以下、図面を用いながら、開示の無線通信システム、無線端末、無線基地局および無線通信方法の実施形態について説明する。尚、便宜上別個の実施形態として説明するが、各実施形態を組み合わせることで、組合せの効果を得て、更に、有用性を高めることもできることはいうまでもない。
〔a〕LTEシステムにおけるULユーザデータ送信
以下ではまず、本実施形態を説明する前の準備として、LTEシステムにおける無線基地局1と携帯電話端末2との間のデータ通信の処理シーケンスを説明する。
図1に基づいて、LTEシステムにおけるUL(UpLink)ユーザデータの送信処理のシーケンスの一例を説明する。図1においては、ULユーザデータの送信処理に関する主要な手順を記載しており、全ての手順が記載されているわけではないことに注意されたい。
ここで「UL」は「上り」と言い換えることもでき、携帯電話端末2から無線基地局1に向かう方向を指す。また「ULユーザデータ」とは携帯電話端末2から無線基地局1に送信されるユーザデータを指す。なお、本願でのユーザデータは上位層データ、アプリケーションデータ等と言い換えることもでき、必ずしもユーザという人間が発生させたデータに限られないことに注意されたい。
また、本願では単に「ULデータ」という場合はULデータチャネルで送信されるデータを指すこととする。LTEシステムにおいては物理層のULデータチャネルはPUSCH(Physical Uplink Shared CHannel)と呼ばれる。ULデータは、前記のULユーザデータを包含する概念である。PUSCHで送信されるデータには、後述するRRC(Radio Resource Control)シグナリング等も含まれるためである。
まず図1の処理シーケンスの前提を説明する。携帯電話端末2は起動(電源投入)されると、いわゆるセルサーチを行うことにより選択した1つの無線基地局1に同期し、当該無線基地局1との間で通信開始のための種々の初期設定を行う。この初期設定において、無線基地局1は携帯電話端末2に対して、スケジューリング要求用のリソース割当を行う。ここでスケジューリング要求とは、携帯電話端末2がULデータ(ULユーザデータに限られない)を送信したい場合に、当該ULデータを送信するためのULの無線リソースの割当(スケジューリング)を無線基地局1に要求するための信号のことである。
図1において、S101で無線基地局1は、スケジューリング要求用リソースを携帯電話端末2に割当て、スケジューリング要求用リソース割当情報を当該携帯電話端末2に対して送信する。LTEシステムにおいては、スケジューリング要求用リソース割当情報はRRCConnectionSetupメッセージに含まれる。RRCConnectionSetupメッセージは、LTEシステムにおけるRRCシグナリングの一つであり、無線基地局1からDLのデータチャネルであるPDSCH(Physical Downlink Shared CHannel)を介して、携帯電話端末2ごとに個別に送信される信号である。
LTEシステムにおけるRRCConnectionSetupメッセージは、RadioResourceConfigDedicated情報要素を含む。またRadioResourceConfigDedicated情報要素は、PhysicalConfigDedicated情報要素を含む。さらにPhysicalConfigDedicated情報要素は、SchedulingRequestConfig情報要素を含む。このSchedulingRequestConfig情報要素は、スケジューリング要求用のULリソースを示す情報を含んでいる。
図2にLTEシステムにおけるSchedulingRequestConfig情報要素を示す。SchedulingRequestConfig情報要素は、スケジューリング要求用のULの無線リソースの設定(Setup)に関し、sr-PUCCH-ResourceIndex、sr-ConfigIndex、dsr-TransMaxの3つの情報(パラメータ)を含んでいる。このうちsr-ConfigIndexとsr-PUCCH-ResourceIndexにより、スケジューリング要求用の無線リソースが特定される。sr-ConfigIndexが、携帯電話端末2がスケジューリング要求を送信可能なサブフレームを示す。より具体的には、sr-ConfigIndexの値により、携帯電話端末2がどのサブフレーム(LTEでは1ミリ秒単位)からからどのぐらいのサブフレーム間隔でスケジューリング要求を送信可能であるかが定まる。さらに、sr-PUCCH-ResourceIndexは、sr-ConfigIndexに基づいて示されたサブフレームにおいて、携帯電話端末2がスケジューリング要求をマッピングするリソースエレメントを示す。携帯電話端末2がスケジューリング要求をマッピングするリソースエレメントは、ULの制御チャネルであるPUCCH(Physical Uplink Control CHannel)内のリソースである。言い換えると、スケジューリング要求はPUCCHを介して送受信される。dsr-TransMaxはスケジューリング要求用の無線リソースの設定を解放するタイミングを示す。
このように、スケジューリング要求用の無線リソースは周期的なULの無線リソースとなっている。これは携帯電話端末2にULデータがいつ発生するか分からないためである。携帯電話端末2はULデータが発生すると、スケジューリング要求用の周期的なULの無線リソースのいずれかを用いて、無線基地局1にスケジューリング要求を送信できる。
なお、スケジューリング要求用のリソース割当においては、リソースの大きさは示されない。これは、スケジューリング要求用の無線リソースは所定量だからである。また、その所定量は非常に小さい。スケジューリング要求は、携帯電話端末2が無線基地局1にULデータを送信したい旨を伝える為だけの信号だからである。
図1の説明に戻って、S101で携帯電話端末2は、無線基地局1が送信したスケジューリング要求用リソース割当情報を受信する。これにより、携帯電話端末2がスケジューリング要求用のULの無線リソースを認識し、ULユーザデータ送信の準備が整う。
次に、S102において、携帯電話端末2においてULユーザデータが発生したとする。例えば携帯電話端末2からWebのアクセスをする場合等にULユーザデータが発生する。このULユーザデータは携帯電話端末2内の送信バッファに一時的に格納される。
次にS103で携帯電話端末2は、S101で割当てられたスケジューリング要求用リソースを用いて、スケジューリング要求を無線基地局1に送信する。より具体的には、携帯電話端末2は、前記のsr-ConfigIndexで示される周期的なサブフレームのいずれかにおいて、前記のsr-PUCCH-ResourceIndexで示されるリソースエレメント(PUCCHに対応)にスケジューリング要求をマッピングして、無線基地局1に送信する。
次にS104で無線基地局1は、S103のスケジューリング要求に応答して、携帯電話端末2に対しULデータ用のリソース割当を行い、ULデータ用リソース割当情報を無線端末に送信する。S104で割当てられるULの無線リソースは、携帯電話端末2が無線基地局1にバッファ状態報告(BSR:Buffer Status Report)を送信するための比較的小さい所定量のリソースである。この時点では無線基地局1は携帯電話端末2が送信したいULユーザデータのサイズを認識していないため、ULユーザデータを送信するために必要十分なリソースを割当てることができない。そこで、無線基地局1はまず送信バッファ内のデータ(前記ULデータを含む)のサイズを携帯電話端末2に報告させるのである。
LTEシステムにおけるULデータ用リソース割当情報は、DLの制御情報であるDCI(Downlink Control Information)のフォーマット0に対応する。DCIのフォーマット0はUL Grantとも呼ばれるため、以下ではULデータ用リソース割当情報をUL Grantと呼ぶ。UL GrantはDLの制御チャネルであるPDCCH(Physical Downlink Control CHannel)を介して送信される。
図3にLTEシステムにおけるUL grantを示す。図3に示すUL GrantはLTEシステムがFDD(Frequency Division Duplex:周波数分割複信)を採用する場合のものであるがTDD(Time Division Duplex:時分割複信)を採用する場合も概ね同様である。図3に示されるように、UL grantにはいくつかの情報(パラメータ)が含まれている。このうち「Resource block assignment and hopping resource allocation」が、携帯電話端末2に割当てられたULデータ用リソースであるリソースブロックを示す情報である。ここでリソースブロックとは前記のサブフレームを周波数成分および時間成分で分割したものであり、前記のリソースエレメントよりも大きな単位リソースである。本願ではUL grantに含まれるその他の情報については説明を割愛する。
図1の説明に戻って、S104で携帯電話端末2は、無線基地局1が送信したULデータ用リソース割当情報を受信する。次にS105で無線端末は、S104で受信したULデータ用リソース割当情報(UL Grant)に応答して、当該ULデータ用リソース割当情報が示すULリソース(PDSCHに対応)を用いて、BSRを無線基地局1に送信する。LTEシステムにおいては、UL grant中の「Resource block assignment and hopping resource allocation」が示すリソースブロックは、当該UL grantが送信されたサブフレームの4サブフレーム後のものと決まっている。そのため無線端末は、受信したUL grantに対応するDLサブフレームの4個後のULサブフレームにおいて、当該UL grant中の「Resource block assignment and hopping resource allocation」が示すリソースブロックにBSRをマッピングして送信する。
図4にLTEシステムにおけるBSRを示す。BSRにはshort BSRとlong BSRとの2種類があり、携帯電話端末2はこれらを選択的に用いることができる。図4Aにshort BSRを示す。図4Bにlong BSRを示す。一つの携帯電話端末2が送信バッファを4つ持つことができるが、short BSRはバッファサイズ(Buffer Size value)を1つのみ送信できる。一方long BSRでは4つのバッファサイズを送信できる。
図4CはLTEシステムにおけるバッファサイズを示すテーブルである。このテーブルは無線基地局1と携帯電話端末2で予め共有されている。図4Cに示されるように、BSR中のバッファサイズの値は6ビットで量子化されている。携帯電話端末2は、図4Cのテーブルに基づいて、送信バッファ内のデータサイズ(Buffer Size value)に対応する量子化値(Index)を求める。そして、携帯電話端末2はこのIndexをBSRに格納して送信する。例えば、送信バッファのサイズが1000バイトである場合、携帯電話端末2はIndex=31をBSRに格納して無線基地局1に送信する。これに対し、無線基地局1も図4Cのテーブルに基づいて、BSRに格納されたIndexから携帯電話端末2の送信バッファ内のデータサイズ(の範囲)を求めることができる。
図1の説明に戻って、S105で無線基地局1は、携帯電話端末2が送信したBSRを受信する。次にS106で無線基地局1は、S105のBSRに応答して、当該BSRに基づいて携帯電話端末2に対してULデータ用のリソース割当を行い、ULデータ用リソース割当情報を携帯電話端末2に送信する。S106におけるULデータ用リソース割当情報は、前記のUL grantが用いられる。
S106で割当てられるULデータ用のULの無線リソース(PUSCHに対応)は、BSRに格納されたバッファサイズ(の量子化値)に基づくサイズのUL無線リソースである。別の言い方をすると、S106で無線基地局1は、ULユーザデータ送信の為に要求された量の無線リソースを携帯電話端末2に割当てる。無線基地局1によるULデータ用リソースの割当においては、BSRの他にULチャネル状態(UL受信品質)等も考慮されるが、詳細は割愛する。
最後にS107で携帯電話端末2は、S106で受信したULデータ用リソース割当情報に応答して、当該ULデータ用リソース割当情報が示すULデータ用リソース(PUSCHに対応)を用いて、ULユーザデータを無線基地局1に送信する。S107で無線基地局1は、S106で自ら割り当てたULデータ用リソースに基づき、ULユーザデータを受信する。以上により、ULユーザデータの送信処理が完了する。
〔b〕LTEシステムにおけるDLユーザデータ送信
次に図5に基づいて、LTEシステムにおけるDL(DownLink)ユーザデータの送信処理のシーケンスの一例を説明する。図5においては、DLユーザデータの送信処理に関する主要な手順を記載しており、全ての手順が記載されているわけではないことに注意されたい。
ここで「DL」は「下り」と言い換えることもでき、無線基地局1から携帯電話端末2に向かう方向を指す。「DLユーザデータ」とは無線基地局1から携帯電話端末2に送信されるユーザデータを指す。また、本願では単に「DLデータ」という場合はDLデータチャネルで送信されるデータを指すこととする。LTEシステムにおいては物理層のDLデータチャネルはPDSCH(Physical Downlink Shared CHannel)と呼ばれる。DLデータは、前記のDLユーザデータを包含する概念である。PDSCHで送信されるデータには、RRCシグナリング等も含まれるためである。
図5に示すDLユーザデータの送信においては、図1に示すULユーザデータの送信のように、携帯電話端末2から無線基地局1へのスケジューリング要求は必要ない。無線基地局1はDLユーザデータの発生を自ら認識することができるためである。また図5では、図1のように、携帯電話端末2から無線基地局1へのBSRの送信も必要ない。無線基地局1はDLユーザデータのサイズを自ら認識することができるためである。これらの理由により、図5に示すDLユーザデータの送信処理は、図1に示すULユーザデータの送信処理と比較して、大幅に簡略化されたものとなっている。
まず図5の処理シーケンスの前提を説明する。図1と同様に、携帯電話端末2は起動(電源投入)されると、いわゆるセルサーチを行うことにより選択した1つの無線基地局1に同期し、当該無線基地局1との間で通信開始のための種々の初期設定を行う。この初期設定において、無線基地局1は携帯電話端末2に対して、CQI(Channel Quality Indicator)報告用のULのリソース割当を行う。ここでCQIとは、DLのチャネル品質(DL無線信号の受信品質)を示す情報である。携帯電話端末2は、定期的にDL無線信号に含まれる参照信号(RS:Reference Signal)の受信品質を測定することでCQIを求め、先に割当てられたCQI報告用リソースを用いて無線基地局1に報告する。無線基地局1は携帯電話端末2から報告されたCQIに基づいて、当該携帯電話端末2にDLデータを送信する際に割当てるDLデータ用リソース(周波数成分)や、当該DLデータに適用する変調符号化方式(MCS:Modulation and Coding Scheme)を決定する。
図5の処理シーケンスを説明する。S201において、無線基地局1においてDLユーザデータが発生したとする。例えばインターネット上のサーバから送信されたWebページを携帯電話端末2に送信する場合等にDLユーザデータが発生する。このDLユーザデータは無線基地局1内の送信バッファに一時的に格納される。
S202で無線基地局1は、DLユーザデータを送信するためのDLデータ用リソース(PDSCHに対応)を携帯電話端末2に割当て、DLデータ用リソース割当情報を当該携帯電話端末2に送信する。前述したように無線基地局1はDLユーザデータのサイズを自ら認識しているため、当該サイズに基づいてDLデータ用リソースを割当てる。また、前述したように、DLデータ用リソースの割当には、CQI報告すなわちDLチャネル品質(DL受信品質)等も考慮される。LTEシステムにおいて、DLデータ用リソース割当情報は前述したDCI(Downlink Control Information)のフォーマット1A,1B、1C、1D、2、2A、2B、2Cのそれぞれが対応する。これら各フォーマットはリソース割当の規則等が異なっている。DLデータ用リソース割当情報であるDCIのフォーマット1A,1B、1C、1D、2、2A、2B、2Cは、図3で示したULデータ用リソース割当情報であるDCIのフォーマット0(UL Grant)と同様に、DLデータ用リソースを示す情報を含んでいる。ここではDCIのフォーマット1A,1B、1C、1D、2、2A、2B、2Cの詳細は割愛する。S202で携帯電話端末2は、DLデータ用リソース割当情報を無線基地局1から受信する。
そしてS203で無線基地局1は、S202で割当てたDLデータ用リソース(PDSCHに対応)を用いて、DLユーザデータを携帯電話端末2に送信する。そして携帯電話端末2は、S202で受信したDLデータ用リソース割当情報に基づき、DLユーザデータを受信する。
なお、LTEシステムにおいては、DLデータ用リソース割当情報(DCIフォーマット1A,1B、1C、1D、2、2A、2B、2C)とそれに対応するDLデータは同一のサブフレームにおいて送信される。言い換えると、S202とS203は同一のサブフレーム(LTEでは1ミリ秒)で送信される。ただし、DCIは当該サブフレームの先頭部分に配置されるデータチャネルPDCCHにマッピングされ、DLデータはその後方に配置される制御チャネルPDSCHにマッピングされる。そのため、携帯電話端末2は図5に示す通り、まずDLデータ用リソース割当情報(DCI)を受信し(S202)、受信したDLリソース情報に基づいてDLユーザデータを受信する(S203)ことになる。以上により、DLユーザデータの送信処理が完了する。
以下では本願の実施形態を順に述べる。第1〜第4実施形態は、ULユーザデータ送信を実現するものである。第5〜第6実施形態は、DLユーザデータ送信を実現するものである。本願では、ULユーザデータ送信を実現する実施形態とDLユーザデータ送信を実現する実施形態とは任意に組み合わせることができる。一例として、第1実施形態と第5実施形態とを組み合わせた無線通信システムを実現することができる。当該無線通信システムにおいては、ULユーザデータ送信は第1実施形態に基づいて実現され、DLユーザデータ送信は第5実施形態に基づいて実現されることになる。この例に限らず、本願は、以下で述べるULユーザデータ送信を実現する実施形態とDLユーザデータ送信を実現する実施形態とを任意に組み合わせた全ての実施形態を開示するものである。
〔c〕第1実施形態
第1実施形態は、ULユーザデータの送信処理を実現するものである。
まず本願の実施形態に共通の事項について説明する。本願の実施形態では、無線基地局1、携帯電話端末2、端末間通信向け無線端末3が登場する。以降では説明の便宜上、無線基地局1と携帯電話端末2との間の通信区間(通信リンク)を第1区間、携帯電話端末2と端末間通信向け無線端末3との間の通信区間(通信リンク)を第2区間と呼ぶこととする。なお、無線基地局1と端末間通信向け無線端末3との距離が近い場合等にはこれらが携帯電話端末2を介さずに通信を行うことも考えられるが、その場合は通常の無線基地局1と携帯電話端末2との通信と変わりないので、本願では特に考慮しないこととする。
本願の実施形態はいずれも、特に断りがない限り、次のような前提を有するものとする。無線基地局1と携帯電話端末2との間の送受信は、LTEの規格に基づいて、当該無線基地局1に用意された無線リソース(周波数帯域)を用いて行われる。また、無線基地局1と携帯電話端末2との間の無線通信方式としては、LTEの規格に基づいた方式が採用される。
一方、携帯電話端末2とITC端末との間のデータ通信は、平常時には、無線基地局1に用意された前記無線リソースと重ならないような、予め決められた端末間専用の無線リソース(周波数帯域)を用いて行われるものとする。この端末間専用の無線リソースとしては、一例として、WiFi(登録商標)等の無線LAN(Local Area Network)の規格で用いられる無線リソース(周波数帯域)を使用することができる。また、携帯電話端末2と端末間通信向け無線端末3との間の無線通信方式としては、一例として、WiFi(登録商標)等の無線LANの規格に基づいた方式を採用することができる。
ただし、本願の実施形態の無線通信システムは、所定の場合に、携帯電話端末2とITC端末との間のデータ通信を、無線基地局1に用意された前記無線リソースを用いて行うことができる。ここで「所定の場合」とは平常時ではない場合であり、例えば、前記端末間専用リソースが不足している場合(輻輳が発生している場合等)とすることができる。また、携帯電話端末2と端末間通信向け無線端末3との間の無線通信方式としては、平常時と同様に、WiFi(登録商標)等無線LANの規格に基づいた方式を採用することができる。以上が、本願の各実施形態における前提である。
これにより、本願の各実施形態の無線通信システムは、通常の場合は携帯電話端末2とITC端末との間のデータ通信を端末間専用リソースを用いて行うとともに、当該端末間専用リソースが不足した場合等には無線基地局1に要された無線リソースを用いて行うことができるようになる。また、いずれの無線リソースを用いる場合であっても、携帯電話端末2とITC端末との間の通信方式は変更不要である。そのため、本願の実施形態のITC端末は前提となるITC端末から大きな変更を加えることなく実現することができる。
ここからは、図6に基づいて、第1実施形態におけるULユーザデータの送信処理のシーケンスの一例を説明する。図6においては、ULユーザデータの送信に関する主要な手順を記載しており、全ての手順が記載されているわけではないことに注意されたい。
図6では、図1と同様に、携帯電話端末2は起動(電源投入)されると、いわゆるセルサーチを行うことにより選択した1つの無線基地局1に同期し、当該無線基地局1との間で通信開始のための種々の初期設定を行う。図6のS301はこの初期設定に相当する。
図6のS301において、無線基地局1は、第1区間向けのスケジューリング要求用リソースを携帯電話端末2に割当て、第1区間向けスケジューリング要求用リソース割当情報を当該携帯電話端末2に送信する。
ところで、第1実施形態においては後述するように第2区間においてもスケジューリング要求が行われる為、第2区間向けスケジューリング要求用リソース割当情報を用意する必要がある。ここで、第1区間向けスケジューリング要求用リソース割当情報と第2区間向けスケジューリング要求用リソース割当情報として、図2で示したLTEにおけるSchedulingRequestConfig情報要素をそのまま用いると仮定する。その場合であっても、2種類のスケジューリング要求用リソース割当情報は送信される場面が異なるため、携帯電話端末2は2種類のスケジューリング要求用リソース割当情報をある程度識別できると考えられる。しかしながら、場面が重複するケース等においては、携帯電話端末2は2種類のスケジューリング要求用リソース割当情報を明確に識別できない恐れが残るため好ましくない。そこで、第1実施形態のスケジューリング要求用リソース割当情報としては、上述の前提となるLTEにおけるSchedulingRequestConfig情報要素を一部変更したものを用いることができる。
図7に、第1実施形態におけるSchedulingRequestConfig情報要素の一例を示す。図7に示すSchedulingRequestConfig情報要素は、図2に示すものと比較して、情報(パラメータ)sr-Objectを追加している(下線部)。sr-Objectは、当該SchedulingRequestConfig情報要素が設定するスケジューリング要求用リソースが第1区間向けであるか第2区間向けであるかを示す情報である。ここでは、sr-Objectは1ビットの情報(BOOLEAN)であり、スケジューリング要求用リソースが第1区間向けである場合は0、第2区間向けである場合は1とすることができる。これにより、携帯電話端末2が2種類のスケジューリング要求用リソース割当情報を容易に識別することが可能となる。
図6の説明に戻って、S301における第1区間向けのスケジューリング要求用の無線リソース割当情報は、図7に示すSchedulingRequestConfig情報要素においてsr-Objectを0にセットしたものとすることができる。
次に、端末間通信向け無線端末3が携帯電話端末2を介してネットワークへの接続処理を行う。この接続処理は、図6のS302〜S310に対応する。
S302で端末間通信向け無線端末3は、第2区間接続要求を携帯電話端末2に送信する。第2区間接続要求は、端末間通信向け無線端末3識別子を含むものとすることができる。端末間通信向け無線端末3識別子としては、ネットワーク上の装置に予め一意に付与される物理的な識別子(物理アドレス)であるMAC(Media Access Control)アドレスを用いることができる。第2区間接続要求は、前述した携帯電話端末2と端末間通信向け無線端末3の間の通信用に予め割当てられた端末間専用無線リソースを用いて送信することができる。なお、S302においては、第2区間で第2区間接続要求を送受信する代わりに、ユーザが第2区間接続要求相当の情報を携帯電話端末2に入力することとしてもよい。
図3のS303〜S307で、携帯電話端末2は、S302で受信した第2区間接続要求に基づいて、第1区間接続要求を無線基地局1に送信する。第1区間接続要求は、第2区間接続要求中の端末間通信向け無線端末3識別子を含むものとすることができる。第1区間接続要求はULデータの一種である。そのため、第1区間接続要求の送信処理であるS303〜S307は、一般的なULデータの送信処理である図5のS203〜207に沿って行えばよいが、次の2点に留意する必要がある。
1つ目の留意点は、図6のS304およびS306で送受信されるULデータ用リソース割当情報に関する。第1実施形態においては従来のように第1区間のみならず、後述するように第2区間においてもULデータ用リソース割当が行われる為、第2区間向けULデータ用リソース割当情報を用意すると必要がある。したがって、第1実施形態におけるULデータ用リソース割当情報としては、第1区間向けULデータ用リソース割当情報と第2区間向けULデータ用リソース割当情報との2種類がありうる。第1区間向けULデータ用リソース割当情報は従来のULデータ用リソース割当情報に相当し、第1区間でのULデータ送信に用いるULリソースを示すためのものである。これに対し、第2区間向けULデータ用リソース割当情報は、第2区間でのULデータ送信に用いるULリソースを示すためのものである。
ここで、第1区間向けULデータ用リソース割当情報と第2区間向けULデータ用リソース割当情報として図3で示した従来のLTEにおけるULデータ用リソース割当情報(UL Grant)をそのまま用いると、携帯電話端末2にとって2つのULデータ用リソース割当情報が識別できなくなる恐れがあるので好ましくない。携帯電話端末2はULデータ用リソース割当情報を受信すると、当該ULデータ用リソース割当情報が第1区間向けの場合は当該ULリソースに基づいて「送信」を行う必要があるのに対し、当該ULデータ用リソース割当情報が第2区間向けの場合は当該ULリソースに基づいて「受信」を行う必要があるためである。そこで、第1実施形態のULデータ用リソース割当情報としては、従来のLTEにおけるULデータ用リソース割当情報(UL Grant)を一部変更したものを用いることができる。
図8に、第1実施形態におけるULデータ用リソース割当情報(UL Grant)の一例を示す。図8に示すULデータ用リソース割当情報は、図3に示すものと比較して、情報(パラメータ)Granted Objectを追加している(下線部)。Granted Objectは、当該ULデータ用リソース割当情報が第1区間向けであるか第2区間向けであるかを示す情報である。ここでは、Granted Objectは1ビットの情報(BOOLEAN)であり、ULデータ用リソース割当情報が第1区間向けである場合は0、第2区間向けである場合は1とすることができる。これにより、携帯電話端末2が2種類のULデータ用リソース割当情報を容易に識別することが可能となる。
図6のS304およびS306における第1区間向けULデータ用リソース割当情報は、図8に示すUL GrantにおいてGranted Objectを0にセットしたものとすることができる。
2つ目の留意点は、図6のS305で送受信されるBSRに関する。第1実施形態においては従来のように第1区間のみならず、後述するように第2区間においてもULデータ用リソース割当が行われる為、第2区間向けBSRを用意すると必要がある。したがって、第1実施形態におけるBSRとしては、第1区間向けのBSRと第2区間向けのBSRとの2種類がありうる。第1区間向けのBSRは従来のBSRに相当し、第1区間でのデータ送信に必要なリソース量(バッファサイズ)を無線基地局1に報告するためのものである。これに対し、第2区間向けのBSRは第2区間でのデータ送信に必要なリソース量(バッファサイズ)を無線基地局1に報告するためのものである。
ここで、第1区間向けのBSRと第2区間向けのBSRとして図4で示した従来のLTEにおけるBSRをそのまま用いると、無線基地局1にとって2つのBSRが識別できなくなる恐れがあるので好ましくない。無線基地局1はBSRを受信するとULデータ用リソースを割り当てるが、その後無線基地局1は、当該BSRが第1区間向けの場合は当該ULデータ用リソースに基づいて受信を行う必要があるのに対し、当該BSRが第2区間向けの場合は当該ULデータ用リソースに基づいて受信を行う必要がないためである。そこで、第1実施形態のBSRとしては、従来のLTEにおけるBSRを一部変更したものを用いることができる。
図9に、第1実施形態におけるBSRの一例を示す。図9に示すBSRは、図4に示すものと比較して、情報(パラメータ)Buffer Ownerを追加している(下線部)。Buffer Ownerは、当該BSRが第1区間向けであるか第2区間向けであるかを示す情報である。ここでは、Buffer Ownerは1ビットの情報(BOOLEAN)であり、BSRが第1区間向けである場合は0、第2区間向けである場合は1とすることができる。これにより、無線基地局1が2種類のBSRを容易に識別することが可能となる。
図6のS305における第1区間向けBSRは、図9に示すBSRにおいてBuffer Ownerを0にセットしたものとすることができる。
図6の説明に戻って、S308で無線基地局1は、第2区間向けのスケジューリング要求用リソースを携帯電話端末2に割当て、第2区間向けスケジューリング要求リソース割当情報を当該携帯電話端末2に送信する。S308における第2区間向けスケジューリング要求用リソース割当情報は、図7に示すSchedulingRequestConfig情報要素においてsr-Objectを1にセットしたものとすることができる。
S309で携帯電話端末2は、S308で割当てられた第2区間向けスケジューリング要求用リソース割当を端末間通信向け無線端末3に通知する。この通知は、前述した携帯電話端末2と端末間通信向け無線端末3の間の通信用に予め割当てられた端末間専用無線リソースを用いて行うことができる。また、S309の通知としては、S308で受信したSchedulingRequestConfig情報要素をそのまま転送することもできるし、必要に応じて所定の変換を行ってもよい。なお、S309においては、第2区間で第2区間向けスケジューリング要求用リソース割当を通知する代わりに、ユーザ第2区間向けスケジューリング要求用リソース割当相当の情報をITC端末に入力することとしてもよい。
そしてS310で端末間通信向け無線端末3は無線基地局1に同期するための同期処理を行う。この同期は時間同期および周波数同期を含むものとする。
一般に無線リソースの割当は時間成分と周波数成分とで行われる。そのため、無線基地局1、携帯電話端末2、端末間通信向け無線端末3の三者間で無線リソースの割当を行うためには、三者間で時間および周波数の同期が取れることが必要条件となる。S310の同期処理により、端末間通信向け無線端末3は無線基地局1と同期を取ることができる。また前述したように、無線基地局1と携帯電話端末2では初期設定において既に同期が取られている。したがってS310の同期処理により、無線基地局1、携帯電話端末2、端末間通信向け無線端末3の三者間で時間および周波数の同期が取れることになり、前記の必要条件が満たされる。
S310における端末間通信向け無線端末3による無線基地局1への同期処理は、例えば、携帯電話端末2が無線基地局1に対して行うのと同様に、セルサーチに基づいて行うことができる。また他の方法として、端末間通信向け無線端末3がネットワークアシストを受けて同期処理を行うこともできる。ネットワークアシストとしては、例えば、無線基地局1が使用する周波数帯域等の同期に必要な情報を携帯電話端末2が端末間通信向け無線端末3に通知することができる。同期に必要な情報の通知は、前述した携帯電話端末2と端末間通信向け無線端末3の間の通信用に予め割当てられた端末間専用無線リソースを用いて行うことができる。
以上の手順により、ULユーザデータ送信の準備が整う。
次にS311において、端末間通信向け無線端末3にULユーザデータが発生したとする。一例として、端末間通信向け無線端末3が電力メーター端末であり、電力使用量レポートをインターネット上のサーバに送信する場合等に、端末間通信向け無線端末3にULユーザデータが発生する。
S312で端末間通信向け無線端末3は、S309で受信した第2区間向けスケジューリング要求用リソース割当情報が示すスケジューリング要求用リソースを用いて、スケジューリング要求を携帯電話端末2に送信する。S312のスケジューリング要求としては、図1のS103におけるスケジューリング要求を用いることもできるし、他の信号を用いてもよい。S312で携帯電話端末2はスケジューリング要求を端末間通信向け無線端末3から受信する。
次に、S313〜S316で携帯電話端末2は、所定量の第2区間向けULデータ用リソースの割当を無線基地局1から受ける。S313〜S316は、図1のS103〜S106にそれぞれ対応する処理であるが、いくつか異なる点があるため以下で説明する。
S313で携帯電話端末2は、S301で受信した第1区間向けスケジューリング要求用リソース割当情報が示すスケジューリング要求用リソースを用いて、スケジューリング要求を無線基地局1に送信する。S313で無線基地局1はスケジューリング要求を携帯電話端末2から受信する。S313のスケジューリング要求としては、S103で用いたのと同じ信号を用いることができる。
S314で無線基地局1は、S313のスケジューリング要求に応答して、第1区間向けULデータ(BSR)用リソースを携帯電話端末2に割当て、第1区間向けULデータ用リソース割当情報を携帯電話端末2に送信する。S314における第1区間向けULデータ用リソース割当情報は、図8に示すUL GrantにおいてGranted Objectを0にセットしたものとすることができる。
次にS315で携帯電話端末2は、S314で受信した第1区間向けULデータ(BSR)用リソース割当情報で示されるULデータ用リソースを用いて、BSRを無線基地局1に送信する。S315における第2区間向けのBSRは、図9に示すBSRにおいてBuffer Ownerを1にセットしたものとすることができる。
さらに、S315において携帯電話端末2は、第2区間向けのBSRにおいて、バッファサイズ情報を所定値(固定値)に設定する。この時点の携帯電話端末2は、端末間通信向け無線端末3が送信したいULユーザデータのサイズを把握していない。そのため携帯電話端末2は、まず第2区間向けの所定値の第2区間向けULデータ用リソースを確保する。この所定値としては、最低でも端末間通信向け無線端末3がULユーザデータのサイズを送れる程度である必要があるが、ある程度の大きさである方が望ましい。端末間通信向け無線端末3のULユーザデータがそれほど大きくない場合に、所定値の第2区間向けULデータ用リソースを用いて当該ULユーザデータを1度で送信できるためである。
S316で無線基地局1は、S315で受信したBSRに基づき、第2区間向けULデータ用のULリソースを携帯電話端末2に割当て、第2区間向けULデータ用リソース割当情報を当該携帯電話端末2に送信する。S316における第2区間向けULデータ用リソース割当情報は、図8に示すUL GrantにおいてGranted Objectを1にセットしたものとすることができる。
次にS317で、携帯電話端末2はS316で割当てられた第2区間向けULデータ用リソース割当情報を端末間通信向け無線端末3に通知する。S317の通知としては、S314で受信したUL Grantをそのまま転送することもできるし、必要に応じて変換を行ってもよい。
携帯電話端末2はS317の通知を、S316で割当てられた第2区間向けULデータ用リソースを用いて行う。ここで、端末間通信向け無線端末3はS317の通知を受信する前は、第2区間向けULデータ用リソースを特定することはできない。しかし、端末間通信向け無線端末3はS310の同期処理において、無線基地局1に用意された周波数帯域である無線基地局1の周波数帯域を把握している。端末間通信向け無線端末3は、S312でスケジューリング要求を送信した後に、無線基地局1の周波数帯域の全域を監視する。これにより、S317の通知が無線基地局1の周波数帯域のどこにマッピングされていても、端末間通信向け無線端末3はS317の通知を検出できる。従来のLTEシステムにおいても、携帯電話端末2は無線基地局1の周波数帯域の全域を監視してUL Grantを検出しており、S317の処理もそれに倣ったものであると言える。
S318で端末間通信向け無線端末3は、S317の第2区間向けULデータ用リソース通知に応答して、当該通知が示す第2区間向けULデータ用リソース(所定量分)を用いて、ULユーザデータと残りデータサイズとを携帯電話端末2に送信する。S318で端末間通信向け無線端末3は、所定量の第2区間向けULデータ用リソースにおいてデータの送信に使える領域(所定量からヘッダやCRC等に必要な分を除いたもの)のうち、第1の領域にULユーザデータの一部または全部を格納し、第2の領域に残りデータのサイズを格納する。
具体例を挙げて説明する。一例として、所定量の第2区間向けULデータ用リソース中のデータの送信に使える領域のサイズが1000ビットであるとする。また、第2領域に格納される残りデータサイズは、BSRと同様の規則(図4C)により6ビットで量子化されるとする。このとき、所定量の1000ビットのうち先頭の994ビットを第1領域とし、残りの6ビットを第2領域とする。
ここでは一つの事例(事例1と称する)として、端末間通信向け無線端末3が有するULユーザデータのサイズが10000ビットである場合を考える。このとき、端末間通信向け無線端末3は、10000ビットのULユーザデータのうち、先頭の994ビットを第1領域に格納する。また端末間通信向け無線端末3は、ULユーザデータの残りデータサイズである10000−994=9006ビット≒1126バイトをBSR同様の規則(図4C)により量子化した値である「31」を第2領域に格納する。
以下ではこの事例1に基づいて第1実施形態の説明を続ける。
S318で携帯電話端末2は、S316で割当てられた第2区間向けULデータ用リソースに基づいて、ULユーザデータの一部と残りデータサイズを端末間通信向け無線端末3から受信する。前述した事例1においては、携帯電話端末2は、受信した第2領域の値「31」により残りデータが存在することを認識し、第1領域に格納されたULユーザデータの一部を一時的に記憶部に格納する。そして携帯電話端末2は、端末間通信向け無線端末3が残りデータを送信するための第2区間向けULデータ用リソースの割当をさらに受けるための処理を行う。
S319〜S322が、端末間通信向け無線端末3が残りデータを送信するための第2区間向けULデータ用リソースの割当をさらに受けるための処理に対応する。S319〜S322の処理は、S313〜S316の処理とほぼ同様に行えばよい。ただし、S321において携帯電話端末2は、BSR中で指定するバッファサイズ情報を、S318において第2領域に格納された残りデータサイズに基づいて指定する。これにより、携帯電話端末2は無線基地局1から残りデータサイズ分の第2区間向けULデータ用リソースの割当を受けることができる。その他の点については、S319〜S322の処理はS313〜S316の処理と同様であるため、詳細は割愛する。
次にS323で、携帯電話端末2はS322で割当てられた第2区間向けULデータ用リソース割当情報を端末間通信向け無線端末3に通知する。S323はS317と同様に行えばよい。
そしてS324で端末間通信向け無線端末3は、S323の第2区間向けのULデータ用リソース割当情報の通知に応答して、当該通知が示す第2区間向けULデータ用リソース(残りデータサイズ分)を用いて、ULユーザデータの残りデータを携帯電話端末2に送信する。事例1においては、端末間通信向け無線端末3はS318で送信できなかった9006ビットの残りデータを、S324で携帯電話端末2に送信する。
S324で携帯電話端末2は残りデータを端末間通信向け無線端末3から受信する。携帯電話端末2は、S318で既に受信したULユーザデータの一部と、S324で受信した残りデータとを結合して元のULユーザデータを復元し、送信バッファに格納する。
そして携帯電話端末2は、送信バッファに格納したULユーザデータを無線基地局1へ送信する処理を行う。S325〜S329が、携帯電話端末2がULユーザデータを無線基地局1へ送信する処理に対応する。S325〜S329の処理は、図1におけるS103〜S107の処理とほぼ同様であるが、一部に異なる点もあるので概要を説明する。
まずS325で携帯電話端末2は、S301で割当てられた第1区間向けスケジューリング要求用リソースを用いて、スケジューリング要求を無線基地局1に送信する。S326で無線基地局1は、S325のスケジューリング要求に応答して、第1区間向けULデータ(BSR)用リソースを携帯電話端末2に割当て、ULデータ用リソース割当情報を当該携帯電話端末2に送信する。S327で携帯電話端末2は、S326で割当てられた第1区間向けULデータ(BSR)用リソースを用いて、BSRを無線基地局1に送信する。S327における第1区間向けのBSRは、図9に示すBSRにおいてBuffer Ownerを0にセットしたものとすることができる。S328で無線基地局1は、S327のBSRを受信すると、当該BSRに基づいて第1区間向けULデータ用リソースを携帯電話端末2に割当て、ULデータ用リソース割当情報を当該携帯電話端末2に送信する。最後にS329で携帯電話端末2は、S328で割当てられた第1区間向けULデータ用リソースを用いて、ULユーザデータを無線基地局1に送信する。S329で無線基地局1は、S328で自ら割り当てた第1区間向けULデータ用リソースに基づき、ULユーザデータを携帯電話端末2から受信する。以上により、第1実施形態におけるULユーザデータの送信処理が完了する。
一方、上記とは別の事例(事例2と称する)として、端末間通信向け無線端末3が有するULユーザデータのサイズが500ビットである場合を考える。図10に基づいて、事例2の場合の第1実施形態におけるULユーザデータの送信処理のシーケンスの一例を説明する。
図10のS401〜S417は、図6のS301〜S317にそれぞれ対応するので、説明は省略する。S418で端末間通信向け無線端末3は、500ビットのULユーザデータを前記の第1領域に格納する。また端末間通信向け無線端末3は、ULユーザデータの残りデータは無いので、残りデータサイズとして0ビット=0バイトをBSR同様の規則(図4C)により量子化した値である「0」を前記の第2領域に格納する。
事例2に対応する図10のS419で携帯電話端末2は、S418で受信した第2領域の値「0」により残りデータが存在しないことを認識するので、残りデータ用の第2区間向けULデータ用リソースの割当を無線基地局1から受ける必要はない。したがって、図10においては、図6におけるS319〜S324が不要となる。
そして、携帯電話端末2はS418で受信したULユーザデータ(全部)を無線基地局1に送信する処理を行う。図10におけるS419〜S423が、携帯電話端末2がULユーザデータ(全部)を無線基地局1に送信する処理に対応する。図10のS419〜S423は、図6のS325〜S329にそれぞれ対応するので、説明は省略する。
以上説明した第1実施形態によれば、ULユーザデータ送信処理において、端末間通信向け無線端末3と携帯電話端末2との間の端末間通信用の無線リソースが必要になった場合(例えば予め用意された端末間通信用の専用リソースが輻輳等により不足した場合等)に、当該端末間通信用の無線リソースを無線基地局1に用意された無線リソースから必要な量を割当てることができる。これにより、端末間通信向け無線端末3と携帯電話端末2との間の無線リソースを柔軟に割当てることが可能となっている。また、いずれの無線リソースを用いる場合であっても、携帯電話端末2とITC端末との間の通信方式は変更不要である。そのため、本願の実施形態のITC端末は従来のITC端末から大きな変更を加えることなく実現することができる。
さらに、第1実施形態の処理シーケンスによれば、ULユーザデータ送信処理において、端末間通信向け無線端末3と携帯電話端末2との間の端末間通信用にLTEのスケジューリング要求用の無線リソースを割当てている。これにより、LTEの無線基地局1に用意された無線リソース(周波数帯域)に閉じた運用が可能となるとともに、従来のLTEシステムからの変更が少なくて良い(導入コストが少ない)という効果も得られる。
〔d〕第2実施形態
第2実施形態は、第1実施形態と同様に、ULユーザデータの送信処理を実現するものである。第1実施形態では、第2区間(端末間通信向け無線端末3から携帯電話端末2)でULユーザデータを送信する際に、まず所定量の第2区間向けULデータ用リソースを用いてULユーザデータの全部または一部と残りデータサイズを送った後に、残りデータがある場合は残りデータサイズ分の第2区間向けULデータ用リソースの割当を受けて残りデータを送信していた。これに対し第2実施形態では、第2区間でULユーザデータを送信する際に、まず所定量の第2区間向けULデータ用リソースを用いてULユーザデータのサイズを送った後に、ULユーザデータサイズ分の第2区間向けULデータ用リソースの割当を受けてULユーザデータを送信するものである。
図11に基づいて、第2実施形態におけるULユーザデータの送信処理のシーケンスの一例を説明する。図11においては、ULユーザデータの送信に関する主要な手順を記載しており、全ての手順が記載されているわけではないことに注意されたい。
第2実施形態に係る図11のS501〜S529は、第1実施形態に係る図6のS301〜S329にほぼ対応している。以下では図11において図6と異なる点のみを中心に説明する。
図11のS515で携帯電話端末2は、第2区間向けBSRを無線基地局1に送信する。ここで、この第2区間向けのBSRにおいて、バッファサイズ情報を所定値(固定値)に設定するのは図6のS315と同様である。ただし、S515の第2区間向けBSRにおけるこの所定値は、端末間通信向け無線端末3がULユーザデータのサイズを送れる量で十分である。例えば、端末間通信向け無線端末3がULユーザデータのサイズを送る際にBSRと同様の規則(図4C)で5ビットに量子化する場合であれば、この所定値は5ビット(を示す値)で十分である。このとき、S515の第2区間向けBSRの所定値は、5ビット=0.625バイトをBSRの規則(図4C)で量子化した値である「1」となる。別の例として、端末間通信向け無線端末3がULユーザデータのサイズを送る際にBSRそのもの(図4または図9)を用いることもできる。この場合もS515の第2区間向けBSRの所定値は「1」となる。
図11のS518で端末間通信向け無線端末3は、S517の第2区間向けULデータ用リソース割当情報の通知に応答して、当該通知が示す第2区間向けULデータ用リソース(所定量分)を用いて、ULユーザデータのサイズを携帯電話端末2に送信する。図6のS318ではULユーザデータの全部または一部が送信されるが、S517ではULユーザデータのサイズのみが送信される。
図11のS524で端末間通信向け無線端末3は、S523の第2区間向けのULデータ用リソース割当情報の通知に応答して、当該通知が示す第2区間向けULデータ用リソース(ULユーザデータのサイズ分)を用いて、ULユーザデータ(全部)を携帯電話端末2に送信する。図6のS324ではULユーザデータの残りデータが送信されるが、S524ではULユーザデータの全部が送信される。S518でULユーザデータの一部を送信していないためである。
以上説明した第2実施形態によれば、第2区間(端末間通信向け無線端末3から携帯電話端末2)でULユーザデータを送信する際に、まず所定量の第2区間向けULデータ用リソースを用いてULユーザデータのサイズを送った後に、ULユーザデータサイズ分の第2区間向けULデータ用リソースの割当を受けてULユーザデータを送信する。これにより、第2実施形態では第2区間で常にULユーザデータが1度で送信されるため、第1実施形態のように携帯電話端末2でULユーザデータの一部を保持する(残りデータを待つ間)必要が無くなる。
〔e〕第3実施形態
第3実施形態は、第1〜2実施形態と同様に、ULユーザデータの送信処理を実現するものである。第2実施形態では、第2区間(端末間通信向け無線端末3から携帯電話端末2)でULユーザデータサイズを送信する際に第2区間向けULデータ用リソースを用いた。これに対し第3実施形態では、第2区間でULユーザデータサイズを送信する際に第2区間向けスケジューリング要求用リソースを用いる。
図12に基づいて、第3実施形態におけるULユーザデータの送信処理のシーケンスの一例を説明する。図12においては、ULユーザデータの送信に関する主要な手順を記載しており、全ての手順が記載されているわけではないことに注意されたい。
第3実施形態に係る図12は第2実施形態に係る図11と共通点が多い。以下では図12において図11と異なる点のみを中心に説明する。まず、図12のS601〜S611は、図11のS501〜S511にそれぞれ対応しているため、ここでは説明を省略する。
次にS612で端末間通信向け無線端末3は、S609で受信した第2区間向けスケジューリング要求用リソース割当情報が示すスケジューリング要求用リソースを用いて、ULユーザデータのサイズを携帯電話端末2に送信する。S612で送られる情報(ULユーザデータのデータサイズ)は、図11のS518で送られるものと同じもので良い。しかしULユーザデータのデータサイズを送るために、S518では第2区間向けULデータ用リソースを用いるのに対し、S612ではスケジューリング要求用リソースを用いる点が異なっている。
ここで、従来のLTEのスケジューリング要求用リソースは微小なリソースであるため、ULユーザデータのサイズを送ることは難しいと考えられる。しかしながら、将来はスケジューリング要求用リソースが大きくなることも考えられ、その場合に本実施形態を実現することができる。また、詳細は後述するが、スケジューリング要求用リソース以外の定期的なリソースでリソースサイズが比較的大きいもの(CQI報告用リソース等)に基づいて、第3実施形態を実現することもできる。さらに、スケジューリング要求用リソースまたはそれ以外の定期的なリソースを複数回用いて、ULユーザデータサイズを分割して送信することとしてもよい。もちろん、本願の各実施形態はLTEに限定されるものではなく、スケジューリング要求用リソースが比較的大きい無線通信システムであれば、第3実施形態を適用することが可能であると考えられる。
図12のS613〜S623は、図11のS519〜S529にそれぞれ対応しているため、ここでは説明を省略する。
以上説明した第3実施形態によれば、第2区間(端末間通信向け無線端末3から携帯電話端末2)でULユーザデータサイズを送信する際に第2区間向けスケジューリング要求用リソースを用いる。これにより、第3実施形態ではULユーザデータサイズを送信するための第2区間向けULデータ用リソースが必要なくなる。そのため、第3実施形態では、ULユーザデータサイズを送信するための第2区間向けULデータ用リソースの割付を受けるためのシグナリング(図11のS512〜S517に相当)が不要となり、第1〜2実施形態と比較してULユーザデータの送信遅延が削減される。
〔f〕第4実施形態
第4実施形態は、第1〜3実施形態と同様に、ULユーザデータの送信処理を実現するものである。第3実施形態では、第2区間(端末間通信向け無線端末3から携帯電話端末2)でスケジューリング要求用リソースを用いてULユーザデータサイズを送信した後に割りつけられる第2区間向けULデータ用リソースを用いて、第2区間でULユーザデータを送信した。これに対し、第4実施形態は、第2区間ULユーザデータサイズを送信することなく、第2区間でスケジューリング要求用リソースを用いてULユーザデータを送信するものである。
図13に基づいて、第4実施形態におけるULユーザデータの送信処理のシーケンスの一例を説明する。図13においては、ULユーザデータの送信に関する主要な手順を記載しており、全ての手順が記載されているわけではないことに注意されたい。
第4実施形態に係る図13は第3実施形態に係る図12と共通点が多い。以下では図13において図12と異なる点のみを中心に説明する。まず、図13のS701〜S711は、図12のS601〜S611にそれぞれ対応しているため、ここでは説明を省略する。
次にS712で端末間通信向け無線端末3は、S709で受信した第2区間向けスケジューリング要求用リソース割当情報が示すスケジューリング要求用リソースを用いて、ULユーザデータを携帯電話端末2に送信する。S712で用いられる無線リソース(第2区間向けULデータ用リソース)は、図12のS612で用いられるものと同じである。しかし、S712ではULユーザデータそのものが送られるのに対し、S612ではULユーザデータのデータサイズが送られる点が異なっている。
ここで、従来のLTEのスケジューリング要求用リソースは微小なリソースであるため、ULユーザデータを送ることは難しいと考えられる。しかしながら、将来はスケジューリング要求用リソースが大きくなることも考えられ、その場合に本実施形態を実現することができる。また、詳細は後述するが、スケジューリング要求用リソース以外の定期的なリソースでリソースサイズが比較的大きいもの(CQI報告用リソース等)に基づいて、第4実施形態を実現することもできる。さらに、スケジューリング要求用リソースまたはそれ以外の定期的なリソースを複数回用いて、ULユーザデータを分割して送信することとしてもよい。もちろん、本願の各実施形態はLTEに限定されるものではなく、スケジューリング要求用リソースが比較的大きい無線通信システムであれば、第4実施形態を適用することが可能であると考えられる。
図13のS713〜S717は、図12のS619〜S623にそれぞれ対応しているため、ここでは説明を省略する。
以上説明した第4実施形態によれば、第2区間(端末間通信向け無線端末3から携帯電話端末2)でULユーザデータサイズを送信することなく、第2区間でスケジューリング要求用リソースを用いてULユーザデータを送信する。これにより、第4実施形態ではULユーザデータを送信するための第2区間向けULデータ用リソースが必要なくなる。そのため、第4実施形態では、ULユーザデータを送信するための第2区間向けULデータ用リソースの割付を受けるためのシグナリング(図12のS612〜S617に相当)が不要となり、第1〜3実施形態と比較してULユーザデータの送信遅延が削減される。
なお、ULユーザデータの送信処理を実現する各実施形態を組み合わせることも可能である。一例として、第3実施形態と第4実施形態を組み合わせることが可能である。具体的には、ULユーザデータサイズが比較的大きい場合には第3実施形態を適用するとともに、ULユーザデータサイズが比較的小さい場合には第4実施形態を適用することができる。前者の場合においては、第3実施形態のS612において、第1実施形態のS118のようにULユーザデータの一部と残りサイズを送るようにしてもよい。
〔g〕第5実施形態
第5実施形態は、DLユーザデータの送信処理を実現するものである。
図14に基づいて、第5実施形態におけるDLユーザデータの送信処理のシーケンスの一例を説明する。図14においては、DLユーザデータの送信に関する主要な処理を記載しており、全ての処理が記載されているわけではないことに注意されたい。
図14のシーケンスでは特に図示していないが、S801の前に、図5のシーケンスでS201の前に行う処理が行われる。すなわち、S801の前に、携帯電話端末2は起動(電源投入)されると、いわゆるセルサーチを行うことにより選択した1つの無線基地局1に同期し、当該無線基地局1との間で通信開始のための種々の初期設定を行う。図14のS801はこの初期設定に相当する。
図14のS801において、無線基地局1は、第1区間向けのスケジューリング要求用リソースを携帯電話端末2に割当て、第1区間向けスケジューリング要求用リソース割当情報を当該携帯電話端末2に送信する。S801は図6のS301と同様に行えばよい。S801における第1区間向けのスケジューリング要求用の無線リソース割当情報は、図7に示すSchedulingRequestConfig情報要素においてsr-Objectを0にセットしたものとすることができる。
次に、端末間通信向け無線端末3が携帯電話端末2を介してネットワークへの接続処理を行う。この接続処理は、図14のS802〜S810に対応する。
S802で端末間通信向け無線端末3は、第2区間接続要求を携帯電話端末2に送信する。第2区間接続要求は、少なくとも端末間通信向け無線端末3識別子を含むものとする。端末間通信向け無線端末3識別子としては、ネットワーク上の装置に予め一意に付与される物理的な識別子(物理アドレス)であるMAC(Media Access Control)アドレスを用いることができる。第2区間接続要求は、前述した携帯電話端末2と端末間通信向け無線端末3の間の通信用に予め割当てられた端末間専用無線リソースを用いて送信することができる。なお、S802においては、第2区間で第2区間接続要求を送受信する代わりに、ユーザが第2区間接続要求相当の情報を携帯電話端末2に入力することとしてもよい。
S803〜S807で、携帯電話端末2は、S802で受信した第2区間接続要求に基づいて、第1区間接続要求を無線基地局1に送信する。第1区間接続要求は、第2区間接続要求中の端末間通信向け無線端末3識別子を少なくとも含む。第1区間接続要求の送信処理であるS803〜S807は、図6のS303〜307と同様に行えばよいので、説明は割愛する。
S807で無線基地局1は、第1区間接続要求を携帯電話端末2から受信する。無線基地局1は第2区間接続要求に基づいて端末間通信向け無線端末3識別子を認識する。なお、ULユーザデータ送信に係る第1〜4実施形態(図3等)における第1区間接続要求は、携帯電話端末2が無線基地局1から第2区間向けスケジューリング要求用リソース割当を受けるための契機となる信号に過ぎないので、端末間通信向け無線端末3識別子を含む必要はなかった。これに対し、DLユーザデータ送信に係る第5実施形態における第1区間接続要求は、端末間通信向け無線端末3識別子を含む必要がある。無線基地局1及びその上位装置において、端末間通信向け無線端末3向けのDLユーザデータ(一般的には端末間通信向け無線端末3に割当てられたIPアドレス宛のデータ)を受信した場合に、当該端末間通信向け無線端末3がどの携帯電話端末2にアクセスしているのかを予め把握しておかないと、携帯電話端末2を介して端末間通信向け無線端末3にDLユーザデータを送信できないためである。なお、端末間通信向け無線端末3識別子としてMACアドレスを使用する場合、基地局の上位装置の一つであるルータ等がMACアドレスとIPアドレスの対応表を管理しておく必要があるがここでは詳細は割愛する。
次にS808で無線基地局1は、第2区間向けのスケジューリング要求用リソースを携帯電話端末2に割当て、第2区間向けスケジューリング要求リソース割当情報を当該携帯電話端末2に送信する。S808における第2区間向けスケジューリング要求用リソース割当情報は、図7に示すSchedulingRequestConfig情報要素においてsr-Objectを1にセットしたものとすることができる。S809で携帯電話端末2は、S808で割当てられた第2区間向けスケジューリング要求用リソース割当を端末間通信向け無線端末3に通知する。S808〜S809は図6のS308〜S309と同様に行えばよい。
そしてS810で端末間通信向け無線端末3は無線基地局1に同期するための同期処理を行う。この同期は時間同期および周波数同期を含むものとする。S810は図6のS310と同様に行えばよい。
以上の手順により、ULユーザデータ送信の準備が整う。
次にS811で端末間通信向け無線端末3はスリープモード(アイドルモードと呼ばれることもある)に移行する。ここでスリープモードとは、いわゆる待ち受けモードであり、別の言い方をすれば省電力モードである。端末間通信向け無線端末3は、電力消費を抑えるため、一定期間ユーザデータの送受信がない場合等にスリープモードに移行する。端末間通信向け無線端末3は省電力が望まれるとともに頻繁に通信を行わないものも多いため、多くの時間をスリープモードで過ごすものも多い。
端末間通信向け無線端末3はスリープモードにおいて省電力を実現するために、間欠通信を行う。すなわち端末間通信向け無線端末3はスリープモードにおいては、間欠的に通信可能な状態となり、それ以外の時は通信を行わない(通信機能の電源を切る)。
ここで、端末間通信向け無線端末3はスリープモードに移行する際に間欠通信のタイミングを決定するが、本実施形態の端末間通信向け無線端末3はこの決定をS803で通知されたスケジューリング要求用リソースに基づいて行う。すなわち本実施形態の端末間通信向け無線端末3は、スケジューリング要求用リソースが割当てられたタイミング(サブフレーム)で受信が可能なように、間欠通信のタイミングを決定する。
なおS811において端末間通信向け無線端末3は、スリープモードに移行する旨を携帯電話端末2に通知してもよい(不図示)。この通知は、前述した携帯電話端末2と端末間通信向け無線端末3の間の通信用に予め割当てられた端末間専用無線リソースを用いて送信することができる。
S812で無線基地局1にDLユーザデータが発生したとする。例えば、インターネット上のサーバが端末間通信向け無線端末3に対する問合せ情報を送信した場合にDLユーザデータが発生する。
S813で無線基地局1は、DLユーザデータを送信するための第1区間向けDLデータ用リソースを携帯電話端末2に割当て、第1区間向けDLデータ用リソース割当情報を当該携帯電話端末2に送信する。S813は図5のS202に対応するので説明は割愛する。S813で携帯電話端末2は、DLデータ用リソース割当情報を無線基地局1から受信する。
S814で無線基地局1は、S813で割当てた第1区間向けDLデータ用リソースを用いて、DLユーザデータを携帯電話端末2に送信する。このとき無線基地局1は、DLユーザデータに端末間通信向け無線端末3識別情報(S807で受信したもの)を付加して送信する。なおS814において、無線基地局1はS807で端末間通信向け無線端末3識別情報と携帯電話端末2の対応を認識しているので、端末間通信向け無線端末3宛のDLユーザデータを受信した際に中継先となる携帯電話端末2を特定できることに注意する。S814で携帯電話端末2は、S813で受信した第1区間向けDLデータ用リソース割当情報に基づき、端末間通信向け無線端末3識別情報を付加されたDLユーザデータを受信する。
次にS815で携帯電話端末2は、S808で割当てられた第2区間向けスケジューリング要求用リソースを用いて、データ送信要求を端末間通信向け無線端末3に送信する。データ送信要求は、携帯電話端末2が端末間通信向け無線端末3に対して送信するDLユーザデータが存在する旨を通知するための信号である。端末間通信向け無線端末3は、S809で通知された第2区間スケジューリング要求用リソースに基づいて(すなわちスリープモード中における間欠通信のタイミングで)、データ送信要求を受信することができる。端末間通信向け無線端末3はデータ送信要求を受信すると、スリープモードから復帰し、DLユーザデータの受信に備える。
S816で端末間通信向け無線端末3は、S815のデータ送信要求に応答して、S809で通知された第2区間向けスケジューリング要求用リソースに基づいて、データ送信応答を携帯電話端末2に送信する。
そして携帯電話端末2は、S816のデータ送信応答に応答して、DLユーザデータを端末間通信向け無線端末3に送信する処理を行う。図14におけるS817〜S822が、携帯電話端末2がDLユーザデータを端末間通信向け無線端末3に送信する処理に対応する。図14のS817〜S821は、図6のS313〜S317とそれぞれ同様に行えばよいため、説明は省略する。
最後にS822で携帯電話端末2は、S821で通知した第2区間向けULデータ用リソースに基づいて、DLユーザデータを端末間通信向け無線端末3に送信する。なお、第2区間向けULデータ用リソースは「無線基地局1と携帯電話端末2との間の通信用に用意されたULデータ用リソースから第2区間向けに割り当てたリソース」という意味であり、必ずしもULデータを送信するためのリソースというわけではないことに注意されたい。そのため、S822で第2区間向けULデータ用リソースを用いてDLユーザデータを送信することに特に問題は無い。
S822で端末間通信向け無線端末3は、S821で通知された第2区間向けULデータ用リソースに基づいて、DLユーザデータを携帯電話端末2から受信する。以上により、第5実施形態におけるDLユーザデータの送信処理が完了する。
以上説明した第5実施形態によれば、DLユーザデータ送信処理において、端末間通信向け無線端末3と携帯電話端末2との間の端末間通信用の無線リソースが必要になった場合(例えば予め用意された端末間通信用の専用リソースが輻輳等により不足した場合等)に、当該端末間通信用の無線リソースを無線基地局1に用意された無線リソースから必要な量を割当てることができる。これにより、端末間通信向け無線端末3と携帯電話端末2との間の無線リソースを柔軟に割当てることが可能となっている。また、いずれの無線リソースを用いる場合であっても、携帯電話端末2とITC端末との間の通信方式は変更不要である。そのため、本願の実施形態のITC端末は従来のITC端末から大きな変更を加えることなく実現することができる。
さらに、第5実施形態によれば、DLユーザデータ送信処理において、端末間通信向け無線端末3と携帯電話端末2との間の端末間通信用にLTEのスケジューリング要求用の無線リソースを割当てている。これにより、LTEの無線基地局1に用意された無線リソース(周波数帯域)に閉じた運用が可能となるとともに、従来のLTEシステムからの変更が少なくて良い(導入コストが少ない)という効果も得られる。
〔h〕第6実施形態
第6実施形態は、第5実施形態と同様に、DLユーザデータの送信処理を実現するものである。第5実施形態では、第2区間(携帯電話端末2から端末間通信向け無線端末3)でDLユーザデータを送信する際に、第2区間向けULデータ用リソースを用いて送信していた。これに対し第6実施形態では、第2区間でDLユーザデータを送信する際に、スケジューリング要求用リソースを用いてDLユーザデータを送信するものである。
図15に基づいて、第6実施形態におけるDLユーザデータの送信処理のシーケンスの一例を説明する。図15においては、DLユーザデータの送信に関する主要な手順を記載しており、全ての手順が記載されているわけではないことに注意されたい。
第6実施形態に係る図15は第5実施形態に係る図14と共通点が多い。以下では図15において図14と異なる点のみを中心に説明する。まず、図15のS901〜S916は、図14のS801〜S816にそれぞれ対応しているため、ここでは説明を省略する。
次にS917で携帯電話端末2は、S909で受信した第2区間向けスケジューリング要求用リソース割当情報が示すスケジューリング要求用リソースを用いて、DLユーザデータを端末間通信向け無線端末3に送信する。DLユーザデータのデータサイズを送るために、図14のS822では第2区間向けULデータ用リソースを用いるのに対し、図15のS917ではスケジューリング要求用リソースを用いる点が異なっている。
ここで、従来のLTEのスケジューリング要求用リソースは微小なリソースであるため、DLユーザデータを送ることは難しいと考えられる。しかしながら、将来はスケジューリング要求用リソースが大きくなることも考えられ、その場合に本実施形態を実現することができる。また、詳細は後述するが、スケジューリング要求用リソース以外の定期的なリソースでリソースサイズが比較的大きいもの(CQI報告用リソース等)に基づいて、第6実施形態を実現することもできる。さらに、スケジューリング要求用リソースまたはそれ以外の定期的なリソースを複数回用いて、DLユーザデータを分割して送信することとしてもよい。もちろん、本願の各実施形態はLTEに限定されるものではなく、スケジューリング要求用リソースが比較的大きい無線通信システムであれば、第6実施形態を適用することが可能であると考えられる。
以上説明した第6実施形態によれば、第2区間(携帯電話端末2から端末間通信向け無線端末3)でDLユーザデータを送信する際に、スケジューリング要求用リソースを用いてDLユーザデータを送信する。これにより、第6実施形態ではDLユーザデータを送信するための第2区間向けULデータ用リソースが必要なくなる。そのため、第6実施形態では、DLユーザデータを送信するための第2区間向けULデータ用リソースの割付を受けるためのシグナリング(図14のS817〜S821に相当)が不要となり、第5実施形態と比較してDLユーザデータの送信遅延が削減される。
なお、DLユーザデータの送信処理を実現する第5実施形態と第6実施形態を組み合わせることが可能である。具体的には、DLユーザデータサイズが比較的大きい場合には第5実施形態を適用するとともに、DLユーザデータサイズが比較的小さい場合には第6実施形態を適用することができる。
〔i〕ランダムアクセスチャネルを使用する変形例
上記第1〜6実施形態においては、スケジューリング要求を物理上り制御チャネルであるPUCCH上で送信する例を説明している。しかしながら、スケジューリング要求を送信するチャネルはPUCCHに限られるものではなく、物理ランダムアクセスチャネルであるPRACH(Physical Random Access CHannel)上で送信することもできる。以下ではこの変形例を説明する。
スケジューリング要求をPRACH上で送信する場合の処理シーケンスは、PUCCH上で送信する場合と概ね変わらない。ただし、PRACHはランダムアクセス用のチャネルなので、PRACH上でスケジューリング要求を送信する場合の無線リソースには「第1区間向け」と「第2区間向け」の区別はなくなることに注意する。
以下では、スケジューリング要求をPRACH上で送信する変形例の処理の概要を、第1実施形態(図6)と比較しながら説明する。この変形例は、これと同様にして、第2実施形態〜第6実施形態にも適用することができる。
スケジューリング要求をPRACH上で送信する場合、S301のスケジューリング要求用リソース割当は、DL周波数帯域を通知する報知情報であるMIB(Master Information Block)に対応する。携帯電話端末2はDL周波数帯域からPRACHのリソースすなわち第2区間向けを所定の規則(特定のサブフレームの中心の6リソースブロック)により求めることができる。そのため、携帯電話端末は第2区間接続要求を受ける(S302に対応)と、携帯電話端末2は当該第2区間接続要求に応答して、スケジューリング要求用リソース通知を端末間通信向け無線端末3に送信する(S309)。図6におけるS303〜S308に相当する処理は不要となる。
スケジューリング要求をPRACH上で送信する場合、図6のS313〜S316は、LTEにおける衝突型(contention base)のランダムアクセス手順に相当する。具体的には、S313はランダムアクセスプリアンブル(Random Access Preamble)、S314はランダムアクセスレスポンス(Random Access Response)、S315はスケジュール転送(Scheduled Transmission)、S316は衝突解決(Contention Resolution)に対応する。ここでは詳細は割愛する。
〔j〕その他の変形例
以上述べた第1〜6実施形態においては、先に述べたように、第2区間すなわち携帯電話端末2と端末間通信向け無線端末3との間の無線通信方式として、例えばWiFi(登録商標)等の無線LANの規格に基づいた方式が用いられる。このとき、第2区間での通信は、キャリアセンスにより衝突することなく行われる。すなわち第2区間に割当てられた無線リソースは、携帯電話端末2と複数の端末間通信向け無線端末3間で同時に使用されないように制御される。これにより、1台の携帯電話端末2が複数の端末間通信向け無線端末3を、無線基地局1からその都度リソース割当を受けることなく、サポートすることも可能となる。
一例として、第1実施形態に係る図6において、携帯電話端末2がS312の第2区間スケジューリング要求を所定期間内に2台の端末間通信向け無線端末3から受信した場合を考える。このとき、携帯電話端末2はS313のスケジューリング要求を1回だけ送信することで、S316で第2区間向けULデータ用リソース割当を1個だけ受ける。そして、S317で携帯電話端末2は当該第2区間向けULデータ用リソース割当を複数の端末間通信向け無線端末3に同時に通知し、S318で2台の端末間通信向け無線端末3はそれぞれ当該第2区間向けULデータ用リソース割当が示す第2区間向けULデータ用リソースで通信を行う。このとき、2台の端末間通信向け無線端末3は1つの第2区間向けULデータ用リソースを併用することになるが、キャリアセンスにより通信に衝突が発生しないよう制御を行う。このようにして、1台の携帯電話端末2が複数の端末間通信向け無線端末3を、無線基地局1からその都度リソース割当を受けることなく、サポートすることができる。
また、従来のLTEシステムにおいては、図1のS104について説明したように、リソース割当情報であるUL Grantが示すリソースは、当該UL grantに対応するDLサブフレームの4個後のULサブフレーム(即ち1つのサブフレーム)と決まっている。しかしながら、前述したように第2区間すなわち携帯電話端末2と端末間通信向け無線端末3との間の無線通信方式として、例えばWiFi(登録商標)等の無線LANの規格に基づいてキャリアセンスに基づく通信を行う場合、ULデータ用リソース割当の時間軸上の単位が1サブフレーム(1ミリ秒)では短すぎる恐れがある。
そこで、第1〜6実施形態においては、第2区間ULデータ用リソース割当を複数サブフレーム単位で割当てられるようにしてもよい。例えば、第2区間ULデータ用リソース割当情報(UL Grant)において割当単位となるサブフレーム数を所定個数(一例として10サブフレーム)とすることができる。また、第2区間ULデータ用リソース割当情報において割当単位となるサブフレーム数を指定する情報を含むようにすることとしてもよい。具体例としては、UL Grantに4ビットの情報「assigned period」を新たに定義し、割当単位となるサブフレーム数を0〜15で指定することができる。
さらに、上記第1〜6実施形態においては、第2区間向け通信用の定期的なリソースとしてスケジューリング要求用リソースを用いる例を説明している。しかしながら、第2区間向け通信用の定期的なリソースはスケジューリング要求用リソースに限られるものではない。例えば、第1〜6実施形態において、スケジューリング要求用リソースの代わりに、前述したCQI報告用リソース、あるいはCQI/PMI(Precoding Matrix Indicator)/RI(Rank Indication)報告用リソースを用いることもできる。また、スケジューリング要求用リソースの代わりに、ULのセミパーシステント(Semi-Persistent)スケジューリングに基づく定期的なULリソースを用いることも可能である。
また、上記第1〜6実施形態においては、第2区間向け通信用のリソースとしてULリソースを用いる例を説明している。しかしながら、上記第1〜6実施形態においては、第2区間向け通信用のリソースとしてDLリソースを使用することも可能である。その場合、スケジューリング要求用リソースの代わりとなる定期的なリソースとして、DLのセミパーシステントスケジューリングに基づく定期的なDLリソース等を用いることができる。
最後に、上記第1〜6実施形態においては、携帯電話端末2と端末間通信向け無線端末3との間(第2区間)の使用する無線リソース(周波数帯域)および通信方式としてWiFi(登録商標)等の無線LANを適用した例について説明したが、これに限られるものではない。例えば第2区間の使用する無線リソース及び通信方式としては、Bluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)、GSM(登録商標、Global System for Mobile communications)、UMTS(Universal Mobile Telecommunications System)、赤外線通信等を用いることもできる。
〔k〕各実施形態の無線通信システムのネットワーク構成
図16に各実施形態における無線通信システムのネットワーク構成を示す。本実施形態は、LTEに準拠した無線通信システムにおける実施形態となっている。そのため、LTE特有の用語や概念がいくつか登場する。しかし、本実施形態はあくまでも一例にすぎず、LTE以外の通信規格に準拠した無線通信システムにも適用可能であることに注意されたい。
図16で示す無線通信システムは無線基地局1(eNB:evolved Node B)、携帯電話端末2(UE:User Equipment)、端末間通信向け無線端末3等を備える。本願では、携帯電話端末2(2a,2b)と端末間通信向け無線端末3(3a,3b)を「無線端末」と総称することがある。また、無線基地局1、携帯電話端末2および端末間通信向け無線端末3を「無線局」と総称することがある。
無線基地局1と携帯電話端末2との間の無線ネットワークを無線アクセスネットワークと呼ぶ。無線基地局1間は、バックホールネットワークと呼ばれる有線または無線のネットワーク(伝送網)で接続されている。バックホールネットワークは、無線基地局1間や無線基地局1とコアネットワークを結ぶネットワークである。無線基地局1は、バックホールネットワークを介して、コアネットワークに接続された装置と通信を行うことができる。コアネットワークには不図示のMME(Mobility Management Entity)やSAE−GW(System Architecture Evolution Gateway)等が接続されている。なお、LTEネットワークは、EPS(Evolved Packet System)と呼ばれることもある。EPSは、無線アクセスネットワークであるeUTRAN(Evolved Universal Terrestrial Radio Network)とコアネットワークであるEPC(Evolved Packet Core)とを含む。コアネットワークはSAE(System Architecture Evolution)と呼ばれることもある。
図16における無線基地局1(単に基地局と呼ばれることもある)は、無線アクセスネットワークを介して携帯電話端末2と無線通信を行うとともに、バックホールネットワークに接続する装置である。無線基地局1は、配下の携帯電話端末2(接続携帯電話端末とも称する)とデータの送受信を行うほか、配下の携帯電話端末2と各種制御情報を交換することで携帯電話端末2に対する種々の制御を行う。また、無線基地局1は、バックホールネットワークを介して、他無線基地局1との間で互いにデータの中継を行うほか、他無線基地局1と各種制御情報を交換することで連携することができる。
無線基地局1は、バックホールネットワークを介して、バックホールネットワークの先のコアネットワークに接続するMME等の制御装置と種々の制御情報の交換を行う。また、無線基地局1は、配下の携帯電話端末2から受信したデータを、コアネットワークに接続するSAE−GW等の中継装置に中継するとともに、SAE−GW等の中継装置から受信したデータを配下の携帯電話端末2に中継する。
無線基地局1は、バックホールネットワークと有線で接続されていてもよく、無線で接続されていてもよい。また、無線基地局1は、無線アクセスネットワークを介した携帯電話端末2との無線通信機能とデジタル信号処理及び制御機能とを分離して別装置としてもよい。この場合、無線通信機能を備える装置をRRH(Remote Radio Head)、デジタル信号処理及び制御機能を備える装置をBBU(Base Band Unit)と呼ぶ。RRHはBBUから張り出されて設置され、それらの間は光ファイバなどで有線接続されてもよい。また、無線基地局1は、マクロ基地局、ピコ基地局等の小型基地局(マイクロ基地局、フェムト基地局等を含む)の他、様々な規模の基地局であってよい。また、基地局と携帯電話端末2との無線通信を中継する中継局が使用される場合、当該中継局(無線端末との送受信及びその制御)も本願の無線基地局1に含まれることとしてもよい。
ちなみに、「セル」とは、携帯電話端末2が無線信号を送受信するために、無線基地局1がカバーする範囲のことである(厳密にはULセルとDLセルとがある。また、無線基地局1のアンテナがセクターアンテナの場合、通常、セクターごとにセルが形成され、更には、LTEのRelease10以降では無線キャリアごとにセルが形成される。)が、無線基地局1とセルとはある程度対応する概念であるため、本稿の説明では、便宜上、「セル」と「無線基地局」を適宜読み変えても構わない。
次に、図16における携帯電話端末2(無線移動端末、移動端末、あるいは、単に端末と呼ばれることもある。また、ユーザ装置、加入者局、移動局等と呼ばれることもある。さらに本願においては第1端末又は第1無線端末等と呼ぶことがある)は、無線アクセスネットワークを介して無線基地局1と無線通信を行う装置である。携帯電話端末2は、1つの無線基地局1に接続しており、通信中に移動等により無線状況に変化が生じると、ハンドオーバーによって接続する無線基地局1が切り替えられる。ここで、「接続」とは、携帯電話端末2が無線基地局1に登録(Attach)されていることを示すが、単に通信中である旨の意味として解釈してもよい。携帯電話端末2が接続する無線基地局1を、接続無線基地局1またはサービングセルと呼ぶ。携帯電話端末2は、接続無線基地局1との無線通信によりデータの送受信を行うほか、接続無線基地局1との無線通信により各種制御情報を交換することで様々な制御を受ける。
本願における携帯電話端末2は、無線基地局1と無線通信を行えるだけでなく、後述するように端末間通信向け無線端末3とも無線通信(端末間通信)を行う。携帯電話端末2は、LTE等のセルラー無線通信方式とは異なる無線通信方式に基づいて、端末間通信向け無線端末3と無線通信(端末間通信)を行う。この異なる無線通信方式としては、例えばWiFi(登録商標)等の無線LAN、Bluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)、GSM(登録商標、Global System for Mobile communications)、UMTS(Universal Mobile Telecommunications System)、赤外線通信等を用いることができる。
携帯電話端末2は、携帯電話機、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)、パーソナルコンピュータ(Personal Computer)などの端末であってよい。また、無線基地局1と端末との無線通信を中継する中継局が使用される場合、当該中継局(無線基地局との送受信及びその制御)も本稿の携帯電話端末2に含まれることとしてもよい。
図16における端末間通信向け無線端末3は、端末間通信を行うことができる無線端末である。端末間通信向け無線端末3としては、例えば、MTC端末、省電力端末、M2M端末、さらには携帯電話端末等が該当する。さらに具体的には、端末間通信向け無線端末3は、無線通信機能を備える各種の計測装置、監視装置等であってよい。本願においては、端末間通信向け端末3を第2端末又は第2無線端末等と呼ぶことがある。
端末間通信向け無線端末3は、LTE等のセルラー無線通信方式とは異なる無線通信方式に基づいて、携帯電話端末2と無線通信(端末間通信)を行う。別の無線アクセスネットワークとしては、例えばWiFi(登録商標)等の無線LAN、Bluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)、GSM(登録商標、Global System for Mobile communications)、UMTS(Universal Mobile Telecommunications System)、赤外線通信等を用いることができる。
本実施形態の無線通信システムは、DLの無線アクセス方式にOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access:直交周波数分割多重アクセス)方式を用いる。また、上りの無線アクセス方式にSC−FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access:単一波周波数分割多元接続)方式を用いる。
本実施形態の無線通信システムにおいては、DL無線信号、UL無線信号ともに、所定の長さ(例えば10ミリ秒)の無線フレーム(単にフレームとも称する)から構成される。さらに、1個の無線フレームはそれぞれが所定の長さ(例えば1ミリ秒)の所定個数(例えば10個)の無線サブフレーム(単にサブフレームとも称する)から構成される。そして各サブフレームは、12個又は14個のシンボルから構成される。なお、「フレーム」と「サブフレーム」は無線信号の処理単位を示す用語にすぎないため、以下ではこれらの用語を適宜読み変えてもよい。
LTEの物理層にはいくつかの物理チャネルが定義されている。例えば、DLの物理チャネルとしては、DLデータ信号の伝送等に用いられる下り共有チャネル(PDSCH:Physical Downlink Shared CHannel)、DL制御信号の伝送に用いられる下り制御チャネル(PDCCH:Physical Downlink Control CHannel)等がある。ここでいうDL制御信号とは、PDSCH送信に直接必要となる制御情報を送信するためのものであり、物理層(又はLayer1)レベルの制御信号である。これに対し、上位層の制御信号は、PDSCHを用いて送信される。また、前述したように、DLサブフレームにおける制御信号領域のサイズは可変(DLサブフレームの先頭から1〜3シンボル)であるが、各DLサブフレームの制御信号領域にはこのサイズを通知するためのPCFICH(Physical Control Format Indicator CHannel)も存在する。一方、ULの物理チャネルとしては、ULデータ信号の伝送等に用いられる上り共有チャネル(PUSCH:Physical Uplink Shared CHannel)、DLデータ信号に対する応答信号やDL無線特性測定結果等を含むUL制御信号の伝送に用いられる上り制御チャネル(PUCCH:Physical Uplink Control CHannel)等がある。
DLサブフレームには、DLデータ信号やDL制御信号の他に、DLデータ信号やDL制御信号の復調用や無線特性測定用のDL参照信号等もマッピングされる。ULサブフレームにも、ULデータ信号やUL制御信号の他に、UL信号の復調用や無線特性測定用のUL参照信号等もマッピングされる。
〔l〕各実施形態の無線通信システムにおける各装置の機能構成
図17〜19に基づき、本願の各実施形態における各装置の機能構成を説明する。
図17は、本願の各実施形態における無線基地局1の機能構成の一例を示す図である。無線基地局1は、例えば、受信部101、送信部102、制御部103、記憶部104を備える。これらは基地局における機能であるため、受信部101、送信部102、制御部103、記憶部104をそれぞれ基地局受信部101、基地局送信部102、基地局制御部103、基地局記憶部104等と呼んでもよい。
受信部101は、携帯電話端末2からUL無線信号(ULキャリア)を受信する。また受信部101は、受信したUL無線信号を周波数変換等によりダウンコンバートしてULフレームに対応するベースバンド信号に変換する。例えば受信部101は、図6および図10〜15で携帯電話端末2から無線基地局1に向かう矢印に対応する無線信号を携帯電話端末2から受信することができる。受信部101は、これら以外の任意のUL無線信号を携帯電話端末2から受信してもよい。
送信部102は、携帯電話端末2へDL無線信号(DLキャリア)を送信する。また送信部102は、DLフレームに対応するベースバンド信号を周波数変換等によりアップコンバートすることでDL無線信号を生成する。例えば送信部102は、図6および図10〜15で無線基地局1から携帯電話端末2へ向かう矢印に対応する無線信号を携帯電話端末2へ送信することができる。送信部102は、これら以外も任意のDL無線信号を携帯電話端末2へ送信してもよい。
制御部103は、ULフレームに対応するベースバンド信号に対し、各種制御または処理を行う。また制御部103は、各種制御または処理を行い、DLフレームに対応するベースバンド信号を生成する。制御部103は必要に応じて記憶部104に対して、情報の格納、格納された情報の参照、格納された情報の更新、格納された情報の消去等を行うことができる。例えば制御部103は、図6および図10〜15において無線基地局1が携帯電話端末2に対して送受信する無線信号に関する各制御または処理を行うことができる。制御部103は、これら以外も任意の制御または処理を行ってもよい。
記憶部104は、各種情報を記憶する。例えば記憶部104は、図6および図10〜15において無線基地局1が携帯電話端末2に対して送受信する無線信号を記憶することができる。記憶部104は、これら以外にも任意の情報を記憶してよい。
なお、第1の実施形態における無線基地局1の機能構成は、図17に限られない。例えば、前述したBBUのように受信部101及び送信部102を備えなくてもよい。また、無線基地局1は制御部103のみを備える構成とすることもできる。
図18は、第1の実施形態における携帯電話端末2の機能構成の一例を示す図である。携帯電話端末2は、例えば、第1受信部2011、第2受信部2012、第1送信部2021、第2送信部2022、制御部203、記憶部204を備える。ここで、第1受信部2011と第2受信部2012とを合わせて受信部201と呼んでもよく、第1送信部2021と第2送信部2022とを合わせて送信部202と呼んでもよい。また、第1受信部2011と第1送信部2021とを合わせて基地局向け通信部と呼んでもよく、第2受信部2012と第2送信部2022とを合わせて端末間通信部と呼んでもよい。なお、これらは携帯電話端末における機能であるため、受信部201、送信部202、制御部203、記憶部204をそれぞれ携帯電話端末受信部201、携帯電話端末送信部202、携帯電話端末制御部203、携帯電話端末記憶部204等と呼んでもよい。
第1受信部2011は、無線基地局1からDL無線信号を受信する。また第1受信部2011は、受信したDL無線信号を周波数変換等によりダウンコンバートしてDLフレームに対応するベースバンド信号に変換する。例えば第1受信部2011は、図6および図10〜15で無線基地局1から携帯電話端末2に向かう矢印に対応するDL無線信号を無線基地局1から受信することができる。第1受信部2011は、これら以外の任意のDL無線信号を無線基地局1から受信してもよい。
第2受信部2012は、端末間通信向け無線端末3から携帯電話端末2宛の端末間無線信号を受信する。また第2受信部2012は、受信した携帯電話端末2宛の端末間無線信号を周波数変換等によりダウンコンバートして携帯電話宛フレームに対応するベースバンド信号に変換する。例えば第2受信部2012は、図6および図10〜15で端末間通信向け無線端末3から携帯電話端末2に向かう矢印に対応する携帯電話端末2宛の端末間無線信号を端末間通信向け無線端末3から受信することができる。第2受信部2012は、これら以外の任意の携帯電話端末2宛の端末間無線信号を端末間通信向け無線端末3から受信してもよい。
第1送信部2021は、無線基地局1へUL無線信号を送信する。また第1送信部2021は、ULフレームに対応するベースバンド信号を周波数変換等によりアップコンバートすることでUL無線信号を生成する。例えば第1送信部2021は、図6および図10〜15で携帯電話端末2から無線基地局1へ向かう矢印に対応するUL無線信号を無線基地局1へ送信することができる。第1送信部2021は、これら以外も任意のUL無線信号を無線基地局1へ送信してもよい。
第2送信部2022は、端末間通信向け無線端末3へ端末間通信向け無線端末3宛の端末間無線信号を送信する。また第2送信部2022は、端末間通信向け無線端末3宛てフレームに対応するベースバンド信号を周波数変換等によりアップコンバートすることで端末間通信向け無線端末3宛の端末間無線信号を生成する。例えば第2送信部2022は、図6および図10〜15で携帯電話端末2から端末間通信向け無線端末3へ向かう矢印に対応する端末間無線信号を端末間通信向け無線端末3へ送信することができる。第2送信部2022は、これら以外も任意の端末間通信向け無線端末3宛の端末間無線信号を端末間通信向け無線端末3へ送信してもよい。
制御部203は、DLフレームに対応するベースバンド信号または携帯電話端末2宛フレームに対し、各種制御または処理を行う。また制御部203は、各種制御または処理を行い、DLフレームまたは端末間通信向け無線端末宛フレームに対応するベースバンド信号を生成する。制御部203は必要に応じて記憶部204に対して、情報の格納、格納された情報の参照、格納された情報の更新、格納された情報の消去等を行うことができる。例えば制御部203は、図6および図10〜15において携帯電話端末2が無線基地局1に対して送受信する無線信号および携帯電話端末2が端末間通信向け無線端末3に対して送受信する無線信号に関する各制御または処理を行うことができる。制御部203は、これら以外も任意の制御または処理を行ってもよい。
記憶部204は、各種情報を記憶する。例えば記憶部204は、図6および図10〜15において携帯電話端末2が無線基地局1に対して送受信する無線信号および携帯電話端末2が端末間通信向け無線端末3に対して送受信する無線信号を記憶することができる。記憶部204は、これら以外にも任意の情報を記憶してよい。
図19は、本願の各実施形態における端末間通信向け無線端末3の機能構成の一例を示す図である。端末間通信向け無線端末3は、例えば、受信部301、送信部302、制御部303、記憶部304を備える。これらは端末間通信向け無線端末3における機能であるため、受信部301、送信部302、制御部303、記憶部304をそれぞれ端末間通信向け無線端末受信部301、端末間通信向け無線端末送信部302、端末間通信向け無線端末制御部303、端末間通信向け無線端末記憶部304等と呼んでもよい。
受信部301は、携帯電話端末2から端末間通信向け無線端末3宛の端末間無線信号を受信する。また受信部301は、受信した端末間通信向け無線端末3宛の端末間無線信号を周波数変換等によりダウンコンバートして端末間通信向け無線端末3宛のフレームに対応するベースバンド信号に変換する。例えば受信部301は、図6および図10〜15で携帯電話端末2から端末間通信向け無線端末3に向かう矢印に対応する端末間通信向け無線端末3宛の端末間無線信号を携帯電話端末2から受信することができる。受信部301は、これら以外の任意の端末間通信向け無線端末3宛の端末間無線信号を携帯電話端末2から受信してもよい。
送信部302は、携帯電話端末2へ携帯電話端末2宛の端末間無線信号を送信する。また送信部302は、携帯電話端末2宛のフレームに対応するベースバンド信号を周波数変換等によりアップコンバートすることで携帯電話端末2宛の端末間無線信号を生成する。例えば送信部302は、図6および図10〜15で端末間通信向け無線端末3から携帯電話端末2へ向かう矢印に対応する携帯電話端末2宛の端末間無線信号を携帯電話端末2へ送信することができる。送信部302は、これら以外も任意の携帯電話端末2宛の端末間無線信号を携帯電話端末2へ送信してもよい。
制御部303は、端末間通信向け無線端末3宛のフレームに対応するベースバンド信号に対し、各種制御または処理を行う。また制御部303は、各種制御または処理を行い、携帯電話端末2宛のフレームに対応するベースバンド信号を生成する。制御部303は必要に応じて記憶部304に対して、情報の格納、格納された情報の参照、格納された情報の更新、格納された情報の消去等を行うことができる。例えば制御部303は、図6および図10〜15において端末間通信向け無線端末3が携帯電話端末2に対して送受信する無線信号に関する各制御または処理を行うことができる。制御部303は、これら以外も任意の制御または処理を行ってもよい。
記憶部304は、各種情報を記憶する。例えば記憶部304は、図6および図10〜15において端末間通信向け無線端末3が携帯電話端末2に対して送受信する無線信号を記憶することができる。記憶部304は、これら以外にも任意の情報を記憶してよい。
〔m〕各実施形態の無線通信システムにおける各装置のハードウェア構成
最後に図20〜22に基づいて、上記各実施形態の無線通信システムにおける各装置のハードウェア構成について説明する。
図20に上記各実施形態における無線基地局1のハードウェア構成の一例を説明する。前述の無線基地局1の各機能は、以下のハードウェア部品の一部又は全部により実現される。上記実施形態における無線基地局1は、無線IF(InterFace)11、アナログ回路12、デジタル回路13、プロセッサ14、メモリ15、伝送網IF16等を備える。
無線IF11は、携帯電話端末2と無線通信を行うためのインタフェース装置であり、例えばアンテナである。アナログ回路12は、アナログ信号を処理する回路であり、受信処理を行うもの、送信処理を行うもの、その他の処理を行うものに大別できる。受信処理を行うアナログ回路12としては、例えば、低雑音増幅器(LNA:Low Noise Amplifier)、帯域通過フィルタ(BPF:Band Pass Filter)、ミキサ(Mixer)、低域通過フィルタ(LPF:Low Pass Filter)、自動利得制御増幅器(AGC:Automatic Gain Controller)、アナログ/デジタル変換器(ADC:Analog-to-Digital Converter)、位相同期回路(PLL:Phase Locked Loop)等が含まれる。送信処理を行うアナログ回路12としては、例えば、電力増幅器(PA:Power Amplifier)、BPF、ミキサ、LPF、デジタル/アナログ変換器(DAC:Digital-to-Analog Converter)、PLL等が含まれる。その他の処理を行うアナログ回路12としては、デュプレクサ(Duplexer)等が含まれる。
デジタル回路13は、デジタル信号を処理する回路であり、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programming Gate Array)、LSI(Large Scale Integration)等を含む。プロセッサ14は、データを処理する装置であり、例えばCPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)等を含む。メモリ15は、データを記憶する装置であり、例えばROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等を含む。伝送網IF16は、無線通信システムのバックホールネットワークに有線回線または無線回線で接続し、バックホールネットワークやコアネットワークに接続された他の無線基地局1を含む伝送網側の装置と有線通信または無線通信を行うためのインタフェース装置である。
無線基地局1の機能構成とハードウェア構成の対応関係を説明する。
受信部101は、例えば無線IF11、アナログ回路12(受信処理を行うもの)によって実現される。すなわち、無線IF11が、携帯電話端末2からUL無線信号(ULキャリア)を受信し、アナログ回路12が、受信したUL無線信号を周波数変換等によりダウンコンバートしてULフレームに対応するベースバンド信号に変換する。
送信部102は、例えば無線IF11、アナログ回路12(送信処理を行うもの)によって実現される。すなわち、アナログ回路12が、DLフレームに対応するベースバンド信号を周波数変換等によりアップコンバートすることでDL無線信号を生成し、無線IF11が、携帯電話端末2へDL無線信号(DLキャリア)を送信する。なお、受信部101と送信部102は、異なる無線IF11(アンテナ)により実現されてもよいが、アナログ回路12であるデュプレクサを用いることで、1つの無線IF11を共用してもよい。
制御部103は、例えばプロセッサ14、デジタル回路13によって実現される。すなわち、プロセッサ14が、必要に応じてデジタル回路13と連携し、ULフレームに対応するベースバンド信号に対して各種制御または処理を行ったり、各種制御または処理を行ってDLフレームに対応するベースバンド信号を生成したりする。具体的には、プロセッサ14が、必要に応じてデジタル回路13と連携し、図6および図10〜15において無線基地局1が携帯電話端末2に対して送受信する無線信号に関する各制御または処理を行うことができる。プロセッサ14が、必要に応じてデジタル回路13と連携し、これら以外にも任意の制御または処理を行ってもよい。
記憶部104は、例えばメモリ15によって実現される。すなわち、メモリ15が各種情報を記憶する。具体的には、メモリ15が図6および図10〜15において無線基地局1が携帯電話端末2に対して送受信する無線信号を記憶することができる。メモリ15はこれら以外にも任意の情報を記憶してよい。
なお、第1の実施形態における無線基地局1のハードウェア構成は、図20に限られない。例えば、前述したBBUのように無線IF11、アナログ回路12を備えなくてもよいし、無線IF11のみを備えない構成としてもよい。また、無線基地局1はプロセッサ14とメモリ15のみを備える構成とすることもできるし、デジタル回路13のみを備える構成とすることもできる。
図21に上記各実施形態における携帯電話端末2のハードウェア構成の一例を説明する。前述の携帯電話端末2の各機能は、以下のハードウェア部品の一部又は全部により実現される。上記実施形態における携帯電話端末2は、無線IF21、アナログ回路22、デジタル回路23、プロセッサ24、メモリ25、入力IF26、出力IF27等を備える。
無線IF21は、無線基地局1および端末間通信向け無線端末3と無線通信を行うためのインタフェース装置であり、例えばアンテナである。無線基地局1と通信を行うための無線IF21と端末間通信向け無線端末3と通信を行う無線IF21とはそれぞれ別のアンテナであってもよいし同じアンテナであってもよい。アナログ回路22は、アナログ信号を処理する回路であり、受信処理を行うもの、送信処理を行うもの、その他の処理を行うものに大別できる。受信処理を行うアナログ回路22としては、例えば、LNA、BPF、ミキサ、LPF、AGC、ADC、PLL等が含まれる。送信処理を行うアナログ回路22としては、例えば、PA、BPF、ミキサ、LPF、DAC、PLL等が含まれる。その他の処理を行うアナログ回路22としては、デュプレクサ等が含まれる。デジタル回路23は、例えばLSI、FPGA、ASIC等を含む。プロセッサ24は、データを処理する装置であり、例えばCPUやDSP等を含む。メモリ25は、データを記憶する装置であり、例えばROMやRAM等を含む。入力IF26は、入力を行う装置であり、例えば操作ボタンやマイク等を含む。出力IF27は、出力を行う装置であり、例えばディスプレイやスピーカー等を含む。
携帯電話端末2の機能構成とハードウェア構成の対応関係を説明する。
第1受信部2011は、例えば無線IF21、アナログ回路22(受信処理を行うもの)によって実現される。すなわち、無線IF21が、無線基地局1からDL無線信号(DLキャリア)を受信し、アナログ回路22が、受信したDL無線信号を周波数変換等によりダウンコンバートしてDLフレームに対応するベースバンド信号に変換する。また、第2受信部2012は、例えば無線IF21、アナログ回路22(受信処理を行うもの)によって実現される。すなわち、無線IF21が、端末間通信向け無線端末3から携帯電話端末2宛の端末間無線信号を受信し、アナログ回路22が、受信した携帯電話端末2宛の端末間無線信号を周波数変換等によりダウンコンバートして携帯電話端末2宛てフレームに対応するベースバンド信号に変換する。なお上述した通り、第1受信部2011を実現する無線IF21と第2受信部2012を実現する無線IF21とは、それぞれ別のアンテナであってもよいし同じアンテナであってもよい。
第1送信部2021は、例えば無線IF21、アナログ回路22(送信処理を行うもの)によって実現される。すなわち、アナログ回路22が、ULフレームに対応するベースバンド信号を周波数変換等によりアップコンバートすることでUL無線信号を生成し、無線IF21が、無線基地局1へUL無線信号(ULキャリア)を送信する。また、第2送信部2022は、例えば無線IF21、アナログ回路22(送信処理を行うもの)によって実現される。すなわち、アナログ回路22が、端末間通信向け無線端末3宛てフレームに対応するベースバンド信号を周波数変換等によりアップコンバートすることで端末間通信向け端末3宛の端末間無線信号を生成し、無線IF21が、端末間通信向け無線端末3へ端末間通信向け端末3宛の端末間無線信号を送信する。なお上述した通り、第1送信部2021を実現する無線IF21と第2送信部2022を実現する無線IF21とは、それぞれ別のアンテナであってもよいし同じアンテナであってもよい。
ここで、第1受信部2011と第1送信部2021は、異なる無線IF21(アンテナ)により実現されてもよいが、アナログ回路22であるデュプレクサを用いることで、1つの無線IF21を共用してもよい。また、第2受信部2012と第2送信部2022は、異なる無線IF21(アンテナ)により実現されてもよいが、アナログ回路22であるデュプレクサを用いることで、1つの無線IF21を共用してもよい。さらに、第1受信部2011、第1送信部2021、第2受信部2012、第2送信部2022が、アナログ回路22であるデュプレクサを用いることで、1つの無線IF21を共用してもよい。
制御部203は、例えばプロセッサ24、デジタル回路23によって実現される。すなわち、プロセッサ24が、必要に応じてデジタル回路23と連携し、DLフレームに対応するベースバンド信号に対して各種制御または処理を行ったり、各種制御または処理を行ってULフレームに対応するベースバンド信号を生成したりする。具体的には、プロセッサ24が、必要に応じてデジタル回路23と連携し、図6および図10〜15において携帯電話端末2が無線基地局1に対して送受信する無線信号に関する各制御または処理を行うことができる。また、プロセッサ24が、必要に応じてデジタル回路23と連携し、携帯電話端末2宛てフレームに対応するベースバンド信号に対して各種制御または処理を行ったり、各種制御または処理を行って端末間通信向け無線端末3宛てフレームに対応するベースバンド信号を生成したりする。具体的には、プロセッサ24が、必要に応じてデジタル回路23と連携し、図6および図10〜15において携帯電話端末2が端末間通信向け無線端末3に対して送受信する無線信号に関する各制御または処理を行うことができる。プロセッサ24が、必要に応じてデジタル回路23と連携し、これら以外にも任意の制御または処理を行ってもよい。
記憶部204は、例えばメモリ25によって実現される。すなわち、メモリ25が各種情報を記憶する。具体的には、メモリ25が図6および図10〜15において携帯電話端末2が無線基地局1に対して送受信する無線信号を記憶することができる。また、メモリ25が図6および図10〜15において携帯電話端末2が端末間通信向け無線端末3に対して送受信する無線信号を記憶することができる。メモリ25はこれら以外にも任意の情報を記憶してよい。
図22に上記各実施形態における端末間通信向け無線端末3のハードウェア構成の一例を説明する。前述の端末間通信向け無線端末3の各機能は、以下のハードウェア部品の一部又は全部により実現される。上記実施形態における端末間通信向け無線端末3は、無線IF31、アナログ回路32、デジタル回路33、プロセッサ34、メモリ35、入力IF36、出力IF37等を備える。
無線IF31は、携帯電話端末2と無線通信を行うためのインタフェース装置であり、例えばアンテナである。アナログ回路32は、アナログ信号を処理する回路であり、受信処理を行うもの、送信処理を行うもの、その他の処理を行うものに大別できる。受信処理を行うアナログ回路32としては、例えば、LNA、BPF、ミキサ、LPF、AGC、ADC、PLL等が含まれる。送信処理を行うアナログ回路32としては、例えば、PA、BPF、ミキサ、LPF、DAC、PLL等が含まれる。その他の処理を行うアナログ回路32としては、デュプレクサ等が含まれる。デジタル回路33は、例えばLSI、FPGA、ASIC等を含む。プロセッサ34は、データを処理する装置であり、例えばCPUやDSP等を含む。メモリ35は、データを記憶する装置であり、例えばROMやRAM等を含む。入力IF36は、入力を行う装置であり、例えば操作ボタンやマイク等を含む。出力IF37は、出力を行う装置であり、例えばディスプレイやスピーカー等を含む。
端末間通信向け無線端末3の機能構成とハードウェア構成の対応関係を説明する。
受信部301は、例えば無線IF31、アナログ回路32(受信処理を行うもの)によって実現される。すなわち、無線IF31が、携帯電話端末2から端末間通信向け端末3宛の端末間無線信号を受信し、アナログ回路32が、受信した端末間通信向け端末3宛の端末間無線信号を周波数変換等によりダウンコンバートして端末間通信向け無線端末3宛てフレームに対応するベースバンド信号に変換する。
送信部302は、例えば無線IF31、アナログ回路32(送信処理を行うもの)によって実現される。すなわち、アナログ回路32が、携帯電話端末2宛てフレームに対応するベースバンド信号を周波数変換等によりアップコンバートすることで携帯電話端末2宛の端末間無線信号を生成し、無線IF31が、携帯電話端末2へ携帯電話端末2宛の端末間無線信号を送信する。なお、受信部301と送信部302は、異なる無線IF31(アンテナ)により実現されてもよいが、アナログ回路32であるデュプレクサを用いることで、1つの無線IF31を共用してもよい。
制御部303は、例えばプロセッサ34、デジタル回路33によって実現される。すなわち、プロセッサ34が、必要に応じてデジタル回路33と連携し、端末間通信向け無線端末3宛てフレームに対応するベースバンド信号に対して各種制御または処理を行ったり、各種制御または処理を行って携帯電話端末2宛てフレームに対応するベースバンド信号を生成したりする。具体的には、プロセッサ34が、必要に応じてデジタル回路33と連携し、図6および図10〜15において端末間通信向け無線端末3が携帯電話端末2に対して送受信する無線信号に関する各制御または処理を行うことができる。プロセッサ34が、必要に応じてデジタル回路33と連携し、これら以外にも任意の制御または処理を行ってもよい。
記憶部304は、例えばメモリ35によって実現される。すなわち、メモリ35が各種情報を記憶する。具体的には、メモリ35が図6および図10〜15において端末間通信向け無線端末3が携帯電話端末2に対して送受信する無線信号を記憶することができる。メモリ35はこれら以外にも任意の情報を記憶してよい。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、開示の無線通信方法は、無線基地局が、該無線基地局と無線端末との間の通信の為に用意された第1無線リソースから、複数の無線端末間の通信に用いられる第2無線リソースを割当て、前記複数の無線端末の一つである第2無線端末が、該複数の無線端末の一つである第1無線端末宛てのデータを有する場合、該データの送信を準備するための準備信号を前記第2無線リソースを用いて送信する。