JPWO2014058009A1 - 車両用空調装置 - Google Patents

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洋 都築
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Abstract

温調機能をミックスドアに集約し、ミックスドアを利用して混合する前の空気を取り込んで下流側の吹出開口へ供給することで各吹出開口から吹出す空気の温度差を小さくする。【解決手段】温風通路12と、これをバイパスするバイパス通路11と、これらの通路を流れた空気を混合するミックス空間13と、ミックス空間からの空気をデフロスト吹出開口14及びベント吹出開口15の少なくとも一方へ導く第1吹出通路5と、ミックス空間からの空気をフット吹出開口16へ導く第2吹出通路6を有し、ミックス空間13にロータリ式のミックスドア20を配置する。このミックスドア20を、回転軸21と、この回転軸より上流側に設けられた閉塞部23と、回転軸21と閉塞部23との間に形成され、温風通路12を流れる空気の一部を第1吹出通路5側へ導く通路およびバイパス通路11を流れる空気の一部を第2吹出通路6側へ導く通路の少なくとも一方を構成する案内通路41,42を設ける。【選択図】 図1

Description

この発明は、ロータリ式ミックスドアを備えた車両用空調装置に関する。
一般的な車両用空調装置は、ケース内の空気流路に冷却用熱交換器(エバポレータ)や加熱用熱交換器(ヒータコア)を収容し、ケース内に導入された空気を冷却用熱交換器によって冷却し、この冷却された空気の一部を加熱用熱交換器でリヒートし、その後、リヒートした空気と加熱用熱交換器をバイパスした空気とを混合し、最下流側に設けられた吹出開口から車室に供給するようにしている。
吹出開口は、窓ガラスへ向けて温調空気を供給するデフロスト吹出開口や主に乗員の上半身に向けて温調空気を供給するベント吹出開口からなる上部吹出開口と、乗員の足元へ向けて温調空気を供給するフット吹出開口からなる下部吹出開口とを備える。また、加熱用熱交換器をバイパスする空気が流れる冷風通路は上部吹出開口寄りに形成され、また、加熱用熱交換器を通過する空気が流れる温風通路は下部吹出開口寄りに形成されている。この構成により、上部吹出開口には冷風を多く、下部吹出開口には温風を多く供給することができ、車室の快適性を向上することができる。
しかし、空調ケースの小型化の要請から、加熱用熱交換器の下流側にこれを通過させた空気とバイパスさせた空気とを混合させるエアミックス領域を大きく確保できない場合には、エアミックス領域において冷風と温風とを十分に混合させることができず、加熱用熱交換器をバイパスした空気の多くが、そのまま上部吹出開口へ導かれ、また、加熱用熱交換器を通過した空気の多くが、そのまま下部吹出開口へ導かれ、上部吹出開口から吹き出る空気と下部吹出開口から吹き出る空気との温度差が大きすぎてしまう不都合がある。
このような温度差が大きくなる不都合は、冷却用熱交換器を有さず、加熱用熱交換器を通過した空気と加熱用熱交換器をバイパスした空気とを、エアミックス領域を介して吹出開口から車室へ吹き出す場合にも同様に生じ得る。
このため、このような不都合を解消するために、従来においては、下記する特許文献1に示されるように、空調ケース内のエアミックス領域(混合領域)にて移動可能であり、エアミックス領域に通じる吹出開口への配風割合を調節する配風調節ダンパに、加熱用熱交換器を通過させた温風を加熱用熱交換器をバイパスさせた冷風と混合させることなく上部吹出開口へ案内する案内通路を設けた構成が提案されている。
ここで用いられる配風調節ダンパは、ロータリダンパで構成されており、このロータリダンパを、軸部とこの軸部より下流側に設けられた遮蔽部と、遮蔽部のエバポレータ側の開口端の外側に突出するように設けられた案内通路とを有して構成し、暖風の一部を案内通路に流すことで、冷風と混合させることなくベント開口側またはデフロスト開口側へ案内しようとするものである。
特開2012−121383号公報
しかしながら、上述の構成においては、配風ドアに吹出開口へ供給する空気温度を調節する機能を持たせているので、配風チューニングと温度チューニングを1つの配風調節ダンパにて行わなければならず、両機能のチューニングを両立させることが困難となる。
また、上述の配風調節ダンパは、遮蔽部が軸部より下流側に設けられ、案内通路がエバポレータ側の開口端の外側に設けられているので、温風を取り込むために温風通路に向かって案内板を延ばす必要があり、大型化する。そして、空調ケース内は、案内通路の突出分を見越して配風調整ダンパの収容スペースを確保する必要があり、空調装置の大型化を回避することができなくなる。
本発明は係る事情に鑑みてなされたものであり、ミックスドアに設けた案内通路を利用して、上部吹出開口から吹出す空気と下部吹出開口から吹出す空気の温度差を小さくできる車両用空調装置において、温調機能をミックスドアに集約して温度チューニングを容易化でき、また、ミックスドアの大型化を回避し、引いては空調装置の大型化を回避することが可能な構成を提供することを、主たる課題としている。
上記課題を達成するために、本発明にかかる車両用空調装置は、空気を導入する導入口と空気を吹き出す複数の吹出開口とを備えたケースを備え、前記ケース内に、導入された空気を加熱する加熱用熱交換器と、前記加熱用熱交換器を通過した空気が流れる温風通路と、前記加熱用熱交換器をバイパスした空気が流れるバイパス通路と、前記温風通路を流れた空気と前記バイパス通路を流れた空気を混合するミックス空間と、このミックス空間に配置され、回転軸が前記ケースに回転自在に支持されたロータリ式のミックスドアと、前記ミックス空間からの空気をデフロスト吹出開口及びベント吹出開口の少なくとも一方へ導く第1吹出通路と、前記ミックス空間からの空気をフット吹出開口へ導く第2吹出通路と、を有した車両用空調装置であって、前記温風通路、前記バイパス通路、前記第1吹出通路、前記第2吹出通路は、前記ミックス空間の周囲に、前記回転軸を囲んで、前記温風通路、前記バイパス通路、前記第1吹出通路、前記第2吹出通路の順に配置され、前記ミックスドアは、前記回転軸より上流側に設けられ、前記温風通路と前記バイパス通路の前記ミックス空間に対する開度を調整する閉塞部と、前記回転軸と前記閉塞部との間に形成され、前記温風通路側を流れる空気の一部を前記第1吹出通路側へ導く通路および前記バイパス通路側を流れる空気の一部を前記第2吹出通路側へ導く通路の少なくとも一方として構成される案内通路とを具備することを特徴としている。
したがって、ミックスドアに、温風通路とバイパス通路のミックス空間に対する開度を調整してそれぞれの通路からミックス空間へ導く空気の割合を調節する機能と、案内通路により温風通路を流れる空気の一部を第1吹出通路側へ導く通路およびバイパス通路を流れる空気の一部を第2吹出通路側へ導く通路の少なくとも一方を備えることで、吹出開口から最終的に吹き出す空気の温度を調整する機能とを併せ持たせるようにしたので、温調機能をミックスドアに集約することが可能となり、吹出し空気温度のチューニングを容易に行うことができる。
また、ミックスドアの閉塞部を回転軸の上流側に設け、回転軸と閉塞部との間に案内通路を設けたので、ミックスドアの開口端の外側に案内通路を設ける必要が無く、ミックスドアの大型化を避けることが可能となる。そして、回転軸の上流側に案内通路を設けたので、ミックス空間に流れてきた温風または冷風の一部を効果的に案内通路に取り込むことができる。
ここで、前記案内通路は、温風通路を流れる空気の一部を第1吹出通路側へ導く第1案内通路と、バイパス通路を流れる空気の一部を第2吹出通路側へ導く第2案内通路とを有するようにするとよい。
このような構成においては、バイレベルモード時やデフフットモード時に、デフロスト吹出開口及びベント吹出開口の少なくとも一方へ向かう空気の温度を相対的に上げることができ、また、フット吹出開口に向かう空気の温度を相対的に下げることができるので、各吹出開口から吹出す空気の温度差を小さくすることが可能となる。
以上の構成において、ケース内に冷却用熱交換器をさらに収容してもよい。リヒートした空気をバイレベルモードやデフフットモードで吹き出す場合に、各吹出開口から吹出す空気の温度差を効果的に小さくすることが可能となる。
ここで、前記第1案内通路と前記第2案内通路の少なくとも一方が複数設けられる場合においては、前記第1案内通路と前記第2案内通路とを、前記回転軸の軸方向に交互に配置することが好ましい。
このように回転軸の軸方向に第1案内通路と第2案内通路を交互に配置すれば、第1吹出通路側へ導く空気と第2吹出通路側へ導く空気のそれぞれが回転軸の軸方向で偏ることがなくなる。
たとえば、前記第2案内通路を、前記回転軸の軸方向における前記ミックスドアの中間部に設け、前記第1案内通路を、前記回転軸の軸方向における前記第1案内通路の両側に設ける構成とすれば、第1吹出通路側へ導く温風を回転軸の軸方向のいずれかに偏らせずに流しやすいものとなる。
以上のミックスドアにおいては、案内通路へ空気を導く導入部を更に設けることが望ましい。このような構成の採用により、案内通路への空気の積極的な導入を確保することができ、各吹出開口の温度差をより的確に抑えることができる。
特に、導入部を、ミックスドアの可動領域内に設けるようにすることで、導入部の張り出しを可動領域内に抑えることができ、空調装置の大型化を避けることが可能となる。
なお、ミックスドアの下流側にロータリ式のモードドアが設けられる場合には、このモードドアの回転軸をミックスドアの回転軸と同じ軸線上で支持するようにするとよい。
このような構成の採用により、ミックスドアの軸とモードドアの軸とを別々の位置で支持する必要がなくなるので、空調装置の小型化を図りやすいものとなる。
以上述べたように、本発明によれば、ミックス空間に、回転軸がケースに回転自在に支持されたロータリ式のミックスドアを配置し、このミックス空間に、回転軸の周方向に沿って、加熱用熱交換器を通過した空気が流れる温風通路と、加熱用熱交換器をバイパスした空気が流れるバイパス通路と、ミックス空間からの空気をデフロスト吹出開口及びベント吹出開口の少なくとも一方へ導く第1吹出通路と、ミックス空間からの空気をフット吹出開口へ導く第2吹出通路とが接続される車両用空調装置において、ミックスドアに、回転軸より上流側に設けられ、温風通路とバイパス通路の面積を調整できる閉塞部と、回転軸と閉塞部との間に形成された案内通路とを設け、この案内通路を、温風通路を流れた空気の一部を第1吹出通路側へ導く通路およびバイパス通路を流れた空気の一部を第2吹出通路側へ導く通路の少なくとも一方として構成したので、温調機能をミックスドアに集約させることが可能となり、吹き出し空気温度のチューニングを容易に行うことができる。また、ミックスドアの開口端の外側に案内通路を設ける必要が無いので、ミックスドアの大型化を避けることが可能となり、空調装置の小型化を図りやすいものとなる。そして、回転軸の上流側に案内通路を設けたので、ミックス空間に流れてきた空気の一部を効果的に案内通路に取り込むことができる。
ここで、案内通路として、温風通路を流れる空気の一部を第1吹出通路側へ導く第1案内通路と、バイパス通路を流れる空気の一部を第2吹出通路側へ導く第2案内通路とを備えることで、特に、バイレベルモード時やデフフットモード時において、デフロスト吹出開口及びベント吹出開口の少なくとも一方へ向かう空気温度を相対的に上げ、また、フット吹出開口へ向かう空気温度を相対的に下げることが可能となるので、各吹出開口から吹出す空気の温度差を効果的に小さくすることが可能となる。
このような構成は、冷却用熱交換器を具備しない車両用空調装置においても効果的な構成であるが、冷却用熱交換器を具備する車両用空調装置においても、各吹出開口から吹出す空気の温度差を効果的に小さくすることが可能となる。
また、第1案内通路と第2案内通路の少なくとも一方が複数設けられる場合には、第1案内通路と第2案内通路とを回転軸の軸方向に交互に配置することで、第1吹出通路へ導く空気と第2吹出通路へ導く空気のそれぞれを回転軸の軸方向で偏らせることがなくなる。
たとえば、第2案内通路を、前記回転軸の軸方向における前記ミックスドアの中間部に設け、第1案内通路を、前記回転軸の軸方向における前記第2案内通路の両側に設ける構成とすれば、第1吹出通路側へ導く温風を回転軸の軸方向のいずれかに偏らせずに流すことが可能となる。
また、案内通路に空気を導く導入部を設けることで、案内通路への空気の積極的な導入を確保することができ、デフロスト吹出開口やベント吹出開口から吹出す空気とフット吹出開口から吹出す空気の温度差を的確に抑えることが可能となる。
特に、導入部を、ミックスドアの可動領域内に設けるようにすることで、導入部の張り出しをミックスドアの可動領域内に抑えることができ、空調装置の大型化を避けることが可能となる。
なお、ミックスドアの下流側にロータリ式のモードドアが設けられる場合には、このモードドアの回転軸をミックスドアの回転軸と同じ軸線上で支持することで、空調装置の小型化を図りやすいものとなる。
図1は、本発明に係る車両用空調装置の全体構成例を示す図である。 図2は、本発明に係る車両用空調装置のケースの一部を除去して内部の構成部品を示した斜視図である。 図3は、本発明に係る車両用空調装置に用いられるミックスドアを示す斜視図である。 図4は、ミックスドアの構造を説明する断面図であり、(a)はミックスドアの回転軸の軸方向に対して両側付近の断面図(図3のA−A線で切断した断面図)であり、(b)はミックスドアの回転軸の軸方向に対して中央付近の断面図(図3のB−B線で切断した断面図)である。 図5は、本発明に係る車両用空調装置の各吹出モード時の空気の流れを説明する図である。 図6は、バイレベルモード時又はデフフットモード時での空気の流れを説明する図であり、(a)は図3のA−A線で切断した断面での空気の流れを説明する図、(b)は図3のB−B線で切断した断面での空気の流れを説明する図である。
以下、この発明の実施の形態を図面により説明する。
図1において、車両のセンターコンソール部に搭載されるセンター置きタイプの車両用空調装置の空調ユニット1が示されている。この空調ユニット1は、エンジンルームと車室とを区画する仕切板よりも車室側に配されているもので、図示しない送風機ユニットを介して外気(車室外空気)または内気(車室内空気)を適宜切替えて導入し、導入された空気を送風機により空調ケース2の最前部の空気導入空間3に導入するようになっている。
空調ケース2は、車室へ向かって流れる空気の通路を形成するもので、合成樹脂材によって成形され、ケース内の空調機器の組み付け上の理由から、また、成形上の型抜きの都合から、複数のケース部材で構成されており、この例では、車両左右方向に分割されたケース部材によって構成されている。
空調ユニット1の空調ケース2は、最上流側となる最前端に前記空気導入空間3へ空気を導入する導入口4が形成され、また、最下流側に、空気を上方へ向けて吹き出す吹出開口へ空気を導く第1吹出通路5と、空気を下方へ向けて吹き出す吹出開口へ空気を導く第2吹出通路6とを備えている。
空調ケース2内において空気導入空間3の下流側には、冷却用熱交換器をなすエバポレータ7が配置され、このエバポレータ7の下流側には加熱用熱交換器をなすヒータコア8が配置されている。
エバポレータ7は、冷凍サイクルの一部を構成するもので、導入口4から導入されたすべての空気を通過させるように空気通路内に立設されており、通過空気を冷却可能になっている。
エバポレータ7の下流側には、図2に示されるように、空気通路の略中央に配置された仕切壁10が空調ケース2と一体に形成されている(図においては、片側のケース部材と一体化された仕切壁のみが示されている)。この仕切壁10は、エバポレータ7の通風部の略中央から上側の部分と対峙するよう設けられており、エバポレータ7の通風端面に対して略平行に延設されている。
ヒータコア8は、エンジンの冷却水を熱源として通過空気を加熱するもので、仕切壁10の下側に配置されている。この例において、ヒータコア8は、仕切壁10の下端から空調ケース2の車室側に設けられたガイド壁17にかけて略水平に設置されている。
したがって、エバポレータ7の下流側のうち、仕切壁10の上側(エバポレータ7に近い側)には、エバポレータ7のみを通過した冷風(ヒータコア8を通過せずにバイパスした空気)を車室側へ向けて斜め上方へ導くバイパス通路11(この例では、冷風通路)が形成され、また、エバポレータ7の下流側のうち、仕切壁10の下側(エバポレータ7から遠い側)には、空調ケース2の底内面を回り込み、下から上に向かってヒータコア8へ流れ込み、ヒータコア8から上方に向かって温風を導く温風通路12が形成されている。
仕切壁10の上方には、バイパス通路11から供給された冷風と温風通路12から供給された温風とを混合させるミックス空間13が形成され、このミックス空間13に前記第1吹出通路5と第2吹出通路6とが接続されている。
第1吹出通路5は、この例では、ミックス空間13の上方に設けられた上部吹出通路を構成するもので、ミックス空間13からの空気を車両のガラス内面に向けて吹出すデフロスト吹出開口14とミックス空間13からの空気を乗員の上半身に向けて吹出すベント吹出開口15とに連通しており、前記バイパス通路11寄りに形成されて、前記温風通路12とはミックス空間13を挟んで略反対側に設けられている。
また、第2吹出通路6は、ガイド壁17の車室側に設けられて下部吹出通路を構成するもので、ミックス空間13からの空気を乗員の足元に向けて吹出すフット吹出開口16に連通しており、温風通路12寄りに形成されて、前記バイパス通路11とはミックス空間13を挟んで略反対側に設けられている。
そして、ミックス空間13には、前記バイパス通路11と温風通路12からの空気の導入比率を調節するロータリ式のミックスドア20が配設され、このミックスドア20の下流側には、吹出モード切替機構30が設けられている。
ミックスドア20は、図3にも示されるように、空調ケース2の左右の壁面(車幅方向で対峙する両側面)に回転自在に支持される回転軸21と、この回転軸21から径方向に延設されて相互に平行な一対の略扇形状をなすドア側壁22と、この一対のドア側壁22の外周縁間を繋ぐように形成された閉塞部23とを有し、ミックス空間13の略中央を中心に回転するよう回転軸21を左右のケース部材2a(図2においては、片側のみが示されている)に軸支し、閉塞部23を回転軸21よりも上流側に位置させてバイパス通路11と温風通路12のミックス空間13に対する開口割合を調整できるようにしている。
空調ケース2には、エバポレータ7の上端部から上方に延設され、ミックスドア20の回転軸21を中心とする円弧状に形成された円周壁25と、空調ケース2のガイド壁17の上端から延設され、ミックスドア20の回転軸21を中心とする円弧状に形成された円周壁26とを設けられている。そして、円周壁25から仕切壁10の上端にかけての冷風通路や、仕切壁10の上端から円周壁26にかけての温風通路の開口割合は、ミックスドア20の回動位置に応じて、閉塞部23により調整される。
したがって、ミックス空間13には、ミックスドア20の回転軸21の周方向に、前記温風通路12、前記バイパス通路11、前記第1吹出通路5、前記第2吹出通路6が接続され、ミックスドア20の閉塞部23によって円周壁25と仕切壁10の上端との間が閉塞された状態においては、温風通路12のみがミックス空間13に開放し、閉塞部23によって仕切壁10と円周壁26との間が閉塞された状態においては、バイパス通路11のみがミックス空間13に開放し、閉塞部23の中間位置を仕切壁10の上端と対峙させた状態においては、バイパス通路11と温風通路12のそれぞれの一部が遮られ、開口割合に応じてミックス空間13に導入される冷風と温風の導入割合が調節されるようになっている。
また、本実施形態においては、吹出モード切替機構30は、ミックス空間13のミックスドア20の下流側に配置されたロータリ式モードドア31と、第1吹出通路5に配置され、デフロスト吹出開口14とベント吹出開口15との境に設けられた片持ちの板式モードドア35とにより構成し、ロータリ式モードドア31によって第1吹出通路5と第2吹出通路6とを開閉し、板式モードドア35によってデフロスト吹出開口14とベント吹出開口15とを開閉するようにしている。
ロータリ式モードドア31においても、空調ケース2に回転自在に支持される回転軸32と、この回転軸32から径方向に延設されて相互に平行な一対の略扇形状をなすドア側壁33と、この一対のドア側壁33の外周縁間を繋ぐように形成された閉塞部34とを有し、回転軸32をミックスドア20の回転軸21と同じ軸線上で支持するようにしている。
空調ケース2には、第2吹出通路6より上方に形成され、ミックスドア20の回転軸21を中心とする円弧状の円周壁27が設けられている。この円周壁27は、前記円周壁25と26とともにミックス空間13を形成する。そして、円周壁25から円周壁27にかけての第1吹出通路5や、円周壁27から円周壁26にかけての第2吹出通路6の開口割合は、ロータリ式モードドア31の回動位置に応じて、閉塞部34により調整される。
そして、ミックスドア20には、回転軸21と閉塞部23との間(閉塞部23の裏側)に、温風通路12を流れる空気の一部を第1吹出通路5側へ導く通路およびバイパス通路11を流れる空気の一部を第2吹出通路6側へ導く通路の少なくとも一方として構成される案内通路41,42が設けられている。
この案内通路は、温風通路12を流れる空気(温風)の一部をバイパス通路11を流れる空気(冷風)と合流させることなく第1吹出通路5側へ案内する第1案内通路41と、バイパス通路11を流れる空気(冷風)の一部を温風通路12を流れる空気(温風)と合流させることなく第2吹出通路6側へ案内する第2案内通路42と、から構成されている。それぞれの案内通路41,42は、断面矩形に形成された筒状体を回転軸21の軸方向に配列して構成されている。ところで閉塞部23は、図4に示されるように、案内通路41,42の外側(上流側)に肉厚に形成されるものであっても、一点鎖線で囲まれた部分を肉抜きして中空に形成されるものであってもよい。
また、この例においては、第1案内通路41が、ミックスドア20の回転軸21の軸方向における中間部に設けられ、第2案内通路42が、ミックスドア20の回転軸21の軸方向における第1案内通路41の両側に設けられている。
第1案内通路41と第2案内通路42の通路幅は、適宜設定すればよいが、この例では、第1案内通路41の通路幅を第2案内通路42の通路幅のほぼ倍とし、第1案内通路41の通路面積を第2案内通路42の合計の通路面積と略等しくなるようにしている。
さらに、それぞれの案内通路41,42には、通路内へ空気を誘導する導入部41a,42aが設けられている。
この導入部41a,42aは、それぞれの案内通路41,42の筒状体の空気導入側を、ミックスドア20の開口端から突出するように(ドア側壁22よりも、回転軸21の周方向に突出するように)設けられているもので、第1案内通路41にあっては、温風通路12側に突出するように設けられ、第2案内通路にあっては、バイパス通路11側に突出するように設けられ、突出した部分が外側に向けて(上流側に向けて)開口されている。
また、導入部41a,42aは、ミックスドア20の可動領域内(閉塞部の軌跡領域内)に収まるように突出形成されている。この導入部は、筒状体をそのまま直線的に延長させるものであっても、先端部を閉塞部側へ向けて緩く湾曲させ、上流側から流れてくる空気をより導入しやすくするようにしてもよい。
以上の構成において、吹き出しモード毎に空気の流れを、図5を用いて説明する。ベントモード時にあっては、ミックスドア20を、温風通路12を閉塞しバイパス通路11を全開とする位置に設定し、ロータリ式モードドア31を、第2吹出通路6を閉塞し第1吹出通路5を全開とする位置に設定し、また、板式モードドア35を、デフロスト吹出開口14を閉塞する位置に設定する。これにより、エバポレータ7を通過した空気の全てがバイパス通路11を通過し、ミックス空間13へ導かれ、第1吹出通路5を経由してベント吹出開口15から車室の乗員の上半身に向けて吹出される。
また、バイレベルモード時にあっては、ミックスドア20をいずれの円周壁25,26からも離し、仕切壁10の上端に閉塞部23の中間部位を位置させ、バイパス通路11と温風通路12をミックス空間13に連通させる。また、ロータリ式モードドア31を、第1吹出通路5と第2吹出通路6のいずれも閉塞しない位置に設定し、板式モードドア35を、デフロスト吹出開口14を閉塞する位置に設定する。これにより、エバポレータ7を通過した空気は、バイパス通路11を通過してミックス空間13に導かれる冷風か、ヒータコア8と温風通路12を通過してミックス空間13に導かれる温風のいずれかとなる。ミックス空間13に導かれた冷風の一部は、第1案内通路を介して第2吹出通路6側に供給され、ミックス空間13に導かれた温風の一部は、第2案内通路を介して第1吹出通路5側に供給される。第1吹出通路5は、冷風と第1案内通路を介して供給された温風との混合空気が流れ、ベント吹出開口15から車室の乗員の上半身に向けて吹出される。第2吹出通路6は、温風と第2案内通路を介して供給された冷風との混合空気が流れ、フット吹出開口16から乗員の足元に向けて吹出される。
フットモード時にあっては、ミックスドア20を、バイパス通路11を閉塞する位置に設定し、ロータリ式モードドア31を第1吹出通路5を閉塞する位置に設定する。これにより、エバポレータ7を通過した空気の全てがヒータコア8を通過して暖められ、温風通路12を通過してミックス空間13へ導かれ、第2吹出通路6を経由してフット吹出開口16から車室の乗員の足元に向けて吹出される。
デフフットモード時にあっては、ミックスドア20をいずれの円周壁25,26からも離し、仕切壁10の上端に閉塞部23の中間部位を位置させ、バイパス通路11と温風通路12をミックス空間13に連通させる。また、ロータリ式モードドア31を、第1吹出通路5と第2吹出通路6のいずれも閉塞しない位置に設定し、板式モードドア35をベント吹出開口15を閉塞する位置に設定する。これにより、エバポレータ7を通過した空気は、バイパス通路11を通過してミックス空間13に導かれる冷風か、ヒータコア8と温風通路12を通過してミックス空間13に導かれる温風のいずれかとなる。ミックス空間13に導かれた冷風の一部は、第1案内通路を介して第2吹出通路6側に供給され、ミックス空間13に導かれた温風の一部は、第2案内通路を介して第1吹出通路5側に供給される。第1吹出通路5は、冷風と第1案内通路を介して供給された温風との混合空気が流れ、デフロスト吹出開口14から窓ガラスの内面に向けて吹出される。第2吹出通路6は、温風と第2案内通路を介して供給された冷風との混合空気が流れ、フット吹出開口16から乗員の足元に向けて吹出される。
デフモードにあっては、ミックスドア20を、バイパス通路11を閉塞した位置に設定し、ロータリ式モードドア31を、第2吹出通路6を閉塞する位置に設定し、板式モードドア35を、ベント吹出開口15を閉塞する位置に設定する。これにより、エバポレータ7を通過した空気の全てがヒータコア8を通過して暖められ、温風通路12を通過してミックス空間13へ導かれ、第1吹出通路5を経由してデフロスト吹出開口14から窓ガラスの内面に向けて吹出される。
このうち、特にバイレベルモードとデフフットモードにおいては、仮に案内通路41,42がないと、バイパス通路11を通過した冷風と温風通路12を通過した温風とがミックスドア20の下流側で十分に混合されることなく、温風は主として第2吹出通路6へ、冷風は主として第1吹出通路5へそれぞれ流れ、このため、デフロスト吹出開口14やベント吹出開口15から車室に吹出される空気(乗員の上半身や窓ガラスの内面に吹出される空気)の温度とフット吹出開口16から車室に吹出される空気(乗員の足元に吹出される空気)の温度との温度差が大きくなる不都合がある。
しかしながら、ミックスドア20の回転軸21よりも上流側に設けられた閉塞部23の裏側、即ち、回転軸21と閉塞部23との間には、温風通路12を流れる温風の一部を、バイパス通路11を流れる冷風と合流させることなく第1吹出通路5側へ案内する第1案内通路41と、バイパス通路11を流れる冷風の一部を、温風通路12を流れる温風と合流させることなく第2吹出通路6側へ案内する第2案内通路42とが設けられている。よって、図6に示されるように、第1吹出通路5には、冷風に第1案内通路41からの温風を混合させた混合風が流れ、また、第2吹出通路6には、温風に第2案内通路42からの冷風を混合させた混合風が流れ、デフロスト吹出開口14やベント吹出開口15から吹出す空気とフット吹出開口16から吹出す空気の温度差を小さくすることが可能となる。
特に、本構成においては、ミックスドア20において、回転軸21より上流側となる閉塞部23の裏側に案内通路41,42が設けられているので、混合する前の冷風又は温風を案内通路41,42に導くことができ、デフロスト吹出開口14やベント吹出開口15から吹出す空気とフット吹出開口16から吹出す空気の温度差を効果的に小さくすることが可能となる。
また、各案内通路41,42には、導入部41a,42aが設けられているので、ミックスドアの閉塞部の周方向の長さによらず、案内通路41,42への冷風または温風の導入を効果的に行うことができる。また、導入部41a,42aは、ミックスドア20の可動領域内に設けられているので、空調ケース2の大型化を回避することも可能となる。
さらに、上述の構成においては、吹出モード切替機構30を構成するロータリ式モードドア31がミックスドア20の回転軸21と同じ軸線上で支持されているので、ミックスドア20の軸とロータリ式モードドア31の軸とを別々の位置で支持する必要がなくなり、空調ケース2の小型化を図りやすいものとなる。
なお、上述の構成においては、冷却用熱交換器(エバポレータ7)と加熱用熱交換器(ヒータコア8)との両熱交換器を用いた例を示したが、冷却用熱交換器を用いずに、加熱用熱交換をバイパスした導入空気と加熱用熱交換器を通過した空気とで同様の構成を実現するようにしてもよい。このような構成においても、ミックスドア20に形成された案内通路41によって、冷風の代わりに常温の空気を第2吹出通路6へ導くことで、フット吹出開口16から吹き出す空気の温度を下げることができ、デフロスト吹出開口14やベント吹出開口15から吹出す空気とフット吹出開口16から吹出す空気との温度差を小さくすることが可能となる。
また、上述の構成においては、案内通路を第1案内通路41と第2案内通路42の両方を設けた例を示したが、いずれか一方の案内通路のみを設けても、デフロスト吹出開口14やベント吹出開口15から吹出す空気とフット吹出開口16から吹出す空気との温度差を小さく効果を得ることが可能である。
さらに、上述においては、ヒータコア8としてエンジン冷却水を用いる温水式ヒータを用いた例を示したが、PTCヒータや、周知のヒートポンプによる放熱器を用いてもよい。
さらにまた、上述の構成例においては、上下方向で温度差が生じる空調装置に適用した例を示したが、左右方向の吹出口で温度差が生じる左右独立温調型の空調装置に対して、左右の温度差を小さくするために上述した構成を利用するようにしてもよい。
1 空調ユニット
2 空調ケース
4 導入口
5 第1吹出通路
6 第2吹出通路
7 エバポレータ
8 ヒータコア
11 バイパス通路
12 温風通路
13 ミックス空間
20 ミックスドア
21 回転軸
23 閉塞壁
31 ロータリ式モードドア
41 第1案内通路
42 第2案内通路
41a,42a 導入部

Claims (8)

  1. 空気を導入する導入口と空気を吹き出す複数の吹出開口とを備えたケースを備え、
    前記ケース内に、
    導入された空気を加熱する加熱用熱交換器と、
    前記加熱用熱交換器を通過した空気が流れる温風通路と、
    前記加熱用熱交換器をバイパスした空気が流れるバイパス通路と、
    前記温風通路を流れた空気と前記バイパス通路を流れた空気を混合するミックス空間と、
    このミックス空間に配置され、回転軸が前記ケースに回転自在に支持されたロータリ式のミックスドアと、
    前記ミックス空間からの空気をデフロスト吹出開口及びベント吹出開口の少なくとも一方へ導く第1吹出通路と、
    前記ミックス空間からの空気をフット吹出開口へ導く第2吹出通路と、
    を有した車両用空調装置において、
    前記温風通路、前記バイパス通路、前記第1吹出通路、前記第2吹出通路は、前記ミックス空間の周囲に、前記回転軸を囲んで、前記温風通路、前記バイパス通路、前記第1吹出通路、前記第2吹出通路の順に配置され、
    前記ミックスドアは、前記回転軸より上流側に設けられ、前記温風通路と前記バイパス通路の前記ミックス空間に対する開度を調整する閉塞部と、
    前記回転軸と前記閉塞部との間に形成され、前記温風通路側を流れる空気の一部を前記第1吹出通路側へ導く通路および前記バイパス通路側を流れる空気の一部を前記第2吹出通路側へ導く通路の少なくとも一方として構成される案内通路とを具備すること
    を特徴とする車両用空調装置。
  2. 前記案内通路は、
    前記温風通路を流れる空気の一部を前記第1吹出通路側へ導く第1案内通路と、
    前記バイパス通路を流れる空気の一部を前記第2吹出通路側へ導く第2案内通路と
    を有することを特徴とする請求項1記載の車両用空調装置。
  3. 前記ケース内に冷却用熱交換器がさらに収容され、
    前記バイパス通路は、前記冷却用熱交換器を通過した空気を前記ミックス空間へ導くことができる通路であることを特徴とする請求項1又は2記載の車両用空調装置。
  4. 前記第1案内通路と前記第2案内通路の少なくとも一方が複数設けられる場合、前記第1案内通路と前記第2案内通路とは、前記回転軸の軸方向に交互に配置されることを特徴とする請求項2記載の車両用空調装置。
  5. 前記第2案内通路は、前記回転軸の軸方向における前記ミックスドアの中間部に設けられ、
    前記第1案内通路は、前記回転軸の軸方向における前記第2案内通路の両側に設けられていることを特徴とする請求項4記載の車両用空調装置。
  6. 前記ミックスドアには、前記案内通路へ空気を導く導入部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の車両用空調装置。
  7. 前記導入部は、前記ミックスドアの可動領域内に設けられていることを特徴とする請求項6記載の車両用空調装置。
  8. 前記ミックスドアの下流側にロータリ式のモードドアが設けられ、このモードドアの回転軸を前記ミックスドアの回転軸と同じ軸線上で支持したことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の車両用空調装置。
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