JPWO2014162729A1 - レドックスフロー電池及びその運転方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】セルスタック内での充放電状態を把握でき、より高効率で利用可能なレドックスフロー電池およびその運転方法を提供すること。【解決手段】正極液貯槽、負極液貯槽、セルスタック、正極液貯槽から送出された正極液をセルスタックのセルの正極室に送る正極液往路、正極室から流出した正極液を正極液貯槽に送る正極液復路、負極液貯槽から送出された負極液をセルの負極室に送る負極液往路、負極室から流出した負極液を負極液貯槽に送る負極液復路、正極液往路内の正極液と負極液往路内の負極液との間の上流開路電圧を測定する入口開路電圧測定部及び正極液復路内の正極液と負極液復路内の負極液との間の下流開路電圧を測定する出口開路電圧測定部を備え、測定した入口開路電圧及び出口開路電圧の値に応じて電解液流量を制御し、より効率的な運転が可能なレドックスフロー電池である。【選択図】図6

Description

本発明は、レドックスフロー電池及びその運転方法に関する。
レドックスフロー電池としては、セルスタックを構成する複数のセルの一部が、常時は直流/交流変換機に接続されていない補助セルになっており、この補助セルを用いて測定した開路電圧(開回路電圧、OCV、Open Circuit Voltage)に基づいて電解液貯槽内の充放電状態を把握して充放電制御を行うものがある(特許文献1参照)。
特開2003−317788号公報
ところで、先に説明した従来のレドックスフロー電池では、上述した補助セルで測定した開路電圧を用いて電解液貯槽内の充放電状態を把握しようとしており、電解液貯槽内の充放電状態をある程度握できるかもしれないが、セルスタック内の状態を把握することはできない。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、セルスタック内での充放電状態を把握することができるレドックスフロー電池およびその運転方法を提供することを課題とする。
本出願に係る発明は、正極液貯槽と、負極液貯槽と、セルスタックと、正極液貯槽から送り出された正極液をセルスタックのセルの正極室に送る正極液往路と、正極室から流出した正極液を前記正極液貯槽に送る正極液復路と、負極液貯槽から送り出された負極液を前記セルの負極室に送る負極液往路と、負極室から流出した負極液を前記負極液貯槽に送る負極液復路とを備えているレドックスフロー電池であって、前記正極液往路内の正極液と前記負極液往路内の負極液との間の上流開路電圧を測定する上流開路電圧測定部と、前記正極液復路内の正極液と前記負極液復路内の負極液との間の下流開路電圧を測定する下流開路電圧測定部とを備えていることを特徴とするレドックスフロー電池である。
そして、前記セルスタックには、複数の単セルで構成されたサブスタックセルが複数含まれており、各サブスタックセルは、前記負極液往路の下流部である負極液流入路が形成された一方の分液板である第1分液板と、前記正極液往路の下流部である正極液流入路が形成された他方の分液板である第2分液板とで構成される一対の分液板を備えており、前記第1分液板には、前記正極液復路の上流部である正極液流出路と、前記負極液復路の上流部である負極液流出路のいずれか一方の流出路が形成されていると共に、前記第2分液板には、他方の流出路が形成されており、前記複数のサブスタックセルのうちの一つである第1サブスタックセルの第1分液板と、当該第1サブスタックセルの隣りに配置された第2サブスタックセルの第2分液板とが隣接しており、
前記上流開路電圧測定部は、前記第2サブスタックセルの第2分液板に接続された正極液往路内の正極液と、前記第1サブスタックセルの第1分液板に接続された負極液往路内の負極液との間の上流開路電圧を測定するものであり、前記下流開路電圧測定部は、前記第1サブスタックセルの第1分液板及び前記第2サブスタックセルの第2分液板のいずれか一方の分液板に接続された正極液復路内の正極液と、他方の分液板に接続された負極液復路内の負極液との間の下流開路電圧を測定するものである。
また、前記正極液流入路の流入口と前記負極液流入路の流入口とを結ぶ直線と、前記正極液流出路の流出口と前記負極液流出路の流出口とを結ぶ直線とが交差しないように、各流入口及び流出口が配置されている。
また、前記上流開路電圧測定部及び前記下流開路電圧測定部は、前記流入口又は流出口と、前記正極液貯槽又は負極液貯槽との間の液流路上に配置されている。
また、開路電圧測定ユニットを備えない構成でもよい。
つまり、前記第1サブスタックセルの前記第1分液板及び前記第2サブスタックセルの前記第2分液板は、両分液板の背面同士が接する状態で配置されており、前記第2サブスタックセルの第2分液板の背面には、前記正極液流入路に連通する第1連通穴が形成されていると共に、前記第1サブスタックセルの第1分液板の背面には、前記負極液流入路に連通する第3連通穴が形成されており、前記第1サブスタックセルの第1分液板には、前記正極液復路の上流部である正極液流出路に連通する第2連通穴と、前記負極液復路の上流部である負極液流出路に連通する第4連通穴のいずれか一方の流出路が形成されていると共に、前記第2サブスタックセルの第2分液板には、他方の流出路に連通する連通穴が形成されており、前記第1連通穴には第1貫通孔を備えた第1装着部材が装着され、前記第2連通穴には第2貫通孔を備えた第2装着部材が装着され、前記第3連通穴には第3貫通孔を備えた第3装着部材が装着され、前記第4連通穴には第4貫通孔を備えた第4装着部材がそれぞれ装着されており、異なる背面に形成された前記第1連通穴と前記第3連通穴は、前記セルスタックを組み立てたときに、前記第1貫通孔と第3貫通孔とが対向する状態になる位置に配置されており、異なる背面に形成された前記第2連通穴と前記第4連通穴は、前記セルスタックを組み立てたときに、前記第2貫通孔と第4貫通孔とが対向する状態になる位置に配置されており、各装着部材は、貫通孔の内側に配置された反応電極と、当該反応電極に接触した電極とを備えており、前記第1装着部材及び第3装着部材の少なくともいずれか一方は、前記第1装着部材の反応電極と第3装着部材の反応電極に挟まれる前記上流開路電圧測定部の隔膜を備えており、前記第2装着部材及び第4装着部材の少なくともいずれか一方は、前記第2装着部材の反応電極と第4装着部材の反応電極に挟まれる前記下流開路電圧測定部の隔膜を備えており、前記セルスタックを組み立てると、前記第1装着部材と第3装着部材とによって上流開路電圧測定部が組み立てられると共に、前記第2装着部材と第4装着部材とによって下流開路電圧測定部が組み立てられるレドックスフロー電池でもよい。
また、上記いずれのレドックスフロー電池であっても、前記上流開路電圧と前記下流開路電圧との電圧差値と、前記下流開路電圧値のうちの少なくともいずれか一方の値を用いて、電解液流量、充電停止動作及び放電停止動作のうちの少なくともいずれか一つを制御するコントローラを備えているものでもよい。
前記コントローラは、前記上流開路電圧、前記下流開路電圧及び前記電圧差を用いて、電解液流量、充電停止動作及び放電停止動作を制御するものである。
また、本出願に係る別の発明は、正極液貯槽から送り出された正極液を、正極液流入路を介してセルスタックの各セルの正極室に送り、当該正極室から流出した正極液を、正極液流出路を介して前記正極液貯槽に送り、負極液貯槽から送り出された負極液を、負極液流入路を介して前記各セルの負極室に送り、当該負極室から流出した負極液を、負極液流出路を介して前記負極液貯槽に送るレドックスフロー電池の運転方法であって、前記正極液流入路内の正極液と前記負極液流入路内の正極液との間で測定された上流開路電圧と、前記正極液流出路内の正極液と前記負極液流出路内の負極液との間で測定された下流開路電圧の電圧差と、前記下流開路電圧のうちの少なくともいずれか一つを用いて、電解液流量、充電停止動作及び放電停止動作のうちの少なくともいずれか一つを制御することを特徴とするレドックスフロー電池の運転方法である。
この運転方法は、前記上流開路電圧、前記下流開路電圧及び前記電圧差を用いて、電解液流量、充電停止動作及び放電停止動作を制御する運転方法である。
本出願に係るさらに別の発明は、上述したレドックスフロー電池の上流開路電圧測定ユニット及び下流開路電圧測定ユニットの少なくともいずれか一方として用いられる開路電圧測定ユニットであって、ユニット内に内蔵された前記開路電圧測定部と、正極液流通室と、負極液流通室と、前記正極液流通室に連通する正極液入口及び正極液出口と、前記負極液流通室に連通する負極液入口及び負極液出口と、両流通室を連通する連通孔とを備えており、前記開路電圧測定部は、前記連通孔の位置に配置された隔膜と、隔膜に接する状態で前記正極液流通室側に配置された一方の反応電極と、隔膜に接する状態で前記負極液流通室側に配置された他方の反応電極と、一方の反応電極に接する電極と、他方の反応電極に接する電極とを備えている開路電圧測定ユニットである。
本出願に係るさらに別の発明は、上述した開路電圧測定ユニットを備えていないレドックスフロー電池で用いられているセルスタックである。
そして、本出願に係るさらに別の発明は、当該セルスタックで用いられるサブスタックセルの一対の分液板であって、第1分液板の背面には、前記負極液流入路に連通する第3連通穴が形成されており、第2分液板の背面には、前記正極液流入路に連通する第1連通穴が形成されており、第1分液板には、前記正極液復路の上流部である正極液流出路に連通する第2連通穴と、前記負極液復路の上流部である負極液流出路に連通する第4連通穴のいずれか一方の流出路が形成されていると共に、第2分液板には、他方の流出路に連通する連通穴が形成されており、前記第1連通穴には第1貫通孔を備えた第1装着部材が装着され、前記第2連通穴には第2貫通孔を備えた第2装着部材が装着され、前記第3連通穴には第3貫通孔を備えた第3装着部材が装着され、前記第4連通穴には第4貫通孔を備えた第4装着部材がそれぞれ装着されており、前記第1連通穴と前記第3連通穴は、一対の分液板の背面同士を接触させて重ね合わせたときに、前記第1貫通孔と第3貫通孔とが対向する状態になる位置に配置されており、前記第2連通穴と前記第4連通穴は、一対の分液板の背面同士を接触させて重ね合わせたときに、前記第2貫通孔と第4貫通孔とが対向する状態になる位置に配置されており、各装着部材は、貫通孔の内側に配置された反応電極と、当該反応電極に接触した電極とを備えており、前記第1装着部材及び第3装着部材の少なくともいずれか一方は、前記第1装着部材の反応電極と第3装着部材の反応電極に挟まれる前記上流開路電圧測定部の隔膜を備えており、前記第2装着部材及び第4装着部材の少なくともいずれか一方は、前記第2装着部材の反応電極と第4装着部材の反応電極に挟まれる前記下流開路電圧測定部の隔膜を備えている一対の分液板である。
また、次のような構成が考えられる。
例えば、前記セルスタックのセルは、隔膜と、当該隔膜の両側に配置された正極側及び負極側の双極板と、隔膜及び両双極板を保持するフレーム部材と、隔膜と正極側双極板の間の正極室内に配置された正電極と、隔膜と負極側双極板の間の負極室内に配置された負電極とを備えているものであり、前記フレーム部材は、前記正極室に連通しており前記正極液往路の下流部である正極液流入路と、前記正極室に連通しており前記正極液復路の上流部である正極液流出路と、前記負極室に連通しており前記負極液往路の下流部である負極液流入路と、前記負極室に連通しており前記負極液復路の上流部である負極液流出路とを備え、さらに前記上流開路電圧測定部と、前記下流開路電圧測定部とを備えているものであってもよい。
また、前記フレーム部材は、さらに、前記正極液流入路内の正極液の一部を前記上流開路電圧測定部に流した後、前記正極液流出路に流す流入正極液分流路と、前記負極液流入路内の負極液の一部を前記上流開路電圧測定部に流した後、前記負極液流出路に流す流入負極液分流路と、前記正極液流出路内の電解液の一部を前記下流開路電圧測定部に流した後、前記正極液流出路に戻す流出正極液分流路と、前記負極液流入路内の電解液の一部を前記下流開路電圧測定部に流した後、前記負極液流出路に戻す流出負極液分流路と、を備えているものでもよい。
また、前記流出正極液分流路の上流端は、当該流出正極液分流路の下流端及び前記流入正極液分流路の下流端よりも上流側であり、前記流出負極液分流路の上流端は、当該流出負極液分流路の下流端及び前記流入負極液分流路の下流端よりも上流側であるものでもよい。
また、前記フレーム部材は、前記隔膜、前記双極板及び前記電極を保持する一対の極液フレーム部と、各極液フレーム部の外側に配置された一対の分液板とを備えているものであり、当該分液板に、前記正極液流入路と、前記正極液流出路と、前記負極液流入路と、前記負極液流出路と、前記流入正極液分流路の上流端及び下流端と、前記流入負極液分流路の上流端及び下流端と、前記流出正極液分流路の上流端及び下流端と、前記流出負極液分流路の上流端及び下流端と、前記上流開路電圧測定部と、前記下流開路電圧測定部とが備えられているものでもよい。
また、このようなレドックスフロー電池で用いられるセルスタックであって、当該セルスタックのセルは、隔膜と、当該隔膜の両側に配置された正極側及び負極側の双極板と、隔膜及び両双極板を保持するフレーム部材と、隔膜と正極側双極板の間の正極室内に配置された正電極と、隔膜と負極側双極板の間の負極室内に配置された負電極とを備えているものであり、前記フレーム部材は、前記正極室に連通しており前記正極液往路の下流部である正極液流入路と、前記正極室に連通しており前記正極液復路の上流部である正極液流出路と、前記負極室に連通しており前記負極液往路の下流部である負極液流入路と、前記負極室に連通しており前記負極液復路の上流部である負極液流出路とを備え、さらに前記上流開路電圧測定部と、前記下流開路電圧測定部とを備えている、レドックスフロー電池用のセルスタックでもよい。
また、このようなセルスタックで用いられるフレーム部材であり、前記隔膜、前記双極板及び前記電極を保持する一対の極液フレーム部と、各極液フレーム部の外側に配置された一対の分液板と備えている、セルスタック用フレーム部材でもよい。
また、このようなセルスタック用フレーム部材で用いられる分液板であり、前記正極液流入路と、前記正極液流出路と、前記負極液流入路と、前記負極液流出路と、前記上流開路電圧測定部と、前記下流開路電圧測定部とを備えている、セルスタック用フレーム部材の分液板でもよい。
本出願に係る発明であるレドックスフロー電池では、下流開路電圧測定部で測定された下流開路電圧を検出することができ、この電圧差を用いてセルスタック内の電解液の充放電状態を把握することができるので、安定したレドックスフロー電池の運転を実現でき、しかも電池の効率を向上させることができる。
レドックスフロー電池の構成及び原理を説明するための模式図である。 本発明に係る実施例1のレドックスフロー電池のセルスタックの構成を説明するための模式図である。 図2に示されるセルスタックの構成を簡単に説明するための分解斜視図である。 セルスタックを構成するセルの分液板を説明するための斜視図である。 図4に示される分液板に組み込まれた各電圧測定ユニットを説明するための斜視図である。 実施例2のレドックスフロー電池のセルスタックの側面を示す部分斜視図である。 図6に示される入口開路電圧測定ユニットの構造を示すA−A面における断面図である。 実施例3のレドックスフロー電池のセルスタックの側面を示す部分斜視図である。 図8に示されるセルスタックの構造を示すB−B面における部分断面図である。 図9に示されるセルスタックの構造を示す部分分解断面図である。 図8に示されるセルスタックを構成する分液板の背面を、図10の矢印で示す矢視方向から見た状態を示す部分側面図である。 図10に示される分液板から装着部材を取外した状態を示す部分側面図である。 電解液の充放電深度(充放電レベル)と開路電圧(OCV)との関係を示すグラフ図である。 SFR(比電解液通液量:充放電時のセルに流す電解液通液量と反応するのに必要な電解液量の比)とセル抵抗の関係を示すグラフ図である。 セル抵抗とエネルギ密度の関係を示すグラフ図である。
10…レドックスフロー電池、
11…正極液タンク(正極液貯槽)、12…負極液タンク(負極液貯槽)、
13…セルスタック、14…正極往路配管(正極液往路の上流部)、
14a…正極液流入路(正極液往路の下流部)、
15…正極復路配管(正極液復路の下流部)、
15a…正極液流出路(正極液復路の上流部)、
16…負極往路配管(負極液往路の上流部)、
16a…負極液流入路(負極液往路の下流部)、
17…負極復路配管(負極液復路の下流部)、
17a…負極液流出路(負極液復路の上流部)、
18a…流入正極液分流路(正極液流入路の電解液の一部を上流開路電圧測定部に流して正極液流出路に流す流路)、
18b…流入負極液分流路(負極液流入路の電解液の一部を上流開路電圧測定部に流して負極液流出路に戻す流路)、
18c…流出正極液分流路(正極室から流出した正極液流出路の電解液の一部を下流開路電圧測定部に流して正極液流出路に戻す流路)、
18d…流出負極液分流路(負極室から流出した負極液流入路の電解液の一部を下流開路電圧測定部に流して負極液流出路に戻す流路)、
19a,19b…ポンプ、20…セル(流通型の電解セル)、
21…隔膜、21a,21b,21c,21d,21e…貫通孔、22,22a,22b…双極板、
24…正電極、25…負電極、
30…フレーム部材、31,32…フレーム片、31a…正極室、32a…負極室、
40…第1極液フレーム、41…導入路(正極液導入流路)、
42…正極液導出流路、43…貫通孔、44…分流孔、45,46,47…貫通孔、
50…第1分液板、51…正極液流出路下流部、51a…入口、51b…分流孔、
52…正極液流出口、53…負極液流入口、54…負極液流入路上流部,54b…出口,
56…戻し通路、56a…入口、56b…出口、57…分流孔、
58…戻し通路、58b…出口、59a,59b,59c,59d…連通孔、
60…第2極液フレーム、61a…貫通孔、63…導入路(負極液導入流路)、
64…負極液導出流路、67…貫通孔、65…分流孔、66,67…貫通孔、
70…第2分液板、71…正極液流入口、72…正極液流入路上流部、73…出口、
74…負極液流出路下流部、74a…入口、75…負極液流出口、
76…戻し通路,76a…入口,76b…出口、77…戻し通路,77a…入口,77b…出口,
80…入口開路電圧測定ユニット、
81…小型セル(入口開路電圧測定部,上流開路電圧測定部)、82…正極液通路,
82a…入口、82b…出口、83…負極液通路、83a…入口、83b…出口、
90…出口開路電圧測定ユニット、
91…小型セル(出口開路電圧測定部,下流開路電圧測定部)、92…正極液通路,
92a…入口、92b…出口、93…負極液通路、93a…入口、93b…出口、
A/D…直流/交流交換器、G…発電所、
L+…正極液(正極側の電解液)、L- …負極液(負極側の電解液)、
R…負荷、Vin…入口開路電圧、Vout…出口開路電圧、
13a…セルスタック、14b,17c…流入口、15c,16b…流出口、20a,20b…セル、
49…押え板、50a…第1分液板、50f…側端面、
70a…第2分液板、70f…側端面、
80a…入口開路電圧測定ユニット、84…正極液流通室、84a…正極液入口、
84b…正極液出口、84d…スリット空間部(隙間部)、84x…連通孔、
85…負極液流通室、85a…負極液入口、85b…負極液出口、
85d…スリット空間部(隙間部)、
86…測定セル部(上流回路電圧測定部)、86a…隔膜、86b…フレーム体、
86c…反応電極、86d…電極、86e…電極保持部、86f…堰部、
90a…出口開路電圧測定ユニット、
13b…セルスタック、20c,20d…サブスタックセル、
50b…第1分液板、50c,50d…凹部、50e,50f…連通穴、50y…背面、
70b…第2分液板、70c,70d…凹部、70e,70f…連通穴、70y…背面、
87a…第1装着部材、87b…第2装着部材、87c…第3装着部材、
87d…第4装着部材、87e…装着部材の本体、87f…突起部、
87g…スリット穴、87h…電極、87i…反応電極、87j…保持部、
87k…隔膜、89a〜89d…貫通穴。
次に、本発明に係るレドックスフロー電池の実施例について説明する。
本実施例のレドックスフロー電池(以下、単に電池と称することがある)10は、図1に示されるように、正極側の電解液(以下、正極液)L+が貯蔵される正極液タンク(正極液貯槽)11と、負極側の電解液(以下、負極液)L-が貯蔵される負極液タンク12と、セルスタック13(図2参照)と、正極液タンク11から送り出された正極液をセルスタック13に送る正極往路配管(正極液往路の上流部)14と、セルスタック13から流出した正極液を正極液タンク11に戻す正極復路配管(正極液復路の下流部)15と、負極液タンク12から送り出された負極液L-をセルスタック13に送る負極往路配管(負極液往路の上流部)16と、セルスタック13から流出した負極液L-を負極液タンク12に戻す負極復路配管(負極液復路の下流部)17と、これらの配管(電解液流路)に電解液を流すためのポンプ19a,19bと、電解液の流量や充放電状態を制御するコントローラ(不図示)とを備えている。
なお、本実施例のレドックスフロー電池の原理は、周知の原理であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
図2に示されるように、セルスタック13は、電池反応が行われる流通型の電解セル(以下、セルと称する)20が複数積層されたものである。各セル20は、隔膜21と、隔膜21の両側に配置された双極板22と、正電極24及び負電極25と、フレーム部材30とを有する。
フレーム部材30は、図3に示されるように、隔膜21を挟む一対のフレーム片31,32で構成されている。
図4に示されるように、このセル20の正極側に位置する第1フレーム片31は、隔膜21に接する第1極液フレーム40と、その外側に配置された第1分液板50とで構成されており、このセル20の負極側に位置する第2フレーム片32は、隔膜21に接する第2極液フレーム60とその外側に配置された第2分液板70とで構成されている。また、第1極液フレーム40の枠内に、このセル20の正極側の双極板22aが一体に取り付けられており、第2極液フレーム60の枠内に、このセル20の負極側の双極板22bが一体に取り付けられている。
また、双極板22a,22bが一体に取り付けられたフレーム片31,32と隔膜21との間には、正極側の正極室31aと負極側の負極室32aとが形成されており(図2参照)、正極室31aには正電極24が、また負極室32aには負電極25が配置されている。なお、図2では、電極24,25の存在を便宜的に示すため、各電極24,25を正極室31a及び負極室32bの中央に配置し、配線等を省略しているが、各電極24,45は実際には隔膜21とその反対側の双極板22a,22bとに接触しており、各セル20をスタックして電圧を高めることができるようになっている。また電極24,25は、直流/交流交換器A/D(図1参照)を介して、交流電力系統(発電機Gや負荷R)に接続されており、充放電できるようになっている。また、直流/交流交換器A/Dは、通電状態と非通電状態(遮断状態)に切換えるための通電回路のスイッチ(不図示)を備えている。充放電する場合は、このスイッチをオンにして通電可能状態にする。すると、充電時には発電所G等で発電された電力がセルスタック13内の電解液に蓄電され、放電時にはセルスタック13内の電解液から電気系統の負荷Rに電力が供給される。なお、図4では、セルスタック13のセル20の構成を明示するために、セルスタック13を構成する複数のセル20のうちの1つだけを示した。
図4に示されるように、セル20を構成する極液フレーム40,60、分液板50,70及び隔膜21には、電解液を流通させるための液流路(マニホールド)が形成されている。つまり、これらの部材21,40,50,60,70には、正極室31aに連通しており正極液往路の下流部である正極液流入路14aと、正極室31aに連通しており正極液復路の上流部である正極液流出路15aと、負極室32aに連通しており負極液往路の下流部である負極液流入路16aと、負極室32aに連通しており負極液復路の上流部である負極液流出路17aが形成されている。
正極液流入路14aは、正極液タンク11からフレーム部材30内に流入した正極液L+を正極室31aに送る流路であり、図4に示されるように、第2分液板70に形成された最上流の正極液流入口71に連なる正極液流入路上流部72と、この下流側の出口73に連なる第2極液フレーム60に形成された貫通孔61aと、貫通孔61aに連なる隔膜21に形成された貫通孔21aと、貫通孔21aに連なる第1極液フレーム40に形成された正極室31aへの導入路(正極液導入流路)41とを備えている。正極液流入路上流部72、貫通孔61a,21a及び導入路41は連通して正極液流入路14aを形成しているので、レドックスフロー電池10の運転時、正極液流入口71からフレーム部材30内に流入した正極液L+は、この流入路14aを通って正極室31aに流入する。なお、複数ある導入路41のうちの1つ(最下流側に位置する導入路41)の外側(第1分液板50側)には、後述の分流孔44が形成されている。正極液流入路14aを流れてきた正極液L+の一部は、この分流孔44を通って後述の入口開路電圧測定ユニット80側に分流する。最下流側に位置する導入路41以外の導入路41の外側は貫通していなくても良い。
正極液流出路15aは、正極室31aから流出した正極液L+を正極液復路配管15に送る流路であり、正極室31aの出口に連通する第1極液フレーム40に形成された導入路(正極液導出流路)42と、導入路42に連なる第1分液板50に形成された正極液流出路下流部51とを備えている。これらのうち、正極液流出路下流部51は、その入口51aで導入路42に連通している。正極液導出流路42、正極液流出路下流部51は連通して正極液流出路15aを形成しているので、レドックスフロー電池10の運転時、正極室31aから流出した正極液L+は、この流路15aを通って、正極液流出路下流部51の下流端の流出口52からフレーム部材30の外の正極復路配管15へ流出する。なお、正極液流出路下流部51の上流部(最上流側の入口51aの位置)には、外側(後述の出口開路電圧測定ユニット90側)に正極液を流す後述の分流孔51bが形成されている。正極室31aから流出した正極液L+の一部は、この分流孔51bを通って出口開路電圧測定ユニット90側に分流する。
負極液流入路16aは、負極液タンク12からフレーム部材30内に流入した負極液L-を負極室32aに送る流路であり、第1分液板50に形成された最上流の負極液流入口53に連なる負極液流入路上流部54と、負極液流入路上流部54の出口54bに連なる第1極液フレーム40に形成された貫通孔43と、貫通孔43に連なる隔膜21に形成された貫通孔21bと、貫通孔21bに連なる第2極液フレーム60に形成された負極室32aへの導入路(負極液導入流路)63とを備えている。負極液流入路上流部54、貫通孔43,21b及び導入路63は連通して負極液流入路16aを形成しているので、レドックスフロー電池10の運転時、負極液流入口53からフレーム部材30内に流入した負極液L-は、この流路16aを通って負極室32aに流入する。なお、負極液流入路上流部54の下流部(最下流側の出口54bの位置)には、外側(後述の入口開路電圧測定ユニット80側)に負極液を流す後述の分流孔57が形成されている。負極液流入路16aを流れてきた負極液L-の一部は、この分流孔57を通って入口開路電圧測定ユニット80側に分流する。
負極液流出路17aは、負極室32aから流出した負極液L-を負極液復路配管17に送る流路であり、負極室32aの出口に連通する第2極液フレーム60に形成された導出路(負極液導出流路)64と、導出路64に連なる第2分液板70に形成された負極液流出路下流部74とを備えている。導出路64と、導出路64に入口74aを介して連通する負極液流出路下流部74は負極液流出路17aを形成しており、レドックスフロー電池10の運転時、負極室32aから流出した負極液L-は、この流路17aを通って、負極液流出路下流部74の下流端の流出口75からフレーム部材30の外の負極復路配管17へと流出する。なお、複数ある導出路64のうちの1つ(最上流側に位置する導出路64)の内側(隔膜21側)には、後述の分流孔65が形成されている。負極室32aから流出した負極液L-の一部は、この分流孔65を通って出口開路電圧測定ユニット90側に分流する。
また、フレーム部材30は、開路電圧を測定するための入口開路電圧測定ユニット(入口開路電圧測定部)80及び出口開路電圧測定ユニット(出口開路電圧測定部)90と、各電圧測定ユニット80,90に向けて電解液を流通させる分流路(マニホールド)とを備えている。
具体的には、フレーム部材30の第1分液板50が電圧測定ユニット80,90を備えている。
なお、入口開路電圧測定ユニット80は、正極液流入路14a内の電解液と負極液流入路16a内の電解液との間の電位差である入口開路電圧(上流開路電圧)を測定するものである。
また、出口開路電圧測定ユニット90は、正極液流出路15a内の電解液と負極液流出路17a内の電解液との間の電位差である出口開路電圧(下流開路電圧)を測定するものである。
図5に示されるように、入口開路電圧測定ユニット80は、ユニット内に内蔵された小型セル(入口開路電圧測定部)81と、正極液通路82と、負極液通路83とを備えている。正極液通路82は、その入口82aから通路内に入った正極液L+を小型セル81に流入させた後、小型セル81から流出した正極液L+を出口82bからユニット80の外に流出させる通路である。また、負極液通路83は、その入口83aから通路内に入った負極液L-を小型セル81に流入させた後、小型セル81から流出した正極液L+を出口83bからユニット80の外に流出させる通路である。
同様に、出口開路電圧測定ユニット90は、内蔵された小型セル91と、正極液通路92と、その入口92a及び出口92bと、負極液通路93と、その入口93a及び出口93bとを備えている。
なお、小型セル81,91は、周知の構成である。つまり、小型セル81,91は、例えば上述したセル20を小型にした構成であり、正極液L+が流通する正極室31aに配置された正電極と、負極液L-が流通する負極液L-に配置された負電極の間の電位差(電圧)を測定できるようになっている。このように、小型セル81,91は基本的にはセル20と同様の構成ということができる。そして、本実施例では、電極と電圧測定部との間の配線を含め、ここではその詳細な説明を省略する。
また、フレーム部材30は、より具体的には、各電圧測定ユニット80,90に向けて電解液を流通させる分流路すなわち、流入正極液分流路18a、流入負極液分流路18b、流出正極液分流路18c及び流出負極液分流路18dを備えている。
流入正極液分流路18aは、正極液流入路内14aの電解液の一部を入口開路電圧測定ユニット80に向けて流した後、さらに正極液流出路15aに流す通路である。そして、この分流路18aは、一連に連通する第1極液フレーム40に形成された分流孔44と、第1分液板50に形成された連通孔59aと、入口開路電圧測定ユニット80の正極液通路82(図5参照)と、第1分極板50内に形成された戻し通路56とを備えている。これのうち、分流孔44は、導入路41に連なる状態で、導入路41の外側(第1分液板50側)に形成されている。そして分流孔44の下流側(外側)は正極液通路82の入口82aに連通している。また、戻し通路56は、その上流側である入口が正極液通路82の出口82bに連通しており、その下流側である出口56bが後述の戻し通路58に連通している。ただし、後述するように、戻し通路58の出口58bは正極液流出路下流部51に連通しており、戻し通路56を流通した正極液は、一旦戻し通路58に流入して、その出口58bを通り正極液流出口52から外部に流出する。つまり、正極液流出路下流部51に対する戻し通路56の出口は、実質的には出口58bである。電池運転中に正極液流入路14aから分流孔44に流入した正極液L+は、この分流路18aを通り、途中で小型セル81内を経由して、正極液流出路下流部51に流出する。
流入負極液分流路18bは、負極液流入路16a内の電解液の一部を入口開路電圧測定ユニット80に向けて流した後、さらに負極液流出路17aに戻す通路である。そして、この分流路18bは、一連に連通する極液流入路上流部54の下流部(最下流の出口54bの位置)に形成された分流孔57と、入口開路電圧測定ユニット80の負極液通路83(図5参照)と、第1分液板50に形成された連通孔59bと、第1極液フレーム40に形成された貫通孔45と、隔膜21に形成された貫通孔21cと、第2極液フレーム60に形成された貫通孔67と、第2分極板70に形成された戻し通路76とを備えている。これらのうち、戻し通路76は、その上流側の入口76aが貫通孔67に連通しており、下流側の出口76bが負極液流出路下流部74に連通している。電池運転中に負極液流入路16aから分流孔57に流入した負極液L-は、この分流路18bを通り、途中で小型セル81内を経由して、負極液流出路下流部74に流出する。
流出正極液分流路18cは、正極室31aから流出した正極液流出路15a内の電解液の一部を出口開路電圧測定ユニット90に向けて流した後、正極液流出路15aに戻す通路である。そして、この分流路18cは、一連に連通する正極液流出路下流部51の上流側(最上流側に位置する入口51aの位置)に形成された分流孔51bと、出口開路電圧測定ユニット90の正極液通路92と、第1分液板50に形成された戻し通路58とを備えている。なお、正極液通路92は、その入口92aで分流孔51bに連通し、その出口92bで戻し通路58に連通している。電池運転中に正極液流出路15aから分流孔51bに流入した正極液L+は、この分流路18cを通り、途中で小型セル91内を経由して、正極液流出路下流部51に戻る。
流出負極液分流路18dは、負極室32aから流出した負極液流出路17a内の電解液の一部を出口開路電圧測定ユニット90に向けて流した後、負極液流出路17aに戻す通路である。そして、この分流路18dは、一連に連通する第2極液フレーム60に形成された分流孔65と、隔膜21に形成された貫通孔21dと、第1極液フレーム40に形成された貫通孔46と、第1分液板50に形成された連通孔59cと、出口開路電圧測定ユニット90の負極液通路93と、第1分液板50に形成された連通孔59dと、第1極液フレーム40に形成された貫通孔47と、隔膜21に形成された貫通孔21eと、第2極液フレーム60に形成された貫通孔66と、第2分液板70内に形成された戻し通路77とを備えている。これらのうち、分流孔65は、導出路64に連なる状態で、導出路64の内側(隔膜21側)に形成されている。そして分流孔65の下流側(内側)は貫通孔21eに連通している。そして、戻し通路77は、その上流側の入口77aで貫通孔66に連通しており、その下流側の出口77bで負極液流出路下流部74に連通している。電池運転中に負極液流出路17aから分流孔65に流入した負極液L-は、この分流路18dを通り、途中で小型セル91内を経由して、負極液流出路下流部74に戻る。
ところで、上述したように、流入正極液分流路18aの入口は第1極液フレーム40の分流孔44であり、出口(正極液流出路下流部51との合流位置)は、上述したように実質的には戻し通路58の出口58bである。流入負極液分流路18bの入口は、第1分極板液50の分流孔57であり、出口(負極液流出路下流部74との合流位置)は第2分極板70の戻し通路76の出口76bである。流出正極液分流路18cの入口は、第1分液板50の分流孔51bであり、出口((正極液流出路下流部51との合流位置)は第1分液板50の戻し通路58の出口58bである。流出負極液分流路18dの入口は、第2極液フレーム60の分流孔65であり、出口(負極液流出路下流部74との合流位置)は第2分液板70の戻し通路77の出口(合流位置)77bである。
そして、正極液流出路下流部51(すなわち正極液流出路15a)との合流位置である分流孔51bと、出口58bとの位置を正極液流出路下流部51の正極液の流れに基づいて比較すると、分流孔51bは出口58bより上流側である。なお、戻し通路58の液の流れ方向に基づいて比較すると、戻し通路56の出口56bは、戻し通路58の出口58bより上流側である。また、負極液流出路下流部74(すなわち負極液流出路17a)との合流位置である分流孔65、戻し通路76の出口76b及び戻し通路77の出口77bの位置を負極液流出路下流部74の負極液の流れに基づいて比較すると、負極液流出路下流部74の流れ方向上流側から、分流孔65、戻し通路77の出口77b、戻し通路76の出口76bの順に位置している。このような配置にすることで、よりスムーズな電解液の流動が実現される。
なお、図2から図5は、図示された各構成(例えば流路)の作用を解りやすく説明するための説明図であり、実際の寸法比率を正確に示すものではない。例えば、分液板50,70等に形成する流路の大きさ(例えば直径)等は、レドックスフロー電池を設計する際、電解液流量、流路抵抗、圧力勾配等を考慮しつつ適宜定められるものである。
このような構成の電池10では、ポンプ19a,19bを作動させると、正極液タンク11を流出した正極液L+は、正極液往路の正極往路配管14を通ってセルスタック13の各セル20に流入する。また、セルスタック13に流入した正極液L+は、フレーム部材30の正極液流入路14aを通って、正極室31aに流入する。その後、正極室31aから流出した正極液L+は、フレーム部材30の正極液流出路15aを通ってセル20から流出し、セルスタック13に連なる正極液復路の正極復路配管15に流出して正極液タンクに戻る。他方、負極液タンク12を流出した負極液L-は、負極液往路の負極往路配管16を通ってセルスタック13の各セル20に流入する。また、セルスタック13に流入した負極液L-は、フレーム部材30の負極液流入路16aを通って、負極室32aに流入する。その後、負極室32aから流出した負極液L-は、フレーム部材30の負極液流出路17aを通ってセル20から流出し、セルスタック13に連なる負極液復路の負極復路配管17に流出して負極液タンク12に戻る。
また、本実施例の電池10では、ポンプ作動に伴い、正極液流入路14a内の正極液L+の一部が第1極液フレーム40の分流孔44から流入正極液分流路18aを通って入口開路電圧測定ユニット80に流れ込む。また、負極液流入路16a内の負極液L-の一部が第1分極板液50の分流孔57から流入負極液分流路18bを通って入口開路電圧測定ユニット80に流れ込む。このような流路を備えているセルスタック13では、レドックスフロー電池運転中、入口開路電圧測定ユニット(上流開路電圧測定ユニット)80において、随時、入口開路電圧(上流開路電圧)が測定される。
また、ポンプ作動に伴い、正極液流出路15a内の正極液L+の一部が第1分液板50の分流孔51bから流出正極液分流路18cを通って出口開路電圧測定ユニット90に流れ込む。また、負極液流出路17a内の負極液L-の一部が第2極液フレーム60の分流孔65から流出負極液分流路18dを通って出口開路電圧測定ユニット90に流れ込む。このような流路を備えているセルスタック13では、レドックスフロー電池運転中、出口開路電圧測定ユニット(下流開路電圧測定ユニット)90において、随時、出口開路電圧(下流開路電圧)が測定される。そして、入口開路電圧と出口開路電圧とに基づいて、両者の電圧差が随時算出される。従って、入口開路電圧に基づいて電池すなわち液タンク11,12の充電レベルを把握することができ、しかも電圧差に基づいてセルスタック13内での充電レベル(又は放電レベル)の変化をリアルタイムで把握することができる。
次に実施例2のレドックスフロー電池について、図6、7を参照しつつ説明する。
本実施例のレドックスフロー電池は、実施例1の電池10と比較すると、入口開路電圧測定ユニット80a及び出口開路電圧測定ユニット90aの配置と、これらのユニット80a,90aの構造に関する特徴を有するものであり、これら以外の構成については実施例1の電池10と共通の構成及び効果を有している。そこで、ここでは実施例1の電池10と異なる構成について詳細に説明し、共通の構成については共通の符号を付すと共にその説明を省略することがある。
なお、図6では、セルスタックの側面を示しており、そのほかの部分を省略している。
図6に示されるように、本実施例の電池のセルスタック13aは、実施例1と同様、積層配置された複数のサブスタックセル20a,20b(図6では2つのサブスタックセルを図示)を押え板49で挟んだ構成である。そして、各サブスタックセル20a,20bは、積層配置された複数の単セルを一対の分液板(第1分液板50a及び第2分液板70a)で挟んだ構成である。なお、単セルの積層構造や、一対の押え板49,49で挟みつけるボルト、ナット及びこれらの取付け構造については説明及び図示を省略した。
このような構成のセルスタック13aでは、複数のサブスタックセル20a,20bの一つである第1サブスタックセル20aの第1分液板(一方の分液板)50aと、第1セルに隣接する第2サブスタックセル20bの第2分液板(他方の分液板)70aとが隣接して配置される。
より具体的に説明すると、第1サブスタックセル20aの第1分液板50a及び第2サブスタックセル20bの第2分液板70aは、両分液板50a,70aの背面50x,70xが接触する状態で配置されている。なお、第1サブスタックセル20aの第1分液板50aが第2サブスタックセル20bの第2分液板70aに隣接している状態とは、例えば、第1サブスタックセル20aの第1分液板50aが第1サブスタックセル20aの第2分液板70aよりも第2サブスタックセル20bの第2分液板70aに隣接している状態のことである。
各サブスタックセル20a,20bの第1分液板50aの一方の側端面50fには、第1分液板50a内の正極液流出路(不図示)の流出口15cと、第1分液板50内の負極液流入路(不図示)の流入口16bとが形成されており、第2分液板70aの一方の側端面70fには、第2分液板70a内の正極液流入路(不図示)の流入口14bと、第2分液板70a内の負極液流出路(不図示)の流出口17cとが形成されている。つまり、一対の分液板50a,70aには、流入口14b,16b及び流出口15c,17cが形成されている。
正極液流入路の流入口14bには正極往路配管14が接続されており、正極液流出路の流出口15cには正極復路配管15が接続されており、負極液流入路の流入口16bには負極往路配管16が接続されており、負極液流出路の流出口17cには負極復路配管17が接続されている。
なお、図6、7に示される各配管に記載した矢印は、電解液(正極液L+又は負極液L-)の流れる向きを示すものである。
開路電圧測定ユニット80a,90aが流入口14b,16b又は流出口15c,17cと正極液タンク11又は負極液タンク12(図1参照)との間の液流路上に配置されている。より具体的に説明すると、流入口14b,16b又は流出口15c,17cと正極液タンク11又は負極液タンク12とを接続する配管14,15,16,17の途中位置(液流路上)に開路電圧測定ユニット80a,90aが配置されている(図6参照)。
したがって、正極液タンク11から正極往路配管14に送り出された正極液L+は、入口開路電圧測定ユニット80a(後述の正極液流通室84、図7参照)を通ってサブスタックセル20a,20b内の正極液流入路に送られる。そして、正極室からサブスタックセル20a,20b内の正極液流出路に送り出された正極液L+は、出口開路電圧測定ユニット90a(後述の正極液流通室94、図7参照)を通って正極液タンク11に送られる。また、負極液タンク12から負極往路配管16に送り出された負極液L-は、入口開路電圧測定ユニット80a(後述の負極液流通室85)を通ってサブスタックセル20a,20b内の負極液流入路に送られる。そして、負極室からサブスタックセル20a,20b内の負極液流出路に送り出された負極液L-は、出口開路電圧測定ユニット90a(後述の負極液流通室95)を通って負極液タンク12に送られる。
入口開路電圧測定ユニット80aでは、第2サブスタックセル20b(いずれか一方のセル)の正極往路配管(正極液往路)14内の正極液L+と第1サブスタックセル20a(他方のセル)の負極往路配管(負極液往路)16内の負極液L-との間の上流開路電圧を測定する。そして、出口開路電圧測定ユニット90aでは、第1サブスタックセル20a(いずれか一方のセル)の正極復路配管(正極液復路)15内の正極液L+と第2サブスタックセル20b(他方のセル)の負極復路配管(負極液復路)17内の負極液L-との間の下流開路電圧を測定する。
入口開路電圧測定ユニット80aは、後述の測定セル部86(上流回路電圧測定部)が内蔵されたものであり、図7に示されるように、一体に形成された正極液流通室84及び負極液流通室85と、両流通室84,85を連通する連通孔84xと、正極液流通室84に連通する正極液入口84a及び正極液出口84bと、負極液流通室85に連通する負極液入口85a及び負極液出口85bを備えている。これらが一体に形成された入口開路電圧測定ユニット80aは、取り付けや取り外しなどの作業性に優れる。
また、正極液流入路の流入口14bに接続される正極液出口84bと負極液流入路の流入口16bに接続される負極液出口85bとの離間距離は、正極液流入路の流入口14bと負極液流入路の流入口16bとの離間距離と同じになっている。このような構成であれば、正極液出口84b及び負極液出口85bを同時に流入口14b及び流入口16bに接続でき、取付け作業性に優れる。
測定セル部86は、基本的には、実施例1の小型セル81,91と共通の構成である。つまり、測定セル部86は、連通孔84xの位置に配置された隔膜86aと、隔膜を挟持する一対のフレーム体86b,86bと、各フレーム体86b,86bの開口部に、隔膜に接する状態で配置された一対の反応電極86c,86cと、各反応電極86c,86cに接触する状態で配置された一対の電極86d,86dと、各電極86d,86dを保持すると共に正極液流通室84又は負極液流通室85内の電解液(正極液L+又は負極液L-)から電極を保護する電極保持部86e,86eとを備えている。
なお、符号「86f」は、正極液流通室84の底面から上方に向けて突出した堰部である。この堰部86fを設けると、正極液流通室84内における正極液L+の液面高さを高い位置にすることができ、正極液流通室84内の反応電極86cに正極液L+を確実に接触させることができる。これにより、より確実に入口開路電圧を測定することができる。
そして、符号「84d」及び「85d」は、フレーム体86bと電極保持部86eとの間のスリット空間部(隙間部)である。このスリット空間部84d,85dを設けることで、正極液流通室84内や負極液流通室85内の電解液を反応電極86c,86cに確実に接触させることができる。
また、本実施例では、反応電極86cとしてカーボンフェルト材を用いた。なお、電極に接続する配線及び配線経路については説明及び図示を省略した。
また、開路電圧測定ユニット80a,90aでは、液漏れ防止のために、適宜、シール材を用いるが、ここでは説明及び図示を省略した。シール材としては、例えば、パッキンの装着やシール剤の塗布を上げることができる。
このような入口開路電圧測定ユニット80aでは、レドックスフロー電池を運転したとき、測定セル部86の正極液流通室84及び負極液流通室85に電解液が流入し、一対の電極86d,86d間の電圧を測定することで、入口開路電圧を測定することができる。
なお、出口開路電圧測定ユニット90aは、入口開路電圧測定ユニット80aと比較すると、配管の接続位置が異なるだけであり、構造自体は共通であるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
ところで、レドックスフロー電池では、電解液循環用ポンプの消費電力は少ないことが好ましく、そのためには、例えば、電解液流路の総延長は短い方が好ましい。
ところが、上述した入口開路電圧や出口開路電圧を測定しようとすると、電圧測定部に向けて電解液を流す配管が必要になり、電解液の流路総延長が長くなりやすい。特に、レドックスフロー電池に開路電圧測定ユニットを後付けする場合は、追加の配管が必要になるなど、流路総延長が長くなりやすい。
この点、本実施例のレドックスフロー電池および当該電池で用いている電圧測定ユニット80a,90aであれば、予め配置された配管14,15,16,17の経路の途中位置に簡単に設置することができるので、電解液の流路総延長の延長が確実に防止される。これにより、ポンプ消費電力を省電力化できれば、レドックスフロー電池の放電可能電力量を増大させることができる。
また、上記実施例の電池では、各流入口14b,16b及び流出口15c,17cは、正極液流入路の流入口14b と負極液流入路の流入口16bとを結ぶ直線と、正極液流出路の流出口15cと負極液流出路の流出口17cとを結ぶ直線とが交差しない位置に配置されている。より具体的に説明すると、各流入口14b,16b及び流出口15c,17cは、これらが形成されている分液板50a,70aの側端面50f,70fを正面視した状態(視線方向が側端面と直交する方向の状態)で、両直線が交差しないように配置されている。
このような配置にすると、例えば本実施例の電池のように、開路電圧測定ユニット80a,90aを近接させた状態で上下に配置できるなど、測定ユニット80a,90aを近接させた状態でコンパクトに配置できるので、電池の小型化を図ることができ、しかもメンテナンス性にも優れる。
次に実施例3のレドックスフロー電池について、図8〜12を参照しつつ説明する。
本実施例のレドックスフロー電池は、実施例2の電池と比較すると、電池のセルスタックの構成に関して特徴を有している。そこで、ここでは、実施例2の電池のセルスタック13a(図6参照)と異なる構成について詳細に説明する。そして、実施例2の電池のセルスタック13aと共通の構成については共通の符号を付し、共通の構成及び効果の説明を省略することがある。
なお、図8ではセルスタックの側面を示しており、そのほかの部分を省略している。そして、図9及び図10では、背面同士を接触させた分液板50b,70bの一部を示しており、分液板以外の部分を省略している。また、図11では、背面同士を接触させた分液板50b,70bの背面50y,70yのうち連通穴50e,50f,70e,70fが形成された部分を示しており、それ以外の部分を省略している。
図8に示されるように、本実施例の電池のセルスタック13bは、実施例2のセルスタック13aと同様、積層配置された複数のサブスタックセル20c,20d(図8では2つのサブスタックセルを図示)を備え、各サブスタックセル20c,20dは一対の分液板(第1分液板50b及び第2分液板70b)を備えている。そして、第1サブスタックセル20cの第1分液板50b及び第2サブスタックセル20dの第2分液板70bは、両分液板50b,70bの背面50y,70yが接触する状態で配置されている。
各サブスタックセル20c,20dの第1分液板50bの一方の側端面50fには、流出口15c及び流入口16bが形成され、第2分液板70bの一方の側端面70fには、流入口14b及び流出口17cが形成されている。さらに、流入口14bには正極往路配管14が、流出口15cには正極復路配管15が、流入口16bには負極往路配管16が、流出口17cには負極復路配管17がそれぞれ接続されている。
なお、図8に示される各配管に記載した矢印は、電解液(正極液L+又は負極液L-)の流れる向きを示すものである。
図12に示されるように、第1分液板50bの背面50yには、後述の第2装着部材87bが装着される第2凹部50cと第3装着部材87cが装着される第3凹部50dが形成されている。そして、第2凹部50c内には正極液流出路15aに連通する第2連通穴50eが形成されており、第3凹部50d内には負極液流入路16aに連通する第3連通穴50fが形成されている。同様に、第2分液板70bの背面70yには、後述の第1装着部材87aが装着される第1凹部70cと第4装着部材87dが装着される第4凹部70dが形成されている。そして、第1凹部70c内には正極液流入路14aに連通する第1連通穴70eが形成されており、第4凹部70d内には負極液流出路17aに連通する第4連通穴70fが形成されている。つまり、両背面50y,70yのいずれかの位置に、これらの連通穴50e,50f,70e,70fが形成されている。そして、第1連通穴70eと第3連通穴50fは異なる背面に対向配置されており、第2連通穴50eと第4連通穴70fは対向配置されている。
また、セルスタック13bは、第1連通穴70eに装着される第1装着部材87aと、第2連通穴50eに装着される第2装着部材87bと、第3連通穴50fに装着される第3装着部材87cと、第4連通穴70fに装着される第4装着部材87dとを備えている(図11参照)。なお、各装着部材は、連通穴に対して着脱可能に装着することができる。
図10に示されるように、第1装着部材87aは、板状の本体87eと、装着されたときに正極液流入路14a内に位置する中空の突起部87fとを備えている。
この突起部87fの根元位置(本体87eに隣接する位置)には、横方向(正極液流入路14aの延在方向)に貫通するスリット穴87gが形成されており、本体87eには、スリット穴87gから反対側に貫通する第1貫通穴89aが形成されている(図11参照)。つまり、貫通穴89aは、スリット穴87g及び突起部87fの中空部に連通している。
そして、図9に示されるように、突起部87fには、中空部に装着された電極87hと、電極87hに接触する状態で配置された反応電極87iと、反応電極87iを保持すると共に正極液流入路14a内の正極液L+から電極87hを保護する保持部87jと、第1貫通穴89aの位置に反応電極87iに接触する状態で取り付けられた隔膜87kとを備えている。
このような第1装着部材87aを第1連通穴70eに装着した状態で、正極液流入路14aに正極液L+を流通させると、正極液L+の一部がスリット穴87gを通過し、反応電極87iに接触する。これにより、開路電圧を測定できる。
なお、第2装着部材87b、第3装着部材87c及び第4装着部材87dの構成は、第1装着部材87aと同様であるので、同様の構成には共通の符号を付し(貫通穴を除く)、その詳細な説明を省略する。なお、第2装着部材87bの貫通穴(第2貫通穴)には符号「89b」を付し、第3装着部材87cの貫通穴(第3貫通穴)には符号「89c」を付し、第4装着部材87dの貫通穴(第4貫通穴)には符号「89d」を付す(図11参照)。
また、分液板50b,70bでは、液漏れ防止のために、適宜、シール材を用いるが、ここでは説明及び図示を省略した。
そして、各貫通穴89a〜89dは、次のような配置である。つまり、第1連通穴70eに装着した第1装着部材87aの第1貫通孔89aと、第3連通穴50fに装着した第3装着部材87cの第3貫通孔89cとが対向する配置になっている(図11参照)。同様に、第2連通穴50eに装着した第2装着部材87bの第2貫通孔89bと、第4連通穴70fに装着した第4装着部材87dの第4貫通孔89dとが対向する配置になっている。
したがって、各装着部材87a〜87dを対応する連通穴に装着した状態で、セルスタック13bを組み立てると、第1サブスタックセル20cの第1分液板50bの背面50yと第2サブスタックセル20dの第2分液板70bの背面70yとが接触し、第1装着部材87aの第1貫通孔89aと第3装着部材87cの第3貫通孔89cとが対向する状態になる(図9参照)。同様に、第2装着部材87bの第2貫通孔89bと第4装着部材87dの第4貫通孔89dとが対向する状態になる(不図示)。
この状態に組み立てられると、図9に示されるように、第1装着部材87aの反応電極87iと第3装着部材87cの反応電極87iによって隔膜87kを挟む状態になり、入口開路電圧測定ユニットが構成される。同様に、第2装着部材87bと第4装着部材87dとによって、出口開路電圧測定ユニットが構成される。
なお、第1装着部材87aの反応電極87iと第3装着部材87cの反応電極87iによって挟まれる隔膜87kは1枚でよい。したがって、第1装着部材87a及び第3装着部材87cとして、予め隔膜87kが装着された装着部材を用いる場合は、いずれか一方の装着部材については隔膜を剥がしたものを用いればよい。反対に、隔膜87kが装着されていない装着部材を用いる場合は、いずれか一方の装着部材に隔膜87kを貼った後、組み立てに用いることができる。また、本実施例では、隔膜87kの周囲からの液漏れを防止するシール材の説明及び図示を省略した。
このように、本実施例の電池では、第1装着部材87aと第3装着部材87cによって入口開路電圧測定ユニットが構成され、第2装着部材87bと第4装着部材87dとによって出口開路電圧測定ユニットが構成されている。このような構成であれば、セルスタック13bを組み立てると同時に、開路電圧測定ユニットが組み立てられるので、組み立てが容易である。
ところで、電解液の充電深度(SOC、State Of Charge。以下、充放電レベルと称する)と開路電圧との関係は、バナジウム電解液の場合、図13のグラフに示されるような関係である。ここでいう充電深度とは、簡単に説明すれば、測定対象の正極液(及び負極液)中の全バナジウムイオンに対する5価のバナジウムイオン(負極液では、全バナジウムインに対する2価のバナジウムイオン)の割合である。
図示されるように、充放電レベルに対する開路電圧の傾き(変化率)は常に正の値をとる関係であり、充電が進んで充電レベルが高くなる(充電深度が100%に近づく)に従って開路電圧値は高くなり、逆に、放電が進んで充電レベルが低くなる(放電レベルが高くなる)に従って開路電圧値は低くなる。また、充電レベルが100%に近い範囲と、充電レベルが0%(放電レベルが100%)に近い範囲では、充電レベルに対する開路電圧の傾き(変化率)の絶対値の値が大きくなっている。
従って、例えば実施例1のレドックスフロー電池10において、充電動作中に発電量が急増すると、セルスタック13の正極室31a及び負極室32a内の電解液(正極液及び負極液)の充電レベルが急激に高くなる。
充電レベルが急激に高くなった電解液は、正極室31a及び負極室32aから流出し、その一部がセルスタック13内に設置された出口開路電圧測定ユニット90に直ちに流入する。すると、ユニット90内の小型セル91で検出される出口開路電圧値が急激に高くなる。このように、実施例1のレドックスフロー電池10では、セルスタック13の正極室31a及び負極室32a内の電解液の充電レベルを迅速に検出することができる。
なお、充電レベルが急激に高くなった電解液は、その後、正極液タンク11及び負極液タンク12に戻され、各タンク11,12内の電解液と混合した後、セルスタック13に向けて再び送り出される。そして、送り出された電解液の一部がセルスタック13内に設置された入口開路電圧測定ユニット80に流入すると、このユニット80で検出される入口開路電圧値の変化率に変化が生じる(充電レベルの変化率が高くなる)。このように、入口開路電圧を測定するだけでは、セルスタック13内の電解液における充電レベルの急激な変化を迅速に検出することは難しく、検出できるとしても時間がかかる。時間がかかれば、検出する前に、電解液を過充電状態にしてしまうおそれがある。電解液が過充電状態になると、電解液中の溶解物質が析出するなどの不具合が生じるおそれがある。
この点、実施例1の電池10では、入口開路電圧に基づいて電池の充電レベルを把握することができ、しかも入口開路電圧と出口開路電圧の電圧差に基づいてセルスタック13内での充電レベル(又は放電レベル)の変化をリアルタイムで把握することができる。従って、上述したように、セルスタック13内の電解液の充電レベルが急激に変化した場合でも、その変化を迅速且つ確実に検出することができる。
さらに、実施例1の電池10は、セルスタック13内に、入口開路電圧測定ユニット80及び出口開路電圧測定ユニット90を備えているので、正極室31a及び負極室32aに入る直前の電解液を用いて入口開路電圧を測定でき、正極室31a及び負極室32aを出た直後の電解液を用いて出口開路電圧を測定できる。従って、セルスタック13内での充電レベルの変化を極めて迅速に検出することができる。
また、セルスタック13内に、測定ユニット80、90だけでなく、流入正極液分流路18a、流入負極液分流路18b、流出正極液分流路18c及び流出負極液分流路18dを備えている。つまり、これらの分流路を短い流路で構成している。分流路が短いと、各分流路の入口から測定ユニットまでの電解液の流れなどについて、より正確な管理や制御を行うことができる。例えば、分流路の入口から測定ユニットまでの電解液の到達時間などについてである。これにより、例えば、同時に正極室31a及び負極室32aを流出した正極液L+及び負極液L-を、よりタイムラグが少ない状態で測定ユニット90に流入させることがより容易になる。
例えば、実施例1の電池10では、充電時に、出口開路電圧が安定電圧区間の上限設定値S1(例えば1550mV、図13参照)になると、電解液流量を増加させるという制御を行うことができる。
正極室31a及び負極室32a内の電解液の充電レベルが急激に変化し始めたとき、入口開路電圧しか測定していなければ、急激な変化に対応できず、電解液が過充電状態になるといった不具合が生じる可能性がある。
この点、実施例1のように出口開路電圧を測定していれば、電解液の急激な充電レベル上昇を迅速に検出することができ、出口開路電圧が上限設定値S1に達したときに電解液流量を増加させることができる。これにより、電解液の充電レベルの急激な変化を抑制しつつ充電を続行することができ、電解液が過充電状態になることを防止することができる。
そして、出口開路電圧が上限設定値S1を超えないように制御して、例えば充放電レベルが90%以上にならないように制御すると、レドックスフロー電池の運転の安定性が確保されるだけでなく、部材劣化が防止される。
また、実施例1の電池10では、出口開路電圧が制御電圧区間の上限設定値T1(例えば1650mV、図13参照)になると、通電回路のスイッチをオフにして充電を停止するという制御を行うことができる。このような制御を行えば、正極室31a及び負極室32aから流出した電解液の充電レベルが急激に上昇したとしても、出口開路電圧が上限設定値T1に達したときに充電が停止させることで、電解液が過充電状態になることを防止することができる。
他方、放電動作時であれば、出口開路電圧が下限設定値S2(例えば1300mV、図13参照)になると、電解液流量を増加させるという制御を行うことができる。
正極室31a及び負極室32a内の電解液の充電レベルが急激に低下し始めたとき、入口開路電圧しか測定していなければ、急激な変化に対応できず、セルスタック13内の電解液が過放電状態になり、十分な電力を供給できなくなるといった不具合が生じる可能性がある。
この点、実施例1のように出口開路電圧を測定していれば、電解液の急激な充電レベル低下を迅速に検出することができ、出口開路電圧が下限設定値S2に達したときに電解液流量を増加させることができる。これにより、電解液の充電レベルの急激な低下を抑制しつつ電力供給を続行することができ、電圧の安定性が確保される。
そして、出口開路電圧が制御電圧区間の下限設定値T2(例えば1200mV)になると、スイッチをオフにして放電を停止する。これにより、電解液が過放電状態になることが防止される。
さらに、実施例1の電池10では、入口開路電圧と出口開路電圧の電圧差を用いて、次に説明するような制御を行うことができる。
なお、ここでいう電圧差は、出口開路電圧の値から入口開路電圧の値を引いて算出した値である。放電時に算出される電圧差の値は負の値になる。そこで、ここでは、算出された負の値の絶対値を、放電時の電圧差として用いる。
電圧差を用いた制御とは、例えば、電圧差の値が所定の電圧差上限設定値U1(例えば100mV)を超えて大きくなろうとすると電解液流量を増加させるという制御(電解液流量制御)である。電解液の流量を増加させると、電解液の充電レベルの上昇が抑制され、電圧差が安定する。これにより、電圧差が上限設定値U1を超えない制御が実現され、過充電が防止されることとなり、安定した運転が実現される。また、充電が進むと充電レベルが高まってエネルギ密度が高まり、セル抵抗が大きくなっていくが(図15参照)、電解液の流量を増加させると、セル抵抗が低下して充電効率が向上する(図14参照)。また、放電時(出力時)には電解液流量を増加することによってスタック13内の開路電圧の低下を抑制し、高出力の放電をより長時間続けることができる。つまり、電圧差の変化量に基づいて電解液の流量の制御(ポンプの制御)を行うことによってレドックスフロー電池10の蓄電容量を増加させたり、所定電圧での電力供給をより長時間続けたりすることができ、高出力の充放電が可能となる。
なお、この制御(電解液流量制御)を行う場合は、電解液流量が増加して所定の上限流量設定値U1に達したとき、スイッチをオフにして充電(又は放電)を停止する制御を併せて行ってもよい。電解液の流量を増加させると、ポンプの消費電力が増加して充電コストが増加するので、電解液流量が所定の上限流量に達すると、充電を停止する。
また、電圧差を用いた制御とは、例えば、電圧差の値が所定の電圧差上限設定値U1を越えた状態が一定時間継続すると、スイッチをオフにして充電(又は放電)を停止するという制御である。つまり、充電停止動作(又は放電停止動作)の制御である。この制御を行うと、電解液の過充電(又は過放電)が防止される。
電圧差上限設定値U1としては、電圧差の算出に用いられる入口開路電圧の値に応じて異なる値を用いてもよい。例えば、充電時の場合、入口開路電圧が比較的低い値(例えば1450mV以下)に対しては、上限設定値として比較的大きい値(例えば150mV)を設定し、比較的高い値(例えば1450mV以上)に対しては、上限設定値として比較的小さい値(例えば80mV)を設定することが考えられる。他方、放電時の場合、入口開路電圧が比較的低い値(例えば1450mV以下)に対しては、上限設定値として比較的小さい値(例えば80mV)を設定し、比較的高い値の場合(例えば1450mV以上)に対しては、上限設定値として比較的大きい値(例えば150mV)を設定することが考えられる。
なお、上述した各種設定値の具体的な数値は、各設定値の一例である。実際には、レドックスフロー電池を設計する際、状況に応じて適宜定められるものである。
このように、実施例1の電池10によれば、充放電時に、入口開路電圧(セルに流入する直前の電解液の開路電圧)及び出口開路電圧(セルから流出した直後の電解液の開路電圧)を検出することができ、検出した開路電圧を用いて電解液流量の制御や充放電の停止を制御することができる。さらに、リアルタイムで検出した電力値と電圧差値に基づいて、電解液の流量を制御することも可能である。このような制御を行うことで電池の利用効率を向上させることができる。
例えば、風力や太陽光などの自然エネルギを利用して発電した電力は、短時間の間に時々刻々と変動するものであり、しかも急激に変化することも少なくない。このような場合に入口開路電圧だけでレドックスフロー電池を安定運転するには限界がある。本実施例の電池10では、上述したように、出口開路電圧や開路電圧の電圧差をリアルタイムで検出するので、これらの値の変化を迅速且つ精度良く把握することができ、これらの変動に対して機動的に対応できる。従って、自然エネルギを利用して発電した電力の蓄電用電池として好適である。
また、実施例2及び実施例3の電池は、入口開路電圧測定ユニット80で上流開路電圧を測定でき、出口開路電圧測定ユニット90で下流開路電圧を測定できる点で、実施例1の電池10と共通の構成を備えている。従って、両実施例の電池を用いた場合も、上述した実施例1の電池10によって得られる効果と同様の効果を得ることができる。
なお、本発明に係るレドックスフロー電池、セルスタック、分液板及びレドックスフロー電池の運転方法は、上記実施例のものに限られない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変されたものは、本発明の範囲に含まれる。
例えば、入口開路電圧や出口開路電圧の測定に必要な入口開路電圧測定ユニット80の小型セル(入口開路電圧測定部)81や出口開路電圧測定ユニット90の小型セル(出口開路電圧測定部)91は、セルスタック13を構成するいずれかのセルのフレーム部材30に設けられていればよい。
これらの小型セル81,91の配置構成例としては、例えば、一つのセル20を構成する一対のフレーム片31,32のいずれか一方に両方の小型セル81,91を設置する構成と、一対のフレーム片31,32を構成する各フレーム片にそれぞれいずれか一方の小型セルを設置する構成とを挙げることができる。
また、入口開路電圧や出口開路電圧の測定に必要な流入正極液分流路18a、流入負極液分流路18b、流出正極液分流路18c及び流出負極液分流路18dも、セルスタック13を構成するセル20のいずれかのフレーム部材30に設けられていればよい。これらの流路の配置構成例としては、例えば、一つのセル20を構成する一対のフレーム片31,32のいずれか一方に両方の小型セル81,91を設置する構成と、一対のフレーム片31,32を構成する各フレーム片にそれぞれいずれか一方の小型セル81,91を設置する構成とを挙げることができる。
また、実施例1の電池10のセルセルスタック13は、複数のセル20を積層した構成であるが、複数のサブスタックで構成されたセルスタック13でもよい。この場合、各サブスタックが複数のセル20を積層した構成である。
また、実施例1では、セル20の隔膜21に電解液の流路の構成要素(例えば貫通孔)を形成したが、隔膜21に流路を形成していない構成でもよい。隔膜21を小さくしたり、形状を変えたりすることで、隔膜21に流路を形成しない構成が考えられる。
また、実施例1では、セルスタック13の分液板50,70等のフレーム部材30に形成した流路は、部材内部に形成された通路であるが、このような構成に限られるものではない。例えば、分液板50,70等の部材の表面に溝を形成することによって流路を構成してもよい。セルスタック13を構成する各部材は積層状態に重ね合わされるものであるので、部材表面に溝を形成しておくことで、重ね合わせたときに流路が構成されるようにすることができる。
また、実施例1の電池10のコントローラは、出口開路電圧及び電圧差に基づいて、電解液流量(ポンプの出力)の制御、スイッチのオン制御及びスイッチのオフ制御を行うものであるが、出口開路電圧及び電圧差に基づいてこれら以外の制御を行うことができるコントローラでもよい。例えば、充電時に送られてくる電力(入力電源)や放電時の供給電力(出力電源)の電力変動が大きいときに、リアルタイムの電力及び電圧差に基づいて電解液の流量を制御することが考えられる。このような制御を行うことで電池の効率を向上させることができる。
また、本発明に係るレドックスフロー電池の運転方法としては、上述した全ての制御を行うものでなくてもよい。少なくともいずれか一つの制御を含むものであればよい。
また、出口開路電圧値から入口開路電圧値を差し引いて電圧差を算出する場合、当該出口開路電圧値としては、制御内容などに応じて、異なる条件で測定された出口開路電圧値を用いることができる。具体的には、例えば、差し引かれる入口開路電圧値を測定したときに同時に測定された出口開路電圧値、あるいは、差し引かれる入口開路電圧値を測定したときに正極室及び負極室に流入した電解液が正極室及び負極室から流出して出口開路電圧測定ユニット90の小型セル91に流入した時点で測定された出口開路電圧値などを挙げることができる。

Claims (12)

  1. 正極液貯槽と、負極液貯槽と、セルスタックと、正極液貯槽から送り出された正極液をセルスタックのセルの正極室に送る正極液往路と、正極室から流出した正極液を前記正極液貯槽に送る正極液復路と、負極液貯槽から送り出された負極液を前記セルの負極室に送る負極液往路と、負極室から流出した負極液を前記負極液貯槽に送る負極液復路とを備えているレドックスフロー電池であって、
    前記正極液往路内の正極液と前記負極液往路内の負極液との間の上流開路電圧を測定する上流開路電圧測定部と、
    前記正極液復路内の正極液と前記負極液復路内の負極液との間の下流開路電圧を測定する下流開路電圧測定部とを備えていることを特徴とするレドックスフロー電池。
  2. 前記セルスタックには、複数の単セルで構成されたサブスタックセルが複数含まれており、
    各サブスタックセルは、前記負極液往路の下流部である負極液流入路が形成された一方の分液板である第1分液板と、前記正極液往路の下流部である正極液流入路が形成された他方の分液板である第2分液板とで構成される一対の分液板を備えており、
    前記第1分液板には、前記正極液復路の上流部である正極液流出路と、前記負極液復路の上流部である負極液流出路のいずれか一方の流出路が形成されていると共に、前記第2分液板には、他方の流出路が形成されており、
    前記複数のサブスタックセルのうちの一つである第1サブスタックセルの第1分液板と、当該第1サブスタックセルの隣りに配置された第2サブスタックセルの第2分液板とが隣接しており、
    前記上流開路電圧測定部は、前記第2サブスタックセルの第2分液板に接続された正極液往路内の正極液と、前記第1サブスタックセルの第1分液板に接続された負極液往路内の負極液との間の上流開路電圧を測定するものであり、
    前記下流開路電圧測定部は、前記第1サブスタックセルの第1分液板及び前記第2サブスタックセルの第2分液板のいずれか一方の分液板に接続された正極液復路内の正極液と、他方の分液板に接続された負極液復路内の負極液との間の下流開路電圧を測定するものである、請求項1に記載のレドックスフロー電池。
  3. 前記正極液流入路の流入口と前記負極液流入路の流入口とを結ぶ直線と、前記正極液流出路の流出口と前記負極液流出路の流出口とを結ぶ直線とが交差しないように、各流入口及び流出口が配置されている、請求項2に記載のレドックスフロー電池。
  4. 前記上流開路電圧測定部及び前記下流開路電圧測定部は、前記流入口又は流出口と、前記正極液貯槽又は負極液貯槽との間の液流路上に配置されている、請求項3に記載のレドックスフロー電池。
  5. 前記第1サブスタックセルの前記第1分液板及び前記第2サブスタックセルの前記第2分液板は、両分液板の背面同士が接する状態で配置されており、
    前記第2サブスタックセルの第2分液板の背面には、前記正極液流入路に連通する第1連通穴が形成されていると共に、前記第1サブスタックセルの第1分液板の背面には、前記負極液流入路に連通する第3連通穴が形成されており、
    前記第1サブスタックセルの第1分液板には、前記正極液復路の上流部である正極液流出路に連通する第2連通穴と、前記負極液復路の上流部である負極液流出路に連通する第4連通穴のいずれか一方の流出路が形成されていると共に、前記第2サブスタックセルの第2分液板には、他方の流出路に連通する連通穴が形成されており、
    前記第1連通穴には第1貫通孔を備えた第1装着部材が装着され、前記第2連通穴には第2貫通孔を備えた第2装着部材が装着され、前記第3連通穴には第3貫通孔を備えた第3装着部材が装着され、前記第4連通穴には第4貫通孔を備えた第4装着部材がそれぞれ装着されており、
    異なる背面に形成された前記第1連通穴と前記第3連通穴は、前記セルスタックを組み立てたときに、前記第1貫通孔と第3貫通孔とが対向する状態になる位置に配置されており、
    異なる背面に形成された前記第2連通穴と前記第4連通穴は、前記セルスタックを組み立てたときに、前記第2貫通孔と第4貫通孔とが対向する状態になる位置に配置されており、
    各装着部材は、貫通孔の内側に配置された反応電極と、当該反応電極に接触した電極とを備えており、
    前記第1装着部材及び第3装着部材の少なくともいずれか一方は、前記第1装着部材の反応電極と第3装着部材の反応電極に挟まれる前記上流開路電圧測定部の隔膜を備えており、
    前記第2装着部材及び第4装着部材の少なくともいずれか一方は、前記第2装着部材の反応電極と第4装着部材の反応電極に挟まれる前記下流開路電圧測定部の隔膜を備えており、
    前記セルスタックを組み立てると、前記第1装着部材と第3装着部材とによって上流開路電圧測定部が組み立てられると共に、前記第2装着部材と第4装着部材とによって下流開路電圧測定部が組み立てられる、請求項2に記載のレドックスフロー電池。
  6. 前記上流開路電圧と前記下流開路電圧との電圧差値と、前記下流開路電圧値のうちの少なくともいずれか一方の値を用いて、電解液流量、充電停止動作及び放電停止動作のうちの少なくともいずれか一つを制御するコントローラを備えている、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のレドックスフロー電池。
  7. 前記コントローラは、前記上流開路電圧、前記下流開路電圧及び前記電圧差を用いて、電解液流量、充電停止動作及び放電停止動作を制御するものである、請求項6に記載のレドックスフロー電池。
  8. 正極液貯槽から送り出された正極液を、正極液流入路を介してセルスタックの各セルの正極室に送り、当該正極室から流出した正極液を、正極液流出路を介して前記正極液貯槽に送り、負極液貯槽から送り出された負極液を、負極液流入路を介して前記各セルの負極室に送り、当該負極室から流出した負極液を、負極液流出路を介して前記負極液貯槽に送るレドックスフロー電池の運転方法であって、
    前記正極液流入路内の正極液と前記負極液流入路内の正極液との間で測定された上流開路電圧と、前記正極液流出路内の正極液と前記負極液流出路内の負極液との間で測定された下流開路電圧の電圧差と、前記下流開路電圧のうちの少なくともいずれか一つを用いて、電解液流量、充電停止動作及び放電停止動作のうちの少なくともいずれか一つを制御することを特徴とするレドックスフロー電池の運転方法。
  9. 前記上流開路電圧、前記下流開路電圧及び前記電圧差を用いて、電解液流量、充電停止動作及び放電停止動作を制御する、請求項8に記載のレドックスフロー電池の運転方法。
  10. 請求項2に記載のレドックスフロー電池の上流開路電圧測定ユニット及び下流開路電圧測定ユニットの少なくともいずれか一方として用いられる開路電圧測定ユニットであって、
    ユニット内に内蔵された前記開路電圧測定部と、正極液流通室と、負極液流通室と、前記正極液流通室に連通する正極液入口及び正極液出口と、前記負極液流通室に連通する負極液入口及び負極液出口と、両流通室を連通する連通孔とを備えており、
    前記開路電圧測定部は、前記連通孔の位置に配置された隔膜と、隔膜に接する状態で前記正極液流通室側に配置された一方の反応電極と、隔膜に接する状態で前記負極液流通室側に配置された他方の反応電極と、一方の反応電極に接する電極と、他方の反応電極に接する電極とを備えている開路電圧測定ユニット。
  11. 請求項5に記載のレドックスフロー電池で用いられているセルスタック。
  12. 請求項2に記載のセルスタックで用いられるサブスタックセルの一対の分液板であって、
    第1分液板の背面には、前記負極液流入路に連通する第3連通穴が形成されており、
    第2分液板の背面には、前記正極液流入路に連通する第1連通穴が形成されており、
    第1分液板には、前記正極液復路の上流部である正極液流出路に連通する第2連通穴と、前記負極液復路の上流部である負極液流出路に連通する第4連通穴のいずれか一方の流出路が形成されていると共に、第2分液板には、他方の流出路に連通する連通穴が形成されており、
    前記第1連通穴には第1貫通孔を備えた第1装着部材が装着され、前記第2連通穴には第2貫通孔を備えた第2装着部材が装着され、前記第3連通穴には第3貫通孔を備えた第3装着部材が装着され、前記第4連通穴には第4貫通孔を備えた第4装着部材がそれぞれ装着されており、
    前記第1連通穴と前記第3連通穴は、一対の分液板の背面同士を接触させて重ね合わせたときに、前記第1貫通孔と第3貫通孔とが対向する状態になる位置に配置されており、
    前記第2連通穴と前記第4連通穴は、一対の分液板の背面同士を接触させて重ね合わせたときに、前記第2貫通孔と第4貫通孔とが対向する状態になる位置に配置されており、
    各装着部材は、貫通孔の内側に配置された反応電極と、当該反応電極に接触した電極とを備えており、
    前記第1装着部材及び第3装着部材の少なくともいずれか一方は、前記第1装着部材の反応電極と第3装着部材の反応電極に挟まれる前記上流開路電圧測定部の隔膜を備えており、
    前記第2装着部材及び第4装着部材の少なくともいずれか一方は、前記第2装着部材の反応電極と第4装着部材の反応電極に挟まれる前記下流開路電圧測定部の隔膜を備えている、一対の分液板。
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