JP2022147444A - セロオリゴ糖含有組成物の製造方法及びセロオリゴ糖含有組成物 - Google Patents

セロオリゴ糖含有組成物の製造方法及びセロオリゴ糖含有組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】保存安定性に優れたセロオリゴ糖含有組成物を製造する方法を提供する。【解決手段】セルロース及びキシランを含む原料混合物を、酸触媒の存在下で加水分解することを含むセロオリゴ糖含有組成物の製造方法であって、原料混合物が、セルロース及びキシランの合計含有量100質量%に対してキシランを5~50質量%含有する、セロオリゴ糖含有組成物の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、セロオリゴ糖含有組成物の製造方法及びセロオリゴ糖含有組成物に関する。
セロオリゴ糖は、グルコースがβ-1,4結合して重合した少糖類であり、保湿性、べたつき抑制、清味付与、でんぷん老化低減、タンパク変性抑制などの機能性が近年見出され、医薬、化粧品、食品、飼料分野などへの利用が期待されている。
特に、グルコースの重合度が3以上のセロオリゴ糖は、上記の機能性の増大、及び新たな機能性賦与という点でより大きな期待が寄せられている。
現在工業的に利用されているセロオリゴ糖は、酵素反応によって製造されており、主成分はグルコースと二量体のセロビオースである(特許文献1)。
酵素法以外のセロオリゴ糖製造技術としては、水熱処理方法(特許文献2~4)、及び次亜塩素酸を含有する酸化水による水熱処理方法(特許文献5)が知られている。いずれの特許文献においても、セロオリゴ糖は、セルロースをグルコースに分解する過程の中間産物として取り扱われている。
また、炭素触媒とセルロースを混合粉砕した後に水熱合成法で加水分解する方法も知られており、グルコースの重合度が6までのオリゴマーを含有するセロオリゴ糖が得られる製造方法が開示されている(特許文献6)。
セルロースをSemi-Dry Conversionによりリン酸触媒を用いて部分加水分解する方法も知られている(非特許文献1)。この方法は比較的選択率が高く、重合度7以上のセロオリゴ糖を得られる方法である。
しかしながら、特許文献1~5に記載の方法は、グルコースまで加水分解反応が進みすぎてしまい、セロオリゴ糖を得る方法として効率的ではなかった。特許文献6に記載の方法は、セルロースの転化率を上げようとするとグルコースまで加水分解反応が進んでしまい、セロオリゴ糖の収率を上げるためには温度制御を非常に精密に行う必要があるなど、比較的重合度の高いセロオリゴ糖を得る方法として効率的ではなかった。
特開2009-189293号公報 特開2011-068578号公報 国際公開第2011/036955号 国際公開第2012/128055号 特開2006-320261号公報 国際公開第2017/104687号
Bull.Chem.Soc.Jpn.2020,93,273-278
一方、比較的重合度の高いセロオリゴが得られる製法(例えば、非特許文献1に記載の方法)では、得られたセロオリゴ糖の水への溶解性が十分ではなく、長期保存時に析出しやすく、保存安定性が悪いという欠点があった。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、比較的重合度が高くても保存安定性に優れたセロオリゴ糖含有組成物を製造する方法を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ね、所定割合のキシランを含有するセルロースを原料として用いて、酸触媒の存在下で加水分解を行うことを考えた。
その結果、セルロース及びキシランを含み、前記セルロース及び前記キシランの合計含有量100質量%に対する前記キシランの含有量が5~50質量%である混合物を、酸触媒の存在下で加水分解するセロオリゴ糖含有組成物の製造方法を見出した。
すなわち、本発明は以下の[1]~[8]を包含する。
[1]
セルロース及びキシランを含む原料混合物を、酸触媒の存在下で加水分解することを含むセロオリゴ糖含有組成物の製造方法であって、前記原料混合物が、前記セルロース及び前記キシランの合計含有量100質量%に対して前記キシランを5~50質量%含有する、セロオリゴ糖含有組成物の製造方法。
[2]
前記原料混合物が、前記セルロース及び前記キシランの合計含有量100質量%に対して前記キシランを7~40質量%含有する、[1]に記載のセロオリゴ糖含有組成物の製造方法。
[3]
前記酸触媒が、硫酸、亜硫酸、塩酸、過塩素酸、硝酸、亜硝酸、及びリン酸からなる群より選択される少なくとも1種の酸又はその部分中和塩である、[1]又は[2]のいずれかに記載のセロオリゴ糖含有組成物の製造方法。
[4]
前記酸触媒がリン酸又はその部分中和塩である、[3]に記載のセロオリゴ糖含有組成物の製造方法。
[5]
前記酸触媒がリン酸である、[4]に記載のセロオリゴ糖含有組成物の製造方法。
[6]
前記原料混合物を、前記酸触媒の存在下で粉砕処理することにより加水分解することを含む、[1]~[5]のいずれか一項に記載のセロオリゴ糖含有組成物の製造方法。
[7]
前記粉砕処理が、遊星ボールミル又は振動ミルを用いて行われる、[6]に記載のセロオリゴ糖含有組成物の製造方法。
[8]
セルロース及びキシランを含み、前記セルロース及び前記キシランの合計含有量100質量%に対する前記キシランの含有量が5~50質量%である原料混合物を、酸触媒の存在下で加水分解することにより製造されたセロオリゴ糖含有組成物。
本発明のセロオリゴ糖含有組成物の製造方法によれば、比較的重合度が高くても(重合度が3~6)、保存安定性に優れたセロオリゴ糖含有組成物を製造することができる。
実施例1で製造した加水分解物のH-NMRチャートである。 実施例2で製造した加水分解物のH-NMRチャートである。 比較例1で製造した加水分解物のH-NMRチャートである。 比較例2で製造した加水分解物のH-NMRチャートである。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は本発明の代表的な例を示したものであり、それらに限定されるものではない。
一実施形態のセロオリゴ糖含有組成物の製造方法は、セルロース及びキシランを含む原料混合物を、酸触媒の存在下で加水分解することを含み、前記原料混合物が、前記セルロース及び前記キシランの合計含有量100質量%に対して前記キシランを5~50質量%含有することを特徴とする。
<原料混合物>
一実施形態のセロオリゴ糖含有組成物の製造方法では、原料として、セルロース及びキシランを含む原料混合物を用いる(以下、「セルロース・キシラン混合物」と呼ぶ場合がある。)。
セルロース及びキシランはバイオマスとして知られ、化石資源ではなく植物由来の有機資源である。
セルロース系バイオマスとしては、例えば、綿、木材系パルプ、ケナフ、麻、小径木、間伐材、おが屑、木屑、古紙、新聞紙、包装紙、ティッシュペーパー、トイレットペーパー、ダンボール等の木質系バイオマス;及びバガス、スイッチグラス、エレファントグラス、トウモロコシの芯、稲ワラ、ムギワラ等の草本系バイオマスが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。例えば、これらのバイオマスを塩素処理で漂白して化学パルプ(ホロセルロース)を生成し、この化学パルプをアルカリ処理してヘミセルロースを除くことにより得られる、水に不溶のセルロースを用いることができる。
一般に、セルロースは、2本又はそれ以上のセルロース分子が水素結合により結合して、結晶性を示す。一実施形態では、そのような結晶性を有するセルロースを原料として使用することもできる。この実施形態では、予備解砕のような結晶性低下のための処理を施して結晶性を低下させて用いることが、加水分解率を高めるために好ましい。結晶性を低下させたセルロースは、結晶性を部分的に低下させたものでも、完全に又はほぼ完全に消失させたものでもよい。結晶性低下処理の方法には特に制限はないが、上記水素結合を切断して、1本鎖のセルロース分子を少なくとも部分的に生成できる結晶性低下処理であることが好ましい。少なくとも部分的に1本鎖のセルロース分子を含むセルロースを原料とすることで、加水分解の効率を大幅に向上させることができる。
原料となるセルロースの結晶性低下処理としては、予備解砕としてボールミル法などの、物理的にセルロース分子間の水素結合を切断して1本鎖のセルロース分子を得る方法(Zhao et al,Energy & Fuels,20,807(2006)参照)、及び圧縮剪断応力をかけずにリン酸処理などの、化学的にセルロース分子間の水素結合を切断して1本鎖のセルロースを得る方法(Zhang et al,Biomacromolecules,7,644(2006)参照)を挙げることができる。セルロースの結晶性低下処理は、セルロースの結晶性を完全に消失させるまでの処理でなくても、処理前のセルロースが有する結晶性を部分的にでも低下させる処理でもよい。これらの処理を施したセルロースを原料とすることで、加水分解の効率を大幅に向上することができる。
更に、原料となるセルロースの結晶性低下処理としては、例えば、加圧熱水処理(Hayashi et al,J. Jpn. Inst. Energy,83,805(2004)、Sasaki et al,Ind. Eng. Chem. Res.,39,2883(2000)等参照)を挙げることができる。
キシランは、D-キシロース残基がβ-1,4結合又はβ-1,3結合した多糖である。キシランを構成する糖にはキシロース以外にアラビノース、グルクロン酸、4-O-メチルグルクロン酸、グルコース、ガラクトース等が含まれていてもよい。
キシランは、加水分解を行う前に、圧縮剪断応力を加えて予備解砕しておくことが好ましい。キシランに圧縮剪断応力を加えて解砕するには、圧縮剪断式解砕機を用いることができる。圧縮剪断式解砕機は、圧縮応力と剪断応力の両方を付加できる機械であり、例えば、振動ロッドミル、振動ボールミル等が挙げられる。なかでも、生産効率の点から、振動ロッドミルが好ましい。ロッドは、特に制限されないが、外径が0.1~100mmのものが好ましく、0.5~50mmのものがより好ましい。ロッドの充填率(振動ミルの撹拌部の容積に対するロッドの見かけの体積)は、機種により異なるが、10~97%が好ましく、15~95%がより好ましい。
解砕時間、解砕機の回転数等の解砕条件は、所望の解砕物を形成するために適宜設定すればよい。高い加水分解率を得られるという観点より、キシラン解砕物における結晶化度は低いほうが好ましい。
キシランは、圧縮剪断応力による予備解砕の前に、予め粗く粉砕しておいてもよい。粗く粉砕する方法は特に制限されず、例えば、粉砕機として、グラインダー・ロールカッター等のカッター式粉砕機、ハンマーミル等の衝撃式粉砕機、コロイドミル等の摩砕式粉砕機等を用いることができる。
セルロース・キシラン混合物において、セルロース及びキシランの合計含有量100質量%に対する、キシランの含有量は5~50質量%である。キシランを5質量%以上含有することにより、加水分解物の水への溶解性が高まり、保存安定性に優れたセロオリゴ糖含有組成物を製造することができる。キシランの含有量が50質量%以下であると、目的物であるセロオリゴ糖含有組成物を十分な収率で得ることができる。セルロース・キシラン混合物において、セルロース及びキシランの合計含有量100質量%に対する、キシランの含有量は7~40質量%であることが好ましく、10~30質量%であることがより好ましく、15~25質量%であることが更に好ましい。
セルロース・キシラン混合物において、キシランの含有量は、後述する実施例に記載の方法により決定される。具体的には、原料として用いた混合物を硫酸水溶液等により単糖単位まで加水分解し、生成物中のグルコース含量及びキシロース含量を分析することで、原料として用いた混合物中の、セルロース及びキシランの合計含有量100質量%に対する、キシランの含有量が決定される。ただし、キシランはキシロースのみから構成されていると仮定する。
セルロース・キシラン混合物は、セルロース及びキシラン以外に、他の成分(例えば、他の多糖類など)を含有していてもよい。前記他の成分は、前記混合物100質量%に対して、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
セルロース・キシラン混合物に含まれるセルロースとキシランは、加水分解反応の反応装置へ投入する前に混合しておいてもよく、加水分解反応の反応装置内で混合してもよい。セルロース・キシラン混合物として、セルロースとキシランを含有する市販品を購入して用いてもよい。例えば、グルコース骨格以外にキシロース骨格が混ざったセルロース系バイオマスを原料として製造されたセルロースは、キシランが完全に除去されず、セルロース中に混ざっている場合がある。セルロース及びキシランの合計含有量100質量%に対する、キシランの含有量が5~50質量%であれば、このような市販品のセルロースを、セルロース・キシラン混合物として用いることができる。
<加水分解反応>
一実施形態のセロオリゴ糖含有組成物の製造方法では、セルロース・キシラン混合物を酸触媒の存在下で加水分解することにより、セロオリゴ糖を生成する。
酸触媒としては、従来知られている公知の酸を用いることができる。具体的には、硫酸、亜硫酸、塩酸、過塩素酸、硝酸、亜硝酸、及びリン酸からなる群より選択される少なくとも1種の酸、又はその部分中和塩を用いることができる。前記酸の部分中和塩としては、例えば、リン酸二水素一カリウム、リン酸二水素一アンモニウム、硫酸水素カリウムなどが挙げられる。酸触媒は、リン酸又はその部分中和塩であることが好ましく、リン酸であることがより好ましい。
酸触媒の使用量は、酸触媒に対するセルロース・キシラン混合物の質量比が、(セルロース・キシラン混合物)/(酸触媒)=2~100となる量であることが好ましく、(セルロース・キシラン混合物)/(酸触媒)=4~20となる量であることがより好ましく、(セルロース・キシラン混合物)/(酸触媒)=5~12となる量であることが更に好ましい。酸触媒に対するセルロース・キシラン混合物の質量比が100以下であると、加水分解が実用上問題のない速度で進行する。酸触媒に対するセルロース・キシラン混合物の質量比が2以上であると、加水分解時に脱水反応、炭素-炭素結合の切断等の副反応を抑制することができる。
本開示におけるセルロース・キシラン混合物の質量は、原料に含有される水分を除いた、真の質量(乾燥質量)である。通常、セルロース及びキシランには物理吸着した水分が含まれているので、これらの付着水分量を分析して、水分を除いたセルロース・キシラン混合物の質量により、酸触媒に対するセルロース・キシラン混合物の質量比を求める。付着水分量の分析方法としては、原料として用いるセルロース・キシラン混合物を100℃から150℃の恒温乾燥機に入れ、質量減少がなくなるまで乾燥させて定量する方法が挙げられる。乾燥時に脱水反応等の副反応による影響を防ぐために、真空乾燥機を用いてより低温で乾燥させ定量することがより望ましい。酸触媒の質量も、真の酸触媒の質量(乾燥質量)である。
前述のように、加水分解を行う前のセルロース・キシラン混合物には、物理吸着した水分が既に1~12質量%程度含有されている。また、塩酸、リン酸のような酸触媒は、通常の市販形態として水分を含んだものが多い。したがって、水を加えなくても、セルロース・キシラン混合物に物理吸着した水分と酸触媒に含まれる水分を用いて、加水分解を進行させることができる。通常は水を添加しなくても水分量が十分な場合が多いが、乾燥度の高いセルロース・キシラン混合物に対しては、水を添加して加水分解を行うこともできる。
水を添加しない場合でも、添加する場合でも、セルロース・キシラン混合物には物理吸着した水分が1~12質量%程度含有されている。したがって、加水分解反応における水分量は、セルロース・キシラン混合物に物理吸着した水分及び酸触媒に含まれる水分、更に水を添加した場合にはその水分量も含めて、真のセルロース・キシラン混合物の質量(乾燥質量)100質量部に対して0.1質量部~15質量部であることが好ましく、0.5質量部~8質量部であることがより好ましい。15質量部以下であると、十分な加水分解速度が得られる上に、装置への固着等による操作不能を防ぐことができる。また、0.1質量部以上であると、脱水反応のような副反応を抑制することができる。
一実施形態のセロオリゴ糖含有組成物の製造方法においては、粉砕処理により機械的な外力を加えることでセルロース・キシラン混合物を加水分解する方法(メカノケミカル法)を用いることが好ましい。
粉砕処理に用いる粉砕装置としては、例えば、ポットミル、チューブミル、コニカルミルなどの転動ボールミル;旋回流型ジェットミル、衝突タイプジェットミル、流動層型ジェットミル、湿式タイプジェットミルなどのジェット粉砕機;らいかい機(擂潰機)、オングミルなどのせん断ミル;乳鉢、石うすなどのコロイドミル;ハンマーミル、ケージミル、ピンミル、ディスインテグレータ、スクリーンミル、ターボ型ミル、遠心分級ミルなどの衝撃式粉砕機;ドラムを振動させることで中の媒体を運動させ粉砕する振動ミル;撹拌羽根を有する缶体中に媒体と原料を入れてそれらを回転運動させ粉砕する撹拌ミル;自転及び公転の運動を採用した種類の粉砕機である遊星ボールミルなどが挙げられる。
粉砕装置は、セルロース・キシラン混合物に圧縮力が強く加わり、主鎖の両方向に引っ張り応力が加えられる、ボールミル、振動ミル、又は撹拌ミルが好ましい。粉砕装置は、より好ましくは、遊星ボールミル、転動ボールミル、振動ミル、又は撹拌ミルであり、更に好ましくは、遊星ボールミル又は振動ミルである。
実験室レベルでは、遊星ボールミルを用いることが好ましい。工業的には、振動ミルを用いることが好ましい。振動ミルは、粉砕媒体が挿入されているドラム(粉砕筒)を回転させるのではなく、ドラムを振動させることで中の媒体を運動させることにより、ドラム回転式ボールミルより1/10~1/20程度の時間で粉砕が可能になる。撹拌ミルは、ドラムを回転させずに撹拌羽根を回転させることで媒体を運動させることにより、ドラム回転式ボールミルより1/10~1/20程度の時間で粉砕が可能になる。
粉砕処理は、連続的に実施することもできるし、断続的に実施することもできる。粉砕処理に伴う処理対象物の昇温を抑制するため、粉砕処理は断続的に行うことが好ましい。粉砕処理を断続的に行う場合は、粉砕装置により最適値は大きく異なるが、例えば遊星ボールミルの場合には、5~15分の粉砕処理を行うごとに、5~15分のインターバルを挟むサイクルを繰り返す方法により、行うことができる。粉砕処理を連続して行う場合には粉砕装置にジャケット等を設置して冷却することにより、適切な温度に維持しながら粉砕処理を行うことが好ましい。
ボールミルなどの粉砕装置を用いてセルロース・キシラン混合物を加水分解する場合には、粉砕処理によりセルロース又はキシランの結晶性を低下させながら加水分解することもできるし、上述のようにあらかじめセルロース又はキシランの結晶性を低下させる処理を行った後に、酸触媒を加えて加水分解することもできる。セルロース又はキシランをヘンシェルミキサーにより予備解砕してから、ボールミルなどによる粉砕処理を行う場合には、予備解砕の段階から酸触媒を混合してもよい。
一実施形態のセロオリゴ糖含有組成物の製造方法において、粉砕処理を伴わずに加水分解を行う場合、粉砕を伴わない方法として、例えば、加圧ニーダーを用いて混練処理する方法、及びニーダーでの混練後に押出成形機を用いて反応させる方法が挙げられる。
加水分解の温度は、常温~110℃であることが好ましく、50℃~100℃であることがより好ましい。常温以上であれば、分解の進行が遅くなることがなく、分解に要する時間が長くなりすぎることがない。より分解速度を加速するために、高温で加水分解を行うこともできる。加水分解の温度が110℃以下であれば、脱水反応などの副反応を抑制することができる。反応装置によっては剪断発熱が大きい場合があるので、前述のようにインターバルを挟むサイクルを繰り返すか、反応装置のジャケットに冷却水を流して加水分解温度を制御することが好ましい。
加水分解の時間は、使用する反応装置に依存するが、一般的には2時間~150時間が好ましく、5時間~80時間がより好ましく、10時間~60時間が更に好ましく、15時間~40時間が特に好ましい。加水分解の時間が2時間以上であると、セルロース・キシラン混合物の分解が促進される。加水分解の時間が150時間以下であると、加水分解物をより効率的に得ることができる。本開示において、粉砕処理により加水分解を行う場合であって、粉砕処理を断続的に行うとき、加水分解の時間とはインターバルを除いた正味の粉砕処理時間をいう。
セルロース・キシラン混合物の加水分解の進行状況は、経時的に処理対象物を少量採取し、その採取物に含まれる水溶性成分の量を測定することで確認することができる。
<その他の工程>
一実施形態のセロオリゴ糖含有組成物の製造方法は、上記の加水分解反応を行う工程のほか、必要に応じて以下の工程を含んでもよい。
[抽出工程]
一実施形態のセロオリゴ糖含有組成物の製造方法は、上記の加水分解反応の後、反応物に水を加えて水溶性成分を抽出する工程を有していてもよい。加水分解時の水の使用量が少ない場合には反応物が固形状になっており、抽出工程を行うことが好ましい。
反応物に対する水の添加量の質量比は、(水の添加量)/(反応物)=0.5~100が好ましく、1~20がより好ましく、2~10が更に好ましい。前記質量比が0.5以上であると反応物中の可溶成分を効率よく溶解させることができ、前記質量比が100以下であると溶解するための容器が大きくなりすぎることがなく効率的である。
反応物に加える水は特に限定されないが、通常、蒸留水が用いられる。蒸留水のほか、塩を含む溶液、緩衝液などを用いてもよい。反応物中の可溶成分の溶解に影響を与えない範囲で、水と混和可能な有機溶媒を加えることもできる。
水溶性成分と固形成分の分離は、一般的に用いられる、懸濁液から固形分を除去する方法により行うことができる。例えば、濾紙、濾布、メンブレンフィルター、フィルタープレス、遠心濾過機、クロスフロー濾過機などを用いて濾過を行ってもよく、自然沈降又は遠心沈降を行うこともできる。
純度の高いセロオリゴ糖を得るためには、反応物から固形分を除去した後、水溶性成分を含む水溶液にエタノール等を添加してセロオリゴ糖を再沈させ、得られた沈殿物を再度水に溶解させ、エタノール再沈を繰り返す等の精製操作を行ってもよい。
[中和工程]
一実施形態のセロオリゴ糖含有組成物の製造方法は、上記の加水分解反応の後、塩基性化合物を加えて反応物を中和する工程を有していてもよい。上記の加水分解反応により得られた反応物には、加水分解に用いた酸触媒が残存しているため、塩基性化合物を加えることにより酸触媒を中和することができる。
加水分解反応の後に上記の抽出工程を行う場合、中和工程は抽出工程の後に行ってもよく、抽出工程と同時に行ってもよい。
塩基性化合物は、カリウム塩、リン酸塩、アンモニウム塩、及びアンモニアからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
塩基性化合物としてカリウム塩を用いる場合、例えば、水酸化カリウム、炭酸カリウム、ギ酸カリウム、酢酸カリウム、カリウムエトキサイド、リン酸二水素一カリウム、リン酸一水素二カリウム、リン酸三カリウム、カリウムアミドなどを用いることができる。これらの中でも、水酸化カリウム、炭酸カリウム、リン酸一水素二カリウム、及びリン酸三カリウムが好ましい。
塩基性化合物としてリン酸塩を用いる場合、リン酸二水素一カリウム、リン酸一水素二カリウム、リン酸三カリウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸三アンモニウムなどを用いることができる。このように、リン酸塩は同時にカリウム塩又はアンモニウム塩であってもよい。
塩基性化合物としてアンモニウム塩を用いる場合、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、テトラエチルアンモニウムヒドロキサイド、炭酸アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウムなどを用いることができる。これらの中でも、リン酸水素二アンモニウム、及び硫酸アンモニウムが好ましい。
塩基性化合物としてアンモニアを用いる場合、アンモニア水を用いることが好ましい。
中和反応の温度は、加水分解反応の生成物が過剰に反応することを防ぐために、好ましくは0℃~50℃、より好ましくは5℃~40℃、更に好ましくは20℃~30℃である。中和反応自体は速いが、原料由来の不溶物が存在した場合には酸の拡散を十分に行う必要があるため、中和反応の時間は好ましくは0.1時間~10時間、より好ましくは0.5時間~5時間、更に好ましくは1時間~3時間である。中和反応に用いる装置としては、特殊なものは必要なく、通常の撹拌槽を用いることができる。酸触媒として塩酸又は硫酸を用いた場合には、ガラス等の耐蝕性のライニングを施した撹拌槽を用いることが好ましい。
中和工程を行う場合、pHを中性側にもっていくことで沈殿が析出してくる場合があるため、中和反応後に濾過により固形分を分離することが好ましい。中和反応後に濾過を実施する場合には、上記の抽出工程において水溶性成分を抽出した後、水溶性成分と固形成分を分離(濾過)する操作を省略することもできる。
中和反応後の固形分の分離は、一般的に用いられる、懸濁液から固形分を除去する方法により行うことができる。例えば、濾紙、濾布、メンブレンフィルター、フィルタープレス、遠心濾過機、クロスフロー濾過機などを用いて濾過を行ってもよく、自然沈降又は遠心沈降を行うこともできる。
<加水分解反応の生成物>
セルロースの加水分解によるセロオリゴ糖含有組成物の製造方法としては、炭素触媒法と、酸触媒法とが知られている。
炭素触媒法は、セルロースを活性炭などの炭素触媒と水の存在下で加水分解する方法である。この方法では、下記式(1)に示されるように、直鎖のセロオリゴ糖のみが生成する。
Figure 2022147444000001
(式(1)中、m、及びnは重合度を表す。)
酸触媒法は、セルロースを酸触媒の存在下で加水分解する方法である。この方法では、上記式(1)に示される反応に加え、下記式(2)に示されるように、分岐体のセロオリゴ糖を生成する反応も起こる。すなわち、6位の水酸基がセルロースと反応することにより、分岐骨格を有するセロオリゴ糖が生成しうる。このような分岐体は、直鎖体に比べて水への溶解性が高い。
Figure 2022147444000002
(式(2)中、m、n、x、及びyは重合度を表す。)
一実施形態のセロオリゴ糖含有組成物の製造方法では、酸触媒法において、所定割合のキシランを含むセルロース・キシラン混合物を原料として用いて反応を行う。いかなる理論に拘束される訳ではないが、この反応では下記式(3)に示されるように、6位の水酸基がキシラン(又はキシランの加水分解生成物であるキシロース、式(3)では不図示)とも反応し、セルロース骨格にキシラン残基(又はキシロース残基)が組み込まれた分岐体のセロオリゴ糖が生成しうる。このようにキシラン残基又はキシロース残基が組み込まれた分岐体のセロオリゴ糖は、水への溶解性が更に高いと推定される。
Figure 2022147444000003
(式(3)中、m、n、x、及びyは重合度を表す。)
詳細は明らかではないが、一実施形態のセロオリゴ糖含有組成物の製造方法では、上記のようにキシラン残基又はキシロース残基が組み込まれた分岐体のセロオリゴ糖が一部生成することにより水への溶解性が高まるため、セロオリゴ糖水溶液における濁りの発生を抑制することができ、保存安定性を高めることができると推定される。
一実施形態のセロオリゴ糖含有組成物の製造方法により製造されたセロオリゴ糖の数平均分子量は、340~1640であることが好ましく、420~1320であることがより好ましく、500~990であることが更に好ましい。セロオリゴ糖の数平均分子量は、後述する実施例に記載の方法により決定される。なお、セロオリゴ糖の数平均分子量は、セロオリゴ糖にキシロース単位が含まれる場合、キシロース単位も含む分子量である。
一実施形態のセロオリゴ糖含有組成物の製造方法により製造されたセロオリゴ糖の全重合結合に対するα-1,6-グリコシド結合の割合(以下、セロオリゴ糖の「分岐度」と呼ぶ場合がある。)は、1~50%であることが好ましく、3~40%であることがより好ましく、5~30%であることが更に好ましく、5~20%であることが特に好ましい。セロオリゴ糖における「重合結合」とは、単糖同士を連結してオリゴ糖を形成する結合、代表的にはグリコシド結合を指す。分岐度は、後述する実施例に記載の方法により、NMRスペクトルの面積比から決定される。なお、分岐度は、上記式(3)で表されるようなキシラン残基又はキシロース残基が組み込まれたα-1,6-グリコシド結合の割合も含む値である。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<1.原料の分析>
原料として用いた多糖類を、以下の方法により単糖単位まで加水分解することで、原料の組成を分析した。
多糖類100mgと、72質量%硫酸水溶液1mLとを混合して、30℃で1時間撹拌した。続いて、混合物に水28mLを加え、120℃で1時間撹拌した後、冷却し、濾過した。得られた濾液をHPLCで分析することにより、濾液中のグルコース含量及びキシロース含量を求めた。
[HPLC分析条件]
カラム:Shodex(登録商標)GF-210(昭和電工株式会社製)3本
溶離液:0.2M酢酸水溶液
カラム温度:40℃
溶離液の流速:0.6mL/min
検出器:示差屈折率検出器
HPLC分析により求めたグルコース含量及びキシロース含量から、原料として用いた多糖類の組成を求めた。なお、キシランはキシロースのみからなると仮定した。結果を以下に示す。
・セルロースアーボセルB600(レッテンマイヤー社製):セルロース80質量%、キシラン20質量%
・アビセル(Merck社製結晶性微粉セルロース):セルロース99質量%、キシラン1質量%
・キシラン(シグマアルドリッチ社製、カバ材由来キシラン):キシラン100質量%
<2.オリゴ糖の製造>
[実施例1]セルロース(アーボセル)を原料とした酸触媒法によるセロオリゴ糖含有組成物の製造
セルロースアーボセルB600(レッテンマイヤー社製)を原料混合物として用いた。
上記原料混合物3.79kg(含水率3.4質量%、乾燥質量3.66kg、キシラン含有率:20質量%)を、ヘンシェルミキサー(装置名:FM20C/I、日本コークス工業株式会社製)を用いて85%リン酸水溶液(富士フイルム和光純薬株式会社製特級試薬)0.53kgと混合した。酸触媒に対するセルロース・キシラン混合物の質量比は、(セルロース・キシラン混合物)/(酸触媒)=8.1であった。混合条件は、回転数1400rpm、通気0.4m/Hrとした。
この混合物のうち350gを振動ミル(装置名:MB-1型、中央化工機株式会社製)に移して、75℃で72時間、粉砕しながら、加水分解を行った。粉砕条件は、全振幅8mm、回転数1000rpmとし、φ3/4インチカーボンスチールボールを使用した。
この粉砕物を振動ミルから出してボールと分離して、粉砕物のうち300gを溶解装置(5L容器)に移した。イオン交換水2817gを加え、スリーワンモータ(登録商標)を用い25℃で1時間撹拌を行った。これにより水に可溶な成分の溶解を行い、加水分解物の抽出物を得た。
この抽出物に、48%水酸化カリウム水溶液61gを加え、スリーワンモータを用い25℃で1時間撹拌を行った。濾過助剤としてパーライト#31(昭和化学工業株式会社製)122gを加え、加圧濾過機(KST-293-20、アドバンテック東洋株式会社製)を用いて濾過を行い、濾液2533gを得た。
濾液は、pHが6.8で、原料の分析と同様の方法により硫酸加水分解してモノマーをHPLC分析した結果、セルロース加水分解物が167g、キシラン加水分解物が42g含有されていた。
得られた濾液を、糖濃度(セルロース加水分解物及びキシラン加水分解物の合計濃度)が5質量%になるように水で希釈し、後述の濁度測定における試料溶液とした。
濾液中の加水分解物の数平均分子量、及び分岐度を以下の方法により求めた。なお、濾液中に含まれるキシラン加水分解物は分離せずに測定を行った。
[数平均分子量の分析方法]
数平均分子量は、HPLC(高速液体クロマトグラム)装置を用いたGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)分析により求めた。
表1に示す条件で調製した各標品試料に対して、超音波を5分間照射して、分散、溶解させたものを一晩静置した後、0.45μmPTFEメンブレンフィルター(型番25HP045AN、アドバンテック東洋株式会社製)で濾過して標準試料を作製した。セロオリゴ糖の分析には「標準1」及び「標準2」を用いた。表1中、「Mp」はピークトップ分子量を表す。
分析試料は、水1gに濾液をそれぞれ0.10gの比率で希釈して調製した。
Figure 2022147444000004
分析装置としてGPC-LS(Agilent社製、1260 Infinity)を用い、以下の分析条件で測定して、各分析試料の全ピークの数平均分子量を求めた。
(分析条件)
カラム:Shodex(登録商標)SB-G 6B(ガードカラム)+SB802.5HQ(分析カラム)×3本
カラム温度:40℃
溶離液:30v/v%アセトニトリル+70v/v%水 0.2M酢酸水溶液
流速 :0.5mL/min
注入量:20μL
検出器:示差屈折計(RI)
[分岐度の分析方法]
分岐度はNMR(核磁気共鳴)装置を用いて、以下に示す条件により求めた。
(NMR条件)
装置:Bruker AVANCE 500(500MHz)
測定法:H-NMR、13C-NMR、13C-DEPT135、HSQC
ロック溶媒:D
内部標準:TSP-d(トリメチルシリルプロピオン酸ナトリウム)=0ppm
温度:室温
サンプル調製:粉末試料(50mg)/DO(1mL)+TSP-d(5mg)
濾液はあらかじめ真空乾燥して粉末試料にして、以下の方法で測定サンプルを調製した。粉末試料50mgを精秤し、50mLの試料ビン中でDO 1mLを加えて溶解させ超音波洗浄機で5分振とうした後、真空乾燥機(30℃)で乾固し、再度精秤して脱水分を算出した。TSP-d(5mg)とDO(1mL)を再度加え、超音波洗浄機で5分振とうした後、0.45μmディスポフィルター(型番:25HP045AN、アドバンテック東洋株式会社製)で濾過したものを5mmφNMRサンプルチューブに封入し、サンプリング直後にNMR測定を行った。
分岐度は、4.9~5.0ppmに検出される「α-1,6-H1」のスペクトルと、4.4~4.6ppmに検出される「β-1,4-H1」のスペクトルの面積比に基づき、以下の数式によって算出した。
分岐度=(α-1,6-H1)÷[(α-1,6-H1)+(β-1,4-H1)]×100(%)
実施例1で製造した加水分解物の数平均分子量は800(グルコース単位に換算した数平均重合度は4.8)、分岐度は14%であった。実施例1で製造した加水分解物のH-NMRスペクトルを図1に示す。
[実施例2]セルロース(アビセル)及びキシランを原料とした酸触媒法によるセロオリゴ糖含有組成物の製造
アビセル(Merck社製結晶性微粉セルロース)3.02kg(含水率3.1質量%、乾燥質量2.93kg)、及びキシラン(シグマアルドリッチ社製、カバ材由来キシラン)0.81kg(含水率9.8質量%、乾燥質量0.73kg)を原料混合物(キシラン含有率:21質量%)として用いたこと以外は、実施例1と同様にして加水分解反応、加水分解物の抽出、及び抽出物の濾過を行い、濾液を得た。酸触媒に対するセルロース・キシラン混合物の質量比は、(セルロース・キシラン混合物)/(酸触媒)=8.1であった。
濾液は、pHが6.8で、原料の分析と同様の方法により硫酸加水分解してモノマーをHPLC分析した結果、セルロース加水分解物が166g、キシラン加水分解物が42g含有されていた。
得られた濾液を、糖濃度(セルロース加水分解物及びキシラン加水分解物の合計濃度)が5質量%になるように水で希釈し、後述の濁度測定における試料溶液とした。
濾液中の加水分解物の数平均分子量、及び分岐度を実施例1に記載の方法により求めた。その結果、数平均分子量は780(グルコース単位に換算した数平均重合度は4.7)、分岐度は18%であった。実施例2で製造した加水分解物のH-NMRスペクトルを図2に示す。
[比較例1]セルロース(アビセル)を原料とした酸触媒法によるセロオリゴ糖含有組成物の製造
アビセル(Merck社製結晶性微粉セルロース)3.91kg(含水率3.1%、乾燥質量3.79kg)を原料として用いたこと以外は、実施例1と同様にして加水分解反応、加水分解物の抽出、及び抽出物の濾過を行い、濾液を得た。酸触媒に対するセルロース・キシラン混合物の質量比は、(セルロース・キシラン混合物)/(酸触媒)=8.4であった。
濾液は、pHが6.8で、原料の分析と同様の方法により硫酸加水分解してモノマーをHPLC分析した結果、セルロース加水分解物が207g含有されていた。得られた濾液を、糖濃度(セルロース加水分解物の濃度)が5質量%になるように水で希釈し、後述の濁度測定における試料溶液とした。
濾液中の加水分解物の数平均分子量、及び分岐度を実施例1に記載の方法により求めた。その結果、数平均分子量は810(グルコース単位に換算した数平均重合度は4.9)、分岐度は12%であった。比較例1で製造した加水分解物のH-NMRスペクトルを図3に示す。
[比較例2]セルロース(アビセル)を原料とした炭素触媒法によるセロオリゴ糖含有組成物の製造
アビセル(Merck社製結晶性微粉セルロース)10gと、活性炭BA50(味の素ファインテクノ株式会社製)1.5gを、直径1.5cmのアルミナ球2000gと共に容量3600mLのセラミックポットミルの中に入れて、卓上ポットミル回転台(日陶科学株式会社製、卓上ポットミル型式ANZ-51S)にセットし、60rpmで48時間処理して反応原料を取得した。なお、温度については室温で開始し、剪断発熱による温度上昇は成り行きに任せた。
続いて、反応原料0.374gと水40mLを、高圧反応器(内容積100mL、オーエムラボテック株式会社製オートクレーブ、ハステロイC22製)に入れた後、600rpmで撹拌しながら反応温度まで10~30℃/分(平均昇温速度11.3℃/分)で230℃まで加熱後、直ちに加熱を止め、反応器を10~30℃/分(平均降温速度16.7℃/分)で風冷して冷却して反応液を作製した。
続いて反応液を、遠心分離装置により回収した上清液を、凍結乾燥してセロオリゴ糖粉末を取得した。得られた粉末を、糖濃度(セルロース加水分解物の濃度)が5質量%になるように水に溶解し、後述の濁度測定における試料溶液とした。
加水分解物の数平均分子量、及び分岐度を実施例1に記載の方法により求めた。その結果、数平均分子量は780(グルコース単位に換算した数平均重合度は4.7)、分岐度は0%であった。比較例2で製造した加水分解物のH-NMRスペクトルを図4に示す。
<3.濁りの有無の観察と濁度の測定>
実施例1~2、及び比較例1~2で得た各試料溶液について、作製直後、及び7日間保存後に、濁りの有無の観察と濁度の測定を行った。結果を表2に示す。
試料溶液の保存は、試料溶液を50mLガラスねじ口瓶容器に40mL充填し、30℃に設定した恒温槽に静置することにより行った。
濁度の測定は、以下の方法を用いた。十分分散した試料溶液(サンプル1)と、サンプル1を0.45μmメンブレン濾過した試料溶液(サンプル2)を用意し、それぞれのサンプルを1cm角のセルに入れて波長660nmの吸光度を測定した。測定した吸光度から、以下の計算式により濁度を求めた。
濁度=(サンプル1の吸光度)-(サンプル2の吸光度)
Figure 2022147444000005
表2の結果から、所定割合のキシランを含むセルロース・キシラン混合物を原料として用いた実施例1及び実施例2では、7日間保存後も試料溶液が濁ることなく、保存安定性に優れることが示された。一方、キシランをほとんど含まないセルロースを原料として用いた比較例1では7日間保存後に濁りが発生し、比較例2では調製直後から既に濁りが発生していた。
本発明のセロオリゴ糖含有組成物の製造方法により、比較的重合度が高くても保存安定性に優れたセロオリゴ糖含有組成物を製造することができる。

Claims (8)

  1. セルロース及びキシランを含む原料混合物を、酸触媒の存在下で加水分解することを含むセロオリゴ糖含有組成物の製造方法であって、前記原料混合物が、前記セルロース及び前記キシランの合計含有量100質量%に対して前記キシランを5~50質量%含有する、セロオリゴ糖含有組成物の製造方法。
  2. 前記原料混合物が、前記セルロース及び前記キシランの合計含有量100質量%に対して前記キシランを7~40質量%含有する、請求項1に記載のセロオリゴ糖含有組成物の製造方法。
  3. 前記酸触媒が、硫酸、亜硫酸、塩酸、過塩素酸、硝酸、亜硝酸、及びリン酸からなる群より選択される少なくとも1種の酸又はその部分中和塩である、請求項1又は2のいずれかに記載のセロオリゴ糖含有組成物の製造方法。
  4. 前記酸触媒がリン酸又はその部分中和塩である、請求項3に記載のセロオリゴ糖含有組成物の製造方法。
  5. 前記酸触媒がリン酸である、請求項4に記載のセロオリゴ糖含有組成物の製造方法。
  6. 前記原料混合物を、前記酸触媒の存在下で粉砕処理することにより加水分解することを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のセロオリゴ糖含有組成物の製造方法。
  7. 前記粉砕処理が、遊星ボールミル又は振動ミルを用いて行われる、請求項6に記載のセロオリゴ糖含有組成物の製造方法。
  8. セルロース及びキシランを含み、前記セルロース及び前記キシランの合計含有量100質量%に対する前記キシランの含有量が5~50質量%である原料混合物を、酸触媒の存在下で加水分解することにより製造されたセロオリゴ糖含有組成物。
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