JP2014144733A - 液圧式ショックアブソーバ - Google Patents
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Abstract
【課題】 実用性の高い液圧式ショックアブソーバを提供する。
【解決手段】 シリンダ10と電磁式の伸側減衰力発生器12aおよび縮側減衰力発生器12bを備えた液圧式ショックアブソーバにおいて、それら減衰力発生器の各々を、設定値以上の電流が供給される場合において、その供給される電流の大きさに応じた減衰力である電流依存減衰力を発生させるとともに、電流が供給されていない場合において、設定された大きさの減衰力である電流非供給時設定減衰力を発生させるように構成し、かつ、それら減衰力発生器の各々の電流非供給時設定減衰力が互いに異なるように構成する。電気的失陥時においても、伸側の減衰力発生特定(減衰係数)と、縮側の減衰力発生特性(減衰係数)とを異ならせることができ、電気的失陥時におけるアブソーバの特性を、任意なものとすることが可能となる。
【選択図】 図1
【解決手段】 シリンダ10と電磁式の伸側減衰力発生器12aおよび縮側減衰力発生器12bを備えた液圧式ショックアブソーバにおいて、それら減衰力発生器の各々を、設定値以上の電流が供給される場合において、その供給される電流の大きさに応じた減衰力である電流依存減衰力を発生させるとともに、電流が供給されていない場合において、設定された大きさの減衰力である電流非供給時設定減衰力を発生させるように構成し、かつ、それら減衰力発生器の各々の電流非供給時設定減衰力が互いに異なるように構成する。電気的失陥時においても、伸側の減衰力発生特定(減衰係数)と、縮側の減衰力発生特性(減衰係数)とを異ならせることができ、電気的失陥時におけるアブソーバの特性を、任意なものとすることが可能となる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、車両に搭載される液圧式のショックアブソーバに関する。
下記特許文献には、(A)ハウジングと、そのハウジング内に移動可能に配設されたピストンと、一端部がそのピストンに連結されるとともに他端部がハウジングから延び出すロッドと、ピストンによってハウジングの内部が区画されて形成されたロッド側室および反ロッド側室とを有し、車両のばね上部とばね下部とを繋ぐようにして配設されてそれらばね上部とばね下部との相対移動によって伸長および収縮するシリンダと、(B)シリンダが伸長する際に、ロッド側室から流出する作動液の流れに対して抵抗を与えることで、その伸長に対する減衰力を発生させる伸側減衰力発生器と、(C)シリンダが収縮する際に、反ロッド側室から流出する作動液の流れに対して抵抗を与えることで、その収縮に対する減衰力を発生させる縮側減衰力発生器とを備えた液圧式ショックアブソーバが記載されている。
上記のような液圧式ショックアブソーバは、未だ開発途上にあり、構造上若しくは制御上の種々の改良を施すことにより、実用性を向上させることが可能である。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、実用性の高い液圧式ショックアブソーバを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明の液圧式ショックアブソーバは、上記シリンダと上記伸側減衰力発生器および縮側減衰力発生器を備えた液圧式ショックアブソーバであって、それら伸側減衰力発生器および縮側減衰力発生器の各々が、設定値以上の電流が自身に供給される場合において、その供給される電流の大きさに応じた減衰力である電流依存減衰力を発生させるとともに、自身に電流が供給されていない場合において、設定された大きさの減衰力である電流非供給時設定減衰力を発生させるように構成されており、さらに、上記電流非供給時設定減衰力が、伸側減衰力発生器と縮側減衰力発生器とで互いに異なることを特徴とする。
本発明の液圧式ショックアブソーバによれば、例えば、電気的失陥時においても、伸側の減衰力発生特性(減衰係数)と、縮側の減衰力発生特性(減衰係数)とを異ならせることができ、電気的失陥時におけるアブソーバの特性を、任意なものとすることが可能である。その結果として、減衰力独立型アブソーバの実用性を向上させることが可能である。
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から何某かの構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。なお、請求可能発明の態様の少なくとも一部が、本願請求項に係る発明となる。
具体的には、以下の各項において、(1)項と(2)項とを合わせたものが請求項1に相当し、請求項1に(3)項の技術的特徴を付加したものが請求項2に、請求項2に(4)項の技術的特徴を付加したものが請求項3に、請求項3に(5)項の技術的特徴を付加したものが請求項4に、請求項1ないし請求項4のいずれか1つに(11)項,(12)項,(13)項の技術的特徴を付加したものが請求項5に、請求項5に(14)項の技術的特徴を付加したものが請求項6に、それぞれ相当する。
(1)ハウジングと、そのハウジング内に移動可能に配設されたピストンと、一端部が前記ピストンに連結されるとともに他端部が前記ハウジングから延び出すロッドと、前記ピストンによって前記ハウジングの内部が区画されて形成されたロッド側室および反ロッド側室とを有し、車両のばね上部とばね下部とを繋ぐようにして配設されてそれらばね上部とばね下部との相対移動によって伸長および収縮するシリンダと、
前記シリンダが伸長する際に、前記ロッド側室から流出する作動液の流れに対して抵抗を与えることで、その伸長に対する減衰力を発生させる伸側減衰力発生器と、
前記シリンダが収縮する際に、前記反ロッド側室から流出する作動液の流れに対して抵抗を与えることで、その収縮に対する減衰力を発生させる縮側減衰力発生器と
を備え、
前記伸側減衰力発生器および前記縮側減衰力発生器の各々が、設定値以上の電流が自身に供給される場合において、その供給される電流の大きさに応じた大きさの減衰力である電流依存減衰力を発生させるとともに、自身に電流が供給されていない場合において、設定された大きさの減衰力である電流非供給時設定減衰力を発生させるように構成された液圧式ショックアブソーバ。
前記シリンダが伸長する際に、前記ロッド側室から流出する作動液の流れに対して抵抗を与えることで、その伸長に対する減衰力を発生させる伸側減衰力発生器と、
前記シリンダが収縮する際に、前記反ロッド側室から流出する作動液の流れに対して抵抗を与えることで、その収縮に対する減衰力を発生させる縮側減衰力発生器と
を備え、
前記伸側減衰力発生器および前記縮側減衰力発生器の各々が、設定値以上の電流が自身に供給される場合において、その供給される電流の大きさに応じた大きさの減衰力である電流依存減衰力を発生させるとともに、自身に電流が供給されていない場合において、設定された大きさの減衰力である電流非供給時設定減衰力を発生させるように構成された液圧式ショックアブソーバ。
本態様は、上記シリンダ,伸側減衰力発生器および縮側減衰力発生器を備えた液圧式ショックアブソーバ(以下、単に「アブソーバ」という場合がある)に関する態様である。そのアブソーバは、シリンダが伸長する場合の減衰力と収縮する場合の減衰力とが互いに独立したものとなっているため、「減衰力伸縮独立型液圧式ショックアブソーバ」、あるいは、単に「減衰力独立型アブソーバ」と呼ぶことができる。そのようなアブソーバを、以下の説明では、そう呼ぶ場合があることとする。
減衰力独立型アブソーバは、後に説明するように、例えば、ばね上部の移動速度、つまり、ばね上部の上下方向の速度(以下、「ばね上速度」若しくは「ばね上絶対速度」と言う場合がある)に基づくばね上部の制振制御、いわゆるスカイフック制御に近似した制御を、伸側減衰力発生器および縮側減衰力発生器の各々に供給される電流を制御することによって容易に実行できるため、高性能なアブソーバとなる。
そして、本態様のアブソーバは、簡単にいえば、上記減衰力独立型アブソーバにおいて、伸側減衰力発生器と縮側減衰力発生器との各々が、その各々に電流が供給されない場合にも特定の大きさの減衰力を発生させる機能を有するように構成したものであり、本態様は、請求可能発明に係るアブソーバの基本的構造を示す態様である。本態様のアブソーバによれば、例えば、電気的失陥の際にも、減衰力を有効に発生させることができる。
なお、上記アブソーバが発生させる減衰力FDは、ばね上部とばね下部との相対速度(以下、「ばね上ばね下相対速度」という場合がある)vS/USに依存しており、簡単には、
FD=ζ・vS/US ζ:減衰係数
と、表すことができる。したがって、伸側減衰力発生器と縮側減衰力発生器との各々の減衰力を比較する場合等においては、同じばね上ばね下相対速度vS/USであることが前提となる。そのことに鑑みて、本明細書における減衰力の大小は、減衰力発生特性の相違、具体的には、減衰係数の大小を意味することがあることとし、また、減衰力の変更は、減衰力発生特性の変更、具体的には、減衰係数の変更を意味することがあることとする。
FD=ζ・vS/US ζ:減衰係数
と、表すことができる。したがって、伸側減衰力発生器と縮側減衰力発生器との各々の減衰力を比較する場合等においては、同じばね上ばね下相対速度vS/USであることが前提となる。そのことに鑑みて、本明細書における減衰力の大小は、減衰力発生特性の相違、具体的には、減衰係数の大小を意味することがあることとし、また、減衰力の変更は、減衰力発生特性の変更、具体的には、減衰係数の変更を意味することがあることとする。
上記減衰力の考え方に従えば、本項における伸側減衰力発生器および縮側減衰力発生器の各々が発生させる「電流依存減衰力」は、供給される電流の大きさに応じて減衰力発生特性が変化するような減衰力、つまり、供給される電流の大きさに応じて大きさが変化する減衰係数に基づく減衰力を意味し、「電流非供給時設定減衰力」は、減衰力発生特性が固定された減衰力、つまり、固定的な減衰係数に基づく減衰力を意味する。
ちなみに、本項において、「伸側」とは、ばね上部とばね下部とが離間するように動作する状態を意味し、「縮側」とは、ばね上部とばね下部とが接近するようにに動作する状態を意味する。
(2)前記伸側減衰力発生器が発生させる前記電流非供給時設定減衰力と、前記縮側減衰力発生器が発生させる電流非供給時設定減衰力とが、大きさにおいて互いに相違するように構成された(1)項に記載の液圧式ショックアブソーバ。
本態様によれば、例えば、電気的失陥時においても、伸側の減衰力発生特定(減衰係数)と、縮側の減衰力発生特性(減衰係数)とを相違させることができ、その相違の程度を任意なものとすることにより、電気的失陥時におけるアブソーバの特性を、ある程度任意なものとすることが可能である。その結果として、減衰力独立型アブソーバの実用性を向上させることが可能なのである。
(3)前記伸側減衰力発生器が発生させる電流非供給時設定減衰力が、前記縮側減衰力発生器が発生させる前記電流非供給時設定減衰力よりも大きくなるように構成された(2)項に記載の液圧式ショックアブソーバ。
減衰力独立型アブソーバにおいては、後に説明するように、一般的には、車両の乗り心地,車体の安定性等の理由から、上記電流依存減衰力に関する減衰係数の変更幅は、伸側が縮側に比較して大きくされ、最大となる電流依存減衰力も、伸側が縮側に比較して大きくされる。そのことに鑑みれば、伸側の電流非供給時設定減衰力が縮側の電流非供給時設定減衰力よりも大きく設定された本態様のアブソーバは、電気失陥時において、通常時(失陥のない状態)における特性に近い特性を有することから、良好なアブソーバとなる。
(4)前記伸側減衰力発生器と前記縮側減衰力発生器との一方が発生させる前記電流非供給時設定減衰力が、前記電流依存減衰力として発生させることが可能な最小の減衰力と同じ大きさとなるように構成された(2)項または(3)項に記載の液圧式ショックアブソーバ。
設定された電流依存減衰力の範囲、つまり、電流依存減衰力の発生において基づく減衰係数の範囲を、設定減衰係数範囲と呼べば、その範囲における最大の減衰係数を、最大減衰係数と、最小の減衰係数を最小減衰係数と呼ぶことができる。本態様によれば、伸側と縮側との一方の電流非供給時設定減衰力が、設定最小減衰係数に基づく減衰力となるため、電流依存減衰力を発生させるための電流供給制御、つまり、減衰力制御において 伸側と縮側との一方に最小の減衰力を発生させる場合に、その一方の減衰力発生器に供給する電流を0とすることができるため、省電力なアブソーバを構築することが可能である。
(5)前記伸側減衰力発生器と前記縮側減衰力発生器との他方が発生させる電流非供給時設定減衰力が、前記電流依存減衰力として発生させることが可能な最大の減衰力と同じ大きさとなるように構成された(4)項に記載の液圧式ショックアブソーバ。
本態様は、伸側と縮側との一方の電流非供給時設定減衰力を上記最小の減衰力とした場合において、他方の電流非供給時設定減衰力を、最大の減衰力、つまり、上記設定最大減衰係数に基づく減衰力とした態様である。本態様のアブソーバによれば、電気的失陥時において、充分な減衰力を発生させることが可能である。すなわち、電気的失陥時において、一方の電流非供給時設定減衰力を小さくしたことによって生じる減衰力不足を、他方の電流非供給時設定減衰力によって効果的に補うことが可能となる。
(6)前記伸側減衰力発生器および前記縮側減衰力発生器の各々が発生させる電流非供給時設定減衰力が、ともに、前記電流依存減衰力として発生させることが可能な最小の減衰力と同じ大きさとなるように構成された(1)項に記載の液圧式ショックアブソーバ。
本態様によれば、伸側および縮側の両方の電流非供給時設定減衰力が、設定最小減衰係数に基づく減衰力となるため、電流依存減衰力を発生させるための電流供給制御、つまり、減衰力制御において、伸側減衰力発生器および縮側減衰力発生器のいずれに最小の減衰力を発生させる場合にも、伸側および縮側の減衰力発生器のそれぞれに供給する電流を0とすることができる。そのため、極めて省電力なアブソーバを構築することが可能である。
(7)前記伸側減衰力発生器および前記縮側減衰力発生器の各々が、
自身に供給される電流が大きくなればなる程、発生させる前記電流依存減衰力が大きくなるように構成された(1)項ないし(6)項のいずれか1つに記載の液圧式ショックアブソーバ。
自身に供給される電流が大きくなればなる程、発生させる前記電流依存減衰力が大きくなるように構成された(1)項ないし(6)項のいずれか1つに記載の液圧式ショックアブソーバ。
本態様によれば、電流依存減衰力を発生させるための伸側減衰力発生器および縮側減衰力発生器への電流供給制御、つまり、上述の伸側および縮側の減衰力制御を容易に実行することが可能である。
(8)前記伸側減衰力発生器および前記縮側減衰力発生器の各々が、
前記設定値以上の電流が自身に供給される場合において作動液が通過する主液通路と、自身に電流が供給されていない場合において作動液が通過する副液通路とを有するとともに、前記主液通路を通過する作動液の流れに対する抵抗を自身に供給される電流の大きさに応じて変化させることで、その電流の大きさに応じた大きさの前記電流依存減衰力を発生させるように構成された(1)項ないし(7)項のいずれか1つに記載の液圧式ショックアブソーバ。
前記設定値以上の電流が自身に供給される場合において作動液が通過する主液通路と、自身に電流が供給されていない場合において作動液が通過する副液通路とを有するとともに、前記主液通路を通過する作動液の流れに対する抵抗を自身に供給される電流の大きさに応じて変化させることで、その電流の大きさに応じた大きさの前記電流依存減衰力を発生させるように構成された(1)項ないし(7)項のいずれか1つに記載の液圧式ショックアブソーバ。
本態様は、伸側および縮側の減衰力発生器の構造に関する限定を加えた態様である。本態様における減衰力発生器によれば、上記主液通路を通過する作動液の流れに対して、供給される電流に応じた抵抗を与えることで、容易に、電流依存減衰力の制御が可能であることに加え、副液通路を通過する作動液を通過する作動液の流れに対して抵抗を与えることで、電気的失陥時等において、容易に、かつ、確実に、電流非供給時減衰力を発生させることが可能となる。
(9)前記シリンダが伸長する際に、実質的には抵抗とはならない液通路を介した前記反ロッド側室への作動液の流入を許容し、前記シリンダが収縮する際に、実質的には抵抗とならない液通路を介した前記ロッド側室への作動液の流入を許容する減衰力非発生流入許容機構を備えた(1)項ないし(8)項のいずれか1つに記載の液圧式ショックアブソーバ。
本態様では、上記減衰力非発生流入許容機構の機能によって、シリンダの伸縮に伴った作動液の流れは、伸側および縮側の減衰力発生器のいずれにおいても、実質的に一方向の流れとなる。したがって、伸側および縮側の減衰力発生器によって発生させられる減衰力を、確実な状態で、当該アブソーバの減衰力とすることができる。
(11)当該液圧式ショックアブソーバが、
前記伸側減衰力発生器および前記縮側減衰力発生器の各々に電流を供給するともに、その各々に供給する電流の大きさを制御するコントローラを備えた(1)項ないし(9)項のいずれか1つに記載の液圧式ショックアブソーバ。
前記伸側減衰力発生器および前記縮側減衰力発生器の各々に電流を供給するともに、その各々に供給する電流の大きさを制御するコントローラを備えた(1)項ないし(9)項のいずれか1つに記載の液圧式ショックアブソーバ。
本態様によれば、伸側減衰力発生器および前記縮側減衰力発生器の各々が発生させる電流依存減衰力を、容易に制御することができる。
(12)前記コントローラが、
ばね上部が上方に移動している場合に、前記伸側減衰力発生器に前記設定値以上の電流を供給するとともに、ばね上部が下方に移動している場合に、前記縮側減衰力発生器に前記設定値以上の電流を供給するように構成された(11)項に記載の液圧式ショックアブソーバ。
ばね上部が上方に移動している場合に、前記伸側減衰力発生器に前記設定値以上の電流を供給するとともに、ばね上部が下方に移動している場合に、前記縮側減衰力発生器に前記設定値以上の電流を供給するように構成された(11)項に記載の液圧式ショックアブソーバ。
本態様によれば、伸側減衰力発生器および前記縮側減衰力発生器の各々が発生させる電流依存減衰力の制御によって、先に説明したスカイフック制御に近似した制御の実行が可能となる。
(13)前記縮側減衰力発生器が発生させる前記電流非供給時設定減衰力が、前記電流依存減衰力として発生させることが可能な最小の減衰力と同じ大きさとなるように構成されており、
前記コントローラが、
ばね上部が上方に移動している場合に、前記縮側減衰力発生器への電流の供給を禁止するように構成された(12)項に記載の液圧式ショックアブソーバ。
前記コントローラが、
ばね上部が上方に移動している場合に、前記縮側減衰力発生器への電流の供給を禁止するように構成された(12)項に記載の液圧式ショックアブソーバ。
本態様によれば、先に説明したように、縮側の非供給時設定減衰力が、設定最小減衰係数に基づく減衰力となるため、電流依存減衰力を発生させるための縮側減衰力発生器への電流供給制御、つまり、縮側の減衰力制御において、最小の減衰力を発生させる場合に、縮側減衰力発生器に供給する電流を0とすることができるため、省電力なアブソーバを構築することが可能である。
(14)前記伸側減衰力発生器が発生させる電流非供給時設定減衰力が、前記縮側減衰力発生器が発生させる前記電流非供給時設定減衰力よりも大きくなるように構成されており、
前記コントローラが、
ばね上部が下方に移動している場合に、前記伸側減衰力発生器に前記設定値の電流を供給するように構成された(13)項に記載の液圧式ショックアブソーバ。
前記コントローラが、
ばね上部が下方に移動している場合に、前記伸側減衰力発生器に前記設定値の電流を供給するように構成された(13)項に記載の液圧式ショックアブソーバ。
本態様によれば、縮側の減衰力制御において、最小の減衰力を発生させる場合に、縮側減衰力発生器に供給する電流を0とすることができることに加え、さらに、伸側の減衰力制御において、最小の減衰力を発生させる場合に、伸側減衰力発生器に供給する電流を、可及的に小さな電流とできるため、相当に省電力なアブソーバを構築することが可能である。
(15)前記縮側減衰力発生器および前記伸側減衰力発生器の各々が発生させる前記電流非供給時設定減衰力が、ともに、前記電流依存減衰力として発生させることが可能な最小の減衰力と同じ大きさとなるように構成されており、
前記コントローラが、
ばね上部が上方に移動している場合に、前記縮側減衰力発生器への電流の供給を禁止し、ばね上部が下方に移動している場合に、前記伸側減衰力発生器への電流の供給を禁止するように構成された(12)項に記載の液圧式ショックアブソーバ。
前記コントローラが、
ばね上部が上方に移動している場合に、前記縮側減衰力発生器への電流の供給を禁止し、ばね上部が下方に移動している場合に、前記伸側減衰力発生器への電流の供給を禁止するように構成された(12)項に記載の液圧式ショックアブソーバ。
本態様によれば、先に説明したように、伸側および縮側の両方の電流非供給時設定減衰力が、設定最小減衰係数に基づく減衰力となるため、伸側と縮側との両方の減衰力制御において、最小の減衰力を発生させる場合に、伸側および縮側の減衰力発生器のそれぞれに供給する電流を0とすることができる。そのため、極めて省電力なアブソーバを構築することが可能である。
(16)前記コントローラが、
前記伸側減衰力発生器および前記縮側減衰力発生器の各々に前記設定値以上の電流を供給する場合、その電流を、ばね上部の移動速度が大きい程前記電流依存減衰力が大きくなるように制御するように構成された(12)項ないし(15)項のいずれか1つに記載の液圧式ショックアブソーバ。
前記伸側減衰力発生器および前記縮側減衰力発生器の各々に前記設定値以上の電流を供給する場合、その電流を、ばね上部の移動速度が大きい程前記電流依存減衰力が大きくなるように制御するように構成された(12)項ないし(15)項のいずれか1つに記載の液圧式ショックアブソーバ。
本態様によれば、上記スカイフック制御に近似した制御を実行する場合において、より効果的にばね上部を制振することが可能となる。
以下、請求可能発明を実施するための形態として、請求可能発明の実施例である液圧式ショックアブソーバおよびそれの変形例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発明は、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された形態を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の形態で実施することができる。
[A]液圧式ショックアブソーバの全体構成
実施例の液圧式ショックアブソーバ(以下、単に「アブソーバ」と言う場合がある)は、図1に示すように、シリンダ10と、2つの減衰力発生器12a,12b、詳しく言えば、伸側減衰力発生器12aおよび縮側減衰力発生器12bとを主要構成要素として構成されている。
実施例の液圧式ショックアブソーバ(以下、単に「アブソーバ」と言う場合がある)は、図1に示すように、シリンダ10と、2つの減衰力発生器12a,12b、詳しく言えば、伸側減衰力発生器12aおよび縮側減衰力発生器12bとを主要構成要素として構成されている。
シリンダ10は、ハウジング20と、ハウジング20の内部において上下方向にい移動可能に配設されたピストン22と、一端部(下端部)がピストン22に連結されて他端部(上端部)がハウジング20から上方に延び出すロッド24とを含んで構成されている。ハウジング20の下端には連結部材26が付設されており、ハウジング20は、その連結部材26を介して、車両のばね下部(例えば、サスペンションロアアーム,ステアリングナックル等)に、雄ねじが形成されているロッド24の上端部は、その雄ねじを利用して、車両のばね上部(例えば、車体に設けられたマウント)に、それぞれ連結される。つまり、シリンダ10は、車両のばね上部とばね下部とを繋ぐようにして配設される。ばね上部とばね下部の上下方向の相対移動、つまり、離間,接近に伴って、シリンダ10は、伸縮する。詳しく言えば、ばね上部とばね下部とが離間する方向に相対移動する場合(以下、「リバウンド動作時」若しくは「リバウンド時」と言う場合がある)に伸長し、接近する方向に相対移動する場合(以下、「バウンド動作時」若しくは「バウンド時」と言う場合がある)に収縮する。
ピストン22は、ハウジング20の内部を摺接して移動可能とされており、ハウジング20の内部には、ピストン22によって、作動液で満たされた2つの液室30,32が区画形成されている。詳しく言えば、ピストン22の上方に位置してロッド24が貫通するロッド側室30と、ピストン22の下方に位置する反ロッド側室32とが、それぞれ区画形成されている。それら2つの液室30,32は、シリンダ10の伸縮に伴って、つまり、ばね上部とばね下部との相対移動に伴って、容積が変化する。詳しく言えば、リバウンド動作時には、ロッド側室30の容積が減少し、反ロッド側室32の容積が増加する。一方、バウンド動作時には、ロッド側室30の容積が増加し、反ロッド側室32の容積が減少する。
ハウジング20は、概して2重構造をなしており、有底のメインチューブ36と、メインチューブ36の外周側に付設されたアウターチューブ38とを有している。メインチューブ36の内周面によって、ロッド側室30および反ロッド側室32の周囲が区画されており、メインチューブ36の外周面とアウターチューブ38の内周面との間には、それらによって、作動液を収容するバッファ室(「リザーバ」若しくは「リザーバ室」と呼ぶこともできる)40が区画形成されている。ロッド24の存在により、ロッド側室30と反ロッド側室32との合計容積は、リバウンド時には、増加し、バウンド時には、減少する。バッファ室40は、ロッド側室30と反ロッド側室32とに作動液を充満させた状態でのそれら合計容積の変化を許容するために設けられた液室である。なお、メインチューブ36の内底部には、反ロッド側室32の底を区画する仕切部材42が設けられており、仕切部材42とメインチューブ36の底壁との間には、底部液通路44が形成されている。
メインチューブ36とアウターチューブ38との間には、メインチューブ36を取り巻くようにして上下に並ぶ2つのインターチューブ50,52、詳しくは、上部インターチューブ50,下部インターチューブ52が配設されている。上部インターチューブ50は、比較的長いものとされており、下部インターチューブ52は、比較的短いものとされている。ちなみに、バッファ室40の内周は、詳しく言えば、部分的にはそれらインターチューブ50,52の外周面によって区画されている。そして、上部インターチューブ50の内周面とメインチューブ36の外周面との間には、比較的長い環状の上部液通路54が区画形成されており、下部インターチューブ50の内周面とメインチューブ36の外周面との間には、比較的短い環状の下部液通路56が区画形成されている。
メインチューブ36の上部には、上部液通路54とロッド側室30との間の作動液の流通のために、上部流通穴60が、メインチューブ36の下部には、下部液通路56と反ロッド側室32との間の作動液の流通のために、下部流通穴62が、それぞれ設けられている。そして、メインチューブ36の下端に近い部分には、バッファ室40と底部液通路44との間の作動液の流通のために、底部流通穴64が設けられている。一方、上部インターチューブ50の下部には、バッファ室40から上部液通路54への作動液の流入を許容するための流入穴66が設けられ、上部インターチューブ50の外周面には、流入穴66を覆うようにして、弁ブロック68が付設されている。さらに、上部インターチューブ50の下部には、上部液通路54からの作動液の流出を許容する上部流出口70が、下部インターチューブ52には、下部液通路56からの作動液の流出を許容する下部流出口72がそれぞれ設けられている。そして、アウターチューブ38には、それら上部流出口70,下部流出口72とそれぞれ同軸的配置されて、それぞれがバッファ室40への作動液の流入を許容する上部流入口74,下部流入口76が設けられている。
上述の弁ブロック68は、バッファ室40と流入穴66とを繋ぐ液通路と、その液通路に配設されたロッド側室用チェック弁78とを有している。一方で、上述の仕切部材42は、底部液通路44と反ロッド側室とを繋ぐ液通路と、その液通路に配設された反ロッド側室用チェック弁80とを有している。ロッド側室用チェック弁78は、バッファ室40から上部液通路54を介したロッド側室30への作動液の流入を殆ど抵抗なく許容する一方で、ロッド側室30からの上部液通路54を介したバッファ室40への作動液の流出を禁止する機能を有する逆止弁であり、反ロッド側室用チェック弁80は、バッファ室40から底部液通路44を介した反ロッド側室32への作動液の流入を殆ど抵抗なく許容する一方で、反ロッド側室32からの底部液通路44を介したバッファ室40への作動液の流出を禁止する機能を有する逆止弁である。
また、ピストン22にも、ロッド側室30と反ロッド側室32とを繋ぐ1対の液通路と、それら1対の液通路にそれぞれ設けられた1対のチェック弁82,84とを有している。一方のチェック弁82は、ロッド側室30から反ロッド側室32への作動液の通過を許容するともに、反ロッド側室32からロッド側室30への作動液の通過を禁止する機能を有しており、他方のチェック弁84は、反ロッド側室32からロッド側室30への作動液の通過を許容し、ロッド側室30から反ロッド側室32への作動液の通過を禁止する機能を有している。しかしながら、1対のチェック弁82,84のいずれもが、ロッド側室30内の作動液の圧力と反ロッド側室32の作動液の圧力との差がかなり大きいときにしか、作動液の通過を許容しないようにされているため、通常時においては、ピストン22の1対の液通路を利用した作動液の通過は、実質的には行われないようになっている。
上述の伸側減衰力発生器12aは、上記上部流出口70および上記上部流入口74を覆うようにして配設されており、ロッド側室30から流出して、上部液通路54を介してバッファ室40に流入する作動液の通過を許容するともに、その作動液の流れに対して抵抗を与える機能を有している。一方、上述の縮側減衰力発生器12bは、上記下部流出口70および上記下部流入口74を覆うようにして配設されており、反ロッド側室32から流出して、下部液通路56を介してバッファ室40に流入する作動液の通過を許容するともに、その作動液の流れに対して抵抗を与える機能を有している。
以上のように構成された実施例のアブソーバにおいて、リバウンド動作時には、図1に実線の矢印で示すように、シリンダ10の反ロッド側室32に、バッファ室40から、底部流通穴64,底部液通路44,反ロッド側室用チェック弁80を介して、作動液が流入するともに、シリンダ10のロッド側室30から、バッファ室40に、上部流通穴60,上部液通路54を介しかつ伸側減衰力発生器12aを通過して、作動液が流出する。その際、伸側減衰力発生器12aを通過する作動液の流れに対して与えられる抵抗によって、シリンダ10の伸長に対する減衰力、つまり、リバウンド動作に対する減衰力が発生させられることになる。ちなみに、その減衰力は、作動液の流れに対して伸側減衰力発生器12aが与える抵抗に応じた大きさになり、抵抗が大きければ大きい程、減衰力は大きくなる。
一方、バウンド動作時には、図1に破線の矢印で示すように、シリンダ10のロッド側室30に、バッファ室40から、ロッド側室用チェック弁78,上部液通路54,上部流通穴60を介して、作動液が流入するともに、シリンダ10の反ロッド側室32から、バッファ室40に、下部流通穴62,下部液通路56を介しかつ縮側減衰力発生器12bを通過して、作動液が流出する。その際、縮側減衰力発生器12bを通過する作動液の流れに対して与えられる抵抗によって、シリンダ10の収縮に対する減衰力、つまり、バウンド動作に対する減衰力が発生させられることになる。ちなみに、その減衰力は、作動液の流れに対して縮側減衰力発生器12bが与える抵抗に応じた大きさになり、抵抗が大きければ大きい程、減衰力は大きくなる。
ちなみに、リバウンド動作時、つまり、シリンダ10が伸長する際において、反ロッド側室32へのバッファ室40からの作動液の流入の液通路、詳しく言えば、上述のように底部流通穴64,底部液通路44,反ロッド側室用チェック弁80介する液通路は、実質的には、作動液の流入に対して抵抗とはならない。同様に、バウンド動作時、つまり、シリンダ10が収縮する際において、ロッド側室30へのバッファ室40からの作動液の流入の液通路、詳しく言えば、上述のようにロッド側室用チェック弁78,上部液通路54,上部流通穴60を介する液通路は、作動液の流入に対して抵抗とはならない。このことに鑑みれば、実施例のアブソーバは、それらの液通路によって構成される減衰力非発生流入機構を備えていると考えることが可能である。
なお、上記伸側減衰力発生器12a,上記縮側減衰力発生器12bは、後に詳しく説明するように、電磁式弁とされており、それら伸側減衰力発生器12a,縮側減衰力発生器12bの各々が与える抵抗の大きさは、供給される電流の大きさに依存する。つまり、リバウンド動作に対する減衰力,バウンド動作に対する減衰力が、供給される電流の大きさに依存するのである。それら伸側減衰力発生器12a,縮側減衰力発生器12bは、それぞれ、コントローラ90(図1では〔CNT〕と表記されている)を介して、バッテリ92(図1では〔BAT〕と表記されている)に接続されており、それら伸側減衰力発生器12a,縮側減衰力発生器12bの各々に供給される電流の制御は、コントローラ90によって行われる。
[B]減衰力発生器
以下に、伸側減衰力発生器12aおよび縮側減衰力発生器12bの構成および作用について、図2を参照しつつ説明する。なお、それら伸側減衰力発生器12aおよび縮側減衰力発生器12bは、構成および作用において略等しいため、以下の説明では、それらを減衰力発生器12として一括して扱う場合があることとする。そして、伸側減衰力発生器12aに関連する構成要素と縮側減衰力発生器12bに関連する構成要素とが異なる場合には、図2において後者に()を付して表わすこととする。
以下に、伸側減衰力発生器12aおよび縮側減衰力発生器12bの構成および作用について、図2を参照しつつ説明する。なお、それら伸側減衰力発生器12aおよび縮側減衰力発生器12bは、構成および作用において略等しいため、以下の説明では、それらを減衰力発生器12として一括して扱う場合があることとする。そして、伸側減衰力発生器12aに関連する構成要素と縮側減衰力発生器12bに関連する構成要素とが異なる場合には、図2において後者に()を付して表わすこととする。
減衰力発生器12は、図2に示すように、自身を通過する作動液に抵抗を与えるための弁機構98を主要構成要素とするものであり、詳しく言えば、作動液の流路100が設けられた中空のバルブハウジング102と、バルブハウジング102内に収容された弁体(「弁可動体」と呼ぶこともできる)104と、ソレノイド106と、圧縮コイルスプリングであるバネ108と、圧縮コイルスプリングであるバネ110とを含んで構成されている。ソレノイド106は、弁機構98を構成する弁体104に、流路面積を制限する方向の付勢力を与える機能を有しており、バネ108は、弁体104に、流路面積を最大とする方向の付勢力を与える機能を、バネ110は、弁体104に、流路面積を制限する方向の付勢力を与える機能を、それぞれ有している。さらに、減衰力発生器12は、流路100の途中に、弁機構98と直列的に配置されるフェール弁112を備えている。
バルブハウジング102は、当該減衰力発生器12の軸線に沿って延びる横孔114と、横孔114に通じる縦孔116とを備えており、図2の左端となる先端の外周が、伸側減衰力発生器12aにあっては上部インターチューブ50の上部流出口70に、縮側減衰力発生器12bにあっては下部インターチューブ52の下部流出口72にそれぞれ設けられたスリーブ118に、嵌合している。その結果、横孔114の左端開口部を、伸側減衰力発生器12aにあっては、メインチューブ36と上部インターチューブ50との間に形成された上記上部液通路54内に、縮側減衰力発生器12bにあっては、メインチューブ36と下部インターチューブ52との間に形成された上記下部液通路56内に、臨ませるとともに、縦孔116をバッファ室40に臨ませており、それら横孔114および縦孔116によって、上記流路100が形成されているのである。
また、バルブハウジング102には、横孔114の途中、詳しくは、縦孔116の上部液通路54若しくは下部液通路56側(図2における左方側)に、小内径部120が設けられており、当該小内径部120の内縁によって、環状の弁座122が形成されている。さらに、バルブハウジング102は、外周において、縦孔116の開口部より上部液通路54若しくは下部液通路56側(図2における左方側)にフランジ124と、縦孔116の開口部より上部液通路54若しくは下部液通路56とは反対側(図2における右方側)に大外径部126を備えている。
さらに、バルブハウジング102のスリーブ118への嵌合部の外周には、シールリング128が装着されており、上部液通路54若しくは下部液通路56とバッファ室40との間がシールされ、流路100以外を介して上部液通路54若しくは下部液通路56とバッファ室40とが連通されないようになっている。
また、バルブハウジング102のフランジ124は、アウターチューブ38の上部流入口74若しくは下部流入口76に取付けられた筒130の内周に嵌合し、当該筒130の内周に設けられた段部132に当接している。筒130は、端部外周に、符示しない螺子部を備えており、この筒130には、ソレノイド106を内包した有底筒状のケース134が螺着している。
そして、当該ケース134は、筒部136と、筒部136にそれの開口端が加締められことによって固定される底部138と、筒部136の内周側に配設されてソレノイド106のコイル140を保持するソレノイドボビン22を保持する内フランジ144とを有している。この内フランジ144と筒130の段部132とで、バルブハウジング102のフランジ124および非磁性体のスペーサ146を挟持し、それによってバルブハウジング102がシリンダ10に固定される。このようにして固定されてもフランジ124で流路100のバッファ室40への連通が断たれることが無いように、フランジ124には貫通孔148が形成されている。
ソレノイド106は、上記した有底筒状のケース134と、コイル140を保持するとともにケース134の底部に固定される環状の上記ソレノイドボビン142と、有底筒状であってソレノイドボビン142の内周に嵌着された第1固定鉄心150と、同じくソレノイドボビン142の内周に嵌着された筒状の第2固定鉄心152と、同じくソレノイドボビン142の内周に嵌着されるとともに第1固定鉄心150と第2固定鉄心152との間に介装された非磁性体の筒状のスペーサ154と、第1固定鉄心150の内周側に配置される有底筒状の可動鉄心156と、バルブハウジング102の大外径部126の外周に摺動自在に装着されて可動鉄心156とは別のもう1つの可動鉄心としても機能する筒状のフェール弁体(「フェール弁可動体」と呼ぶこともできる)158とを含んで構成されている。
そして、有底筒状の可動鉄心156は、筒の開口端側を第1固定鉄心150の内方へ向けて、第1固定鉄心150の内周に摺動自在に挿入されるとともに、第1固定鉄心150の底部に配設された非磁性体のワッシャ160に当接するまで第1固定鉄心150内に進入しても、底部側面(図2における左方の面)が第2固定鉄心152の内周に若干対向するか至近するようにして配置されている。また、可動鉄心156の筒の周壁には通孔162が設けられており、第1固定鉄心150と可動鉄心156とで区画される空間が密閉されないようになっている。
さらに、可動鉄心156と第1固定鉄心150との間に上述のバネ110が介装され、そのバネ110によって、可動鉄心156に、第1固定鉄心150から離れる方向の付勢力が与えられている。バネ110は、図2における右端が第1固定鉄心150の軸芯部に螺合するバネ力調整螺子164の先端に設けられたバネ受166に支承され、バネ力調整螺子164を第1固定鉄心150に対して進退させることでバネ110の支承位置を図2における左右に変更することができるようになっている。
第2固定鉄心152は、筒状とされており、第1固定鉄心150側の開口端は、外周側の部分が傾斜するようなテーパ形状とされており、コイル140への通電時に発生する磁束が右端内周側に集中するようになっており、この第2固定鉄心152と第1固定鉄心150との間に介装される非磁性体のスペーサ154の図2における左端の形状は、第2固定鉄心152のテーパに符合する形状とされている。
上述のような構造から、このソレノイド106にあっては、図3に矢印で示すような磁路、詳しく言えば、第1固定鉄心150、可動鉄心156および第2固定鉄心152を巡るような磁路が形成される。コイル140に通電されてソレノイド106が励磁されると、つまり、減衰力発生器12に電流が供給されると、第1固定鉄心150寄りに配置される可動鉄心156が第2固定鉄心152側に吸引され、可動鉄心156には、図2における左側へ向かう方向の付勢力が作用するようになっている。
そして、可動鉄心156の底部は、図2に示すように、弁機構98を構成する弁体104に当接しており、バネ110の付勢力が弁体104に伝わるようになっている。また、ソレノイド106の励磁時には、吸引される可動鉄心156を介して、弁体104に、図2における左側へ向かう方向の付勢力が与えられるようになっている。なお、可動鉄心156の弁体104側(図における左側)への移動は、バルブハウジング102の右端外周に嵌合して大外径部126によって左方への移動が規制されている非磁性体からなる筒状のストッパ168によって、規制されている。つまり、移動の限界が定められている。
上記弁体104は、本減衰力発生器12では、バルブハウジング102の図2における右端内周に摺接する大径部170と、大径部170の左端から伸びてバルブハウジング102の縦孔116に対向する小径部172と、小径部172の左端に形成されるポペット型の弁頭174とを備えて構成され、弁頭174が弁座122に離着座することで流路100を開閉することができるようになっている。なお、この弁体104の場合、小径部172の外周面とバルブハウジング102の内周面との間に隙間が形成されるようになっており、弁体104が縦孔116を閉塞することがないように配慮されている。
また、この弁体104における大径部170の左端とバルブハウジング102の小内径部120の右端との間には、上述のバネ108が介装されており、当該バネ108は、弁体104に、弁座122から遠ざける方向の付勢力、つまり、流路100の流路面積を最大とする方向の付勢力を与えている。
したがって、弁体104は、可動鉄心156を介してバネ108とバネ110で挟み込まれており、バネ108によって流路100の流路面積を最大とする方向の付勢力が与えられるとともに、反対に、バネ110によって、可動鉄心156を介して、流路100の流路を制限する方向への付勢力が与えられている。弁体104に対して、コイル140への通電がない状態では、弾性体であるバネ108による付勢力が、遮断弾性体であるバネ110による付勢力と釣り合う若しくはその付勢力を上回っており、可動鉄心156が、ワッシャ160へ当接するまで第1固定鉄心150内に押し込まれる。その結果、流路100を最大に開放する位置にまで、弁体104が弁座122から後退するようになっている。
ここで、バネ108とバネ110は、上述のように、直列的に配置されているため、バネ力調整螺子164でバネ110の支承位置を調節すると、バネ110の圧縮された状態における長さ、すなわち、圧縮長さを変更するだけでなく、バネ108の圧縮長さをも調節することができ、これらバネ108,110が弁体104に与える付勢力、特に、ソレノイド196に電流を供給していない状態での付勢力である標準付勢力を調節することができるようになっている。したがって、標準付勢力を調節することで、ソレノイド106への供給電流量(減衰力発生器12への供給電流量と考えることができる)に対する弁体104の位置、すなわち、弁機構98における流路面積を調整することができるのである。
説明を戻せば、ソレノイド106の第2固定鉄心152は、ソレノイドボビン142より図2おける左方へ突出しており、第2固定鉄心152の左端外周には、スペーサ146が嵌合している。詳しくは、スペーサ146は、筒状をなすとともに、右端内周に内フランジ176を備えており、当該内フランジ176の内周には、第2固定鉄心152の外周が嵌合している。また、スペーサ146は、アウターチューブ38に設けた筒130の内周にも嵌合しており、スペーサ146と筒130との間が、スペーサ146の外周に装着したシールリング178によってシールされている。
フェール弁112は、バルブハウジング102の大外径部126の外周に摺動自在に装着される上記フェール弁体158と、そのフェール弁体158とスペーサ146の内フランジ176との間に介装されてフェール弾性体として機能する圧縮コイルスプリングであるバネ180とを含んで構成される。ちなみに、フェール弁112は、当該減衰力発生器12に電力が供給されない、言い換えれば、ソレノイド106のコイル140に通電されない場合に機能するようにされている弁であり、例えば、当該アブソーバが電気的な失陥を抱えた場合に機能するようにされている。つまり、フェール弁112は、そのような機能に基づいて名付けられている。
フェール弁体158は、概して筒状をなしており、外周側に設けられた鍔182と、バルブハウジング102のフランジ124の図2おける右端面に対向する環状突起184と、内周と外周とを連通するオリフィス186と、図2における右端から開口してオリフィス186へ通じる通孔188とを備えている。そして、フェール弁体158は、鍔182とスペーサ146の内フランジ176との間に介装されるバネ180によって、バルブハウジング102のフランジ124側へ向けて常に付勢されている。
また、フェール弁体158の右端は、第2固定鉄心152の左端に対向しており、図3に示すように、磁路が、第2固定鉄心152、フェール弁体158、バルブハウジング102、筒130およびケース134を通過するように形成されている。上述したところから、このソレノイド106では、コイル140が励磁されると、フェール弁体158が第2固定鉄心152に吸引され、フェール弁体158には、図2における右方への付勢力が作用するようになっている。そして、ソレノイド106への供給電流が閾値以上となると、ソレノイド106によってフェール弁体158に作用する付勢力が、バネ180による付勢力に打ち勝って、フェール弁体158が第2固定鉄心152に吸着し、その結果、流路100が最大に開放されることになる。
逆に、ソレノイド106への供給電流が上記閾値を超えない場合には、ソレノイド106によってフェール弁体158に作用する付勢力がバネ180による付勢力に打ち勝つことができず、フェール弁体158は、環状突起184がバルブハウジング102のフランジ124に当接する位置に位置する。その結果、流路面積が制限されることになる。詳しく言えば、そのとき、フェール弁体158のオリフィス186が流路100に対向して、オリフィス186のみを介して流路100が連通するようになるので、流路面積がオリフィス186の流路面積にまで制限されるのである。
言い換えれば、フェール弁112は、ソレノイド106への供給電流が閾値以上となると、流路100を開放する開放ポジションとされ、反対に、ソレノイド106への供給電流が閾値を超えない状態では、オリフィス186のみを介して流路100を連通させるフェールポジションとされる。
なお、フェール弁体158が第2固定鉄心152に密着しても、通孔188は、第2固定鉄心152の端部によって閉塞されず、連通状態を保つようになっており、フェール弁体158が第2固定鉄心152に密着した状態となっても、可動鉄心156が収容される空間が閉塞されない。このことによって、弁体104がロックされて移動不能となってしまうといった事態が阻止される。
[C]減衰力発生器が発生させる減衰力
上述した構造および作用から解るように、減衰力発生器12では、ソレノイド106に電流が供給されていない場合、つまり、自身に電流が供給されていない場合には、流路100と、オリフィス186のみを介して流路100を連通させる液通路とを含んで構成される液通路(副液通路)が形成されると考えることができ、その副液通路を通過する作動液の流れに対して抵抗を与えることで、当該減衰力発生器12を通過する作動液の流れに抵抗を与えるように構成されているのである。その結果、自身に電流が供給されていない場合に、設定された大きさの減衰力である「電流非供給時設定減衰力」を発生させるように、詳しく言えば、シリンダ10の伸縮に対して、その電流非供給時設定減衰力を発生させるように構成されているのである。なお、その減衰力の大きさは、オリフィス186の内径(流路径)によって決まり、その減衰力が基づく減衰係数(電流非供給時設定減衰係数)は、大まかに言えば、固定的なものとなる。
上述した構造および作用から解るように、減衰力発生器12では、ソレノイド106に電流が供給されていない場合、つまり、自身に電流が供給されていない場合には、流路100と、オリフィス186のみを介して流路100を連通させる液通路とを含んで構成される液通路(副液通路)が形成されると考えることができ、その副液通路を通過する作動液の流れに対して抵抗を与えることで、当該減衰力発生器12を通過する作動液の流れに抵抗を与えるように構成されているのである。その結果、自身に電流が供給されていない場合に、設定された大きさの減衰力である「電流非供給時設定減衰力」を発生させるように、詳しく言えば、シリンダ10の伸縮に対して、その電流非供給時設定減衰力を発生させるように構成されているのである。なお、その減衰力の大きさは、オリフィス186の内径(流路径)によって決まり、その減衰力が基づく減衰係数(電流非供給時設定減衰係数)は、大まかに言えば、固定的なものとなる。
一方、減衰力発生器12では、上記閾値以上の電流がソレノイド106に供給される場合、つまり、上記閾値以上の電流が自身に供給される場合には、バルブハウジング102のフランジ124とフェール弁体158の環状突起184との間を介して流路100を連通させる液通路とを含んで構成される液通路(主液通路)が形成されると考えることができ、その主液通路を通過する作動液の流れに対して抵抗を与えることで、当該減衰力発生器12を通過する作動液の流れに抵抗を与えるように構成されているのである。詳しく言えば、流路100には、上述の弁機構98が配設されており、その弁機構98を構成する弁座122と弁体104との間を通過する作動液の流れに抵抗が与えられる。この抵抗の大きさは、弁座122と弁体104との隙間の大きさ、つまり、弁機構98の開弁の程度に依存した大きさとなる。一方、ソレノイド104が弁体104に与える付勢力は、ソレノイド104に供給される電流の大きさに依存しており、上述した弁機構98の構造により、その電流が大きいほど、開弁の程度は低くなる。つまり、開弁し難くなるのである。したがって、供給される電流が大きくなるほど、主液通路を通過する作動液の流れに与える抵抗が大きくなるのである。以上のことから、減衰力発生器12は、上記閾値以上の電流が供給される場合には、その電流の大きさに応じた大きさの減衰力である「電流依存減衰力」を発生させるように、詳しく言えば、シリンダ10の伸縮に対して、その電流依存減衰力を発生させるよう構成されており、その電流依存減衰力は、供給される電流が大きいほど大きく、その減衰力が基づく減衰係数(電流依存減衰係数)は、その電流が大きいほど、大きくなる。つまり、減衰力発生器12は、上記主液通路を通過する作動液の流れに対する抵抗を自身に供給される電流の大きさに応じて変化させることで、その電流の大きさに応じた大きさの電流依存減衰力を発生させるように構成されているのである。
上記電流非供給時設定減衰力および上記電流依存減衰力について具体的に説明すれば、伸側減衰力発生器12aでは、それの発生させる減衰力(以下、「伸側減衰力」と言う場合がある)FDAが基づく減衰係数(以下、「伸側減衰係数」と言う場合がある)ζAが、供給される電流(以下、「伸側供給電流」、若しくは、単に「供給電流」という場合がある)IAの大きさに応じて、模式的には、図4(a)のグラフに示すように変化する。詳しく言えば、減衰係数ζAは、供給電流IAが閾値IA-THを超えるまでは、電流非供給時設定減衰係数ζA-0となり、閾値IA-TH以上となった場合に、電流依存減衰係数ζAとなって、供給電流IAが大きくなるにつれて大きくなる。本実施例のアブソーバでは、通常時には、電流依存減衰力FDAを発生させるために、伸側減衰力発生器12aに、設定範囲の電流IAが供給されるようにされており、具体的には、それぞれが設定値である下限電流IA-MINと上限電流IA-MAXとの間の電流IAが供給される。したがって、下限電流IA-MINが供給されたときの減衰係数ζAを下限減衰係数ζA-MINと、上限電流IA-MAXが供給されたときの減衰係数ζAを上限減衰係数ζA-MAXと、それぞれ呼べば、電流依存減衰係数ζAは、下限減衰係数ζA-MINと上限減衰係数ζA-MAXとの間で変化させられ、縮側減衰力発生器12bは、その電流依存減衰係数ζAの変化に応じた範囲の減衰力FDA、つまり、下限減衰係数ζA-MINとなる場合の最小の電流依存減衰力FDAである最小減衰力FDA-MINと、上限減衰係数ζA-MAXとなる場合の最大の電流依存減衰力FDAである最大減衰力FDA-MAXとの間の減衰力FDAを発生させることになる。
縮側減衰力発生器12bでは、伸側減衰力発生器12aと同様に、それの発生させる減衰力(以下、「縮側減衰力」と言う場合がある)FDBが基づく減衰係数(以下、「縮側減衰係数」と言う場合がある)ζBが、供給される電流(以下、「縮側供給電流」、若しくは、単に「供給電流」という場合がある)IBの大きさに応じて、模式的には、図4(b)のグラフに示すように変化する。詳しく言えば、減衰係数ζBは、供給電流IBが閾値IB-THを超えるまでは、電流非供給時設定減衰係数ζB-0となり、閾値IB-TH以上となった場合に、電流依存減衰係数ζBとなって、供給電流IBが大きくなるにつれて大きくなる。本実施例のアブソーバでは、通常時には、電流依存減衰力FDBを発生させるために、縮側減衰力発生器12bに設定範囲の電流IBが供給されるようにされており、具体的には、それぞれが設定値である下限電流IB-MINと上限電流IB-MAXとの間の電流IBが供給される。したがって、下限電流IB-MINが供給されたときの減衰係数ζBを下限減衰係数ζB-MINと、上限電流IB-MAXが供給されたときの減衰係数ζBを上限減衰係数ζB-MAXと、それぞれ呼べば、電流依存減衰係数ζBは、下限減衰係数ζB-MINと上限減衰係数ζB-MAXとの間で変化させられ、縮側減衰力発生器12bは、その電流依存減衰係数ζBの変化に応じた範囲の減衰力FDB、つまり、下限減衰係数ζB-MINとなる場合の最小の電流依存減衰力FDBである最小減衰力FDB-MINと、上限減衰係数ζB-MAXとなる場合の最大の電流依存減衰力FDBである最大減衰力FDB-MAXとの間の減衰力FDBを発生させることになる。
なお、伸側減衰力発生器12a,縮側減衰力発生器12bのいずれにおいても、下限電流IA-MIN,IB-MINが、閾値IA-TH,IB-THよりも若干ではあるが大きく設定されている。つまり、下限電流IA-MIN,IB-MINに、閾値IA-TH,IB-THに対するある程度のマージンが設けられている。例えば、バッテリ92の電圧が不安定性やノイズによって、ソレノイド106への供給電流が振動的となったり電流不足となったりする可能性もあり、下限電流IA-MIN,IB-MINに近い大きさの電流IA,IBを供給する場合に、上記フェール弁112がフェールポジションに切換わって減衰係数ζA,ζBが急変することも予測される。そのことに鑑みて、上記マージンが設けられているのである。
本アブソーバにおいては、図4(a),図4(b)の2つのグラフを比較することで解るように、伸側減衰力発生器12aと縮側減衰力発生器12bとでは、電流依存減衰力FDA,FDBが基づく減衰係数ζA,ζBの変化の幅、つまり、上限減衰係数ζA-MAX,ζB-MAXと下限減衰係数ζA-MIN,ζB-MINとの差である減衰係数変化幅ΔζA,ΔζBが相違しており、伸側減衰力発生器12aの減衰係数変化幅ΔζAが縮側減衰力発生器12bの減衰係数変化幅ΔζBよりも大きくされている。そして、伸側減衰力発生器12aの上限減衰係数ζA-MAXが縮側減衰力発生器12bの上限減衰係数ζB-MAXよりも大きくされている。図5のグラフは、ばね上ばね下相対速度vS/USに対する伸側減衰力FDA,縮側減衰力FDBを模式的に示しており、その図から解るように、伸側減衰力発生器12aの上限減衰係数ζA-MAXが縮側減衰力発生器12bの上限減衰係数ζB-MAXよりも大きくされていることで、伸側減衰力FDAを、縮側減衰力FDBよりも大きく変化させることが可能とされ、かつ、伸側(バウンド動作時)の方が縮側(バウンド動作時)よりも大きな減衰力FDを発生させることが可能とされている。
また、図4(a),図4(b)の2つのグラフを比較することで解るように、伸側減衰力発生器12aと縮側減衰力発生器12bとでは、電流非供給時設定減衰係数ζA-0,ζB-0において異なる。詳しく言えば、伸側減衰力発生器12aの電流非供給時設定減衰係数ζA-0が縮側減衰力発生器12bの電流非供給時設定減衰係数ζB-0よりも大きく、具体的には、伸側減衰力発生器12aの電流非供給時設定減衰係数ζA-0が上限減衰係数ζA-MAXと等しくされているのに対して、縮側減衰力発生器12bの電流非供給時設定減衰係数ζB-0が下限減衰係数ζB-MINと等しくされている。つまり、そのような電流非供給時設定減衰係数ζA-0,ζB-0が得られるように、伸側減衰力発生器12a,縮側減衰力発生器12bの各々において、上記オリフィス186の径が調整されているのである。その結果、伸側減衰力発生器12aが電流非供給時に発生させる減衰力FDAである電流非供給時設定減衰力FDA-0は、上記最大減衰力FDA-MAXとなり、縮側減衰力発生器12bが電流非供給時に発生させる減衰力FDBである電流非供給時設定減衰力FDB-0は、上記最小減衰力FDB-MINとなる。
したがって、図4(b)のグラフから解るように、縮側減衰力発生器12bが、上記最小減衰力FDB-MINを発生させるべく、下限減衰係数ζB-MINとされる場合において、縮側減衰力発生器12bに電流IBを供給する必要がないため、つまり、電流IBが0であってもよいため、本実施例のアブソーバは、比較的省電力なアブソーバとなる。しかしながら、縮側減衰力発生器12bの電流非供給時設定減衰係数ζB-0が小さくなるため、電気的失陥時(フェール時)においてアブソーバが発生させるべき全体的な減衰力FDが小さくなり過ぎることが懸念される。そのことに配慮して、電気的失陥時に充分なる減衰力FDを担保すべく、伸側減衰力発生器12aの電流非供給時設定減衰係数ζA-0が、上限減衰係数ζA-MAXにまで高められているのである。
なお、上述の構成とは反対に、伸側減衰力発生器12aの電流非供給時設定減衰係数ζA-0を小さくし、縮側減衰力発生器12bの電流非供給時設定減衰係数ζB-0を大きくすることも考えられる。しかしながら、図5のグラフに示すように、通常時に発生させる減衰力FDは、伸側の方が縮側に比較して大きくされている。そのことに配慮し、本実施例のアブソーバでは、電気的失陥時においても通常時と近似した特性の減衰力FDを発生させるために、伸側減衰力発生器12aの電流非供給時設定減衰係数ζA-0が大きくされ、縮側減衰力発生器12bの電流非供給時設定減衰係数ζB-0が小さくされているのである。
[D]ショックアブソーバの制御
通常時におけるアブソーバの制御は、車両のばね上部の振動を抑制することを主目的として、伸側減衰力発生器12a,縮側減衰力発生器12bの各々へ供給する電流を制御することによって行われる。本実施例のアブソーバは、上記構造から、ばね上部とばね下部との相対動作に対する減衰力を発生させるものであるため、そのアブソーバの減衰係数が一定である場合には、ばね上部の動作に対して効果的な減衰力を発生することができない。そのことに鑑み、ばね上部の上下方向における動作速度(以下、「ばね上絶対速度」という場合がある)に基づいて、ばね上部の振動の抑制に適切な減衰力が得られるように、伸側減衰力発生器12a,縮側減衰力発生器12bの各々へ供給する電流が制御されるのである。
通常時におけるアブソーバの制御は、車両のばね上部の振動を抑制することを主目的として、伸側減衰力発生器12a,縮側減衰力発生器12bの各々へ供給する電流を制御することによって行われる。本実施例のアブソーバは、上記構造から、ばね上部とばね下部との相対動作に対する減衰力を発生させるものであるため、そのアブソーバの減衰係数が一定である場合には、ばね上部の動作に対して効果的な減衰力を発生することができない。そのことに鑑み、ばね上部の上下方向における動作速度(以下、「ばね上絶対速度」という場合がある)に基づいて、ばね上部の振動の抑制に適切な減衰力が得られるように、伸側減衰力発生器12a,縮側減衰力発生器12bの各々へ供給する電流が制御されるのである。
詳しく言えば、ばね上部の振動の抑制に適切な減衰力を理論減衰力FDSとすれば、その理論減衰力FDSは、大まかではあるが、次式のように表すことができる。
FDS=ζS・vS
ちなみに、vSは、ばね上絶対速度であり、ζSは、理論減衰力FDSを発生させるための理論減衰係数(正の値の定数と考えることができる)である。ちなみに、ばね上絶対速度vSは、ばね上部が上方に移動している場合に正の値となり、下方に移動している場合に負の値となる。それに応じて、理論減衰力FDSは、ばね上部を下方に付勢する力となる場合、つまり、ばね上部の上方への移動に対して抵抗となる場合に正の値となり、上方に付勢する力となる場合、つまり、ばね上部の上方への移動を推進する力となる場合にに負の値となる。
FDS=ζS・vS
ちなみに、vSは、ばね上絶対速度であり、ζSは、理論減衰力FDSを発生させるための理論減衰係数(正の値の定数と考えることができる)である。ちなみに、ばね上絶対速度vSは、ばね上部が上方に移動している場合に正の値となり、下方に移動している場合に負の値となる。それに応じて、理論減衰力FDSは、ばね上部を下方に付勢する力となる場合、つまり、ばね上部の上方への移動に対して抵抗となる場合に正の値となり、上方に付勢する力となる場合、つまり、ばね上部の上方への移動を推進する力となる場合にに負の値となる。
一方、実際にアブソーバが発生させる減衰力FDは、次式のように、当該アブソーバの減衰係数ζに基づき、ばね上ばね下相対速度vS/USに応じた大きさとなる。
FD=ζ・vS/US
ちなみに、ばね上ばね下相対速度vS/USは、ばね上部とばね下部とが互いに離間する場合、つまり、リバウンド動作時には、正の値となり、ばね上部とばね下部とが互いに接近する場合、つまり、バウンド動作時には、負の値となる。それに応じて、減衰力FDは、ばね上部とばね下部とをそれらが互いに接近する方向に付勢する力となる場合、つまり、ばね上部とばね下部との離間に対して抵抗となる場合に正の値となり、それらが互いに離間する方向に付勢する力となる場合、つまり、ばね上部とばね下部との接近に対して抵抗となる場合に、負の値となる。
FD=ζ・vS/US
ちなみに、ばね上ばね下相対速度vS/USは、ばね上部とばね下部とが互いに離間する場合、つまり、リバウンド動作時には、正の値となり、ばね上部とばね下部とが互いに接近する場合、つまり、バウンド動作時には、負の値となる。それに応じて、減衰力FDは、ばね上部とばね下部とをそれらが互いに接近する方向に付勢する力となる場合、つまり、ばね上部とばね下部との離間に対して抵抗となる場合に正の値となり、それらが互いに離間する方向に付勢する力となる場合、つまり、ばね上部とばね下部との接近に対して抵抗となる場合に、負の値となる。
したがって、上記2つの式に基づき、実際にアブソーバが発生させる減衰力FDが理論減衰力FDSと等しくなるように、次式に従って、必要となる減衰係数ζである必要減衰係数ζRを決定し、その決定された減衰係数ζが得られるように、伸側減衰力発生器12a,縮側減衰力発生器12bの各々へ供給する電流を制御することで、ばね上部の振動の抑制に効果的な減衰力FDを発生させることが可能となるのである。
ζR=ζS・(vS /vS/US)
ζR=ζS・(vS /vS/US)
しかしながら、ばね上絶対速度とばね上ばね下相対速度との符号が異なる場合には、必要減衰係数ζRが負の値となり、アブソーバは、負の減衰力FD、つまり、推進力を発生させることが必要となる。具体的に言えば、ばね上部の振動とばね上部とばね下部との振動とのあいだのズレ(位相のズレ)により、ばね上部が上方に移動しているにも拘わらずバウンド動作となる場合や、ばね上部が下方に移動しているにも拘わらずリバウンド動作となる場合が存在し、それらの場合には、その時点でのばね上とばね下部との動作を推進する必要があるのである。ところが、本実施例のアブソーバでは、上記推進力を発生することができず、その場合には、可及的にアブソーバによって発生させる減衰力FDを小さくすることが望ましいのである。つまり、その場合には、アブソーバの減衰係数ζを可及的に小さくすることが望ましいのである。
以上のことに鑑み、本実施例のアブソーバでは、伸側減衰力発生器12a,縮側減衰力発生器12bのいずれか一方の発生させる減衰力FDを小さくすべく、その一方の減衰係数ζを小さくるような制御を行っている。詳しく言えば、ばね上部の動作方向に応じて、つまり、ばね上部が上方に移動しているか下方に移動しているかによって、伸側減衰力発生器12a,縮側減衰力発生器12bのいずれの減衰係数ζを、ばね上部が上方若しくは下方に移動している間小さくするべきかを決定し、その小さくすべき伸側減衰力発生器12a,縮側減衰力発生器12bの一方の減衰係数ζを、上述の下限減衰係数ζA-MIN,ζB-MINとするように、その一方への供給電流Iを制御するのである。ちなみに、本実施例のアブソーバでは、上述のように、縮側減衰力発生器12bの電流非供給時設定減衰係数ζB-0が下限減衰係数ζB-MINと等しくされているので、縮側減衰力発生器12bの減衰係数ζBを小さくする場合、縮側減衰力発生器12bへ供給される電流IBは0とされる。つまり、縮側減衰力発生器12bへは電流は供給されない。一方、伸側減衰力発生器12aの減衰係数ζAを小さくする場合には、伸側減衰力発生器12aへは、下限電流IA-MINが供給される。なお、減衰係数ζが小さくされない伸側減衰力発生器12a,縮側減衰力発生器12bの他方については、上記式に従って決定された必要減衰係数ζRとなるように、その他方へ供給される電流Iが、下限電流IA-MIN,IA-MINと上限電流IA-MAX,IB-MAXとの間で制御される。
上記のような制御によって、本実施例のアブソーバでは、スカイフック理論に基づくばね上部の振動抑制制御であるいわゆるスカイフック制御に近似した制御が、簡便に行われることになる。また、上述したように、本実施例のアブソーバでは、縮側減衰力発生器12bの減衰係数ζBを下限減衰係数ζB-MINとする場合に、その縮側減衰力発生器12bに電流を供給する必要がないようにされているため、本実施例のアブソーバは、省電力の観点において優れたものとなる。
本実施例のアブソーバの上記制御は、コンピュータを主要構成要素として構成された上記コントローラ90が、図6にフローチャートを示すアブソーバ制御プログラムを実行することによって、行われる。なお、このプログラムは、短い時間ピッチ(例えば、数μsec〜数十μsec)で繰り返し実行される。以下に、このフローチャートに沿って、上記制御を具体的に説明する。
上記プログラムに従えば、まず、ステップ1(以下、「ステップ」を「S」と省略する)において、ばね上絶対速度vSが推定される。本アブソーバが装備される車両には、ばね上部の上下方向の加速度であるばね上加速度を検出するばね上加速度センサが設けられており、ばね上絶対速度vSは、前回以前の当該プログラムの実行時におけるそのセンサの検出値および今回の実行時における検出値に基づいて、推定される。次に、S2において、ばね上ばね下相対速度vS/USが推定される。本アブソーバが装備される車両には、ばね上部とばね下部との離間距離を検出するばね上ばね下間距離センサが設けられており、ばね上ばね下相対速度vS/USは、前回以前の当該プログラムの実行時におけるそのセンサの検出値および今回の実行時における検出値に基づいて、推定される。それら推定されたばね上絶対速度vS,ばね上ばね下相対速度vS/USに基づき、S3において、上記式に従って必要減衰力ζRが決定される。
続いて、S4において、ばね上絶対速度vSが正の値であるか否かが判断される。つまり、S4では、ばね上部が上方に移動しているか否かが判断される。ばね上部が上方に移動してると判断された場合には、S5において、伸側減衰力発生器12aの減衰係数ζAが必要減衰係数ζRに設定され、続くS6において、その減衰係数ζAに対応する電流IAが、伸側減衰力発生器12aに供給される。なお、コントローラは、図4(a)のグラフで表わされるような対応付けマップを格納しており、供給電流IAは、そのマップを参照して決定される。そして、S7において、縮側減衰力発生器12aへの電流の供給が停止される。
一方、S4においてばね上絶対速度vSが正の値ではないと判断した場合には、ばね上部が下方に移動しているものとみなして、S8において、上述したように、伸側減衰力発生器12bに、下限電流IA-MINが供給される。そして、S9において、縮側減衰力発生器12bの減衰係数ζBが必要減衰係数ζRに設定され、続くS10において、その減衰係数ζBに対応する電流IBが、縮側減衰力発生器12bに供給される。なお、コントローラは、図4(b)のグラフで表わされるような対応付けマップを格納しており、供給電流IBは、そのマップを参照して決定される。
[E]変形例
上記実施例のアブソーバでは、図4(a)のグラフに示されているように、伸側減衰力発生器12aは、電流非供給時設定減衰係数ζA-0が、上限減衰係数ζA-MAXとなるように構成されていたが、例えば、伸側減衰力発生器12bを、図7のグラフに示すように、電流非供給時設定減衰係数ζA-0が、下限減衰係数ζA-MINとなるように構成することも可能である。言い換えれば、電流非供給時設定減衰力FDA-0が上記最小減衰力FDA-MINとなるように構成することも可能である。
上記実施例のアブソーバでは、図4(a)のグラフに示されているように、伸側減衰力発生器12aは、電流非供給時設定減衰係数ζA-0が、上限減衰係数ζA-MAXとなるように構成されていたが、例えば、伸側減衰力発生器12bを、図7のグラフに示すように、電流非供給時設定減衰係数ζA-0が、下限減衰係数ζA-MINとなるように構成することも可能である。言い換えれば、電流非供給時設定減衰力FDA-0が上記最小減衰力FDA-MINとなるように構成することも可能である。
そのように構成する場合、アブソーバの上記制御において、供給電流IAを0とすることで、つまり、電流を供給することなく、最小減衰力FDA-MINを発生させることが可能となる。したがって、ばね上部が下方に移動している場合に、電流を供給することなく、伸側減衰力発生器12aの発生させる減衰力FDAを小さくすることが可能になるのである。具体的な制御に関して言えば、図6のフローチャートのS8において、伸側減衰力発生器12aへの電流の供給を停止すればよい。
そのような構成によれば、ばね上部が上方に移動している場合に、縮側減衰力発生器12bに電流を供給しなくてよいことに加え、ばね上部が下方に移動している場合にも、伸側減衰力発生器12aに電流を供給しなくてよいことになり、省電力という観点において、極めて優れたアブソーバが実現されることになる。
また、上記実施例のアブソーバは、図4(a)および図4(b)のグラフに示されているように、伸側減衰力発生器12aの電流非供給時設定減衰係数ζA-0が、上限減衰係数ζA-MAXとなるように構成され、かつ、縮側減衰力発生器12bの電流非供給時設定減衰係数ζB-0が、下限減衰係数ζB-MINとなるように構成されていたが、逆に、伸側減衰力発生器12aの電流非供給時設定減衰係数ζA-0が、下限減衰係数ζA-MINとなるように構成され、かつ、縮側減衰力発生器12bの電流非供給時設定減衰係数ζB-0が、上限減衰係数ζB-MAXとなるように構成されてもよい。そのように構成されたアブソーバでは、ばね上部が下方に移動している場合に、伸側減衰力発生器12aに電流を供給しなくてよいことになり、省電力という観点において、優れたアブソーバが実現されることになり、また、電気的失陥時においても、伸側の電流非供給時設定減衰係数ζA-0を小さくしたことによる減衰力の不足を、比較的大きくされた縮側の電流非供給時設定減衰力FDB-0によってある程度充分に補うことが可能である。
10:シリンダ 12a:伸側減衰力発生器 12b:縮側減衰力発生器 20:ハウジング 22:ピストン 24:ロッド 30:ロッド側室 32:反ロッド側室 40:バッファ室 78:ロッド側室用チェック弁〔減衰力非発生流入許容機構〕 80:反ロッド側室用チェック弁〔減衰力非発生流入許容機構〕 90:コントローラ 98:弁機構 100:流路〔主液通路,副液通路〕 106:ソレノイド 112:フェール弁 186:オリフィス〔副液通路〕 FD,FDA,FDB:減衰力(電流依存減衰力) FDA-0,FDB-0:電流非供給時設定減衰力 FDA-MIN,FDB-MIN:最小減衰力 FDA-MAX,FDB-MAX:最大減衰力 IA-MIN,IB-MIN:下限電流〔設定値〕
Claims (6)
- ハウジングと、そのハウジング内に移動可能に配設されたピストンと、一端部が前記ピストンに連結されるとともに他端部が前記ハウジングから延び出すロッドと、前記ピストンによって前記ハウジングの内部が区画されて形成されたロッド側室および反ロッド側室とを有し、車両のばね上部とばね下部とを繋ぐようにして配設されてそれらばね上部とばね下部との相対移動によって伸長および収縮するシリンダ装置と、
前記シリンダ装置が伸長する際に、前記ロッド側室から流出する作動液の流れに対して抵抗を与えることで、その伸長に対する減衰力を発生させる伸側減衰力発生装置と、
前記シリンダ装置が収縮する際に、前記反ロッド側室から流出する作動液の流れに対して抵抗を与えることで、その収縮に対する減衰力を発生させる縮側減衰力発生装置と
を備え、
前記伸側減衰力発生装置および前記縮側減衰力発生装置の各々が、設定値以上の電流が自身に供給される場合において、その供給される電流の大きさに応じた大きさの減衰力である電流依存減衰力を発生させるとともに、自身に電流が供給されていない場合において、設定された大きさの減衰力である電流非供給時設定減衰力を発生させるように構成され、かつ、
前記伸側減衰力発生装置が発生させる前記電流非供給時設定減衰力と、前記縮側減衰力発生装置が発生させる電流非供給時設定減衰力とが、大きさにおいて互いに相違するように構成された液圧式ショックアブソーバ。 - 前記伸側減衰力発生装置が発生させる電流非供給時設定減衰力が、前記縮側減衰力発生装置が発生させる前記電流非供給時設定減衰力よりも大きくなるように構成された請求項1に記載の液圧式ショックアブソーバ。
- 前記縮側減衰力発生装置が発生させる前記電流非供給時設定減衰力が、前記電流依存減衰力として発生させることが可能な最小の減衰力と同じ大きさとなるように構成された請求項2に記載の液圧式ショックアブソーバ。
- 前記伸側減衰力発生装置が発生させる電流非供給時設定減衰力が、前記電流依存減衰力として発生させることが可能な最大の減衰力と同じ大きさとなるように構成された請求項3に記載の液圧式ショックアブソーバ。
- 当該液圧式ショックアブソーバが、前記伸側減衰力発生装置および前記縮側減衰力発生装置の各々に電流を供給するともに、その各々に供給する電流の大きさを制御する電流制御装置を備え、その電流制御装置が、ばね上部が上方に移動している場合に、前記伸側減衰力発生装置に前記設定値以上の電流を供給するとともに、ばね上部が下方に移動している場合に、前記縮側減衰力発生装置に前記設定値以上の電流を供給するように構成され、
前記縮側減衰力発生装置が発生させる前記電流非供給時設定減衰力が、前記電流依存減衰力として発生させることが可能な最小の減衰力と同じ大きさとなるように構成されており、
前記電流制御装置が、
ばね上部が上方に移動している場合に、前記縮側減衰力発生装置への電流の供給を禁止するように構成された請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の液圧式ショックアブソーバ。 - 前記縮側減衰力発生装置および前記伸側減衰力発生装置の各々が発生させる前記電流非供給時設定減衰力が、ともに、前記電流依存減衰力として発生させることが可能な最小の減衰力と同じ大きさとなるように構成されており、
前記電流制御装置が、
ばね上部が上方に移動している場合に、前記縮側減衰力発生装置への電流の供給を禁止し、ばね上部が下方に移動している場合に、前記伸側減衰力発生装置への電流の供給を禁止するように構成された請求項5に記載の液圧式ショックアブソーバ。
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