JPWO2013187519A1 - 改質ホエイ組成物の製造方法、およびカルシウム増強改質ホエイ組成物の製造方法 - Google Patents

改質ホエイ組成物の製造方法、およびカルシウム増強改質ホエイ組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、ホエイタンパク質を含有するホエイ組成物を使用して原料ホエイ液を調製する調液工程と、前記原料ホエイ液を加熱処理する加熱工程と、を有し、前記調液工程が、前記ホエイ組成物にアルカリを添加する処理を含み、前記原料ホエイ液のpHが6.8〜8.0、液中タンパク質濃度が1.3質量%以下であり、前記加熱処理する原料ホエイ液のカルシウム含量が400〜700mg/100g固形分であり、前記加熱処理が、80〜150℃で30分〜1秒間の条件で行われる、改質ホエイ組成物の製造方法等に関する。

Description

本発明は、ホエイタンパク質を含有する改質ホエイ組成物の製造方法、前記製造方法により得られる改質ホエイ組成物、前記製造方法を用いたカルシウム増強改質ホエイ組成物の製造方法に関する。
本願は、2012年6月15日に、日本に出願された特願2012−136106号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
ホエイ(乳清)は、チーズ等を製造する際の副生成物であり、従来は廃棄されていた。
近年、かかる副生成物の有効利用が検討され、ホエイタンパク質や乳糖の原料として用いられる他、パン、焼き菓子の風味改良剤、飲料の原料、育児用調製粉乳の原料等として用いられている。
しかしホエイは熱安定性が悪く、殺菌等のために加熱を行った際に、ホエイに含まれるホエイタンパク質の凝集等により沈殿やゲル化が生じやすい。そのため、ホエイやこれを原料として用いた製品に対する殺菌処理は、ホエイタンパク質が変性しないように低温保持式殺菌法(LTLT)または高温短時間殺菌法(HTST)での加熱、例えば63℃30分〜72℃15秒程度の加熱により行う必要があり、ホエイの用途が制限されていた。
乳製品はカルシウムの良質な供給源として期待されており、ホエイも例外ではない。しかし、ホエイは上記のとおり熱安定性が低い問題がある。特に、カルシウム供給源としての有用性を高めるべく、ホエイにカルシウム含有化合物を加えてカルシウム含量を高めると、熱安定性がさらに低下してしまう。
ホエイからカルシウムを除去すると熱安定性は向上するが、カルシウム含量が原料のホエイよりも低くなり、カルシウム供給源としての有用性が損なわれる。
このような問題に対し、ホエイの熱安定性を高めるべく種々の検討がなされている。
例えば特許文献1には、熱安定性が良好であり、カルシウム含量を増大させても熱安定性が保持される改質ホエイ製品の製造方法として、原料ホエイ液中のカルシウム含量を低減して、カルシウム含量が313mg/100g固形分以下であり、かつタンパク質含量が21g/100g固形分以下であるカルシウム低減ホエイ液を得るカルシウム低減工程と、前記カルシウム低減ホエイ液を、80〜150℃で30分〜1秒間の条件で加熱処理する加熱処理工程を有する方法が開示されている。原料ホエイ液中のカルシウム含量の低減は、陽イオン交換処理によって行われている。
特許文献2には、固形分濃度が11〜35重量%、pHが6.5〜8.0に調整されたホエイタンパク質水溶液を、高温殺菌した後、乳酸発酵させ、得られた発酵液を均質化することによって発酵ホエイ調製物を得る方法であって、高温殺菌した後のホエイタンパク質水溶液に含まれる乳糖を、乳酸発酵前、乳酸発酵中、および/または乳酸発酵後に、ラクターゼにより酵素分解することによって甘味を増強する方法が開示されている。
特開2010−166843号公報 国際公開第2010/047230号
特許文献1に記載の方法においては、原料ホエイ液のカルシウムを低減し、この状態で高温加熱処理することで熱安定性が向上し、その後、得られた改質ホエイ製品にカルシウム含量を増大させても優れた熱安定性を保持するとされている。しかし、カルシウム含量が650mg/100g固形分を超えると熱安定性が不充分になるなど、その熱安定性には未だ改善の余地がある。
さらに、従来のホエイ、特にホエイパウダーは、特有の臭い(ホエイの臭気)を有しており、これを他製品に含有させると、その風味を損なうことがある。特許文献1に記載の方法で得られる改質ホエイ製品にも同様の問題がある。
特許文献2に記載の方法においては、固形分濃度が11〜35重量%、pHが6.5〜8.0に調整されたホエイタンパク質水溶液を高温殺菌することで、水溶液中に、直ぐには沈殿しない適度な寸法の凝集物を生じさせている。これをそのまま乳酸発酵させて得られた発酵液を均質化すると、優れた風味と食感を併せ持つ発酵ホエイ調製物が得られるとされている。しかし、この方法では、凝集物を生じさせるため、これを含有する製品に凝集物が含まれることになる。そのため、透明な液状の他製品(飲料等)への配合には適していない。
したがって、カルシウム含量が多くても、凝集物を生じることなく高温加熱殺菌し得る熱安定性と、優れた風味とをともに達成し得る技術が求められる。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、ホエイタンパク質を含有するホエイ組成物の熱安定性および風味の改善効果に優れた改質ホエイ組成物の製造方法、前記製造方法により得られる改質ホエイ組成物、前記製造方法を用いたカルシウム増強改質ホエイ組成物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討の結果、ホエイタンパク質を含有するホエイ組成物を加熱処理する前に予め、pH調整、必要に応じてタンパク質濃度調整等を行って、pHを6.8〜8.0、タンパク質濃度を1.3質量%以下の原料ホエイ液とし、この状態で、カルシウム含量が400〜700mg/100g固形分である原料ホエイ液を、ホエイタンパク質が完全に変性するとされている加熱条件にて加熱処理を行うことが上記課題の解決に有効であることを見出した。
本発明の第一の態様は、ホエイタンパク質を含有するホエイ組成物を使用して原料ホエイ液を調製する調液工程と、前記原料ホエイ液を加熱処理する加熱工程と、を有し、
前記調液工程が、前記ホエイ組成物にアルカリを添加する処理を含み、
前記原料ホエイ液のpHが6.8〜8.0、液中タンパク質濃度が1.3質量%以下であり、
前記加熱処理する原料ホエイ液のカルシウム含量が400〜700mg/100g固形分であり、
前記加熱処理が、80〜150℃で30分〜1秒間の条件で行われる、改質ホエイ組成物の製造方法である。
前記第一の態様としては、以下の態様が好ましい。
(1)前記アルカリが、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムのいずれか一方または両方である改質ホエイ組成物の製造方法、
(2)前記改質ホエイ組成物が、カルシウム増強熱安定性試験で評価したとき、評価サンプルの遠心分離処理後の沈殿物の沈殿量が1mL/100mL以下である改質ホエイ組成物の製造方法または前記(1)の改質ホエイ組成物の製造方法、
(3)前記評価サンプルの遠心分離処理後の沈殿物の沈殿量が0.5mL/100mL以下である、前記(2)の改質ホエイ組成物の製造方法、
(4)前記改質ホエイ組成物が、前記カルシウム増強熱安定性試験で評価したとき、レトルト加熱処理後であって、遠心分離処理前には、評価サンプルの液中における1μmを超える粒径の粒子の量が、前記液中の全粒子の10%以下である粒度分布を有する、前記(3)の改質ホエイ組成物の製造方法、
前記第一の態様において、改質ホエイ組成物の臭気におけるヘキサナール、ヘプタナールおよび1−オクテン−3−オールの質量が、ホエイ組成物の臭気におけるヘキサナール、ヘプタナールおよび1−オクテン−3−オールの質量と比較して、それぞれ、85%以上、75%以上および60%以上低減される、前記改質ホエイ組成物の製造方法が好ましい。
本発明の第二の態様は、前記第一の態様の製造方法により得られる改質ホエイ組成物である。
前記第二の態様としては、以下の態様が好ましい。
(1)前記改質ホエイ組成物が、カルシウム増強熱安定性試験で評価したとき、評価サンプルの遠心分離処理後の沈殿物の沈殿量が1mL/100mL以下である改質ホエイ組成物、
(2)前記評価サンプルの遠心分離処理後の沈殿物の沈殿量が0.5mL/100mL以下である、前記(1)の改質ホエイ組成物、
(3)前記改質ホエイ組成物が、前記カルシウム増強熱安定性試験で評価したとき、レトルト加熱処理後であって、遠心分離処理前には、評価サンプルの液中における1μmを超える粒径の粒子の量が、前記液中の全粒子の10%以下である粒度分布を有する、前記(2)の改質ホエイ組成物。
本明細書において、前記カルシウム増強熱安定性試験は、評価対象の改質ホエイ組成物のうち、液状のものはそのまま評価サンプルとし、粉末状のものは、50℃の水に溶解して固形分10%の水溶液としたものを評価サンプルとして、前記評価サンプルに、必要に応じて、総カルシウム含量が700mg/100g固形分となるように5%塩化カルシウム水溶液を添加し、カルシウム増強ホエイ液である評価サンプルとし、得られたカルシウム増強ホエイ液である評価サンプルに対し、120℃10分間のレトルト加熱処理を施した後、レトルト加熱処理後の評価サンプルに、3,000rpm(遠心力1500g)で5分間の遠心分離処理を施し、生じた沈殿物の沈殿量(mL/100mL)を測定して行われる。
本発明の第三の態様は、ホエイタンパク質を含有するホエイ組成物を使用して原料ホエイ液を調製する調液工程と、
前記原料ホエイ液を加熱処理する加熱工程と、を有することにより、改質ホエイ組成物を得る工程と、
前記改質ホエイ組成物にカルシウム含有化合物を添加して、カルシウム増強改質ホエイ組成物を得る工程と、
を有するカルシウム増強改質ホエイ組成物の製造方法であって、
前記調液工程が、前記ホエイ組成物にアルカリを添加する処理を含み、
前記原料ホエイ液のpHが6.8〜8.0、液中タンパク質濃度が1.3質量%以下であり、
前記加熱処理する原料ホエイ液のカルシウム含量が400mg/100g固形分以上700mg/100g固形分未満であり、
前記加熱処理が、80〜150℃で30分〜1秒間の条件で行われ、
前記カルシウム含有化合物を添加した後の、カルシウム含量が400mg/100g固形分を超え、700mg/100g固形分以下である、
カルシウム増強改質ホエイ組成物の製造方法である。
本発明によれば、ホエイタンパク質を含有するホエイ組成物の熱安定性および風味の改善に効果を発揮する改質ホエイ組成物の製造方法、ならびに前記製造方法により得られる改質ホエイ組成物、および前記製造方法を用いたカルシウム増強改質ホエイ組成物の製造方法を提供できる。
≪改質ホエイ組成物の製造方法≫
本発明の第一の態様の改質ホエイ組成物の製造方法は、ホエイタンパク質を含有するホエイ組成物を使用して原料ホエイ液を調製する調液工程と、前記原料ホエイ液を加熱処理する加熱工程と、を有し、
前記調液工程が、前記ホエイ組成物にアルカリを添加する処理を含み、
前記原料ホエイ液のpHが6.8〜8.0、前記原料ホエイ液の液中タンパク質濃度が1.3質量%以下であり、
前記加熱処理する原料ホエイ液のカルシウム含量が400〜700mg/100g固形分であり、
前記加熱処理が、80〜150℃で30分〜1秒間の条件で行われる。
本発明の別の側面は、ホエイタンパク質を含有するホエイ組成物を使用して原料ホエイ液を調製する調液工程と、前記原料ホエイ液を加熱処理する加熱工程と、を有し、
前記調液工程が、前記ホエイ組成物にアルカリを添加する処理を含み、
前記原料ホエイ液のpHが6.8〜8.0、前記原料ホエイ液の液中タンパク質濃度が1.3質量%以下であり、
前記加熱処理する原料ホエイ液のカルシウム含量が400〜700mg/100g固形分であり、
前記加熱処理が、80〜150℃で30分〜1秒間の条件で行われる、ホエイ組成物の改質方法である。
本明細書において、pHは、特に断りのない限り、25℃における値で定義する。すなわち、本明細書に規定した範囲外のpH値であっても、25℃におけるpH値に補正したとき本明細書に規定した範囲のpH値であれば、それらは本発明の範囲に含まれる。
カルシウム含量が400〜700mg/100g固形分である原料ホエイ液を、pHが6.8以上8.0以下、液中タンパク質濃度が1.3質量%以下の状態で、80〜150℃で30分〜1秒間の加熱処理に供することにより、優れた熱安定性向上効果が得られる。また、改質前のホエイ組成物が有する臭気(ホエイの臭気等)が脱臭されて風味が向上する。
一方、加熱処理に供する原料ホエイ液のpHもしくは液中タンパク質濃度、または加熱処理条件が上記の範囲外であると、前記加熱処理時に原料ホエイ液に含まれるホエイタンパク質が凝集して原料ホエイ液に沈殿が生じるおそれがある。本態様以外の製造方法により製造したホエイ組成物(改質ホエイ組成物)や、これにカルシウム含有化合物を添加してカルシウム含量を高めた改質ホエイ組成物(カルシウム増強改質ホエイ組成物)は熱安定性が不充分となり、これらの改質ホエイ組成物を液体の状態で再加熱したときに沈殿やゲル化が生じるおそれがある。また、風味の改善効果が得られないおそれがある。
なお、調液工程において、pHと液中タンパク質濃度が上記範囲内の原料ホエイ液を得るまでの処理は、ホエイタンパク質の変性が生じない温度条件下で実施することが好ましい。前記温度条件は、通常、74℃以下であり、1〜74℃の範囲が好ましい。
以下、各工程についてより詳細に説明する。
<調液工程>
調液工程では、ホエイタンパク質を含有するホエイ組成物を使用して原料ホエイ液を調製する。ホエイ組成物が粉末等の状態で提供される場合は、一旦溶解して原料ホエイ液を調製することができる。ホエイ組成物が液状である場合は、直接これを使用して原料ホエイ液を調製することができる。なお、原料ホエイ液は、pHが6.8以上8.0以下、液中タンパク質濃度が1.3質量%以下となるように調製される。
本態様の改質ホエイ組成物の製造方法またはホエイ組成物の改質方法により未だ改質されておらず、本態様の改質ホエイ組成物の製造方法またはホエイ組成物の改質方法に付されるホエイ組成物(以下、「未改質ホエイ組成物」ということがあり、本明細書において単に「ホエイ組成物」という場合は、「未改質ホエイ組成物」を指す)は、固形分として、ホエイに由来する成分のみを含むものである。
「ホエイ」とは、ウシ、ヒツジ、ヤギ等の乳を原料として、チーズ、カゼイン、カゼインナトリウム、ヨーグルト等を製造する過程において、凝固させた乳分を取り除いて残る透明な液を言う。ホエイの大部分は水分である。チーズ等製造時に分離されたホエイには、通常、固形分としてタンパク質(ホエイタンパク質)、乳糖、灰分、脂肪が含まれるが、ホエイパウダーなどホエイ組成物製品とする際に、脂肪の大部分は除去される。タンパク質としてはホエイタンパク質のみが含まれ、他の乳タンパク質、例えばカゼインは含まれない。
ホエイは、通常、乳を乳酸発酵させ、必要に応じて凝乳酵素(レンネット)を反応させて得られた乳発酵物の固形分(凝固した乳分)を分離して得られることから、原料の乳よりも酸性である。乳のpHは6.8程度であることから、ホエイのpHは6.8未満である。例えばチーズの製造過程で副生するホエイのpHは、使用する乳酸菌等の発酵条件によっても異なるが、4.6〜6.3程度である。
そのため、未改質ホエイ組成物をそのまま水で溶解(希釈)して液中タンパク質濃度を1.3質量%以下としたときのpHは通常6.8未満であり、pHが6.8以上8.0以下である原料ホエイ液とするためには、少なくとも、前記未改質ホエイ組成物にアルカリを添加する処理が必要となる。
未改質ホエイ組成物としては、ホエイタンパク質を含有するものであればよい。例えば凝固した乳分を分離しただけのホエイ(「生ホエイ」と記載することがある)でもよく、この生ホエイに対して、セパレーター、分離膜、イオン交換樹脂等を用いて脱脂、脱塩、脱乳糖等の成分分離処理を施したもの(ホエイ分離物)でもよく、生ホエイまたはホエイ分離物を濃縮したもの(ホエイ濃縮物)でもよく、生ホエイ、ホエイ分離物またはホエイ濃縮物等を、噴霧乾燥や凍結乾燥等の常法により粉末化したもの(ホエイパウダー、ホエイタンパク質濃縮物(WPC)、ホエイタンパク質分離物(WPI))でもよい。未改質ホエイ組成物としては、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
未改質ホエイ組成物は、常法により製造したものを用いてもよく、市販のものを用いてもよい。例えば市販のWPC、WPI、ホエイパウダー(甘性ホエイパウダー、脱塩ホエイパウダー、脱脂ホエイパウダー等)を用いることができる。
未改質ホエイ組成物の酸性度が高い(pHが低い)ほど、そのままではホエイとしての熱安定性が悪く、使用用途が限定されるため、本態様の改質ホエイ組成物の製造方法またはホエイ組成物の改質方法の有用性が高い。
本発明で原料として用いられる未改質ホエイ組成物のpHは、通常、4.6〜6.4である。
調液工程は、少なくとも、未改質ホエイ組成物にアルカリを添加する処理(以下、pH調整処理という)を含む。
前記pH調整処理に用いるアルカリとしては、食品のpH調整に使用可能なものであれば特に限定されず、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸三カリウム等が挙げられる。これらはいずれか1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。前記アルカリとしては、得られる改質ホエイ組成物の熱安定性、風味等の点からは、いずれのアルカリも同等に使用できるが、その中和能力の高さから、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが特に好ましい。
アルカリは、好ましくは、水溶液として用いられる。アルカリ水溶液の濃度は、pHの微調整が容易である等から、0.5〜10質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましい。
調液工程は、前記未改質ホエイ組成物に水を添加する希釈処理を含んでもよい。
希釈処理は、前記pH調整処理の前に行ってもよく、後に行ってもよく、前および後のそれぞれに行ってもよい。
未改質ホエイ組成物が粉末状である場合は、pH調整処理の前に溶解処理を行って液状としておくことが好ましい。
希釈処理における水の添加量は、最終的に得られる原料ホエイ液の液中タンパク質濃度が1.3質量%以下となるように、pH調整処理で添加するアルカリ水溶液の量等を考慮して設定する。
調液工程は、さらに、前記未改質ホエイ組成物に含まれる塩分の少なくとも一部を除去する脱塩処理(例えば、陽イオン交換処理、電気透析処理、膜分離処理による脱塩処理)を含んでもよい。
塩分としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩;等が挙げられる。
脱塩処理は、前記pH調整処理の前に行ってもよく、後に行ってもよく、前および後のそれぞれに行ってもよい。
脱塩処理は、通常、未改質ホエイ組成物が液体の状態で行われる。
pH調整処理の前に脱塩処理を行う場合、未改質ホエイ組成物が液状であれば、前記未改質ホエイ組成物をそのまま脱塩処理に供してもよく、前記希釈処理を行ってから脱塩処理に供してもよい。未改質ホエイ組成物が粉末状である場合は、前記希釈処理を行ってから脱塩処理に供する。
pH調整処理の後に脱塩処理を行う場合、pH調整処理した未改質ホエイ組成物は通常、液状である。前記未改質ホエイ組成物は、そのまま脱塩処理に供してもよく、さらに希釈処理を行ってから脱塩処理に供してもよい。
脱塩処理方法としては、公知の脱塩処理方法を適宜用いることができる。例えば前記未改質ホエイ組成物または前記希釈処理を行った未改質ホエイ組成物または前記pH調整処理を行った未改質ホエイ組成物を、陽イオン交換処理、電気透析処理、膜分離処理等に付すことにより、溶液中の1価または2価の陽イオンを選択的に除去できる。これらの処理は1種を単独で行ってもよく、2種以上を順次行ってもよい。
脱塩処理は、カルシウム低減処理を含んでもよい。
カルシウム低減処理は、例えば、陽イオン交換処理、膜分離処理により実施できる。これらの処理はいずれか一方のみを行っても、両方を順次行ってもよい。
陽イオン交換処理は、カルシウムイオンを他のイオンに交換して除去できるタイプの陽イオン交換樹脂を用いて、未改質ホエイ組成物と陽イオン交換樹脂を接触させることにより行うことができ、より具体的には、陽イオン交換樹脂上を未改質ホエイ組成物を通液させることにより行うことができる。カルシウムイオンと交換される他のイオンの塩(置換塩)は、カルシウムイオンを除去できるものであればよく、特に限定されない。
なお前記陽イオン交換処理によって、原料ホエイ液中のカルシウムイオン以外の陽イオンが同時に除去されてもよい。
陽イオン交換樹脂のタイプは強酸性、弱酸性のいずれも使用できる。置換塩は、例えばナトリウム形、カリウム形、ナトリウム・カリウム混合形が使用できる。そのほか、置換塩の一部に水素やマグネシウム等を含有するタイプも用いることができる。これらのうち、得られる改質ホエイ組成物の風味のバランスの面から、ナトリウム形またはナトリウム・カリウム混合形が好ましく、ナトリウム・カリウム混合形が最も好ましい。
陽イオン交換樹脂への通液条件としては、カルシウムイオンが充分に除去できる範囲であれば特に制限されない。例えばバッチ式で樹脂と処理液を攪拌して接触させながら反応させる方法や、カラムを使用して連続的に処理する方法があり、カラム式の場合はSV(空間流速)が0.5〜10の範囲であることが好ましく、より好ましくは1〜7、特に好ましくは1〜5である。
通液温度は、カルシウムイオンが充分に除去できる範囲であれば、乳糖の析出やホエイタンパク質の変性が生じない範囲で適宜設定できる。例えば1〜70℃の範囲が好ましい。
膜分離処理は、ナノ濾過膜モジュールを用いる方法、ダイアフィルトレーション(透析ろ過)法が好ましく、これらを順次行うことがより好ましい。また、限外濾過モジュールにより、乳糖とカルシウムイオンを同時に除去してもよい。
なお、カルシウム低減処理が施されていない未改質ホエイ組成物のカルシウム含量は、通常、400〜700mg/100g固形分が好ましく、500〜600mg/100gがより好ましく、509〜577mg/100gが特に好ましい。
ただし本態様の改質ホエイ組成物の製造方法またはホエイ組成物の改質方法において、上記カルシウム低減処理は必須ではなく、行わなくてもよい。
調液工程がカルシウム低減処理を含まない場合、より簡便にホエイ組成物を改質できる利点がある。
また、カルシウム低減処理を陽イオン交換樹脂により行うと、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩の濃度が高くなり、味が塩辛くなる。調液工程がこの処理を含まない場合、アルカリ金属塩含量の少ない改質ホエイ組成物を得やすい利点もある。
調液工程で調製される原料ホエイ液のpH、つまり加熱工程での加熱処理開始時点におけるpHは、6.8以上8.0以下であり、6.9以上7.5以下が好ましく、7.0以上7.3以下がより好ましい。
pHが6.8以上であると、この後の加熱処理による熱安定性の向上効果に優れる。pHが8.0以下であると、加熱処理後の液色や風味が良好である。
なお、pH調整処理後に脱塩処理を行う場合、脱塩処理方法によってはpHが変動することがある。脱塩処理を行い、前記脱塩処理によりpHが変動して6.8未満または8.0超となった場合は、脱塩処理後の原料ホエイ液にpH調整剤(アルカリまたは酸)を添加してpHを6.8以上8.0以下とする処理を行うことができる。
原料ホエイ液は、少なくともホエイタンパク質を含有する。
「原料ホエイ液」とは、前記未改質ホエイ組成物を用いて本態様の調液工程で調製された前記未改質ホエイ組成物を含む液状組成物であって、本態様の改質ホエイ組成物の製造方法またはホエイ組成物の改質方法における加熱工程に未だ付されておらず、本態様の改質ホエイ組成物の製造方法またはホエイ組成物の改質方法における加熱工程に付される前記液状組成物を意味する。
調液工程で調製される原料ホエイ液の液中タンパク質濃度、つまり加熱工程での加熱処理開始時点における液中タンパク質濃度は、熱安定性の観点から、1.3質量%以下である。
本明細書において、「液中タンパク質濃度」とは、原料ホエイ液全体の質量に対する、前記原料ホエイ液に含まれるタンパク質の質量で表される濃度を意味する。
原料ホエイ液の液中タンパク質濃度の下限は、熱安定性の観点からは特に限定されず、0質量%超であればよい。生産性、製造適性等を考慮すると、0.2質量%以上が好ましい。
すなわち、原料ホエイ液中の液中タンパク質濃度としては、0質量%超1.3質量%以下が好ましく、0.2質量%以上1.3質量%以下がより好ましく、0.5質量%以上1.3質量%以下が特に好ましい。
原料ホエイ液の液中タンパク質濃度は、常法のケルダール法などのタンパク質測定法や、原料ホエイのタンパク質含量からの換算により求められる。
原料ホエイ液が含有するタンパク質は、熱安定性の点から、ホエイタンパク質のみであることが好ましい。
原料ホエイ液は、タンパク質以外の成分を含有してもよい。タンパク質以外の成分としては、未改質ホエイ組成物に含まれるタンパク質以外の成分、例えば乳糖等の糖類、灰分、脂肪等が挙げられる。
原料ホエイ液の固形分濃度は、液中タンパク質濃度が上記範囲内であれば特に限定されないが、原料ホエイ液全体の質量に対して1〜40質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。この範囲であると乳糖の結晶沈殿などの問題が回避できる。
原料ホエイ液の固形分濃度は、常法の混砂法や簡易水分測定機を使用した方法などにより求められる。
<加熱工程>
加熱工程では、調液工程で得た原料ホエイ液を、80〜150℃で30分〜1秒間の条件で加熱処理する。かかる加熱処理によって、原料ホエイ液に含まれる未改質ホエイ組成物が改質されて、改質ホエイ組成物が得られる。
加熱処理する原料ホエイ液のカルシウム含量は、通常、400〜700mg/100g固形分が好ましく、500〜600mg/100gがより好ましく、509〜577mg/100gが特に好ましい。
前記加熱処理は、例えば、80℃以上95℃以下、好ましくは85℃以上95℃以下の処理温度まで昇温し、前記処理温度に5分以上30分以下保持して行うことができる。
より良好な熱安定性を得るために、加熱処理として、少なくとも、120〜150℃で5分間〜1秒間の条件の加熱処理を行うことが好ましい。例えば、80℃以上95℃以下の処理温度まで昇温し、前記処理温度に5分以上30分未満保持する一次加熱処理を行った後、120〜150℃で5分間〜1秒間保持する二次加熱処理を行うことが好ましい。
加熱処理は、例えばバッチ式、プレート式またはチューブラー式の殺菌機等を用いた間接加熱法や、インフュージョン式、またはインジェクション式の殺菌機を用いた直接加熱法で行うことができる。
加熱処理後の原料ホエイ液は、そのままの状態で液状の改質ホエイ組成物として用いてもよく、濃縮工程を経て濃縮液状の改質ホエイ組成物としてもよく、濃縮工程と乾燥工程とを経て粉末状の改質ホエイ組成物としてもよい。濃縮工程は通常の方法で実施できる。
乾燥工程は、凍結乾燥、噴霧乾燥等の通常の乾燥方法で実施できる。
前記第一の態様の改質ホエイ組成物の製造方法またはホエイ組成物の改質方法により未改質ホエイ組成物を改質して得られる改質ホエイ組成物(本発明の第二の態様の改質ホエイ組成物)は、未改質ホエイ組成物に比べて、少なくとも優れた熱安定性を有している。
前記改質ホエイ組成物は、例えば液状のものをそのまま加熱したときや、粉末状のものを再度液状として加熱したとき、あるいは前記改質ホエイ組成物にカルシウム含有化合物を配合してカルシウム含量を高めたものを加熱したときに、沈殿やゲル化が生じ難い。その熱安定性は、未改質ホエイ組成物よりも、さらには特許文献1に記載の方法により得られる改質ホエイ組成物よりも高く、例えばカルシウム含量が650mg/100g固形分を超えるようにカルシウム含有化合物を配合しても優れた熱安定性を保持し得る。
また、前記改質ホエイ組成物は、未改質ホエイ組成物が有するホエイの臭気等が脱臭され、未改質ホエイ組成物よりもホエイの臭気がなく、自然なミルク感を持つ風味良好なものである。
本発明の1つの側面は、ホエイの臭気の低減方法である。
すなわち、本発明の1つの側面は、ホエイタンパク質を含有するホエイ組成物を使用して原料ホエイ液を調製する調液工程と、前記原料ホエイ液を加熱処理する加熱工程と、を有し、
前記調液工程が、前記ホエイ組成物にアルカリを添加する処理を含み、
前記原料ホエイ液のpHが6.8〜8.0、液中タンパク質濃度が1.3質量%以下であり、
前記加熱処理する原料ホエイ液のカルシウム含量が400〜700mg/100g固形分であり、
前記加熱処理が、80〜150℃で30分〜1秒間の条件で行われる、ホエイの臭気の低減方法である。
前記ホエイの臭気の低減方法における用語の定義および好ましい態様は、前記改質ホエイ組成物の製造方法またはホエイ組成物の改質方法における用語の定義および好ましい態様と同様である。
本明細書において、「改質」とは、未改質ホエイ組成物に少なくとも優れた熱安定性を付与することを意味し、より好ましくは、熱安定性の付与に加えて、未改質ホエイ組成物が有するホエイの臭気を低減することである。「改質ホエイ組成物」とは、未改質ホエイ組成物に比べて、少なくとも優れた熱安定性が付与されたホエイ組成物を意味する。
より具体的には、前記カルシウム増強熱安定性試験で評価したとき、評価サンプルの遠心分離処理後の沈殿物の沈殿量が1mL/100mL以下、好ましくは0.5mL/100mL以下である特性を有するホエイ組成物を意味する。また、前記カルシウム増強熱安定性試験で評価したとき、レトルト加熱処理後であって遠心分離処理前には、評価対象に、目視で沈殿、およびゲル化が観察されないことが好ましく、ここで、「目視で沈殿、ゲル化が観察されない」状態とは、典型的には、粒度分布を測定したとき、評価対象の液中における1μmを超える粒径の粒子の量が、前記液中の全粒子の10%以下である状態である。
また、本発明に係る「改質ホエイ組成物」は、未改質ホエイ組成物が有するホエイの臭気等が脱臭され、未改質ホエイ組成物よりもホエイの臭気が少ないことが好ましい。
「ホエイの臭気等の脱臭」には、ホエイの臭気等をヒトの臭覚で認識できなくすること、および未改質ホエイ組成物のホエイの臭気等を低減することを含む。より具体的には、ホエイの臭気中のヘキサナール、ヘプタナールおよび1−オクテン−3−オールの質量が低減されることを意味する。
ホエイの臭気について、ヘキサナール、ヘプタナールおよび1−オクテン−3−オールを指標とする理由は、PLS回帰分析を用いて構築したホエイの臭気評価予測モデルにおけるVIP(変数重要性)値の高いヘキサナール、ヘプタナールおよび1−オクテン−3−オールが、ホエイの臭気にとって重要な化合物であると認められるからである。ヘキサナール、ヘプタナールおよび1−オクテン−3−オールの質量の低減については、ホエイの臭気をガスクロマトグラフ質量分析に付すことによって観測することができる。
本発明の1つの側面は、改質ホエイ組成物の臭気におけるヘキサナール、ヘプタナールおよび1−オクテン−3−オールの質量が、未改質ホエイ組成物の臭気におけるヘキサナール、ヘプタナールおよび1−オクテン−3−オールの質量と比較して、60%以上低減される、前記改質ホエイ組成物の製造方法、ホエイ組成物の改質方法またはホエイの臭気の低減方法である。
本発明の別の側面は、改質ホエイ組成物の臭気におけるヘキサナール、ヘプタナールおよび1−オクテン−3−オールの質量が、未改質ホエイ組成物の臭気におけるヘキサナール、ヘプタナールおよび1−オクテン−3−オールの質量と比較して、それぞれ、85%以上、75%以上および60%以上低減される、前記改質ホエイ組成物の製造方法、ホエイ組成物の改質方法またはホエイの臭気の低減方法である。
前記ヘキサナール、ヘプタナールおよび1−オクテン−3−オールの低減率の上限は、前記改質ホエイ組成物が食品または食品の原料として使用されるにあたって、ホエイの臭気が許容される値であれば特に限定されないが、本発明においては、98%が例示される。
≪PLS回帰分析≫
例えば、部分最小二乗法による潜在的構造に対する射影(PLS)(SIMCA−P version12.0:Umetrics社)を用いて、予測モデルを作成することができる。
PLSにより、2セットの変量(測定値および応答値)間の関係が見出すことができる。すなわち、得られたガスクロマトグラフ質量分析のクロマトグラムから、保持時間に相当する化合物を独立変数とし、質量分析シグナル強度を従属変数としてマトリクスデータを作成し、各改質ホエイ組成物のホエイの臭気に関する官能評価結果を説明変数として、PLS法により予測モデルを作成することができる。
前記第一の態様の改質ホエイ組成物の製造方法またはホエイ組成物の改質方法において、上記のように優れた熱安定性が得られる理由としては、以下のことが考えられる。80〜150℃で30分〜1秒間の加熱処理条件は、ホエイタンパク質が完全に変性するとされている条件である。かかる条件で通常の生ホエイやホエイパウダー水溶液を加熱処理すると、ホエイタンパク質同士が加熱変性の過程で架橋・凝集し、粒径の大きい凝集塊が生じて沈殿したりゲル化する。
しかし未改質ホエイ組成物の液中タンパク質濃度を1.3質量%以下、pHを6.8以上8.0以下に調整した上で上記加熱処理を行うことによって、原料ホエイ液に含まれるホエイタンパク質が、ほぼ加熱前と同等の粒径のまま完全に変性する。
これによって、ホエイタンパク質の熱やカルシウムに対する耐性が向上し、前記ホエイタンパク質を含有する改質ホエイ組成物に対して、またはカルシウムを増強してから再加熱を行った際に、粒径の大きい凝集塊が生じにくく、沈殿、ゲル化等が生じにくいと考えられる。
実際、後述する実施例で得られた改質ホエイ液や、改質ホエイパウダーを水に溶解した水溶液には、特に沈殿物やゲル化は認められなかった。また、粒度分布を測定したところ、液中における1μmを超える粒径の粒子の量は、液中の全粒子の10%以下であった。
なお、「変性」は、タンパク質分子が構造変化を起こすこと、「凝集」は、複数のタンパク質分子同士が結合して巨大な集合体となることを示す。
≪カルシウム増強改質ホエイ組成物の製造方法≫
本発明の第三の態様のカルシウム増強改質ホエイ組成物の製造方法は、ホエイタンパク質を含有するホエイ組成物を使用して原料ホエイ液を調製する調液工程と、
前記原料ホエイ液を加熱処理する加熱工程と、を有することにより、改質ホエイ組成物を得る工程と、
前記改質ホエイ組成物にカルシウム含有化合物を添加して、カルシウム増強改質ホエイ組成物を得る工程と、
を有するカルシウム増強改質ホエイ組成物の製造方法であって、
前記調液工程が、前記ホエイ組成物にアルカリを添加する処理を含み、
前記原料ホエイ液のpHが6.8〜8.0、液中タンパク質濃度が1.3質量%以下であり、
前記加熱処理する原料ホエイ液のカルシウム含量が400mg/100g固形分以上700mg/100g固形分未満であり、
前記加熱処理が、80〜150℃で30分〜1秒間の条件で行われ、
前記カルシウム含有化合物を添加した後の、カルシウム含量が400mg/100g固形分を超え、700mg/100g固形分以下である、
カルシウム増強改質ホエイ組成物の製造方法に関する。
改質ホエイ組成物にカルシウム含有化合物を添加することで、改質ホエイ組成物よりも、固形分中のカルシウム含量が多いカルシウム増強改質ホエイ組成物が得られる。
ホエイタンパク質を含有するホエイ組成物としては、前記未改質ホエイ組成物と同様のものが挙げられる。
改質ホエイ組成物に添加するカルシウム含有化合物は、食品に使用可能なものであれば特に限定されず、例えば塩化カルシウム、リン酸カルシウム、クエン酸カルシウム等のカルシウム塩、ミルクカルシウムなどの精製カルシウムなどが挙げられる。これらの中でも前記カルシウム塩が好ましい。
カルシウム含有化合物の添加量は、得られるカルシウム増強改質ホエイ組成物のカルシウム含量が700mg/100g固形分以下となる量とする。カルシウム含量が700mg/100g固形分以下であれば、優れた熱安定性を充分に維持できる。
前記カルシウム増強改質ホエイ組成物のカルシウム含量は、製造条件にもよるが、より確実に熱安定性が得られる点から、650mg/100g固形分以下が好ましく、600mg/100g固形分以下がより好ましい。
カルシウム増強改質ホエイ組成物のカルシウム含量の下限は熱安定性の点からは特に限定されないが、カルシウム供給源としての有用性からは、カルシウム含量が高いほど好ましい。
これらを考慮すると、本態様で製造するカルシウム増強改質ホエイ組成物のカルシウム含量は、500〜700mg/100g固形分が好ましく、550〜700mg/100g固形分がより好ましく、600〜650mg/100g固形分がさらに好ましい。
一方、本発明に係る改質ホエイ組成物は、従来のホエイ組成物よりも熱安定性に優れ、従来よりもカルシウム含量を多くしても、熱安定性に優れることから、本発明のカルシウム増強改質ホエイ組成物の1つの側面は、500mg/100g固形分超700mg/100g固形分以下のカルシウム含量を有するカルシウム増強改質ホエイ組成物である。
本発明のカルシウム増強改質ホエイ組成物の別の側面は、600mg/100g固形分超700mg/100g固形分以下のカルシウム含量を有するカルシウム増強改質ホエイ組成物である。本発明のカルシウム増強改質ホエイ組成物のまた別の側面は、650mg/100g固形分超700mg/100g固形分以下のカルシウム含量を有するカルシウム増強改質ホエイ組成物である。
改質ホエイ組成物へのカルシウム含有化合物の添加方法は特に限定されず、得られる混合物が液状となる方法、あるいは粉の状態での粉混合の方法などで行われる。例えば、液状または濃縮液状の改質ホエイ組成物とカルシウム含有化合物とを混合してもよく、粉末状の改質ホエイ組成物とカルシウム含有化合物の水溶液とを混合してもよく、粉末状の改質ホエイ組成物と粉末状のカルシウム含有化合物と水とを混合してもよく、粉末状の改質ホエイ組成物と粉末状のカルシウム含有化合物をそのまま粉混合してもよい。
改質ホエイ組成物とカルシウム含有化合物との混合により得られた混合物は、そのままの状態で液状あるいは粉状のカルシウム増強改質ホエイ組成物として用いてもよく、液状のものを、濃縮工程を経て濃縮液状のカルシウム増強改質ホエイ組成物としてもよく、液状のものを、濃縮工程と乾燥工程とを経て粉末状のカルシウム増強改質ホエイ組成物としてもよい。濃縮工程は通常の方法で実施できる。乾燥工程は、凍結乾燥、噴霧乾燥等の通常の乾燥方法で実施できる。
カルシウム増強改質ホエイ組成物は、改質ホエイ組成物およびカルシウム含有化合物に由来する成分のみを含有するものであってもよく、さらに、必要に応じて、改質ホエイ組成物およびカルシウム含有化合物に由来しない他の成分を含有してもよい。
前記他の成分としては、例えば、乳糖、砂糖、デキストリン等の糖類等が挙げられる。
これらの成分は、カルシウム含有化合物を添加する前に添加してもよく、後に添加してもよく、同時に添加してもよい。
前記第一の態様の改質ホエイ組成物の製造方法またはホエイ組成物の改質方法により得られる改質ホエイ組成物は、上述したように、それ自身が熱安定性に優れるだけでなく、前記改質ホエイ組成物にカルシウム含有化合物を添加し、カルシウム含量を高くしても、配合前の改質ホエイ組成物と同様の優れた熱安定性を保持し得る。
したがって、前記改質ホエイ組成物にカルシウム含有化合物を添加することにより、改質ホエイ組成物と同様の優れた熱安定性を有するだけでなく、混合前の改質ホエイ組成物よりもカルシウム含量が高いカルシウム増強改質ホエイ組成物が得られる。
例えば特許文献1に記載の方法では、カルシウム含量が650mg/100g固形分を超えると加熱時に沈殿が生じやすくなるが、本態様の製造方法によれば、カルシウム含量が650mg/100g固形分を超えても加熱時に沈殿が生じにくいカルシウム増強改質ホエイ組成物を得ることができる。
例えば本態様の製造方法によれば、カルシウム含量が650mg/100g固形分超700mg/100g固形分以下のカルシウム増強改質ホエイ組成物であって、任意に濃縮または水で希釈して液中タンパク質濃度が1.3質量%以下の溶液としたときに、下記の沈殿量評価により測定される沈殿量が1mL/100mL以下、より好ましくは0.5mL/100mL以下であるカルシウム増強改質ホエイ組成物を得ることができる。
(沈殿量評価)
前記溶液に、オートクレーブ装置にて120℃10分間のレトルト加熱処理を施した後、3,000rpm(遠心力1500g)で5分間の遠心分離処理を施し、沈殿量を測定する。沈殿量は、評価対象の溶液100mLに対する沈殿物の体積(mL)で表される。
また、前記第一の態様の改質ホエイ組成物の製造方法またはホエイ組成物の改質方法により得られる改質ホエイ組成物は、未改質ホエイ組成物よりもホエイの臭気がなく、自然なミルク感を持つ風味良好なものであり、したがって、これを用いて得られるカルシウム増強改質ホエイ組成物も、風味良好なものとなる。
前記第一の態様の改質ホエイ組成物の製造方法またはホエイ組成物の改質方法により得られる改質ホエイ組成物、前記第三の態様の製造方法により得られるカルシウム増強改質ホエイ組成物はそれぞれ、他製品の原料として用いることが可能である。前記他製品の具体例としては飲料、育児用調製粉乳、レトルト食品等が挙げられる。
前記改質ホエイ組成物、カルシウム増強改質ホエイ組成物はそれぞれ、上述したように、熱安定性に優れており、液体の状態で殺菌等のために加熱を行ったときに沈殿やゲル化が生じにくい。そのため、前記改質ホエイ組成物またはカルシウム増強改質ホエイ組成物は、特に、透明な液体製品、例えば透明な飲料の原料として有用である。
次に、実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下の各例(実施例、比較例、試験例)において、百分率は、特に断りのない限り、質量による表示である。
液中タンパク質濃度は、ケルダール法により求めた原料ホエイのタンパク質含量からの換算により求め、固形分濃度は、常圧乾燥法および混砂法により求めた原料ホエイの固形分濃度からの換算により求めた。
以下の各例で用いた評価方法はそれぞれ以下のとおりである。
<熱安定性>
[1.単体熱安定性試験]
評価対象の改質ホエイ組成物のうち、液状のものはそのまま評価サンプルとして評価を行い、粉末状のものは、50℃の水に溶解して固形分10%の水溶液としたものを評価サンプルとして評価を行った。
評価サンプルに対し、オートクレーブ装置にて120℃、10分間のレトルト加熱処理を施した。その後、レトルト加熱処理後の評価サンプルを常温まで冷却し、3,000rpm(遠心力1500g)で5分間の遠心分離処理を施し、生じた沈殿の量(mL/100mL)を測定した。
レトルト加熱処理後(遠心分離処理前)の評価サンプルの液性状を目視で確認し、以下の評価基準に従って評価した。
(遠心前評価の評価基準)
○:目視では沈殿、ゲル化等が観察されず、溶液として安定である。
△:目視でわずかに沈殿が観察される。
×:沈殿、ゲル化等が観察される。
上記遠心前評価の結果と、遠心分離処理後の沈殿の量(遠心後沈殿量)の測定結果から、以下の評価基準に従って、熱安定性の総合評価を行った。
(総合評価の評価基準)
○:遠心前評価の結果が○であり、かつ遠心後沈殿量が1mL/100mL以下である。
×:遠心後沈殿量が1mL/100mL以上である。
[2.カルシウム増強熱安定性試験]
評価対象の改質ホエイ組成物のうち、液状のものはそのまま評価サンプルとして評価を行い、粉末状のものは、50℃の水に溶解して固形分10%の水溶液としたものを評価サンプルとして評価を行った。
塩化カルシウム2水和物(ナカライテスク社製)を水に溶解し、5%水酸化ナトリウム水溶液(国産化学社製96%水酸化ナトリウムを水に溶解して作製)でpH6.8に調整し、水で固形分を最終調整して5%塩化カルシウム水溶液を調製した。前記5%塩化カルシウム水溶液を、評価サンプルに、総カルシウム含量が700mg/100g固形分となるように添加してカルシウム増強ホエイ液を得た。なお、評価サンプルの総カルシウム含量が700mg/100g固形分であるときは、前記5%塩化カルシウム水溶液の添加は不要である。
得られたカルシウム増強ホエイ液に対し、オートクレーブ装置にて120℃、10分間のレトルト加熱処理を施した。その後、レトルト加熱処理後の評価サンプルに、3,000rpm(遠心力1500g)で5分間の遠心分離処理を施し、生じた沈殿の量(mL/100mL)を測定した。
上記[1.単体熱安定性評価]と同様に、遠心前評価および総合評価を行った。
なお、通常、単体熱安定性評価における沈殿物の沈殿量よりも、カルシウム増強熱安定性試験における沈殿物の沈殿量が多い。
[3.メジアン径測定]
評価対象の改質ホエイ組成物のうち、液状のものはそのまま評価サンプルとして評価を行い、粉末状のものは、50℃の水に溶解して固形分10%の水溶液としたものを評価サンプルとして評価を行った。
評価サンプルに含まれる粒状物(凝集物等)の粒度分布を、粒度分布計((株)堀場製作所製、LA−950)で測定し、その結果から、粒状物のメジアン径を求めた。
<風味>
評価対象の改質ホエイ組成物のうち、液状のものはそのまま評価サンプルとして評価を行い、粉末状のものは、50℃の水に溶解して固形分10%の水溶液としたものを評価サンプルとして評価を行った。
評価サンプルの風味を、訓練された風味パネラー6名が以下の手順で評価した。
比較例1で得たホエイパウダーの水溶液(固形分10%)をコントロール(3点)とし、これと比較したときの風味を下記の5段階の基準で評価し、6名の平均点を算出した。
5点:コントロールより大いに良好。
4点:コントロールよりやや良好。
3点:コントロールと同等。
2点:コントロールよりやや悪い。
1点:コントロールより大いに悪い。
[実施例1]
未改質ホエイ組成物として、チーズ製造時に得られた生ホエイ(常法のセパレーターにて脂肪およびカード除去済み)を用意した。このホエイのpHは6.2であった。
上記ホエイに2%水酸化ナトリウム水溶液(国産化学社製96%水酸化ナトリウムを水に溶解して作製)を加えてpHを7.0に調整し、原料ホエイ液とした。前記原料ホエイ液の固形分は7.0%、液中タンパク質濃度は0.9%、カルシウム含量は577mg/100g固形分であった。
上記原料ホエイ液に対し、95℃で10分間の加熱処理(バッチ式殺菌機による間接加熱)を行って改質ホエイ液を得た。この改質ホエイ液のpHは6.6、固形分は7.0%、カルシウム含量は577mg/100g固形分であった。
得られた改質ホエイ液について、上記の手順で熱安定性(単体熱安定性試験、カルシウム増強熱安定性試験、メジアン径測定)と風味を評価した。結果を表1に示す。
Figure 2013187519
[実施例2]
後述する比較例1で得たホエイパウダーを、50℃の水に溶解して、固形分10%となるように水に溶解してホエイ溶解液を調製した。このホエイ溶解液のpHは6.1であった。
上記ホエイ溶解液に2%水酸化ナトリウム水溶液(国産化学社製96%水酸化ナトリウムを水に溶解して作製)を加えてpHを6.8に調整し、原料ホエイ液とした。前記原料ホエイ液の固形分は10.0%、液中タンパク質濃度は1.3%、カルシウム含量は577mg/100g固形分であった。
上記原料ホエイ液に対し、85℃で5分間の一次加熱処理(プレート式殺菌機による加熱と保持)を行い、さらに、130℃で2秒間の二次加熱処理(プレート式殺菌機による加熱)を行って改質ホエイ液を得た。この改質ホエイ液のpHは6.7、固形分は9.2%、カルシウム含量は577mg/100g固形分であった。
得られた改質ホエイ液を、遠心薄膜蒸発装置にて固形分43%まで濃縮(常法)し、その後、粉乳用ドライヤーで噴霧乾燥(常法)して改質ホエイパウダーを得た。この改質ホエイパウダーの固形分は96.3%、固形分10%となるように水に溶解した時のpHは6.7であった。
得られた改質ホエイパウダーについて、上記の手順で熱安定性と風味を評価した。結果を表2に示す。
Figure 2013187519
[実施例3]
市販のWPC(Milei社製)と、後述する比較例1で得たホエイパウダーとを、固形分中のタンパク質含量が34%となるように混合した。得られた混合物を、50℃の水に溶解してホエイ溶解液を調製した。このホエイ溶解液のpHは6.4であった。
上記ホエイ溶解液に2%水酸化ナトリウム水溶液(国産化学社製96%水酸化ナトリウムを水に溶解して作製)を加えてpHを7.0に調整し、原料ホエイ液とした。前記原料ホエイ液の固形分は3.8%、液中タンパク質濃度は1.3%、カルシウム含量は540mg/100g固形分であった。
上記原料ホエイ液に対し、95℃で10分間の加熱処理(バッチ式殺菌機による間接加熱)を行って改質ホエイ液を得た。この改質ホエイ液のpHは6.9、固形分は3.8%、カルシウム含量は540mg/100g固形分であった。
得られた改質ホエイ液について、上記の手順で熱安定性と風味を評価した。結果を表3に示す。
Figure 2013187519
[比較例1]
実施例1で未改質ホエイ組成物として用いたのと同じ生ホエイ(pH6.2、固形分7.5%、液中タンパク質濃度1.0%、カルシウム含量577mg/100g固形分)から、常法によりホエイパウダーを製造した。具体的には以下の手順でホエイパウダーを製造した。
上記生ホエイに対し、74℃に達するまで加熱して到達直後に加熱を停止する方法(以下、前記方法を「74℃達温」と記載する)により加熱処理(バッチ式殺菌機による加熱)を行った。
加熱処理した生ホエイを、遠心薄膜蒸発装置により固形分43%まで濃縮した。得られた濃縮液を、粉乳用ドライヤーにより噴霧乾燥してホエイパウダーを得た。このホエイパウダーの固形分は96.0%、固形分10%となるように水に溶解した時のpHは6.1であった。
得られたホエイパウダーについて、上記の手順で熱安定性と風味を評価した。結果を表4に示す。
Figure 2013187519
[比較例2]
市販のホエイパウダー(森永乳業社製)を、50℃で、固形分18%となるように水に溶解してホエイ溶解液を調製した。このホエイ溶解液のpHは6.1、カルシウム含量は509mg/100g固形分であった。
上記ホエイ溶解液を50℃に加温した。バッチ式でNa型陽イオン交換樹脂(三菱化学社製、ダイヤイオンSK−1B)と、加温したホエイ溶解液とを反応させ、陽イオン交換処理を行った。陽イオン交換処理後のホエイ溶解液のpHは6.4、固形分は15.0%、カルシウム含量は81mg/100g固形分であった。
上記陽イオン交換処理後のホエイ溶解液を水で希釈し、原料ホエイ液とした。前記原料ホエイ液のpHは6.4、固形分は10.0%、液中タンパク質濃度は1.3%であった。
上記原料ホエイ液に対し、95℃で10分間の加熱処理(バッチ式殺菌機による間接加熱)を行って加熱処理済みホエイ液を得た。この加熱処理済みホエイ液のpHは6.4、固形分は10.0%、カルシウム含量は81mg/100g固形分であった。
得られた加熱処理済みホエイ液について、上記の手順で熱安定性と風味を評価した。結果を表5に示す。
Figure 2013187519
[比較例3]
比較例1で得たホエイパウダーを、50℃の水に溶解してホエイ溶解液を調製した。このホエイ溶解液のpHは6.0であった。
上記ホエイ溶解液に2%水酸化ナトリウム水溶液(国産化学社製96%水酸化ナトリウムを水に溶解して作製)を加えてpHを7.0に調整し、原料ホエイ液とした。前記原料ホエイ液の固形分は14.0%、液中タンパク質濃度は1.8%、カルシウム含量は577mg/100g固形分であった。
上記原料ホエイ液に対し、95℃で10分間の加熱処理(バッチ式殺菌機による間接加熱)を行って加熱処理済みホエイ液を得た。この加熱処理済みホエイ液のpHは6.8、固形分は14.0%、カルシウム含量は577mg/100g固形分であった。
得られた加熱処理済みホエイ液について、上記の手順で熱安定性と風味を評価した。結果を表6に示す。
Figure 2013187519
[比較例4]
市販のWPC(Milei社製)と、比較例1で得たホエイパウダーとを、固形分中のタンパク質含量が34%となるように混合した。得られた混合物を、50℃の水に溶解してホエイ溶解液を調製した。このホエイ溶解液のpHは6.2であった。
上記ホエイ溶解液に2%水酸化ナトリウム水溶液(国産化学社製96%水酸化ナトリウムを水に溶解して作製)を加えてpHを7.0に調整し、原料ホエイ液とした。前記原料ホエイ液の固形分は11.0%、液中タンパク質濃度は3.7%、カルシウム含量は540mg/100g固形分であった。
上記原料ホエイ液に対し、95℃で10分間の加熱処理(バッチ式殺菌機による間接加熱)を行って加熱処理済みホエイ液を得た。この加熱処理済みホエイ液のpHは6.8、固形分は11.0%、カルシウム含量は540mg/100g固形分であった。
得られた加熱処理済みホエイ液について、上記の手順で熱安定性と風味を評価した。結果を表7に示す。
Figure 2013187519
上記結果に示すとおり、実施例1〜3で得た改質ホエイ組成物(改質ホエイ液、改質ホエイパウダー)は、ホエイタンパク質が変性しているにも関わらず、メジアン径の測定結果が、従来一般的な方法でホエイタンパク質が変性しないように製造した比較例1のホエイパウダーと同等であった。
また、実施例1〜3で得た改質ホエイ組成物は、比較例1に比べて、単体熱安定性試験結果、カルシウム増強熱安定性試験結果のいずれも良好で、熱安定性に優れていた。さらに、ホエイの臭気や加熱臭が低減され、風味が向上していた。
一方、pH調整を行わなかった比較例2で得た加熱処理済みホエイ液は、単体熱安定性試験結果は同等であったものの、カルシウム増強熱安定性試験結果と風味に劣っていた。
原料ホエイ液の液中タンパク質濃度を1.8%とした比較例3、前記液中タンパク質濃度を3.7%とした比較例4で得た加熱処理済みホエイ液は、それぞれ、粒径の大きい凝集物が生じた。
また、単体熱安定性試験結果、カルシウム増強熱安定性試験結果ともに実施例1〜3で得た改質ホエイ組成物よりも劣っており、熱安定性が悪かった。さらに、風味も悪かった。
特に比較例4で得た加熱処理済みホエイ液は、レトルト加熱処理によりゲル化が生じ、熱安定性、風味ともに非常に悪かった。
[試験例1]
本試験は、原料ホエイ液のpHが熱安定性に与える影響を確認するために行った。
比較例1で得たホエイパウダーを、50℃の水に溶解してホエイ溶解液を調製した。このホエイ溶解液のpHは6.1であった。
上記ホエイ溶解液に、2%水酸化ナトリウム水溶液(国産化学社製96%水酸化ナトリウムを水に溶解して作製)を、pHが7.0、7.5または8.0となるように加え、さらに、固形分濃度が10%であり、液中タンパク質濃度が1.3%となるように水を加えて原料ホエイ液とした。
上記原料ホエイ液に対し、95℃で10分間の加熱処理(バッチ式殺菌機による間接加熱)を行って改質ホエイ液を得た。
得られた改質ホエイ液(試料1−1〜1−3)について、上記の手順で熱安定性を評価した。結果を、前記比較例1および実施例2の結果とともに表8に示す。
Figure 2013187519
上記結果から、原料ホエイ液のpHが6.8以上8.0以下であれば、カルシウム含量を700mg/100g固形分まで増強しても沈殿が生じにくい優れた熱安定性が得られることが確認できた。
[試験例2]
本試験は、原料ホエイ液の加熱処理条件が熱安定性に与える影響を確認するために行った。
比較例1で得たホエイパウダーを、50℃の水に溶解してホエイ溶解液を調製した。このホエイ溶解液のpHは6.1であった。
上記ホエイ溶解液に、2%水酸化ナトリウム水溶液(国産化学社製96%水酸化ナトリウムを水に溶解して作製)を加えてpHを7.0に調整し、原料ホエイ液とした。前記原料ホエイ液の固形分は10%、液中タンパク質濃度は1.3%であった。
上記原料ホエイ液に対し、下記のA〜Dのいずれかの加熱条件で加熱処理を行って改質ホエイ液を得た。
得られた改質ホエイ液(試料2−1〜2−5)について、上記の手順で熱安定性を評価した。結果を、実施例2の結果とともに表9に示す。
なお、試料2−4は、試験例1の試料1−1と同じである。実施例2の加熱処理条件は、下記のEである。
(加熱条件)
A:加熱処理なし。
B:74℃達温の加熱処理(バッチ式殺菌機による加熱)。
C:80℃で30分間の加熱処理(バッチ式殺菌機による加熱)
D:95℃で10分間の加熱処理(バッチ式殺菌機による加熱)。
E:85℃で5分間の一次加熱処理(プレート式殺菌機による加熱と保持)+130℃で2秒間の二次加熱処理(プレート式殺菌機による加熱)。
Figure 2013187519
上記結果から、原料ホエイ液に対する加熱処理条件が、80〜150℃で30分〜1秒間であれば、カルシウム含量を700mg/100g固形分まで増強しても沈殿が生じにくい優れた熱安定性が得られることが確認できた。
[試験例3]
本試験は、pH調整処理に用いるアルカリが熱安定性に与える影響を確認するために行った。
比較例1で得たホエイパウダーを、常温で水に溶解してホエイ溶解液を調製した。このホエイ溶解液のpHは6.1であった。
上記ホエイ溶解液に、水酸化カリウム(KOH)、炭酸カリウム(KCO)、炭酸ナトリウム(NaCO)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)またはリン酸三カリウム(KPO)の水溶液を加えてpHを7.0に調整し、原料ホエイ液とした。前記原料ホエイ液の固形分は10.0%、液中タンパク質濃度は1.3%であった。
上記原料ホエイ液に対し、95℃で10分間の加熱処理(バッチ式殺菌機による間接加熱)を行って改質ホエイ液を得た。
得られた改質ホエイ液(試料3−1〜3−5)について、上記の手順で熱安定性を評価した。結果を、試験例1の試料1−1(アルカリとして水酸化ナトリウム(NaOH)を使用)の結果とともに表10に示す。
Figure 2013187519
上記結果から、アルカリとして、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸三カリウムのいずれを用いた場合でも、優れた熱安定性の向上効果が得られることが確認できた。
これらのアルカリのうち、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムは、他のアルカリに比べて少量で目的のpHに調整でき、塩含量を抑えることができるという利点があった。
[試験例4]
本試験は、改質ホエイ組成物の臭気における臭気成分であるヘキサナール、ヘプタナールおよび1−オクテン−3−オールの質量の低減率を確認するために行った。
<固相マイクロ抽出ガスクロマトグラフ質量分析によるホエイの臭気成分の分析>
比較例1と実施例2のホエイパウダーの溶解液について固相マイクロ抽出ガスクロマトグラフ質量分析を行い、その臭気成分を測定した。
比較例1と実施例2のホエイパウダー溶解液の前記固相マイクロ抽出ガスクロマトグラフ質量分析におけるヘキサナール、ヘプタナールおよび1−オクテン−3−オールの各保持時間に相当するピーク面積を表11に示す。
また、比較例1のホエイパウダーと比較した実施例2のホエイパウダーにおけるヘキサナール、ヘプタナールおよび1−オクテン−3−オールの各質量の低減率も表11に示す。
低減率は、
式:[(比較例1のホエイパウダーの臭気成分のピーク面積−実施例2のホエイパウダーの臭気成分のピーク面積)/比較例1のホエイパウダーの臭気成分のピーク面積]×100
によって算出した。
上記において、各臭気成分のピーク面積は、各臭気成分の質量に相関する。
<測定方法>
比較例1、および実施例2で得たホエイパウダーを固形分10%となるように50℃の水に溶解して試料溶液とした。
前記試料溶液について、以下の条件に従って固相マイクロ抽出ガスクロマトグラフ質量分析を行い、臭気成分を測定した。
a)測定機器
・GC:AGILENT社製、6890型
・MS:AGILENT社製、5973A型
・カラム:INNOWAX(商品名。AGILENT社製)
膜厚:0.5μm
長さ:30m
口径:0.25mm
b)臭気成分の分離濃縮方法
固相マイクロ抽出法(SPMEファイバー:50/30μm Stable Flex DVB/Carboxen/PDMS;スペルコ〔SUPELCO〕社製)で、50℃、30分間ヘッドスペース中の臭気をファイバーに抽出して測定した。
c)測定条件
・GC
注入口温度:250℃
ガス流量:1.2ml/分ヘリウムガス
オーブン昇温条件:40℃、2分間
4℃/分(120℃まで)
6℃/分(240℃まで)、10分間保持
・MS
イオン化電圧:70eV
測定モード:SCAN(3 SCAN/秒)
Figure 2013187519
上記の結果から、実施例2のホエイパウダーの臭気成分において、ヘキサナール、ヘプタナールおよび1−オクテン−3−オールの質量が、比較例1のホエイパウダーの臭気成分のそれらより明らかに減少していることが判明した。すなわち、実施例2のホエイパウダーにおけるホエイの臭気が低減していることがわかる。
本発明によれば、ホエイタンパク質を含有するホエイ組成物の熱安定性および風味の改善に効果を発揮する改質ホエイ組成物の製造方法、ならびに前記製造方法により得られる改質ホエイ組成物、および前記製造方法を用いたカルシウム増強改質ホエイ組成物の製造方法を提供できる。
本発明の第二の態様(参考態様)は、前記第一の態様の製造方法により得られる改質ホエイ組成物である。
前記第二の態様としては、以下の態様が好ましい。
(1)前記改質ホエイ組成物が、カルシウム増強熱安定性試験で評価したとき、評価サンプルの遠心分離処理後の沈殿物の沈殿量が1mL/100mL以下である改質ホエイ組成物、
(2)前記評価サンプルの遠心分離処理後の沈殿物の沈殿量が0.5mL/100mL以下である、前記(1)の改質ホエイ組成物、
(3)前記改質ホエイ組成物が、前記カルシウム増強熱安定性試験で評価したとき、レトルト加熱処理後であって、遠心分離処理前には、評価サンプルの液中における1μmを超える粒径の粒子の量が、前記液中の全粒子の10%以下である粒度分布を有する、前記(2)の改質ホエイ組成物。

Claims (8)

  1. ホエイタンパク質を含有するホエイ組成物を使用して原料ホエイ液を調製する調液工程と、前記原料ホエイ液を加熱処理する加熱工程と、を有し、
    前記調液工程が、前記ホエイ組成物にアルカリを添加する処理を含み、
    前記原料ホエイ液のpHが6.8〜8.0、液中タンパク質濃度が1.3質量%以下であり、
    前記加熱処理する原料ホエイ液のカルシウム含量が400〜700mg/100g固形分であり、
    前記加熱処理が、80〜150℃で30分〜1秒間の条件で行われる、改質ホエイ組成物の製造方法。
  2. 前記アルカリが、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムのいずれか一方または両方である請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記改質ホエイ組成物が、カルシウム増強熱安定性試験で評価したとき、評価サンプルの遠心分離処理後の沈殿物の沈殿量が0.5mL/100mL以下である、請求項1または2に記載の改質ホエイ組成物の製造方法。
  4. 前記改質ホエイ組成物が、前記カルシウム増強熱安定性試験で評価したとき、レトルト加熱処理後であって、遠心分離処理前には、評価サンプルの液中における1μmを超える粒径の粒子の量が、前記液中の全粒子の10%以下である粒度分布を有する、請求項3に記載の改質ホエイ組成物の製造方法。
  5. 請求項1または2に記載の製造方法によって製造される改質ホエイ組成物。
  6. 前記改質ホエイ組成物が、カルシウム増強熱安定性試験で評価したとき、評価サンプルの遠心分離処理後の沈殿物の沈殿量が0.5mL/100mL以下である、請求項5に記載の改質ホエイ組成物。
  7. 前記改質ホエイ組成物が、前記カルシウム増強熱安定性試験で評価したとき、レトルト加熱処理後であって、遠心分離処理前には、評価サンプルの液中における1μmを超える粒径の粒子の量が、前記液中の全粒子の10%以下である粒度分布を有する、請求項6に記載の改質ホエイ組成物。
  8. ホエイタンパク質を含有するホエイ組成物を使用して原料ホエイ液を調製する調液工程と、
    前記原料ホエイ液を加熱処理する加熱工程と、を有することにより、改質ホエイ組成物を得る工程と、
    前記改質ホエイ組成物にカルシウム含有化合物を添加して、カルシウム増強改質ホエイ組成物を得る工程と、
    を有するカルシウム増強改質ホエイ組成物の製造方法であって、
    前記調液工程が、前記ホエイ組成物にアルカリを添加する処理を含み、
    前記原料ホエイ液のpHが6.8〜8.0、液中タンパク質濃度が1.3質量%以下であり、
    前記加熱処理する原料ホエイ液のカルシウム含量が400mg/100g固形分以上700mg/100g固形分未満であり、
    前記加熱処理が、80〜150℃で30分〜1秒間の条件で行われ、
    前記カルシウム含有化合物を添加した後の、カルシウム含量が400mg/100g固形分を超え、700mg/100g固形分以下である、
    カルシウム増強改質ホエイ組成物の製造方法。
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