以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態の電気掃除機用吸込具について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
(実施の形態1)
まず、本発明の実施の形態1における電気掃除機用吸込具100の全体構成の一例について、図1から図8を用いて具体的に説明する。
図1は、本発明の実施の形態1における電気掃除機用吸込具を示す全体斜視図である。図2は、本発明の実施の形態1における電気掃除機用吸込具を前方から見た構成を示す正面図である。図3は、本発明の実施の形態1における電気掃除機用吸込具を後方から見た構成を示す背面図である。図4は、本発明の実施の形態1における電気掃除機用吸込具を左側方から見た構成を示す左側面図である。図5は、本発明の実施の形態1における電気掃除機用吸込具を右側方から見た構成を示す右側面図である。図6は、本発明の実施の形態1における電気掃除機用吸込具を上方から見た構成を示す平面図である。図7は、本発明の実施の形態1における電気掃除機用吸込具を下方から見た構成を示す底面図である。図8は、本発明の実施の形態1における電気掃除機用吸込具の前後方向の断面構成を左側方から見た構成を示す断面図である。
図1から図8に示すように、本実施の形態の電気掃除機用吸込具100は、少なくとも吸込具本体1と、接続管部2と、車輪部3と、を備えている。
図1、図2、図6、および図7に示すように、吸込具本体1は、細長い平板状で形成され、長手方向の中央後方に接続管部2が接続されている。なお、本実施の形態では、電気掃除機用吸込具100の吸込具本体1が位置する側を「前」、車輪部3が位置する側を「後」として、各構成要素の位置関係を説明する。また、電気掃除機用吸込具100の左右方向に関しては、前方に向かって左を「左方向」、右を「右方向」として規定して説明する。
図7および図8に示すように、吸込具本体1の下面(被清掃面と対向する側)の前方には、被清掃面の塵埃を吸引する吸込口1aが形成されている。吸込口1aは、吸込具本体1の長手方向に沿って矩形状の開口で形成され、内部に回転ブラシ4が設けられている。回転ブラシ4は、例えば円柱状で形成され、ブラシ回転機構(図示せず)により回転可能に構成されている。なお、ブラシ回転機構(図示せず)は、例えばモータやエアータービンなどを駆動源とし、回転ブラシ4を回転駆動する。
さらに、図4、図5、図7および図8に示すように、吸込具本体1の下面には、例えば左右一対の前方輪5および左右一対の後方輪6が配置されている。前方輪5は、吸込口1aと後方輪6との間で、吸込口1aに近接して配置されている。後方輪6は、吸込具本体1の後方で、接続管部2に近接して配置されている。そして、吸込具本体1は、前方輪5および後方輪6によって、被清掃面上を移動するように構成されている。なお、本実施の形態では、前方輪5が吸込口1aと後方輪6との間で、吸込口1aに近接して配置されている構成を例に説明するが、これに限られない。例えば、前方輪5は吸込口1aの前方、すなわち、吸込具本体1の下面の前端部1b側で吸込口1aに近接して配置してもよい。
また、図1および図4から図8に示すように、接続管部2は、吸込具本体1の後部に接続され、本実施の形態では、第1の接続管7、第2の接続管8、および第3の接続管9から構成されている。
接続管部2の第1の接続管7の一端は、吸込具本体1の後部上側に吸込具本体1の前後方向に対して揺動自在に接続され、第1の接続管7の他端は第2の接続管8に接続されている。接続管部2の第2の接続管8の一端は、第1の接続管7の他端に軸方向を中心に左右方向に回動自在に接続され、第2の接続管8の他端は第3の接続管9に接続されている。接続管部2の第3の接続管9の一端は、第2の接続管8の他端において前後方向に揺動自在に接続され、第3の接続管9の他端は電気掃除機に接続可能な開放端となっている。さらに、図1に示すように、第3の接続管9に、第3の接続管9の揺動とともに回動する突起部9aを設けてもよい。これにより、車輪部3の傾斜動作を制限することができる。
なお、本実施の形態では、図1に示すように、第1の接続管7の揺動方向を矢印M1、第2の接続管8の回動方向を矢印M2、第3の接続管9の揺動方向を矢印M3、車輪部3の回動方向を矢印M4で示して、説明する。具体的には、図1に示す電気掃除機用吸込具100は、後述する収納状態に相当する、第3の接続管9が最も前方に揺動した状態を図示している。そのため、図1の矢印M3は、第3の接続管9が後方のみに揺動可能であることを示している。
また、本実施の形態では、接続管部2を、第1の接続管7、第2の接続管8、および第3の接続管9からなる3つの管状部材で構成した例で説明したが、これに限られない。例えば、必要に応じて4つ以上の管状部材から構成してもよく、さらに管状部材以外の部材などを備えていてもよい。なお、接続管部2を構成する第1の接続管7、第2の接続管8および第3の接続管9の揺動または回動動作や、機能などに関しては後述する。
また、車輪部3は、左右一対の車輪10と、車輪支持体11と、レバー機構12と、から構成され、接続管部2に設けられている。これにより、吸込具本体1の下面に設けられた前方輪5および後方輪6とともに、電気掃除機用吸込具100が被清掃面を走行することを可能としている。さらに、車輪10は、車輪支持体11の両端で回転可能に支持されている。
なお、車輪10の具体的な形状は特に限定されず、公知の形状であればよい。本実施の形態では、図3、図6および図7に示すように、車輪10は、例えば車輪支持体11で支持されている内側から外側に向かって、車輪10の外径が減少する、断面が、例えば略放物線状(放物線状を含む)のような形状を有している。つまり、車輪10の内側(接続管部2と対向する側)に比べて、車輪10の外側の中央部が突出した形状となる。そのため、電気掃除機用吸込具100を回転させたときに、電気掃除機用吸込具100が傾斜しても、車輪10の突出した部位の周面が被清掃面に接触して回転する。これにより、車輪10が傾斜した状態の場合でも、十分に被清掃面上を車輪10が接触した状態で走行することが可能となる。その結果、電気掃除機用吸込具100の操作性が向上する。
また、図3および図7に示すように、車輪部3の車輪支持体11は、例えば細長い平板状で、長手方向の長さが吸込具本体1よりも短く形成されている。車輪支持体11の両端には、一対の車輪10が回動可能に支持されている。そして、車輪支持体11の中央部は、車輪取付部13を介して接続管部2に取り付けられている。なお、図6および図7に示すように、車輪支持体11は、基本的には、接続管部2の延伸方向(前後方向)に対して直交するように配置される。しかし、車輪支持体11は、使用時(電気掃除機に取り付けて塵埃を吸引するとき)においては、接続管部2に対して傾斜可能に構成されている。
また、車輪部3のレバー機構12は、電気掃除機用吸込具100を使用しないとき、特に収納時において、第3の接続管9の揺動と車輪部3の傾斜動作を制限する機能を有する。具体的には、電気掃除機用吸込具100の使用状態において、通常、第3の接続管9は後方に揺動している(倒れている)。一方、第3の接続管9を使用状態から前方へ揺動させて、図1に示す収納状態とすると、レバー機構12が第3の接続管9の揺動に連動して押し上げられる。これにより、第3の接続管9の揺動を制限するとともに、車輪部3の傾斜動作を制限する。なお、レバー機構12の具体的な構成の一例および車輪部3の傾斜の制限については後述する。
なお、本実施の形態では、車輪部3が、車輪10、車輪支持体11、およびレバー機構12からなる構成を例に説明したが、これに限られない。車輪部3として、例えば少なくとも車輪10および車輪支持体11から構成されていればよい。一方、レバー機構12は、車輪支持体11の傾斜動作を制限するために設けられている。そのため、車輪部3は、レバー機構12以外に、傾斜動作を制限する別の機構または部材などを備えてもよい。さらに、車輪部3は、車輪10、車輪支持体11およびレバー機構12以外の他の構成を備えてもよい。
また、図1、図3から図5、図7および図8に示すように、接続管部2の下部には、車輪支持体11を接続管部2に取り付けるための車輪取付部13が設けられている。なお、本実施の形態では、車輪取付部13を第2の接続管8の下面に設けているので、車輪支持体11(すなわち車輪部3)は、接続管部2のうちの第2の接続管8に取り付けられていることになる。さらに、車輪支持体11は、車輪取付部13の中央部を支点として、傾斜動作が可能に構成されている。
なお、上述した吸込具本体1、接続管部2および車輪部3の、より具体的な構成、例えば材質、寸法、構成部品などは特に限定されず、電気掃除機の分野で公知の構成を適宜に用いることができる。例えば、吸込具本体1および接続管部2は、公知の樹脂成形物を組み立てて構成されていればよく、回転ブラシ4も樹脂製のブラシ毛(図示せず)を樹脂成形物の筒体に植毛した公知の構成であればよい。また、前方輪5、後方輪6および車輪10も樹脂成物を組み立てることで構成されればよいが、前方輪5、後方輪6および車輪10についてはゴムなどの弾性材料で構成することが好ましい。
以下に、本実施の形態の電気掃除機用吸込具の車輪部および車輪取付部の詳細な構成について、図1から図8を参照しながら、図9を用いて説明する。
図9は、本発明の実施の形態1における電気掃除機用吸込具が備える車輪部および車輪取付部の構成の一例を示す分解斜視図である。
まず、図8および図9に示すように、電気掃除機用吸込具100の車輪取付部13は、少なくとも第1の捩じりばね部材14、第2の捩じりばね部材15、取付部本体16、取付軸部17および軸部締結部18から構成されている。
このとき、第1の捩じりばね部材14は車輪取付部13の後方の位置に、第2の捩じりばね部材15は車輪取付部13の前方の位置に配置されている。
また、第1の捩じりばね部材14および第2の捩じりばね部材15は、ばね本体19と、第1のアーム部20および第2のアーム部21からなる、同じ形状の捩じりコイルばね(トーションばね)から構成されている。ばね本体19は、例えば鋼線をコイル状に巻き回して構成されている。第1のアーム部20および第2のアーム部21は、ばね本体19の両端に直線状に延伸して設けられている。
具体的には、第1のアーム部20は、例えば円形のばね本体19の外周の一端から接線方向に延伸し、取付部本体16から、回転可能に露出して設けられている。つまり、第1のアーム部20は、第2の接続管8の外周に当接し、第2の接続管8の回動に伴って回転移動する。一方、第2のアーム部21は、ばね本体19の他端側から巻方向(コイルの軸方向)に延伸して設けられている。そして、第2のアーム部21は、取付部本体16内に収容された状態で、第1の捩じりばね部材14および第2の捩じりばね部材15の回転範囲を規制するストッパーとして機能する。
また、図9に示すように、取付部本体16は、例えば筒状に構成され、車輪支持体11の中央部に一体的に固定されている。取付部本体16の内部には、第1の捩じりばね部材14および第2の捩じりばね部材15が収納されている。このとき、第1の捩じりばね部材14は、取付部本体16の背面側、すなわち取付部本体16の後部に収納される。一方、第2の捩じりばね部材15は、取付部本体16の正面側、すなわち取付部本体16の前部に収納される。
さらに、取付軸部17は、略円柱状(円柱状を含む)に形成された軸部本体22と、軸部本体22の後端に設けられた蓋板23と、から構成されている。具体的には、取付軸部17は、例えばボルトまたは釘のような形状を有している。
そして、図8に示すように、取付軸部17は、取付部本体16に挿入され、取付部本体16内に配置された第1の捩じりばね部材14および第2の捩じりばね部材15を貫通した状態で保持する。
このとき、図9に示すように、取付軸部17は、取付部本体16の後方(背面側)から挿入される。そのため、取付軸部17の後端の蓋板23は、図8に示すように、取付部本体16の後方側の開口を閉じる蓋部材として機能する。
また、図9に示すように、第2の接続管8の下側には、下方に突出する軸部挿入枠部24が設けられている。そして、図9の一点鎖線で示すように、取付軸部17は、軸部挿入枠部24に挿入された上で取付部本体16に挿入される。これにより、取付軸部17は、車輪取付部13を第2の接続管8に固定する固定部材として機能する。
また、図9に示すように、軸部締結部18は、取付軸部17の先端に嵌合される先端嵌合部25と、第2の接続管8の外周に取り付けられる外周取付部26と、から構成されている。そして、取付部本体16に挿入された取付軸部17の先端を先端嵌合部25に嵌合させることにより、取付部本体16から脱離しないように、取付軸部17が締結される。さらに、軸部締結部18の外周取付部26を第2の接続管8に取り付けることにより、取付軸部17および取付部本体16の両端が第2の接続管8に固定される。つまり、取付部本体16の後端(背面側)は、取付軸部17が軸部挿入枠部24に挿入されることにより、第2の接続管8に固定される。一方、取付部本体16の前端(正面側)は、取付軸部17の先端を嵌合した軸部締結部18を第2の接続管8の外周に取り付けることにより、第2の接続管8に固定される。
上記構成により、本実施の形態の車輪取付部13は、車輪部3の車輪支持体11に一体的に設けられる。そのため、第1の捩じりばね部材14および第2の捩じりばね部材15の中心軸S4(図8に示す破線)、すなわち車輪支持体11の回動の中心軸S4を中心として、図1に示す矢印M4の方向に車輪部3を回動させることができる。なお、車輪部3の回動中心となる中心軸S4は、車輪取付部13の取付方向に沿った軸でもあるので、以下、便宜上、「取付軸S4」と称して説明する。
また、本実施の形態の車輪取付部13の第1の捩じりばね部材14および第2の捩じりばね部材15の第2のアーム部21は、それらの回転範囲を制限するストッパーとして機能する。そのため、車輪取付部13による車輪部3の回動は、車輪部3が1回転するような完全な回動ではなく、第2の接続管8の下方で車輪部3が揺動する程度の部分的な回動となる。さらに、第1の捩じりばね部材14および第2の捩じりばね部材15は、後述するように、車輪支持体11(車輪部3)の傾斜に伴って傾斜した第2の接続管8を、傾斜方向とは反対側(元の位置)に付勢するように機能する。
なお、本実施の形態の第1の捩じりばね部材14、第2の捩じりばね部材15、取付部本体16、取付軸部17および軸部締結部18の具体的な構成は、特に限定されない。例えば、第1の捩じりばね部材14および第2の捩じりばね部材15は、公知の鋼製のトーションばねであればよい。また、取付部本体16、取付軸部17および軸部締結部18は、車輪部3と同様に公知の樹脂成形物であればよい。
以下に、本実施の形態の電気掃除機用吸込具100の使用状態の一例を、吸込具本体1、接続管部2および車輪部3の位置関係とともに、図10Aから図13を用いて具体的に説明する。
図10Aは、本発明の実施の形態1における電気掃除機用吸込具が備える第2の接続管の回動面と車輪部の取付軸とを説明する模式図である。図10Bは、本発明の実施の形態1における電気掃除機用吸込具が備える車輪部の取付軸と第2の接続管の回動軸とを説明する模式図である。図11は、本発明の実施の形態1における電気掃除機用吸込具が備える車輪部が実質的に三次元的に傾斜し、かつ、第1の接続管が前方に揺動した状態での取付軸と回転軸とを説明する模式図である。図12は、本発明の実施の形態1における電気掃除機用吸込具の、(A)直進時の状態、(B)左旋回時に車輪部が二次元的に傾斜している状態、(C)左旋回時に車輪部が三次元的に傾斜している状態を示す全体図である。図13は、本発明の実施の形態1における電気掃除機用吸込具の、(A)直進時の状態、(B)右旋回時に車輪部が二次元的に傾斜している状態、(C)右旋回時に車輪部が三次元的に傾斜している状態を示す全体図である。
なお、図10Aおよび図10Bは、電気掃除機用吸込具100を被清掃面F上に載置した状態での、以下で示す各軸および各角度を図示する模式図であり、電気掃除機用吸込具100の載置状態は同一である。また、図10Aおよび図10Bでは、第3の接続管9が後方に揺動する使用状態を示し、図10Aには第3の接続管9が最も前方に位置して立設している収納状態を破線で示している。さらに、図11は、第2の接続管8の下面に設けられた車輪部3が、実質的に三次元的に傾斜し、第1の接続管7が吸込具本体1に対して最も前方に揺動した使用状態を示している。このとき、図11は、図10Aおよび図10Bに示す電気掃除機用吸込具100を被清掃面Fに載置した状態(左右一対の車輪10の両輪が被清掃面Fに接地している状態)における第1の接続管7および第2の接続管8の状態を部分的に破線で示している。また、図12および図13において、上段は使用状態における電気掃除機用吸込具100の上面図で、中段は使用状態における電気掃除機用吸込具100の左側面図で、下段は使用状態における電気掃除機用吸込具100の背面図を示している。
まず、図10Aおよび図10Bに示すように、接続管部2の第1の接続管7の一端は、吸込具本体1の後部上側で吸込具本体1の前後方向に対して揺動自在に接続されている。このとき、吸込具本体1の前後方向に対する第1の接続管7の揺動の中心軸である本体揺動軸S1は、吸込具本体1の長手方向に沿って被清掃面Fと平行となるように形成される。
また、接続管部2の第2の接続管8の一端は、第1の接続管7の他端に、軸方向に回動自在に接続されている。このとき、図10Bに示すように、第1の接続管7に対する第2の接続管8の回動の中心軸である回動軸S2は、接続管部2の前後方向に沿って後側が下方に傾斜して形成される。なお、本実施の形態では、第1の接続管7に対して、第2の接続管8が回動する面を回動面P0として説明する。
さらに、接続管部2の第3の接続管9の一端は、第2の接続管8の他端に、接続管部2の前後方向に対して揺動自在に接続されている。このとき、接続管部2の前後方向に対する第3の接続管9の揺動の中心軸である接続管揺動軸S3は、吸込具本体1の長手方向に沿って被清掃面Fと平行となるように形成される。
また、接続管部2の第2の接続管8の下側の外周面(下面)には、車輪部3の車輪支持体11が回動(揺動)自在に取り付けられる車輪取付部13が設けられている。このとき、車輪取付部13の取付方向に一致する取付軸S4、すなわち車輪部3の車輪支持体11の取付軸S4は、接続管部2の前後方向に沿って前側が下方に傾斜して形成される。
なお、取付軸S4の傾斜の程度は、特に限定されないが、被清掃面Fを基準として、取付軸S4と被清掃面Fとの成す角が鋭角となるように傾斜して設けることが好ましい。これにより、電気掃除機用吸込具100の操作性が、より向上する。
具体的に説明すると、まず、電気掃除機用吸込具100を被清掃面Fに載置した状態において、取付軸S4が被清掃面Fに対して成す角を、図10Aおよび(b)に示すように取付軸角θ0とする。この場合、取付軸角θ0は、少なくとも鋭角(90°未満)であることが好ましく、5〜45°の範囲内であることがさらに好ましい。
つまり、取付軸角θ0が鋭角の場合、車輪取付部13の取付軸S4を回動中心とする車輪部3の部分的な回動(揺動)により、図12の(B)および図12の(C)または、図13の(B)および図13の(C)に示すように、一対の車輪10の一方が他方の車輪10よりも前に位置するように車輪支持体11が傾斜する。例えば、図12の(B)および図12(C)に示すように、左側の車輪10が前方に位置し、右側の車輪10が後方に位置するように車輪支持体11が傾斜する。また、図13の(B)および図13の(C)に示すように、右側の車輪10が前方に位置し、左側の車輪10が後方に位置するように車輪支持体11が傾斜する。
また、車輪支持体11は、車輪取付部13の取付軸S4、すなわち車輪支持体11の取付軸S4を中心に回動する。そのため、接続管部2を基準にした場合、車輪支持体11は、回動の程度により、まず、左右いずれかの車輪10が前方に移動するように平面的(二次元的)に傾斜する。そして、車輪支持体11をさらに回動させると、前方に位置する車輪10が下方に位置し、後方に位置する車輪10が上方に位置するような形で立体的(三次元的)に傾斜する。例えば、図12の(B)および図12の(C)では、車輪支持体11の取付軸S4を中心として車輪支持体11が回動すると、左側の車輪10が前方に移動するように車輪支持体11が傾斜する。一方、図13の(B)および図13の(C)では、車輪支持体11の取付軸S4を中心として車輪支持体11が回動すると、右側の車輪10が前方に位置するように車輪支持体11が傾斜する。
また、図12および図13の上段の図で示すように、電気掃除機用吸込具100を上方から見た(図6に示す平面図として見た)時に、車輪支持体11を基準にした場合、車輪支持体11の左右一方の車輪10が前方に移動するとともに、接続管部2も移動した車輪10と同じ方向に傾斜する。例えば、図12では、左側の車輪10が前方に移動して車輪支持体11が傾斜すると、接続管部2は左側に傾斜する。一方、図13では、右側の車輪10が前方に移動して車輪支持体11が傾斜すると、接続管部2は右側に傾斜する。
さらに、本実施の形態では、上述の車輪支持体11の取付軸S4の構成に加えて、車輪部3が車輪支持体11および車輪取付部13を介して第2の接続管8に取り付けられる。これにより、第1の接続管7の一端は、吸込具本体1の後部上側に吸込具本体1の前後方向に対して揺動自在に接続される。また、第2の接続管8の一端は、第1の接続管7の他端に軸方向に回動自在に接続されている。そのため、車輪支持体11(車輪部3)は、第2の接続管8の回動に伴って傾斜する。そして、第2の接続管8の回動に伴って、第1の接続管7が揺動し、第2の接続管8の回動が吸込具本体1へと伝達される。
具体的には、図12の(A)および図12の(B)に示すように、第2の接続管8が直進状態の位置から左側へ回動されると、第2の接続管8の回動に伴って、左側の車輪10が前方に位置し、右側の車輪10が後方に位置するように車輪支持体11が傾斜しながら回動する。さらに、第2の接続管8の回動に伴って、第1の接続管7が揺動し、吸込具本体1が左側に旋回する。
また、図12の(C)に示すように、第2の接続管8が直進状態から左側へと回動された状態(図12の(B)に示す状態)から、さらに左側へと回動されると、第2の接続管8の回動に伴って、左側の車輪10が図12の(B)に示す位置よりも、さらに前方に位置する。これにより、右側の車輪10は、図12の(B)に示す位置よりも後方かつ上方に位置するように車輪支持体11が三次元的に傾斜しながら回動する。そして、第2の接続管8の回動に伴って、第1の接続管7が揺動し、吸込具本体1が左側に、さらに旋回する。
同様に、図13の(A)および図13の(B)に示すように、第2の接続管8が直進状態の位置から右側へ回動されると、第2の接続管8の回動に伴って、右側の車輪10が前方に位置し、左側の車輪10が後方に位置するように車輪支持体11が傾斜しながら回動する。さらに、第2の接続管8の回動に伴って、第1の接続管7が揺動し、吸込具本体1が右側に旋回する。
また、図11および図13の(C)に示すように、第2の接続管8が直進状態から右側へと回動された状態(図13の(B)に示す状態)から、さらに右側へと回動されると、第2の接続管8の回動に伴って、右側の車輪10が図13の(B)に示す位置よりも、さらに前方に位置する。これにより、左側の車輪10は、図13の(B)に示す位置よりも後方かつ上方に位置するように車輪支持体11が三次元的に傾斜しながら回動する。そして、第2の接続管8の回動に伴って、第1の接続管7が揺動し、吸込具本体1が右側に旋回する。
つまり、上記構成により、第2の接続管8の回動に連動して、車輪支持体11(車輪部3)および第1の接続管7を回動させて、吸込具本体1を旋回させることができる。これにより、電気掃除機用吸込具100の操作性を向上させることができる。
また、本実施の形態では、第1の接続管7の一端が吸込具本体1に揺動自在に接続されている。そのため、図12の(B)に示す状態から図12の(C)に示す状態、または図13の(B)に示す状態から図11および図13の(C)に示す状態へ、第2の接続管8が回動された場合、図11の破線から実線で示すように、第2の接続管8の回動に伴って第1の接続管7が吸込具本体1の前方へと揺動される。つまり、図12の(B)に示す状態から図12の(C)に示す状態、または図13の(B)に示す状態から図11および図13の(C)に示す状態へと第2の接続管8が回動されると、前方に位置する車輪10が図12の(B)または図13の(B)に示す位置よりも前方へと移動する。このとき、後方に位置する車輪10が、図12の(B)または図13の(B)に示す位置よりも後方かつ上方へと移動した場合でも、車輪10の移動(車輪部3の傾斜)による第1の接続管7および第2の接続管8の移動を、第1の接続管7の揺動により吸収できる。そのため、図12の(B)に示す状態から図12の(C)に示す状態、または図13の(B)に示す状態から図11および図13の(C)に示す状態へと第2の接続管8が回動された場合でも、吸込具本体1が被清掃面Fから離間することがない。これにより、吸込具本体1と被清掃面Fとの気密性(接地性)を維持できる。その結果、電気掃除機用吸込具100の吸い込み性能を、安定して維持できる。
以下に、本実施の形態の電気掃除機用吸込具を用いた電気掃除機の吸引時の動作について、具体的に説明する。
まず、使用者は、図1から図8に示すように、第3の接続管9が立設している状態(最も前側に揺動している状態)から、レバー機構12を操作して後方に、ある程度、揺動(傾斜)させる。これにより、図10A、図10B、図12の(A)および図13の(A)に示すように、電気掃除機を使用状態に移行させる。このとき、車輪支持体11(車輪部3)と吸込具本体1とは、略平行(平行を含む)の状態にある。
つぎに、使用者は、上記状態から、掃除動作を実行するために、例えば吸込具本体1を旋回させる。具体的には、使用者が電気掃除機の把持部を軽くひねることにより、図12の(B)および図13の(B)に示すように、旋回させる。これにより、車輪支持体11が傾斜しながら回動するとともに、第2の接続管8が傾斜しながら回動する。そして、上記回動動作による三次元的な動きが、第1の接続管7を介して、吸込具本体1に伝達される。これにより、吸込具本体1が第2の接続管8の傾斜方向に旋回する。その結果、使用者は、容易に電気掃除機用吸込具100を操作することができる。
つぎに、使用者が、図12の(B)および図13の(B)に示す状態から、さらに吸込具本体1を旋回させる場合、使用者は電気掃除機の把持部をさらにひねる。このとき、電気掃除機用吸込具100が、図12の(C)および図13の(C)に示すように、旋回する。これにより、車輪支持体11がさらに傾斜しながら回動するとともに、第2の接続管8がさらに傾斜しながら回動する。そして、上記回動動作による三次元的な動きが、第1の接続管7を介して、吸込具本体1に伝達される。これにより、吸込具本体1が第2の接続管8の傾斜方向にさらに旋回する。その結果、使用者は、容易に電気掃除機用吸込具100を操作して、さらに旋回させることができる。
なお、吸込具本体1を旋回させる場合、図12の(B)および図12の(C)または図13の(B)および図13の(C)に示すように、旋回する方向において、吸込具本体1の一端と車輪部3の一方の車輪10とが近接することになる。例えば、図12の(B)および図12の(C)に示すように、吸込具本体1を左旋回をさせる場合、吸込具本体1の左端と左側の車輪10とが近接する。また、図13の(B)および図13の(C)に示すように、吸込具本体1を右旋回をさせる場合、吸込具本体1の右端と右側の車輪10とが近接する。つまり、旋回させようとする側とは反対側の車輪10を後方に退かせるように車輪部3を移動させることにより、吸込具本体1を所望の方向に旋回することができる。
なお、本実施の形態では、上述した取付軸S4の取付軸角θ0の規定を例に、吸込具本体1の構成について説明したが、これに限られない。例えば、さらに第3の接続管9を基準とする車輪取付部13の位置を規定してもよい。具体的には、図10Aおよび図10Bに示すように、第3の接続管9は、前後方向となる揺動方向M3に揺動自在に第2の接続管8に接続して構成されている。このとき、揺動方向M3の中心軸を接続管揺動軸S3とすれば、接続管揺動軸S3は左右方向(吸込具本体1の長手方向)に位置する軸となる。
そこで、本実施の形態は、接続管揺動軸S3を基準として、車輪取付部13を接続管揺動軸S3よりも前方の位置に設定することが好ましい。この位置に車輪取付部13を設けると、車輪部3と吸込具本体1との間隔が、必要以上に広くなることがない。これにより、吸込具本体1および第1の接続管7の連結部位の揺動と、第1の接続管7および第2の接続管8の連結部位の回動と、車輪取付部13による車輪支持体11(車輪部3)の傾斜とによって、第2の接続管8の下面に設けられる車輪部3を、実質的に三次元的に傾斜させることになる。その結果、車輪支持体11(車輪部3)の傾斜により、接続管部2を介して、吸込具本体1を効果的に旋回させることができる。
また、本実施の形態では、上述した車輪取付部13の取付軸S4、すなわち車輪支持体11の取付軸S4の取付軸角θ0を規定する例で説明したが、これに限られない。例えば、第1の接続管7に対する第2の接続管8の連結角度を規定してもよい。この場合、まず、取付軸S4の傾斜を規定する取付軸角θ0と同様に、電気掃除機用吸込具100を被清掃面Fに載置した状態において、第1の接続管7に対する第2の接続管8の回動する面を回動面P0とする。そして、回動面P0と取付軸S4とが成す角である回動面取付角θ1を好適な範囲に設定する。これにより、第1の接続管7と第2の接続管8との連結角度である回動面取付角θ1を規定することができる。
具体的に説明すると、図10Aに示すように、電気掃除機用吸込具100を被清掃面Fに載置した状態において、第1の接続管7に対して第2の接続管8が回動する面を回動面P0とする。そして、回動面P0と車輪支持体11の取付軸S4とが成す角を回動面取付角θ1とする。このとき、回動面取付角θ1を鋭角の範囲に設定する。つまり、回動面取付角θ1が鋭角の場合、車輪支持体11の取付軸S4を回動中心として車輪支持体11が傾斜する。そのため、第2の接続管8が傾斜しながら回動したときに、第2の接続管8の傾斜方向と同一方向に回動面P0が傾斜する。そして、第2の接続管8および回動面P0の回動によるトルクは、第1の接続管7を第2の接続管8と同一方向に回動させるように、第1の接続管7に加えられる。このとき、本実施の形態では、第1の接続管7の一端は吸込具本体1の前後方向にのみ揺動自在に(吸込具本体1の左右方向には揺動しないように)取り付けられ、第2の接続管8の一端は第1の接続管7の他端に軸方向に回動自在に接続されている。そのため、第2の接続管8および回動面P0の回動を第1の接続管7を介して吸込具本体1へと効果的に伝達できる。そして、吸込具本体1を容易に第2の接続管8の回転方向と同一方向に旋回させることができる。これにより、吸込具本体1を、より効率よく左右に旋回させることができる。その結果、電気掃除機用吸込具100を容易に旋回させることができる。
また、本実施の形態では、取付軸S4の取付軸角θ0の規定、および回動面取付角θ1を規定する例で説明したが、これに限られない。例えば、回動面P0と被清掃面Fとが成す角を規定してもよい。具体的には、図10Aに示すように、第2の接続管8の回動面P0と被清掃面Fとが成す角を回動面角θ2とした場合、回動面角θ2が取付軸角θ0よりも大きく、かつ鋭角となる範囲に規定する。これにより、第1の接続管7に対して、第2の接続管8が後方に傾斜するように連結されることになる。そのため、車輪部3の傾斜によって、第2の接続管8が回動すると、回動によるトルクは第1の接続管7の斜め上側に加えられる。このとき、本実施の形態では、第1の接続管7は、吸込具本体1に対して、前後方向(図10Aの揺動方向M1を参照)に揺動可能で、左右方向には動かないように構成されている。そのため、第2の接続管8の回動を、吸込具本体1に、より効果的に伝達できる。その結果、吸込具本体1を左右方向に、より容易に旋回させることができる。
ここで、取付軸S4の取付軸角θ0による傾斜の規定と、第1の接続管7に対する第2の接続管8の連結角度の規定とは、第2の接続管8の傾斜状態と車輪取付部13の傾斜状態との関係を規定することにもなる。すなわち、車輪取付部13と第2の接続管8は前後方向に配置され、車輪取付部13は後方が上向きとなるように傾斜して配置されている。さらに、第1の接続管7と第2の接続管8の回動軸S2は、前方が上向きとなるように傾斜して設けられている。
それゆえ、図10Bに示すように、第1の接続管7に対する第2の接続管8の回動の中心である回動軸S2の方向(回動面P0の法線方向に相当)の方向と車輪取付部13の取付軸S4の方向とは、互いに交差する位置関係にあればよいことになる。具体的には、図10Bに示すように、回動軸S2が被清掃面Fに対して成す角を回動軸角θ3とすれば、回動軸角θ3も鋭角であればよく、5〜45°の範囲内であれば、さらに好ましい。
つまり、車輪取付部13の取付軸S4、すなわち車輪支持体11の取付軸S4と、第2の接続管8の回動軸S2とが交差していれば、図10Bの回動方向M2に示すように、車輪部3の傾斜に伴って、第2の接続管8を効率的に傾斜しながら回動させることができる。
また、本実施の形態では、第2の接続管8は第1の接続管7に連結され、第1の接続管7は、吸込具本体1に対して、本体揺動軸S1を中心として揺動方向M1に揺動自在に接続されている。つまり、第1の接続管7を固定して考えると、吸込具本体1は、第1の接続管7に対して前後方向に揺動可能に接続されている。そのため、第1の接続管7による揺動方向M1の揺動とともに、第2の接続管8による回動方向M2の回動が、複合的に吸込具本体1に伝達される。その結果、吸込具本体1を効率的に旋回することができる。
以下に、車輪取付部13の取付軸S4、すなわち車輪支持体11の取付軸S4と、第2の接続管8の回動軸S2と、第3の接続管9の接続管揺動軸S3との位置関係について、説明する。
まず、取付軸S4と回動軸S2とは同じ平面内にある。そして、この平面に対して、接続管揺動軸S3は直交する方向となる。つまり、接続管揺動軸S3は、取付軸S4および回動軸S2を含む平面に対しての法線に相当する。このとき、接続管揺動軸S3は、取付軸S4および回動軸S2とは直接交差しないので、接続管揺動軸S3と、取付軸S4および回動軸S2とは、ねじれの位置にあることになる。
そして、本実施の形態では、接続管部2のうち第2の接続管8の下側には、車輪支持体11が車輪取付部13により傾斜可能に取り付けられている。これにより、吸込具本体1および第1の接続管7の連結部位の揺動と、第1の接続管7および第2の接続管8の連結部位の回動と、車輪取付部13による車輪支持体11(車輪部3)の傾斜とによって、第2の接続管8の下面に設けられる車輪部3を、実質的に三次元的に傾斜させることになる。そのため、車輪部3の傾斜により、接続管部2を介して、吸込具本体1を容易に旋回させることができる。その結果、電気掃除機用吸込具100の操作性を向上させることができる。
以下に、本実施の形態に係る電気掃除機用吸込具100をアップライト型電気掃除機200の掃除機本体201に取り付けた場合を例に、図14Aおよび図14Bを用いて説明する。具体的には、アップライト型電気掃除機200において、電気掃除機用吸込具100に掛かる荷重について、説明する。
図14Aは、本発明の実施の形態1における電気掃除機用吸込具をアップライト型電気掃除機に取り付けて使用している状態を左側方から見た構成を示す左側面図である。図14Bは、本発明の実施の形態1における電気掃除機用吸込具をアップライト型電気掃除機に取り付けて収納している状態を左側方から見た構成を示す左側面図である。
図14Aおよび図14Bに示すように、アップライト型電気掃除機200の掃除機本体201は、電気掃除機用吸込具100の第3の接続管9に固定接続される。そして、通常、掃除機本体201と第3の接続管9とは一体的に後方へ傾斜した状態で使用される。
使用時において、掃除機本体201の重量は、掃除機本体201の上部に設けられたハンドル部(図示せず)を介して使用者の腕などで支えられるとともに、接続管部2、吸込具本体1、および車輪部3を介して被清掃面Fで支えられる。
具体的には、図14Aに示すように、吸込具本体1に加わる掃除機本体201の荷重は、第3の接続管9の接続管揺動軸S3に対して下方向に加えられる荷重Wとして表すことができる。このとき、荷重Wは、荷重W1と荷重W2に分けることができる。荷重W1は、第1の接続管7の本体揺動軸S1を介して、吸込具本体1に加えられる下方向の荷重である。荷重W2は、車輪部3の回動の中心軸、すなわち車輪支持体11に対する車輪10の回動の中心軸である車輪回動軸S5を介して、車輪10に加えられる下方向の荷重Wである。さらに、荷重W1と荷重W2は、接続管揺動軸S3と、本体揺動軸S1および車輪回動軸S5との前後方向の距離に反比例するように分配して考えることができる。
つまり、第3の接続管9の接続管揺動軸S3に加えられる荷重W、第1の接続管7の本体揺動軸S1に加えられる荷重W1および車輪部3の車輪回動軸S5に加えられる荷重W2は、以下の(式1)から(式3)で表すことができる。このとき、距離L1は、本体揺動軸S1と接続管揺動軸S3との前後方向の距離で、距離L2は、車輪回動軸S5と接続管揺動軸S3との距離とする。
W = W1 + W2 ・・・(式1)
W1 = W × L2 / (L1 + L2) ・・・(式2)
W2 = W × L1 / (L1 + L2) ・・・(式3)
また、電気掃除機用吸込具100および掃除機本体201を被清掃面Fに載置し、使用する状態において、吸込具本体1に加わる荷重W1は、被清掃面Fから吸込具本体1に加わる上向きの反力R1と釣り合う。一方、車輪10に加わる荷重W2は、被清掃面Fから車輪10に加わる上向きの反力R2と釣り合う状態となる。
そのため、本実施の形態では、電気掃除機用吸込具100を被清掃面F上で安定的に移動するために、第3の接続管9の接続管揺動軸S3の位置を、車輪10の車輪回動軸S5の位置よりも前方で配置することが好ましい。すなわち、電気掃除機用吸込具100に加わる荷重Wの位置が、車輪10に加わる反力R2より前方で、吸込具本体1に加わる反力R1と車輪10に加わる反力R2の間に位置していることが好ましい。これにより、電気掃除機用吸込具100が持ち上がることなく、安定して被清掃面Fを走行することができる。
また、操作性をより向上させる観点から、第3の接続管9の接続管揺動軸S3の位置を、第1の接続管の本体揺動軸S1と車輪部3の車輪回動軸S5との中間位置P1(図10B参照)よりも後方とすることが好ましい。すなわち、第3の接続管9の接続管揺動軸S3の位置は、第1の接続管7の本体揺動軸S1よりも、車輪10の車輪回動軸S5に近い位置となる。そのため、電気掃除機用吸込具100に加わる荷重W(掃除機本体201の重量の一部に相当する)の大部分が車輪10に掛かる。これにより、掃除機本体201の重量のうち、吸込具本体1に加わる荷重W1を軽減することが可能で、吸込具本体1が被清掃面Fから受ける反力R1を軽減することができる。その結果、下面に吸込口1aを備えた吸込具本体1を、安定して被清掃面F上で走行させることができる。
つぎに、電気掃除機用吸込具100の使用状態および収納状態について、図14Aと図14Bを用いて説明する。
本実施の形態の電気掃除機用吸込具100は、使用時の操作性だけでなく、収納状態と使用状態との切り換えに関しても操作性の向上を図っている。
そこで、以下に、図14Aおよび図14Bに示す電気掃除機用吸込具100がアップライト型電気掃除機200の掃除機本体201に取り付けられた場合を例に、具体的に説明する。
まず、図14Aに示すように、電気掃除機用吸込具100の使用時には、掃除機本体201は、第3の接続管9の接続管揺動軸S3を中心に後方へ傾斜した状態となる。そして、掃除機本体201の重心Gの位置は、電気掃除機用吸込具100の後方へと移動する。このとき、掃除機本体201は、掃除機本体201の一端を上部に設けられたハンドル部(図示せず)を介して、使用者の腕などで支えられ、同時に掃除機本体201の他端を第3の接続管9の接続管揺動軸S3の位置で支えられている。
一方、図14Bに示すように、電気掃除機の収納状態においては、掃除機本体201は、接続管揺動軸S3を中心として、最も前方に揺動することにより略直立(直立)した状態となる。このとき、掃除機本体201の重心Gの位置が、本体揺動軸S1と車輪回動軸S5の中間となるように、第3の接続管9の揺動の範囲および掃除機本体201の形状を構成する。これにより、電気掃除機用吸込具100の直上に掃除機本体201が載置されているような位置関係になる。その結果、アップライト型電気掃除機200を安定した状態で収納することが可能となる。
なお、上述したアップライト型電気掃除機200の掃除機本体201の重心Gの位置の変化は、キャニスタ型電気掃除機の接続管などに電気掃除機用吸込具100を接続した状態でも同じである。つまり、キャニスタ型電気掃除機においても、収納状態および使用状態の切り換えを容易にできる。その結果、キャニスタ型電気掃除機の操作性を、より向上させることができる。
しかし、電気掃除機用吸込具100の第3の接続管9は、収納状態においては、できる限り傾斜(揺動)しない構成が好ましい。
そこで、本実施の形態では、必要に応じて、車輪部3に、第3の接続管9の一部に係合可能に当接するレバー機構12を設けている。具体的には、収納状態において、レバー機構12を第3の接続管9に係合することにより、第3の接続管9の揺動を制限している。
また、車輪部3は、収納状態においては、できる限り傾斜(揺動)しない構成が好ましい。
そこで、本実施の形態では、必要に応じて、第3の接続管9に突起部9aを設けている。これにより、収納時において、突起部9aが車輪支持体11の上面に当接し、車輪部3の傾斜動作を制限することができる。
つまり、収納状態では、第3の接続管9とレバー機構12とが係合することで、第3の接続管9の揺動を制限する。さらに、第3の接続管9の突起部9aと車輪部3とが当接することにより、車輪部3の傾斜動作を制限する。これにより、収納状態において、電気掃除機用吸込具100および掃除機本体201の姿勢を安定して維持することができる。その結果、電気掃除機の操作性や利便性を向上できる。
なお、本実施の形態では、電気掃除機用吸込具100が、図7および図8に示すように、吸込具本体1の下面の前方に、吸込口1aを有する構成を例に説明したが、これに限られない。例えば、吸込口1aの位置は吸込具本体1の下面のどの位置にあってもよく、また複数の吸込口を設けてもよい。
また、本実施の形態では、吸込口1aの内部に回転ブラシ4を備える構成を例に説明したが、これに限られない。例えば、回転ブラシ4を設けない構成でもよい。
また、本実施の形態では、吸込具本体1の下面に、車輪状の前方輪5、後方輪6を設けた構成を例に説明したが、これに限られない。例えば、車輪状の前方輪5、後方輪6の代わりに、吸込具本体1の下面に起毛布やブラシを貼り付けた構成でもよい。
また、本実施の形態では、車輪部3に備えられたレバー機構12で、電気掃除機用吸込具100を使用状態から収納状態に切り換える構成を例に説明したが、これに限られない。例えば、他の機械的な切換装置でもよく、また、電気的な制御により動作する切換装置で構成してもよい。
これらにより、上記と同様の効果が得られる。
(実施の形態2)
以下に、本実施の形態2の電気掃除機について、図15を用いて説明する。なお、本実施の形態は、実施の形態1で説明した電気掃除機用吸込具100を、アップライト型電気掃除機に適用した場合を例に、具体的に説明する。また、実施の形態1と同一または相当する部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
図15は、本発明の実施の形態2における電気掃除機用吸込具をアップライト型電気掃除機に適用した構成の一例を示す全体斜視図である。
図15に示すように、本実施の形態のアップライト型電気掃除機200は、少なくとも掃除機本体201、ハンドル202、ハンドル軸203および電気掃除機用吸込具100を備えている。
掃除機本体201は略円柱状(円柱状を含む)で構成され、上部に集塵室、下部に吸引モータ(図示せず)などが組み込まれている。また、実施の形態1で説明した電気掃除機用吸込具100は、掃除機本体201に接続されている。そして、掃除機本体201の吸引モータの作動により電気掃除機用吸込具100から吸引された塵埃などが、掃除機本体201内部の集塵室に蓄積される。
また、掃除機本体201の上部には、持運び用把手204が設けられている。これにより、使用者は、持運び用把手204を把持してアップライト型電気掃除機200を持ち運ぶことができる。
また、掃除機本体201の上部には、ハンドル軸203を介してハンドル202が設けられている。ハンドル202は、使用時に使用者によって把持される把持部を構成している。なお、ハンドル202は、例えば平均的な手のひらの大きさに合わせた寸法で、例えば楕円環状に形成されている。
以上のように、本実施の形態のアップライト型電気掃除機が構成されている。
つぎに、本実施の形態のアップライト型電気掃除機の使用時の動作について、説明する。
まず、使用者は、使用時に電源コードを掃除機本体201から引き出し、電源コードの先端の電源プラグを電源差込口に差し込む。そして、使用者は、電気掃除機の電源スイッチを操作して、電源を入れる。これにより、吸引モータが動作して、電気掃除機用吸込具100の吸込口1aに吸引力が発生する。そして、発生した吸引力により、被清掃面である床面上の塵埃を吸引して、掃除機本体201内の集塵室に蓄積される。この状態で、使用者は、ハンドル202を把持して床面上でアップライト型電気掃除機200を移動させて、掃除する床面の領域を変える。これにより、床面を清掃することができる。
上述したように、本実施の形態によれば、電気掃除機用吸込具100の操作性の向上により、アップライト型電気掃除機200を小さく旋回させたい場合、ハンドル202を大きくひねることなく電気掃除機用吸込具100を容易に旋回させることができる。その結果、使用者の手首などへの負担を軽減して、操作性をより一層向上させることができる。
なお、図15に示す、本実施の形態のアップライト型電気掃除機200における具体的な構成、すなわち掃除機本体201、ハンドル202などの構成は特に限定されない。例えば、アップライト型電気掃除機の分野で公知の各種構成を好適に用いることができる。
(実施の形態3)
以下に、本実施の形態3の電気掃除機について、図16を用いて説明する。なお、本実施の形態は、実施の形態1で説明した電気掃除機用吸込具100を、キャニスタ型電気掃除機に適用した場合を例に、具体的に説明する。なお、実施の形態1および実施の形態2と同一または相当する部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
図16は、本発明の実施の形態3における電気掃除機用吸込具をキャニスタ型電気掃除機に適用した構成の一例を示す全体斜視図である。
図16に示すように、本実施の形態のキャニスタ型電気掃除機300は、少なくとも掃除機本体301、吸引ホース302、手元操作部303、吸引延長管304および電気掃除機用吸込具100を備えている。
掃除機本体301は、電動送風機、集塵室、電源コードなどを備え、吸引ホース302の一端が着脱自在に接続されている。吸引ホース302の他端には、手元操作部303が設けられ、手元操作部303の先端に吸引延長管304の一端が着脱自在に接続されている。さらに、吸引延長管304の他端には、実施の形態1で説明した電気掃除機用吸込具100が着脱自在に取り付けられている。
また、掃除機本体301の内部には、電動送風機である吸引モータおよび集塵室が設けられている。そして、吸引モータの動作により、吸引力が発生し、吸引ホース302、吸引延長管304を介して電気掃除機用吸込具100の吸込口1aに吸引力が発生する。さらに、掃除機本体301の内部には、電源コードが引き出し可能に収納されている。
以上により、本実施の形態のキャニスタ型電気掃除機が構成されている。
つぎに、本実施の形態のキャニスタ型電気掃除機の使用時の動作について、説明する。
まず、使用者は、使用時に電源コードを掃除機本体301から引き出し、電源コードの先端の電源プラグを電源差込口に差し込む。そして、使用者は、吸引ホース302の手元操作部303を操作して、掃除機本体301の電源を入れる。これにより、吸引モータが動作して電気掃除機用吸込具100に吸引力が発生する。そして、発生した吸引力により、床面上の塵埃を吸引して、吸引延長管304、吸引ホース302を介して掃除機本体301内の集塵室に塵埃が集められる。
この状態で、使用者は、手元操作部303を把持して床面上で電気掃除機用吸込具100の位置を移動させて、掃除する床面の領域を変える。また、掃除の場所を変える場合、使用者は、吸引ホース302を引いて、掃除機本体301を床面上で移動させる。これにより、床面を清掃することができる。
上述したように、本実施の形態によれば、操作性が向上した電気掃除機用吸込具100を用いることにより、電気掃除機用吸込具100を小さく旋回させたい場合、手元操作部303を大きく動かすことなく電気掃除機用吸込具100を容易に旋回させることができる。その結果、使用者の手首への負担を軽減して、操作性をより一層向上させることができる。
なお、本実施の形態では、掃除機本体301に図示しない取っ手を設けている。これにより、使用者は、取っ手を介して掃除機本体301を持ち上げて移動させることができる。
また、本実施の形態では、吸引延長管304または電気掃除機用吸込具100を取り外し、代わりに吸引ノズル(図示せず)を取り付けて、掃除を行うことができる。これにより、床面だけでなく、例えば部屋の隅や、家具との隙間などの狭い領域を、容易に掃除することができる。
なお、図16に示す、本実施の形態のキャニスタ型電気掃除機300における具体的な構成、すなわち掃除機本体301、吸引ホース302、手元操作部303および吸引延長管304などの構成は、特に限定されない。例えば、キャニスタ型電気掃除機の分野で公知の各種構成を好適に用いることができる。
また、本発明は、上述した各実施の形態の記載の内容に限定されるものではなく、請求の範囲に示す範囲内で種々の変更が可能である。さらに、異なる実施の形態や複数の変形例を適宜組み合わせて得られる実施の形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
以上で説明したように、本発明の電気掃除機用吸込具は、被清掃面側に吸込口を有する吸込具本体と、吸込具本体に接続された接続管部と、接続管部に取り付けられた車輪部と、を備える。接続管部は、一端が吸込具本体部に前後方向に揺動自在に接続された第1の接続管と、一端が第1の接続管の他端に軸方向に回動自在に接続された第2の接続管と、を有する。車輪部は、車輪と、車輪を両端で回動自在に支持する車輪支持体と、を有し、車輪支持体は、車輪支持体の中央部を支点として傾斜動作が可能に、第2の接続管の下側に揺動自在に取り付けられる。そして、第2の接続管に対する車輪支持体の揺動の中心軸を取付軸としたとき、取付軸は、接続管部の前後方向に沿って前側が下方に傾斜して形成され、取付軸と被清掃面との成す取付軸角θ0を鋭角に構成してもよい。
この構成によれば、吸込具本体および第1の接続管の連結部位の揺動と、第1の接続管および第2の接続管の連結部位の回動と、第2の接続管に対する車輪支持体(車輪部)の傾斜動作とによって、第2の接続管の下面に設けられる車輪部が、実質的に三次元的に傾斜させることができる。これにより、車輪部の傾斜によって接続管部を介して吸込具本体を容易に旋回させることができる。その結果、電気掃除機用吸込具の操作性が向上する。
また、本発明の電気掃除機用吸込具は、第1の接続管に接続された第2の接続管が回動する面を回動面としたとき、回動面と取付軸との成す回動面取付角θ1を鋭角に構成してもよい。
これにより、第2の接続管が回動する方向と同じ方向へ回動面が回転して、吸込具本体を容易に旋回させることができる。その結果、電気掃除機用吸込具の操作性が向上する。
また、本発明の電気掃除機用吸込具は、回動面が、接続管部の前後方向に沿って前側に傾斜するように形成され、回動面と被清掃面との成す回転面角θ2を鋭角で、回動面と被清掃面との成す回転面角θ2を、取付軸と被清掃面との成す取付軸角θ0よりも大きい構成としてもよい。
これにより、第2の接続管が回動する際の力を、回動面を介して、効率よく吸込具本体に伝達することができる。その結果、より容易に電気掃除機用吸込具を旋回させて、さらに操作性が向上する。
また、本発明の電気掃除機用吸込具によれば、接続管部は、一端が第2の接続管の他端に前後方向に沿って揺動自在に接続された第3の接続管を、さらに有する。そして、第2の接続管に対する第3の接続管の揺動の中心軸を接続管揺動軸とし、車輪支持体に対する車輪の回動の中心軸を車輪回動軸としたとき、接続管揺動軸は、車輪回動軸よりも前側の位置に設ける構成としてもよい。
これにより、第3の接続管に接続される電気掃除機本体によって、第3の接続管を介して接続管揺動軸に加わる外力を、吸込具本体および車輪において安定的に支持することが可能となる。その結果、電気掃除機用吸込具を操作する際の安定性が向上する。
また、本発明の電気掃除機用吸込具は、吸込具本体に対する第1の接続管の揺動の中心軸を本体揺動軸としたとき、接続管揺動軸を、本体揺動軸と車輪回動軸との間で、かつ、本体揺動軸と車輪回動軸との中間位置よりも後側に設ける構成としてもよい。
これにより、第3の接続管に接続される電気掃除機本体によって、第3の接続管を介して接続管揺動軸に加わる外力の多くを車輪部で支持することで、吸込具本体に加わる外力を軽減できる。その結果、吸込具本体の旋回性を向上させて、さらに操作性を向上できる。
また、本発明の電気掃除機は、吸引風を発生させる掃除機本体と、上記に記載の電気掃除機用吸込具と、を備える構成としてもよい。
この構成によれば、電気掃除機用吸込具の操作性の向上により、使用者が吸込具を小さく旋回させたい場合、掃除機本体の手元操作部を大きく動かすことなく吸込具を容易に旋回させることができる。その結果、使用者の手首などの身体への負担を軽減するとともに、操作性をより一層向上できる。