JPWO2014064845A1 - 温度測定システム及び異常検知方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】化学プラント、製油工場及び火力発電所等の施設で発生する異常を初期段階で検知できる温度測定システム及び異常検知方法を提供する。【解決手段】温度測定システムは、光ファイバ30と、温度分布測定装置31と、データ処理装置32とを有する。温度分布測定装置31は、光ファイバ30に光を入射して後方散乱光を検出し、その検出結果から光ファイバ30の長さ方向に沿った温度分布を取得する。データ処理装置32は、温度分布測定装置31で取得した温度分布を記憶するとともに、現在時点の温度分布と過去の温度分布との差分を演算して得た差分温度分布に対し信号処理を実施して、その結果から異常の有無を判定する。【選択図】図15

Description

本発明は、温度測定システム及び異常検知方法に関する。
化学プラント、製油工場及び火力発電所等のように大量の可燃物、爆発物又は危険物を取り扱う施設では、配管やタンクの腐食や減肉を早期に検知して、重大事故を未然に防ぐことが重要である。
そのために、光ファイバを温度センサとして使用する温度分布測定装置(Distributed Temperature Sensor:DTS)が採用されることがある。
例えば、配管やタンクの周囲に光ファイバを敷設し、光ファイバの端部を温度分布測定装置に接続する。そして、温度分布測定装置から光ファイバ内にレーザ光を照射し、光ファイバ内で発生するラマン散乱光を温度分布測定装置で検出して配管やタンク等の温度を取得し、その結果を基に異常の有無を判定する。
化学プラント、製油工場及び火力発電所等の施設では、異常検知の遅れが重大事故につながることがあるため、異常の発生をより早い段階で検知できるシステムが望まれる。
国際公開第2010/125712号
化学プラント、製油工場及び火力発電所等の施設で発生する異常を初期段階で検知できる温度測定システム及び異常検知方法を提供することを目的とする。
開示の技術の一観点によれば、光ファイバと、前記光ファイバに光を入射して後方散乱光を検出し、その検出結果から前記光ファイバの長さ方向に沿った温度分布を取得する温度分布測定装置と、前記温度分布測定装置で取得した温度分布を記憶するとともに、現在時点の温度分布と過去の温度分布との差分を演算して得た差分温度分布に対し信号処理を実施して、その結果から異常の有無を判定するデータ処理装置とを有する温度測定システムが提供される。
開示の技術の他の一観点によれば、温度分布測定装置により光ファイバの一端側に光を入射して後方散乱光を取得する工程と、データ処理装置により、前記強度分布を記憶するとともに、現在時点の温度分布と過去の温度分布との差分を演算して得た差分温度分布に対し信号処理を実施して、その結果から異常の有無を判定する工程とを有する異常検知方法が提供される。
上記一観点に係る温度測定システム及び異常検知方法によれば、化学プラント、製油工場及び火力発電所等の施設で発生する異常を初期段階で検知できる。
図1は、データセンターの計算機室の構造を示す模式図である。 図2は、光ファイバを用いた温度測定システムを説明する図である。 図3は、温度が約23℃の環境に光ファイバを配置し、5mの位置を中心とする一定の区間を55℃に加熱したときに温度分布測定装置で取得される温度分布を示す図である。 図4は、伝達関数の一例を示す図である。 図5は、図4の伝達関数の逆関数を示す図である。 図6は、3台のラックに光ファイバを敷設し、温度分布測定装置により光ファイバの長さ方向の温度分布を測定した結果を示す図である。 図7は、温度分布測定方法を示すフローチャートである。 図8は、温度分布測定装置により取得した温度分布を示す図である。 図9は、伝達関数の各成分を求める際に用いるステップ型実温度分布及びそれに対応した測定温度分布を示す図である。 図10は、超解像信号処理の効果を示す図(その1)である。 図11は、超解像信号処理の効果を示す図(その2)である。 図12は、超解像信号処理の効果を示す図(その3)である。 図13は、温度が25℃の環境下において光ファイバの一定の区間を55℃に加熱したときに温度分布測定装置で取得される温度分布を示す図である。 図14は、室内の温度分布を測定した結果を示す図である。 図15は、実施形態に係る温度測定システムの構成を示すブロック図である。 図16は、実施形態に係る温度測定システムを使用した異常検知方法を説明するフローチャートである。 図17は、現在温度分布、過去温度分布及び差分温度分布を示す図である。 図18は、異常が発生する前の差分温度分布と、その差分温度分布を微分して得られる微分温度分布と、FIRフィルタを作用させて得られる温度分布とを示す図である。 図19は、異常が発生したときの差分温度分布と、その差分温度分布を微分して得られる微分温度差分布と、FIRフィルタを作用させて得られる温度差分布とを示す図である。 図20は、異常領域Aを有限測定温度分布領域とし、非負拘束として超解像信号処理した結果を示す図である。 図21は、現在温度分布、過去温度分布及び差分温度分布を示す図である。 図22は、差分温度分布と、差分温度分布を微分して得た微分温度分布と、差分温度分布にFIRフィルタを作用させた結果と、微分温度分布にFIRフィルタを作用させた結果とを併せて示す図である。 図23は、差分温度分布と、その差分温度分布を超解像信号処理した結果とを示す図である。 図24は、利用可能性1を示す図(その1)である。 図25は、利用可能性1を示す図(その2)である。 図26は、利用可能性2を示す図である。 図27は、利用可能性3を示す図である。
以下、実施形態を理解するための予備的事項として、光ファイバをセンサとする温度測定システムにおける超解像信号処理について、データセンター内の温度分布測定を例に説明する。
(予備的事項)
図1は、データセンターの計算機室の構造を示す模式図である。この図1に示すように、一般的なデータセンターでは、計算機室の室内が、機器設置エリア10と、機器設置エリア10の床下に設けられたフリーアクセスフロア(床下空間)とに分離されている。
機器設置エリア10には、複数の計算機(サーバ)が収納された多数のラック11が配置されている。一般的なラック11では、ラック11内に設けられた送風ファンによりラック11の前面(吸気面)側から低温のエアーを導入して計算機を冷却し、それにより温度が上昇したエアーを背面又は上面(排気面)から排出するようになっている。
フリーアクセスフロア15には、各ラック11に接続される電力ケーブルや通信ケーブル等の各種ケーブル16がケーブルダクト17に収納された状態で配置される。また、フリーアクセスフロア15には、空調機19から一定温度に調整された冷風が供給される。空調機19からフリーアクセスフロア15に供給された冷風は、機器設置エリア10の床12に設けられた通風口(グリル)12aから機器設置エリア10内に供給され、ラック11の前面側からラック11内に取り込まれる。
この種のデータセンターにおいて、空調機11の稼働状態を最適化して電力消費量を削減するために、各ラック11の温度分布を測定することが望まれる。
図2は、光ファイバを用いた温度測定システムを説明する図である。
光ファイバ24の端部は、温度分布測定装置(DTS)20に接続される。この光ファイバ24は、フリーアクセスフロア15内を通り、フリーアクセスフロア15から機器設置エリア10に引き出されて、各ラック11に敷設される。
フリーアクセスフロア15には、ラック11毎に一定の長さ以上の光ファイバ24が巻回された巻回部24x,24yが設けられており、これらの巻回部24x,24y間の光ファイバ24が機器設置エリア10に引き出されている。
ラック11内に引き出された光ファイバ24は、往路と復路とが少なくとも一部重なるように敷設される。また、往路と復路との折り返し点には、一定の長さ以上の光ファイバ24が巻回された巻回部24zが設けられている。
温度分布装置20は、光ファイバ24に所定のパルス幅のレーザ光を一定の周期で出力する。そして、温度分布測定装置20は、光ファイバ24内で発生するラマン散乱光(ストークス光及び反ストークス光)を検出し、その検出結果に基づいて光ファイバ24の長さ方向の温度分布を取得する。
データ処理装置29は、温度分布測定装置20から出力される温度分布のデータを伝達関数を用いて補正し、補正後の温度分布を出力する。
ここで、データ処理装置29による温度分布の補正(超解像信号処理)について説明する。
温度分布測定装置20から出力されるレーザ光のパルス幅(ON時間)t0を10nsec、真空中の光の速度cを3×108m/sec、光ファイバ24のコアの屈折率nを1.5とすると、光ファイバ24内におけるレーザ光のパルス幅Wは、下記の式に示すように約2mとなる。
W=t0・c/n=10(nsec)・3×108(m/sec)/1.5≒2(m)
このパルス幅分のレーザ光の後方散乱光は温度分布測定装置20に1つの信号として取り込まれ、温度分布測定装置20はこのパルス幅分の信号の積算値から温度を検出する。
そのため、温度分布測定装置20では、光ファイバ24のうちパルス幅Wに相当する長さに均一に熱を加えないと、正確な温度測定ができない。以下、温度分布測定装置20で正確な温度測定に必要な光ファイバの長さを、最小加熱長という。
なお、測定ポイントは、最小加熱長と関係なく、温度分布測定装置20のサンプリング周波数に基づいて、光ファイバの長さ方向に沿って一定の間隔で設定される。温度分布測定装置20において平均化に要する時間等の実用的な計測時間を考慮すると、測定ポイントの間隔は10〜数10cm程度にすることが可能である。
図3は、横軸に光ファイバの端部からの距離をとり、縦軸に温度をとって、温度が約23℃の環境に光ファイバを配置し、5mの位置を中心とする一定の区間を55℃に加熱したときに温度分布測定装置で取得される温度分布を示す図である。ここでは、加熱する区間の長さを、それぞれ0.5m、1m、2mとしている。以下、このように光ファイバの長さ方向の一定の区間を均一に加熱した場合の温度分布を、ステップ型温度分布という。
この図3からわかるように、光ファイバの長さ方向の一定の区間を均一に加熱した場合、温度分布測定装置で得られる温度分布(測定温度分布)はガウシアン分布(正規分布)に近い形状となる。また、加熱区間の長さが最小加熱長(2m)よりも短い場合は測定温度分布のピークは実温度よりも低く観測され、最小加熱長以上の場合は測定温度分布のピークと実温度とがほぼ一致する。
上述したように、温度分布測定装置20で正確な温度を測定しようとすると、最小加熱長以上の長さの光ファイバを同一測定個所に配置する必要がある。
また、図3からわかるように、測定温度分布は加熱区間の外側に広がる。このため、測定箇所が複数ある場合は、相互干渉を回避するために、測定箇所間に一定長さ以上の光ファイバが必要となる。
従って、多数の測定箇所の温度を正確に測定しようとすると、必要な光ファイバの長さが膨大となり、実用的でない。
そこで、光ファイバ24を例えば図2のように敷設し、温度分布測定装置20で取得した温度分布(測定温度分布)をデータ処理装置29により伝達関数を用いて補正する。
図4は、横軸に加熱中心からの距離をとり、縦軸に相対強度をとった、伝達関数の一例を示す図である。伝達関数hは、光ファイバ24及び温度分布測定装置20を含む測定系のインパルス応答特性にほぼ等しいものとなる。
図4に示す伝達関数hを例えば図3のステップ型温度分布に対し畳み込み(コンボリューション)すると、図3のガウシアン曲線形状の測定温度分布となる。
伝達関数は、例えば図4のように、光ファイバの一部を所定の温度に加熱して温度分布を測定することにより定義することができる。
伝達関数は、光ファイバが群遅延特性を有しているため、距離に応じて変化する。そのため、光ファイバがある程度以上長い場合は、全長にわたって伝達関数を一義的に定義することはできない。しかし、光ファイバが長くても、長さ方向に沿って複数の区間に分割することにより、同一区間内であれば光信号の損失や遅延は一様であるとみなして、伝達関数を定義することができる。伝達関数は、光源からの距離だけでなく光ファイバの種類によっても異なる。
図5は、図4の伝達関数hの逆関数を示している。この図5において、横軸は距離を示し、縦軸は係数を示している。以下、伝達関数の逆関数を、逆フィルタと呼ぶ。
温度分布測定装置20で取得した温度分布(測定温度分布)に対し逆フィルタを用いて補正(デコンボリューション)すると、実温度分布に近い温度分布(補正後の温度分布)が得られる。
図6は、3台のラックに光ファイバを敷設し、温度分布測定装置により光ファイバの長さ方向の温度分布を測定した結果を示す図である。
図6には、温度分布測定装置により得られた温度分布(測定温度分布)と、逆フィルタを用いて補正した後の温度分布(補正温度分布)と、実温度分布とを併せて示している。なお、実温度分布は、光ファイバの敷設経路に沿って複数の熱電対を配置し、それらの熱電対により測定した結果を示している。
図6からわかるように、温度分布測定装置20により得られる測定温度分布は、実温度分布から大きく乖離している。逆フィルタを用いて測定温度分布を補正することに得た補正温度分布は、補正前に比べて実温度分布に近づいている。しかし、この図6から、測定温度分布に単に逆フィルタを作用させただけでは、実温度分布を十分に再現することは難しいことがわかる。
そこで、データ処理装置29では、以下に示す温度の同一性を利用して、補正温度分布を実温度分布に近づける処理を実行する。
前述したように図2では、巻回部24x,24yに一定の長さの光ファイバ24が巻回されているため、巻回部24x,24yに巻回された部分の光ファイバ24の温度は均一であるとみなすことができる。
例えば、図4に示した伝達関数では、原点から数えて3番目の零点X3(=3.3m)付近では0に集束しており、当該零点付近の測定温度は原点にある熱源の影響を受けていない。
従って、機器設置エリア10から光ファイバ24の長さ方向に沿って零点X3の長さ以上離れた位置に測定ポイントがあれば、その測定ポイントにおける測定温度は機器設置エリア10の温度の影響を受けず、実温度を示すことになる。
ここで、図2中に破線で示す区間G、すなわち巻回部24x又は巻回部24yから床12までの間と、巻回部24x又は巻回部24yからラック11間の中点Pまでの間とを含む区間に敷設された光ファイバ24について考える。但し、図2のように、隣接するラック11間の光ファイバ24の長さをD1、巻回部24x,24yから床12までの長さをD2とする。また、フリーアクセスフロア15内は、空調機19から供給される冷風によって温度が一定に保持されているものとする。
この場合、区間Gにおける光ファイバ24の長さLは、各巻回部24x,24yに巻回された光ファイバ24の長さをD3とすると、D1/2+D2+D3となる。この長さLを前述の伝達関数hの零点X3以上の長さにすれば、当該区間Gにはラック11内の計算機の熱の影響を受けない測定ポイントが存在することになる。図2では、そのような測定ポイントを中点Pとして示している。
1を例えば1.0m、D2を例えば0.5m、D3を例えば2.3mとすることで、長さLを3.3mにし、長さLを伝達関数hの零点X3(3.3m)以上とすることができる。
前述したようにフリーアクセスフロア15内の温度は均一であるので、区間G内の光ファイバ24の各測定ポイントの温度は中点Pの温度と同じである。
データ処理装置29では、上述した区間Gでの温度の同一性を利用して、後述のように測定温度分布の補正を行う。
図2に示した光ファイバ24の敷設例には、上述の区間Gでの温度の同一性の他に、次のような性質もある。
ラック11内に引き出された光ファイバ24は、往路と復路との少なくとも一部が重複するように敷設されている。往路と復路とが重複している部分では、同一の温度とみなすことができる重複点H1,H2が存在する。よって、測定温度分布の補正時において、重複点H1,H2の補正温度は同一温度であるという条件を付け加えることができる。
同様の理由により、巻回部24zの光ファイバ24の各測定ポイントについても、温度が実質的に同一の重複点Kiとみなすことができ、各重複点Kiでの補正温度は同一温度であるという条件を付け加えることができる。
以下に、これらの性質を利用した温度測定システムによる温度分布測定方法(超解像信号処理)について説明する。
図7は、温度分布測定方法を示すフローチャートである。
最初のステップS1では、温度分布測定装置20により、光ファイバ24の敷設経路に沿った温度分布(測定温度分布)を取得する。
図8は、横軸に光ファイバ24の端部からの距離をとり、縦軸に温度をとって、温度分布測定装置20により取得した温度分布を示している。この図8には、熱電対を用いて測定した実温度分布と、伝達関数を用いて補正した補正温度分布とを併せて示している。
図8からわかるように、温度分布測定装置20で得られた測定温度分布は、熱電対による実温度分布と乖離している。
そこで、次のステップS2では、次のようにして測定温度分布を補正してそれを実分布に近づける。
測定温度分布は、次の式(1)のように表すことができる。
Figure 2014064845
ここで、成分ykにおける添え字kは光ファイバの敷設経路に沿って設定された測定ポイントを表し、成分ykは測定ポイントkにおける温度測定値から温度変化のない領域の温度測定値(図2に挙げた例では中点Pにおける温度値TAB)を減算した値である。
一方、実温度分布は、次の式(2)のように表すことができる。
Figure 2014064845
式(1)と同様に、成分xiにおける添え字iは測定ポイントを表し、成分xiは測定ポイントiにおける実温度から温度変化のない領域の温度測定値(図2に挙げた例では中点Pにおける温度値TAB)を減算した値である。
測定温度分布yは、実温度分布xと伝達関数hとのコンボリューション(畳み込み)として、次の式(3)のように表すことができる。
Figure 2014064845
但し、iの範囲は、添字であるk-iが0以上であることを満たす範囲である。
また、これを成分毎に次の式(4)のように記述することもできる。
Figure 2014064845
式(4)によれば、伝達関数の各成分hi-jは、式(4)をhjについての連立方程式として、最小二乗法等を用いて算出することができる。
伝達関数の各成分hi-jを求める際の実温度分布xと測定温度分布yとして、例えば図9に示したようなステップ型の実温度分布と、これに対応した測定温度分布とを使用することができる。
なお、伝達関数hは、光源からの距離だけではなく、光ファイバ24の材料や温度分布測定装置20のパルス応答特性等によっても変化する。このため、伝達関数の各成分hi-jを求める場合は、実際に温度を計測するときと同じ条件下で測定温度分布を取得することが好ましい。
ところで、式(3)において温度変化の存在する領域に注目すると、その前後の領域は温度変化のない領域となり、それらの各成分xi, ykは0であり、式(3)において計算に必要のない意味のないものとなる。そこで、式(2)の各成分から、温度変化の存在する注目領域前後の0である成分全てを除いたもののみを集めた列ベクトルを次の式(5)のように表す。なお、tは転置行列を示している。
Figure 2014064845
また、測定温度分布についても同様に、温度変化のない領域の各成分0は計算に必要ない意味のないものなので、式(1)の各成分から温度変化の存在する注目領域前後の0である成分全てを除いたもののみを集めた列ベクトルを次の式(6)のように記述する。
Figure 2014064845
式(5),(6)の列ベクトルの成分の個数はそれぞれn+1、m+1であるが、mのほうがnよりも大きくなる(m>n)。これは、図9に示したように、測定温度分布は実温度分布よりも横方向に広がるため、0でない成分の個数は測定温度分布のほうが多くなるためである。
式(5),(6)のように、実温度分布xと測定温度分布yとを有限次元の列ベクトルとし、式(4)を次の式(7)の形式で表した場合、行列[H]は伝達関数hを基に構成され(m+1)×(n+1)個の有限個の成分を持つ。このように構成した行列[H]を、伝達関数の行列表示と呼ぶことにする。
Figure 2014064845
但し、式(7)の列ベクトルx,yの次元は、式(5),(6)のように有限次元である。
式(7)において、yの各成分yiは温度測定により得られたm+1個の値であり、[H]は連立方程式の(m+1)×(n+1)の係数行列とみなすことができる。上記したようにm>nなる関係があるから、この連立方程式をxについて一意に解くことはできない。
そこで、次の式(8)のような二乗誤差eを考える。
Figure 2014064845
なお、式(8)の列ベクトルXは、実温度分布と同様に、次の式(9)のような成分をもつn次元のベクトルである。
Figure 2014064845
式(8)の二乗誤差eを小さくする分布Xは、近似的に式(9)も満たす。そして、式(8)の二乗誤差eが小さくなるほど近似の精度が上がり、分布Xが実温度分布xに近づくことになる。以下、分布Xのことを、測定温度分布yの補正温度分布と呼ぶ。これによれば、式(8)は、敷設経路に沿った光ファイバ24の伝達関数hと補正温度分布Xとの畳み込みと、測定温度分布yとの二乗誤差eを算出する式ということができる。
その二乗誤差eがなるべく小さくなるような補正温度分布Xを求めるべく、式(8)から二乗誤差eの勾配ベクトル∂e/∂Xを次の式(10)により算出する。
Figure 2014064845
この勾配ベクトル∂e/∂Xが0になるようにXの各成分Xiを決定するのが最小二乗法にあたる。
なお、測定時のノイズを考慮して式(10)中の[H]t[H]の対角成分を微増させれば、ノイズの高周波成分の増幅を抑えマージン耐性を高められる。前述の逆フィルタによる補正(図6参照)は、この最小二乗法で算出した補正に相当する。
ここで、勾配ベクトル∂e/∂Xは二乗誤差eが増加する方向を示しているので、逆符号の方向−∂e/∂Xへ進めば二乗誤差eは減少することになる。
そこで、次の式(11)のように逐次的にXに対して補正を行う。
Figure 2014064845
ここで、kは補正の反復回数を示し、X(k)は補正をk回行ったときの補正温度分布である。このX(k)は次の式(12)のように成分表示できる。
Figure 2014064845
そして、αは、式(11)が収束するような正の修正計数であり、経験的に0.5〜1の範囲で選択され得る。以下ではαを0.5として計算を行う。
また、初期値であるX(0)はゼロベクトルであり、式(11)における∂e/∂Xの計算には、[H]t[H]の対角成分を微増させたものを用いた式(10)を使用する。
式(11)を用いて反復計算を行うことにより、X(k)よりも更に二乗誤差eが小さくなる補正温度分布X(k+1)の算出を逐次的に複数回行う。
ところで、図2を参照して説明したように、光ファイバ24の敷設経路のうち、区間G内に存在する複数の測定ポイントiの温度は、いずれも中点Pの温度と同一である。そこで、式(11)による各回の補正計算の度に、区間G内の巻回部24x,24yに含まれる複数の測定ポイントiに対応した成分Xi (k)を、中点Pでの測定温度に置き換える。
式(5),(6)を定義した際に説明したように、列ベクトルx,y,Xの各成分は実際の値から中点Pでの測定温度TABを差し引いたものであるから、置き換えられた各成分Xi (k)の値は0(=TAB−TAB)となる。
その測定温度TABから求められた0(=TAB−TAB)は、測定温度分布yの複数の成分yiのうち、中点Pに相当する測定ポイントでの成分の値であり、区間Gにおける共通の推定温度としての意義を有する。
なお、区間Gにおける共通の推定温度は上記の温度0(=TAB−TAB)に限定されない。例えば、各巻回部24x,24yに含まれる実温度が測定される領域にある複数の測定ポイントiに対応した測定温度分布yの複数の成分yiの平均値を当該測定ポイントに共通の推定温度としてもよい。その場合、各巻回部24x,24yに巻かれた部分の光ファイバ24の長さD3を既述の2.3mよりも長くすることで、これらの巻回部24x,24yに含まれる実温度が測定される領域に相当する測定ポイントiの個数が増え、温度の推定精度が向上する。更に、このように長さD3を長くすることで、隣接するラック11の温度の影響をより一層受け難くすることもできる。
また、図2を参照して説明したように、各巻回部24x,24yから巻回部24zへの往復の光ファイバ24においては、同一温度とみなせる重複点H1,H2がある。よって、これらの重複点についても、式(11)による補正計算の度に、各重複点H1,H2での補正温度分布の成分Xi1 (k),Xi2 (k)を、これら重複点H1,H2のそれぞれの補正温度の平均値Xavg1(=(Xi1 (k)+Xi2 (k))/2)に置き換える。その補正温度Xi1 (k)、Xi2 (k)は、補正温度分布X(k)の複数の成分Xi (k)のうち、各重複点H1,H2に相当する測定ポイントi1,i2での成分の値であって、それらの平均値Xavg1は重複点H1,H2に共通の推定温度としての意義を有する。
更に、これと同様に、巻回部24zにある複数の重複点Kiについても、式(11)による補正計算の度に、各重複点Kiでの測定温度分布の成分Xi (k)を、これら重複点Kiのそれぞれでの補正温度Xi (k)の平均値Xavg2に置き換える。上記と同様に、その補正温度Xi (k)は、補正温度分布X(k)の複数の成分Xi (k)のうち、各重複点Kiに相当する測定ポイントiでの成分の値である。そして、それらの平均値Xavg1は、各重複点Kiに共通の推定温度としての意義を有する。
例えば、光ファイバ24の長さ方向に沿って設定される測定ポイント間の間隔を0.1mとする。この場合、巻回部24zに巻かれた部分の光ファイバ24の長さが0.5mであるとすると、重複点Kiの個数は5個(=0.5m/0.1m)となる。
よって、これらの重複点Ki-2,Ki-1,Ki,Ki+1,Ki+2での補正温度分布の成分Xi-2 (k),Xi-1 (k),Xi (k),Xi+1 (k),Xi+2 (k)を、補正計算の度にこれら各点のそれぞれの補正温度Xi-2 (k),Xi-1 (k),Xi (k),Xi+1 (k),Xi+2 (k)の平均値Xavg2(=(Xi-2 (k)+Xi-1 (k)+Xi (k)+Xi+1 (k)+Xi+2 (k))/5)で置き換える。
ところで、上述のように各巻回部24x,24yに含まれる複数の測定ポイントiの温度は、いずれもTABである。式(5),(6)を定義した際に述べたように、列ベクトルx,y,Xの各成分は実際の温度の値からこのTABを減算した値となっている。従って、最終的な補正温度分布Tiomp-iを求めるためには、式(12)について所要の反復回数(n回)の計算が終了した後に次の式(13)のように再び温度TABを加算すればよい。
Figure 2014064845
また、光ファイバ24のうち、巻回部24x,24yは冷風により温度上昇が防がれているのに対し、これ以外の部分はフリーアクセスフロア15よりも高温となる床12の上にあるため巻回部24x,24yよりも温度が下がることはない。
この条件を次の式(14)のように表す。
Figure 2014064845
そして、式(11)によるk回目の計算でXi (k)<0となる成分があれば、その成分Xi (k)を0とした後、k+1回目の計算を行う。
このように、温度測定エリアの中に温度が所定温度以上となることが既知の部分がある場合に、式(11)により当該部分の補正後の温度が上記所定温度よりも低くなったときには、当該部分の補正後の温度を、その所定温度に置き換えることができる。
また、これとは逆に、温度測定エリアの中に温度が所定温度以下となることが既知の部分がある場合に、式(11)により当該部分の補正後の温度が上記所定温度よりも高くなったときには、当該部分の補正後の温度を、その所定温度に置き換えることができる。
ステップS2では、このように式(11)を用いて補正計算を繰り返し行い、二乗誤差eの減少量についての指標、例えばe(n)−e(n-1)が所定値以下となったところのXi (n)から最終的な補正温度分布Tiomp-iを求める。なお、e(n)は、式(11)による補正をn回行って得られたX(n)を用いて、式(8)から求められた二乗誤差である。
次に、このような置き換えにより得られる利点について説明する。
図10〜図12は、上述した超解像信号処理の効果を示す図である。図10〜図12において、横軸は光ファイバ24の端部からの距離を示し、縦軸は温度を示す。
図10は、式(11)による補正を1回行ったときの図である。この図10に示すように、1回の補正では、実温度分布と補正温度分布との乖離が解消されていない。
図11は、1回の補正の後に、各領域、区間G、及び各点H1,H2,Kiにおいて上記の置き換えを行ったときの図である。この図11に示すように、置き換えが行われた部分の補正温度分布は、温度の値が実分布と略同じになる。
図12は、そのような補正計算を100回繰り返したときの図である。この図12に示すように、補正計算を100回行うと、補正温度分布は実温度分布に略一致するようになる。
(実施形態)
図13は、温度が25℃の環境下において、光ファイバの一定の区間を55℃に加熱したときに温度分布測定装置で取得される温度分布を示す図である。例えば加熱長が50cmの場合、図13から温度分布測定装置で検出される温度は37℃程度であることがわかる。
図2に例示した温度測定システムでは、前述したようにデータセンター内の温度分布を良好な精度で取得することができる。しかし、そのためには、温度が一定の場所に最小加熱長以上の光ファイバが配置されているという条件と、注目する範囲内の測定ポイントの温度の上限値又は下限値が確定しているという条件とが必要である。
図13からわかるように、光ファイバをセンサとする温度分布測定装置では、加熱長が最小加熱長よりも短い場合は感度が低下する。このため、例えば化学プラント等の施設で異常にともなう温度変化を温度分布測定装置で検出しようとしても、測定箇所に最小加熱長以上の光ファイバを配置することができない場合は、温度変化が少ない初期段階で異常を検知することは困難である。
また、化学プラント等の施設では、温度の上限値又は下限値を確定することも困難である。
更に、光ファイバ式温度分布測定装置を化学プラント等の施設で発生する異常の検知に適用しようとすると、以下に述べる問題もある。
図14は、横軸に光ファイバの端部からの距離をとり、縦軸に温度をとって、室内の温度分布を測定した結果を示す図である。この図14に示すように、温度分布の測定に使用される光ファイバの長さは数kmであり、しかも複雑な温度分布となっている。
図2に示すデータセンターの場合は、ラック11間に巻回部24x,24yが設けられており、隣接するラック11間の相互干渉を遮断している。このため、ラック11毎に補正処理を行えば高精度の温度分布を取得することができ、データ処理部で補正処理を自動化することができる。しかし、巻回部がない場合は、どこからどこまでを補正処理の単位とすればよいか決めることができないため、補正処理の自動化は困難である。
以下、化学プラント等の施設で異常検知に使用可能な温度測定システムについて説明する。
図15は、実施形態に係る温度測定システムの構成を示すブロック図である。この図15に示すように、実施形態に係る温度測定システムは、光ファイバ30と、温度分布測定装置(DTS)31と、データ処理装置32とを有する。
温度分布測定装置31は、光ファイバ30に所定のパルス幅のレーザ光を一定の周期で出力する。そして、温度分布測定装置31は、光ファイバ30内で発生するラマン散乱光(ストーク光及び反ストークス光)を検出し、その検出結果に基づいて光ファイバ30の長さ方向の温度分布を取得する。温度分布測定装置31は、光ファイバ30の一端側のみが接続されるシングルエンド方式のものでもよく、光ファイバ30の両端が接続されるループ方式のものでもよい。
データ処理装置32はコンピュータを含んで構成され、温度分布測定装置31で取得した温度分布のデータを後述するように信号処理して異常の有無を判定し、異常と判定したときには警報を発生するなどの予め設定された処理を実行する。
本実施形態に係る温度測定システムでは、温度からではなく、温度の変化から異常の有無を判定する。また、本実施形態に係る温度測定システムでは、温度分布測定装置31で取得される温度分布の経時変化から信号処理を行う範囲を決定する。
図16は、本実施形態に係る温度測定システムを使用した異常検知方法を説明するフローチャートである。
本実施形態では、第1異常判定処理(ステップS11〜S14)により異常と考えられる個所があるか否かを判定し、異常と考えられる個所がある場合は超解像信号処理(ステップS15,S16)を実施する。そして、超解像信号処理後に第2異常判定処理(ステップS17〜S19)を実施して異常があるか否かを判定し、異常があると判定したときには警報を発生する等の処理を実施する。以下、より詳細に説明する。
まず、ステップS11において、データ処理装置32は、温度分布測定装置31から現時点の温度分布(以下、現在温度分布と呼ぶ)のデータを取得する。取得した現在温度分布のデータは、データ処理装置32内に記憶する。
次に、ステップS12において、データ処理装置32は、ステップS11で取得した現在温度分布のデータと、データ処理装置32内に記憶されている過去の温度分布(以下、過去温度分布と呼ぶ)のデータとの差分(以下、差分温度分布と呼ぶ)を生成する。
この場合、過去温度分布のデータは、例えば過去の複数の時刻の温度分布のデータにそれぞれ重み付けをして算出することが好ましい。具体的には、現在時刻をT、測定間隔をΔTとしたときに、位置Yの温度を、下記(15)式により計算する。
a×((1/2)Y(T−ΔT)+(1/4)Y(T−2ΔT)+(1/8)Y(T−3ΔT)+(1/16)Y(T−4ΔT)+(1/32)Y(T−5ΔT)+ … ) …(15)
但し、過去の1回分の温度分布のデータを用いる場合はaの値を1とする。過去の複数回分の温度分布のデータを用いる場合は、係数の和が1になるようにaの値を調整する。
図17は、現在温度分布、過去温度分布及び差分温度分布を示す図である。ここでは、何らかの異常が発生したため、現在温度分布には、過去温度分布にはない大きなピークPが発生しているものとしている。
この場合、現在温度分布と過去温度分布との差分である差分温度分布にも、異常によるピークP’があらわれる。しかし、ピークP’から一定範囲離れた位置の差分温度は、ほぼ0となる。
前述したように、温度分布測定装置で取得される温度分布は、実温度分布に伝達関数を作用させたものということができる。伝達関数は光ファイバやレーザ光源等の経年変化にともなって変化するが、異常により温度が変化する時間に比べて十分に長い時間にわたり、伝達関数は一定である考えることができる。また、伝達関数は、光ファイバの長さ方向の位置により変化するが、異常の検知に使用する数10cm〜数10mの範囲では、一定であると考えることができる。
従って、ピークの原因となる異常個所(熱源)から伝達関数の零点X3(図4参照)以上離れた個所では、差分温度の値は0とみなすことができる。
次に、ステップS13において、データ処理装置32は、差分温度分布に窓関数の一種であるFIRフィルタ(有限インパルス応答:Finite Impulse Response)を作用(畳み込み)させて、標準偏差を取得する。具体的には、光ファイバの長さ方向に沿って差分温度分布を微分した後、FIRフィルタを作用させる。差分温度分布を微分する範囲は、伝達関数の零点X3を考慮して、例えばピークを中心にして加熱長に±4mを加えたの範囲とする。
図18は、異常が発生する前、すなわち時刻T−ΔTにおける差分温度分布と、その差分温度分布を微分して得られる微分温度分布と、FIRフィルタを作用させて得られる温度分布(FIRフィルタ後)とを示している。
また、図19は、異常が発生したとき、すなわち時刻Tにおける差分温度分布と、その差分温度分布を微分して得られる微分温度差分布と、FIRフィルタを作用させて得られる温度差分布(FIRフィルタ後)とを示している。
図18,図19からわかるように、異常が発生していないときには、光ファイバの長さ方向の全域にわたって差分温度はほぼ0であり、異常が発生すると差分温度分布にピークが発生する。このピークが発生した差分温度分布を光ファイバの長さ方向に微分していくと、ピークの傾きに応じてマイナス方向及びプラス方向に振れるグラフ(微分温度分布)が得られる。このグラフに対し光ファイバの長さ方向に沿ってFIRフィルタを畳み込みすると、ほぼ台形状のピークがあらわれる。
次に、ステップS14に移行し、データ処理装置32は、異常の有無を判定する。異常の有無の判定は、差分温度分布にしきい値を超えるピークが存在するか否かにより行ってもよく、FIRフィルタを作用させて得たグラフにしきい値を超える値が存在するか否かにより行ってもよい。
ステップS14で異常がないと判定した場合(NOの場合)はステップS11に戻り、処理を継続する。一方、ステップS14で異常があると判定した場合は、ステップS15に移行する。
なお、本実施形態では、後述するように長周期の正常な温度変化を考慮して第2異常判定処理を実施し、第2異常判定処理で異常があると判定したときに警報を発生するなどの処理を実行する。しかし、ステップS14で異常があると判定したときに警報を発生するなどの処理を実行するようにしてもよい。
ステップS15では、異常領域を設定するとともに、拘束条件を設定する。図19に示すように、異常が発生した場合は、FIRフィルタを作用させて得たグラフに台形状のピークがあらわれる。この台形状のピークの領域を異常領域Aと呼び、その外側の一定の範囲を基準温度領域Bと呼ぶ。また、異常領域Aと基準温度領域Bとを合わせた領域を、信号処理領域Cとする。このようにして信号処理領域Cを設定することにより、伝達関数を作用させる要素数(行列による取り扱いでは行数と列数)が決定される。
一方、拘束条件は、以下のように設定する。すなわち、化学プラント等で異常が発生する場合、時間の経過とともに温度が上昇する場合と、時間の経過とともに温度が低下する場合とのいずれかである。異常領域内で差分温度の積分値が正か負かにより、時間の経過とともに温度が上昇する異常なのか、時間の経過とともに温度が低下する異常なのかを判定できる。以下、差分温度分布の積分値が正の場合を非負拘束と呼び、差分温度分布の積分値が負の場合を非正拘束と呼ぶ。
次に、ステップS16に移行し、前述した超解像信号処理により差分温度分布を補正する。具体的には、基準温度領域Bを巻回部相当とし、異常領域Aに対し先に予備的事項で説明した(6)式を適用し、(11)式による補正を反復して行う。
異常領域Aを有限測定温度分布領域とし、非負拘束として超解像信号処理したものが図20である。この図20に示す例では、差分温度ピークに対し約1.8倍のピークが得られている。すなわち、温度差に対する感度が1.8倍になったということができる。
例えば、光ファイバの加熱長が50cmであり、加熱区間とその他の区間との温度差が50℃の場合、温度分布測定装置では22℃程度の温度差としか検知できないが、超解像信号処理により約41℃の温度差として検知できるようになる。
図19に示した台形のピーク(台形関数)の幅により、式(5),(6)に示されるm,nの大きさが制約される。例えば、超解像信号処理時の反復補正では、異常範囲が設定される度に適切なm,nが設定される。但し、ここで対象とするのは温度分布y,xではなく、温度差分布Δy,Δxであるので、先の予備的事項の説明中のy,xを全てΔy,Δxに置き換える必要がある。
次に、ステップS17〜S19において、第2異常判定処理を行う。
例えば季節によって又は時間帯等によって、測定箇所の温度が変化することがある。このため、本実施形態では、季節又は時間帯等による温度の変化を考慮して、異常か否かを判定する。具体的には、例えば所定の時刻毎に、温度分布測定装置31から出力される温度分布のデータから、データ処理装置32は信号処理領域Cの2倍の領域の平均温度を取得する。そして、データ処理装置32は、例えば1年分のデータを蓄積してデータベースを構築する。
ステップS17において、データ処理装置32は、異常領域A内の補正後の最大差分温度を求める。そして、ステップS18に移行し、データ処理装置32は、データベース内から例えば1年前、1か月前又は1日前の同時刻(又は最も近い時刻)の基準温度領域Bの平均温度を読出して、最大差分温度を補正(オフセット)する。
ステップS19では、補正後の最大温度差と予め設定された設定値(しきい値)とを比較して、異常の有無を判定する。異常がないと判定したときは、ステップS11に戻り、処理を続行する。一方、ステップS19で異常があると判定したときは、ステップS20に移行し、例えば警報を発生するなどの予め設定された処理を実行する。
このようにして、化学プラント、製油工場及び火力発電所等の施設で発生する異常を初期段階で検知することが可能になる。
(考察)
図21は、横軸に光ファイバの端部からの距離をとり、縦軸に測定温度及び差分温度をとって、現在温度分布、過去温度分布及び差分温度分布を示す図である。ここでは、過去温度分布を取得した後、光ファイバの一部分を80cmの長さにわたり加熱している。
図22は、図21の差分温度分布と、差分温度分布を微分して得た微分温度分布と、差分温度分布にFIRフィルタを作用させた結果と、微分温度分布にFIRフィルタを作用させた結果とを併せて示している。図22では、ピーク中心から±3.5mの範囲の標準偏差を求めるFIRフィルタを適用して、異常範囲を求めている。
ここで、FIRフィルタを適用する範囲をピーク中心から±3.5mの範囲としたのは、図4で伝達関数がほぼゼロとみなせる範囲が±4mであるので、それよりも狭い範囲を有効範囲として設定しているためである。
差分温度分布及び微分温度分布にそれぞれFIRフィルタを作用させることにより、2つの台形関数が得られる。それらの2つの台形関数のうち、微分温度分布にFIRフィルタを作用させたほうが微小な変化がわかるため、異常範囲の設定は細かくできる。その反面、微分温度分布にFIRフィルタを作用させて得たグラフでは、異常範囲が隣接していた場合に同一温度差範囲の設定が困難になる。2つの台形関数で設定される異常範囲の差は1m程度であるので、どちらを用いても大きな差はない。
ここでは、差分温度のFIRフィルタの結果を用いて異常範囲を設定するものとする。台形関数の値が1を超える範囲を異常範囲とすると、684m〜693mの範囲が異常範囲となる。それに対し、信号処理領域Cは、図4の伝達関数の影響分(±4m)を考慮して、680m〜697mとした。
前述の(6)式のmで示された範囲がこの異常範囲である。ここで、前述の対応関係を基に補正を行う。この場合、非負拘束であるとすると、異常範囲内の温度は基準温度以上であるという条件を用いて、補正のたびに合致しないデータがあれば置き換えをして、超解像信号処理を実施する。
このようにして得られた結果を、図23に示す。図23から、超解像信号処理により、最大差分温度が約1.55倍(+9℃)に拡大していることがわかる。また、図23から680m〜697mの範囲では差分温度以上であるという非負拘束が働いていることがわかる。
図13から求まる感度係数によれば、加熱長が80cmの場合、差分温度は約0.63倍に圧縮される。補正前の最大差分温度は16.3℃なので、確からしい差分温度は25.9℃(=16.3÷0.63)である。補正された最大差分温度は25.3℃であるから、誤差が0.6℃までに確かな補正がなされていることになる。
ここで、異常とみなすしきい値が20℃に設定されており、データの収集間隔が2分であるとすると、実施形態を適用しない場合は警報が発令されるのは本実施形態で警報が発令される時間よりも2分以上遅れることになる。これは、異常を初期段階で検知しようとする場合に極めて大きな差となる。
なお、本実施形態では非負拘束や非正拘束といった拘束条件に伝達関数を用いた反復手法である超解像信号処理を用いて差分温度値の回復を行った。しかし、拘束条件が存在するならば、伝達関数を用いずに、例えばブラインドデコンボリューションとフーリエ反復アルゴリズムを組み合わせた差分温度値の回復方法を用いてもよい。
以下、開示した技術の利用可能性について説明する。
(利用可能性1)
図24(a),(b)は、データセンターのサーバラックに光ファイバを敷設して空調管理を行う際に、光ファイバの敷設状態の異常を検知するシステムに適用した事例を示している。
データセンター内に図2に示すように光ファイバを敷設する場合は、予備的事項で説明した方法により光ファイバの長さ方向の温度分布を高精度に検出することができる。しかし、ラック内に光ファイバを敷設できない場合や、計算機室内が機器設置エリアとフリーアクセスフロアとに分離されていない場合は、予備的事項で説明した方法を適用することができない。
そこで、図24(b)のようにラック11の上方に光ファイバ30を敷設する。そして、予め正常運転時のラック11内の温度とそのときの光ファイバ30の温度分布とを測定しておき、ラック11毎に警報を発生する場合のしきい値を設定しておく。図24(a)は、ラック毎に設定された警報しきい値と、温度差分布とを示している。
例えば図25(b)に示すようにあるラック11に異常が発生した場合、図25(a)に示すように対応するラック11の位置に温度差のピークが発生する。この温度差分布を実施形態で説明した方法で補正することで、差分温度を精度良く求めることができ、異常の有無を初期段階で検知することができる。
(利用可能性2)
図26(a)〜(d)は、実施形態で説明した温度測定システムを、化学プラント等の施設の配管接続部の異常検知に適用した事例を示している。
図26(a)のように、プラント運用中は、主配管51内を高温の液体又はガスが流れているものとする。この場合、プラント運用中は配管51が膨張し、プラントが停止しているときには配管51が収縮する。
なお、図26(a)〜(d)において、54は光ファイバ30を固定するテープであり、55は主配管51の周囲に配置された断熱材及び保護管を示している。
図26(b)のように、例えばプラントの停止にともなって主配管51と枝配管52との接合溶接部の金属疲労が発生した場合、図26(c)のように次に運用したときには通常よりも枝配管52が外に押し出される。そして、図26(d)のように、次に停止状態になると、押し出された枝配管52が戻りきらずに亀裂が発生する。
このとき、残留高圧液体又はガスが噴出し、部分的な温度変化が発生する。実施形態の温度検知システムでは、この部分的な温度変化の検知して警報を発生する。
このように、プラント等において配管接続部の異常を初期段階で検知することにより、重大事故の発生が回避される。
(利用可能性3)
図27は、実施形態で説明した温度測定システムを、ビニールハウス内での高級果物の栽培及び盗難防止に適用した事例を示す。
ここでは、クラウンメロンのハウス栽培において、土中温度、周囲環境温度、及び果物の温度を、温度分布測定装置(DTS)により測定し、その測定結果に基づいてハウス内の温度を管理しているものとする。また、ここでは、温度分布測定装置をデータ処理装置に接続して、異常の検知にも使用しているものとする。
例えば盗難者がメロンを盗難しようとする場合、メロンに巻きつけられた光ファイバ30を解こうとする。盗難者が慎重に作業をすれば光ファイバ30を切断することは無いが、光ファイバ30を解こうとすると部分的な温度の微小変化は避けられない。これにより、温度測定システムにおいて、異常を検知することができる。
温度測定システムが異常を検知すると、パトランプの点灯や警報ブザーの始動と共に管理者に異常の発生が通知される。これにより、甚大な被害を抑えることができる。
開示の技術の一観点によれば、光ファイバと、前記光ファイバに光を入射して後方散乱光を検出し、その検出結果から前記光ファイバの長さ方向に沿った温度分布を取得する温度分布測定装置と、前記温度分布測定装置で取得した温度分布を記憶するとともに、現在時点の温度分布と過去の温度分布との差分を演算して得た差分温度分布に対し信号処理を実施して、その結果から異常の有無を判定するデータ処理装置とを有し、前記データ処理装置は、前記信号処理の結果から異常ありと判定したときに、前記信号処理の結果から異常が発生したと認められる異常領域と、その前後の異常がないと認められる基準温度領域とを前記光ファイバの長さ方向に沿って設定し、前記基準温度領域における前記現在時点の温度分布と前記過去の温度分布との温度差を基準として前記異常領域のピーク値を補正する信号処理を実施する温度測定システムが提供される。
開示の技術の他の一観点によれば、温度分布測定装置により光ファイバの一端側に光を入射して後方散乱光を取得する工程と、データ処理装置により、前記強度分布を記憶するとともに、現在時点の温度分布と過去の温度分布との差分を演算して得た差分温度分布に対し信号処理を実施して、その結果から異常の有無を判定する工程とを有し、前記データ処理装置は、前記信号処理の結果から異常ありと判定したときに、前記信号処理の結果から異常が発生したと認められる異常領域と、その前後の異常がないと認められる基準温度領域とを前記光ファイバの長さ方向に沿って設定し、前記基準温度領域における前記現在時点の温度分布と前記過去の温度分布との温度差を基準として前記異常領域のピーク値を補正する信号処理を実施する異常検知方法が提供される。

Claims (20)

  1. 光ファイバと、
    前記光ファイバに光を入射して後方散乱光を検出し、その検出結果から前記光ファイバの長さ方向に沿った温度分布を取得する温度分布測定装置と、
    前記温度分布測定装置で取得した温度分布を記憶するとともに、現在時点の温度分布と過去の温度分布との差分を演算して得た差分温度分布に対し信号処理を実施して、その結果から異常の有無を判定するデータ処理装置と
    を有することを特徴とする温度測定システム。
  2. 前記データ処理装置は、前記信号処理の結果から異常ありと判定したときに、前記信号処理の結果から異常が発生したと認められる異常領域と、その前後の異常がないと認められる基準温度領域とを前記光ファイバの長さ方向に沿って設定し、前記基準温度領域における前記現在時点の温度分布と前記過去の温度分布との温度差を基準として前記異常領域のピーク値を補正する信号処理を実施することを特徴とする請求項1に記載の温度測定システム。
  3. 前記データ処理装置は、前記ピーク値を補正する信号処理を実施する際に、前記差分温度分布を積分した結果から導き出した非負拘束条件又は非正拘束条件を使用することを特徴とする請求項2に記載の温度測定システム。
  4. 前記データ処理装置は、前記ピーク値を補正する信号処理により補正した前記差分温度分布のピーク値が予め設定したしきい値を超えたときに警報を発生することを特徴とする請求項3に記載の温度測定システム。
  5. 前記データ処理は、正常な周期的温度変化を考慮して異常の有無を判定することを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の温度測定システム。
  6. 前記信号処理は、前記差分温度分布に対し微分処理する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の温度測定システム。
  7. 前記信号処理は、前記差分温度分布に対し微分処理して微分温度分布を取得し、更に前記微分温度分布に対しFIR(Finite Impulse Response)フィルタを作用させる工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の温度測定システム。
  8. 前記ピーク値を補正する信号処理は、前記差分温度分布と伝達関数との畳み込みと、前記差分温度分布との二乗誤差が補正の度に小さくなるように前記差分温度分布に対する補正を逐次的に複数回行うとともに、各回の補正の度に前記拘束条件に合致するように前記基準温度領域における補正後の差分温度を推定差分温度に置き換える超解像信号処理であることを特徴とする請求項3に記載の温度測定システム。
  9. 前記過去の温度分布データは、過去の複数の温度分布データを重み付けして足し合わせたものであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の温度測定システム。
  10. 前記光ファイバが、配管に沿って敷設されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の温度測定システム。
  11. 前記光ファイバが、電子機器に沿って敷設されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の温度測定システム。
  12. 前記光ファイバが、植物の周囲に敷設されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の温度測定システム。
  13. 温度分布測定装置により光ファイバの一端側に光を入射して後方散乱光を取得する工程と、
    データ処理装置により、前記強度分布を記憶するとともに、現在時点の温度分布と過去の温度分布との差分を演算して得た差分温度分布に対し信号処理を実施して、その結果から異常の有無を判定する工程と
    を有することを特徴とする異常検知方法。
  14. 前記データ処理装置は、前記信号処理の結果から異常ありと判定したときに、前記信号処理の結果から異常が発生したと認められる異常領域と、その前後の異常がないと認められる基準温度領域とを前記光ファイバの長さ方向に沿って設定し、前記基準温度領域における前記現在時点の温度分布と前記過去の温度分布との温度差を基準として前記異常領域のピーク値を補正する信号処理を実施することを特徴とする請求項13に記載の異常検知方法。
  15. 前記データ処理装置は、前記ピーク値を補正する信号処理を実施する際に、前記差分温度分布を積分した結果から導き出した非負拘束条件又は非正拘束条件を使用することを特徴とする請求項14に記載の異常検知方法。
  16. 前記データ処理装置は、前記ピーク値を補正する信号処理により補正した前記差分温度分布のピーク値が予め設定したしきい値を超えたときに警報を発生することを特徴とする請求項15に記載の異常検知方法。
  17. 前記信号処理は、前記差分温度分布に対し微分処理する工程を含むことを特徴とする請求項14に記載の異常検知方法。
  18. 前記信号処理は、前記差分温度分布に対し微分処理して微分温度分布を取得し、更に前記微分温度分布に対しFIR(Finite Impulse Response)フィルタを作用させる工程を含むことを特徴とする請求項14に記載の異常検知方法。
  19. 前記ピーク値を補正する信号処理は、前記差分温度分布と伝達関数との畳み込みと、前記差分温度分布との二乗誤差が補正の度に小さくなるように前記差分温度分布に対する補正を逐次的に複数回行うとともに、各回の補正の度に前記拘束条件に合致するように前記基準温度領域における補正後の差分温度を推定差分温度に置き換える超解像信号処理であることを特徴とする請求項15に記載の異常検知方法。
  20. 前記過去の温度分布データは、過去の複数の温度分布データを重み付けして足し合わせたものであることを特徴とする請求項13乃至19のいずれか1項に記載の異常検知方法。
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