JP6384602B2 - 温度測定装置、温度測定方法および温度測定プログラム - Google Patents

温度測定装置、温度測定方法および温度測定プログラム Download PDF

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Description

本件は、温度測定装置、温度測定方法および温度測定プログラムに関する。
光源から光ファイバに光を入射した際に当該光ファイバからの後方ラマン散乱光を用いて光ファイバの温度を測定する技術が開発されている(例えば、特許文献1〜6参照)。
特開2003−14554号公報 特開2003−57126号公報 特開昭62−110160号公報 特開平7−12655号公報 特開平2−123304号公報 特開2002−267242号公報
上記技術で測定された温度に対して補正などの後処理を行おうとすると、例えばノイズの抑圧とともに信号成分も減衰するなどのおそれが生じる。すなわち、測定された温度を補正することが困難である。
本件は上記課題に鑑みなされたものであり、測定された温度を補正することができる温度測定装置、温度測定方法および温度測定プログラムを提供することを目的とする。
1つの態様では、温度測定装置は、光ファイバの第1端に光が入射する場合の後方散乱光から第1ストークス成分および第1アンチストークス成分を検出し、前記光ファイバの第2端に光が入射する場合の後方散乱光から第2ストークス成分および第2アンチストークス成分を検出する検出器と、前記光ファイバの前記第1端側の一部の領域のサンプル点を含む所定領域において、前記第1ストークス成分および前記第1アンチストークス成分の少なくともいずれか一方と、前記第2ストークス成分との第1相関に応じて前記サンプル点を含む第1区間を算出し、前記第1ストークス成分および前記第1アンチストークス成分の少なくともいずれか一方と、前記第2アンチストークス成分との第2相関に応じて前記サンプル点を含む第2区間を算出し、前記第1区間において前記第2ストークス成分を平滑化し、前記第2区間において前記第2アンチストークス成分を平滑化する補正部と、平滑化後の前記第2ストークス成分、平滑化後の前記第2アンチストークス成分、前記第1ストークス成分、および前記第2ストークス成分を用いて前記サンプル点における温度を測定する測定部と、を備える。
測定された温度を補正することができる。
(a)は実施形態に係る温度測定装置の全体構成を表す概略図であり、(b)は制御部のハードウェア構成を説明するためのブロック図である。 後方散乱光の成分を表す図である。 (a)はレーザによる光パルス発光後の経過時間と、ストークス成分およびアンチストークス成分の光強度との関係を例示する図であり、(b)は(a)の検出結果および式(1)を用いて算出した温度である。 ダブルエンド方式の詳細な手続きを表す。 ダブルエンド方式の利点を表す。 室温約24℃時に光ファイバの一部区間を約55℃のお湯に浸漬した場合の応答例を示す。 図6および式(3)から得られる結果を例示する図である。 インパルス応答の典型例を例示する。 (a)〜(c)は各浸漬長に対してインパルス応答から推定した出力波形と、実際に得られた出力波形との比較を例示する図である。 2つの20cmの高温印加区間に対して、中央に印加しない区間を設け、その区間の幅を徐々に変化させたときの出力波形の計算値を例示する。 後方ラマン散乱光検出によって得た片端からパルスを入射した場合の温度分布の一例を示す。 図11の両端から入射した2つの信号のストークス成分およびアンチストークス成分をそれぞれ平均化して温度を算出した図である。 測定精度を定量的に例示する。 図11から抽出したノイズの少ないLメートル側片端のお湯への浸漬区画の温度分布と、図12から抽出した200m近傍の平坦温度部を重ねて例示する図である。 2つの波形のパワースペクトルを例示する図である。 ストークス成分およびアンチストークス成分を例示する図である。 お湯の浸漬位置における第1端片端から光パルスを入射した場合のストークス成分およびアンチストークス成分を例示する。 温度測定装置が温度測定を行う場合に実行するフローチャートの一例である。 ステップS2およびステップS3の詳細を例示する。 Pearsonの積率相関係数とSpearmanの順位相関係数との比較を例示する図である。 温度測定装置が温度測定を行う場合に実行するフローチャートの他の例である。 温度測定装置が温度測定を行う場合に実行するフローチャートの他の例である。 温度測定装置が温度測定を行う場合に実行するフローチャートの他の例である。 他の適用例を例示する図である。 他の適用例を例示する図である。 (a)および(b)は他の適用例を例示する図である。 (a)および(b)は他の適用例を例示する図である。 他の適用例を例示する図である。 (a)〜(d)は算出結果を例示する図である。 01Aおよび02Aの片側平均化要素数の関係を示す図である。 01Aおよび02Aの片側平均化要素数の関係を示す図である。 ダブルエンド方式の温度算出結果を例示する図である。 ダブルエンド方式の温度算出結果を例示する図である。 処理前後の温度分布の定量的な比較を示す図である。 (a)〜(d)は算出結果を例示する図である。 01Aおよび02Aの片側平均化要素数の関係を示す図である。 01Aおよび02Aの片側平均化要素数の関係を示す図である。 ダブルエンド方式の温度算出結果を例示する図である。 ダブルエンド方式の温度算出結果を例示する図である。 処理前後の温度分布の定量的な比較を示す図である。 (a)〜(d)は算出結果を例示する図である。 ダブルエンド方式の温度算出結果を例示する図である。 ダブルエンド方式の温度算出結果を例示する図である。 処理前後の温度分布の定量的な比較を示す図である。
以下、図面を参照しつつ、実施形態について説明する。
(実施形態)
図1(a)は、実施形態に係る温度測定装置100の全体構成を表す概略図である。図1(a)で例示するように、温度測定装置100は、測定機10、制御部20などを備える。温度測定装置100は、光ファイバ30に接続されている。測定機10は、レーザ11、ビームスプリッタ12、光スイッチ13、フィルタ14、複数の検出器15a,15bなどを備える。制御部20は、指示部21、温度測定部22、補正部23などを備える。
図1(b)は、制御部20のハードウェア構成を説明するためのブロック図である。図1(b)で例示するように、制御部20は、CPU101、RAM102、記憶装置103、インタフェース104などを備える。これらの各機器は、バスなどによって接続されている。CPU(Central Processing Unit)101は、中央演算処理装置である。CPU101は、1以上のコアを含む。RAM(Random Access Memory)102は、CPU101が実行するプログラム、CPU101が処理するデータなどを一時的に記憶する揮発性メモリである。記憶装置103は、不揮発性記憶装置である。記憶装置103として、例えば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリなどのソリッド・ステート・ドライブ(SSD)、ハードディスクドライブに駆動されるハードディスクなどを用いることができる。CPU101が記憶装置103に記憶されている温度測定プログラムを実行することによって、制御部20に指示部21、温度測定部22、補正部23などが実現される。なお、指示部21、温度測定部22および補正部23は、専用の回路などのハードウェアであってもよい。
レーザ11は、半導体レーザなどの光源であり、指示部21の指示に従って所定の波長範囲のレーザ光を出射する。本実施形態においては、レーザ11は、所定の時間間隔で光パルス(レーザパルス)を出射する。ビームスプリッタ12は、レーザ11が出射した光パルスを光スイッチ13に入射する。光スイッチ13は、入射された光パルスの出射先を切り替えるスイッチであり、指示部21の指示に従って光ファイバ30の第1端および第2端に一定周期で交互に光パルスを入射する。なお、本実施形態においては、光ファイバ30の長さをLメートル(m)とし、第1端の位置を0メートル(m)とし、第2端の位置をLメートル(m)とする。
光ファイバ30に入射した光パルスは、光ファイバ30を伝搬する。光パルスは、伝搬方向に進行する前方散乱光および帰還方向に進行する後方散乱光(戻り光)を生成しながら徐々に減衰して光ファイバ30内を伝搬する。後方散乱光は、光スイッチ13を通過してビームスプリッタ12に再度入射する。ビームスプリッタ12に入射した後方散乱光は、フィルタ14に対して出射される。フィルタ14は、WDMカプラなどであり、後方散乱光を長波長成分(後述するストークス成分)と短波長成分(後述するアンチストークス成分)とを抽出する。検出器15a,15bは、受光素子である。検出器15aは、後方散乱光の短波長成分の受光強度を電気信号に変換して温度測定部22および補正部23に送信する。検出器15bは、後方散乱光の長波長成分の受光強度を電気信号に変換して温度測定部22および補正部23に送信する。補正部23は、ストークス成分およびアンチストークス成分を補正する。温度測定部22は、ストークス成分およびアンチストークス成分を用いて温度測定を行う。
図2は、後方散乱光の成分を表す図である。図2で例示するように、後方散乱光は、大きく3種類に分類される。これら3種類の光は、光強度の高い順かつ入射光波長に近い順に、OTDR(光パルス試験器)などに使用されるレイリー散乱光、歪測定などに使用されるブリルアン散乱光、温度測定などに使用されるラマン散乱光である。ラマン散乱光は、温度に応じて変化する光ファイバ30内の格子振動と光との干渉で生成される。強めあう干渉によりアンチストークス成分と呼ばれる短波長成分が生成され、弱めあう干渉によりストークス成分とよばれる長波長成分が生成される。
図3(a)は、レーザ11による光パルス発光後の経過時間と、ストークス成分(長波長成分)およびアンチストークス成分(短波長成分)の光強度との関係を例示する図である。経過時間は、光ファイバ30における伝搬距離(光ファイバ30における位置)に対応している。図3(a)で例示するように、ストークス成分およびアンチストークス成分の光強度は、両方とも経過時間とともに低減する。これは、光パルスが前方散乱光および後方散乱光を生成しながら徐々に減衰して光ファイバ30内を伝搬することに起因する。
図3(a)で例示するように、アンチストークス成分の光強度は光ファイバ30において高温になる位置では、ストークス成分と比較してより強くなり、低温になる位置では、ストークス成分と比較してより弱くなる。したがって、両成分を検出器15a,15bで検出し、両成分の特性差を利用することによって、光ファイバ30内の各位置の温度を検出することができる。なお、図3(a)において、極大を示す領域は、図1(a)においてドライヤなどで光ファイバ30を意図的に加熱した領域である。また、極小を示す領域は、図1(a)において冷水などで光ファイバ30を意図的に冷却した領域である。
本実施形態においては、温度測定部22は、経過時間ごとにストークス成分とアンチストークス成分とから温度を測定する。それにより、光ファイバ30内における各位置の温度を測定することができる。温度測定部22は、例えば、下記式(1)に従って温度を算出することによって、光ファイバ30内の各位置の温度を測定する。光量は、光強度に対応している。2つの成分の比を用いることで微弱な成分の差が強調され、実用的な値を得ることができる。なお、ゲインおよびオフセットは、光ファイバ30の仕様に依存するため、予め較正しておけばよい。
温度=ゲイン/{オフセット−2×ln(アンチストークス光量/ストークス光量}} (1)
図3(b)は、図3(a)の検出結果および上記式(1)を用いて算出した温度である。図3(b)の横軸は、経過時間を基に算出した光ファイバ30内の位置である。図3(b)で例示するように、ストークス成分およびアンチストークス成分を検出することによって、光ファイバ30内の各位置の温度を測定することができる。レーザ11は、例えば一定周期で光パルスを光ファイバ30に入射する。空間分解能は、光パルスのパルス幅が狭いほど向上する。他方、パルス幅が狭いほど光量が小さく(=暗く)なるので、その分パルスの尖塔値を高くする必要が生じ、上記式のゲインが非線形となる応答に変わる。
光スイッチ13からの光ファイバ30への入射位置が第1端または第2端で固定されていれば、上記式(1)での温度測定が可能である。本実施形態のように入射位置を一定周期で第1端と第2端とで切り替える場合には、アンチストークス光量とストークス光量とを各光ファイバ30の位置で平均化(平均値の算出)すればよい。この切替による方式は、「ループ式測定」や、「ダブルエンド測定」や、「デュアルエンド測定」などと呼ばれる(以下、ダブルエンド方式と称する)。
ダブルエンド方式では、上記式(1)を、下記式(2)のように変更すればよい。すなわち、上記式(1)においてアンチストークス光量およびストークス光量を光ファイバ30の各位置で平均化すればよい。オフセットおよびゲインは、方端時の測定時の平均値や大きい方の値を用いたり、新たに較正したりするなどで設定することができる。
温度=ゲイン/{オフセット−2×ln(平均アンチストークス光量/平均ストークス光量}} (2)
図4は、ダブルエンド方式の詳細な手続きを表す。「01S」は、第1端から光パルスを入射した場合(0→L)のストークス成分を示す。「01A」は、第1端から光パルスを入射した場合(0→L)のアンチストークス成分を示す。「02S」は、第2端から光パルスを入射した場合(L→0)のストークス成分を示す。「02A」は、第2端から光パルスを入射した場合(L→0)のアンチストークス成分を示す。なお、「02S」および「02A」は、第2端から光パルスを入射した場合に検出される光強度「02S´」および「02A´」を、経過時間に対して反転させることによって得ることができる。この反転によって、位置を統一することができる。
図5は、ダブルエンド方式の利点を表す。経路中に過大な曲げが発生すると伝送損失が発生し、当該地点で光強度が急峻に低下する。光強度が急峻に低下すると、ストークス成分とアンチストークス成分との比が変わり、上記式(2)で算出される温度は通常、低下する方向にずれる。ダブルエンド方式でない方端方式(以下、シングルエンド方式と称する)では、第1端(0メートル)側から第2端(Lメートル)側にパルスが伝搬する場合は、曲げ損失点から第2端側において、同一印加温度に対する出力温度が低下する。一方、第2端(Lメートル)側から第1端(0メートル)側にパルスが伝搬する場合は、曲げ損失点から第1端側において、同一印加温度に対する出力温度が低下する。
例えば、較正用の測温抵抗体などを用いて、第1端または第2端の温度を較正することができる。ところで、シングルエンド方式では、較正された箇所よりも遠方で値のずれが生じるおそれがある。これに対して、ダブルエンド方式では、平均を取ることで、以下のメリットが得られる。(1)曲げ損失点前後の急峻な変化を打ち消すことができる、つまり、損失の長さ方向の変化を解消できる。(2)シングルエンド方式の測温抵抗体で較正された各始端温度とダブルエンド方式の同じ位置の温度は変わらないはずであるから、そうなるようにゲインやオフセット値を再較正できる。
現在流通している光ファイバは性能が向上して屈折率の不均一等はないものの、各対象への敷設で曲げや引張、コネクタ接続などにより異なる大きさの伝送損失が発生することがある。したがって、シングルエンド方式では正確な温度を測定するには、各損失発生後の区間にそれぞれ独自の較正値を付与することが好ましい。しかしながら、測定最中に発生した損失に対する補償はできないが、ダブルエンド方式では伝送損失の発生は使用長さに影響するので好ましくないものの、正確な測定が出来ないか否かを心配しなくてもよい。
続いて、光ファイバにおける温度測定対象区間長と、ラマン散乱光から得られる測定温度との関係を例示する。図6は、室温約24℃時に光ファイバ30の一部区間を約55℃のお湯に浸漬した場合の応答例を示す。0.5mから10.5mまで浸漬長を長くしていく場合に、約2m以上で、ピーク温度がお湯と同じ55℃となる。したがって、正確な温度を測定するためには、温度測定対象区間を長くすることが好ましい。
正確な湯温から正確な室温を差し引いた温度を光ファイバ30への印加温度とすると、測定系の感度は下記式(3)で定義される。
感度=(お湯浸漬位置のピーク温度−浸漬位置前後のファイバで測定した室温)/印加温度×100(%) (3)
図6および上記式(3)から得られる結果を図7に示す。図7で例示するように、わずかにオーバーシュートが見られる。これは、後述するように、システムのインパルス応答がガウシアンではなく、sinc関数に近い負の成分および高次のピークを持つ波形のためである。感度100%となる、もしくはみなせる最小長さを最小加熱長と称する。
図6によれば、一定温度区間内に高温印加区間(=お湯浸漬区間)を設けた際の温度は、単一方形波に対してインパルス応答を畳み込んだものと等価とみなすことができる。それにより、システムのインパルス応答が求まる。図8は、求めたインパルス応答の典型例を例示する。後方ラマン散乱光を用いた光ファイバの温度測定においては、図8で例示するように、インパルス応答はsinc関数に中心から離れた位置がきれいに減衰するような窓関数処理をした波形とみなせる。図7の感度曲線のオーバーシュートは、このインパルス応答波形に起因して生ずる。光ファイバ30の長さ方向に沿った印加温度分布に対してこのインパルス応答を畳み込めば、ほぼ正確な出力予測が出来る。
図9(a)〜図9(c)は、各浸漬長に対してインパルス応答から推定した出力波形と、実際に得られた出力波形との比較を例示する図である。図9(a)〜図9(c)で例示するように、出力波形はほぼ正確に予測できている。図9(a)の3.25mの浸漬ではインパルス応答の畳込どうしが干渉したことでピークが平坦化している。
そこで、図10には、2つの20cmの高温印加区間に対して、中央に印加しない区間を設け(つまり、お湯の浸漬でいえば空気中に出すということ)、その区間の幅を徐々に変化させたときの出力波形の計算値を例示する。ピーク温度を1とし、基準温度を0として規格化している。図10で例示するように、1.2〜1.4mの区間が空くと高温印加区間は2つある、とみなすことができる。これは、図8で例示したインパルス応答波形の拡がりによる干渉の結果である。高温印加区間が2つとみなせるのは、図10のインパルス応答の半値幅以上に離間した場合である。明確に離間したと判定するためには、勾配が逆転する0次成分幅の半値以上が好ましい。図10において、中央の非加熱区間の最低温度が基準温度と等しくなる、つまり、インパルス応答波形の干渉が無視できるようになるのは、図10から、2つの高温印加区間の間隔が1次ピーク間幅よりも大きく、たとえば1次成分幅程度になった場合である。
したがって、現在着目している光ファイバ位置で伝達関数の作用により温度が変化している、つまり、正しく温度が出力されている、と判断するには、その位置を中心にして、0次成分幅以上、かつ、1次成分幅以下の範囲の温度変化に着目することが好ましい。光パルスは、波長拡がりや入射画角、散乱などの影響で徐々に拡がってかつ減衰しながら伝搬される。そのため、インパルス応答は、光ファイバ30の仕様に記載された最大使用長のファイバを接続したときの中央位置で測定・算出したものとすることが好ましく、または近端と中央、遠端の3か所の平均とするなどで対応することが好ましい。
より高精度に温度を測定するためには、たとえば図9(a)〜図9(c)で例示するような畳み込みと出力データとの比較が問題ない程度の差異である範囲は同じとみなせる複数の区間を定め、各区間の中心位置で測定・算出して保存しておき、それぞれの区間ごとにそれぞれ保存したインパルス応答を用いる、などとすることが好ましい。時間の経過とともに、インパルス応答波形はレーザの劣化等により僅かに変化するため、さらに高精度に温度を測定するためには、一定期間ごとにインパルス応答を初回取得と同じ位置で較正することが好ましい。
図11は、後方ラマン散乱光検出によって得た片端からパルスを入射した場合の温度分布の一例を示す。図11では、図1で例示した第1端(0メートル)から入射した場合の波形と、第2端(Lメートル)から入射した場合の波形とが重ねて例示してある。第1端から入射した場合には、第1端近傍においては測定温度のばらつきが小さく、第2端に向けて測定温度のばらつきが大きくなる。一方、第2端から入射した場合には、第2端近傍においては測定温度のばらつきが小さく、第1端に向けて測定温度のばらつきが大きくなる。温度変化の大きい3000m近傍は、清掃が不十分なコネクタ接続位置であり、4900m地点はお湯に浸漬した箇所である。この例では光ファイバ30が複数のボビンに巻かれて経路が構成され、かつ、それらの平均温度が微妙に異なるために、複数の段差が生じている。図11によれば、光源から離れるほど、ばらつきが大きくなっており、測定精度が低下していることがわかる。
図12は、図11の両端から入射した2つの信号のストークス成分およびアンチストークス成分をそれぞれ平均化(平均値を算出)して温度を算出したものである。平均化により、端点の測定精度の低下は図11よりも緩和されたが、良好な側の端点には及ばない。図13は、測定精度を定量的に例示する。それぞれ温度変化のない平坦部3か所各100mの値を用いて算出した標準偏差3σの値である。平均(ループ式)は0(m)から入射した場合の値とL(m)から入射した場合の値の平均値となっていることが確認できる。
後方ラマン散乱光検出による光ファイバを用いた温度測定は、トンネルや石炭ベルトコンベアの火災異常検知等に用いられる。火災検知は±6℃でも問題はないが、たとえば、±1℃を必要とする場合、測定時間を(6÷1)=36倍掛ければよい。たとえば、図13の測定精度が20秒で得られるレベルの機器ならば12分、1分間で得られるレベルの機器ならば36分を掛けて測定することで、±1℃を得るが、リアルタイムに該当する時間ではなく、用途は限定される。より幅広い分野に活用するには、高価な光源やフィルタ、回路等の部品を使用せずに、後処理によって測定精度を向上させることが好ましい。
ノイズ低減のための後処理としては、必要な信号帯域以外は低域高域(および中域)ともにカットしてしまうバンドパスフィルタや、ノイズモデルを設計し、それを基に有効な信号帯域を抽出する適応フィルタなどの適用がある。ここで、図14に、図11から抽出したノイズの少ないLメートル側片端のお湯への浸漬区画の温度分布と、図12から抽出した200m近傍の平坦温度部を重ねて例示する。平坦温度部の温度の振れはノイズによるものである。
これらのデータは、FFT(高速フーリエ変換)時のエイリアシングの影響を最小化するため信号の両側を減衰させている。波形の非線形は、サンプリングが約50cm間隔であることに拠る。これら2つの波形のパワースペクトルを図15に例示する。図15で例示するように、ノイズと信号成分の帯域は重複している。つまり、いかなるフィルタ処理でもノイズの抑圧とともに信号成分も減衰してしまう。お湯の温度と浸漬長が既知ならば良好なノイズ圧縮が可能だが、光ファイバに付与される温度分布のパターンはあらかじめ定まるものではない。後方ラマン散乱光検出による光ファイバの温度測定において、ダブルエンド方式の測定を行った際には、上記の通り、中央近傍に比べて光源に近い端部の測定精度が悪い問題に加えて、その緩和のためになんらかのフィルタ処理を加えようとしても、信号成分自体の減衰も避けられないという問題がある。
図16に図9(a)〜図9(c)で例示した温度分布を算出する元信号であるストークス成分およびアンチストークス成分を例示する。図16においては、第1端に光パルスを入射する場合のストークス成分「01S」、アンチストークス成分「01A」、第2端に光パルスを入射する場合のストークス成分「02S」、アンチストークス成分「02A」が例示されている。前述したように、温度は上記式(1)で算出される。ln( )内の2つの光量が温度のノイズに起因するものになる。
図16によれば、近端側ではストークス成分およびアンチストークス成分ともにノイズは小さいが、遠端になると、アンチストークス成分のノイズが特に大きくなる。つまり、ノイズ低減のためには、遠端のアンチストークス成分のノイズが低減できる方法に着目することが好ましい。そこで、本実施形態においては、ダブルエンド方式であることと、ストークス成分とアンチストークス成分との変化の関係を利用することとする。
図17は、お湯の浸漬位置における第1端(0メートル)片端から光パルスを入射した場合のストークス成分およびアンチストークス成分を例示する。図17で例示するように、どちらの信号も温度が変化している箇所では、変化を示しており、その他の箇所では光伝搬に伴って減衰している。温度が変化する、ということは、ストークス成分とアンチストークス成分とが長さ方向に同期して変化するということである。つまり、その同期の範囲を限定できれば、その他の領域は光源側の隣接するファイバ位置の温度に対して変化していない、もしくは、なだらかに傾きが変わっているだけ、と考えることができる。
そこで、図6〜8で説明した最小加熱長に着目することができる。後方ラマン散乱光の検出による光ファイバ温度測定は、一定区間内はほぼ同じ最小加熱長応答を示すとしてもよい。最小加熱長のファイバを一定温度周囲よりも加熱すると、図6のインパルス応答とほぼ同じ波形が得られる。その、周囲に影響を及ぼす範囲(干渉範囲)は、前述のとおり、勾配が逆転する0次成分幅以上、かつ、振幅がほぼゼロに減衰する1次成分幅以下の範囲に着目することが好ましい。
図18は、温度測定装置100が温度測定を行う場合に実行するフローチャートの一例である。まず、一例として、出荷前のダブルエンド方式における光ファイバ30の長さ方向の測定精度分布もしくは機種の代表機のダブルエンド方式における光ファイバ30の長さ方向の測定精度分布に基づき、光ファイバ30を、0メートル(第1端)近傍の測定精度が劣る第1区間、中央の第2区間、Lメートル(第2端)近傍の測定精度が劣る第3区間に均等に分ける。補正部23は、3つの各区間について図18のフローチャートを実行する。
まず、補正部23は、着目している光ファイバの区間が光ファイバ30の総長の1/3以下の第1区間であるか否かを判定する(ステップS1)。ステップS1で「Yes」と判定された場合、補正部23は、第1区間の各サンプル点を中心として、最小加熱長応答波形の0次成分幅以上かつ1次成分幅以下に設定した所定の範囲の相関の大きさを求める。サンプル点とは、光ファイバ30の長さ方向における温度測定対象点である。
次に、補正部23は、02Sおよび02Aを処理対象とし、01Sおよび01Aを処理目標として4種類の相関の大きさを求める。補正部23は、02Sと01Sとの相関および02Sと01Aとの相関のうち、たとえば、小さい方の相関の大きさα_02Sを選択する(ステップS2)。次に、補正部23は、02Aと01Sとの相関および02Aと01Aとの相関のうち、たとえば小さい方の相関の大きさα_02Aを選択する(ステップS3)。図19は、ステップS2およびステップS3の詳細を例示する。
次に、補正部23は、それぞれの相関の大きさが大きければ大きいほど、現在着目している位置を中心とした平均化範囲が小さくなるように、平均化区間を設定する。例えば、補正部23は、平均化範囲の片側を、1/α_02Aおよび1/α_02Sを四捨五入して得た整数サンプル分とする(ステップS4)。次に、補正部23は、02Sおよび02Aをサンプル点ごとに決定した平均化範囲で平均した後、各サンプル点で、01Sと02Sとを平均化してストークス成分とし、02Aと01Aとを平均化してアンチストークス成分とし、温度を算出する(ステップS5)。01Sおよび01Aは処理目標なので、特に変換を行わない。
ステップS1で「No」と判定された場合、補正部23は、着目している光ファイバの区間が光ファイバ30の総長の2/3以上の第3区間であるか否かを判定する(ステップS6)。第3区間では、02Sが01Sに相当し、02Aが01Aに相当する。そこで、ステップS6で「Yes」と判定された場合、補正部23は、02Sと01Sとを入れ替え、02Aと01Aとを入れ替え、ステップS2〜ステップS4と同様の処理を行う(ステップS7)。したがって、補正部23は、01Sに対して求める2つの相関の大きさのうち小さい方の相関の大きさα_01Sを選択し、02Aに対して求める2つの相関の大きさのうち小さい方の相関の大きさα_01Aを選択し、平均化範囲の片側を1/α_01Aおよび1/α_01Sを四捨五入して得た整数サンプル分とする。次に、補正部23は、01Sおよび01Aをサンプル点ごとに決定した平均化範囲で平均した後、各サンプル点で、01Sと02Sとを平均化してストークス成分とし、02Aと01Aとを平均化してアンチストークス成分とし、温度を算出する。02Sおよび02Aは処理目標なので、特に変換を行わない。ステップS6で「No」と判定された場合、補正部23は、各サンプル点で、01Sと02Sとを平均化してストークス成分とし、02Aと01Aとを平均化してアンチストークス成分とし、温度を算出する(ステップS8)。つまり、1/3から2/3までの区間は平均化処理を行わない、通常のダブルエンド方式における温度の算出方法となる。
以上の処理により、ノイズが少なく信頼性の値を相対的に重み付けすることになり、ノイズを除去することができる。なお、ステップS2およびステップS3でいずれか小さい方を用いたが、大きい方であってもよく、平均を用いてもよい。小さい方にするということは、確実に温度変化と見られるもの以外のデータを平均化することであり、大きい方を用いるということは、ノイズに埋もれたわずかな変化のデータも可能な限り除去しないというものである。
相関の大きさの求め方はさまざまであるが、たとえば、Pearsonの積率相関係数を用いることができる。02Aと01Sの場合のPearsonの積率相関係数式を下記式(4)で表す。
相関係数α=(指定範囲の01Sと同範囲の02Aの共分散)/(同範囲の01Sの標準偏差)/(同範囲の02Aの標準偏差) (4)
光ファイバ30のサンプル位置kを中心としたPearsonの積率相関係数をα[k]、01Sの配列を01S[k]、02Aの配列を02A[k]、指定範囲のサンプル数をn、01S[k]の指定範囲平均を01Save、02A[k]の指定範囲平均を02Aaveとすると、上記式(4)は具体的に、下記式(5)のように表すことができる。
Figure 0006384602
別の例として、変形のSpearmanの順位相関係数を用いる場合には、まず、指定範囲(上記式(5)ではn)内の01Sおよび02Aの、そのn個の中での順位付を行い、その順位どうしについて、Pearsonの積率相関係数を使うものである。同一順位がある場合は、補正式を使用するが、通常、ストークス成分およびアンチストークス成分に関しては、同一順位の発生はほぼ皆無であるため、最初に出現した方を上位とするという処理でよい。
たとえば、図6のインパルス応答で示される区間に上記条件に合致する範囲として±3.6mを設定し、図16のデータに対してPearsonの積率相関係数とSpearmanの順位相関係数の比較を図20に例示する。一般的に、Pearsonの積率相関係数は1もしくは−1のときを完全な相関、以下絶対値で0.7以上1未満を高い相関、0.4以上0.7未満を相関、0.2以上0.4未満を低い相関、0.2以下を相関無し、として扱う。しかしながら、相関無しの0.2以下の領域ではSpearmanの方がより傾きが変化してしまうものの、低い相関範囲の0.3以上の値ではほぼ1:1となっており、図16に対しては同等の結果をもたらす。規格化されていれば自作してもよいし、その他の相関係数を用いてももちろん構わない。
なお、図18では相関係数の大きさの逆数を平均化範囲の指標としたが、必ずしも逆数を用いなくてもよい。相関係数が大きいほど平均化範囲を相対的に狭くし、相関係数が小さいほど平均化範囲を相対的に大きくすればよい。
図21は、温度測定部22が測定した温度を補正部23が補正する際に実行するフローチャートの他の例である。図21で例示するように、補正部23は、図18のステップS1〜ステップS3と同様のステップS11〜ステップS13を実行する。次に、補正部23は、相関の大きさα_02Sおよびα_02Aについて、ステップS14〜ステップS18を実行する。以下に、ステップS14〜ステップS18の詳細について説明する。相関の大きさα_02Sおよびα_02Aについて、α_と略して説明する。
補正部23は、相関の大きさα_が第1閾値以下(例えば0.2以下)であるか否かを判定する(ステップS14)。ステップS14で「Yes」と判定された場合、温度測定部22は、着目しているサンプル点の平均化範囲を平均化上限値まで広げる(ステップS15)。平均化上限値は、例えば、片側6サンプルの計11サンプルとすることができる。ステップS14で「No」と判定された場合、補正部23は、温度測定部22は、相関係数αがステップS14の第1閾値よりも大きい第2閾値(例えば0.55)以上であるか否かを判定する(ステップS16)。ステップS16で「Yes」と判定された場合、補正部23は、平均化範囲を1とする(ステップS17)。ステップS16で「No」と判定された場合、温度測定部22は、平均化範囲を、片側について、1/αの四捨五入した整数サンプル分とする(ステップS18)。ステップS15、ステップS17またはステップS18の実行後、図18のステップS5と同様のステップS19が実行される。この処理では、相関係数が所定の第2閾値以上である場合には、平均化が行われないことになる。
ステップS11で「No」と判定された場合、図18のステップS6〜ステップS8と同様のステップS20〜ステップS22が実行される。すなわち、ステップS20で「Yes」と判定された場合、相関の大きさα_01Sおよびα_01Aに対して、第1閾値および第2閾値を用いて平均化範囲が決定されて温度を算出し、ステップS20で「No」と判定された場合は、通常のダブルエンド方式の温度の算出方法を行うものである。
図22は、温度測定部22が測定した温度を補正部23が補正する際に実行するフローチャートの他の例である。図22が図21と異なる点について説明する。まず、光ファイバ30の長さ方向の測定精度分布に基づき、光ファイバ30を、0メートル(第1端)近傍の測定精度が劣る第1区間、中央の第3区間、Lメートル(第2端)近傍の測定精度が劣る第5区間、第1区間と第3区間との間の第2区間、第3区間と第5区間との間の第4区間に均等に分ける。補正部23は、5つの各区間について図22のフローチャートを実行する。
まず、補正部23は、着目している光ファイバの区間が光ファイバ30の総長の1/5以下の第1区間であるか否かを判定する(ステップS31)。ステップS31で「Yes」と判定された場合、補正部23は、ステップS12〜ステップS19と同様の処理のステップS32〜ステップS39を実行する。
ステップS31で「No」と判定された場合、補正部23は、着目している光ファイバの区間が光ファイバ30の総長の4/5以上であるか否かを判定する(ステップS40)。ステップS40で「Yes」と判定された場合、ステップS32〜S39と同様の処理を、02Sと01Sとを置き換え、02Aと01Aとを置き換えた後に実行する(ステップS41)。ただし、相関係数に対する閾値や平均化上限値として異なる値を用いてもよい。
ステップS40で「No」と判定された場合、補正部23は、着目している区間が光ファイバ30の総長の2/5以下もしくは3/5以上であるか否かを判定する(ステップS42)。ステップS42で「Yes」であり、かつ総長の2/5以下である場合、ステップS32〜ステップS39と同様の処理を実行する。ただし、相関係数に対する閾値や平均化上限値として異なる値を用いる、もしくは用いてもよい、ステップS42で「Yes」であり、かつ総長の3/5以上である場合、ステップS41と同様の処理を実行する。ただし、相関係数に対する閾値や平均化上限値として異なる値を用いる、もしくは用いてもよい。それにより、区間毎に変化する最小加熱長に対する補正を行うことができる。ステップS42で「No」と判定された場合、ステップS22と同様のステップS44が実行される。
なお、図18、図21および図22では、所定の範囲を最小加熱長の1次成分幅以下とした。これは、それを超えると平均化信号が隣接信号のクロストークの影響を大きく受ける可能性が高くなることに起因する。なお、たとえば、得られた相関係数が−1の場合は通常完全な相関に分類されるが、本願では、ノイズとして扱う。なぜならば、たとえば、温度上昇の場合、ストークスもアンチストークスも上に凸になり、温度低下の場合は両者とも下に凸になる。この場合、アンチストークスがストークスの成分を上下反転させたような形状になることはなく、そのような場合は通常、ノイズ状態か、もしくは、接続不良のコネクタや、屈折率差の大きいファイバどうしを融着やコネクタ接続するときのみであるためである。
図18、図21および図22では区画の分割を3または5としたが、たとえば中心で分割した2区画や、その各区画をさらに半分にした4区画、さらにその半分の8区画などでも構わない。その場合は、01S、01A、02S、および02Aがすべて処理なしで温度が算出される中央区間がなくなるだけである。
本実施形態によれば、ダブルエンド方式を用い、第2端に光パルスを入射する場合に第1端側の一部の領域のサンプル点を含む所定領域における02Sと01Sとの相関係数および02Sと01Aとの相関係数のうち少なくともいずれか一方に応じた平均化区間において02Sが平均化される。この場合、02Sのノイズが低減される。さらに、上記所定領域における02Aと01Sとの相関係数および02Aと01Aとの相関係数のうち少なくともいずれか一方に応じた平均化区間において02Aが平均化される。この場合、02Aのノイズが低減される。これら平均化された02Sおよび02Aを用いることにより、測定される温度を補正することができる。第1端に光パルスを入射する場合に第2端側の一部の領域のサンプル点を含む所定領域における01Sと02Sとの相関係数および01Sと02Aとの相関係数のうち少なくともいずれか一方に応じた平均化区間において01Sが平均化される。この場合、01Sのノイズが低減される。さらに、上記所定領域における01Aと02Sとの相関係数および01Aと02Aとの相関係数のうち少なくともいずれか一方に応じた平均化区間において01Aが平均化される。この場合、01Aのノイズが低減される。これら平均化された01Sおよび01Aを用いることにより、測定される温度を補正することができる。なお、02Aを平均化する場合、01Sと01Aは、光スイッチ13によるスイッチに関して02Aの直前の成分であることが好ましいが、直前に限らず02Aよりも前の成分であってもよい。または、02Aよりも後の成分であってもよい。01Aを平均化する場合、02Sと02Aは、光スイッチ13によるスイッチに関して01Aの直前の成分であることが好ましいが、直前に限らず01Aよりも前の成分であってもよい。または01Aよりも後の成分であってもよい。
また、上記実施形態においては、平均化範囲においてストークス成分およびアンチストークス成分の平均値を求めているが、当該範囲においてデータのばらつきが抑制されていればよい。そこで、重み付けを考慮した相加平均や、相乗平均、調和平均などの他の平均を用いてもよい。また、01Sと02Sとの平均値および01Aと02Aとの平均値を求める場合に、重み付けを考慮した相加平均を用いてもよい。
なお、所定のサンプル点を含む所定領域におけるストークス成分とアンチストークス成分との相関の大きさに応じた平滑化範囲においてストークス成分およびアンチストークス成分を平滑化した上で上記の平均化処理を行ってもよい。この場合、測定される温度を補正することができる。例えば、上記相関が小さくなる場合にはノイズが大きく現れることから、両成分を平滑化することが好ましい。この場合、ノイズを低減することができる。また、上記相関が小さいほど平滑化の区間が長くなることが好ましい。この場合、よりノイズが低減される。平滑化区間の長さに上限を定めることが好ましい。この場合、平滑化区間の冗長が抑制され、温度測定精度低下が抑制される。なお、上記相関が小さいことは当該サンプル点周辺において温度変化が小さいことを意味するため、平滑化を行っても測定温度精度の低下は抑制される。一方、上記相関が大きくなる場合には、平滑化区間が短くなる、または補正されない。上記相関が大きい場合には当該サンプル点周辺において温度変化が大きいため、ノイズの影響が小さい。それにより、測定された温度の精度を維持することができる。ただし、図18、図21および図22の処理において、アンチストークス成分同士の相関係数が高い場合には、平滑化処理を行わないことが好ましい。アンチストークス成分は小さいため、平滑化によって検出が困難になるためである。この処理を図23で説明する。
図23は、温度測定装置100が温度測定を行う場合に実行するフローチャートの他の例である。補正部23は、図18のステップS3で01Aと02Aとの相関係数が閾値以下であるか否かを判定する(S51)。ステップS51で「No」と判定された場合、01Aと02Aとの相関が高いことになるため、フローチャートが終了する。それにより、アンチストークス成分の平滑化が行われず、図18、図21および図22の処理の精度が維持される。
ステップS51で「Yes」と判定された場合、補正部23は、サンプル点を含み、最小加熱長応答波形の0次成分幅以上かつ1次成分幅以下の所定領域(指定範囲)のストークス成分とアンチストークス成分との相関の大きさαを、サンプル点ごとに求める(ステップS52)。ここでのサンプル点は、光ファイバ30の長さ方向における全ての温度測定対象点である。
次に、補正部23は、相関係数αが閾値以下(例えば0.2以下)であるか否かを判定する(ステップS53)。ステップS53で「Yes」と判定された場合、補正部23は、着目しているサンプル点の平滑化範囲を平滑化上限値まで広げる(ステップ54)。平滑化上限値は、例えば、サンプル点を基準にして片側6サンプルの計11サンプルとすることができる。ステップS53で「No」と判定された場合、補正部23は、平滑化範囲を、片側について、1/αの四捨五入した整数サンプル分とする(ステップS55)。ステップS54またはステップS55の実行後、補正部23は、決定した平滑化範囲においてストークス成分およびアンチストークスをそれぞれ平滑化する(ステップS56)。具体的には、01Aと01Sとの相関係数の大きさから決定した平滑化範囲で01Aおよび01Sのどちらも平滑化し、02Aと02Sとの相関係数の大きさから決定した平滑化範囲で02Aと02Sのどちらも平滑化するものである。なお、相関係数αが1または1に近い値であれば、平滑化範囲が1となって、平滑化は行われない。図23の平滑化処理は、図18、図21および図22の他の領域におけるアンチストークス成分同士の相関係数が閾値以下の場合に行わないとしてもよい。
(他の適用例)
上記実施形態に係る温度測定装置100は、様々な温度測定対象に適用することができる。例えば、図24で例示するように、高温高圧の原料輸送配管の枝配管に光ファイバを敷設することが考えられる。このような高温高圧の配管では、ラッキング材および外側金属板により保温・保護がなされているため、接続継手部の腐食により漏洩が発生しても、火災事故等につながる甚大な状況にまで至らないと発見されない場合が多い。そこで、光ファイバの接続継手部に巻きつけておき、各光ファイバ位置の温度どうしの変化の相関関係を比較することで外気温や内部の温度・圧力が変化した場合でも正確に接続部の漏洩の有無を早期に検知することができる。各光ファイバ位置の温度どうしの相関関係を比較する手段として、各光ファイバ位置の温度を要素として分散共分散行列を生成し、マハラノビス距離やMSD法といった手法で外れ値検定を行う方法がある。
図25は、一本の光ファイバで製作した多数の捲回部による通過空気温度の測定方法への適用を例示する。各捲回部は、ほぼ同一の直径で数周同一箇所に巻きつけられて隣接捲回部と接続されている。上記実施形態に係る測定機10および制御部20を用いて捲回部のそれぞれの平均温度を取得して各捲回部の中心位置座標の代表温度としてグラデーションを生成すれば、どのような温度分布の風が、ファイバが敷設されたシート・枠内を通過しているかを測定することができる。各捲回部に巻きつける周回数を増やせば増やすほど、平均される測定点数が増加して見かけの測定精度は向上するので、短時間の測定で所望の測定精度が得られる。なお、光ファイバ長を短くすることで、入射パルスの減衰が小さくなるので、測定精度が向上する。より短時間の測定で所望の測定精度を得るには、出力される温度データ自体が高精度であることが要求される。上記実施形態を適用すれば、この要求を実現することができる。
図26(a)および図26(b)は、耐熱ファイバを用いて製作した捲回部を多数連結したファイバネットを溶融炉の表面に敷設した例を例示する。各ファイバネットは接続されるが、端部の2枚のネットの入口端と出口端のファイバは測定機10および制御部20に接続されて、ダブルエンド方式の測定を行う構成となっている。各ネット1〜3の位置と温度分布の関係を図26(b)で例示する2次元グラデーション表示にし、溶融炉の基準方位に対して各ネットの方位に相当する位置に生成した2次元グラデーションをはめ込むことで溶融炉の表面温度状態をわかりやすく可視化できる。閾値を設けて突発的な温度変化異常を管理する場合においても、図24の適用例と同様に、各ネットの捲回部どうしの温度変化の相対的な関係の時間推移を用いてマハラノビス距離の変化やMSD法で算出した値の変化から異常の予兆を分析する場合においても、温度測定を高精度で行うことができる。
図27(a)および図27(b)は、データセンターのサーバラックの上部に一直線に敷設した光ファイバを用いて空調管理を行うシステムへの適用を例示する。ハウジングサービスを主とするデータセンターの場合、サーバラックに対して敷設が許諾されないことがある。そこで、図27(a)および図27(b)で例示するように、サーバラックの吸気面上部などに光ファイバを一直線もしくは一定程度排気面側に蛇行するなどの方法で敷設する。そして、あらかじめラック部の温度を何らかの方法で測定しておき、敷設した光ファイバで見て、何度の余裕があるかを対応付けて各ラックの上部に相当する光ファイバの各長さにそれぞれ警報の閾値を設定する。通常、サーバラックは60cmもしくは70cm程度のものが一般的であるため、たとえばデータのサンプリング間隔が50cmの場合、測定点数は1点乃至2点のみであるため、ダブルエンド方式の測定レベルの測定精度が必要である。上記実施形態を適用することによって、高精度で温度測定が可能となる。閾値を超えるかもしくは越えそうになった場合に、空調を強めて余裕度を上げることができる制御が可能となり、省エネと安全が両立できる。
図28は、ビニールハウス内での高級果物などの栽培及び盗難防止への適用を例示する。図28の例は、たとえばクラウンメロンの栽培を前提としたものである。土中温度、周囲環境温度、果物温度などを測定するための光ファイバを設置し、さらに、乾湿計と同様の原理を利用した湿度管理用の光ファイバを設置し、ラマン散乱を用いて温度および湿度を測定することができる。ここで盗難者がメロンを盗難してメロンを引っ張ると、土中の光ファイバが引き抜かれ、温度が急峻に変化する。それをもって、盗難が発生していると警報を所有者に通知することができる。急峻な温度変化を確実に測定するには、システムの測定精度が良好であることが求められる。また、各温度の時間推移を詳細に管理して積分値管理を行い、良好な育成を行おうとすれば、同様にシステムの測定精度が良好であることを求められる。上記実施形態を用いることで、この要求を実現することができる。
上記実施形態に従い、具体的な実施例について説明する。図11〜図17に対して、図21の処理を行った。ただし、区間は3分割ではなく、中央2分割であり、ストークス成分およびアンチストークス成分を処理なしに平均化する場合は生じない。また、α_に関する第2閾値として0.6を採用した。図29(a)〜(d)に結果を例示する。
図29(a)〜図29(d)は算出結果を例示する。図29(a)は01Sおよび01Aについて、処理前後の比較である。図29(a)で例示するように、処理前には遠端側でばらつきが見られたものの、処理後にはばらつきが抑制された。図29(b)は、お湯に浸漬した領域近傍を拡大したものである。図29(b)で例示するように、特にアンチストークス成分について、処理前のばらつきが処理後には大きく抑制された。図29(c)は、02Sおよび02Aについて、処理前後の比較である。図29(c)で例示するように、遠端である0(m)近傍でばらつきが見られたものの、処理後にはばらつきが抑制された。図29(d)は、お湯に浸漬した領域の拡大図である。図29(d)で例示するように、図29(b)と比べるとわずかに改善しているが、ほぼ処理なしに近い。これは、近端のため、ノイズ成分が小さいためである。
図30および図31は、図21のフローチャートに基づいて決定した片側平均化要素数の関係を示している。図31は、図30の一部拡大図である。この平均化要素数に基づき、今着目している地点のストークス成分およびアンチストークス成分が平均化処理される。ただし、図21との違いとして、もう一つ、本実施例では、上限値を(現在の自分の位置を含めて)5としているので、最大の平均化要素数は9になっている。
図31を図29(a)〜図29(d)と比較すると、温度変化が生じてストークス成分およびアンチストークス成分の両方に変化がある場合は相関係数が最大となる1に近づき、逆に平均化要素数は最小となる1になっていることがわかる。図29(a)〜図29(d)、図30および図31からダブルエンド方式の測定の温度を算出したものが図32および図33である。算出には、上記式(2)を用いた。図32およびお湯に浸漬した部分拡大図である図33によれば、温度変化の成分が失われることなく、雑音成分が抑圧されていることがわかる。
図32および図33の温度は、上記式(2)で算出した。相関係数が1である位置では平均化要素数が1となるため、処理前後の温度は変わらない。そこで、処理後に使用するゲインとオフセット値は処理前に使用するものと同じものとする必要があるため、下記式(6)で表される。
処理後温度=ゲイン/{オフセット−2×ln(処理後平均アンチストークス光量/処理後平均ストークス光量)} (6)
図34は、処理前後の温度分布の定量的な比較を示す。温度変化位置ではいずれの場合も処理前後で変化がないため、平坦部での標準偏差値3σを比較する。図34で例示するように、29%〜76%のノイズ抑圧が達成されている。29%が得られたのは、もともとの測定精度が±2℃以下の場合である。70%以上が得られたのは、もともとの測定精度が±5℃以上の場合である。測定時間比較にすると、上記実施形態の処理で得られた76%の抑圧効果の場合、測定精度は4.3分の1倍になったことになる。したがって、同一の測定精度の場合、測定時間は処理前を18として、処理後が1となる程度に圧縮される。また、図11でダブルエンド方式での測定時は中央の2800m〜2900m位置の測定精度に対して100m〜200mおよび5600m〜5700mの位置は3倍であったが、上記実施形態の処理により、ほぼ均一に抑圧されていることもわかる。
実施例1とは異なる測定対象および測定周期にて得た温度分布についての具体的な実施例について説明する。適用した処理方法は実施例1とほぼ同じであるが、光ファイバ30を第1区間〜第3区間に3分割したが、区間幅比を4:2:4とした。また、α_に関する所定の第2閾値としては0.6を採用した。図35(a)〜図35(d)で結果を例示する。
図35(a)〜図35(d)は、01Sおよび01Aについて、処理前後の結果を例示する。図35(a)で例示するように、処理前には遠端側でばらつきが見られたものの、処理後にはばらつきが抑制された。図35(b)は、加熱領域近傍を拡大したものである。図35(b)で例示するように、特にアンチストークス成分について、処理前のばらつきが処理後には大きく抑制された。図35(c)は、02Sおよび02Aについて、処理前後の比較である。図35(c)で例示するように、遠端である0(m)近傍でばらつきが見られたものの、処理後にはばらつきが抑制された。図35(d)は、加熱領域の拡大図である。図35(d)で例示するように、図35(b)と比べるとわずかに改善しているが、ほぼ処理なしに近い。これは、近端のため、ノイズ成分が小さいためである。
図36および図37は、図21のフローチャートに基づいて決定した片側平均化要素数の関係を例示する。この平均化要素数に基づき、今着目している地点のストークス成分およびアンチストークス成分が平均化処理される。ただし、図21との違いとして、もう一つ、本実施例では、上限値を(現在の自分の位置を含めて)5としているので、最大の平均化要素数は9になっている。
図37を図35(a)〜図35(d)と比較すると、温度変化が生じてストークス成分およびアンチストークス成分の両方に変化がある場合は相関係数が最大となる1に近づき、逆に平均化要素数は最小となる1になっていることがわかる。
図35(a)〜図35(d)、図36および図37からダブルエンド方式の温度算出をおこなったものが図38および図39である。図38および加熱部分の拡大である図39によれば、温度変化の成分が失われることなく、雑音成分が抑圧されていることがわかる。図40は、処理前後の温度分布の定量的な比較を例示する。温度変化位置ではいずれの場合も処理前後で変化がないため、平坦部での標準偏差値3σを比較する。図40で例示するように、64%〜76%のノイズ抑圧が達成されている。中央近傍も大きな数字が達成されているのは、3区画に分けた効果と思われる。2800m〜2900mに対して300m〜400mおよび5830m〜5920mは割合としては処理前に対して改善がなされていないが、定量的には10℃前後の大きな改善であると言える。
図23の処理をあらかじめ行った01S、01A、02S、02Aに対して実施例1の処理を行ったものを実施例3とする。この、あらかじめ行った処理を、「第1処理」とし、実施例1で開示した処理を「第2処理」とする。図41は、図29(a)〜(d)に相当するものである。「第1処理」と「第2処理」を行うことで信号成分を低下させることなく、さらにばらつきが抑制されている。つまり、大きなノイズ低減効果が得られていることがわかる。図32および図33に相当するのが図42および図43である。温度分布でも温度の変化している成分を抑圧することなく、さらに大きなノイズ低減効果が得られていることが確認できた。図34に相当するのが図44である。第1、第2処理前後の温度分布の定量的な比較を行っている。図34と比較して、第2処理のみの場合、ノイズの抑圧効果は100m〜200mの位置で76%、5600m〜5700mの位置で74%であったが、それぞれ83%、81%に増加している。結果として、測定精度は±1〜±1.1℃と、どの区間でも差異のない結果を得ることができた。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。

Claims (8)

  1. 光ファイバの第1端に光が入射する場合の後方散乱光から第1ストークス成分および第1アンチストークス成分を検出し、前記光ファイバの第2端に光が入射する場合の後方散乱光から第2ストークス成分および第2アンチストークス成分を検出する検出器と、
    前記光ファイバの前記第1端側の一部の領域のサンプル点を含む所定領域において、前記第1ストークス成分および前記第1アンチストークス成分の少なくともいずれか一方と、前記第2ストークス成分との第1相関に応じて前記サンプル点を含む第1区間を算出し、前記第1ストークス成分および前記第1アンチストークス成分の少なくともいずれか一方と、前記第2アンチストークス成分との第2相関に応じて前記サンプル点を含む第2区間を算出し、前記第1区間において前記第2ストークス成分を平滑化し、前記第2区間において前記第2アンチストークス成分を平滑化する補正部と、
    平滑化後の前記第2ストークス成分、平滑化後の前記第2アンチストークス成分、前記第1ストークス成分、および前記第2ストークス成分を用いて前記サンプル点における温度を測定する測定部と、を備えることを特徴とする温度測定装置。
  2. 光源からの光を前記第1端と前記第2端とに交互に入射する光スイッチを備え、
    前記補正部は、前記光スイッチから前記第1端に前記光が入射される場合の第1ストークス成分および第1アンチストークス成分と、次に前記光スイッチから前記第2端に前記光が入射される場合の第2ストークス成分および第2アンチストークス成分を用いて前記第1区間および前記第2区間を算出することを特徴とする請求項1記載の温度測定装置。
  3. 前記補正部は、前記第1相関が小さいほど前記第1区間を長くし、前記第2相関が小さいほど前記第2区間を長くすることを特徴とする請求項1または2記載の温度測定装置。
  4. 前記補正部は、前記第1区間および前記第2区間に上限を設定することを特徴とする請求項3記載の温度測定装置。
  5. 前記補正部は、前記第1相関が閾値以上であれば前記第2ストークス成分を平滑化せず、前記第2相関が閾値以上であれば前記第2アンチストークス成分を平滑化しないことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の温度測定装置。
  6. 前記所定領域は、前記サンプル点の周囲の光ファイバを一定温度とし、前記サンプル点を中心とした最小加熱長区間に該一定温度と異なる一定の温度を付与した際に得られる温度分布の半値幅よりも大きく、1次成分幅よりも小さい領域であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の温度測定装置。
  7. 光ファイバの第1端に光が入射する場合の後方散乱光から第1ストークス成分および第1アンチストークス成分を検出し、前記光ファイバの第2端に光が入射する場合の後方散乱光から第2ストークス成分および第2アンチストークス成分を、検出器を用いて検出し、
    前記光ファイバの前記第1端側の一部の領域のサンプル点を含む所定領域において、前記第1ストークス成分および前記第1アンチストークス成分の少なくともいずれか一方と、前記第2ストークス成分との第1相関に応じて前記サンプル点を含む第1区間を算出し、前記第1ストークス成分および前記第1アンチストークス成分の少なくともいずれか一方と、前記第2アンチストークス成分との第2相関に応じて前記サンプル点を含む第2区間を算出し、前記第1区間において前記第2ストークス成分を平滑化し、前記第2区間において前記第2アンチストークス成分を平滑化し、
    平滑化後の前記第2ストークス成分、平滑化後の前記第2アンチストークス成分、前記第1ストークス成分、および前記第2ストークス成分を用いて前記サンプル点における温度を測定する、ことを特徴とする温度測定方法。
  8. コンピュータに、
    光ファイバの第1端に光が入射する場合の後方散乱光から第1ストークス成分および第1アンチストークス成分を検出し、前記光ファイバの第2端に光が入射する場合の後方散乱光から第2ストークス成分および第2アンチストークス成分を検出する処理と、
    前記光ファイバの前記第1端側の一部の領域のサンプル点を含む所定領域において、前記第1ストークス成分および前記第1アンチストークス成分の少なくともいずれか一方と、前記第2ストークス成分との第1相関に応じて前記サンプル点を含む第1区間を算出し、前記第1ストークス成分および前記第1アンチストークス成分の少なくともいずれか一方と、前記第2アンチストークス成分との第2相関に応じて前記サンプル点を含む第2区間を算出し、前記第1区間において前記第2ストークス成分を平滑化し、前記第2区間において前記第2アンチストークス成分を平滑化する処理と、
    平滑化後の前記第2ストークス成分、平滑化後の前記第2アンチストークス成分、前記第1ストークス成分、および前記第2ストークス成分を用いて前記サンプル点における温度を測定する処理と、を実行させることを特徴とする温度測定プログラム。
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