JPWO2014045821A1 - 手押し車 - Google Patents
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Abstract
接地面が勾配を有する場合であっても、被歩行補助者が自分の感覚で釣合い方向を調整することができる手押し車を提供する。本発明に係る手押し車は、一対の車輪と、該一対の車輪を回転させる一又は複数の駆動部と、一方に一対の車輪が回転可能に支持される本体部と、本体部の他方に設けられている把持部と、一方にてピッチ方向に回転可能に本体部と連結してあり、他方にて一又は一対の補助輪を回転可能に支持する支持部とを備える。本体部と支持部とのなす角度を検出し、検出された角度に基づいて、本体部が接地面に直交する方向に対してなす角度を推算する。目標ピッチ角を修正する修正値の入力を受け付け、入力を受け付けた修正値により修正された目標ピッチ角に基づいて、本体部のピッチ方向の姿勢を制御する。
Description
本発明は、ピッチ方向への転倒を防止することができる手押し車に関する。
従来、老人、身障者等の歩行を補助する装置として、多くの歩行補助車が開発されている。従来の歩行補助車は、歩行中の転倒を防止するよう、4輪又は8輪で構成されることが多く、キャリーバッグ等を備えて歩行補助車の重心を下げることにより、歩行中の安定度を高めている。
また、坂道等の勾配のある斜面において、使用者の予想を超えた速度が出ることにより使用者が転倒することを防止する目的で、オイルダンパーを車輪軸に備えた歩行補助車も開発されている。例えば特許文献1には、回転軸の回転速度に応じて抵抗が増すようなオイルダンパーが車輪に固定されており、回転軸は車輪軸に接続されているので、車輪の回転を制動することができ、速度が出にくいように構成された歩行補助車が開示されている。
特許文献1に開示されている歩行補助車は、回転軸の回転速度に応じて抵抗が増すオイルダンパーを車輪に固定し、回転軸と車輪軸とが接続されているので、下り坂を走行する時にはオイルダンパーにより車体だけが前に進むことを抑制することができ、安全に使用できる。一方で、平地を走行する時にも常時オイルダンパーにより車輪の回転に抑止力が働くので、使用者にとっては常に負荷がかかった状態で、必要以上に力を加えないと移動することができないという問題点があった。
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、接地面が勾配を有する場合であっても、被歩行補助者が自分の感覚で釣合い方向を調整することができる手押し車を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明に係る手押し車は、一対の車輪と、該一対の車輪を回転させる一又は複数の駆動部と、一方に前記一対の車輪が回転可能に支持される本体部と、前記本体部の他方に設けられている把持部と、一方にてピッチ方向に回転可能に前記本体部と連結してあり、他方にて一又は一対の補助輪を回転可能に支持する支持部と、前記一又は複数の駆動部の動作を制御する制御部と、前記本体部と前記支持部とのなす角度を検出する角度検出手段と、該角度検出手段で検出された角度に基づいて、前記本体部が接地面に直交する方向に対してなす角度を推算する角度推算手段とを備え、該角度推算手段により推算された前記本体部が接地面に直交する方向に対してなす角度が、前記本体部のピッチ方向の傾斜角度の目標である目標ピッチ角になるよう前記本体部の動作を制御する手押し車において、前記目標ピッチ角を修正する修正値の入力を受け付ける修正値入力受付手段を備え、入力を受け付けた修正値により修正された前記目標ピッチ角に基づいて、前記本体部のピッチ方向の姿勢を制御することを特徴とする。
上記構成では、目標ピッチ角の修正値の入力を受け付け、入力を受け付けた修正値で修正された目標ピッチ角に基づいて、本体部のピッチ方向の姿勢を制御するので、接地面が勾配を有している場合であっても、接地面が水平な場合であっても、本体部の釣合い方向とするべき目標ピッチ角を被歩行補助者が自分の感覚で変動させることができる。例えば目標ピッチ角を、本体部がより被歩行補助者に近づく側、すなわち後方へシフトするよう修正値の入力を受け付けた場合、「ブレーキを利かせながら移動する」ことができ、被歩行補助者が把持部にもたれたとしても本体部が勝手に前に進むことがなく、安定した歩行を実現できる。一方、目標ピッチ角を、本体部が被歩行補助者から遠ざかる側、すなわち前方へシフトするよう修正値の入力を受け付けた場合、本体部が被歩行補助者を牽引する働きをする。また、修正値を被歩行補助者の好みに応じて変えることでブレーキの利き具合や本体部を牽引する制動力を調節することができる。したがって、被歩行補助者にとって快適な操作感を得ることができる。
また、本発明に係る手押し車は、前記修正値入力受付手段は、前記把持部の把持する部分の中心軸周りに回転することが可能な操作部を備えることが好ましい。
上記構成では、把持部の把持する部分の中心軸周りに回転することが可能な操作部を備えることにより、被歩行補助者は、把持部を把持しながら操作部を回転させることで、接地面の勾配に応じて釣合い方向を調整することができ、操作に違和感が生じることなく安定して歩行することが可能となる。
また、本発明に係る手押し車は、前記修正値入力受付手段は、前記把持部の把持する部分の近傍に、複数のボタンを配置した操作部を備えることが好ましい。
上記構成では、把持部の把持する部分の近傍に、複数のボタンを配置した操作部を備えることにより、短い操作時間で、接地面の勾配に応じて釣合い方向を調整することができ、操作に違和感が生じることなく安定して歩行することが可能となる。
また、本発明に係る手押し車は、前記修正値入力受付手段は、外部端末において前記修正値の入力を受け付けることが好ましい。
上記構成では、外部端末において修正値の入力を受け付けることにより、歩行する予定の道路の勾配に応じて事前に釣合い方向を調整することができ、操作に違和感が生じることなく安定して歩行することが可能となる。
また、本発明に係る手押し車は、前記修正値入力受付手段は、段階的に前記修正値の入力を受け付けることが好ましい。
上記構成では、段階的に修正値の入力を受け付けるので、簡単な操作で、接地面の勾配に応じて釣合い方向を調整することができ、操作に違和感が生じることなく安定して歩行することが可能となる。
上記構成によれば、目標ピッチ角の修正値の入力を受け付け、入力を受け付けた修正値で修正された目標ピッチ角に基づいて、本体部のピッチ方向の姿勢を制御するので、接地面が勾配を有している場合であっても、接地面が水平な場合であっても、本体部の釣合い方向とするべき目標ピッチ角を被歩行補助者が自分の感覚で変動させることができる。例えば目標ピッチ角を、本体部がより被歩行補助者に近づく側、すなわち後方へシフトするよう修正値の入力を受け付けた場合、「ブレーキを利かせながら移動する」ことができ、被歩行補助者が把持部にもたれたとしても本体部が勝手に前に進むことがなく、安定した歩行を実現できる。一方、目標ピッチ角を、本体部が被歩行補助者から遠ざかる側、すなわち前方へシフトするよう修正値の入力を受け付けた場合、本体部が被歩行補助者を牽引する働きをする。また、修正値を被歩行補助者の好みに応じて変えることでブレーキの利き具合や本体部を牽引する制動力を調節することができる。したがって、被歩行補助者にとって快適な操作感を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態に係る手押し車について、図面に基づいて具体的に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る手押し車の構成を示す斜視図である。本実施の形態に係る手押し車1は、一対の車輪2が、回転することが可能に本体部3の一端(一方)に支持されており、一対の車輪2が支持されている側とは反対側の、本体部3の一端(他方)に設けられている把持部4を被歩行補助者である老人、身障者等が把持して歩行する。なお、把持部4は、必ずしも一端に設けられている必要はなく、本体部3の途中に設けられていても良い。
ここで、ピッチ方向を明確にしておく。図2は、ピッチ方向、ロール方向及びヨー方向を説明する模式図である。図2に示すように、手押し車1がxy面上をx軸の(+)方向へ前進又はx軸の(−)方向へ後退するように移動する場合、y軸周りの回転方向がピッチ方向である。y軸の(+)方向を向いて反時計回りに車輪2が回転した場合には本体部3が前方へ傾斜し、y軸の(+)方向を向いて時計回りに車輪2が回転した場合には本体部3が後方へ傾斜する。また、x軸周りの回転方向がロール方向であり、本体部3が左右方向へ揺動する場合の回転方向である。さらに、z軸周りの回転方向がヨー方向であり、一対の車輪2の向きをx軸方向から傾ける場合の回転方向である。
図1に示すように、本体部3には、一対の車輪2を回転させるピッチ用モータ(駆動部)6を備える。本体部3と一対の車輪2とは、一対の車輪2を回転自在に支持するフレーム31で連結され、ピッチ用モータ6の回転は、本体部3に備えたベルト又はギヤ(図示せず)を介して一対の車輪2へ伝わる。なお、フレーム31は、本体部3の一部分である。
本体部3には、ピッチ用モータ6の動作(回転)を制御する制御基板(制御部)32及び電池33を備えている。制御基板32には、ドライバ、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、カウンタ、ピッチ用モータ6の動作を制御するコントローラ等が搭載されている。コントローラは、具体的にはマイクロプロセッサ、CPU、LSI等である。手押し車1は、一対の車輪2の回転に伴う反動トルクを利用してピッチ方向の釣合いをとるように制御されている。
また、本実施の形態に係る手押し車1は、被歩行補助者の歩行中の安定度を高めるために、補助輪8を備えている。補助輪8は、ピッチ方向に回転することが可能に一端にて本体部3と連結してある支持部7の他端にて、回転することが可能に支持されている。図1に示すように、一の補助輪8を備えていて良いし、ロール方向の安定度を高めるために一対の補助輪8を備えていても良い。なお、支持部7は、必ずしも一端が本体部3に連結している必要はなく、支持部7の中間部分が本体部3に連結していても良い。また、補助輪8は、必ずしも支持部7の他端で支持されている必要はなく、支持部7の他端が地面に接することがない範囲内であれば、支持部7の中間部分で支持されていても良い。
支持部7の回転中心である支点10の位置は、本体部3内であれば特に限定されるものではない。本体部3の転倒を防止することができれば足りるからである。
本実施の形態では、支持部7と本体部3とのなす角度(以下、交差角度)θ1は、支持部角度エンコーダ(角度検出手段)91の出力(パルス信号)から算出することにより検出される。
図3は、本発明の実施の形態に係る手押し車1のピッチ方向の転倒を防止する制御の一例を示す制御ブロック図である。図3に示すように、目標ピッチ角設定部44では、本体部3のピッチ方向の傾斜角度の目標である目標ピッチ角θrpの設定を受け付ける。修正値入力受付部46では、目標ピッチ角設定部44で設定を受け付けた目標ピッチ角θrpのシフト量の入力を受け付ける。具体的には、シフト量として修正値Δθの入力を受け付け、目標ピッチ角θrpに入力を受け付けた修正値Δθを加減算することにより、修正された目標ピッチ角θrpを求めることができる(θrp=θrp±Δθ)。
一方、角度検出部45では、支持部角度エンコーダ91の出力であるピッチ方向の角度から、本体部3と支持部7とのなす角度である交差角度θ1を算出する。
ピッチ傾斜角度推算部(角度推算手段)47では、算出された交差角度θ1に基づいて、本体部3が接地面に直交する方向に対してなす角度である傾斜角度(ピッチ傾斜角度)θ2を推算する。
目標ピッチ角速度計算部48では、設定を受け付けた目標ピッチ角θrpから推算された絶対傾斜角度を減じたピッチ角度偏差に比例ゲインを乗算して、目標ピッチ角速度ω2pを算出する。ピッチ用トルク指令生成部49では、算出された目標ピッチ角速度ω2pに対して、例えばPID制御によりピッチ用トルク指令τ0pを生成する。ピッチ用モータトルク指令電圧計算部50では、ピッチ用トルク指令τ0pに対して、変換係数を乗算して、指令電圧を算出する。最後に、ピッチ用D/Aコンバータ部51では、ドライバにD/A変換した指令電圧を出力し、ピッチ用モータ6の動作を制御する。また、ピッチ用トルク指令生成部49において、ジャイロセンサ等、本体部3のピッチ方向の角速度を検知する検知手段を備えている場合には、目標ピッチ角速度ω2pと該検知手段から得られたピッチ角速度との偏差に対して、例えばPID制御によりピッチ用トルク指令τ0pを生成しても良い。
ここで、ピッチ傾斜角度θ2を推算する方法について、以下に説明する。本実施の形態では、本体部3と支持部7とのなす角度である交差角度θ1に基づいて、本体部3が接地面に直交する方向に対してなす角度であるピッチ傾斜角度θ2を推算する。
図4は、本発明の実施の形態に係る手押し車1のモデルを側面から見た模式図である。図4では、説明を簡単にするために、一対の車輪2及び補助輪8の接地位置と一対の車輪2及び補助輪8の回転中心とが一致するよう模式的に表現してある。
図4に示すように、本体部3は、接地面に直交する方向に対してピッチ傾斜角度θ2をなすように傾斜している。そして、支持部7は、本体部3と交差角度θ1をなすように傾斜することにより、本体部3を支持する。図4では、左向きの矢印方向が手押し車1の前進方向であり、本体部3が後方へ傾斜した状態を示している。
交差角度θ1は、本体部3が接地面に直交する方向に対してなす角度(ピッチ傾斜角度)θ2に依存して変動する。これは、支持部7が本体部3を支持するよう傾斜するからである。しかし、本体部3の接地位置から支持部7との交点までの距離L1、及び支持部7の接地位置から本体部3との交点までの距離L2は一定であるので、一対の車輪2及び補助輪8が接地面に接地している限り、幾何学的にピッチ傾斜角度θ2を推算することができる。
すなわち、図4より(式1)の関係を導き出すことができる。
(式1)をピッチ傾斜角度θ2について解くと、(式2)のようにピッチ傾斜角度θ2を求めることができる。
しかし、(式2)に基づくピッチ傾斜角度θ2の算出方法は、三角関数を用いていることから演算処理負荷が比較的大きく、算出するまでに時間を要するので、リアルタイム性が求められる姿勢制御には向かない。そこで、本実施の形態では、交差角度θ1とピッチ傾斜角度θ2との関係を一次近似することにより、演算処理負荷を軽減して算出するまでに要する時間を短縮している。
図5は、交差角度θ1とピッチ傾斜角度θ2との関係を示すグラフである。図5では、距離L2=1.2×距離L1としている。図5に示すように、交差角度θ1が小さい部分ではピッチ傾斜角度θ2が大きく変動しているが、実際には、交差角度θ1が小さすぎると歩行中の安定感を欠く。
そこで、本実施の形態では、交差角度θ1が、20度から50度までの間で変動すると仮定することにより、交差角度θ1とピッチ傾斜角度θ2との関係を一次近似しやすくしている。図6は、交差角度θ1が20度から50度までの間で変動する場合の交差角度θ1とピッチ傾斜角度θ2との関係を示すグラフである。
図6に示すように、交差角度θ1とピッチ傾斜角度θ2との関係を一次近似することにより、例えばθ2=1.009×θ1−34.87という一次関数を得ることができ、精度を低下させることなくピッチ傾斜角度θ2を推算することができる。
図7は、接地面が勾配を有する場合の、手押し車1の接地状態を示す模式図である。図7では、手押し車1の接地面は、傾斜角度θ3の勾配を有する上り坂である。
この場合、上述した方法でピッチ傾斜角度θ2を推算しても、手押し車1の釣合い方向とはならず、後方へシフトする。そこで、本実施の形態では、被歩行補助者が自分の感覚で釣合い方向を調整することにより、接地面が勾配を有する場合であっても安定した倒立二輪走行を実現することができる。そのために、修正値入力受付部46により、目標ピッチ角設定部44で設定を受け付けた目標ピッチ角θrpのシフト量として修正値Δθの入力を受け付ける。
修正値Δθの入力の受付方法は、特に限定されるものではない。例えば、把持部4の把持する部分の中心軸周りに回転することが可能な操作部を両端に備え、操作部の回転角度に応じて修正値Δθの入力を受け付けても良い。図8は、本発明の実施の形態に係る手押し車1の把持部4の構成を示す模式図である。
図8に示すように、把持部4の把持する部分の中心軸周りに回転することが可能な操作部401、402を両端に備えており、それぞれに回転角度を検出する回転角センサ403、例えばポテンショメータ等を備えている。
回転角センサ403からの出力値に基づいて、操作部401、402がどの方向へ何度回転したのかを検出し、検出された回転方向及び回転角度に応じて、修正値Δθ及び加算、減算のいずれかを決定する。
もちろん、把持部4の把持する部分の中心軸周りに回転することが可能な操作部401、402を備えることに限定されるものではなく、把持部4の把持する部分の近傍に、複数のボタンを配置した操作部を備えていても良い。図9は、本発明の実施の形態に係る手押し車1の把持部4の他の構成を示す模式図である。
図9の例では、把持部4の把持する部分の近傍に、複数のボタン、例えば3つのボタン901、902、903を配置した操作部900を備えている。ボタン901は、目標ピッチ角を、本体部3が被歩行補助者から遠ざかる側、すなわち前方へシフトさせるためのボタンである。同様に、ボタン902は、初期の目標ピッチ角にリセットするためのボタンであり、ボタン903は、目標ピッチ角を、本体部3が被歩行補助者へ近づく側、すなわち後方へシフトさせるためのボタンである。
このように、被歩行補助者がボタン901又はボタン903のいずれかを接地面の勾配に応じて選択することにより、ボタンが押されている間のみ、一定の割合で目標ピッチ角のシフト量を増減させる、すなわち段階的に修正値Δθの入力を受け付けることができ、被歩行補助者は、接地面の勾配に応じて釣合い方向を調整することができる。なお、初期の目標ピッチ角にリセットするためのボタン902は、ボタン901とボタン903とを同時に押す操作で代用することも可能であり、必須ではないことは言うまでもない。
また、図10は、本発明の実施の形態に係る手押し車1の把持部4の他の構成を示す模式図である。図10の例では、把持部4の把持する部分の近傍に、段階的に修正値Δθの入力を受け付けることが可能な回転スイッチ101を配置した操作部100を両端に備えている。回転スイッチ101は、目標ピッチ角を一定の角度前方へシフトさせる、目標ピッチ角をシフトさせない、目標ピッチ角を一定の角度後方へシフトさせる、の3段階で切り換えることができる。また、ボタン901及びボタン903と同様に、回転スイッチ101が各回転位置に留まる時間に応じて一定の割合で目標ピッチ角のシフト量を増減させても良い。すなわち、段階的に修正値Δθの入力を受け付ければ良い。この場合、回転スイッチ101の中間位置を、修正された目標ピッチ角のシフト量を維持する機能に割り当てれば良い。
このように、被歩行補助者が回転スイッチ101を切り換えることにより、段階的に修正値Δθの入力を受け付けることができ、被歩行補助者は、接地面の勾配に応じて釣合い方向を調整することができる。
もちろん、段階的に修正値Δθの入力を受け付けることに限定されるものではなく、回転スイッチ101の回転角度に応じて修正値Δθの入力を受け付けるようにしても良い。
次に、図3の制御ブロック図で示した手押し車1の動作制御の一例について、フロ−チャートに基づいて説明する。図11は、本発明の実施の形態に係る手押し車1の制御基板32のコントローラのピッチ方向の転倒を防止する処理手順を示すフローチャートである。
図11に示すように制御基板32のコントローラは、制御目標となる目標ピッチ角θrpの設定を受け付ける(ステップS1101)。コントローラは、目標ピッチ角θrpを修正する修正値Δθの入力を受け付け(ステップS1102)、設定を受け付けた目標ピッチ角θrpに入力を受け付けた修正値Δθを加減算することにより目標ピッチ角θrpを修正する(ステップS1103)。
コントローラは、支持部角度エンコーダ91の出力に基づいて、本体部3と支持部7とのなす角度である交差角度θ1を算出し(ステップS1104)、算出された交差角度θ1に基づいて、本体部3のピッチ傾斜角度θ2を推算する(ステップS1105)。コントローラは、推算されたピッチ傾斜角度θ2と修正された目標ピッチ角θrpとの差分をピッチ角度偏差として算出し(ステップS1106)、算出したピッチ角度偏差に比例ゲインを乗算して、目標ピッチ角速度ω2pを算出する(ステップS1107)。
コントローラは、ピッチ用トルク指令生成部49において、目標ピッチ角速度ω2pに対して、例えばPID制御によりピッチ用トルク指令τ0pを生成するか否かを判断する(ステップS1108)。何らかの理由によりピッチ用モータ6の動作制御を停止する必要がある場合には、ピッチ用トルク指令τ0pを生成しないと判断する。
コントローラが、ピッチ用トルク指令τ0pを生成すると判断した場合(ステップS1108:YES)、コントローラは、生成したピッチ用トルク指令τ0pに対して、変換係数を乗算して指令電圧を算出する(ステップS1109)。コントローラは、算出した指令電圧をD/A変換し、ピッチ用モータ6の動作を制御するドライバにD/A変換した指令電圧を出力する(ステップS1110)。コントローラは、処理をステップS1101に戻し、上述した処理を繰り返す。
一方、コントローラが、ピッチ用トルク指令τ0pを生成しないと判断した場合(ステップS1108:NO)、コントローラは、ピッチ用モータ6の動作制御を停止して処理を終了する。これにより、ピッチ用D/Aコンバータ部51への指令(指令電圧の出力)が停止されるため、ピッチ用モータ6の動作制御は停止する。コントローラが、ピッチ用トルク指令τ0pを生成しないと判断する場合としては、例えば故意であるか、事故であるかを問わず、ピッチ用モータ6の動作制御中に電源が切れた、あるいはユーザがピッチ用モータ6の動作制御を停止するためにスイッチ等を介して停止入力を与えた場合等が考えられる。
以上のように本実施の形態によれば、目標ピッチ角θrpを修正する修正値Δθの入力を受け付け、入力を受け付けた修正値Δθで修正された目標ピッチ角θrpに基づいて、本体部3のピッチ方向の姿勢を制御するので、接地面が勾配を有している場合であっても、接地面が水平な場合であっても、本体部3の釣合い方向とするべき目標ピッチ角θrpを被歩行補助者が自分の感覚で変動させることができる。例えば目標ピッチ角θrpを、本体部3がより被歩行補助者に近づく側、すなわち後方へシフトするよう修正値Δθの入力を受け付けた場合、「ブレーキを利かせながら移動する」ことができ、被歩行補助者が把持部4にもたれたとしても本体部3が勝手に前に進むことがなく、安定した歩行を実現できる。一方、目標ピッチ角θrpを、本体部3が被歩行補助者から遠ざかる側、すなわち前方へシフトするよう修正値Δθの入力を受け付けた場合、本体部3が被歩行補助者を牽引する働きをする。また、修正値Δθを被歩行補助者の好みに応じて変えることでブレーキの利き具合や本体部3を牽引する制動力を調節することができる。したがって、被歩行補助者にとって快適な操作感を得ることができる。
なお、上述した実施の形態は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することができることは言うまでもない。例えば、ピッチ用モータ6を一対の車輪2に1個設けることに限定されるものではなく、車輪ごとに1個ずつピッチ用モータを設けても良い。また、支持部7が前方側に配置される構成、すなわち支持部7と被歩行補助者との間に本体部3が配置される構成であっても良い。この場合、前方、後方等の表現は、適宜読みかえれば良い。
また、修正値Δθの入力を、外部端末において受け付けるようにしても良い。「外部端末」とは、有線/無線を問わず、キー(ボタン)、タッチパネル等で入力を受け付けることができる端末を意味する。もちろん、これに限定されるものではなく、例えば音声認識により人が発する音声の特定のフレーズによって入力を受け付ける端末であっても良い。
1 手押し車
2 車輪
3 本体部
4 把持部
6 ピッチ用モータ(駆動部)
7 支持部
8 補助輪
10 支点
31 フレーム
32 制御基板(制御部)
33 電池
44 目標ピッチ角設定部
45 角度検出部
46 修正値入力受付部
47 ピッチ傾斜角度推算部(角度推算手段)
48 目標ピッチ角速度計算部
49 ピッチ用トルク指令生成部
50 ピッチ用モータトルク指令電圧計算部
51 ピッチ用D/Aコンバータ部
91 支持部角度エンコーダ(角度検出手段)
100、401、402、900 操作部
2 車輪
3 本体部
4 把持部
6 ピッチ用モータ(駆動部)
7 支持部
8 補助輪
10 支点
31 フレーム
32 制御基板(制御部)
33 電池
44 目標ピッチ角設定部
45 角度検出部
46 修正値入力受付部
47 ピッチ傾斜角度推算部(角度推算手段)
48 目標ピッチ角速度計算部
49 ピッチ用トルク指令生成部
50 ピッチ用モータトルク指令電圧計算部
51 ピッチ用D/Aコンバータ部
91 支持部角度エンコーダ(角度検出手段)
100、401、402、900 操作部
Claims (5)
- 一対の車輪と、
該一対の車輪を回転させる一又は複数の駆動部と、
一方に前記一対の車輪が回転可能に支持される本体部と、
前記本体部の他方に設けられている把持部と、
一方にてピッチ方向に回転可能に前記本体部と連結してあり、他方にて一又は一対の補助輪を回転可能に支持する支持部と、
前記一又は複数の駆動部の動作を制御する制御部と、
前記本体部と前記支持部とのなす角度を検出する角度検出手段と、
該角度検出手段で検出された角度に基づいて、前記本体部が接地面に直交する方向に対してなす角度を推算する角度推算手段と
を備え、該角度推算手段により推算された前記本体部が接地面に直交する方向に対してなす角度が、前記本体部のピッチ方向の傾斜角度の目標である目標ピッチ角になるよう前記本体部の動作を制御する手押し車において、
前記目標ピッチ角を修正する修正値の入力を受け付ける修正値入力受付手段を備え、
入力を受け付けた修正値により修正された前記目標ピッチ角に基づいて、前記本体部のピッチ方向の姿勢を制御することを特徴とする手押し車。 - 前記修正値入力受付手段は、前記把持部の把持する部分の中心軸周りに回転することが可能な操作部を備えることを特徴とする請求項1に記載の手押し車。
- 前記修正値入力受付手段は、前記把持部の把持する部分の近傍に、複数のボタンを配置した操作部を備えることを特徴とする請求項1に記載の手押し車。
- 前記修正値入力受付手段は、外部端末において前記修正値の入力を受け付けることを特徴とする請求項1に記載の手押し車。
- 前記修正値入力受付手段は、段階的に前記修正値の入力を受け付けることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の手押し車。
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