JPWO2013146932A1 - 新規ベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩 - Google Patents

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Abstract

紫外線吸収作用(特にUVA吸収作用)に優れるとともに、親水性に優れた新規化合物を提供する。本発明のベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩は、下記の特定の構造式(I)で表わされるベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩であることを特徴とする。【化1】(構造式(I)中、nは1〜5の整数であり、A1は、O、S、またはN−A4であり、A2、A3およびA4は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキル基等である(ただし、少なくともA2、A3およびA4のいずれかに1つ以上のヒドロキシル基を含むものとする)。また、nが2〜5の整数である場合、複数存在するA3O−は、同一でも異なっていてもよい。)

Description

本発明は、新規なベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩に関する。
紫外線は、ビタミンDの生合成に必須であり、生体の血行や新陳代謝を促進するためや、また殺菌・消毒のためにも使用される。その一方で、皮膚が過剰に紫外線に曝されると、皮膚ガンが発生する原因となったり、皮膚の老化を促進してシミ、そばかすやしわなどの原因となったりする。さらに、ポリエチレン、ポリプロピレン、PVC、ABS樹脂などの種々の合成樹脂または塗料が、過剰に紫外線に曝されると、これらの合成樹脂や塗料の劣化の原因となる。このように、過剰な紫外線への曝露は、悪影響を招来する。
そのため、このような悪影響を防ぐために、種々の紫外線吸収剤が開発され、広く利用されている。
なお、一般に「紫外線(UV)」と呼ばれている近紫外線は、その波長に基づいて、UVA(波長315〜400nm)、UVB(波長280〜315nm)およびUVC(波長200〜280nm)に大別される。なお、UVCは、太陽光由来のUVであるが、地上に達するまでに、オゾン層等において、著しく吸収されるため、通常はオゾン層等を通過して、地上に達することができない。
皮膚がんの発生、皮膚の老化、合成樹脂や塗料の劣化の原因となるのは、主にUVAおよびUVBである。
したがって、紫外線吸収剤は、主にUVAまたはUVBを吸収することを目的として開発されている。
従来開発されている紫外線吸収剤に含まれる紫外線吸収性物質としては、イソオクチルp−メトキシシンナメート、イソアミルp−メトキシシンナメート、フェニルベンズイミダゾールNaスルホネート、3−(4’−メチルベンジリデン)−カンファー、4−t−ブチル−メトキシ−ジベンゾイルメタン及び4−イソプロピル−ジベンゾイルメタンなどが知られている。これらの化合物はすべて芳香環を有している。この芳香環内で共役している電子は、共役していない電子よりも、小さなエネルギーで励起することができるため、紫外線を吸収することができる。さらに、共役系が拡張すると、共役系の電子は、より小さなエネルギーで励起できるようになり、長波長側の紫外線、さらには可視光線等を吸収できるようになる。
また、実用に供することのできるUVB吸収性化合物は数多く開発されている。このようなUVB吸収性化合物としては、たとえば前記のイソオクチルp−メトキシシンナメート、イソアミルp−メトキシシンナメート、フェニルベンズイミダゾールNaスルホネート及び3−(4’−メチルベンジリデン)−カンファーが知られている。
一方で、従来のUVA吸収性化合物の多くは、UVAを吸収し、UVAの光エネルギーが熱エネルギーに変換されて放出する過程において、分解してしまう。つまり、従来のUVA吸収性化合物は、光安定性に問題があり、依然として、このような問題を解決した化合物は、ほとんど開発されていないのが現状である。
現在開発されているUVA吸収性化合物として、たとえば、特許文献4〜5には、ヒダントイン誘導体が開示されている。
ところで、日焼け止め組成物のような皮膚外用組成物が、海水浴等、適用箇所が水に接触するような状況下で使用される場合、適用箇所が水に接触しても、皮膚外用組成物が適用箇所に留まる特性が求められている。そのため、このような組成物に含まれるUVA吸収性化合物は、高い油溶性を有することが好ましい。
一方で、近年、紫外線による皮膚の被害等が明らかになるにつれ、日焼け止め組成物等の皮膚外用組成物が、日常生活でも(すなわち、必ずしも適用箇所が水に接触するような状況下でなくても)、使用されるようになってきた。このような使用態様においては、使用時においてはべたつきや皮膜感、白残り等がなく、また使用後に適用箇所から容易に組成物を洗い流せること(優れた洗浄性)が要求されるために、組成物に含まれるUVA吸収性化合物にも、高い親水性が求められている。
このような皮膚外用組成物に使用するには、特許文献1〜2に開示のヒダントイン誘導体は、親水性に乏しく、かかる誘導体を含む皮膚外用組成物でこれら機能を両立させることは困難であった。
このように、従来のアゾリジン誘導体には、高い紫外線(特にUVA)の吸収性とともに、優れた親水性を発揮することができないという点で、改善の余地があった。
特開平02−111760号公報 特許3497246号公報
本発明は、紫外線吸収作用(特にUVA吸収作用)および親水性に優れた新規化合物を提供することを目的としている。
本発明者は、鋭意検討の結果、既存のベンジリデンアゾリジン誘導体において、特定の官能基を有する場合、紫外線吸収作用(特にUVA吸収作用)に優れるとともに親水性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
本発明に係るベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩は、下記構造式(I)で表わされることを特徴とする、ベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩である。
Figure 2013146932

(構造式(I)中、nは1〜5の整数であり、Aは、O、S、またはN−Aであり、A、AおよびAは、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキル基、下記構造式(1)で表わされる官能基(1)、下記構造式(2)で表わされる官能基(2)、または下記構造式(3)で表わされる官能基(3)である(ただし、少なくともA、AおよびAのいずれかに1つ以上のヒドロキシル基を含むものとする)。また、nが2〜5の整数である場合、複数存在するAO−は、同一でも異なっていてもよい。)
Figure 2013146932

(構造式(1)中、Xは、炭素数2〜4のアルキレン基であり、Rは、炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基であり、mは、1〜4の整数である。mが2〜4の整数である場合、複数存在するXは、同一でも異なっていてもよい。)
Figure 2013146932

(構造式(2)中、Xは、炭素数2〜4のアルキレン基であり、Rは炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基であり、pは1または2であり、qは、0〜4の整数であり、qが2〜4の整数である場合、複数存在するX1は、同一でも異なっていてもよい。)
Figure 2013146932

(構造式(3)中、X3aおよびX3bは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数2〜4のアルキレン基であり、R3aおよびR3bは、それぞれ独立に炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基であり、rは1または2であり、sおよびtは、それぞれ独立に0〜4の整数である。sが2〜4の整数である場合、複数存在するX3aは、同一でも異なっていてもよいし、tが2〜4の整数である場合、複数存在するX3bは、同一でも異なっていてもよい。)
本発明のベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩において、前記構造式(I)中、A、AおよびAのうち、少なくとも1つは、前記官能基(1)、前記官能基(2)、または前記官能基(3)であることが好ましい。
本発明のベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩において、前記構造式(I)中、Aおよび/またはAが、水素原子、ヒドロキシル基で置換された炭素数1〜8のアルキル基、前記官能基(1)、前記官能基(2)、または前記官能基(3)であることが好ましい。
本発明のベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩において、上記構造式(I)が、下記構造式(II)で表わされるベンジリデンヒダントイン誘導体またはその塩であることが好ましい。
Figure 2013146932

(上記構造式(II)中、n´は、0〜4の整数であり、n´が1〜4の整数である場合、複数存在するA−O−は、同一でも異なっていてもよい。)
本発明のベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩において、下記構造式(III)で表わされるベンジリデンヒダントイン誘導体またはその塩であることが好ましい。
Figure 2013146932
本発明の紫外線吸収剤は、本発明のベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩を含むことを特徴とする。
本発明の皮膚外用組成物は、本発明のベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩を含むことを特徴とする。
本発明のベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩は、優れた紫外線吸収作用(特にUVA吸収作用)とともに、優れた親水性を発揮することができる。
以下、本発明に係るベンジリデンアゾリジン誘導体およびその塩と、本発明に係る紫外線吸収剤および皮膚外用組成物とについて説明する。
[ベンジリデンアゾリジン誘導体およびその塩]
本発明のベンジリデンアゾリジン誘導体は、下記構造式(I)で表わされる。
Figure 2013146932
なお、上記構造式(I)中、下記構造式(i)で表わされる部分および下記構造式(ii)で表わされる部分を、それぞれ、「ベンゼン環部分(i)」および「アゾリジン部分(ii)」と称する。
Figure 2013146932
上記構造式(I)に示されるように、アゾリジン部分(ii)には、「N−A」が、さらにはAが「N−A」である場合、「N−A」が含まれている。「N−A」や「N−A」の窒素原子は、塩基性の窒素原子であり、このN原子に、無機酸や有機酸が付加して、酸付加塩が形成され得る。ここで、無機酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、燐酸、臭化水素酸等が挙げられる。また、有機酸としては、酢酸、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、メタンスルホン酸、およびパラトルエンスルホン酸等が挙げられる。
また、本発明のベンジリデンアゾリジン誘導体の塩は、本発明のベンジリデンアゾリジン誘導体に比べて、親水性が向上したり、固形になりやすいために取り扱いが容易になったりするなどの点で好ましい。
上記構造式(I)、および上記構造式(I)を除く本明細書中の構造式において、「n」、「A」および「A」、「A」は、以下のように規定される。
(1)「n」
nは、1〜5の整数であり、高い比吸光度(質量あたりの紫外線の吸光度)を発揮して、高いUV吸収性を示すという観点からは、好ましくは、1〜3の整数であり、より好ましくは1である。
(2)「A
は、O、S、またはN−Aであり、UVAおよびUVAに近接した波長領域の光を有効に吸収できるという観点からは、好ましくは、N−Aである。
(3)「A」、「A」および「A
、AおよびAは、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキル基、下記構造式(1)で表わされる官能基(官能基(1))、下記構造式(2)で表わされる官能基(官能基(2))、または下記構造式(3)で表わされる官能基(官能基(3))である。
また、UV吸収性を向上できる点では、A、AおよびAのうち、少なくとも1つは、前記官能基(1)、前記官能基(2)、または前記官能基(3)であることが好ましく、A、AおよびAのうち、少なくとも2つは、前記官能基(1)、前記官能基(2)、または前記官能基(3)であることが好ましい。
Figure 2013146932

(構造式(1)中、Xは、炭素数2〜4のアルキレン基であり、Rは、炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基であり、mは、1〜4の整数である。mが2〜4の整数である場合、複数存在するXは、同一でも異なっていてもよい。)
Figure 2013146932

(構造式(2)中、Xは、炭素数2〜4のアルキレン基であり、Rは炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基であり、pは1または2であり、qは、0〜4の整数であり、qが2〜4の整数である場合、複数存在するXは、同一でも異なっていてもよい。)
Figure 2013146932

(構造式(3)中、X3aおよびX3bは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数2〜4のアルキレン基であり、R3aおよびR3bは、それぞれ独立に炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基であり、rは1または2であり、sおよびtは、それぞれ独立に0〜4の整数である。sが2〜4の整数である場合、複数存在するX3aは、同一でも異なっていてもよいし、tが2〜4の整数である場合、複数存在するX3bは、同一でも異なっていてもよい。)
なお、nが2〜5の整数である場合、複数存在するAO−は、同一でも異なっていてもよい。
また、高い水溶性を発揮できるという観点からは、A、Aおよび「A−O−」のうち、少なくとも1つは、ヒドロキシル基を有する官能基であることが好ましい。
(3―1)「ヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキル基」
「ヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキル基」は、炭素数1〜8のアルキル基である限り、直鎖状であっても分岐状であってもよく、ヒドロキシル基で置換されているもの(ヒドロキシアルキル基)であっても、ヒドロキシル基で置換されていないアルキル基であってもよい。その中でも、UV吸収性および水溶親水性が向上するという観点からは、直鎖状または分岐状の、炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基であることが好ましい。
また、上記アルキル基の炭素数は、高い比吸光度(質量あたりの紫外線の吸光度)を発揮できるという観点からは、1〜8であることが好ましく、1〜4であることがより好ましい。
(3―2)「官能基(1)」
官能基(1)は、上記構造式(1)で表わされる官能基である。ここで、Xは、炭素数2〜4のアルキレン基であり、該アルキレン基は、直鎖であっても、分岐していてもよい。Xは、高い比吸光度(質量あたりの紫外線の吸光度)を発揮できるという観点からは、アルキレン基の炭素数は、1〜2であること(たとえば、アルキレン基がメチレン基(―CH―)またはエチレン基(―CHCH―))が好ましい。
は、炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基(少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されたアルキル基)であり、高い比吸光度(質量あたりの紫外線の吸光度)を発揮できかつ汎用な試薬原料より製造し得るという観点からは、炭素数2のヒドロキシアルキル基であることが好ましく、ヒドロキシエチル基(―CHCHOH)であることがより好ましい。
mは、1〜4の整数であり、高い比吸光度(質量あたりの紫外線の吸光度)を発揮できかつ汎用な試薬原料より製造し得るという観点からは、1〜2の整数であることが好ましく、1であることがより好ましい。
なお、mは2〜4の整数である場合、複数存在するXは、同一であっても、異なっていてもよい。この場合、高い比吸光度(質量あたりの紫外線の吸光度)を発揮できかつ汎用な試薬原料より製造し得るという観点からは、複数存在するXは、メチレン基(―CH―)またはエチレン基(―CHCH―)であることが好ましい。
(3―3)「官能基(2)」
官能基(2)は、上記構造式(2)で表わされる官能基である。ここで、Xは、炭素数2〜4のアルキレン基であり、該アルキレン基は、直鎖であっても、分岐していてもよい。Xは、高い比吸光度(質量あたりの紫外線の吸光度)を発揮できかつ汎用な試薬原料より製造し得るという観点からは、アルキレン基の炭素数は、1〜2であること(たとえば、アルキレン基がメチレン基(―CH―)またはエチレン基(―CHCH―))であることが好ましい。
は、炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基(少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されたアルキル基)であり、高い比吸光度(質量あたりの紫外線の吸光度)を発揮できかつ汎用な試薬原料より製造し得るという観点からは、炭素数2のヒドロキシアルキル基であることが好ましく、ヒドロキシエチル基(―CHCHOH)であることがより好ましい。
pは、1または2であり、高い比吸光度(質量あたりの紫外線の吸光度)を発揮できるという観点からは、1であることが好ましい。
qは、0〜4の整数であり、高い比吸光度(質量あたりの紫外線の吸光度)を発揮できかつ汎用な試薬原料より製造し得るという観点からは、1〜2の整数であることが好ましく、1であることがより好ましい。
なお、qは2〜4の整数である場合、複数存在するXは、同一であっても、異なっていてもよい。この場合、高い比吸光度(質量あたりの紫外線の吸光度)を発揮できかつ汎用な試薬原料より製造し得るという観点からは、複数存在するXは、メチレン基(―CH―)またはエチレン基(―CHCH―)であることが好ましい。
(3―4)「官能基(3)」
官能基(3)は、上記構造式(3)で表わされる官能基である。ここで、X3aおよびX3bは、それぞれ独立に、2〜4のアルキレン基であり、該アルキレン基は、直鎖であっても、分岐していてもよい。高い比吸光度(質量あたりの紫外線の吸光度)を発揮できるという観点からは、X3aおよびX3bは、それぞれ独立に、炭素数2〜4のアルキレン基(たとえば、アルキレン基がメチレン基(―CH―)またはエチレン基(―CHCH―)であることが好ましい。
3aおよびR3bは、それぞれ独立に、炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基(少なくともヒドロキシル基で置換されたアルキル基)であり、高い比吸光度(質量あたりの紫外線の吸光度)を発揮できかつ汎用な試薬原料より製造し得るという観点からは、炭素数2のヒドロキシアルキル基であることが好ましく、ヒドロキシエチル基(―CHCHOH)であることがより好ましい。
rは、1または2であり、高い比吸光度(質量あたりの紫外線の吸光度)を発揮できるという観点からは、1であることが好ましい。
sおよびtは、それぞれ独立に、0〜4の整数であり、高い比吸光度(質量あたりの紫外線の吸光度)を発揮できかつ汎用な試薬原料より製造し得るという観点からは、1〜2の整数であることが好ましく、1であることがより好ましい。
なお、sが2〜4の整数である場合、複数存在するX3aは、同一でも異なっていてもよいし、tが2〜4の整数である場合、複数存在するX3bは、同一でも異なっていてもよい。この場合、高い比吸光度(質量あたりの紫外線の吸光度)を発揮できかつ汎用な試薬原料より製造し得るという観点からは、複数存在するX3aおよびX3bは、メチレン基(―CH―)またはエチレン基(―CHCH―)であることが好ましい。
(3―5)「A
親水性をより向上できるという観点からは、Aは、水素原子、ヒドロキシル基で置換された炭素数1〜8のヒドロキシルアルキル基、官能基(1)、官能基(2)または官能基(3)であることが好ましく、ヒドロキシル基で置換された炭素数1〜8のヒドロキシルアルキル基、官能基(1)、官能基(2)または官能基(3)であることがより好ましく、官能基(1)または官能基(3)であることがさらに好ましい。
(3―6)「A
上述のように、Aは、水素原子、ヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキル基、官能基(1)〜(3)のいずれかであるために、ベンゼン環部分(i)に結合している「A−O−」は、電子供与性の基である。そのために、上記構造式(I)で表わされる本発明のベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩に、UVが照射された場合、共鳴効果によって「A−O―」からベンゼン環に電子が供与され、ベンゼン環の共役系が有効に拡張する。そのため、本発明のベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩は、長波長の紫外線(たとえば、UVA)のUV吸収性が良好である。
UV吸収性をより向上できるという観点からは、Aは、水素原子、炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基、官能基(1)、官能基(2)または官能基(3)であることが好ましく、官能基(1)または官能基(3)であることがより好ましい。
さらに、よりUV吸収性を向上できるという観点からは、「A―O―」は、「アゾリジン部分(ii)」に対して、ベンゼン環部分(i)のパラ位に結合していることが好ましい。このようなベンジリデンアゾリジン誘導体は、下記構造式(II)で表わされる。
Figure 2013146932

(上記構造式(II)中、n´は、0〜4の整数であり、n´が1〜4の整数である場合、複数存在するA−O−は、同一でも異なっていてもよい。Aは、水素原子、炭素数1〜8の、ヒドロキシル基で置換されているアルキル基、官能基(1)、官能基(2)、または官能基(3)である。)
ここで、よりUV吸収性と親水性とを向上できるという観点から、上記構造式(II)中のn´は、0であり、かつAはN−Aであること、すなわち、本発明のベンジリデンアゾリジン誘導体下記化学構造式(III)で表わされることが好ましい。
Figure 2013146932
また、合成しやすさ(合成工程の短縮化)を考慮すると、AとAとは同一の官能基であることがより好ましい。
(3―7)「A
は、よりUV吸収性と親水性を向上できるという観点からは、水素原子または官能基(3)であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
(4)分子量
高い吸光度と高い安全性とをバランスよく発揮できるという観点からは、本発明のベンジリデンヒダントイン誘導体の分子量は、通常250〜1000であり、好ましくは300〜500である。なお、上記分子量は、皮膚を透過して体内に吸収されて刺激性や毒性を示すといった悪影響を及ぼすリスクを低減するためには、300以上であることが好ましい。
[紫外線吸収剤]
本発明の紫外線吸収剤は、上述した、本発明のベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩を必須成分として含む。そのため、本発明の紫外線吸収剤は、紫外線の吸収能力および光安定性に優れるとともに、高い親水性を有しているために、特に、水系組成物(水系溶液やエマルション)に好適に用いられる。なお、本発明の紫外線吸収剤は、ベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩の他に、必要に応じて後述するような任意成分を含んでいてもよい。
任意成分としては、ベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩とは異なる他の公知の有機系紫外線吸収剤(a)や無機粉体系紫外線遮蔽剤(b)が挙げられる。
有機系紫外線吸収剤(a)としては、たとえば、
イソオクチルp−ジメチルアミノ安息香酸などの安息香酸誘導体、
3−(4’−メチルベンジリデン)−カンファーなどのカンファー誘導体、
イソオクチルp−メトキシシンナメートなどのケイ皮酸誘導体、
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン誘導体、
4−t−ブチル−メトキシ−ジベンゾイルメタンなどのジベンゾイルメタン誘導体、
サリチル酸オクチルなどのサリチル酸誘導体、
フェニルベンズイミダゾールNaスルホネートなどのベンズイミダゾール誘導体、
2,2’−メチレンビス(6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールなどのトリアゾール誘導体、および
2,4,6−トリス[4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]−1,3,5−トリアジンなどのトリアジン誘導体、
が挙げられる。
また、無機粉体系紫外線遮蔽剤(b)としては、たとえば、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウムまたは酸化チタンなどが挙げられる。
[皮膚外用組成物]
本発明の皮膚外用組成物は、以上説明した本発明のベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩を必須成分として含む。皮膚外用組成物としては、化粧料、日焼け止め組成物などが挙げられる。特に好適には、水系皮膚外用組成物(水溶液型またはエマルション型の皮膚外用組成物)が挙げられる。
本発明の皮膚外用組成物は、本発明のベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩を必須成分として含むために、高い紫外線吸収性を発揮できる。そのため、ヒト及び動物の毛及び皮膚の適用箇所において、UV曝露に起因する損傷を低減することができる。また、本発明の皮膚外用組成物(特に、水系皮膚外用組成物)に含まれるベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩は、高い親水性を有する。そのため、本発明の皮膚外用組成物は、組成物の適用箇所を洗浄する際に、適用箇所からベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩を、特殊な洗浄剤を用いなくても水洗で容易に除去できるといった、高い洗浄性を発揮することができる。
なお、水系皮膚外用組成物とは、化粧水等、水を、たとえば、組成物100重量%あたり、30〜99重量%の量で含む皮膚外用組成物を指す。
本発明のベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩は、スルホン酸基などのような酸性基、または塩基性基を基本的に有していない場合、皮膚外用組成物のpHにあまり影響を与えないため、本発明の皮膚外用組成物は、特に制限なく公知の成分を含む事が出来る。
このように、本発明の皮膚外用組成物は、日常生活で使用され、良好な洗浄性が求められているような現在のニーズにかなった日焼け止め組成物等として使用することができる。
なお、本発明の皮膚外用組成物には、たとえば、上述の有機系紫外線吸収剤(a)や無機粉体系紫外線遮蔽剤(b)、液体油脂、固体油脂、ロウ、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル類、シリコーン類、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、保湿剤、水溶性高分子化合物、増粘剤、被膜剤、金属イオン封鎖剤、低級アルコール、多価アルコール、糖類、アミノ酸類、有機アミン類、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン類、酸化防止剤、香料、粉末、色材または水等を配合することができる。
[塗料等]
本発明のベンジリデンヒダントイン誘導体またはその塩は、皮膚外用組成物以外の製品、例えば、塗料、染料、顔料、各種樹脂、合成ゴム、ラテックス、包装材料(フィルム、合成樹脂製容器等)、コンタクトレンズまたは繊維等に配合して各種の組成物または製品として、これら塗料等を紫外線から防御することも可能である。
前記塗料は通常、顔料または染料などからなる色料と、合成樹脂を溶剤に溶解したビヒクルおよび助剤(乾燥調整剤、皮膜調整剤など)とから構成されている。前記合成樹脂としては、例えば、塩化ビニル、塩素化ポリプロピレン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ニトロセルロース、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、オルガノシロキサン重合体、アクリル樹脂、アミノアルキッド樹脂、エポキシ樹脂、シリカ樹脂、フッ素樹脂系ポリカーボネート樹脂、メラミン樹脂、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂およびポリスチレン樹脂が挙げられる。
その他、前記塗料には、オリゴマー(プレポリマー、光重合性低重合体)、モノマー(反応性希釈剤、光重合性単量体)、光重合開始剤(増感剤)、光安定剤、消泡剤、顔料分散剤、レベリング剤、たれ防止剤、艶消し剤、酸化防止剤、耐熱性向上剤、スリップ剤、防腐剤または蛍光増白剤などの添加剤を添加することができる。
上記染料としては、従来公知の種々の染料を使用することができる。また当該染料には、上述の有機系紫外線吸収剤(a)や無機粉体系紫外線遮蔽剤(b)、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウムまたは水酸化ナトリウム等のアルカリ、水、有機溶剤、界面活性剤、pH調節剤、防腐剤または分散剤などの添加剤を添加することができる。
上記顔料としては、従来公知の種々の顔料を使用することができる。また、当該顔料には、水、有機溶剤、pH調節剤、水溶性樹脂、樹脂エマルジョン、防腐剤または顔料分散剤などの添加剤を添加することができる。
上記各種樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、塩化ビニル樹脂、スチレン系樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール、オルガノシロキサン重合体、アミノアルキッド樹脂、エポキシ樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート樹脂、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体又はそのアイオノマー、ポリビニルアルコール、ポリエーテルイミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、セルロース、ニトロセルロースおよびABS樹脂が挙げられる。
これらの樹脂には、マレイン酸等の種々の官能基を有する重合性化合物がグラフト重合されていてもよい。
さらに、これら各種樹脂には、上述の有機系紫外線吸収剤(a)や無機粉体系紫外線遮蔽剤(b)、溶剤、光安定剤、酸化防止剤、着色剤、光拡散剤、難燃剤、変色防止剤、帯電防止剤、可塑剤、フィラー、顔料または無機微粒子などの添加剤を添加することができる。
上記合成ゴムとしては、例えば、アクリルゴム、ニトリルゴム、イソプレンゴム、ウレタンゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴムおよびポリイソブチレンゴムを挙げることができる。
また、当該合成ゴムには、上述の有機系紫外線吸収剤(a)や無機粉体系紫外線遮蔽剤(b)、溶剤、光安定剤、酸化防止剤、着色剤、光拡散剤、難燃剤、変色防止剤、帯電防止剤、可塑剤、フィラー、顔料または無機微粒子などの添加剤を添加することができる。
上記ラテックスを構成する樹脂材料としては、以上説明した各種樹脂において、ラテックスを形成しうるものが挙げられる。また、当該ラテックスには、上述の有機系紫外線吸収剤(a)や無機粉体系紫外線遮蔽剤(b)、界面活性剤、pH調節剤、充填剤、錯生成剤、酸化防止剤、染料、顔料、可塑剤、加硫剤、加硫促進剤、殺生剤、殺真菌剤または消泡剤等の添加剤を添加することができる。
上記フィルムの構成材料としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、塩化ビニル樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリイミド、ポリカーボネート、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂およびABS樹脂が挙げられる。
フィルムは、前記のフィルム構成材料である各種樹脂を押出成形等することによって得られる。なお、フィルムには種々の印刷がなされていてもよい。
また、当該フィルムには、上述の有機系紫外線吸収剤(a)や無機粉体系紫外線遮蔽剤(b)、耐候性向上剤、光安定剤、充填剤、顔料、難燃剤、抗菌剤、防カビ剤またはブロッキング防止剤等の添加剤を添加することができる。
上記合成樹脂製容器を構成する合成樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、フッ素含有樹脂およびシリコーン樹脂が挙げられる。
また、当該合成樹脂には、上述の有機系紫外線吸収剤(a)や無機粉体系紫外線遮蔽剤(b)、光安定剤、防腐剤、難燃剤または酸化防止剤などの添加剤を添加することができる。
このような合成樹脂からなる容器は、本発明のベンジリデンヒダントイン誘導体またはその塩、さらに必要に応じて前記の添加剤を含有する合成樹脂を射出成形またはブロー成形等することにより得られる。このようにして得られる合成樹脂製容器には種々の印刷がなされていてもよい。
上記コンタクトレンズの構成材料としては、例えば、シロキサン含有重合体、シリコーン系(メタ)アクリレート樹脂およびシリコーン系スチレン樹脂が挙げられる。また、当該コンタクトレンズには、上述の有機系紫外線吸収剤(a)や無機粉体系紫外線遮蔽剤(b)、アルコールまたは色素等の添加剤を添加することができる。
上記繊維を構成する樹脂または高分子としては、例えば、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエステル、セルロース、ポリウレタンおよびポリエーテルが挙げられる。
また、当該繊維には、本発明のアミノフェノール誘導体およびその塩以外の有機系紫外線吸収剤、顔料、酸化防止剤、耐熱安定剤、可塑剤、難燃剤または導電性付与剤等の添加剤を添加することができる。
また、本発明の紫外線吸収剤に対しては、マイクロカプセル化などの化学的修飾を行い、各種加工原料とすることも可能である。
[ベンジリデンアゾリジン誘導体およびその塩の製造方法]
たとえば、化学反応式(1)に示されるように、下記式(a)で表される化合物(a)と、下記式(b)で表される化合物(b)を、塩基の存在下で反応させて、下記式(c)で表される化合物(c)を合成し、次いで、化学反応式(2)に示されるように、下記式(c)で表される化合物を、下記式(d)で表される化合物(d)を、塩基の存在下に反応させることにより、本発明のベンジリデンアゾリジン誘導体を合成することができる。
Figure 2013146932

Figure 2013146932
ここで、上記化合物(b)として、市販品をそのまま用いることもできる。また、Aとして水素原子を除く官能基を有する化合物(b)は、下記構造式(b´)で表わされる、Aとして水素原子を有する化合物(b´)と、下記構造式(e)で表わされる化合物(e)と、塩基の存在下で、反応式(3)で示されるように、反応させることによって得られたものを用いることができる。
Figure 2013146932

Figure 2013146932
また、上記化合物(a)として、市販品をそのまま用いることもできる。
また、下記反応式(5)で示されるように、上記化合物(a)と上記化合物(d)とを、塩基の存在下で反応させて、下記構造式(f)で表される化合物(f)を合成できる。ここで、上記化合物(a)のAが「NH」である場合、反応式(5´)で示されるように、化合物(f)と下記構造式(e´)とを、塩基の存在下で反応させて、Aが「A」である化合物(f)を合成できる。次いで、下記反応式(6)で示されるように、化合物(f)と上記化合物(b)とを、塩基の存在下で、反応させて、本発明のベンジリデンアゾリジン誘導体を合成することもできる。
Figure 2013146932

Figure 2013146932

Figure 2013146932

Figure 2013146932

Figure 2013146932
また、本発明のベンジリデンアゾリジン誘導体が、構造式(I)のA、AおよびAとして、官能基(2)または官能基(3)を有する場合、それぞれ、前記化合物(d)、前記化合物(e)、前記化合物(e´)の代わりに、下記構造式(g)で表される化合物(g)を用いることを除いては、反応式(1)〜(6)と同様にして、構造式(I)中、A、AまたはAとして、下記構造式(h)で表される官能基(h)を有する化合物(h)を合成し、次いで、前記化合物(h)一般的な官能基変換反応(カルボン酸のエステル化、カルボン酸のアミド化、エステル交換、エステルのアミド化など)により、本発明のベンジリデンアゾリジン誘導体に導くこともできる。
Figure 2013146932
上述したような、本発明のベンジリデンアゾリジン誘導体の製造法で用いる塩基としては、たとえば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水素化ナトリウム、ピロリジン、ピペリジン、酢酸ナトリウム、アンモニア水が挙げられる。
また、本発明のベンジリデンアゾリジン誘導体の塩は、上述のようにして得られたベンジリデンアゾリジン誘導体に塩酸、硫酸、硝酸、燐酸、臭化水素酸等の無機酸、または、酢酸、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸を加えて中和、留去、精製することで導くことが可能である。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(1)化合物1の製造
300mLナス型フラスコ中で、4−ヒドロキシベンズアルデヒド14.7g(120mmol)に、2−(2−クロロエトキシ)エタノール16.4g(132mmol)、炭酸カリウム33.2g(240mmol)、アセトニトリル150mLを加えて、105℃で14時間撹拌しながら加熱した。さらに、2−(2−クロロエトキシ)エタノール1.49g(12.0mmol)を加えて、105℃で30時間撹拌しながら加熱した。反応混合液が室温まで冷えた後、セライト濾過によって固形物を除去した。溶剤を減圧下にて留去し、白い固形物の混ざった黄色粘性物質を34.6g得た。これに水を80mL加えて、別に用意した200mLナス型フラスコ中に移し替え、ヒダントイン15.6g(156mmol)、28%アンモニア水14.4gを加えて、90℃で12時間撹拌しながら加熱した。反応混合液が室温まで冷えた後、濾過によって析出した結晶を回収した。その後、水で2回、エタノールで2回、結晶の洗浄を行った。乾燥後、5−[4−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]ベンジリデン]ヒダントインを29.6g得た。続いて、得られたうちの17.5g(60.0mmol)に、200mLナス型フラスコ中で、2−(2−クロロエトキシ)エタノール7.47g(60mmol)、炭酸カリウム20.0g(145mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド80mLを加えて、110℃で3時間撹拌しながら加熱した。反応混合液が室温まで冷えた後、セライト濾過によって固形物を除去した。溶剤を減圧下にて留去し、白い固形物の混ざった黄色粘性物質を30.5g得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;イソプロパノール:トルエン=1:3)によって精製し、黄色の結晶を9.21g得た。これをエタノールで活性炭処理し、再結晶させることで、化合物1を6.56g得た(収率;25%)。
Figure 2013146932

5−[4−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]ベンジリデン]−3−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]ヒダントイン
なお、得られた化合物1の上記構造式は、以下の測定条件に基づくH−NMRスペクトルから確認された。
<測定条件>
・測定装置:プロトン核磁気共鳴スペクトル測定装置(日本電子(株)製JNM−ECP500)
・内部標準:テトラメチルシラン
・溶媒:DMSO―d6(ヘキサジュウテロジメチルスルホキシド)
DMSO―d6(標準物質)に対する、化合物1の主な化学シフトピークは、以下のとおりである。
3.41−3.46(m,4H),3.48−3.53(m,4H),3.60(m,2H),3.64(m,2H),3.75(t,2H),4.15(t,2H),4.61(t,1H),4.67(t,1H),6.52(s,1H),6.99(d,2H),7.62(d,2H),10.71(s,1H)
(2)化合物1の特性評価
<UV吸収性>
得られた化合物1を、化合物1の濃度が5ppmになるように、溶媒としてのエタノールに溶解して、試料液を調製した。調製された試料液を、石英セル(光路長:1cm)に注入し、分光光度計を用いて((株)島津製作所製UV−2450)を用いて、UVスペクトルを測定して、最大吸収波長(λmax)および最大吸収波長における吸光度を測定した。なお、最大吸収波長が紫外線の波長範囲にあって、かつ最大吸収波長の吸光度が大きいほど、UV吸収性に優れていることを示す。得られた結果を表1に示す。
<親水性評価>
得られた化合物1を、以下に示す試験溶媒に溶解させ、性状確認を行うとともに、試験溶媒100g対する25℃における溶解度(g/100g試験溶媒)を測定した。
・試験溶媒:ジプロピレングリコール、エタノール、および精製水を、それぞれ10質量%、10質量%および80質量%の量で含む混合溶媒(ただし、ジプロピレングリコール、エタノール、および精製水の合計量を100質量%とする。)
なお、溶解度の違いによって以下のように親水性評価を行った。
・1.0以上(g/100g試験溶媒)の場合:親水性が特に高い
・0.2以上〜1.0未満(g/100g試験溶媒)の場合:親水性が高い
・0.1以上〜0.2未満(g/100g試験溶媒)の場合:親水性が乏しい
・0.1未満(g/100g試験溶媒)の場合、固体浮遊物のある場合:親水性がない
[実施例2]
「2−(2−クロロエトキシ)エタノール」の代わりに、「2−[2−(2−クロロエトキシ)エトキシ]エタノール」を用いたことを除いては、実施例1と同様にして、まず、5−[4−[2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]ベンジリデン]ヒダントインを27.2g得た。続いて、得られたうちの2.24g(6.67mmol)に、100mLナス型フラスコ中で、2−[2−(2−クロロエトキシ)エトキシ]エタノール2.53g(15.0mmol)、炭酸カリウム2.07g(15.0mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド30mLを加えて、110℃で15時間撹拌しながら加熱した。反応混合液が室温まで冷えた後、セライト濾過によって固形物を除去した。溶剤を減圧下にて留去し、白い固形物の混ざった黄色粘性物質を6.53g得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;クロロホルム:メタノール=20:1)によって精製し、化合物2(黄色の油状物質)を1.08g得た(収率;35%)。
また、実施例1と同様にして、化合物2のH−NMRスペクトルチャートを得、得られたスペクトルチャートから、化合物2は、以下の構造を有することが確認された。
Figure 2013146932

5−[4−[2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]ベンジリデン]−1,3−ビス[2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エチル]ヒダントイン
なお、DMSO―d6(標準物質)に対する、化合物2の主な化学シフトピークは、以下のとおりである。
3.06(t,2H),3.25(t,2H),3.31−3.34(m,4H),3.39−3.43(m,8H),3.48−3.55(m,8H),3.59−3.61(m,4H),3.67(t,2H),3.71−3.76(m,4H),4.13(t,2H),4.59(br,1H×3),6.80(s,1H),7.00(d,2H),7.37(d,2H)
次いで、実施例1と同様にして、化合物2のUV吸収性および親水性を評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例3]
200mLナス型フラスコ中で、4−ヒドロキシベンズアルデヒド14.7g(120mmol)に、ヒダントイン15.6g(156mmol)、水80mL、28%アンモニア水14.4gを加えて、90℃で12時間撹拌しながら加熱した。反応混合液が室温まで冷えた後、濾過によって析出した結晶を回収した。その後、水で2回、エタノールで2回、結晶の洗浄を行った。乾燥後、5−(4−ヒドロキシベンジリデン)ヒダントインを20.3g得た。続いて、得られたうちの18.8g(92.2mmol)を、500mLナス型フラスコ中で、N,N−ジメチルホルムアミド180mLに溶かした後、クロロ酢酸エチル27.1g(221mmol)、炭酸カリウム30.5g(221mmol)を加えて、120℃で2時間撹拌しながら加熱した。反応混合液が室温まで冷えた後、溶剤を減圧下にて留去し、水を加えて、酢酸エチルで3回抽出を行った。有機層をあわせて、水で2回、飽和食塩水で1回洗浄した後、有機層を硫酸ナトリウムにて乾燥させた。その後、硫酸ナトリウムを濾過して除去し、溶剤を減圧下にて留去した後、得られた茶褐色の結晶を、酢酸エチルとへキサンの混合溶媒で再結晶を行い、乾燥後、5−[4−(2−エトキシ−2−オキソエトキシ)ベンジリデン]−3−(2−エトキシ−2−オキソエチル)ヒダントインを9.96g得た。続いて、得られたうちの4.50g(12.0mmol)に、50mLナス型フラスコ中で、ジエタノールアミン7.57g(72.0mmol)を加えて、120℃で1時間撹拌しながら加熱した。反応混合液が室温まで冷えた後、析出した黄色の結晶をエタノールと水の混合溶媒で再結晶を行い、乾燥後、化合物3を4.46g得た(収率;18%)。
また、実施例1と同様にして、化合物3のH−NMRスペクトルチャートを得、得られたスペクトルチャートから、化合物3は、以下の構造を有することが確認された。
Figure 2013146932

5−[4−[2−[ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−オキソエトキシ]ベンジリデン]−3−[2−[ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−オキソエチル]ヒダントイン
なお、DMSO―d6(標準物質)に対する、化合物3の主な化学シフトピークは、以下のとおりである。
3.33−3.36(m,4H),3.42−3.51(m,8H),3.57−3.60(m,4H),4.49(s,2H),4.71−4.74(t,1H×2),4.97(s,2H),5.00(t,1H),5.05(t,1H),6.53(s,1H),6.94(d,2H),7.60(d,2H),10.72(s,1H)
次いで、実施例1と同様にして、化合物3のUV吸収性および親水性を評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例1の過程で得られた、5−[4−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]ベンジリデン]ヒダントイン5.84g(20.0mmol)に、200mLナス型フラスコ中で、アクリル酸エチル2.40g(24.0mmol)、水酸化カリウム0.112g(2.00mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド45mLを加えて、110℃で6時間撹拌しながら加熱した。反応混合液が室温まで冷えた後、セライト濾過によって固形物を除去した。溶剤を減圧下にて留去し、黄色粘性物質を得た。これに別の100mLナス型フラスコ中で、ジエタノールアミン6.31g(60.0mmol)を加えて、120℃で17時間撹拌しながら加熱した。反応混合液が室温まで冷却した後、得られた橙色粘性物質にアセトニトリル及びイソプロパノールを加えることで結晶が析出し、濾過によって析出した結晶を回収した。その後、イソプロパノールと水で活性炭処理し、再結晶させることで、化合物4を3.52g得た(収率;39%)。
また、実施例1と同様にして、化合物4のH−NMRスペクトルチャートを得、得られたスペクトルチャートから、化合物4は、以下の構造を有することが確認された。
Figure 2013146932

5−[4−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]ベンジリデン]−3−[3−[ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−3−オキソプロピル]ヒダントイン
なお、DMSO―d6(標準物質)に対する、化合物4の主な化学シフトピークは、以下のとおりである。
2.72(t,2H),3.32−3.38(m,4H),3.46−3.52(m,8H),3.66(t,2H),3.75(t,2H),4.14(t,2H),4.69(s,2H),4.85(s,1H),6.47(s,1H),6.98(d,2H),7.62(d,2H),10.60(s,1H)
次いで、実施例1と同様にして、化合物4のUV吸収性および親水性を評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例5]
「ジエタノールアミン」の代わりに、「ジエチレングリコール」を用いたことを除いては、実施例3と同様にして、化合物5を得た。
また、実施例1と同様にして、化合物5のH−NMRスペクトルチャートを得、得られたスペクトルチャートから、化合物5は、以下の構造を有することが確認された。
Figure 2013146932

5−[4−[2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]−2−オキソエトキシ]ベンジリデン]−3−[2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]−2−オキソエチル]ヒダントイン
なお、DMSO―d6(標準物質)に対する、化合物5の主な化学シフトピークは、以下のとおりである。
3.43−3.45(m,4H),3.48−3.51(m,4H),3.63−3.66(m,4H),4.23−4.27(m,4H),4.34(s,2H),4.89(s,2H),4.62−4.65(t,1H×2),6.60(s,1H),6.99(d,2H),7.64(d,2H),10.91(s,1H)
次いで、実施例1と同様にして、化合物5のUV吸収性および親水性を評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例6]
「4−ヒドロキシベンズアルデヒド」の代わりに、「4−メトキシベンズアルデヒド」を用いたことを除いては、実施例1と同様にして、まず、5−(4−メトキシベンジリデン)ヒダントインを24.6g得た。続いて、得られた5−(4−メトキシベンジリデン)ヒダントイン24.4g(112mmol)を、300mLナス型フラスコ中で、N,N−ジメチルホルムアミド110mLに溶かした後、クロロ酢酸エチル28.8g(235mmol)、炭酸カリウム32.5g(235mmol)を加えて、120℃で30分撹拌しながら加熱した。反応混合液が室温まで冷えた後、溶剤を減圧下にて留去し、水を加えて、酢酸エチルで3回抽出を行った。有機層をあわせて、水で2回、飽和食塩水で1回洗浄した後、有機層を硫酸ナトリウムにて乾燥させた。その後、硫酸ナトリウムを濾過して除去し、溶剤を減圧下にて留去した後、得られた黄色の油状物質48.6gのうち、24.3gに別の200mLナス型フラスコ中で、ジエタノールアミン47.1g(448mmol)を加えて、120℃で6時間撹拌しながら加熱した。反応混合液が室温まで冷却した後、得られた橙色粘性物質をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;クロロホルム:メタノール=5:1)によって精製し、化合物6(黄色の油状物質)を6.75g得た(収率;22%)。
また、実施例1と同様にして、化合物6のH−NMRスペクトルチャートを得、得られたスペクトルチャートから、化合物6は、以下の構造を有することが確認された。
Figure 2013146932

5−(4−メトキシベンジリデン)−1,3−ビス[2−[ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−オキソエチル]ヒダントイン
なお、DMSO―d6(標準物質)に対する、化合物6の主な化学シフトピークは、以下のとおりである。
3.33−3.36(m,4H),3.45−3.51(m,6H),3.54−3.66(m,6H),3.79(s,3H),4.53(s,2H),4.73(t,2H),4.75(s,2H),4.99(t,1H),5.24(t,1H),6.37(s,1H),6.95(d,2H),7.95(d,2H)
次いで、実施例1と同様にして、化合物6のUV吸収性および親水性を評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例7]
「ジエタノールアミン」の代わりに、「ジエチレングリコール」を用いたことを除いては、実施例6と同様にして、化合物7を得た。
また、実施例1と同様にして、化合物7のH−NMRスペクトルチャートを得、得られたスペクトルチャートから、化合物7は、以下の構造を有することが確認された。
Figure 2013146932

5−(4−メトキシベンジリデン)−1,3−ビス[2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]−2−オキソエチル]ヒダントイン
なお、DMSO―d6(標準物質)に対する、化合物7の主な化学シフトピークは、以下のとおりである。
3.40−3.47(m,8H),3.50(t,2H),3.64(t,2H),3.80(s,3H),3.98(t,2H),4.25(t,2H),4.33(s,2H),4.43(s,2H),4.59(t,1H),4.64(t,1H),6.90(s,1H),6.99(d,2H),7.30(d,2H)
次いで、実施例1と同様にして、化合物7のUV吸収性および親水性を評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例1]
化合物1の代わりに、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル(ソフトシェードDH(登録商標)/味の素株式会社製)を用いて、実施例1と同様にして、該化合物のUV吸収性を評価し、得られた結果を表1に示すとともに、親水性についても評価した。なお、以後、「ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル」は、「化合物1´」と称する。
Figure 2013146932
Figure 2013146932

※:化合物1〜7および化合物1´を試験溶媒に添加した。その際に、化合物1〜7は、試験溶媒に均一に溶解し、これらの化合物を含む溶解液は澄明であった(いずれも親水性が特に高い、または高いものであった)。一方、化合物1´は、溶解せずに、固体として試験溶媒に浮遊していた(親水性がなかった)。
現在開発されているUVA吸収性化合物として、たとえば、特許文献1〜2には、ヒダントイン誘導体が開示されている。
本発明に係るベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩は、下記構造式(I)で表わされることを特徴とする、ベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩である。
Figure 2013146932
(構造式(I)中、nは1〜5の整数であり、Aは、O、S、またはN−Aであり、A、AおよびAは、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキル基、下記構造式(1)で表わされる官能基(1)、下記構造式(2)で表わされる官能基(2)、または下記構造式(3)で表わされる官能基(3)である(ただし、少なくともA、AおよびAのいずれかに1つ以上のヒドロキシル基を含むものとする)。また、nが2〜5の整数である場合、複数存在するAO−は、同一でも異なっていてもよい。)
Figure 2013146932
(構造式(1)中、Xは、炭素数2〜4のアルキレン基であり、Rは、炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基であり、mは、1〜4の整数である。mが2〜4の整数である場合、複数存在するXは、同一でも異なっていてもよい。)
Figure 2013146932
(構造式(2)中、Xは、炭素数2〜4のアルキレン基であり、Rは炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基であり、pは1または2であり、qは、0〜4の整数であり、qが2〜4の整数である場合、複数存在する は、同一でも異なっていてもよい。)
Figure 2013146932
(構造式(3)中、X3aおよびX3bは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数2〜4のアルキレン基であり、R3aおよびR3bは、それぞれ独立に炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基であり、rは1または2であり、sおよびtは、それぞれ独立に0〜4の整数である。sが2〜4の整数である場合、複数存在するX3aは、同一でも異なっていてもよいし、tが2〜4の整数である場合、複数存在するX3bは、同一でも異なっていてもよい。)
Figure 2013146932

Claims (7)

  1. 下記構造式(I)で表わされることを特徴とする、ベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩。
    Figure 2013146932

    (構造式(I)中、nは1〜5の整数であり、Aは、O、S、またはN−Aであり、A、AおよびAは、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキル基、下記構造式(1)で表わされる官能基(1)、下記構造式(2)で表わされる官能基(2)、または下記構造式(3)で表わされる官能基(3)である(ただし、少なくともA、AおよびAのいずれかに1つ以上のヒドロキシル基を含むものとする)。また、nが2〜5の整数である場合、複数存在するAO−は、同一でも異なっていてもよい。)
    Figure 2013146932

    (構造式(1)中、Xは、炭素数2〜4のアルキレン基であり、Rは、炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基であり、mは、1〜4の整数である。mが2〜4の整数である場合、複数存在するXは、同一でも異なっていてもよい。)
    Figure 2013146932

    (構造式(2)中、Xは、炭素数2〜4のアルキレン基であり、Rは炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基であり、pは1または2であり、qは、0〜4の整数であり、qが2〜4の整数である場合、複数存在するX1は、同一でも異なっていてもよい。)
    Figure 2013146932

    (構造式(3)中、X3aおよびX3bは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数2〜4のアルキレン基であり、R3aおよびR3bは、それぞれ独立に炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基であり、rは1または2であり、sおよびtは、それぞれ独立に0〜4の整数である。sが2〜4の整数である場合、複数存在するX3aは、同一でも異なっていてもよいし、tが2〜4の整数である場合、複数存在するX3bは、同一でも異なっていてもよい。)
  2. 前記構造式(I)中、A、AおよびAのうち、少なくとも1つは、前記官能基(1)、前記官能基(2)、または前記官能基(3)であることを特徴とする、請求項1に記載のベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩。
  3. 前記構造式(I)中、Aおよび/またはAが、水素原子、ヒドロキシル基で置換された炭素数1〜8のアルキル基、前記官能基(1)、前記官能基(2)、または前記官能基(3)であることを特徴とする、請求項1または2に記載のベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩。
  4. 上記構造式(I)が、下記構造式(II)で表わされるベンジリデンヒダントイン誘導体またはその塩であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩。
    Figure 2013146932

    (上記構造式(II)中、n´は、0〜4の整数であり、n´が1〜4の整数である場合、複数存在するA−O−は、同一でも異なっていてもよい。)
  5. 下記構造式(III)で表わされるベンジリデンヒダントイン誘導体またはその塩である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩。
    Figure 2013146932
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩を含むことを特徴とする、紫外線吸収剤。
  7. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩を含むことを特徴とする、皮膚外用組成物。
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