JPWO2014155662A1 - 液圧式ショックアブソーバ - Google Patents

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Abstract

電流が供給される場合において、その供給される電流の大きさに応じた減衰力である電流依存減衰力FDAを発生させるとともに、電流が供給されていない場合において、設定された大きさの減衰力である電流非供給時設定減衰力FDOを発生させる減衰力発生器12を備えた液圧式ショックアブソーバにおいて、減衰力発生器12へ供給すべき電流が閾値を超える場合に、その減衰力発生器12への電流の供給を禁止するように構成する。減衰力発生器12が受ける電流が閾値を超えて大きくなるような場合に、その減衰力発生器12への電流供給を禁止して、電流非供給時設定減衰力FDOを発生させるため、消費電力を抑えつつ、減衰性能を確保することが可能となる。

Description

本発明は、車両に搭載される液圧式ショックアブソーバに関する。
下記特許文献には、(A)作動液を収容するハウジングと、そのハウジング内に摺動可能に配設されたピストンと、一端部がピストンに連結されるとともに他端部がハウジングから延び出すロッドとを有し、車両のばね上部とばね下部と繋ぐようにして配設されてそれらばね上部とばね下部との相対移動によって伸張・収縮するシリンダと、(B)シリンダの伸張と収縮との少なくとも一方に伴う作動液の流れに対して抵抗を与えることで、シリンダの伸張と収縮との少なくとも一方に対する減衰力を発生させるものであって、自身に電流が供給される場合において、その供給される電流の大きさに応じた大きさの減衰力である電流依存減衰力を発生させるとともに、自身に電流が供給されていない場合において、設定された大きさの減衰力である電流非供給時設定減衰力を発生させる減衰力発生器とを備えた液圧式ショックアブソーバが記載されている。
特開2011−132995号公報
上記のような液圧式ショックアブソーバは、未だ開発途上にあり、種々の改良を施すことによって、実用性を向上させることが可能である。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、実用性の高い液圧式ショックアブソーバを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の液圧式ショックアブソーバは、上記のシリンダおよび減衰力発生器と、その減衰力発生器に電流を供給するとともにその供給する電流の大きさを制御するコントローラとを備えた液圧式ショックアブソーバであって、そのコントローラが、減衰力発生器へ供給すべき電流が閾値を超える場合に、その減衰力発生器への電流の供給を禁止するように構成されたことを特徴とする。
本発明の液圧式ショックアブソーバは、例えば、減衰力発生器が受ける電流が閾値を超えて、大きくなるような場合に、その減衰力発生器への電流供給を禁止して、電流非供給時設定減衰力を発生させるように構成される。つまり、本発明の液圧式ショックアブソーバによれば、消費電力を抑えつつ、減衰性能を確保することが可能である。そのような利点を有することで、本発明の液圧式ショックアブソーバは、実用性の高いものとなる。
発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から何某かの構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
なお、以下の各項において、(1)項ないし(8)項の各々が、請求項1ないし請求項8の各々に相当する。
(1)作動液を収容するハウジングと、そのハウジング内に摺動可能に配設されたピストンと、一端部が前記ピストンに連結されるとともに他端部が前記ハウジングから延び出すロッドとを有し、車両のばね上部とばね下部と繋ぐようにして配設されてそれらばね上部とばね下部との相対移動によって伸張・収縮するシリンダと、
前記シリンダの伸張と収縮との少なくとも一方に伴う作動液の流れに対して抵抗を与えることで、前記シリンダの伸張と収縮との少なくとも一方に対する減衰力を発生させる減衰力発生器であって、自身に電流が供給される場合において、その供給される電流の大きさに応じた大きさの減衰力である電流依存減衰力を発生させるとともに、自身に電流が供給されていない場合において、設定された大きさの減衰力である電流非供給時設定減衰力を発生させる減衰力発生器と、
前記減衰力発生器に電流を供給するとともに、その供給する電流の大きさを制御するコントローラと
を備えた液圧式ショックアブソーバであって、
前記コントローラが、前記減衰力発生器へ供給すべき電流が閾値を超える場合に、その減衰力発生器への電流の供給を禁止するように構成された液圧式ショックアブソーバ。
本項に記載の液圧式ショックアブソーバは、減衰力発生器が電流供給を受けている場合に、その電流に応じた大きさの減衰力を発生させ、電流が供給されない場合にも特定の大きさの減衰力を発生させる構成のものを前提とする。本項に記載の「減衰力発生器」は、シリンダ伸張および収縮の両方に対する減衰力を発生させるものであってもよく、シリンダ伸張あるいは収縮のいずれか一方に対する減衰力を発生させるものであってもよい。つまり、本態様の液圧式ショックアブソーバは、シリンダ伸張および収縮の両方に対する減衰力を発生させる減衰力発生器を1つだけ備えるものであってもよく、シリンダ伸張と収縮との各々に対して減衰力を発生させる2つの減衰力発生器を備えるものであってもよい。
本項に記載の液圧式ショックアブソーバは、例えば、減衰力発生器が受ける電流が大きくなるような場合に、その減衰力発生器への電流供給を禁止して、電流非供給時設定減衰力を発生させるように構成される。つまり、本態様の液圧式ショックアブソーバによれば、減衰力発生器による電力消費を抑えることが可能である。そして、本態様の液圧式ショックアブソーバは、減衰力発生器への電流供給が禁止されても、減衰力発生器によって、固定的な減衰力である電流非供給時設定減衰力を発生させるように構成されるため、減衰性能を確保することが可能である。なお、本項に記載の「閾値」は、固定的に設けられた値であってもよく、何らかのパラメータ等に基づいて変更されるような値であってもよい。
上記ショックアブソーバが発生させる減衰力FDは、ばね上部とばね下部との相対速度(以下、「ばね上ばね下相対速度」という場合がある)vS/USに依存しており、簡単には、
D=ζ・vS/US ζ:減衰係数
と、表すことができる。したがって、減衰力発生器の減衰力を比較する場合等においては、同じばね上ばね下相対速度vS/USであることが前提となる。そのことに鑑みて、本明細書における減衰力の大小は、減衰力発生特性の相違、具体的には、減衰係数の大小を意味することがあることとし、また、減衰力の変更は、減衰力発生特性の変更、具体的には、減衰係数の変更を意味することがあることとする。
上記減衰力の考え方に従えば、本項における減衰力発生器が発生させる「電流依存減衰力」は、供給される電流の大きさに応じて減衰力発生特性が変化するような減衰力、つまり、供給される電流の大きさに応じて大きさが変化する減衰係数に基づく減衰力を意味し、「電流非供給時設定減衰力」は、減衰力発生特性が固定された減衰力、つまり、固定的な減衰係数に基づく減衰力を意味する。
また、本態様の液圧式ショックアブソーバにおいて、コントローラが減衰力発生器に供給する電流の大きさを決定する手法は、特に限定されず、例えば、車速等に応じて減衰係数を変更すべく供給電流を変更する方法や、目標となる減衰力を決定してその減衰力に応じた電流を供給する方法など、種々の方法を採用することができる。
(2)前記減衰力発生器が、
自身に供給される電流が大きくなる程、発生させる前記電流依存減衰力が大きくなるように構成された(1)項に記載の液圧式ショックアブソーバ。
本項に記載の態様は、減衰力発生器に供給される電流と、その減衰力発生器が発生させる減衰力との関係が、特定された態様である。
(3)当該液圧式ショックアブソーバが、
前記電流非供給時設定減衰力の大きさが、前記電流依存減衰力の上限値より小さくなるように構成された(2)項に記載の液圧式ショックアブソーバ。
当該ショックアブソーバは、設定された大きさの減衰力である電流非供給時設定減衰力を発生させようとしても、減衰力発生器が実際に発生させる減衰力は、電流非供給時設定減衰力より大きい場合や小さい場合など、電流非供給時設定減衰力に対して、ばらつきが生じる場合がある。本項に記載の態様は、電流依存減衰力の上限値より電流非供給時設定減衰力が小さく設定されているため、本態様のショックアブソーバによれば、減衰力発生器に電流が供給されていない場合に減衰力発生器が実施に発生させる減衰力が、電流依存減衰力の上限値を超えないようにすること、つまり、必要以上に大きな減衰力を発生させないようにすることが可能である。ちなみに、本項に記載の「電流依存減衰力の上限値」とは、電流の供給を受けて減衰力発生器が発生させることが可能な限界値であってもよく、通常時の制御において供給する電流の制限値に対応する減衰力であってもよい。
(4)当該液圧式ショックアブソーバが、前記減衰力発生器に電流が供給されていない場合に、その減衰力発生器が実際に発生させることになる減衰力にばらつきが生じるものであり、
前記電流非供給時設定減衰力の大きさが、前記減衰力発生器に電流が供給されていない場合において減衰力がばらつく可能性のある範囲の最大値が、前記電流依存減衰力の上限値と等しくなるように構成された(2)項または(3)項に記載の液圧式ショックアブソーバ。
本項に記載の態様は、上述した減衰力発生器が発生させる減衰力のばらつきを考慮して、電流非供給時設定減衰力を設定した態様である。本項に記載の態様においては、電流非供給時設定減衰力に対して、減衰力発生器が実際に発生させる可能性のある範囲内の減衰力が、電流依存減衰力の範囲内に収まっている。つまり、本態様のショックアブソーバによれば、減衰力発生器に電流が供給されていない場合に、必要以上に大きな減衰力を発生させないようになっており、減衰力発生器に電流が供給されていない場合においても、効果的な振動減衰が可能である。
(5)前記コントローラが、
当該液圧式ショックアブソーバに関係する電気系の状態に基づいて前記閾値を決定し、その決定された閾値を前記減衰力発生器へ供給すべき電流が超える場合に、その減衰力発生器への電流の供給を禁止する電気系状態依拠電流供給禁止部を含んで構成された(1)項ないし(4)項のいずれか1つに記載の液圧式ショックアブソーバ。
本項に記載の態様は、電流供給を禁止するための閾値に関する限定を加えた態様である。本項に記載の「液圧式ショックアブソーバに関係する電気系の状態」とは、減衰力発生器,コントローラおよび電源を含み、減衰力発生器と電源とを繋ぐ回路内の状態を意味する。例えば、それら減衰力発生器,コントローラ,電源等における発熱の程度や、電源の充電状態等である。本項に記載の態様によれば、電気系の状態に基づいて、例えば、減衰力発生器への供給電流を制限する必要がある場合に、その供給電流を制限するだけでなく、電流の供給を禁止するため、効率的に消費電力を抑制することが可能である。
(6)前記電気系状態依拠電流供給禁止部が、
当該液圧式ショックアブソーバに関係する電気系の状態として、前記コントローラの温度を用いるものである(5)項に記載の液圧式ショックアブソーバ。
本項に記載の態様は、前述の「電気系の状態」に限定を加えた態様である。コントローラの温度が高くなっている場合、そのコントローラおよび減衰力発生器の負担が大きくなっていると考えられる。本項に記載の態様によれば、そのような場合に電流の供給を禁止することができ、それらコントローラおよび減衰力の負担を軽減することが可能である。なお、コントローラの温度は、直接的に計測したものであっても、他のパラメータから間接的に推定したものであってもよい。
(7)当該液圧式ショックアブソーバが、前記減衰力発生器に電流が供給されていない場合に、その減衰力発生器が実際に発生させることになる減衰力にばらつきが生じるものであり、
前記減衰力発生器が、自身に供給される電流が大きくなる程、発生させる前記電流依存減衰力が大きくなるように構成され、
前記コントローラが、
前記減衰力発生器に電流が供給されていない場合において減衰力がばらつく可能性のある範囲の最小値に等しい大きさの減衰力を前記電流依存減衰力として発生させることになる大きさの電流値である最小設定減衰力対応電流値を、前記閾値として用い、前記減衰力発生器へ供給すべき電流がその最小設定減衰力対応電流値を超える場合に、その減衰力発生器への電流の供給を禁止する最小設定減衰力依拠電流供給禁止部を含んで構成された(1)項ないし(6)項のいずれか1つに記載の液圧式ショックアブソーバ。
本項に記載の態様は、電流供給を禁止するための閾値に関する限定を加えた態様である。本項の態様は、平たく言えば、、電流非供給時設定減衰力を発生させる際に減衰力発生器が実際に発生させる可能性のある範囲の減衰力を、電流が供給されない状態の減衰力発生器が発生させる減衰力に担保させるように構成される。本項の態様によれば、減衰性能の低下を抑えつつ、効率的に消費電力を抑えることが可能である。
なお、本項に記載の「最小設定減衰力依拠電流供給禁止部」は、減衰力発生器へ供給すべき電流が最小設定減衰力対応電流値を超える場合に、常に、減衰力発生器への電流の供給を禁止する態様に限定されない。例えば、設定された条件を充たした場合で、かつ、減衰力発生器へ供給すべき電流が最小設定減衰力対応電流値を超える場合に、減衰力発生器への電流の供給を禁止する態様とすることもできる。
(8)前記減衰力発生器が、
自身に電流が供給されている場合に作動液が通過する主液通路と、自身に電流が供給されていない場合に作動液が通過する副液通路とを有し、
前記主液通路を通過する作動液の流れに対する抵抗を自身に供給される電流の大きさに応じて変化させることで、その電流の大きさに応じた大きさの前記電流依存減衰力を発生させるとともに、前記副液通路を通過する作動液の流れに対して抵抗を付与することで、前記電流非供給時設定減衰力を発生させるように構成された(1)項ないし(7)項のいずれか1つに記載の液圧式ショックアブソーバ。
本項に記載の態様は、減衰力発生器の構造に関する限定を加えた態様である。本態様における減衰力発生器によれば、上記の主液通路を通過する作動液の流れに対して、供給される電流に応じた抵抗を与えることで、容易に、電流依存減衰力の制御が可能であることに加え、副液通路を通過する作動液を通過する作動液の流れに対して抵抗を与えることで、上述のように電流の供給が禁止された場合や電気的失陥時等において、容易に、かつ、確実に、電流非供給時減衰力を発生させることが可能となる。
請求可能発明の実施例としての液圧式ショックアブソーバを模式的に示す図である。 図1の液圧式ショックアブソーバが備える減衰力発生器を示す断面図である。 図2の減衰力発生器が有するソレノイドの磁路を示す図である。 減衰力発生器に供給される電流と減衰力発生器が発生させる減衰力との関係を模式的に示すグラフである。 ばね上ばね下相対速度と減衰力発生器が発生させる減衰力との関係を模式的に示すグラフである。 図1の液圧式ショックアブソーバのコントローラによって実行されるアブソーバ制御プログラムを示すフローチャートである。 図1のコントローラの機能を示すブロック図である。
以下、請求可能発明を実施するための形態として、請求可能発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発明は、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。また、〔発明の態様〕の各項の説明に記載されている技術的事項を利用して、下記の実施例の変形例を構成することも可能である。
[A]液圧式ショックアブソーバの全体構成
請求可能発明の実施例である液圧式ショックアブソーバ(以下、単に「アブソーバ」と言う場合がある)は、図1に示すように、シリンダ10と、減衰力発生器12とを主要構成要素として構成されている。
シリンダ10は、ハウジング20と、ハウジング20の内部において上下方向に移動可能に配設されたピストン22と、一端部(下端部)がピストン22に連結されて他端部(上端部)がハウジング20から上方に延び出すロッド24とを含んで構成されている。ハウジング20の下端には連結部材26が付設されており、ハウジング20は、その連結部材26を介して、車両のばね下部(例えば、サスペンションロアアーム,ステアリングナックル等)に、雄ねじが形成されているロッド24の上端部は、その雄ねじを利用して、車両のばね上部(例えば、車体に設けられたマウント)に、それぞれ連結される。つまり、シリンダ10は、車両のばね上部とばね下部とを繋ぐようにして配設される。ばね上部とばね下部の上下方向の相対移動、つまり、離間,接近に伴って、シリンダ10は、伸縮する。詳しく言えば、ばね上部とばね下部とが離間する方向に相対移動する場合(以下、「リバウンド動作時」若しくは「リバウンド時」と言う場合がある)に伸長し、接近する方向に相対移動する場合(以下、「バウンド動作時」若しくは「バウンド時」と言う場合がある)に収縮する。
ピストン22は、ハウジング20の内部を摺接して移動可能とされており、ハウジング20の内部には、ピストン22によって、作動液で満たされた2つの液室30,32が区画形成されている。詳しく言えば、ピストン22の上方に位置してロッド24が貫通するロッド側室30と、ピストン22の下方に位置する反ロッド側室32とが、それぞれ区画形成されている。それら2つの液室30,32は、シリンダ10の伸縮に伴って、つまり、ばね上部とばね下部との相対移動に伴って、容積が変化する。詳しく言えば、リバウンド動作時には、ロッド側室30の容積が減少し、反ロッド側室32の容積が増加する。一方、バウンド動作時には、ロッド側室30の容積が増加し、反ロッド側室32の容積が減少する。
ハウジング20は、概して2重構造をなしており、有底のメインチューブ36と、メインチューブ36の外周側に付設されたアウターチューブ38とを有している。メインチューブ36の内周面によって、ロッド側室30および反ロッド側室32の周囲が区画されており、メインチューブ36の外周面とアウターチューブ38の内周面との間には、それらによって、作動液を収容するバッファ室(「リザーバ」若しくは「リザーバ室」と呼ぶこともできる)40が区画形成されている。ロッド24の存在により、ロッド側室30と反ロッド側室32との合計容積は、リバウンド時には、増加し、バウンド時には、減少する。バッファ室40は、ロッド側室30と反ロッド側室32とに作動液を充満させた状態でのそれら合計容積の変化を許容するために設けられた液室である。なお、メインチューブ36の内底部には、反ロッド側室32の底を区画する仕切部材42が設けられており、仕切部材42とメインチューブ36の底壁との間には、底部液通路44が形成されている。
メインチューブ36とアウターチューブ38との間には、メインチューブ36を取り巻くようにインターチューブ50が配設されている。ちなみに、バッファ室40の内周は、詳しく言えば、部分的にはそれらインターチューブ50の外周面によって区画されている。そして、インターチューブ50の内周面とメインチューブ36の外周面との間には、比較的長い環状の液通路54が区画形成されている。
メインチューブ36の上部には、液通路54とロッド側室30との間の作動液の流通のために、流通穴60が設けられている。また、メインチューブ36の下端に近い部分には、バッファ室40と底部液通路44との間の作動液の流通のために、底部流通穴64が設けられている。インターチューブ50の下部には、液通路54から前述の減衰力発生器12への作動液の流出を許容する流出口70が設けられている。そして、アウターチューブ38には、その流出口70と同軸的に配置されて、後に詳しく説明する減衰力発生器12からのバッファ室40への作動液の流入を許容する流入口74が設けられている。
先に述べた仕切部材42は、底部液通路44と反ロッド側室とを繋ぐ液通路と、その液通路に配設された反ロッド側室用チェック弁80とを有している。その反ロッド側室用チェック弁80は、バッファ室40から底部液通路44を介した反ロッド側室32への作動液の流入を殆ど抵抗なく許容する一方で、反ロッド側室32からの底部液通路44を介したバッファ室40への作動液の流出を禁止する機能を有する逆止弁である。
また、ピストン22は、ロッド側室30と反ロッド側室32とを繋ぐ1対の液通路と、それら1対の液通路にそれぞれ設けられた1対のチェック弁82,84とを有している。一方のチェック弁82は、ロッド側室30から反ロッド側室32への作動液の通過を許容するともに、反ロッド側室32からロッド側室30への作動液の通過を禁止する機能を有しており、他方のチェック弁84は、反ロッド側室32からロッド側室30への作動液の通過を許容し、ロッド側室30から反ロッド側室32への作動液の通過を禁止する機能を有している。しかしながら、チェック弁82が、ロッド側室30内の作動液の圧力が反ロッド側室32の作動液の圧力に比較してかなり大きいときにしか、作動液の通過を許容しないようにされているため、通常時においては、ピストン22のロッド側室30から反ロッド側室32への作動液の通過は、実質的には行われないようになっている。
そして、後に詳しく説明するが、減衰力発生器12は、上記の流出口70および流入口74を覆うようにして配設されており、ロッド側室30から流出して、液通路54を介してバッファ室40に流入する作動液の通過を許容するとともに、その作動液の流れに対して抵抗を与える機能を有している。
以上のように構成された実施例のアブソーバにおいて、バウンド動作時には、図1に実線の矢印で示すように、まず、シリンダ10のロッド側室30に、反ロッド側室32から、ピストン22のチェック弁84が配置された液通路を介して、作動液が流入する。そして、そのロッド側室30に流入する作動液の量は、ロッド側室30のピストン22の動作に伴って増加する容積よりも多いため、そのロッド側室30から、流通穴60,液通路54を介しかつ減衰力発生器12を通過して、バッファ室40に作動液が流出する。その際、減衰力発生器12を通過する作動液の流れに対して与えられる抵抗によって、シリンダ10の収縮に対する減衰力、つまり、バウンド動作に対する減衰力が発生させられることになる。
一方、リバウンド動作時には、バウンド動作時と同様に、シリンダ10のロッド側室30から、流通穴60,液通路54を介しかつ減衰力発生器12を通過して、バッファ室40に作動液が流出する。その際、減衰力発生器12を通過する作動液の流れに対して与えられる抵抗によって、シリンダ10の伸長に対する減衰力、つまり、リバウンド動作に対する減衰力が発生させられることになる。なお、シリンダ10の反ロッド側室32には、図1に破線の矢印で示すように、バッファ室40から、底部流通穴64,底部液通路44,反ロッド側室用チェック弁80を介して、作動液が流入する。ちなみに、バウンド動作およびリバウンド動作に対する減衰力は、作動液の流れに対して減衰力発生器12が与える抵抗に応じた大きさになり、抵抗が大きければ大きい程、減衰力は大きくなる。
なお、上記の減衰力発生器12は、後に詳しく説明するように、電磁式弁とされており、その減衰力発生器12が与える抵抗の大きさは、供給される電流の大きさに依存する。つまり、リバウンド動作およびバウンド動作に対する減衰力が、供給される電流の大きさに依存するのである。その減衰力発生器12は、コントローラ90(図1では〔CNT〕と表記されている)を介して、電源としてのバッテリ92(図1では〔BAT〕と表記されている)に接続されており、その減衰力発生器12に供給される電流の制御は、コントローラ90によって行われる。また、コントローラ90には、自身の温度Tを計測する温度計94が設けられている。さらに、バッテリ92は、自身の充電量、詳しく言えば、自身の充電残量Qを把握し、その充電残量Qをコントローラ90に送信するようになっている。
[B]減衰力発生器
以下に、減衰力発生器12の構成および作用について、図2を参照しつつ説明する。減衰力発生器12は、自身を通過する作動液に抵抗を与えるための弁機構98を主要構成要素とするものであり、詳しく言えば、作動液の流路100が設けられた中空のバルブハウジング102と、バルブハウジング102内に収容された弁体(「弁可動体」と呼ぶこともできる)104と、ソレノイド106と、圧縮コイルスプリングであるバネ108と、圧縮コイルスプリングであるバネ110とを含んで構成されている。ソレノイド106は、弁機構98を構成する弁体104に、流路面積を制限する方向の付勢力を与える機能を有しており、バネ108は、弁体104に、流路面積を最大とする方向の付勢力を与える機能を、バネ110は、弁体104に、流路面積を制限する方向の付勢力を与える機能を、それぞれ有している。さらに、減衰力発生器12は、流路100の途中に、弁機構98と直列的に配置されるフェール弁112を備えている。
バルブハウジング102は、当該減衰力発生器12の軸線に沿って延びる横孔114と、横孔114に通じる縦孔116とを備えており、図2の左端となる先端の外周が、インターチューブ50の流出口70に設けられたスリーブ118に、嵌合している。その結果、横孔114の左端開口部を、メインチューブ36とインターチューブ50との間に形成された液通路54内に臨ませるとともに、縦孔116をバッファ室40に臨ませており、それら横孔114および縦孔116によって、上記流路100が形成されているのである。
また、バルブハウジング102には、横孔114の途中、詳しくは、縦孔116の液通路5側(図2における左方側)に、小内径部120が設けられており、当該小内径部120の内縁によって、環状の弁座122が形成されている。さらに、バルブハウジング102は、外周において、縦孔116の開口部より液通路54側にフランジ124と、縦孔116の開口部より液通路54とは反対側(図2における右方側)に大外径部126を備えている。
さらに、バルブハウジング102のスリーブ118への嵌合部の外周には、シールリング128が装着されており、液通路54とバッファ室40との間がシールされ、流路100以外を介して液通路54とバッファ室40とが連通されないようになっている。
また、バルブハウジング102のフランジ124は、アウターチューブ38の流入口74に取付けられた筒130の内周に嵌合し、当該筒130の内周に設けられた段部132に当接している。筒130は、端部外周に、符示しない螺子部を備えており、この筒130には、ソレノイド106を内包した有底筒状のケース134が螺着している。
そして、当該ケース134は、筒部136と、筒部136にそれの開口端が加締められことによって固定される底部138と、筒部136の内周側に配設されてソレノイド106のコイル140を保持するソレノイドボビン142を保持する内フランジ144とを有している。この内フランジ144と筒130の段部132とで、バルブハウジング102のフランジ124および非磁性体のスペーサ146を挟持し、それによってバルブハウジング102がシリンダ10に固定される。このようにして固定されてもフランジ124で流路100のバッファ室40への連通が断たれることが無いように、フランジ124には貫通孔148が形成されている。
ソレノイド106は、上記の有底筒状のケース134と、コイル140を保持するとともにケース134の底部に固定される環状の上記ソレノイドボビン142と、有底筒状であってソレノイドボビン142の内周に嵌着された第1固定鉄心150と、同じくソレノイドボビン142の内周に嵌着された筒状の第2固定鉄心152と、同じくソレノイドボビン142の内周に嵌着されるとともに第1固定鉄心150と第2固定鉄心152との間に介装された非磁性体の筒状のスペーサ154と、第1固定鉄心150の内周側に配置される有底筒状の可動鉄心156と、バルブハウジング102の大外径部126の外周に摺動自在に装着されて可動鉄心156とは別のもう1つの可動鉄心としても機能する筒状のフェール弁体(「フェール弁可動体」と呼ぶこともできる)158とを含んで構成されている。
そして、有底筒状の可動鉄心156は、筒の開口端側を第1固定鉄心150の内方へ向けて、第1固定鉄心150の内周に摺動自在に挿入されるとともに、第1固定鉄心150の底部に配設された非磁性体のワッシャ160に当接するまで第1固定鉄心150内に進入しても、底部側面(図2における左方の面)が第2固定鉄心152の内周に若干対向するか至近するようにして配置されている。また、可動鉄心156の筒の周壁には通孔162が設けられており、第1固定鉄心150と可動鉄心156とで区画される空間が密閉されないようになっている。
さらに、可動鉄心156と第1固定鉄心150との間に上述のバネ110が介装され、そのバネ110によって、可動鉄心156に、第1固定鉄心150から離れる方向の付勢力が与えられている。バネ110は、図2における右端が第1固定鉄心150の軸芯部に螺合するバネ力調整螺子164の先端に設けられたバネ受166に支承され、バネ力調整螺子164を第1固定鉄心150に対して進退させることでバネ110の支承位置を図2における左右に変更することができるようになっている。
第2固定鉄心152は、筒状とされており、第1固定鉄心150側の開口端は、外周側の部分が傾斜するようなテーパ形状とされており、コイル140への通電時に発生する磁束が右端内周側に集中するようになっており、この第2固定鉄心152と第1固定鉄心150との間に介装される非磁性体のスペーサ154の図2における左端の形状は、第2固定鉄心152のテーパに符合する形状とされている。
上述のような構造から、このソレノイド106にあっては、図3に矢印で示すような磁路、詳しく言えば、第1固定鉄心150、可動鉄心156および第2固定鉄心152を巡るような磁路が形成される。コイル140に通電されてソレノイド106が励磁されると、つまり、減衰力発生器12に電流が供給されると、第1固定鉄心150寄りに配置される可動鉄心156が第2固定鉄心152側に吸引され、可動鉄心156には、図2における左側へ向かう方向の付勢力が作用するようになっている。
そして、可動鉄心156の底部は、図2に示すように、弁機構98を構成する弁体104に当接しており、バネ110の付勢力が弁体104に伝わるようになっている。また、ソレノイド106の励磁時には、吸引される可動鉄心156を介して、弁体104に、図2における左側へ向かう方向の付勢力が与えられるようになっている。なお、可動鉄心156の弁体104側(図における左側)への移動は、バルブハウジング102の右端外周に嵌合して大外径部126によって左方への移動が規制されている非磁性体からなる筒状のストッパ168によって、規制されている。つまり、移動の限界が定められている。
上記弁体104は、本減衰力発生器12では、バルブハウジング102の図2における右端内周に摺接する大径部170と、大径部170の左端から伸びてバルブハウジング102の縦孔116に対向する小径部172と、小径部172の左端に形成されるポペット型の弁頭174とを備えて構成され、弁頭174が弁座122に離着座することで流路100を開閉することができるようになっている。なお、この弁体104の場合、小径部172の外周面とバルブハウジング102の内周面との間に隙間が形成されるようになっており、弁体104が縦孔116を閉塞することがないように配慮されている。
また、この弁体104における大径部170の左端とバルブハウジング102の小内径部120の右端との間には、上述のバネ108が介装されており、当該バネ108は、弁体104に、弁座122から遠ざける方向の付勢力、つまり、流路100の流路面積を大きくする方向の付勢力を与えている。
したがって、弁体104は、可動鉄心156を介してバネ108とバネ110で挟み込まれており、バネ108によって流路100の流路面積を大きくする方向の付勢力が与えられるとともに、反対に、バネ110によって、可動鉄心156を介して、流路100の流路を制限する方向への付勢力が与えられている。弁体104に対して、コイル140への通電がない状態では、弾性体であるバネ108による付勢力が、遮断弾性体であるバネ110による付勢力と釣り合う若しくはその付勢力を上回っており、可動鉄心156が、ワッシャ160へ当接するまで第1固定鉄心150内に押し込まれる。その結果、流路100を最大に開放する位置にまで、弁体104が弁座122から後退するようになっている。
ここで、バネ108とバネ110は、上述のように、直列的に配置されているため、バネ力調整螺子164でバネ110の支承位置を調節すると、バネ110の圧縮された状態における長さ、すなわち、圧縮長さを変更するだけでなく、バネ108の圧縮長さをも調節することができ、これらバネ108,110が弁体104に与える付勢力、特に、ソレノイド196に電流を供給していない状態での付勢力である標準付勢力を調節することができるようになっている。したがって、標準付勢力を調節することで、ソレノイド106への供給電流量(減衰力発生器12への供給電流量と考えることができる)に対する弁体104の位置、すなわち、弁機構98における流路面積を調整することができるのである。
説明を戻せば、ソレノイド106の第2固定鉄心152は、ソレノイドボビン142より図2おける左方へ突出しており、第2固定鉄心152の左端外周には、スペーサ146が嵌合している。詳しくは、スペーサ146は、筒状をなすとともに、右端内周に内フランジ176を備えており、当該内フランジ176の内周には、第2固定鉄心152の外周が嵌合している。また、スペーサ146は、アウターチューブ38に設けた筒130の内周にも嵌合しており、スペーサ146と筒130との間が、スペーサ146の外周に装着したシールリング178によってシールされている。
フェール弁112は、バルブハウジング102の大外径部126の外周に摺動自在に装着される上記フェール弁体158と、そのフェール弁体158とスペーサ146の内フランジ176との間に介装されてフェール弾性体として機能する圧縮コイルスプリングであるバネ180とを含んで構成される。ちなみに、フェール弁112は、当該減衰力発生器12に電力が供給されない、言い換えれば、ソレノイド106のコイル140に通電されない場合に機能するようにされている弁であり、例えば、当該アブソーバが電気的な失陥を抱えた場合に機能するようにされている。つまり、フェール弁112は、そのような機能に基づいて名付けられている。
フェール弁体158は、概して筒状をなしており、外周側に設けられた鍔182と、バルブハウジング102のフランジ124の図2おける右端面に対向する環状突起184と、内周と外周とを連通するオリフィス186と、図2における右端から開口してオリフィス186へ通じる通孔188とを備えている。そして、フェール弁体158は、鍔182とスペーサ146の内フランジ176との間に介装されるバネ180によって、バルブハウジング102のフランジ124側へ向けて常に付勢されている。
また、フェール弁体158の右端は、第2固定鉄心152の左端に対向しており、図3に示すように、磁路が、第2固定鉄心152、フェール弁体158、バルブハウジング102、筒130およびケース134を通過するように形成されている。上述したところから、このソレノイド106では、コイル140が励磁されると、フェール弁体158が第2固定鉄心152に吸引され、フェール弁体158には、図2における右方への付勢力が作用するようになっている。そして、ソレノイド106への供給電流が閾値以上となると、ソレノイド106によってフェール弁体158に作用する付勢力が、バネ180による付勢力に打ち勝って、フェール弁体158が第2固定鉄心152に吸着し、その結果、流路100が最大に開放されることになる。
逆に、ソレノイド106への供給電流が上記閾値を超えない場合には、ソレノイド106によってフェール弁体158に作用する付勢力がバネ180による付勢力に打ち勝つことができず、フェール弁体158は、環状突起184がバルブハウジング102のフランジ124に当接する位置に位置する。その結果、流路面積が制限されることになる。詳しく言えば、そのとき、フェール弁体158のオリフィス186が流路100に対向して、オリフィス186のみを介して流路100が連通するようになるので、流路面積がオリフィス186の流路面積にまで制限されるのである。
言い換えれば、フェール弁112は、ソレノイド106への供給電流が閾値以上となると、流路100を開放する開放ポジションとされ、反対に、ソレノイド106への供給電流が閾値を超えない状態では、オリフィス186のみを介して流路100を連通させるフェールポジションとされる。
なお、フェール弁体158が第2固定鉄心152に密着しても、通孔188は、第2固定鉄心152の端部によって閉塞されず、連通状態を保つようになっており、フェール弁体158が第2固定鉄心152に密着した状態となっても、可動鉄心156が収容される空間が閉塞されない。このことによって、弁体104がロックされて移動不能となってしまうといった事態が阻止される。
[C]減衰力発生器が発生させる減衰力
上述した構造および作用から解るように、減衰力発生器12では、ソレノイド106に電流が供給されていない場合、つまり、自身に電流が供給されていない場合には、流路100と、オリフィス186のみを介して流路100を連通させる液通路とを含んで構成される液通路(副液通路)が形成されると考えることができ、その副液通路を通過する作動液の流れに対して抵抗を与えることで、当該減衰力発生器12を通過する作動液の流れに抵抗を与えるように構成されているのである。その結果、自身に電流が供給されていない場合に、設定された大きさの減衰力である「電流非供給時設定減衰力」を発生させるように、詳しく言えば、シリンダ10の伸縮に対して、その電流非供給時設定減衰力を発生させるように構成されているのである。なお、後に詳しく説明するが、その減衰力の大きさは、オリフィス186の内径(流路径)によって決まり、その減衰力が基づく減衰係数(電流非供給時設定減衰係数)は、大まかに言えば、固定的なものとなる。
一方、減衰力発生器12では、上記閾値以上の電流がソレノイド106に供給される場合、つまり、上記閾値以上の電流が自身に供給される場合には、バルブハウジング102のフランジ124とフェール弁体158の環状突起184との間を介して流路100を連通させる液通路とを含んで構成される液通路(主液通路)が形成されると考えることができ、その主液通路を通過する作動液の流れに対して抵抗を与えることで、当該減衰力発生器12を通過する作動液の流れに抵抗を与えるように構成されているのである。詳しく言えば、流路100には、上述の弁機構98が配設されており、その弁機構98を構成する弁座122と弁体104との間を通過する作動液の流れに抵抗が与えられる。この抵抗の大きさは、弁座122と弁体104との隙間の大きさ、つまり、弁機構98の開弁の程度に依存した大きさとなる。一方、ソレノイド104が弁体104に与える付勢力は、ソレノイド104に供給される電流の大きさに依存しており、上述した弁機構98の構造により、その電流が大きいほど、開弁の程度は低くなる。つまり、開弁し難くなるのである。したがって、供給される電流が大きくなるほど、主液通路を通過する作動液の流れに与える抵抗が大きくなるのである。以上のことから、減衰力発生器12は、上記閾値以上の電流が供給される場合には、その電流の大きさに応じた大きさの減衰力である「電流依存減衰力」を発生させるように、詳しく言えば、シリンダ10の伸縮に対して、その電流依存減衰力を発生させるよう構成されており、その電流依存減衰力は、供給される電流が大きいほど大きく、その減衰力が基づく減衰係数(電流依存減衰係数)は、その電流が大きいほど、大きくなる。つまり、減衰力発生器12は、上記主液通路を通過する作動液の流れに対する抵抗を自身に供給される電流の大きさに応じて変化させることで、その電流の大きさに応じた大きさの電流依存減衰力を発生させるように構成されているのである。
上記電流非供給時設定減衰力および上記電流依存減衰力について具体的に説明すれば、減衰力発生器12では、それの発生させる減衰力FDが基づく減衰係数ζが、供給される電流Iの大きさに応じて、模式的には、図4(a)のグラフに示すように変化する。詳しく言えば、減衰係数ζは、供給電流Iが必要電流値ITHを超えるまでは、電流非供給時設定減衰係数ζ0となり、必要電流値ITH以上となった場合に、電流依存減衰係数ζAとなって、供給電流Iが大きくなるにつれて大きくなる。
本実施例のアブソーバでは、通常時には、電流依存減衰力FDAを発生させるために、減衰力発生器12に、設定範囲の電流Iが供給されるようにされており、具体的には、それぞれが設定値である下限電流IMINと上限電流IMAXとの間の電流IAが供給される。したがって、下限電流IMINが供給されたときの減衰係数ζAを下限減衰係数ζMINと、上限電流IMAXが供給されたときの減衰係数ζAを上限減衰係数ζMAXと、それぞれ呼べば、電流依存減衰係数ζAは、下限減衰係数ζMINと上限減衰係数ζMAXとの間で変化させられ、減衰力発生器12は、その電流依存減衰係数ζAの変化に応じた範囲の減衰力FDA、つまり、下限減衰係数ζMINとなる場合の最小の電流依存減衰力FDAである最小減衰力FMINと、上限減衰係数ζMAXとなる場合の最大の電流依存減衰力FDAである最大減衰力FMAXとの間の減衰力FDAを発生させることになる。
なお、減衰力発生器12においては、下限電流IMINが、必要電流値ITHよりも若干ではあるが大きく設定されている。つまり、下限電流IMINに、必要電流値ITHに対するある程度のマージンが設けられている。例えば、バッテリ92の電圧の不安定性やノイズによって、ソレノイド106への供給電流が振動的となったり電流不足となったりする可能性もあり、下限電流IMINに近い大きさの電流Iを供給する場合に、上記フェール弁112がフェールポジションに切換わって減衰係数ζが急変することも予測される。そのことに鑑みて、上記マージンが設けられているのである。
図4に示すように、電流非供給時設定減衰係数ζ0は、上限減衰係数ζMAXより小さく設定されている。つまり、電流非供給時設定減衰力FD0は、上限減衰係数ζMAXとなる場合の最大減衰力FDA-MAXより小さくされているのである。減衰力発生器12に電流が供給されない場合に、その減衰力発生器12が実際に発生させることになる減衰力は、電流非供給時設定減衰力FD0に対して大きい場合や小さい場合など、ばらつく可能性がある。なお、図5のグラフに、ばね上ばね下相対速度vS/USに対する減衰力FDを模式的に示しており、この図にハッチングで示した範囲内で、減衰力がばらつく可能性がある。そして、そのばらつく可能性のある範囲の最大値が最大減衰力FMAXに等しくなるように、電流非供給時設定減衰力FD0、つまり、電流非供給時設定減衰係数ζ0が設定されている。具体的には、そのような電流非供給時設定減衰係数ζ0が得られるように、減衰力発生器12において、上記オリフィス186の径が調整されているのである。
[D]ショックアブソーバの制御
i)通常時の制御
通常時におけるショックアブソーバの制御は、車両のばね上部の振動を抑制することを主目的として、減衰力発生器12へ供給する電流を制御することによって行われる。本実施例のアブソーバは、上記構造から、ばね上部とばね下部との相対動作に対する減衰力を発生させるものであるため、そのアブソーバの減衰係数が一定である場合には、ばね上部の動作に対して効果的な減衰力を発生することができない。そのことに鑑み、ばね上部の上下方向における動作速度(以下、「ばね上絶対速度」という場合がある)に基づいて、ばね上部の振動の抑制に適切な減衰力が得られるように、減衰力発生器12へ供給する電流が制御されるのである。
詳しく言えば、ばね上部の振動の抑制に適切な減衰力を理論減衰力FDSとすれば、その理論減衰力FDSは、大まかではあるが、次式のように表すことができる。
DS=ζS・vS
ちなみに、vSは、ばね上絶対速度であり、ζSは、理論減衰力FDSを発生させるための理論減衰係数(正の値の定数と考えることができる)である。ちなみに、ばね上絶対速度vSは、ばね上部が上方に移動している場合に正の値となり、下方に移動している場合に負の値となる。それに応じて、理論減衰力FDSは、ばね上部を下方に付勢する力となる場合、つまり、ばね上部の上方への移動に対して抵抗となる場合に正の値となり、上方に付勢する力となる場合、つまり、ばね上部の上方への移動を推進する力となる場合に負の値となる。
一方、実際にアブソーバが発生させる減衰力FDは、次式のように、当該アブソーバの減衰係数ζに基づき、ばね上ばね下相対速度vS/USに応じた大きさとなる。
D=ζ・vS/US
ちなみに、ばね上ばね下相対速度vS/USは、ばね上部とばね下部とが互いに離間する場合、つまり、リバウンド動作時には、正の値となり、ばね上部とばね下部とが互いに接近する場合、つまり、バウンド動作時には、負の値となる。それに応じて、減衰力FDは、ばね上部とばね下部とをそれらが互いに接近する方向に付勢する力となる場合、つまり、ばね上部とばね下部との離間に対して抵抗となる場合に正の値となり、それらが互いに離間する方向に付勢する力となる場合、つまり、ばね上部とばね下部との接近に対して抵抗となる場合に、負の値となる。
したがって、上記2つの式に基づき、実際にアブソーバが発生させる減衰力FDが理論減衰力FDSと等しくなるように、次式に従って、必要となる減衰係数ζである必要減衰係数ζRを決定し、その決定された減衰係数ζが得られるように、減衰力発生器12へ供給する電流を制御することで、ばね上部の振動の抑制に効果的な減衰力FDを発生させることが可能となるのである。
ζR=ζS・(vS /vS/US
そして、減衰力発生器12は
、上記式に従って決定された必要減衰係数ζRとなるように、供給される電流Iが、下限電流IMINと上限電流IMAXとの間で制御される。
しかしながら、ばね上絶対速度とばね上ばね下相対速度との符号が異なる場合には、必要減衰係数ζRが負の値となり、アブソーバは、負の減衰力FD、つまり、推進力を発生させることが必要となる。具体的に言えば、ばね上部の振動とばね上部とばね下部との振動とのあいだのズレ(位相のズレ)により、ばね上部が上方に移動しているにも拘わらずバウンド動作となる場合や、ばね上部が下方に移動しているにも拘わらずリバウンド動作となる場合が存在し、それらの場合には、その時点でのばね上とばね下部との動作を推進する必要があるのである。ところが、本実施例のアブソーバでは、上記推進力を発生することができず、その場合には、可及的にアブソーバによって発生させる減衰力FDを小さくすることが望ましいのである。つまり、その場合には、アブソーバの減衰係数ζを可及的に小さくすること、詳しくは、アブソーバの減衰係数ζが下限減衰係数ζMINとなるように、供給される電流Iが下限電流IMINに制御されるようになっている。
ii)消費電力の抑制
また、本ショックアブソーバは、減衰力発生器12による消費電力を抑えるように構成されている。詳しくは、減衰力発生器12への供給電流Iが閾値を超えた場合に、上述した通常時の制御を中止し、減衰力発生器12への電流の供給が禁止されるようになっている。つまり、減衰力発生器12への供給電流Iが閾値を超えた場合、減衰力発生器12によって、電流非供給時設定減衰力FD0が発生させられるようになっているのである。
具体的には、まず、コントローラ90は、温度計94により自身の温度Tをウォッチしており、その温度Tに基づいて、減衰力発生器12への供給電流の制限値Ilimitを決定する。そして、コントローラ90は、その決定された制限値Ilimitを上記閾値として用い、減衰力発生器12への供給電流Iが制限値Ilimitを超えた場合に、減衰力発生器12への電流の供給を禁止するのである。なお、その制限値Ilimitが上限電流IMAX以上の場合には、通常時の制御が実行されることとなる。
また、コントローラ90は、バッテリ92からそのバッテリ92の充電残量Qを受信するようになっており、その充電残量Qが、それの閾値である閾残量QTHを下回った場合には、さらに、消費電力を抑えるようになっている。詳しくは、電流の供給を禁止した場合にばらつく可能性のある範囲(図5におけるハッチングの範囲)の減衰力を、電流依存減衰力FDAで発生させようとする場合には、通常時の制御を中止し、減衰力発生器12への電流の供給を禁止するようになっている。具体的には、減衰力がばらつく可能性のある範囲の最小値に等しい大きさの減衰力を電流依存減衰力として発生させることになる大きさの電流値を、最小設定減衰力対応電流値I0-MINと定義すると、充電残量Qが閾残量QTHを下回り、かつ、上記のように決定された制限値Ilimitが最小設定減衰力対応電流値I0-MINを超えた場合に、最小設定減衰力対応電流値I0-MINを閾値として用いるのである。
本実施例のアブソーバの上記制御は、コンピュータを主要構成要素として構成された上記コントローラ90が、図6にフローチャートを示すアブソーバ制御プログラムを実行することによって、行われる。なお、このプログラムは、短い時間ピッチ(例えば、数μsec〜数十μsec)で繰り返し実行される。以下に、このフローチャートに沿って、上記制御を具体的に説明する。
上記プログラムに従えば、まず、ステップ1(以下、「ステップ」を「S」と省略する)において、ばね上絶対速度vSが推定される。本アブソーバが装備される車両には、ばね上部の上下方向の加速度であるばね上加速度を検出するばね上加速度センサ200(図7参照)が設けられており、ばね上絶対速度vSは、前回以前の当該プログラムの実行時におけるそのセンサの検出値および今回の実行時における検出値に基づいて、推定される。また、S2において、ばね上ばね下相対速度vS/USが推定される。本アブソーバが装備される車両には、ばね上部とばね下部との離間距離を検出するばね上ばね下間距離センサ202が設けられており、ばね上ばね下相対速度vS/USは、前回以前の当該プログラムの実行時におけるそのセンサの検出値および今回の実行時における検出値に基づいて、推定される。それら推定されたばね上絶対速度vS,ばね上ばね下相対速度vS/USに基づき、S3において、前述の式ζR=ζS・(vS /vS/US)に従って必要減衰係数ζRが決定される。次に、S4において、その必要減衰係数に基づいて、減衰力発生器12への供給電流IRが決定される。なお、コントローラ90は、図4のグラフで表わされるようなマップを格納しており、目標供給電流IRは、そのマップを参照して決定される。
続いて、S5〜S9において、減衰力発生器12への電流の供給を禁止するかの判定が行われる。まず、S5においては、温度計94により検出されたコントローラ90の温度Tに基づいて、減衰力発生器12への電流を制限するための制限値Ilimitが決定される。そして、S6において、バッテリ92の充電残量Qが閾値QTHより少ないか否かの判定が行われる。充電残量Qが閾値QTHより多い場合には、S7において、上記の制限値Ilimitを閾値として用い、目標供給電流IRが制限値Ilimitより大きいか否かの判定が行われる。
一方、充電残量Qが閾値QTHより少ない場合には、S8において、上記の制限値Ilimitが最小設定減衰力対応電流値I0-MINより大きいか否かの判定が行われる。制限値Ilimitが最小設定減衰力対応電流値I0-MINより大きい場合には、S9において、最小設定減衰力対応電流値I0-MINを閾値として用い、目標供給電流IRが最小設定減衰力対応電流値I0-MINより大きいか否かの判定が行われる。また、制限値Ilimitが最小設定減衰力対応電流値I0-MIN以下の場合には、S7において、目標供給電流IRが制限値Ilimitより大きいか否かの判定が行われる。
S7あるいはS9において、目標供給電流IRが閾値以下である場合には、通常時の制御を実行すべく、減衰力発生器12に、詳しくは、ソレノイド106に、電流IRが供給される。一方、S7あるいはS9において、目標供給電流IRが閾値より大きい場合には、ソレノイド106への電流の供給が禁止され、減衰力発生器12によって電流非供給時設定減衰力FD0が発生させられる。以上で、1回のアブソーバ制御プログラムの実行が終了する。
[E]コントローラの機能構成
上述したコントローラ90の機能を、模式的に示した機能ブロック図が、図7である。上記機能に基づけば、コントローラ90は、前述の通常時の制御を実行する機能部、つまり、減衰力発生器12に電流依存減衰力を発生させるべくその減衰力発生器12への供給電流を制御する機能部である通常減衰力制御実行部220を含んで構成される。また、コントローラ90は、2つの電流供給禁止部222,224を含んで構成される。具体的には、コントローラ90は、(I)液圧式ショックアブソーバに関係する電気系の状態に基づいて閾値を決定し、その決定された閾値を減衰力発生器12へ供給すべき電流が超える場合に、その減衰力発生器12への電流の供給を禁止する電気系状態依拠電流供給禁止部222と、(II)減衰力発生器12に電流が供給されていない場合において減衰力がばらつく可能性のある範囲の最小値に等しい大きさの減衰力を電流依存減衰力として発生させることになる大きさの電流値である最小設定減衰力対応電流値を閾値として用い、減衰力発生器12へ供給すべき電流がその最小設定減衰力対応電流値を超える場合に、その減衰力発生器12への電流の供給を禁止する最小設定減衰力依拠電流供給禁止部224とを含んで構成される。
なお、本ショックアブソーバのコントローラ90においては、アブソーバ制御プログラムのS1〜S4およびS10の処理を実行する部分を含んで通常減衰力制御実行部220が構成され、プログラムのS5,S9,S11の処理を実行する部分を含んで電気系状態依拠電流供給禁止部222が構成され、プログラムのS6,S8,S9,S11の処理を実行する部分を含んで最小設定減衰力依拠電流供給禁止部224が構成されている。
以上のように構成された本実施例の液圧式ショックアブソーバによれば、減衰力発生器12による電力消費を抑えることが可能であり、減衰力発生器12への電流供給が禁止されても、その減衰力発生器12によって、固定的な減衰力である電流非供給時設定減衰力を発生させるように構成されるため、減衰性能を確保することが可能である。なお、本液圧式ショックアブソーバは、電流非供給時設定減衰力に対して、減衰力発生器12が実際に発生させる可能性のある範囲内の減衰力が、電流依存減衰力の範囲内に収ままるように構成されているため、減衰力発生器12に電流が供給されていない場合に、必要以上に大きな減衰力を発生させないようになっており、減衰力発生器12に電流が供給されていない場合においても、効果的な振動減衰が可能とされている。
10:シリンダ 12減衰力発生器 20:ハウジング 22:ピストン 24:ロッド 30:ロッド側室 32:反ロッド側室 40:バッファ室 90:コントローラ 92:バッテリ〔電源〕 94:温度計 98:弁機構 100:流路〔主液通路,副液通路〕 106:ソレノイド 112:フェール弁 186:オリフィス〔副液通路〕 220:通常減衰力制御部 222:電気系状態依拠電流供給禁止部 224:最小設定減衰力依拠電流供給禁止部
DA:電流依存減衰力 FD0:電流非供給時設定減衰力 IR:目標減衰係数 Ilimit:制限値〔閾値〕 I0-MIN:最小設定減衰力対応電流値〔閾値〕 T:コントローラの温度 Q:充電残量 QTH:閾残量
なお、以下の各項において、(1)項,(5)項,(6)項を合わせたものが、請求項1に相当し、(2)項,(3)項,(4)項,(7)項,(8)項の各々が、請求項2ないし請求項6の各々に相当する。
本項に記載の態様は、前述の「電気系の状態」に限定を加えた態様である。コントローラの温度が高くなっている場合、そのコントローラおよび減衰力発生器の負担が大きくなっていると考えられる。本項に記載の態様によれば、そのような場合に電流の供給を禁止することができ、それらコントローラおよび減衰力発生器の負担を軽減することが可能である。なお、コントローラの温度は、直接的に計測したものであっても、他のパラメータから間接的に推定したものであってもよい。
本項に記載の態様は、減衰力発生器の構造に関する限定を加えた態様である。本態様における減衰力発生器によれば、上記の主液通路を通過する作動液の流れに対して、供給される電流に応じた抵抗を与えることで、容易に、電流依存減衰力の制御が可能であることに加え、副液通路を通過する作動液の流れに対して抵抗を与えることで、上述のように電流の供給が禁止された場合や電気的失陥時等において、容易に、かつ、確実に、電流非供給時減衰力を発生させることが可能となる。
したがって、弁体104は、可動鉄心156を介してバネ108とバネ110で挟み込まれており、バネ108によって流路100の流路面積を大きくする方向の付勢力が与えられるとともに、反対に、バネ110によって、可動鉄心156を介して、流路100の流路面積を制限する方向への付勢力が与えられている。弁体104に対して、コイル140への通電がない状態では、弾性体であるバネ108による付勢力が、遮断弾性体であるバネ110による付勢力と釣り合う若しくはその付勢力を上回っており、可動鉄心156が、ワッシャ160へ当接するまで第1固定鉄心150内に押し込まれる。その結果、流路100を最大に開放する位置にまで、弁体104が弁座122から後退するようになっている。
一方、減衰力発生器12では、上記閾値以上の電流がソレノイド106に供給される場合、つまり、上記閾値以上の電流が自身に供給される場合には、バルブハウジング102のフランジ124とフェール弁体158の環状突起184との間を介して流路100を連通させる液通路とを含んで構成される液通路(主液通路)が形成されると考えることができ、その主液通路を通過する作動液の流れに対して抵抗を与えることで、当該減衰力発生器12を通過する作動液の流れに抵抗を与えるように構成されているのである。詳しく言えば、流路100には、上述の弁機構98が配設されており、その弁機構98を構成する弁座122と弁体104との間を通過する作動液の流れに抵抗が与えられる。この抵抗の大きさは、弁座122と弁体104との隙間の大きさ、つまり、弁機構98の開弁の程度に依存した大きさとなる。一方、ソレノイド106が弁体104に与える付勢力は、ソレノイド106に供給される電流の大きさに依存しており、上述した弁機構98の構造により、その電流が大きいほど、開弁の程度は低くなる。つまり、開弁し難くなるのである。したがって、供給される電流が大きくなるほど、主液通路を通過する作動液の流れに与える抵抗が大きくなるのである。以上のことから、減衰力発生器12は、上記閾値以上の電流が供給される場合には、その電流の大きさに応じた大きさの減衰力である「電流依存減衰力」を発生させるように、詳しく言えば、シリンダ10の伸縮に対して、その電流依存減衰力を発生させるよう構成されており、その電流依存減衰力は、供給される電流が大きいほど大きく、その減衰力が基づく減衰係数(電流依存減衰係数)は、その電流が大きいほど、大きくなる。つまり、減衰力発生器12は、上記主液通路を通過する作動液の流れに対する抵抗を自身に供給される電流の大きさに応じて変化させることで、その電流の大きさに応じた大きさの電流依存減衰力を発生させるように構成されているのである。

Claims (8)

  1. 作動液を収容するハウジングと、そのハウジング内に摺動可能に配設されたピストンと、一端部が前記ピストンに連結されるとともに他端部が前記ハウジングから延び出すロッドとを有し、車両のばね上部とばね下部と繋ぐようにして配設されてそれらばね上部とばね下部との相対移動によって伸張・収縮するシリンダと、
    前記シリンダの伸張と収縮との少なくとも一方に伴う作動液の流れに対して抵抗を与えることで、前記シリンダの伸張と収縮との少なくとも一方に対する減衰力を発生させる減衰力発生器であって、自身に電流が供給される場合において、その供給される電流の大きさに応じた大きさの減衰力である電流依存減衰力を発生させるとともに、自身に電流が供給されていない場合において、設定された大きさの減衰力である電流非供給時設定減衰力を発生させる減衰力発生器と、
    前記減衰力発生器に電流を供給するとともに、その供給する電流の大きさを制御するコントローラと
    を備えた液圧式ショックアブソーバであって、
    前記コントローラが、前記減衰力発生器へ供給すべき電流が閾値を超える場合に、その減衰力発生器への電流の供給を禁止するように構成された液圧式ショックアブソーバ。
  2. 前記減衰力発生器が、
    自身に供給される電流が大きくなる程、発生させる前記電流依存減衰力が大きくなるように構成された請求項1に記載の液圧式ショックアブソーバ。
  3. 当該液圧式ショックアブソーバが、
    前記電流非供給時設定減衰力の大きさが、前記電流依存減衰力の上限値より小さくなるように構成された請求項2に記載の液圧式ショックアブソーバ。
  4. 当該液圧式ショックアブソーバが、前記減衰力発生器に電流が供給されていない場合に、その減衰力発生器が実際に発生させることになる減衰力にばらつきが生じるものであり、
    前記電流非供給時設定減衰力の大きさが、前記減衰力発生器に電流が供給されていない場合において減衰力がばらつく可能性のある範囲の最大値が、前記電流依存減衰力の上限値と等しくなるように構成された請求項2または請求項3に記載の液圧式ショックアブソーバ。
  5. 前記コントローラが、
    当該液圧式ショックアブソーバに関係する電気系の状態に基づいて前記閾値を決定し、その決定された閾値を前記減衰力発生器へ供給すべき電流が超える場合に、その減衰力発生器への電流の供給を禁止する電気系状態依拠電流供給禁止部を含んで構成された請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の液圧式ショックアブソーバ。
  6. 前記電気系状態依拠電流供給禁止部が、
    当該液圧式ショックアブソーバに関係する電気系の状態として、前記コントローラの温度を用いるものである請求項5に記載の液圧式ショックアブソーバ。
  7. 当該液圧式ショックアブソーバが、前記減衰力発生器に電流が供給されていない場合に、その減衰力発生器が実際に発生させることになる減衰力にばらつきが生じるものであり、
    前記減衰力発生器が、自身に供給される電流が大きくなる程、発生させる前記電流依存減衰力が大きくなるように構成され、
    前記コントローラが、
    前記減衰力発生器に電流が供給されていない場合において減衰力がばらつく可能性のある範囲の最小値に等しい大きさの減衰力を前記電流依存減衰力として発生させることになる大きさの電流値である最小設定減衰力対応電流値を、前記閾値として用い、前記減衰力発生器へ供給すべき電流がその最小設定減衰力対応電流値を超える場合に、その減衰力発生器への電流の供給を禁止する最小設定減衰力依拠電流供給禁止部を含んで構成された請求項1ないし請求項6のいずれか1つに記載の液圧式ショックアブソーバ。
  8. 前記減衰力発生器が、
    自身に電流が供給されている場合に作動液が通過する主液通路と、自身に電流が供給されていない場合に作動液が通過する副液通路とを有し、
    前記主液通路を通過する作動液の流れに対する抵抗を自身に供給される電流の大きさに応じて変化させることで、その電流の大きさに応じた大きさの前記電流依存減衰力を発生させるとともに、前記副液通路を通過する作動液の流れに対して抵抗を付与することで、前記電流非供給時設定減衰力を発生させるように構成された請求項1ないし請求項7のいずれか1つに記載の液圧式ショックアブソーバ。
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