JPWO2014115893A1 - ヒト・メタニューモウイルスに特異的なヒト抗体もしくはその抗原結合性断片 - Google Patents

ヒト・メタニューモウイルスに特異的なヒト抗体もしくはその抗原結合性断片 Download PDF

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Abstract

本発明は、ヒト・メタニューモウイルス(human metapneumovirus)のFタンパク質に特異的に結合し、ヒト・メタニューモウイルスを中和する新規なヒト由来のモノクローナル抗体ならびにその抗原結合性断片を提供すると共に、該抗体もしくはその抗原結合性断片を含む医薬組成物を提供する。

Description

本発明は、ヒト・メタニューモウイルス(human metapneumovirus)のFタンパク質に特異的に結合し、ヒト・メタニューモウイルスの生物活性を中和するモノクローナル抗体、およびその抗原結合性断片に関する。
呼吸器感染症は、罹患率および死亡率の面で人類の主要な疾患の1つと言える。特に、5才未満の小児においては、呼吸器感染症が死亡原因の上位にランクされている。米国では、肺炎、インフルエンザ、およびインフルエンザ様疾患を含めると、毎年45,000人以上が死亡しており、年間の医療費は146億ドルに達すると報告されている(非特許文献1)。
呼吸器感染症の原因ウイルスとしては、RSウイルス(respiratory syncytial virus: RSV),パラインフルエンザウイルス,インフルエンザウイルス,コロナウイルス,ライノウイルス,アデノウイルスなどが知られている。最近、ヒト・メタニューモウイルス(human metapneumovirus:hMPV)、SARS コロナウイルス、およびヒト・ボカウイルス等、呼吸器感染症をおこすウイルスが続々と発見されており、その中でも、hMPVは、2001年に、オランダの研究グループにより初めて分離・同定されたウイルスである(非特許文献2)。このhMPVは、以前からヒトの間で普遍的に存在してきたウイルスであったが,ウイルス分離が困難であったため、今まで発見されなったウイルスである。
ヒト・メタニューモウイルス(hMPV)は、1本鎖(マイナス鎖)RNAウイルスで、パラミクソウイルス科,ニューモウイルス亜科,メタニューモウイルス属に分類され、Nタンパク質、Pタンパク質、Mタンパク質、Fタンパク質、M2タンパク質、SHタンパク質、Gタンパク質、およびLタンパク質をコードする 8 個の遺伝子を有する(非特許文献2)。hMPV の遺伝子配列は、トリ・ニューモウイルス(Avian pneumovirus:APV)に最も類似しており、また、ヒトのウイルスの中では、遺伝子配列および臨床症状の点でRSVに類似している(非特許文献3)。hMPV は、血清学的特徴からAおよびBの2 種のグループに分類され、さらにそれぞれ2 種のサブグループ(A1とA2,およびB1とB2)に分けられ(非特許文献4)、それらの中でも、最近の世界的な流行の主流となっているのはA2株である(非特許文献5)。ところで、ウイルス表面には,Fタンパク質, Gタンパク質, およびSH タンパク質が存在するが、血清中に存在するhMPV に対する主要な中和抗体は,Fタンパク質に対する抗体であると報告されている(非特許文献6および7)。
Williamsらのグループによる調査によると、5歳未満の小児の呼吸器感染症患者においては下気道感染症患者の20%、上気道感染症患者の15%が、hMPVに感染していたと報告されており(非特許文献7)、血液中の抗体価が低い6か月から1歳までの乳幼児、免疫能の低下した高齢者や免疫不全状態の患者では、重症化の危険性があり特に注意が必要である。
現在、hMPVの検査法は確立しているものの、抗ウイルス薬で有効な薬物はなく対症療法が基本である。hMPVの治療・予防薬として、hMPVのFタンパク質に特異的な抗体医薬品(特許文献1、2、および非特許文献9)や弱毒化ウイルス等を活用したワクチンの開発等(特許文献3および4)の研究が行われている。更に最近は、hMPVおよびRSVの両方のFタンパク質にも結合するヒト抗体の報告(特許文献5)があるが、いずれも緒に就いたばかりと言える。
WO2006/110214 WO2008/043052 WO2002/057302 WO2003/072719 WO2013/140247
Clin. Micro. Reviews, 2006 (vol.19) p546 Nature Medicine, 2001 (vol.7) p719 Virology, 2002 (vol.295) p119 Emerg. Infect. Dis., 2004 (vol.10) p658 PLoS ONE, 2012 (vol.7) e34544 J.Virol., 2004 (vol.78) p6927 J.Gen.Virol., 2004 (vol.85) p1655 New Eng. J. Med., 2004 (vol.350) p443 J.Virol., 2006 (vol.80) p7799
2001年に、呼吸器感染症の原因ウイルスとして明らかになったヒト・メタニューモウイルス(hMPV)は、5歳未満の小児の呼吸器感染症患者においては15〜20%が当該ウイルスによる疾患であり、特に、6か月から1歳までの乳幼児、免疫能の低下した高齢者や免疫不全状態の患者では、重症化の危険性があるといわれている。ところで、hMPVと類似したヒトウイルスとしてはRSVが存在し、当該疾患の予防薬として、RSVのFタンパク質を特異的に認識する抗体医薬品(Synagis)が承認を受け、多くの国で販売されている。しかしながら、いまだhMPVに対する治療は対症療法のみである。そのような中、弱毒化ウイルス等を活用したワクチンの研究(特許文献3および4)およびhMPVのFタンパク質に特異的な抗体医薬品の研究等が報告されているが、ヒト由来抗体の例としては、Synagisと同様に当該ウイルスのFタンパク質を認識するヒトFab抗体DSλ7等(特許文献2)が報告されているのみである。
しかしながら、抗体DSλ7等らの親和性、中和活性等から考えるとまだまだ活性が低く、医薬候補品としては、いずれもまだまだ改善の余地がある。特に、hMPVに対する抗体医薬としては、A1、A2、B1、およびB2株に幅広く高い中和活性を有する抗体、出来れば、最近の流行の主流となっているhMPV_A2株に特に高い中和活性を有する抗体が望まれている。
また、ウイルスの耐性化等を考慮するとエピトープの異なる抗体も必要である。更に、キメラ抗体およびヒト化抗体は、いずれも免疫原性上の課題を抱えており、医薬品候補の抗hMPV抗体としても、完全なヒト由来の抗体が大望されている。
そのような中、より低用量でこれまでと同等もしくはそれ以上の有効性を示すヒト由来のモノクローナル抗体の作製をめざし鋭意検討を重ね、hMPVのFタンパクに特異的に結合し、hMPVに対して幅広く高い中和活性を有し、かつ、エピトープ分類で幾つかの異なるグループに分類される複数の抗体の作製に成功し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、以下[1]〜[41]に記載するヒト・メタニューモウイルス(hMPV)のFタンパク質に特異的なヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片、その抗体またはその抗原結合性断片をコードする核酸(ポリヌクレオチド)、その核酸を含有する発現ベクター、そのベクターを含有する宿主細胞、並びに、本発明の抗体または抗原結合性断片を含む医薬組成物などに関する。
[1]ヒト・メタニューモウイルスのFタンパク質に特異的に結合し、その生物活性を中和し得る抗体もしくはその抗原結合性断片であって、
(i)重鎖の可変領域が、
(a)配列番号3、13、23、33、43、53、63、73、83、93、103、113、および123のアミノ酸配列、ならびにそれらのアミノ酸配列中1〜数個のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入及び/または付加の変異を有するアミノ酸配列の群から選択される重鎖CDR1のアミノ酸配列、
(b)配列番号4、14、24、34、44、54、64、74、84、94、104、114、および124のアミノ酸配列、ならびにそれらのアミノ酸配列中1〜数個のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入及び/または付加の変異を有するアミノ酸配列の群から選択される重鎖CDR2のアミノ酸配列、および
(c)配列番号5、15、25、35、45、55、65、75、85、95、105、115、および125のアミノ酸配列、およびそれらのアミノ酸配列中1〜数個のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入及び/または付加の変異を有するアミノ酸配列の群から選択される重鎖CDR3のアミノ酸配列
を含有し、
(ii)軽鎖の可変領域が、
(a)配列番号8、18、28、38、48、58、68、78、88、98、108、118、および128のアミノ酸配列、ならびにそのアミノ酸配列中1〜数個のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入及び/または付加の変異を有するアミノ酸配列の群から選択される軽鎖CDR1のアミノ酸配列、
(b)配列番号9、19、29、39、49、59、69、79、89、99、109、119、および129のアミノ酸配列、ならびにそれらのアミノ酸配列中1〜数個のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入及び/または付加の変異を有するアミノ酸配列の群から選択される軽鎖CDR2のアミノ酸配列、および
(c)配列番号10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、および130のアミノ酸配列、ならびにそのアミノ酸配列中1〜数個のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入及び/または付加の変異を有するアミノ酸配列の群から選択される軽鎖CDR3のアミノ酸配列、
を含有する、抗体またはその抗原結合性断片。
[2][1]に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片であって、
(i)重鎖の可変領域が、
(a)配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1のアミノ酸配列、
(b)配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2のアミノ酸配列、および、
(c)配列番号5のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3のアミノ酸配列
を含有し、
(ii)軽鎖の可変領域が、
(a)配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1のアミノ酸配列、
(b)配列番号9のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2のアミノ酸配列、および、
(c)配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3のアミノ酸配列
を含有する、抗体もしくはその抗原結合性断片。
[3][1]に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片であって、
(i)重鎖の可変領域が、
(a)配列番号13のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1のアミノ酸配列、
(b)配列番号14のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2のアミノ酸配列、および、
(c)配列番号15のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3のアミノ酸配列
を含有し、
(ii)軽鎖の可変領域が、
(a)配列番号18のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1のアミノ酸配列、
(b)配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2のアミノ酸配列、および、
(c)配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3のアミノ酸配列
を含有する、抗体もしくはその抗原結合性断片。
[4][1]に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片であって、
(i)重鎖の可変領域が、
(a)配列番号23のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1のアミノ酸配列、
(b)配列番号24のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2のアミノ酸配列、および、
(c)配列番号25のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3のアミノ酸配列
を含有し、
(ii)軽鎖の可変領域が、
(a)配列番号28のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1のアミノ酸配列、
(b)配列番号29のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2のアミノ酸配列、および、
(c)配列番号30のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3のアミノ酸配列
を含有する、抗体もしくはその抗原結合性断片。
[5][1]に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片であって、
(i)重鎖の可変領域が、
(a)配列番号33のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1のアミノ酸配列、
(b)配列番号34のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2のアミノ酸配列、および、
(c)配列番号35のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3のアミノ酸配列
を含有し、
(ii)軽鎖の可変領域が、
(a)配列番号38のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1のアミノ酸配列、
(b)配列番号39のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2のアミノ酸配列、および、
(c)配列番号40のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3のアミノ酸配列
を含有する、抗体もしくはその抗原結合性断片。
[6][1]に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片であって、
(i)重鎖の可変領域が、
(a)配列番号43のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1のアミノ酸配列、
(b)配列番号44のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2のアミノ酸配列、および、
(c)配列番号45のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3のアミノ酸配列
を含有し、
(ii)軽鎖の可変領域が、
(a)配列番号48のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1のアミノ酸配列、
(b)配列番号49のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2のアミノ酸配列、および、
(c)配列番号50のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3のアミノ酸配列
を含有する、抗体もしくはその抗原結合性断片。
[7][1]に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片であって、
(i)重鎖の可変領域が、
(a)配列番号53のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1のアミノ酸配列、
(b)配列番号54のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2のアミノ酸配列、および、
(c)配列番号55のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3のアミノ酸配列
を含有し、
(ii)軽鎖の可変領域が、
(a)配列番号58のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1のアミノ酸配列、
(b)配列番号59のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2のアミノ酸配列、および、
(c)配列番号60のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3のアミノ酸配列
を含有する、抗体もしくはその抗原結合性断片。
[8][1]に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片であって、
(i)重鎖の可変領域が、
(a)配列番号63のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1のアミノ酸配列、
(b)配列番号64のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2のアミノ酸配列、および、
(c)配列番号65のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3のアミノ酸配列
を含有し、
(ii)軽鎖の可変領域が、
(a)配列番号68のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1のアミノ酸配列、
(b)配列番号69のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2のアミノ酸配列、および、
(c)配列番号70のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3のアミノ酸配列
を含有する、抗体もしくはその抗原結合性断片。
[9][1]に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片であって、
(i)重鎖の可変領域が、
(a)配列番号73のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1のアミノ酸配列、
(b)配列番号74のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2のアミノ酸配列、および、
(c)配列番号75のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3のアミノ酸配列
を含有し、
(ii)軽鎖の可変領域が、
(a)配列番号78のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1のアミノ酸配列、
(b)配列番号79のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2のアミノ酸配列、および、
(c)配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3のアミノ酸配列
を含有する、抗体もしくはその抗原結合性断片。
[10][1]に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片であって、
(i)重鎖の可変領域が、
(a)配列番号83のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1のアミノ酸配列、
(b)配列番号84のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2のアミノ酸配列、および、
(c)配列番号85のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3のアミノ酸配列
を含有し、
(ii)軽鎖の可変領域が、
(a)配列番号88のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1のアミノ酸配列、
(b)配列番号89のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2のアミノ酸配列、および、
(c)配列番号90のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3のアミノ酸配列
を含有する、抗体もしくはその抗原結合性断片。
[11][1]に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片であって、
(i)重鎖の可変領域が、
(a)配列番号93のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1のアミノ酸配列、
(b)配列番号94のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2のアミノ酸配列、および、
(c)配列番号95のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3のアミノ酸配列
を含有し、
(ii)軽鎖の可変領域が、
(a)配列番号98のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1のアミノ酸配列、
(b)配列番号99のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2のアミノ酸配列、および、
(c)配列番号100のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3のアミノ酸配列
を含有する、抗体もしくはその抗原結合性断片。
[12][1]に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片であって、
(i)重鎖の可変領域が、
(a)配列番号103のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1のアミノ酸配列、
(b)配列番号104のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2のアミノ酸配列、および、
(c)配列番号105のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3のアミノ酸配列
を含有し、
(ii)軽鎖の可変領域が、
(a)配列番号108のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1のアミノ酸配列、
(b)配列番号109のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2のアミノ酸配列、および、
(c)配列番号110のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3のアミノ酸配列
を含有する、抗体もしくはその抗原結合性断片。
[13][1]に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片であって、
(i)重鎖の可変領域が、
(a)配列番号113のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1のアミノ酸配列、
(b)配列番号114のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2のアミノ酸配列、および、
(c)配列番号115のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3のアミノ酸配列
を含有し、
(ii)軽鎖の可変領域が、
(a)配列番号118のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1のアミノ酸配列、
(b)配列番号119のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2のアミノ酸配列、および、
(c)配列番号120のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3のアミノ酸配列
を含有する、抗体もしくはその抗原結合性断片。
[14][1]に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片であって、
(i)重鎖の可変領域が、
(a)配列番号123のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1のアミノ酸配列、
(b)配列番号124のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2のアミノ酸配列、および、
(c)配列番号125のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3のアミノ酸配列
を含有し、
(ii)軽鎖の可変領域が、
(a)配列番号128のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1のアミノ酸配列、
(b)配列番号129のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2のアミノ酸配列、および、
(c)配列番号130のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3のアミノ酸配列
を含有する、抗体もしくはその抗原結合性断片。
[15][1]〜[14]のいずれか一項に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片であって、
(a)配列番号2、12、22、32、42、52、62、72、82、92、102、112、および122のアミノ酸配列、および、これらアミノ酸配列と95%以上の同一性を有するアミノ酸配列の群から選択される重鎖可変領域(VH)、および、
(b)配列番号7、17、27、37、47、57、67、77、87、97、107、117、および127のアミノ酸配列、および、これらアミノ酸配列と95%以上の同一性を有するアミノ酸配列の群から選択される軽鎖可変領域(VL)
を含有する、抗体またはその抗原結合性断片。
[16][15]に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片であって、
(a)配列番号2のアミノ酸配列、または配列番号2のアミノ酸配列と95%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)、および
(b)配列番号7のアミノ酸配列、または配列番号7のアミノ酸配列と95%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)
を含有する、抗体もしくはその抗原結合性断片。
[17][15]に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片であって、
(a)配列番号12のアミノ酸配列、または配列番号12のアミノ酸配列と95%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)、および
(b)配列番号17のアミノ酸配列、または配列番号17のアミノ酸配列と95%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)
を含有する、抗体もしくはその抗原結合性断片。
[18][15]に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片であって、
(a)配列番号22のアミノ酸配列、または配列番号22のアミノ酸配列と95%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)、および
(b)配列番号27のアミノ酸配列、または配列番号27のアミノ酸配列と95%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)
を含有する、抗体もしくはその抗原結合性断片。
[19][15]に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片であって、
(a)配列番号32のアミノ酸配列、または配列番号32のアミノ酸配列と95%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)、および
(b)配列番号37のアミノ酸配列、または配列番号37のアミノ酸配列と95%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)
を含有する、抗体もしくはその抗原結合性断片。
[20][15]に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片であって、
(a)配列番号42のアミノ酸配列、または配列番号42のアミノ酸配列と95%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)、および
(b)配列番号47のアミノ酸配列、または配列番号47のアミノ酸配列と95%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)
を含有する、抗体もしくはその抗原結合性断片。
[21][15]に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片であって、
(a)配列番号52のアミノ酸配列、または配列番号52のアミノ酸配列と95%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)、および
(b)配列番号57のアミノ酸配列、または配列番号57のアミノ酸配列と95%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)
を含有する、抗体もしくはその抗原結合性断片。
[22][15]に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片であって、
(a)配列番号62のアミノ酸配列、または配列番号62のアミノ酸配列と95%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)、および
(b)配列番号67のアミノ酸配列、または配列番号67のアミノ酸配列と95%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)
を含有する、抗体もしくはその抗原結合性断片。
[23][15]に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片であって、
(a)配列番号72のアミノ酸配列、または配列番号72のアミノ酸配列と95%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)、および
(b)配列番号77のアミノ酸配列、または配列番号77のアミノ酸配列と95%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)
を含有する、抗体もしくはその抗原結合性断片。
[24][15]に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片であって、
(a)配列番号82のアミノ酸配列、または配列番号82のアミノ酸配列と95%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)、および
(b)配列番号87のアミノ酸配列、または配列番号87のアミノ酸配列と95%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)
を含有する、抗体もしくはその抗原結合性断片。
[25][15]に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片であって、
(a)配列番号92のアミノ酸配列、または配列番号92のアミノ酸配列と95%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)、および
(b)配列番号97のアミノ酸配列、または配列番号97のアミノ酸配列と95%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)
を含有する、抗体もしくはその抗原結合性断片。
[26][15]に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片であって、
(a)配列番号102のアミノ酸配列、または配列番号102のアミノ酸配列と95%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)、および
(b)配列番号107のアミノ酸配列、または配列番号107のアミノ酸配列と95%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)
を含有する、抗体もしくはその抗原結合性断片。
[27][15]に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片であって、
(a)配列番号112のアミノ酸配列、または配列番号112のアミノ酸配列と95%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)、および
(b)配列番号117のアミノ酸配列、または配列番号117のアミノ酸配列と95%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)
を含有する、抗体もしくはその抗原結合性断片。
[28][15]に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片であって、
(a)配列番号122のアミノ酸配列、または配列番号122のアミノ酸配列と95%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)、および
(b)配列番号127のアミノ酸配列、または配列番号127のアミノ酸配列と95%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)
を含有する、抗体もしくはその抗原結合性断片。
[29][1]〜[28]のいずれか一項に記載の抗体であって、当該抗体のエピトープがFタンパクの部分的な欠失ペプチドに対する結合活性で分類した場合、抗hMPV抗体EV046115b, EV046130,およびEV046147で代表されるエピトープ・グループGroup1、抗hMPV抗体EV046113, EV046116,EV046141およびEV0461142で代表されるエピトープ・グループGroup2、抗hMPV抗体EV046124, EV046143,およびEV046150で代表されるエピトープ・グループGroup3、抗hMPV抗体EV046120,およびEV046135で代表されるエピトープ・グループGroup4、および抗hMPV抗体EV046136で代表されるエピトープ・グループGroup5のいずれかのエピトープ・グループに属する抗体もしくはその抗原結合性断片。
[30][1]〜[28]のいずれか一項に記載の抗体であって、当該抗体のエピトープがFタンパクの部分的な欠失ペプチドに対する結合活性で分類した場合、抗hMPV抗体EV046113, EV046116,EV046141およびEV0461142で代表されるエピトープ・グループGroup2、抗hMPV抗体EV046124, EV046143,およびEV046150で代表されるエピトープ・グループGroup3、抗hMPV抗体EV046120,およびEV046135で代表されるエピトープ・グループGroup4、および抗hMPV抗体EV046136で代表されるエピトープ・グループGroup5のいずれかのエピトープ・グループに属する抗体もしくはその抗原結合性断片。
[31][1]〜[28]のいずれか一項に記載の抗体であって、当該抗体のエピトープがFタンパクの部分的な欠失ペプチドに対する結合活性で分類した場合、抗hMPV抗体EV046124, EV046143,およびEV046150で代表されるエピトープ・グループGroup3に属する抗体もしくはその抗原結合性断片。
[32]前記抗体のクラス(サブクラス)がIgG1(κ)またはIgG1(λ)である、
[1]〜[31]のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合性断片。
[33][1]〜[32]のいずれか一項に記載の抗体であって、ヒト・メタニューモウイルスJPS02−76(B1型)、JPS05−21(B2型)、およびJPS03−180(A1型)のいずれの株に対する中和活性(IC50)も約1μg/mL(約6.7nM)以下である抗体もしくはその抗原結合性断片。
[34][1]〜[32]のいずれか一項に記載の抗体であって、ヒト・メタニューモウイルスJPS03−180(A1型)、およびJPS03−178(A2型)、JPS02−76(B1型)、およびJPS05−21(B2型)のいずれの株に対する中和活性(IC50)も約1μg/mL(約6.7nM)以下である抗体もしくはその抗原結合性断片。
[35][1]〜[32]のいずれか一項に記載の抗体であって、ヒト・メタニューモウイルスJPS03−180(A1型)、JPS03−178(A2型)、JPS02−76(B1型)、およびJPS05−21(B2型)のいずれの株に対する中和活性(IC90)も約2μg/mL(約13.3nM)以下である抗体もしくはその抗原結合性断片。
[36][1]〜[32]のいずれか一項に記載の抗体であって、ヒト・メタニューモウイルスのJPS03−178株(A2型)に対する中和活性(IC50)が約0.1μg/mL(約0.67nM)以下である抗体もしくはその抗原結合性断片。
[37][1]〜[36]のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合性断片および薬学的に許容可能な担体を含む医薬組成物。
[38]ヒト・メタニューモウイルス感染症を治療または予防するための[37]に記載の医薬組成物。
[39][1]〜[36]のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合性断片のアミノ酸配列をコードする単離された核酸、配列番号1、6、11、16、21、26、31、36、41、46、51、56、61、66、71、76、81、86、91、96、101、106、111、116、121、および126のアミノ酸配列をコードする単離された核酸、もしくは、これら核酸のいずれかと高ストリンジェントな条件でハイブリダイズする単離された核酸。
[40][39]に記載の単離された核酸を組込んだ組換え発現ベクター。
[41][40]に記載の組換え発現ベクターが導入された宿主細胞。
本発明に係るヒト・メタニューモウイルス(hMPV)の生物活性を中和するモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片は、ヒト・メタニューモウイルス(hMPV)のFタンパク質に特異的に結合し、その生物活性を喪失(中和)させ、hMPV感染症を予防または治療することが期待できる。また、本発明に係るヒト・メタニューモウイルス(hMPV)のFタンパク質に対するヒトのモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片である実施形態では、免疫原性を有さず、免疫反応も見られないという利点がある。また、本発明に係る特に好ましいヒトのモノクローナル抗体を含む医薬組成物は、極めて少ない量で有効であり、医療コストを抑える可能性も期待できる。
本発明に係る抗hMPV抗体を産生する抗体産生細胞クローン分離の手順をフローチャートで表した図である。 Biacore T-200を使用して抗MPV抗体の競合アッセイを行った結果を示す図である。Sensor Chip NTAにhMPV(JPS02-76)のFP遺伝子からTM領域(a.a.491-539)を除去し、His-Tagを付加したFP-TM(-)-Hisをキャプチャーさせた後、Sample1として抗MPV抗体をセンサーチップ上に飽和レベルまで結合させ、次にSample2として別の抗MPV抗体を結合させた。競合するか否かはSample2の抗hMPV抗体の結合が阻害されるか否かで判定した。Ab. I.D.は下3桁の数字で表記した。+は競合する、−は競合しないことを示している。N.D.はセンサーチップ上での抗体の凝集反応のため測定不能。尚、図のAb. I.D.で、338および210は、コントロールとして用いたmAb388,およびHMB3210をそれぞれ示す。 抗hMPV抗体のエピトープマッピングのために作製した種々のDeletion mutant(hMPV-FP deletion mutant)を示す図である。HA-V5-FullはhMPV(JPS02-76)FP遺伝子のSignal Peptide (SP)の下流にHA-Tag(HA)を、C-tail(C)の下流にV5-Tag(V5)を付加したものである。各deletion mutantは図に示した領域を欠損させて、発現ベクターにクローニングした。 図中のその他の略称を以下に示す。F2 domain(F2)、Fusion peptide(FP)、Heptad repeat 1(HR1)、F1 domain(F1)、Heptad repeat 2(HR2)、Transmembrane domain(TM) 抗hMPV抗体のdeletion mutantへの結合アッセイの結果を示す図である。図3に示した各Deletion mutant発現ベクターはCHO-K1細胞にTransfectionし、16時間後に96well plateに播種して24時間後に固定した。このDeletion mutant発現CHO-K1細胞の蛍光免疫染色を行い、各抗MPV抗体の結合を確認した。詳細は細胞蛍光免疫染色スクリーニングと同様である。また、HA抗体およびV5抗体による細胞蛍光免疫染色を行い、 Deletion mutant自体の発現を確認した。Ab. I.D.は下3桁で表記した。 +++、++、+は結合を示しており、蛍光強度の順となっている。−は結合しないことを示す。Epitope groupはdeletion mutantへの結合パターンにより決定した。尚、図のAb. I.D.で、338および210は、コントロールとして用いたmAb388,およびHMB3210をそれぞれ示す。 抗hMPV抗体のエピトープの分類を示す図である。図3、図4の結果を元に抗hMPV抗体のエピトープを分類した。丸で囲んだ分類は競合アッセイ結果、四角で囲んだ分類はdeletion mutant結合アッセイ結果である。
1.用語の説明
本明細書において、本発明に関連して用いられる科学用語および専門用語は、当業者により一般に理解される意味を有する。さらに、文脈により別に必要とされない限り、単数用語は複数を含み、複数用語は単数を含む。一般に、本明細書に記載されている細胞および組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学およびタンパク質と核酸化学ならびにハイブリダイゼーションの技術に関連して用いられる命名法は、当該分野で周知であり、かつ一般に使用されているものである。
本発明は、ヒト・メタニューモウイルス(human metapneumovirus)のFタンパク質に特異的に結合し、ヒト・メタニューモウイルスの生物活性を中和するモノクローナル抗体、およびその抗原結合性断片に関する。以下、本発明で用いる語句の意味を明らかにすることにより、本発明を実施する形態を詳細に説明する。
1)ヒト・メタニューモウイルス(human metapneumovirus :hMPVとも略す。)
2001 年オランダの研究グループにより発見されたヒトの呼吸器感染症の原因ウイルスの1つで、パラミクソウイルス科,ニューモウイルス亜科,メタニューモウイルス属に分類され、更に、GおよびFタンパク質のヌクレオチド配列を用いた系統発生学的解析の結果に基づいて、現在は、4種のサブグループ(A1、A2、B1、およびB2;A1型、A2型、B1型およびB2型と称する場合もある。)に分類されている(非特許文献4)。更に2006年にはドイツにおいてサブグループA2がhMPV_A2aとhMPV_A2bの2種に分類されている(非特許文献5)。類似のウイルスとしては、トリに感染するトリ・ニューモウイルス(avian pneumovirus: APVとも略す。)やヒトのRSV(respiratory syncytial virus: RSVとも略す。)等がある。hMPV は13.35kb の一本鎖(マイナス鎖)RNA ウイルスで、N、P、M、F、M2、SH、G、およびLの8 個の遺伝子を持ち、ウイルス表面にはF、 G、および SH の3種の糖タンパク質が発現している((非特許文献1)。血清中に存在するhMPV に対する中和抗体の中でも、F タンパク質に対する抗体が主要な割合を占めていると報告されている。
2)hMPVのFタンパク質
Fタンパク質(以下、FPと略する場合もある。)は、hMPVのウイルス表面に存在する糖タンパク質の1つであり、hMPVの4種のサブグループ(A1、A2、B1及びB2)の代表株のFタンパク質においては、いずれも539個のアミノ酸残基から構成されている。それらの代表的なアミノ酸配列に関しては、A1(NL/1/00株)についてはGenbank Accession No. AF371337に、A2(NL/17/00株)についてはGenbank Accession No. AY304360に、B1(NL/1/99株)についてはGenbank Accession No. AY304361に、およびB2(NL/1/94株)についてはGenbank Accession No. AY304362に開示されている。A1のFタンパク質のアミノ酸配列について他のウイルスと比較すると、トリ・ニューモウイルスのC型のFタンパク質とは81%の同一性があり、ヒトRSVのFタンパク質とは33%の同一性が認められており(非特許文献3)、hMPVのFタンパク質も、それらウイルスのFタンパク質と同じような役割を果たしていると考えられている。即ち、細胞に付着したウイルスのエンベロープと宿主細胞の膜とが融合する際に関与する融合タンパク質(fusion protein)と考えられている。従って、hMPVのFタンパク質に結合する抗体の中には、高い中和活性を有する抗体が存在することが報告されており(特許文献1および2)、また、ヒトRSVの抗Fタンパク質抗体の中には、既に医薬品として使用されている抗体(Synagis)もある。
一方、hMPVの4種のサブグループでFタンパク質のアミノ酸配列を比較すると、各サブグループ(A1、A2、B1及びB2)内のアミノ酸配列ではいずれも99〜100%の同一性、それぞれのサブタイプ間(A1とA2、またはB1とB2)では97〜99%の同一性、AグループとBグループとの比較では94〜97%の同一性が認められ、hMPVのFタンパク質のアミノ酸配列が、グループ内で高度に保存されていることが知られている(非特許文献4)。本発明でヒト抗体のスクリーニング評価に使用したJPS02-76株(B1;T285I)のFタンパク質のアミノ酸配列を前述の代表的なFタンパク質と比較すると、A1(NL/1/00株)のFタンパク質とは94%、A2(NL/17/00株)のFタンパク質とは94%、B1(NL/1/99株)のFタンパク質とは99%、およびB2(NL/1/94株)のFタンパク質とは99%と、非常に高い同一性が認められた。すなわち、本発明で使用したJPS02-76株のFタンパク質を使用した評価系は、いずれのサブグループのhMPV株にもcross reactiveな抗体が取得可能な方法であることを強く示唆している。
3)hMPVのFタンパク質に結合する抗体:
ヒト・メタニューモウイルス(hMPV)のFPに特異的に結合する抗体であり、当該FPのエピトープ部位、例えば線状エピトープ、不連続配列エピトープ、もしくは立体構造的エピトープ、もしくはFPの断片等に結合し得る。本明細書中で、「抗hMPV抗体」、「hMPVを中和し得る抗体」、「抗hPMV-Fタンパク質抗体」「ヒト・メタニューモウイルス(hMPV)のFPに特異的に結合する抗体」、もしくは「ヒト・メタニューモウイルス(hMPV)の生物活性を中和し得る抗体」とは、ヒト・メタニューモウイルス(hMPV)のFPに結合することによってhMPVの生物活性を阻害する抗体を指すものとする。前述のように、hMPVのサブタイプ間でのFPの同一性が非常に高いこともあり、hMPVのFPに特異的に結合する抗体のスクリーニングには、hMPVの4種のサブグループ(A1、A2、B1及びB2)の代表株のいずれかのFPを抗原として使用する方法が一般的である。本発明では、hMPV B1株(JPS02-76)からFP遺伝子をクローニングし、CHO−K1細胞で発現させたものを使用した。尚、得られたFP遺伝子の塩基配列(GenBank Accession No. AY530089)及びFPのアミノ酸配列(GenBank Accession No. AAS22077)を、配列番号131及び132にそれぞれ示す。
4)抗体
本明細書で使用される「抗体」という用語は、4本のポリペプチド鎖、すなわち、2本の重(H)鎖および2本の軽(L)鎖であってジスルフィド結合によって相互結合されたものからなる免疫グロブリン分子を指すものとする。本発明におけるモノクローナル抗体も、各々2本の重鎖(H鎖)および軽鎖(L鎖)を含む免疫グロブリン分子からなる。各H鎖は、H鎖可変部領域(「HCVR」または「VH」と称す場合がある)とH鎖不変部領域(H鎖不変部領域は3つのドメインからなり、それぞれ「CH1」、「CH2」、「CH3」と称す場合がある(総称:CH))からなる。各L鎖は、L鎖可変部領域(「LCVR」または「VL」と称す場合がある)とL鎖不変部領域(L鎖不変部領域は1つのドメインからなり、「CL」と称す場合がある)からなり、それぞれの不変部領域(不変領域、または定常領域とも呼ぶ)の始まる前までを可変部領域(または可変領域)と呼ぶ。
特に、VHおよびVLは、抗体の結合特異性に関与する点で重要である。抗体はVHおよびVLのアミノ酸残基を主に通じて標的抗原と相互作用するので、可変部領域内のアミノ酸配列は可変部領域の外にある配列よりも個々の抗体間の違いが大きい。更に、VHおよびVLにおいても、各種抗体間でより一定に保たれたフレームワーク領域(FR)と呼ばれる領域と相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性の領域にさらに細分することができる。VHおよびVLは、それぞれ3つのCDRおよび4つのFRからなり、これらはFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順序でアミノ末端からカルボキシ末端まで配列している。
尚、本発明での抗体とは、完全長の抗体若しくはその抗原結合性断片を意味する。可変部領域を示すアミノ酸配列や、相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列をもとにすれば、当該技術分野における周知の技術によって、hMPVのFタンパク質に特異的に結合し、hMPVの生物活性を中和し得るヒトモノクローナル抗体、モノクローナル抗体(キメラ抗体、ヒト化抗体も含む)、またはそれらの抗原結合性断片を得ることができる。これらの抗体は本発明の技術的範囲内に属するものである。
5)抗体の「抗原結合性断片」(または単に「抗体断片」)
本明細書で使用される抗体の「抗原結合性断片」(または単に「抗体断片」)という用語は、抗原(hMPVのFタンパク質)に特異的に結合する能力を持つ1つまたは複数の抗体のフラグメント(例えばVH)を指す。なお、そのフラグメントには抗原に特異的に結合する最小限のアミノ酸配列を有するペプチドも含むものとする。抗体の「抗原結合性断片」という用語内に含まれる結合部分の例としては、(i) Fab断片、(ii) F(ab')2断片、(iii) VHおよびCH1ドメインからなるFd断片、(iv) 抗体の単一アームのVLおよびVHドメインからなるFv断片、(v) VHドメインからなるdAb断片(Ward et al., Nature 341:544-546, 1989)(vi) 特異的に結合するのに十分なフレームワークを有する単離された相補性決定領域(CDR)、(vii) 二重特異性抗体、および(viii) 多特異性抗体などがあげられる。なお、本明細書において、特に区別せずに単に「抗体」という場合、完全長の抗体のみならず、このような「抗原結合性断片」も含むものとする。
6)アイソタイプおよびサブクラス
重鎖は定常領域の違いにより、γ鎖、μ鎖、α鎖、δ鎖、ε鎖に分けられ、この違いによりそれぞれIgG、IgM、IgA、IgD、IgEの5種類のクラス(アイソタイプ)の免疫グロブリンが形成される。さらにヒトの場合、IgGにはIgG1〜IgG4の4つのサブクラスが存在する。一方、軽鎖定常領域の違いにより、κ鎖、λ鎖に分けられる。本発明において特に好ましい抗体のクラス(サブクラス)はIgG1(κ)またはIgG1(λ)である。
2.本発明に係る抗体またはその抗原結合性断片
本発明は、一つの実施形態において、hMPVに特異的に結合し、hMPVの生物活性を中和し得る抗体またはその抗原結合性断片(以下、本発明の抗体と呼ぶ。)が提供される。典型的には、本発明の抗体は、hMPVのFタンパク質に特異的に結合し、該タンパク質の生物活性を中和し得る抗体またはその抗原結合性断片である。
本発明の抗hMPV抗体としては、本明細書に記載する配列番号で示される特定の重鎖または軽鎖、その可変領域、あるいはそのCDR等のアミノ酸配列を含むもののみならず、これらのアミノ酸配列に対して実質的に同一なアミノ酸配列を含み、かつhMPVのFタンパク質に特異的に結合し、hMPVの生物活性を中和し得る抗hMPV抗体が含まれる。ここで、「実質的に同一」という用語は、本発明のタンパク質のアミノ酸配列において1以上のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入、付加の存在を意味し、またはこれらのいずれか2つ以上の組み合わせがされたとは、同一配列中の任意かつ1もしくは複数のアミノ酸配列中の位置において、1または複数のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、または付加があることを意味し、欠失、置換、挿入および付加のうち2種以上が同時に生じてもよい。
ところで、自然界のタンパク質を構成しているアミノ酸は、それらの側鎖の特性によって群分け可能であり、例えば、同様な特性を有するアミノ酸群としては、芳香族アミノ酸(チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン)、塩基性アミノ酸(リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性アミノ酸(アスパラギン酸、グルタミン酸)、中性アミノ酸(セリン、トレオニン、アスパラギン、グルタミン)、炭化水素鎖を有するアミノ酸(アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン)、およびその他(グリシン、メチオニン、システイン)の群などに分類できる。
非天然型のアミノ酸も含めた相互に置換可能なアミノ酸残基の例としては、下記の様な群わけもあり、同一群に含まれるアミノ酸残基は相互に置換可能である。A群:ロイシン、イソロイシン、ノルロイシン、バリン、ノルバリン、アラニン、2-アミノブタン酸、メチオニン、o-メチルセリン、t-ブチルグリシン、t-ブチルアラニン、シクロヘキシルアラニン; B群:アスパラギン酸、グルタミン酸、イソアスパラギン酸、イソグルタミン酸、2-アミノアジピン酸、2-アミノスベリン酸; C群:アスパラギン、グルタミン; D群:リジン、アルギニン、オルニチン、2,4-ジアミノブタン酸、2,3-ジアミノプロピオン酸; E群:プロリン、3-ヒドロキシプロリン、4-ヒドロキシプロリン; F群:セリン、スレオニン、ホモセリン; G群:フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン。
なお、アミノ酸配列や塩基配列の同一性は、カーリンおよびアルチュールによるアルゴリズムBLAST(PNAS, 1990 (vol.87) p2264 ; PNAS, 1993 (vol.90) p5873)を用いて決定できる。BLASTのアルゴリズムに基づいたBLASTNやBLASTXと呼ばれるプログラムが開発されている(Altschul SF, et al: J Mol Biol , 1990 (vol.215) p403)。BLASTNを用いて塩基配列を解析する場合は、パラメーターは、例えばscore=100、wordlength=12とする。また、BLASTXを用いてアミノ酸配列を解析する場合は、パラメーターは、例えばscore=50、wordlength=3とする。BLASTとGapped BLASTプログラムを用いる場合は、各プログラムのデフォルトパラメーターを用いる。もしくは、タンパク質のアミノ酸配列の同一性を求める際、比較する2種類のタンパク質のアミノ酸配列を並べ、同じアミノ酸残基である部分の数を数えることにより「(同一なアミノ酸残基数/タンパク質全長のアミノ酸残基数)×100(%)」により求めることもできる。
本発明で見出されたヒト由来抗hMPV抗体、およびその抗原結合性断片と、それらの配列表におけるアミノ酸配列の配列番号との対応関係を表1に示す。
これら得られた抗体の中でエピトープ・グループが同一であり、中和活性、CDR配列も非常によく類似していたEV046143(VH:配列番号102,VL:配列番号107)およびEV046150(VH:配列番号122,VL:配列番号127)について、配列の同一性を解析してみると、H鎖の可変領域(配列番号102と122)においては、約73%の同一性がめられた。L鎖の可変領域のアミノ酸配列(配列番号107と127)においては、約82%の同一性が認められた。それぞれのFR領域(FR1+FR2+FR3+FR4)においては、VHでは83%の同一性、VLでは約89%の同一性であった。また、CDRのアミノ酸配列に関しては、H鎖CDR1のアミノ酸配列(配列番号103と123)では60%(3/5)において、同一性が認められた。H鎖CDR2のアミノ酸配列(配列番号104と124)においては約53%(9/17)の同一性が認められた。H鎖CDR3のアミノ酸配列(配列番号105と125)を比較すると、37.5%(6/16)の同一性が認められた。まとめると、H鎖のCDR全体で約46%(18/38)の同一性を有していた。一方、L鎖CDR1のアミノ酸配列(配列番号108と128)を比較すると、約42%(5/12)の同一性が認められた。L鎖CDR2のアミノ酸配列(配列番号109と129)では、約87%(6/7)の同一性が認められた。更には、L鎖CDR3のアミノ酸配列(配列番号120と130)を比較すると、75%(6/8)の同一性が認められた。まとめると、L鎖のCDR全体で約63%(17/72)の同一性を有していた。従って、これらを総合的に判断すると、上記13種の抗体とCDR配列が全体で50%以上の同一性を有する抗体またはその断片の場合、同様な結合活性およびhMPVの中和活性を有する可能性がある。ましてや、60%以上(好ましくは、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上)の同一性を有する場合、言い換えると各3つのCDR配列(CDR1、CDR2、およびCDR3)全体で1から数個(具体的には、1〜15個、1〜10個、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個または1個)のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、付加、またはこれらのいずれか2つ以上の組み合わせの変異を有するアミノ酸配列である場合、上記13個の抗hMPV抗体と同様な結合活性および中和活性を有する可能性がある。
従って、本発明の好ましい抗体または抗原結合性断片は、例えば、配列番号3〜5および8〜10、13〜15および18〜20、23〜25および28〜30、33〜35および38〜40、43〜45および48〜50、53〜55および58〜60、63〜65および68〜70、73〜75および78〜80、83〜85および88〜90、93〜95および98〜100、103〜105および108〜110、113〜115および118〜120、ならびに、123〜125および128〜130の組合せ群の中から選ばれた1つの組合せ中の6個のアミノ酸配列が、それぞれ重鎖のCDR1、CDR2およびCDR3、ならびに、軽鎖のCDR1、CDR2およびCDR3に相当する場合である。しかし、hMPVのFタンパク質に特異的に結合し、その生物活性を中和し得るモノクローナル抗体であれば、CDR配列は、配列番号3〜5および8〜10、13〜15および18〜20、23〜25および28〜30、33〜35および38〜40、43〜45および48〜50、53〜55および58〜60、63〜65および68〜70、73〜75および78〜80、83〜85および88〜90、93〜95および98〜100、103〜105および108〜110、113〜115および118〜120、ならびに、123〜125および128〜130の組合せ群の中から選ばれた1つの組合せ中の6個のアミノ酸配列において、1〜数個(具体的には、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個または1個)もしくは、CDR配列中のアミノ酸残基数の50%以下(好ましくは、40%、30%、20%、または10%以下)のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、付加、またはこれらのいずれか2つ以上の組み合わせの変異を有するアミノ酸配列であってもよい。また、CDR以外のアミノ酸配列は特に限定されず、CDR以外のアミノ酸配列が他の抗体、特に、他種の抗体由来である、いわゆるCDR移植抗体も本発明の抗体に包含される。この内、CDR以外のアミノ酸配列もヒト由来である抗体がより好ましいが、必要に応じてフレームワーク領域(FR)に1ないし数個(具体的には、1〜30個、1〜25個、1〜20個、1〜15個、1〜10個、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個または1個)のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、付加、またはこれらのいずれか2つ以上の組み合わせの変異があってもよい。
また、場合によっては、hMPVのFタンパク質に特異的に結合し、その生物活性を中和し得るモノクローナル抗体であれば、当該抗体に含まれる6個のCDR配列の組合せは、配列番号3〜5および8〜10、13〜15および18〜20、23〜25および28〜30、33〜35および38〜40、43〜45および48〜50、53〜55および58〜60、63〜65および68〜70、73〜75および78〜80、83〜85および88〜90、93〜95および98〜100、103〜105および108〜110、113〜115および118〜120、ならびに、123〜125および128〜130、の組合せ群の中から選ばれた1つの組合せ中の6個のアミノ酸配列の中の5個〜1個が他の6個の組合せの中の異なるアミノ酸配列と一部置換わった場合(例えば、配列番号3〜5および8〜10が、それぞれ重鎖のCDR1、CDR2およびCDR3、ならびに、軽鎖のCDR1、CDR2およびCDR3に相当する場合、その中の重鎖のCDR2(配列番号4)およびCDR3(配列番号5)が、配列番号13〜15および18〜20の組合せ中の重鎖のCDR2(配列番号14)およびCDR3(配列番号15)と置換わる場合である。)も本発明に含まれる。
本発明において、抗hMPV抗体の好ましい別の実施形態としては、(a)配列番号2、12、22、32、42、52、62、72、82、92、102、112、および122のアミノ酸配列;配列番号2、12、22、32、42、52、62、72、82、92、102、112、および122のアミノ酸配列において1〜数個(具体的には、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個または1個)のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、付加、またはこれらのいずれか2つ以上の組み合わせの変異を有するアミノ酸配列;もしくは、配列番号2、12、22、32、42、52、62、72、82、92、102、112、および122のアミノ酸配列と60%以上(好ましくは、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%、98%以上、または99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列の群から選択される重鎖可変領域(VH)、および、(b)配列番号7、17、27、37、47、57、67、77、87、97、107、117、および127のアミノ酸配列;配列番号7、17、27、37、47、57、67、77、87、97、107、117、および127のアミノ酸配列の配列において1〜数個(具体的には、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個または1個)のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、付加、またはこれらのいずれか2つ以上の組み合わせの変異を有するアミノ酸配列;もしくは、配列番号7、17、27、37、47、57、67、77、87、97、107、117、および127のアミノ酸配列と60%以上(好ましくは、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%、98%以上、または99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列の群から選択される軽鎖可変領域(VL)、を含有する、抗体またはその抗原結合性断片。
本発明において、抗hMPV抗体の更に好ましい別の実施形態としては、(a-1)配列番号2のアミノ酸配列;配列番号2のアミノ酸配列において、1〜数個(具体的には、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個または1個)のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、付加、またはこれらのいずれか2つ以上の組み合わせの変異を有するアミノ酸配列;または配列番号2のアミノ酸配列と60%以上(好ましくは、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列で示される重鎖可変領域(VH)と、(b-1)配列番号7のアミノ酸配列;配列番号7のアミノ酸配列中1〜数個(具体的な数は上記と同様)のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、付加、またはこれらのいずれか2つ以上の組み合わせの変異を有するアミノ酸配列;または配列番号7のアミノ酸配列と60%以上(具体的な%は上記と同様)の同一性を有するアミノ酸配列で示される軽鎖可変領域(VL)を含有する。
または、抗hMPV抗体の好ましい別の実施形態としては、(a-2)配列番号12のアミノ酸配列;配列番号12のアミノ酸配列において、1〜数個(具体的には、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個または1個)のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、付加、またはこれらのいずれか2つ以上の組み合わせの変異を有するアミノ酸配列;または配列番号12のアミノ酸配列と60%以上(好ましくは、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列で示される重鎖可変領域(VH)と、(b-2)配列番号17のアミノ酸配列;配列番号17のアミノ酸配列中1〜数個(具体的な数は上記と同様)のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、付加、またはこれらのいずれか2つ以上の組み合わせの変異を有するアミノ酸配列;または配列番号17のアミノ酸配列と60%以上(具体的な%は上記と同様)の同一性を有するアミノ酸配列で示される軽鎖可変領域(VL)を含有する。
または、抗hMPV抗体の好ましい別の実施形態としては、(a-3)配列番号22のアミノ酸配列;配列番号22のアミノ酸配列において、1〜数個(具体的には、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個または1個)のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、付加、またはこれらのいずれか2つ以上の組み合わせの変異を有するアミノ酸配列;または配列番号22のアミノ酸配列と60%以上(好ましくは、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列で示される重鎖可変領域(VH)と、(b-3)配列番号27のアミノ酸配列;配列番号27のアミノ酸配列中1〜数個(具体的な数は上記と同様)のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、付加、またはこれらのいずれか2つ以上の組み合わせの変異を有するアミノ酸配列;または配列番号27のアミノ酸配列と60%以上(具体的な%は上記と同様)の同一性を有するアミノ酸配列で示される軽鎖可変領域(VL)を含有する。
本発明において、抗hMPV抗体の好ましい別の実施形態としては、(a-4)配列番号33のアミノ酸配列;配列番号33のアミノ酸配列において、1〜数個(具体的には、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個または1個)のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、付加、またはこれらのいずれか2つ以上の組み合わせの変異を有するアミノ酸配列;または配列番号33のアミノ酸配列と60%以上(好ましくは、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列で示される重鎖可変領域(VH)と、(b-4)配列番号38のアミノ酸配列;配列番号38のアミノ酸配列中1〜数個(具体的な数は上記と同様)のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、付加、またはこれらのいずれか2つ以上の組み合わせの変異を有するアミノ酸配列;または配列番号38のアミノ酸配列と60%以上(具体的な%は上記と同様)の同一性を有するアミノ酸配列で示される軽鎖可変領域(VL)を含有する。
または、抗hMPV抗体の好ましい別の実施形態としては、(a-5)配列番号43のアミノ酸配列;配列番号43のアミノ酸配列において、1〜数個(具体的には、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個または1個)のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、付加、またはこれらのいずれか2つ以上の組み合わせの変異を有するアミノ酸配列;または配列番号43のアミノ酸配列と60%以上(好ましくは、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列で示される重鎖可変領域(VH)と、(b-5)配列番号47のアミノ酸配列;配列番号47のアミノ酸配列中1〜数個(具体的な数は上記と同様)のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、付加、またはこれらのいずれか2つ以上の組み合わせの変異を有するアミノ酸配列;または配列番号47のアミノ酸配列と60%以上(具体的な%は上記と同様)の同一性を有するアミノ酸配列で示される軽鎖可変領域(VL)を含有する。
または、抗hMPV抗体の好ましい別の実施形態としては、(a-6)配列番号52のアミノ酸配列;配列番号57のアミノ酸配列において、1〜数個(具体的には、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個または1個)のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、付加、またはこれらのいずれか2つ以上の組み合わせの変異を有するアミノ酸配列;または配列番号57のアミノ酸配列と60%以上(好ましくは、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列で示される重鎖可変領域(VH)と、(b-6)配列番号62のアミノ酸配列;配列番号62のアミノ酸配列中1〜数個(具体的な数は上記と同様)のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、付加、またはこれらのいずれか2つ以上の組み合わせの変異を有するアミノ酸配列;または配列番号62のアミノ酸配列と60%以上(具体的な%は上記と同様)の同一性を有するアミノ酸配列で示される軽鎖可変領域(VL)を含有する。
本発明において、抗hMPV抗体の好ましい別の実施形態としては、(a-7)配列番号62のアミノ酸配列;配列番号62のアミノ酸配列において、1〜数個(具体的には、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個または1個)のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、付加、またはこれらのいずれか2つ以上の組み合わせの変異を有するアミノ酸配列;または配列番号62のアミノ酸配列と60%以上(好ましくは、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列で示される重鎖可変領域(VH)と、(b-7)配列番号67のアミノ酸配列;配列番号67のアミノ酸配列中1〜数個(具体的な数は上記と同様)のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、付加、またはこれらのいずれか2つ以上の組み合わせの変異を有するアミノ酸配列;または配列番号67のアミノ酸配列と60%以上(具体的な%は上記と同様)の同一性を有するアミノ酸配列で示される軽鎖可変領域(VL)を含有する。
または、抗hMPV抗体の好ましい別の実施形態としては、(a-8)配列番号72のアミノ酸配列;配列番号72のアミノ酸配列において、1〜数個(具体的には、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個または1個)のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、付加、またはこれらのいずれか2つ以上の組み合わせの変異を有するアミノ酸配列;または配列番号72のアミノ酸配列と60%以上(好ましくは、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列で示される重鎖可変領域(VH)と、(b-8)配列番号77のアミノ酸配列;配列番号77のアミノ酸配列中1〜数個(具体的な数は上記と同様)のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、付加、またはこれらのいずれか2つ以上の組み合わせの変異を有するアミノ酸配列;または配列番号77のアミノ酸配列と60%以上(具体的な%は上記と同様)の同一性を有するアミノ酸配列で示される軽鎖可変領域(VL)を含有する。
または、抗hMPV抗体の好ましい別の実施形態としては、(a-9)配列番号82のアミノ酸配列;配列番号82のアミノ酸配列において、1〜数個(具体的には、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個または1個)のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、付加、またはこれらのいずれか2つ以上の組み合わせの変異を有するアミノ酸配列;または配列番号82のアミノ酸配列と60%以上(好ましくは、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列で示される重鎖可変領域(VH)と、(b-9)配列番号87のアミノ酸配列;配列番号87のアミノ酸配列中1〜数個(具体的な数は上記と同様)のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、付加、またはこれらのいずれか2つ以上の組み合わせの変異を有するアミノ酸配列;または配列番号87のアミノ酸配列と60%以上(具体的な%は上記と同様)の同一性を有するアミノ酸配列で示される軽鎖可変領域(VL)を含有する。
本発明において、抗hMPV抗体の好ましい別の実施形態としては、(a-10)配列番号92のアミノ酸配列;配列番号92のアミノ酸配列において、1〜数個(具体的には、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個または1個)のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、付加、またはこれらのいずれか2つ以上の組み合わせの変異を有するアミノ酸配列;または配列番号92のアミノ酸配列と60%以上(好ましくは、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列で示される重鎖可変領域(VH)と、(b-10)配列番号97のアミノ酸配列;配列番号97のアミノ酸配列中1〜数個(具体的な数は上記と同様)のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、付加、またはこれらのいずれか2つ以上の組み合わせの変異を有するアミノ酸配列;または配列番号97のアミノ酸配列と60%以上(具体的な%は上記と同様)の同一性を有するアミノ酸配列で示される軽鎖可変領域(VL)を含有する。
または、抗hMPV抗体の好ましい別の実施形態としては、(a-11)配列番号102のアミノ酸配列;配列番号102のアミノ酸配列において、1〜数個(具体的には、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個または1個)のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、付加、またはこれらのいずれか2つ以上の組み合わせの変異を有するアミノ酸配列;または配列番号102のアミノ酸配列と60%以上(好ましくは、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列で示される重鎖可変領域(VH)と、(b-11)配列番号107のアミノ酸配列;配列番号107のアミノ酸配列中1〜数個(具体的な数は上記と同様)のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、付加、またはこれらのいずれか2つ以上の組み合わせの変異を有するアミノ酸配列;または配列番号107のアミノ酸配列と60%以上(具体的な%は上記と同様)の同一性を有するアミノ酸配列で示される軽鎖可変領域(VL)を含有する。
または、抗hMPV抗体の好ましい別の実施形態としては、(a-12)配列番号112のアミノ酸配列;配列番号112のアミノ酸配列において、1〜数個(具体的には、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個または1個)のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、付加、またはこれらのいずれか2つ以上の組み合わせの変異を有するアミノ酸配列;または配列番号112のアミノ酸配列と60%以上(好ましくは、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列で示される重鎖可変領域(VH)と、(b-12)配列番号117のアミノ酸配列;配列番号117のアミノ酸配列中1〜数個(具体的な数は上記と同様)のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、付加、またはこれらのいずれか2つ以上の組み合わせの変異を有するアミノ酸配列;または配列番号117のアミノ酸配列と60%以上(具体的な%は上記と同様)の同一性を有するアミノ酸配列で示される軽鎖可変領域(VL)を含有する。
または、抗hMPV抗体の好ましい別の実施形態としては、(a-13)配列番号122のアミノ酸配列;配列番号122のアミノ酸配列において、1〜数個(具体的には、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個または1個)のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、付加、またはこれらのいずれか2つ以上の組み合わせの変異を有するアミノ酸配列;または配列番号122のアミノ酸配列と60%以上(好ましくは、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列で示される重鎖可変領域(VH)と、(b-13)配列番号127のアミノ酸配列;配列番号127のアミノ酸配列中1〜数個(具体的な数は上記と同様)のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、付加、またはこれらのいずれか2つ以上の組み合わせの変異を有するアミノ酸配列;または配列番号127のアミノ酸配列と60%以上(具体的な%は上記と同様)の同一性を有するアミノ酸配列で示される軽鎖可変領域(VL)を含有する。
これら抗体の作製方法は公知の方法を用いることができる(Riechmann L, et al., Reshaping human antibodies for therapy. Nature, 332:323-327, 1988)。本発明においては、勿論、完全ヒト抗体が好ましい。
3.本発明に係る抗体等をコードする核酸
本発明の別の実施形態によれば、hMPVのFタンパク質に特異的に結合し、その生物活性を中和し得る抗hMPV抗体またはその抗原結合性断片をコードする核酸(ヌクレオチド)であって、配列番号4〜15、18〜29、および32〜43からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードする核酸、および該核酸と高い同一性を有する単離された核酸も本発明に含まれる。ここで、「高い同一性を有する」とは、高ストリンジェントな条件下で所定の核酸配列に対してハイブリダイズすることができる程度の配列同一性を意味し、例えば、60%、70%、80%、90%、または95%、またはそれを超える同一性を有することを意味する。高ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸から選択される単離された核酸が提供される。好ましくは、上記核酸はDNAまたはRNAであり、より好ましくはDNAである。
「高ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、50℃の条件である。(例えば、J.SambrookらのMolecular Cloning, A Laboratory Manual 2nd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989), 特に11.45節"Conditions for Hybridization of Oligonucleotide Probes"参照)。これらの条件において、温度を上げるほど高い同一性を有するポリヌクレオチド(例えば、DNA)が効率的に得られることが期待できる。ただし、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに影響する要素としては温度、プローブ濃度、プローブの長さ、イオン強度、時間、塩濃度など複数の要素が考えられ、当業者であればこれら要素を適宜選択することで同様のストリンジェンシーを実現することが可能である。
上記高ストリンジェントな条件でハイブリダイズする核酸としては、アミノ酸配列をコードする核酸と、例えば、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、97%以上または99%以上の同一性を有する核酸が含まれる。
塩基配列の同一性は、上述した同一性検索アルゴリズムなどを利用して決定することが出来る(Proc. Natl. Acad.Sci. USA 872264-2268, 1990; Proc Natl Acad Sci USA 90: 5873, 1993)。
なお、本発明の抗hMPV抗体をコードする核酸として好ましい核酸は、配列番号3〜5、8〜10、13〜15、18〜20、23〜25、28〜30、33〜35、38〜40、43〜45、48〜50、53〜55、58〜60、63〜65、68〜70、73〜75、78〜80、83〜85、88〜90、93〜95、98〜100、103〜105、108〜110、113〜115、118〜120、123〜125、および128〜130の26種CDR配列の組合せの中の、いずれか1つの組合せのCDR配列を含む抗体のH鎖もしくはL鎖またはその抗原結合性断片をコードするDNA、さらに好ましくは、配列番号2、7、12、17、22、27、32、37、42、47、52、57、62、67、72、77、82、87、92、97、102、107、112、117、122、および127の中のいずれかのVHまたはVL含む抗体のH鎖もしくはL鎖またはその抗原結合性断片をコードするDNA、もしくは、これら核酸(DNA)のいずれかと高ストリンジェントな条件でハイブリダイズする単離された核酸である。
さらにより好ましい核酸は、配列番号1、6、11、16、21、26、31、36、41、46、51、56、61、66、71、76、81、86、91、96、101、106、111、116、121、もしくは126のアミノ酸配列をコードする核酸、もしくは、これら核酸のいずれかと高ストリンジェントな条件でハイブリダイズする単離された核酸である。
4.本発明に係るベクター、宿主細胞および抗体の作製方法
本発明は、上記核酸を組込んだベクターおよびそのベクターが導入された宿主細胞、これらを用いる抗体の作製方法にも関する。
本発明の抗体は、公知の方法を用いた組換えヒト抗体としても作製できる(Nature,312:643,1984 、Nature,321:522,1986など参照)。例えば、本発明の抗体は、本発明に係るベクターを導入した宿主細胞を培養し、培養上清などから、産生された抗体を精製することによって作製することができる。より具体的には、VHおよびVLをコードするcDNAを同一細胞または別のヒト細胞より作製したヒト抗体CHおよび/またはヒト抗体CLをコードする遺伝子を含有する動物細胞用発現ベクターにそれぞれ挿入してヒト抗体発現ベクターを構築し、動物細胞へ導入し発現させることにより製造することができる。
本発明の抗体のVHまたはVLをコードする核酸を組み込むベクターとしては、必ずしも限定されないが、蛋白質遺伝子等の発現に汎用され、特に抗体遺伝子の発現に適合するベクターまたは高発現用ベクターが好ましい。好適な例としては、EFプロモーターおよび/またはCMVエンハンサーを含有するベクターが挙げられる。また、通常VHまたはVLをコードする核酸を組み込んだ発現ベクターをそれぞれ作製し、宿主細胞にコトランスフェクトするが、単一の発現ベクターに組み込んでも良い。
発現ベクターを導入する宿主細胞としては、必ずしも限定されないが、蛋白質遺伝子等の発現に汎用され、特に抗体遺伝子の発現に適合する細胞が好ましい。例えば、細菌(大腸菌等)、放線菌、酵母、昆虫細胞(SF9等)、哺乳類細胞(COS−1、CHO、ミエローマ細胞等)が挙げられる。
組換抗体を工業的に生産するためには、一般的には当該抗体を安定して高生産する組換動物細胞株、例えば、CHO細胞株が利用される。そのような組換細胞株の作製、クローン化、高発現のための遺伝子増幅およびスクリーニングは公知の方法を用いることができる(例えば、Omasa T.: J. Biosci. Bioeng., 94, 600-605, 2002等参照)。
本発明は重鎖2本と軽鎖2本からなる抗体のほかに、本発明の抗体の抗原結合性断片も含まれる。抗原結合性断片としては、例えばFab (Fragment of antigen binding )、Fab'、F(ab')2があり、抗体の活性断片をリンカー等で結合したものとして例えば一本鎖抗体(single chain Fv:scFv)やジスルフィド安定化抗体(disulfide stabilized Fv:dsFv)があり、抗体の活性断片を含むペプチドとして例えばCDR を含有するペプチドが挙げられる。これらは、本発明の抗体を適当な蛋白分解酵素で処理する方法または遺伝子組換技術等、公知の方法で製造することができる。
抗体の精製は、塩析法、ゲル濾過法、イオン交換クロマト法またはアフィニティークロマト法等の公知の精製手段を用いて行うことができる。
その他、近年開発された、遺伝子工学技術を活用して組み換え抗体(リコンビナント抗体)をファージ表面に発現させる、ファージディスプレイ抗体技術により、人工的にVH、VL遺伝子をシャッフリングさせ多様化したscFv(singlechain Fragment of variable region)抗体をファージ融合タンパクとして発現させ、特異抗体を得ることもできる。この技術は、免疫を回避でき、さらに細胞融合法に変わるヒト化抗体作製技術として高く評価されている。この技術を用いて、本願明細書における配列番号2〜6、8〜12、14〜18、および20〜24のアミノ酸配列を参考に作製した特異抗体またはその抗原結合性断片であれば、本発明の技術的範囲内に属する。
また更には、近年開発された抗体の糖鎖部分の修飾により抗体のADCC活性を大幅に改善するポテリジェント(Potellegent)技術を本発明の抗体に応用して得られた抗体(Clin.Cancer Res., 10,6248-6255(2004)参照)や、CDC活性を改善するコンプリジェント(Complegnent)技術を本発明の抗体に応用して得られた抗体(Glycobiology, 17, 104-118(2007)参照)も、本発明の技術範囲に属する。同様に、近年開発された抗体の定常領域部分のアミノ酸配列を修飾することにより、ADCC活性(WO2007/039682及びWO2007/100083)やCDC活性(WO2007/011041及びWO2011/091078)を改変する方法で得られた抗体も、本発明の技術範囲に属する。
更にまた、当該抗体にプロテアーゼ耐性能力を付加し、経口投与可能にするために行うFc領域の部分的な置換技術(WO2006/071877参照)を応用して得られた抗体またはその抗原結合性断片であれば、本発明の技術的範囲内に属する。
なお、抗体作製の手法として、通常はマウス、ウサギ、ヤギ等の実験動物を利用してポリクローナル抗体や、モノクローナル抗体を取得することが行われているが、このようにして得られる抗体は用いた動物種に特徴的な配列を有しているので、そのままヒトに投与するとヒト免疫系により異物として認識され、ヒト抗動物抗体応答が起こる(即ち、抗体の抗体を作ってしまう)ことがある。
本発明に係る抗hMPVモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片は、健常人などの血液由来の抗体産生細胞から得ることができ、それは完全ヒト抗体である。この完全ヒト抗体は、抗体医薬として人体に投与したとしても、免疫原性を有さず、免疫反応は見られないものと考えられる。
なお、特に本発明のhMPVのFタンパク質に対するモノクローナル抗体においては、従来の抗hMPV抗体よりさらに高い中和能を有するため、より少ない投与量で同程度の治療効果が期待できる。
5.本発明に係る抗体を含有する医薬組成物
次に、本発明は、上記抗体またはその抗原結合部分および薬学的に許容可能な担体を含む、hMPVによる呼吸器疾患を予防または治療するための医薬組成物を提供する。
特に、本発明に係る抗hMPV抗体またはその抗原結合性断片は、hMPVのFタンパク質に特異的に結合し、従来の抗hMPVのFタンパク質抗体より高い中和能を有するので、hMPV が関与する疾患の予防または治療薬として有用である。
本明細書で使用される「薬学的に許容可能な担体」には、生理学的に適合可能な任意の、または全ての溶媒、分散媒、コーティング、等張剤および吸収遅延剤などが含まれる。
薬学的に許容可能な担体の例には、水、塩類溶液、リン酸緩衝化生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなどの1種または複数、ならびにこれらの組合せが含まれる。注射剤などとして使用される場合、pH調節剤や等張剤、例えば糖や、マンニトール、ソルビトールなどのポリアルコール、または塩化ナトリウムを組成物中に含むことが好ましい。薬学的に許容可能な担体には、さらに、湿潤剤や乳化剤、防腐剤、緩衝剤、安定化剤など、抗体または抗体部分の保存性または有効性を増大させる少量の補助物質を含めることができる。
本発明の組成物は、様々な剤型にすることができる。そのような組成物には、例えば、溶液(例えば注射可能であり輸液可能な溶液)や分散液、懸濁液、錠剤、カプセル、トローチ、ピル、粉末、リポソーム、坐剤など、液体、半固体、固体の剤型が含まれる。好ましい形は、意図される投与形態および治療の適用例により異なる。一般に好ましい組成物は、他の抗体でヒトを受動免疫化するために使用されるものと同様の組成物など、注射可能または輸液可能な溶液の形にあるものである。好ましい投与形態は、非経口的なもの(例えば静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内から)である。好ましい実施形態では、抗体は、静脈輸液または静脈注射によって投与される。別の好ましい実施形態では、抗体は筋肉内注射または皮下注射によって投与される。
本発明の抗体および抗体断片は、非経口投与に適する医薬品組成物に組み込むことができる。抗体または抗体部分は、単独種類を使用する場合には、0.1〜250mg/mLの抗体を含有する注射可能な製剤として調製することが好ましい。一方、複数種類の抗体を混合して使用する場合には、0.001〜100mg/mLの抗体を含有する注射可能な製剤として調製することが好ましい。なお、その複数種類の抗体の混合割合は、適宜設定することができる。
注射可能な製剤は、有効成分を液体に溶解したものまたは有効成分を凍結乾燥させたものを、フリントまたはアンバーバイアル、アンプル、またはプレフィルドシリンジに入れたもので構成することができる。緩衝剤は、pH5.0〜7.0(最適な場合、pH6.0)のL−ヒスチジン(1〜50mM)、最適な場合は5〜10mMのL−ヒスチジンにすることができる。その他の適切な緩衝剤には、コハク酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、またはリン酸カリウムが含まれるが、これらに限定されない。濃度0〜300mMの溶液(液体剤型に関しては、最適な場合、150mM)の浸透圧を変えるために、塩化ナトリウムを使用することができる。凍結乾燥させた剤型には、凍結保護物質、主に0〜10%(最適な場合、0.5〜5.0%)のスクロースを含めることができる。その他の適切な凍結保護物質にはマンニトール、トレハロースおよびラクトースが含まれる。凍結乾燥させた剤型には、増量剤、主に1〜10%のマンニトール(最適な場合、2〜4%)を含めることができる。液体および凍結乾燥させた剤型の両方には、安定剤、主に1〜50mM(最適な場合、5〜10mM)のL−メチオニンを使用することができる。その他の適切な安定剤にはグリシン、アルギニンおよびポリソルベート80等が含まれ、ポリソルベート80の場合、0〜0.05%(最適な場合、0.005〜0.01%)を含めることができる。他の界面活性剤には、ポリソルベート20およびBRIJ界面活性剤が含まれるが、これらに限定されない。
本医薬組成物は、一般に、製造および貯蔵の条件下で無菌または安定でなければならない。この組成物は、溶液、ミクロエマルジョン、分散液、リポソーム、または高い薬物濃度に適するその他のオーダーされた構造として、処方することができる。無菌の注射可能な溶液は、必要とされる量の活性化合物(すなわち抗体または抗体部分)を、必要な場合には上述の成分の1つまたは組合せと共に適切な溶媒に混ぜ、その後、濾過滅菌を行うことによって調製することができる。一般に、活性化合物を、基本的な分散媒および上記列挙したものから必要とされるその他の成分を含有する無菌ビークル(vehicle)に混ぜることによって、分散液を調製する。無菌の注射可能な溶液を調製するための無菌粉末製剤の場合、好ましい調製方法は、前に述べたその滅菌濾過溶液の凍結真空乾燥および噴霧乾燥であり、それによって、活性成分の粉末に加え、任意の他の所望の成分を含んだ組成物が得られる。溶液の適正な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングを使用することによって、また、分散液の場合には必要とされる粒度を維持することによって、また、界面活性剤を使用することによって、維持することができる。注射可能な組成物の長期にわたる吸収は、その組成物中に、吸収を遅延させる薬剤、例えばモノステアリン酸塩やゼラチンを含めることによって行うことができる。
6.本発明に係る抗hMPV抗体およびその抗原結合性断片を取得する工程
次に、本発明に係る抗hMPVモノクローナル抗体およびその抗原結合性断片を得た工程について説明するが、本発明に係る抗体等を得る手法はこれらの記載に何ら限定されるものではなく、上述したとおり、当該技術分野における通常の変更ができることは言うまでもない。
本発明に係る抗hMPV抗体およびその抗原結合性断片は、ヒトの血液から種々の工程を経て、該抗体を産生する細胞クローンを分離し、抗体産生細胞クローンの培養上清より得られた抗体について、アフィニティー精製を行うことによって得ることができる。
1)hMPVのFタンパク質に対する完全ヒト抗体産生細胞クローンの分離
ヒトの血液からBリンパ球を分離し、該Bリンパ球の増殖を誘導する。増殖誘導の方法自体は公知であり、例えばガンの誘因因子となる「エプスタイン・バールウイルス(EBウイルス)」(Epstein−Barr virus)(以下、EBVと称す)を用いたトランスフォーム法(D.Kozborら)により、行うことができる。
即ち、上記Bリンパ球をEBVに感染させて増殖誘導し、増殖させた細胞を抗体産生細胞ライブラリとする。
2)抗体産生細胞ライブラリからモノクローナル抗体の回収
増殖誘導させた細胞からモノクローナル抗体を回収する方法はモノクローナル抗体の作製 において常用されている周知の方法により行うことができる。
前記抗体産生細胞ライブラリの中からhMPVのFタンパク質に結合する抗体を作り出すリンパ球クローンを選別、その培養上清から抗体を取り出す。即ち、前記抗体産生細胞ライブラリから限界希釈法によりhMPVのFタンパク質に結合する抗体を産生する細胞集団(クローン)を選択する。
hMPVのFタンパク質と結合するクローンの検出には、当該Fタンパク質を抗原としたELISAおよび標識マウス抗ヒトIgG抗体を用いたELISAを採用して行うことができる。または、Fタンパク質発現ベクターを細胞に導入、それを発現させた細胞を固定したスクリーニングプレート用いてhMPV抗体を検出する方法(細胞蛍光免疫染色スクリーニング法)を用いることもできる。
選択された抗体陽性細胞集団を培養し、スクリーニングを繰り返すことによって、目的とする抗体のみを産生する細胞集団(クローン)を得ることができる。以上の抗体産生細胞クローンの分離までの工程を表すフローチャートを図1に示す。
3)ProteinAもしくはGを用いたアフィニティー精製
抗hMPV抗体を精製するには、選抜された細胞を、ディシュ、ローラ瓶、2リットル入りスピナー・フラスコ、または他の培養系で増殖させることができる。
得られた培養上清を濾過し、濃縮してからプロテインAあるいはプロテインG−セファロース(GEヘルスケア社)などによるアフィニティ・クロマトグラフィにかけて当該タンパク質を精製することができる。緩衝液をPBSに交換し、OD280または好ましくはネフェロメータ分析により、濃度を判定できる。アイソタイプはアイソタイプ抗原に特異的な方法で調べることができる。このようにして得られた抗hMPV抗体は、ヒト体内で感作されたBリンパ球から作製した完全ヒト抗体であるので、抗体に対する免疫反応の可能性が低い。
又、抗体産生細胞クローン作製に関して、Bリンパ球に感染して増殖誘導させる活性があるEBウイルスを利用している点も特徴である。
EBウイルス法の利点は、ヒトの体内で作られるナチュラルな抗体を作製できる点および親和性の高い抗体が得られる点である。例えば、ある種のウイルス(例えば、ヒトCMV)に対するヒト抗体は、マウスを人工的に免疫して作られた抗体より約10〜100倍親和性が高いことが判明している。EBウイルス感染で増殖したBリンパ球集団は抗体産生細胞のライブラリとなる。このライブラリから特定の抗体産生細胞クローンを分離しヒト抗体を得ることができる。
7.In vitroでの活性を評価する工程
抗体または抗体組成物の生物学的特性は、hMPVのFタンパク質の生物活性を当該抗体がin vitroで抑制する能力を試験することによって評価することができる。抗体のin vitro評価法には、ELISAなどの結合アッセイ法および中和アッセイ法等が含まれる。
1)結合活性
ここで「特異的に結合する」または「特異的結合」とは、所定の抗原を認識してそれに結合すること言う。抗体とhMPVのFタンパク質との結合親和性を測定するには、公知の方法を用いることができる。例えば、チップ上に固定化したFタンパク質を用いてBiacore T200(登録商標)のような蛋白質相互作用解析装置により測定することができる。結合親和性(KD値)は、当該測定法で得られたKd(解離定数)とKa(結合定数)の比(KD=Kd/Ka)で表示される。本発明に係るヒト抗hMPV抗体またはその抗原結合性断片は、好ましくは、JPS02-76(hMPV_B1型)のFタンパクに対する、結合親和性(KD値)が1×10-8M以下、好ましくは1×10-9M以下、より好ましくは6×10-10M以下である。
2)In vitro中和活性
本明細書で使用される、「中和」、「阻害効果」、「阻害」、「抑制」、「阻害し得る」等々の用語は、抗原(hMPV)に起因する生物活性を約5〜100%、好ましくは10〜100%、より好ましくは20〜100%、より好ましくは30〜100%、より好ましくは40〜100%、より好ましくは50〜100%、より好ましくは60〜100%、より好ましくは70〜100%、さらに好ましくは80〜100%、低減させることをいう。
抗hMPV抗体のin vitro中和能評価については、hMPVの4種のサブグループ(A1、A2、B1及びB2型)の代表的な株を用いて実施することができる(J.Vorol. 2008 p8942-8946)。例えば、使用するhMPV株としては、A1型としてJPS03-180株、A2型としてJPS03-178株、B1型としてJPS02-76株、およびB2型としてJPS05-21株を使用し、LLC-MK2細胞への感染能を抗hMPV抗体存在下で調べることにより、当該抗体の中和能を評価出来る。
参考までに、マウス抗体ではあるが、これまでに報告されている抗hMPV抗体の中で、hMPVのA1,A2,B1,B2のいずれの型の株にも高い中和活性を有していると報告されている抗体mAb338(WO2006/110214)、およびヒト抗体でRSV及びhMPVのいずれにも高い中和活性を示すHMB3210(WO2013/140247)を共に、陽性コントロールとして使用した。
本発明に係る抗hMPV抗体またはその抗原結合性断片は、LLC-MK2細胞を用いたhMPV感染能の評価系で、JPS03-180(A1型)、JPS03-178(A2型)、JPS02-76(B1型)、およびJPS05-21(B2型)のいずれの株に対しても、好ましくは約2.3μg/mL(約15nM)以下、より好ましくは約1μg/mL(約6.7nM)以下、さらにより好ましくは、約0.6μg/mL(約4nM)以下、最も好ましくは約0.3μg/mL(約2nM)以下で50%の感染阻害活性(IC50)を有する。もしくは、JPS03-180(A1型)、JPS03-178(A2型)、JPS02-76(B1型)、およびJPS05-21(B2型)のいずれの株に対しても、好ましくは約3.5μg/mL(約23nM)以下、より好ましくは約2μg/mL(約13.3nM)以下、さらにより好ましくは約1μg/mL(約6.7nM)以下で、最も好ましくは約0.7μg/mL(約4.7nM)以下で90%の感染阻害活性(IC90)を有する。
もしくは、JPS03-178(A2型)を用いた評価系で、約2μg/mL(約13.3nM)以下、好ましくは約1μg/mL(約6.7nM)以下、より好ましくは、約0.5μg/mL(約3.3nM)以下で、さらに好ましくは約0.2μg/mL(約1.33nM)以下で、さらにより好ましくは約0.1μg/mL(約0.67nM)以下、最も好ましくは約0.03μg/mL(約0.2nM)以下で50%の感染阻害活性(IC50)を有するヒト抗体またはその抗原結合性断片は、本発明に含まれる。
もしくは、JPS03-178(A2型)を用いた評価系で、約6μg/mL(約40nM)以下、好ましくは約1μg/mL(約6.7nM)以下、より好ましくは、約0.2μg/mL(約1.33nM)以下で、さらに好ましくは約0.1μg/mL(約0.67nM)以下で90%の感染阻害活性(IC90)を有するヒト抗体またはその抗原結合性断片は、本発明に含まれる。
3)細胞間感染阻止活性
hMPVが細胞から細胞へ感染するためにはFPの開裂が必要であるが、in vitroのhMPV感染の宿主細胞であるLLC-MK2細胞やVERO細胞はFPを開裂する活性を持たない。そこで、FPの開裂活性を持つ膜型セリンプロテアーゼ(TMPRSS2)をLLC-MK2細胞に導入し、安定的にTMPRSS2を発現するホスト細胞を作製し、得られたTMPRSS2安定発現細胞にhMPVを感染させる系で、抗hMPV抗体の細胞間感染阻止活性を評価することが出来る。hMPVのB1型であるJPS02-76株を上記ホスト細胞に感染させる系で抗hMPV抗体の細胞間感染阻止活性を評価した際、約0.2μg/mL(約1.33nM)以下、好ましくは約0.1μg/mL(約0.67nM)以下、より好ましくは、約0.05μg/mL(約0.33nM)以下で、さらにより好ましくは約0.02μg/mL(約0.133nM)以下で50%の細胞間感染阻害活性(IC50)を有するヒト抗体またはその抗原結合性断片は、本発明に含まれる。
8.エピトープ・グループの分類
抗hMPV抗体のエピトープの差異は、抗体間での競合アッセイおよびFタンパクの部分的な欠失ペプチドを発現する細胞に対する結合活性をそれぞれ調べることにより評価することが出来る(実施例の「12.エピトープマッピング」および図3および図4を参照)。その結果、本発明の抗hMPV抗体は、5つのエピトープ・グループに分類できる(Group1、Group2、Group3、Group4、およびGroup5)。すなわち、Group1(FPおよびHR1欠失変異体に結合し、F2、F1-1、F1-2、F1-3、F1-4、F1-5、およびF1-6欠失変異体に結合しない抗体のグループ)にはEV046115b, EV046130,およびEV046147が含まれる。Group2(FP、HR1、F1-4、F1-5、およびF1-6欠失変異体に結合し、F2、F1-1、F1-2、およびF1-3欠失変異体に結合しない抗体のグループ)には、mAb338, EV046113, EV046116, EV046141,およびEV046142が含まれる。Group3(FP、F1-4、F1-5、およびF1-6欠失変異体に結合し、F2、HR1、F1-1、F1-2、およびF1-3欠失変異体に結合しない抗体のグループ)には、EV046124, EV046143,およびEV046150が含まれる。Group4(FP、HR1、およびF1-6欠失変異体に結合し、F2、F1-1、F1-2、F1-3、F1-4、およびF1-5欠失変異体に結合しない抗体のグループ)には、EV046120,およびEV046135が含まれる。ならびにGroup5(FP、HR1、F1-1、F1-3、F1-4、F1-5、およびF1-6欠失変異体に結合し、F2およびF1-2欠失変異体に結合しない抗体のグループ)には、EV046136が含まれる。従って、本発明の抗hMPV抗体は、hMPVのFタンパクに結合する抗体又はその抗原結合性断片であるが、好ましくは上記Group1、Group2、Group3、Group4、もしくはGroup5で定義されるいずれかのエピトープ・グループに属する抗体又はその抗原結合性断片であり、より好ましくは、Group2、Group3、Group4、もしくはGroup5で定義されるいずれかのエピトープ・グループに属する抗体又はその抗原結合性断片であり、さらにより好ましくは、Group3、Group4、もしくはGroup5で定義されるいずれかのエピトープ・グループに属する抗体又はその抗原結合性断片であり、さらに最も好ましくは、Group3で定義されるエピトープ・グループに属する抗体又はその抗原結合性断片である。
ところで、エピトープ・グループの分類においては、これまでに報告されている抗hMPV抗体の中で、hMPVのA1,A2,B1,B2のいずれの型の株にも高い中和活性を有し、エピトープ解析報告(Fタンパク質のa.a.238-245)があるマウス抗体mAb338(WO2006/110214)、および、ヒト抗体でhMPVおよびRSVの両方のFタンパク質に結合するHMB3210(WO2013/140247)を共に、コントロールとして測定した。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。本実施例において使用する手順は、特に言及しない限り、Molecular Cloning: A Laboratory Manual (Third Edition) (Sambrookら、Cold Spring Harbour Laboratory Press,2001)で参照することができる。
1.hMPVに対する完全ヒト抗体産生細胞クローンの分離
抗体産生細胞クローン分離までのフローチャートを図1に示す。
ヒト末梢血からBリンパ球を分離し、EBVを感染させた。感染細胞は96ウェルプレートに播種し、3〜4週間培養した後、培養上清中の抗hMPV抗体の1次スクリーニングを行った。抗hMPV抗体産生が確認された各ウェルの細胞を新たな96ウェルプレートに播種した。3〜4週間培養後、抗hMPV抗体の2次スクリーニングを行った。得られた抗体陽性ウェルの細胞を、新たな96ウェルプレートにウェル当たり1〜30個播種した。3〜5週間培養後、抗hMPV抗体の3次スクリーニングを行った。この限界希釈培養等によるクローニング操作の結果、目的抗体を産生している細胞クローンを得た。
2.抗hMPV抗体の細胞蛍光免疫染色スクリーニング
スクリーニングはhMPVの主要な中和ターゲットであるFusion Protein(FP)に対する抗体を対象とした。hMPV(JPS02-76)からRNAを抽出し、Random DecamersによりcDNAを合成した。FP遺伝子の全長をPCRにより増幅し、発現ベクターにクローニングした。クローニングしたFP遺伝子の塩基配列およびアミノ酸配列を配列番号131および132にそれぞれ示す。クローニングしたFP遺伝子はgene bankに登録されたオリジナルシークエンス(GenBank Accession No. AY530089)と2塩基異なり、1ヶ所のアミノ酸に置換があった。
FP発現ベクターはCHO-K1細胞に導入し、16時間後に96ウェルプレートもしくは384ウェルプレートに播きなおした。遺伝子導入はリポフェクタミンLTX(Invitorgen)とプラス試薬(Invitorgen)により、メーカーの推奨条件で行った。その後、24時間培養したCHO-K1細胞は4%Paraformaldehyde, 0.1M Phosphate Buffer(pH7.4)で固定した。次に、PBS-0099PBS(-), 0.1% Tween20で洗浄し、1×PBS(-), 0.2% TritonX-100で透過処理を行った。作製したプレートを抗hMPV抗体スクリーニングプレートとして使用した。
EBV感染細胞の培養上清を抗hMPV抗体スクリーニングプレートに添加し、室温で1時間反応後、PBS-Tで3回洗浄した。次に、2次抗体としてanti-human IgG-Alexa488 (Invitorgen)をPBS-T, 0.1% FCSで1000倍希釈して添加し、室温で1時間反応後、PBS-Tで1回洗浄した。次に、0.8μg/ml DAPI, PBS-Tを添加し、室温で10分間反応後、PBS-Tで2回洗浄し、1×PBS(-)を添加した。
染色細胞はIn Cell Analyzer2000(GE Healthcare)で撮影し、陽性細胞を検出したウェルを抗体陽性ウェルとした。
3.抗体アイソタイプおよびサブクラスの確認
分離した抗体産生細胞クローンの培養上清を用い、産生する抗体のアイソタイプを細胞蛍光免疫染色法により確認した。すなわち、抗hMPV抗体スクリーニングプレートを用い、2次抗体としてそれぞれのアイソタイプおよびサブクラスに特異的な抗体を使用した。得られた13種の抗hMPV抗体のアイソタイプおよびサブクラスを後述の表2に示す。
4.抗hMPV抗体をコードするDNAのクローニング
抗体産生細胞のtotal-RNAから、oligo-dTプライマーを用いて逆転写し、得られたcDNAを鋳型としてPCR法による抗体遺伝子の増幅を行った。PCRに使用したプライマーは、ヒトIgG抗体H鎖およびL鎖をコードするcDNAのデータベースをもとに設計した。完全長のH鎖cDNAおよびL鎖cDNAを増幅するため、5’末端側プライマーは翻訳開始点を、3’末端側プライマーは翻訳終止点を有している。
5.塩基配列に基づく抗体のアミノ酸配列の決定
PCR法により増幅した各抗体のH鎖およびL鎖のcDNAをプラスミドベクターに挿入し、ABIシークエンサーによりそれぞれの塩基配列を確認した。得られた塩基配列より、抗体のシグナル配列、H鎖およびL鎖のアミノ酸配列、可変領域のアミノ酸配列、及び相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列をそれぞれ決定した。CDRの解析にはKabatの方法(www.bioinf.org.uk:Dr.Andrew C.R. Martin’s Group, Antibodies: General Information)を用いた。得られた抗体のH鎖およびL鎖のアミノ酸配列、可変領域のアミノ酸配列、及び相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列の配列番号を表1にそれぞれ示す。
6.得られた抗体遺伝子が抗hMPV抗体をコードしていることの確認
得られたH鎖およびL鎖の遺伝子をそれぞれ発現ベクターに挿入し、CHO-K1細胞に同時に導入した。遺伝子導入はリポフェクタミンLTX(Invitorgen)とプラス試薬(Invitorgen)により、メーカーの推奨条件で行った。2日後に培養上清を回収し、抗ヒトIgG抗体をコートした96ウェルプレートを用いたELISA法により培養上清中の抗体がヒトIgGであることを確認し、抗hMPV抗体スクリーニングプレートを用いた細胞蛍光免疫染色法により、hMPVのFPに結合することを確認した。
7.抗体タンパク質の産生
得られた抗hMPV抗体発現ベクターをCHO-K1細胞に導入し、セレクションマーカー存在下で培養することにより、抗体を恒常的に産生するCHO-K1細胞クローンを得た。
同抗体安定産生CHO-K1株を無血清培地で培養し、培養上清を回収した。この培養上清をProteinAカラムを使用したアフィニティー精製にかけ、精製抗体を得た。カラムはHiTrap rProteinA FF(GE Healthcare)のプレパックカラムを使用し、精製はメーカーの推奨条件で行った。精製後、抗体のhMPV FPに対する結合性を抗hMPV抗体スクリーニングプレートにより確認した。また、SDS-PAGEによる抗体H鎖(約50kDa)、抗体L鎖(約25kDa)の確認を行った。
8.中和活性評価
免疫染色法:
抗hMPV抗体の有効性評価として中和活性を確認した。中和活性はLLC-MK2細胞に対するhMPV感染の抗体による阻止率で評価した。hMPVのStrainはB1株としてJPS02-76、B2株としてJPS05-21株、A1株としてJPS03-180、およびA2株としてJPS03-178を使用した。
ウイルスは以下の方法で調製した。
1×PBS(-)で2回洗浄したLLC-MK2細胞にウイルス液を添加し、1時間培養後、感染培地としてEMEM, 5mM Sucrose, 2mM L-glutamine, 0.5μg/ml Trypsinを添加して、CPEが出現するまで培養した、その後、未感染のLLC-ML2細胞と感染細胞を1:9で混合して、感染培地でCPEが出現するまで培養し、感染率100%の種感染細胞を調製した。ウイルス液は未感染のLLC-MK2細胞と種感染細胞を1:9で混合して、感染培地中でCPEが出現するまで培養した培養上清を回収した。その後、必要に応じて遠心分離(20,000g、4℃、2.5時間)によりウイルスを濃縮し、分注して、-80℃に凍結保存したものを使用した。
中和活性評価は以下の方法で行った。
精製抗hMPV抗体は10μg/mlから4倍希釈系列を6段階用意した。0.8-1.4×104pfu/mlのウイルス液と精製抗体を1:1で混合し、25℃で1時間置いた。LLC-MK2細胞は100% confluentになるように前日に96wel plateに播種し、ウイルス添加前にEMEMで2回洗浄した。LLC-MK2にウイルス液と精製抗体の混合液を添加し、CO2インキュベーターで1時間培養した。その後、細胞はEMEMで3回洗浄し、EMEM, 5mM Sucrose, 2mM L-glutamineを添加してCO2インキュベーターで20時間培養した。感染細胞を検出するため、細胞は80% Aceteonで固定し、1%BSA, 1×PBS(-)を添加して室温で1時間ブロッキングした。次に、マウス抗hMPV抗体(HMPV123, AbD Serotec)を1μg/ml となるよう PBS-T, 0.1% Goat Serumで希釈して添加し、室温で1時間反応させた。その後、PBS-Tで3回洗浄し、2次抗体としてanti-mouse IgG-Alexa488 (Invitorgen)を3000倍希釈、DAPIを0.4μg/mlとなるようにPBS-T, 0.1% Goat Serumで希釈して添加し、室温で1時間反応させた。その後、PBS-Tで3回洗浄し、1×PBS(-)を添加した。染色細胞はIn Cell Analyzer2000で撮影し、陽性細胞をカウントした。
中和活性評価における陰性コントロールはhMPVに特異性を有しないヒトモノクローナル抗体(hIgG)を使用した。陰性コントロールの感染細胞数の平均を感染阻止率0%とし、それぞれの抗体の各濃度における感染阻止率からIC50を算出した(阻害率50%を挟む2点の抗体濃度と阻害率から算出)(表2)。
ところで、ヒト由来抗hMPV抗体であるDSλ7(Fab)に関しては、B2株及びA1株対する中和活性(IC60)がそれぞれ>59μg/mL(1180nM)および9.8μg/mL(196nM)と、殆ど中和活性が認められないことが示されている(WO2008/043052、及び J.Virol.,2007 (vol.81) p8315)。また、同時に報告されている他のヒト抗体(DS1,DS6, ACN044等(いずれもFab))に至っては、A2株以外の3種の型(A1, B1、およびB2型)では、中和活性が全く認められないこと(IC60値:>8μg/mL(160nM))を考慮すると、少なくてもA1、B1およびB2型のいずれに対してもIC50値が約1μg/mL(約6.7nM)以下である本発明の抗体は、WO2008/043052で開示されているヒト抗体より顕著に優れていると言える。
更に、表2で示したデータを用いて、データ解析ソフトGraphPad Prism6を用いて算出したIC50、IC60、およびIC90を表3、表4および表5にそれぞれ示す。これら表3、表4および表5では、JPS03-178(A2型)に対する中和活性も追加すると共に、中和活性の陽性対照として、特許JP2008-538353(WO2006/110214)に記載のhMPVに対するマウス抗体mAb338、およびWO2013/140247に記載のヒト抗体HMB3210をそれぞれの特許で開示されている情報も基に作製して使用した。
上記で述べたように再計算して得られたIC50値(表3参照)およびIC60値(表4参照)を求めた場合も、本発明の抗体のいずれもA1,B1およびB2型に対しては、約1μg/mL以下(約6.7nM以下)の中和活性を示し、本発明の抗体はいずれも、WO2008/043052で開示されているヒト抗体より顕著に優れていると言える。また、A2型も含めたIC60値は、全体として約1〜3μg/mL以下であった。
また、表3の結果からも、本発明のいずれの抗体も、約2.3μg/mL(約15nM)以下でhMPVのいずれの型の株に対しても50%阻害効果を示し、高い中和活性を有していると言える。更に、表3の結果から、EV046115b、EV046130、EV046147、およびEV046141以外の抗hMPV抗体は、A1、A2、B1、およびB2のいずれの株に対しても約1μg/mL(約6.7nM)以下で50%阻害効果(IC50)を示した。更に、hMPVのA2型に対しては、EV046120、EV046124、EV046135、EV046142、EV046143およびEV046150は、いずれも約0.1μg/mL(約0.67nM)以下で50%阻害効果を示し、特に、EV046135、EV046143およびEV046150は、約0.03μg /mL(約0.2nM)以下で50%阻害効果を示し、HMB3210(139.3ng/mL)に比較しても顕著に優れていた。
表5のIC90値おいてもEV046115bを除くすべての抗体において、A1、A2、B1、およびB2のいずれの型に対しても約3.5μg/mL(約23nM)以下で90%阻害効果(IC90)を示していた。その中でも、特に、EV046124、およびEV046150は、、A1、A2、B1、およびB2のいずれの型に対しても約1μg/mL(約6.7nM)以下で90%阻害効果(IC90)を示しており、HMB3210(約3.6μg/mL以下)と比較しても顕著に高い中和活性を有していると言える。さらに、EV046124、EV046143およびEV046150は、hMPVのA2型に対してそれぞれ188.1ng/mL、96.71ng/mL、および101.1ng/mLといずれも約0.2μg/mL(約1.33nM)以下であり非常に高い中和活性を示した。特に、EV046143およびEV046150のIC90値は、いずれも約0.1μg/mL(約0.67nM)であり、HMB3210(約0.58μg/mL)と比較しても顕著に優れていた。
9.細胞間感染阻止活性の評価
さらに、抗hMPV抗体の有効性評価として細胞間感染阻止活性について評価した。
hMPVが感染するためにはFPの開裂が必要であるが、in vitroのhMPV感染の宿主細胞であるLLC-MK2細胞やVERO細胞はFPを開裂する活性を持たないため、培地にTrypsinを添加するのが一般的である。しかし、細胞間感染阻止活性を評価すべく、抗体を持続的に添加する系では、Trypsinにより抗体が失活することが懸念される。そのため、FPの開裂活性を持つと報告されている膜型セリンプロテアーゼ(TMPRSS2)をLLC-MK2細胞に導入し、安定的にTMPRSS2を発現するホスト細胞を作製した(Shirogane et al. 2008 J.Virol. 82: 8942-8946)。
得られたTMPRSS2安定発現細胞にhMPVを感染させ、Trypsinを添加しない条件でhMPVの感染拡大を試みた結果、感染細胞数が増加し、Fociを確認することができた。
実際の細胞間感染阻止活性の評価は以下のように行った。TMPRSS2安定発現細胞にhMPVを感染させて4時間経過後、抗体を40μg/mlから4倍希釈系列を6段階で添加した。細胞は72時間後に中和活性評価と同様の方法で固定し、感染細胞を検出した。
細胞間感染阻止活性評価における陰性コントロールはhMPVに特異性を有しないヒトモノクローナル抗体(hIgG)、陽性コントロールは特許JP2008-538353に記載のhMPVに対する抗体mAb338を合成して使用した。陰性コントロールの各濃度での感染細胞数の平均を細胞間感染阻止率0%とし、陽性コントロールの40μg/mlにおける感染細胞数を細胞間感染阻止率100%として、それぞれの抗体の各濃度における感染阻止率を算出した。それらのIC50およびIC90(ng/ml)をデータ解析ソフトGraphPad Prism6を用いて算出した結果を表6に示す。
10.アフィニティー解析
抗hMPV抗体の結合活性評価として、アフィニティー解析を行った。
解析に使用する抗原は次のように調製した。hMPV(JPS02-76)のFP遺伝子からTransmembrane領域(FPの491位から539位に相当するアミノ酸残基部分)を除去し、His-Tagを付加したもの(FP-TM(-)-His)を発現ベクターにクローニングした。FP-TM(-)-His発現ベクターはCHO-K1細胞に導入し、セレクションマーカー存在下で培養することによりFP-TM(-)-Hisを安定的に発現するCHO-K1細胞クローンを得た。FP-TM(-)-His安定的発現細胞の培養上清を回収し、Ni-Sepharose 6 Fast Flow担体(GE Healthcare)を使用してFP-TM(-)-Hisを精製した。精製後のFP-TM(-)-Hisはゲル濾過でイミダゾールを除去し、定量後にアフィティー解析に使用した。
アフィニティー解析はBiacore T-200を使用して行った。human IgG capture kit(GE Healthcare)によりセンサーチップに抗ヒトIgGを固定化し、抗hMPV抗体をキャプチャーさせてリガンドとした。アナライトは上記の精製FP-TM(-)-Hisを使用した。抗hMPV抗体のhMPV(JPS02-76)のFPに対するアフィニティーを表4に示す。いずれの抗hMPV抗体も、FPに対するKD値が10nM以下と非常に高い結合活性を示した(表7)。なお、EV046115b及びEV046147は、センサーチップ上での凝集反応が強く測定不能(ND)であった。
11.競合アッセイ
抗hMPV抗体の競合アッセイを行った。
解析に使用する抗原は上記アフィニティー解析で示したFP-TM(-)-His安定的発現細胞の培養上清を使用した。アッセイはBiacore T-200を使用して行った。Sensor Chip NTA(GE healthcare)にFP-TM(-)-Hisをキャプチャーさせた後、Sample1として抗hMPV抗体をセンサーチップ上に飽和レベルまで結合させ、次にSample2として別の抗hMPV抗体を結合させた。競合するか否かはSample2の抗hMPV抗体の結合が阻害されるか否かで判定した。競合アッセイの結果を図2に示す。尚、EV046147はセンサーチップ上での凝集反応が強く測定不能であった。
12.エピトープマッピング
抗hMPV抗体のエピトープを分類するため、Deletion mutant結合アッセイを行った。
作製したDeletion mutantを図3に示す。HA-V5-FullはhMPV(JPS02-76)FP遺伝子のSignal Peptide (SP)の下流にHA-Tag(HA:TMYPYDVPDYA)を、C-tail(C)の下流にリンカー部分(SLEGPRFE)とV5-Tag(V5:GKPIPNPLLGLDST)を付加したものである。使用したHA-V5-Fullの全長の塩基配列およびアミノ酸配列を配列番号133及び134にそれぞれ示す。
各Deletion mutantを発現ベクターにクローニングし、上記、細胞蛍光免疫染色スクリーニングと同様の方法で抗hMPV抗体の結合を検出した。また、抗HA抗体および抗V5抗体を使用し、Deletion mutant自体が発現していることを確認した。Deletion mutant結合アッセイの結果を図4に示す。また、競合アッセイの結果も加えたエピトープの分類結果を図5に示す。
尚、上記の競合アッセイおよびエピトープマッピングには、マウス抗hMPV抗体mAb338(J.Virol.,2008 (vol.89) p3113)およびヒト抗体HMB3210をコントロールとして用いた。
これらの結果から、HMB3210は、本発明の抗体のいずれのエピトープ・グループにも属さないこと、及びmAb338は、本発明の抗体のエピトープ・グループ2に属することが明らかとなった。
本発明の抗ヒト・メタニューモウイルス(hMPV)抗体は、hMPVが関与する疾患を予防または治療するための医薬組成物等の用途に有用である。

Claims (41)

  1. ヒト・メタニューモウイルスのFタンパク質に特異的に結合し、その生物活性を中和し得る抗体もしくはその抗原結合性断片であって、
    (i)重鎖の可変領域が、
    (a)配列番号3、13、23、33、43、53、63、73、83、93、103、113、および123のアミノ酸配列、ならびにそれらのアミノ酸配列中1〜数個のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入及び/または付加の変異を有するアミノ酸配列の群から選択される重鎖CDR1のアミノ酸配列、
    (b)配列番号4、14、24、34、44、54、64、74、84、94、104、114、および124のアミノ酸配列、ならびにそれらのアミノ酸配列中1〜数個のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入及び/または付加の変異を有するアミノ酸配列の群から選択される重鎖CDR2のアミノ酸配列、および
    (c)配列番号5、15、25、35、45、55、65、75、85、95、105、115、および125のアミノ酸配列、およびそれらのアミノ酸配列中1〜数個のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入及び/または付加の変異を有するアミノ酸配列の群から選択される重鎖CDR3のアミノ酸配列、
    を含有し、
    (ii)軽鎖の可変領域が、
    (a)配列番号8、18、28、38、48、58、68、78、88、98、108、118、および128のアミノ酸配列、ならびにそのアミノ酸配列中1〜数個のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入及び/または付加の変異を有するアミノ酸配列の群から選択される軽鎖CDR1のアミノ酸配列、
    (b)配列番号9、19、29、39、49、59、69、79、89、99、109、119、および129のアミノ酸配列、ならびにそれらのアミノ酸配列中1〜数個のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入及び/または付加の変異を有するアミノ酸配列の群から選択される軽鎖CDR2のアミノ酸配列、および
    (c)配列番号10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、および130のアミノ酸配列、ならびにそのアミノ酸配列中1〜数個のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入及び/または付加の変異を有するアミノ酸配列の群から選択される軽鎖CDR3のアミノ酸配列、
    を含有する、抗体またはその抗原結合性断片。
  2. 請求項1に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片であって、
    (i)重鎖の可変領域が、
    (a)配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1のアミノ酸配列、
    (b)配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2のアミノ酸配列、および、
    (c)配列番号5のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3のアミノ酸配列、
    を含有し、
    (ii)軽鎖の可変領域が、
    (a)配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1のアミノ酸配列、
    (b)配列番号9のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2のアミノ酸配列、および、
    (c)配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3のアミノ酸配列
    を含有する、抗体もしくはその抗原結合性断片。
  3. 請求項1に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片であって、
    (i)重鎖の可変領域が、
    (a)配列番号13のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1のアミノ酸配列、
    (b)配列番号14のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2のアミノ酸配列、および、
    (c)配列番号15のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3のアミノ酸配列
    を含有し、
    (ii)軽鎖の可変領域が、
    (a)配列番号18のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1のアミノ酸配列、
    (b)配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2のアミノ酸配列、および、
    (c)配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3のアミノ酸配列
    を含有する、抗体もしくはその抗原結合性断片。
  4. 請求項1に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片であって、
    (i)重鎖の可変領域が、
    (a)配列番号23のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1のアミノ酸配列、
    (b)配列番号24のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2のアミノ酸配列、および、
    (c)配列番号25のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3のアミノ酸配列
    を含有し、
    (ii)軽鎖の可変領域が、
    (a)配列番号28のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1のアミノ酸配列、
    (b)配列番号29のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2のアミノ酸配列、および、
    (c)配列番号30のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3のアミノ酸配列
    を含有する、抗体もしくはその抗原結合性断片。
  5. 請求項1に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片であって、
    (i)重鎖の可変領域が、
    (a)配列番号33のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1のアミノ酸配列、
    (b)配列番号34のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2のアミノ酸配列、および、
    (c)配列番号35のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3のアミノ酸配列
    を含有し、
    (ii)軽鎖の可変領域が、
    (a)配列番号38のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1のアミノ酸配列、
    (b)配列番号39のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2のアミノ酸配列、および、
    (c)配列番号40のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3のアミノ酸配列
    を含有する、抗体もしくはその抗原結合性断片。
  6. 請求項1に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片であって、
    (i)重鎖の可変領域が、
    (a)配列番号43のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1のアミノ酸配列、
    (b)配列番号44のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2のアミノ酸配列、および、
    (c)配列番号45のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3のアミノ酸配列
    を含有し、
    (ii)軽鎖の可変領域が、
    (a)配列番号48のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1のアミノ酸配列、
    (b)配列番号49のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2のアミノ酸配列、および、
    (c)配列番号50のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3のアミノ酸配列
    を含有する、抗体もしくはその抗原結合性断片。
  7. 請求項1に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片であって、
    (i)重鎖の可変領域が、
    (a)配列番号53のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1のアミノ酸配列、
    (b)配列番号54のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2のアミノ酸配列、および、
    (c)配列番号55のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3のアミノ酸配列
    を含有し、
    (ii)軽鎖の可変領域が、
    (a)配列番号58のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1のアミノ酸配列、
    (b)配列番号59のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2のアミノ酸配列、および、
    (c)配列番号60のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3のアミノ酸配列
    を含有する、抗体もしくはその抗原結合性断片。
  8. 請求項1に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片であって、
    (i)重鎖の可変領域が、
    (a)配列番号63のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1のアミノ酸配列、
    (b)配列番号64のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2のアミノ酸配列、および、
    (c)配列番号65のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3のアミノ酸配列
    を含有し、
    (ii)軽鎖の可変領域が、
    (a)配列番号68のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1のアミノ酸配列、
    (b)配列番号69のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2のアミノ酸配列、および、
    (c)配列番号70のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3のアミノ酸配列
    を含有する、抗体もしくはその抗原結合性断片。
  9. 請求項1に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片であって、
    (i)重鎖の可変領域が、
    (a)配列番号73のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1のアミノ酸配列、
    (b)配列番号74のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2のアミノ酸配列、および、
    (c)配列番号75のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3のアミノ酸配列
    を含有し、
    (ii)軽鎖の可変領域が、
    (a)配列番号78のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1のアミノ酸配列、
    (b)配列番号79のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2のアミノ酸配列、および、
    (c)配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3のアミノ酸配列
    を含有する、抗体もしくはその抗原結合性断片。
  10. 請求項1に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片であって、
    (i)重鎖の可変領域が、
    (a)配列番号83のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1のアミノ酸配列、
    (b)配列番号84のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2のアミノ酸配列、および、
    (c)配列番号85のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3のアミノ酸配列
    を含有し、
    (ii)軽鎖の可変領域が、
    (a)配列番号88のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1のアミノ酸配列、
    (b)配列番号89のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2のアミノ酸配列、および、
    (c)配列番号90のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3のアミノ酸配列
    を含有する、抗体もしくはその抗原結合性断片。
  11. 請求項1に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片であって、
    (i)重鎖の可変領域が、
    (a)配列番号93のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1のアミノ酸配列、
    (b)配列番号94のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2のアミノ酸配列、および、
    (c)配列番号95のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3のアミノ酸配列
    を含有し、
    (ii)軽鎖の可変領域が、
    (a)配列番号98のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1のアミノ酸配列、
    (b)配列番号99のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2のアミノ酸配列、および、
    (c)配列番号100のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3のアミノ酸配列
    を含有する、抗体もしくはその抗原結合性断片。
  12. 請求項1に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片であって、
    (i)重鎖の可変領域が、
    (a)配列番号103のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1のアミノ酸配列、
    (b)配列番号104のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2のアミノ酸配列、および、
    (c)配列番号105のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3のアミノ酸配列
    を含有し、
    (ii)軽鎖の可変領域が、
    (a)配列番号108のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1のアミノ酸配列、
    (b)配列番号109のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2のアミノ酸配列、および、
    (c)配列番号110のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3のアミノ酸配列
    を含有する、抗体もしくはその抗原結合性断片。
  13. 請求項1に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片であって、
    (i)重鎖の可変領域が、
    (a)配列番号113のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1のアミノ酸配列、
    (b)配列番号114のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2のアミノ酸配列、および、
    (c)配列番号115のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3のアミノ酸配列
    を含有し、
    (ii)軽鎖の可変領域が、
    (a)配列番号118のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1のアミノ酸配列、
    (b)配列番号119のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2のアミノ酸配列、および、
    (c)配列番号120のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3のアミノ酸配列
    を含有する、抗体もしくはその抗原結合性断片。
  14. 請求項1に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片であって、
    (i)重鎖の可変領域が、
    (a)配列番号123のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1のアミノ酸配列、
    (b)配列番号124のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2のアミノ酸配列、および、
    (c)配列番号125のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3のアミノ酸配列
    を含有し、
    (ii)軽鎖の可変領域が、
    (a)配列番号128のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1のアミノ酸配列、
    (b)配列番号129のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2のアミノ酸配列、および、
    (c)配列番号130のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3のアミノ酸配列
    を含有する、抗体もしくはその抗原結合性断片。
  15. 請求項1〜14のいずれか一項に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片であって、
    (a)配列番号2、12、22、32、42、52、62、72、82、92、102、112、および122のアミノ酸配列、および、これらアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列の群から選択される重鎖可変領域(VH)、および、
    (b)配列番号7、17、27、37、47、57、67、77、87、97、107、117、および127のアミノ酸配列、および、これらアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列の群から選択される軽鎖可変領域(VL)
    を含有する、抗体またはその抗原結合性断片。
  16. 請求項15に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片であって、
    (a)配列番号2のアミノ酸配列、または配列番号2のアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)、および
    (b)配列番号7のアミノ酸配列、または配列番号7のアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)
    を含有する、抗体もしくはその抗原結合性断片。
  17. 請求項15に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片であって、
    (a)配列番号12のアミノ酸配列、または配列番号12のアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)、および
    (b)配列番号17のアミノ酸配列、または配列番号17のアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)
    を含有する、抗体もしくはその抗原結合性断片。
  18. 請求項15に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片であって、
    (a)配列番号22のアミノ酸配列、または配列番号22のアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)、および
    (b)配列番号27のアミノ酸配列、または配列番号27のアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)
    を含有する、抗体もしくはその抗原結合性断片。
  19. 請求項15に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片であって、
    (a)配列番号32のアミノ酸配列、または配列番号32のアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)、および
    (b)配列番号37のアミノ酸配列、または配列番号37のアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)
    を含有する、抗体もしくはその抗原結合性断片。
  20. 請求項15に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片であって、
    (a)配列番号42のアミノ酸配列、または配列番号42のアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)、および
    (b)配列番号47のアミノ酸配列、または配列番号47のアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)
    を含有する、抗体もしくはその抗原結合性断片。
  21. 請求項15に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片であって、
    (a)配列番号52のアミノ酸配列、または配列番号52のアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)、および
    (b)配列番号57のアミノ酸配列、または配列番号57のアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)
    を含有する、抗体もしくはその抗原結合性断片。
  22. 請求項15に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片であって、
    (a)配列番号62のアミノ酸配列、または配列番号62のアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)、および
    (b)配列番号67のアミノ酸配列、または配列番号67のアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)
    を含有する、抗体もしくはその抗原結合性断片。
  23. 請求項15に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片であって、
    (a)配列番号72のアミノ酸配列、または配列番号72のアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)、および
    (b)配列番号77のアミノ酸配列、または配列番号77のアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)
    を含有する、抗体もしくはその抗原結合性断片。
  24. 請求項15に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片であって、
    (a)配列番号82のアミノ酸配列、または配列番号82のアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)、および
    (b)配列番号87のアミノ酸配列、または配列番号87のアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)
    を含有する、抗体もしくはその抗原結合性断片。
  25. 請求項15に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片であって、
    (a)配列番号92のアミノ酸配列、または配列番号92のアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)、および
    (b)配列番号97のアミノ酸配列、または配列番号97のアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)
    を含有する、抗体もしくはその抗原結合性断片。
  26. 請求項15に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片であって、
    (a)配列番号102のアミノ酸配列、または配列番号102のアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)、および
    (b)配列番号107のアミノ酸配列、または配列番号107のアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)
    を含有する、抗体もしくはその抗原結合性断片。
  27. 請求項15に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片であって、
    (a)配列番号112のアミノ酸配列、または配列番号112のアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)、および
    (b)配列番号117のアミノ酸配列、または配列番号117のアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)
    を含有する、抗体もしくはその抗原結合性断片。
  28. 請求項15に記載の抗体もしくはその抗原結合性断片であって、
    (a)配列番号122のアミノ酸配列、または配列番号122のアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)、および
    (b)配列番号127のアミノ酸配列、または配列番号127のアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)
    を含有する、抗体もしくはその抗原結合性断片。
  29. 請求項1〜28のいずれか一項に記載の抗体であって、当該抗体のエピトープがFタンパクの部分的な欠失ペプチドに対する結合活性で分類した場合、抗hMPV抗体EV046115b, EV046130,およびEV046147で代表されるエピトープ・グループGroup1、抗hMPV抗体EV046113, EV046116,EV046141およびEV0461142で代表されるエピトープ・グループGroup2、抗hMPV抗体EV046124, EV046143,およびEV046150で代表されるエピトープ・グループGroup3、抗hMPV抗体EV046120,およびEV046135で代表されるエピトープ・グループGroup4、および抗hMPV抗体EV046136で代表されるエピトープ・グループGroup5のいずれかのエピトープ・グループに属する抗体もしくはその抗原結合性断片。
  30. 請求項1〜28のいずれか一項に記載の抗体であって、当該抗体のエピトープがFタンパクの部分的な欠失ペプチドに対する結合活性で分類した場合、抗hMPV抗体EV046113, EV046116,EV046141およびEV0461142で代表されるエピトープ・グループGroup2、抗hMPV抗体EV046124, EV046143,およびEV046150で代表されるエピトープ・グループGroup3、抗hMPV抗体EV046120,およびEV046135で代表されるエピトープ・グループGroup4、および抗hMPV抗体EV046136で代表されるエピトープ・グループGroup5のいずれかのエピトープ・グループに属する抗体もしくはその抗原結合性断片。
  31. 請求項1〜28のいずれか一項に記載の抗体であって、当該抗体のエピトープがFタンパクの部分的な欠失ペプチドに対する結合活性で分類した場合、抗hMPV抗体EV046124, EV046143,およびEV046150で代表されるエピトープ・グループGroup3に属する抗体もしくはその抗原結合性断片。
  32. 前記抗体のクラス(サブクラス)がIgG1(κ)またはIgG1(λ)である、
    請求項1〜31のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合性断片。
  33. 請求項1〜32のいずれか一項に記載の抗体であって、ヒト・メタニューモウイルスJPS02−76(B1型)、JPS05−21(B2型)、およびJPS03−180(A1型)のいずれの株に対する中和活性(IC50)も1μg/mL(約6.7nM)以下である抗体もしくはその抗原結合性断片。
  34. 請求項1〜32のいずれか一項に記載の抗体であって、ヒト・メタニューモウイルスJPS03−180(A1型)、およびJPS03−178(A2型)、JPS02−76(B1型)、およびJPS05−21(B2型)のいずれの株に対する中和活性(IC50)も約1μg/mL(約6.7nM)以下である抗体もしくはその抗原結合性断片。
  35. 請求項1〜32のいずれか一項に記載の抗体であって、ヒト・メタニューモウイルスJPS03−180(A1型)、JPS03−178(A2型)、JPS02−76(B1型)、およびJPS05−21(B2型)のいずれの株に対する中和活性(IC90)も約2μg/mL(約13.3nM)以下である抗体もしくはその抗原結合性断片。
  36. 請求項1〜32のいずれか一項に記載の抗体であって、ヒト・メタニューモウイルスのJPS03−178株(A2型)に対する中和活性(IC50)が約0.1μg/mL(約0.67nM)以下である抗体もしくはその抗原結合性断片。
  37. 請求項1〜36のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合性断片および薬学的に許容可能な担体を含む医薬組成物。
  38. ヒト・メタニューモウイルス感染症を治療または予防するための請求項37に記載の医薬組成物。
  39. 請求項1〜36のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合性断片のアミノ酸配列をコードする単離された核酸、配列番号1、6、11、16、21、26、31、36、41、46、51、56、61、66、71、76、81、86、91、96、101、106、111、116、121、および126のアミノ酸配列をコードする単離された核酸、もしくはこれら核酸のいずれかと高ストリンジェントな条件でハイブリダイズする単離された核酸。
  40. 請求項39に記載の単離された核酸を組込んだ組換え発現ベクター。
  41. 請求項40に記載の組換え発現ベクターが導入された宿主細胞。
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