JPWO2014091890A1 - セルロース含有バイオマスの前処理方法、糖化用バイオマス組成物の製造方法、及び糖の製造方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、(1)セルロース含有バイオマスを粉砕する工程1、粉砕したセルロース含有バイオマスを水熱処理する工程2及び水熱処理したセルロース含有バイオマスを微粉砕する工程3を含む糖化原料としてのセルロース含有バイオマスの糖化性能を高める前処理方法であって、前記工程3において、中心から円周方向に貫通する流路を有しないプレートまたはディスクを装着したリファイナーまたはディスクミルを用いて微粉砕する前方法、(2)前記前処理方法を行う糖化用バイオマス組成物の製造方法、及び(3)前記製造方法で得られた糖化用バイオマス組成物を加水分解する糖の製造方法を提供する。
Description
本発明はセルロース含有バイオマスの加水分解による糖の製造に関する。さらに詳しく言えば、原料セルロース含有バイオマスの糖化性能を高める前処理方法、糖化用バイオマス組成物の製造方法、及び糖の製造方法に関する。
地球温暖化防止対策の一環として、セルロース含有バイオマスを有効利用し、エタノールをはじめとする各種化学製品を製造する検討が広く行われている。セルロース含有バイオマスには、例えば、スギ、ヒノキ等のハードバイオマスや稲わら、麦わら、コーンコブ、キャッサバ、バガス、サトウキビ葉等のソフトバイオマスがある。これらのバイオマスには、ヘミセルロース、リグニン等が含まれていることもあり、そのままでは糖化しにくいため、各種の前処理により糖化性能を高める提案がなされている。
古典的な前処理方法としては、酸処理、アルカリ処理、水熱処理等が提案されている。酸処理は不純物であるヘミセルロースを効果的に除去できる技術であるが、酸による装置腐食や使用した酸を後工程で中和する必要があり、工業的に実施する際にはコスト高になるという問題があり、アルカリ処理は不純物であるリグニンを効果的に除去できる技術であるが、セルロースのロスが大きく原単位が悪化するため工業的に実施する際にはコスト高になるという問題を抱えていた。一方、水と共に加熱する水熱処理は、酸やアルカリ等の薬剤を使用しないため処理効果が低いことから、物理的な粉砕処理と組み合わせて前処理効果を高めることが提案されている(特開2006−136263号公報;特許文献1)。しかしながら、工業的に有益な処理条件は明示されていない。
上記以外にも、水蒸気爆砕、アンモニア爆砕、オゾン酸化、白色腐朽菌処理、マイクロ波照射、電子線照射、γ線照射が提案されている(木材学会誌,53,1〜13(2007);非特許文献1)。しかしながら、これらは設備費、薬剤費がかかる処理法であり、工業的に実施するには費用対効果の観点から不十分であった。
木材学会誌,53,1〜13(2007)
本発明の課題は、工業的に有益な糖化性能の高い糖化用バイオマス組成物を得ることができるセルロース含有バイオマスの前処理方法、前記前処理法による糖化用バイオマス組成物の製造方法、及び前記糖化用バイオマス組成物を加水分解する糖の製造方法を提供することにある。
前記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討した結果、セルロース含有バイオマスを前処理するに際し、リファイナーまたはディスクミルで微粉砕することが有効であること、微粉砕物の高い糖化効果を十分に引き出すためには粉砕領域で被粉砕物の滞留時間が高まる構造を有する微粉砕装置が有効であることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、下記のセルロース含有バイオマスの前処理方法、糖化用バイオマス組成物の製造方法、及び糖の製造方法に関する。
すなわち、本発明は、下記のセルロース含有バイオマスの前処理方法、糖化用バイオマス組成物の製造方法、及び糖の製造方法に関する。
[1]加水分解反応による糖化性能を高めるセルロース含有バイオマスの前処理方法であって、セルロース含有バイオマスを粉砕する工程1、粉砕したセルロース含有バイオマスを水熱処理する工程2、及び水熱処理したセルロース含有バイオマスを微粉砕する工程3を含み、前記工程3において中心から円周方向に貫通する流路を有しないプレートまたはディスクを装着したリファイナーまたはディスクミルを用いて微粉砕することを特徴とする前処理方法。
[2]セルロース含有バイオマスがソフトバイオマスである前項1に記載の前処理方法。
[3]工程1において、1〜30mmφのスクリーンを用いてセルロース含有バイオマスを粉砕する前項1または2に記載の前処理方法。
[4]工程2の水熱処理が、工程1で粉砕したセルロース含有バイオマスと水の混合物を180〜250℃で1〜100分間加熱する処理である前項1〜3のいずれかに記載の前処理方法。
[5]水熱処理工程2におけるセルロース含有バイオマスと水の割合が、セルロース含有バイオマスの乾燥質量に対して水が4〜97倍量である請求項1〜4のいずれかに記載の前処理方法。
[6]pH5.8〜8.6の水を用いて水熱処理する請求項1〜5のいずれかに記載の前処理方法。
[7]リファイナーまたはディスクミルにより微粉砕する工程3を複数回実施する前項1〜6のいずれかに記載の前処理方法。
[8]前項1〜7のいずれかに記載の前処理方法を行うことを特徴とする糖化用バイオマス組成物の製造方法。
[9]前項8に記載の製造方法により得られた糖化用バイオマス組成物を加水分解することを特徴とする糖の製造方法。
[2]セルロース含有バイオマスがソフトバイオマスである前項1に記載の前処理方法。
[3]工程1において、1〜30mmφのスクリーンを用いてセルロース含有バイオマスを粉砕する前項1または2に記載の前処理方法。
[4]工程2の水熱処理が、工程1で粉砕したセルロース含有バイオマスと水の混合物を180〜250℃で1〜100分間加熱する処理である前項1〜3のいずれかに記載の前処理方法。
[5]水熱処理工程2におけるセルロース含有バイオマスと水の割合が、セルロース含有バイオマスの乾燥質量に対して水が4〜97倍量である請求項1〜4のいずれかに記載の前処理方法。
[6]pH5.8〜8.6の水を用いて水熱処理する請求項1〜5のいずれかに記載の前処理方法。
[7]リファイナーまたはディスクミルにより微粉砕する工程3を複数回実施する前項1〜6のいずれかに記載の前処理方法。
[8]前項1〜7のいずれかに記載の前処理方法を行うことを特徴とする糖化用バイオマス組成物の製造方法。
[9]前項8に記載の製造方法により得られた糖化用バイオマス組成物を加水分解することを特徴とする糖の製造方法。
本発明のセルロース含有バイオマスの前処理方法によれば、加水分解反応により糖を製造する原料として有用な糖化用バイオマス組成物が得られ、セルロース含有バイオマスから効率よく糖を製造することができる。
セルロース含有バイオマスの加水分解反応による糖化性能を高める本発明の前処理方法は、セルロース含有バイオマスを粉砕する工程(工程1)、粉砕したセルロース含有バイオマスを水熱処理する工程(工程2)及び水熱処理したセルロース含有バイオマスをリファイナーまたはディスクミルで微粉砕する工程(工程3)を含み、工程3において、中心から円周方向に貫通する流路を有しないプレートまたはディスクを装着したリファイナーまたはディスクミルを用いて微粉砕することを特徴とする。
ここで、リファイナーまたはディスクミルとは、高速回転している回転摩砕板(プレートまたはディスク)の間で粉砕または叩解等の処理を連続的に行う装置であり、通常リファイナーではステンレス等の金属製の回転摩砕板(プレート)が用いられ、ディスクミルでは炭化ケイ素、酸化アルミナ等の回転摩砕板(ディスク)が用いられる。
ここで、リファイナーまたはディスクミルとは、高速回転している回転摩砕板(プレートまたはディスク)の間で粉砕または叩解等の処理を連続的に行う装置であり、通常リファイナーではステンレス等の金属製の回転摩砕板(プレート)が用いられ、ディスクミルでは炭化ケイ素、酸化アルミナ等の回転摩砕板(ディスク)が用いられる。
微粉砕工程3では、被粉砕物の滞留時間を高めて微粉砕物の糖化効果を十分に引き出すことが重要である。このためには、被粉砕物の滞留時間を長くできる形状を有するリファイナーのプレートまたはディスクミルのディスクを使用することが有利である。
プレートまたはディスクは、通常高速回転しており、プレートまたはディスクの中心付近に導入された被粉砕物には遠心力によりプレートまたはディスクの外側に向かう大きな力が加わる。このため、中心から円周方向に貫通する流路を有するプレートまたはディスクを装着したリファイナーまたはディスクミルでは、微粉砕領域で十分に粉砕されずに装置外に排出されてしまう。ここで言う流路とは、プレート上に形成されたカッティング刃同士の間に形成された空間のことである。
プレートまたはディスクは、通常高速回転しており、プレートまたはディスクの中心付近に導入された被粉砕物には遠心力によりプレートまたはディスクの外側に向かう大きな力が加わる。このため、中心から円周方向に貫通する流路を有するプレートまたはディスクを装着したリファイナーまたはディスクミルでは、微粉砕領域で十分に粉砕されずに装置外に排出されてしまう。ここで言う流路とは、プレート上に形成されたカッティング刃同士の間に形成された空間のことである。
一方、中心から円周方向に貫通する流路を有しないプレートまたはディスクを装着したリファイナーまたはディスクミルでは、被粉砕物の微粉砕領域での滞留時間が高められ、微粉砕物の糖化効果を十分に引き出すことができる。従って、本発明では、工程3で中心から円周方向に貫通する流路を有しないプレートまたはディスクを装着したリファイナーまたはディスクミルを用いて微粉砕を行う。
また、被粉砕物の微粉砕領域での滞留時間を高める観点では、操作条件も大きく影響する。例えば、プレートとプレートの間隔またはディスクとディスクの間隔が小さければ、遠心力による外側へ向かう力を打ち消す方向の力が増大し、相対的に微粉砕領域での滞留時間が高められる。また、プレートまたはディスクの回転数が少ない程発生する遠心力そのものが小さくなるため、微粉砕領域での滞留時間が高められる。
本発明においては、被粉砕物の微粉砕領域での滞留時間を高めることが重要であるが、滞留時間が極端に大きくなれば生産性が低下するため、工業的製法としては好ましくない。
本発明におけるバイオマスとは、枯渇性資源(石油・石炭・天然ガスなどの化石燃料)を除く、生体高分子(核酸、タンパク質、多糖)やこれらの構成要素を起源とする産業資源を意味する。従って、セルロース含有バイオマスには、例えば木材などのハードバイオマスと、稲わら、麦わら、コーンコブ、キャッサバ、バガス、サトウキビ葉などのソフトバイオマスが挙げられる。前処理の容易性を考慮するとソフトバイオマスが好ましく、さらに全世界的な賦存量と収集コストを考慮すると、バガス、サトウキビ葉が特に好ましい。
本発明の前処理方法では、水熱処理工程(工程2)の前の工程1でセルロース含有バイオマスを粉砕する。粉砕工程1ではスクリーン径1〜30mmφのスクリーン(篩)を用いて粉砕することが好ましい。スクリーン径のさらに好ましい範囲は2〜20mmφであり、最も好ましい範囲は3〜10mmφである。粉砕する際のスクリーン径が大きすぎるとセルロース含有バイオマスの粒径が大きくなりその後の前処理効果が低くなるため糖の製造コストが高価になり、また粉砕する際のスクリーン径が小さすぎると粉砕コストが高価になるため好ましくない。スクリーンを用いずに粉砕をする場合には、上記のスクリーンを用いた粉砕品に相当するサイズに粉砕することが好ましい。
工程2の水熱処理では、水の存在下で180〜250℃に加熱することが好ましい。さらに好ましくは190〜240℃、最も好ましくは200〜230℃である。加熱温度が高すぎるとエネルギーコストが割高となるだけでなく、セルロースの分解や不純物の過分解が進行するため好ましくない。また、加熱温度が低すぎると前処理効果が低くなり、糖の製造コストが高価になるため好ましくない。なお、水熱処理には、オートクレーブ等の密閉容器を使用することもできるが、非密閉で行うことも可能である。
水熱処理における加熱時間は1〜100分が好ましい。さらに好ましくは2〜30分、最も好ましくは3〜15分である。加熱時間が長すぎると前処理工程での生産性が低下するため糖の製造コストが高価になり、加熱時間が短すぎると前処理効果が低くなるため糖の製造コストが高価になるため好ましくない。なお、上記の加熱時間の好ましい範囲は実施する加熱温度により上記の範囲内で変動する。
水熱処理におけるセルロース含有バイオマスと水の割合は、セルロース含有バイオマスの乾燥質量に対して、水4〜97倍量が好ましい。さらに好ましくは6〜20倍量、最も好ましくは8〜13倍量である。セルロース含有バイオマスの乾燥質量に対する水の量が多すぎると、前処理装置のスケールが大きくなり経済的でなくなり、また、セルロース含有バイオマスの乾燥質量に対する水の量が少なすぎると、前処理効果が低くなり糖の製造コストが高価になるため好ましくない。
本発明における水熱処理工程2では、水に添加剤として酸やアルカリを加えることも可能であるが、添加剤を使用するとその薬剤コストがかかるだけでなく、後工程での中和等の無害化にかかる費用も発生するため、工業的には一般に利用できる水だけを使用することが好ましい。その点を考慮すると、使用する水のpHは、5.8〜8.6が好ましい。さらに好ましくは6.1〜8.3、最も好ましくは6.3〜8.0である。
本発明においては、セルロース含有バイオマスを水熱処理する工程2の後に実施する前述の微粉砕工程3を複数回行って、バイオマス組成物の平均粒径が300μm以下になる状態まで微粉砕することが好ましい。好ましい回数は4〜50回であり、さらに好ましくは6〜30回である。粉砕回数が少なすぎると前処理効果が低くなり糖の製造コストが高価になり、粉砕回数が多すぎると粉砕コストが高価になるため好ましくない。
上述の工程1〜3の前処理方法を行うことにより、加水分解反応で高い糖化性能を有する糖化用バイオマス組成物を得ることができる。
得られた糖化用バイオマス組成物を糖化する加水分解方法としては、固体酸触媒や硫酸等の鉱酸触媒を用いたセルロースの加水分解法や、酵素によるセルロース加水分解法が挙げられる。生成する不純物が少なく、得られた糖の利用価値が高いことから酵素による加水分解法が産業上有利である。
得られた糖化用バイオマス組成物を糖化する加水分解方法としては、固体酸触媒や硫酸等の鉱酸触媒を用いたセルロースの加水分解法や、酵素によるセルロース加水分解法が挙げられる。生成する不純物が少なく、得られた糖の利用価値が高いことから酵素による加水分解法が産業上有利である。
酵素によるセルロースの加水分解は、例えば一般的に知られているセルラーゼを本発明による糖化用バイオマス組成物に作用させることで行われる。セルラーゼの性質はその種類により若干異なるが、至適pH範囲が3.5〜5.5、至適温度範囲が35〜55℃であるので、pHが3.5〜5.5の緩衝液を添加し、35〜55℃で所望の時間処理することによりセルロースが加水分解され、糖を製造することができる。
以下に実施例及び比較例を挙げて説明するが、本発明はこれらの記載に限定されるものではない。
[セルロース含有率の分析方法]
100mLのねじ口試薬瓶に105℃で1時間乾燥させたバイオマス300mgを秤量した。そこに72%硫酸3mLを加えガラス棒でよくかき混ぜ、30℃の恒温槽で1時間処理した。恒温層での処理中には時々ガラス棒でかき混ぜた。処理終了後、純水84mLを加え、ねじ口蓋をゆるく被せ、滅菌用オートクレーブ(トミー工業株式会社製、SS−240)中で121℃1時間処理した。冷却後、処理液をニトロセルロースフィルターを用いて吸引ろ過し、ろ液の質量を測定した。ろ液の一部をとり炭酸カルシウムで中和後、フィルターろ過して高速液体クロマトグラフィー分析でグルコース及びキシロースを定量した。
100mLのねじ口試薬瓶に105℃で1時間乾燥させたバイオマス300mgを秤量した。そこに72%硫酸3mLを加えガラス棒でよくかき混ぜ、30℃の恒温槽で1時間処理した。恒温層での処理中には時々ガラス棒でかき混ぜた。処理終了後、純水84mLを加え、ねじ口蓋をゆるく被せ、滅菌用オートクレーブ(トミー工業株式会社製、SS−240)中で121℃1時間処理した。冷却後、処理液をニトロセルロースフィルターを用いて吸引ろ過し、ろ液の質量を測定した。ろ液の一部をとり炭酸カルシウムで中和後、フィルターろ過して高速液体クロマトグラフィー分析でグルコース及びキシロースを定量した。
[高速液体クロマトグラフィー分析方法及びセルロース含有率の算出方法]
ガードカラム(昭和電工株式会社製、KS−G)と分離カラム(昭和電工株式会社製 KS−802)を接続し、カラム温度を75℃に設定した。純水を溶離液として0.5mL/分で供給し、分離成分は示差屈折率検出器を用いて定量しグルコース濃度を求め、下記式によりセルロース含有率を算出した。
ガードカラム(昭和電工株式会社製、KS−G)と分離カラム(昭和電工株式会社製 KS−802)を接続し、カラム温度を75℃に設定した。純水を溶離液として0.5mL/分で供給し、分離成分は示差屈折率検出器を用いて定量しグルコース濃度を求め、下記式によりセルロース含有率を算出した。
[酵素糖化性能の測定]
酸緩衝液の調製:
酢酸30gを100mLメスフラスコに入れ、純水でメスアップし5M酢酸水溶液とした。酢酸ナトリウム41gを100mLメスフラスコに入れ、純水でメスアップし5M酢酸ナトリウム水溶液とした。5M酢酸ナトリウム水溶液に5M酢酸水溶液をpH=5.0になるまで加え、酢酸緩衝液とした。
酸緩衝液の調製:
酢酸30gを100mLメスフラスコに入れ、純水でメスアップし5M酢酸水溶液とした。酢酸ナトリウム41gを100mLメスフラスコに入れ、純水でメスアップし5M酢酸ナトリウム水溶液とした。5M酢酸ナトリウム水溶液に5M酢酸水溶液をpH=5.0になるまで加え、酢酸緩衝液とした。
酵素液の調整:
メイセラーゼ(登録商標、明治製菓株式会社(現Meiji Seikaファルマ株式会社)製セルラーゼ)1.5gを純水98.5gに溶解させた。
糖化反応:
50mLの蓋つきガラス容器に回転子を入れ、セルロース量が0.5gになるように前処理組成物を秤量し、上記酢酸緩衝液0.6g、酵素液1.03g加え、さらに純水を加えて合計10gとした。40℃の恒温槽で撹拌しながら24時間酵素糖化反応を行った。得られた糖化液を高速液体クロマトグラフィー分析してグルコースを定量し、糖化率を求めた。
メイセラーゼ(登録商標、明治製菓株式会社(現Meiji Seikaファルマ株式会社)製セルラーゼ)1.5gを純水98.5gに溶解させた。
糖化反応:
50mLの蓋つきガラス容器に回転子を入れ、セルロース量が0.5gになるように前処理組成物を秤量し、上記酢酸緩衝液0.6g、酵素液1.03g加え、さらに純水を加えて合計10gとした。40℃の恒温槽で撹拌しながら24時間酵素糖化反応を行った。得られた糖化液を高速液体クロマトグラフィー分析してグルコースを定量し、糖化率を求めた。
実施例1:
カッターミル(増幸産業株式会社製、MKCM−3、3mmφスクリーン)でサトウキビ葉を粉砕した。粉砕後のサトウキビ葉の含水量は10.4質量%であった。このサトウキビ葉447gを10リットルのオートクレーブ(オーエムラボテック株式会社製デスクトップリアクター OML−10)に入れた。さらに純水3953gを入れ、オートクレーブを密閉した。500rpmで撹拌しながら、液温の温度調節計を200℃に設定し加熱を開始した。液温が190℃に到達してから10分間加熱を継続し、その後加熱を停止して冷却した。
得られたスラリーを遠心ろ過機(株式会社コクサン製、H−122、ろ布コットン)を用いて3000rpmで遠心ろ過し、含水固形分を取得した。固形分濃度が5質量%となるように水を加え、リファイナー(熊谷理機工業株式会社製、プレートA:プレートの中心から外周方向に放射線状の複数のカッティング刃があり、カッティング刃同士の間に形成された流路が、プレートの最外周部に設けられた環状のカッティング刃で堰き止められた形状を有するプレート)を用いて、クリアランス0.02mmで3回湿式粉砕した。得られたスラリーを遠心ろ過機を用いて3000rpmで遠心ろ過し、含水固形分を取得した。
得られた含水固形分を前述の手法にて糖化率を評価した結果、24時間後の糖化率は40%であった。
カッターミル(増幸産業株式会社製、MKCM−3、3mmφスクリーン)でサトウキビ葉を粉砕した。粉砕後のサトウキビ葉の含水量は10.4質量%であった。このサトウキビ葉447gを10リットルのオートクレーブ(オーエムラボテック株式会社製デスクトップリアクター OML−10)に入れた。さらに純水3953gを入れ、オートクレーブを密閉した。500rpmで撹拌しながら、液温の温度調節計を200℃に設定し加熱を開始した。液温が190℃に到達してから10分間加熱を継続し、その後加熱を停止して冷却した。
得られたスラリーを遠心ろ過機(株式会社コクサン製、H−122、ろ布コットン)を用いて3000rpmで遠心ろ過し、含水固形分を取得した。固形分濃度が5質量%となるように水を加え、リファイナー(熊谷理機工業株式会社製、プレートA:プレートの中心から外周方向に放射線状の複数のカッティング刃があり、カッティング刃同士の間に形成された流路が、プレートの最外周部に設けられた環状のカッティング刃で堰き止められた形状を有するプレート)を用いて、クリアランス0.02mmで3回湿式粉砕した。得られたスラリーを遠心ろ過機を用いて3000rpmで遠心ろ過し、含水固形分を取得した。
得られた含水固形分を前述の手法にて糖化率を評価した結果、24時間後の糖化率は40%であった。
比較例1: カッターミルでサトウキビ葉を粉砕した。粉砕後のサトウキビ葉の含水量は10.4質量%であった。このサトウキビ葉447gを10リットルのオートクレーブに入れた。さらに純水3953gを入れ、オートクレーブを密閉した。500rpmで撹拌しながら、液温の温度調節計を200℃に設定し加熱を開始した。液温が190℃に到達してから10分間加熱を継続し、その後加熱を停止して冷却した。
得られたスラリーを遠心ろ過機を用いて3000rpmで遠心ろ過し、含水固形分を取得した。固形分濃度が5質量%となるように水を加え、リファイナー(熊谷理機工業株式会社製、プレートD:プレートの中心から外周方向に放射線状の複数のカッティング刃があり、カッティング刃同士の間に形成された流路が、プレートの中心から最外周部まで貫通している形状を有するプレート)を用いて、クリアランス0.02mmで3回湿式粉砕した。得られたスラリーを遠心ろ過機を用いて3000rpmで遠心ろ過し、含水固形分を取得した。
得られた含水固形分を前述の手法にて糖化率を評価した結果、24時間後の糖化率は32%であった。
得られたスラリーを遠心ろ過機を用いて3000rpmで遠心ろ過し、含水固形分を取得した。固形分濃度が5質量%となるように水を加え、リファイナー(熊谷理機工業株式会社製、プレートD:プレートの中心から外周方向に放射線状の複数のカッティング刃があり、カッティング刃同士の間に形成された流路が、プレートの中心から最外周部まで貫通している形状を有するプレート)を用いて、クリアランス0.02mmで3回湿式粉砕した。得られたスラリーを遠心ろ過機を用いて3000rpmで遠心ろ過し、含水固形分を取得した。
得られた含水固形分を前述の手法にて糖化率を評価した結果、24時間後の糖化率は32%であった。
Claims (9)
- 加水分解反応による糖化性能を高めるセルロース含有バイオマスの前処理方法であって、セルロース含有バイオマスを粉砕する工程1、粉砕したセルロース含有バイオマスを水熱処理する工程2、及び水熱処理したセルロース含有バイオマスを微粉砕する工程3を含み、前記工程3において、中心から円周方向に貫通する流路を有しないプレートまたはディスクを装着したリファイナーまたはディスクミルを用いて微粉砕することを特徴とする前処理方法。
- セルロース含有バイオマスがソフトバイオマスである請求項1に記載の前処理方法。
- 工程1において、1〜30mmφのスクリーンを用いてセルロース含有バイオマスを粉砕する請求項1または2に記載の前処理方法。
- 工程2の水熱処理が、工程1で粉砕したセルロース含有バイオマスと水の混合物を180〜250℃で1〜100分間加熱する処理である請求項1〜3のいずれかに記載の前処理方法。
- 水熱処理工程2におけるセルロース含有バイオマスと水の割合が、セルロース含有バイオマスの乾燥質量に対して水が4〜97倍量である請求項1〜4のいずれかに記載の前処理方法。
- pH5.8〜8.6の水を用いて水熱処理する請求項1〜5のいずれかに記載の前処理方法。
- リファイナーまたはディスクミルにより微粉砕する工程3を複数回実施する請求項1〜6のいずれかに記載の前処理方法。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の前処理方法を行うことを特徴とする糖化用バイオマス組成物の製造方法。
- 請求項8に記載の製造方法により得られた糖化用バイオマス組成物を加水分解することを特徴とする糖の製造方法。
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