JP6769298B2 - 斜め延伸用原反フィルム及びその製造方法、並びに斜め延伸フィルムの製造方法 - Google Patents
斜め延伸用原反フィルム及びその製造方法、並びに斜め延伸フィルムの製造方法 Download PDFInfo
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Description
前記斜め延伸用フィルムの、下記式(I)で表され、且つ波長550nmで測定される厚み方向の位相差Rtが、前記一方の端部Aから前記他方の端部Bに向かうにつれて連続的に減少する位相差勾配を有する、斜め延伸用原反フィルム。
式(I):Rt=((nx+ny)/2−nz)×t
(式(I)中、
nxは、フィルムの面内遅相軸方向の屈折率を表し、
nyは、フィルムの面内遅相軸に直交する方向の屈折率を表し、
nzは、フィルムの厚み方向の屈折率を表し、
tは、フィルムの厚み(nm)を表す。)
[2] 下記式(1)で表される厚みの平均変化率は、0.06〜2%/0.1mである、[1]に記載の斜め延伸用原反フィルム。
式(1):厚みの平均変化率(%/0.1m)={((tB−tA)/tA*100)/L}*0.1
(式(1)中、
tA:一方の端部Aの厚み(μm)を示し、
tB:他方の端部Bの厚み(μm)を示し、
L:原反フィルムの幅方向の長さ(m)を示す)
[3] 下記式(2)で表される厚み方向の位相差Rtの平均変化率は、0.005〜0.2nm/μm/0.1mである、[1]又は[2]に記載の斜め延伸用原反フィルム。
式(2):Rtの平均変化率(nm/μm/0.1m)={(RtA−RtB)/L}*0.1
(式(2)中、
RtA:一方の端部Aの単位厚み当たりの位相差Rt(nm/μm)を示し、
RtB:他方の端部Bの単位厚み当たりの位相差Rt(nm/μm)を示し、
L:原反フィルムの幅方向の長さ(m)を示す)
[4] 斜め延伸用原反フィルムの製造方法であって、1)熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物を溶融混練する工程と、2)溶融状態の前記樹脂組成物をシート状に吐出する工程と、3)吐出された前記溶融状態の樹脂組成物を冷却固化する工程とを含み、
前記2)の工程において、
前記溶融状態の樹脂組成物の吐出厚みは、前記溶融状態の樹脂組成物の幅方向の一方の端部Aから他方の端部Bに向かうにつれて連続的に厚くなっており、且つ
前記溶融状態の樹脂組成物の吐出温度は、前記一方の端部Aから前記他方の端部Bに向かうにつれて連続的に高くなっている、斜め延伸用フィルムの製造方法。
[5] 前記2)の工程は、前記溶融状態の樹脂組成物をダイスからシート状に吐出することによって行うと共に、前記ダイスのリップ間隔が、前記ダイスの幅方向の一方の端部aから他方の端部bに向かうにつれて連続的に増加しており、且つ
前記ダイス温度が、前記一方の端部aから前記他方の端部bに向かうにつれて連続的に高くなっている、[4]に記載の斜め延伸用原反フィルムの製造方法。
[6] 下記式(3)で表されるダイスのリップ間隔の平均変化率は、0.06〜2%/0.1mである、請求項5に記載の斜め延伸用原反フィルムの製造方法。
式(3):リップ間隔の平均変化率(%/0.1m)={((gb−ga)/ga*100)/L}*0.1
(式(3)中、
ga:ダイスの幅方向の一方の端部aのリップ間隔(μm)を示し、
gb:ダイスの幅方向の他方の端部bのリップ間隔(μm)を示し、
l:ダイスの幅方向の長さ(m)を示す)
[7] 下記式(4)で表されるダイス温度の平均変化率は、0.33〜3.33℃/0.1mである、[5]又は[6]に記載の斜め延伸用原反フィルムの製造方法。
式(4):ダイス温度の平均変化率(℃/0.1m)={(Tb−Ta)/l}*0.1
(式(4)中、
Ta:ダイスの幅方向の一方の端部aのダイス温度(℃)を示し、
Tb:ダイスの幅方向の他方の端部bのダイス温度(℃)を示し、
l:ダイスの幅方向の長さ(m)を示す)
[8] [1]〜[3]のいずれかに記載の斜め延伸用原反フィルムの幅方向の両端部のうち、厚みが小さい一方の端部Aを把持具Ciで把持し、厚みが大きい他方の端部Bを前記把持具Coで把持する工程と、前記把持具Coの移動距離を前記把持具Ciの移動距離よりも長くなるように前記斜め延伸用原反フィルムを搬送して、前記斜め延伸用原反フィルムを幅方向に対して斜め方向に延伸して斜め延伸フィルムを得る工程と、を含む、斜め延伸フィルムの製造方法。
また、斜め延伸では、フィルムの幅方向で延伸倍率が異なることから、機械的な収縮力も、フィルムの幅方向で異なる。従って、トタン状のツレを生じさせないためには、フィルムの位相差を高めるだけでなく;フィルムの幅方向で位相差に勾配を持たせることが必要であると考えられる。
本発明の斜め延伸用原反フィルム(以下、単に「原反フィルム」ともいう)は、フィルムの幅方向に対して直交する方向にロール状に巻き取られた原反フィルムであって、1)厚みが、フィルムの幅方向の一方の端部Aから他方の端部Bに向かうにつれて連続的に増加する厚み勾配を有し;且つ2)厚み方向の位相差Rtが、一方の端部Aから他方の端部Bに向かうにつれて連続的に減少する位相差勾配を有する。
図1に示されるように、原反フィルムは、フィルムの幅方向の一方の端部Aから他方の端部Bに向かうにつれて厚みが連続的に増加する厚み勾配を有する。連続的に増加するとは、一方の端部Aと他方の端部Bとの間で極大値又は極小値を有することなく、一方の端部Aから他方の端部Bへ向かって増加することをいう。
式(1):厚みの平均変化率(%/0.1m)={((tB−tA)/tA*100)/L}*0.1
(式(1)中、
tA:一方の端部Aの厚み(μm)を示し、
tB:他方の端部Bの厚み(μm)を示し、
L:原反フィルムの幅方向の長さ(m)を示す)
原反フィルムは、下記式(I)で表される厚み方向の位相差Rtが、フィルムの幅方向の一方の端部Aから他方の端部Bに向かうにつれて連続的に減少する位相差勾配を有する。
式(I):Rt=((nx+ny)/2−nz)×t
(式(I)中、
nxは、フィルムの面内遅相軸方向の屈折率を表し、
nyは、フィルムの面内遅相軸に直交する方向の屈折率を表し、
nzは、フィルムの厚み方向の屈折率を表し、
tは、フィルムの厚み(nm)を表す。)
式(2):Rtの平均変化率(nm/μm/0.1m)={(RtA−RtB)/L}*0.1
(式(2)中、
RtA:一方の端部Aの単位厚み当たりの位相差Rt(nm/μm)を示し、
RtB:他方の端部Bの単位厚み当たりの位相差Rt(nm/μm)を示し、
L:原反フィルムの幅方向の長さ(m)を示す)
原反フィルムの材料は、特に限定されず、種々の熱可塑性樹脂を用いることができ、その例には、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテルスルフォン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂、ポリスルフォン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、環状オフィン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、セルロースエーテル系樹脂等が含まれる。中でも、透明性や機械強度等の観点から、環状オレフィン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂が好ましい。
環状オレフィン系樹脂は、環状オレフィン由来の構造単位を含む重合体であり、環状オレフィンの開環(共)重合体、環状オレフィンの付加重合体又はそれらの水添物が含まれる。
(測定条件)
溶媒:メチレンクロライド
カラム:Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ:L6000(日立製作所(株)製)
流量:1.0ml/min
校正曲線:標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)
Mw=1000000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いることが好ましい。
セルロースエステル樹脂は、炭素数2以上の脂肪族アシル基を有するセルロースエステルであることが好ましい。
式(II) 0≦X≦2.5
ポリカーボネート系樹脂としては、化学的性質及び物性の点から、芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましく、フルオレン骨格を有するポリカーボネートや、ビスフェノールA系ポリカーボネート樹脂がより好ましく、ビスフェノールAにベンゼン環、シクロヘキサン環、脂肪族炭化水素基等を導入したものがさらに好ましい。さらに、ビスフェノールAの中央の炭素に対して、非対称に上記官能基が導入された誘導体を用いて得られたポリカーボネート樹脂が特に好ましい。
原反フィルムは、本発明の効果を損なわない範囲で、他の成分をさらに含んでいてもよい。他の成分の例には、微粒子(マット剤)や紫外線吸収剤、酸化防止剤等が含まれる。
本発明の原反フィルムは、溶融流延法によって製造されることが好ましく、機械的強度や表面精度が良好なフィルムが得られやすい点から、溶融押し出し法によって製造されることがより好ましい。
押出し機11に供給する材料は、予め乾燥させておくことが好ましい。真空又は減圧乾燥機や除湿熱風乾燥機等で水分を1000ppm以下、好ましくは200ppm以下に乾燥させる。押出し機11に材料を供給する際は、真空下又は減圧下や不活性ガス雰囲気下にして、酸化分解を防止することが好ましい。
溶融状態の樹脂組成物は、ダイス17に送られ、ダイス17のスリットからシート状に吐出される。溶融状態の樹脂組成物の吐出は、溶融状態の樹脂組成物の吐出厚みが、幅方向の一方の端部Aから他方の端部Bに向かうにつれて連続的に厚くなり、且つ溶融状態の樹脂組成物の吐出温度が、一方の端部Aから他方の端部Bに向かうにつれて連続的に高くなるように行うことが好ましい。
式(3):リップ間隔の平均変化率(%/0.1m)={((gb−ga)/ga)*100/l}*0.1
(式(3)中、
ga:ダイスの幅方向の一方の端部aのリップ間隔(μm)を示し、
gb:ダイスの幅方向の他方の端部bのリップ間隔(μm)を示し、
l:ダイスの幅方向の長さ(m)を示す)
式(4):ダイス温度の平均変化率(℃/0.1m)={(Tb−Ta)/l}*0.1
(式(4)中、
Ta:ダイスの幅方向の一方の端部aのダイス温度(℃)を示し、
Tb:ダイスの幅方向の他方の端部bのダイス温度(℃)を示し、
l:ダイスの幅方向の長さ(m)を示す)
ダイス17からシート状に吐出された溶融状態の樹脂組成物を、第1冷却ロール19とタッチロール21とでニップして冷却した後、第2冷却ロール23、第3冷却ロール25でさらに冷却固化させ、剥離ロール27で剥離して、原反フィルムを得る。
まず、斜め延伸フィルムの製造方法に用いられる、斜め延伸フィルムの製造装置の構成について説明する。
(位相差Ro及びRt)
斜め延伸フィルムが、λ/4位相差フィルムとして用いられる場合、測定波長550nm、23℃55%RHの環境下で測定される面内方向の位相差Roは、30nm≦Ro≦300nmを満たすことが好ましく、50nm≦Ro≦250nmを満たすことがより好ましい。厚み方向の位相差Rtは、−200nm≦Rt≦200nmを満たすことが好ましく、−150nm≦Rt≦150nmを満たすことがより好ましい。
式(IIa):Ro=(nx−ny)×d
式(IIb):Rt=((nx+ny)/2−nz)×d
(式中、
nxは、斜め延伸フィルムの面内遅相軸方向(屈折率が最大となる方向)の屈折率を表し、
nyは、斜め延伸フィルムの面内遅相軸に直交する方向の屈折率を表し、
nzは、斜め延伸フィルムの厚み方向の屈折率を表し、
dは、斜め延伸フィルムの厚み(nm)を表す。)
1)斜め延伸フィルムを23℃55%RHの環境下で24時間調湿する。この斜め延伸フィルムの平均屈折率をアッベ屈折計で測定し、厚みdを市販のマイクロメーターを用いて測定する。
2)調湿後の斜め延伸フィルムの、測定波長550nmにおけるリターデーションRo及びRtを、それぞれ自動複屈折率計アクソスキャン(AxoScan Mueller Matrix Polarimeter:アクソメトリックス社製)を用いて、23℃55%RHの環境下で測定する。
斜め延伸フィルムの厚みは、例えば5〜100μm、好ましくは10〜80μm、より好ましくは20〜60μmとしうる。
本発明の斜め延伸フィルムは、前述の通り、有機EL表示装置の円偏光板等に用いることができる。
図7は、有機EL表示装置の構成の一例を示す模式図である。図7に示されるように、有機EL表示装置100は、有機EL素子101と、円偏光板301と、それらの間に配置された接着層201とを有する。
(1)原反フィルムの作製
環状オレフィン樹脂(アートンR5000:JSR(株)製、ガラス転移点(Tg)=137℃)のペレットを、100℃で3時間乾燥させて、含水率100ppmとした。このペレットを、図3に示されるようなTダイを取り付けた単軸押出し機に供給して、以下の条件で溶融押出しを行った後、冷却固化して幅1.00mの原反フィルムを得た。
・単軸押出し機:スクリュー径90mm、L/D=30(L:スクリュー長、D:スクリュー径)
・ダイス:内壁にハードクロムメッキが施され、面粗度0.1Sの鏡面に仕上げられたコートハンガーダイを使用、ダイスの幅は1.5m。
ダイスのリップ間隔は、一方の端部aを990μm、他方の端部bを1050μmとして、幅方向に勾配を有するように設定した(リップ間隔の平均変化率:0.4%/0.1m)。
ダイス温度は、一方の端部Aに対して他方の端部Bを5℃高くし、幅方向で温度勾配を有するように設定した(ダイス温度の平均変化率:0.33℃/0.1m))。
・冷却ロール:材質はステンレス鋼、表面粗さは最大高さRyで0.1μm以下のものを使用。
・押圧ロール:金属外筒、内筒、空隙部を有する二重筒構造のものを使用。
金属外筒:材質はステンレス、表面粗さは最大高さRyで0.05μm以下、肉厚は3mm
内筒:材質はアルミニウム、肉厚は30mm
金属外筒と内筒との空隙部:空隙大きさは5mm、この空隙部にオイルを流し、金属外筒の表面の温度を120℃に設定。
・静電ピニング:春日電機株式会社製のエッジピニングを配置。
フィルム表面からエッジピニングまでの距離は2mmに設定。
・押出し環境:材料供給口付近より窒素ガスを封入して、押出し機内を窒素雰囲気に維持した。
・フィルムの搬送速度:30m/min
得られた原反フィルムの幅方向の一方の端部Aと他方の端部Bの厚みを、デジマチックシックネスゲージ(ミツトヨ製)を用いてそれぞれ測定した。この測定を、斜め延伸フィルムの長手方向の50m毎に3回行い、その平均値を求めた。
一方の端部Aの厚みtA(平均値)、他方の端部Bの厚みtB(平均値)、及び原反フィルムの幅方向の長さ(L)を下記式(1)に当てはめて、厚みの平均変化率(%/0.1m)を求めた。
式(1):厚みの平均変化率(%/0.1m)={((tB−tA)/tA*100)/L}*0.1
得られた原反フィルムの幅方向の一方の端部Aの位相差Rtと、他方の端部Bの位相差Rtとを、以下の方法で測定した。
具体的には、波長550nmにおける3次元の屈折率(nx、ny及びnz)を、Axometrics社製Axoscanを用いて測定した後;得られた屈折率nx及びny、nzと、測定点における原反フィルムの厚みtとを前述の式(I)に当てはめて位相差Rtを算出した。
一方の端部Aと他方の端部Bについて位相差Rtの測定を行い、長手方向の50m毎に3回行い、その平均値を求めた。そして、一方の端部Aの単位厚み当たりの位相差RtA(平均値)、他方の端部Bの単位厚み当たりの位相差RtB(平均値)及び原反フィルムの幅方向の長さ(L)を下記式(2)に当てはめて、Rtの平均変化率(nm/μm/0.1m)を求めた。
式(2):Rtの平均変化率(nm/μm/0.1m)={(RtA−RtB)/L}*0.1
得られた原反フィルムを用いて、上記の原反フィルム(ロールから巻き出された樹脂フィルム)を、図5及び6に示されるような斜め延伸フィルムの製造装置の延伸部にて、延伸温度をTg+20℃、延伸倍率を2.0倍、屈曲角度(繰出角度)θiを49°、収縮率(MD方向)を25%、配向角を45°の条件で斜め延伸した。
得られた斜め延伸フィルム1m以上を黒い下地の上に置き、トタン状のツレの有無を目視観察した。そして、以下の基準に基づいて評価した。
◎:トタン状のツレが全く見られない
○:トタン状のツレがほんの少しだけ見られる
△:トタン状のツレが若干見られるが実用上問題ないレベル
×:トタン状のツレが多く見られる
得られた斜め延伸フィルムの厚みを、デジマチックシックネスゲージ(ミツトヨ製)を用いて測定した。厚みの測定は、斜め延伸フィルム(1400mm幅)の幅方向の一方の端部Aから他方の端部Bまで、幅方向に沿って100mm間隔で合計15点行った。この測定を、斜め延伸フィルムの長手方向の50m毎に3回行い、その平均値を求めた。そして、以下の基準に基づいて、評価した。
◎:厚みバラツキが1μm未満である。
○:厚みバラツキが1μm以上3μm未満である。
△:厚みバラツキが3μm以上5μm未満である。
×:厚みバラツキが5μm以上である。
得られた斜め延伸フィルムの波長550nmにおける3次元の屈折率(nx、ny及びnz)を、Axometrics社製Axoscanを用いて測定した。得られた屈折率nx及びny、nzと、測定点における斜め延伸フィルムの厚みdとを前述の式(IIb)に当てはめて、厚み方向の位相差Rtを算出した。
位相差Rtの測定は、斜め延伸フィルム(1400mm幅)の一方の端部Aから他方の端部Bまで、幅方向に沿って100mm間隔で合計15点行った。この測定を、斜め延伸フィルムの長手方向の50m毎に3回行い、その平均値を求めた。そして、以下の基準に基づいて評価した。
◎:Rtバラツキが3nm未満である。
○:Rtバラツキが3nm以上5nm未満である。
△:Rtバラツキが5nm以上10nm未満である。
×:Rtバラツキが10nm以上である。
(偏光子の作製)
厚さ、120μmのポリビニルアルコールフィルムを、一軸延伸(温度110℃、延伸倍率5倍)した。これをヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水100gからなる水溶液に60秒間浸漬し、次いでヨウ化カリウム6g、ホウ酸7.5g、水100gからなる68℃の水溶液に浸漬した。これを水洗、乾燥し偏光子を得た。
特開2013−101229号の段落0291〜0293に記載の方法で、セルローストリアセテートフィルム(保護フィルム)を作製した。
次いで、下記工程1〜5に従って偏光子と斜め延伸フィルムと、裏面側(視認側)には上記保護フィルムを長手方向で合わせるようにロール・トゥ・ロールで貼り合わせて円偏光板1を作製した。
工程1:斜め延伸フィルムと延伸した保護フィルム1を60℃の2モル/Lの水酸化ナトリウム溶液に90秒間浸漬し、次いで水洗し乾燥して、偏光子と貼合する側を鹸化した。
工程2:偏光子を固形分2質量%のポリビニルアルコール接着剤槽中に1〜2秒浸漬した。
工程3:工程2で偏光子に付着した過剰の接着剤を軽く拭き取り、これを工程1で処理した斜め延伸フィルム上にのせて配置した。
工程4:工程3で積層した斜め延伸フィルムと偏光子と保護フィルムを圧力20〜30N/cm2、搬送スピードは約2m/分で貼合した。
工程5:80℃の乾燥機中に工程4で作製した偏光子と斜め延伸フィルムと保護フィルム1とを貼り合わせた試料を2分間乾燥し、円偏光板1を作製した。
図7に示されるように、ガラスの透明基板上に、金属電極(陽極)として、クロムからなる反射電極とITOからなる透明電極(陽極)をこの順に成膜した。この陽極上に、正孔輸送層として、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネート(PEDOT:PSS)をスパッタリング法で厚さ80nmに形成し、次いでシャドーマスクを用いて、RGBそれぞれの発光層を100nmの膜厚で形成した。赤色発光層としては、ホストとしてトリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム(Alq3)と発光性化合物[4−(dicyanomethylene)−2−methyl−6(p−dimethylaminostyryl)−4H−pyran](DCM)とを共蒸着(質量比99:1)して100nmの厚さで形成した。緑色発光層としては、ホストとしてAlq3と、発光性化合物クマリン6とを共蒸着(質量比99:1)して100nmの厚さで形成した。青色発光層としては、ホストとしてBAlqと発光性化合物Peryleneとを共蒸着(質量比90:10)して厚さ100nmで形成した。
上記作製した各有機EL表示装置を、23℃、相対湿度55%の環境下で48時間保管した後、電圧を印加せず、発光させない状態で、有機EL表示装置の最表面から5cm高い位置での照度が、500Lxとなる条件Aと、1000Lxとなる条件Bの2条件で、有機EL表示装置の画面の法線に対し40°の角度からのそれぞれの視認性を目視確認し、下記の基準に従って、常温常湿環境下での視認性を評価した。
◎:合計点数が27点以上である
○:合計点数が24点以上、26点以下である
△:合計点数が18点以上、23点以下である
×:合計点数が17点以下である
原反フィルムの製造工程において、ダイスのリップ間隔の平均変化率及びダイス温度の平均変化率を表2に示されるように変更した以外は実施例1と同様にして原反フィルムを得た。尚、比較例6は、ダイスのリップ間隔の平均変化率を、一方の端部aと他方の端部bの間で極大値を有するようにした例であり、比較例7は、ダイス温度を、一方の端部aと他方の端部bとで極大値を有するような勾配を付与したものである。
11 押出し機
13 フィルター
15 スタチックミキサー
17 ダイス
19 第1冷却ロール
21 タッチロール
23 第2冷却ロール
25 第3冷却ロール
27 剥離ロール
29 静電ピニング
30 斜め延伸フィルムの製造装置
31 フィルム繰り出し部
33 搬送方向変更部
35 ガイドロール
37 延伸部
39 ガイドロール
41 搬送方向変更部
43 フィルム巻き取り部
100 有機EL表示装置
101 有機EL素子
301 円偏光板
201 接着層
111 基板
112 金属電極
113 発光層
114 透明電極
115 封止層
311 λ/4位相差フィルム
312 偏光子
313 保護フィルム
Claims (8)
- フィルムの幅方向に対して直交する方向にロール状に巻き取られた斜め延伸用原反フィルムであって、
前記斜め延伸用フィルムの厚みが、フィルムの幅方向の一方の端部Aから他方の端部Bに向かうにつれて連続的に増加する厚み勾配を有し、且つ
前記斜め延伸用フィルムの、下記式(I)で表され、且つ波長550nmで測定される厚み方向の位相差Rtが、前記一方の端部Aから前記他方の端部Bに向かうにつれて連続的に減少する位相差勾配を有する、
斜め延伸用原反フィルム。
式(I):Rt=((nx+ny)/2−nz)×t
(式(I)中、
nxは、フィルムの面内遅相軸方向の屈折率を表し、
nyは、フィルムの面内遅相軸に直交する方向の屈折率を表し、
nzは、フィルムの厚み方向の屈折率を表し、
tは、フィルムの厚み(nm)を表す。) - 下記式(1)で表される厚みの平均変化率は、0.06〜2%/0.1mである、
請求項1に記載の斜め延伸用原反フィルム。
式(1):厚みの平均変化率(%/0.1m)={((tB−tA)/tA*100)/L}*0.1
(式(1)中、
tA:一方の端部Aの厚み(μm)を示し、
tB:他方の端部Bの厚み(μm)を示し、
L:原反フィルムの幅方向の長さ(m)を示す) - 下記式(2)で表される厚み方向の位相差Rtの平均変化率は、0.005〜0.2nm/μm/0.1mである、
請求項1又は2に記載の斜め延伸用原反フィルム。
式(2):Rtの平均変化率(nm/μm/0.1m)={(RtA−RtB)/L}*0.1
(式(2)中、
RtA:一方の端部Aの単位厚み当たりの位相差Rt(nm/μm)を示し、
RtB:他方の端部Bの単位厚み当たりの位相差Rt(nm/μm)を示し、
L:原反フィルムの幅方向の長さ(m)を示す) - 斜め延伸用原反フィルムの製造方法であって、
1)熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物を溶融混練する工程と、
2)溶融状態の前記樹脂組成物をシート状に吐出する工程と、
3)吐出された前記溶融状態の樹脂組成物を冷却固化する工程と、
を含み、
前記2)の工程において、
前記溶融状態の樹脂組成物の吐出厚みは、前記溶融状態の樹脂組成物の幅方向の一方の端部Aから他方の端部Bに向かうにつれて連続的に厚くなっており、且つ
前記溶融状態の樹脂組成物の吐出温度は、前記一方の端部Aから前記他方の端部Bに向かうにつれて連続的に高くなっている、
斜め延伸用フィルムの製造方法。 - 前記2)の工程は、前記溶融状態の樹脂組成物をダイスからシート状に吐出することによって行うと共に、
前記ダイスのリップ間隔が、前記ダイスの幅方向の一方の端部aから他方の端部bに向かうにつれて連続的に増加しており、且つ
前記ダイス温度が、前記一方の端部aから前記他方の端部bに向かうにつれて連続的に高くなっている、
請求項4に記載の斜め延伸用原反フィルムの製造方法。 - 下記式(3)で表されるダイスのリップ間隔の平均変化率は、0.06〜2%/0.1mである、
請求項5に記載の斜め延伸用原反フィルムの製造方法。
式(3):リップ間隔の平均変化率(%/0.1m)={((gb−ga)/ga*100)/l}*0.1
(式(3)中、
ga:ダイスの幅方向の一方の端部aのリップ間隔(μm)を示し、
gb:ダイスの幅方向の他方の端部bのリップ間隔(μm)を示し、
l:ダイスの幅方向の長さ(m)を示す) - 下記式(4)で表されるダイス温度の平均変化率は、0.33〜3.33℃/0.1mである、
請求項5又は6に記載の斜め延伸用原反フィルムの製造方法。
式(4):ダイス温度の平均変化率(℃/0.1m)={(Tb−Ta)/l}*0.1
(式(4)中、
Ta:ダイスの幅方向の一方の端部aのダイス温度(℃)を示し、
Tb:ダイスの幅方向の他方の端部bのダイス温度(℃)を示し、
l:ダイスの幅方向の長さ(m)を示す) - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の斜め延伸用原反フィルムの幅方向の両端部のうち、厚みが小さい一方の端部Aを把持具Ciで把持し、厚みが大きい他方の端部Bを把持具Coで把持する工程と、
前記把持具Coの移動距離を前記把持具Ciの移動距離よりも長くなるように前記斜め延伸用原反フィルムを搬送して、前記斜め延伸用原反フィルムを幅方向に対して斜め方向に延伸して斜め延伸フィルムを得る工程と、
を含む、
斜め延伸フィルムの製造方法。
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