JPWO2014013954A1 - 核酸プローブ、核酸プローブの設計方法、およびターゲット配列の検出方法 - Google Patents

核酸プローブ、核酸プローブの設計方法、およびターゲット配列の検出方法 Download PDF

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Abstract

PCR法を用いた変異検出、ミスマッチ検出等における検出感度および特異性に優れた核酸プローブ、核酸プローブの設計方法、およびターゲット配列の検出方法を提供する。核酸分子から形成された核酸プローブであって、前記核酸分子は、エキシトン効果を示す蛍光性原子団を複数含み、前記エキシトン効果を示す蛍光性原子団のうち少なくとも2つが、それぞれ、前記核酸分子内における同一の塩基または互いに隣接する2つの塩基に、リンカー(架橋原子または原子団)を介して結合し、前記核酸分子の伸長側末端が化学修飾されていることにより、前記核酸分子の伸長反応が防止されていることを特徴とする核酸プローブ。

Description

本発明は、核酸プローブ、核酸プローブの設計方法、およびターゲット配列の検出方法に関する。
細胞レベルでの生命現象の解析や、病気の分子レベルでの診断には特定のたんぱく質や核酸配列を検出する必要があり、その検出には、蛍光が広く利用されている。具体的には、ターゲットたんぱく質への結合、および標的核酸配列の増加に共役して、蛍光強度が増大するような蛍光物質を用いる方法が知られている。前記蛍光物質としては、例えば、フォレスター共鳴エネルギー・トランスファー(FRET)を利用する方法や二重らせん構造にインターカレーションし、励起光の照射により蛍光を発する物質が代表的である。
しかしながら、従来の蛍光物質は、例えば、ターゲットの物質に結合していない場合でも、蛍光を発するおそれがある。また、蛍光物質を標識した抗体や核酸配列のみの蛍光を消光する目的では、FRETを利用する方法が有効であるが(非特許文献1〜4等)、FRETを与えるために、例えば、2種類の蛍光色素やユニークな配列の導入、さらには蛍光色素を結合させる位置の精密なデザインが必要となり、配列の制約や製造コスト等の問題がある。
そこで、前記課題の解決のために1種類の色素のみでの蛍光検出系が提案されており、その一つが、2つ以上の色素分子が並行に集合するために生じるエキシトン効果によって蛍光発光を示さないが、それらの分子が核酸にインターカレーションまたはグルーヴバインディング(溝結合)するときには、前記集合状態が解けることにより蛍光発光が生じる2つ以上の色素分子の化学構造を同一分子内に有することを特徴的化学構造とする複合体標識物質である(特許文献1)。この標識物質をオリゴヌクレオチドに導入したプライマーまたはプローブ(エキシトンオリゴマー等)として標的核酸の増幅や検出に使用することが開示されている(特許文献2)。なお、前記プローブを、以下において、「エキシトンプローブ」または「Eプローブ」ということがある。このエキシトンオリゴマー等は、ハイブリダイゼーション前後の蛍光のスイッチングを1種類の色素で可能にするものであり、また、増幅反応のリアルタイムモニタリングに利用する場合、配列特有の蛍光シグナルを与えることができるので、従来のSYBRグリーンIを用いたときに非特異的増幅も検出されてしまうという問題を克服することができる。さらに、蛍光団をdTまたはdCに導入できるので、配列の制約をほとんど回避することができる。
特許第4761086号公報 特許第4370385号公報
Tyagi, S., Kramer, F. R. (1996) Nat. Biotechnol. 14,303-308. Nazarenko, I. A., Bhatnagar, S. K., Hohman, R. J. (1997) Nucleic Acids Res. 25, 2516-2521. Gelmini, S., Orlando, C., Sestini, R., Vona, G., Pinzani, P., Ruocco, L., Pazzagli, M. (1997) Clin. Chem. 43, 752-758. Whitcombe, D., Theaker, J., Guy, S. P., Brown, T., Little, S. (1999) Nat. Biotechnol. 17, 804-807.
しかし、エキシトンプローブ(Eプローブ)を用いて例えばPCRの増幅産物を確認するためには、3’末端から伸長反応しないプローブ(Eプローブ)を増幅試薬に事前に添加しておき、PCR反応をリアルタイムにモニタリングするか、または、増幅後、融解曲線を描かせてSNP(一塩基多型、Single Nucleotide Polymorphism)や変異の検出を行う必要があり、そのようなプローブのエキシトン標識部位とターゲットとなるSNP部位との位置関係等、設計方法やPCR反応条件の最適化が求められる。
また、これまで癌サンプルのように病状の時系列によって徐々に変異が生じる場合、正常型の鋳型DNAと少量の変異型DNAが混在することになる。このような変異を検出する場合、多く存在する正常型のDNA配列の増幅を抑え、変異型のDNA配列を多く増幅することによって感度の向上が図られている。このとき、正常型のDNA配列の増幅を抑えるため、検出プローブとは別のクランピングプローブが使われてきている。例えば、検出プローブとしてタックマン(登録商標)プローブを用いた場合には、クランピングプローブとして、DNAと強く相補鎖を形成するPNAが使われている。したがって、このような場合、2種類のプローブが必要となってくる。そのため、増幅領域にはこれら2種類のプローブがハイブリダイズする領域が必要となり、おのずと増幅長や設計領域に制約が生じることになる。
Eプローブは色素がカチオン性であるためPNAのようにDNAと強く相互作用することがわかっている。したがって正常型にフルマッチでハイブリダイゼーションするEプローブを用いて、増幅反応において正常型の増幅を抑えつつ変異型の増幅を促進し、同時に、融解曲線解析においてミスマッチの領域での変異型の存在を確認することができれば、検出技術の向上に寄与するところは大きい。
そこで、本発明は、PCR法を用いた変異検出、ミスマッチ検出等における検出感度および特異性に優れた核酸プローブ、核酸プローブの設計方法、およびターゲット配列の検出方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の核酸プローブは、
核酸分子から形成された核酸プローブであって、
前記核酸分子は、エキシトン効果を示す蛍光性原子団を複数含み、
前記エキシトン効果を示す蛍光性原子団のうち少なくとも2つが、それぞれ、前記核酸分子内における同一の塩基または互いに隣接する2つの塩基に、リンカー(架橋原子または原子団)を介して結合し、
前記核酸分子の伸長側末端が化学修飾されていることにより、前記核酸分子の伸長反応が防止されていることを特徴とする。
本発明の核酸プローブの設計方法は、変異を有する配列(ミスマッチ配列)の検出に用いる核酸プローブの設計方法であって、
前記核酸プローブが、前記本発明の核酸プローブであり、かつ、前記核酸プローブが下記条件(1)を満たすように設計することを特徴とする。

(1) 前記エキシトン効果を示す蛍光性原子団が結合している標識塩基が、前記核酸プローブの両末端の各1塩基以外の塩基である。
本発明のターゲット配列の検出方法は、核酸中のターゲット配列にハイブリダイズする核酸プローブを用いて前記ターゲット配列を検出する方法であって、前記核酸プローブが、前記本発明の核酸プローブであることを特徴とする。
本発明によれば、PCR法を用いた変異検出、ミスマッチ検出等における検出感度および特異性に優れた核酸プローブ、核酸プローブの設計方法、およびターゲット配列の検出方法を提供することができる。
図1は、本発明の核酸プローブ(Eプローブ)の使用形態の一例を模式的に示す図である。 図2は、実施例において、3’末端の修飾の違いによる融解曲線解析への影響を表す図である。 図3は、実施例において、Eプローブおよびそれと相補な配列による、融解曲線(A,B)と融解曲線の一次微分曲線(C,D)である。 図4は、実施例において、色素の位置と「結合の自由エネルギー実測値−予測値」の関係を示すグラフである。 図5は、実施例において、同一配列で色素の位置が異なる場合の融解曲線解析の違いを示す図である。 図6は、実施例において、色素とミスマッチの間の距離(塩基数)と融解曲線のピークの高さの関係を示す図である。 図7は、実施例におけるクランピング効果を確認する融解曲線解析結果を示すグラフである。 図8は、実施例におけるクランピング効果を確認する融解曲線解析結果を示す別のグラフである。 図9は、実施例におけるクランピング効果を確認する融解曲線解析結果を示すさらに別のグラフである。 図10は、実施例における、野生型Eプローブによる変異型核酸の型分け(識別)を示すグラフである。 図11は、実施例における、Eプローブによる二本鎖核酸中のターゲット配列検出を確認する融解曲線解析結果を示すグラフである。 図12は、実施例における、二次構造形成による蛍光発光を示すグラフである。
以下、本発明について、例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、本発明は、以下の説明により限定されない。
[核酸プローブ]
Eプローブは2個の蛍光色素(チアゾールオレンジやその類似物)が導入されたDNAプローブであり、1本鎖の場合は2個の蛍光色素がエキシプレックスを形成するエキシトン効果により、蛍光をほとんど発しないが、ターゲットDNAとハイブリダイズさせると2個の色素がお互いに離れ、エキシトン効果を解消することによって大きく蛍光を発するという性質を持つ。PCR反応による標的核酸の検出を行うにあたり、このようなEプローブを使用した融解曲線解析による検出感度の向上を図るには、以下のような問題を克服する必要がある。
(1) 標的核酸にハイブリダイズしたEプローブの3’末端から不要な伸長反応が起きる可能性がある。
(2) Eプローブ中のエキシトン標識位置、対応する変異部位(ミスマッチ部位)の位置、または両者の相対的な位置関係によって、ハイブリダイゼーションの安定性や、検出効率に大きな影響を受ける。
(3) 試料に目的としない配列が共存する場合、目的としない配列の増幅を抑制するため、目的としない配列にハイブリダイズするクランピング試薬を添加しなければならないなど、プローブ設計上の制約がある。
(4) Eプローブを構成する塩基配列によってはエキシトン効果が十分に得られない場合がある。
本発明者は、Eプローブを用いたミスマッチ検出感度の向上を目指すべく検討を重ねた結果、種々の課題を克服できるいくつかの要素を見出し、これらの要素を適用することにより、検出感度および特異性の向上を達成することができた。なお、「Eプローブ」および「Eprobe」は、株式会社ダナフォームの商品名(「Eprobe」は登録商標)であるが、本発明における「Eプローブ」は、「Eプローブ」または「Eprobe」の商品名を付された商品と同一であっても、同一でなくても良い。
前記課題を解決するために、本発明者は、(1)標的核酸にハイブリダイズしたEプローブの3’末端から不要な伸長反応を阻止する方法を開発した。また、(2)Eプローブ中のエキシトン標識位置、対応する変異部位(ミスマッチ部位)の位置、または両者の相対的な位置関係を工夫して設計することにより、ハイブリダイゼーションの安定性や、検出効率を向上させる方法を見出した。さらに、(3)試料にフルマッチのプローブを添加すれば、当該プローブはクランピングと検出の2つの役目を果たすことができることを見出した。さらに、(4)Eプローブ中のエキシトン標識された塩基の近傍に、そのEプローブ分子内で二本鎖を形成し得る配列が存在するように設計すると、エキシトン効果を阻害してしまうことを見出した。
すなわち、本発明によるEプローブは、3’末端をリンカーOH基で化学修飾したことを特徴とするものであり、別の観点からは、Eプローブがターゲット配列にハイブリダイズしたときに、該Eプローブの3’末端からの該ターゲット配列を鋳型とする伸長反応を阻止する方法であって、Eプローブの3’末端をリンカーOH基で化学修飾することを特徴とするものである。
また、本発明によるEプローブは、例えば、以下の条件(1)を満たすように設計されても良い。別の観点からは、本発明は、例えば、Eプローブの設計方法であって、以下の条件(1)を満たすようにする設計方法を提供する。

(1) 前記エキシトン効果を示す蛍光性原子団が結合している標識塩基が、前記核酸プローブ(Eプローブ)の両末端の各1塩基以外(前記Eプローブの両末端から数えて2塩基以上内側)、より好ましくは両末端の各2塩基以外(前記Eプローブの両末端から数えて3塩基以上内側)、さらに好ましくは両末端の各3塩基以外(前記Eプローブの両末端から数えて4塩基以上内側)の塩基である。
また、本発明によるEプローブは、例えば、さらに以下の条件(2)を満たすように設計されても良い。別の観点からは、本発明は、例えば、Eプローブの設計方法であって、前記条件(1)および下記条件(2)を全て満たすようにする設計方法を提供する。

(2) 前記核酸プローブがハイブリダイズするターゲット配列が、変異を有する配列(ミスマッチ配列)を含み、前記ミスマッチ配列は、前記ターゲット配列(Eプローブがハイブリダイズする領域)の両末端の各2塩基以外(前記ターゲット配列の両末端から数えて3塩基以上内側)の塩基に存在し、より好ましくは前記ターゲット配列の両末端の各3塩基以外(前記ターゲット配列の両末端から数えて4塩基以上内側)の塩基に存在する。
さらに、本発明によるEプローブは、例えば、前記条件(1)(および、任意に、さらに前記条件(2))に加え、さらに下記条件(3)または(4)を満たすように設計されても良い。具体的には、Eプローブ中の標識の位置によって、ターゲット配列中の変異を有しない配列(フルマッチ配列)と変異を有する配列(ミスマッチ配列)のそれぞれの検出ピーク強度に差を持たせる必要があるときは、下記条件(3)を満たすように設計され、差を持たせないようにするときは、下記条件(4)を満たすように設計されても良い。別の観点からは、本発明は、例えば、Eプローブの設計方法であって、前記条件(1)(および、任意に、さらに前記条件(2))に加え、さらに下記条件(3)または(4)を満たすようにする設計方法を提供する。

(3) 前記標識塩基の位置を、前記ミスマッチ配列の位置に対応する塩基から4塩基以上、より好ましくは5塩基以上遠ざけたことによって、前記ターゲット配列中の変異を有しない配列(フルマッチ配列)と変異を有する配列(ミスマッチ配列)のそれぞれの検出ピーク強度に差がない。
(4) 前記標識塩基の位置を、前記ミスマッチ配列の位置に対応する塩基から3塩基以内に近付け、より好ましくは2塩基以内に近付け、さらに好ましくは同じ位置にした(前記標識塩基と前記ミスマッチ配列の位置に対応する塩基とを同じにした)ことによって、前記ターゲット配列中の変異を有しない配列(フルマッチ配列)と変異を有する配列(ミスマッチ配列)のそれぞれの検出ピーク強度に差がある。
また、本発明の核酸プローブ(Eプローブ)は、例えば、前記エキシトン効果を示す蛍光性原子団が結合している標識塩基が、前記ターゲット配列にハイブリダイズしなくても良い。前記標識塩基が、前記ターゲット配列にハイブリダイズしなくても、蛍光を示す場合があるためである。より具体的には、本発明のEプローブは、核酸中のターゲット配列の検出に用いる核酸プローブであって、前記ターゲット配列にハイブリダイズする配列と、前記ターゲット配列にハイブリダイズしない配列とを含み、前記エキシトン効果を示す蛍光性原子団が結合している標識塩基が、前記ターゲット配列にハイブリダイズしない配列中に含まれていても良い。別の観点からは、本発明は、Eプローブが前記条件を満たすようにする設計方法を提供する。このようにすれば、通常はプローブ設計が困難なターゲット配列に対しても、前記ターゲット配列の外側(前記ターゲット配列にハイブリダイズする配列以外の位置)に対応する位置に前記標識塩基を配置させることで、簡便なプローブ設計による蛍光の検出が可能となる。前記エキシトン効果を示す蛍光性原子団が結合している標識塩基と、前記ターゲット配列にハイブリダイズする配列との間に存在する塩基数は、0でも正の整数でも良いが、好ましくは100以内であり、より好ましくは60以内であり、さらに好ましくは30以内であり、さらに好ましくは25以内であり、さらに好ましくは20以内であり、さらに好ましくは15以内であり、さらに好ましくは10以内であり、特に好ましくは5以内である。
前記標識塩基が、前記ターゲット配列にハイブリダイズしなくても、蛍光を示す場合がある理由(メカニズム)は明らかではないが、例えば、以下のように推測される。すなわち、まず、前記ターゲット配列およびそれにハイブリダイズする配列から形成された二本鎖(二重鎖)の近くに、前記エキシトン効果を示す蛍光性原子団が結合している標識塩基が存在している状態が生じる。この状態で、前記Eプローブを形成する塩基配列が、折り返す(Uターンする)ことによって、前記標識塩基および前記蛍光性原子団(色素)が、前記二本鎖に近づき、前記蛍光性原子団が前記二本鎖内に潜り込み、蛍光を発する。
さらに、本発明による、ターゲット配列中にミスマッチ領域を含む増幅産物の検出方法は、例えば、PCR法による核酸増幅反応において、ターゲット配列に対してフルマッチである本発明のEプローブを添加する。これにより、前記フルマッチのEプローブが、鋳型配列のターゲット領域にハイブリダイズし、この領域を含む配列の増幅を抑制するクランピングの効果を得ることができる。このとき、例えば、前記Eプローブに対してミスマッチの配列を有する鋳型(鋳型核酸)に対しては、ハイブリダイズが弱いことにより、クランピングの効果が見られない。したがって、このようにすれば、例えば、存在量の少ない変異型配列を、野生型のプローブ(前記フルマッチのEプローブ)を利用して増幅反応によるエンリッチメントを行い、検出しやすくできる。また、前記PCR法のプライマーがハイブリダイズする配列と、前記フルマッチのEプローブがハイブリダイズする前記ターゲット配列とが競合するように、前記フルマッチのEプローブを設計することが好ましい。これにより、プライマーからの伸長反応が、ほとんど起こらないか、または一切起こらないようにすることができるので、前記クランピングによるエンリッチメントの効果をさらに高めることができる。前記PCR法のプライマーがハイブリダイズする配列と、前記ターゲット配列とが競合するためには、例えば、前記PCR法のプライマーがハイブリダイズする配列と、前記ターゲット配列とが近接するように設計する。より具体的には、前記ターゲット配列を含む核酸において、前記PCR法のプライマーがハイブリダイズする配列と、前記ターゲット配列との間の塩基数を、例えば7以下、好ましくは6以下、より好ましくは5以下、さらに好ましくは4以下となるように、前記フルマッチのEプローブを設計する。前記PCR法のプライマーがハイブリダイズする配列と、前記ターゲット配列との間の塩基数とは、例えば、0であっても良い(すなわち、前記ターゲット配列を、前記PCR法のプライマーがハイブリダイズする配列の真横に設計しても良い)。または、前記PCR法のプライマーがハイブリダイズする配列と、前記ターゲット配列とが競合するためには、例えば、前記PCR法のプライマーがハイブリダイズする配列と、前記ターゲット配列とが、1塩基以上重複していても(すなわち、前記PCR法のプライマーがハイブリダイズする配列に、前記ターゲット配列が1塩基以上かぶさっていても)良い。前記PCR法のプライマーがハイブリダイズする配列と、前記ターゲット配列とは、より好ましくは2塩基以上、さらに好ましくは3塩基以上、さらに好ましくは、4塩基以上のなるべく多数の塩基数で重複する(かぶさる)ようにする。また、前記PCR法のプライマーがハイブリダイズする配列と、前記ターゲット配列とは、5’末端が部分的に重なることが好ましく、3’末端が部分的に重なることがより好ましく、完全に重なることが特に好ましい。
さらに、本発明による、ターゲット配列中にミスマッチ領域を含む増幅産物の検出方法は、例えば、前記ターゲット配列が、複数種類のミスマッチ配列を含んでいても良い。本発明のEプローブは、ミスマッチする配列によってTm値(融解温度)が若干異なる場合があり、これを利用して、ミスマッチとなるターゲット配列を識別できる。従来技術では、複数のミスマッチ配列の識別(型分け)には、それぞれのミスマッチ配列に対応する検出プローブが必要であるが、本発明のEプローブによれば、前記Tm値の相違を利用して1種類のみの(例えば、野生型の)配列のEプローブで、複数の変異型の塩基配列の識別(型分け)をすることも可能である。
また、本発明のターゲット配列の検出方法は、前記ターゲット配列を含む核酸が、二本鎖核酸であっても良い。例えば、従来から、二本鎖(二重鎖)核酸(例えば、DNAまたはRNA)に対して、どちらかの鎖と同じ配列の核酸をもう一本加えることで、三本鎖(三重鎖)核酸を形成することが知られている。本発明のEプローブにおいても、同様に、二本鎖核酸(例えば、二本鎖DNAまたは二本鎖RNA)のどちらかの鎖の一部または全部の配列(ターゲット配列)と相補的なEプローブとし、前記二本鎖核酸にハイブリダイズさせることで、三本鎖核酸の形成が可能である。これにより、前記二本鎖核酸の前記ターゲット配列を検出できる。例えば、本発明のEプローブは、通常の一本鎖オリゴ核酸と比較してTm値が高いことにより、前記ターゲット配列に対し、より強くハイブリダイズすることができる。より具体的には、例えば、本発明のEプローブが、前記二本鎖核酸の鎖と鎖の間に潜り込むようにハイブリダイズさせても良い。また、例えば、本発明のEプローブが前記ターゲット配列にハイブリダイズすることで、前記二本鎖の組換えが起こるようにしても良い。本発明のターゲット配列の検出方法において、前記組換えによるハイブリダイズの効率を高めるために、例えば、RecAタンパク質等の組換えタンパク質を添加しても良いし、相同配列組み換えの効率を高める方法を組み合わせても良い。さらに、前記二本鎖核酸の前記ターゲット配列に対する本発明のEプローブのハイブリダイズ効率をコントロールするために、任意の調整剤を添加しても良い。前記調整剤としては、例えば、ストレンジェンシー等を調整するために、ベタイン、DMSO等の変性剤を添加し反応条件を調整しても良い。
さらに、本発明による核酸プローブ(Eプローブ)は、エキシトン標識された塩基、その上流側の2塩基および下流側の2塩基の計5塩基からなる領域(以下、「エキシトン標識近傍領域」)に、そのEプローブ分子内で二本鎖を形成し得る配列(以下、「二本鎖形成配列」)を構成するいかなる塩基も含まないように設計されたことが好ましい。このようにすれば、エキシトン標識(エキシトン効果を示す蛍光性原子団で標識された部分)が、核酸プローブ(Eプローブ)の分子自体に自己ハイブリダイズして蛍光を示すことによるターゲット配列の検出感度および特異性の低下を防止することができる。ここで、「エキシトン標識近傍領域」は、より好ましくは、エキシトン標識された塩基、その上流側の3塩基および下流側の3塩基の計7塩基からなる領域であり、さらに好ましくは、エキシトン標識された塩基、その上流側の4塩基および下流側の4塩基の計9塩基からなる領域である。また、「二本鎖形成配列」は、例えば、一方の鎖が7塩基以上の配列であり、より好ましくは、一方の鎖が5塩基以上の配列であり、さらに好ましくは、一方の鎖が3塩基以上の配列である。「二本鎖形成配列」は回文配列であってもよいし、二本鎖形成配列の間に任意の塩基配列が含まれていてもよい。また、Eプローブのダイマー形成による非特異的な蛍光の発光を防止するために、上記と同様にエキシトン標識近傍領域と、それ以外の任意の領域の相補配列との相同性が90%以下、より好ましくは70%以下、より好ましくは50%以下、さらに好ましくは30%以下とすることが望ましい。そして、以下のような実施態様で使用することがさらに好ましい。
・Eプローブがターゲット配列にハイブリダイズしたときに、該Eプローブの3’末端からの該ターゲット配列を鋳型とする伸長反応が阻止されている。
・ポリメラーゼ存在下における核酸増幅反応(より好ましくはPCR反応)と、Eプローブのターゲット配列へのハイブリダイゼーション反応を含む反応において使用するものである。
・前記態様において、ポリメラーゼ存在下における核酸増幅反応(より好ましくはPCR反応)と、Eプローブのターゲット配列へのハイブリダイゼーション反応とが、一連の反応として行われるか、または同時に行われるものである。
本発明によれば、例えば、以下のような効果を得ることができる。ただし、これらの効果は例示であって、本発明を限定しない。
すなわち、まず、本発明によれば、PCR法における、Eプローブを用いたミスマッチ検出感度を向上させることができる。
例えば、Eプローブ中のエキシトン標識位置、対応する変異部位(ミスマッチ部位)の位置、または両者の相対的な位置関係を好適に設計することにより、ハイブリダイゼーションの安定性や、検出効率を向上させることができる。
より具体的には、例えば、この設計条件を精密に制御することにより、同一配列でありながら、エキシトン標識の位置を変えることにより、ミスマッチのピークを出現させたり、消失させることが可能となる。「ミスマッチのピークを出現させることができる」ので、例えば、1本のプローブでフルマッチ型とミスマッチ型の見分けが可能なプローブ配列設計ができる。また、「ミスマッチのピークを消失させることができる」ので、例えば、複数のターゲット配列にそれぞれ対応する複数のプローブが共存していても、ターゲット配列認識のピークを1つずつに絞ってそれぞれのミスマッチ型のピークを消失させることにより、ミスマッチ型ピークによる(他のターゲットとの)重なりを回避し、フルマッチ型ピーク検出の特異性向上が可能となる。この機能は3’末端や5’末端に蛍光色素を標識するプローブではなしえない機能である。さらに、フルマッチのプローブを増幅反応に添加することによって、このプローブはクランピングと検出の2つの役目を果たす全く新しいプローブとして機能することになるので、プローブの設計が容易になる。
その他、PCR法を利用して標的核酸を検出するにあたって、検出プローブとして本発明のEプローブを用いると、例えば前記タックマン(登録商標)プローブを用いた場合と比較すると、次のような利点をあげることができる。
・約70℃前後での伸長反応に伴って検出しようとする場合、そのような温度でもハイブリダイズできる長さが必要であるが、Eプローブでは標的核酸への結合親和力が強いので、例えば10マー程度でも機能できる。
・プローブ配列に係る融解曲線データが得られる。
・1つの増幅領域に、融解温度の異なる(例えば、長さの異なる)複数のプローブを設計することによって、融解曲線による複数標的の同時判定が可能である。
・増幅産物が長くても融解曲線による判定が可能である。
・エキソヌクレアーゼ活性が正常に働かなくても、PCR反応が進みさえすれば機能する。
・短い長さのEプローブを用いれば、PCR反応中(例えば65℃以上)に一切ハイブリダイズしないものを設計する
本発明のEプローブは、例えば、その効果を利用して、下記(A)〜(D)の用途に利用できる。ただし、これらの用途および効果は例示であり、本発明を何ら限定しない。
(A)核酸の回収、検出等
本発明のEプローブは、例えば、Tm値が高い(ターゲット配列に対するハイブリダイズが強固である)ために得られる効果を利用して、核酸の回収、検出等において以下のように利用できる。すなわち、従来技術において、サンプルからの目的核酸の抽出、精製、濃縮等は、操作が煩雑で、洗浄による不要物の除去等に色々な問題点があった。そこで、サンプルから放出された目的核酸をそのまま、または、前記サンプルを前記目的核酸ごと加熱変性、酸もしくはアルカリでの変性、またはデタージェント等と混合し変性させた後に、本発明のEプローブで特異的にハイブリダイズさせ、目的核酸を回収する。このようにすると、本発明のEプローブが、一般的なオリゴヌクレオチドと比較し、前記目的核酸のターゲット配列に対するハイブリダイズが強固であることにより、前記目的核酸を効率良く回収または検出できる。具体的には、例えば、従来において、発現されているmRNAのポリAテールをポリTオリゴでハイブリダイズさせ、回収または検出する方法が知られている。この方法において、一般的なポリTオリゴに代えて本発明のEプローブを用いることで、回収または検出の速度が速まり、回収量等の効率が高まる。本発明のEプローブは、例えば、塩基数(鎖長)が短くても高いTm値を示すことが可能である。これにより、従来では回収、検出等が不可能な短いポリAテールを含む核酸等、または、より短い目的領域の核酸をも効率良く回収することが可能である。
(B)Eプローブを用いたダイレクト検出
食品、環境、臨床検体などのサンプルから菌の検出や薬剤耐性などの特徴を同定する場合に、従来は、培養(例えば、薬剤による選択的な培養)等が行われていた。しかし、従来の方法では、培養時間が数時間から数日、または数週間以上と長いために、検査に時間がかかり、診断治療の遅延等の問題、および、食品等の流通、鮮度維持における問題等を生じていた。そこで、本発明のEプローブを前記サンプルに反応させて特定の領域にハイブリダイズさせ、その蛍光シグナルを測定することで、目的核酸を検出することで、迅速な検出(検査)が可能となる。また、例えば、高感度な蛍光検出装置と組合わせ、反応温度、反応溶液条件、蛍光読取り条件等を調整することで、より正確な検出が可能になる。さらに、検出感度をより高めたい場合等は、PCR法等で目的領域(ターゲット配列)を増幅したり、通常の培養法で菌、ウイルス、細胞等をある程度培養したりした後に、本発明のEプローブを用いた検出を行っても良い。特に、菌、ウイルス、細菌等の型分け(識別)が困難な場合(例えば、薬剤耐性菌の判別の場合、または、数塩基の塩基配列の違いで菌、ウイルス、細菌等の特徴が異なるような場合)に、本発明のEプローブで効率良く目的核酸領域を識別し、簡便迅速に測定検査することが可能になる。
(C)Eプローブを用いた、核酸増幅を阻害しない増幅検出方法
従来より、例えばTaqManプローブのように、増幅しながらプローブが分解され、これによりシグナルが発生し、目的核酸を検出する方法が知られている。しかしながら、これらの方法は、伸長しようとする鋳型にプライマーと異なる核酸が結合しているために、プライマー伸長反応からの増幅を阻害し(伸長反応の邪魔になり)、増幅の効率が下がるおそれがある。前記増幅効率低下は、最低検出感度の低下、低コピー数での検出の再現性の低下、定量性の低下等につながるおそれがある。しかし、本発明のEプローブは、ターゲット配列にハイブリダイズするのみで前記ターゲット配列を検出可能であり、前記TaqManプローブのようにプローブが分解される必要がない。このため、PCR等の核酸増幅において、本発明のEプローブの長さ、反応条件等を整えることで、増幅効率の低下を起こさないように調整することが可能である。
(D)多型(例えばSNP)が密集する配列等の識別
本発明のEプローブは、通常のハイブリプローブオリゴ(ターゲット配列にハイブリダイズして検出するプローブであるオリゴヌクレオチド)と比較してTm値が高いことにより、前記通常のハイブリプローブオリゴと比較してプローブの長さを短く設定することが可能である。例えばHLA等、多くの多型が近接した領域に連続して生じる場合には、1種類のプローブが認識するSNPの近隣に他のSNPが存在することがある。このような場合は、従来の長いプローブでは、目的のSNPのみを正確に識別できない。しかし、本発明のEプローブは、Tm値が高いことにより、ストレンジェンシーの高い条件下で、短いプローブであってもハイブリダイズが可能であり、目的のSNPのみを正確に判定できる。
別の観点からは、本発明の核酸プローブによれば、例えば、下記(1)〜(13)のような効果が得られる。ただし、下記(1)〜(13)も例示であって、本発明を何ら限定しない。

(1)塩基配列に対する特異性が高い。
(2)バックグランドノイズが低いため、高感度である。
(3)3’末端が3’-SpacerC3で修飾されており、伸長反応を起こさないため、PCRプローブとして特異性の高い反応を実現可能である。
(4)EプローブはDNA二量体形成を安定化するため、短いプローブ設計が可能である。
(5)Eプローブ法はExonuclease活性を必要とせず、Exonuclease活性のない酵素と共に使える。
(6)サンプル中で核酸の断片化が起こった場合でも、Falsepositiveにならない。
(7)サンプル濃度に対する定量性・精度が高い。
(8)リアルタイムPCR検出と融解曲線解析が1つのチューブで可能である。
(9)高い結合親和性により、融解曲線解析結果の差をきれいに出せる(例:野生型と変異型の差)。
(10)異なるTm値や蛍光色素を使うことにより、複数のEプローブを設計し、同時に多項目の検出が可能である。
(11)高感度で特異性の高いSNP解析が可能である。
(12)短いプローブ設計をすることができるので、目的以外の近隣の影響を受けにくい。
(13)PCRにおいて、クランピングプローブとしても機能し、変異検出を高感度化できる。
本発明の核酸プローブは、例えば、以下のようにして使用できる。ただし、この説明も例示であり、本発明を限定しない。すなわち、本発明の核酸プローブであるエキシトンプローブ(Eプローブ)をチップ上に固定すれば、例えば、RNA・DNAなどの計測するべきサンプル(ターゲット配列を有する核酸)を標識する必要がなく、前記サンプルをそのままチップ上にかけるだけで検出可能になる。このような測定系によれば、液相の測定系と異なり、複数のサンプルにおける色素の波長を変えることで、複数のサンプルを一チップで、または、一つの遺伝子の異なる領域、または、異なる遺伝子を同時に計測できる。これによれば、すべての反応に内部コントロールを置くことができ、臨床検査キットに必須な条件を満たしている。特に、エキシトンプローブ(Eプローブ)を使用したマイクロアレイは、検出目的である例えばPCR増幅産物を蛍光標識などすることは必要なく、ハイブリダイゼーションを検出することが可能である。さらに、使用後はそのマイクロアレイを洗浄し、次の検体を添加することができる。これにより、特別な標識や発色反応をさせることなく何度でもマイクロアレイを再利用できるメリットがある。今日のエコロジーのことを考慮してもエキシトンプローブ(Eプローブ)を用いた再利用可能なマイクロアレイは非常に需要である。
図1に、本発明の核酸プローブ(Eプローブ)の使用形態の一例を模式的に示す。図示のとおり、Eプローブを固相化したマイクロアレイ上で、検体サンプルとハイブリダイゼーションを行い、蛍光シグナルを検出することで目的の産物の有無や変異の有無を測定することができる。さらに、そのマイクロアレイを洗浄することで、同一のマイクロアレイを用いて、同様な検出が可能になり、検体サンプルに特殊な修飾をすることなく、さらにはハイブリダイゼーション後に特別な発色酵素反応を必要としない繰り返し使用可能なマイクロアレイとなる。
ここで、エキシトン効果(exciton coupling)とは、例えば、複数の色素が並行に集合し、H会合体(H-aggregate)を形成することにより、ほとんど蛍光発光を示さなくなる効果である。この効果は、色素の励起状態が、Davydov splittingにより2つのエネルギーレベルに分裂し、上位エネルギーレベルへの励起→下位エネルギーレベルへの内部変換(internal conversion)→発光が熱的に禁制、という理由で生じると考えられる。ただし、これらの説明は、本発明を何ら制限しない。エキシトン効果が起こりうることは、H会合体を形成した色素の吸収バンドが単一の色素の吸収バンドより短い波長に現れることで確認できる。このような効果を示す色素としては、例えば、チアゾールオレンジとその誘導体、オキサゾールイエローとその誘導体、シアニンとその誘導体、ヘミシアニンとその誘導体、メチルレッドとその誘導体、ほか一般的にシアニン色素、アゾ色素と呼ばれる色素群が挙げられる。エキシトン効果によれば、例えば、本発明の蛍光色素を核酸に結合させた場合、一本鎖状態での蛍光強度を抑え、二重らせん構造を一層効果的に検出可能である。
本発明の核酸プローブ(Eプローブ)において、前記エキシトン効果を示す蛍光性原子団は、
(i)一つの分子内の二つの平面化学構造が同一平面内ではなく、ある一定の角度をもって存在するが、その分子が核酸にインターカレーションまたはグルーヴバインディング(溝結合)するときには二つの平面化学構造が同一平面内に並ぶように配置することによって蛍光発光が生じるものであるか、
(ii)2つ以上の色素分子が並行に集合するために生じるエキシトン効果によって蛍光発光を示さないが、それらの分子がターゲット分子、たとえば核酸にインターカレーションまたはグルーヴバインディング(溝結合)するときには、前記集合状態が解けることにより蛍光発光が生じる2つ以上の色素分子群からなるものであるか、または、
(iii)2つ以上の色素分子が並行に集合するために生じるエキシトン効果によって蛍光発光を示さないが、それらの分子がターゲット分子、たとえば核酸にインターカレーションまたはグルーヴバインディング(溝結合)するときには、前記集合状態が解けることにより蛍光発光が生じる2つ以上の色素分子の化学構造を同一分子内に有することを特徴とするものである。
前記(ii)または(iii)の場合において、前記色素分子が、前記(i)記載の分子であることが好ましい。
また、本発明の核酸プローブ(Eプローブ)は、前述のように、核酸分子の伸長側末端が化学修飾されていることにより、前記核酸分子の伸長反応が防止されている。例えば、本発明の核酸プローブにおいて、前記核酸分子の伸長側末端が、デオキシリボース骨格、リボース骨格、もしくはそれらのいずれかから誘導される構造を有する原子団により形成され、その3’末端水酸基(OH)の水素原子が置換基で置換されていることにより、前記伸長側末端の化学修飾がされていても良い。
前記3’末端水酸基(OH)の水素原子を置換している置換基は、特に限定されないが、下記(A)〜(C)のいずれかであることが好ましい。

(A) 下記化学式(1001)で表される置換基。

*−L1000−X (1001)

前記化学式(1001)中、
Xは、水酸基(OH)、アミノ基(NH)、または、それらの水素原子の少なくとも一つが置換基で置換された基であり、
1000は、リンカー原子団であり、
*印は、その位置で、前記3’末端水酸基(OH)の酸素原子に結合していることを示す。

(B) 3’末端OH(水酸基)を有さず、ポリメラーゼによる伸長反応を起こさないダイデオキシヌクレオチド基

(C) チオリン酸ジエステル基
前記化学式(1001)中、L1000は、脂肪族炭化水素基、または芳香族炭化水素基であることが好ましい。前記脂肪族炭化水素基は、直鎖状でも分枝状でも環状でも良く、例えば、一部が直鎖状または分枝状で、一部が環状でも良い。前記脂肪族炭化水素は、飽和でも不飽和でも良い。また、前記脂肪族炭化水素基は、さらに芳香族炭化水素基で置換された脂肪族炭化水素基(例えば、フェニルメチル基=ベンジル基)等であっても良い。前記芳香族炭化水素基は、例えば、さらに脂肪族炭化水素基で置換された基(例えば、メチルフェニル基=トリル基)等であっても良い。前記脂肪族炭化水素基、および前記芳香族炭化水素基の全体の炭素数は、特に限定されないが、例えば1〜100である。また、置換基Xも特に限定されないが、例えば、GPG担体、スチレンポリマー担体等の担体があげられる。
前記化学式(1001)中、L1000が、直鎖もしくは分子アルキレン基であることが好ましい。前記直鎖もしくは分子アルキレン基の長さは、炭素数に換算した場合、特に限定されないが、例えば1〜100である。
なお、本発明の核酸プローブにおいて、核酸分子の骨格は、デオキシリボース骨格、リボース骨格、もしくはそれらのいずれかから誘導される構造を有する原子団のみには限定されず、任意である。例えば、後述するように、PNA等であっても良い。例えば、PNAの場合は、ポリメラーゼによる伸長反応が起こり難いことから、特に末端を化学修飾せずに、本発明の核酸プローブとして用いることもできる。
[核酸分子の構造]
本発明の核酸プローブにおいて、核酸分子の構造は、例えば、特許第4370385号公報に記載の構造でも良く、また、例えば、以下に説明する構造でも良い。
本発明の核酸プローブにおいて、核酸分子の構造は、例えば、下記式(16)、(16b)、(17)、(17b)、(18)または(18b)で表される構造を少なくとも一つ含む標識核酸であっても良い。また、これらの互変異性体若しくは立体異性体、またはそれらの塩も、本発明における標識核酸に含まれる。以下、蛍光性を示す原子団Z11およびZ12を有する、下記各式で表される構造を、「標識構造」といることがある。また、前記標識構造を含む前記標識核酸を「標識プローブ」ということがある。
本発明において、「標的核酸配列」とは、増幅目的の核酸配列だけでなく、これに相補的な配列も含む。
Figure 2014013954
Figure 2014013954
Figure 2014013954
Figure 2014013954
Figure 2014013954
Figure 2014013954
式(16)、(16b)、(17)、(17b)、(18)および(18b)中、
Bは、天然核酸塩基(アデニン、グアニン、シトシン、チミンまたはウラシル)骨格または人工核酸塩基骨格を有する原子団であり、
Eは、
(i)デオキシリボース骨格、リボース骨格、もしくはそれらのいずれかから誘導される構造を有する原子団、または
(ii)ペプチド構造もしくはペプトイド構造を有する原子団であり、
11およびZ12は、それぞれ、蛍光性を示す原子団であり、同一でも異なっていてもよく、
、LおよびLは、それぞれ、リンカー(架橋原子または原子団)であり、主鎖長(主鎖原子数)は任意であり、主鎖中に、C、N、O、S、PおよびSiを、それぞれ含んでいても含んでいなくても良く、主鎖中に、単結合、二重結合、三重結合、アミド結合、エステル結合、ジスルフィド結合、イミノ基、エーテル結合、チオエーテル結合およびチオエステル結合を、それぞれ含んでいても含んでいなくても良く、L、LおよびLは、互いに同一でも異なっていても良く、
Dは、CR、N、P、P=O、BもしくはSiRであり、Rは、水素原子、アルキル基または任意の置換基であり、
bは、単結合、二重結合もしくは三重結合であるか、
または、前記式(16)および(16b)中、LおよびLは前記リンカーであり、L、Dおよびbは存在せず、LおよびLがBに直接結合していてもよく、
ただし、
式(16)、(17)および(18)中、Eは、前記(i)の原子団であり、リン酸架橋中の少なくとも一つのO原子がS原子で置換されていても良く、
式(16b)、(17b)および(18b)中、Eは、前記(ii)の原子団であり、
式(17)および(17b)中、各Bは、同一でも異なっていても良く、各Eは、同一でも異なっていても良い。
前記式(16)、(17)、(16b)、(17b)、(18)および(18b)中、L、LおよびLの主鎖長(主鎖原子数)は、それぞれ2以上の整数であることが好ましい。L、LおよびLの主鎖長(主鎖原子数)は、上限は特に制限されないが、例えば100以下であり、より好ましくは30以下であり、特に好ましくは10以下である。
11およびZ12は、エキシトン効果を示す蛍光性原子団である。これにより、ターゲット配列と結合したときの蛍光色素周りの環境変化、例えば、二重らせん構造となったときの蛍光の増大が大きく、ターゲット配列をいっそう効果的に検出することができる。
11およびZ12は、エキシトン効果を示す蛍光性原子団であればよく、特に制限されない。Z11およびZ12は、例えば、それぞれ独立に、チアゾールオレンジ、オキサゾールイエロー、シアニン、ヘミシアニン、その他のシアニン色素、メチルレッド、アゾ色素またはそれらの誘導体から誘導される基であることがより好ましい。また、その他の公知の色素から誘導される基も、適宜用いることができる。DNA等の核酸に結合することによって蛍光強度を変化させる蛍光色素は、数多く報告されている。典型的な例では、エチジウムブロミドがDNAの二重らせん構造にインターカレーションして強い蛍光を示すことが知られており、DNA検出に多用されている。また、ピレンカルボキシアミドやプロダンのような微視的極性に応じて蛍光強度を制御できる蛍光色素も知られている。また、前記チアゾールオレンジは、ベンゾチアゾール環とキノリン環をメチン基で連結した蛍光色素であり、通常微弱な蛍光を示すが、二重らせん構造をもつDNAにインターカレーションすることによって強い蛍光発光を与えるようになる。その他、例えば、フルオレセインやCy3等の色素も挙げられる。
11およびZ12は、それぞれ独立に、下記式(7)から(9)のいずれかで表される原子団であることがより好ましい。
Figure 2014013954
Figure 2014013954
Figure 2014013954
式(7)〜(9)中、
およびXは、S、SeまたはOであり、
n’’は、0または正の整数であり、
〜R10、R13〜R21は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ニトロ基、またはアミノ基であり、
11およびR12のうち、一方は、前記式(16)、(17)、(16b)、(17b)、(18)および(18b)中のLもしくはLに結合する連結基であり、他方は、水素原子または低級アルキル基であり、
15は、式(7)、(8)または(9)中に複数存在する場合は、同一でも異なっていても良く、
16は、式(7)、(8)または(9)中に複数存在する場合は、同一でも異なっていても良く、
11中のX、XおよびR〜R21と、Z12中のX、XおよびR〜R21とは、互いに同一でも異なっていてもよい。
前記式(7)〜(9)中、R〜R21において、前記低級アルキル基が、炭素数1〜6の直鎖または分枝アルキル基であり、前記低級アルコキシ基が、炭素数1〜6の直鎖または分枝アルコキシ基であることがさらに好ましい。
前記式(7)〜(9)中、R11およびR12において、前記連結基が、炭素数2以上のポリメチレンカルボニル基であり、カルボニル基部分で前記式(16)、(16b)、(17)、(17b)、(18)および(18b)中のLもしくはLに結合することがさらに好ましい。前記ポリメチレンカルボニル基の炭素数は、その上限は特に制限されないが、例えば100以下、好ましくは50以下、より好ましくは30以下、特に好ましくは10以下である。
11およびZ12は、前記式(7)〜(9)で表される場合は、例えば、それぞれ独立に、下記式(19)または(20)で示される基であることがより好ましい。
Figure 2014013954
Figure 2014013954
前記式(19)および(20)中、Xは−S−又は−O−を示す。RからR10、R13およびR14はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ニトロ基、又はアミノ基を示す。R11及びR12の一方は、前記式(16)、(17)、(16b)、(17b)、(18)および(18b)中のLおよびLに結合する連結基を示し、R11及びR12の他方は水素原子、または低級アルキル基を示す。
また、Z11およびZ12が、それぞれ独立に、下記の各化学式のいずれかで表される原子団であることが特に好ましい。
Figure 2014013954
Figure 2014013954
Figure 2014013954
Figure 2014013954
Figure 2014013954
Figure 2014013954
上記各化学式中、
nは、正の整数であり、2〜6の範囲であることが特に好ましい。
前記式(16)、(17)、(16b)、(17b)、(18)および(18b)中、Bは、天然核酸塩基骨格を有していても良いが、前述の通り、人工核酸塩基骨格を有していてもよい。例えば、Bが、Py(ピリミジン環)、Py der.、Pu(プリン環)、またはPu der.で表される構造であることが好ましい。ただし、
前記Pyとは、下記式(11)で表記される6員環のうち、1位にEと結合する共有結合手を有し、5位にリンカー部と結合する共有結合手を有する原子団であり、
前記Py der.とは、前記Pyの6員環の全原子の少なくとも一つがN、C、SまたはO原子で置換された原子団であり、前記N、C、SまたはO原子は、適宜、電荷、水素原子または置換基を有していても良く、
前記Puとは、下記式(12)で表記される縮合環のうち、9位にEと結合する共有結合手を有し、8位にリンカー部と結合する共有結合手を有する原子団であり、
前記Pu der.とは、前記Puの5員環の全原子の少なくとも一つがN、C、SまたはO原子で置換された原子団であり、前記N、C、SまたはO原子は、適宜、電荷、水素原子または置換基を有していても良い。
Figure 2014013954
また、本発明の核酸プローブにおける前記核酸分子は、例えば、下記化学式106、110、113、117、120、122、123、124または114−2で表されるヌクレオチド構造、またはそれらの幾何異性体、立体異性体もしくは塩である構造を少なくとも一つ含んでいても良い。
Figure 2014013954
Figure 2014013954
Figure 2014013954
Figure 2014013954
Figure 2014013954
Figure 2014013954
Figure 2014013954
Figure 2014013954
Figure 2014013954
上記化学式106、110、113、117、120、122、123、124および114−2中、リンカー長nは、正の整数であり、2〜6の範囲であることが好ましい。
本発明の核酸プローブに含まれる前記標識構造の数は、特に限定されないが、例えば、1〜100個程度、好ましくは、1から20個程度である。また、前記標識プローブにおいて、前記標識構造が含まれる部位も特に制限されない。
本発明の核酸プローブ(標識プローブ)において、それぞれの核酸の基本骨格は、特に制限されず、例えば、オリゴヌクレオチド、修飾オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオシド、修飾オリゴヌクレオシド、ポリヌクレオチド、修飾ポリヌクレオチド、ポリヌクレオシド、修飾ポリヌクレオシド、DNA、修飾DNA、RNA、修飾DNA、LNA、PNA(ペプチド核酸)、または、これらキメラ分子のいずれであっても良いし、その他の構造であっても良い。また、前記核酸の基本骨格は、天然のものであっても、人工的に合成されたものであってもよい。前記核酸は、本発明の核酸プローブの場合、例えば、塩基対結合を形成し得るものであればよく、核酸試料や標的核酸配列の場合、例えば、相補鎖合成のための鋳型として機能すればよい。このため、前記核酸は、例えば、部分的に、または、全体が完全に人工的な構造からなるヌクレオチド誘導体であってもよい。前記核酸を構成する人工塩基としては、例えば、2-amino-6-(N,N-dimethylamino)purinepyridin-2-one、5-methylpyridin-2-one、2-amino-6-(2-thienyl)purine、pyrrole-2-carbaldehyde、9-Methylimidazo[(4,5)-b]pyridine、5-iodo-2-oxo(1H)pyridine 2-oxo-(1H)pyridine、2-amino-6-(2-thiazolyl)purine、7-(2-thienyl)-imidazo[4,5-b]pyridine等があげられるが、これには限定されない。本発明の核酸プローブとしては、基本骨格は、例えば、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、DNA、それらの修飾体であることが好ましい。本発明において、「ヌクレオチド」とは、例えば、デオキシヌクレオチドおよびリボヌクレオチドのいずれであってもよく、「オリゴヌクレオチド」および「ポリヌクレオチド」は、例えば、デオキシヌクレオチドおよびリボヌクレオチドのいずれか一方から構成されてもよいし、両者を含んでもよい。本発明において、核酸の構成塩基数は、特に制限されない。核酸という用語は、一般に、ポリヌクレオチドという用語と同義である。オリゴヌクレオチドという用語は、一般に、ポリヌクレオチドの中でも、特に構成塩基数が少ないものを示す用語として用いる。一般には、例えば、2〜100塩基長、より一般的には2〜50塩基長程度のポリヌクレオチドを「オリゴヌクレオチド」と呼ぶが、これらの数値に限定されるものではない。ポリヌクレオチドという用語は、本発明において、例えば、ポリヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチド、ならびに、ペプチド核酸、モルホリノ核酸、メチルフォスフォネート核酸、S-オリゴ核酸などの人工合成核酸をも含むものとする。
前記ペプチド核酸(PNA)は、一般に、オリゴヌクレオチドのデオキシリボース主鎖が、ペプチド主鎖で置換された構造を有する。前記ペプチド主鎖としては、例えば、アミド結合によって結合したN−(2−アミノエチル)グリシンの反復単位があげられる。PNAのペプチド主鎖に結合させる塩基としては、例えば、チミン、シトシン、アデニン、グアニン、イノシン、ウラシル、5−メチルシトシン、チオウラシルおよび2,6−ジアミノプリン等の天然に存在する塩基、ブロモチミン、アザアデニンおよびアザグアニン等の人工塩基があげられるが、これに限定されない。
LNAは、一般に、糖−リン酸骨格において、リボースの2'位の酸素原子と4'位の炭素原子との間がメチレン架橋で結合された、2つの環状構造を持つ核酸である。LNAを含むオリゴヌクレオチドがDNAとアニールすると、二本鎖のコンフォメーションが変化し、熱安定性が上昇する。LNAは、通常のオリゴヌクレオチドに比較して核酸に対する結合力が強いため、例えば、オリゴヌクレオチドの設計条件によって、より確実、強固なハイブリダイゼーションが可能となる。
本発明の核酸プローブは、前述の蛍光性原子団を有する標識構造を少なくとも一つ含むことによって、例えば、前記蛍光性原子団を含まない未標識核酸と比較して、ターゲットに対する特異性が高く、ハイブリダイゼーションが強くなる。すなわち、本発明の核酸プローブは、例えば、基本骨格が同じ塩基配列であり且つ同じ核酸断片長である未標識核酸と比べて、融解温度(Tm値)が向上する。このため、前記未標識核酸よりも、より強固にターゲットにハイブリダイズすることが可能となる。したがって、本発明の核酸プローブによれば、例えば、効率良く、特異性の高い検出が可能となる。
本発明の核酸プローブは、このような特徴も有することから、例えば、従来のPNAやLAN等と同様に、Tm値を上げることで増幅の特異性を向上させるという応用技術になり得る。また、本発明の核酸プローブの基本骨格をPNAやLNAとすることによって、未標識のPNAやLNAよりも、さらにTm値を高くできるため、より一層ハイブリダイゼーションの効率を向上できる。特に、後述するように、1塩基から数塩基の変異を識別する場合や、挿入や欠失を検出する場合、本発明の標識核酸(例えば、標識PNA、標識LNA等も含む)を用いることで、効率よく、特異性の高い検出が可能となる。本発明の核酸プローブを用いれば、ターゲット配列に対するフルマッチかミスマッチかによってTm値の差が大きく、ハイブリダイゼーション効率が異なる。このため、1塩基識別等の変異の検出がさらに容易になる。また、本発明における標識プローブは、未標識核酸と比較してTm値が高くなるため、例えば、特定領域に強固に結合し、その領域をマスクし、増幅の鋳型にならないような、PCR clamp法、PNA PCR clamp法、LNA PCR clamp法、PNA-LNA PCR clamp法への応用も可能である。
本発明の核酸プローブに含まれる塩基数は、特に限定されないが、例えば、3〜100程度、好ましくは6〜50、より好ましくは6〜25である。
本発明の核酸プローブの配列は、特に制限されないが、例えば、増幅目的の標的核酸配列の配列や、例えば、DNAやRNAにおける前記標的核酸配列の周辺の配列情報、また、本発明の核酸プローブを適用する核酸増幅反応(核酸増幅法)の種類に応じて適宜設定することができる。核酸プローブの配列は、従来公知の方法により設定でき、通常、DNAやRNA等の核酸における標的核酸配列が、増幅産物に含まれるように、ストリンジェントな条件下で、前記核酸にハイブリダイズするように設計される。「ストリンジェントな条件」は、例えば、本発明の核酸プローブとそれらの相補鎖との二重鎖(二本鎖)の融解温度Tm(℃)、および、ハイブリダイゼーション溶液の塩濃度等に依存して決定できる。具体例として、J. Sambrook, E. F. Frisch, T. Maniatis; Molecular Cloning 2nd edition, Cold Spring Harbor Laboratory (1989)等を参照できる。例えば、核酸プローブの融解温度よりわずかに低い温度下でハイブリダイゼーションを行なうと、標的核酸配列を有する核酸に核酸プローブを特異的にハイブリダイズできる。このような核酸プローブは、市販のプライマー構築ソフト、例えば、Primer3(Whitehead Institute for Biomedical Research社製)等を用いて設計できる。
[核酸プローブの原料]
本発明の核酸プローブの原料は特に限定されないが、例えば、以下に示す化合物、核酸または標識物質であっても良い。
前記化合物は、モノヌクレオシドまたはモノヌクレオチドから誘導される構造を有する化合物であって、前記構造が下記式(1)、(1b)または(1c)で表される化合物、その互変異性体若しくは立体異性体、またはそれらの塩である。
Figure 2014013954
前記式(1)、(1b)および(1c)中、
Bは、天然核酸塩基(アデニン、グアニン、シトシン、チミンまたはウラシル)骨格または人工核酸塩基骨格を有する原子団であり、
Eは、
(i)デオキシリボース骨格、リボース骨格、もしくはそれらのいずれかから誘導される構造を有する原子団、または
(ii)ペプチド構造もしくはペプトイド構造を有する原子団であり、
11およびZ12は、それぞれ、水素原子、保護基、または蛍光性を示す原子団であり、同一でも異なっていてもよく、
Qは、
Eが前記(i)の原子団である場合はOであり、
Eが前記(ii)の原子団である場合はNHであり、
Xは、
Eが前記(i)の原子団である場合は、水素原子、酸で脱保護することが可能な水酸基の保護基、リン酸基(モノホスフェート基)、二リン酸基(ジホスフェート基)、または三リン酸基(トリホスフェート基)であり、
Eが前記(ii)の原子団である場合は、水素原子またはアミノ基の保護基であり、
Yは、
Eが前記(i)の原子団である場合は、水素原子、水酸基の保護基、またはホスホロアミダイト基であり、
Eが前記(ii)の原子団である場合は、水素原子または保護基であり、
、LおよびLは、それぞれ、リンカー(架橋原子または原子団)であり、主鎖長(主鎖原子数)は任意であり、主鎖中に、C、N、O、S、PおよびSiを、それぞれ含んでいても含んでいなくても良く、主鎖中に、単結合、二重結合、三重結合、アミド結合、エステル結合、ジスルフィド結合、イミノ基、エーテル結合、チオエーテル結合およびチオエステル結合を、それぞれ含んでいても含んでいなくても良く、L、LおよびLは、互いに同一でも異なっていても良く、
Dは、CR、N、P、P=O、BもしくはSiRであり、Rは、水素原子、アルキル基または任意の置換基であり、
bは、単結合、二重結合もしくは三重結合であるか、
または、前記式(1)中、LおよびLは前記リンカーであり、L、Dおよびbは存在せず、LおよびLがBに直接結合していてもよく、
前記式(1b)中、Tは、
Eが前記(i)の原子団である場合は、リン酸架橋(PO )であり、1以上の酸素原子(O)が硫黄原子(S)で置換されていても良く、
Eが前記(ii)の原子団である場合は、NHである。
前記式(1)、(1b)および(1c)中、Eは、例えば、DNA、修飾DNA、RNA、修飾RNA、LNA、またはPNA(ペプチド核酸)の主鎖構造を有する原子団であることが好ましい。
また、前記式(1)および(1c)中、
Figure 2014013954
で表される原子団が、下記式(2)〜(4)のいずれかで表される原子団であり、
Figure 2014013954
前記式(1b)中、
Figure 2014013954
で表される原子団が、下記式(2b)〜(4b)のいずれかで表される原子団であることが好ましい。
Figure 2014013954
前記式(2)〜(4)および(2b)〜(4b)中、
Aは、水素原子、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、または電子吸引基であり、
MおよびJは、それぞれ、CH、NH、OまたはSであり、同一でも異なっていても良く、
B、XおよびYは、それぞれ、前記式(1)、(1b)または(1c)と同じであり、
前記式(2)、(3)、(2b)および(3b)において、リン酸架橋中のO原子は、1つ以上がS原子で置換されていてもよい。
Eは、例えば、DNA、修飾DNA、RNA、または修飾DNAの主鎖構造を有する原子団であることが、合成の容易さ等の観点から好ましいが、LNA、またはPNA(ペプチド核酸)の主鎖構造を有する原子団であっても良い。
前記式(2)および(2b)中、Aにおいて、例えば、前記アルキル基がメチル基であり、前記アルコキシ基がメトキシ基であり、前記電子吸引基がハロゲンであることが好ましい。
前記式(1)、(1b)または(1c)中、L、LおよびLの主鎖長(主鎖原子数)が、それぞれ2以上の整数であることが好ましい。L、LおよびLの主鎖長(主鎖原子数)は、前述と同様に、上限は特に制限されず、例えば100以下である。
前記化合物は、例えば、下記式(5)、(6)、(6b)または(6c)で表される化合物、その互変異性体若しくは立体異性体、またはそれらの塩であることが好ましい。
Figure 2014013954
前記式(5)、(6)、(6b)および(6c)中、l、mおよびn’は任意であり、同一でも異なっていても良く、主鎖中に、C、N、O、S、PおよびSiを、それぞれ含んでいても含んでいなくても良く、主鎖中に、単結合、二重結合、三重結合、アミド結合、エステル結合、ジスルフィド結合、イミノ基、エーテル結合、チオエーテル結合およびチオエステル結合を、それぞれ含んでいても含んでいなくても良く、B、E、Z11、Z12、b、X、YおよびTは、前記式(1)および(1b)と同じである。前記式(5)、(6)、(6b)および(6c)中、l、mおよびnが、それぞれ、2以上の整数であることが好ましい。l、mおよびnの上限は特に制限されないが、例えば100以下であり、より好ましくは30以下であり、特に好ましくは10以下である。
前記化合物において、Z11およびZ12が、エキシトン効果を示す原子団であることが好ましい。これにより、例えば、二重らせん構造となったときの蛍光の増大が大きく、二重らせん構造をいっそう効果的に検出することができる。ただし、前記化合物においては、Z11およびZ12が、エキシトン効果を示す原子団でなくても、また、蛍光性を示す原子団(色素)が1分子中に1個のみ導入されていても、二重らせん構造を効果的に検出することは可能である。
11およびZ12は、例えば、前述の通り、蛍光性を有する原子団であることが好ましい。前記蛍光性を有する原子団は、特に制限されない。Z11およびZ12は、例えば、それぞれ独立に、チアゾールオレンジ、オキサゾールイエロー、シアニン、ヘミシアニン、その他のシアニン色素、メチルレッド、アゾ色素またはそれらの誘導体から誘導される基であることがより好ましい。また、その他の公知の色素から誘導される基も、適宜用いることができる。DNA等の核酸に結合することによって蛍光強度を変化させる蛍光色素は、数多く報告されている。典型的な例では、エチジウムブロミドがDNAの二重らせん構造にインターカレーションして強い蛍光を示すことが知られており、DNA検出に多用されている。また、ピレンカルボキシアミドやプロダンのような微視的極性に応じて蛍光強度を制御できる蛍光色素も知られている。また、前記チアゾールオレンジは、ベンゾチアゾール環とキノリン環をメチン基で連結した蛍光色素であり、通常微弱な蛍光を示すが、二重らせん構造をもつDNAにインターカレーションすることによって強い蛍光発光を与えるようになる。その他、例えば、フルオレセインやCy3等の色素も挙げられる。
また、Z11およびZ12は、例えば、それぞれ独立に、下記式(7)から(9)のいずれかで表される原子団であることがより好ましい。
Figure 2014013954
Figure 2014013954
Figure 2014013954
前記式(7)〜(9)中、
は、S、OまたはSeであり、
n’’は、0または正の整数であり、
〜R10、R13〜R21は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ニトロ基、またはアミノ基であり、
11およびR12のうち、一方は、前記式(1)、(1b)または(1c)中のLもしくはL、前記式(5)、(6)、(6b)または(6c)中のNHに結合する連結基であり、他方は、水素原子または低級アルキル基であり、
15は、式(7)、(8)または(9)中に複数存在する場合は、同一でも異なっていても良く、
16は、式(7)、(8)または(9)中に複数存在する場合は、同一でも異なっていても良く、
11中のXおよびR〜R21と、Z12中のXおよびR〜R21とは、互いに同一でも異なっていてもよい。
式(7)〜(9)中、R〜R21において、前記低級アルキル基が、炭素数1〜6の直鎖または分枝アルキル基であり、前記低級アルコキシ基が、炭素数1〜6の直鎖または分枝アルコキシ基であることがさらに好ましい。
式(7)〜(9)中、R11およびR12において、前記連結基が、炭素数2以上のポリメチレンカルボニル基であり、カルボニル基部分で前記式(1)、(1b)または(1c)中のLもしくはL、前記式(5)、(6)、(6b)または(6c)中のNHに結合することがさらに好ましい。前記ポリメチレンカルボニル基の炭素数は、その上限は特に制限されないが、例えば100以下である。
11およびZ12は、前記式(7)〜(9)で表される場合は、例えば、それぞれ独立に、下記式(19)または(20)で示される基であることがより好ましい。
Figure 2014013954
Figure 2014013954
前記式(19)および(20)中、Xは−S−又は−O−を示す。RからR10、R13およびR14はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ニトロ基、又はアミノ基を示す。R11及びR12の一方は、前記式(1)、(1b)または(1c)中のLもしくはL、前記式(5)、(6)、(6b)または(6c)中のNHに結合する連結基を示し、R11及びR12の他方は水素原子、または低級アルキル基を示す。
前記化合物は、例えば、下記式(10)で表される構造を有する化合物、その互変異性体若しくは立体異性体、またはそれらの塩であっても良い。
Figure 2014013954
式(10)中、
E、Z11、Z12、Q、XおよびYは、前記式(1)と同じである。
前記式(1)、(1b)および(1c)中、Bは、天然核酸塩基骨格を有していても良いが、前述の通り、人工核酸塩基骨格を有していてもよい。
例えば、Bが、Py、Py der.、Pu、またはPu der.で表される構造であることが好ましい。ただし、
前記Pyとは、下記式(11)で表記される6員環のうち、1位にEと結合する共有結合手を有し、5位にリンカー部と結合する共有結合手を有する原子団であり、
前記Py der.とは、前記Pyの6員環の全原子の少なくとも一つがN、C、SまたはO原子で置換された原子団であり、前記N、C、SまたはO原子は、適宜、電荷、水素原子または置換基を有していても良く、
前記Puとは、下記式(12)で表記される縮合環のうち、9位にEと結合する共有結合手を有し、8位にリンカー部と結合する共有結合手を有する原子団であり、
前記Pu der.とは、前記Puの5員環の全原子の少なくとも一つがN、C、SまたはO原子で置換された原子団であり、前記N、C、SまたはO原子は、適宜、電荷、水素原子または置換基を有していても良い。
Figure 2014013954
前記化合物は、例えば、下記式(13)または(14)で表される化合物、その互変異性体若しくは立体異性体、またはそれらの塩であっても良い。
Figure 2014013954
Figure 2014013954
前記式(13)および(14)中、E、Z11、Z12、Q、XおよびYは、前記式(1)と同じであり、Py、Py der.、Pu、およびPu der.は、前述の定義のとおりである。
前記化合物がホスホロアミダイト基を有する場合、前記ホスホロアミダイト基は、例えば、下記式(15)で表されることが好ましい。
−P(OR22)N(R23)(R24) (15)
式(15)中、R22はリン酸基の保護基であり、R23およびR24はアルキル基、またはアリール基である。
前記式(15)において、R15がシアノエチル基であり、R16およびR17において、前記アルキル基がイソプロピル基であり、前記アリール基がフェニル基であることがより好ましい。
前記化合物において、例えば、前記式(1)で表される化合物が、下記式(21)で表される化合物であっても良い。
Figure 2014013954
式(21)中、Aは水素原子または水酸基を示す。好ましくは、Aは水素原子である。Bはアデニン、グアニン、シトシン、チミンまたはウラシルの残基を示す。例えば、アデニン及びグアニンは、8位で二重結合と結合し、シトシン、チミン又はウラシルは5位で二重結合と結合している。Z11及びZ12は各々独立に、蛍光性を示す原子団、水素原子、またはアミノ基の保護基を示し、チアゾールオレンジ誘導体、又はオキサゾールイエロー誘導体の残基が特に好ましい。Xは、水素原子、酸で脱保護できる水酸基の保護基、あるいはモノホスフェート基、ジホスフェート基又はトリホスフェート基を示す。Yは水素原子、水酸基の保護基、又はホスホロアミダイト基である。
前記式(21)で表される化合物は、例えば、下記式(22)で表されることがより好ましい。
Figure 2014013954
式(22)中、Aは水素原子または水酸基を示す。Z11及びZ12は各々独立に、蛍光性を示す原子団、水素原子、又はアミノ基の保護基を示し、チアゾールオレンジ誘導体、又はオキサゾールイエロー誘導体の残基が特に好ましい。Xは、水素原子、酸で脱保護できる水酸基の保護基、あるいはモノホスフェート基、ジホスフェート基又はトリホスフェート基を示す。Yは水素原子、水酸基の保護基、又はホスホロアミダイト基である。
前記式(21)または(22)の化合物において、Z11およびZ12が水素原子、又はアミノ基の保護基である場合は、一分子中に2つのアミノ基(又は保護されたアミノ基)を有することから、これらのアミノ基を利用して一分子中に2分子の標識分子を導入することができる。例えば、蛍光物質、化学発光物質などを結合して、標識核酸を製造することにより、核酸検出の感度を向上させることが可能である。さらにZ11およびZ12が蛍光性を示す原子団である場合のように、特定の蛍光物質で標識することにより、核酸の検出を簡便に行うことも可能である。
また、前記式(21)または(22)の化合物において、Z11およびZ12が蛍光性を示す原子団である化合物は、2分子の蛍光性分子、例えば、チアゾールオレンジ誘導体又はオキサゾールイエロー誘導体で修飾したヌクレオシドまたはヌクレオチドである。このような化合物を含む一本鎖核酸からなるプローブは、エキシトンカップリングによる消光が引き起こされることにより、プローブのみの状態では蛍光は極めて弱いが、DNA又はRNAとハイブリダイズすることにより強い蛍光発光を示す。すなわち、例えば、チアゾールオレンジ誘導体又はオキサゾールイエロー誘導体の蛍光は、そのひずんだ構造により強く抑制されているが、チアゾールオレンジ誘導体又はオキサゾールイエロー誘導体は、DNAに結合することにより、構造のひずみが解消・固定化され、強い蛍光を示すようになる。蛍光は、例えば、488nm、514nmのArレーザーを使用して励起することにより検出できるが、これに限定されない。
前記式(1)、(1b)または(1c)で表される化合物は、例えば、本発明の標識プローブ(標識核酸)の合成に供することができる。すなわち、前記化合物は、核酸の標識物質(核酸ラベル化試薬)として用いることができる。例えば、前記式(1)、(1b)または(1c)で表される化合物をヌクレオチド基質として用いて、一本核酸を鋳型とした核酸合成反応を行うことによって、あるいは、前記式(1)、(1b)または(1c)で表される化合物を用いて一本鎖核酸を化学合成(例えば、核酸自動合成機を用いたホスホロアミダイト法などの化学合成法)することによって、一分子中に前記化合物を少なくとも1分子以上含む核酸を製造することができる。このとき、前記原子団Z11およびZ12は、それぞれ、蛍光性を示す原子団であっても良いが、水素原子または保護基であっても良い。前記原子団Z11およびZ12が、例えば、蛍光性を示す原子団であれば、本発明の標識プローブを製造でき、水素原子または保護基であれば、さらに、これらの原子や基を、蛍光性を示す原子団で置換することにより、本発明の標識プローブを製造できる。
本発明の標識プローブに含まれる前記式(1)、(1b)または(1c)の化合物の数は特に限定されないが、例えば、1〜100個程度、好ましくは1から20個程度である。
前記化合物または核酸(本発明の標識プローブ)は、例えば、下記式(23)〜(25)のいずれかで表される構造を有していても良い。これにより、例えば、色素を導入した蛍光プローブとして好ましく用いることができる。ただし、蛍光プローブとして好適な化合物は、これらに限定されない。
Figure 2014013954
式(23)において、塩基Bには、2個の色素(Fluo)が連結している。塩基Bがリンカーと結合する部位は特に制限されないが、例えば、ピリミジン4位、5位もしくは6位、プリン2位、3位、6位、7位もしくは8位のうち1ヶ所でリンカーに連結している。リンカーは、1ヶ所の塩基接続部位を有し、途中で2つ以上に分岐し、末端で色素と連結する。塩基もしくは色素との連結方法は、二重結合や三重結合に対する金属触媒反応や環形成縮合反応やマイケル付加反応などにより形成される結合のほかにも、アミド結合、エステル結合、ジスルフィド結合、イミン形成反応などにより形成される結合を用いることができる。リンカーについては、長さ(l, m, n)は自由であり、単結合、二重結合、三重結合、アミド結合、エステル結合、ジスルフィド結合、アミン、イミン、エーテル結合、チオエーテル結合、チオエステル結合などを含んでもよい。また、2量化によって引き起こされるエキシトン効果を妨げないことが好ましい。分岐部(X)は、炭素、ケイ素、窒素、リン、ホウ素の各原子であり、プロトネーション(例えばNH+)や酸化(例えばP=O)が起こっていてもよい。色素は2量化によってエキシトン効果を示すものを用いることが好ましく、リンカーと接続する箇所は色素のどの部分でもよい。式(23)中では、DNAの部分構造であるデオキシリボヌクレオチドが示されているが、それに代わって核酸骨格がリボヌクレオチド(RNA)のほか、2’-O-メチルRNAや2’-フルオロDNAなどの糖修飾核酸、ホスホロチオエート核酸などのリン酸修飾核酸、PNAやLNA(BNA)などの機能性核酸でもよい。
Figure 2014013954
式(24)中、塩基Bには、2個の色素(Fluo)が連結している。塩基Bとリンカーとの結合箇所は、特に制限されないが、例えば、ピリミジン4位、5位もしくは6位、プリン2位、3位、6位、7位もしくは8位のうち2ヶ所でリンカーに連結している。2つのリンカーは、それぞれ1ヶ所の塩基接続部位を有し、もうひとつの末端で色素と連結する。塩基もしくは色素との連結方法は、二重結合や三重結合に対する金属触媒反応や環形成縮合反応やマイケル付加反応などにより形成される結合のほかにも、アミド結合、エステル結合、ジスルフィド結合、イミン形成反応などにより形成される結合を用いることができる。リンカーについては、長さ(l, m)は自由であり、単結合、二重結合、三重結合、アミド結合、エステル結合、ジスルフィド結合、アミン、イミン、エーテル結合、チオエーテル結合、チオエステル結合などを含んでもよい。また、2量化によって引き起こされるエキシトン効果を妨げないことが好ましい。色素は2量化によってエキシトン効果を示すものを用いることが好ましく、リンカーと接続する箇所は色素のどの部分でもよい。式(24)中では、DNAの部分構造であるデオキシリボヌクレオチドが示されているが、それに代わって核酸骨格がリボヌクレオチド(RNA)のほか、2’-O-メチルRNAや2’-フルオロDNAなどの糖修飾核酸、ホスホロチオエート核酸などのリン酸修飾核酸、PNAやLNA(BNA)などの機能性核酸でもよい。
Figure 2014013954
式(25)においては、連続するヌクレオチドの各塩基(B1,B2)にそれぞれ1個の色素(Fluo)を連結している。各塩基がリンカーと結合する箇所は特に制限されないが、例えば、ピリミジン4位、5位もしくは6位、プリン2位、3位、6位、7位もしくは8位のうち1ヶ所でリンカーに連結している。2つのリンカーは、それぞれ1ヶ所の塩基接続部位を有し、もうひとつの末端で色素と連結する。塩基もしくは色素との連結方法は、二重結合や三重結合に対する金属触媒反応や環形成縮合反応やマイケル付加反応などにより形成される結合のほかにも、アミド結合、エステル結合、ジスルフィド結合、イミン形成反応などにより形成される結合を用いることができる。リンカーについては、長さ(l, m)は自由であり、単結合、二重結合、三重結合、アミド結合、エステル結合、ジスルフィド結合、アミン、イミン、エーテル結合、チオエーテル結合、チオエステル結合などを含んでもよい。また、2量化によって引き起こされるエキシトン効果を妨げないことが好ましい。色素は2量化によってエキシトン効果を示すものを用いることが好ましく、リンカーと接続する箇所は色素のどの部分でもよい。式(25)中では、DNAの部分構造であるデオキシリボヌクレオチドが示されているが、それに代わって核酸骨格がリボヌクレオチド(RNA)のほか、2’-O-メチルRNAや2’-フルオロDNAなどの糖修飾核酸、ホスホロチオエート核酸などのリン酸修飾核酸、PNAやLNA(BNA)などの機能性核酸でもよい。
なお、前記化合物または核酸(例えば、本発明の標識核酸)に互変異性体または立体異性体(例:幾何異性体、配座異性体および光学異性体)等の異性体が存在する場合は、いずれの異性体も本発明に用いることができる。また、前記化合物または核酸の塩は、酸付加塩でも良いが、塩基付加塩でも良い。さらに、前記酸付加塩を形成する酸は無機酸でも有機酸でも良く、前記塩基付加塩を形成する塩基は無機塩基でも有機塩基でも良い。前記無機酸としては、特に限定されないが、例えば、硫酸、リン酸、フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、次亜フッ素酸、次亜塩素酸、次亜臭素酸、次亜ヨウ素酸、亜フッ素酸、亜塩素酸、亜臭素酸、亜ヨウ素酸、フッ素酸、塩素酸、臭素酸、ヨウ素酸、過フッ素酸、過塩素酸、過臭素酸、および過ヨウ素酸等があげられる。前記有機酸も特に限定されないが、例えば、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、p−ブロモベンゼンスルホン酸、炭酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸および酢酸等があげられる。前記無機塩基としては、特に限定されないが、例えば、水酸化アンモニウム、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩および炭酸水素塩等があげられ、より具体的には、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化カルシウムおよび炭酸カルシウム等があげられる。前記有機塩基も特に限定されないが、例えば、エタノールアミン、トリエチルアミンおよびトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン等があげられる。これらの塩の製造方法も特に限定されず、例えば、前記電子供与体・受容体連結分子に、前記のような酸や塩基を公知の方法により適宜付加させる等の方法で製造することができる。また、置換基等に異性体が存在する場合はどの異性体でも良く、例えば、「ナフチル基」という場合は、1-ナフチル基でも2-ナフチル基でも良い。
また、本発明において、アルキル基としては、特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基およびtert-ブチル基等が挙げられ、アルキル基を構造中に含む基(アルキルアミノ基、アルコキシ基等)においても同様である。また、ペルフルオロアルキル基としては、特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基およびtert-ブチル基等から誘導されるペルフルオロアルキル基が挙げられ、ペルフルオロアルキル基を構造中に含む基(ペルフルオロアルキルスルホニル基、ペルフルオロアシル基等)においても同様である。本発明において、アシル基としては、特に限定されないが、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、シクロヘキサノイル基、ベンゾイル基、エトキシカルボニル基、等が挙げられ、アシル基を構造中に含む基(アシルオキシ基、アルカノイルオキシ基等)においても同様である。また、本発明において、アシル基の炭素数にはカルボニル炭素を含み、例えば、炭素数1のアルカノイル基(アシル基)とはホルミル基を指すものとする。さらに、本発明において、「ハロゲン」とは、任意のハロゲン元素を指すが、例えば、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が挙げられる。また、本発明において、アミノ基の保護基としては、特に制限されないが、例えば、トリフルオロアセチル基、ホルミル基、C1−6アルキル−カルボニル基(例えばアセチル、エチルカルボニル等)、C1−6アルキル−スルホニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基(以下、Bocとも称する)、ベンジルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、フルオレニルメチルオキシカルボニル基、アリールカルボニル基(例えばフェニルカルボニル、ナフチルカルボニル等)、アリールスルホニル基(例えばフェニルスルホニル、ナフチルスルホニル等)、C1−6アルキルオキシ−カルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等)、C7−10アラルキル−カルボニル基(例えばベンジルカルボニル等)、メチル基、アラルキル基(例えばベンジル、ジフェニルメチル、トリチル基等)、等が用いられる。これらの基は1ないし3個のハロゲン原子(例えばフッ素、塩素、臭素等)、ニトロ基等で置換されていてもよく、その具体例としては、p−ニトロベンジルオキシカルボニル基、p−クロロベンジルオキシカルボニル基、m−クロロベンジルオキシカルボニル基、p−メトキシベンジルオキシカルボニル基などが挙げられる。また、本発明において、水酸基の保護基(酸で脱保護することが可能なものを含む)としては、特に制限されないが、例えば、ジメトキシトリチル基、モノメトキシトリチル基、ピクシル基などが挙げられる。
[核酸プローブの製造方法]
本発明の核酸プローブの製造方法は、特に限定されず、例えば、公知の合成方法(製造方法)を適宜参考にしても良い。具体的には、例えば、以下のように、特許第4370385号公報に開示されている方法を参考にしても良い。
一例として、前記式(21)で表される化合物の場合は、下記式(26)で示される化合物のカルボキシル基を活性化した後、トリス(2−アミノエチル)アミンを反応させる工程;アミノ基を保護する工程:及び上記で得られた化合物中に存在する水酸基を保護基で保護する反応と、得られた化合物中に存在する水酸基にリン酸又はホスホロアミダイト基を付加する反応とを行う工程を含む製造方法により製造してもよい。
Figure 2014013954
式(26)中、Aは水素原子または水酸基を示す。Bはアデニン、グアニン、シトシン、チミン又はウラシルの残基を示す。
本発明の核酸プローブの製造に応用できる製造方法(合成方法)としては、例えば、以下の方法がある。すなわち、まず、DNAの簡便なラベル化法として、DNA中の活性なアミノ基とラベル化剤中の活性化されたカルボキシル基とを緩衝溶液中で反応させる方法が広く用いられている。この方法は、本発明の化合物または核酸のいずれの製造にも応用可能であり、特に、リンカーまたは色素の導入に応用できる。アミノ基の導入法としては、GLEN RESEARCH社が販売しているAmino modifierホスホロアミダイトを利用する方法などがある。
前記原子団Z11およびZ12は、例えば、保護基から水素原子に変換し(保護基を外し)、さらに、水素原子から、蛍光性を有する原子団(色素)で置換することができる。保護基を外す方法は特に制限されず、公知の方法を適宜用いることができる。蛍光性を有する原子団(色素)で置換する方法も特に制限されず、例えば、Z11およびZ12が水素原子である本発明の化合物または核酸と、蛍光性分子(色素)とを適宜反応させればよい。例えば、Z11およびZ12の少なくとも一方が活性アミノ基であると、蛍光性分子(色素)と反応しやすいため好ましく、Z11およびZ12の両方が活性アミノ基であることがより好ましい。蛍光性分子(色素)も特に制限されないが、例えば、前記式(7)〜(9)のいずれかで表される化合物(ただし、R11およびR12のいずれもが、水素原子もしくは低級アルキル基、またはカルボキシポリメチレン基である)であっても良い。また、核酸(ポリヌクレオチド、ポリヌクレオシド、オリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオシド)の場合、保護基を外す工程および蛍光性を有する原子団(色素)で置換する工程は、重合(核酸合成)の前でもよいし、後でもよい。例えば、合成工程で色素部分がダメージを受けることを防止する観点から、重合(核酸合成)の後に蛍光性を有する原子団(色素)を導入することが好ましい。
色素としては、前述の通り、特に制限されず、あらゆる色素が使用可能であるが、例えば、シアニン色素が好ましく、チアゾールオレンジが特に好ましい。シアニン色素は、例えば、ヘテロ原子を有する2つの複素環がメチンリンカーで結ばれた化学構造をしている。複素環の種類やメチンリンカーの長さを変えること、または複素環への置換基導入などにより、さまざまな励起・発光波長の蛍光色素を合成することが可能である。また、DNA導入のためのリンカー導入も比較的容易である。なお、チアゾールオレンジは水中でほとんど蛍光を出さないが、DNAまたはRNAと相互作用することにより強い蛍光を発する。核酸との相互作用により、色素分子間の相互作用が抑制されること、そして色素分子の2つの複素環の間のメチンリンカー周りの回転が抑制されることが蛍光強度の増加につながると考えられている。なお、チアゾールオレンジ色素の使用方法については、良く知られているが、例えば、H. S. Rye, M. A. Quesada, K. Peck, R. A. Mathies and A. N. Glazer, High-sensitivity two-color detection of double-stranded DNA with a confocal fluorescence gel scanner using ethidium homodimer and thiazole orange, Nucleic Acids Res., 1991, 19, 327-33;及びL. G. Lee, C. H. Chen and L. A. Chiu, Thiazole orange: a new dye for reticulocyte analysis, Cytometry, 1986, 7, 508-17を参照して用いることができる。
本発明において、核酸プローブの基本骨格は、前述の通り、特に制限されず、例えば、オリゴヌクレオチド、修飾オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオシド、修飾オリゴヌクレオシド、ポリヌクレオチド、修飾ポリヌクレオチド、ポリヌクレオシド、修飾ポリヌクレオシド、DNA、修飾DNA、RNA、修飾DNA、LNA、またはPNA(ペプチド核酸)のいずれであっても良いし、その他の構造であっても良い。DNA、修飾DNA、RNA、または修飾DNAを基本骨格とする方が合成が容易であり、色素での置換(色素分子の導入)等もしやすいため好ましい。LNAまたはPNAに色素分子を導入する方法は特に制限されず、公知の方法を適宜用いることができる。具体的には、例えば、Analytical Biochemistry 2000, 281, 26-35. Svanvik, N., Westman, G., Wang, D., Kubista, M. (2000) Anal Biochem. 281, 26-35. Hrdlicka, P. J., Babu, B. R., Sorensen, M. D., Harrit, N., Wengel, J. (2005) J. Am. Chem. Soc. 127, 13293-13299.等を参照することができる。
オリゴヌクレオチド、修飾オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオシド、修飾オリゴヌクレオシド、ポリヌクレオチド、修飾ポリヌクレオチド、ポリヌクレオシド、修飾ポリヌクレオシド、DNA、修飾DNA、RNA、または修飾DNAを基本骨格とする核酸の合成方法は良く知られており、例えば、いわゆるホスホロアミダイト法等により合成することができる。その原料となるホスホロアミダイト試薬も、公知の方法で簡便に合成することができる。本発明の核酸がDNA、特に短いオリゴDNAの場合、例えば、DNA自動合成機等で簡便に合成することができる。また、例えば、PCR等により、長鎖状の核酸(DNA)等を合成することもできる。DNAと色素分子との結合箇所は、前述の通り特に制限されないが、例えば、チミジンの5位が特に好ましい。チミジンの5位からさまざまな置換基を伸ばしたヌクレオチド誘導体の三リン酸はDNAポリメラーゼによる導入効率が比較的良いことが知られている。これにより、例えば、本発明の核酸が、短いオリゴDNAである場合のみならず、長鎖DNAである場合にも簡便な合成が可能である。
特に、例えば、チアゾールオレンジを利用した、一本鎖DNAである本発明の蛍光プローブ(標識核酸)は、例えば、(1)DNA自動合成機で合成したDNAに緩衝溶液中で色素をつけるだけで調製でき、合成的に容易である、(2)酵素的に調製した長鎖DNAと色素を反応させることで、長鎖の蛍光プローブの作製も可能である、などの利点を有している。また、例えば、500nm付近の比較的長波長の光で励起できる。
本発明においては、例えば、検出波長が異なる蛍光性原子団を有する2種類以上の本発明の核酸プローブを用いてよい。2種類以上の標的核酸配列に対して、それぞれを増幅させるための核酸プローブとして、異なる蛍光性原子団を有する本発明の核酸プローブを併用すれば、同一反応液で増幅反応を行い、且つ、各蛍光性原子団に応じた検出波長で、それぞれの標的核酸配列の増幅を検出することができる。
また、本発明の核酸プローブ(Eプローブ)の伸長側末端(デオキシリボース骨格、リボース骨格、もしくはそれらのいずれかから誘導される構造を有する原子団の3’末端等)の化学修飾は、例えば、以下のような方法を用いて実現できる。化学修飾は、例えば、一般的な核酸自動合成機(DNA自動合成機)を用いて、通常のホスホロアミダイト法により行うことができる。その後の保護基(例えば、CPG担体、スチレンポリマー担体等の担体)の除去も、例えば、一般的な核酸自動合成機を用いて、通常のホスホロアミダイト法と同様に行うことができる。
(1)Eプローブの3’末端をアルキルリンカーOH基で化学修飾し、末端の3’OHをマスクすることにより、ポリメラーゼによる伸長反応を阻害する。例えば「3’-Spacer C3 CPG」(グレンリサーチ社の商品名)を用いた周知の技術で化学修飾することができる。
(2)Eプローブの3’末端をアルキルリンカーNH2基で化学修飾し、末端の3’OHをマスクすることにより、ポリメラーゼによる伸長反応を阻害する。例えば「3’-PT Amino-Modifier C3 CPG」(グレンリサーチ社の商品名)を用いた周知の技術で化学修飾することができる。
(3)Eプローブの3’末端に3’末端OHを持たず、ポリメラーゼによる伸長反応ができないダイデオキシヌクレオチドを導入する。例えば「3’-2’3’ddC-CPG」(グレンリサーチ社の商品名)を用いた周知技術で導入できる。
(4)リン酸ジエステル結合をチオリン酸ジエステル結合に変換することにより、エキソヌクレアーゼによる末端水酸基を生じる消化反応をブロックし、結果としてポリメラーゼによる伸長反応を阻害する。
以下に実施例を記載する。ただし本発明は、以下の実施例によりなんら制限および限定されない。
核酸分子の合成は、以下のようにして行った。なお、3’末端の化学修飾以外は、特許第4370385号の実施例に記載の合成方法と同様である。
[中間体合成例1〜3]
下記スキーム1にしたがって、2つの活性アミノ基がそれぞれトリフルオロアセチル基で保護された化合物102および103を合成(製造)し、さらに、ホスホロアミダイト104を合成した。
Figure 2014013954
スキーム1 反応試薬と反応条件 (a) (i) N-hydroxysuccinimide, EDC/DMF, (ii) tris(2-aminoethyl)- amine/CH3CN, (iii) CF3COOEt, Et3N; (b) DMTrCl/pyridine; (c) 2-cyanoethyl-N,N,N',N'-tetraisopropyl phosphoramidite, 1H-tetrazole/CH3CN.
前記スキーム1について、より詳しくは以下の通りである。
[中間体合成例1:2-[2-[N,N-ビス(2-トリフルオロアセトアミドエチル)]-アミノエチル]カルバモイル-(E)-ビニル)-2'-デオキシウリジン(2-[2-[N,N-bis(2- trifluoroacetamidoethyl)]-aminoethyl]carbamoyl-(E)-vinyl)-2'- deoxyuridine、化合物102)の合成]
出発原料の(E)-5-(2-カルボキシビニル)-2'-デオキシウリジン((E)-5-(2-carboxyvinyl)-2'- deoxyuridine、化合物101)は、Tetrahedron 1987, 43, 20, 4601-4607に従って合成した。すなわち、まず、430mgの酢酸パラジウム(II)(FW224.51)と1.05gのトリフェニルホスフィン (FW262.29)に71mLの1,4-ジオキサンを加え、さらに7.1mLのトリエチルアミン(FW101.19, d=0.726)を加え、70℃で加熱撹拌した。反応溶液が赤褐色から黒褐色に変化したら14.2gの2'-デオキシ-5-ヨードウリジン (FW354.10)と7.0mLのアクリル酸メチル(FW86.09,d=0.956)を1,4-ジオキサンに懸濁させたものを加え、125℃で1時間 加熱還流させた。その後、熱いうちにろ過し、メタノールで残さを洗浄し、ろ液を回収した。そのろ液から溶媒を減圧留去した後、シリカゲルカラムで生成物を 精製した(5-10% メタノール/ジクロロメタン)。集めたフラクションの溶媒を減圧留去し、残った白色固体を減圧下で乾燥した。その乾燥固体に約100mLの超純水を加え、 3.21gの水酸化ナトリウム(FW40.00)を加え、25℃で終夜撹拌した。その後、濃塩酸を加えて溶液を酸性にし、生じた沈殿をろ過、超純水で洗浄 し、減圧下で乾燥した。これにより、目的化合物(化合物101)8.10g(収率68%)を白色粉末として得た。なお、前記白色粉末が目的化合物101で あることは、1HNMR測定値が文献値と一致することから確認した。また、13CNMR測定値を以下に記す。
(E)-5-(2-カルボキシビニル)-2'-デオキシウリジン(化合物101):13CNMR(DMSO-d6):δ168.1, 161.8, 149.3, 143.5, 137.5, 117.8, 108.4, 87.6, 84.8, 69.7, 60.8, 40.1.
次に、1.20gの(E)-5-(2-カルボキシビニル)-2'-デオキシウリジン101(分子量298.25)と925mgのN-ヒドロキシスクシンイミド(分子量115.09)と1.54gの1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(分子量191.70)を撹拌子の入ったナスフラスコに入れ、20mLのDMFを加えて、25℃で16時間撹拌した。約1mLの酢酸を加え、300mLの塩化メチレンと100mLの超純水を加え、激しく撹拌した。水層を除き、さらに100mLの超純水を加え、同様に2回洗浄した。生じた沈殿をろ過し、塩化メチレンで洗浄し、減圧下で乾燥した。ろ液から溶媒を留去し、生じた沈殿に塩化メチレンを加えて、沈殿を前記と同様に回収した。回収した沈殿を全て合わせ、それを80mLのアセトニトリルに懸濁させ、激しく撹拌した。そこに3.0mLのトリス(2-アミノエチル)アミン(分子量146.23, d=0.976)を一気に加え、25℃でさらに10分間撹拌した。その後、4.8mLのトリフルオロ酢酸エチル(分子量142.08, d=1.194)を加え、さらに5.6mLのトリエチルアミン(分子量101.19, d=0.726)を加え、25℃で3時間撹拌した。溶媒を留去し、シリカゲルカラムで精製した(5-10% MeOH/CH2Cl2)。溶媒を留去し、少量のアセトンに溶解させ、エーテルを加えると白色沈殿を生じた。ろ過、エーテルで洗浄後、減圧下で乾燥し、884mg(33.5%)の目的物質(化合物102)を得た。
なお、原料、溶媒等の使用量、反応時間および工程を若干変化させる以外は上記と同様に合成したところ、収率を37%まで向上させることができた。すなわち、597mg(2.0mmol)の(E)-5-(2-カルボキシビニル)-2'-デオキシウリジン101(分子量298.25)と460mg(4.0mmol)のN-ヒドロキシスクシンイミド(分子量115.09)と(767mg, 4.0mmol)の1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド ヒドロクロリド(分子量191.70)を撹拌子の入ったナスフラスコに入れ、5.0mLのDMFを加えて、25℃で3時間撹拌した。約0.5mLの酢酸を加え、100mLの塩化メチレンと100mLの超純水を加え、激しく撹拌した。生じた沈殿をろ過し、水で洗浄し、減圧下で終夜乾燥させた。得られた白色の残渣を50mLのアセトニトリルに懸濁させ、激しく撹拌した。そこに3.0mL(20mmol)のトリス(2-アミノエチル)アミン(分子量146.23, d=0.976)を一気に加え、25℃でさらに10分間撹拌した。その後、4.8mLのトリフルオロ酢酸エチル(分子量142.08, d=1.194)を加え、さらに5.6mL(40mmol)のトリエチルアミン(分子量101.19, d=0.726)を加え、25℃で16時間撹拌した。溶媒を留去し、シリカゲルカラムで精製した(5-10% MeOH/CH2Cl2)。溶媒を留去し、少量のアセトンに溶解させ、エーテルを加えると白色沈殿を生じた。ろ過、エーテルで洗浄後、減圧下で乾燥し、453mg(37%)の目的物質(化合物102)を白色粉末として得た。以下に、化合物102の機器分析値を示す。
2-[2-[N,N-ビス (2-トリフルオロアセトアミドエチル)]-アミノエチル]カルバモイル-(E)-ビニル)-2'-デオキシウリジン(化合物102):
1HNMR(CD3OD):δ8.35(s,1H), 7.22(d, J=15.6Hz, 1H), 7.04(d, J=15.6Hz, 1H), 6.26(t, J=6.6Hz, 1H), 4.44-4.41(m, 1H), 3.96-3.94(m, 1H), 3.84(dd, J=12.2, 2.9Hz, 1H), 3.76(dd, J=12.2, 3.4Hz, 1H), 3.37-3.30(m, 6H), 2.72-2.66(m, 6H), 2.38-2.23(m, 2H).13CNMR(CD3OD):δ169.3, 163.7, 159.1(q,J=36.4Hz), 151.2, 143.8, 134.3, 122.0, 117.5(q,J=286Hz), 110.9, 89.1, 87.0, 71.9, 62.5, 54.4, 53.9, 41.7, 38.9, 38.7. HRMS(ESI) calcd for C22H29F6N6O8 ([M+H]+) 619.1951, found 619.1943.
[中間体合成例2:5'-O-ジメトキシトリチル-(2-[2-[N,N-ビス(2-トリフルオロアセタミドエチル)]-アミノエチル]カルバモイル -(E)-ビニル)-2'-デオキシウリジン(5'-O-DMTr-(2-[2-[N,N-bis(2- trifluoroacetamidoethyl)]-aminoethyl]carbamoyl-(E)-vinyl)-2'- deoxyuridine、化合物103)の合成]
化合物102の5'-水酸基をDMTr基で保護し、化合物103を得た。すなわち、まず、618mgの化合物102(分子量618.48)と373mgの4,4'-ジメトキシトリチルクロリド(分子量338.83)を撹拌子の入ったナスフラスコに入れ、10mLのピリジンを加えて、25°で16時間撹拌した。少量の水を加え、溶媒を留去し、シリカゲルカラムで精製した(2-4% MeOH, 1% Et3N/CH2Cl2)。目的化合物103を含むフラクションの溶媒を留去し、735.2mg(79.8%)の目的物質(化合物103)を得た。以下に、化合物103の機器分析値を示す。
5'-O-(ジメトキシトリチル)-(2-[2-[N,N-ビス(2-トリフルオロアセタミドエチル)]-アミノエチル]カルバモイル-(E)-ビニル)-2'-デオキシウリジン(化合物103):
1HNMR(CD3OD):δ7.91(s, 1H), 7.39-7.11(m, 9H), 7.02(d, J=15.6Hz, 1H), 6.93(d, J=15.6Hz, 1H), 6.80-6.78(m, 4H), 6.17(t, J=6.6Hz, 1H), 4.38-4.35(m, 1H), 4.06-4.04(m, 1H), 3.68(s, 6H), 3.32-3.22(m, 8H), 2.66-2.55(m, 6H), 2.40(ddd, J=13.7, 5.9, 2.9Hz, 1H), 2.33-2.26(m, 1H).13CNMR(CD3OD):δ168.9, 163.7, 160.1, 159.1(q, J=36.9Hz), 151.0, 146.1, 143.0, 137.0, 136.9, 134.1, 131.24, 131.16, 129.2, 128.9, 128.0, 122.5, 117.5(q, J=286.7Hz), 114.2, 110.9, 88.1, 87.9, 87.6, 72.6, 65.0, 55.7, 54.2, 53.9, 41.7, 38.9, 38.6. HRMS(ESI) calcd for C43H47F6N6O10([M+H]+) 921.3258, found 921.3265.
[中間体合成例3:5'-O-(ジメトキシトリチル)-(2-[2-[N,N-ビス(2-トリフルオロアセタミドエチル)]-アミノエチル]カルバモイル -(E)-ビニル)-2'-デオキシウリジン 3'-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホロアミダイト(5'-O-DMTr-(2-[2-[N,N-bis(2- trifluoroacetamidoethyl)]-aminoethyl]carbamoyl-(E)-vinyl)-2'-deoxyuridine, 3'-[(2-cyanoethyl)-(N,N-diisopropyl)]-phosphoramidite、化合物104)の合成]
188mg(0.20mmol)の化合物103(分子量920.85)をCH3CNと共沸させ、28.6mg(0.40mmol)の1H-テトラゾール(分子量70.05)を加え、真空ポンプで一晩吸引乾燥した。5.1mLのCH3CNを加えて試薬を溶解後、撹拌し、194μL(0.60mmol)の2-シアノエチル-N,N,N',N'-テトライソプロピルホスホロアミダイト(分子量 301.41, d=0.949)を一気に加え25℃で2時間撹拌した。50mLの酢酸エチルと50mLの飽和重曹水を混合したものを加え、分液し、有機層を飽和食塩水で 洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ過により除去した後、溶媒を留去した。この分液による粗生成物をCH3CN共沸後、収率100%で生成物(化合物104)を得たと仮定して0.1MのCH3CN溶液とし、DNA合成に使用した。なお、化合物104が得られていることは、前記粗生成物の31PNMR(CDCl3)とHRMS(ESI)から確認した。これらの値を以下に示す。
化合物104:
31PNMR(CDCl3) δ 149.686, 149.430; HRMS (ESI) calcd for C52H64F6N8O11P([M+H]+) 1121.4336, found 1121.4342.
[中間体合成例4:DNAオリゴマー合成]
Figure 2014013954
化合物104を用いたDNA自動合成機によるオリゴDNA合成は、1μmolスケールで通常のホスホロアミダイト法(DMTr OFF)によって行い、後述の実施例に示す配列のDNAオリゴマーを合成した。脱保護は、濃アンモニア水(28質量%)により、55℃で16時間行った。スピードバックでアンモニアを揮発させ、0.45μmフィルターに通した後、切り出したDNAオリゴマーを逆相HPLCにより分析し、約10.5分に現れたピークを精製した(CHEMCOBOND 5-ODS-H(商品名)10×150mm、3mL/min、5-30% CH3CN/50mM TEAAバッファー pH7(20分)、260nmで検出)。精製した生成物はMALDI TOFマスのネガティブモードにより分子量を測定し、目的の配列を有することが確認された。
なお、合成した各DNAの濃度を決定するために、精製した各DNAを、ウシ腸アルカリホスファターゼ(50U/mL)、ヘビ毒液ホスホジエステラーゼ(0.15U/mL)およびP1ヌクレアーゼ(50U/mL)により、25℃で16時間かけて完全消化した。得られた消化液を、CHEMCOBOND 5-ODS-H(商品名)カラム(4.6×150mm)のHPLCで解析した。その際、展開液としては0.1M TEAA(pH 7.0)を用い、流速は1.0mL/minとした。前記合成したDNAの濃度は、dA、dC、dGおよびdTをそれぞれ0.1mM濃度で含む標準溶液の ピーク面積と比較して決定した。さらに、前記合成したDNAは、MALDI TOFマススペクトルによっても同定した。
[核酸分子合成例:チアゾールオレンジから誘導される構造を1分子中に2箇所有する核酸分子の合成]
Figure 2014013954
上記スキーム4の通り、チアゾールオレンジから誘導される構造を1分子中に2箇所有するDNAオリゴマー(オリゴヌクレオチド)110を合成した。より詳しくは、以下の通りである。
チアゾールオレンジ誘導体107の合成は、Organic Letters 2000, 6, 517-519を参考に下記スキーム5の通り行った。
Figure 2014013954
(1)N-メチルキノリニウムヨージド(化合物111)の合成
まず、N-メチルキノリニウムヨージド(化合物111)を、前記文献の記載に従って合成した。具体的には、無水ジオキサン42mL中に、キノリン2.4mLとヨウ化メチル4mLを加え、150℃で1時間撹拌した後、ろ過によって沈殿物を集め、エーテル及び石油エーテルで洗浄、乾燥し、N-メチルキノリニウムヨージド(化合物111)を得た。
(2)3-(4-カルボキシブチル)-2-メチルベンゾチアゾリウム ブロミド(化合物112)の合成
8mLの2-メチルベンゾチアゾール(FW149.21, d=1.173)と9.4gの5-ブロモ吉草酸(5-ブロモペンタン酸)(FW181.03)を110℃で16時間撹拌した。粗生成物を室温に冷却し、生じた固体をメタノール20mLに懸濁させ、さらにエーテル40mLを加えた。生じた沈殿をろ過し、ジオキサンで2-メチルベンゾチアゾールの匂いがなくなるまで洗浄し、エーテルでさらに洗浄し、減圧下で乾燥して9.8gの白色粉末を得た。この白色粉末の1HNMRを測定したところ、2位がアルキル化された目的物3-(4-カルボキシブチル)-2-メチルベンゾチアゾリウム ブロミド(化合物112)と、2位がアルキル化されていない3-(4-カルボキシブチル)-ベンゾチアゾリウム ブロミドとの混合物であった。プロトンのピーク比は、アルキル化されていないもの:アルキル化されたもの=10:3であった。この粗生成物を、そのまま次の反応に用いた。
(3)1-メチル-4-[{3-(4-カルボキシブチル)-2(3H)-ベンゾチアゾリリデン}メチル]キノリニウム ブロミド(化合物107)の合成
上記(2)で得られた、3-(4-カルボキシブチル)-2-メチルベンゾチアゾリウム ブロミド(化合物112)を含む粗生成物2.18gと、700mgのN-メチルキノリニウムヨージド(化合物111)(FW271.10)を、3.6mLのトリエチルアミン(FW101.19, d=0.726)存在下、10mLの塩化メチレン中、25℃で2時間撹拌した。その後、エーテル50mLを加え、生じた沈殿を濾取し、エーテルで洗浄し、減圧下で乾燥した。その沈殿を超純水50mLに懸濁させ、濾取し、超純水で洗浄し、減圧下で乾燥した。さらに前記沈殿をアセトニトリル50mLに懸濁させ、濾取し、アセトニトリルで洗浄し、減圧下で乾燥させて307.5mgの赤色粉末を得た(収率25.3%)。この赤色粉末が目的物(化合物107)であることは、1HNMRスペクトルを文献値と対比して確認した。
また、3-(4-カルボキシブチル)-2-メチルベンゾチアゾリウム ブロミド(化合物112)および1-メチル-4-[{3-(4-カルボキシブチル)-2(3H)-ベンゾチアゾリリデン}メチル]キノリニウム ブロミド(化合物107)は、以下のようにしても合成することができた。すなわち、まず、11.7mL(92mmol)の2-メチルベンゾチアゾール(FW149.21, d=1.173)と13.7g(76mmol)の5-ブロモ吉草酸(5-ブロモペンタン酸)(FW181.03)を150℃で1時間撹拌した。粗生成物を室温に冷却し、生じた固体をメタノール50mLに懸濁させ、さらにエーテル200mLを加えた。生じた沈殿をろ過し、エーテルで洗浄し、減圧下で乾燥して19.2gの淡紫色粉末を得た。この粉末は、目的化合物112(3-(4-カルボキシブチル)-2-メチルベンゾチアゾリウム ブロミド)と2-メチルベンゾチアゾリウムブロミドとの混合物であった。この混合物を1H NMR(in DMSO-d6)測定し、8.5ppmのピーク(目的化合物112由来)と、8.0ppmのピーク(2-メチルベンゾチアゾリウムブロミド由来)とのピーク面積比から、目的化合物112の収量を9.82g(14mmol, 32%)と算出した。この混合物(粗生成物)は、精製せずに次の反応に使用した。なお、5-ブロモ吉草酸(5-ブロモペンタン酸)を4-ブロモ酪酸(4-ブロモブタン酸)に変える以外は同様の方法でリンカー(カルボキシル基に連結したポリメチレン鎖)の炭素数n=3の3-(4-カルボキシプロピル)-2-メチルベンゾチアゾリウム ブロミドを合成したところ、収率4%で得られた。また、5-ブロモ吉草酸(5-ブロモペンタン酸)を6-ブロモヘキサン酸に変える以外は同様の方法でリンカー(カルボキシル基に連結したポリメチレン鎖)の炭素数n=5の3-(4-カルボキシペンチル)-2-メチルベンゾチアゾリウム ブロミドを合成したところ、収率35%で得られた。さらに、5-ブロモ吉草酸(5-ブロモペンタン酸)を7-ブロモヘプタン酸に変える以外は同様の方法でリンカー(カルボキシル基に連結したポリメチレン鎖)の炭素数n=6の3-(4-カルボキシプロピル)-2-メチルベンゾチアゾリウム ブロミドを合成したところ、収率22%で得られた。
次に、化合物112(3-(4-カルボキシブチル)-2-メチルベンゾチアゾリウム ブロミド)と2-メチルベンゾチアゾリウムブロミドとを含む前記混合物(粗生成物)3.24gに、1.36g(5.0mmol)のN-メチルキノリニウム ヨージド(化合物111)(FW271.10)、7.0mL(50mmol)のトリエチルアミン(FW101.19, d=0.726)、および100mLの塩化メチレンを加え、透明な溶液を得た。この溶液を、25℃で16時間攪拌した。その後、溶媒を減圧留去した。残渣にアセトン(200mL)を加え、得られた沈殿を濾取し、アセトンで洗浄した。そうして得られた残渣を減圧乾燥し、乾燥後の赤色残渣を蒸留水(50mL)で洗浄した。これをさらに濾取し、蒸留水で洗浄し、減圧下で乾燥させて、目的物(化合物107)を赤色粉末として得た(654mg, 1.39mmol, 28%)この赤色粉末が目的物(化合物107)であることは、1HNMRスペクトルを文献値と対比して確認した。以下に、1HNMRおよび13CNMR(DMSO-d6)のピーク値と、HRMS(ESI)の測定値を示す。
化合物107:1HNMR(DMSO-d6):δ 8.74(d, J=8.3Hz, 1H), 8.51(d, J=7.3Hz, 1H), 7.94-7.89(m, 3H), 7.74-7.70(m, 1H), 7.65(d, J=8.3Hz, 1H), 7.55-7.51(m, 1H), 7.36-7.32(m, 1H), 7.21(d, J=7.3Hz, 1H), 6.83(s, 1H), 4.47(t, J=7.1Hz, 2H), 4.07(s, 3H), 2.22(t, J=6.6Hz, 1H), 1.77-1.63(m, 4H); 13CNMR(DMSO-d6, 60℃) δ 174.6, 158.8, 148.4, 144.5, 139.5, 137.6, 132.7, 127.9, 126.8, 125.5, 124.1, 123.7, 123.6, 122.4, 117.5, 112.6, 107.6, 87.4, 45.6, 42.0, 35.5, 26.2, 22.3; HRMS (ESI) calcd for C23H23N2O2S ([M.Br]+) 391.1480, found 391.1475.
なお、リンカー(カルボキシル基に連結したポリメチレン鎖)の炭素数n=3の4-((3-(3-カルボキシプロピル)ベンゾ[d]チアゾール-2(3H)-イリデン)メチル)-1-メチルキノリニウム ブロミドを、前記3-(4-カルボキシプロピル)-2-メチルベンゾチアゾリウム ブロミドと2-メチルベンゾチアゾリウム ブロミドの混合物から上記化合物107と同様の方法で合成したところ、収率43%で得られた。以下に、機器分析値を示す。
4-((3-(3-カルボキシプロピル)ベンゾ[d]チアゾール-2(3H)-イリデン)メチル)-1-メチルキノリニウムブロミド:
1HNMR (DMSO-d6) δ 8.85 (d, J=8.3Hz, 1H), 8.59 (d, J=7.3Hz, 1H), 8.02.7.93 (m, 3H), 7.78.7.70 (m, 2H), 7.61.7.57 (m, 1H), 7.42.7.38 (m, 1H), 7.31 (d, J=6.8Hz, 1H), 7.04 (s, 1H), 4.47 (t, J=8.1Hz, 2H), 4.13 (s, 3H), 2.52.2.48 (m, 2H), 1.99.1.92 (m, 2H); 13CNMR (DMSO-d6, 60℃) δ 174.3, 158.9, 148.6, 144.5, 139.5, 137.7, 132.7, 127.9, 126.7, 125.6, 124.1, 124.0, 123.7, 122.5, 117.5, 112.5, 107.6, 87.7, 45.6, 42.0, 31.6, 22.4; HRMS (ESI) calcd for C22H21N2O2S ([M.Br]+) 377.1324, found 377.1316.
また、リンカー(カルボキシル基に連結したポリメチレン鎖)の炭素数n=5の4-((3-(3-カルボキシペンチル)ベンゾ[d]チアゾール-2(3H)-イリデン)メチル)-1-メチルキノリニウムブロミドを、前記3-(4-カルボキシペンチル)-2-メチルベンゾチアゾリウム ブロミドと2-メチルベンゾチアゾリウム ブロミドの混合物から上記化合物107と同様の方法で合成したところ、収率26%で得られた。以下に、機器分析値を示す。
4-((3-(3-カルボキシペンチル)ベンゾ[d]チアゾール-2(3H)-イリデン)メチル)-1-メチルキノリニウムブロミド:
1HNMR(DMSO-d6) δ 8.70 (d, J=8.3Hz, 1H), 8.61(d, J=6.8Hz, 1H), 8.05.8.00(m, 3H), 7.80.7.73(m, 2H), 7.60.7.56(m, 1H), 7.41.7.35(m, 2H), 6.89(s, 1H), 4.59(t, J=7.3Hz, 2H), 4.16(s, 3H), 2.19(t, J=7.3Hz, 1H), 1.82.1.75(m, 2H), 1.62.1.43(m, 4H); 13CNMR (DMSO-d6, 60℃) δ 174.5, 159.0, 148.6, 144.7, 139.7, 137.8, 132.9, 127.9, 126.9, 125.2, 124.2, 123.8, 123.6, 122.6, 117.8, 112.6, 107.7, 87.4, 45.6, 42.1, 36.0, 26.3, 25.9, 24.9; HRMS(ESI) calcd for C24H25N2O2S ([M.Br]+) 405.1637, found 405.1632.
さらに、リンカー(カルボキシル基に連結したポリメチレン鎖)の炭素数n=6の4-((3-(3-カルボキシヘキシル)ベンゾ[d]チアゾール -2(3H)-イリデン)メチル)-1-メチルキノリニウムブロミドを、前記3-(4-カルボキシヘキシル)-2-メチルベンゾチアゾリウム ブロミドと2-メチルベンゾチアゾリウム ブロミドの混合物から上記化合物107と同様の方法で合成したところ、収率22%で得られた。以下に、機器分析値を示す。
4-((3-(3-カルボキシヘキシル)ベンゾ[d]チアゾール-2(3H)-イリデン)メチル)-1-メチルキノリニウムブロミド:
1HNMR(DMSO-d6) δ 8.72(d, J=8.3Hz, 1H), 8.62(d, J=6.8Hz, 1H), 8.07.8.01(m, 3H), 7.81.7.75(m, 2H), 7.62.7.58(m, 1H), 7.42.7.38(m, 2H), 6.92(s, 1H), 4.61(t, J=7.3Hz, 2H), 4.17(s, 3H), 2.18(t, J=7.3Hz, 1H), 1.82.1.75(m, 2H), 1.51.1.32(m, 6H); 13CNMR(DMSO-d6, 60℃) δ 174.0, 159.1, 148.6, 144.7, 139.8, 137.8, 132.9, 127.9, 126.8, 125.0, 124.2, 123.8, 123.6, 122.6, 118.0, 112.7, 107.8, 87.4, 45.5, 42.1, 33.4, 27.9, 26.4, 25.5, 24.1; HRMS(ESI) calcd for C25H27N2O2S ([M.Br]+) 419.1793, found 419.1788.
(4)N-ヒドロキシスクシンイミジルエステル109の合成
9.4mg(20μmol)の1-メチル-4-[{3-(4-カルボキシブチル)-2(3H)-ベンゾチアゾリリデン}メチル]キノリニウム ブロミド(化合物107)(FW471.41)、4.6mg(40μmol)のN-ヒドロキシコハク酸イミド(化合物108)(FW115.09)、およ び7.6mg(40μmol)のEDC(1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩)(FW191.70)を、1mLのDMF中において25℃で16時間撹拌し、色素(化合物107)のカルボキシ基が活性化されたN-ヒドロキシスクシンイミジルエステル(化合物109)を得た。この反応生成物は、精製せず、反応溶液(色素20mM)をそのままオリゴマーDNA(オリゴヌクレオチド)105との反応に使用した。
さらに、原料として、化合物107に代えてリンカー(ポリメチレン鎖)の炭素数を変化させた化合物を用いる以外は上記化合物109と同様の方法で、リンカー(ポリメチレン鎖)の炭素数n=3の4-((3-(4-(スクシンイミジルオキシ)-4-オキソブチル)ベンゾ[d]チアゾール-2(3H)-イリデン)メチル)-1-メチルキノリニウム ブロミドを合成した。さらに、同様に、リンカー(ポリメチレン鎖)の炭素数n=5の4-((3-(4-(スクシンイミジルオキシ)-4-オキソヘキシル)ベンゾ[d]チアゾール-2(3H)-イリデン)メチル)-1-メチルキノリニウム ブロミドと、リンカー(ポリメチレン鎖)の炭素数n=6の4-((3-(4-(スクシンイミジルオキシ)-4-オキソヘプチル)ベンゾ[d]チアゾール -2(3H)-イリデン)メチル)-1-メチルキノリニウム ブロミドとを合成した。
(5)2分子のチアゾールオレンジで修飾されたDNAオリゴマー(オリゴヌクレオチド110の合成
二つの活性アミノ基を有するDNAオリゴマー(オリゴヌクレオチド)105は、前記中間体合成例4と同様に、DNA自動合成機により通常の方法で合成した。次に、このDNAオリゴマー(オリゴヌクレオチド)105を、N-ヒドロキシスクシンイミジルエステル(化合物109)と反応させ、チアゾールオレンジから誘導される構造を1分子中に2箇所有する核酸分子であるDNAオリゴマー(オリゴヌクレオチド)110を合成した。すなわち、まず、30μLのDNAオリゴマー105(ストランド濃度320μM)と10μLのNa2CO3/NaHCO3 buffer(1M, pH9.0)と60μLのH2Oを混合し、N-ヒドロキシスクシンイミジルエステル(化合物109)のDMF溶液(20mM)100μLを加え、よく混合した。25℃で16時間静置した後、800μLのH2Oを加え、0.45μmのフィルターに通し、逆相HPLCで精製した(CHEMCOBOND 5-ODS-H 10×150mm、3mL/min、5-30% CH3CN/50mM TEAAバッファー(20分)、260nmで検出)。
[実施例1]
上記核酸分子合成例で合成した核酸分子であるDNAオリゴマー110(Eプローブ)の3’末端を、伸長反応しないようにリン酸基またはC3リンカーOH基(3−ヒドロキシプロピル基)で化学修飾して、本発明の核酸プローブ(Eプローブ)を合成した。なお、C3リンカーOH基による化学修飾には、「3’-Spacer C3 CPG」(グレンリサーチ社の商品名)を用いた。また、化学修飾および保護基(CPG担体)の脱離は、DNA自動合成機を用いて、一般的なホスホロアミダイト法と同様の条件で行った。これらをPCR反応に供したところ、リン酸基で化学修飾した場合は、PCR反応において多少の伸長反応がおきたが、リンカーOH基で化学修飾した場合は、ほとんど伸長反応が起きなかった(図2参照)。
なお、上記PCR反応は、リアルタイムPCR機器であるCFX96(バイオラッド)により、反応試薬 AmpliTaqGold Master Mix(ライフテクノロジーズ)を指定の方法で用いて行った(テンプレートDNA含有試料5μl、プライマー溶液(10μM)各2.5μl、Eプローブ溶液(2μM)2.5μl、反応溶液総量25μl)。プライマー配列は、5’-CCTCACAGCAGGGTCTTCTC-3’(配列番号1)および5’-CCTGGTGTCAGGAAAATGCT-3’(配列番号2)を用い、鋳型にはEGFR Exon21配列をコードするプラスミドDNA(配列番号3)を用いた。変異型はL858R変異(配列番号4)を用いた。

5’-TGAACATGACCCTGAATTCGGATGCAGAGCTTCTTCCCATGATGATCTGTCCCTCACAGCAGGGTCTTCTCTGTTTCAGGGCATGAACTACTTGGAGGACCGTCGCTTGGTGCACCGCGACCTGGCAGCCAGGAACGTACTGGTGAAAACACCGCAGCATGTCAAGATCACAGATTTTGGGCTGGCCAAACTGCTGGGTGCGGAAGAGAAAGAATACCATGCAGAAGGAGGCAAAGTAAGGAGGTGGCTTTAGGTCAGCCAGCATTTTCCTGACACCAGGGACCAGGCTGCCTTCCCACT-3’(配列番号3)

5’-AGCCTGGCATGAACATGACCCTGAATTCGGATGCAGAGCTTCTTCCCATGATGATCTGTCCCTCACAGCAGGGTCTTCTCTGTTTCAGGGCATGAACTACTTGGAGGACCGTCGCTTGGTGCACCGCGACCTGGCAGCCAGGAACGTACTGGTGAAAACACCGCAGCATGTCAAGATCACAGATTTTGGGCGGGCCAAACTGCTGGGTGCGGAAGAGAAAGAATACCATGCAGAAGGAGGCAAAGTAAGGAGGTGGCTTTAGGTCAGCCAGCATTTTCCTGACACCAGGGACCAGGCTGCCTTCCCACTAGCTGTATTGTTTAACACATGCAGGGGAGGATGCTCTCCAG-3’(配列番号4)
検出用のEプローブには5’-AGATTTTGGGCZGGCCAAACTG-X-3’(配列番号5)を用いた(Zはエキシトン効果を有する色素ラベルを導入したdT、Xはリン酸基またはC3リンカーOH基)。PCR条件は初期熱変性を95℃、10分間、サイクリングは熱変性を95℃、12秒間、アニーリングを56℃、30秒間、伸長反応を72℃、12秒間で、50サイクルとした。蛍光強度と増幅産物の融解曲線の解析は、CFX Manager Software version 1.6により行った。融解曲線解析は30℃より95℃まで0.1℃/秒の昇温により行った。
図2は、上記測定において、3’末端の修飾の違いによる融解曲線解析への影響を表す図である。同図において、横軸は、温度(℃)であり、縦軸は、−dF/dTすなわち蛍光値の微分値(蛍光値を温度で微分した数値)である。上図:リン酸で化学修飾した際の融解曲線解析、80℃付近にリン酸が外れて伸長したと考えられるピークが見られる。下図:C3リンカーOH基で化学修飾した際の融解曲線解析は見られない。曲線は上から野生型が100%、野生型と変異型が50%ずつ、変異型が100%のテンプレートを示している。
[実施例2]
実施例1と同様に、核酸分子(DNAオリゴマー110)の3’末端を化学修飾して、本発明の核酸プローブ(Eプローブ)を合成した。また、比較対照用として、核酸分子(DNAオリゴマー110)の3’末端を化学修飾していない核酸プローブ(Eプローブ)も用いた。これらのEプローブ中のエキシトン標識位置および対応する変異部位の位置をさまざまに変化させて検出効率をみたところ、以下の条件を満たすように設計することによって検出感度が向上することが確認された。
(1)Eプローブ中の標識は、該Eプローブの両末端から数えて3塩基以上内側に位置する塩基に付加する(図3、図4参照)。
(2)ターゲット配列中の変異を有する配列(ミスマッチ配列)は、Eプローブがハイブリダイズする領域の両末端から数えて4塩基以上内側に位置するようにする。
(3)Eプローブ中の標識の位置によって、ターゲット配列中の変異を有しない配列(フルマッチ配列)と変異を有する配列(ミスマッチ配列)のそれぞれの検出ピーク強度に差を持たせる必要があるときは、変異部位は、Eプローブ中の標識された塩基の位置に対応する塩基から数えて4塩基以上遠ざけ、差を持たせないようにするときは、3塩基以内に近づける(図5、図6参照)。
図3、図4、図6の実験には以下の配列を用いた。
Eプローブは20-merの配列の2塩基毎に色素ラベルを導入し、10本のEプローブを設計した。(Zはエキシトン効果を有する色素ラベルを導入したdT):

20-mer.EX20 5’-ZGTGTATCTTTCTCTTTCTC-3’(配列番号6)
20-mer.EX18 5’-TGZGTATCTTTCTCTTTCTC-3’(配列番号7)
20-mer.EX16 5’-TGTGZATCTTTCTCTTTCTC-3’(配列番号8)
20-mer.EX14 5’-TGTGTAZCTTTCTCTTTCTC-3’(配列番号9)
20-mer.EX12 5’-TGTGTATCZTTCTCTTTCTC-3’(配列番号10)
20-mer.EX10 5’-TGTGTATCTTZCTCTTTCTC-3’(配列番号11)
20-mer.EX8 5’-TGTGTATCTTTCZCTTTCTC-3’(配列番号12)
20-mer.EX6 5’-TGTGTATCTTTCTCZTTCTC-3’(配列番号13)
20-mer.EX4 5’-TGTGTATCTTTCTCTTZCTC-3’(配列番号14)
20-mer.EX2 5’-TGTGTATCTTTCTCTTTCZC-3’(配列番号15)
Eプローブと相補なDNA配列は、フルマッチの配列と、5’末端から4、9、10、11、16番目にミスマッチを含む配列を設計した:
・フルマッチ

EX_TM.rdm_885.full 5’-GAGAAAGAGAAAGATACACA-3’(配列番号16)

・ミスマッチ

4番目 : C, G, T
EX_TM.rdm_885.m4_c 5’-GAGcAAGAGAAAGATACACA-3’(配列番号17)
EX_TM.rdm_885.m4_g 5’-GAGgAAGAGAAAGATACACA-3’(配列番号18)
EX_TM.rdm_885.m4_t 5’-GAGtAAGAGAAAGATACACA-3’(配列番号19)

9番目: C, A, T
EX_TM.rdm_885.m9_a 5’-GAGAAAGAaAAAGATACACA-3’(配列番号20)
EX_TM.rdm_885.m9_c 5’-GAGAAAGAcAAAGATACACA-3’(配列番号21)
EX_TM.rdm_885.m9_t 5’-GAGAAAGAtAAAGATACACA-3’(配列番号22)

10番目: C, G, T
EX_TM.rdm_885.m10_c 5’-GAGAAAGAGcAAGATACACA-3’(配列番号23)
EX_TM.rdm_885.m10_g 5’-GAGAAAGAGgAAGATACACA-3’(配列番号24)
EX_TM.rdm_885.m10_t 5’-GAGAAAGAGtAAGATACACA-3’(配列番号25)

11番目: C, G, T
EX_TM.rdm_885.m11_c 5’-GAGAAAGAGAcAGATACACA-3’(配列番号26)
EX_TM.rdm_885.m11_g 5’-GAGAAAGAGAgAGATACACA-3’(配列番号27)
EX_TM.rdm_885.m11_t 5’-GAGAAAGAGAtAGATACACA-3’(配列番号28)

16番目: C, G, T
EX_TM.rdm_885.m16_c 5’-GAGAAAGAGAAAGATcCACA-3’(配列番号29)
EX_TM.rdm_885.m16_g 5’-GAGAAAGAGAAAGATgCACA-3’(配列番号30)
EX_TM.rdm_885.m16_t 5’-GAGAAAGAGAAAGATtCACA-3’(配列番号31)
図3、図4、図6、図11の融解曲線実験は次の条件で行った。
蛍光強度と核酸二重鎖の融解曲線の解析は、バイオ・ラッドラボラトリーズCFX96により行った。図3、図4、図6ではEプローブとそれと相補なDNAをそれぞれ1μM、図11ではEプローブを1μM、980mM NaCl、10mM Na2HPO4、0.1mM Na2EDTAのバッファーに溶解させて測定サンプルとした。サンプルは一度95℃まで過熱し5分間保った後、室温まで温度を下げた。融解曲線解析は、4℃を30秒保った後、4℃から95℃まで0.1℃/秒の昇温を行う中で、510nmの励起光を用いて、530nmの放射光を測定した。測定後、得られた蛍光値の対数を取り、融解曲線を解析した。この反応では、DNAポリメラーゼを用いないため、DNAの伸張反応は起こらない。そのため、この実験で用いたEプローブは3’末端をリン酸基またはC3リンカーOH基で化学修飾していない。なお、3’末端をリン酸基またはC3リンカーOH基で化学修飾したEプローブを用いても、同様の結果が得られた。
図5の反応条件は次の通りにおこなった。
PCRは、リアルタイムPCR機器であるライトサイクラーシステム(ロシュ・ダイアグノスティックス)により、反応試薬 AmpliTaqGold Master Mix(ライフテクノロジーズ)を指定の方法で用いて行った(テンプレートDNA含有試料5μl、プライマー溶液(10μM)各2.5μl、Eプローブ溶液(2μM)2.5μl、反応溶液総量25μl)。プライマー配列は、5’-TTATAAGGCCTGCTGAAAATGACTGAA-3’(配列番号32)および5’-TGAATTAGCTGTATCGTCAAGGCACT-3’(配列番号33)を用い、鋳型にはKras配列をコードするプラスミドDNA(配列番号34)を用いた。変異型はCodon 12のG12D変異(配列番号35)を用いた。

5’-CAAACTTACAGGGGCTCGACGAGCTAGGTTCCCGGACACGACAAAGGCGGCCGCGGGAATTGCGTTGGAGGAGTTTGTAAATAAAGTACAGTTCATTACGATACACGTCTGCAGTCAACTGGAATTTTCATGATTGAATTTTGTAAGGTATTTTGAAATAATTTTTCATATAAAGGTGAGTTTGTATTAAAAGGTACTGGTGGAGTATTTGATAGTGTATTAACCTTATGTGTGACATGTTCTAATATAGTCACATTTTCATTATTTTTATTATAAGGCCTGCTGAAAATGACTGAATATAAACTTGTGGTAGTTGGAGCTGGTGGCGTAGGCAAGAGTGCCTTGACGATACAGCTAATTCAGAATCATTTTGTGGACGAATATGATCCAACAATAGAGGTAAATCTTGTTTTAATATGCATATTACTGGTGCAGGACCATTCTTTGATACAGATAAAGGTTTCTCTGACCATTTTCATGAGTACTTATTACAAGATAATTATGCTGAAAGTTAAGTTATCTGAAATGTACCTTGGGTTTCAAGTTATATGTAACCATTAATATGGGAACTTTACTTTCCTTGGGAGTATGAATCACTAGTGAATTCGCGGCCGCCTGCAGGTCGACCATATGGGAGAGCTCCAACGCGTTGGATGCATAGCTTGAGTATTCTATAGTGTCACCTAAATAGCTTGGCGTAATCATGGTCATAGCTGTTTCCTGTGTGAAATTGTTATCCGCTCACATTTCCACACACATACGAGCCGGAAGCATAAAGTGTAAAGCCTGGGGTGCTCAATGAGTGAGCTAACTCACATTATTGCGTTGCGCTCACTGCC-3’(配列番号34)

5’-TACCTCTAGGGACGCCGAATCACGCGGTATCCCGGCCGCCATAGAGACGGCCGCGGGAATTCGATTGGAGGAGTTTGTAAATAAAGTACAGTTCATTACGATACACGTCTGCAGTCAACTGGAATTTTCATGATTGAATTTTGTAAGGTATTTTGAAATAATTTTTCATATAAAGGTGAGTTTGTATTAAAAGGTACTGGTGGAGTATTTGATAGTGTATTAACCTTATGTGTGACATGTTCTAATATAGTCACATTTTCATTATTTTTATTATAAGGCCTGCTGAAAATGACTGAATATAAACTTGTGGTAGTTGGAGCTGATGGCGTAGGCAAGAGTGCCTTGACGATACAGCTAATTCAGAATCATTTTGTGGACGAATATGATCCAACAATAGAGGTAAATCTTGTTTTAATATGCATATTACTGGTGCAGGACCATTCTTTGATACAGATAAAGGTTTCTCTGACCATTTTCATGAGTACTTATTACAAGATAATTATGCTGAAAGTTAAGTTATCTGAAATGTACCTTGGGTTTCAAGTTATATGTAACCATTAATATGGGAACTTTACTTTCCTTGGGAGTATGAATCACTAGTGAATTCGCGGCCGCCTGCAGGTCGACCATATGGGAGAGCTCCCAACGCGTTGGATGCATAGCTTGAGTATTCTATAGTGTCACCTAAATAGCTTGGGCGTAATCATGGTCATAGC-3’(配列番号35)
Eプローブは、変異も検出する系には5’-AGCTGGTGGCGZAG-3’(配列番号36)、変異検出を抑制する系には5’-AGCTGGZGGCGTAG-3’(配列番号37)を用いた(Zはエキシトン効果を有する色素ラベルを導入したdT、Gは変異部位)。PCR条件は初期熱変性を95℃、10分間、サイクリングは熱変性を95℃、12秒間、アニーリングを56℃、30秒間、伸長反応を72℃、12秒間で、50サイクルとした。蛍光強度と増幅産物の融解曲線の解析は、LightCycler Software version 1.2.0.169 により行った。融解曲線解析は37℃より95℃まで0.1℃/秒の昇温により行った。
図3は、上記測定において、Eプローブおよびそれと相補な配列による、融解曲線(A,B)と融解曲線の一次微分曲線(C,D)である。5’末端に標識がある場合(A,C)は、蛍光による融解曲線は描けないので、末端の標識は不適当である。5’末端から3塩基目に標識がある場合(B,D)には、蛍光による融解曲線を描くことができる。なお、図3AおよびBにおいて、横軸は、温度(℃)であり、縦軸は、蛍光強度値である。図3CおよびDにおいて、横軸は、温度(℃)であり、縦軸は、蛍光強度を温度で微分した値である。
図4は、上記測定において、色素の位置と「結合の自由エネルギー実測値−予測値」の関係を示すグラフである。解析に用いた配列は、フルマッチのものもしくはミスマッチが色素の位置から3塩基以上離れる配列を用いた。予測値は、色素が中央に位置する11-merの配列を用いて求めた最近接法のパラメータ(下記表1)を用いて算出した。なお、同図において、横軸は、3’末端から、色素(蛍光性原子団)が付された塩基までの距離(塩基数)を表し、縦軸は、「結合の自由エネルギー実測値−予測値」を表す。同図に示すとおり、3’末端から2塩基目に色素がある場合は、予測値より2重鎖の安定性が低く測定された。
Figure 2014013954
図5は、上記測定において、同一配列で色素の位置が異なる場合の融解曲線解析を示す図である。上図:5’-AGCTGGTGGCGZAG-3’(配列番号38)、下図:5’-AGCTGGZGGCGTAG-3’(配列番号39)(Zは色素の位置。Gは対応する変異部位の位置)。ZとGを、上図では4塩基以上遠ざけており、下図では3塩基以内に近づけている。)なお、同図において、横軸は、温度(℃)であり、縦軸は、−dF/dTすなわち蛍光値の微分値(蛍光値を温度で微分した数値)である。
図6は、上記測定において、色素とミスマッチの間の距離(塩基数)と融解曲線のピークの高さの関係を示す図である。なお、図6において、横軸は、色素とミスマッチの間の距離(塩基数)を表し、縦軸は、融解曲線のピークの高さを表す。同図に示すとおり、色素とミスマッチの間の距離が2塩基以内であるとピークが低くなることが確認された。
[実施例3]
実施例1と同様に、核酸分子(DNAオリゴマー110)の3’末端を化学修飾して、本発明の核酸プローブ(Eプローブ)を合成した。本実施例では、PCRの反応系にフルマッチのEプローブを添加しておくことで、前記Eプローブが鋳型配列のターゲット領域にハイブリダイズし、この領域を含む配列の増幅を抑制するクランピングの効果があることを確認した。このとき前記Eプローブに対してミスマッチの配列を持つ鋳型に対してはハイブリダイズが弱いため、クランピングの効果は見られなかった。すなわち、存在量の少ない変異型配列を、野生型のEプローブを利用して増幅反応によるエンリッチメントを行い、検出しやすくできることが確認された。
反応は次の通りに行った。まず、PCRは、リアルタイムPCR機器であるCFX96(バイオラッド)により、反応試薬AmpliTaqGold Master Mix(ライフテクノロジーズ)を指定の方法で用いて行った(テンプレートDNA含有試料5μl、プライマー溶液(10μM)各2.5μl、Eプローブ溶液(2μM)2.5μl、反応溶液総量25μl)。PCR条件は、初期熱変性を95℃、10分間、サイクリングは熱変性を95℃、12秒間、アニーリングを56℃、30秒間、伸長反応を72℃、12秒間で、50サイクルとした。プライマー配列は、5’-TTATAAGGCCTGCTGAAAATGACTGAA-3’(配列番号32)および5’-TGAATTAGCTGTATCGTCAAGGCACT-3’(配列番号33)を用い、鋳型にはKras配列をコードするプラスミドDNAを用いた。変異型はCodon 12のG12D変異を用いた。検出用のEプローブには5’-GTZGGAGCTGGTGG-3’(配列番号40)を用いた。Zは、エキシトン効果を有する色素ラベルを導入したdTである。蛍光強度と増幅産物の融解曲線の解析は、CFX Manager Software version 1.6により行った。融解曲線解析は30℃より95℃まで0.1℃/秒の昇温により行った。コントロールとなるEプローブを添加しない系での融解曲線解析は、直前にEプローブ溶液(2μM)2.5μlを添加し、同様に解析を行った。
図7は、上記測定におけるクランピング効果を確認する融解曲線解析である。右図は、PCR反応系にあらかじめEプローブを添加しクランピング効果を検証した融解曲線である。左図は、PCR反応の後にEプローブを加えた際の融解曲線である。図7右図および左図のそれぞれにおいて、横軸は、温度(℃)であり、縦軸は、蛍光強度を温度で微分した値である。図示のとおり、Eプローブをあらかじめ添加することにより、あきらかに変異のピークが増大している。
[実施例4]
実施例1と同様に、核酸分子(DNAオリゴマー110)の3’末端を化学修飾して、本発明の核酸プローブ(Eプローブ)を合成した。本実施例では、実施例3と同様に、PCRの反応系にフルマッチのEプローブを添加しておくことで、前記Eプローブが鋳型配列のターゲット領域にハイブリダイズし、この領域を含む配列の増幅を抑制するクランピングの効果があることを確認した。実施例3と同様、前記Eプローブに対してミスマッチの配列を持つ鋳型に対してはハイブリダイズが弱いため、クランピングの効果は見られなかった。これにより、存在量の少ない変異型配列を、野生型のプローブを利用して増幅反応によるエンリッチメントを行い、検出しやすくすることができた。さらに、本実施例では、前記PCR法のプライマーがハイブリダイズする配列と、前記フルマッチのEプローブがハイブリダイズする前記ターゲット配列とが競合する(近接する、または重複する)ように設計することの効果を確認した。すなわち、前記のとおり競合するように設計することで、プライマーからの伸長反応が、ほとんど起こらないか、または一切起こらないようになり、クランピング効果によるエンリッチメントの効果がさらに大きくなることを確認した。
本実施例における反応は次の通りに行った。まず、PCRは、リアルタイムPCR機器であるRotorGeneQ(Qiagen社の商品名)により、反応試薬Genotyping MasterMix(Roche社の商品名)を指定の方法で用いて行った(テンプレートDNA含有試料5μl、プライマー溶液(100μM)0.2μl(Forward)、1μl(Forward)、Eプローブ溶液(2μM)2μl、反応溶液総量20μl)。PCR条件は、初期熱変性を95℃、10分間、サイクリングは熱変性を95℃、12秒間、アニーリングを63℃、15秒間、伸長反応を72℃、12秒間で、50サイクルとした。プライマー配列は、5’-TTATAAGGCCTGCTGAAAATGACTGAA-3’(配列番号32)および5’-TGAATTAGCTGTATCGTCAAGGCACT-3’(配列番号33)を用い、鋳型にはKras配列をコードするプラスミドDNAを用いた。変異型はCodon 12のG12D変異を用いた。検出用のEプローブには、5’-TTGGAGCTGGTGGCGZAGGCAA-C3-3’(配列番号41)(通常のEプローブ)および5’-CTCZTGCCTACGCCACCAG-C3-3’(配列番号42)(競合Eプローブ)を用いた。Zは、エキシトン効果を有する蛍光性原子団(色素ラベル)を導入したdTである。前記「通常のEプローブ」は、前記プライマー配列との関係が競合しない位置であること、および前記プライマー配列よりもTm値が低いことにより、前記プライマー配列と競合しない。一方、前記「競合Eプローブ」は、前記プライマー配列との関係が競合する位置にあること、および前記プライマー配列よりもTm値が高いことにより、前記プライマー配列と競合する。蛍光強度と増幅産物のHigh Resolution Meltingの解析は、RotorGene Q Software Version : 2.0.2 (Build 4)により行った。High Resolution Meltingは40℃より95℃まで0.5℃/4秒の昇温により行った。コントロールとなるEプローブを添加しない系でのHigh Resolution Meltingは、直前にEプローブ溶液(2μM)2μlを添加し、同様に解析を行った。
図8のグラフに、前記通常のEプローブを用いたHigh Resolution Melting解析結果を示す。同図において、左側のグラフは、PCR反応系にEプローブ(Eprobe)を添加せず、PCR反応後にEプローブを添加した場合の結果を示す。右側のグラフは、PCR反応系にEプローブ(Eprobe)を添加した場合の結果を示す。それぞれのグラフにおいて、縦軸は、蛍光値の差分(Difference RFU)であり、縦軸の数値が小さいほど、核酸配列の増幅(エンリッチメント)の度合いが大きいことを示す。また、グラフ中において、符号「1」は、WT:12GAT=100:0(変異なし、野生型100%)である鋳型(プラスミドDNA)の反応結果を示す。符号「2」は、WT:12GAT=95:5(Codon 12のG12D変異が5%)である鋳型(プラスミドDNA)の反応結果を示す。符号「3」は、WT:12GAT=90:10(Codon 12のG12D変異が10%)である鋳型(プラスミドDNA)の反応結果を示す。符号「4」は、WT:12GAT=50:50(Codon 12のG12D変異が50%)である鋳型(プラスミドDNA)の反応結果を示す。なお、符号「1」〜「4」のそれぞれについて、同様の鋳型に対し同条件で3回ずつ反応および解析を行った。また、グラフ下方の表中において、「Confidence is wt(%)」は、野生型と判断される統計的な確かさであり、この値が小さいほど統計的に有意に変異型を含んでいると判断できる。図示のとおり、PCR反応系にEプローブを添加した場合(右側のグラフ)は、PCR反応系にEプローブを添加しなかった場合(左側のグラフ)に比べ、変異型の核酸配列がエンリッチメントされていることが、High Resolution Meltingのデータからきわめて明瞭に確認できた。
また、図9のグラフに、前記競合EプローブをPCR反応系に添加した場合のHigh Resolution Melting解析結果を示す。同図において、縦軸は、蛍光値の差分(Difference RFU)であり、縦軸の数値が小さいほど、核酸配列の増幅(エンリッチメント)の度合いが大きいことを示す。グラフ中において、符号「△」を付した曲線は、WT(変異なし、野生型100%)である鋳型(プラスミドDNA)の反応結果(High Resolution Melting解析結果)を示す。符号「◇」を付した曲線は、Codon 12のG12D変異が0.05%である鋳型(プラスミドDNA)の反応結果を示す。符号「○」を付した曲線は、Codon 12のG12D変異が0.10%である鋳型(プラスミドDNA)の反応結果を示す。符号「□」を付した曲線は、Codon 12のG12D変異が0.20%である鋳型(プラスミドDNA)の反応結果を示す。符号「×」を付した曲線は、Codon 12のG12D変異が0.50%である鋳型(プラスミドDNA)の反応結果を示す。符号を付していない曲線は、Codon 12のG12D変異が1.00%である鋳型(プラスミドDNA)の反応結果を示す。符号「▲」を付した曲線は、Codon 12のG12D変異が2.50%である鋳型(プラスミドDNA)の反応結果を示す。符号「◆」を付した曲線は、Codon 12のG12D変異が5%である鋳型(プラスミドDNA)の反応結果を示す。符号「●」を付した曲線は、Codon 12のG12D変異が10%である鋳型(プラスミドDNA)の反応結果を示す。符号「■」を付した曲線は、Codon 12のG12D変異が50%である鋳型(プラスミドDNA)の反応結果を示す。なお、同様の鋳型に対し、それぞれ同条件で3回ずつ反応および解析を行った。また、グラフ右方の表中において、「Confidency」は、野生型と判断される統計的な確かさであり、この値が小さいほど統計的に有意に変異型を含んでいると判断できる。図示のとおり、前記競合Eプローブは、プライマーとの配列の競合効果により、前記通常のEプローブと比較して、野生型の増幅がさらに大きく抑制された。
[実施例5]
実施例1と同様に、核酸分子(DNAオリゴマー110)の3’末端を化学修飾して、本発明の核酸プローブ(Eプローブ)を合成した。本実施例では、野生型のEプローブによる、融解曲線解析を利用した変異の型分け(識別)を行った。具体的には、本実施例で用いた前記Eプローブは、ミスマッチする配列によって、Tm値が若干異なる。これを利用して、ミスマッチとなるターゲット配列を識別できることを確認した。前述のとおり、従来技術では、型分け(識別)にはそれぞれに対応する検出プローブが必要であるが、本発明のEプローブによれば、野生型の配列で変異型の塩基配列の型分けが可能であることが確認された。
本実施例における反応は次の通りに行った。まず、PCRは、リアルタイムPCR機器であるRotorGeneQ(Quiagen社の商品名)により、反応試薬Genotyping MasterMix(Roche社の商品名)を指定の方法で用いて行った(テンプレートDNA含有試料2.5μl、プライマー溶液(100μM)0.02μl(Forward)、0.1μl(Forward)、Eプローブ溶液(4μM)1μl、反応溶液総量10μl)。PCR条件は、初期熱変性を95℃、10分間、サイクリングは熱変性を95℃、12秒間、アニーリングを63℃、15秒間、伸長反応を72℃、12秒間で、50サイクルとした。プライマー配列は、5’-TTATAAGGCCTGCTGAAAATGACTGAA-3’(配列番号32)および5’-TGAATTAGCTGTATCGTCAAGGCACT-3’(配列番号33)を用い、鋳型にはKras配列をコードするプラスミドDNAを用いた。変異型はCodon 12のG12SおよびG13D変異を用いた。検出用のEプローブには5’-CTCZTGCCTACGCCACCAG-C3-3’(配列番号42)(競合Eプローブ)を用いた。Zは、エキシトン効果を有する色素ラベルを導入したdTである。蛍光強度と増幅産物のHigh Resolution Meltingの解析は、RotorGene Q Software Version : 2.0.2 (Build 4)により行った。High Resolution Meltingは、40℃より95℃まで0.5℃/4秒の昇温により行った。
図10のグラフに、測定結果を示す。同図において、横軸は、温度(℃)であり、縦軸は、−dF/dTすなわち蛍光値の微分値(蛍光値を温度で微分した数値)である。なお、同様の鋳型に対し、それぞれ同条件で3回ずつ反応および解析を行った。本実施例では、野生型のEプローブを用いて、図10に示したとおり、ミスマッチ配列による前記野生型EプローブのTm値の違いにより、明瞭にG12S(Tm:57.5℃)とG13D(Tm:54.8℃)の識別(型分け)ができた。
[実施例6]
本実施例では、二本鎖核酸中に含まれるターゲット配列を、本発明の核酸プローブ(Eプローブ)を用いて検出した。
まず、5’-TCTTGGAZCAACC-3’(配列番号43)の配列を有するEプローブ(HCV_1b.Cf.188-13.E6)を、DNA自動合成機により、一般的なホスホロアミダイト法と同様の条件で合成した(Zはエキシトン効果を有する色素ラベルを導入したdT)。鋳型DNAセンス鎖((sense)DNA)としては、HCV_1b.Of.209-48(配列番号44)を用い、それと相補的配列を有する鋳型DNAアンチセンス鎖((anti-sense)DNA)としては、HCV_1b.Or.162-48(配列番号45)を用いた。なお、下記配列番号44((anti-sense)DNA)中の下線部は、前記Eプローブ(配列番号43)の核酸配列と相補的なターゲット配列であり、下記配列番号45((sense)DNA)中の下線部は、前記ターゲット配列に相補的な配列(前記Eプローブと同じ配列)である。

5’-ACGACCGGGTCCTTTCTTGGATCAACCCGCTCAATGCCTGGAGATTTG-3’(配列番号44)
5’-CAAATCTCCAGGCATTGAGCGGGTTGATCCAAGAAAGGACCCGGTCGT-3’(配列番号45)
前記Eプローブ(配列番号43)、(sense)DNA(配列番号44)および(anti-sense)DNA(配列番号45)をそれぞれ0.5μMずつ、バッファー(50mM KCl、1.5mM MgCl2、10mM Tris-HCl、pH8.3)に溶解させて測定サンプルとした。この測定サンプルを、一度95℃まで加熱し1分間保った後、室温まで冷却した。その後、25℃を30秒保った後、25℃から95℃までの昇温を行う中で、510nmの励起光を用いて、530nmの放射光を測定した。測定後、得られた蛍光値の温度に対する微分値を取り、融解曲線を解析した。蛍光強度と核酸三重鎖の融解曲線の解析は、アジレント・テクノロジーMx3000により行った。比較対照用として、前記鋳型核酸を含まず、前記Eプローブのみを含むサンプルについても、同様の融解曲線解析を行った。
図11のグラフに、前記融解曲線解析の結果を示す。同図において、横軸は、温度(℃)であり、縦軸は、−dF/dTすなわち蛍光値の微分値(蛍光値を温度で微分した数値)である。同図中、上側のプロット(●)は、前記鋳型DNA二重鎖(二本鎖)および前記Eプローブを含むサンプルの融解曲線解析結果を表す。下側のプロット(■)は、前記Eプローブのみを含み、前記鋳型核酸を含まないサンプルの融解曲線解析結果を表す。なお、同様のサンプルに対し、それぞれ同条件で3回ずつ反応および解析を行った。同図上側のプロット(鋳型DNA二重鎖+Eプローブ)に示すとおり、鋳型核酸が二重鎖(二本鎖)であっても、Eプローブは強い蛍光を示した。これに対し、下側のプロット(Eプローブのみ)では、全く蛍光を示さなかった。すなわち、本発明のEプローブは、鋳型核酸が二本鎖であってもターゲット配列を感度良く検出可能であることが確認された。
[実施例7]
本実施例では、本発明の核酸プローブ(Eプローブ)において、エキシトン効果を示す蛍光性原子団(色素)が結合している標識塩基が、ターゲット配列にハイブリダイズしなくても、蛍光を示す場合があることを確認した。
まず、5’-TTZCCTACCCACTTTTCTCCCATTT-3’(配列番号46)の配列を有するEプローブ(TE_TM_25P.Of.1-25.E23)を、DNA自動合成機により、一般的なホスホロアミダイト法と同様の条件で合成した(Zはエキシトン効果を有する色素ラベルを導入したdT)。鋳型核酸(前記Eプローブの一部の配列と相補的な配列を有する相補鎖DNA)としては、5’-AAATGGGAGAAAAGT-3’の配列を有するTE_ext_25P.Or.1-15(配列番号47)を用いた。前記鋳型核酸(15塩基)の塩基配列は、前記Eプローブの3’末端側の15塩基に対し相補的であり、前記EプローブのZ(エキシトン効果を有する色素ラベルを導入したdT)は、前記Eプローブ中において、前記鋳型核酸に相補的な配列から8塩基離れている。
前記Eプローブ(配列番号46)および前記鋳型核酸(配列番号47)を、それぞれ1.0μMずつ、バッファー(1.4mM dNTP、20mM Tris-HCl、10mM (NH4)2SO4、8mM MgSO4、0.1% Tween-20、10mM KCl)に溶解させて測定サンプルとした。融解曲線の解析は、バイオ・ラッドラボラトリーズCFX96を用い、以下のようにして行った。すなわち、まず、前記測定サンプルに対し、4℃から95℃までの昇温を行う中で、510nmの励起光を用いて、530nmの放射光を測定した。測定後、得られた蛍光値の温度に対する微分値を取り、融解曲線を解析した。なお、この反応では、DNAポリメラーゼを用いないため、DNAの伸張反応は起こらない。そのため、この実験で用いたEプローブは3’末端をリン酸基またはC3リンカーOH基で化学修飾していない。ただし、3’末端をリン酸基またはC3リンカーOH基で化学修飾したEプローブを用いても、同様の結果が得られた。さらに、前記鋳型核酸(配列番号47)を加えない以外は同様の(前記Eプローブ(配列番号46)のみを前記バッファーに溶解させたサンプルについても、同様に融解曲線を解析した。
図12のグラフに、前記融解曲線解析の結果を示す。同図において、横軸は、温度(℃)であり、縦軸は、−dF/dTすなわち蛍光値の微分値(蛍光値を温度で微分した数値)である。また、符号「■」を付した曲線は、前記Eプローブ(配列番号46)および前記鋳型核酸(相補鎖DNA、配列番号47)を含むサンプルの解析結果であり、符号「▲」を付した曲線は、前記Eプローブ(配列番号46)のみを含み前記鋳型核酸(配列番号47)を含まないサンプルの解析結果である。なお、同様のサンプルに対し、それぞれ同条件で3回ずつ反応および解析を行った。図示の「■」の曲線に示すとおり、Eプローブにおいて、ターゲット配列にハイブリダイズする箇所以外に蛍光性原子団(色素)をラベルした場合にも、強い蛍光が得られ、Tm値の高い場合があることが確認された。このメカニズムは明らかではないが、例えば、前記Eプローブを形成する塩基配列が、折り返す(Uターンする)ことによって、前記標識塩基および前記蛍光性原子団(色素)が、前記Eプローブと前記ターゲット配列とのハイブリダイズにより形成された二本鎖に近づき、前記蛍光性原子団が前記二本鎖内に潜り込み、蛍光を発したと推測される。一方、図12の「▲」の曲線に示すとおり、配列番号47の鋳型核酸なし(配列番号46のEプローブのみ)の場合は、鋳型核酸由来の蛍光と混同されるような望ましくない蛍光を示さなかった。この現象を利用すれば、通常はプローブ設計が困難なターゲット配列に対しても、前記ターゲット配列の外側(前記ターゲット配列にハイブリダイズする配列以外の位置)に対応する位置に前記標識塩基を配置させることで、簡便なプローブ設計による蛍光の検出が可能となる。
[実施例2]
実施例1と同様に、核酸分子(DNAオリゴマー110)の3’末端を化学修飾して、本発明の核酸プローブ(Eプローブ)を合成した。また、比較対照用として、核酸分子(DNAオリゴマー110)の3’末端を化学修飾していない核酸プローブ(Eプローブ)も用いた。これらのEプローブ中のエキシトン標識位置および対応する変異部位の位置をさまざまに変化させて検出効率をみたところ、以下の条件を満たすように設計することによって検出感度が向上することが確認された。
(1)Eプローブ中の標識は、該Eプローブの両末端から数えて3塩基以上内側に位置する塩基に付加する(図3、図4参照)。
(2)ターゲット配列中の変異を有する配列(ミスマッチ配列)は、Eプローブがハイブリダイズする領域の両末端から数えて4塩基以上内側に位置するようにする。
(3)Eプローブ中の標識の位置によって、ターゲット配列中の変異を有しない配列(フルマッチ配列)と変異を有する配列(ミスマッチ配列)のそれぞれの検出ピーク強度に差を持たせる必要があるときは、変異部位は、Eプローブ中の標識された塩基の位置に対応する塩基から数えて3塩基以内に近づけ、差を持たせないようにするときは、4塩基以上遠ざける(図5、図6参照)。

Claims (42)

  1. 核酸分子から形成された核酸プローブであって、
    前記核酸分子は、エキシトン効果を示す蛍光性原子団を複数含み、
    前記エキシトン効果を示す蛍光性原子団のうち少なくとも2つが、それぞれ、前記核酸分子内における同一の塩基または互いに隣接する2つの塩基に、リンカー(架橋原子または原子団)を介して結合し、
    前記核酸分子の伸長側末端が化学修飾されていることにより、前記核酸分子の伸長反応が防止されていることを特徴とする核酸プローブ。
  2. 前記核酸分子の伸長側末端が、デオキシリボース骨格、リボース骨格、もしくはそれらのいずれかから誘導される構造を有する原子団により形成され、その3’末端水酸基(OH)の水素原子が置換基で置換されていることにより、前記伸長側末端の化学修飾がされている請求項1記載の核酸プローブ。
  3. 前記3’末端水酸基(OH)の水素原子を置換している置換基が、下記(A)〜(C)のいずれかである請求項2記載の核酸プローブ。

    (A) 下記化学式(1001)で表される置換基。

    *−L1000−X (1001)

    前記化学式(1001)中、
    Xは、水酸基(OH)、アミノ基(NH)、または、それらの水素原子の少なくとも一つが置換基で置換された基であり、
    1000は、リンカー原子団であり、
    *印は、その位置で、前記3’末端水酸基(OH)の酸素原子に結合していることを示す。

    (B) 3’末端OH(水酸基)を有さず、ポリメラーゼによる伸長反応を起こさないダイデオキシヌクレオチド基

    (C) チオリン酸ジエステル基
  4. 前記化学式(1001)中、L1000が、脂肪族炭化水素基、または芳香族炭化水素基であり、前記脂肪族炭化水素基は、直鎖状でも分枝状でも環状でも良い、請求項3記載の核酸プローブ。
  5. 前記化学式(1001)中、L1000が、直鎖もしくは分子アルキレン基である請求項4記載の核酸プローブ。
  6. 前記化学式(1001)中、L1000が、炭素鎖長1〜100の直鎖もしくは分子アルキレン基である請求項4記載の核酸プローブ。
  7. 前記核酸分子が、下記式(16)、(16b)、(17)または(17b)で表される構造を少なくとも一つ含む請求項1から6のいずれか一項に記載の核酸プローブ。
    Figure 2014013954
    Figure 2014013954
    Figure 2014013954
    Figure 2014013954
    式(16)、(16b)、(17)および(17b)中、
    Bは、天然核酸塩基(アデニン、グアニン、シトシン、チミンまたはウラシル)骨格または人工核酸塩基骨格を有する原子団であり、
    Eは、
    (i)デオキシリボース骨格、リボース骨格、もしくはそれらのいずれかから誘導される構造を有する原子団、または
    (ii)ペプチド構造もしくはペプトイド構造を有する原子団であり、
    11およびZ12は、それぞれ、エキシトン効果を示す蛍光性原子団であり、同一でも異なっていてもよく、
    、LおよびLは、それぞれ、リンカー(架橋原子または原子団)であり、主鎖長(主鎖原子数)は任意であり、主鎖中に、C、N、O、S、PおよびSiを、それぞれ含んでいても含んでいなくても良く、主鎖中に、単結合、二重結合、三重結合、アミド結合、エステル結合、ジスルフィド結合、イミノ基、エーテル結合、チオエーテル結合およびチオエステル結合を、それぞれ含んでいても含んでいなくても良く、L、LおよびLは、互いに同一でも異なっていても良く、
    Dは、CR、N、P、P=O、BもしくはSiRであり、Rは、水素原子、アルキル基または任意の置換基であり、
    bは、単結合、二重結合もしくは三重結合であるか、
    または、前記式(16)および(16b)中、LおよびLは前記リンカーであり、L、Dおよびbは存在せず、LおよびLがBに直接結合していてもよく、
    ただし、
    式(16)および(17)中、Eは、前記(i)の原子団であり、リン酸架橋中の少なくとも一つのO原子がS原子で置換されていても良く、
    式(16b)および(17b)中、Eは、前記(ii)の原子団であり、
    式(17)および(17b)中、各Bは、同一でも異なっていても良く、各Eは、同一でも異なっていても良い。
  8. 前記式(16)、(17)、(16b)および(17b)中、
    、LおよびLの主鎖長(主鎖原子数)が、それぞれ2以上の整数である、請求項7記載の核酸プローブ。
  9. 前記式(16)、(17)、(16b)および(17b)中、
    11およびZ12が、それぞれ独立に、チアゾールオレンジ、オキサゾールイエロー、シアニン、ヘミシアニン、その他のシアニン色素、メチルレッド、アゾ色素、ビオチンまたはそれらの誘導体から誘導される基である、請求項7または8記載の核酸プローブ。
  10. 11およびZ12が、それぞれ独立に、下記式(7)から(9)のいずれかで表される原子団である、請求項7から9のいずれか一項に記載の核酸プローブ。
    Figure 2014013954
    Figure 2014013954
    Figure 2014013954
    式(7)〜(9)中、
    およびXは、S、OまたはSeであり、
    n’’は、0または正の整数であり、
    〜R10、R13〜R21は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ニトロ基、またはアミノ基であり、
    11およびR12のうち、一方は、前記式(16)、(17)、(16b)および(17b)中のLもしくはLに結合する連結基であり、他方は、水素原子または低級アルキル基であり、
    15は、式(7)、(8)または(9)中に複数存在する場合は、同一でも異なっていても良く、
    16は、式(7)、(8)または(9)中に複数存在する場合は、同一でも異なっていても良く、
    11中のX、XおよびR〜R21と、Z12中のX、XおよびR〜R21とは、互いに同一でも異なっていてもよい。
  11. 前記式(7)〜(9)中、
    〜R21において、前記低級アルキル基が、炭素数1〜6の直鎖または分枝アルキル基であり、前記低級アルコキシ基が、炭素数1〜6の直鎖または分枝アルコキシ基である、請求項10記載の核酸プローブ。
  12. 前記式(7)〜(9)中、
    11およびR12において、前記連結基が、炭素数2以上のポリメチレンカルボニル基であり、カルボニル基部分で前記式(16)、(16b)、(17)および(17b)中のLもしくはLに結合する、請求項10または11記載の核酸プローブ。
  13. 11およびZ12が、それぞれ独立に、前記式(7)または(8)で表される原子団であり、
    前記式(7)または(8)で表されるZ11およびZ12が、下記式(19)または(20)で示される基である請求項10から12のいずれか一項に記載の核酸プローブ。
    Figure 2014013954
    Figure 2014013954
    式(19)および(20)中、
    、RからR10、R13およびR14、R11ならびにR12は、式(7)〜(9)と同じである。
  14. 11およびZ12が、それぞれ独立に、前記式(19)で表される原子団であり、
    前記式(19)中、
    は、Sであり、
    からR10は、水素原子であり、
    11およびR12のうち、一方は、前記式(16)、(17)、(16b)および(17b)中のLもしくはLに結合する連結基であり、他方は、メチル基である、請求項13記載の核酸プローブ。
  15. 11およびZ12が、それぞれ独立に、前記式(19)で表される原子団であり、
    前記式(19)中、
    は、Sであり、
    、R、R、R、R、RおよびR10は、水素原子であり、
    、RおよびR12は、メチル基であり、
    は、ハロゲン原子であり、
    11は、前記式(16)、(17)、(16b)および(17b)中のLもしくはLに結合する連結基である、請求項13記載の核酸プローブ。
  16. 11およびZ12が、それぞれ独立に、前記式(7)で表される原子団であり、
    前記式(7)中、
    は、Sであり、
    nは、1であり、
    からR10、R15、R16およびR17は、水素原子であり、
    11は、前記式(16)、(17)、(16b)および(17b)中のLもしくはLに結合する連結基であり、
    12は、メチル基である、請求項10記載の核酸プローブ。
  17. 11およびZ12が、それぞれ独立に、下記の各化学式のいずれかで表される原子団である、請求項10に記載の核酸プローブ。
    Figure 2014013954
    Figure 2014013954
    Figure 2014013954
    Figure 2014013954
    Figure 2014013954
    Figure 2014013954
    上記各化学式中、
    nは、正の整数である。
  18. 前記式(16)、(17)、(16b)および(17b)中、
    Bが、天然核酸塩基(アデニン、グアニン、シトシン、チミンまたはウラシル)骨格を有する原子団である請求項7から17のいずれか一項に記載の核酸プローブ。
  19. 前記式(16)、(17)、(16b)および(17b)中、
    Bが、人工核酸塩基骨格を有する原子団であり、前記人工核酸塩基が、2-アミノ-6-(N,N-ジメチルアミノ)プリン ピリジン-2-オン、5-メチルピリジン-2-オン、2-アミノ-6-(2-チエニル)プリン、ピロール-2-カルボアルデヒド、9-メチルイミダゾ[(4,5)-b]ピリジン、5-ヨード-2-オキソ(1H)ピリジン 2-オキソ-(1H)ピリジン、2-アミノ-6-(2-チアゾリル)プリン、7-(2-チエニル)-イミダゾ[4,5-b]ピリジン、ブロモチミン、アザアデニンまたはアザグアニンである請求項7から17のいずれか一項に記載の核酸プローブ。
  20. 前記式(16)、(17)、(16b)および(17b)中、
    Bが、人工核酸塩基骨格を有する原子団であり、前記人工核酸塩基が、Py、Py der.、Pu、またはPu der.である請求項7から17のいずれか一項に記載の核酸プローブ。
    前記Pyとは、下記式(11)で表記される6員環のうち、1位にEと結合する共有結合手を有し、5位にリンカー部と結合する共有結合手を有する原子団であり、
    前記Py der.とは、前記Pyの6員環の全原子の少なくとも一つがN、C、SまたはO原子で置換された原子団であり、前記N、C、SまたはO原子は、適宜、電荷、水素原子または置換基を有していても良く、
    前記Puとは、下記式(12)で表記される縮合環のうち、9位にEと結合する共有結合手を有し、8位にリンカー部と結合する共有結合手を有する原子団であり、
    前記Pu der.とは、前記Puの5員環の全原子の少なくとも一つがN、C、SまたはO原子で置換された原子団であり、前記N、C、SまたはO原子は、適宜、電荷、水素原子または置換基を有していても良い。
    Figure 2014013954
  21. 前記式(16)で表される構造が、下記式(16−1)または(16−2)で表される構造であり、
    前記式(16b)で表される構造が、下記式(16b−1)または(16b−2)で表される構造であり、
    前記式(17)で表される構造が、下記式(17−1)で表される構造であり、
    前記式(17b)で表される構造が、下記式(17b−1)で表される構造である、
    請求項7から20のいずれか一項に記載の核酸プローブ。
    Figure 2014013954
    Figure 2014013954
    Figure 2014013954
    Figure 2014013954
    Figure 2014013954
    Figure 2014013954
    式(16−1)、(16−2)、(16b−1)、(16b−2)、(17−1)および(17b−1)中、
    l、mおよびn’は任意であり、同一でも異なっていても良く、主鎖中に、C、N、O、S、PおよびSiを、それぞれ含んでいても含んでいなくても良く、主鎖中に、単結合、二重結合、三重結合、アミド結合、エステル結合、ジスルフィド結合、イミノ基、エーテル結合、チオエーテル結合およびチオエステル結合を、それぞれ含んでいても含んでいなくても良く、
    B、E、Z11、Z12およびbは、前記式(16)、(16b)、(17)および(17b)と同じであり、
    前記式(16−1)、(16−2)および(17−1)において、リン酸架橋中のO原子は、1つ以上がS原子で置換されていてもよい。
  22. 前記式(16−1)、(16−2)、(16b−1)、(16b−2)、(17−1)および(17b−1)中、
    l、mおよびnは、それぞれ、2以上の整数である、請求項21記載の核酸プローブ。
  23. 下記化学式106、110、113、117、120、122、123、124または114−2で表されるヌクレオチド構造、またはそれらの幾何異性体、立体異性体もしくは塩である構造を少なくとも一つ含む、請求項7記載の核酸プローブ。
    Figure 2014013954
    Figure 2014013954
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    Figure 2014013954
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    上記化学式106、110、113、117、120、122、123、124および114−2中、nは正の整数である。
  24. 前記リンカー長nが2〜6の範囲である、請求項17または23記載の核酸プローブ。
  25. 前記エキシトン効果を示す蛍光性原子団が結合している標識塩基、前記標識塩基の上流側の2塩基、および下流側の前記標識塩基の2塩基からなる領域が、前記核酸プローブの他の領域に自己ハイブリダイズしないように設計されている請求項1から24のいずれか一項に記載の核酸プローブ。
  26. 変異を有する配列(ミスマッチ配列)の検出に用いる核酸プローブであって、下記条件(1)を満たす、請求項1から25のいずれか一項に記載の核酸プローブ。

    (1) 前記エキシトン効果を示す蛍光性原子団が結合している標識塩基が、前記核酸プローブの両末端の各1塩基以外の塩基である。
  27. さらに、下記条件(2)を満たす、請求項26記載の核酸プローブ。

    (2) 前記核酸プローブがハイブリダイズするターゲット配列が、変異を有する配列(ミスマッチ配列)を含み、前記ミスマッチ配列は、前記ターゲット配列の両末端の各3塩基以外の塩基に存在する。
  28. さらに、下記条件(3)または(4)を満たす、請求項26または27記載の核酸プローブ。

    (3) 前記標識塩基の位置を、前記ミスマッチ配列の位置に対応する塩基から4塩基以上遠ざけたことによって、前記ターゲット配列中の変異を有しない配列(フルマッチ配列)と変異を有する配列(ミスマッチ配列)のそれぞれの検出ピーク強度に差がない。
    (4) 前記標識塩基の位置を、前記ミスマッチ配列の位置に対応する塩基から3塩基以内に近付けたことによって、前記ターゲット配列中の変異を有しない配列(フルマッチ配列)と変異を有する配列(ミスマッチ配列)のそれぞれの検出ピーク強度に差がある。
  29. 核酸中のターゲット配列の検出に用いる請求項1から28のいずれか一項に記載の核酸プローブであって、
    前記核酸プローブが、前記ターゲット配列にハイブリダイズする配列と、前記ターゲット配列にハイブリダイズしない配列とを含み、
    前記エキシトン効果を示す蛍光性原子団が結合している標識塩基が、前記ターゲット配列にハイブリダイズしない配列中に含まれている核酸プローブ。
  30. 前記エキシトン効果を示す蛍光性原子団が結合している標識塩基と、前記ターゲット配列にハイブリダイズする配列との間に存在する塩基数が、100以内である請求項29記載の核酸プローブ。
  31. 変異を有する配列(ミスマッチ配列)の検出に用いる核酸プローブの設計方法であって、
    前記核酸プローブが、請求項1から26のいずれか一項に記載の核酸プローブであり、かつ、前記核酸プローブが下記条件(1)を満たすように設計することを特徴とする設計方法。

    (1) 前記エキシトン効果を示す蛍光性原子団が結合している標識塩基が、前記核酸プローブの両末端の各1塩基以外の塩基である。
  32. さらに、前記核酸プローブが下記条件(2)を満たすように設計する請求項31記載の設計方法。

    (2) 前記核酸プローブがハイブリダイズするターゲット配列が、変異を有する配列(ミスマッチ配列)を含み、前記ミスマッチ配列は、前記ターゲット配列の両末端の各2塩基以外の塩基に存在する。
  33. さらに、前記核酸プローブが下記条件(3)または(4)を満たすように設計する、請求項31または32記載の設計方法。

    (3) 前記標識塩基の位置を、前記ミスマッチ配列の位置に対応する塩基から4塩基以上遠ざけることによって、前記ターゲット配列中の変異を有しない配列(フルマッチ配列)と変異を有する配列(ミスマッチ配列)のそれぞれの検出ピーク強度に差を持たせる。
    (4) 前記標識塩基の位置を、前記ミスマッチ配列の位置に対応する塩基から3塩基以内に近付けることによって、前記ターゲット配列中の変異を有しない配列(フルマッチ配列)と変異を有する配列(ミスマッチ配列)のそれぞれの検出ピーク強度に差を持たせない。
  34. 核酸中のターゲット配列の検出に用いる核酸プローブの設計方法であって、
    前記核酸プローブが、請求項1から28のいずれか一項に記載の核酸プローブであり、
    前記核酸プローブが、前記ターゲット配列にハイブリダイズする配列と、前記ターゲット配列にハイブリダイズしない配列とを含み、
    前記エキシトン効果を示す蛍光性原子団が結合している標識塩基が、前記ターゲット配列にハイブリダイズしない配列中に含まれるように設計することを特徴とする設計方法。
  35. 前記エキシトン効果を示す蛍光性原子団が結合している標識塩基と、前記ターゲット配列にハイブリダイズする配列との間に存在する塩基数が、100以内であるように設計する請求項34記載の設計方法。
  36. 核酸中のターゲット配列にハイブリダイズする核酸プローブを用いて前記ターゲット配列を検出する方法であって、
    前記核酸プローブが、請求項1から30のいずれか一項に記載の核酸プローブであることを特徴とする検出方法。
  37. 前記ターゲット配列がミスマッチ配列を含む、請求項36記載の検出方法。
  38. PCR法による核酸増幅反応で前記ターゲット配列を増幅する核酸増幅工程を含み、
    前記核酸増幅工程における反応系が、前記ターゲット配列に対してフルマッチである請求項1から25のいずれか一項に記載の核酸プローブを含む、請求項37記載の検出方法。
  39. 前記ターゲット配列を含む核酸において、前記PCR法のプライマーがハイブリダイズする配列と、前記ターゲット配列とが、1塩基以上重複している請求項38記載の検出方法。
  40. 前記ターゲット配列を含む核酸において、前記PCR法のプライマーがハイブリダイズする配列と、前記ターゲット配列との間の塩基数が7以下である請求項38記載の検出方法。
  41. 前記ターゲット配列が、複数種類のミスマッチ配列を含む請求項37から40のいずれか一項に記載の検出方法。
  42. 前記ターゲット配列を含む核酸が、二本鎖核酸である請求項36から41のいずれか一項に記載の検出方法。
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