学フィルムの劣化が起こる場合がある。酸化防止剤は、例えば、光学フィルム中の残留溶媒量のハロゲンやリン酸系可塑剤のリン酸等により光学フィルムが分解するのを遅らせたり、防いだりする役割を有するので、光学フィルム中に含有させるのが好ましい。
このような酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の化合物が好ましく用いられ、特に、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。また、例えば、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン等のヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等のリン系加工安定剤を併用してもよい。
(接着層)
接着層としては、無機系の反応性金属化合物と有機系の水酸基含有高分子化合物との共縮合物が用いられる。接着層中に、薄膜ガラスと共有結合可能な金属性水酸基と、λ/4位相差層、樹脂層中の有機成分と相溶性・親和性の高い有機系水酸基含有高分子化合物を含有することで、薄膜ガラスとλ/4位相差層、薄膜ガラスと樹脂層、との接着が可能となる。縮合反応は、一般的に知られている方法を用いることができ、触媒添加による加水分解縮合でもよく、加熱による脱水縮合でもよい。
<加水分解触媒>
無機化合物である加水分解重縮合可能な反応性金属化合物は、加水分解触媒として塩酸・酢酸・クエン酸などの酸を用いることも可能であるが、固体触媒を用いることが好ましい。更に水と必要に応じて他の触媒を加えて加水分解を起こさせて縮合反応を促進してよい。加水分解は、加水分解可能な基が全て加水分解される完全加水分解であってもよいが、特に好ましくは、一部のみが加水分解される部分加水分解である。
加水分解のために添加する水は、反応性金属化合物1モルに対し0.5〜10モルの範囲で用い、前記固体触媒で加水分解することが好ましい。加水分解に使用する水の量が少ないと、アルコキシ基の加水分解が不十分となり、わずかしか水酸基が生成しないといった問題が生じる。好ましくは、使用する水の量は、反応性金属化合物1モルに対し0.5〜4モルである。
また、水としてイオン交換水を用いることも好ましい。イオン交換水は、上記反応性金属化合物の加水分解を行うために好ましく、電気伝導度が1010MΩ以上であるイオン交換水を用いることが好ましい。この電気伝導度よりも低い場合、イオン交換樹脂と加水分解水に含まれているイオンがイオン交換を起こし、加水分解水のpHが大きく変動し、せっかく生成した加水分解重縮合物が安定に存在し得ず、好ましくない。なお、イオン交換水の電気伝導度は1012MΩ以上であることがより好ましく、さらに好ましくは1015MΩ以上である。
また、疎水的な加水分解重縮合可能な反応性金属化合物に水を添加する場合には、加水分解重縮合可能な反応性金属化合物と水が混和し易いように、メタノール、エタノール、アセトニトリルのような親水性の有機溶媒も添加されていることが好ましい。また、水酸基含有高分子化合物(例えばセルロース誘導体)と加水分解重縮合可能な反応性金属化合物とを混合する際に、セルロース誘導体が析出しないよう、セルロース誘導体の良溶媒も添加されていることが好ましい。なお、良溶媒とは、セルロース誘導体に対して良好な溶解性を有する有機溶媒を言う。
加水分解触媒としての固体触媒は、特に限定されるものではなく、以下に挙げるものを使用することができる。
(1)陽イオン交換樹脂:
アンバーライト15、アンバーライト200C、アンバーリスト15(以上、ローム・アンド・ハース社製);ダウエックスMWC−1−H、ダウエックス88、ダウエックスHCR−W2(以上、ダウ・ケミカル社製);レバチットSPC−108、レバチットSPC−118(以上、バイエル社製);ダイヤイオンRCP−150H(三菱化成社製);スミカイオンKC−470、デュオライトC26−C、デュオライトC−433、デュオライト−464(以上、住友化学工業社製);ナフィオン−H(デュポン社製)など。
(2)陰イオン交換樹脂:
アンバーライトIRA−400、アンバーライトIRA−45(以上、ローム・アンド・ハース社製)など。
(3)プロトン酸基を含有する基が表面に結合されている無機固体:
Zr(OPCHCHSOH)、Th(OPCHCHCOOH)など。
(4)プロトン酸基を含有するポリオルガノシロキサン:
スルホン酸基を有するポリオルガノシロキサンなど。
(5)ヘテロポリ酸:
コバルトタングステン酸、リンモリブデン酸など。
(6)イソポリ酸:
ニオブ酸、タンタル酸、モリブデン酸など。
(7)単元系金属酸化物:
アルミナ、クロミア、ジルコニア、CaO、MgOなど。
(8)複合系金属酸化物:
シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、シリカ−ジルコニア、ゼオライト類など。
(9)粘土鉱物:
酸性白土、活性白土、モンモリロナイト、カオリナイトなど。
(10)金属硫酸塩:
LiSO、MgSOなど。
(11)金属リン酸塩:
リン酸ジルコニア、リン酸ランタンなど。
(12)金属硝酸塩:
LiNO、Mn(NOなど。
(13)アミノ基を含有する基が表面に結合されている無機固体:
シリカゲル上にアミノプロピルトリエトキシシランを反応させて得られた固体など。
(14)アミノ基を含有するポリオルガノシロキサン:
アミノ変性シリコーン樹脂など。
これらの中で、本実施形態では、特に陽イオン交換樹脂が好ましい。陽イオン交換樹脂の種類としては、まず、骨格はポリスチレン又はジビニルベンゼンの懸濁重合高分子体が好ましい。イオン交換樹脂のタイプは、ゲル型とマクロポーラス型に分かれるが、ゲル型樹脂は空孔を有さず、反応に関与する物質が樹脂内部に進入しにくく、活性点が有効に利用され難い。マクロポーラス型樹脂は大きな空孔を有しており、反応に関与する物質が容易に活性点に到達することができ、活性点が有効に利用される。このため、本実施形態で用いる陽イオン交換樹脂としては、空孔体積が水銀注入法による測定で0.1ml/g以上を示すマクロポーラスであることが好ましい。また、樹脂についている酸性基としてはスルホン基、アクリル基等で、H型であることが好ましく、スルホン基がより好ましい。これらを満たすイオン交換樹脂の例としては、アンバーリスト15(ローム・アンド・ハーズ社製)、ダイアイオンPK−208H,PK−216H,PK−228H(以上三菱化成製)、ビュロライトCT−175,CT−171,CT−169(以上ビュロライト社製)等を例示することができる。これらの中で、特にビュロライトCT−175(ビュロライト社製)が好ましい。
本実施形態おいては、上記イオン交換樹脂の添加後、撹拌し、上記反応性金属化合物を加水分解させて加水分解物またはその縮合物を得るものであるが、この場合、撹拌時間(反応時間)は3分以上、特に5分以上とすることが好ましい。また、反応温度は0℃以上とすることが好ましい。しかし、反応時間は長過ぎると縮合物の分子量が大きく成り過ぎヘイズ上昇の可能性があるため、3時間以内の反応時間が好ましい。また、反応温度が高い場合においても、同様であり、反応温度としては0〜50℃での実施が好ましい。
本実施形態で用いる陽イオン交換樹脂の粒径としては、特に制限はないが、平均粒径が10〜2000μmの範囲が好ましい。平均粒径が10μm未満の場合は、処理後の樹脂分離の際濾過性や液切れが劣化することがあり、また平均粒径が2000μmを超えると、質量当たりの表面積が低下し、加水分解効率が低いという問題がある。粒径は揃っていたほうが好ましいが、欠けたり割れたりした粒子が一部混入していてもよい。
また、イオン交換樹脂のイオン交換容量は、0.1ミリ等量/ml以上が好ましい。0.1ミリ等量/ml未満では、加水分解効率が低下し、生産性の低下を来たすことがある。
本実施形態において、固体触媒であるイオン交換樹脂の添加量は、加水分解重縮合可能な反応性金属化合物に対して、0.00001〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは0.001〜20質量%である。イオン交換樹脂の量が多過ぎると、縮合が優先的に進行してしまい、縮合物の分子量が大きく成り過ぎる。また、イオン交換樹脂の量が少な過ぎると、加水分解に必要な十分な活性が得られず、加水分解物またはその縮合物を十分得ることができない。
本実施形態における固体触媒を用いた加水分解の方法は、予め水とアルコールを混合しておき、ここに反応性金属化合物を添加混合した後、固体触媒を添加して攪拌して加水分解を進めることが好ましい。また、予め水とアルコールを混合し、ここに固体触媒を添加した後、更にここに反応性金属化合物を攪拌しながら添加して加水分解を進めることも好ましい。
<反応性金属化合物>
本実施形態において、金属とは、「周期表の化学」岩波書店 斎藤一夫著 p.71記載の金属、すなわち、半金属性原子を含む金属である。
本実施形態で用いられる加水分解重縮合が可能な反応性金属化合物としては、例えば金属アルコキシド、金属ジケトネート、金属アルキルアセトアセテート、金属イソシアネート、反応性の金属ハロゲン化物が挙げられる。好ましくは、金属種が、Si、Ti、ZrまたはAlのアルコキシドであり、特に好ましくは、Siのアルコキシドである。
このような加水分解重縮合可能な反応性金属化合物は、中心金属をM、その原子数をq、加水分解されない置換基をA、その置換基数をp、加水分解可能な置換基をB、その置換基数をrとすると、理想的には下記の式(1)のように反応が完結し、金属酸化物が得られる。
式(1) A → Ar/2
加水分解重縮合可能な反応性金属化合物としては、式(1)で示されているAにおいて、p=0であるような、全てが加水分解可能な置換基で置換されていることが好ましいが、基材フィルムの透湿度を低減する観点から、加水分解されない置換基によって該金属1原子当たり1つまたは2つ、或いは3つ置換されている化合物が含まれていても良い。このような加水分解されない置換基を有する金属化合物の添加量としては、添加される金属化合物の50モル%以下が好ましい。また、上記添加量の範囲で2種以上の異なる種類の金属アルコキシドを併用しても良い。
このような加水分解されない置換基としては、置換または無置換のアルキル基、または置換または無置換のアリール基が好ましく、該アルキル基またはアリール基の置換基としては、アルキル基(例えばメチル基、エチル基等)、シクロアルキル基(例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アラルキル基(例えばベンジル基、2−フェネチル基等)、アリール基(例えばフェニル基、ナフチル基等)、複素環基(例えばフラン、チオフェン、ピリジン等)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基等)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ基等)、アシル基、ハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、アルキルチオ基、グリシジル基、ビニル基、フッ素原子含有アルキル基またはフッ素原子含有アリール基等が挙げられる。
本実施形態で用いられる重縮合が可能な反応性金属化合物としては、ケイ素化合物として、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン、テトラキス(メトキシエトキシ)シラン、テトラキス(メトキシプロポキシ)シラン、テトラクロロシラン、テトライソシアナートシラン等が挙げられる。
また、加水分解されない置換基を有するケイ素化合物として、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジイソプロポキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジイソプロポキシシラン、ジエチルジブトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジイソプロポキシシラン、ジフェニルジブトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、ジクロロジメチルシラン、ジクロロジエチルシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリブトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、(3−アクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、アセトキシトリエトキシシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリメトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリエトキシシラン、ペンタフルオロフェニルプロピルトリメトキシシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリクロロシラン、ペンタフルオロフェニルプロピルトリクロロシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリクロロシラン、メチルトリイソシアナートシラン、フェニルトリイソシアナートシラン、ビニルトリイソシアナートシラン等が挙げられる。また、これらの化合物が部分的に縮合した、多摩化学製シリケート40、シリケート45、シリケート48、Mシリケート51のような、数量体のケイ素化合物でもよい。
また、チタン化合物としては、チタンメトキシド、チタンエトキシド、チタンイソプロポキシド、チタン−n−ブトキシド、テトラクロロチタン、チタンジイソプロポキシド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタンジイソプロポキシド(ビス−2,4−エチルアセトアセテート)、チタンジ−n−ブトキシド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタンアセチルアセトネート、チタンラクテート、チタントリエタノールアミネート、ブチルチタネートダイマー等が挙げられる。
また、ジルコニウム化合物としては、ジルコニウム−n−プロポキシド、ジルコニウム−n−ブトキシド、ジルコニウムトリ−n−ブトキシドアセチルアセトネート、ジルコニウムジ−n−ブトキシドビスアセチルアセトネート、ジルコニウムアセチルアセトネート、ジルコニウムアセテート、等が挙げられる。
また、アルミニウム化合物としては、アルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウム−n−ブトキシド、アルミニウム−s−ブトキシド、アルミニウム−ジ−s−ブトキシドエチルアセチルアセトナート、アルミニウム−t−ブトキシド、アルマトラン、アルミニウムフェノキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、アルミニウムエチルアセチルアセトナート等が挙げられる。
また、その他の金属からなる化合物としては、例えば、バリウムイソプロポキシド、カルシウムエトキシド、銅エトキシド、マグネシウムエトキシド、マンガンメトキシド、ストロンチウムイソプロポキシド、錫エトキシド、亜鉛メトキシエトキシド、トリメトキシボラン、トリエトキシボラン、アンチモンエトキシド、ヒ素トリエトキシド、ビスマスt−ペントキシド、クロムイソプロポキシド、エルビウムメトキシエトキシド、ガリウムエトキシド、インジウムメトキシエトキシド、鉄エトキシド、ランタンイソプロポキシド、ネオジウムメトキシエトキシド、プラセオジムメトキシエトキシド、サマリウムイソプロポキシド、バナジウムトリイソブトキシドオキシド、イットリウムイソプロポキシド、テトラメトキシゲルマン、テトラエトキシゲルマン、テトライソプロポキシゲルマン、テトラ−n−ブトキシゲルマン、セリウム−t−ブトキシド、ハフニウムエトキシド、ハフニウム−n−ブトキシド、テルルエトキシド、モリブデンエトキシド、ニオブエトキシド、ニオブ−n−ブトキシド、タンタルメトキシド、タンタルエトキシド、タンタル−n−ブトキシド、タングステン(V)エトキシド、タングステン(VI)エトキシド、タングステン(VI)フェノキシド等が挙げられる。
また、本実施形態で用いられる重縮合が可能な反応性金属化合物としては、分子種内に2つの金属原子を持つダブル金属アルコキシドと呼ばれる化合物でも良い。このようなダブル金属アルコキシドとしては、例えば、ゲレスト社製のアルミニウム銅アルコキシド、アルミニウムチタンアルコキシド、アルミニウムイットリウムアルコキシド、アルミニウムジルコニウムアルコキシド、バリウムチタンアルコキシド、バリウムイットリウムアルコキシド、バリウムジルコニウムアルコキシド、インジウム錫アルコキシド、リチウムニッケルアルコキシド、リチウムニオブアルコキシド、リチウムタンタルアルコキシド、マグネシウムアルミニウムアルコキシド、マグネシウムチタンアルコキシド、マグネシウムジルコニウムアルコキシド、ストロンチウムチタンアルコキシド、ストロンチウムジルコニウムアルコキシド等が挙げられるが、少なくとも、ケイ素、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウムのいずれかの金属が含まれているものが好ましい。
<水酸基含有高分子化合物>
水酸基含有高分子化合物は、分子内に水酸基を含有していればよく、例えば、ポリビニルアルコール等の合成高分子や、デンプン、セルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウムなどの多糖類とそれらの誘導体などが挙げられる。これらの水酸基含有高分子化合物は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
合成高分子には、例えば、水酸基を有するビニル系、ポリスチレン系、ポリアクリル系、ポリウレタン系、アルキド系、メラミン系、尿素系、フェノール系、ポリエステル系、ポリグリセリン系高分子化合物、また多分岐形状を有する水酸基を有する高分子化合物を用いることができる。また、水酸基を有する高分子は、水酸基をもつ単量体を導入した重合体であってもよい。この場合、高分子の有する水酸基の量や導入位置が調整可能となる。
水酸基を有する単量体としては、3−ビニルフェノール、ヒドロキシメチルスチレン、4−ビニルベンジル−4−ヒドロキシブチルエーテル、4−(ヒドロキシメチルシリルフェニル)スチレン、などの水酸基を有するスチレン類や、ヒドロキシエチルメタクリレートなどの水酸基を有するアクリル樹脂や、N−(4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェノキシカルボニル)メタクリルアミドなどの水酸基を有するアクリルアミド樹脂などが使用でき、好ましくはビニル系モノマーである。これらの水酸基を有する単量体は、2種類以上を混合して用いてもよい。
多糖類としては、デンプン、ヒドロキシメチルデンプン、ヒドロキシエチルデンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、グリコーゲン、イヌリン、リケニン、セルロース、ヘミセルロース、アミロペクチン、ヘパリン、ヘパリチン硫酸、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ケラト硫酸、キチン、キトサン、寒天、カラギーナン、アルギン酸、ファーセレラン、ローカストビーンガム、ガラクトマンナン、グアガム、サイリュウガム、タマリンドガム、アラビアガム、トラガカントガム、カラヤガム、ペクチン、アラビノガラクタン、キサンタンガム、ジェランガム、プルラン、デキストラン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、及びこれらのカチオン化物等が挙げられる。
本実施形態で用いられる水酸基含有高分子化合物としては、セルロース誘導体が好ましく用いられ、中でもジアセチルセルロース(DAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、硝酸セルロース等のセルロースエステル類が好ましい。更に好ましくは、アシル基置換度が0.5〜2.9であり、より好ましくは、アシル基置換度が1.0〜2.6である。
〔実施例〕
以下、本発明の具体例を実施例として説明する。また、本発明との比較のため、比較例についても併せて説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下での説明において、「部」あるいは「%」の表示は、特に断りがない限り、「質量部」あるいは「質量%」を表すものとする。
<フィルムA>
第1又は第2の樹脂層を構成するフィルムAとして、コニカミノルタアドバンストレイヤー(株)製のセルロースエステルフィルムであるKC2UAを用意した。
<フィルムBの製造>
〈二酸化珪素分散希釈液〉
アエロジルR812(日本アエロジル(株)製) 10質量部
エタノール 90質量部
以上をディゾルバーで30分間撹拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行い、二酸化珪素分散液を得た。この二酸化珪素分散液に88質量部のメチレンクロライドを撹拌しながら投入し、ディゾルバーで30分間撹拌混合し、続いて微粒子分散希釈液濾過器(アドバンテック東洋(株):ポリプロピレンワインドカートリッジフィルターTCW−PPS−1N)で濾過し、二酸化珪素分散希釈液を作製した。
〈ドープ液の調製〉
TAC:トリアセチルセルロース(アセチル基置換度2.89、Mw=190000、Ca含有量25ppm) 100質量部
チヌビン928(BASFジャパン(株)製) 2.5質量部
重縮合エステル化合物P2 7.0質量部
重縮合エステル化合物P5 1.6質量部
メチレンクロライド 540質量部
エタノール 35質量部
以上を密閉容器に投入し、加熱・撹拌しながら完全に溶解し、濾過した。これに4質量部の二酸化珪素分散希釈液を撹拌しながら加え、更に30分間撹拌してドープ液を調製した。
〈重縮合エステル化合物P2の合成〉
上記の重縮合エステル化合物P2は以下のようにして合成した。1,2−プロピレングリコール251g、無水フタル酸244g、アジピン酸103g、安息香酸610g、エステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.191gを、温度計、撹拌器、緩急冷却管を備えた2Lの四つ口フラスコに仕込み、窒素気流中230℃になるまで、撹拌しながら徐々に昇温した。そして、重合度を観察しながら脱水縮合反応させた。反応終了後、200℃で未反応の1,2−プロピレングリコールを減圧留去することにより、重縮合エステル化合物P2を得た。酸価0.10、数平均分子量450であった。
〈重縮合エステル化合物P5の合成〉
上記の重縮合エステル化合物P5は以下のようにして合成した。1,2−プロピレングリコール251g、テレフタル酸354g、p−トロイル酸680g、エステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.191gを、温度計、撹拌器、緩急冷却管を備えた2Lの四つ口フラスコに仕込み、窒素気流中230℃になるまで、撹拌しながら徐々に昇温した。そして、重合度を観察しながら脱水縮合反応させた。反応終了後、200℃で未反応の1,2−プロピレングリコールを減圧留去することにより、重縮合エステル化合物P5を得た。酸価0.30、数平均分子量400であった。
〈製膜・延伸・乾燥〉
次に、ベルト流延装置を用い、温度35℃、2m幅でステンレスベルト支持体に均一に上記のセルロースアシレートのドープ液を流延した。ステンレスベルト支持体で、残留溶剤量が100質量%になるまで溶剤を蒸発させ、ステンレスベルト支持体上から剥離した。剥離したフィルムのウェブを50℃で乾燥しながら搬送させ、スリットし、その後、テンターでTD方向(フィルムの搬送方向と直交する方向)に160℃の温度条件下、26%の延伸倍率で延伸した。このときテンターで延伸を始めたときの残留溶剤量は5.0%であった。その後、120℃の乾燥装置内を多数のロールで搬送させながら15分間乾燥させた後、スリットし、フィルム両端に幅15mm、高さ5μmのナーリング加工を施し、巻芯に巻き取り、フィルムBを得た。フィルムの残留溶剤量は0.1%未満であり、膜厚は10μm、幅は2m、巻長さは6000mであった。なお、ステンレスベルト支持体の回転速度とテンターの運転速度から算出されるMD方向(フィルムの搬送方向)の延伸倍率は1.05倍であった。
<フィルムC>
第1又は第2の樹脂層を構成するフィルムCとして、コニカミノルタアドバンストレイヤー(株)製のセルロースエステルフィルムであるKC4UAを用意した。
<フィルムDの製造>
〈ドープ液の調製〉
デルペット80N(MMAとMA(メチルアクリレート)の共重合体アクリル樹脂、旭化成ケミカルズ社製、Mw=100000) 100質量部
メチレンクロライド 300質量部
エタノール 40質量部
以上を密閉されている主溶解釜に投入し、攪拌しながら溶解してドープ液を調製した。
〈製膜・延伸・乾燥〉
上記のドープ液を、ベルト流延装置を用い、温度22℃、2m幅でステンレスベルト支持体に均一に流延した。ステンレスベルト支持体で、残留溶剤量が100%になるまで溶媒を蒸発させ、剥離張力162N/mでステンレスベルト支持体上から剥離した。剥離したアクリル樹脂のウェブを35℃で溶媒を蒸発させ、1.6m幅にスリットし、その後、テンターでTD方向に1.3倍に延伸しながら、135℃の乾燥温度で乾燥させた。このときテンターで延伸を始めたときの残留溶剤量は10%であった。テンターで延伸後、130℃で5分間緩和を行った後、120℃、130℃の乾燥ゾーンを多数のロールで搬送させながら乾燥を終了させ、1.5m幅にスリットし、フィルム両端に幅10mm高さ5μmのナーリング加工を施し、初期張力220N/m、終張力110N/mで内径6インチコアに巻き取り、フィルムDを得た。ステンレスベルト支持体の回転速度とテンターの運転速度から算出されるMD方向の延伸倍率は1.1倍であった。膜厚は20μm、巻数は4000mであった。
<フィルムE>
第1又は第2の樹脂層を構成するフィルムEとして、コニカミノルタアドバンストレイヤー(株)製のセルロースエステルフィルムであるKC4DRを用意した。
<フィルムFの製造>
〈微粒子分散液〉
微粒子(アエロジル R812 日本アエロジル(株)製) 11質量部
エタノール 89質量部
以上をディゾルバーで50分間攪拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行い、微粒子分散液を得た。
〈微粒子添加液〉
メチレンクロライドを入れた溶解タンクに十分攪拌しながら、微粒子分散液をゆっくりと添加した。更に、二次粒子の粒径が所定の大きさとなるようにアトライターにて分散を行った。これを日本精線(株)製のファインメットNFで濾過し、微粒子添加液を調製した。
メチレンクロライド 99質量部
微粒子分散液 5質量部
〈ドープ液の調製〉
メチレンクロライド 340質量部
エタノール 64質量部
セルロースエステル(アセチル基置換度2.45、Mn=60000)
100質量部
糖エステル化合物M 12質量部
微粒子添加液 1質量部
以上を密閉されている主溶解釜に投入し、攪拌しながら溶解してドープ液を調製した。
〈糖エステル化合物Mの合成〉
上記の糖エステル化合物Mは以下のようにして合成した。撹拌装置、還流冷却器、温度計及び窒素ガス導入管を備えた四頭コルベンに、ショ糖34.2g(0.1モル)、無水安息香酸135.6g(0.6モル)、ピリジン284.8g(3.6モル)を仕込み、撹拌下に窒素ガス導入管から窒素ガスをバブリングさせながら昇温し、70℃で5時間エステル化反応を行った。
次に、コルベン内を4×10Pa以下に減圧し、60℃で過剰のピリジンを留去した後に、コルベン内を1.3×10Pa以下に減圧し、120℃まで昇温させ、無水安息香酸、生成した安息香酸の大部分を留去した。そして、次にトルエン1L、0.5質量%の炭酸ナトリウム水溶液300gを添加し、50℃で30分間撹拌後、静置して、トルエン層を分取した。最後に、分取したトルエン層に水100gを添加し、常温で30分間水洗後、トルエン層を分取し、減圧下(4×10Pa以下)、60℃でトルエンを留去させ、化合物A−1、A−2、A−3、A−4及びA−5等の混合物である糖エステル化合物Mを得た。
得られた混合物を高速液体クロマトグラフィー−質量分析(HPLC−MS)で解析したところ、A−1が1.2質量%、A−2が13.2質量%、A−3が14.2質量%、A−4が35.4質量%、A−5等が40.0質量%であった。平均置換度は5.2であった。なお、化合物A−1、A−2、A−3、A−4及びA−5等は、以下の構造式で示されるものである。
Figure 2014171504
〈製膜・延伸・乾燥〉
上記のドープ液を、ベルト流延装置を用い、ステンレスベルト支持体上で、流延(キャスト)したフィルム中の残留溶媒量が75%になるまで溶媒を蒸発させた。次いで、剥離張力130N/mで、ステンレスベルト支持体上から剥離した。剥離したフィルムを、170℃の熱をかけながらテンターを用いてTD方向に35%延伸した。延伸開始時の残留溶媒は15%であった。次に、乾燥ゾーンを多数のロールで搬送させながら乾燥を終了させた。乾燥温度は130℃で、搬送張力は100N/mとした。以上のようにして、乾燥膜厚38μmのフィルムFを得た。
<フィルムA〜Fの評価>
フィルムA〜Fの透湿度をJISZ0208法に基づき、40℃、90%RHの条件でカップ法により、フィルムを透過する水分を塩化カルシウムの質量変化から測定した。表1にフィルムA〜Fの透湿度を示す。
Figure 2014171504
<接着剤Aの製造>
下記の比率で材料を混合し、室温で攪拌した後、濾過によって固体触媒を分離して反応性金属化合物と水酸基含有高分子化合物との共縮合物を含む接着剤Aを調製した。
アセトン 100質量部
テトラエトキシシラン(TEOS) 10質量部
アンバーリスト15(固体触媒) 2質量部
セルロースエステル(DAC、アセチル基置換度2.45) 10質量部
<接着剤Bの製造>
下記の比率で材料を混合し、室温で攪拌した後、濾過によって固体触媒を分離して反応性金属化合物と水酸基含有高分子化合物との共縮合物を含む接着剤Bを調製した。
アセトン 100質量部
テトラメトキシシラン(TMOS) 10質量部
アンバーリスト15(固体触媒) 2質量部
セルロースエステル(DAC、アセチル基置換度2.45) 10質量部
<実施例1>
日本電気硝子(株)製の厚さ50μmの薄膜ガラスを準備し、その片面に接着剤Aを用いてフィルムAを加熱貼合することで実施例1のガラス積層体を得た。
<実施例2>
接着剤Aの代わりに接着剤Bを用いた以外は、実施例1と同様にして実施例2のガラス積層体を得た。
<実施例3>
フィルムAの代わりにフィルムBを用いた以外は、実施例1と同様にして実施例3のガラス積層体を得た。
<実施例4>
フィルムAの代わりにフィルムEを用いた以外は、実施例1と同様にして実施例4のガラス積層体を得た。
<実施例5>
フィルムAの代わりにフィルムFを用いた以外は、実施例1と同様にして実施例5のガラス積層体を得た。
<実施例6>
日本電気硝子(株)製の厚さ50μmの薄膜ガラスを準備し、その両面に接着剤Aを用いてフィルムAを加熱貼合することで実施例6のガラス積層体を得た。
<実施例7>
片面のフィルムAの代わりにフィルムEを用いた以外は、実施例6と同様にして実施例7のガラス積層体を得た。
<実施例8>
片面のフィルムAの代わりにフィルムFを用いた以外は、実施例6と同様にして実施例8のガラス積層体を得た。
<比較例1>
接着剤Aの代わりにアクリル系粘着剤(PSA)を用いた以外は、実施例1と同様にして比較例1のガラス積層体を得た。
<比較例2>
フィルムAの代わりにフィルムCを用いた以外は、実施例1と同様にして比較例2のガラス積層体を得た。
<比較例3>
フィルムAの代わりにフィルムDを用いた以外は、実施例1と同様にして比較例3のガラス積層体を得た。
<比較例4>
両面のフィルムAの代わりにフィルムCを用いた以外は、実施例6と同様にして比較例4のガラス積層体を得た。
<実施例及び比較例の評価>
実施例1〜8及び比較例1〜4のガラス積層体について、ヒートショック試験による耐性を評価した結果を表2に示す。
Figure 2014171504
ヒートショック試験の手法及び評価基準は以下の通りである。エスペック株式会社の冷熱衝撃装置TSE−11にて、各ガラス積層体を−30℃で30分保存、次いで95℃で30分保存し、これを1サイクルとして、合計500サイクル(500時間)の処理を行った。そして、試験後のガラス積層体の状態を下記評価基準に従い目視で判断した。
(評価基準)
○:ガラス積層体に浮きや剥がれがない
△:ガラス積層体にわずかな浮きまたは剥がれがあるが、実使用上問題ない
×:ガラス積層体に大きな剥がれがあり、実使用上問題となる
表2より、薄膜ガラスと第1の樹脂層とを接着する第1の接着剤が、アクリル系粘着剤である比較例1では、ヒートショック試験でガラス積層体に大きな剥がれが生じたのに対し、第1の接着剤の原料にTEOS(またはTMOS)とDACとを含む実施例1、2では、ヒートショック試験でガラス積層体に浮きや剥がれが生じなかった。これは、第1の接着剤が、反応性金属化合物と水酸基含有高分子化合物との共縮合物を含んでいることにより、薄膜ガラスと第1の樹脂層との密着性が向上し、これによってヒートショック試験の環境変動による第1の樹脂層の寸法変化が抑えられているためと考えられる。
また表2より、薄膜ガラスの片面に樹脂層を接着した場合を見ると、第1の樹脂層にフィルムCを用いた比較例2及び第1の樹脂層にフィルムDを用いた比較例3では、接着剤Aを用いているにも関わらず、ヒートショック試験でガラス積層体に大きな剥がれが生じた。これに対して、第1の樹脂層にフィルムAを用いた実施例1、フィルムBを用いた実施例3、フィルムEを用いた実施例4、フィルムFを用いた実施例5では、接着剤Aを用いることで、ヒートショック試験でガラス積層体に浮きや剥がれが生じないか、または実使用上問題となる剥がれは生じなかった。
これは、比較例2、3で用いたフィルムC、Dが透湿度1000g/m・24hr未満の低透湿性フィルムであるため、接着剤Aで貼着したときにアルコキシ基の加水分解やアルコキシ基と水酸基の縮合反応で生じるアルコールが接着剤A中に残存し、その状態でヒートショック試験にかけたことで、加熱されたアルコールにより逆反応が生じ、縮合が解けて接着力が低下し、薄膜ガラスと第1の樹脂層とが剥離したものと考えられる。
これに対して、実施例1、3〜5で用いたフィルムA、B、E、Fは透湿度1000g/m・24hr以上の高透湿性フィルムであるため、接着剤Aで貼着したときに生じるアルコールを速やかに逃がすことができ、ヒートショック試験にかけても逆反応が生じず、ヒートショック試験後も接着力を維持できたものと考えられる。なお、透湿度が高い程、ヒートショック試験耐性は高いといえる。
また表2より、薄膜ガラスの両面に樹脂層を接着した場合を見ると、第1及び第2の樹脂層にフィルムCを用いた比較例4では、接着剤Aを用いているにも関わらず、ヒートショック試験でガラス積層体に大きな剥がれが生じた。これに対して、第1の樹脂層にフィルムAを用い、第2の樹脂層にフィルムAを用いた実施例6、第2の樹脂層にフィルムEを用いた実施例7、第2の樹脂層にフィルムFを用いた実施例8では、接着剤Aを用いることで、ヒートショック試験でガラス積層体に浮きや剥がれが生じないか、または実使用上問題となる剥がれは生じなかった。これは、薄膜ガラスの片面に樹脂層を接着した場合に準じた結果であり、同様の理由によるものと考えられる。
よって、第1及び第2の樹脂層としては、JIS Z 0208に準拠して測定される40℃、90%RHにおける透湿度が、1000g/m・24hr以上である高透湿性フィルムを用いることで、ヒートショック試験耐性を有するといえる。
以上より、実施例1〜8のガラス積層体を表示装置に用いた場合、様々な用途で利用され、多様な環境に置かれた場合でも、長期間に亘って問題なく使用することができる。
〔補足〕
本発明において、第1及び第2の樹脂層は、薄膜ガラスの柔軟性及び割れ性を補うことができ、光学的に透明な樹脂であれば特に限定はなく、例えば、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、セルロース系樹脂(セルロース誘導体)などを用いることができる。そして、薄膜ガラスを補強する観点から、その膜厚は5μm以上であることが望ましい。
また、本発明において用いるフィルムの延伸方向は、斜め方向、縦方向又は横方向の何れであってもよい。
また、本実施形態で説明した有機EL表示装置および液晶表示装置は、以下の構成であってもよいと言える。
本実施形態の有機EL表示装置は、直線偏光を透過する偏光板を含み、上述したガラス積層体と上記偏光板とで円偏光板が構成されていてもよい。
本実施形態の液晶表示装置は、直線偏光を透過する偏光板を含み、上述したガラス積層体と上記偏光板とで円偏光板が構成されていてもよい。
上記有機EL表示装置または上記液晶表示装置において、上記の偏光板は、上記ガラス積層体のλ/4位相差層に貼り合わされていてもよい。
上記の偏光板は、直線偏光を透過する偏光層と、上記偏光層の一方の面を保護する保護層とを含み、上記偏光層がλ/4位相差層に貼り合わされていてもよい。
上記有機EL表示装置または上記液晶表示装置において、上記の偏光板は、直線偏光を透過する偏光層を2つの保護層で両側から挟んで構成され、一方の保護層がλ/4位相差層に貼り合わされていてもよい。
本発明のガラス積層体は、有機EL表示装置や液晶表示装置に利用可能である。
1 有機EL表示装置
2 有機EL素子
3 ガラス積層体
31 薄膜ガラス
32 接着層(第1の接着剤)
33 λ/4位相差層(第1の樹脂層)
34 接着層(第2の接着剤)
35 樹脂層(第2の樹脂層)
51 液晶表示装置
61 基板
62 基板
63 液晶層

Claims (11)

  1. 薄膜ガラスと第1の樹脂層とが第1の接着剤で接着されており、
    第1の接着剤は、反応性金属化合物と水酸基含有高分子化合物との共縮合物を含み、
    第1の樹脂層は、JIS Z 0208に準拠して測定される40℃、90%RHにおける透湿度が、1000g/m・24hr以上であることを特徴とするガラス積層体。
  2. 第1の樹脂層は、セルロース誘導体を含んでいることを特徴とする請求項1に記載のガラス積層体。
  3. 第1の接着剤に含まれる水酸基含有高分子化合物は、セルロース誘導体を含んでいることを特徴とする請求項1又は2に記載のガラス積層体。
  4. 第1の接着剤に含まれるセルロース誘導体が、セルロースエステルであることを特徴とする請求項3に記載のガラス積層体。
  5. 第1の接着剤に含まれる反応性金属化合物が、金属アルコキシドであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のガラス積層体。
  6. 前記薄膜ガラスの第1の樹脂層が積層されている側とは反対側に、第2の樹脂層が第2の接着剤で接着されており、
    第2の接着剤は、反応性金属化合物と水酸基含有高分子化合物との共縮合物を含んでいることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のガラス積層体。
  7. 第2の樹脂層は、セルロース誘導体を含んでいることを特徴とする請求項6に記載のガラス積層体。
  8. 第2の接着剤に含まれる水酸基含有高分子化合物は、セルロース誘導体を含んでいることを特徴とする請求項6又は7に記載のガラス積層体。
  9. 第2の接着剤に含まれるセルロース誘導体が、セルロースエステルであることを特徴とする請求項8に記載のガラス積層体。
  10. 第2の接着剤に含まれる反応性金属化合物が、金属アルコキシドであることを特徴とする請求項6〜9の何れかに記載のガラス積層体。
  11. 薄膜ガラスの膜厚が5〜100μmであることを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載のガラス積層体。
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