JPWO2014091661A1 - 位相差顕微鏡、位相差顕微鏡の制御装置及び位相差顕微鏡の制御方法 - Google Patents

位相差顕微鏡、位相差顕微鏡の制御装置及び位相差顕微鏡の制御方法 Download PDF

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Abstract

観察対象物による位相差像への光学的影響を解消することが可能な位相差顕微鏡、位相差顕微鏡の制御装置及び位相差顕微鏡の制御方法を提供する。本技術に係る位相差顕微鏡(100)は、位相リング(110)と、開口リング(106)と、コンデンサレンズ(107)とを具備する。開口リング(106)は、位相リング(110)に対して、第1の方向(Z方向)に移動可能である。コンデンサレンズ(107)は、位相リング(110)に対して、開口リング(106)とは独立して第1の方向(Z方向)に移動可能である。

Description

本技術は、観察対象物の位相差像を撮像することが可能な位相差顕微鏡、位相差顕微鏡の制御装置及び位相差顕微鏡の制御方法に関する。
観察対象物の位相差像を生成することが可能な位相差顕微鏡は、特徴的な構成として開口リングと位相リングを備える。開口リングは、リング状のスリットが形成された遮光板であり、位相リングは、リング状の位相膜を備える透明板である。
光源から照射された照明光(均一光)は開口リングのスリットを通過してリング状に成形され、コンデンサレンズ(集光レンズ)によって観察対象物に集光される。ここで、照明光は、観察対象物を直進した直接光と、観察対象物によって回折を受けた回折光に分けられる。
直接光は、位相リングの位相膜を透過して位相がずれ、かつ減光される。回折光は、大部分が位相リングの透明部分(位相膜が形成されていない部分)を透過するため、位相と明るさは変化しない。直接光と回折光は、結像レンズによって同一の結像面に結像され、位相差像を生成する。
このような位相差顕微鏡の構成により、良好な位相差像を得るためには、開口リングと位相リングの共役関係が成立している必要がある。このため、観察対象物の観察前に、観察倍率において開口リングと位相リングの位置合わせが実行される。例えば、特許文献1には、第1の位相リング(開口リング)と第2の位相リングの何れか一方を移動させることが可能な位相差顕微鏡が開示されている。
特開2009−122356号公報
しかしながら、位相差顕微鏡にセットされた観察対象物によって、開口リングと位相リングの共役関係が影響を受ける場合がある。例えば、観察対象物に液体が含まれている場合、液面がレンズ効果を生じることによって上記共役関係が崩れ、良好な位相差像を得ることは困難となる。
以上のような事情に鑑み、本技術の目的は、観察対象物による位相差像への光学的影響を解消することが可能な位相差顕微鏡、位相差顕微鏡の制御装置及び位相差顕微鏡の制御方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本技術の一形態に係る位相差顕微鏡は、位相リングと、開口リングと、コンデンサレンズとを具備する。
上記開口リングは、上記位相リングに対して、第1の方向に移動可能である。
上記コンデンサレンズは、上記位相リングに対して、上記開口リングとは独立して上記第1の方向に移動可能である。
この構成によれば、観察対象物の液面によるレンズ効果によって開口リングと位相リングの共役関係が崩れた場合であっても、位相リングに対する開口リングの位置と、位相リングに対するコンデンサレンズの位置を独立して調整することにより、拡大倍率を維持しつつ共役関係を成立させることが可能となり、即ち位相差顕微鏡を位相差像の観察に適した状態にすることが可能となる。これに対し、開口リングの位相リングに対する位置のみを調整した場合、液面のレンズ効果によって拡大倍率がずれるため、良好な位相差像を得ることができない。
上記開口リングは、さらに、上記第1の方向に直交する第2の方向と、上記第1の方向及び上記第2の方向に直交する第3の方向に移動可能であってもよい。
この構成によれば、第2の方向及び第3の方向における、開口リングと位相リングの位置合わせを行うことが可能である。観察対象物の液面によるレンズ効果によって、開口リングと位相リングの光学的な中心がずれる場合があるが、上記構成によればこのようなずれを解消することが可能となる。

上記位相差顕微鏡は、上記開口リングの像である開口リング像と上記位相リングの像である位相リング像を含む調整用画像を撮像する撮像部と、上記調整用画像に基づいて、上記開口リングの上記位相リングに対する位置と、上記コンデンサレンズの上記位相リングに対する位置を調整する制御部とをさらに具備してもよい。
この構成によれば、制御部が、調整用画像に基づいて開口リングとコンデンサレンズの位相リングに対する位置を調整するため、位相差顕微鏡を自動的に位相差像の観察に適した状態にすることが可能となる。
上記制御部は、上記開口リング像の焦点が合うように上記開口リングの位置を調整し、上記開口リング像が上記位相リング像に含まれるように上記コンデンサレンズの位置を調整してもよい。
この構成によれば、制御部は、開口リング像の焦点を利用して開口リングの位相リングに対する位置を調整し、開口リング像と位相リング像の大小関係を利用してコンデンサレンズの位相リングに対する位置を調整することが可能となる。
上記目的を達成するため、本技術の一形態に係る位相差顕微鏡の制御装置は、開口リングの像である開口リング像と位相リングの像である位相リング像を含む調整用画像を取得し、上記調整用画像に基づいて、上記開口リングの上記位相リングに対する位置と、コンデンサレンズの上記位相リングに対する位置とを調整する。
上記目的を達成するため、本技術の一形態に係る位相差顕微鏡の制御方法は、開口リングの像である開口リング像と位相リングの像である位相リング像を含む調整用画像に基づいて、上記開口リングの上記位相リングに対する位置と、コンデンサレンズの上記位相リングに対する位置とを調整する。
以上のように、本技術によれば、観察対象物による位相差像への光学的影響を解消することが可能な位相差顕微鏡、位相差顕微鏡の制御装置及び位相差顕微鏡の制御方法を提供することが可能である。
本技術の実施形態に係る位相差顕微鏡の模式図である。 同位相差顕微鏡の開口リングの模式図である。 同位相差顕微鏡の位相リングの模式図である。 同位相差顕微鏡の第2撮像部によって撮像される調整用画像の例である。 同位相差顕微鏡の、開口リングとコンデンサレンズの調整を示す模式図である。 同位相差顕微鏡の制御部の動作を示すフローチャートである。 同位相差顕微鏡の、開口リングのコンデンサレンズの移動量の例である。 同位相差顕微鏡の、第1撮像部によって撮像される位相差像の例である。
本技術の実施形態に係る位相差顕微鏡について説明する。
[位相差顕微鏡の構成]
図1は、本実施形態に係る位相差顕微鏡100の構成示す模式図である。同図に示すように、位相差顕微鏡100は、光源101、光源レンズ102、視野絞り103、リレーレンズ104、開口絞り105、開口リング106、コンデンサレンズ107、ステージ108、対物レンズ109、位相リング110、第1結像レンズ111、ミラー112、第1撮像部113、第2結像レンズ114、第2撮像部115及び制御部116を有する。また、ステージ108には、観察対象物(培養液中の細胞等)を収容したウェルプレートSが載置されている。
以降の説明おいて、開口リング106から位相リング110に対する方向をZ方向とし、Z方向に垂直な方向をX方向、Z方向及びX方向に垂直な方向をY方向とする。Z方向は、位相差顕微鏡100の光軸方向に一致し、X方向及びY方向は、ステージ108のステージ面に沿った方向である。
光源101は、観察対象物に照射される照明光を生成する光源であり、ハロゲンランプや白色LED(Light Emitting Diode)等、任意の光源を利用することができる。図1において、光源101から照射された照明光の光路を光路L1として示す。
光源レンズ102は、光源101から照射された照明光を集光するレンズである。光源レンズ102は任意のものを利用することができるが、照明光を均一光(ケーラー照明光)にすることが可能なものが好適である。
視野絞り103は、観察対象物と共役となる位置に配置され、照明光が観察対象物に照射される範囲を制限する。視野絞り103は例えば、円形の開口が形成された遮光板であるものとすることができる。
リレーレンズ104は、照明光を伝達するレンズである。リレーレンズ104は任意のものを利用することができる。
開口絞り105は、光源101と共役となる位置に配置され、観察対象物に照射される照明光の光量を調整する。開口絞り105は例えば、円形の開口が形成された遮光板であるものとすることができる。
開口リング106は、照明光をリング状に成形する。図2は、開口リング106を示す模式図である。同図に示すように、開口リング106は、遮光領域106aと光透過領域106bを有する。遮光領域106aは入射光を遮蔽する領域であり、光透過領域106bは入射光を透過する領域である。開口リング106は、遮光性部材にスリットを形成して光透過領域106bとし、それ以外の領域を遮光領域106aとしたものとすることができる。
ここで、開口リング106は、位相リング110に対して、少なくともZ方向に移動可能に構成されている。また、詳細は後述するが、開口リング106はX方向及びY方向にも移動可能に構成されているものが好適である。
さらに、開口リング106は、図示しない駆動機構、例えばモータによって各方向に移動されるものとすることができる。駆動機構は制御部116に接続されて制御され、即ち開口リング106の位置は制御部116によって調整されるものとすることができる。また、開口リング106は、手動によってその位置を調整されるものとすることも可能である。
コンデンサレンズ107は、照明光を観察対象物に集光するレンズである。コンデンサレンズ107は任意のものを利用することができる。ここで、コンデンサレンズ107は位相リング110に対して、開口リング106とは独立してZ方向に移動可能に構成されている。
さらに、コンデンサレンズ107は、図示しない駆動機構、例えばモータによってZ方向に移動されるものとすることができる。駆動機構は制御部116に接続されて制御され、即ちコンデンサレンズ107の位置は制御部116によって調整されるものとすることができる。また、コンデンサレンズ107は、手動によってその位置を調整されるものとすることも可能である。
ステージ108は、観察対象物(ここではウェルプレートS)を支持する。ステージ108は、図示しない駆動機構によって、X方向、Y方向及びZ方向に移動可能に構成されている。なおステージ108の少なくとも中心部分は、光透過性を有する材料からなる。
対物レンズ109は、観察対象物の像を所定倍率に拡大する。対物レンズ109は、各種拡大倍率のものから所望の拡大倍率に応じて選択することが可能である。
位相リング110は、入射光の一部を位相シフトさせる。図1に示すように、位相リング110は対物レンズ109に一体的に構成されているものが一般的であるが、対物レンズ109と独立していてもよい。図3は、位相リング110を示す模式図である。同図に示すように、位相リング110は、位相シフト領域110aと光透過領域110bを有する。位相シフト領域110aは、入射光の位相をシフトさせると共に、入射光を減光する領域である。光透過領域110bは、入射光の位相をシフトさせることなく透過させる領域である。位相リング110は、光透過性部材に位相膜を成膜して位相シフト領域110aとし、それ以外の領域を光透過領域110bとしたものとすることができる。
第1結像レンズ111は、観察対象物の像を第1撮像部113の撮像面(撮像素子)に結像させる。第1結像レンズ111は、任意のものを利用することができる。
ミラー112は、第1結像レンズ111と第1撮像部113の間の光路に配置され、入射光を第2結像レンズ114向けて反射する。ミラー112は、位相差像の観察の際には光路から除外されるものとすることも可能である。
第1撮像部113は、観察対象物の位相差像を撮像する。具体的には第1撮像部113は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子を備えるものとすることができる。
対物レンズ109、位相リング110、第1結像レンズ111及び第1撮像部113によって第1撮像光学系が構成される。図1において、第1撮像光学系の光路を光路L2として示す。観察対象物と第1撮像部113の撮像面は共役関係を構成し、第1撮像部113によって観察対象物の位相差像が撮像される。
第2結像レンズ114は、ミラー112によって反射された光を第2撮像部115の撮像面(撮像素子)に結像させる。第2結像レンズ114は、任意のものを利用することができる。
第2撮像部115は、開口リング106とコンデンサレンズ107の位置調整用の画像(以下、調整用画像)を撮像する。具体的には第2撮像部115は、CCDやCMOS等の撮像素子を備えるものとすることができる。第2撮像部115は、撮像した調整用画像を制御部116に供給する。なお、第2撮像部115の替わりに光学系が設けられ、ユーザが上記調整用画像に相当する像を目視できるように構成されていてもよい。
開口リング106、コンデンサレンズ107、対物レンズ109、位相リング110、第1結像レンズ111、ミラー112、第2結像レンズ114及び第2撮像部115によって第2撮像光学系が構成される。図1において、第2撮像光学系の光路を光路L3として示す。開口リング106、位相リング110及び第2撮像部115の撮像面は共役関係を構成し、第2撮像部115によって、開口リング106の像と位相リング110の像を含む画像(調整用画像)が撮像される。
制御部116は、位相差顕微鏡100に組み込まれた情報処理ユニット又は位相差顕微鏡100とは独立した情報処理装置(PC等)であり、第2撮像部115、開口リング106の駆動機構及びコンデンサレンズ107の駆動機構にそれぞれ接続されている。また、制御部116は、ステージ108の駆動機構等にも接続されていてもよい。制御部116は、第2撮像部115から供給された調整用画像に基づいて、開口リング106の位相リング110に対する位置と、コンデンサレンズ107の位相リング110に対する位置を調整する。制御部の詳細については後述する。
位相差顕微鏡100は以上のような構成を有する。光源101から照射された照明光は、光源レンズ102によって集光され、視野絞り103によって照射範囲が制限される。さらに、リレーレンズ104によって伝達され、開口絞り105によって光量が調節される。さらに、開口リング106の光透過領域106b(図2参照)を透過してリング状に成形され、コンデンサレンズ107によってウェルプレートSのウェルに収容された観察対象物に照射される。
ここで、照明光は、観察対象物を直進した直接光と、観察対象物によって回折を受け回折光に分けられる。直接光は、位相リング110の位相シフト領域110a(図3参照)を透過して位相がずれ、かつ減光される。回折光は、大部分が位相リング110の光透過領域110bを透過するため、位相と明るさは変化しない。直接光と回折光は光路L2において、第1結像レンズ111によって第1撮像部113の撮像面に結像され、位相差像が生成される。
このような位相差顕微鏡100の構成により、良好な位相差像を得るためには、開口リング106と位相リング110の共役関係が成立している必要がある。このため、観察対象物の観察前に、開口リング106と位相リング110の相対位置の調整が必要となる。
この位置調整においては、光路L3が利用される。開口リング106の像と位相リング110の像は光路L3において、第2結像レンズ114によって第2撮像部115の撮像面に結像され、調整用画像が生成される。
図4は、位置調整用画像の例を示す模式図である。同図に示すように調整用画像には、開口リング106の像(以下、開口リング像)F1と位相リング110の像(以下、位相リング像)F2が含まれる。ここで、図4に示すように、開口リング像F1が位相リング像F2に含まれるように、開口リング106の位相リング110に対する位置が調整される。調整用画像がこのようになると、開口リング106の光透過領域106bを透過した照明光が、位相リング110の位相シフト領域110aを透過しており、即ち開口リング106と位相リング110が、位相差像の生成に適した位置関係となっている。
[液面によるレンズ効果について]
上述のように、調整用画像を利用して、開口リング106と位相リング110の相対位置を調整することが可能である。しかしながら、観察対象物によって生じるレンズ効果によって、開口リング106と位相リング110の共役関係が影響を受ける場合がある。
図5は、位相差顕微鏡100の一部の構成と、第2撮像部115によって撮像される調整用画像を示す模式図である。
図5(a)は、観察対象物が、ディッシュDに収容された溶液を含む場合を示している。この場合、溶液の液面は平面に近く、レンズ効果を生じない。このため、開口リング106と位相リング110の共役関係は維持される。したがって、開口リング像F1が位相リング像F2に含まれた調整用画像が生成される。
図5(b)は、観察対象物が、ウェルWに収容された溶液を含む場合を示している。この場合、表面張力によって溶液の液面がメニスカス形状を形成し、レンズ効果を生じる。このため、このレンズ効果によって、開口リング106と位相リング110の共役関係が崩れ、開口リング像F1にボケが生じる。
図5(c)に示すように、開口リング106をZ方向に移動させると、開口リング像F1のボケが解消される。しかしながら、拡大倍率がずれたままなので、開口リング像F1が位相リング像F2の中に収まらない。
ここで、図5(d)に示すように、開口リング106に加え、コンデンサレンズ107をZ方向に移動させることにより、拡大倍率を保ちつつ共役関係を維持することが可能となる。これにより、開口リング像F1が位相リング像F2に含まれた調整用画像が生成される。即ち、液体のレンズ効果による影響を解消することが可能となる。
このように、本実施形態に係る位相差顕微鏡100においては、開口リング106とコンデンサレンズ107が、位相リング110に対して独立にZ方向に移動することが可能に構成されていることにより、観察対象物のレンズ効果による影響を解消することが可能となる。
[制御部による位置調整]
上述した開口リング106及びコンデンサレンズ107の位相リング110に対する位置調整は、制御部116によって自動的になされるものとすることが可能である。図6は、制御部116の動作を示すフローチャートである。
最初に、制御部116は、第2撮像部115から調整用画像を取得する(St101)。上述のように調整用画像には、開口リング像F1と位相リング像F2が含まれている(図5参照)。
制御部116は、調整用画像において開口リング像F1がボケているか否かを判断する(St102)。制御部116は、調整用画像に2値化等の画像処理を施すことによって、開口リング像F1がボケているか否かを判断することが可能である。
調整用画像において、開口リング像F1がボケていない場合(St102:Yes)、制御部116は次のステップに移行する。一方、図5(b)に示すように、開口リング像F1がボケている場合(St102:No)、制御部116は、開口リング106の駆動機構を制御し、開口リング106をZ方向に移動させる(St103)。
制御部116は再び調整用画像を取得して(St101)、開口リング像F1がボケているか否かの判断を行い(St102)、ボケていればさらに開口リング106をZ方向に移動させる(St103)。以降、制御部116は、開口リング像F1のボケが解消されるまでこれらのステップ(St101〜103)を繰返す。
続いて、制御部116は、再び第2撮像部115から調整用画像を取得し(St104)、
開口リング像F1と位相リング像F2の中心(リング中心)が一致しているか否かを判断する(St105)。これら像の中心が一致している場合(St105:Yes)、制御部116は次のステップに移行する。一方、これらの像の中心が一致していない場合(St105:No)、制御部116は開口リングの駆動機構を制御し、開口リング106をX方向及びY方向に移動させる(St106)。
制御部116は再び調整用画像を取得して(St104)、開口リング像F1と位相リング像F2の中心が一致しているか否かの判断を行い(S105)、一致していなけらばさらに開口リング106を移動させる(St106)。以降、制御部116は、像の中心が一致するまでこれらのステップ(St104〜106)を繰返す。
続いて、制御部116は、再び第2撮像部115から調整用画像を取得し(St107)、
開口リング像F1と位相リング像F2の幅中心の径が一致しているか否かを判断する(St108)。幅中心の径とは、調整用画像において各リングの中心から各リングの幅の中央までの距離である。
制御部116は、開口リング像F1と位相リング像F2の幅中心の径が一致している場合(St108:Yes)、次のステップに移行する。一方これらの幅中心の径が一致していない場合(St108:No)、制御部116はコンデンサレンズ107の駆動機構を制御し、コンデンサレンズ107をZ方向に移動させる(St109)。
制御部116は再び調整用画像を取得して(St107)、開口リング像F1と位相リング像F2の幅中心の径が一致しているか否かの判断を行い(St108)、一致していなければさらにコンデンサレンズ107を移動させる。以降、制御部116は、幅中心の径が一致するまでこれらのステップ(St107〜109)を繰返す。
続いて、制御部116は、調整用画像において、開口リング像F1が位相リング像F2内に収まっているか否かを判断する(St110)。図5(d)に示すように開口リング像F1が位相リング像F2内に収まっている場合(St110:Yes)、制御部116は位置調整プロセスを終了する。一方、開口リング像F1が位相リング像F2内に収まっていない場合(St110:No)、制御部116はステップ101に戻り、上記各ステップを繰返す。
以上のようにして制御部116は、図5(d)に示すような調整用画像が得られるように位相リング110に対する開口リング106及びコンデンサレンズ107の位置を調整する。これにより、観察対象物によるレンズ効果の影響を解消して開口リング106と位相リング110の共役関係を維持することが可能となる。
なお、上述した位置調整の手順は、制御部116ではなく、ユーザが実施してもよい。即ち、第2撮像部115に替えて目視可能な光学系を利用し、ユーザが開口リング106及びコンデンサレンズ107の位置を調整するものとすることも可能である。
[実施例]
位相差顕微鏡100において、上述のように開口リング106とコンデンサレンズ107の位置調整を行う際、どの程度移動させればよいかを算出した。図7は、位相差顕微鏡100の構成の一部と移動距離を示す模式図である。
図7(a)は、観察対象物がディッシュDに収容された溶液を含み、溶液によるレンズ効果が生じていない状態を示す。図7(b)は、観察対象物がウェルWに収容された容器を含み、溶液によるレンズ効果が生じている状態を示す。図7(c)は、図7(b)に示す状態から、開口リング106及びコンデンサレンズ107の位相リング110に対する位置が調整された状態を示す。
溶液(絶対屈折率n=1.33)の中心厚が3mm、溶液表面のメニスカスの曲率半径が8mm、コンデンサレンズ107の焦点距離が45mmであるとする。この場合、図7(c)に示すように、開口リング106のZ方向の移動距離が81.7mm、コンデンサレンズ107のZ方向の移動距離が3.7mmであるときに、開口リング106と位相リング110の共役関係が成立し、位相差像の生成に適した状態となる。
また、ウェルWがXY方向に2mm移動し、即ちメニスカスが2mm偏心した場合、開口リング106のXY方向の移動距離が3.8mm、Z方向の移動距離がさらに22mmであるときに、開口リング106と位相リング110の共役関係が成立し、位相差像の生成に適した状態となる。
また、図8は、位相差顕微鏡100の第1撮像部113によって撮像された観察対象物の位相差像である。図8(a)は、液面のレンズ効果によって開口リング106と位相リング110の共役関係が崩れている状態(図7(b)参照)の位相差像である。図8(b)は、開口リング106とコンデンサレンズ107の位置が調整され、開口リング106と位相リング110の共役関係が維持されている状態(図7(c)参照)の位相差像である。なお、観察対象物は、培養液中に固定されたiPS細胞由来のヒト心筋細胞であり、光学倍率は10倍(CラボTE200を使用)とした。第1撮像部113には、画素数2048×2048のCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラを利用した。
図8(a)に示すように、共役関係が崩れている状態においては、位相差が得られている領域が画像の中央部分のみとなっている。一方、図8(b)に示すように、共役関係が成立している状態においては、位相差が得られている領域が画像全体に及び、良好な位相差像が得られている。即ち、本実施形態のように、開口リング106とコンデンサレンズ107の位相リング110に対する位置を調整することにより、観察対象物の液面によるレンズ効果の影響を解消し、良好な位相差像を得ることが可能であるといえる。
本技術は、上記各実施形態にのみ限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲内において変更することが可能である。
なお、本技術は以下のような構成も採ることができる。
(1)
位相リングと、
上記位相リングに対して、第1の方向に移動可能な開口リングと、
上記位相リングに対して、上記開口リングとは独立して上記第1の方向に移動可能なコンデンサレンズと
を具備する位相差顕微鏡。
(2)
上記(1)に記載の位相差顕微鏡であって、
上記開口リングは、さらに、上記第1の方向に直交する第2の方向と、上記第1の方向及び上記第2の方向に直交する第3の方向に移動可能である
位相差顕微鏡。
(3)
上記(1)又は(2)に記載の位相差顕微鏡であって、
上記開口リングの像である開口リング像と上記位相リングの像である位相リング像を含む調整用画像を撮像する撮像部と、
上記調整用画像に基づいて、上記開口リングの上記位相リングに対する位置と、上記コンデンサレンズの上記位相リングに対する位置を調整する制御部と
をさらに具備する位相差顕微鏡。
(4)
上記(1)から(3)のいずれか一つに記載の位相差顕微鏡であって、
上記制御部は、上記開口リング像の焦点が合うように上記開口リングの位置を調整し、上記開口リング像が上記位相リング像に含まれるように上記コンデンサレンズの位置を調整する
位相差顕微鏡。
(5)
開口リングの像である開口リング像と位相リングの像である位相リング像を含む調整用画像を取得し、上記調整用画像に基づいて、上記開口リングの上記位相リングに対する位置と、コンデンサレンズの上記位相リングに対する位置とを調整する
位相差顕微鏡の制御装置。
(6)
開口リングの像である開口リング像と位相リングの像である位相リング像を含む調整用画像に基づいて、上記開口リングの上記位相リングに対する位置と、コンデンサレンズの上記位相リングに対する位置とを調整する
位相差顕微鏡の制御方法。
100…位相差顕微鏡
101…光源
102…光源レンズ
103…視野絞り
104…リレーレンズ
105…開口絞り
106…開口リング
107…コンデンサレンズ
108…ステージ
109…対物レンズ
110…位相リング
111…第1結像レンズ
112…ミラー
113…第2撮像部
114…第2結像レンズ
115…第2撮像部
116…制御部

Claims (6)

  1. 位相リングと、
    前記位相リングに対して、第1の方向に移動可能な開口リングと、
    前記位相リングに対して、前記開口リングとは独立して前記第1の方向に移動可能なコンデンサレンズと
    を具備する位相差顕微鏡。
  2. 請求項1に記載の位相差顕微鏡であって、
    前記開口リングは、さらに、前記第1の方向に直交する第2の方向と、前記第1の方向及び前記第2の方向に直交する第3の方向に移動可能である
    位相差顕微鏡。
  3. 請求項1に記載の位相差顕微鏡であって、
    前記開口リングの像である開口リング像と前記位相リングの像である位相リング像を含む調整用画像を撮像する撮像部と、
    前記調整用画像に基づいて、前記開口リングの前記位相リングに対する位置と、前記コンデンサレンズの前記位相リングに対する位置とを調整する制御部と
    をさらに具備する位相差顕微鏡。
  4. 請求項3に記載の位相差顕微鏡であって、
    前記制御部は、前記開口リング像の焦点が合うように前記開口リングの位置を調整し、前記開口リング像が前記位相リング像に含まれるように前記コンデンサレンズの位置を調整する
    位相差顕微鏡。
  5. 開口リングの像である開口リング像と位相リングの像である位相リング像を含む調整用画像を取得し、前記調整用画像に基づいて、前記開口リングの前記位相リングに対する位置と、コンデンサレンズの前記位相リングに対する位置とを調整する
    位相差顕微鏡の制御装置。
  6. 開口リングの像である開口リング像と位相リングの像である位相リング像を含む調整用画像に基づいて、前記開口リングの前記位相リングに対する位置と、コンデンサレンズの前記位相リングに対する位置とを調整する
    位相差顕微鏡の制御方法。
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