JP3793310B2 - 自動車用空気調和装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用空気調和装置に関し、特にフレッシュベントモードを備えた自動車用空気調和装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近の自動車用空気調和装置にあっては、必要に応じてベント吹出口から冷風を供給することができる、いわゆる「フレッシュベントモード付きエアコン」が開発されている。
【0003】
この種の自動車用空気調和装置は、例えば図8に示すように、外気取入口61及び内気取入口62が開設され、ファンF及びモータ64が内蔵されたインテークユニット60と、冷凍サイクルの構成部品であるエバポレータ3が内蔵されたクーラユニット1と、エンジン冷却水が流通するヒータコア4およびミックスドアD、迂回路B、温風通路H、混合室E等を有するヒータユニット2とを接続してなる一般的な自動車用空気調和装置に、エバポレータ3を通過した冷風を直接ベントダクト16に案内する冷風通路14を設けたものである。
【0004】
したがって、必要に応じて冷風通路14を開閉するフレッシュベントドア22を開けば車室内のベント吹出口21a,21bから冷風が吹出される。このため、例えば長時間にわたり運転した場合などに、運転者の顔面のみに冷風を配風するなどして運転時の快適性を高める等、幅広い使用が可能となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、自動車用空気調和装置は車室内のインストルメントパネルの内部という狭小な空間に設置されるものであり、装置全体が大型化すると特に小型の車両に搭載するには好ましくない。このため、車両搭載時の設置スペースを極力抑える必要性から自動車用空気調和装置のコンパクト化の要請が大きい。
【0006】
しかしながら、上記従来のフレッシュベントモードを備えた自動車用空気調和装置にあっては、一般的な自動車用空気調和装置に対し、別途新たにベントダクトに連通する冷風通路を設けなければならないので、通路を形成するための構造や別部品が必要となってコスト高となるだけでなく、これらを設置するために、かなりのスペースを占有することになるという問題があった。
【0007】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、簡易な構造により低コストかつコンパクトなフレッシュベントモードを備えた自動車用空気調和装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、車室外或るいは車室内から導入された空気を加熱するヒータコアと、当該ヒータコアを通過する温風通路と、前記ヒータコアを迂回する迂回路と、当該迂回路と前記温風通路とを通過するそれぞれの空気量の比率を調節するミックスドアと、前記迂回路或るいは前記温風通路を通過した空気を混合する混合室と、当該混合室に連通して開設され車室内乗員の上半身に向けて配風を行うベントダクトが接続されるベント口と、回動軸を備え前記ベント口を開閉するベントドアと、前記混合室に連通して開設されフロントガラス前面に向けて吹き出される空気が通過するデフロスタ口と、回動軸を備え前記デフロスタ口を開閉するデフドアと、前記ベントドアおよび前記デフドアにより前記ベント口および前記デフロスタ口を閉鎖した場合に、これらのドアの前記回動軸と反対側の端縁部がそれぞれ当接する戸当り部と、導入した空気を前記温風通路および迂回路を経ることなく前記ベントダクトに導く冷風通路と、を有し、前記冷風通路は、前記戸当り部の中に形成される中空部を含み、前記戸当り部に前記中空部と前記ベントダクトとを連通するベントダクト連通口を開設したことを特徴とする自動車用空気調和装置である。この発明にあっては、ベントドアおよびデフドアの端縁部がそれぞれ当接する戸当り部の中に中空部を形成したので、流下する冷風の一部は、この中空部を通ってベントダクト連通口から直接ベントダクトに導かれる。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載の自動車用空気調和装置において、前記ベントドアの表面に、当該ベントドアにより前記ベント口を閉鎖した場合に前記ベントダクト連通口を閉鎖する突出部を設けたことを特徴とする。この発明にあっては、ベントドア自体でベントダクト連通口の開閉がなされ、ベントドアによりベント口を閉鎖した場合には冷風通路を介してエバポレータを通過した冷風が直接車室内に流出することはなく、一方、ベントドアを開くと冷風通路を介して確実に冷風が得られる。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、上記請求項1に記載の自動車用空気調和装置において、前記ベントダクト連通口は、ベントドアにより前記ベント口を閉鎖した場合に、当該ベントドアの前記端縁部により閉鎖される位置に形成されることを特徴とする。この発明にあっては、さらに簡単な構成によりベントドア自体でベントダクト連通口の開閉がなされる。
【0011】
また、請求項4に記載の発明は、上記請求項1に記載の自動車用空気調和装置において、前記ベントダクト連通口は、前記ベント口と同じ空気の流れ方向に沿う中心軸を有すると共に、当該中心軸に直交する方向の開口長さを前記ベント口よりも小さくしたことを特徴とする。この発明にあっては、冷風通路を介しベントダクト連通口を通過した冷風は、主に車室内中央に向けて吹き出される。
【0012】
また、請求項5に記載の発明は、上記請求項1に記載の自動車用空気調和装置において、前記ベント口からの空気の流れ方向に沿う鉛直な分割面で分割された第1のケースと第2のケースとを接合してなる枠体をなすケースを有し、前記分割面は、前記ベントダクト連通口を通ることを特徴とする。この発明にあっては、第1のケースおよび第2のケースの分割面の対応する位置に矩形状の切欠部を形成しこれらを接合することによってベントダクト連通口が形成される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の一実施の形態に係る自動車用空気調和装置をインテークユニットと共に示す外観斜視図、図2は本自動車用空気調和装置の縦断面図、図3は同水平断面図である。なお、図8に示す部材と共通する機能を有するものには同一符号を付している。
【0014】
この自動車用空気調和装置50は、図1に示すように、車室外あるいは車室内の空気を取り込んで下流に向けて送るインテークユニット60と接続される。インテークユニット60には、外気を導入する外気取入口61と、車室内の空気を循環させるために内気を取入れる内気取入口62とが開設されており、この両取入口61,62の選択は、インテークドア63により行なわれる。また、取入口61,62の何れか一方、或るいは両方から導入した空気を下流に送るための、インテークユニット内に設けられモータ64により作動される図示しないファンを備えている。
【0015】
自動車用空気調和装置50は、クーラユニット1とヒータユニット2との枠体を一体化したケースCを有している。ケースCの上流側風路内には図示しない冷房サイクルに連結されたエバポレータ3が設けられ、このエバポレータ5を通過することによって前記導入空気は冷却されることになる。一方、下流側風路内にはエンジンの冷却水等が循環するヒータコア4が設けられている。なお、エバポレータは必ずしもなくてもよく、特に寒冷地仕様の自動車では備えていない場合もある。
【0016】
インテークユニット60との接続口65から流下した空気流は、エバポレータ3とヒータコア4との間に設けられたミックスドアDをスライド機構Mにより動作させ、ヒータコア4側の温風通路Hと当該ヒータコア4を迂回する迂回路B側とに分岐して選択的に流したり、あるいは温風通路Hおよび迂回路Bの各風路に所定の比率で空気を流したりできる構成とされている。ここに、ミックスドアDの上流側と下流側には、エバポレータ3とヒータコア4が近接して設けられ、コンパクト化が図られている。
【0017】
なお、このミックスドアDの開度は、特定の温度を抵抗値により設定する、いわゆるポテンショ・サーモ・コントローラ(通称PTC)、内気センサーあるいは外気センサー等の電気信号を演算し、必要吹出し温を求め、この演算結果に基づいて制御される。但し、ミックスドアDの開度を車室内に設けられた温度調節レバーによって調節するように構成することも可能である。
【0018】
ミックスドアDは、エバポレータ3とヒータコア4間で上流側風路からの空気流を遮断する方向に伸延されたドア本体12を有している。このドア本体12の大きさは、図2に示すように、上下方向が上流側風路と下流側風路とを仕切る仕切壁13の開口部のほぼ半分程度であり、幅方向が図3に示すように、ケースCの一側から他側まで設けられたものである。また、当該ドア本体12の側端部位には、駆動部23により回転駆動され部分的に歯が形成された歯車20と噛合される歯部17が、上端から下端まで連続して形成されている。駆動部23は、例えばモータあるいはモータアクチュエータ、場合によっては手動操作等である。これら駆動部23、歯車20、歯部17等は、ドアDを作動するためのスライド機構Mの構成をなしている。
【0019】
ヒータコア4の下流側には混合室Eが形成されており、例えば所定の比率に分岐してヒータコア4を通過する空気の流れる温風通路Hおよびヒータコア4を迂回する迂回路Bを通過した空気は、混合室Eにおいて混合し調和される。この混合室Eに連通するように、車室内乗員の上半身に向けて配風を行うベントダクトが接続されるベント口7aが開設され、このベント口7aを開閉するベントドア7が回動軸7bのまわりに回動可能に設けられている。また、フロントガラス前面に向けて吹き出される空気が通過するデフロスタ口6aが混合室Eに連通するように開設され、このデフロスタ口6aを開閉するデフドア6が回動軸6bのまわりに回動可能に設けられている。同様に乗員の足元に向けて吹き出される空気が通過するフット口8aと、これを開閉するフットドア8も設けられている。したがって、混合室Eにおいて混合された調和空気は、ケースCに開設したベント口7a、デフロスタ口6a、フット口8aを通して選択的に車室内に吹出されることになる。
【0020】
図4は図1に示される自動車用空気調和装置50の右手前方向から見た外観斜視図、図5はベントドアおよびデフドア周辺の拡大断面図である。
【0021】
本実施の形態では、図示のように、エバポレータ3を通過した空気の一部を、温風通路Hおよび迂回路Bを経ることなく、ベント口7aに接続されるベントダクトに直接導く独立した冷風通路14が設けられている。なお、図示省略するが、図8に示したものと同様に、ベント口7aにはベントダクト16が接続されており、このベントダクト16の他端は分岐されて、車室内に設けられ車室内中央付近に空気を送るセンターベント吹出口21aと車室内左右側部に空気を送るサイドベント吹出口21bとに接続されている。したがって、ベントダクト16に吹き出された空気は、ベントダクト16を通して上方に流れ、センタおよび左右に分岐して、車室内のベント吹出口21a,21bから乗員の上半身に向けて配風されることになる。
【0022】
図5に示すように、ベントドア7およびデフドア6によりベント口7aおよびデフロスタ口6aを閉鎖した場合に、これらのドア7,6の回動軸7b,6bと反対側の端縁部7c,6cがそれぞれ当接する戸当り部32が設けられている。この戸当り部32の中には中空部33が形成されており、この中空部33は前記冷風通路14の一部を構成するものである。
【0023】
戸当り部32の側面には、中空部33とベントダクト16とを連通するベントダクト連通口18が開設される。このベントダクト連通口18は、ベント口7aと同じ空気の流れ方向に沿う中心軸を有すると共に、当該中心軸に直交する方向の開口長さがベント口7aよりも小さく略中央になるように設定されている。このようにすることにより、ベントドア7に沿ってユニット内より流れる空気の流れ方向に乗って、中空部33より冷風が流れ易くなり、しかもベントダクト連通口18を通過した空気を主に前記センターベント吹出口21aから車室内中央に向けて吹き出させることができ、効率的な送風が可能となる。したがって、センターベント吹出口21aからは乗員の顔に向かって冷風が、サイドベント吹出口21bからは比較的高温の風が吹出し、サイドガラスの曇りを除去するように作用する。
【0024】
なお、このベントダクト連通口18の開設位置を適宜設定することにより、センターベント吹出口21aとサイドベント吹出口21bとの双方からの吹き出しも可能である。また、ベントダクト連通口18を複数箇所に開設したり、ベント口12と同じ開口長さに設定したりすることもできる。
【0025】
中空部33におけるベントダクト連通口18の空気の流れの下流側には、閉塞板35が形成されており、中空部33を通過する空気をベントダクト連通口18に効率良く導くようになっている。
【0026】
一方、中空部33の閉塞板35と反対側の端部には開口36が形成され、この開口36に補助ダクト37の一端が接続される。補助ダクト37の他端は、ケースCのエバポレータ3の下流側に形成されたフレッシュベント口38に接続される。フレッシュベント口38はケースCの一方の側壁側に開設されており、エバポレータ3を通過した空気の一部が流入するように構成されている。また、フレッシュベント口38を開閉するフレッシュベントドア22が回動軸22aを中心に回動可能に設けられる。
【0027】
このように、冷風通路14は補助ダクト37と中空部33とから構成されている。したがって、フレッシュベントドア22を開閉制御することにより、必要に応じて車室内に向けられたベント吹出口21a,21bから冷風およびこれと温度差のある風をそれぞれ供給することができ、いわゆるフレッシュベントモードの設定が可能となっている。
【0028】
また、ケースCは、ベント口7aからの空気の流れ方向に沿う鉛直な分割面52で左右に分割された第1のケースCaと第2のケースCbとを接合することにより構成される。ここで、分割面52は、前記ベントダクト連通口18を通るように設定される。このようにすれば、第1のケースCaおよび第2のケースCbの分割面52の対応する位置に矩形状の切欠部を形成し、これら両ケースCa,Cbを接合することによって、きわめて簡単にベントダクト連通口18を形成することができる。
【0029】
また、閉塞板35についても、第2のケースCb用の左右の型間において型締め時に所定の隙間を設定することにより、容易に形成することができると共に、左右からこの空間を作るために突出する型の構成部分を短くすることができるので型寿命の観点からも好ましいものとなる。その上、ケースの剛性を高めるためにも好ましい。
【0030】
次に、作用を説明する。
暖房モードにおいて、冷風を全量加熱して車室内に吹き出すフルホットモードの場合には、ドア本体12を図2における上端に位置させ、インテークユニット60から取り込まれ、エバポレータ3において冷却された空気を全量ヒータコア4内を通過させる。
【0031】
この場合、図外のコントローラからの信号により駆動部23を動作し、歯車20を回動する。これによりドア本体12に形成された歯部17と噛合している歯車20は、ドア本体12を上昇させる。歯車駆動によりドア移動が行なわれるので、作動が円滑になり、ドアの操作性も向上し、異音が生じない快適なドア制御が可能である。
【0032】
冷房モードにおいて、冷風を全量加熱せず車室内に吹き出すフルクールモードの場合には、前記ドア本体12の位置を上下方向最下端に位置する以外は、実質的にドア本体12の作動はフルホットモードの場合と同様である。
【0033】
一方、冷暖房モードにおいて、冷風と温風とをミックスし所定温度にして車室内に吹き出す温調モードの場合には、ドア本体12を図2における上下方向中間位置にセットし、クーラユニット60からの冷風の一部をドア本体12の上部空間域を通過させ、残りの冷風をヒータコア4内を通過させる。
【0034】
この場合も、コントローラにより駆動部23が動作され、歯車20の回動によりドア本体12が移動し、上下方向中間位置となるが、この状態は、歯車20とドア本体12側の歯部17との噛合により保持され、位置ずれを起こす可能性は少ない。このため、極めて正確にドア位置がセットされる。
【0035】
ここで温調モードの場合には、コントローラからの信号により必要に応じてフレッシュベントモードに設定される。あるいは必要に応じて乗員により図外のフレッシュベントスイッチを操作するようにしてもよい。これにより、フレッシュベントドア22はフレッシュベント口38を開く所定位置に回動する。
【0036】
温調モードでは、エバポレータ3から流下し迂回路Bを通過した冷風と温風通路Hを通過した温風とは、所定の割合で混合室Eにて混合され、温調された空気は、ベント口7aを通りベントダクト16を介してベント吹出口21a,21bから車室内に吹き出される。
【0037】
一方、エバポレータ3から流下した冷風の一部は、冷風通路14およびベントダクト連通口18を介して、迂回路Bおよび温風通路Hを経ることなく直接ベントダクト16に導かれる。
【0038】
したがって、フレッシュベントモードに設定することによって、上記の温調された空気に冷風通路14からの冷風が加わることになり、ミックスドアDが中間開度にある場合におけるミックスドアDの開度に応じた温調特性を、低温側に調整することが可能となる。
【0039】
また、フレッシュベントモードを解除した場合には、フレッシュベントドア22はフレッシュベント口38を閉じる位置に回動する。これにより、エバポレータ3から流下した空気は冷風通路14を通過することなく、迂回路Bを通過した冷風と温風通路Hを通過した温風とが所定の割合で混合室Eにて混合された後に、混合室Eから車室内の所定位置に供給される。
【0040】
このように本実施の形態によれば、ベントドア7およびデフドア6によりベント口7aおよびデフロスタ口6aを閉鎖した場合に、これらのドア7,6の回動軸7b,6bと反対側の端縁部7c,6cがそれぞれ当接する戸当り部32を有し、この戸当り部32の中に、導入した空気を直接ベントダクト16に導く冷風通路14を構成する中空部33を形成したので、流下する冷風の一部はこの中空部33を通ってベントダクト連通口18からベントダクト16に導かれることとなり、きわめて簡易な構造により低コストかつコンパクトなフレッシュベントモードを備えた自動車用空気調和装置を提供することが可能となる。また、戸当り部32はボックス形状となって剛性が高くなり、各ドアを確実にシールすることができる。さらに組立後のケース全体の剛性が向上する。
【0041】
図6は、他の実施の形態に係るベントドアおよびその周辺の拡大断面図である。この実施の形態は、ベントドア7の表面に、当該ベントドアによりベント口7aを閉鎖した場合にベントダクト連通口18を閉鎖する突出部34を設けた点で、前述した図5に示す実施の形態と相違している。このようにすれば、ベントドア7自体でベントダクト連通口18を開閉することができる。すなわち、ベントドア7によりベント口7aを閉鎖した場合には、冷風通路14を介してエバポレータ3を通過した冷風がベント吹出口から車室内に流出することが抑止され、一方、ベントドア7を少しでも開いた状態にすれば、冷風通路14を介して確実に冷風を得ることができる。したがって、前述した実施の形態において、冷風通路14に設けたフレッシュベント口38を開閉するフレッシュベントドア22を省略した構成とすることも可能である。
【0042】
図7は、さらに他の実施の形態に係るベントドアおよびその周辺の拡大断面図である。この実施の形態では、ベントダクト連通口18は、ベントドア7によりベント口7aを閉鎖した場合に、当該ベントドア7の端縁部7cにより閉鎖される位置に形成される点で、前述した図5に示す実施の形態と相違している。このようにすれば、図6に示される上記実施の形態と同様な効果を、ベントドア7の表面に突出部34を設けることなく、簡単な構成により得ることができる利点がある。
【0043】
なお、以上説明した実施の形態は、本発明を限定するために記載されたものではなく、種々変更が可能である。
例えば、上記実施の形態は、クーラユニット1を有するものであるが、このクーラユニットは必ずしも必須のものではなく、クーラユニットを後付けする自動車用空気調和装置のように、クーラユニットを有していないものに対しても適用することができる。また、寒冷地で使用される自動車の場合には必ずしもエバポレータを設けないものもある。
【0044】
また、上記実施の形態では、ミックスドアDを上下にスライドさせて開度調整する構成としたが、図8に示すような軸まわりに回動させて開度調整する構成の自動車用空気調和装置にも適用することが可能である。
【0045】
さらに、上記実施の形態では、フレッシュベント口38はミックスドアDの下流側に設けられており、しかもミックスドアDのドア本体12が最上昇位置にあるフルホットモードの場合には、冷風通路14にエバポレータ3を通過した冷風が流入しない構成を採用しており、これは温調特性の調整を図ったものであるが、図8に示されるようなミックスドアで開閉される領域とは独立した位置に冷風通路14を設けた自動車用空気調和装置にも適用することができることは勿論である。この場合の動作を図2および図4を用いて説明すれば、例えば暖房モードにおいて、フロントガラス内面の曇りを除去しつつ乗員に対しては冷風を供給したい場合には、デフロスタ口6aが開放され、ミックスドアDが迂回路Bを閉塞する位置に上昇すると共にフレッシュベントドア22はフレッシュベント口38を開く位置に回動する。すると、エバポレータ3を流下した空気の一部が冷風通路14およびベントダクト連通口18を介してベントダクト16に導かれる一方、ヒータコア4で加熱された温風はデフロスタ口6aを通り、図示しないデフダクトに至りフロントガラスに向かって吹出され、フロントガラスの曇りを晴らしつつ乗員の上半身に吹出され、乗員の頭部に生じる、いわゆるモヤッ気を晴し快適な空気調和状態が得られる。また、図8中のサイドベント吹出口21bからは比較的高温の空気をサイドガラスに向かって吹出し、このガラスの曇りを除去してサイドミラーの視界を確保しつつ、中央に位置するセンターベント吹出口21aからは冷たい空気を吹出し、乗員の頭部のモヤモヤを除去する快適な空気調和状態が得られる。
【0046】
【発明の効果】
以上述べたように、請求項1に記載の発明によれば、流下する冷風の一部は、戸当り部の中に形成された中空部を通ってベントダクト連通口から直接ベントダクトに導かれることとなり、きわめて簡易な構造により低コストかつコンパクトなフレッシュベントモードを備えた高剛性でシール性の良好な自動車用空気調和装置を提供することができる。
【0047】
また、請求項2記載の発明によれば、ベントドア自体でベントダクト連通口を開閉することができる。したがって、冷風通路を閉鎖あるいは開放するためのドアを別途設けずに省略した構成とすることも可能となる。
【0048】
また、請求項3記載の発明によれば、さらに簡単な構成によりベントドア自体でベントダクト連通口を開閉することができる。
【0049】
また、請求項4記載の発明によれば、冷風通路を介しベントダクト連通口を通過した冷風を主に車室内中央に向けて吹き出させることができ、効率的な送風が可能となる。
【0050】
また、請求項5記載の発明によれば、第1のケースおよび第2のケースの分割面の対応する位置に矩形状の切欠部を形成し、これら両ケースを接合することによって、きわめて簡単にベントダクト連通口を形成することができる。したがって、ケース成形用の型の作成も容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態に係る自動車用空気調和装置をインテークユニットと共に示す外観斜視図である。
【図2】 本自動車用空気調和装置の縦断面図である。
【図3】 本自動車用空気調和装置の水平断面図である。
【図4】 図1に示される自動車用空気調和装置の右手前方向から見た外観斜視図である。
【図5】 ベントドアおよびデフドア周辺の拡大断面図である。
【図6】 他の実施の形態に係るベントドアおよびその周辺の拡大断面図である。
【図7】 さらに他の実施の形態に係るベントドアおよびその周辺の拡大断面図である。
【図8】 従来の自動車用空気調和装置の概略構成図である。
【符号の説明】
1…クーラユニット、 2…ヒータユニット、
3…エバポレータ、 4…ヒータコア、
6…デフドア、 6a…デフロスタ口、
6b,7b…回動軸、 6c,7c…端縁部、
7…ベントドア、 7a…ベント口、
14…冷風通路、 16…ベントダクト、
18…ベントダクト連通口、
22…フレッシュベントドア、
32…戸当り部、 33…中空部、
34…突出部、
38…フレッシュベント口、52…分割面、
B…迂回路、 C…ケース、
Ca…第1のケース、 Cb…第2のケース、
D…ミックスドア、 E…混合室、
H…温風通路。
Claims (5)
- 車室外或るいは車室内から導入された空気を加熱するヒータコア(4) と、
当該ヒータコア(4) を通過する温風通路(H) と、
前記ヒータコア(4) を迂回する迂回路(B) と、
当該迂回路(B) と前記温風通路(H) とを通過するそれぞれの空気量の比率を調節するミックスドア(D) と、
前記迂回路(B) 或るいは前記温風通路(H) を通過した空気を混合する混合室(E) と、
当該混合室(E) に連通して開設され車室内乗員の上半身に向けて配風を行うベントダクト(16)が接続されるベント口(7a)と、
回動軸(7b)を備え前記ベント口(7a)を開閉するベントドア(7) と、
前記混合室(E) に連通して開設されフロントガラス前面に向けて吹き出される空気が通過するデフロスタ口(6a)と、
回動軸(6b)を備え前記デフロスタ口(6a)を開閉するデフドア(6) と、
前記ベントドア(7) および前記デフドア(6) により前記ベント口(7a)および前記デフロスタ口(6a)を閉鎖した場合に、これらのドア(7,6) の前記回動軸(7b,6b) と反対側の端縁部(7c,6c) がそれぞれ当接する戸当り部(32)と、
導入した空気を前記温風通路(H) および迂回路(B) を経ることなく前記ベントダクト(16)に導く冷風通路(14)と、を有し、
前記冷風通路(14)は、前記戸当り部(32)の中に形成される中空部(33)を含み、前記戸当り部(32)に前記中空部(33)と前記ベントダクト(16)とを連通するベントダクト連通口(18)を開設したことを特徴とする自動車用空気調和装置。 - 前記ベントドア(7) の表面に、当該ベントドア(7) により前記ベント口(7a)を閉鎖した場合に前記ベントダクト連通口(18)を閉鎖する突出部(34)を設けたことを特徴とする請求項1記載の自動車用空気調和装置。
- 前記ベントダクト連通口(18)は、ベントドア(7) により前記ベント口(7a)を閉鎖した場合に、当該ベントドア(7) の前記端縁部(7c,6c) により閉鎖される位置に形成されることを特徴とする請求項1記載の自動車用空気調和装置。
- 前記ベントダクト連通口(18)は、前記ベント口(7a)と同じ空気の流れ方向に沿う中心軸を有すると共に、当該中心軸に直交する方向の開口長さを前記ベント口(7a)よりも小さくしたことを特徴とする請求項1記載の自動車用空気調和装置。
- 前記ベント口(7a)からの空気の流れ方向に沿う鉛直な分割面(52)で分割された第1のケース(Ca)と第2のケース(Cb)とを接合してなる枠体をなすケース(C) を有し、前記分割面(52)は、前記ベントダクト連通口(18)を通ることを特徴とする請求項1記載の自動車用空気調和装置。
Priority Applications (6)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP02403197A JP3793310B2 (ja) | 1997-02-06 | 1997-02-06 | 自動車用空気調和装置 |
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