JPWO2014136952A1 - 含フッ素ニトリルオキシド化合物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、安定で製造が容易なニトリルオキシド化合物である、式(I):[式中:R1は、炭化水素基を表し;R2およびR3は、それぞれ独立して、水素原子または炭化水素基を表す:ただし、R1、R2およびR3の少なくとも1つは、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子により置換されており、R1、R2およびR3は、それぞれ、炭素原子によりニトリルオキシドが結合する炭素原子に結合している。]で表される化合物を提供する。

Description

本発明は、含フッ素ニトリルオキシド化合物、および該化合物を含む組成物に関する。
ニトリルオキシド基を有する化合物は、他の化合物中の不飽和結合と容易にクリック反応([2+3]付加環化反応)を起こすので、種々の用途における反応剤として有用であることが知られている。しかしながら、ニトリルオキシド化合物は、二量化等の反応を起こしやすく、不安定であるという問題があった。この問題に対して、オルト位に置換基を有する芳香族ニトリルオキシド化合物とすることにより、比較的安定なニトリルオキシド化合物を得ることができることが知られている(特許文献1)。
特開2011−208117号公報
しかしながら、ニトリルオキシド化合物の用途によっては、従来の芳香族ニトリルオキシド化合物の温度安定性は、十分ではない場合もあった。また、芳香族ニトリルオキシド化合物は、任意の置換基、特にアルキル基などを導入するには、産業的な問題があった。例えば、パーフルオロアルキル基を導入する場合、ニトリルオキシド化合物を合成するのに直接必要な工程に加え、原料の芳香環にパーフルオロアルキル基を導入するための工程が別途必要になる。
本発明者らは、任意の置換基を有する安定なニトリルオキシド化合物を得るために鋭意検討した結果、ニトロエチレン誘導体と、強い求核性の試薬(例えば、グリニャール試薬、アルキルリチウム等)とを反応させることにより、ニトロナート誘導体が得られ、ついで、これを脱水処理することにより、任意の置換基、例えばパーフルオロアルキル基を有する脂肪族ニトリルオキシド化合物が得られ、当該脂肪族ニトリルオキシド化合物が安定性、特に温度安定性に優れていることを見出した。
すなわち、本発明は:
[1] 式(I):
Figure 2014136952
[式中:
は、炭化水素基を表し;
およびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭化水素基を表す:
ただし、R、RおよびRの少なくとも1つは、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子により置換されており、R、RおよびRは、それぞれ、炭素原子によりニトリルオキシドが結合する炭素原子に結合している。]
で表される化合物;
[2] Rが、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよい、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、またはヘテロアリール基、あるいは式:
Figure 2014136952
(式中:
、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子により置換されていてもよいアルキル基、または−C(O)OR10を表し;
は、水素原子、または1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいアルキル基を表し;
10は、水素原子、または1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいアルキル基を表し;
nは、1〜10,000の整数を表す。)
で表される基であり;
およびRが、それぞれ独立して、水素原子、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよい、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、またはアリール基である、上記[1]に記載の化合物;
[3] R、RおよびRの少なくとも1つが、パーフルオロアルキル基であるか、あるいは、1個またはそれ以上のパーフルオロアルキル基を含む、上記[1]または[2]に記載の化合物;
[4] Rが、パーフルオロアルキル基であるか、あるいは、1個またはそれ以上のパーフルオロアルキル基により置換されているアルキル基である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の化合物;
[5] Rが、式:
Figure 2014136952
(式中:
、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、またはハロゲン原子により置換されていてもよいアルキル基を表し;
は、水素原子、または1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいアルキル基を表し;
10は、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいアルキル基を表し;
nは、1〜10,000の整数を表す。)
で表される基である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の化合物;
[6] 下記(a)〜(c):
(a)Rが、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよい、tert−アルキル基、sec−アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、またはヘテロアリール基、あるいは式:
Figure 2014136952
(式中、R、R、R、R、Rおよびnは、上記[2]の記載と同意義である)
で表される基である;
(b)Rが、1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい、アリール基、tert−アルキル基またはsec−アルキル基である;
(c)Rが、1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい、アリール基、tert−アルキル基またはsec−アルキル基である;
の1つまたはそれ以上を満たす、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の化合物;
[7] RおよびRの少なくとも1つが、1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい、アリール基、tert−アルキル基またはsec−アルキル基である、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の化合物;
[8] Rが、パーフルオロアルキル基であるか、あるいは、1個またはそれ以上のパーフルオロアルキル基により置換されているアルキル基であり、
およびRが、1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよいフェニル基である、上記[1]〜[4]または上記[6]〜[7]のいずれかに記載の化合物;
[9] Rが、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよい、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、またはフェニル基であり、
およびRの内、少なくとも一方が、パーフルオロアルキル基であるか、あるいは、1個またはそれ以上のパーフルオロアルキル基により置換されているアルキル基である上記[1]〜[4]または上記[6]〜[7]のいずれかに記載の化合物;
[10] パーフルオロアルキル基が、−C2m+1(ここに、mは1〜16の整数である)である、上記[3]、[4]、[8]または[9]のいずれかに記載の化合物;
[11] 上記[1]に記載の式(I)で表される化合物の製造方法であって、下記工程:
(i)式(II):
Figure 2014136952
[式中:RおよびRは、上記[1]の記載と同意義である。]
で表される化合物と、式(III):
L (III)
[式中:Rは、上記[1]の記載と同意義であり;
Lは、MXを表し;
Mは、Li、Zn、Na、K、Al、Cu、B、Si、Ti、Cr、Fe、Ni、Pd、Pt、Rh、Ru、Ir、MgまたはSmを表し;
Xは、ハロゲン原子またはアルコキシ基を表し;
tは、0〜6の整数を表す。]
で表される化合物とを反応させること;ついで、
(ii)脱水処理すること;
を含む方法;
[12] ニトリルオキシド基と反応性を有する基を含む材料に適用するために使用される、1種またはそれ以上の上記[1]〜[10]のいずれかに記載の化合物を含む、組成物;
[13] 表面処理剤である、上記[12]に記載の組成物;
[14] 変性処理剤である、上記[12]に記載の組成物;
[15] 基材と、該基材の表面に上記[13]に記載の表面処理剤により形成された層とを含む物品;
[16] 上記[14]に記載の変性処理剤により処理された変性高分子材料
を提供する
本発明のニトリルオキシド化合物は、任意の置換基を有することができ、優れた安定性、特に温度安定性を示す。また、本発明の化合物は、表面処理剤、変性処理剤、フィラーの改質剤、反応性相溶化剤および繊維処理剤として用いることができ、優れた効果を奏する。特に、パーフルオロアルキル基を有するニトリルオキシド化合物は、種々の基材(ガラス、汎用ゴム、ポリマーなど)の表面処理に用いることができ、優れた撥水撥油性を有する。
本明細書中、特に記載が無い限り、「炭化水素基」とは、炭素および水素を含む基を意味する(但し、水素原子は下記する置換基により一部または全部が置換されていてもよい)。当該「炭化水素基」としては、特に限定されるものではないが、1つまたはそれ以上の置換基により置換されていてもよい、炭素数1〜20の炭化水素基、例えば、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。なお、かかる炭化水素基は、その末端または分子鎖中に、1つまたはそれ以上のN、O、S等を有していてもよい。
本明細書中、特に記載が無い限り、「脂肪族炭化水素基」は、直鎖状、分枝鎖状または環状のいずれであってもよく、飽和または不飽和のいずれであってもよく、1つまたはそれ以上の環構造を含んでいてもよい。当該「脂肪族炭化水素基」としては、特に限定されるものではないが、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基等が挙げられる。当該「脂肪族炭化水素基」は、1つまたはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
本明細書中、特に記載が無い限り、「アルキル基」は、直鎖状であっても、分枝鎖状であってもよく、例えば、炭素数1〜20、好ましくは1〜12、より好ましくは1〜6のアルキル基である。当該「アルキル基」としては、特に限定されるものではないが、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、n−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、1−エチル−2−メチルプロピル基等が挙げられる。当該「アルキル基」は、1つまたはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
本明細書中、特に記載が無い限り、「アルケニル基」は、直鎖状であっても、分枝鎖状であってもよく、例えば、炭素数2〜20、好ましくは2〜12、より好ましくは2〜6のアルケニル基である。当該「アルケニル基」としては、特に限定されるものではないが、例えば、上記アルキル基の少なくとも1つの炭素−炭素単結合を炭素−炭素二重結合に置き換えたもの、具体的には、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、1,3−ヘキサジエニル基、1,5−ヘキサジエニル基等が挙げられる。当該「アルケニル基」は、1つまたはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
本明細書中、特に記載が無い限り、「アルキニル基」は、直鎖状であっても、分枝鎖状であってもよく、例えば、炭素数2〜20、好ましくは2〜12、より好ましくは2〜6のアルキニル基である。当該「アルキニル基」としては、特に限定されるものではないが、例えば、上記アルキル基の少なくとも1つの炭素−炭素単結合を炭素−炭素三重結合に置き換えたもの、具体的には、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−メチル−2−プロピニル基、1−ペンチニル基、1−エチル−2−プロピニル基、1−ヘキシニル基、2−ヘキシニル基等が挙げられる。当該「アルキニル基」は、1つまたはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
本明細書中、特に記載が無い限り、「シクロアルキル基」は、炭素数3〜20、好ましくは5〜12の環状のアルキル基である。当該「シクロアルキル基」としては、特に限定されるものではないが、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。当該「シクロアルキル基」は、1つまたはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
本明細書中、特に記載が無い限り、「シクロアルケニル基」は、炭素数3〜20、好ましくは5〜12の環状のアルケニル基である。当該「シクロアルケニル基」としては、特に限定されるものではないが、例えば、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、シクロオクテニル基等が挙げられる。当該「シクロアルケニル基」は、1つまたはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
本明細書中、特に記載が無い限り、「芳香族炭化水素基(以下、アリール基とも称する)」は、単環式、多環式、例えば二環式または三環式のいずれであってもよく、また、芳香族複素環基(以下、ヘテロアリール基とも称する)であってもよい。当該「芳香族炭化水素基」としては、特に限定されるものではないが、炭素数3〜20のアリール基、例えばフェニル基、ナフチル基、炭素数3〜20のヘテロアリール基、例えばフリル基、チエニル基、ピリジル基、インドリル基、キノリル基、イソキノリル基、イミダゾリル基等が挙げられる。当該「芳香族炭化水素基」は、1つまたはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
本明細書中、特に記載が無い限り、上記炭化水素基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基および芳香族炭化水素基の置換基としては、特に限定されるものではないが、例えば、酸素原子;ハロゲン原子;ヒドロキシル基;無置換、一置換または二置換アミノ基;ニトロ基;アジド基;1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよい、C1−16アルキル基、C2−16アルケニル基、C2−16アルキニル基、C3−16シクロアルキル基、C3−16シクロアルケニル基、C6−16ヘテロシクロアルキル基、C6−16ヘテロシクロアルケニル基、C6−16アリール基、C6−16ヘテロアリール基、C1−16アルコキシ基、C6−16アリールオキシ、C1−16アルキルチオまたはC1−20(ポリ)アルキルエーテル基;−O−C(O)−OR、−O−C(O)−NR 、−C(O)−R、−C(O)−OR、−NR−C(O)−R、−NR−C(NR)−R、−C(NR)−Rまたは−C(NR)−NR (これら式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子、C1−16アルキル基、C2−16アルケニル基、C2−16アルキニル基、C3−16シクロアルキル基、C3−16シクロアルケニル基、C6−16ヘテロシクロアルキル基、C6−16ヘテロシクロアルケニル基、C6−16アリール基またはC6−16ヘテロアリール基を表す)等が挙げられる。
上記「一置換アミノ基」は、特に限定されるものではないが、それぞれ、C1−16アルキル基、C2−16アルケニル基、C2−16アルキニル基、C3−16シクロアルキル基、C3−16シクロアルケニル基、C6−16ヘテロシクロアルキル基、C6−16ヘテロシクロアルケニル基、C6−16アリール基およびC6−16ヘテロアリール基からなる群から独立して選択される1個の置換基により置換されたアミノ基を意味する。当該「一置換アミノ基」としては、特に限定されるものではないが、メチルアミノ、エチルアミノ、フェニルアミノ等が挙げられる。
上記「二置換アミノ基」は、特に限定されるものではないが、C1−16アルキル基、C2−16アルケニル基、C2−16アルキニル基、C3−16シクロアルキル基、C3−16シクロアルケニル基、C6−16ヘテロシクロアルキル基、C6−16ヘテロシクロアルケニル基、C6−16アリール基およびC6−16ヘテロアリール基からなる群から独立して選択される2個の置換基により置換されたアミノ基を意味する。当該「二置換アミノ基」としては、特に限定されるものではないが、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジフェニルアミノ等が挙げられる。
上記「C1−16アルコキシ基」としては、特に限定されるものではないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、1−エチルプロポキシ基、n−ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、ネオヘキシルオキシ基、2−エチルブトキシ基等が挙げられる。
上記「C6−16アリールオキシ」としては、特に限定されるものではないが、例えば、フェノキシ、ナフチルオキシ等が挙げられる。
上記「C1−16アルキルチオ」としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、sec−ブチルチオ、tert−ブチルチオ等が挙げられる。
本明細書中、特に記載が無い限り、「ハロゲン(またはハロゲン原子)」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等を意味する。
本明細書中、特に記載が無い限り、「パーフルオロアルキル基」とは、上記アルキル基のすべての水素原子がフッ素原子に置換された基を意味し、−C2m+1(ここに、mは整数を表し、具体的には1〜16、例えば1〜12または1〜6の整数である)で表される。当該「パーフルオロアルキル基」は、直鎖状であっても、分枝鎖状であってもよいが、好ましくは、直鎖状である。
本明細書において、ニトリルオキシド化合物中のニトリルオキシド基が直接結合する炭素原子を「C」と記載する場合がある。
以下、本発明の化合物について説明する。
本発明は、式(I):
Figure 2014136952
で表される化合物を提供する(以下、「本発明の化合物(I)」とも称する)。
上記式(I)中、Rは、炭化水素基を表す。当該炭化水素基としては、特に限定されるものではないが、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよい、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、またはヘテロアリール基が挙げられる。
一の態様において、上記Rは、フルオロアルキル基であるか、あるいは、1個またはそれ以上のフルオロアルキル基により置換された基(例えば、アルキル基)である。好ましくは、上記フルオロアルキル基は、末端炭素原子がCFH−であり他のすべての炭素原子がフッ素により全置換されているフルオロアルキル基、またはパーフルオロアルキル基であり、より好ましくはパーフルオロアルキル基である。
また、Rは、式(a):
Figure 2014136952
で表される基であってもよい。
上記式(a)中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子により置換されていてもよいアルキル基、または−C(O)OR10を表す。好ましくは、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、フッ素原子により置換されていてもよいアルキル基、またはC(O)OR10である。前記フッ素原子により置換されていてもよいアルキル基は、好ましくは、パーフルオロアルキル基であり、より好ましくはトリフルオロメチル基(CF)である。
10は、水素原子、または1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいアルキル基を表す。好ましくは、R10は、フルオロアルキル基であり、より好ましくは、末端炭素原子がCFH−であり他のすべての炭素原子がフッ素により全置換されている、フルオロアルキル基であり、さらにより好ましくはパーフルオロアルキル基である。
上記式(a)中、Rは、水素原子、または1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいアルキル基を表す。好ましくは、Rは、水素原子、または置換基を有していてもよいアルキル基、例えば、R−C(O)−アルキル基、具体的にはR−C(O)−C(Rb’)(Rb’’)−(ここに、Rはアルキル基またはアリール基を表し、好ましくはアルキル基であり、より好ましくはメチル基であり;Rb’はアルキル基を表し、好ましくはメチル基であり;Rb’’はアルキル基を表し、好ましくはメチル基である)である。
上記式(a)中、nは、1〜10,000の整数を表し、好ましくは1〜1,000、より好ましくは1〜100である。
一の態様において、上記Rは、R−(CFCF−、R−(CFCFCl)−、R−(CFCHF)−、R−(CFCH−、R−(CFHCH−、R−(CFClCH−、またはR−(CF(CF)CH−である。
別の態様において、上記Rは、式(a’):
Figure 2014136952
(式中、R、R、R、R、R10およびnは、上記と同意義である。)
で表される基である。
上記式(I)中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭化水素基を表す。当該炭化水素基としては、特に限定されるものではないが、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよい、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、またはアリール基が挙げられる。
一の態様において、上記RおよびRの一方または両方は、それぞれ独立して、フルオロアルキル基であるか、あるいは、1個またはそれ以上のフルオロアルキル基により置換された基(例えば、アルキル基、アリール基)である。好ましくは、上記1個またはそれ以上のフルオロアルキル基により置換された基は、1個またはそれ以上のフルオロアルキル基により置換されたsec−アルキル基、tert−アルキル基、またはフェニル基である。さらに好ましくは、上記のフルオロアルキル基は、それぞれ、末端炭素原子がCFH−であり他のすべての炭素原子がフッ素により全置換されているフルオロアルキル基、より好ましくはパーフルオロアルキル基およびである。
上記式(I)において、R、RおよびRの少なくとも1つは、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子により置換されており、R、RおよびRは、それぞれ、炭素原子によりニトリルオキシドが結合する炭素原子(C)に結合している。
一の態様において、上記式(I)中、R、RおよびRの少なくとも1つ、例えばRのみ、RおよびR、RおよびR、またはR、RおよびRのすべては、それぞれ独立して、フルオロアルキル基であるか、あるいは、1個またはそれ以上のフルオロアルキル基により置換された基である。さらに好ましくは、上記のフルオロアルキル基は、それぞれ、末端炭素原子がCFH−であり他のすべての炭素原子がフッ素により全置換されているフルオロアルキル基であり、より好ましくはパーフルオロアルキル基である。
好ましい態様において、R、RおよびRの少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つは、嵩高い基である。当該「嵩高い基」としては、特に限定されるものではないが、
(i)Rに関しては:
1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい、tert−アルキル基、sec−アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、またはヘテロアリール基、あるいは式(a):
Figure 2014136952
(式中、R、R、R、R、Rおよびnは、上記と同意義である)
で表される基;
(ii)RおよびRに関しては:
1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい、アリール基、tert−アルキル基またはsec−アルキル基;
が挙げられる。
この態様において、好ましくは、RおよびRの1つまたは両方は、1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい、アリール基、tert−アルキル基またはsec−アルキル基である。
さらに好ましい態様において、Rは、パーフルオロアルキル基であるか、あるいは、1個またはそれ以上のパーフルオロアルキル基により置換されているアルキル基であり、
およびRは、1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよいフェニル基である。
別の好ましい態様において、Rは、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよい、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、またはフェニル基であり、
およびRの内、少なくとも一方は、パーフルオロアルキル基であるか、あるいは、1個またはそれ以上のパーフルオロアルキル基により置換されているアルキル基である。
本発明の化合物は、従来の芳香族ニトリルオキシド化合物よりも安定性、特に温度安定性が高く、様々な用途において好適に用いることができる。また、下記する製造方法により、任意の置換基を導入することができるので、本発明の化合物は、所望の温度範囲において優れた温度安定性および反応性を有するように設計することができる。
次に、本発明の化合物の製造方法について記載する。
本発明の式(I)で表される化合物は、下記工程:
(i)式(II):
Figure 2014136952
[式中:RおよびRは、上記式(I)の記載と同意義である。]
で表される化合物と、式(III):

[式中:Rは、上記式(I)の記載と同意義であり;
Lは、MXを表し;
Mは、Li、Zn、Na、K、Al、Cu、B、Si、Ti、Cr、Fe、Ni、Pd、Pt、Rh、Ru、Ir、MgまたはSmを表し;
Xは、ハロゲン原子またはアルコキシ基を表し;
tは、0〜6の整数を表す。]
で表される化合物とを反応させること;ついで、
(ii)脱水処理すること;
を含む方法により製造することができる。
まず、工程(i)について説明する。
式(II)で表される化合物は、市販されているか、または、自体公知の方法により製造することができる。
例えば、式(II)で表される化合物は、下記スキームに示されるように、溶媒中、例えばTHF中、ケトン誘導体(RC=O)とニトロメタンとを、強塩基(例えば、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド等)の存在下で反応させることにより製造することができる。当該反応は、一般的にニトロアルドール反応として知られており、当業者であれば容易に実施することができる。
Figure 2014136952
また、別法として、式(II)で表される化合物は、下記スキームに示されるように、イミン誘導体(RC=NH)とニトロメタンとを反応させることによっても製造することができる。
Figure 2014136952
上記式(III)中、Lは、MXを表す。ここに、Mは、Li、Zn、Na、K、Al、Cu、B、Si、Ti、Cr、Fe、Ni、Pd、Pt、Rh、Ru、Ir、MgまたはSmを表し、好ましくはLi、Zn、Na、Cu、BまたはSiであり、特に好ましくは、LiまたはMg(すなわち、有機リチウム試薬またはグリニャール試薬)である。Xは、ハロゲン原子またはアルコキシ基を表す。tは、0〜6の整数を表す。式(III)で表される化合物は、強い求核性を有する試薬であり、好ましくは、グリニャール試薬、アルキルリチウムである。当該化合物は、市販の化合物から自体公知の方法により製造することができる。
式(II)で表される化合物と式(III)で表される化合物のモル比は、通常、1:1〜1:5、好ましくは1:1.1〜1:2である。
反応は、通常、溶媒中で行われる。当該溶媒としては、式(III)で表される求核剤が失活しない溶媒であれば特に限定されるものではなく、例えば、THF、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、HMPA(ヘキサメチルホスファミド)、DMPU(ジメチルプロピレン)、TMEDA(テトラメチルエチレンジアミン)またはそれらの混合物が挙げられる。
反応温度は、用いる式(III)で表される求核剤に応じて適宜選択され、例えば用いる求核剤が失活しない温度である。このような温度は当業者であれば容易に決定することができる。
反応時間は、通常、10分〜12時間、例えば1〜3時間である。
当該反応は、触媒の存在下で行ってもよい。当該触媒としては、特に限定されるものではないが、HMPA(ヘキサメチルリン酸トリアミド)、DMPU(N,N’−ジメチルプロピレン尿素)、TMEDA(テトラメチルエチレンジアミン)、クラウンエーテル等が挙げられる。
次に、工程(ii)について説明する。
当該脱水処理は、特に限定されるものではないが、濃硫酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホンイミド、またはフェニルイソシアナート、あるいは他の求核性の無い対アニオンを有する強酸を用いることにより行うことができる。
処理温度は、通常、0℃〜室温である。
処理時間は、通常、1分〜60分、例えば10〜30分である。
本発明の方法によれば、ワンポットで、任意の置換基を有する式(I)で表されるニトリルオキシド化合物を簡便に合成することができる。
次に、本発明の組成物について記載する。
本発明は、1種またはそれ以上の上記した本発明の化合物(I)を含む、ニトリルオキシド基と反応性を有する基を含む材料に適用するために使用される組成物(以下、本発明の組成物とも称する)を提供する。当該組成物は液体であっても固体であってもよい。また、当該組成物は、上記した本発明の化合物(I)のみから構成されていてもよい。
上記「ニトリルオキシド基と反応性を有する基」としては、二重結合(C=C、C=N、N=N、C=S、P(V)=C、C=P(III)、C=As、C=Se、B=N、P(V)=N、C=O)を有する基、または三重結合(C≡C、C≡N、C≡P)を有する基などが挙げられ、具体的には、アルケニル基、アルキニル基、ニトリル基が挙げられる。
上記ニトリルオキシド基と反応性を有する基を含む材料の「材料」としては、特に限定されるものではないが、例えば、下記する葉面処理剤が適用される基材(例、ガラス、樹脂等)、変性処理剤、相溶化剤、架橋剤または液状ゴムまたは低温特性ゴムの改質剤が適用される化合物、特に高分子化合物(例、天然ゴム、合成ゴム)、フィラーの改質剤が適用されるフィラーが挙げられる。
一の態様において、上記本発明の組成物は、表面処理剤である。
本発明の表面処理剤は、主成分または有効成分として、少なくとも1種の上記した本発明の化合物(I)を含み、撥水性、撥油性、防汚性、摩擦耐久性、表面滑り性などを有する表面処理層を形成することができ、防汚性コーティング剤として好適に利用される。ここで、「主成分」とは、表面処理剤中の含量が50%を超える成分を言い、「有効成分」とは、表面処理すべき基材上に残留して表面処理層を形成し、何らかの機能(撥水性、撥油性、防汚性、表面滑り性、摩擦耐久性など)を発現させ得る成分を意味する。
本発明の表面処理剤は、ニトリルオキシド基と反応性を有するものであればいかなる基材に対しても好適に適用できる点で、主にガラス基材に好適に用いられる含フッ素シラン化合物を含む表面処理剤、主に樹脂基材に好適に用いられる硬化性部位(例えば二重結合)を有する化合物を含む表面処理剤と比べて有利である。
本発明の表面処理剤の組成は、表面処理層に所望される機能に応じて適宜選択してもよい。
例えば、表面処理剤は、上記の本発明の化合物(I)に加えて、含フッ素オイルとして理解され得るフルオロポリエーテル化合物、好ましくはパーフルオロポリエーテル化合物を含んでいてもよい(以下、「含フッ素オイル」とも言う)。含フッ素オイルは、表面処理層の表面滑り性を向上させるのに寄与する。
表面処理剤中、本発明の化合物(I)100質量部(2種以上の場合にはこれらの合計、以下も同様)に対して、含フッ素オイルは、例えば0〜300質量部、好ましくは50〜200質量部で含まれ得る。
かかる含フッ素オイルとしては、以下の一般式(A)で表される化合物(パーフルオロポリエーテル化合物)が挙げられる。

21−(OCa’−(OCb’−(OCc’−(OCFd’−R22 ・・・(A)

式中、R21は、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル基を表し、好ましくは1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜3のアルキル基である。好ましくは、上記1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいアルキル基は、末端炭素原子がCFH−であり他のすべての炭素原子がフッ素により全置換されているパーフルオロアルキル基であり、より好ましくはパーフルオロアルキル基である。
22は、水素原子、フッ素原子、または1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル基を表し、好ましくは1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜3のアルキル基である。好ましくは、上記1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいアルキル基は、末端炭素原子がCFH−であり他のすべての炭素原子がフッ素により全置換されているパーフルオロアルキル基であり、より好ましくはパーフルオロアルキル基である。
a’、b’、c’およびd’は、ポリマーの主骨格を構成するパーフルオロポリエーテルの3種の繰り返し単位数をそれぞれ表し、互いに独立して0以上300以下の整数であって、a’、b’、c’およびd’の和は少なくとも1、好ましくは1〜100である。添字a’、b’、c’、d’を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。これら繰り返し単位のうち、−(OC)−は、−(OCFCFCFCF)−、−(OCF(CF)CFCF)−、−(OCFCF(CF)CF)−、−(OCFCFCF(CF))−、−(OC(CFCF)−、−(OCFC(CF)−、−(OCF(CF)CF(CF))−、−(OCF(C)CF)−および−(OCFCF(C))−のいずれであってもよいが、好ましくは−(OCFCFCFCF)−である。−(OC)−は、−(OCFCFCF)−、−(OCF(CF)CF)−および−(OCFCF(CF))−のいずれであってもよいが、好ましくは−(OCFCFCF)−である。また、−(OC)−は、−(OCFCF)−および−(OCF(CF))−のいずれであってもよいが、好ましくは−(OCFCF)−である。
上記一般式(A)で表されるパーフルオロポリエーテル化合物の例として、以下の一般式(A1)および(A2)のいずれかで示される化合物(1種または2種以上の混合物であってよい)が挙げられる。

21−(OCFCFCFb’’−R22 ・・・(A1)
21−(OCFCFCFCFa’’−(OCFCFCFb’’−(OCFCFc’’−(OCFd’’−R22 ・・・(A2)

これら式中、R21およびR22は上記の通りであり;式(A1)中、b’’は1以上100以下の整数であり;式(A2)中、a’’およびb’’はそれぞれ独立して1〜30の整数であり、c’’およびd’’はそれぞれ独立して1以上300以下の整数である。これら式中、添字a’’、b’’、c’’、d’’を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。
一般式(A1)で示される化合物および一般式(A2)で示される化合物は、それぞれ単独で用いても、組み合わせて用いてもよい。
また、上記の本発明の化合物(I)がパーフルオロアルキル基を含む場合、含フッ素オイルは、一般式Rf−F(式中、Rfは、上記の本発明の化合物(I)に含まれるパーフルオロアルキル基である)で表される化合物であってよい。この場合、Rf−Fで表される化合物は、上記した本発明の化合物(I)と高い親和性が得られる点で好ましい。
また、本発明の表面処理剤は、上記の本発明の化合物(I)に加えて、シリコーンオイルとして理解され得るシリコーン化合物(以下、「シリコーンオイル」と言う)を含んでいてもよい。シリコーンオイルは、表面処理層の表面滑り性を向上させるのに寄与する。
表面処理剤中、本発明の化合物(I)100質量部に対して、シリコーンオイルは、例えば0〜300質量部、好ましくは50〜200質量部で含まれ得る。
かかるシリコーンオイルとしては、例えばシロキサン結合が2000以下の直鎖状または環状のシリコーンオイルを用い得る。直鎖状のシリコーンオイルは、いわゆるストレートシリコーンオイルおよび変性シリコーンオイルであってよい。ストレートシリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイルが挙げられる。変性シリコーンオイルとしては、ストレートシリコーンオイルを、アルキル、アラルキル、ポリエーテル、高級脂肪酸エステル、フルオロアルキル、アミノ、エポキシ、カルボキシル、アルコールなどにより変性したものが挙げられる。環状のシリコーンオイルは、例えば環状ジメチルシロキサンオイルなどが挙げられる。
本発明は、また、基材と、該基材の表面において上記した本発明の化合物(I)または表面処理剤(以下、これらを代表して単に表面処理剤と言う)より形成された層(表面処理層)とを含む物品を提供する。かかる物品は、例えば以下のようにして製造できる。
まず、基材を準備する。上記したように、本発明の表面処理剤は、ニトリルオキシド基と反応性を有するものであればいかなる基材に対しても好適に適用できる。かかる基材は、ガラス、樹脂(天然または合成樹脂、例えば一般的なプラスチック材料であってよく、板状、フィルム、その他の形態であってよい)、金属(アルミニウム、銅、鉄等の金属単体または合金等の複合体であってよい)、セラミックス、半導体(シリコン、ゲルマニウム等)、繊維(織物、不織布等)、毛皮、皮革、木材、陶磁器、石材等、任意の適切な材料で構成され得る。
例えば、製造すべき物品が光学部材である場合、基材の表面を構成する材料は、光学部材用材料、例えばガラスまたは透明プラスチックなどであってよい。また、製造すべき物品が光学部材である場合、基材の表面(最外層)に何らかの層(または膜)、例えばハードコート層や反射防止層などが形成されていてもよい。反射防止層には、単層反射防止層および多層反射防止層のいずれを使用してもよい。反射防止層に使用可能な無機物の例としては、SiO、SiO、ZrO、TiO、TiO、Ti、Ti、Al、Ta、CeO、MgO、Y、SnO、MgF、WOなどが挙げられる。これらの無機物は、単独で、またはこれらの2種以上を組み合わせて(例えば混合物として)使用してもよい。また、基材は、その具体的仕様等に応じて、絶縁層、粘着層、保護層、装飾枠層(I−CON)、霧化膜層、ハードコーティング膜層、偏光フィルム、相位差フィルム、および液晶表示モジュールなどを有していてもよい。
基材の形状は特に限定されない。また、表面処理層を形成すべき基材の表面領域は、基材表面の少なくとも一部であればよく、製造すべき物品の用途および具体的仕様等に応じて適宜決定され得る。
かかる基材としては、少なくともその表面部分が、ニトリルオキシド基と反応性を有する基を元々有する材料から成るものであってよいが、前処理を施すことにより、基材にニトリルオキシド基と反応性を有する基を導入してもよい。例えば、ガラス基材である場合、ピラニア(piranha)溶液で処理して、基材表面にヒドロキシル基を発現させ、このヒドロキシル基に、例えばアリルトリクロロシランを反応させることにより、ニトリルオキシド基と反応性を有する基であるアリル基を基材表面に導入することができる。
次に、かかる基材の表面に、上記の表面処理剤の膜を形成し、この膜を必要に応じて後処理し、これにより、表面処理剤から表面処理層を形成する。
本発明の表面処理剤の膜形成は、上記の表面処理剤を基材の表面に対して、該表面を被覆するように適用することによって実施できる。被覆方法は、特に限定されない。例えば、湿潤被覆法を使用できる。
湿潤被覆法の例としては、浸漬コーティング、スピンコーティング、フローコーティング、スプレーコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、マイクログラビアコーティング、バーコーティング、ダイコーティングおよび類似の方法が挙げられる。
乾燥被覆法の例としては、真空蒸着、スパッタリング、CVDおよび類似の方法が挙げられる。真空蒸着法の具体例としては、抵抗加熱、電子ビーム、高周波加熱、イオンビームおよび類似の方法が挙げられる。CVD方法の具体例としては、プラズマ−CVD、光学CVD、熱CVDおよび類似の方法が挙げられる。
更に、常圧プラズマ法による被覆も可能である。
湿潤被覆法を使用する場合、本発明の表面処理剤は、溶媒で希釈されてから基材表面に適用され得る。含フッ素シラン化合物または組成物の安定性および溶媒の揮発性の観点から、次の溶媒が好ましく使用される:炭素数5〜12のパーフルオロ脂肪族炭化水素(例えば、パーフルオロヘキサン、パーフルオロメチルシクロヘキサンおよびパーフルオロ−1,3−ジメチルシクロヘキサン);ポリフルオロ芳香族炭化水素(例えば、ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン);ポリフルオロ脂肪族炭化水素;ヒドロフルオロエーテル(HFE)(例えば、パーフルオロプロピルメチルエーテル(COCH)、パーフルオロブチルメチルエーテル(COCH)、パーフルオロブチルエチルエーテル(COC)、パーフルオロヘキシルメチルエーテル(CCF(OCH)C)などのアルキルパーフルオロアルキルエーテル(パーフルオロアルキル基およびアルキル基は直鎖または分枝状であってよい))など。これらの溶媒は、単独で、または、2種以上の混合物として用いることができる。なかでも、ヒドロフルオロエーテルが好ましく、パーフルオロブチルメチルエーテル(COCH)および/またはパーフルオロブチルエチルエーテル(COC)が特に好ましい。
上記の方法により表面処理剤の膜を形成した後、必要に応じて、後処理をしてもよい。この後処理としては、特に限定されるものではなく、例えば40〜150℃、例えば60〜100℃に加熱することが挙げられる。
上記のようにして、基材の表面に、本発明の表面処理剤に由来する表面処理層が形成され、物品が製造される。
したがって、本発明の表面処理剤は、光学材料の最外層に表面処理層を形成するために好適に用いることができる。光学材料としては、多種多様な光学材料が好ましく挙げられる:例えば、陰極線管(CRT;例、TV、パソコンモニター)、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機薄膜ELドットマトリクスディスプレイ、背面投写型ディスプレイ、蛍光表示管(VFD)、電界放出ディスプレイ(FED;Field Emission Display)などのディスプレイまたはそれらのディスプレイの保護板、またはそれらの表面に反射防止膜処理を施したもの。
本発明によって得られる表面処理層を有する物品は、特に限定されるものではないが、光学部材であり得る。光学部材の例には、次のものが挙げられる:眼鏡などのレンズ;PDP、LCDなどのディスプレイの前面保護板、反射防止板、偏光板、アンチグレア板;携帯電話、携帯情報端末などの機器のタッチパネルシート;ブルーレイ(Blu−ray(登録商標))ディスク、DVDディスク、CD−R、MOなどの光ディスクのディスク面;光ファイバーなど。
表面処理層の厚さは、特に限定されない。光学部材の場合、表面処理層の厚さは、0.1〜30μm、好ましくは0.5〜20μmの範囲であることが、光学性能、表面滑り性、摩擦耐久性および防汚性の点から好ましい。
本発明の表面処理剤により得られる表面処理層は、撥水性、撥油性、防汚性、表面滑り性、および/または摩擦耐久性等を有し、機能性薄膜として好適に利用され得る。
一の態様において、上記本発明の組成物は、変性処理剤である。
本発明の変性処理剤は、少なくとも1種の上記した本発明の化合物(I)を含み、基材、例えば高分子材料の有機溶媒に対する溶解性を変化させることができる。
本発明の変性処理剤は、上記した本発明の化合物(I)のみでも機能を発揮し得るが、さらに溶媒を含有していてもよい。
上記溶媒としては、本発明の化合物(I)が溶解し得るもの、または本発明の化合物(I)と相溶し得るものであれば特に限定されず、例えば、含フッ素脂肪族または芳香族炭化水素等、具体的には、パーフルオロヘキサン、ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン等が挙げられる。
本発明の変性処理剤は、ニトリルオキシド基と反応性を有するものであればいかなる基材(例えば、高分子材料)にも好適に使用できる。
このような高分子材料としては、特に限定はされるものではないが、分子内にニトリル基(C≡N)を有するPAN(ポリアクリロニトリル)、分子内に炭素−炭素二重結合(C=C)を有するNR(天然ゴム)、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム)、分子内にニトリル基および炭素−炭素二重結合を有するNBR(ニトリルゴム)等が挙げられる。
本発明の変性処理剤を用いる変性処理は、特に限定されないが、有機溶媒中または無溶媒で、本発明の化合物(I)と高分子材料を接触させることにより行うことができる。
上記有機溶媒としては、特に限定はされるものではないが、高分子材料および本発明の化合物(I)が共に溶解し易いものであることが好ましい。具体的には、クロロホルム、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)等が挙げられる。
無溶媒で行う場合には、空気下で行ってもよいし、不活性ガスが充填された雰囲気下で行ってもよい。
上記不活性ガスとしては、特に限定はされないが、アルゴン、窒素等が例示できる。
変性処理が無溶媒で行われる場合には、混練装置で行うことが好ましい。
混練装置としては、特に限定はされるものではないが、二軸混練機、密閉式混練機、バンバリーミキサー、インターミックス等の混練機や二軸押出機、単軸押出機、多軸押出機等の押出機等が挙げられる。
変性処理の温度としては、本発明の化合物(I)が高分子材料と反応する温度であれば、特に限定はされないが、例えば、化学反応であることから温度が高ければ反応が促進され、また加熱等の温度調節を行わなければ製造工程の管理が容易になることから、0〜150℃であることが好ましい。さらに言うならば、高分子材料がNBR、NR、EPDM等のように、多重結合として少なくとも炭素−炭素二重結合を有するものである場合には、20〜100℃であることがより好ましく、PAN等のように、多重結合として三重結合のみを有するものである場合には、60〜150℃であることがより好ましい。
また、本発明は、上記の変性処理剤により処理された変性材料、例えば変性高分子材料を提供する。
本発明の変性処理剤により変性処理された変性高分子材料は、各種有機溶媒に対する溶解性が変化し、また、太陽光およびオゾンに対する耐性が改善され、耐久性が向上する。
一の態様において、上記本発明の組成物は、フィラーの改質剤である。
本発明のフィラーの改質剤は、少なくとも1種の上記した本発明の化合物(I)を含む。
本発明のフィラーの改質剤が適用されるフィラーとしては、ニトリルオキシド基と反応性を有する基を表面に有するフィラー、例えば特に限定されるものではないが、表面にビニル基、アリル基、ニトリル基などの不飽和結合を有する基が導入されたシリカ粒子、アルミナ、酸化チタン、酸化バリウムおよび酸化カルシウムが挙げられる。
シリカ粒子の表面にビニル基、アリル基、ニトリル基などの不飽和結合を有する基を導入する方法は、当業者によく知られている。例えば、シリカ粒子の表面へのビニル基の導入は、シリカ粒子をビニル系シランカップリング剤(例、ビニルエトキシシラン等)で処理することにより行うことができる。
本発明のフィラーの改質剤を用いる改質処理は、単にフィラーと混合することにより実施することができる。かかる改質処理は、好ましくは溶媒中で行われる。
上記溶媒としては、本発明の化合物およびフィラーに対して不活性なものであれば特に限定されず、例えば、水、炭素数5〜12のパーフルオロ脂肪族炭化水素(例えば、パーフルオロヘキサン、パーフルオロメチルシクロヘキサンおよびパーフルオロ−1,3−ジメチルシクロヘキサン);ポリフルオロ芳香族炭化水素(例えば、ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン);ポリフルオロ脂肪族炭化水素;ヒドロフルオロエーテル(HFE)(例えば、パーフルオロプロピルメチルエーテル(COCH)、パーフルオロブチルメチルエーテル(COCH)、パーフルオロブチルエチルエーテル(COC)、パーフルオロヘキシルメチルエーテル(CCF(OCH)C)などのアルキルパーフルオロアルキルエーテル(パーフルオロアルキル基およびアルキル基は直鎖または分枝状であってよい))などが挙げられる。
また、本発明は、上記フィラーの改質剤により処理されたフィラー、例えばシリカ粒子を提供する。
本発明のフィラーの改質剤により処理されたフィラーは、例えばフッ素ゴム、パーフロゴム、フッ素樹脂のフィラーとして用いる場合、未処理のフィラーと比較して、分散性が改善される、あるいはフィラー表面の反応性基(例えば、シリカのSiO)と含フッ素ポリマーとの反応を抑制することができるという効果を有する。
一の態様において、上記本発明の組成物は、反応性相溶化剤である。
本発明の反応性相溶化剤は、少なくとも1種の上記した本発明の化合物(I)を含み、2種またはそれ以上の材料(化合物)、例えばニトリルオキシド基と反応性を有する汎用ポリマーと含フッ素ポリマー間の相溶性を向上させることができる。
本発明の反応性相溶化剤は、ニトリルオキシド基と反応性を有する化合物とフッ素を含有する化合物との組み合わせであれば、いずれの化合物の組み合わせにも好適に適用することができる。また、相溶化させる(複合化させる)化合物の組み合わせは、3種以上の組み合わせ、例えば1種のニトリルオキシド基と反応性を有する化合物と2種のフッ素を含有する化合物との組み合わせであってもよい。
上記ニトリルオキシド基と反応性を有する化合物としては、特に限定されるものではないが、分子内にニトリルオキシド基と反応性を有する部分(例、C=C、C≡N)を有する汎用ポリマー、例えば、天然ゴム、NBR(ニトリルゴム)、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム)、PAN(ポリアクリロニトリル)、HC=C(R)−(CH−CHR)−CH−CR=CH(ここに、Rは、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、エチル基、またはイソブチル基であり、nは10〜1000の整数である)などが挙げられる。
上記フッ素を含有する化合物としては、特に限定されるものではないが、フッ素樹脂およびフッ素ゴム等が挙げられる。
上記フッ素樹脂としては、非溶融加工性であるフッ素樹脂、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、および、溶融加工性であるフッ素樹脂が挙げられる。
上記PTFEは、テトラフルオロエチレン(TFE)の単独重合体であってもよいし、変性ポリテトラフルオロエチレン(変性PTFE)であってもよい。本明細書において、「変性PTFE」とは、得られる共重合体に溶融加工性を付与しない程度の少量の共単量体をTFEと共重合して得られるものを意味する。上記少量の共単量体としては、特に限定されるものではなく、例えば、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、トリフルオロエチレン(TrFE)、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)、パーフルオロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)、(パーフルオロアルキル)エチレン等が挙げられる。上記少量の共単量体は、1種または2種以上を用いることができる。
上記PAVEとしては、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)等が挙げられる。
上記少量の共単量体が上記変性PTFEに付加されている割合は、その種類によって異なるが、例えば、PAVE、パーフルオロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)等を用いる場合、通常、上記TFEと上記少量の共単量体との合計質量の0.001〜1質量%であることが好ましい。
溶融加工性であるフッ素樹脂としては、テトラフルオロエチレン(TFE)/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)共重合体、TFE/HFP/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)共重合体、TFE/PAVE共重合体(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)およびテトラフルオロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体(MFA))、エチレン(Et)/TFE共重合体、Et/TFE/HFP共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)/TFE共重合体、Et/CTFE共重合体、TFE/フッ化ビニリデン(VDF)共重合体、VDF/HFP/TFE共重合体、VDF/HFP共重合体等が挙げられる。
また、フッ素樹脂としては、さらに、フルオロオレフィン単位および水酸基含有ラジカル重合性不飽和単量体単位を含む水酸基含有含フッ素共重合体が挙げられる。
フルオロオレフィン単位としては、テトラフルオロエチレン(TFE)単位、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)単位、フッ化ビニル(VF)単位、フッ化ビニリデン(VDF)単位、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)単位、トリフルオロエチレン(TrFE)単位、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)単位などの1種または2種以上が挙げられ、PAVE単位としては、パーフルオロメチルビニルエーテル単位、パーフルオロプロピルビニルエーテル単位が挙げられる。
TFE単位を含む2種以上の単位の組み合わせとしては、TFE/HFP単位、TFE/PAVE単位、TFE/エチレン単位、TFE/ビニルエーテル単位、TFE/ビニルエステル単位、TFE/ビニルエステル/ビニルエーテル単位、TFE/ビニルエーテル/アリルエーテル単位などが挙げられる。これらのうち、エチレン性不飽和基含有単量体への混合が良好な点から、TFE/エチレン単位、TFE/ビニルエーテル単位、TFE/ビニルエステル単位、TFE/ビニルエステル/ビニルエーテル単位、TFE/ビニルエーテル/アリルエーテル単位などが好ましい。
CTFE単位を含む2種以上の単位の組み合わせとしては、CTFE/HFP単位、CTFE/PAVE単位、CTFE/エチレン単位、CTFE/ビニルエーテル単位、CTFE/ビニルエステル単位、CTFE/ビニルエステル/ビニルエーテル単位、CTFE/ビニルエーテル/アリルエーテル単位などが挙げられる。これらのうち、エチレン性不飽和基含有単量体への混合が良好な点から、CTFE/エチレン単位、CTFE/ビニルエーテル単位、CTFE/ビニルエステル単位、CTFE/ビニルエステル/ビニルエーテル単位、CTFE/ビニルエーテル/アリルエーテル単位などが好ましい。
同様にHFP単位を含む2種以上の単位の組み合わせとしては、CTFE/HFP単位、TFE/HFP単位、HFP/ビニルエーテル単位、HFP/ビニルエステル単位、HFP/ビニルエステル/ビニルエーテル単位、HFP/ビニルエーテル/アリルエーテル単位などが挙げられる。これらのうち、エチレン性不飽和基含有単量体への混合が良好な点から、HFP/ビニルエーテル単位、HFP/ビニルエステル単位、HFP/ビニルエステル/ビニルエーテル単位、HFP/ビニルエーテル/アリルエーテル単位などが好ましい。
VDF単位を含む2種以上の単位の組み合わせとしては、VDF/TFE単位、VDF/HFP単位、VDF/TFE/HFP単位、VDF/CTFE単位、VDF/TFE/PAVE単位、VDF/CTFE/TFE単位、VDF/CTFE/HFP単位などが挙げられる。これらのうち、エチレン性不飽和基含有単量体への混合が良好な点から、VDF単位が重合体中に50モル%以上含有されていることが好ましい。
水酸基含有含フッ素共重合体における水酸基含有ラジカル重合性不飽和単量体単位の具体例としては、例えば式:
Figure 2014136952
[式中、R1は−OR2または−CH2OR2である(ただし、R2は水酸基を有するアルキル基である)]
で表わされるヒドロキシアルキルビニルエーテルやヒドロキシアルキルアリルエーテルが挙げられる。R2としては、例えば炭素数1〜8の直鎖状または分枝鎖状のアルキル基に1〜3個、好ましくは1個の水酸基が結合したものである。これらの例としては、例えば2−ヒドロキシエチルビニルエーテル単位、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル単位、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル単位、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルビニルエーテル単位、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル単位、4−ヒドロキシ−2−メチルブチルビニルエーテル単位、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル単位、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル単位、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル単位、4−ヒドロキシブチルアリルエーテル単位、エチレングリコールモノアリルエーテル単位、ジエチレングリコールモノアリルエーテル単位、トリエチレングリコールモノアリルエーテル単位、グリセリンモノアリルエーテル単位が挙げられるが、これらの中で、特に炭素数が3〜8のヒドロキシアルキルビニルエーテル、なかでも、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル単位または2−ヒドロキシエチルビニルエーテル単位が、重合が容易であるという観点から好ましい。
水酸基含有含フッ素共重合体は、さらに水酸基を含まない非フッ素ビニルエーテル単位および/または非フッ素ビニルエステル単位を含んでいてもよい。
水酸基含有含フッ素共重合体における水酸基を含まない非フッ素ビニルエーテル単位および/または非フッ素ビニルエステル単位の具体例としては、例えば式:
Figure 2014136952
[式中、R3は−OR4、−COOR4または−OCOR4である(ただし、R4はアルキル基である)]
で表わされるアルキルビニルエーテルやアルキルアリルエーテルが挙げられる。R4としては、例えば炭素数1〜8の直鎖状、分枝鎖状または環状のアルキル基である。これらの例としては、例えばシクロヘキシルビニルエーテル単位、メチルビニルエーテル単位、エチルビニルエーテル単位、プロピルビニルエーテル単位、n−ブチルビニルエーテル単位、イソブチルビニルエーテル単位、酢酸ビニル単位、プロピオン酸ビニル単位、酪酸ビニル単位、イソ酪酸ビニル単位、ピバリン酸ビニル単位、カプロン酸ビニル単位、バーサティック酸ビニル単位、ラウリン酸ビニル単位、ステアリン酸ビニル単位、シクロヘキシルカルボン酸ビニル単位が好ましい。また、耐候性、溶解性、廉価性に優れる点からバーサティック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキシルカルボン酸ビニル、酢酸ビニルである。これらのなかでも耐薬品性の点から、非芳香族系カルボン酸ビニルエステル、特にカルボン酸の炭素数が6以上のカルボン酸ビニルエステル、さらに好ましくはカルボン酸の炭素数が9以上のカルボン酸ビニルエステルが好ましい。カルボン酸ビニルエステルにおけるカルボン酸の炭素数の上限は20以下、さらには15以下が好ましい。具体例としてはバーサティック酸ビニルが最も好ましい。
水酸基含有含フッ素共重合体には、カルボキシル基含有モノマー単位を含んでいてもよい。
カルボキシル基含有モノマー単位はカルボキシル基を含み水酸基と芳香族基とを含まないものであり、この点で他の単位と異なる。
カルボキシル基含有モノマー単位としては、例えば式:
Figure 2014136952
[式中、R3、R4およびR5は同じかまたは異なり、いずれも水素原子、アルキル基、
カルボキシル基またはエステル基であり、nは0または1である]
または、式:
Figure 2014136952
[式中、R6およびR7は、同じかまたは異なり、いずれも飽和または不飽和の直鎖または環状アルキル基であり、nは0または1であり、mは0または1である]
で表わされるカルボキシル基含有ビニルモノマーなどが挙げられる。
カルボキシル基含有モノマー単位の具体例としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、桂皮酸、3−アリルオキシプロピオン酸、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸無水物、フマル酸、フマル酸モノエステル、フタル酸ビニル、ピロメリット酸ビニルから選択される1種または2種以上が挙げられ、それらのなかでも単独重合性の低いクロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、フマル酸、フマル酸モノエステル、3−アリルオキシプロピオン酸が好ましい。
カルボキシル基含有モノマー単位の割合の下限は0.1モル%、好ましくは0.4モル%であり、上限は2.0モル%、好ましくは1.5モル%である。
水酸基含有含フッ素共重合体の具体例としては、例えば、
Figure 2014136952
(式中、a、bおよびcの比率はモル比で、a:b:c=40〜60:3〜15:5〜45である);
Figure 2014136952
(式中、a、b、cおよびdの比率はモル比で、a:b:c:d=40〜60:3〜15:5〜45:5〜45である);
Figure 2014136952
(式中、a、b、cおよびdの比率はモル比で、a:b:c:d=40〜60:3〜15:5〜45:5〜45である);
Figure 2014136952
(式中、a、b、cおよびdの比率はモル比で、a:b:c:d=40〜60:3〜15:5〜45:5〜45であり、i−Buはイソブチル基を意味する);
テトラフルオロエチレン/バーサティック酸ビニル/ヒドロキシブチルビニルエーテル;テトラフルオロエチレン/バーサティック酸ビニル/ヒドロキシエチルビニルエーテル/tert−ブチル安息香酸ビニル;テトラフルオロエチレン/バーサティック酸ビニル/ヒドロキシブチルビニルエーテル/クロトン酸;テトラフルオロエチレン/バーサティック酸ビニル/ヒドロキシエチルビニルエーテル/安息香酸ビニル/クロトン酸が挙げられる。
フッ素ゴムとしては、非パーフルオロフッ素ゴムおよびパーフルオロフッ素ゴムが挙げられる。
上記非パーフルオロフッ素ゴムとしては、ビニリデンフルオライド(VDF)系フッ素ゴム、テトラフルオロエチレン(TFE)/プロピレン(Pr)系フッ素ゴム、テトラフルオロエチレン(TFE)/プロピレン/ビニリデンフルオライド(VDF)系フッ素ゴム、エチレン/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)系フッ素ゴム、エチレン/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)/ビニリデンフルオライド(VDF)系フッ素ゴム、エチレン/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)/テトラフルオロエチレン(TFE)系フッ素ゴム、フルオロシリコーン系フッ素ゴム、フルオロホスファゼン系フッ素ゴム等が挙げられ、これらをそれぞれ単独で、または、本発明の効果を損なわない範囲で任意に組み合わせて用いることができる。なかでも、ビニリデンフルオライド系フッ素ゴム、テトラフルオロエチレン/プロピレン系フッ素ゴムが好ましい。
上記ビニリデンフルオライド系フッ素ゴムとは、ビニリデンフルオライド45〜85モル%と、ビニリデンフルオライドと共重合可能な少なくとも1種の他の単量体55〜15モル%とからなる含フッ素弾性状共重合体をいう。好ましくは、ビニリデンフルオライド50〜80モル%と、ビニリデンフルオライドと共重合可能な少なくとも1種の他の単量体50〜20モル%とからなる含フッ素弾性状共重合体をいう。
上記ビニリデンフルオライドと共重合可能な少なくとも1種の他の単量体としては、例えば、テトラフルオロエチレン(TFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、トリフルオロプロピレン、テトラフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)、フッ化ビニル等の含フッ素単量体、エチレン、プロピレン、アルキルビニルエーテル等の非フッ素単量体が挙げられる。これらをそれぞれ単独で、または、任意に組み合わせて用いることができる。これらのなかでも、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)を用いることが好ましい。
この場合のパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)としては、例えばパーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)等が挙げられ、これらをそれぞれ単独で、または、本発明の効果を損なわない範囲で任意に組み合わせて用いることができる。
ビニリデンフルオライド系フッ素ゴムの具体例としては、VDF−HFP系ゴム、VDF−HFP−TFE系ゴム、VDF−CTFE系ゴム、VDF−CTFE−TFE系ゴム等が挙げられる。
上記テトラフルオロエチレン/プロピレン系フッ素ゴムとは、テトラフルオロエチレン45〜70モル%、プロピレン55〜30モル%、および、架橋部位を与える単量体0〜5モル%からなる含フッ素弾性状共重合体をいう。
上記架橋部位を与える単量体としては、例えば特公平5−63482号公報、特開平7−316234号公報に記載されているようなパーフルオロ(6,6−ジヒドロ−6−ヨード−3−オキサ−1−ヘキセン)やパーフルオロ(5−ヨード−3−オキサ−1−ペンテン)等のヨウ素含有単量体、特表平4−505341号公報に記載されている臭素含有単量体、特表平4−505345号公報、特表平5−500070号公報に記載されているようなニトリル基含有単量体、カルボキシル基含有単量体、アルコキシカルボニル基含有単量体等が挙げられる。
上記パーフルオロフッ素ゴムとしては、TFEを含むパーフルオロゴム、例えばTFE/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)/架橋部位を与える単量体からなる含フッ素弾性状共重合体が挙げられる。その組成は、好ましくは、45〜90/10〜50/0〜5(モル%)であり、より好ましくは、45〜80/20〜50/0〜5であり、更に好ましくは、53〜70/30〜45/0〜2である。これらの組成の範囲を外れると、ゴム弾性体としての性質が失われ、樹脂に近い性質となる傾向がある。
この場合のPAVEとしては、例えばパーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)等が挙げられ、これらをそれぞれ単独で、または本発明の効果を損なわない範囲で任意に組み合わせて用いることができる。
上記架橋部位を与える単量体としては、例えば、下記式:
CX=CX−RCHRI
(式中、XはH、FまたはCH、Rはフルオロアルキレン基、パーフルオロアルキレン基、フルオロポリオキシアルキレン基またはパーフルオロポリオキシアルキレン基、RはHまたはCH)で表されるヨウ素含有単量体、下記式:
CF=CFO(CFCF(CF))−O−(CF−Y
(式中、mは0〜5の整数、nは1〜3の整数、Yはニトリル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基または臭素原子)で表されるような単量体等が挙げられ、これらをそれぞれ単独で、または本発明の効果を損なわない範囲で任意に組み合わせて用いることができる。これらのヨウ素原子やニトリル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、臭素原子が、架橋点として機能する。
かかるパーフルオロフッ素ゴムの具体例としては、国際公開第97/24381号パンフレット、特公昭61−57324号公報、特公平4−81608号公報、特公平5−13961号公報等に記載されているフッ素ゴム等が挙げられる。
その他、含フッ素ポリマーとしては、PVDF(ポリビニリデンフルオライド)、PVF(ポリビニルフルオライド)等の単独重合体が挙げられる。
本発明の反応性相溶化剤は、ニトリルオキシド基と反応性を有する化合物と、フッ素を含有する化合物とを、常圧下、混合機(ニーダー、ブラベンダー、押出機等)により混合する工程において、単に本発明の化合物を含む反応性相溶化剤をこれらの化合物と混合するだけで機能を発揮し得る。このような混合工程において、本発明の化合物は、ニトリルオキシド基と反応性を有する化合物の反応性部位とクリック反応することにより、ニトリルオキシド基と反応性を有する化合物にフッ素含有基を導入することができる。この導入されたフッ素含有基が、上記フッ素を含有する化合物と親和性を有することにより、両者を相溶化(複合化)させることが可能になる。
上記混合工程は、通常、ニトリルオキシド基と反応性を有する化合物およびフッ素を含有する化合物が溶融する温度、例えば約150〜250℃で行われる。例えば、ニトリルオキシド基と反応性を有する化合物としてNBRを用い、フッ素を含有する化合物としてPVDFを用いる場合、約170℃以上、例えば約180〜210℃で行われる。本発明の化合物は、温度安定性が高いので、このような高温下での処理が可能になる。
また、上記混合工程は、通常、溶媒、添加剤等を加えることなく実施することができる。しかしながら、目的に応じて、例えば反応を促進させるために、溶媒、添加剤を加えてもよい。当業者であれば、目的に応じて、かかる溶媒、添加剤を選択することができる。
従来から一般的に用いられる相溶化剤としては、複合化させる2成分それぞれの骨格を有するブロックポリマーまたはグラフトポリマーが挙げられるが、本発明の化合物は、このようなポリマーと比較して調製が容易である点で有利である。また、本発明の反応性相溶化剤は、単に複合化させる成分の混合物と混ぜ合わせるだけで、これらを相溶化することができる点で有利である。
また、本発明は、上記の反応性相溶化剤により処理された2種またはそれ以上の化合物の複合体を提供する。
一の態様において、上記本発明の組成物は、繊維処理剤である。
本発明の繊維処理剤は、少なくとも1種の上記した本発明の化合物(I)を含み、ニトリルオキシド基と反応性を有する基を有する繊維、例えばアクリル系繊維の撥水撥油性などを向上させることができる。
本発明の繊維処理剤は、ニトリルオキシド基と反応性を有する基を有する繊維であればいかなる繊維にも好適に使用できる。
このような繊維としては、アクリル系繊維、または側鎖にニトリル基を持つモノマーを共重合することにより得られるポリエステル系繊維もしくはポリビニルアルコール系繊維などが挙げられる。また、ニトリルオキシド基と反応性を有する基を有さない繊維であっても、ニトリルオキシド基と反応性を有する基を導入することにより、上記本発明の繊維処理剤で処理することが可能になる。例えば、側鎖に水酸基またはアミノ基を持つモノマーを共重合することにより得られるポリエステル系繊維またはポリビニルアルコール系繊維は、ニトリルオキシド基と反応性を有する基を有するカルボン酸またはスルホン酸化合物と脱水縮合反応させることにより、上記本発明の繊維処理剤で処理することが可能になる。
本発明の繊維処理剤は、本発明の化合物(I)に加え、添加剤、例えば、乳化剤(ポリエチレングリコール系、カチオン系、アンモニウム系、ノニオン系、アニオン系)、消泡剤、湿潤剤、パラフィン系炭化水素などを含んでいてもよい。
本発明の繊維処理剤は、溶媒で希釈して繊維に適用してもよい。かかる溶媒としては、炭素数5〜12のパーフルオロ脂肪族炭化水素(例えば、パーフルオロヘキサン、パーフルオロメチルシクロヘキサンおよびパーフルオロ−1,3−ジメチルシクロヘキサン);ポリフルオロ芳香族炭化水素(例えば、ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン);ポリフルオロ脂肪族炭化水素;ヒドロフルオロエーテル(HFE)(例えば、パーフルオロプロピルメチルエーテル(COCH)、パーフルオロブチルメチルエーテル(COCH)、パーフルオロブチルエチルエーテル(COC)、パーフルオロヘキシルメチルエーテル(CCF(OCH)C)などのアルキルパーフルオロアルキルエーテル(パーフルオロアルキル基およびアルキル基は直鎖または分枝状であってよい))、他の含フッ素系溶媒、鉱油などの炭化水素系溶媒、アルコール、MIBK(メチルイソブチルケトン)、グリコール系溶媒(エチレングリコール、プロピレングリコール等)などが挙げられる。
本発明の繊維処理剤を、繊維に適用する方法としては、処理すべき繊維に所望の量を付着させるものであれば、特に限定されるものではなく、種々の方法が採用できる。繊維処理方法としては、連続法またはバッチ法等が挙げられる。
上記連続法としては、まず、溶媒を用いて繊維処理剤を希釈して処理液を調製する。次に、処理液で満たされた含浸装置に、被処理物を連続的に送り込み、被処理物に処理液を含浸させた後、不要な処理液を除去する。含浸装置としては特に限定されず、パッダ、キスロール式付与装置、グラビアコーター式付与装置、スプレー式付与装置、フォーム式付与装置、コーティング式付与装置等が好ましく採用でき、特にパッダ式が好ましい。続いて、乾燥機を用いて被処理物に残存する溶媒を除去する操作を行う。乾燥機としては、特に限定されず、ホットフルー、テンター等の拡布乾燥機が好ましい。該連続法は、被処理物が織物等の布帛状の場合に採用するのが好ましい。
バッチ法は、被処理物を処理液に浸漬する工程、処理を行った被処理物に残存する溶媒を除去する工程からなる。該バッチ法は、被処理物が布帛状でない場合、例えばバラ毛、トップ、スライバ、かせ、トウ、糸等の場合、または編物等連続法に適さない場合に採用するのが好ましい。浸漬する工程においては、例えば、ワタ染機、チーズ染色機、液流染色機、工業用洗濯機、ビーム染色機等を用いることができる。溶媒を除去する操作においては、チーズ乾燥機、ビーム乾燥機、タンブルドライヤー等の温風乾燥機、高周波乾燥機等を用いることができる。
本発明の繊維処理剤を付着させた被処理物には、乾熱処理を行うことが好ましい。該乾熱処理を行うと、繊維処理剤における有効成分が被処理物により強固に付着するため好ましい。乾熱処理の温度としては、120〜180℃が好ましく、特に160〜180℃が好ましい。該乾熱処理の時間としては、10秒間〜3分間が好ましく、特に1〜2分間が好ましい。乾熱処理の方法としては、特に限定されないが、被処理物が布帛状である場合にはテンターが好ましい。
また、本発明は、上記繊維処理剤により処理された繊維を提供する。
本発明の繊維処理剤により処理された繊維は、用いる本発明の化合物に応じて、撥水撥油性、耐候性および/または耐熱性などが向上する。また、本発明の化合物は、クリック反応により繊維と化学的に結合することから、上記の機能は摩擦などにより劣化しにくく、長期間機能を維持することができる。
実施例1
Figure 2014136952
工程1:フッ素含有ベンズアルデヒド2合成
4−ヒドロキシベンズアルデヒド1(0.67g,5.5mmol)、1−ヨード−3−(パーフルオロオクチル)プロパン(2.9g,5.0mmol)、炭酸セシウム(5.3g,17mmol)を無水ジメチルホルムアミド(DMF)(20mL)に加え、アルゴン雰囲気下、室温で20時間反応させた。溶媒を減圧留去し、ジクロロメタンを加えた。水で1回、炭酸水素ナトリウム水溶液で3回分液した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、白色粉末2.8g(4.8mmol,96%)を得た。
工程2:フッ素含有ニトロスチレン3の合成
フッ素含有ベンズアルデヒド(22.4g,4.0mmol)、ニトロメタン(0.67g,11mmol)、酢酸アンモニウム(0.31g,0.48mmol)を酢酸(2mL)に加え、100℃で9時間還流した。ジクロロメタン(100mL)を加え、水、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて乾燥した後、濾別し、濾液を減圧留去した。固体を酢酸エチルに溶解し、ヘキサン中に再沈殿させ、濾別し、濾液を減圧留去することで黄色粉末(0.59g,0.93mmol,23%)を得た。
工程3:フッ素含有脂肪族ニトリルオキシド4の合成
フッ素含有ニトロスチレン3(0.51g,0.80mmol)をテトラヒドロフラン(THF)(8mL)に加え、アルゴン雰囲気下で0℃まで冷却した。tert−ブチルマグネシウムクロリド(0.8mL,1.6mmol)を加え、室温で1時間攪拌した。−10℃まで冷却後、濃硫酸(>95%,0.42mL,8.0mmol)を加え、30分間攪拌した。水で3回抽出した後に、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、HPLCで精製することで白色粉末(0.23g,0.35mmol,43%)を得た。
比較例1
Figure 2014136952
工程1:フッ素含有ジメトキシベンズアルデヒド2の合成
4−ヒドロキシ−2,6−ジメトキシベンズアルデヒド(10.68g,3.7mmol)、1−ヨード−3−(パーフルオロオクチル)プロパン(2.0g,3.4mmol)、炭酸セシウム3.7g(18mmol)を無水DMF(15mL)に加え、アルゴン雰囲気下、室温で22時間反応させた。溶媒を減圧留去し、ジクロロメタンを加えた。水で1回、炭酸水素ナトリウム水溶液で3回分液した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、白色粉末(2.0g,3.2mmol,93%)を得た。
工程2:フッ素含有ジメトキシベンズアルドキシム3の合成
フッ素含有ジメトキシベンズアルデヒド(21.2g,1.9mmol)をエタノール(5mL)に懸濁させながら、ヒドロキシルアミン塩酸塩(0.15g,2.1mmol)と水酸化ナトリウム(0.17g,4.3mmol)を水(5mL)に溶かした溶液を0℃で加え、室温で1日攪拌した。反応溶液を濾過し、純水及びクロロホルムで洗浄した残滓を乾燥させ白色粉末(1.1g,1.6mmol,85%)を得た。
工程3:フッ素含有芳香族ニトリルオキシド4の合成
フッ素含有ジメトキシベンズアルドキシム(30.14g,0.21mmol)をクロロホルム(0.042mL)中、0℃で攪拌し懸濁させながら、トリエチルアミン(0.040g,0.30mmol)、続いてN−クロロスクシンイミド(NCS)(0.030g,0.30mmol)を加えて30分反応させた。ジクロロメタンを加え、水で2回分液した後、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し、白色粉末(0.13g,0.2mmol,97%)を得た。
試験例1(熱安定性試験)
実施例1および比較例1で得られた化合物のそれぞれについて、熱重量分析(TGA)測定を行った。その結果、実施例1の化合物の5%重量減少温度が211℃であったのに対し、比較例1の化合物の5%重量減少温度は180℃であり、本発明の化合物が熱安定性に優れていることが確認された。
実施例2
Figure 2014136952
工程1:フッ素含有グリニャール試薬6の合成
金属マグネシウム(0.26g,12mmol)を入れたジエチルエーテル(25mL)中に、ヨウ化2−(パーフルオロヘキシル)エチル(4.74g,10mmol)をゆっくり滴下した。この反応溶液を室温で3時間撹拌し、求核性試薬となるグリニャール試薬(0.263M,サリチルアルデヒドフェニルヒドラゾンを指示薬として用いた滴定により測定した)を得た。
工程2:フッ素含有脂肪族ニトリルオキシド7の合成
アルゴン雰囲気下中、乾燥THF(30mL)に溶かした1,1−ジフェニルニトロエテン(451mg,2.0mmol)溶液を0℃に冷却し、工程1で得たグリニャール試薬のジエチルエーテル溶液(8.37mL、2.2mmol)を滴下し、30分撹拌した。その後、反応溶液を−10℃まで冷却し、濃硫酸(>95%,1.96g,20mmol)を加え、0℃で30分撹拌した。反応後、反応溶液に塩化メチレン(50mL)を加え生成物を抽出し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去して粗精製物を得た。その後、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:ジエチルエーテル=20:1)で精製し、目的の1,1−ジフェニル−3−(パーフルオロヘキシル)プロピルニトリルオキシドを黄色の液体として81%の収率(0.90g,1.61mmol)で得た。
1H-NMR (400 MHz, 298 K, CDCl3): δ 7.42-7.29 (br, 芳香族), 2.74-2.69 (m, -CF2CH 2-), 2.20-2.07 (m, -CH 2CH2-) ppm
IR (KBr): 2292 (-CNO), 1636 (Ar, C=C), 1240 (C-F) cm-1
実施例3:天然ゴム(NR)とフッ素含有ニトリルオキシド7の固相反応
NR(50mg,0.735mmolの繰り返し単位)とフッ素含有ニトリルオキシド7(C13CPhCNO,40mg,0.074mmol)(即ち、NRのC=C結合に対して10モル%のニトリルオキシド)を乳鉢に入れ、160℃で2時間加圧混合した。その後室温まで冷ました後クロロホルムに溶解し、メタノールに沈殿させ、ろ過して回収した。回収したものを真空乾燥し、修飾されたNRを得た。得られた修飾NRについて、H−NMRにより反応率を測定した。詳細には、ニトリルオキシドとの反応に伴って、芳香環のプロトンピーク(10H、7.3ppm)、パーフルオロ鎖の隣のメチレン(2H、2.2ppm)、およびさらに隣のメチレン(2H、2.7ppm)がそれぞれ確認でき、これらのピーク間の積分値の比から反応率(または転換率)を算出した。その結果、反応率は、94.7%であり、反応が良好に進行していることが確認された。
実施例4:エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)とフッ素含有ニトリルオキシド7の固相反応
EPDM(50mg,0.118mmolの繰り返し単位)とフッ素含有ニトリルオキシド7(C13CPhCNO,137.2mg,0.247mmol)を乳鉢に入れ、160℃で2時間加圧混合した。尚、EPDM中にジエン成分が10%含まれるため、約2倍のニトリルオキシドを用いた。その後室温まで冷ました後クロロホルムに溶解し、メタノールに沈殿させ濾過して回収した。これを真空乾燥し修飾されたEPDMを得た。H−NMRにより反応率を測定した結果、84.4%であった。
実施例5:ポリアクリロニトリル(PAN)とフッ素含有ニトリルオキシド7との固相反応
PAN(100mg,1.89mmolの繰り返し単位)とフッ素含有ニトリルオキシド7(523.7mg,0.94mmol:PANのニトリル基の50%相当)を、乳鉢中で、130℃で2時間加圧混合した。反応後はアセトンで抽出することにより精製した。FTIRの2243cm−1のニトリル基のピークの減少に基づいて反応率を算出した(反応前後で見られる1455cm−1のピークを基準とした)。反応率は42.2%であった。
実施例6:ニトリルーブタジエンゴム(NBR)とフッ素含有ニトリルオキシド7の固相反応
NBR(100mg,1.86mmolの繰り返し単位)とフッ素含有ニトリルオキシド7(516.6mg,0.93mmol)を、乳鉢中で、130℃で2時間加圧混合した。反応後はアセトンで抽出することにより精製した。反応後のNBRにおいて、基準となるピークがなかったので、FTIRから正確な反応率を決定することは困難であったが、反応後のPANと同様にCFに由来するピーク(1200cm−1付近)やCFに由来する低波数側のピーク(702cm−1)が観察され、反応の進行が確認された。
実施例7:ガラス表面処理
ピラニア(piranha)処理したスライドグラス(ブランク試料)を乾燥し、クロロホルム中に浸漬した。次いで、アリルトリクロロシランを数滴(約15μL)加え、そのまま室温で12時間反応させた。表面にアリル基が導入されたスライドグラスを、クロロホルムで数回洗浄し、メタノール中で保存した。
表面にアリル基を導入したスライドグラス(アリル処理ガラス)を乾燥し、その上にフッ素鎖を含有するニトリルオキシド7(C13CPhCNO、70mg、0.126mmol)を塗布し、ホットプレート上、70℃で、6時間反応させ、ニトリルオキシド処理ガラスを得た。反応後はアセトンで数回洗浄した。反応後の表面の接触角を測定した。結果を下記表に示す。
Figure 2014136952
ピラニア処理後のガラスは水接触角が41.8°であるのに対し、アリル基を導入したガラスは59°であり、フッ素鎖を導入した試料AおよびBは、95°以上であった。また、CHに対する接触角から、撥水性だけでなく有機溶媒に対しても接触角が向上することが確認された。これらの結果から、表面自由エネルギーが低下したことが確認され、反応が進行していることが確認された。
実施例8:ゴム表面処理
略15mm×15mmの架橋NRフィルム上にフッ素鎖を含有するニトリルオキシド7(C13CPhCNO,30mg)を塗布し、ホットプレート上にて、70℃で12時間加熱した。反応後は、酢酸エチルで数回洗浄し、未反応のニトリルオキシドを除去した。洗浄後、架橋NRフィルムを乾燥した。
得られた架橋NRフィルムの表面の水接触角を測定した。その結果、未反応のNRフィルムでは86°、フッ素鎖をもつニトリルオキシドで表面処理したNRフィルムでは92°であり、反応が進行していることが確認された。
本発明の化合物は、多種多様な用途、例えば表面処理剤、変性処理剤、フィラーの改質剤、相溶化剤、および低温特性ゴムの改質剤として好適に用いられる。

Claims (16)

  1. 式(I):
    Figure 2014136952
    [式中:
    は、炭化水素基を表し;
    およびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭化水素基を表す:
    ただし、R、RおよびRの少なくとも1つは、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子により置換されており、R、RおよびRは、それぞれ、炭素原子によりニトリルオキシドが結合する炭素原子に結合している。]
    で表される化合物。
  2. が、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよい、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、またはヘテロアリール基、あるいは式:
    Figure 2014136952
    (式中:
    、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子により置換されていてもよいアルキル基、または−C(O)OR10を表し;
    は、水素原子、または1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいアルキル基を表し;
    10は、水素原子、または1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいアルキル基を表し;
    nは、1〜10,000の整数を表す。)
    で表される基であり;
    およびRが、それぞれ独立して、水素原子、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよい、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、またはアリール基である、請求項1に記載の化合物。
  3. 、RおよびRの少なくとも1つが、パーフルオロアルキル基であるか、あるいは、1個またはそれ以上のパーフルオロアルキル基を含む、請求項1または2に記載の化合物。
  4. が、パーフルオロアルキル基であるか、あるいは、1個またはそれ以上のパーフルオロアルキル基により置換されているアルキル基である、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物。
  5. が、式:
    Figure 2014136952
    (式中:
    、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、またはハロゲン原子により置換されていてもよいアルキル基を表し;
    は、水素原子、または1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいアルキル基を表し;
    10は、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいアルキル基を表し;
    nは、1〜10,000の整数を表す。)
    で表される基である、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物。
  6. 下記(a)〜(c):
    (a)Rが、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよい、tert−アルキル基、sec−アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、またはヘテロアリール基、あるいは式:
    Figure 2014136952
    (式中、R、R、R、R、Rおよびnは、請求項2の記載と同意義である)
    で表される基である;
    (b)Rが、1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい、アリール基、tert−アルキル基またはsec−アルキル基である;
    (c)Rが、1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい、アリール基、tert−アルキル基またはsec−アルキル基である;
    の1つまたはそれ以上を満たす、請求項1〜5のいずれかに記載の化合物。
  7. およびRの少なくとも1つが、1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい、アリール基、tert−アルキル基またはsec−アルキル基である、請求項1〜6のいずれかに記載の化合物。
  8. が、パーフルオロアルキル基であるか、あるいは、1個またはそれ以上のパーフルオロアルキル基により置換されているアルキル基であり、
    およびRが、1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよいフェニル基である、請求項1〜4または6〜7のいずれかに記載の化合物。
  9. が、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよい、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、またはフェニル基であり、
    およびRの内、少なくとも一方が、パーフルオロアルキル基であるか、あるいは、1個またはそれ以上のパーフルオロアルキル基により置換されているアルキル基である請求項1〜4または6〜7のいずれかに記載の化合物。
  10. パーフルオロアルキル基が、−C2m+1(ここに、mは1〜16の整数である)である、請求項3、4、8または9のいずれかに記載の化合物。
  11. 請求項1に記載の式(I)で表される化合物の製造方法であって、下記工程:
    (i)式(II):
    Figure 2014136952
    [式中:RおよびRは、請求項1の記載と同意義である。]
    で表される化合物と、式(III):
    L (III)
    [式中:Rは、請求項1の記載と同意義であり;
    Lは、MXを表し;
    Mは、Li、Zn、Na、K、Al、Cu、B、Si、Ti、Cr、Fe、Ni、Pd、Pt、Rh、Ru、Ir、MgまたはSmを表し;
    Xは、ハロゲン原子またはアルコキシ基を表し;
    tは、0〜6の整数を表す。]
    で表される化合物とを反応させること;ついで、
    (ii)脱水処理すること;
    を含む方法。
  12. ニトリルオキシド基と反応性を有する基を含む材料に適用するために使用される、1種またはそれ以上の請求項1〜10のいずれかに記載の化合物を含む、組成物。
  13. 表面処理剤である、請求項12に記載の組成物。
  14. 変性処理剤である、請求項12に記載の組成物。
  15. 基材と、該基材の表面に請求項13に記載の表面処理剤により形成された層とを含む物品。
  16. 請求項14に記載の変性処理剤により処理された変性高分子材料。
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