JPWO2013161581A1 - 斜め延伸フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

延伸工程を行うゾーン内で、フィルムを加熱しつつ、フィルムを幅手方向に対して斜め方向に延伸する。このとき、|A−B|≦31(sec・℃)を満足する。ただし、A=S1?T1、B=S2?T2とし、S1:上記ゾーンにおける先行側の把持具のフィルム把持時間(sec)、T1:上記ゾーンにおけるフィルムの先行側端部の平均温度とTgとの差(℃)、S2:上記ゾーンにおける遅延側の把持具のフィルム把持時間(sec)、T2:上記ゾーンにおけるフィルムの遅延側端部の平均温度とTgとの値(℃)、Tg:フィルムを構成する材料のガラス転移温度(℃)、とする。

Description

本発明は、フィルムを幅手方向に対して斜め方向に延伸する斜め延伸フィルムの製造方法に関するものである。
樹脂を延伸してなる延伸フィルムは、その光学異方性を利用して、各種ディスプレイ装置において様々な光学的機能を果たす光学フィルムとして用いられている。例えば、液晶表示装置において、該延伸フィルムを着色防止、視野角拡大などの光学補償などのための光学補償フィルムとして用いたり、該延伸フィルムと偏光子とを貼り合わせることで、該延伸フィルムを、偏光板保護フィルムを兼ねた位相差フィルムとして用いたりすることが知られている。
一方、近年では、新たなディスプレイ装置として、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置のような自発光型の表示装置が注目されている。自発光型表示装置は、バックライトが常に点灯している液晶表示装置に対して消費電力を抑制できる余地がある。更に、有機EL表示装置のような、各色に対応した光源がそれぞれ点灯する自発光表示装置では、コントラスト低減の要因となるカラーフィルターを設置する必要がないため、コントラストを更に高めることが可能である。
しかしながら、有機EL表示装置においては、光の取り出し効率を高めるべく、ディスプレイの背面側にアルミニウム板等の反射体が設けられるため、ディスプレイに入射した外光がこの反射体で反射されることで画像のコントラストが低下する問題がある。
そこで、外光反射防止による明暗コントラスト向上のために、該延伸フィルムと偏光子とを貼り合わせて円偏光板を形成し、この円偏光板をディスプレイの表面側に用いることが知られている。このとき、上記の円偏光板は、偏光子の透過軸に対して、該延伸フィルムの面内遅相軸が所望の角度で傾斜するように、偏光子と該延伸フィルムとを貼り合わせることによって形成される。
ところが、一般的な偏光子(偏光フィルム)は、搬送方向に高倍率延伸することで得られるものであり、その透過軸が幅手方向と一致している。また、従来の位相差フィルムは、縦延伸または横延伸によって製造され、原理的に面内の遅相軸がフィルムの長尺方向に対して0°または90°の方向になる。このため、上記のように偏光子の透過軸と延伸フィルムの遅相軸とを所望の角度で傾斜させるには、長尺の偏光フィルムおよび/または延伸フィルムを特定の角度で切り出してフィルム片同士を1枚ずつ貼り合せるバッチ式を採用せざるを得ず、生産性の悪化や切り屑等の付着による製品の歩留まりの低下が問題として挙げられていた。
これに対して、長尺方向に対して所望の角度の方向に(斜め方向に)フィルムを延伸し、遅相軸の方向を、フィルムの長尺方向に対して0°でも90°でもない方向に自在に制御可能な長尺の位相差フィルムの製造方法が種々提案されている。例えば特許文献1の製造方法では、樹脂フィルムを延伸後のフィルムの巻き取り方向とは異なる方向から繰り出して、該樹脂フィルムの両端部を一対の把持具によって把持して搬送する。そして、樹脂フィルムの搬送方向を途中で変えることにより、樹脂フィルムを斜め方向に延伸する。これにより、長尺方向に対して0°を超え90°未満の所望の角度に遅相軸を有する長尺状の延伸フィルムが製造される。
このような長尺方向に対して遅相軸が傾斜した延伸フィルムを使用することにより、従来のバッチ式の貼り合わせではなく、長尺の偏光フィルムと延伸フィルムとをロール・トゥ・ロールで貼り合わせて円偏光板を製造することが可能になる。その結果、円偏光板の生産性は飛躍的に向上し、歩留まりも大幅に改善することができる。
ところが、上記のように斜め延伸したフィルムを、大型の有機ELテレビ(OLED(Organic light-Emitting Diode)−TV)のような非常にコントラストの高い画像表示装置の外光反射防止のための円偏光板に適用したときに、黒表示時に、円偏光板にて外光反射光の光漏れの程度が表示画面の位置ごとに異なる、いわゆる反射光量ムラが発生することがわかった。これは、フィルムの幅手方向において面内リタデーションにバラツキが生じていることが原因と考えられる。このような面内リタデーションのバラツキは、延伸後のフィルム膜厚が薄い場合においてより顕著に発生する。
上記の面内リタデーションのバラツキについて検討した結果、そのバラツキは、フィルムの先行側と遅延側とで延伸倍率が異なることに起因するものであることがわかった。なお、フィルムの先行側とは、フィルムの幅手方向において、延伸テンターでの斜め延伸時に一対の把持具のうちで相対的に先行して走行する把持具によって把持される側を指し、フィルムの遅延側とは、斜め延伸時に相対的に遅延して走行する把持具によって把持される側を指す。
つまり、特許文献1では、図15に示すように、延伸前のフィルムとして、フィルム厚みが先行側で薄く、遅延側で厚いフィルムF’を用いて斜め延伸を行っている。このようなフィルムF’を斜め延伸した場合、フィルム遅延側では、搬送時の軌道が先行側よりも長いため、延伸倍率が先行側よりも増大し、これによって、延伸後のフィルム厚みは幅手方向でほぼ均一となる。しかし、フィルムF’の先行側と遅延側とで延伸倍率が異なるために、光学特性の発現の仕方が先行側と遅延側とで異なってしまい、結果として、面内リタデーションが先行側と遅延側とで異なってしまう。
面内リタデーションをRoとすると、Roは、面内遅相軸方向の屈折率nxと面内で遅相軸に直交する方向の屈折率nyとの差にフィルムの平均厚みdを乗算した値(Ro=(nx−ny)×d)で表される。したがって、特に、薄膜の延伸フィルムを得る場合、必要な面内リタデーションRoを確保するためには、dの値が小さいために屈折率差の寄与度が増える。よって、高い屈折率差が生じるような延伸を行うと、光学特性の発現の仕方が先行側と遅延側とでより大きく異なってしまい、面内リタデーションのバラツキがより顕著に発生することになる。
以上のことから、フィルム幅手方向における面内リタデーションのバラツキを抑えるためには、フィルムの幅手方向で延伸倍率をほぼ一定にすることが必要である。
一方、延伸工程を行うゾーンでは、通常、フィルムを加熱しながら延伸が行われるが、延伸倍率がより大きいフィルムの遅延側は、上記ゾーンでの滞在期間が先行側よりも長いため、先行側よりも多くの熱量を受けて、変形しやすい状態が長く続く。このため、フィルムの遅延側は、先行側よりも延伸倍率が増大して膜厚が薄くなるものと考えられる。このように、フィルムが受ける熱量が延伸倍率に影響するため、フィルムの幅手方向で延伸倍率をほぼ一定にするにあたっては、上記ゾーンでの延伸時にフィルムが受ける熱量を考慮する必要がある。
特開2010−173261号公報(請求項1、段落〔0010〕、図1〜図4等参照)
本発明の目的は、前記の事情に鑑み、延伸工程を行うゾーンでの延伸時にフィルムが受ける熱量を幅手方向でほぼ均一にして、延伸倍率を幅手方向でほぼ一定にすることができ、これによって、フィルムの幅手方向における面内リタデーションのバラツキを抑えることができる斜め延伸フィルムの製造方法を提供することにある。
本発明の上記目的は以下の構成により達成される。
1.延伸工程を行うゾーン内で、フィルムを加熱しつつ、前記フィルムの幅手方向の両端を一対の把持具で把持しながら、一方の把持具を相対的に先行させ、他方の把持具を相対的に遅延させて前記フィルムを搬送することにより、前記フィルムを幅手方向に対して斜め方向に延伸する斜め延伸フィルムの製造方法であって、
以下の条件式を満足することを特徴とする斜め延伸フィルムの製造方法;
|A−B|≦31(sec・℃)
ただし、
A=S1×T1、B=S2×T2、
S1:延伸工程を行うゾーンにおける先行側の把持具のフィルム把持時間(sec)
T1:延伸工程を行うゾーンにおけるフィルムの先行側端部の平均温度とTgとの差(℃)
S2:延伸工程を行うゾーンにおける遅延側の把持具のフィルム把持時間(sec)
T2:延伸工程を行うゾーンにおけるフィルムの遅延側端部の平均温度とTgとの値(℃)
Tg:フィルムを構成する材料のガラス転移温度(℃)
である。
2.前記延伸工程を行うゾーンでは、遅延側よりも先行側の加熱温度が高くなるように、前記フィルムを幅手方向に加熱することを特徴とする前記1に記載の斜め延伸フィルムの製造方法。
3.前記延伸工程を行うゾーンでは、前記フィルムの搬送方向における前記フィルムの加熱箇所が遅延側よりも先行側で多くなるように、前記フィルムを加熱することを特徴とする前記1または2に記載の斜め延伸フィルムの製造方法。
4.前記延伸工程を行うゾーンにおける遅延側の把持具のフィルム把持時間が先行側の把持具のフィルム把持時間に相対的に近づくように、前記ゾーンの入口側および出口側の少なくとも一方の隔壁であって、前記ゾーンと、温度が前記ゾーンと異なる空間とを仕切る隔壁を、前記フィルムの搬送方向に対して傾けることを特徴とする前記1から3のいずれかに記載の斜め延伸フィルムの製造方法。
5.前記延伸工程を行うゾーンでの延伸後の前記フィルムの厚さが、15〜35μmであることを特徴とする前記1から4のいずれかに記載の斜め延伸フィルムの製造方法。
6.前記延伸工程を行うゾーンでは、前記フィルムの搬送方向を途中で変えることにより、前記フィルムを幅手方向に対して斜め方向に延伸することを特徴とする前記1から5のいずれかに記載の斜め延伸フィルムの製造方法。
7.前記延伸工程を行うゾーンは、前記フィルムを斜め延伸する延伸ゾーンと、該延伸ゾーンの上流側の予熱ゾーンと、該延伸ゾーンの下流側の熱固定ゾーンとが各隔壁で区切られているときの前記延伸ゾーンであることを特徴とする前記1から6のいずれかに記載の斜め延伸フィルムの製造方法。
上記の条件式を満足することにより、つまり、延伸工程を行うゾーンにて、フィルムの先行側端部が受ける熱量と遅延側端部が受ける熱量との差が所定範囲内に収まることにより、上記ゾーンでフィルムが受ける熱量を幅手方向にほぼ均一にすることができる。これにより、上記ゾーンにてフィルムを加熱しながら延伸する際に、延伸倍率を幅手方向でほぼ一定にしながらフィルムを延伸することができ、フィルムの幅手方向において、面内リタデーションにバラツキが生じるのを抑えることができる。
本発明の実施の形態に係る斜め延伸フィルムの製造装置の概略の構成を模式的に示す平面図である。 上記製造装置の他の構成を模式的に示す平面図である。 上記製造装置のさらに他の構成を模式的に示す平面図である。 上記製造装置の延伸部のレールパターンの一例を模式的に示す平面図である。 上記実施の形態に係る有機EL画像表示装置の概略の構成を示す断面図である。 上記製造装置が有する延伸部の主要部の構成を模式的に示す平面図である。 上記延伸部の他の構成を模式的に示す平面図である。 上記延伸部のさらに他の構成を模式的に示す平面図である。 上記延伸部のさらに他の構成を模式的に示す平面図である。 上記延伸部のさらに他の構成を模式的に示す平面図である。 上記延伸部のさらに他の構成を模式的に示す平面図である。 上記延伸部のさらに他の構成を模式的に示す平面図である。 上記延伸部のさらに他の構成を模式的に示す平面図である。 上記延伸部のさらに他の構成を模式的に示す平面図である。 先行側で薄く、遅延側で厚いフィルムを用いて斜め延伸を行う場合のフィルム厚みの変化を示す説明図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下では、延伸前のフィルムと延伸後のフィルムとを区別する必要がないときは、これらをまとめて「フィルム」と記載し、両者を区別する場合は、前者を「長尺フィルム」または「延伸前のフィルム」と記載し、後者を「延伸フィルム」または「斜め延伸フィルム」等と記載することがある。
本実施形態に係る斜め延伸フィルムの製造方法は、長尺フィルムを斜め延伸することによって、延伸後のフィルムの幅手方向に対して任意の角度に面内遅相軸を有する斜め延伸フィルムの製造方法である。
ここで長尺とは、フィルムの幅に対し、少なくとも5倍程度以上の長さを有するものをいい、好ましくは10倍もしくはそれ以上の長さを有し、具体的にはロール状に巻回されて保管または運搬される程度の長さを有するもの(フィルムロール)としうる。斜め延伸フィルムの製造方法では、フィルムを連続的に製造することにより、所望の任意の長さにフィルムを製造しうる。なお、斜め延伸フィルムの製造方法は、長尺フィルムを製膜した後にこれを一度巻芯に巻き取って巻回体(長尺フィルム原反)とし、この巻回体から長尺フィルムを斜め延伸工程に供給して斜め延伸フィルムを製造するようにしてもよいし、製膜後の長尺フィルムを巻き取ることなく、製膜工程から連続して斜め延伸工程に供給して斜め延伸フィルムを製造してもよい。製膜工程と斜め延伸工程とを連続して行うことは、延伸後のフィルムの膜厚や光学値の結果をフィードバックして製膜条件を変更し、所望の長尺延伸フィルムを得ることができるので好ましい。
本実施形態に係る斜め延伸フィルムの製造方法では、フィルムの幅手方向に対して0°を超え90°未満の角度に遅相軸を有する長尺状の斜め延伸フィルムを製造する。ここで、フィルムの幅手方向に対する角度とは、フィルム面内における角度である。遅相軸は、通常延伸方向または延伸方向に直角な方向に発現するので、本実施形態に係る製造方法では、フィルムの幅手方向に対して0°を超え90°未満の角度で延伸を行うことにより、かかる遅相軸を有する長尺状の斜め延伸フィルムを製造しうる。斜め延伸フィルムの幅手方向と遅相軸とがなす角度、すなわち配向角は、0°を超え90°未満の範囲で、所望の角度に任意に設定することができる。
本発明者等は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、延伸工程を行うゾーンでの延伸時にフィルムが受ける熱量を幅手方向でほぼ均一にすることによって、上記目的を達成できることを見出した。そして、さらに検討を進め、これらの知見に基づいて本発明を完成するに至った。
即ち、本発明に係る実施態様は、延伸工程を行うゾーン内で、フィルムを加熱しつつ、前記フィルムの幅手方向の両端を一対の把持具で把持しながら、一方の把持具を相対的に先行させ、他方の把持具を相対的に遅延させて前記フィルムを搬送することにより、前記フィルムを幅手方向に対して斜め方向に延伸する斜め延伸フィルムの製造方法であって、以下の条件式を満足することを特徴とする斜め延伸フィルムの製造方法;
|A−B|≦31(sec・℃)
ただし、
A=S1×T1、B=S2×T2、
S1:延伸工程を行うゾーンにおける先行側の把持具のフィルム把持時間(sec)
T1:延伸工程を行うゾーンにおけるフィルムの先行側端部の平均温度とTgとの差(℃)
S2:延伸工程を行うゾーンにおける遅延側の把持具のフィルム把持時間(sec)
T2:延伸工程を行うゾーンにおけるフィルムの遅延側端部の平均温度とTgとの値(℃)
Tg:フィルムを構成する材料のガラス転移温度(℃)
である。
ここで、上記の延伸工程を行うゾーンとは、フィルムを斜め延伸するゾーン(例えば延伸ゾーン)と他のゾーン(上流側の予熱ゾーン、下流側の熱固定ゾーン)とが隔壁で明確に区切られている場合は、その斜め延伸するゾーン(延伸ゾーン)自体を指し、これらのゾーンが明確に区切られておらず、全体として1つのゾーンとみなされる場合は、その全体のゾーンを指す概念である。以下、本発明の実施態様を、適宜図面を参照して具体的に説明する。
<長尺フィルムについて>
まず、本実施形態で延伸対象となる長尺フィルムについて説明する。
本実施形態の斜め延伸フィルムの製造装置(詳細は後述する)にて延伸対象となる長尺フィルムとしては、特に限定されず、熱可塑性樹脂から構成されているフィルムであれば何でも良いが、例えば、延伸後のフィルムを光学用途に使用する場合には、所望の波長に対して透明な性質を有する樹脂からなるフィルムが好ましい。このような樹脂としては、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテルスルフォン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂、ポリスルフォン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、脂環構造を有するオレフィンポリマー系樹脂(脂環式オレフィンポリマー系樹脂)、セルロースエステル系樹脂などが挙げられる。
これらの中でも、透明性や機械強度などの観点から、ポリカーボネート系樹脂、脂環式オレフィンポリマー系樹脂、セルロースエステル系樹脂が好ましい。その中でも、光学フィルムとした場合の位相差を調整することが容易である、脂環式オレフィンポリマー系樹脂、セルロースエステル系樹脂が更に好ましい。そこで、以下に、脂環式オレフィンポリマー系樹脂、セルロースエステル系樹脂についての構成を示す。
〔脂環式オレフィンポリマー系樹脂〕
脂環式オレフィンポリマー系樹脂としては、特開平05−310845号公報に記載されている環状オレフィンランダム多元共重合体、特開平05−97978号公報に記載されている水素添加重合体、特開平11−124429号公報に記載されている熱可塑性ジシクロペンタジエン系開環重合体およびその水素添加物等を挙げることができる。
脂環式オレフィンポリマー系樹脂について、より具体的に説明する。脂環式オレフィンポリマー系樹脂は、飽和脂環炭化水素(シクロアルカン)構造や不飽和脂環炭化水素(シクロアルケン)構造のごとき脂環式構造を有するポリマーである。脂環式構造を構成する炭素原子数には、格別な制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個の範囲であるときに、機械強度、耐熱性、およびフィルムの成形性の特性が高度にバランスされ、好適である。
脂環式オレフィンポリマー系樹脂中の脂環式構造を含有してなる繰り返し単位の割合は、適宜選択すればよいが、好ましくは55重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。上記の繰り返し単位の割合がこの範囲にあると、本実施形態の長尺斜め延伸フィルム(以下、延伸フィルムとも記載する)より得られる位相差フィルム等の光学材料の透明性および耐熱性が向上するので好ましい。
脂環式オレフィンポリマー系樹脂としては、ノルボルネン系樹脂、単環の環状オレフィン系樹脂、環状共役ジエン系樹脂、ビニル脂環式炭化水素系樹脂、および、これらの水素化物等を挙げることができる。これらの中で、ノルボルネン系樹脂は、透明性と成形性が良好なため、好適に用いることができる。
ノルボルネン系樹脂としては、例えば、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体若しくはノルボルネン構造を有する単量体と他の単量体との開環共重合体またはそれらの水素化物、ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体若しくはノルボルネン構造を有する単量体と他の単量体との付加共重合体またはそれらの水素化物等を挙げることができる。これらの中で、ノルボルネン構造を有する単量体の開環(共)重合体水素化物は、透明性、成形性、耐熱性、低吸湿性、寸法安定性、および軽量性などの観点から、特に好適に用いることができる。
ノルボルネン構造を有する単量体としては、ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、トリシクロ〔4.3.0.12,5〕デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、7,8−ベンゾトリシクロ〔4.3.0.12,5〕デカ−3−エン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン)、テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、およびこれらの化合物の誘導体(例えば、環に置換基を有するもの)などを挙げることができる。ここで、置換基としては、例えばアルキル基、アルキレン基、および極性基などを挙げることができる。また、これらの置換基は、同一または相異なって複数個が環に結合していてもよい。ノルボルネン構造を有する単量体は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
極性基の種類としては、ヘテロ原子、またはヘテロ原子を有する原子団などが挙げられる。ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、およびハロゲン原子などが挙げられる。極性基の具体例としては、カルボキシル基、カルボニルオキシカルボニル基、エポキシ基、ヒドロキシル基、オキシ基、エステル基、シラノール基、シリル基、アミノ基、ニトリル基、およびスルホン基などが挙げられる。
ノルボルネン構造を有する単量体と開環共重合可能な他の単量体としては、シクロヘキセン、シクロヘプテン、およびシクロオクテンなどのモノ環状オレフィン類やその誘導体;並びにシクロヘキサジエン、およびシクロヘプタジエンなどの環状共役ジエンやその誘導体;などが挙げられる。
ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体およびノルボルネン構造を有する単量体と共重合可能な他の単量体との開環共重合体は、単量体を公知の開環重合触媒の存在下に(共)重合することにより得ることができる。
ノルボルネン構造を有する単量体と付加共重合可能な他の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、および1−ブテンなどの炭素数2〜20のα−オレフィンやこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、およびシクロヘキセンなどのシクロオレフィンやこれらの誘導体;並びに1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、および5−メチル−1,4−ヘキサジエンなどの非共役ジエンなどが挙げられる。これらの単量体は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、α−オレフィンが好ましく、エチレンがより好ましい。
ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体およびノルボルネン構造を有する単量体と共重合可能な他の単量体との付加共重合体は、単量体を公知の付加重合触媒の存在下に重合することにより得ることができる。
ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体の水素添加物、ノルボルネン構造を有する単量体とこれと開環共重合可能なその他の単量体との開環共重合体の水素添加物、ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体の水素添加物、およびノルボルネン構造を有する単量体とこれと共重合可能なその他の単量体との付加共重合体の水素添加物は、これらの重合体の溶液に、ニッケル、パラジウムなどの遷移金属を含む公知の水素添加触媒を添加し、炭素−炭素不飽和結合を好ましくは90%以上水素添加することによって得ることができる。
ノルボルネン系樹脂の中でも、繰り返し単位として、X:ビシクロ〔3.3.0〕オクタン−2,4−ジイル−エチレン構造と、Y:トリシクロ〔4.3.0.12,5〕デカン−7,9−ジイル−エチレン構造とを有し、これらの繰り返し単位の含有量が、ノルボルネン系樹脂の繰り返し単位全体に対して90重量%以上であり、かつ、Xの含有割合とYの含有割合との比が、X:Yの重量比で100:0〜40:60であるものが好ましい。このような樹脂を用いることにより、本実施形態の延伸フィルムにより得られる光学材料を、長期的に寸法変化がなく、光学特性の安定性に優れるものにすることができる。
ノルボルネン系樹脂に用いる分子量は使用目的に応じて適宜選定されるが、溶媒としてシクロヘキサン(熱可塑性樹脂が溶解しない場合はトルエン)を用いるゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定したポリイソプレン換算(溶媒がトルエンのときは、ポリスチレン換算)の重量平均分子量(Mw)で、通常10,000〜100,000、好ましくは15,000〜80,000、より好ましくは20,000〜50,000である。重量平均分子量がこのような範囲にあるときに、本実施形態の延伸フィルムにより得られる光学材料の機械的強度および成型加工性とが高度にバランスされ好適である。
ノルボルネン系樹脂のガラス転移温度は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、好ましくは80℃以上、より好ましくは100〜250℃の範囲である。ガラス転移温度がこのような範囲にあると、本実施形態の延伸フィルムにより得られる光学材料を、高温下での使用における変形や応力が生じることがなく耐久性に優れるものにすることができる。
ノルボルネン系樹脂の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は特に制限されないが、通常1.0〜10.0、好ましくは1.1〜4.0、より好ましくは1.2〜3.5の範囲である。
ノルボルネン系樹脂の光弾性係数Cの絶対値は、10×10−12Pa−1以下であることが好ましく、7×10−12Pa−1以下であることがより好ましく、4×10−12Pa−1以下であることが特に好ましい。光弾性係数Cは、複屈折をΔn、応力をσとしたとき、C=Δn/σで表される値である。熱可塑性樹脂の光弾性係数がこのような範囲にあると、フィルムの後述する面内方向のリタデーションRoのばらつきを小さくすることができる。
本実施形態で用いる熱可塑性樹脂は、顔料や染料のごとき着色剤、蛍光増白剤、分散剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、酸化防止剤、滑剤、および溶剤などの配合剤が適宜配合されたものであってもよい。
ノルボルネン系樹脂の延伸フィルム中の残留揮発性成分の含有量は特に制約されないが、好ましくは0.1重量%以下、より好ましくは0.05重量%以下、さらに好ましくは0.02重量%以下である。揮発性成分の含有量をこのような範囲にすることにより、寸法安定性が向上し、フィルムの面内方向のリタデーションRoや厚み方向のリタデーションRtの経時変化を小さくすることができる。さらには、本実施形態の延伸フィルムから得られる位相差フィルムの劣化を抑制でき、これを液晶表示装置の偏光板や有機EL表示装置の円偏光板に適用したときに、長期的にディスプレイの表示を安定で良好に保つことができる。残留揮発性成分は、フィルム中に微量含まれる分子量200以下の物質であり、例えば、残留単量体や溶媒などが挙げられる。残留揮発性成分の含有量は、フィルム中に含まれる分子量200以下の物質の合計として、フィルムをガスクロマトグラフィーにより分析することにより定量することができる。
ノルボルネン系樹脂の延伸フィルムの飽和吸水率は好ましくは0.03重量%以下、さらに好ましくは0.02重量%以下、特に好ましくは0.01重量%以下である。飽和吸水率が上記範囲であると、リタデーションRo・Rtの経時変化を小さくすることができる。さらには、本実施形態の延伸フィルムから得られる位相差フィルムの劣化を抑制でき、これを液晶表示装置の偏光板や有機EL表示装置の円偏光板に適用したときに、長期的にディスプレイの表示を安定で良好に保つことができる。
飽和吸水率は、フィルムの試験片を一定温度の水中に一定時間、浸漬し、増加した質量の浸漬前の試験片質量に対する百分率で表される値である。通常は、23℃の水中に24時間、浸漬して測定される。本実施形態の延伸フィルムにおける飽和吸水率は、例えば、熱可塑性樹脂中の極性基の量を減少させることにより、前記値に調節することができるが、好ましくは、極性基を持たない樹脂であることが望まれる。
前記で説明した好ましいノルボルネン系樹脂を用いたフィルムを成形する方法としては、後述する溶液流延法(溶液製膜法)や溶融流延法(例えば溶融押出法)の製造方法が好まれる。溶融押出法としては、ダイスを用いるインフレーション法等が挙げられるが、生産性や厚さ精度に優れる点でTダイを用いる方法が好ましい。
Tダイを用いた押出成形法では、特開2004−233604号公報に記載されているような、冷却ドラムに密着させる時の溶融状態の熱可塑性樹脂を安定な状態に保つ方法により、リタデーションや配向角といった光学特性のバラツキが良好な長尺フィルムを製造できる。
具体的には、1)溶融押出法で長尺フィルムを製造する際に、ダイスから押し出されたシート状の熱可塑性樹脂を50kPa以下の圧力下で冷却ドラムに密着させて引き取る方法;2)溶融押出法で長尺フィルムを製造する際に、ダイス開口部から最初に密着する冷却ドラムまでを囲い部材で覆い、囲い部材からダイス開口部または最初に密着する冷却ドラムまでの距離を100mm以下とする方法;3)溶融押出法で長尺フィルムを製造する際に、ダイス開口部から押し出されたシート状の熱可塑性樹脂より10mm以内の雰囲気の温度を特定の温度に加温する方法;4)溶融押出法で長尺フィルムを製造する際に、ダイス開口部から押し出されたシート状の熱可塑性樹脂に、最初に密着する冷却ドラムの引取速度との速度差が0.2m/s以下の風を吹き付ける方法;が挙げられる。
〔セルロースエステル系樹脂〕
好ましいセルロースエステル系樹脂フィルムとしては、下記式(1)および(2)を満たすセルロースアシレートを含有し、かつ、下記一般式(A)で表される化合物を含有するものが挙げられる。
式(1) 2.0≦Z1<3.0
式(2) 0≦X<3.0
(式(1)および(2)において、Z1はセルロースアシレートの総アシル置換度を表し、Xはセルロースアシレートのプロピオニル置換度およびブチリル置換度の総和を表す。)
Figure 2013161581
以下、一般式(A)について詳細に説明する。一般式(A)において、LおよびLは各々独立に単結合または2価の連結基を表す。LおよびLとしては、例えば、下記構造が挙げられる。(下記Rは水素原子または置換基を表す。)
Figure 2013161581
およびLとして、好ましくは−O−、−COO−、−OCO−である。
、RおよびRは各々独立に置換基を表す。R、RおよびRで表わされる置換基の具体例としては、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、アルキル基(メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等)、シクロアルキル基(シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基等)、アルケニル基(ビニル基、アリル基等)、シクロアルケニル基(2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル基等)、アルキニル基(エチニル基、プロパルギル基等)、アリール基(フェニル基、p−トリル基、ナフチル基等)、ヘテロ環基(2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基等)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基等)、アシルオキシ基(ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基等)、アミノ基(アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基等)、アシルアミノ基(ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等)、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基(メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基等)、メルカプト基、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基等)、アリールチオ基(フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基等)、スルファモイル基(N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N’フェニルカルバモイル)スルファモイル基等)、スルホ基、アシル基(アセチル基、ピバロイルベンゾイル基等)、カルバモイル基(カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基等)が挙げられる。
およびRとしては、好ましくは、置換もしくは無置換のフェニル基、置換もしくは無置換のシクロヘキシル基であり、より好ましくは、置換基を有するフェニル基、置換基を有するシクロヘキシル基であり、さらに好ましくは、4位に置換基を有するフェニル基、4位に置換基を有するシクロヘキシル基である。
として、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、シアノ基、アミノ基であり、さらに好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シアノ基、アルコキシ基である。
WaおよびWbは水素原子または置換基を表すが、
(I)WaおよびWbが互いに結合して環を形成してもよく、
(II)WaおよびWbの少なくとも一つが環構造を有してもよく、または
(III)WaおよびWbの少なくとも一つがアルケニル基またはアルキニル基であってもよい。
WaおよびWbで表わされる置換基の具体例としては、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、アルキル基(メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等)、シクロアルキル基(シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基等)、アルケニル基(ビニル基、アリル基等)、シクロアルケニル基(2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル基等)、アルキニル基(エチニル基、プロパルギル基等)、アリール基(フェニル基、p−トリル基、ナフチル基等)、ヘテロ環基(2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基等)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基等)、アシルオキシ基(ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基等)、アミノ基(アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基等)、アシルアミノ基(ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等)、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基(メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基等)、メルカプト基、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基等)、アリールチオ基(フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基等)、スルファモイル基(N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N’フェニルカルバモイル)スルファモイル基等)、スルホ基、アシル基(アセチル基、ピバロイルベンゾイル基等)、カルバモイル基(カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基等)が挙げられる。
上記の置換基は、更に上記の基で置換されていてもよい。
(I)WaおよびWbが互いに結合して環を形成する場合、その環は、含窒素5員環または含硫黄5員環であることが好ましい。また、一般式(A)は、下記一般式(1)または一般式(2)で表される化合物であることが特に好ましい。
Figure 2013161581
一般式(1)において、AおよびAは各々独立に、−O−、−S−、−NRx−(Rxは水素原子または置換基を表す)または−CO−を表す。Rxで表される置換基の例は、上記WaおよびWbで表わされる置換基の具体例と同義である。Rxとして、好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基である。
一般式(1)において、Xは第14〜16族の非金属原子を表す。Xとしては、=O、=S、=NRc、=C(Rd)Reが好ましい。ここでRc、Rd、Reは置換基を表し、例としては上記WaおよびWbで表わされる置換基の具体例と同義である。L、L、R、R、R、nは、一般式(A)におけるL、L、R、R、R、nと同義である。
Figure 2013161581
一般式(2)において、Qは−O−、−S−、−NRy−(Ryは水素原子または置換基を表す)、−CRaRb−(RaおよびRbは水素原子または置換基を表す)または−CO−を表す。ここで、Ry、Ra、Rbは置換基を表し、例としては上記WaおよびWbで表わされる置換基の具体例と同義である。
Yは置換基を表す。Yで表わされる置換基の例としては、上記WaおよびWbで表される置換基の具体例と同義である。Yとして、好ましくは、アリール基、ヘテロ環基、アルケニル基、アルキニル基である。
Yで表わされるアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ビフェニル基等が挙げられ、フェニル基、ナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
ヘテロ環基としては、フリル基、ピロリル基、チエニル基、ピリジニル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基等の窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を少なくとも一つ含むヘテロ環基が挙げられ、フリル基、ピロリル基、チエニル基、ピリジニル基、チアゾリル基が好ましい。
これらのアリール基またはヘテロ環基は、少なくとも一つの置換基を有していてもよい。この置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜6のアルキルスルフィニル基、炭素数1〜6のアルキルスルホニル基、カルボキシル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルチオ基、炭素数1〜6のN−アルキルアミノ基、炭素数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基、炭素数1〜6のN−アルキルスルファモイル基、炭素数2〜12のN,N−ジアルキルスルファモイル基等が挙げられる。
、L、R、R、R、nは、一般式(A)におけるL、L、R、R、R、nと同義である。
(II)一般式(A)において、WaおよびWbの少なくとも一つが環構造を有する場合の具体例としては、好ましくは、下記一般式(3)である。
Figure 2013161581
一般式(3)において、Qは=N−または=CRz−(Rzは水素原子または置換基)を表し、Qは第14〜16族の非金属原子を表す。ZはQおよびQと共に環を形成する非金属原子群を表す。
、QおよびZから形成される環は、更に別の環で縮環していてもよい。Q、QおよびZから形成される環は、ベンゼン環で縮環した含窒素5員環または6員環であることが好ましい。
、L、R、R、R、nは、一般式(A)におけるL、L、R、R、R、nと同義である。
(III)WaおよびWbの少なくとも一つがアルケニル基またはアルキニル基である場合、それらは置換基を有するビニル基またはエチニル基であることが好ましい。
上記一般式(1)、一般式(2)および一般式(3)で表される化合物のうち、特に、一般式(3)で表される化合物が好ましい。
一般式(3)で表される化合物は、一般式(1)で表される化合物に比べて耐熱性および耐光性に優れており、一般式(2)で表される化合物に比べ、有機溶媒に対する溶解性やポリマーとの相溶性が良好である。
一般式(A)で表される化合物は、所望の波長分散性、および滲み防止性を付与するのに適宜量を調整して含有することができるが、添加量としてはセルロース誘導体に対して、1〜15質量%含むことが好ましく、特には、2〜10質量%含むことが好ましい。この範囲内であれば、上記セルロース誘導体に十分な波長分散性、および滲み防止性を付与することができる。
なお、一般式(A)、一般式(1)、一般式(2)および一般式(3)で表わされる化合物は、既知の方法を参照して得ることができる。具体的には、Journal of Chemical Crystallography(1997);27(9);512−526)、特開2010−31223号公報、特開2008−107767号公報等を参照して合成することができる。
(セルロースアシレートについて)
本実施形態に係るセルロースアシレートフィルムは、セルロールアシレートを主成分として含有する。例えば、本実施形態に係るセルロースアシレートフィルムは、フィルムの全質量(100質量%)に対して、セルロースアシレートを好ましくは60〜100質量%の範囲で含む。また、セルロースアシレートの総アシル基置換度は、2.0以上3.0未満であり、2.2〜2.7であることがより好ましい。
セルロースアシレートとしては、セルロースと、炭素数2〜22程度の脂肪族カルボン酸および/または芳香族カルボン酸とのエステルが挙げられ、特に、セルロースと炭素数が6以下の低級脂肪酸とのエステルであることが好ましい。
セルロースの水酸基に結合するアシル基は、直鎖であっても分岐していてもよく、また環を形成してもよい。さらに別の置換基が置換してもよい。同じ置換度である場合、上述した炭素数が多いと複屈折性が低下するため、炭素数としては炭素数2〜6のアシル基の中で選択することが好ましく、プロピオニル置換度およびブチリル置換度の総和は0以上3.0未満である。前記セルロースアシレートとしての炭素数が2〜4であることが好ましく、炭素数が2〜3であることがより好ましい。
具体的には、セルロースアシレートとしては、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートブチレートまたはセルロースアセテートフタレートのようなアセチル基の他にプロピオネート基、ブチレート基またはフタリル基が結合したセルロースの混合脂肪酸エステルを用いることができる。なお、ブチレートを形成するブチリル基は、直鎖であっても分岐していてもよい。
本実施形態においては、セルロースアシレートとして、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、またはセルロースアセテートプロピオネートが特に好ましく用いられる。
また、上記のセルロースアシレートは、下記の数式(i)および数式(ii)を同時に満足するものが好ましい。
式(i) 2.0≦X+Y<3.0
式(ii) 0≦X<3.0
式中、Yはアセチル基の置換度を表し、Xはプロピオニル基もしくはブチリル基またはその混合物の置換度を表す。
また、目的に叶う光学特性を得るために、置換度の異なる樹脂を混合して用いてもよい。その際の混合比としては、1:99〜99:1(質量比)が好ましい。
上述した中でも、特にセルロースアセテートプロピオネートが、セルロースアシレートとして好ましく用いられる。セルロースアセテートプロピオネートでは、0≦Y≦2.5であり、かつ、0.5≦X≦3.0である(ただし、2.0≦X+Y<3.0である)ことが好ましく、0.5≦Y≦2.0であり、かつ、1.0≦X≦2.0である(ただし、2.0≦X+Y<3.0である)ことがより好ましい。なお、アシル基の置換度は、ASTM(American Society for Testing and Materials;米国試験材料協会)が策定・発行する規格の一つであるASTM−D817−96に準じて測定されうる。
セルロースアシレートの数平均分子量は、60000〜300000の範囲であると、得られるフィルムの機械的強度が強くなるため、好ましい。より好ましくは、数平均分子量が70000〜200000のセルロースアシレートが用いられる。
セルロースアシレートの重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定される。測定条件は以下の通りである。なお、本測定方法は、本実施形態における他の重合体の測定方法としても使用することができる。
溶媒:メチレンクロライド;
カラム:Shodex K806、K805、K803G(昭和電工株式会社製)を3本接続して使用する;
カラム温度:25℃;
試料濃度:0.1質量%;
検出器:RI Model 504(GLサイエンス社製);
ポンプ:L6000(日立製作所株式会社製);
流量:1.0ml/min
校正曲線:標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー株式会社製)Mw=1000000〜500の13サンプルによる校正曲線を使用する。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いる。
セルロースアシレート中の残留硫酸含有量は、硫黄元素換算で0.1〜45質量ppmの範囲であることが好ましい。これらは塩の形で含有していると考えられる。残留硫酸含有量が45質量ppmを超えると、熱延伸時や熱延伸後でのスリッティングの際に破断しやすくなる傾向がある。なお、残留硫酸含有量は、1〜30質量ppmの範囲がより好ましい。残留硫酸含有量は、ASTM−D817−96に規定の方法により測定することができる。
また、セルロースアシレート中の遊離酸含有量は、1〜500質量ppmであることが好ましい。上記の範囲であると、上記と同様に破断しにくいため、好ましい。なお、遊離酸含有量は、1〜100質量ppmの範囲であることが好ましく、さらに破断しにくくなる。特に1〜70質量ppmの範囲が好ましい。遊離酸含有量はASTM−D817−96に規定の方法により測定することができる。
合成したセルロースアシレートの洗浄を、溶液流延法に用いられる場合に比べて、さらに十分に行うことによって、残留アルカリ土類金属含有量、残留硫酸含有量、および残留酸含有量を上記の範囲とすることができ、好ましい。
また、セルロースアシレートは、フィルムにしたときの輝点異物が少ないものであることが好ましい。輝点異物とは、2枚の偏光板をクロスニコル状態にして配置し、その間に光学フィルム等を置き、一方の偏光板の側から光を当てて、他方の偏光板の側から観察した時に反対側からの光が漏れて見える点(異物)を意味する。輝点異物は、直径0.01mm以上の輝点の個数が200個/cm以下であることが好ましく、100個/cm以下であることがより好ましく、50個/cm以下であることがさらに好ましく、30個/cm以下であることが一層好ましく、10個/cm以下であることが特に好ましく、皆無であることが最も好ましい。
また、直径0.005〜0.01mm以下の輝点についても、200個/cm以下であることが好ましく、100個/cm以下であることがより好ましく、50個/cm以下であることがさらに好ましく、30個/cm以下であることが一層好ましく、10個/cm以下であることが特に好ましく、皆無であることが最も好ましい。
セルロースアシレートの原料のセルロースとしては、特に限定はないが、綿花リンター、木材パルプ、ケナフなどが挙げられる。また、それらから得られたセルロースアシレートは、それぞれ任意の割合で混合使用されうる。
セルロースアシレートは、公知の方法により製造することができる。具体的には、例えば、特開平10−45804号公報に記載の方法を参考にして合成することができる。
また、セルロースアシレートは、セルロースアシレート中の微量金属成分によっても影響を受ける。これらの微量金属成分は、製造工程で使われる水に関係していると考えられるが、不溶性の核となりうるような成分は少ない方が好ましい。特に、鉄、カルシウム、マグネシウム等の金属イオンは、有機の酸性基を含んでいる可能性のあるポリマー分解物等と塩形成することにより不溶物を形成する場合があり、少ないことが好ましい。また、カルシウム(Ca)成分は、カルボン酸やスルホン酸等の酸性成分と、また多くの配位子と配位化合物(すなわち、錯体)を形成しやすく、多くの不溶なカルシウムに由来するスカム(不溶性の澱、濁り)を形成する虞があるため、少ないことが好ましい。
具体的には、鉄(Fe)成分については、セルロースアシレート中の含有量が1質量ppm以下であることが好ましい。また、カルシウム(Ca)成分については、セルロースアシレート中の含有量が好ましくは60質量ppm以下であり、より好ましくは0〜30質量ppmである。さらに、マグネシウム(Mg)成分については、やはり多過ぎると不溶分を生ずるため、セルロースアシレート中の含有量が0〜70質量ppmであることが好ましく、特に0〜20質量ppmであることが好ましい。
なお、鉄(Fe)成分の含有量、カルシウム(Ca)成分の含有量、マグネシウム(Mg)成分の含有量などの金属成分の含有量は、絶乾したセルロースアシレートをマイクロダイジェスト湿式分解装置にて硫硝酸で分解し、アルカリ溶融で前処理を行った後、ICP−AES(誘導結合プラズマ発光分光分析装置)を用いて分析することができる。
(添加剤)
本実施形態に係る製造方法により得られた長尺延伸フィルムは、後述するセルロースエステル以外の高分子成分を適宜混合したものでもよい。混合される高分子成分はセルロースエステルと相溶性に優れるものが好ましく、フィルムにした時の透過率が80%以上、更に好ましくは90%以上、更に好ましくは92%以上であることが好ましい。
ドープ中に添加される添加剤としては、可塑剤、紫外線吸収剤、リタデーション調整剤、酸化防止剤、劣化防止剤、剥離助剤、界面活性剤、染料、微粒子等がある。本実施形態において、微粒子以外の添加剤についてはセルロースエステル溶液の調製の際に添加してもよいし、微粒子分散液の調製の際に添加してもよい。液晶画像表示装置に使用する偏光板には耐熱耐湿性を付与する可塑剤、酸化防止剤や紫外線吸収剤等を添加することが好ましい。
これらの化合物は、セルロースエステルに対して1〜30質量%、好ましくは1〜20質量%となるように含まれていることが好ましい。また、延伸および乾燥中のブリードアウト等を抑制するため、200℃における蒸気圧が1400Pa以下の化合物であることが好ましい。
これらの化合物は、セルロースエステル溶液の調製の際に、セルロースエステルや溶媒と共に添加してもよいし、溶液調製中や調製後に添加してもよい。
(リタデーション調整剤)
リタデーションを調整するために添加する化合物としては、欧州特許911,656A2号明細書に記載されているような、二つ以上の芳香族環を有する芳香族化合物を使用することができる。
また、二種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。該芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環が含まれていることが特に好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である。中でも1,3,5−トリアジン環が特に好ましい。
(ポリマーまたはオリゴマー)
本実施形態におけるセルロースエステルフィルムは、セルロースエステルと、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基、およびスルホン酸基から選ばれる置換基を有し、かつ、重量平均分子量が500〜200,000の範囲内であるビニル系化合物のポリマーまたはオリゴマーとを含有することが好ましい。当該セルロースエステルと、当該ポリマーまたはオリゴマーとの含有量の質量比が、95:5〜50:50の範囲内であることが好ましい。
(マット剤)
本実施形態では、マット剤として微粒子を延伸フィルム中に含有させることができ、これによって、延伸フィルムが長尺フィルムの場合、搬送や巻き取りをしやすくすることができる。
マット剤の粒径は10nm〜0.1μmの1次粒子もしくは2次粒子であることが好ましい。1次粒子の針状比は1.1以下の略球状のマット剤が好ましく用いられる。
微粒子としては、ケイ素を含むものが好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。本実施形態に好ましい二酸化珪素の微粒子としては、例えば、日本アエロジル(株)製のアエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されているものを挙げることができ、アエロジル200V、R972、R972V、R974、R202、R812を好ましく用いることができる。ポリマーの微粒子の例としては、シリコーン樹脂、弗素樹脂およびアクリル樹脂を挙げることができる。シリコーン樹脂が好ましく、特に三次元の網状構造を有するものが好ましい。このような樹脂としては、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120および同240(東芝シリコーン(株)製)を挙げることができる。
二酸化珪素の微粒子は、1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/L以上であるものが好ましい。1次粒子の平均径が5〜16nmであることがより好ましく、5〜12nmであることが更に好ましい。1次粒子の平均径が小さいほうが、ヘイズが低く好ましい。見かけ比重は90〜200g/L以上が好ましく、100〜200g/L以上がより好ましい。見かけ比重が大きい程、高濃度の微粒子分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が発生せず好ましい。
本実施形態におけるマット剤の添加量は、長尺延伸フィルム1m当たり0.01〜1.0gが好ましく、0.03〜0.3gがより好ましく、0.08〜0.16gが更に好ましい。
(その他の添加剤)
その他、カオリン、タルク、ケイソウ土、石英、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナ等の無機微粒子、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属の塩等の熱安定剤を加えてもよい。更に界面活性剤、剥離促進剤、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、油剤等も加えてもよい。
(張力軟化点)
本実施形態におけるセルロースエステル系樹脂フィルムには、より高温の環境下での使用に耐えられることが求められている。このため、セルロースエステル系樹脂フィルムの張力軟化点は、105℃〜145℃であれば十分な耐熱性を示すため好ましく、特に110℃〜130℃であることが好ましい。
張力軟化点の具体的な測定方法としては、例えば、テンシロン試験機(ORIENTEC社製、RTC−1225A)を用いて、試料フィルムを120mm(縦)×10mm(幅)で切り出し、10Nの張力で引っ張りながら30℃/minの昇温速度で昇温を続け、9Nになった時点での温度を3回測定し、その平均値により求めることができる。
(寸法変化率)
本実施形態におけるセルロースエステル系樹脂フィルムを有機EL画像表示装置に用いた場合、吸湿による寸法変化により、厚みムラや位相差値の変化、およびコントラストの低下や色ムラといった問題を発生させないために、該セルロースエステル系樹脂フィルムの寸法変化率(%)は0.5%未満が好ましく、更に、0.3%未満であることが好ましい。
(欠点)
本実施形態におけるセルロースエステル系樹脂フィルムは、フィルム中の欠点が少ないことが好ましい。ここで、欠点とは、溶液製膜の乾燥工程において溶媒の急激な蒸発に起因して発生するフィルム中の空洞(発泡欠点)や、製膜原液中の異物や製膜中に混入する異物に起因するフィルム中の異物(異物欠点)を言う。
具体的にはフィルム面内の直径5μm以上の欠点が1個/10cm四方以下であることが好ましい。更に好ましくは0.5個/10cm四方以下、一層好ましくは0.1個/10cm四方以下である。
上記欠点の直径とは、欠点が円形の場合はその直径を示し、円形でない場合は欠点の範囲を下記方法により顕微鏡で観察して決定し、その最大径(外接円の直径)とする。
欠点の範囲は、欠点が気泡や異物の場合は、欠点を微分干渉顕微鏡の透過光で観察したときの影の大きさである。欠点が、ロール傷の転写や擦り傷など、表面形状の変化の場合は、欠点を微分干渉顕微鏡の反射光で観察して大きさを確認する。
なお、反射光で観察する場合に、欠点の大きさが不明瞭であれば、表面にアルミや白金を蒸着して観察する。かかる欠点頻度にて表される品位に優れたフィルムを生産性よく得るには、ポリマー溶液を流延直前に高精度濾過することや、流延機周辺のクリーン度を高くすること、また、流延後の乾燥条件を段階的に設定し、効率よくかつ発泡を抑えて乾燥させることが有効である。
欠点の個数が1個/10cm四方より多いと、例えば後工程での加工時などでフィルムに張力がかかると、欠点を基点としてフィルムが破断して生産性が低下する場合がある。また、欠点の直径が5μm以上になると、偏光板観察などにより目視で確認でき、光学部材として用いたとき輝点が生じる場合がある。
(破断伸度)
また、本実施形態に係るセルロースエステル系樹脂フィルムは、JIS(Japanese Industrial Standards Committee;日本工業標準調査会)の規格の一つである、JIS−K7127−1999に準拠した測定において、少なくとも一方向の破断伸度が、10%以上であることが好ましく、より好ましくは20%以上である。
破断伸度の上限は特に限定されるものではないが、現実的には250%程度である。破断伸度を大きくするには異物や発泡に起因するフィルム中の欠点を抑制することが有効である。
(全光線透過率)
本実施形態に係るセルロースエステル系樹脂フィルムは、その全光線透過率が90%以上であることが好ましく、より好ましくは93%以上である。また、全光線透過率の現実的な上限としては、99%程度である。かかる全光線透過率にて表される優れた透明性を達成するには、可視光を吸収する添加剤や共重合成分を導入しないようにすることや、ポリマー中の異物を高精度濾過により除去し、フィルム内部の光の拡散や吸収を低減させることが有効である。また、製膜時のフィルム接触部(冷却ロール、カレンダーロール、ドラム、ベルト、溶液製膜における塗布基材、搬送ロールなど)の表面粗さを小さくしてフィルム表面の表面粗さを小さくすることによりフィルム表面の光の拡散や反射を低減させることが有効である。
<長尺フィルムの製膜法>
上述した樹脂からなる本実施形態の長尺フィルムは、以下に示す溶液流延法、溶融流延法のどちらでも製膜することができる。以下、各製膜法について説明する。なお、以下では、長尺フィルムとして、例えばセルロースエステル系樹脂フィルムを製膜する場合について説明するが、他の樹脂フィルムの製膜についても勿論適用することができる。
〔溶液流延法〕
フィルムの着色抑制、異物欠点の抑制、ダイラインなどの光学欠点の抑制、フィルムの平面性、透明度に優れるなどの観点からは、長尺フィルムを溶液流延法で製膜することが好ましい。
(有機溶媒)
本実施形態に係るセルロースエステル系樹脂フィルムを溶液流延法で製造する場合のドープを形成するのに有用な有機溶媒は、セルロースアセテート、その他の添加剤を同時に溶解するものであれば制限なく用いることができる。
例えば、塩素系有機溶媒としては、塩化メチレン、非塩素系有機溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン等を挙げることができ、塩化メチレン、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトンを好ましく使用し得る。
ドープには、上記有機溶媒の他に、1〜40質量%の炭素原子数1〜4の直鎖または分岐鎖状の脂肪族アルコールを含有させることが好ましい。ドープ中のアルコールの比率が高くなるとウェブがゲル化し、金属支持体からの剥離が容易になり、また、アルコールの割合が少ない時は非塩素系有機溶媒系でのセルロースアセテートの溶解を促進する役割もある。
特に、メチレンクロライド、および炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖状の脂肪族アルコールを含有する溶媒に、アクリル樹脂と、セルロースエステル樹脂と、アクリル粒子の3種を、少なくとも計15〜45質量%溶解させたドープ組成物であることが好ましい。
炭素原子数1〜4の直鎖または分岐鎖状の脂肪族アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールを挙げることができる。これらのうち、ドープの安定性を確保でき、沸点も比較的低く、乾燥性もよいこと等から、エタノールが好ましい。
(溶液流延)
本実施形態に係るセルロースエステル系樹脂フィルムは、溶液流延法によって製造することができる。溶液流延法では、樹脂および添加剤を溶剤に溶解させてドープを調製する工程、ドープをベルト状もしくはドラム状の金属支持体上に流延する工程、流延したドープをウェブとして乾燥する工程、金属支持体から剥離する工程、延伸または幅保持する工程、更に乾燥する工程、仕上がったフィルムを巻き取る工程により行われる。
ドープ中のセルロースアセテートの濃度は高いほうが、金属支持体に流延した後の乾燥負荷が低減できて好ましいが、濃度が高過ぎると濾過時の負荷が増えて、濾過精度が悪くなる。これらを両立する濃度としては、10〜35質量%が好ましく、更に好ましくは、15〜25質量%である。流延(キャスト)工程における金属支持体は、表面を鏡面仕上げしたものが好ましく、金属支持体としては、ステンレススティールベルト若しくは鋳物で表面をメッキ仕上げしたドラムが好ましく用いられる。
流延工程の金属支持体の表面温度は、−50℃〜溶剤が沸騰して発泡しない温度以下に設定される。支持体温度が高いほうがウェブの乾燥速度が速くできるので好ましいが、余り高すぎるとウェブが発泡したり、平面性が劣化する場合がある。
好ましい支持体温度としては、0〜100℃で適宜決定され、5〜30℃が更に好ましい。または、冷却することによってウェブをゲル化させて残留溶媒を多く含んだ状態でドラムから剥離することも好ましい方法である。金属支持体の温度を制御する方法は特に制限されないが、温風または冷風を吹きかける方法や、温水を金属支持体の裏側に接触させる方法がある。温水を用いるほうが、熱の伝達が効率的に行われ、金属支持体の温度が一定になるまでの時間が短くなるため、好ましい。
温風を用いる場合は、溶媒の蒸発潜熱によるウェブの温度低下を考慮して、溶媒の沸点以上の温風を使用しつつ、発泡も防ぎながら目的の温度よりも高い温度の風を使う場合がある。
特に、流延から剥離するまでの間で支持体の温度および乾燥風の温度を変更し、効率的に乾燥を行うことが好ましい。
セルロースエステル系樹脂フィルムが良好な平面性を示すためには、金属支持体からウェブを剥離する際の残留溶媒量が10〜150質量%であることが好ましく、更に好ましくは20〜40質量%または60〜130質量%であり、特に好ましくは、20〜30質量%または70〜120質量%である。ここで、残留溶媒量は、下記式で定義される。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
なお、Mはウェブまたはフィルムを製造中または製造後の任意の時点で採取した試料の質量(g)であり、NはMを115℃で1時間の加熱した後の質量(g)である。
また、セルロース系樹脂フィルムの乾燥工程においては、ウェブを金属支持体より剥離し、更に乾燥し、残留溶媒量を1質量%以下にすることが好ましく、更に好ましくは0.1質量%以下であり、特に好ましくは0〜0.01質量%以下である。
フィルム乾燥工程では、一般にロール乾燥方式(上下に配置した多数のロールにウェブを交互に通し乾燥させる方式)やテンター方式でウェブを搬送させながら乾燥する方式が採られる。
〔溶融流延法〕
溶融流延法は、後述する斜め延伸後のフィルムの厚み方向のリタデーションRtを小さくすることが容易となり、残留揮発性成分量が少なくフィルムの寸法安定性にも優れる等の観点から、好ましい製膜法である。溶融流延法は、樹脂および可塑剤などの添加剤を含む組成物を、流動性を示す温度まで加熱溶融し、その後、流動性のセルロースアセテートを含む溶融物を流延してフィルムを製膜する方法をいう。溶融流延によって形成される方法は、溶融押出(成形)法、プレス成形法、インフレーション法、射出成形法、ブロー成形法、延伸成形法などに分類できる。これらの中で、機械的強度および表面精度などに優れるフィルムが得られる溶融押出法が好ましい。また、溶融押出法で用いる複数の原材料は、通常、予め混錬してペレット化しておくことが好ましい。
ペレット化は、公知の方法で行えばよい。例えば、乾燥セルロースアセテートや可塑剤、その他添加剤をフィーダーで押出し機に供給し、1軸や2軸の押出し機を用いて混錬し、ダイからストランド状に押出し、水冷または空冷し、カッティングすることでペレット化できる。
添加剤は、押出し機に供給する前に混合しておいてもよいし、それぞれ個別のフィーダーで供給してもよい。また、粒子や酸化防止剤等の少量の添加剤は、均一に混合するため、事前に混合しておくことが好ましい。
押出し機は、剪断力を抑え、樹脂が劣化(分子量低下、着色、ゲル生成等)しないようにペレット化可能でなるべく低温で加工することが好ましい。例えば、2軸押出し機の場合、深溝タイプのスクリューを用いて、同方向に回転させることが好ましい。混錬の均一性から、噛み合いタイプが好ましい。
以上のようにして得られたペレットを用いてフィルム製膜を行う。もちろんペレット化せず、原材料の粉末をそのままフィーダーで押出し機に供給し、そのままフィルム製膜することも可能である。
上記ペレットを1軸や2軸タイプの押出し機を用いて、押出す際の溶融温度を200〜300℃程度とし、リーフディスクタイプのフィルターなどで濾過し異物を除去した後、Tダイからフィルム状に流延し、冷却ロールと弾性タッチロールとでフィルムをニップし、冷却ロール上で固化させる。
供給ホッパーから押出し機へ上記ペレットを導入する際は、真空下または減圧下や不活性ガス雰囲気下にして酸化分解等を防止することが好ましい。
押出し流量は、ギヤポンプを導入するなどして安定に行うことが好ましい。また、異物の除去に用いるフィルターは、ステンレス繊維焼結フィルターが好ましく用いられる。ステンレス繊維焼結フィルターは、ステンレス繊維体を複雑に絡み合った状態を作り出した上で圧縮し接触箇所を焼結し一体化したもので、その繊維の太さと圧縮量により密度を変え、濾過精度を調整できる。
可塑剤や粒子などの添加剤は、予め樹脂と混合しておいてもよいし、押出し機の途中で練り込んでもよい。均一に添加するために、スタチックミキサーなどの混合装置を用いることが好ましい。
冷却ロールと弾性タッチロールとでフィルムをニップする際のタッチロール側のフィルム温度は、フィルムのTg(ガラス転移温度)以上Tg+110℃以下にすることが好ましい。このような目的で使用する弾性体表面を有するロールは、公知のロールを使用できる。
弾性タッチロールは挟圧回転体ともいう。弾性タッチロールとしては、市販されているものを用いることもできる。
冷却ロールからフィルムを剥離する際は、張力を制御してフィルムの変形を防止することが好ましい。
なお、上記した各製膜法で製膜される長尺フィルムは、単層若しくは2層以上の積層フィルムであってもよい。積層フィルムは共押出成形法、共流延成形法、フィルムラミネイション法、塗布法などの公知の方法で得ることができる。これらのうち共押出成形法、共流延成形法が好ましい。
<長尺フィルムの仕様>
本実施形態における長尺フィルムの厚さは、好ましくは20〜400μm、より好ましくは30〜200μmである。また、本実施形態では、後述する延伸ゾーンに供給される長尺フィルムの流れ方向(搬送方向)の厚みムラσmは、後述する斜め延伸テンター入口でのフィルムの引取張力を一定に保ち、配向角やリタデーションといった光学特性を安定させる観点から、0.30μm未満、好ましくは0.25μm未満、さらに好ましくは0.20μm未満である必要がある。長尺フィルムの流れ方向の厚みムラσmが0.30μm以上となると、長尺延伸フィルムのリタデーションや配向角といった光学特性のバラツキが顕著に悪化する。
また、長尺フィルムとして、幅方向の厚み勾配を有するフィルムが供給されてもよい。長尺フィルムの厚みの勾配は、後工程の延伸が完了した位置におけるフィルム厚みを最も均一なものとしうるよう、実験的に厚み勾配を様々に変化させたフィルムを延伸することにより、経験的に求めることができる。長尺フィルムの厚みの勾配は、例えば、厚みの厚い側の端部の厚みが、厚みの薄い側の端部よりも0.5〜3%程度厚くなるように調整することができる。
長尺フィルムの幅は、特に限定されないが、500〜4000mm、好ましくは1000〜2000mmとすることができる。
長尺フィルムの斜め延伸時の延伸温度での好ましい弾性率は、ヤング率で表して、0.01MPa以上5000MPa以下、更に好ましくは0.1MPa以上500MPa以下である。弾性率が低すぎると、延伸時・延伸後の収縮率が低くなり、シワが消えにくくなる。また、弾性率が高すぎると、延伸時にかかる張力が大きくなり、フィルムの両側縁部を保持する部分の強度を高くする必要が生じ、後工程のテンターに対する負荷が大きくなる。
長尺フィルムとしては、無配向なものを用いてもよいし、あらかじめ配向を有するフィルムが供給されてもよい。また、必要であれば長尺フィルムの配向の幅手方向の分布が弓なり状、いわゆるボウイングを成していてもよい。要は、長尺フィルムの配向状態を、後工程の延伸が完了した位置におけるフィルムの配向を所望なものとしうるよう、調整することができる。
<斜め延伸フィルムの製造方法および製造装置>
次に、上述した長尺フィルムを幅手方向に対して斜め方向に延伸して長尺状の斜め延伸フィルムを製造する、斜め延伸フィルムの製造方法および製造装置について説明する。
(装置の概要)
図1は、斜め延伸フィルムの製造装置1の概略の構成を模式的に示す平面図である。また、図2は、製造装置1の他の構成を模式的に示す平面図であり、図3は、製造装置1のさらに他の構成を模式的に示す平面図である。図1に示すように、本実施形態の製造装置1は、長尺フィルムの搬送方向上流側から順に、フィルム繰り出し部2と、搬送方向変更部3と、ガイドロール4と、延伸部5と、ガイドロール6と、搬送方向変更部7と、フィルム巻き取り部8とを備えている。なお、延伸部5の詳細については後述する。
フィルム繰り出し部2は、上述した長尺フィルムを繰り出して延伸部5に供給するものである。このフィルム繰り出し部2は、長尺フィルムの製膜装置と別体で構成されていてもよいし、一体的に構成されてもよい。前者の場合、長尺フィルムを製膜後に一度巻芯に巻き取って巻回体(長尺フィルム原反)となったものをフィルム繰り出し部2に装填することで、フィルム繰り出し部2から長尺フィルムが繰り出される。一方、後者の場合、フィルム繰り出し部2は、長尺フィルムの製膜後、その長尺フィルムを巻き取ることなく、延伸部5に対して繰り出すことになる。
搬送方向変更部3は、フィルム繰り出し部2から繰り出される長尺フィルムの搬送方向を、斜め延伸テンターとしての延伸部5の入口に向かう方向に変更するものである。このような搬送方向変更部3は、例えばフィルムを搬送しながら折り返すことによって搬送方向を変更するターンバーや、そのターンバーをフィルムに平行な面内で回転させる回転テーブルを含んで構成されている。
搬送方向変更部3にて長尺フィルムの搬送方向を上記のように変更することにより、製造装置1全体の幅をより狭くすることが可能となるほか、フィルムの送り出し位置および角度を細かく制御することが可能となり、膜厚、光学値のバラツキが小さい長尺延伸フィルムを得ることが可能となる。また、フィルム繰り出し部2および搬送方向変更部3を移動可能(スライド可能、旋回可能)とすれば、延伸部5において長尺フィルムの幅手方向の両端部を挟む左右のクリップ(把持具)のフィルムへの噛込み不良を有効に防止することができる。
なお、上記したフィルム繰り出し部2は、延伸部5の入口に対して所定角度で長尺フィルムを送り出せるように、スライドおよび旋回可能となっていてもよい。この場合は、図2および図3に示すように、搬送方向変更部3の設置を省略した構成とすることもできる。
ガイドロール4は、長尺フィルムの走行時の軌道を安定させるために、延伸部5の上流側に少なくとも1本設けられている。なお、ガイドロール4は、フィルムを挟む上下一対のロール対で構成されてもよいし、複数のロール対で構成されてもよい。延伸部5の入口に最も近いガイドロール4は、フィルムの走行を案内する従動ロールであり、不図示の軸受部を介してそれぞれ回転自在に軸支される。ガイドロール4の材質としては、公知のものを用いることが可能である。なお、フィルムの傷つきを防止するために、ガイドロール4の表面にセラミックコートを施したり、アルミニウム等の軽金属にクロームメッキを施す等によってガイドロール4を軽量化することが好ましい。
また、延伸部5の入口に最も近いガイドロール4よりも上流側のロールのうちの1本は、ゴムロールを圧接させてニップすることが好ましい。このようなニップロールにすることで、フィルムの流れ方向における繰出張力の変動を抑えることが可能となる。
延伸部5の入口に最も近いガイドロール4の両端(左右)の一対の軸受部には、当該ロールにおいてフィルムに生じている張力を検出するためのフィルム張力検出装置として、第1張力検出装置、第2張力検出装置がそれぞれ設けられている。フィルム張力検出装置としては、例えばロードセルを用いることができる。ロードセルとしては、引張または圧縮型の公知のものを用いることができる。ロードセルは、着力点に作用する荷重を起歪体に取り付けられた歪ゲージにより電気信号に変換して検出する装置である。
ロードセルは、延伸部5の入口に最も近いガイドロール4の左右の軸受部に設置されることにより、走行中のフィルムがロールに及ぼす力、即ちフィルムの両側縁近傍に生じているフィルム進行方向における張力を左右独立に検出する。なお、ロールの軸受部を構成する支持体に歪ゲージを直接取り付けて、該支持体に生じる歪に基づいて荷重、即ちフィルム張力を検出するようにしてもよい。発生する歪とフィルム張力との関係は、予め計測され、既知であるものとする。
フィルム繰り出し部2または搬送方向変更部3から延伸部5に供給されるフィルムの位置および搬送方向が、延伸部5の入口に向かう位置および搬送方向からズレている場合、このズレ量に応じて、延伸部5の入口に最も近いガイドロール4におけるフィルムの両側縁近傍の張力に差が生じることになる。したがって、上述したようなフィルム張力検出装置を設けて上記の張力差を検出することにより、当該ズレの程度を判別することができる。つまり、フィルムの搬送位置および搬送方向が適正であれば(延伸部5の入口に向かう位置および方向であれば)、上記ガイドロール4に作用する荷重は軸方向の両端で粗均等になるが、適正でなければ、左右でフィルム張力に差が生じる。
したがって、延伸部5の入口に最も近いガイドロール4の左右のフィルム張力差が等しくなるように、例えば上記した搬送方向変更部3によってフィルムの位置および搬送方向(延伸部5の入口に対する角度)を適切に調整すれば、延伸部5の入口部の把持具によるフィルムの把持が安定し、把持具外れ等の障害の発生を少なくできる。更に、延伸部5による斜め延伸後のフィルムの幅方向における物性を安定させることができる。
ガイドロール6は、延伸部5にて斜め延伸されたフィルムの走行時の軌道を安定させるために、延伸部5の下流側に少なくとも1本設けられている。
搬送方向変更部7は、延伸部5から搬送される延伸後のフィルムの搬送方向を、フィルム巻き取り部8に向かう方向に変更するものである。
ここで、配向角(フィルムの面内遅相軸の方向)の微調整や製品バリエーションに対応するために、延伸部5の入口でのフィルム進行方向と延伸部5の出口でのフィルム進行方向とがなす角度の調整が必要となる。この角度調整のためには、製膜したフィルムの進行方向を搬送方向変更部3によって変更してフィルムを延伸部5の入口に導く、および/または延伸部5の出口から出たフィルムの進行方向を搬送方向変更部7によって変更してフィルムをフィルム巻き取り部8の方向に戻すことが必要となる。
また、製膜および斜め延伸を連続して行うことが、生産性や収率の点で好ましい。製膜工程、斜め延伸工程、巻取工程を連続して行う場合、搬送方向変更部3および/または搬送方向変更部7によってフィルムの進行方向を変更し、製膜工程と巻取工程とでフィルムの進行方向を一致させる、つまり、図1および図3に示すように、フィルム繰り出し部2から繰り出されるフィルムの進行方向(繰り出し方向)と、フィルム巻き取り部8にて巻き取られる直前のフィルムの進行方向(巻き取り方向)とを一致させることにより、フィルム進行方向に対する装置全体の幅を小さくすることができる。
なお、製膜工程と巻取工程とでフィルムの進行方向は必ずしも一致させる必要はないが、フィルム繰り出し部2とフィルム巻き取り部8とが干渉しないレイアウトとなるように、搬送方向変更部3および/または搬送方向変更部7によってフィルムの進行方向を変更することが好ましい。
上記のような搬送方向変更部3・7としては、エアーフローロールもしくはエアーターンバーを用いるなど、公知の手法で実現することができる。
フィルム巻き取り部8は、延伸部5から搬送方向変更部7を介して搬送されるフィルムを巻き取るものであり、例えばワインダー装置、アキューム装置、ドライブ装置などで構成される。フィルム巻き取り部8は、フィルムの巻き取り位置を調整すべく、横方向にスライドできる構造であることが好ましい。
フィルム巻き取り部8は、延伸部5の出口に対して所定角度でフィルムを引き取れるように、フィルムの引き取り位置および角度を細かく制御できるようになっている。これにより、膜厚、光学値のバラツキが小さい長尺延伸フィルムを得ることが可能となる。また、フィルムのシワの発生を有効に防止することができるとともに、フィルムの巻き取り性が向上するため、フィルムを長尺で巻き取ることが可能となる。このフィルム巻き取り部8は、延伸部5にて延伸されて搬送されるフィルムを一定の張力で引き取る引取部を構成している。
本実施形態において、延伸後のフィルムの引取張力T(N/m)は、100N/m<T<300N/m、好ましくは150N/m<T<250N/mの間で調整することが好ましい。上記の引取張力が100N/m以下では、フィルムのたるみや皺が発生しやすく、リタデーション、配向角のフィルム幅方向のプロファイルも悪化する。逆に、引取張力が300N/m以上となると、配向角のフィルム幅方向のバラツキが悪化し、幅収率(幅方向の取り効率)を悪化させてしまう。
また、本実施形態においては、上記引取張力Tの変動を±5%未満、好ましくは±3%未満の精度で制御することが好ましい。上記引取張力Tの変動が±5%以上であると、幅方向および流れ方向(搬送方向)の光学特性のバラツキが大きくなる。上記引取張力Tの変動を上記範囲内に制御する方法としては、延伸部5の出口側の最初のロール(ガイドロール6)にかかる荷重、すなわちフィルムの張力を測定し、その値が一定となるように、一般的なPID制御方式により引取ロール(フィルム巻き取り部8の巻取ロール)の回転速度を制御する方法が挙げられる。上記荷重を測定する方法としては、ガイドロール6の軸受部にロードセルを取り付け、ガイドロール6に加わる荷重、すなわちフィルムの張力を測定する方法が挙げられる。ロードセルとしては、引張型や圧縮型の公知のものを用いることができる。
延伸後のフィルムは、延伸部5の把持具による把持が開放されて、延伸部5の出口から排出され、把持具で把持されていたフィルムの両端(両側)がトリミングされた後に、順次巻芯(巻取ロール)に巻き取られて、長尺延伸フィルムの巻回体となる。なお、上記のトリミングは、必要に応じて行われればよい。
また、長尺延伸フィルムを巻き取る前に、フィルム同士のブロッキングを防止する目的で、マスキングフィルムを長尺延伸フィルムに重ねて同時に巻き取ってもよいし、巻き取りによって重なる長尺延伸フィルムの少なくとも一方(好ましくは両方)の端にテープ等を貼り合わせながら巻き取ってもよい。マスキングフィルムとしては、長尺延伸フィルムを保護することができるものであれば特に制限されず、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムなどが挙げられる。
(延伸部の詳細)
次に、上述した延伸部5の詳細について説明する。図4は、延伸部5のレールパターンの一例を模式的に示す平面図である。但し、これは一例であって、本発明はこれに限定されるものではない。
本実施形態に係る長尺延伸フィルムの製造は、延伸部5として、斜め延伸可能なテンター(斜め延伸機)を用いて行われる。このテンターは、長尺フィルムを、延伸可能な任意の温度に加熱し、斜め延伸する装置である。このテンターは、加熱ゾーンZと、左右で一対のレールRi・Roと、レールRi・Roに沿って走行してフィルムを搬送する多数の把持具Ci・Co(図4では、1組の把持具のみを図示)とを備えている。なお、加熱ゾーンZの詳細については後述する。レールRi・Roは、それぞれ、複数のレール部を連結部で連結して構成されている(図4中の白丸は連結部の一例である)。把持具Ci・Coは、フィルムの幅手方向の両端を把持するクリップで構成されている。
図4において、長尺フィルムの繰出方向D1は、延伸後の長尺延伸フィルムの巻取方向D2と異なっており、巻取方向D2との間で繰出角度θiを成している。繰出角度θiは0°を超え90°未満の範囲で、所望の角度に任意に設定することができる。
このように、繰出方向D1と巻取方向D2とが異なっているため、テンターのレールパターンは左右で非対称な形状となっている。そして、製造すべき長尺延伸フィルムに与える配向角θ、延伸倍率等に応じて、レールパターンは手動または自動で調整できるようになっている。本実施形態に係る製造方法で用いられる斜め延伸機では、レールRi・Roを構成する各レール部およびレール連結部の位置を自由に設定し、レールパターンを任意に変更できることが好ましい。
本実施形態において、テンターの把持具Ci・Coは、前後の把持具Ci・Coと一定間隔を保って、一定速度で走行するようになっている。把持具Ci・Coの走行速度は適宜選択できるが、通常、1〜150m/minである。また、走行速度が速い際の延伸においては、延伸速度が高くなってしまうため、位相差の発現が大きくなる。そのため左右の延伸倍率の違いに対して、延伸速度の寄与が入ってしまうと、大きなレタデーションムラを生じてしまう。そのため、走行速度が15〜150m/minである時に本発明を実施することが好ましい。左右一対の把持具Ci・Coの走行速度の差は、走行速度の通常1%以下、好ましくは0.5%以下、より好ましくは0.1%以下である。これは、延伸工程出口でフィルムの左右に進行速度差があると、延伸工程出口におけるシワ、寄りが発生するため、左右の把持具の速度差は、実質的に同速度であることが求められるためである。一般的なテンター装置等では、チェーンを駆動するスプロケットの歯の周期、駆動モータの周波数等に応じ、秒以下のオーダーで発生する速度ムラがあり、しばしば数%のムラを生ずるが、これらは本発明の実施形態で述べる速度差には該当しない。
本発明の実施形態に係る製造方法で用いられる斜め延伸機において、特にフィルムの搬送が斜めになる箇所において、把持具の軌跡を規制するレールには、しばしば大きい屈曲率が求められる。急激な屈曲による把持具同士の干渉、あるいは局所的な応力集中を避ける目的から、屈曲部では把持具の軌跡が曲線を描くようにすることが望ましい。
このように、長尺フィルムに斜め方向の配向を付与するために用いられる斜め延伸テンターは、レールパターンを多様に変化させることにより、フィルムの配向角を自在に設定でき、さらに、フィルムの配向軸(遅相軸)をフィルム幅方向に渡って左右均等に高精度に配向させることができ、かつ、高精度でフィルム厚みやリタデーションを制御できるテンターであることが好ましい。
次に、延伸部5での延伸動作について説明する。長尺フィルムは、その両端を左右の把持具Ci・Coによって把持され、加熱ゾーンZ内を把持具Ci・Coの走行に伴って搬送される。左右の把持具Ci・Coは、延伸部5の入口部(図中Aの位置)において、フィルムの進行方向(繰出方向D1)に対して略垂直な方向に相対しており、左右非対称なレールRi・Ro上をそれぞれ走行し、延伸終了時の出口部(図中Bの位置)で把持したフィルムを開放する。把持具Ci・Coから開放されたフィルムは、前述したフィルム巻き取り部8にて巻芯に巻き取られる。一対のレールRi・Roは、それぞれ無端状の連続軌道を有しており、テンターの出口部でフィルムの把持を開放した把持具Ci・Coは、外側のレールを走行して順次入口部に戻されるようになっている。
このとき、レールRi・Roは左右非対称であるため、図4の例では、図中Aの位置で相対していた左右の把持具Ci・Coは、レールRi・Ro上を走行するにつれて、レールRi側(インコース側)を走行する把持具CiがレールRo側(アウトコース側)を走行する把持具Coに対して先行する位置関係となる。
すなわち、図中Aの位置でフィルムの繰出方向D1に対して略垂直な方向に相対していた把持具Ci・Coのうち、一方の把持具Ciがフィルムの延伸終了時の位置Bに先に到達したときには、把持具Ci・Coを結んだ直線がフィルムの巻取方向D2に略垂直な方向に対して、角度θLだけ傾斜している。以上の所作をもって、長尺フィルムが幅手方向に対してθLの角度で斜め延伸されることとなる。ここで、略垂直とは、90±1°の範囲にあることを示す。
次に、上記した加熱ゾーンZの詳細について説明する。延伸部5の加熱ゾーンZは、予熱ゾーンZ1、延伸ゾーンZ2および熱固定ゾーンZ3で構成されている。延伸部5では、把持具Ci・Coによって把持されたフィルムは、予熱ゾーンZ1、延伸ゾーンZ2、熱固定ゾーンZ3を順に通過する。本実施形態では、予熱ゾーンZ1と延伸ゾーンZ2とは隔壁で区切られており、延伸ゾーンZ2と熱固定ゾーンZ3とは隔壁で区切られている。
予熱ゾーンZ1とは、加熱ゾーンZの入口部において、フィルムの両端を把持した把持具Ci・Coが、左右で(フィルム幅方向に)一定の間隔を保ったまま走行する区間を指す。
延伸ゾーンZ2とは、フィルムの両端を把持した把持具Ci・Coの間隔が開き出し、所定の間隔になるまでの区間を指す。このとき、上述のような斜め延伸が行われるが、必要に応じて斜め延伸前後において縦方向あるいは横方向に延伸してもよい。
熱固定ゾーンZ3とは、延伸ゾーンZ2より後の、把持具Ci・Coの間隔が再び一定となる区間であって、両端の把持具Ci・Coが互いに平行を保ったまま走行する区間を指す。
なお、延伸後のフィルムは、熱固定ゾーンZ3を通過した後に、ゾーン内の温度がフィルムを構成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg(℃)以下に設定される区間(冷却ゾーン)を通過してもよい。このとき、冷却によるフィルムの縮みを考慮して、予め対向する把持具Ci・Coの間隔を狭めるようなレールパターンとしてもよい。
熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tgに対し、予熱ゾーンZ1の温度はTg〜Tg+30℃、延伸ゾーンZ2の温度はTg〜Tg+30℃、熱固定ゾーンZ3及び冷却ゾーンの温度はTg−30〜Tg+20℃に設定することが好ましい。
なお、予熱ゾーンZ1、延伸ゾーンZ2および熱固定ゾーンZ3の長さは適宜選択でき、延伸ゾーンZ2の長さに対して、予熱ゾーンZ1の長さは通常100〜150%、熱固定ゾーンZ3の長さは通常50〜100%である。
また、延伸前のフィルムの幅をWo(mm)とし、延伸後のフィルムの幅をW(mm)とすると、延伸工程における延伸倍率R(W/Wo)は、好ましくは1.3〜3.0、より好ましくは1.5〜2.8である。延伸倍率がこの範囲にあると、フィルムの幅方向の厚みムラが小さくなるので好ましい。斜め延伸テンターの延伸ゾーンZ2において、幅方向で延伸温度に差を付けると、幅方向厚みムラをさらに良好なレベルにすることが可能になる。なお、上記の延伸倍率Rは、テンター入口部で把持したクリップ両端の間隔W1がテンター出口部において間隔W2となったときの倍率(W2/W1)に等しい。
<長尺延伸フィルムの品質>
本発明の実施形態に係る製造方法により得られた長尺延伸フィルムにおいては、配向角θが巻取方向に対して、例えば0°より大きく90°未満の範囲に傾斜しており、少なくとも1300mmの幅において、幅方向の、面内リタデーションRoのバラツキが2nm以下、配向角θのバラツキが0.5°以下であることが好ましい。また、前記長尺延伸フィルムの、波長550nmで測定した面内リタデーション値Ro(550)が、120nm以上160nm以下の範囲にあることが好ましく、130nm以上150nm以下の範囲であることがさらに好ましい。
すなわち、本発明の実施形態に係る製造方法により得られた長尺延伸フィルムにおいて、面内リタデーションRoのバラツキは、幅方向の少なくとも1300mmにおいて、2nm以下であり、1nm以下であることが好ましい。面内リタデーションRoのバラツキを上記範囲にすることにより、長尺延伸フィルムを偏光子と貼り合せて円偏光板とし、これを有機EL画像表示装置に適用したときに、黒表示時の外光反射光の漏れによる色ムラを抑えることができる。また、長尺延伸フィルムを例えば液晶表示装置用の位相差フィルムとして用いた場合に表示品質を良好なものにすることも可能になる。
また、本発明の実施形態に係る製造方法により得られた長尺延伸フィルムにおいて、配向角θのバラツキは、幅方向の少なくとも1300mmにおいて、0.5°以下であり、0.3°以下であることが好ましく、0.1°以下が最も好ましい。配向角θのバラツキが0.5を超える長尺延伸フィルムを偏光子と貼り合せて円偏光板とし、これを有機EL表示装置などの画像表示装置に据え付けると、光漏れが生じ、明暗のコントラストを低下させることがある。
本発明の実施形態に係る製造方法により得られた長尺延伸フィルムの面内リタデーションRoは、用いられる表示装置の設計によって最適値が選択される。なお、前記Roは、面内遅相軸方向の屈折率nxと面内で前記遅相軸に直交する方向の屈折率nyとの差にフィルムの平均厚みdを乗算した値(Ro=(nx−ny)×d)である。
本発明の実施形態に係る製造方法により得られた長尺延伸フィルムの平均厚みは、機械的強度などの観点から、好ましくは10〜200μm、さらに好ましくは10〜60μm、特に好ましくは15〜35μmである。また、上記長尺延伸フィルムの幅方向の厚みムラは、巻き取りの可否に影響を与えるため、3μm以下であることが好ましく、2μm以下であることがより好ましい。
<円偏光板>
本実施形態の円偏光板は、偏光板保護フィルム、偏光子、λ/4位相差フィルムがこの順で積層されており、前記λ/4位相差フィルムの遅相軸と偏光子の吸収軸(または透過軸)とのなす角度が45°である。なお、上記の偏光板保護フィルム、偏光子、λ/4位相差フィルムは、それぞれ、図5の保護フィルム313、偏光子312、λ/4位相差フィルム311にそれぞれ対応している。本実施形態においては、長尺状偏光板保護フィルム、長尺状偏光子、長尺状λ/4位相差フィルム(長尺延伸フィルム)がこの順で積層して形成されることが好ましい。
本実施形態の円偏光板は、偏光子として、ヨウ素または二色性染料をドープしたポリビニルアルコールを延伸したものを使用し、λ/4位相差フィルム/偏光子の構成で貼合して製造することができる。偏光子の膜厚は、5〜40μm、好ましくは5〜30μmであり、特に好ましくは5〜20μmである。
偏光板は、一般的な方法で作製することができる。アルカリ鹸化処理したλ/4位相差フィルムは、ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の一方の面に、完全鹸化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わされることが好ましい。
偏光板は、更に当該偏光板の偏光板保護フィルムの反対面に剥離フィルムを貼合して構成することができる。保護フィルムおよび剥離フィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。
<有機EL画像表示装置>
図5は、本実施形態の有機EL画像表示装置100の概略の構成を示す断面図である。なお、有機EL画像表示装置100の構成は、これに限定されるものではない。
有機EL画像表示装置100は、有機EL素子101上に接着層201を介して円偏光板301を形成することによって構成されている。有機EL素子101は、ガラスやポリイミド等を用いた基板111上に、順に、金属電極112、発光層113、透明電極(ITO等)114、封止層115を有して構成されている。なお、金属電極112は、反射電極と透明電極とで構成されていてもよい。
円偏光板301は、有機EL素子101側から順に、λ/4位相差フィルム311、偏光子312、保護フィルム313を積層してなり、偏光子312がλ/4位相差フィルム311と保護フィルム313とによって挟持されている。偏光子312の透過軸と本実施形態の長尺延伸フィルムからなるλ/4位相差フィルム311の遅相軸とのなす角度が約45°(または135°)となるように両者を貼り合わせることで、円偏光板301が構成されている。
上記の保護フィルム313には硬化層が積層されていることが好ましい。硬化層は、有機EL画像表示装置の表面のキズを防止するだけではなく、円偏光板301による反りを防止する効果を有する。更に、硬化層上には、反射防止層を有していてもよい。上記有機EL素子101自体の厚さは1μm程度である。
上記の構成において、金属電極112と透明電極114とに電圧を印加すると、発光層113に対して、金属電極112および透明電極114のうちで陰極となる電極から電子が注入され、陽極となる電極から正孔が注入され、両者が発光層113で再結合することにより、発光層113の発光特性に対応した可視光線の発光が生じる。発光層113で生じた光は、直接または金属電極112で反射した後、透明電極114および円偏光板301を介して外部に取り出されることになる。
一般に、有機EL画像表示装置においては、透明基板上に金属電極と発光層と透明電極とを順に積層して発光体である素子(有機EL素子)が形成されている。ここで、発光層は、種々の有機薄膜の積層体であり、例えばトリフェニルアミン誘導体等からなる正孔注入層と、アントラセン等の蛍光性の有機固体からなる発光層との積層体や、このような発光層とペリレン誘導体等からなる電子注入層との積層体や、これらの正孔注入層、発光層、電子注入層の積層体等、種々の組み合わせをもった構成が知られている。
有機EL画像表示装置は、透明電極と金属電極とに電圧を印加することによって、発光層に正孔と電子とが注入され、これら正孔と電子との再結合によって生じるエネルギーが蛍光物質を励起し、励起された蛍光物質が基底状態に戻るときに光を放射する、という原理で発光する。途中再結合というメカニズムは、一般のダイオードと同様であり、このことからも予想できるように、電流と発光強度は印加電圧に対して整流性を伴う強い非線形性を示す。
有機EL画像表示装置においては、発光層での発光を取り出すために、少なくとも一方の電極が透明でなくてはならず、通常酸化インジウムスズ(ITO)などの透明導電体で形成した透明電極を陽極として用いている。一方、電子注入を容易にして発光効率を上げるには、陰極に仕事関数の小さな物質を用いることが重要で、通常Mg−Ag、Al−Liなどの金属電極を用いている。
このような構成の有機EL画像表示装置において、発光層は、厚さ10nm程度ときわめて薄い膜で形成されている。このため、発光層も透明電極と同様、光をほぼ完全に透過する。その結果、非発光時に透明基板の表面から入射し、透明電極と発光層とを透過して金属電極で反射した光が、再び透明基板の表面側へと出るため、外部から視認したとき、有機EL画像表示装置の表示面が鏡面のように見える。
本実施形態の円偏光板は、このような外光反射が特に問題となる有機EL画像表示装置に適している。
すなわち、有機EL素子101の非発光時に、室内照明等により有機EL素子101の外部から入射した外光は、円偏光板301の偏光子312によって半分は吸収され、残りの半分は直線偏光として透過し、λ/4位相差フィルム311に入射する。λ/4位相差フィルム311に入射した光は、偏光子312の透過軸とλ/4位相差フィルム311の遅相軸とが45°(または135°)で交差するように配置されているため、λ/4位相差フィルム311を透過することにより円偏光に変換される。
λ/4位相差フィルム311から出射された円偏光は、有機EL素子101の金属電極112で鏡面反射する際に、位相が180度反転し、逆回りの円偏光として反射される。この反射光は、λ/4位相差フィルム311に入射することにより、偏光子312の透過軸に垂直(吸収軸に平行)な直線偏光に変換されるため、偏光子312で全て吸収され、外部に出射されないことになる。つまり、円偏光板301により、有機EL素子101での外光反射を低減することができる。
<延伸ゾーンでのフィルムの加熱について>
次に、上述した斜め延伸フィルムの製造装置1の延伸部5におけるフィルムの加熱方法について説明する。なお、以下での説明の便宜上、フィルムの幅手方向において、延伸部5での斜め延伸時に一対の把持具Ci・Coのうちで相対的に先行して走行する把持具Ciによって把持される側を先行側と称し、斜め延伸時に相対的に遅延して走行する把持具Coによって把持される側を遅延側と称する。
本実施形態では、延伸工程を行うゾーン内で、フィルムを加熱しつつ、上述したようにフィルムの幅手方向の両端を一対の把持具で把持しながら、一方の把持具を相対的に先行させ、他方の把持具を相対的に遅延させてフィルムを搬送することにより、フィルムを幅手方向に対して斜め方向に延伸する。このとき、延伸工程を行うゾーンでは、以下の条件式を満足させる。すなわち、
|A−B|≦31(sec・℃)
ただし、
A=S1×T1、B=S2×T2、
S1:延伸工程を行うゾーンにおける先行側の把持具のフィルム把持時間(sec)
T1:延伸工程を行うゾーンにおけるフィルムの先行側端部の平均温度とTgとの差(℃)
S2:延伸工程を行うゾーンにおける遅延側の把持具のフィルム把持時間(sec)
T2:延伸工程を行うゾーンにおけるフィルムの遅延側端部の平均温度とTgとの値(℃)
Tg:フィルムを構成する材料のガラス転移温度(℃)
である。
ここで、上記した延伸工程を行うゾーンとは、本実施形態のように、フィルムを斜め延伸する延伸ゾーンZ2と、延伸ゾーンZ2の上流側の予熱ゾーンZ1、延伸ゾーンZ2の下流側の熱固定ゾーンとがそれぞれ隔壁で明確に区切られている場合は、その斜め延伸する延伸ゾーンZ2自体を指す。そして、この場合の上記平均温度とは、延伸ゾーンZ2での平均温度とする。なお、延伸部5において、上記の予熱ゾーンZ1、延伸ゾーンZ2、熱固定ゾーンZ3が隔壁で明確に区切られていなくてもよいが、その場合は、延伸部5全体を、延伸工程を行うゾーンとして扱う。そして、この場合の平均温度とは、延伸部5全体(予熱ゾーン、延伸ゾーン、熱固定ゾーンを含む)での平均温度とする。
A(S1×T1)は、延伸工程を行うゾーンでのフィルム加熱時に、フィルムの先行側端部が受ける熱量を示し、B(S2×T2)は、上記ゾーンでのフィルム加熱時に、フィルムの遅延側端部が受ける熱量を示す。
延伸工程を行うゾーンにて、フィルムを加熱しながら延伸する場合において、フィルムの遅延側は、上記ゾーンでの滞在期間が先行側よりも長いため、先行側よりも多くの熱量を受けて、変形しやすい状態が長く続く。そのため、フィルムの先行側よりも遅延側のほうが延伸倍率が増大しやすくなる。
そこで、上記ゾーンにおいて、上記の条件式(|A−B|≦31(sec・℃))を満足する、つまり、フィルムの先行側端部が受ける熱量と遅延側端部が受ける熱量との差が所定範囲内に収まるようにフィルムを加熱することにより、上記ゾーンでフィルムが受ける熱量を幅手方向にほぼ均一にして、延伸倍率を幅手方向でほぼ一定にすることができる。その結果、フィルムの幅手方向において、光学特性(例えば面内リタデーション)にバラツキが生じるのを抑えることができる。よって、このようにして製造されたフィルムを有機EL画像表示装置の外光反射防止のための円偏光板に適用した場合には、黒表示時の反射光量ムラを抑えることができる。
特に、|A−B|<15(sec・℃)を満足するように、フィルムを加熱することが好ましい。この場合は、フィルムの先行側端部が受ける熱量と遅延側端部が受ける熱量との差がより小さくなるため、より光学特性に優れたフィルムを製造することが可能となる。
ここで、上記条件式を満足するための具体的な方法としては、(1)フィルムの加熱温度を幅手方向で調整する(T1とT2との関係を調整する)、(2)一対の把持具のフィルム把持時間を先行側と遅延側とで調整する(S1とS2との関係を調整する)、(3)上記(1)(2)を組み合わせる、ことによって行うことができる。そこで、以下では、上記条件式を満足するための具体的な方法について、上記(1)(2)を例に挙げて説明する。なお、以下では、上記した延伸工程を行うゾーンは、延伸ゾーンZ2であるものとして説明する。
(幅手方向の加熱温度調整について)
図6は、延伸部5の主要部の構成を模式的に示す平面図である。同図に示すように、延伸部5の延伸ゾーンZ2には、フィルムの幅手方向に長尺状の加熱部10が配置されている。この加熱部10は、延伸ゾーンZ2内でフィルムを幅手方向に加熱するものであり、例えば、フィルムに対して熱風を吹き出す開口部11aを有する加熱ノズル11で構成されている。開口部11aは、遅延側から先行側に向かうにつれて開口幅が連続的に増大するように形成されている。これにより、開口部11aの開口面積は、遅延側から先行側に向かうにつれて連続的に増大している。なお、図6では、開口部11aを黒塗りで示している。このような図示の仕方は他の図面でも同様とする。
加熱ノズル11は、例えば、搬送されるフィルムに対して下方に配置されて、開口部11aから上方に向かって吹き出す熱風によってフィルムを下方から加熱する。なお、加熱ノズル11は、搬送されるフィルムに対して上方に配置されて、開口部11aから下方に向かって吹き出す熱風によってフィルムを上方から加熱してもよいし、フィルムの上方および下方にそれぞれ配置されて、フィルムを上方および下方の両方向から加熱してもよい。
延伸ゾーンZ2では、フィルムの先行側は、遅延側よりも先行して搬送されるため、延伸ゾーンZ2での滞在時間が遅延側に比べて短くなり、その分、延伸ゾーンZ2での加熱時に受ける熱量が遅延側に比べて不足しがちとなる。しかし、延伸ゾーンZ2において、上記の加熱部10(加熱ノズル11)によってフィルムを幅手方向に加熱することにより、開口部11aから吹き出す熱風の単位時間あたりの吹出量が遅延側よりも先行側で多くなる。これにより、フィルムの遅延側よりも先行側の加熱温度が高くなり、先行側で不足しがちな熱量を補うことができる。その結果、Aの値をBの値に近づけて、上記した条件式を満足することが可能となる。つまり、延伸ゾーンZ2において、遅延側よりも先行側の加熱温度が高くなるように、加熱部10によってフィルムを幅手方向に加熱することにより、上記した条件式を満足することができる。
以上では、延伸ゾーンZ2に加熱部10を1個のみ配置した例について説明したが、延伸部5の他の構成を示す図7のように、同じ構成の加熱部10をフィルムの搬送方向に2個配置したり、あるいは3個以上配置して、フィルムを加熱するようにしてもよい。この場合でも、Aの値をBの値に近づけて、上記した条件式を満足することが可能となる。
図8は、延伸部5のさらに他の構成を模式的に示す平面図である。同図に示すように、延伸部5の延伸ゾーンZ2に配置される加熱ノズル11は、熱風を吹き出す開口部として、先行側に位置する開口部11aと、遅延側に位置する開口部11bとを有して構成されてもよい。このとき、開口部11aの開口幅(開口面積)は、開口部11bの開口幅(開口面積)よりも大きくなるように形成されていてもよい。この場合でも、開口部11aから吹き出す熱風の量が遅延側よりも先行側で多くなり、遅延側よりも先行側の加熱温度が高くなるので、Aの値をBの値に近づけて、上記した条件式を満足することが可能となる。
また、図9に示すように、加熱ノズル11は、フィルムの先行側に対応して位置する開口部11aと、遅延側に対応して位置する開口部11bとの間に、別の開口部11cを有する構成であってもよい。開口部11cの開口幅(開口面積)は、開口部11bの開口幅(開口面積)よりも大きく、開口部11aの開口幅(開口面積)よりも小さく形成されている。この場合でも、フィルムの遅延側よりも先行側の加熱温度を高くできることに変わりはなく、上記した条件式を満足することが可能となる。
なお、図示はしないが、図8または図9の加熱部10を、フィルム搬送方向に複数並べてフィルムを加熱するようにしてもよい。また、図8または図9において、加熱部10として、出力(ワット数)の異なる複数の棒状のランプヒータを用い、遅延側から先行側に向かうにつれて出力が大きくなるように、各ランプヒータをフィルムの幅手方向に並べてフィルムを加熱するようにしてもよい。
また、図10に示すように、上述した加熱ノズル11の開口部11aは、幅手方向の中央位置(幅手方向で線対称となる位置)から先行側にずれて形成されていてもよい。さらに、図11に示すように、加熱部10として、電磁波を放出する矩形状のパネル面を有するパネルヒータ12を用い、フィルムの先行側のみを加熱するように、パネルヒータ12を延伸ゾーンZ2に配置してもよい。このような構成であっても、フィルムの遅延側よりも先行側の加熱温度を高くして、上記した条件式を満足させることができる。
また、図12に示すように、加熱部10として、幅手方向の長さの異なる加熱ノズル11を複数用いるとともに、延伸ゾーンZ2にて、フィルムの搬送方向におけるフィルムの加熱箇所が、遅延側よりも先行側で多くなるように加熱ノズル11を配置して、フィルムを加熱するようにしてもよい。図12の例では、フィルムの先行側および遅延側をまたぐような長さの加熱ノズル11Aを2本、搬送方向に並べて配置するとともに、加熱ノズル11Aよりも短い加熱ノズル11Bを、フィルムの先行側に位置するように2本の加熱ノズル11Aの間に配置して、フィルムを加熱するようにしている。
また、図13に示すように、図12の加熱ノズル11Bの代わりにパネルヒータ12を用い、このパネルヒータ12をフィルムの先行側に位置するように2本の加熱ノズル11Aの間に配置して、フィルムを加熱するようにしてもよい。なお、図12および図13の例では、フィルムの加熱箇所は、先行側では搬送方向に3か所であり、遅延側では搬送方向に2か所であるが、このような個数に限定されるわけではない。
図12および図13のように加熱部10によってフィルムを加熱する場合でも、フィルムの遅延側よりも先行側の加熱温度が高くなるので、Aの値をBの値に近づけて、上記した条件式を満足することが可能となる。
なお、加熱部10として、上記の加熱ノズル11と遮風板とを用い、加熱ノズル11の開口部11aのうち、中央よりも遅延側を遮風板で遮り、先行側にのみ熱風を吹き当てることで、フィルムの加熱温度を幅手方向で調整してもよい。
なお、延伸ゾーンZ2では、以上で説明した加熱部10の構成を適宜組み合わせて、フィルムを加熱してもよい。また、加熱部10による上記したフィルムの加熱と、以下で説明する隔壁の移動とを組み合わせてフィルムを加熱してもよい。
(フィルム把持時間の調整について)
図14は、延伸部5のさらに他の構成を模式的に示す平面図である。同図に示すように、延伸ゾーンZ2における、遅延側の把持具Co(図4参照)のフィルム把持時間S2が先行側の把持具Ci(図4参照)のフィルム把持時間S1に近づくように、延伸ゾーンZ2の出口側の隔壁W(延伸ゾーンZ2と熱固定ゾーンZ3とを仕切る隔壁)をフィルムの搬送方向に対して傾けてもよい。
前述したように、延伸ゾーンZ2では、熱固定ゾーンZ3よりもフィルムの加熱温度が高いが、延伸ゾーンZ2における遅延側の把持具Coのフィルム把持時間S2が短くなるように(フィルム把持時間S1に近づくように)隔壁Wを動かすことにより、延伸ゾーンZ2でフィルムの遅延側に付与される熱量を減らして、延伸ゾーンZ2でフィルムの先行側に付与される熱量に近づけることができる。したがって、このような方法によっても、Aの値とBの値とを近づけて、上記した条件式を満足することが可能となる。
このとき、延伸ゾーンZ2の入口側の隔壁(予熱ゾーンZ1と延伸ゾーンZ2とを仕切る隔壁)も同時に動かして、延伸ゾーンZ2での遅延側の把持具Coのフィルム把持時間S2を調整してもよい。ただし、予熱ゾーンZ1と延伸ゾーンZ2とでフィルムの加熱温度が同じ場合は、延伸ゾーンZ2の入口側の隔壁を動かしても、延伸ゾーンZ2の加熱温度下での遅延側の把持具Coのフィルム把持時間S2は、上記隔壁を動かさない場合と実質的に変わらない。このため、延伸ゾーンZ2の入口側の隔壁を動かして、遅延側の把持具Coのフィルム把持時間S2を調整する方法は、予熱ゾーンZ1の加熱温度が延伸ゾーンZ2の加熱温度と異なる場合に有効となる。
なお、延伸ゾーンZ2の出口側の隔壁Wを傾けて、延伸ゾーンZ2での遅延側の把持具Coのフィルム把持時間S2を変える場合、延伸ゾーンZ2に配置される加熱部10は、図6等で示した加熱部10、つまり、フィルムの加熱温度が遅延側よりも先行側で高くなるようにフィルムを加熱するものであってもよいし、遅延側と先行側とで加熱温度が同じになるようにフィルムを加熱するものであってもよい(例えば加熱ノズル11の開口部11aの幅は、先行側から遅延側にかけて一定の幅であってもよい)。
また、予熱ゾーンZ1と延伸ゾーンZ2とでゾーン内の加熱温度が異なる場合は、延伸ゾーンZ2における先行側の把持具Ciのフィルム把持時間を長くして遅延側の把持具Coのフィルム把持時間に近づくように、延伸ゾーンZ2の入口側の隔壁のみを動かしてもよい。この場合は、延伸ゾーンZ2でフィルムの先行側に付与される熱量を増やして、延伸ゾーンZ2でフィルムの遅延側に付与される熱量に近づけることができる。したがって、このような方法によっても、Aの値とBの値とを近づけて、上記した条件式を満足することが可能となる。
以上のことから、フィルム把持時間の調整によって上述した条件式を満足させるためには、延伸工程を行うゾーン(ここでは延伸ゾーンZ2)における遅延側の把持具Coのフィルム把持時間が先行側の把持具Ciのフィルム把持時間に相対的に近づくように、延伸ゾーンZ2の入口側および出口側の少なくとも一方の隔壁であって、延伸ゾーンZ2と、温度が延伸ゾーンと異なる空間(例えば予熱ゾーンZ1、熱固定ゾーンZ3)とを仕切る隔壁を、フィルムの搬送方向に対して傾ければよいと言える。なお、傾斜させる隔壁は、延伸ゾーンZ2の入口側の隔壁と出口側の隔壁との両者であってもよいし、どちらか一方のみであってもよい。
また、延伸工程を行うゾーンが延伸部5全体である場合は、延伸部5の入口側および出口側の隔壁が、必然的に、上記ゾーンと、該ゾーンとは異なる温度(例えば室温)の外部空間とを仕切る隔壁となるので、この場合でも、上記と同様に、延伸部5の入口側および出口側の少なくとも一方の隔壁を傾けることにより、延伸部5での遅延側のフィルム把持時間を先行側のフィルム把持時間に相対的に近づけて、上述した条件式を満足させることができる。
ところで、本実施形態では、延伸部5は、長尺フィルムの繰り出し方向と延伸フィルムの延伸後のフィルムの走行方向とを傾斜させて、長尺フィルムを幅手方向に対して斜め方向に延伸する構成である。つまり、延伸部5は、供給される長尺フィルムの幅手方向の両端部を各把持具によって把持し、各把持具を移動させながら長尺フィルムを搬送するとともに、長尺フィルムの搬送方向を途中で変えることにより、長尺フィルムを幅手方向に対して斜め方向に延伸する構成である。このように斜め延伸を行う場合は、フィルムの先行側と遅延側とで、延伸ゾーンで付与される熱量に差が生じやすく、先行側と遅延側とで延伸倍率が異なりやすいので、上述した条件式を満足するようにフィルムを加熱して、延伸倍率を幅手方向でほぼ均一にする本実施形態の手法が非常に有効となる。
なお、斜め延伸の手法は、本実施形態の手法に限定されるわけではなく、例えば特開2008−23775号公報に開示されているような、同時2軸延伸によって斜め延伸を行う場合であっても、本実施形態の手法を適用して、延伸倍率をフィルムの幅手方向でほぼ均一に揃え、フィルムの幅手方向における面内リタデーションのバラツキを抑えることは可能である。なお、同時2軸延伸とは、供給される長尺フィルムの幅手方向の両端部を各把持具によって把持し、各把持具を移動させながら長尺フィルムを搬送するとともに、長尺フィルムの搬送方向を一定としたまま、一方の把持具の移動速度と他方の把持具の移動速度とを異ならせることにより、長尺フィルムを幅手方向に対して斜め方向に延伸する方法である。また、特開2011−11434号公報に開示されているような延伸を行う構成であっても、本実施形態の手法を適用して、フィルムの幅手方向における面内リタデーションのバラツキを抑えることは可能である。
<実施例>
以下、本実施形態における延伸フィルムの製造に関する具体例な実施例について、比較例も挙げながら説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。以下の実施例では、熱可塑性樹脂フィルムを成膜後、図4で示した延伸部5を有する製造装置1(図1参照)用いて熱可塑性樹脂フィルムを延伸し、斜め延伸光学フィルムを作製した。なお、以下では、「部」あるいは「%」の表記を用いるが、特に断らない限り、これらは「質量部」あるいは「質量%」を表すものとする。
<実施例1>
[シクロオレフィン系フィルムの製造方法]
窒素雰囲気下、脱水したシクロヘキサン500部に、1−ヘキセン1.2部、ジブチルエーテル0.15部、トリイソブチルアルミニウム0.30部を室温で反応器に入れ混合した後、45℃に保ちながら、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(ジシクロペンタジエン、以下、DCPと略記)20部、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン(以下、MTFと略記)140部、および8−メチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−ドデカ−3−エン(以下、MTDと略記)40部からなるノルボルネン系モノマー混合物と、六塩化タングステン(0.7%トルエン溶液)40部とを、2時間かけて連続的に添加し重合した。重合溶液にブチルグリシジルエーテル1.06部とイソプロピルアルコール0.52部を加えて重合触媒を不活性化し重合反応を停止させた。
次いで、得られた開環重合体を含有する反応溶液100部に対して、シクロヘキサン270部を加え、さらに水素化触媒としてニッケル−アルミナ触媒(日揮化学社製)5部を加え、水素により5MPaに加圧して撹拌しながら温度200℃まで加温した後、4時間反応させ、DCP/MTF/MTD開環重合体水素化ポリマーを20%含有する反応溶液を得た。濾過により水素化触媒を除去した後、軟質重合体(クラレ社製;セプトン2002)、および酸化防止剤(チバスペシャリティ・ケミカルズ社製;イルガノックス1010)を、得られた溶液にそれぞれ添加して溶解させた(いずれも重合体100部あたり0.1部)。
次いで、溶液から、溶媒であるシクロヘキサンおよびその他の揮発成分を、円筒型濃縮乾燥器(日立製作所製)を用いて除去し、水素化ポリマーを溶融状態で押出機からストランド状に押出し、冷却後ペレット化して回収した。重合体中の各ノルボルネン系モノマーの共重合比率を、重合後の溶液中の残留ノルボルネン類組成(ガスクロマトグラフィー法による)から計算したところ、DCP/MTF/MTD=10/70/20でほぼ仕込組成に等しかった。この開環重合体水素添加物の、重量平均分子量(Mw)は31,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.5、水素添加率は99.9%、Tgは134℃であった。
得られた開環重合体水素添加物のペレットを、空気を流通させた熱風乾燥器を用いて70℃で2時間乾燥して水分を除去した。次いで、前記ペレットを、コートハンガータイプのTダイを有する短軸押出機(三菱重工業株式会社製:スクリュー径90mm、Tダイリップ部材質は炭化タングステン、溶融樹脂との剥離強度44N)を用いて溶融押出成形して厚み100μmのシクロオレフィンポリマーフィルムを製造した。押出成形は、クラス10,000以下のクリーンルーム内で、溶融樹脂温度240℃、Tダイ温度240℃の成形条件にて幅900mmの長尺の未延伸フィルムAを得た。未延伸フィルムAはロールに巻き取った。
上記にて得られたノルボルネン系樹脂の未延伸フィルムAを、本実施形態の製造装置1の延伸部5(図4等参照)により、以下に示す方法で延伸して、延伸フィルムA’を得た。
まず、加熱ゾーンZの手前の付近にて、フィルム繰り出し部2から送られてくる未延伸フィルムAの両端を、先行側の把持具Ciとしての第1クリップおよび遅延側の把持具Coとしての第2クリップで把持した。なお、未延伸フィルムAを把持する際には、第1、第2クリップのクリップレバーを、クリップクローザーにより動かすことにより、未延伸フィルムAを把持する。また、クリップ把持の際は、未延伸フィルムAの両端を同時に第1、第2クリップで把持し、かつフィルムの幅手方向に平行な軸に対して、両端の把持位置を結ぶ線が平行となるように把持する。
次いで、把持した未延伸のフィルムAを第1、第2クリップによって把持しながら搬送するとともに、加熱ゾーンZ内の予熱ゾーンZ1、延伸ゾーンZ2および熱固定ゾーンZ3を通過させることによって加熱し、幅手方向に延伸した延伸フィルムA’を得る。
なお、加熱および延伸する際におけるフィルム移動速度は、15m/minとした。また、予熱ゾーンZ1の温度を140℃、延伸ゾーンZ2の温度を140℃、熱固定ゾーンZ3の温度を137℃とした。また、延伸前後におけるフィルムの延伸倍率は2.0倍とし、延伸後のフィルムの厚みが50μmとなるようにした。
このとき、延伸ゾーンZ2では、先行側の把持具Ciのフィルム把持時間S1は、45(sec)であり、遅延側の把持具Coのフィルム把持時間S2は、55(sec)であった。また、延伸ゾーンZ2では、図6の加熱部10により、フィルムの先行側の加熱温度(平均値)がTg+6.9℃、遅延側の加熱温度(平均値)がTg+6℃となるように、フィルムを加熱した。つまり、延伸ゾーンZ2におけるフィルムの先行側端部の平均温度とガラス転移温度Tgとの差T1は、6.9℃であり、フィルムの遅延側端部の平均温度とガラス転移温度Tgとの差T2は、6℃である。なお、上記したフィルムを構成するノルボルネン系樹脂のガラス転移温度は、134℃であった。また、延伸前のフィルム(未延伸フィルム)の幅手方向の膜厚差はなしであった。
次いで、得られた延伸フィルムA’の両端にトリミング処理を施し、最終的なフィルム幅を1400mmとした。得られたフィルムの面内リタデーションRoの平均値は、140nmであり、配向角θの平均値は45°であった。
なお、上記したシクロオレフィンポリマーフィルムのことを、COPフィルムとも称する。
〔円偏光板の作製〕
厚さ120μmのポリビニルアルコールフィルムを、一軸延伸し(温度110℃、延伸倍率5倍)、ヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水100gからなる水溶液に60秒間浸漬し、次いでヨウ化カリウム6g、ホウ酸7.5g、水100gからなる68℃の水溶液に浸漬した。浸漬後のフィルムを水洗、乾燥し、偏光子を得た。
続いて、面内リタデーションRoの測定用とは別に、上述の方法で作製した延伸フィルム(λ/4位相差フィルム)を、ポリビニルアルコール5%水溶液を粘着剤として、上記偏光子の片面に貼合した。その際、偏光子の透過軸とλ/4位相差フィルムの遅相軸とが45°の向きになるように貼合した。そして、偏光子のもう一方の面に、アルカリケン化処理をしたコニカミノルタタックフィルムKC6UA(コニカミノルタオプト(株)製)を、同様に貼り合わせて円偏光板を作製した。
〔有機EL画像表示装置の作製〕
ガラス基板上にスパッタリング法によって厚さ80nmのクロムからなる反射電極を製膜した。次に、反射電極上に陽極としてITO(酸化インジウムスズ)をスパッタリング法で厚さ40nmで製膜した。続いて、陽極上に正孔輸送層としてポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネート(PEDOT:PSS)をスパッタリング法で厚さ80nmで製膜した。その後、正孔輸送層上にシャドーマスクを用いて、RGBそれぞれの発光層を100nmの膜厚で形成した。
赤色発光層としては、ホストとしてトリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム(Alq)と発光性化合物[4−(dicyanomethylene)−2−methyl−6(p−dimethylaminostyryl)−4H−pyran](DCM)とを共蒸着(質量比99:1)して100nmの厚さで形成した。緑色発光層としては、ホストとしてAlqと、発光性化合物クマリン6とを共蒸着(質量比99:1)して100nmの厚さで形成した。青色発光層としては、ホストとして、以下の構造式で示されるBAlqと発光性化合物Peryleneとを共蒸着(質量比90:10)して厚さ100nmで形成した。
Figure 2013161581
さらに、発光層上に電子が効率的に注入できるような仕事関数の低い第1の陰極としてカルシウムを真空蒸着法により4nmの厚さで製膜した。その後、第1の陰極上に第2の陰極としてアルミニウムを2nmの厚さで製膜した。ここで、第2の陰極として用いたアルミニウムは、その上に形成される透明電極をスパッタリング法により製膜する際に、第1の陰極であるカルシウムが化学的変質をすることを防ぐ役割がある。以上のようにして、有機発光層を得た。
次に、陰極上にスパッタリング法によって透明導電膜を80nmの厚さで製膜した。ここで透明導電膜としてはITOを用いた。さらに、透明導電膜上にCVD法(化学蒸着法)によって窒化珪素を200nm製膜することで、絶縁膜とした。これにより、有機EL素子を作製した。上記作製した有機EL素子の大きさは、1296mm×784mmであった。
上記作製した有機EL素子の絶縁膜上に、上述のようにして作製した円偏光板を、λ/4位相差フィルムの面が有機EL素子の絶縁膜の面に向くように、粘着剤で固定化する。これにより、有機EL画像表示装置を作製した。
<実施例2>
実施例2では、延伸前フィルムの厚みを75μm、延伸倍率を2.5倍とし、延伸後のフィルムの厚みが30μmとなるように、フィルムを作製した以外は、実施例1と同様である。
<実施例3>
実施例3では、延伸ゾーンZ2において、図12の加熱部10により、フィルムの先行側の加熱温度(平均値)がTg+8.8℃、遅延側の加熱温度(平均値)がTg+7.1℃となるように、フィルムを加熱した以外は、実施例2と同様である。
<実施例4>
実施例4では、図14で示したように、延伸部5において、延伸ゾーンZ2の出口側の隔壁Wを傾けて、延伸ゾーンZ2における遅延側の把持具Coのフィルム把持時間S2を、45(sec)とし、先行側の把持具Ciのフィルム把持時間S1(48(sec))に近づけた。また、延伸ゾーンZ2に配置される加熱部10としては、開口部11aの開口幅が先行側から遅延側にかけて一定の加熱ノズル11を用い、幅手方向におけるフィルムの加熱温度の調整は行わなかった。この結果、延伸ゾーンZ2でのフィルムの遅延側の加熱温度(平均値)は、先行側の加熱温度(平均値)と同じTg+7℃であった。上記以外については、実施例3と同様である。
<比較例1>
比較例1では、延伸前のフィルムとして、平均厚みが100μmで、先行側よりも遅延側のほうが膜厚の大きいフィルムを用い、延伸後の平均膜厚が50μmとなるようにフィルムを延伸した。このとき、延伸ゾーンZ2では、フィルムの幅手方向における加熱温度の調整を行わなかった。それ以外については、実施例1と同様である。つまり、比較例1は、図15に基づいて説明した従来の構成に対応している。
<比較例2>
比較例2では、延伸前のフィルムとして、幅手方向で膜厚が一定のフィルムを用いて延伸を行った以外は、比較例1と同様である。
<比較例3>
比較例3では、延伸前フィルムの厚みを75μm、延伸倍率を2.5倍とし、延伸後のフィルムの平均膜厚が30μmとなるようにフィルムを延伸した以外は、比較例2と同様である。
<面内リタデーションのバラツキの評価>
上記の実施例1〜4、比較例1〜3と同じ手法で作製した各長尺延伸フィルムから、幅手方向に等間隔で20個のサンプルを切り出し、その面内リタデーションRo(nm)を自動複屈折率測定装置(王子計測機器株式会社製のKOBRA−21ADH)を用いて測定した。そして、上記幅手方向の測定を走行方向に3回実施し、幅手方向の全データの平均値と、そのバラつき(幅手方向における、測定した面内リタデーションの最大値と最小値との差)を算出し、下記の基準に基づいて評価した。
A:面内リタデーションのバラツキが1.0nm未満である。
B:面内リタデーションのバラツキが1.0nm以上1.6nm未満である。
C:面内リタデーションのバラツキが1.6nm以上2.0nm未満である。
D:面内リタデーションのバラツキが2.0nm以上3.0nm未満である
E:面内リタデーションのバラツキが3.0nm以上である。
<反射光量ムラの評価>
上記作製した有機EL画像表示装置を、太陽光の下で、黒表示した際のディスプレイ全面における反射光量ムラを目視で評価した。なお、反射光量ムラの評価の基準は、以下の通りである。
◎:作製した有機EL画像表示装置において、箇所ごとの反射光量に違いを感じる人の割合が10%以下である。
○:作製した有機EL画像表示装置において、箇所ごとの反射光量に違いを感じる人の割合が10%よりも多く、20%以下である。
△:作製した有機EL画像表示装置において、箇所ごとの反射光量に違いを感じる人の割合が20%よりも多く、50%以下である。
×:作製した有機EL画像表示装置において、箇所ごとの反射光量に違いを感じる人の割合が50%よりも多い。
表1は、実施例1〜4および比較例1〜3について、上記した面内リタデーションのバラツキの定量評価と、反射光量ムラの評価の結果とを示している。
Figure 2013161581
表1の結果より、実施例1〜3のように、延伸ゾーンZ2にてフィルムの加熱温度を幅手方向で調整することにより、|A−B|の値が31(sec・℃)以下であり、また、実施例4のように、遅延側の把持具Coのフィルム把持時間を先行側の把持具Ciのフィルム把持時間に近づけることによっても、|A−B|の値が31(sec・℃)以下になっていることがわかる。この結果、実施例1〜4では、幅手方向における面内リタデーションRoのバラツキが小さく(Bランク以上であり)、反射光量ムラについても良好な結果(○または◎)が得られていることがわかる。特に、実施例3では、|A−B|の値が15(sec・℃)よりも小さく、幅手方向における面内リタデーションRoのバラツキが最も小さく(Aランクであり)、反射光量ムラについて最も良好な結果(◎)が得られていることがわかる。
これに対して、フィルム幅手方向に加熱温度を調整していない比較例1〜3では、先行側と遅延側とでフィルムに付与される熱量に大きな差が生じており、|A−B|の値が31(sec・℃)を大幅に超えているため、幅手方向における面内リタデーションRoのバラツキが大きく生じている(Cランク以下である)。また、反射光量ムラについても、評価が△または×であり、十分低減されているとは言えない。また、比較例2および3では、延伸後のフィルムにおいて、先行側と遅延側とで膜厚差が生じているが(表では、△、×で表記)、これは先行側と遅延側とで膜厚差のないフィルムを用い、このフィルムを延伸したときに、フィルム幅手方向に加熱温度を調整していないために、先行側と遅延側とで延伸倍率に差が生じたことによるものと考えられる。
以上より、延伸ゾーンZ2にてフィルムの加熱温度を幅手方向で調整したり、遅延側の把持具Coのフィルム把持時間を先行側の把持具Ciのフィルム把持時間に近づけて、|A−B|≦31(sec・℃)を満足することで、幅手方向における面内リタデーションRoのバラツキを抑えることができ、製造したフィルムを有機EL画像表示装置の円偏光板に適用したときに、反射光量ムラを十分低減することができると言える。特に、|A−B|<15(sec・℃)を満足することにより、上記の効果をより高めることができると言える。
また、実施例1と比較例2とでは、延伸前のフィルムの膜厚が幅手方向で一定で、延伸後のフィルム膜厚が50μmである点で共通しているが、加熱温度を幅手方向に調整するか否かで異なっている。このとき、実施例1では、加熱温度を幅手方向に調整することで、面内リタデーションRoのバラツキの評価が、比較例2のCランクからBランクに1段階上がっており、反射光量ムラの評価についても、比較例2の△から○に1段階上がっている。
一方、実施例2と比較例3とでは、延伸前のフィルムの膜厚が幅手方向で一定で、延伸後のフィルム膜厚が30μmである点で共通しているが、加熱温度を幅手方向に調整するか否かで異なっている。このとき、実施例2では、加熱温度を幅手方向に調整することで、面内リタデーションRoのバラツキの評価が、比較例3のDランクからBランクに2段階上がっており、反射光量ムラの評価についても、比較例3の×から○に2段階上がっている。なお、実施例4と比較例3とを比較しても、上記と同様のことが言える。
したがって、以上のことから、延伸後のフィルムの膜厚が小さいほど、条件式を満足するように、加熱温度を幅手方向に調整する、または遅延側のフィルム把持時間を短くすることで、幅手方向の面内リタデーションRoのバラツキを抑える効果が高くなり、反射光量ムラを抑える効果が高くなると言える。このような効果は、延伸後のフィルムの厚さが、15〜35μmの範囲であれば得られることが実験的に確認できている。
上記した各実施例および各比較例では、斜め延伸工程におけるフィルムの搬送速度を15m/minとしているが、フィルムの搬送速度が15m/min〜150m/minと比較的高速である場合には、幅手方向で延伸倍率に差が生じやすくなり、幅手方向における面内リタデーションRoのバラツキが生じやすくなる。したがって、延伸ゾーンZ2にて、条件式を満足するように、加熱温度を幅手方向に調整する、または遅延側のフィルム把持時間を短くすることで、幅手方向の面内リタデーションRoのバラツキを抑える本実施形態の手法は、上記のようにフィルムの搬送速度が高速である場合に非常に有効となる。
また、セルロースフィルムにおける面内リタデーションRoおよび反射光量ムラの評価については、以下の手法でセルロースフィルムを作製し、実施例1〜4および比較例1〜3と同様の条件で延伸フィルムを作製した後、円偏光板および有機EL画像表示装置を作製し、面内リタデーションRoおよび反射光量ムラについて評価したが、その結果は、COPフィルムを用いて行った表1の結果と同様であった。
[セルロースエステル系フィルムの製造方法]
<微粒子分散液>
微粒子(アエロジル R972V 日本アエロジル(株)製)11質量部
エタノール 89質量部
以上をディゾルバーで50分間攪拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。
<微粒子添加液>
以下の組成に基づいて、メチレンクロライドを入れた溶解タンクに充分攪拌しながら、上記微粒子分散液をゆっくりと添加した。さらに二次粒子の粒径が所定の大きさとなるようにアトライターにて分散を行った。これを日本精線(株)製のファインメットNFで濾過し、微粒子添加液を調製した。
メチレンクロライド 99質量部
微粒子分散液1 5質量部
<主ドープ液>
下記組成の主ドープ液を調製した。すなわち、まず、加圧溶解タンクにメチレンクロライドとエタノールを添加した。溶剤の入った加圧溶解タンクにセルロースアセテートを攪拌しながら投入した。これを加熱し、攪拌しながら、完全に溶解し、これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、主ドープ液を調製した。なお、糖エステル化合物およびエステル化合物は、以下の合成例により合成した化合物を用いた。また、化合物(B)は、以下のものを用いた。
(主ドープ液の組成)
メチレンクロライド 340質量部
エタノール 64質量部
セルロースアセテートプロピオネート(アセチル基置換度1.39、プロピオニル基置換度0.50、総置換度1.89) 100質量部
化合物(B) 5.0質量部
糖エステル化合物 5.0質量部
エステル化合物 2.5質量部
微粒子添加液1 1質量部
Figure 2013161581
(糖エステル化合物の合成)
以下の工程により、糖エステル化合物を合成した。
Figure 2013161581
攪拌装置、還流冷却器、温度計および窒素ガス導入管を備えた四頭コルベンに、ショ糖34.2g(0.1モル)、無水安息香酸180.8g(0.6モル)、ピリジン379.7g(4.8モル)を仕込み、攪拌下に窒素ガス導入管から窒素ガスをバブリングさせながら昇温し、70℃で5時間エステル化反応を行った。
次に、コルベン内を4×10Pa以下に減圧し、60℃で過剰のピリジンを留去した後に、コルベン内を1.3×10Pa以下に減圧し、120℃まで昇温させ、無水安息香酸、生成した安息香酸の大部分を留去した。
最後に、分取したトルエン層に水100gを添加し、常温で30分間水洗後、トルエン層を分取し、減圧下(4×10Pa以下)、60℃でトルエンを留去させ、化合物A−1、A−2、A−3、A−4およびA−5の混合物(糖エステル化合物)を得た。
得られた混合物をHPLCおよびLC−MASSで解析したところ、A−1が1.3質量%、A−2が13.4質量%、A−3が13.1質量%、A−4が31.7質量%、A−5が40.5質量%であった。平均置換度は5.5であった。
(HPLC−MSの測定条件)
1)LC部
装置:日本分光(株)製カラムオーブン(JASCO CO−965)、ディテクター(JASCO UV−970−240nm)、ポンプ(JASCO PU−980)、デガッサ−(JASCO DG−980−50)
カラム:Inertsil ODS−3 粒子径5μm 4.6×250mm(ジーエルサイエンス(株)製)
カラム温度:40℃
流速:1ml/min
移動相:THF(1%酢酸):H2O(50:50)
注入量:3μl
2)MS部
装置:LCQ DECA(Thermo Quest(株)製)
イオン化法:エレクトロスプレーイオン化(ESI)法
Spray Voltage:5kV
Capillary温度:180℃
Vaporizer温度:450℃
(エステル化合物の合成)
以下の工程により、エステル化合物を合成した。
1,2−プロピレングリコール251g、無水フタル酸278g、アジピン酸91g、安息香酸610g、エステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.191gを、温度計、攪拌器、緩急冷却管を備えた2Lの四つ口フラスコに仕込み、窒素気流中230℃になるまで、攪拌しながら徐々に昇温する。15時間脱水縮合反応させ、反応終了後200℃で未反応の1,2−プロピレングリコールを減圧留去することにより、エステル化合物を得た。エステル化合物は、1,2−プロピレングリコール、無水フタル酸およびアジピン酸が縮合して形成されたポリエステル鎖の末端に安息香酸のエステルを有した。エステル化合物の酸価0.10、数平均分子量450であった。
(ドープ液の流延)
上記組成物を密閉容器に投入し、攪拌しながら溶解してドープ液を調製した。次いで、無端ベルト流延装置を用い、上記ドープ液をステンレススティールベルト支持体上に均一に流延した。ステンレススティールベルト支持体上で、流延(キャスト)したフィルム中の残留溶媒量が75%になるまで溶媒を蒸発させ、ステンレススティールベルト支持体上から剥離した。
剥離したセルロースエステルフィルムを、横延伸テンターにて幅方向に1.1倍延伸した。そのときの横延伸テンターオーブンの温度条件としては、予熱ゾーンでは160℃、延伸ゾーンでは165℃、保持ゾーンでは172℃、冷却ゾーンでは110℃に調整した。
次いで、フィルム両端部のテンタークリップ痕部をトリミングし、乾燥温度は130℃で、長尺フィルムを多数のロールを用いて乾燥ゾーン内を搬送させながら乾燥を終了させた後、巻取工程において巻回体として巻き取った。以上のようにして、乾燥膜厚75μmのロール状の長尺フィルム(長尺フィルム原反)を得た。
上記にて得られたセルロース系樹脂の長尺フィルムを、図4に示した延伸部5を用いて斜め延伸し、長尺延伸フィルムを得た。このとき、フィルムの移動速度を50m/分、予熱ゾーンZ1の温度を187℃、延伸ゾーンZ2の温度を186℃、熱固定ゾーンZ3の温度を170℃、延伸倍率を2.0倍として、厚みが52μm、トリミング処理を施した後の最終的なフィルム幅が1500mmとなるようにした以外は、上述したシクロオレフィン系フィルムの製造方法と同様の条件で長尺延伸フィルムを製造した。
本発明は、有機EL画像表示装置の外光反射防止のための円偏光板に適用される長尺斜め延伸フィルムの製造に利用可能である。
Ci 把持具
Co 把持具
Z2 延伸ゾーン(延伸工程を行うゾーン)

Claims (7)

  1. 延伸工程を行うゾーン内で、フィルムを加熱しつつ、前記フィルムの幅手方向の両端を一対の把持具で把持しながら、一方の把持具を相対的に先行させ、他方の把持具を相対的に遅延させて前記フィルムを搬送することにより、前記フィルムを幅手方向に対して斜め方向に延伸する斜め延伸フィルムの製造方法であって、
    以下の条件式を満足することを特徴とする斜め延伸フィルムの製造方法;
    |A−B|≦31(sec・℃)
    ただし、
    A=S1×T1、B=S2×T2、
    S1:延伸工程を行うゾーンにおける先行側の把持具のフィルム把持時間(sec)
    T1:延伸工程を行うゾーンにおけるフィルムの先行側端部の平均温度とTgとの差(℃)
    S2:延伸工程を行うゾーンにおける遅延側の把持具のフィルム把持時間(sec)
    T2:延伸工程を行うゾーンにおけるフィルムの遅延側端部の平均温度とTgとの値(℃)
    Tg:フィルムを構成する材料のガラス転移温度(℃)
    である。
  2. 前記延伸工程を行うゾーンでは、遅延側よりも先行側の加熱温度が高くなるように、前記フィルムを幅手方向に加熱することを特徴とする請求項1に記載の斜め延伸フィルムの製造方法。
  3. 前記延伸工程を行うゾーンでは、前記フィルムの搬送方向における前記フィルムの加熱箇所が遅延側よりも先行側で多くなるように、前記フィルムを加熱することを特徴とする請求項1または2に記載の斜め延伸フィルムの製造方法。
  4. 前記延伸工程を行うゾーンにおける遅延側の把持具のフィルム把持時間が先行側の把持具のフィルム把持時間に相対的に近づくように、前記ゾーンの入口側および出口側の少なくとも一方の隔壁であって、前記ゾーンと、温度が前記ゾーンと異なる空間とを仕切る隔壁を、前記フィルムの搬送方向に対して傾けることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の斜め延伸フィルムの製造方法。
  5. 前記延伸工程を行うゾーンでの延伸後の前記フィルムの厚さが、15〜35μmであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の斜め延伸フィルムの製造方法。
  6. 前記延伸工程を行うゾーンでは、前記フィルムの搬送方向を途中で変えることにより、前記フィルムを幅手方向に対して斜め方向に延伸することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の斜め延伸フィルムの製造方法。
  7. 前記延伸工程を行うゾーンは、前記フィルムを斜め延伸する延伸ゾーンと、該延伸ゾーンの上流側の予熱ゾーンと、該延伸ゾーンの下流側の熱固定ゾーンとが各隔壁で区切られているときの前記延伸ゾーンであることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の斜め延伸フィルムの製造方法。
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