JPWO2014119753A1 - マイオスタチン阻害ペプチド - Google Patents

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Abstract

【解決課題】マイオスタチンに対して選択的で高い阻害活性を有し、筋肉の過形成、筋肉重量増加を可能とする治療薬を提供すること。【解決手段】以下の(a)〜(d)から選択されるいずれかのペプチドまたはその薬学的に許容される塩:(a)配列番号1〜9のいずれか、又は40で表されるアミノ酸配列からなるペプチド;(b)配列番号1〜9のいずれか、又は40で表されるアミノ酸配列を含み、かつ長さが30のアミノ酸以下のペプチド;(c)配列番号1〜9のいずれか、又は40で表されるアミノ酸配列において、1以上6以下のアミノ酸が置換、欠失もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、マイオスタチンの活性を選択的に阻害するペプチド;又は(d)前記(a)〜(c)のいずれかのペプチドの誘導体。【選択図】なし

Description

本発明は、骨格筋増殖抑制因子マイオスタチン(GDF8)の作用を選択的に阻害する新規なペプチド、及び当該ペプチドを含む医薬組成物に関る。
筋ジストロフィーは、骨格筋の変性・壊死を主病変とし、筋力低下が進行する遺伝性疾患である。筋力の発現には、細胞内の筋原繊維で生じた張力を複数の蛋白質を介して細胞外の基底膜まで伝達する仕組みが必要である。これに携わる蛋白質群をコードする遺伝子の不具合は、当該蛋白質の機能を損なうため、筋ジストロフィーが起こる。例えば、最も重篤なデュシェンヌ型では、ジストロフィン遺伝子が変異し、当該蛋白質の欠失や機能不全が主因となる。そこで、筋ジストロフィーでの骨格筋の変性壊死に対抗する一手段として、骨格筋量を負に制御する因子である「マイオスタチン」の機能を阻害することで、筋肉量を増加させる治療法の開発が特に有用と考えられている。
マイオスタチンは、TGF−βと同様に前駆体タンパク質として分泌後、プロドメイン部分がlatency associated protein(LAP)として残存し、マイオスタチン本体と相互作用することで、マイオスタチンを不活性化する。そして、latent TGF-beta binding protein (LTBP)との結合を介して細胞外マトリックスに潜在し、体内でのマイオスタチンリザーバーとして働く。即ち、必要な時に、LAPが酵素的に除去され活性体となるのである。このことから、LAP部分にはマイオスタチンと結合し、その活性を抑制できるペプチド構造が存在することが予測された。
2004年にJiangらはこの認識配列が前駆体配列42−115位に存在することを報告している(非特許文献1)。さらに最近、Waltonらは、この認識配列として、TGF−β1の前駆体配列42−57位(マウスマイオスタチンの50−65位に相当)に存在するαへリックスの重要性を指摘している(非特許文献2)。
また、マイオスタチンの機能が阻害されることで、骨格筋量の増大に繋がることを示す研究がこれまで複数報告されている。例えば、ヒト及び複数の動物においてマイオスタチン遺伝子異常によるマイオスタチン関連筋肥大症が報告されている(非特許文献3)。更に、当該遺伝子を不全にしたマウスでは、筋肉量が2−3倍増大することも報告されている(非特許文献4)。これらの結果は、マイオスタチンを骨格筋量の増強を目的とする医薬品開発における有効な分子標的として位置づけるのみならず、マイオスタチン活性の阻害による筋量増大・筋力強化は、Proof of concept (POC)が確立された創薬課題と言える。
従って、高活性で標的分子選択性に優れかつ安全性の高い化合物を創製できれば、筋ジストロフィーを克服する治療薬開発に極めて有用である。しかしながら、現時点での具体的創薬例は、主に高分子蛋白質を用いる例である。即ち、マイオスタチンに対する特異的中和抗体(MYO−029)を用いた臨床試験(Phase II)では、ベッカー型及び肢帯型筋ジストロフィー患者の筋肥大効果が確認されている(非特許文献5)。また、マイオスタチン可溶性受容体(ActRIIB−Fc)を利用した研究では、担癌マウスの筋量増加、がん細胞による筋肉破壊の軽減により、癌悪液質の改善が報告されている(非特許文献6)。一方、TGF−betaファミリーの細胞内情報伝達を担うSmad2のリン酸化を阻害するキナーゼ阻害剤SB431542が知られている。本阻害剤はマイオスタチンの細胞内情報伝達も抑制することが知られているが(非特許文献7)、TGF−betaファミリー間の選択性は低い。したがって、高い選択性を有するマイオスタチンシグナルの阻害剤としては、マイオスタチン自体の機能を阻害する分子が有用と言える。
このように、標的分子選択性に優れかつ安全性が高く、ヒトおよび動物のマイオスタチンに対して高い阻害活性を有する医薬品として有用な化合物は未だ見出されていない。
BBRC、315、525(2004) JBC、285、17029(2010) Schuelke, M., et al., N Engl J Med, 350, 2682(2004) McPherron, A. C., et al., Nature, 387, 83 (1997) Wagner, K. R., et al., Ann Neurol, 63, 561 (2008) Zhou, X., et al., Cell, 142, 531 (2010) Watt, K.I., et al., Muscle Nerve, 41, 624 2010).
本発明は、マイオスタチンに対して選択的で高い阻害活性を有し、筋肉の過形成、筋肉重量増加を可能とする治療薬を提供することを目的とする。
本発明者らは、マウス由来マイオスタチンプロドメイン配列中の部分ペプチドを合成し、ヒト/マウスマイオスタチンの活性を阻害するペプチドの探索を精力的に行ったところ、特定の残基を有するペプチドに阻害活性があり、濃度依存的にヒトマイオスタチン受容体を介したシグナルを強く阻害すること、および該ペプチドを世界で初めて明らかにした。
即ち、本発明は、
[1]以下の(a)〜(d)から選択されるいずれかのペプチドまたはその薬学的に許容される塩:
(a)配列番号1〜9のいずれか、又は40で表されるアミノ酸配列からなるペプチド;
配列番号1:AWRQNTRYSRIEAIKIQILSKLRLETA
配列番号2:AWRQNTRYSRIEAIKIQILSKLRL
配列番号3:NTRYSRIEAIKIQILSKLRLETA
配列番号4:SRIEAIKIQILSKLRLETA
配列番号5:NTRYSRIEAIKIQILSKLRL
配列番号6:WRQNTRYSRIEAIKIQILSKLRL
配列番号7:AWRQNTRYSRIEAIKIEILSKLRL
配列番号8:AWRQNTRYSRIEAIKIQILSKLR
配列番号9:AWRQNTRYSRIEAIKIQILSKL
配列番号40:WRTRYSRIEAIKIQILSKLRL
(b)配列番号1〜9のいずれか、又は40で表されるアミノ酸配列を含み、かつ長さが30のアミノ酸以下のペプチド;
(c)配列番号1〜9のいずれか、又は40で表されるアミノ酸配列において、1以上6以下のアミノ酸が置換、欠失もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、マイオスタチンの活性を選択的に阻害するペプチド;又は
(d)前記(a)〜(c)のいずれかのペプチドの誘導体。
[2]前記誘導体が、前記(a)〜(c)のいずれかのペプチドに対する任意のタイプの分子の共有結合によって化学的に修飾されたペプチド、又は前記(a)〜(c)のいずれかのペプチドを含むFc融合タンパク質である、[1]に記載のペプチドまたはその薬学的に許容される塩。
[3]前記誘導体が、下記式(I):
(化1)
−X−R (I)
(式中、R1は、水素原子、アシル基、スルホニル基又は炭化水素基を表し:
2は、水素原子、アルコキシ基、ポリエチレングリコール類似基、炭化水素基、アミン基を表し:
Xは請求項1の(a)〜(c)のいずれかに記載のペプチドのペプチド残基又は、当該ペプチド残基の両末端又は片末端の1つのアミノ酸残基が削除されたペプチド残基を表す。)で表される、[1]又は[2]に記載のペプチドまたはその薬学的に許容される塩。
[4]前記(c)のペプチドが、配列番号1〜9のいずれか、又は40で表されるアミノ酸配列において、以下の少なくとも1つの置換:
(1)マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が32位のアラニンがフェニルアラニン、ホモフェニルアラニン、ヒスチジン又はチロシンにより置換;
(2)マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が31のグルタミン酸がα−アミノイソブタン酸により置換;
(3)マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が40のリシンがα−アミノイソブタン酸により置換;
(4)マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が27のチロシンがフェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン又はアルギニンにより置換;
(5)マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が22、23、24、28、31、34、36、39、40、42のいずれか1以上のアミノ酸が別のアミノ酸により置換:
(6)マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が21のトリプトファンが、炭素数がC1〜C10の脂肪鎖、又は、芳香族環及び/又は複素環の少なくも1つを有するカルボン酸又はアミノ酸により置換:
(7)マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が30,33、35、37のいずれか1以上のイソロイシンが、夫々、ロイシン又はノルロイシンにより置換;
(8)マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が43のロイシンがイソロイシン又はノルロイシンにより置換;
されたアミノ酸配列からなる、[1]〜[3]のいずれか1項に記載のペプチド又はその薬学的に許容される塩。
[5]前記(c)のペプチドが、配列番号1〜9、40のいずれかで表されるアミノ酸配列において、マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が32位のアラニンが、フェニルアラニン、ホモフェニルアラニン、ヒスチジン又はチロシンにより置換されたアミノ酸配列からなる、[1]〜[3]のいずれか1項に記載のペプチド又はその薬学的に許容される塩。
[6]前記(c)のペプチドが、配列番号1〜9、40のいずれかで表されるアミノ酸配列において、マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が31のグルタミン酸がα−アミノイソブタン酸により置換されたアミノ酸配列からなる、[1]〜[3]のいずれか1項に記載のペプチド又はその薬学的に許容される塩。
[7]前記(c)のペプチドが、配列番号1〜9、40のいずれかで表されるアミノ酸配列において、マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が40のリジンがα−アミノイソブタン酸により置換されたアミノ酸配列からなる、[1]〜[3]のいずれか1項に記載のペプチド又はその薬学的に許容される塩。
[8]前記(c)のペプチドが、配列番号1〜9、40のいずれかで表されるアミノ酸配列において、マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が27のチロシンがフェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン又はアルギニンにより置換されたアミノ酸配列からなる、[1]〜[3]のいずれか1項に記載のペプチド又はその薬学的に許容される塩。
[9]前記(c)のペプチドが、配列番号1〜9、40のいずれかで表されるアミノ酸配列において、マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が22、23、24、28、31、34、36、39、40、42のいずれか1以上のアミノ酸が別のアミノ酸により置換されたアミノ酸配列からなる、[1]〜[3]のいずれか1項に記載のペプチド又はその薬学的に許容される塩。
[10]前記(c)のペプチドが、配列番号1〜9、40のいずれかで表されるアミノ酸配列において、マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が22、23、24、28、31、34、36、39、40、42のいずれか1以上のアミノ酸がアラニンにより置換されたアミノ酸配列からなる、[9]に記載のペプチド又はその薬学的に許容される塩。
[11]前記(c)のペプチドが、配列番号1〜9、40のいずれかで表されるアミノ酸配列において、マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が21のトリプトファンが、炭素数がC1〜C10の脂肪鎖、又は、芳香族環及び/又は複素環の少なくとも1つを有するカルボン酸又はアミノ酸により置換されたアミノ酸配列からなる、[1]〜[3]のいずれか1項に記載のペプチド又はその薬学的に許容される塩。
[12]前記カルボン酸が、1−アダマンタン酢酸、テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸、3−(2−フルオロフェニル)−プロピオン酸、3−(3−フルオロフェニル)−プロピオン酸又は3−(4−フルオロフェニル)−プロピオン酸から選択される、[11]に記載のペプチド又はその薬学的に許容される塩。
[13]前記アミノ酸が、アセチル−L−トリプトファンである、[11]に記載のペプチド又はその薬学的に許容される塩。
[14]前記(c)のペプチドが、配列番号1〜9、40のいずれかで表されるアミノ酸配列において、マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が30,33、35、37のいずれか1以上のイソロイシンが、夫々、ロイシン又はノルロイシンにより置換されたアミノ酸配列からなる、[1]〜[3]のいずれか1項に記載のペプチド又はその薬学的に許容される塩。
[15]前記(c)のペプチドが、配列番号1〜9、40のいずれかで表されるアミノ酸配列において、マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が43のロイシンがイソロイシン又はノルロイシンにより置換されたアミノ酸配列からなる、[1]〜[3]のいずれか1項に記載のペプチド又はその薬学的に許容される塩。
[16]前記(c)のペプチドが、配列番号10〜48で表されるアミノ酸配列からなる、[1]〜[3]のいずれか1項に記載のペプチド又はその薬学的に許容される塩。
[17]配列番号1〜9のいずれか、又は40で表されるアミノ酸配列において、以下の少なくとも1つの置換:
(1)マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が32位のアラニンがフェニルアラニン、ホモフェニルアラニン、ヒスチジン又はチロシンにより置換;
(2)マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が31のグルタミン酸がα−アミノイソブタン酸により置換;
(3)マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が40のリジンがα−アミノイソブタン酸により置換;
(4)マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が27のチロシンがフェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン又はアルギニンにより置換;
(5)マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が22、23、24、28、31、34、36、39、40、42のいずれか1以上のアミノ酸が別のアミノ酸により置換:
(6)マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が21のトリプトファンが、炭素数がC1〜C10の脂肪鎖、又は、芳香族環及び/又は複素環の少なくとも1つを有するカルボン酸又はアミノ酸により置換:
(7)マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が30,33、35、37のいずれか1以上のイソロイシンが、夫々、ロイシン又はノルロイシンにより置換;
(8)マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が43のロイシンがイソロイシン又はノルロイシンにより置換;
がされたアミノ酸配列からなるペプチド、その誘導体、又はこれらの薬学的に許容される塩。
[18][1]〜[17]のいずれか1項に記載のペプチド又はその薬学的に許容される塩を含む、マイオスタチン関連障害を治療するための医薬組成物。
[19]マイオスタチン関連障害が筋萎縮障害である、[18]に記載の医薬組成物。
[20]筋萎縮障害が、デュシェンヌ筋ジストロフィー、進行性筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、デジェリン・ランドゥジー筋ジストロフィー、エルブ筋ジストロフィー又は小児神経軸索筋ジストロフィーから選択される少なくとも一つである、[19]に記載の医薬組成物。
を、提供するものである。
本発明のペプチドは、マイオスタチンに対して選択的で高い阻害活性を有する。また、本発明のペプチドは、生体におけるマイオスタチン阻害の原理を、そのまま小さなペプチド分子で実現しているため、副作用が少なく、選択性の高い医薬品化合物を創製することが可能である。
プロドメイン−Fc融合蛋白質発現プラスミドの構築 In vitroマイオスタチン転写活性測定系によるプロドメインの活性阻害中心の解析 プロドメイン−Fc融合蛋白質共発現によるマイオスタチン活性阻害中心の同定結果 プロドメイン−Fc融合蛋白質共発現によるマイオスタチン活性阻害中心の同定結果 合成ペプチド添加によるマイオスタチン活性阻害の検討結果 種々の合成ペプチドのマイオスタチン活性阻害の比較 In vitroレポーターアッセイによるペプチド1、2、3及び5のマイオスタチン阻害活性の評価結果 ペプチド1のマイオスタチン阻害活性の濃度依存性 ペプチド2のマイオスタチン阻害活性の濃度依存性 ペプチド3のマイオスタチン阻害活性の濃度依存性 In vitroレポーターアッセイによるペプチド1、4、6及び7のマイオスタチン阻害活性の評価結果 ウエスタンブロットによるペプチド1〜3、8のマイオスタチンシグナル阻害活性の評価結果 In vitroレポーターアッセイによるペプチド1のTGF−β3阻害活性の評価結果 ペプチド1の野生型マウス大腿部筋に及ぼす影響(in vivo評価) In vitroレポーターアッセイによるペプチド10のTGF−β3阻害活性の評価結果 In vitroレポーターアッセイによるペプチド13および14のマイオスタチン阻害活性評価 In vitroレポーターアッセイによるペプチド15〜22のマイオスタチン阻害活性の評価結果 In vitroレポーターアッセイによるペプチド23〜29のマイオスタチン阻害活性の評価結果 In vitroレポーターアッセイによるペプチド30およびペプチド31のマイオスタチン阻害活性の評価結果 In vitroレポーターアッセイによるペプチド32〜36のマイオスタチン阻害活性の評価結果 In vitroレポーターアッセイによるペプチド37およびペプチド38のマイオスタチン阻害活性の評価結果 In vitroレポーターアッセイによるペプチド39〜44のマイオスタチン阻害活性の評価結果 In vitroレポーターアッセイによるペプチド45のマイオスタチン阻害活性の評価結果 In vitroレポーターアッセイによるペプチド46のマイオスタチン阻害活性の評価結果 In vitroレポーターアッセイによるペプチド47〜53のマイオスタチン阻害活性の評価結果 ペプチド1のC2C12筋芽細胞に及ぼす影響(in vitro評価) ペプチド1の野生型マウス大腿部筋に及ぼす影響(in vivo評価)(HE染色) ペプチド1の野生型マウス大腿部筋に及ぼす影響(in vivo評価)(細胞数の統計学的解析) ペプチド1の野生型マウス大腿部筋に及ぼす影響(in vivo評価)(免疫染色)
本発明の1つの態様は、以下の(a)〜(d)から選択されるいずれかのペプチドまたはその薬学的に許容される塩:
(a)配列番号1〜9のいずれか、又は40で表されるアミノ酸配列からなるペプチド;
(b)配列番号1〜9のいずれか、又は40で表されるアミノ酸配列を含み、かつ長さが30のアミノ酸以下のペプチド;
(c)配列番号1〜9のいずれか、又は40で表されるアミノ酸配列において、1以上6以下のアミノ酸が置換、欠失もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、マイオスタチンの活性を選択的に阻害するペプチド;又は
(d)前記(a)〜(c)のいずれかのペプチドの誘導体
である。本発明のペプチドまたはその薬学的に許容される塩は、骨格筋増殖抑制因子マイオスタチン(GDF8)の作用を選択的に阻害することができる。
本明細書において、「マイオスタチン活性を阻害する」とは、例えばCAGA12-lucレポーター導入細胞に基づくマイオスタチン活性アッセイなどのin vitroアッセイによって、または以下に記載するようなin vivo動物試験によって立証されるように、ペプチドまたはこれを含む医薬組成物が、マイオスタチン活性またはシグナル伝達を減少させるかまたは遮断する能力を指す。
上記(a)のペプチドが有するアミノ酸配列を以下の表に示す。
Figure 2014119753

ペプチド
本明細書において、用語「ペプチド」は、ペプチド結合によって連結されるアミノ酸の分子を指す。本発明のペプチドは、好ましくは、長さ約10〜30アミノ酸の間、より好ましくは、長さ15〜25アミノ酸の間であり、そしてマイオスタチン・タンパク質に結合することが可能である。
本発明のペプチドは、天然マウスマイオスタチンのプロドメインに存在する活性配列を含む。
本発明の配列番号1〜6、8〜9で表されるアミノ酸配列からなるペプチドは、マウス由来マイオスタチンのプロドメインの部分ペプチドである。例えば、配列番号1を例にとると、表1中の説明のmMPS(20-46)は、マウス由来マイオスタチンプロドメイン配列中のN末端から20番目から46番目のアミノ酸配列を有することを示す。
また、配列番号7のmMPS(20-43)Q36Eは、マウス由来マイオスタチンプロドメイン配列中のN末端から20番から43番目のアミノ酸配列においてN末端から36番目のQ(グルタミン)がE(グルタミン酸)で置換されたアミノ酸配列を有することを示す。また、配列番号40のmMPS(21-43)ΔQ23N24は、マウス由来マイオスタチンプロドメイン配列中のN末端から21番から43番目のアミノ酸配列においてN末端から23番目のQと24番目のNが欠失しているアミノ酸配列を有することを示す。
上記(a)のペプチドとしては、配列番号1〜9のいずれか、又は40で表されるアミノ酸配列からなるペプチドが好ましく、配列番号2〜8のいずれか、又は40で表されるアミノ酸配列からなるペプチドがより好ましく、配列番号2、配列番号6〜7のいずれか、又は40で表されるアミノ酸配列からなるペプチドが更に好ましい。
本発明のペプチドは、配列番号1〜9のいずれか、又は40で表されるアミノ酸配列を含み、かつ長さが30のアミノ酸以下のペプチド(以下「(b)のペプチド」ともいう)を含む。アミノ酸の長さは、好ましくは、10〜30であり、より好ましくは、15〜25である。
本発明のペプチドは、配列番号1〜9のいずれか、又は40で表されるアミノ酸配列において、1以上6以下のアミノ酸が置換、欠失もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、マイオスタチンの活性を選択的に阻害するペプチド(以下「(c)のペプチド」ともいう)を含む。
ここで、配列番号1〜9のいずれか、又は40で表されるアミノ酸配列において、1以上6以下のアミノ酸が置換、欠失もしくは付加されたとは、同一配列中の任意かつ一もしくは複数のアミノ酸配列中の位置において、1以上6以下(好ましくは1以上5以下、より好ましくは1以上3以下、更に好ましくは1又は2)のアミノ酸残基の置換、欠失もしくは付加があることを意味し、置換、欠失もしくは付加が同時に生じてもよい。配列番号1〜9のいずれか、又は40で表されるアミノ酸配列において、1以上6以下のアミノ酸残基が置換、欠失もしくは付加されたアミノ酸配列としては、例えば、(1)配列番号1〜9のいずれか、又は40で表されるアミノ酸配列中の1以上6以下(好ましくは1以上5以下、より好ましくは1以上3以下、更に好ましくは1又は2)のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、(2)配列番号1〜9のいずれか、又は40で表されるアミノ酸配列に1以上6以下(好ましくは1以上5以下、より好ましくは1以上3以下、更に好ましくは1又は2)のアミノ酸が付加されたアミノ酸配列、(3)配列番号1〜9のいずれか、又は40で表されるアミノ酸配列中の1以上6以下(好ましくは1以上5以下、より好ましくは1以上3以下、更に好ましくは1又は2)のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、または(4)上記(1)〜(3)の変異が組み合わされたアミノ酸配列(この場合、変異したアミノ酸の総和が1以上6以下(好ましくは1以上5以下、より好ましくは1以上3以下、更に好ましくは1又は2))が挙げられる。
置換または付加されるアミノ酸としては、通常のアミノ酸(例えば、蛋白質を構成するアミノ酸として知られる20種類のL-アミノ酸、即ちL−アラニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−アルギニン、L−グルタミン、L−グルタミン酸、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リジン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−セリン、L−スレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリンおよびL−システインが挙げられるが、これに限定されるものではなく、例えば、tert-ロイシン、ノルロイシン、ノルバリン、2−アミノブタン酸、O−メチルセリン、t−ブチルグリシン、t−ブチルアラニン、シクロヘキシルアラニン、イソアスパラギン酸、イソグルタミン酸、2−アミノアジピン酸、2−アミノスベリン酸、オルニチン、2,4−ジアミノブタン酸、2,3−ジアミノプロピオン酸、3−ヒドロキシプロリン、4−ヒドロキシプロリン、ホモセリン等の他のアミノ酸、および天然由来のアミノ酸)とともに、異常アミノ酸(例えば、天然等から得られる場合もあるが、化学合成により創出することができるアミノ酸やペプチド合成に用いられる保護基や蛍光基、側鎖にアミンや窒素があればアシル化、スルホン化、リン酸化などされたアミノ酸、側鎖にカルボキシル基があればエステル化、アミド化、還元されたアミノ酸、側鎖に水酸基があればエーテル化、リン酸化、硫酸化されたあるいはハロゲンやニトロ基に置換されたアミノ酸、他の官能基を有するアミノ酸で、例示すれば、アミノアルキルカルボン酸、アミノイソブタン酸に代表される様なαアルキルアミノ酸、ピリジン等のヘテロ環を側鎖に有するアミノ酸、モノおよび多置換βアミノ酸、アミノ基とカルボキシル基を置換基に有する複素環化合物、アミノシクロヘキサンやアミノフリル酢酸の様なアミンとカルボン酸を置換基に有する環状化合物、アミノフェニル酢酸等のアミノ酸、インドール環が修飾されたトリプトファン誘導体、イミダゾール環が修飾されたヒスチジン誘導体、β−ハロアラニン、ハロアルキルアラニン、環状アミンの炭素部分にカルボキシル基やカルボン酸を有するアミノ酸、トラネキサム酸、レボドバ、メチルドパ、メルファラン、バクロフェン)、または両方を含有することも可能である。
上記(c)のペプチドにおいて、付加は、ペプチドのいずれかの末端または両末端に位置することも可能であるし、あるいはペプチドのアミノ酸配列の内部領域内に位置することも可能である。
また、上記(b)のペプチドにおいて、欠失は、ペプチドの一方の末端または両方の末端での、あるいはペプチドのアミノ酸配列内の1以上の残基の除去により達成することも可能である。
また、上記(c)のペプチドには、配列番号1〜9のいずれか、又は40で表されるアミノ酸配列からなるペプチドの置換変異体も含まれる。これらの変異体は、活性の向上または生体酵素に対する安定性を向上させうるものであれば何でも良いが、置換変異体には、1以上のアミノ酸残基が除去され、そして1以上の別のアミノ酸と交換されているペプチドが含まれ、交換するアミノ酸は、天然存在または非天然存在であることも可能である。置換変異体は、2つの分子が、特定の割合で同一アミノ酸を有する点で、元来のペプチドに「類似」であるペプチドを生成する。置換の数は、ペプチドのアミノ酸の20パーセントまでであることも可能である。
さらに、変異体としては各アミノ酸残基の保存的な構造変化による配列を含む。例えばロイシンからイソロイシンやセリンからスレオニン、グルタミンからグルタミン酸、アスパラギンからアスパラギン酸、リジンからアルギニンなどである。
関連ペプチドの同一性および類似性は、既知の方法によって容易に計算可能である。こうした方法には、Computational Molecular Biology, Lesk, A.M.監修, Oxford University Press, ニューヨーク(1988);Biocomputing:Informatics and Genome Projects, Smith, D.W.監修, Academic Press, ニューヨーク(1993);Computer Analysis of Sequence Data, Part 1, Griffin, A.M.およびGriffin, H.G.監修, Humana Press, ニュージャージー(1994);Sequence Analysis in Molecular Biology, von Heinje, G., Academic Press(1987);Sequence Analysis Primer, Gribskov, M.およびDevereux, J.監修, M. Stockton Press, ニューヨーク(1991);およびCarilloら, SIAM J. Applied Math., 48:1073(1988)に記載されるものが含まれるが、これらに限定されない。
本発明の一つの側面において、上記(c)のペプチドは、配列番号1〜9のいずれか、又は40で表されるアミノ酸配列において、マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が32位のアラニンが置換されたアミノ酸配列からなるペプチドである。ここで、32位のアラニンを置換するアミノ酸としては、好ましくは、フェニルアラニン、ホモフェニルアラニン、ヒスチジン又はチロシンから選択される。
本発明の一つの側面において、上記(c)のペプチドは、配列番号1〜9のいずれか、又は40で表されるアミノ酸配列において、マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が31位のグルタミン酸が置換されたアミノ酸配列からなるペプチドである。ここで、31位のグルタミン酸を置換するアミノ酸としては、好ましくはα−アミノイソブタン酸である。
本発明の一つの側面において、上記(c)のペプチドは、配列番号1〜9のいずれか、又は40で表されるアミノ酸配列において、マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が40位のリジンが置換されたアミノ酸配列からなるペプチドである。ここで、40位のリジンを置換するアミノ酸としては、好ましくはα−アミノイソブタン酸である。
本発明の一つの側面において、上記(c)のペプチドは、配列番号1〜9のいずれか、又は40で表されるアミノ酸配列において、マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が27位のチロシンが置換されたアミノ酸配列からなるペプチドである。ここで、27位のチロシンを置換するアミノ酸としては、好ましくはフェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン又はアルギニンから選択される。
本発明の一つの側面において、上記(c)のペプチドは、配列番号1〜9のいずれか、又は40で表されるアミノ酸配列において、マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が22、23、24、28、31、34、36、39、40、42位のいずれか1以上のアミノ酸が置換されたアミノ酸配列からなるペプチドである。また、好ましい側面において、上記(c)のペプチドは、配列番号1〜9のいずれか、又は40で表されるアミノ酸配列において、マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が22、23、24、28、31、34、36、39、40、42のいずれか1以上のアミノ酸がアラニンにより置換されたアミノ酸配列からなるペプチドである。
本発明の一つの側面において、上記(c)のペプチドは、配列番号1〜9のいずれか、又は40で表されるアミノ酸配列において、マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が21位のトリプトファンが置換されたアミノ酸配列からなるペプチドである。ここで、21位のトリプトファンは、好ましくは炭素数がC1〜C10の脂肪鎖、又は、芳香族環及び/又は複素環を有するカルボン酸又はアミノ酸により置換される。
脂肪鎖は飽和鎖、不飽和鎖、鎖状、環状のものであって良く、さらに分岐鎖構造を取っていても良い。また、脂肪鎖は、C5以下のアルコキシ鎖、アミノ基、置換アミノ基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基、置換カルバモイル基、アミド基、置換アミド基、グアジノ基、ニトロ基、スルホン酸基、スルホンアミド、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)などの置換基を有していてもよい。
芳香族環及び/又は複素環を有するカルボン酸においては、炭素数C1〜C4の脂肪鎖カルボン酸を有する芳香族環および複素環で、芳香族環はC12以下の炭素数であり、複素環は、酸素、窒素、イオウ原子を環内に含むもので、ヘテロ原子の数が4個以下で炭素数8以下のものを指す。これらの環には置換基数0〜3の置換基があっても良く、置換基としては、それぞれC6以下の脂肪鎖、C5以下のアルコキシ鎖、アミノ基、置換アミノ基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基、置換カルバモイル基、アミド基、置換アミド基、グアジノ基、ニトロ基、スルホン酸基、スルホンアミド、ハロゲンなどである。置換基は、原子6以下からなる。
炭素数がC1〜C10の脂肪鎖、又は、芳香族環及び/又は複素環を有するカルボン酸としては、好ましくは、1−アダマンタン酢酸、テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸、3−(2−フルオロフェニル)−プロピオン酸、3−(3−フルオロフェニル)−プロピオン酸又は3−(4−フルオロフェニル)−プロピオン酸が挙げられる。また、炭素数がC1〜C10の脂肪鎖、又は、芳香族環及び/又は複素環を有するアミノ酸としては、好ましくは、アセチル−L−トリプトファンである。
本発明の一つの側面において、上記(c)のペプチドは、配列番号1〜9、40のいずれかで表されるアミノ酸配列において、マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が30,33、35、37のいずれか1以上のイソロイシンが置換されたアミノ酸配列からなるペプチドである。ここで、イソロイシンを置換するアミノ酸としては、好ましくは、ロイシン又はノルロイシンである。2以上のイソロイシンを置換する場合は、いずれもロイシンにより置換してもよく、いずれもノルロイシンにより置換してもよく、あるいは、ロイシンとノルロイシンにより置換してもよい。
本発明の一つの側面において、上記(c)のペプチドは、配列番号1〜9、40のいずれかで表されるアミノ酸配列において、マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が43のロイシンが置換されたアミノ酸配列からなるペプチドである。ここで、ロイシンを置換するアミノ酸としては、好ましくは、イソロイシン又はノルロイシンである。
本発明のもう一つの側面において、上記(c)のペプチドは、配列番号1〜9のいずれか、又は40で表されるアミノ酸配列において、以下の少なくとも1つの置換:
(1)マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が32位のアラニンがフェニルアラニン、ホモフェニルアラニン、ヒスチジン又はチロシンにより置換;
(2)マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が31のグルタミン酸がα−アミノイソブタン酸により置換;
(3)マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が40のリジンがα−アミノイソブタン酸により置換;
(4)マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が27のチロシンがフェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン又はアルギニンにより置換;
(5)マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が22、23、24、28、31、34、36、39、40、42のいずれか1以上のアミノ酸が別のアミノ酸により置換:
(6)マウス由来マイオスタチンプロドメインのN端からの番号が21のトリプトファンが、嵩高い脂肪鎖構造又は芳香族環で置換されたカルボン酸又はアミノ酸により置換:
(7)マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が30,33、35、37のいずれか1以上のイソロイシンが、夫々、ロイシン又はノルロイシンにより置換;
(8)マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が43のロイシンがイソロイシン又はノルロイシンにより置換;
されたアミノ酸配列からなるペプチドである。
本発明の更に一つの側面において、前記(c)のペプチドは、配列番号10〜48で表されるアミノ酸配列からなるペプチドである。
本発明のペプチドには、上記(a)〜(c)のいずれかのペプチドの誘導体も含まれる(以下「(d)のペプチド」ともいう。)。本明細書において、用語「誘導体」は、マイオスタチンへの結合能を保持する、アミノ酸残基への挿入、アミノ酸残基の欠失、または置換以外の、またはこれらに加えた修飾を指す。具体的には、上記(a)〜(c)のいずれかのペプチドに対する任意のタイプの分子の共有結合によって化学的に修飾されたペプチド、又は上記(a)〜(c)のいずれかのペプチドを含むFc融合タンパク質である。
好ましくは、誘導体を生じるために本発明のペプチドに行う修飾は、共有性であり、そして例えば、ポリマー、脂質、他の有機部分、および無機部分との化学的結合が含まれる。
一方、本発明のペプチドは二次構造としてα−へリックスを有するペプチドであり、マイオスタチンの阻害活性の強化には、本発明のペプチドのα−へリックス性をさらに強化した誘導体や生体内酵素により分解され難い構造へ変換した誘導体も本発明に包含される。前者には、アミノ酸配置として、i, i+4 位等に塩橋を形成した誘導体、ジスルフィド結合、炭素−炭素結合などにより、外側を架橋した誘導体を含んでも良い。例えば、塩橋を形成した誘導体としては、配列番号7があげられる。更に、生体内酵素により分解され易い構造を改善した誘導体も含まれる。
その典型的な誘導体は、活性の向上または生体酵素に対する安定性を向上させうるものであれば何でも良いが、特に以下のような化合物が含まれる:
1.N末端が誘導体化されている。典型的には、N末端は、(1)C1〜C20の脂肪酸で修飾可能であり、脂肪酸としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルアルケニル基、アルアルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、さらにp−フルオロベンゾイルなどの安息香酸誘導体、アリールおよびヘテロアリールカルボン酸などを含み、(2)カルボン酸を含む核酸やビタミンの誘導体で修飾されているもので、例えばオロチン酸や5-フルオロオロチン酸などを含み、(3)ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、またはポリプロピレングリコールなどでPEG化、糖化されているものなどを含み、(4)ペプチド合成に一般的に使用される保護基(例えば、Boc基、Z基など)やカルバメート誘導体で修飾されているものなどを含み、(5)アミノ酸から容易に誘導されるカルボン酸(例えば、ピログルタミン酸、モロタン酸など)で修飾されているものなどを含み、さらに(7)ベンゼンスルホン酸などのスルホン酸誘導体、リン酸誘導体、さらに、C1〜C20の炭化水素基で修飾可能であり。さらにそれらがN端のアミノ基を含んで環状構造を形成していても良い。
典型的なN末端誘導基には、アセチル、プロピオニル、カプロイル、パルミトイル、ベンゾイル、置換ベンゾイル、オキサゾールカルボキシル、イミダゾールカルボキシル、オロチニル、5−フルオロオロチニル、乳酸、ピルビン酸、グルコン酸、ターシャリーブチルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、ピログルタミル、エチル、ジメチル、アセトアミドメチル、ベンゼンスルホニル、アミノ基自体が変換されたピペリジノ、モルホリノ、ピペラジノ、イミダゾリノ、チソゾリジノ、ピロジニノ基が含まれる。
2.C末端が誘導体化されている。典型的には、C末端はアミド化(例えば、エチルアミド等のアルキルアミド)あるいはエステル化されている。アミドおよびエステルのアミン部およびアルコール部は、活性の向上または生体酵素に対する安定性を向上させうるものであれば何でも良いが、一般にC0からC10の炭素数を含むもので良く、その中に、酸素、窒素、硫黄、ハロゲンなどが含まれるアミンおよびアルコールで良い。アルコールには、多価アルコール、糖、エーテル構造を含むアルコールなども含まれる。また、アミンには生体アミン、アミノ酸から容易に誘導されるアミンにより修飾されることも可能である。典型的なC末端誘導体基には、エチルアミド、イソプロピルアミド、ベンジルアミド、シアノエチルアミド、エチルエステル、イソプロピルエステル、ベンジルエステル、グルコース等が含まれる。また、体内動態の改善に寄与する末端に水酸基やアミノ基を有するポリエチレングリコール類似体がエステル結合やアミド結合で結合していても良く、当該ポリエチレングリコールの炭素数は4〜20で、ポリエチレングリコール基の反対側の末端は、アルキル基など水酸基の保護に使われる一般的な保護基で修飾されていても良い。ポリエチレングリコール類似体には、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどが含まれる。
本発明の一つの側面において、(d)のペプチド((a)〜(c)のいずれかのペプチドの誘導体)は、下記式(I):
−X−R (I)で表されるペプチドである。
式(I)中、Rは、水素原子、アシル基、スルホニル基、炭化水素基を表す。
がアシル基の場合は、種々のカルボン酸から誘導されるアシル基が含まれる。すなわち、脂肪鎖を有するカルボン酸、芳香族環および複素環を有するカルボン酸から誘導されるアシル基である。また、アシル基には、アミノ酸誘導体、フリーのアシル基を有するビタミンおよびビタミン誘導体、フリーのアシル基を有する核酸塩基誘導体よりなる群の中から選ばれたアシル基も含まれる。
脂肪鎖を有するカルボン酸においては、その炭素数がC1〜C10であって、脂肪鎖は飽和鎖、不飽和鎖、鎖状、環状のものであって良く、さらに分岐鎖構造を取っていても良い。また、脂肪鎖は、C5以下のアルコキシ鎖、アミノ基、置換アミノ基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基、置換カルバモイル基、アミド基、置換アミド基、グアジノ基、ニトロ基、スルホン酸基、スルホンアミド、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)などの置換基を有していてもよい。また、脂肪鎖は、複数の酸素原子を有するC4〜C15のポリエーテル鎖であっても良い。
芳香族環および複素環を有するカルボン酸においては、炭素数C1〜C4の脂肪鎖カルボン酸を有する芳香族環および複素環で、芳香族環はC12以下の炭素数であり、複素環は、酸素、窒素、イオウ原子を環内に含むもので、ヘテロ原子の数が4個以下で炭素数8以下のものを指す。これらの環には置換基数0〜3の置換基があっても良く、置換基としては、それぞれC6以下の脂肪鎖、C5以下のアルコキシ鎖、アミノ基、置換アミノ基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基、置換カルバモイル基、アミド基、置換アミド基、グアジノ基、ニトロ基、スルホン酸基、スルホンアミド、ハロゲンなどである。置換基は、原子6以下からなる。
ヘテロ環がインドール誘導体である場合の芳香族環および複素環を有するカルボン酸から誘導されるアシル基としては、種々のインドール環が挙げられるが、以下の式(1)で表されるアシル基が挙げられる。
Figure 2014119753


式中、Rは、水素原子、アルキル基又はO−アルキル基であり、好ましくは、水素原子、低級アルキル基又は低級O−アルキル基であり;Rは、水素原子、アルキル基、脂肪鎖スルホキシル基又は芳香族スルホキシル基であり、好ましくは、水素原子又は低級アルキル基であり;Rは、水素原子、アルキル基又はO−アルキル基であり、好ましくは、水素原子、低級アルキル基又は低級O−アルキル基である。式(1)において、各々のRは同じであっても異なっていてもよい。また、qは0〜3の整数である。
のアシル基として用いられるビタミンおよびビタミン誘導体はとくに限定されない。例えば、ニコチン酸、p−パントテン酸、ビオチン、プテロイルグルタミン酸、オロチン酸、フルオロオロチン酸、リポ酸、5−ピリドキシン酸、ビオチンp−,L−スルホキシド、ビオチンスルホン、ビオシチン、プテロイン酸、10−ホルミルプテロイン酸、7,8−ジヒドロ葉酸、(−)L−H,葉酸、ホモプロテイン酸、6−カルボキシプテリン、ジヒドロリポ酸、ハイドロオロチン酸などが挙げられる。
さらに、式(I)における核酸の塩基またはその誘導体とは、一般にヌクレオチドを構成する塩基成分およびその誘導体を指すが、好ましくはピリミジン誘導体等、例えば5−カルボキシメチルウラシル、5−カルボキシチオウラシル等を例示することができる。
がスルホニル基である場合は、上記アシル基で説明したのと同等であり、スルホニル基には、アシル基のカルボニル構造をスルホン構造に変換した構造を有するものが含まれる。
が炭化水素基である場合は、その炭素数がC1〜C10であって、炭化水素鎖は飽和鎖、不飽和鎖、鎖状、環状のものであって良く、さらに分岐鎖構造を取ってもよい。芳香族環および複素環を有する炭化水素基においては、炭素数C0〜C3の炭化水素鎖を有する芳香族環および複素環で、芳香族環はC12以下の炭素数であり、複素環は、酸素、窒素、イオウ原子を環内に含むもので、ヘテロ原子の数が4個以下で炭素数8以下のものを指す。これらの環には置換基数0〜3の置換基があっても良く、置換基としては、それぞれC6以下の脂肪鎖、C5以下のアルコキシ鎖、アミノ基、置換アミノ基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基、置換カルバモイル基、アミド基、置換アミド基、グアジノ基、ニトロ基、スルホン酸基、スルホンアミド、ハロゲンなどである。置換基は、原子6以下からなる。
として、例えば、アセチル、プロピオニル、カプロイル、パルミトイル、ベンゾイル、置換ベンゾイル、オキサゾールカルボキシル、イミダゾールカルボキシル、オロチニル、5−フルオロオロチニル、ラクチル、ピルビル、グルコリル又はピログルタミル、ターシャリーブチルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、エチル、ジメチル、アセトアミドメチル、ベンゼンスルホニル、アミノ基自体が変換されたピペリジノ、モルホリノ、ピペラジノ、イミダゾリノ、チソゾリジノ又はピロジニノが挙げられるが、これらに限定されない。
は、水素原子、アルコキシ基、ポリエチレングリコール類似基、炭化水素基、アミン基を表す。
がアルコキシ基を有するエステル構造では、その炭素数がC1〜C18であって、炭化水素部分は飽和鎖、不飽和鎖、鎖状、環状のものであって良く、さらに分岐鎖構造を取っていても良い。芳香族環および複素環を有する炭化水素部分においては、炭素数C0〜C4の炭化水素鎖を有する芳香族環および複素環で、芳香族環はC12以下の炭素数であり、複素環は、酸素、窒素、イオウ原子を環内に含むもので、ヘテロ原子の数が4個以下で炭素数8以下のものを指す。これらの環には置換基数0〜3の置換基があっても良く、置換基としては、それぞれC6以下の炭化水素鎖、C5以下のアルコキシ鎖、アミノ基、置換アミノ基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基、置換カルバモイル基、アミド基、置換アミド基、グアジノ基、ニトロ基、スルホン酸基、スルホンアミド、ハロゲンなどである。置換基は、原子6以下からなる。
がポリエチレングリコール類似基を有するエステルまたはアミドの構造では、体内動態の改善に寄与する、末端に水酸基やアミノ基を有するポリエチレングリコールがエステル結合やアミド結合で結合していても良く、当該ポリエチレングリコールの炭素数は4〜20で、ポリエチレングリコール基の反対側の末端は、アルキル基など水酸基の保護に使われる一般的な保護基で修飾されていても良い。
が炭化水素基を有するケトン構造においても、アルコキシ基と同様に定義される。
がアミン基においては、その窒素上の置換基が、水素、炭化水素基又はアミン基であって、どちらも窒素原子上の一方または両方にあっても良い。
炭化水素基は、炭素数がC1〜C18であって、炭化水素部分は飽和鎖、不飽和鎖、鎖状、環状のものであって良く、さらに分岐鎖構造を取っていても良い。芳香族環および複素環を有する炭化水素部分においては、炭素数C0〜C4の炭化水素鎖を有する芳香族環および複素環で、芳香族環はC12以下の炭素数であり、複素環は、酸素、窒素、イオウ原子を環内に含むもので、ヘテロ原子の数が4個以下で炭素数8以下のものを指す。これらの環には置換基数0〜3の置換基があっても良く、置換基としては、それぞれC6以下の炭化水素鎖、C5以下のアルコキシ鎖、アミノ基、置換アミノ基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基、置換カルバモイル基、アミド基、置換アミド基、グアジノ基、ニトロ基、スルホン酸基、スルホンアミド、ハロゲンなどである。置換基は、原子6以下からなる。
アミン基は、アミノ基(ヒドラジンとなる)や置換アミノ基であって、置換基としては水素、炭化水素基であって、どちらも窒素原子上の一方または両方にあっても良い。炭化水素基は、炭素数がC1〜C18であって、炭化水素部分は飽和鎖、不飽和鎖、鎖状、環状のものであって良く、さらに分岐鎖構造を取っていても良い。芳香族環および複素環を有する炭化水素部分においては、炭素数C0〜C4の炭化水素鎖を有する芳香族環および複素環で、芳香族環はC12以下の炭素数であり、複素環は、酸素、窒素、イオウ原子を環内に含むもので、ヘテロ原子の数が4個以下で炭素数8以下のものを指す。これらの環には置換基数0〜3の置換基があっても良く、置換基としては、それぞれC6以下の炭化水素鎖、C5以下のアルコキシ鎖、アミノ基、置換アミノ基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基、置換カルバモイル基、アミド基、置換アミド基、グアジノ基、ニトロ基、スルホン酸基、スルホンアミド、ハロゲンなどである。置換基は、原子6以下からなる。
として、例えば、水素原子、エチルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ベンジルアミノ基、シアノエチルアミノ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ベンジルオキシ基又は、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グルコシル基が挙げられるが、これらに限定されない。
Xは前記(a)〜(c)のいずれかに記載のペプチドのペプチド残基又は、当該ペプチド残基の両末端又は片末端の1つのアミノ酸残基が削除されたペプチド残基を表す。)で表されるペプチドである。
上記(a)〜(c)のいずれかのペプチドを含むFc融合タンパク質は、(a)〜(c)のいずれかのペプチドのN末端または/およびC末端にFcを付加したものである。ここで、Fcは、抗体の非抗原結合断片で、具体的にはヒトの免疫グロブリン等に由来するヒト完全Fcが例示される。他のタンパク質又はペプチドとしては、抗体、抗体の部分であるポリペプチドのフラグメントが挙げられる。これら抗体又はポリペプチドのフラグメントは、例えばグリコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、公知の保護基/遮断基による誘導体化、タンパク分解性切断、細胞リガンド又はその他のタンパク質に対する結合、その他によって化学的に修飾してもよい。
本発明のペプチドは、化学合成、タンパク質の消化、または組換え技術を含む、当該技術分野に知られる方法のいずれかによって調製することが可能である。マイオスタチンに結合可能なペプチドを生成するには、ファージディスプレイおよびRNA−ペプチド・スクリーニング、および他のアフィニティースクリーニング技術が特に有用である。
本発明のペプチドを化学合成により調製するには、各アミノ酸をペプチド化学において通常用いられる方法、例えば、「ザ ペプチド(The Peptides)」第1巻〔Schroder and Luhke著, Academic Press, New York, U.S.A.(1966年)〕、「ペプチド合成の基礎と実験」〔泉屋信夫ら著丸善(株)(1985年)〕等に記載されている方法によって製造することが可能であり、液相法及び固相法のいずれによっても製造できる。さらに、カラム法、バッチ法のいずれの方法も用いることができる。
ペプチド結合を形成するための縮合方法として、アジド法、酸ハライド法、酸無水物法、カルボジイミド法、カルボジイミド−アディティブ法、活性エステル法、カルボニルイミダゾール法、酸化還元法、酵素法、ウッドワード試薬K、HATU試薬、Bop試薬を用いる方法等を例示することができる。なお、固相法での縮合反応は上記した方法のうち、酸無水物法、カルボジイミド法、及び活性エステル法が主な方法として挙げられる。
さらに、固相法でペプチド鎖を延長するときは、C末端アミノ酸を用いる有機溶媒に対して不溶な樹脂等の支持体に結合する。ここでは、アミノ酸を樹脂に結合させる目的で官能基を導入した樹脂や、樹脂と官能基の間にスペーサーを挿入したもの、更に条件によって種々の箇所で切断できるハンドル(handle)と称する鎖を導入した樹脂を目的に応じて用いることもできる。このような樹脂としては、例えば、クロロメチル樹脂などのハロメチル樹脂、オキシメチル樹脂、4−(オキシメチル)−フェニルアセトアミドメチル樹脂、4−(オキシメチル)−フェノキシメチル樹脂、C末端アミド化用樹脂などを挙げることができる。なお、これらの縮合反応を行なう前に、通常公知の手段によって当該縮合反応に関与しないカルボキシル基やアミノ基や水酸基やアミジノ基等の保護手段を施すことができる。また逆に当該縮合反応に直接関与するカルボキシル基やアミノ基を活性化することもできる。
各ユニットの縮合反応に関与しない官能基の保護手段に用いる保護基としては有機化学において通常用いられている保護基、例えば、「プロテクティブ グループス イン オーガニック シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)〔Greene著、John Wiley & Sons, Inc.(1981年)〕等に記載されている保護基によって保護することが可能である。
カルボキシル基の保護基としては、例えば、各種のメチルエステル、エチルエステル、ベンジルエステル、p−ニトロベンジルエステル、t−ブチルエステル、シクロヘキシルエステル等の通常公知の保護基を挙げることができる。アミノ基の保護基としては、例えば、ベンジルオキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、イソボルニルオキシカルボニル基、9−フルオレニルメトキシカルボニル基等を挙げることができる。
カルボキシル基の活性化されたものとしては、例えば、当該カルボキシル基に対応する酸無水物;アジド;ペンタフルオロフェノール、2,4−ジニトロフェノール、シアノメチルアルコール、p−ニトロフェノール、N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシミド、N−ヒドロキシフタルイミド、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール等との活性エステル等を挙げられる。
アミノ基の活性化されたものとしては、当該アミノ基に対応する燐酸アミド等を挙げることができる。ペプチド合成の際の縮合反応は、通常溶媒中で行なわれる。当該溶媒としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ピリジン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン、水、メタノール等、または、これらの混合物を挙げることができる。また、当該縮合反応の反応温度は、通常の場合と同様に、−30℃〜50℃の範囲で行なうことができる。
さらに、本発明のペプチドの製造工程における保護基の脱離反応の種類は、ペプチド結合に影響を与えずに保護基を離脱させることができる限りにおいて、用いる保護基の種類に応じて選択することができる。例えば、塩化水素、臭化水素、無水フッ化水素、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、またはこれらの混合物等による酸処理、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ヒドラジン、ジエチルアミン、ピペリジン等によるアルカリ処理、液体アンモニア中におけるナトリウム処理やパラジウム炭素による還元及び、トリメチルシリルトリフラート、トリメチルシリルブロマイド等のシリル化処理等が挙げられる。なお、上記の酸またはシリル化剤処理による脱保護基反応においては、アニソール、フェノール、クレゾール、チオアニソール、エタンジチオールの如きカチオン補足剤を添加するのが、脱保護基反応が効率的に実行されるという点において好ましい。
なお、固相法で合成した本発明のペプチドの固相からの切断方法も通常公知の方法に従う。例えば、上記の酸またはシリル化剤による処理等を当該切断方法として挙げることができる。このようにして製造された本発明のペプチドに対しては、上記の一連の反応の終了後に通常公知の分離、精製手段を駆使することができる。例えば、抽出、分配、再沈澱、再結晶、カラムクロマトグラフィー等によって、より純粋なかたちで本発明のペプチドを収得することができる。
また、ファージディスプレイ技術は、例えば、各々、本明細書に援用される、Scottら, Science 249:386(1990);Devlinら, Science 249:404(1990);米国特許第5,223,409号、1993年6月29日発行;米国特許第5,733,731号、1998年3月31日発行;米国特許第5,498,530号、1996年3月12日発行;米国特許第5,432,018号、1995年7月11日発行;米国特許第5,338,665号、1994年8月16日発行;米国特許第5,922,545号、1999年7月13日発行;WO 96/40987、1996年12月19日公開;およびWO 98/15833、1998年4月16日公開に記載される。ファージライブラリーを用いて、繊維状ファージのコートタンパク質との融合によって、ランダムペプチド配列をディスプレイする。
本発明のペプチドを調製する他の方法には、当該技術分野に知られるさらなるアフィニティー選択技術が含まれる。ペプチドライブラリーをlacリプレッサーのカルボキシル末端で融合させて、そして大腸菌(E. coli)で発現させることも可能である。大腸菌に基づく別の方法は、ペプチドグリカン会合リポタンパク質(PAL)との融合によって、細胞の外膜上でのディスプレイを可能にする。本明細書において、これ以降、これらの方法および関連法を、まとめて「大腸菌ディスプレイ」と称する。別の方法において、リボソーム放出前にランダムRNAの翻訳を停止して、会合するRNAがまだ付着したポリペプチドのライブラリーを生じる。
本発明のペプチドの薬学的に許容される塩としては、例えば、酸付加塩、金属塩、有機塩基付加塩等が挙げられる。酸付加塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸塩および酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩等の有機酸塩が挙げられる。金属塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛塩等が挙げられる。有機塩基付加塩としては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、アニリン等の一級アミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、ピペラジン等の二級アミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン等の三級アミン等とで形成される塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
本発明のペプチドまたはその薬学的に許容される塩は単離又は精製されていることが好ましい。「単離又は精製」とは、目的とする成分以外の成分を除去する操作が施されていることを意味する。単離又は精製された本発明のペプチドまたはその薬学的に許容される塩の純度(ペプチドまたはその薬学的に許容される塩の全重量に対する、本発明のペプチドまたはその薬学的に許容される塩の重量の割合)は、通常50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上(例えば100%)である。
ペプチドの活性
本発明のペプチドまたはその薬学的に許容される塩は、マイオスタチンに結合し、そしてターゲットとされた細胞内のマイオスタチンシグナル伝達を遮断するかまたは阻害する。
本発明のペプチドまたはその薬学的に許容される塩は、好ましくはヒトマイオスタチンに結合し、そしてターゲットとされた細胞内のマイオスタチンシグナル伝達を遮断するかまたは阻害する。
本発明のペプチドまたはその薬学的に許容される塩のマイオスタチンに結合し、そしてマイオスタチン活性を阻害するかまたは遮断する能力を決定するには、いかなる種類のアッセイまたは動物試験を用いることが可能である。本発明のペプチドを性質決定するのに用いられるいくつかのアッセイを、以下の実施例に記載する。
1つのアッセイは、レポーターアッセイであり、該アッセイは、マイオスタチンシグナルに応答するレポーター(ルシフェラーゼ)遺伝子を細胞内に導入し、0.1%血清含有培地での培養後、マイオスタチン添加時のレポーター活性(発光量)を測定するものである
以下に記載する第二のアッセイは、ウエスタンブロットによるマイオスタチンシグナル活性評価であり、該評価法は、0.1%血清含有培地での培養後にマイオスタチンを添加し、細胞ライセートをポリアクリルアミドゲル電気泳動法(SDS-PAGE)により分子量の大きさで分離したゲルをPVDF(ポリフッ化ビニリデン)膜へ電気的に転写し、リン酸化Smad-2を認識する一次抗体、更に一次抗体認識抗体(二次抗体)を添加してSmad-2のリン酸化(マイオスタチンシグナル活性化)量をバンドとして検出・測定するものである。
医薬組成物
本発明のもう一つの態様は、上記(a)〜(d)から選択されるいずれかのペプチドまたはその薬学的に許容される塩を含む、マイオスタチン関連障害を治療するための医薬組成物である。
本発明の医薬組成物は、有効投与量を対象に投与することによって、対象におけるマイオスタチンの量または活性を減少させることができる。1つの側面において、本発明は、対象においてマイオスタチン関連障害を治療する方法および医薬組成物であって、該対象に1以上のペプチドまたはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物の有効投与量を投与することを含むものを提供する。
本発明の医薬組成物を投与する対象には、魚類を含む動物が挙げられるが、好ましくはヒト、及びマウス、牛、ブタ、馬(競走馬を含む)、家禽などの産業上有用な哺乳・鳥類などの動物が含まれる。
これらのマイオスタチン関連障害には、限定されるわけではないが、筋萎縮の多様な型とともに、糖尿病および関連障害などの代謝障害、並びに骨粗しょう症などの骨変性疾患が含まれる。筋萎縮障害には、デュシェンヌ筋ジストロフィー、進行性筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、デジェリン・ランドゥジー筋ジストロフィー、エルブ筋ジストロフィー、および小児神経軸索筋ジストロフィーなどのジストロフィーが含まれる。
また、本発明の医薬組成物は、通常歩行に障害をもつ老人を対象とした局所投与による前脛骨筋の強化にも有効である。前脛骨筋を強化するのみでも足関節の背屈が容易になり、転倒防止に繋がる。
また、本発明の医薬組成物は、廃用性筋萎縮も対象となり得る。たとえば、宇宙飛行士による筋力低下は、姿勢保持や歩行を担う筋肉で特に著しい。宇宙滞在時の継続的な局所投与を実施できれば、帰還後のリハビリ期間短縮等に貢献できる。
また、本発明の医薬組成物は、封入体筋炎(IBM)も対象となり得る。
更に、本発明の医薬組成物の全身投与の対象として、寝たきり患者の廃用性筋萎縮や老年症候群のサルコペニアが挙げられる。
さらなる筋萎縮障害は、筋萎縮性側索硬化症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、癌、AIDS、腎不全、および関節リウマチなどの慢性疾患から生じる。例えば、マイオスタチンを全身投与することによって、無胸腺ヌードマウスにおいて、悪液質または筋萎縮および体重減少が誘導された(Zimmersら)。したがって、本発明の医薬組成物は、筋肉の萎縮を伴う悪液質の改善に利用できる。
さらに、マイオスタチンレベルを減少させることによって、筋量を増加させると、骨強度が改善され、そして骨粗しょう症および他の変性骨疾患を減少させることも可能である。例えば、マイオスタチン欠損マウスが、マウス上腕骨のミネラル含量および密度の増加、並びに筋が付着する領域の、骨梁部および皮質骨両方のミネラル含量の増加とともに筋量の増加を示すことが見出された(Hamrickら、 Calcif Tissue Int 71(1):63−8(2002))。
本発明はまた、動物に上記(a)〜(d)から選択されるいずれかのペプチドまたはその薬学的に許容される塩を含むマイオスタチン結合剤の有効投薬量を投与することによって、食用動物における筋量を増加させる方法および試薬も提供する。
成熟C末端マイオスタチン・ポリペプチドは、試験した全ての種で高度に保存されているため、マイオスタチン結合剤は、ウシ、ニワトリ、七面鳥、およびブタを含む、農業的に重要な種のいずれにおいても、筋量を増加させ、そして脂肪を減少させるのに有効であると期待される。
本発明の医薬組成物は、本明細書に記載するような、療法的または予防的に有効な量のペプチドまたはその薬学的に許容される塩を、医薬的に許容しうる剤と組み合わせて含む。好ましい態様において、医薬組成物は、医薬的に許容しうる剤と混合された、マイオスタチンを部分的または完全に阻害するアンタゴニスト結合剤を含む。典型的には、マイオスタチン結合剤は、対象に投与するため、十分に精製されているであろう。
本発明の医薬組成物は、例えば組成物のpH、浸透圧、粘性、透明度、色、等張性、におい、無菌性、安定性、溶解速度または放出速度、吸着または浸透を修飾するか、維持するか、または保存する配合物質を含有することも可能である。適切な配合物質には、限定されるわけではないが、アミノ酸(グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンまたはリジンなど);抗菌剤;酸化防止剤(アスコルビン酸、亜硫酸ナトリウムまたは亜硫酸水素ナトリウムなど);緩衝剤(ホウ酸塩、重炭酸塩、Tris−HCl、クエン酸塩、リン酸塩、他の有機酸など);充填剤(bulking agent)(マンニトールまたはグリシンなど)、キレート剤(エチレンジアミン四酢酸(EDTA)など);錯化剤(カフェイン、ポリビニルピロリドン、ベータ−シクロデキストリンまたはヒドロキシプロピル−ベータ−シクロデキストリンなど);増量剤(filler);単糖;二糖および他の炭水化物(グルコース、マンノース、またはデキストリン類など);タンパク質(血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリンなど);着色剤;フレーバー剤および希釈剤;乳化剤;親水性ポリマー(ポリビニルピロリドンなど);低分子量ポリペプチド;塩形成対イオン(ナトリウムなど);保存剤(塩化ベンザルコニウム、安息香酸、サリチル酸、チメロサール、フェネチルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロルヘキシジン、ソルビン酸または過酸化水素);溶媒(グリセリン、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールなど);糖アルコール(マンニトールまたはソルビトールなど);懸濁剤;界面活性剤または湿潤剤(プルロニック、PEG、ソルビタンエステル、ポリソルベート20、ポリソルベート80などのポリソルベート、トリトン、トロメタミン、レシチン、コレステロール、チロキサパル(tyloxapal));安定性増進剤(スクロースまたはソルビトール);等張化増進剤(tonicity enhancing agent)(アルカリ金属ハロゲン化物(好ましくは塩化ナトリウムまたは塩化カリウム)、マンニトールソルビトール);搬送ビヒクル;希釈剤;賦形剤および/または薬剤佐剤が含まれる(Remington’s Pharmaceutical Sciences, 第18版, A.R. Gennaro監修, Mack Publishing Company, 1990)。
最適な医薬組成物は、例えば、意図される投与経路、搬送形式、および望ましい投薬量に応じて、当業者によって決定されるであろう。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、上記を参照されたい。こうした組成物は、結合剤の物理的状態、安定性、in vivo放出速度、およびin vivoクリアランス速度に影響を及ぼしうる。
医薬組成物中の主なビヒクルまたはキャリアーは、水性または非水性いずれであることも可能である。例えば、適切なビヒクルまたはキャリアーは、注射用水、生理学的食塩水溶液または人工的脳脊髄液であって、場合によって非経口投与用の組成物に一般的な他の物質が補充されているものであることも可能である。中性緩衝生理食塩水または血清アルブミンと混合された生理食塩水が、さらなる典型的なビヒクルである。他の典型的な薬剤組成物は、約pH7.0〜8.5のTris緩衝液、または約pH4.0〜5.5の酢酸緩衝液を含み、これらはさらにソルビトールまたはひいては適切な代用物を含むことも可能である。本発明の1つの態様において、結合剤組成物は、凍結乾燥ケークまたは水性溶液の形で、場合による配合剤(Remington’s Pharmaceutical Sciences、上記)と、望ましい度合いの純度を有する選択した組成物を混合することによって、保存用の結合剤組成物を調製することも可能である。さらに、スクロースなどの適切な賦形剤を用いて、結合剤産物を凍結乾燥物として配合することも可能である。
医薬組成物を非経口搬送用に選択することも可能である。あるいは、吸入または経腸搬送のため、例えば経口、耳、眼、直腸、または膣搬送のため、組成物を選択することも可能である。こうした薬学的に許容しうる組成物は、当該技術分野の技術範囲内である。
また、本発明の医薬組成物は、徐放系で投与することができる。徐放組成物の好適な例は、造形品の形態の半透ポリマー材料、例えばフィルムまたはマイクロカプセルを含む。徐放性材料は、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号、EP58,481)、L−グルタミン酸とγ−エチル−L−グルタミン酸エステルのコポリマー(Sidman, U. et al., Biopolymers 22:547-556 (1983))、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)(R. Langer et al., J. Biomed. Mater. Res. 15:167-277 (1981)、およびR. Langer, Chem. Tech. 12:98-105 (1982))、エチレンビニルアセテート(R. Langer et al., Id.)またはポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸(EP 133,988)を含む。徐放医薬組成物は、リポソームに封入した化合物を含んでいてもよい。リポソーム含有医薬組成物は、自体公知の方法:E 3,218,121; Epstein et al., Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 82:3688-3692 (1985); Hwang et al., Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 77:4030-4034 (1980); EP52,322;EP36,676;EP88,046;EP143,949;EP142,641;日本特許出願第83−118008号;米国特許第4,485,045号および第4,544,545号;ならびにEP102,324によって製造される。通常は、リポソームは、約30モルパーセントのコレステロール以上の脂質含有量であり、選択された割合は最適な治療のために調節される、小さな(約200〜800オングストローム)単層型のものである。また、本医薬組成物は、局所投与としてイオントフォレシスにより経皮的に導入することも可能である。さらに、口腔、鼻腔、咽頭、気管および肺に対しては吸入による導入が可能である。一方、全身および局所投与よる部位選択的な送達においては、バブルリポソームと超音波の組合せによる導入も可能である。
本発明の医薬組成物においてペプチド又はその薬学的許容される塩は、投与部位に許容されうる濃度で存在する。例えば、緩衝液を用いて、組成物を生理学的pHまたはわずかに低いpH、典型的には約5〜約8のpH範囲内に、組成物を維持する。
以下の実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(1)マイオスタチンのプロドメインの活性阻害中心の同定
マイオスタチン前駆体のN末端に相当するプロドメインの、C末端成熟マイオスタチンへの阻害作用について、その活性阻害中心を同定するために、図1で示すようにプロドメイン各領域と免疫グロブリンFc融合蛋白質発現プラスミドを構築した。
次に、図2に示すように、マイオスタチンの細胞内エフェクターであるSmad2/3認識配列[(CAGA)12]の下流にルシフェラーゼ遺伝子を組み込んだレポータープラスミドとプロドメイン−Fc融合蛋白質発現プラスミドをヒト腎芽細胞に共発現させた。培地へのリコンビナントマイオスタチン刺激によって転写阻害活性をアッセイした。
プロドメイン−Fc融合蛋白質共発現によるマイオスタチン活性阻害中心の探索をした結果を図3A及び図3Bに示す。プロドメイン各領域(1〜8)のうち、110アミノ酸残基からなるProd−2は、262アミノ酸残基からなるプロドメイン全長(Prod−1)より高い阻害活性を示した。このProd−2から約70%の阻害活性を示すProd−7(29アミノ酸残基)を絞り込んだ。
(2)合成ペプチド添加によるマイオスタチン活性阻害の検討
次に、Prod−7に相当するペプチド(Prod−7ペプチド)と、コントロールとして、Prod−7のアミノ酸逆配列のペプチド(Rev.Prod−7ペプチド)を化学合成してマイオスタチン活性を比較した。図4で示すように、合成ペプチドの培地への添加は、最終1μMの濃度でマイオスタチン活性を80%阻害した。
(3)種々の合成ペプチドのマイオスタチン活性阻害の比較
Prod−7ペプチドと、種々の合成ペプチド(合成方法は後述する各実施例に記載した)について、マイオスタチン阻害活性を測定した結果を図5に示す。各々最終1μMの合成ペプチドを培地に添加した。ここで、ペプチド0は配列番号1で表されるペプチドであり、Prod−7ペプチドに対して、N末端の1残基、及びC末端の1残基を削った配列を有する。図5で示すように、ペプチド1はProd−7ペプチドと、ほぼ同等のマイオスタチン阻害活性を示した。
以下の配列番号を有するペプチドを実施例及び参考例において合成した。
Figure 2014119753


Figure 2014119753


Figure 2014119753


mMPS:マウス由来マイオスタチンプロドメインの部分ペプチド
( )内は、プロドメインのN末端からの番号
hMPS:ヒト由来マイオスタチンプロドメインの部分ペプチド
mMPS(26-41)mut:α−へリックスを破壊した部分ペプチド
Human/mouse TGFβ3 precursor (30-53):mMPS(20-43)に相当するヒト/マウス由来TGFβ3部分ペプチド
[実施例2]
ペプチド1の合成
AWRQNTRYSRIEAIKIQILSKLRL-NH2(ペプチド1)
配列番号2を有するペプチド1を以下に示すFmoc固相ペプチド合成法により合成した。
Rinkアミド樹脂(0.47mmol/g、渡辺化学工業株式会社)100mg(0.047mmol)を固相合成用反応容器に量りとり、ジメチルホルムアミド(DMF)溶液中室温で2時間静置し樹脂を膨潤させた後、20%ピペリジン/DMF溶液(3mL)中室温で20分間反応させることで樹脂上の保護基Fmoc(9−フルオレニルメチオキシカルボニル)基を除去した。DMF(3mL)で10回樹脂を洗浄し、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)22mg(0.141mmol、3eq.)、N,N−ジイソプロピルカルボジイミド(DIPCD)0.023mL(0.141mmol、3eq.)存在下Fmoc−Leu−OH48mg(0.141mmol、3eq.)を室温で2時間DMF中反応させ樹脂上にアミノ酸を導入した。次のアミノ酸を縮合させるため、20%ピペリジン/DMF溶液(3mL)中20分間反応させることで樹脂上のFmoc基を除去した。以下、Fmoc−Leu−OHの場合と同様にして順次C末端側からFmoc−Arg(Pbf)−OH(91mg、0.141mmol、3eq.)、Fmoc−Leu−OH(48mg、0.141mmol、3eq.)、Fmoc−Lys(Boc)−OH(66mg、0.141mmol、3eq.)、Fmoc−Ser(tBu)−OH(91mg、0.141mmol、3eq.)、Fmoc−Leu−OH(48mg、0.141mmol、3eq.)、Fmoc−Ile−OH(48mg、0.141mmol、3eq.)、Fmoc−Gln(Trt)−OH(86mg、0.141mmol、3eq.)、Fmoc−Ile−OH(48mg、0.141mmol、3eq.)、Fmoc−Lys(Boc)−OH(66mg、0.141mmol、3eq.)、Fmoc−Ile−OH(48mg、0.141mmol、3eq.)、Fmoc−Ala−OH(44mg、0.141mmol、3eq.)、Fmoc−Glu(OtBu)−OH(60mg、0.141mmol、3eq.)、Fmoc−Ile−OH(48mg、0.141mmol、3eq.)、Fmoc−Arg(Pbf)−OH(91mg、0.141mmol、3eq.)、Fmoc−Ser(tBu)−OH(91mg、0.141mmol、3eq.)、Fmoc−Tyr(tBu)−OH(64mg、0.141mmol、3eq.)、Fmoc−Asn(Trt)−OH(84mg、0.141mmol、3eq.)、Fmoc−Gln(Trt)−OH(86mg、0.141mmol、3eq.)、Fmoc−Arg(Pbf)−OH(91mg、0.141mmol、3eq.)、Fmoc−Trp(Boc)−OH(74mg、0.141mmol、3eq.)、Fmoc−Ala−OH(44mg、0.141mmol、3eq.)を導入しペプチド鎖を伸長させた。20%ピペリジン/DMF溶液(3mL)中20分間反応させることでN末端のFmoc基を除去し、DMF(3mL、10回)、メタノール(3mL、5回)、クロロホルム(3mL、5回)の順に洗浄し樹脂を乾燥させた。側鎖保護基の除去及び脱樹脂のため、m−クレゾール(0.125mL)、チオアニソール(0.125mL)、1,2−エタンジチオール(0.050mL)存在下トリフルオロ酢酸(TFA)5.0mL中2時間反応させた。ガラスフィルター付きロートを用いてろ過することで樹脂を除去した後、ロータリーエバポレーターによりTFAを減圧留去し、ジエチルエーテル100mLを加えて粗精製ペプチドを析出させた。粗精製ペプチドを1M酢酸に溶解し、高速液体クロマトグラフィーを用いて精製することにより、白色固体を得た(15.3mg、0.0038mmol、8.1%)。
HRMS(ES+) calcd for (M3++3H) 986.2442, found 986.2116.
[実施例3]
ペプチド2の合成
NTRYSRIEAIKIQILSKLRLETA-NH2(ペプチド2)
配列番号3を有するペプチド2をRinkアミド樹脂(0.47mmol/g、渡辺化学工業株式会社)50mg(0.024mmol)を用いて実施例2と同様の手法により合成及び精製した(16.1mg、0.0045mmol、19%)。
HRMS(ES+)calcd for(M5++5H)543.9262,found 543.9313.
[実施例4]
ペプチド3の合成
SRIEAIKIQILSKLRLETA-NH2(ペプチド3)
配列番号4を有するペプチド3をRinkアミド樹脂(0.47mmol/g、渡辺化学工業株式会社)50mg(0.024mmol)を用いて実施例2と同様の手法により合成及び精製した(12.6mg、0.0044mmol、19%)。
HRMS(ES+)calcd for(M5++5H)437.2657,found 437.2602.
[実施例5]
ペプチド4の合成
NTRYSRIEAIKIQILSKLRL-NH2(ペプチド4)
配列番号5を有するペプチド4はRinkアミド樹脂(0.55mmol/g、渡辺化学工業株式会社)100mg(0.055mmol)を用いて実施例2と同様の手法により合成及び精製した(8.8mg、0.0029mmol、5.4%)。
HRMS(ES+)calcd for(M3++3H)805.4960,found 805.4984.
[実施例6]
ペプチド11の合成
WRQNTRYSRIEAIKIQILSKLRL-NH2(ペプチド11)
配列番号6を有するペプチド11はRinkアミド樹脂(0.55mmol/g、渡辺化学工業株式会社)100mg(0.055mmol)を用いて実施例2と同様の手法により合成及び精製した(14.1mg、0.0040mmol、7.2%)。
HRMS(ES+)calcd for(M5++5H)577.7485,found 577.7549.
[実施例7]
ペプチド12の合成
AWRQNTRYSRIEAIKIEILSKLRL-NH2(ペプチド12)
配列番号7を有するペプチド12はRinkアミド樹脂(0.55mmol/g、渡辺化学工業株式会社)100mg(0.055mmol)を用いて実施例2と同様の手法により合成及び精製した(10.8mg、0.00264mmol、9.6%)。
HRMS(ES+)calcd for(M3++3H)986.2494,found 986.2457.
[実施例8]
ペプチド13の合成
AWRQNTRYSRIEAIKIQILSKLR-NH2(ペプチド13)
配列番号8を有するペプチド13はRinkアミド樹脂(0.55mmol/g、渡辺化学工業株式会社)100mg(0.055mmol)を用いて実施例2と同様の手法により合成及び精製した(6.7mg、0.0018mmol、3.3%)。
HRMS(ES+)calcd for(M4++4H)711.422,found 711.4211.
[実施例9]
ペプチド14の合成
AWRQNTRYSRIEAIKIQILSKL-NH2(ペプチド14)
配列番号9を有するペプチド14はRinkアミド樹脂(0.55mmol/g、渡辺化学工業株式会社)100mg(0.055mmol)を用いて実施例2と同様の手法により合成及び精製した(9.5mg、0.0026mmol、4.7%)。
HRMS(ES+)calcd for(M3++3H)896.1930,found 896.1958.
[実施例10]
ペプチド15の合成
WAQNTRYSRIEAIKIQILSKLRL-NH2(ペプチド15)
配列番号10を有するペプチド15はTentaGel S RAM樹脂 (0.25mmol/g、渡辺化学工業株式会社)100mg(0.025mmol)を用いて実施例2と同様の手法により合成及び精製した(4.7mg、0.0016mmol、5.5%)。
HRMS(ES+)calcd for(M4++4H)700.6677,found 700.6661.
[実施例11]
ペプチド16の合成
WRANTRYSRIEAIKIQILSKLRL-NH2(ペプチド16)
配列番号11を有するペプチド16はTentaGel S RAM樹脂 (0.25mmol/g、渡辺化学工業株式会社)100mg(0.025mmol)を用いて実施例2と同様の手法により合成及び精製した(4.7mg、0.0013mmol、5.3%)。
HRMS(ES+)calcd for(M5++5H)566.3442,found 566.3473.
[実施例12]
ペプチド17の合成
WRQATRYSRIEAIKIQILSKLRL-NH2(ペプチド17)
配列番号12を有するペプチド17はTentaGel S RAM樹脂 (0.25mmol/g、渡辺化学工業株式会社)100mg(0.025mmol)を用いて実施例2と同様の手法により合成及び精製した(4.8mg、0.0014mmol、6.2%)。
HRMS(ES+)calcd for(M4++4H)711.1823,found 711.1854.
[実施例13]
ペプチド18の合成
WRQNARYSRIEAIKIQILSKLRL-NH2(ペプチド18)
配列番号13を有するペプチド18はTentaGel S RAM樹脂 (0.25mmol/g、渡辺化学工業株式会社)100mg(0.025mmol)を用いて実施例2と同様の手法により合成及び精製した(2.2mg、0.00062mmol、2.5%)。
HRMS(ES+)calcd for(M4++4H)714.4311,found 714.4288.
[実施例14]
ペプチド19の合成
WRQNTAYSRIEAIKIQILSKLRL-NH2(ペプチド19)
配列番号14を有するペプチド19はRinkアミド樹脂(0.55mmol/g、渡辺化学工業株式会社)80mg(0.044mmol)を用いて実施例2と同様の手法により合成及び精製した(4.6mg、0.0014mmol、3.1%)。
HRMS(ES+)calcd for(M4++4H)702.9259,found 702.9250.
[実施例15]
ペプチド20の合成
WRQNTRASRIEAIKIQILSKLRL-NH2(ペプチド20)
配列番号15を有するペプチド20はRinkアミド樹脂(0.55mmol/g、渡辺化学工業株式会社)80mg(0.044mmol)を用いて実施例2と同様の手法により合成及び精製した(16.6mg、0.0048mmol、10.8%)。
HRMS(ES+)calcd for(M4++4H)698.9272,found 698.9250.
[実施例16]
ペプチド21の合成
WRQNTRYARIEAIKIQILSKLRL-NH2(ペプチド21)
配列番号16を有するペプチド21はRinkアミド樹脂(0.55mmol/g、渡辺化学工業株式会社)80mg(0.044mmol)を用いて実施例2と同様の手法により合成及び精製した(35.1mg、0.0099mmol、21.4%)。
HRMS(ES+)calcd for(M5++5H)574.5496,found 574.5444.
[実施例17]
ペプチド22の合成
WRQNTRYSRIAAIKIQILSKLRL-NH2(ペプチド22)
配列番号17を有するペプチド22はRinkアミド樹脂(0.55mmol/g、渡辺化学工業株式会社)80mg(0.044mmol)を用いて実施例2と同様の手法により合成及び精製した(27.7mg、0.0079mmol、17.0%)。
HRMS(ES+)calcd for(M5++5H)566.1475,found 566.1432.
[実施例18]
ペプチド23の合成
WRQNTRYSRIEAIAIQILSKLRL-NH2(ペプチド23)
配列番号18を有するペプチド23はTentaGel S RAM樹脂 (0.25mmol/g、渡辺化学工業株式会社)100mg(0.025mmol)を用いて実施例2と同様の手法により合成及び精製した(14.0mg、0.0041mmol、16.9%)。
HRMS(ES+)calcd for(M4++4H)707.6693,found 707.6689.
[実施例19]
ペプチド24の合成
WRQNTRYSRIEAIKIAILSKLRL-NH2(ペプチド24)
配列番号19を有するペプチド24はTentaGel S RAM樹脂 (0.25mmol/g、渡辺化学工業株式会社)100mg(0.025mmol)を用いて実施例2と同様の手法により合成及び精製した(19.2mg、0.0055mmol、22.7%)。
HRMS(ES+)calcd for(M5++5H)566.3442,found 566.3425.
[実施例20]
ペプチド25の合成
WRQNTRYSRIEAIKIQILAKLRL-NH2(ペプチド25)
配列番号20を有するペプチド25はTentaGel S RAM樹脂 (0.25mmol/g、渡辺化学工業株式会社)100mg(0.025mmol)を用いて実施例2と同様の手法により合成及び精製した(7.9mg、0.0022mmol、11.1%)。
HRMS(ES+)calcd for(M5++5H)574.5496,found 574.5496.
[実施例21]
ペプチド26の合成
WRQNTRYSRIEAIKIQILSALRL-NH2(ペプチド26)
配列番号21を有するペプチド26はTentaGel S RAM樹脂 (0.25mmol/g、渡辺化学工業株式会社)100mg(0.025mmol)を用いて実施例2と同様の手法により合成及び精製した(3.2mg、0.00094mmol、3.8%)。
HRMS(ES+)calcd for(M3++3H)943.2331,found 943.2232.
[実施例22]
ペプチド27の合成
WRQNTRYSRIEAIKIQILSKARL-NH2(ペプチド27)
配列番号22を有するペプチド27はRinkアミド樹脂(0.55mmol/g、渡辺化学工業株式会社)81.5mg(0.045mmol)を用いて実施例2と同様の手法により合成及び精製した(18.1mg、0.0051mmol、11.4%)。
HRMS(ES+)calcd for(M4++4H)711.4220,found 711.4183.
[実施例23]
ペプチド28の合成
WRQNTRYSRIEAIKIQILSKLAL-NH2(ペプチド28)
配列番号23を有するペプチド28はRinkアミド樹脂(0.55mmol/g、渡辺化学工業株式会社)81.5mg(0.045mmol)を用いて実施例2と同様の手法により合成及び精製した(28.8mg、0.0085mmol、19.1%)。
HRMS(ES+)calcd for(M4++4H)700.6677,found 700.6633.
[実施例24]
ペプチド29の合成
WRQNTRYSRIEAIKIQILSKLRA-NH2(ペプチド29)
配列番号24を有するペプチド29はRinkアミド樹脂(0.55mmol/g、渡辺化学工業株式会社)81.5mg(0.045mmol)を用いて実施例2と同様の手法により合成及び精製した(31.2mg、0.0088mmol、19.7%)。
HRMS(ES+)calcd for(M5++5H)569.3391,found 569.3355.
[実施例25]
ペプチド30の合成
WRQNTRYSRIEAIKIQILSKLRA-NH2(ペプチド30)
配列番号25を有するペプチド30はTentaGel S RAM樹脂 (0.25mmol/g、渡辺化学工業株式会社)55mg(0.014mmol)を用いて実施例2と同様の手法により合成及び精製した(6.0mg、0.0017mmol、12.3%)。
HRMS(ES+)calcd for(M4++4H)717.9350,found 717.9410.
[実施例26]
ペプチド31の合成
WRQNTRWSRIEAIKIQILSKLRL-NH2(ペプチド31)
配列番号26を有するペプチド31はTentaGel S RAM樹脂 (0.25mmol/g、渡辺化学工業株式会社)55mg(0.014mmol)を用いて実施例2と同様の手法により合成及び精製した(5.6mg、0.0016mmol、11.3%)。
HRMS(ES+)calcd for(M4++4H)727.6877,found 727.6931.
[実施例27]
ペプチド32の合成
WRQNTRYSRIEFIKIQILSKLRL-NH2(ペプチド32)
配列番号27を有するペプチド32はRinkアミド樹脂(0.58mmol/g、渡辺化学工業株式会社)35mg(0.020mmol)を用いて実施例2と同様の手法により合成及び精製した(18.2mg、0.005mmol、24.6%)。
HRMS(ES+)calcd for(M5++5H)592.9548,found 592.9555.
[実施例28]
ペプチド33の合成
WRQNTRYSRIEYIKIQILSKLRL-NH2(ペプチド33)
配列番号28を有するペプチド33はRinkアミド樹脂(0.58mmol/g、渡辺化学工業株式会社)35mg(0.020mmol)を用いて実施例2と同様の手法により合成及び精製した(16.0mg、0.0044mmol、21.5%)。
HRMS(ES+)calcd for(M5++5H)596.1537,found 596.1620.
[実施例29]
ペプチド34の合成
WRQNTRYSRIEWIKIQILSKLRL-NH2(ペプチド34)
配列番号29を有するペプチド34はRinkアミド樹脂(0.58mmol/g、渡辺化学工業株式会社)35mg(0.020mmol)を用いて実施例2と同様の手法により合成及び精製した(22.5mg、0.0061mmol、30.1%)。
HRMS(ES+)calcd for(M5++5H)600.7570,found 600.7562.
[実施例30]
ペプチド35の合成
WRQNTRYSRIEHIKIQILSKLRL-NH2(ペプチド35)
配列番号30を有するペプチド35はRinkアミド樹脂(0.58mmol/g、渡辺化学工業株式会社)35mg(0.020mmol)を用いて実施例2と同様の手法により合成及び精製した(13.8mg、0.0038mmol、18.7%)。
HRMS(ES+)calcd for(M5++5H)590.9529,found 590.9570.
[実施例31]
ペプチド36の合成
WRQNTRYSRIEXIKIQILSKLRL-NH2、X=ホモフェニルアラニン(ペプチド36)
配列番号31を有するペプチド36はRinkアミド樹脂(0.58mmol/g、渡辺化学工業株式会社)35mg(0.020mmol)を用いて実施例2と同様の手法により合成及び精製した(19.3mg、0.0053mmol、26.0%)。
HRMS(ES+)calcd for(M5++5H)595.7579,found 595.7608.
[実施例32]
ペプチド37の合成
WRQNTRYSRIXAIKIQILSKLRL-NH2、X=α−アミノイソブタン酸(ペプチド37)
配列番号32を有するペプチド37はRinkアミド樹脂(0.58mmol/g、渡辺化学工業株式会社)35mg(0.020mmol)を用いて実施例2と同様の手法により合成及び精製した(9.7mg、0.0028mmol、14.0%)。
HRMS(ES+)calcd for(M5++5H)568.9506,found 568.9470.
[実施例33]
ペプチド38の合成
WRQNTRYSRIEAIKIQILSXLRL-NH2、X=α−アミノイソブタン酸(ペプチド38)
配列番号33を有するペプチド38はRinkアミド樹脂(0.58mmol/g、渡辺化学工業株式会社)35mg(0.020mmol)を用いて実施例2と同様の手法により合成及び精製した(27.5mg、0.0081mmol、39.7%)。
HRMS(ES+)calcd for(M4++4H)711.1732,found 711.1719.
[実施例34]
ペプチド39の合成
XRQNTRYSRIEAIKIQILSKLRL-NH2、X=1−アダマンタン酢酸(ペプチド39)
配列番号34を有するペプチド39はRinkアミド樹脂(0.58mmol/g、渡辺化学工業株式会社)35mg(0.020mmol)を用いて実施例2と同様の手法により合成及び精製した(4.2mg、0.0012mmol、5.8%)。
HRMS(ES+)calcd for(M5++5H)575.7567,found 575.7684.
[実施例35]
ペプチド40の合成
XRQNTRYSRIEAIKIQILSKLRL-NH2、X=テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸(ペプチド40)
配列番号35を有するペプチド40はRinkアミド樹脂(0.58mmol/g、渡辺化学工業株式会社)35mg(0.020mmol)を用いて実施例2と同様の手法により合成及び精製した(3.1mg、0.00088mmol、4.3%)。
HRMS(ES+)calcd for(M5++5H)572.3464,found 572.3454.
[実施例36]
ペプチド41の合成
XRQNTRYSRIEAIKIQILSKLRL-NH2、X=3−(2−フルオロフェニル)−プロピオン酸(ペプチド41)
配列番号36を有するペプチド41はRinkアミド樹脂(0.58mmol/g、渡辺化学工業株式会社)35mg(0.020mmol)を用いて実施例2と同様の手法により合成及び精製した(6.5mg、0.0018mmol、9.1%)。
HRMS(ES+)calcd for(M5++5H)570.5423,found 570.5367.
[実施例37]
ペプチド42の合成
XRQNTRYSRIEAIKIQILSKLRL-NH2、X=3−(3−フルオロフェニル)−プロピオン酸(ペプチド42)
配列番号37を有するペプチド42はRinkアミド樹脂(0.58mmol/g、渡辺化学工業株式会社)35mg(0.020mmol)を用いて実施例2と同様の手法により合成及び精製した(4.4mg、0.0012mmol、6.1%)。
HRMS(ES+)calcd for(M5++5H)570.5423,found 570.5423.
[実施例38]
ペプチド43の合成
XRQNTRYSRIEAIKIQILSKLRL-NH2、X=3−(4−フルオロフェニル)−プロピオン酸(ペプチド43)
配列番号38を有するペプチド43はRinkアミド樹脂(0.58mmol/g、渡辺化学工業株式会社)35mg(0.020mmol)を用いて実施例2と同様の手法により合成及び精製した(6.5mg、0.0018mmol、9.1%)。
HRMS(ES+)calcd for(M5++5H)570.5423,found 570.5455.
[実施例39]
ペプチド44の合成
XRQNTRYSRIEAIKIQILSKLRL-NH2、X=アセチル−L−トリプトファン(ペプチド44)
配列番号39を有するペプチド44はRinkアミド樹脂(0.58mmol/g、渡辺化学工業株式会社)35mg(0.020mmol)を用いて実施例2と同様の手法により合成及び精製した(12.0mg、0.0033mmol、16.4%)。
HRMS(ES+)calcd for(M5++5H)586.1506,found 586.1483.
[実施例40]
ペプチド45の合成
WRTRYSRIEAIKIQILSKLRL-NH2(ペプチド45)
配列番号40を有するペプチド45はRinkアミド樹脂(0.58mmol/g、渡辺化学工業株式会社)35mg(0.020mmol)を用いて実施例2と同様の手法により合成及び精製した(15.6mg、0.0047mmol、23.1%)。
HRMS(ES+)calcd for(M5++5H)529.3282,found 529.3278.
[実施例41]
ペプチド46の合成
WRTRYSRIEAIKIQILSKLRL-OH(ペプチド46)
配列番号41を有するペプチド46はWang樹脂(0.73mmol/g、渡辺化学工業株式会社)30mg(0.0219mmol)を用いて実施例2と同様の手法により合成及び精製した(10.4mg、0.0029mmol、13.2%)。
HRMS(ES+)calcd for(M5++5H)577.9453,found 577.9456.
[実施例42]
ペプチド47の合成
WRQNTRYSRIEAIKIQIISKIRI-NH2(ペプチド47)
配列番号42を有するペプチド47はRinkアミド樹脂(0.58mmol/g、渡辺化学工業株式会社)35mg(0.020mmol)を用いて実施例2と同様の手法により合成及び精製した(10.4mg、0.0020mmol、10.0%)。
HRMS(ES+)calcd for(M5++5H)577.7485,found 577.7452.
[実施例43]
WRQNTRYSRIEAIKIQIXSKXRX-NH2、X=ノルロイシン(ペプチド48)
配列番号43を有するペプチド48はRinkアミド樹脂(0.58mmol/g、渡辺化学工業株式会社)35mg(0.020mmol)を用いて実施例2と同様の手法により合成及び精製した(15.5mg、0.0043mmol、21.7%)。
HRMS(ES+)calcd for(M5++5H)577.7485,found 577.7516.
[実施例44]
WRQNTRYSRLEALKIQILSKLRL-NH2(ペプチド49)
配列番号44を有するペプチド49はRinkアミド樹脂(0.58mmol/g、渡辺化学工業株式会社)35mg(0.020mmol)を用いて実施例2と同様の手法により合成及び精製した(15.0mg、0.0042mmol、21.0%)。
HRMS(ES+)calcd for(M5++5H)577.7485,found 577.7452.
[実施例45]
WRQNTRYSRIEAIKLQLLSKLRL-NH2(ペプチド50)
配列番号45を有するペプチド50はRinkアミド樹脂(0.58mmol/g、渡辺化学工業株式会社)35mg(0.020mmol)を用いて実施例2と同様の手法により合成及び精製した(19.3mg、0.0054mmol、27.0%)。
HRMS(ES+)calcd for(M5++5H)577.7485,found 577.7500.
[実施例46]
WRQNTRYSRXEAXKIQILSKLRL-NH2、X=ノルロイシン(ペプチド51)
配列番号46を有するペプチド51はRinkアミド樹脂(0.58mmol/g、渡辺化学工業株式会社)35mg(0.020mmol)を用いて実施例2と同様の手法により合成及び精製した(17.6mg、0.0049mmol、24.7%)。
HRMS(ES+)calcd for(M5++5H)577.7485,found 577.7500.
[実施例47]
WRQNTRYSRIEAXKXQILSKLRL-NH2、X=ノルロイシン(ペプチド52)
配列番号47を有するペプチド52はRinkアミド樹脂(0.58mmol/g、渡辺化学工業株式会社)35mg(0.020mmol)を用いて実施例2と同様の手法により合成及び精製した(20.9mg、0.0059mmol、29.3%)。
HRMS(ES+)calcd for(M5++5H)577.7485,found 577.7520.
[実施例48]
WRQNTRYSRIEAIKXQXLSKLRL-NH2、X=ノルロイシン(ペプチド53)
配列番号48を有するペプチド53はRinkアミド樹脂(0.58mmol/g、渡辺化学工業株式会社)35mg(0.020mmol)を用いて実施例2と同様の手法により合成及び精製した(13.0mg、0.0036mmol、18.2%)。
HRMS(ES+)calcd for(M5++5H)577.7485,found 577.7421.
[実施例49]
ペプチド0の合成
AWRQNTRYSRIEAIKIQILSKLRLETA-NH2(ペプチド0)
配列番号1を有するペプチド0をRinkアミド樹脂(0.47mmol/g、渡辺化学工業株式会社)50mg(0.024mmol)を用いて実施例1と同様の手法により合成及び精製した(19.1mg、0.0048mmol、20.0%)。
HRMS(ES+)calcd for(M4++5H)652.1814,found 652.1826.
[実施例50]
In vitroレポーターアッセイによるペプチド1のマイオスタチン阻害活性評価
ペプチド1のマイオスタチン阻害活性評価は以下の手法により実施した。その結果を図6に示す。さらに、ペプチド1の濃度依存的なマイオスタチン阻害能を評価した結果を図7に示す。ペプチド1は30μMの濃度において顕著なマイオスタチン阻害活性を有し、4.1μMのIC50値を示した。
(1)細胞培養
ヒト肝がん由来HepG2細胞は、非必須アミノ酸(WAKO)、Penicillin/Streptomycin(WAKO)が添加された10%FBS DMEM(Nakalai tesque)培地を用いて、37℃、5%COインキュベータで培養した。
(2)in vitroレポーターアッセイ
24ウェル白色透明プレート(BDファルコン)にHepG2細胞を1ウェルたり7.5x10cells(500μL DMEM+10%FBS)播種し、24時間培養した。翌日1ウェルあたり0.05μg(CAGA)12−lucレポータープラスミド、及びインターナルコントロールとして0.01μg β−ガラクトシダーゼ発現プラスミド(pCH110、Pharmacia)をPEI(Polyscience,Inc.)の最終濃度が23μg/mLになるよう混合し、細胞培養液に添加した。この細胞を37℃、24時間培養したのち、細胞培養液をDMEM+0.1%FBSに交換して16時間培養した。ペプチド1はストック溶液として3mMになるようDMSOを用いて懸濁させ、−30℃で保存した。細胞に添加する1時間前にDMEM+0.1%FBS培地で最終濃度30μM(あるいは10μM、3μM、1μM)、マイオスタチン10ng/mLになるよう懸濁して37℃で1時間インキュベーションを行った後、細胞に添加して8時間刺激を行った。ポジティブコントロールとして用いたSmad−2リン酸化阻害剤SB−431542(Wako)はストック溶液として5mMになるようDMSOを用いて懸濁させ、−30℃で保存した。細胞に添加する1時間前にDMEM+0.1%FBS培地で最終濃度5μM、マイオスタチン10ng/mLになるよう懸濁して37℃で1時間インキュベーションを行った後、細胞に添加して8時間刺激を行った。刺激後アスピレーターで培養液を取り除き、細胞を1xPBSで洗浄したのち、1ウェルあたり100μLのLysis buffer(25mM Tris−phosphate(pH7.8)、2mM DTT、2mM CDTA、10%グリセロール、1%triton x−100)を加えて細胞を溶解した。溶解液を13000 rpmで10分間遠心し、上清30μLとルシフェラーゼ・アッセイ試薬(Promega)25μLを白色96wellプレート内で混合し、発光をCentro XS LB 960(Berthold)で検出してレポーターアッセイを行った。さらに上清50μLとβ−gal基質(200mMリン酸Buffer、2mMMgCl、100mM 2−ME、1.33mg/mL ONPG)50μLを白色透明96ウェルプレート(BDファルコン)で混合させ、37℃で1時間インキュベーションしたのち、420nmの吸光度をSunrise REMOTE(Wako)にて検出し、インターナルコントロールとした。
[実施例51]
In vitroレポーターアッセイによるペプチド2のマイオスタチン阻害活性評価
ペプチド2のマイオスタチン阻害活性は実施例50と同様の手法により評価した。その結果を図6に示す。またさらに、ペプチド2の濃度依存的なマイオスタチン阻害能を評価した結果を図8に示す。ペプチド2は30μMの濃度において比較的高いマイオスタチン阻害活性を有し、10μMの濃度においても若干の阻害活性を示した。
[実施例52]
In vitroレポーターアッセイによるペプチド3のマイオスタチン阻害活性評価
ペプチド3のマイオスタチン阻害活性は実施例50と同様の手法により評価した。その結果を図6に示す。さらに、ペプチド3の濃度依存的なマイオスタチン阻害能を評価した結果を図9に示す。ペプチド3は30μMの濃度において50%程度のマイオスタチン阻害活性を示した。
[実施例53]
In vitroレポーターアッセイによるペプチド4のマイオスタチン阻害活性評価
ペプチド4のマイオスタチン阻害活性は実施例50と同様の手法により評価した。その結果を図10に示す。ペプチド4は30μMの濃度において阻害活性を示した。
[実施例54]
In vitroレポーターアッセイによるペプチド13および14のマイオスタチン阻害活性評価
ペプチド13および14のマイオスタチン阻害活性は実施例50と同様の手法により評価した。その結果を図15に示す。ペプチド13および14は30μMの濃度において阻害活性を示した。
[実施例55]
In vitroレポーターアッセイによるペプチド15〜22のマイオスタチン阻害活性評価
ペプチド15〜22のマイオスタチン阻害活性は実施例50と同様の手法により評価した。その結果を図16に示す。ペプチド15〜22は30μMの濃度において阻害活性を示した。
[実施例56]
In vitroレポーターアッセイによるペプチド23〜29のマイオスタチン阻害活性評価
ペプチド23〜29のマイオスタチン阻害活性は実施例50と同様の手法により評価した。その結果を図17に示す。ペプチド23〜29は30μMの濃度において阻害活性を示した。
[実施例57]
In vitroレポーターアッセイによるペプチド30およびペプチド31のマイオスタチン阻害活性評価
ペプチド30およびペプチド31のマイオスタチン阻害活性は実施例50と同様の手法により評価した。その結果を図18に示す。両ペプチドは10μMの濃度において阻害活性を示した。
[実施例58]
In vitroレポーターアッセイによるペプチド32〜36のマイオスタチン阻害活性評価
ペプチド32〜36のマイオスタチン阻害活性は実施例50と同様の手法により評価した。その結果を図19に示す。ペプチド32〜36は10μMの濃度において阻害活性を示した。
[実施例59]
In vitroレポーターアッセイによるペプチド37およびペプチド38のマイオスタチン阻害活性評価
ペプチド37およびペプチド38のマイオスタチン阻害活性は実施例50と同様の手法により評価した。その結果を図20に示す。両ペプチドは10μMの濃度において阻害活性を示した。
[実施例60]
In vitroレポーターアッセイによるペプチド39〜44のマイオスタチン阻害活性評価
ペプチド39〜44のマイオスタチン阻害活性は実施例50と同様の手法により評価した。その結果を図21に示す。両ペプチドは10μMの濃度において阻害活性を示した。
[実施例61]
In vitroレポーターアッセイによるペプチド45のマイオスタチン阻害活性評価
ペプチド45のマイオスタチン阻害活性は実施例50と同様の手法により評価した。その結果を図22に示す。ペプチド45は10μMの濃度において阻害活性を示した。
[実施例62]
In vitroレポーターアッセイによるペプチド46のマイオスタチン阻害活性評価
ペプチド46のマイオスタチン阻害活性は実施例50と同様の手法により評価した。その結果を図23に示す。ペプチド46は30μMの濃度において阻害活性を示した。
[実施例63]
In vitroレポーターアッセイによるペプチド47〜53のマイオスタチン阻害活性評価
ペプチド47〜53のマイオスタチン阻害活性は実施例50と同様の手法により評価した。その結果を図24に示す。ペプチド47〜53は10μMの濃度において阻害活性を示した。
[実施例64]
ウエスタンブロットによるペプチド1のマイオスタチンシグナル阻害活性評価
ペプチド1のマイオスタチンシグナル阻害活性評価を以下の手法により実施した。その結果を図11に示す。ペプチド1は30μMの濃度において顕著にSmad−2のリン酸化を抑制したことから、高いマイオスタチンシグナル阻害活性を有することが明らかとなった。
(1)細胞培養
実施例50と同様の手法でHepG2細胞を培養した。
(2)ウエスタンブロット
12ウェル白色透明プレート(BDファルコン)にHepG2細胞を1ウェルたり1.5x10cells播種し24時間培養した。翌日細胞培養液をDMEM+0.1%FBSに交換して16時間培養した。ペプチド1は細胞に添加する1時間前にDMEM+0.1%FBS培地で最終濃度30μM、マイオスタチン10ng/mLになるよう混合して37℃で1時間インキュベーションを行った後、細胞に添加して1時間刺激した。SB−431542(Wako)は細胞に添加する1時間前にDMEM+0.1%FBS培地で最終濃度5μM、マイオスタチン10ng/mLになるよう懸濁して37℃で1時間インキュベーションを行った後、細胞に添加して1時間刺激をした。刺激後アスピレーターで培養液を取り除き、1xPBSで洗浄したのち、1ウェルあたり200μLのLysis buffer(10mM Tris−phosphate(pH7.4)、150mM NaCl、1mM EDTA、1% NP−40、40mM NaF、20mMピロリン酸ナトリウム、2mMオルトバナジウム酸ナトリウム、1mM PMSF、5μg/mL leupeptin、20units/mL aprotinin)を加えて細胞を溶解した。溶解液を13000 rpm、4℃で10分間遠心し、上清と等量の2x Sample Buffer(125mM Tris、4%SDS、20%グリセロール、200mg/mLブロモフェノールブルー、10% 2−ME)とを混合させ、98℃、5分加熱したのち、40μLを用いて8%アクリルアミドゲルにアプライしてSDS−pageを行った。分子量の大きさで分離させたゲルをPVDF膜(BD bioscience)に転写し、ウエスタンブロット解析を行った。抗体は、自家製ウサギリン酸化Smad2抗体(x2000)、マウス抗Smooth muscle actin抗体(Shigma)(x4000)、anti−Rabbit IgG−HRP(Amersham)(x10000)、anti−mouse IgG−HRP(Amersham)(x10000)を用い、HRPの発色はSuperSignal West Dura Extended Duration Substrate(Piece)を利用して、ImageQuant LAS4000(GEヘルスケア)にて検出した。
[実施例65]
ウエスタンブロットによるペプチド2のマイオスタチンシグナル阻害活性評価
ペプチド2のマイオスタチンシグナル阻害活性は実施例64と同様の手法により評価した。その結果を図11に示す。ペプチド2は30μMの濃度において明らかにSmad−2のリン酸化を抑制した。
[実施例66]
ウエスタンブロットによるペプチド3のマイオスタチンシグナル阻害活性評価
ペプチド3のマイオスタチンシグナル阻害活性は実施例64と同様の手法により評価した。その結果を図11に示す。ペプチド3は30μMの濃度においてSmad−2のリン酸化抑制活性を示した。
[実施例67]
In vitroレポーターアッセイによるペプチド1のTGF−β3阻害活性評価
ペプチド1のTGF−β3阻害活性評価は以下の手法により実施した。その結果を図12に示す。
ペプチド1は30μMの濃度においてTGF−β3を全く阻害しなかった。故に、ペプチド1のマイオスタチン阻害は選択的なものであると考えられる。
(1)細胞培養
実施例50と同様の手法でHepG2細胞を培養した。
(2)in vitroレポーターアッセイ
24ウェル白色透明プレート(BDファルコン)にHepG2細胞を1ウェルたり7.5x10 cells(500μL DMEM+10%FBS)播種し、24時間培養した。翌日1ウェルあたり0.05μg(CAGA)12−lucレポータープラスミド、及びインターナルコントロールとして0.01μg β−ガラクトシダーゼ発現プラスミド(pCH110、Pharmacia)をPEI(Polyscience,Inc.)の最終濃度が23μg/mLになるよう混合し、細胞培養液に添加した。この細胞を37℃、24時間培養したのち、細胞培養液をDMEM+0.1%FBSに交換して16時間培養した。ペプチド1はストック溶液として3mMになるようDMSOを用いて懸濁させ、−30℃で保存した。細胞に添加する1時間前にDMEM+0.1%FBS培地で最終濃度30μM、TGF−β3 5ng/mLになるよう懸濁して37℃で1時間インキュベーションを行った後、細胞に添加して8時間刺激を行った。ポジティブコントロールとして用いたSmad−2リン酸化阻害剤SB−431542(Wako)はストック溶液として5mMになるようDMSOを用いて懸濁させ、−30℃で保存した。細胞に添加する1時間前にDMEM+0.1%FBS培地で最終濃度5μM、TGF−β3 5ng/mLになるよう懸濁して37℃で1時間インキュベーションを行った後、細胞に添加して8時間刺激を行った。刺激後アスピレーターで培養液を取り除き、細胞を1xPBSで洗浄したのち、1ウェルあたり100μLのLysis buffer(25mM Tris−phosphate(pH7.8)、2mM DTT、2mM CDTA、10%グリセロール、1%triton x−100)を加えて細胞を溶解した。溶解液を13000rpmで10分間遠心し、上清30μLとルシフェラーゼ・アッセイ試薬(Promega)25μLを白色96wellプレート内で混合し、発光をCentro XS LB960(Berthold)で検出してレポーターアッセイを行った。さらに上清50μLとβ−gal基質(200mMリン酸Buffer、2mM MgCl、100mM 2−ME、1.33mg/mL ONPG)50μLを白色透明96ウェルプレート(BDファルコン)で混合させ、37℃で1時間インキュベーションしたのち、420nmの吸光度をSunrise REMOTE(Wako)にて検出し、インターナルコントロールとした。
[実施例68]
ペプチド1のC2C12筋芽細胞に及ぼす影響(in vitro評価)
ペプチド1の筋芽細胞におけるマイオスタチン阻害効果を検証するため以下の手法により評価を行った。
60mmディッシュ(BDファルコン)にC2C12細胞を2.0x10 cellsで播種し培養した。5%ウシ血清、5%ウマ血清にペプチド1が最終濃度30μM、マイオスタチン10ng/mLになるよう混合して37℃で24時培養した後、細胞を回収し、Total RNAを調整してcDNAを作製した。作製したcDNAと筋特異的遺伝子(MyogenineおよびMylpF)のプライマーをPCRにかけ遺伝子を増幅した(95℃、5min;95℃、30sec;62℃、45sec;72℃、1min;72℃、5minを30cycles)。
アガロース電気泳動を行い、目的のバンドを観察した結果を、図25に示す。ペプチド1は陽性対照と同様にしてマイオスタチンを有意に阻害した。
[実施例69]
ペプチド1の野生型マウス大腿部筋に及ぼす影響(in vivo評価)
ペプチド1のin vivoにおける筋量増大効果を検証するため以下の手法により評価を行った。
ペプチド1を生理食塩水に0.6mMになるよう懸濁した。麻酔下にある4週齢C57/BL6雄マウスの右鼠蹊部に、50μLずつ筋肉内投与した。2週間後、再度ペプチド1を投与し、さらに4週間後、マウスをSacrificeして筋肉の剖検をおこなった。摘出した筋組織は、ホルマリンで一晩固定した。その後PBSで3回30分洗浄したのち70%EtOH/PBSで一晩浸透後、パラフィンブロックを作製した。3μm薄切切片を作製し、Hematoxilin, Eosin染色、または免疫染色を行った。Hematoxilin, Eosin染色において、3枚の切片画像から核の数をカウントすることで、一視野の平均細胞数を統計学的に解析した。胚性ミオシン重鎖の免疫染色は、121℃20分オートクレーブにて抗原の賦活化し、PBS洗浄5分を3回、ブロッキング(Blocking Reagent (perkinelmer) )室温30分、1次抗体(MF20、200倍希釈、O/N),PBS洗浄5分を3回、2次抗体(HRP conjugated anti rabbit, 200倍希釈)、PBS洗浄5分を3回、DAB発色の手順で行った。対比染色にはHematoxilinを用いた。
この結果を図13(外観)、26(HE染色)、27(細胞数の統計学的解析)、28(免疫染色)に示す。ペプチド1はそのマイオスタチン阻害活性に基づいて統計学的に有意にマウス大腿部筋の筋量を増大させ、明らかな胚性ミオシン重鎖免疫染色シグナルの増加がみられた。
[参考例1]
ペプチド5の合成
AWRQNTRYSRIEAIKIQILSK-NH2(ペプチド5)
配列番号49を有するペプチド5はRinkアミド樹脂(0.47mmol/g、渡辺化学工業株式会社)50mg(0.024mmol)を用いて実施例2と同様の手法により合成及び精製した(13.1mg、0.0037mmol、16%)。
HRMS(ES+)calcd for(M2++2H)1287.2435,found 1287.2073.
[参考例2]
ペプチド6の合成
SRIEAIKIQILSKLRL-NH2(ペプチド6)
配列番号50を有するペプチド6はRinkアミド樹脂(0.55mmol/g、渡辺化学工業株式会社)100mg(0.055mmol)を用いて実施例2と同様の手法により合成及び精製した(26.1mg、0.011mmol、20%)。
HRMS(ES+)calcd for(M3++3H)627.4110,found 627.4123.
[参考例3]
ペプチド7の合成
TWRQNTKSSRIEAIKIQILSKLRL-NH2(ペプチド7)
配列番号51を有するペプチド7はRinkアミド樹脂(0.55mmol/g、渡辺化学工業株式会社)100mg(0.055mmol)を用いて実施例2と同様の手法により合成及び精製した(21.4mg、0.0060mmol、11%)。
HRMS(ES+)calcd for(M3++3H)961.2457,found 961.2437.
[参考例4]
ペプチド8の合成
RYSRIEAIKIQILSKL-NH2(ペプチド8)
配列番号52を有するペプチド8はRinkアミド樹脂(0.47mmol/g、渡辺化学工業株式会社)50mg(0.024mmol)を用いて実施例2と同様の手法により合成及び精製した(12.9mg、0.0049mmol、21%)。
HRMS(ES+)calcd for(M2++2H)966.0903,found 966.0923.
[参考例5]
ペプチド9の合成
RYSRIEAIKAQAASKA-NH2(ペプチド9)
配列番号53を有するペプチド9はRinkアミド樹脂(0.47mmol/g、渡辺化学工業株式会社)50mg(0.024mmol)を用いて実施例2と同様の手法により合成及び精製した(9.3mg、0.0038mmol、16%)。
HRMS(ES+)calcd for(M3++3H)588.0002,found 588.0001.
[参考例6]
ペプチド10の合成
LDFGHIKKKRVEAIRGQILSKLRL-NH2(ペプチド10)
配列番号54を有するペプチド10は実施例2と同様の手法により合成及び精製した(13.3mg、0.0037mmol、6.7%)。
HRMS(ES+)calcd for(M2++2H)1409.3749,found 1409.3763.
[参考例7]
In vitroレポーターアッセイによるペプチド5のマイオスタチン阻害活性評価
ペプチド5のマイオスタチン阻害活性は実施例50と同様の手法により評価した。その結果を図6に示す。ペプチド5は30μMの濃度において阻害活性を示さなかった。
[参考例8]
In vitroレポーターアッセイによるペプチド6のマイオスタチン阻害活性評価
ペプチド6のマイオスタチン阻害活性は実施例50と同様の手法により評価した。その結果を図10に示す。ペプチド6は30μMの濃度において阻害活性を示さなかった。
[参考例9]
In vitroレポーターアッセイによるペプチド7のマイオスタチン阻害活性評価
ペプチド7のマイオスタチン阻害活性は実施例50と同様の手法により評価した。その結果を図10に示す。ペプチド7は30μMの濃度において阻害活性を示さなかった。
[参考例10]
ウエスタンブロットによるペプチド8のマイオスタチンシグナル阻害活性評価
ペプチド8のマイオスタチンシグナル阻害活性は実施例64と同様の手法により評価した。その結果を図11に示す。ペプチド8は30μMの濃度においてSmad−2のリン酸化を全く抑制しなかった。
[参考例11]
ペプチド9の野生型マウス大腿部筋に及ぼす影響(in vivo評価)
ペプチド9のin vivoにおける筋量増大効果を検証するため実施例69と同様の手法により評価を行った。その結果を図13に示す。ネガティブコントロールとして用いたペプチド9は野生型マウス大腿部筋量に影響を及ぼさない。
[参考例12]
In vitroレポーターアッセイによるペプチド10のTGF−β3阻害活性評価
ペプチド10のTGF−β3阻害活性は実施例67と同様の手法により評価した。その結果を図14に示す。ペプチド10は30μMの濃度において阻害活性を示さなかった。
上記の通り、実施例のペプチド1、2、3及び4は参考例のペプチド5〜10に対して、マイオスタチンによるレポーター活性を強く抑制し、ペプチド1〜3については用量依存的にレポーター活性を抑制することが示された(図6〜10)。また、30μMにおけるペプチド11および12の阻害率は、ペプチド1が同条件で 92.4%であったのに対し、それぞれ89.2%および94.7%と、顕著な阻害活性を示した。
なお、ペプチド7は、ヒト由来マイオスタチンプロドメインの部分ペプチドhMPS(20-43)の配列を有し、この配列のプロドメイン中の存在位置は、ペプチド1の配列のマウス由来マイオスタチンのプロドメイン中における存在位置と同じであるにもかかわらず、マイオスタチン阻害活性を示さなかった。
また、図12で示すとおり、ペプチド1はTGF−β3によるレポーター活性を阻害しない。このことから、本発明のペプチドはマイオスタチンの活性を選択的に阻害することが示唆される。
更に、ペプチド1の野生型マウス大腿部筋でのin vivo評価の結果から、ペプチド1はそのマイオスタチン阻害活性に基づいてマウス大腿部筋の筋量を増大させることが示された。
また、配列番号40で表されるペプチド45は、マイオスタチンによるレポーター活性を強く抑制することが示された(図22)。更に、配列番号40で表されるペプチドの置換体は、配列番号6で表されるペプチド11と同等のマイオスタチン阻害活性を示した。
このように、本発明のペプチドを含む治療薬は、マイオスタチンに対して選択的で高い阻害活性を有し、筋肉の過形成、筋肉重量増加を可能とするものである。

Claims (20)

  1. 以下の(a)〜(d)から選択されるいずれかのペプチドまたはその薬学的に許容される塩:
    (a)配列番号1〜9のいずれか、又は40で表されるアミノ酸配列からなるペプチド;
    配列番号1:AWRQNTRYSRIEAIKIQILSKLRLETA
    配列番号2:AWRQNTRYSRIEAIKIQILSKLRL
    配列番号3:NTRYSRIEAIKIQILSKLRLETA
    配列番号4:SRIEAIKIQILSKLRLETA
    配列番号5:NTRYSRIEAIKIQILSKLRL
    配列番号6:WRQNTRYSRIEAIKIQILSKLRL
    配列番号7:AWRQNTRYSRIEAIKIEILSKLRL
    配列番号8:AWRQNTRYSRIEAIKIQILSKLR
    配列番号9:AWRQNTRYSRIEAIKIQILSKL
    配列番号40:WRTRYSRIEAIKIQILSKLRL
    (b)配列番号1〜9のいずれか、又は40で表されるアミノ酸配列を含み、かつ長さが30のアミノ酸以下のペプチド;
    (c)配列番号1〜9のいずれか、又は40で表されるアミノ酸配列において、1以上6以下のアミノ酸が置換、欠失もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、マイオスタチンの活性を選択的に阻害するペプチド;又は
    (d)前記(a)〜(c)のいずれかのペプチドの誘導体。
  2. 前記誘導体が、前記(a)〜(c)のいずれかのペプチドに対する任意のタイプの分子の共有結合によって化学的に修飾されたペプチド、又は前記(a)〜(c)のいずれかのペプチドを含むFc融合タンパク質である、請求項1に記載のペプチドまたはその薬学的に許容される塩。
  3. 前記誘導体が、下記式(I):
    (化1)
    −X−R (I)
    (式中、R1は、水素原子、アシル基、スルホニル基又は炭化水素基を表し:
    2は、水素原子、アルコキシ基、ポリエチレングリコール類似基、炭化水素基、アミン基を表し:
    Xは請求項1の(a)〜(c)のいずれかに記載のペプチドのペプチド残基又は、当該ペプチド残基の両末端又は片末端の1つのアミノ酸残基が削除されたペプチド残基を表す。)で表される、請求項1又は2に記載のペプチドまたはその薬学的に許容される塩。
  4. 前記(c)のペプチドが、配列番号1〜9のいずれか、又は40で表されるアミノ酸配列において、以下の少なくとも1つの置換:
    (1)マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が32位のアラニンがフェニルアラニン、ホモフェニルアラニン、ヒスチジン又はチロシンにより置換;
    (2)マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が31のグルタミン酸がα−アミノイソブタン酸により置換;
    (3)マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が40のリシンがα−アミノイソブタン酸により置換;
    (4)マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が27のチロシンがフェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン又はアルギニンにより置換;
    (5)マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が22、23、24、28、31、34、36、39、40、42のいずれか1以上のアミノ酸が別のアミノ酸により置換:
    (6)マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が21のトリプトファンが、炭素数がC1〜C10の脂肪鎖、又は、芳香族環及び/又は複素環の少なくも1つを有するカルボン酸又はアミノ酸により置換:
    (7)マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が30,33、35、37のいずれか1以上のイソロイシンが、夫々、ロイシン又はノルロイシンにより置換;
    (8)マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が43のロイシンがイソロイシン又はノルロイシンにより置換;
    されたアミノ酸配列からなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のペプチド又はその薬学的に許容される塩。
  5. 前記(c)のペプチドが、配列番号1〜9、40のいずれかで表されるアミノ酸配列において、マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が32位のアラニンが、フェニルアラニン、ホモフェニルアラニン、ヒスチジン又はチロシンにより置換されたアミノ酸配列からなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のペプチド又はその薬学的に許容される塩。
  6. 前記(c)のペプチドが、配列番号1〜9、40のいずれかで表されるアミノ酸配列において、マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が31のグルタミン酸がα−アミノイソブタン酸により置換されたアミノ酸配列からなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のペプチド又はその薬学的に許容される塩。
  7. 前記(c)のペプチドが、配列番号1〜9、40のいずれかで表されるアミノ酸配列において、マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が40のリジンがα−アミノイソブタン酸により置換されたアミノ酸配列からなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のペプチド又はその薬学的に許容される塩。
  8. 前記(c)のペプチドが、配列番号1〜9、40のいずれかで表されるアミノ酸配列において、マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が27のチロシンがフェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン又はアルギニンにより置換されたアミノ酸配列からなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のペプチド又はその薬学的に許容される塩。
  9. 前記(c)のペプチドが、配列番号1〜9、40のいずれかで表されるアミノ酸配列において、マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が22、23、24、28、31、34、36、39、40、42のいずれか1以上のアミノ酸が別のアミノ酸により置換されたアミノ酸配列からなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のペプチド又はその薬学的に許容される塩。
  10. 前記(c)のペプチドが、配列番号1〜9、40のいずれかで表されるアミノ酸配列において、マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が22、23、24、28、31、34、36、39、40、42のいずれか1以上のアミノ酸がアラニンにより置換されたアミノ酸配列からなる、請求項9に記載のペプチド又はその薬学的に許容される塩。
  11. 前記(c)のペプチドが、配列番号1〜9、40のいずれかで表されるアミノ酸配列において、マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が21のトリプトファンが、炭素数がC1〜C10の脂肪鎖、又は、芳香族環及び/又は複素環の少なくとも1つを有するカルボン酸又はアミノ酸により置換されたアミノ酸配列からなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のペプチド又はその薬学的に許容される塩。
  12. 前記カルボン酸が、1−アダマンタン酢酸、テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸、3−(2−フルオロフェニル)−プロピオン酸、3−(3−フルオロフェニル)−プロピオン酸又は3−(4−フルオロフェニル)−プロピオン酸から選択される、請求項11に記載のペプチド又はその薬学的に許容される塩。
  13. 前記アミノ酸が、アセチル−L−トリプトファンである、請求項11に記載のペプチド又はその薬学的に許容される塩。
  14. 前記(c)のペプチドが、配列番号1〜9、40のいずれかで表されるアミノ酸配列において、マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が30,33、35、37のいずれか1以上のイソロイシンが、夫々、ロイシン又はノルロイシンにより置換されたアミノ酸配列からなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のペプチド又はその薬学的に許容される塩。
  15. 前記(c)のペプチドが、配列番号1〜9、40のいずれかで表されるアミノ酸配列において、マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が43のロイシンがイソロイシン又はノルロイシンにより置換されたアミノ酸配列からなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のペプチド又はその薬学的に許容される塩。
  16. 前記(c)のペプチドが、配列番号10〜48で表されるアミノ酸配列からなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のペプチド又はその薬学的に許容される塩。
  17. 配列番号1〜9のいずれか、又は40で表されるアミノ酸配列において、以下の少なくとも1つの置換:
    (1)マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が32位のアラニンがフェニルアラニン、ホモフェニルアラニン、ヒスチジン又はチロシンにより置換;
    (2)マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が31のグルタミン酸がα−アミノイソブタン酸により置換;
    (3)マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が40のリジンがα−アミノイソブタン酸により置換;
    (4)マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が27のチロシンがフェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン又はアルギニンにより置換;
    (5)マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が22、23、24、28、31、34、36、39、40、42のいずれか1以上のアミノ酸が別のアミノ酸により置換:
    (6)マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が21のトリプトファンが、炭素数がC1〜C10の脂肪鎖、又は、芳香族環及び/又は複素環の少なくとも1つを有するカルボン酸又はアミノ酸により置換:
    (7)マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が30,33、35、37のいずれか1以上のイソロイシンが、夫々、ロイシン又はノルロイシンにより置換;
    (8)マウス由来マイオスタチンプロドメインのN末端からの番号が43のロイシンがイソロイシン又はノルロイシンにより置換;
    されたアミノ酸配列からなるペプチド、その誘導体、又はこれらの薬学的に許容される塩。
  18. 請求項1〜17のいずれか1項に記載のペプチド又はその薬学的に許容される塩を含む、マイオスタチン関連障害を治療するための医薬組成物。
  19. マイオスタチン関連障害が筋萎縮障害である、請求項18に記載の医薬組成物。
  20. 筋萎縮障害が、デュシェンヌ筋ジストロフィー、進行性筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、デジェリン・ランドゥジー筋ジストロフィー、エルブ筋ジストロフィー又は小児神経軸索筋ジストロフィーから選択される少なくとも一つである、請求項19に記載の医薬組成物。
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