JPWO2013146932A1 - 新規ベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩 - Google Patents
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Abstract
Description
(構造式(I)中、nは1〜5の整数であり、A1は、O、S、またはN−A4であり、A2、A3およびA4は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキル基、下記構造式(1)で表わされる官能基(1)、下記構造式(2)で表わされる官能基(2)、または下記構造式(3)で表わされる官能基(3)である(ただし、少なくともA2、A3およびA4のいずれかに1つ以上のヒドロキシル基を含むものとする)。また、nが2〜5の整数である場合、複数存在するA3O−は、同一でも異なっていてもよい。)
(構造式(1)中、X1は、炭素数2〜4のアルキレン基であり、R1は、炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基であり、mは、1〜4の整数である。mが2〜4の整数である場合、複数存在するX1は、同一でも異なっていてもよい。)
(構造式(2)中、X2は、炭素数2〜4のアルキレン基であり、R2は炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基であり、pは1または2であり、qは、0〜4の整数であり、qが2〜4の整数である場合、複数存在するX1は、同一でも異なっていてもよい。)
(構造式(3)中、X3aおよびX3bは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数2〜4のアルキレン基であり、R3aおよびR3bは、それぞれ独立に炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基であり、rは1または2であり、sおよびtは、それぞれ独立に0〜4の整数である。sが2〜4の整数である場合、複数存在するX3aは、同一でも異なっていてもよいし、tが2〜4の整数である場合、複数存在するX3bは、同一でも異なっていてもよい。)
(上記構造式(II)中、n´は、0〜4の整数であり、n´が1〜4の整数である場合、複数存在するA3−O−は、同一でも異なっていてもよい。)
nは、1〜5の整数であり、高い比吸光度(質量あたりの紫外線の吸光度)を発揮して、高いUV吸収性を示すという観点からは、好ましくは、1〜3の整数であり、より好ましくは1である。
A1は、O、S、またはN−A4であり、UVAおよびUVAに近接した波長領域の光を有効に吸収できるという観点からは、好ましくは、N−A4である。
A2、A3およびA4は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキル基、下記構造式(1)で表わされる官能基(官能基(1))、下記構造式(2)で表わされる官能基(官能基(2))、または下記構造式(3)で表わされる官能基(官能基(3))である。
(構造式(1)中、X1は、炭素数2〜4のアルキレン基であり、R1は、炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基であり、mは、1〜4の整数である。mが2〜4の整数である場合、複数存在するX1は、同一でも異なっていてもよい。)
(構造式(2)中、X2は、炭素数2〜4のアルキレン基であり、R2は炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基であり、pは1または2であり、qは、0〜4の整数であり、qが2〜4の整数である場合、複数存在するX2は、同一でも異なっていてもよい。)
(構造式(3)中、X3aおよびX3bは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数2〜4のアルキレン基であり、R3aおよびR3bは、それぞれ独立に炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基であり、rは1または2であり、sおよびtは、それぞれ独立に0〜4の整数である。sが2〜4の整数である場合、複数存在するX3aは、同一でも異なっていてもよいし、tが2〜4の整数である場合、複数存在するX3bは、同一でも異なっていてもよい。)
「ヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキル基」は、炭素数1〜8のアルキル基である限り、直鎖状であっても分岐状であってもよく、ヒドロキシル基で置換されているもの(ヒドロキシアルキル基)であっても、ヒドロキシル基で置換されていないアルキル基であってもよい。その中でも、UV吸収性および水溶親水性が向上するという観点からは、直鎖状または分岐状の、炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基であることが好ましい。
官能基(1)は、上記構造式(1)で表わされる官能基である。ここで、X1は、炭素数2〜4のアルキレン基であり、該アルキレン基は、直鎖であっても、分岐していてもよい。X1は、高い比吸光度(質量あたりの紫外線の吸光度)を発揮できるという観点からは、アルキレン基の炭素数は、1〜2であること(たとえば、アルキレン基がメチレン基(―CH2―)またはエチレン基(―CH2CH2―))が好ましい。
官能基(2)は、上記構造式(2)で表わされる官能基である。ここで、X2は、炭素数2〜4のアルキレン基であり、該アルキレン基は、直鎖であっても、分岐していてもよい。X2は、高い比吸光度(質量あたりの紫外線の吸光度)を発揮できかつ汎用な試薬原料より製造し得るという観点からは、アルキレン基の炭素数は、1〜2であること(たとえば、アルキレン基がメチレン基(―CH2―)またはエチレン基(―CH2CH2―))であることが好ましい。
官能基(3)は、上記構造式(3)で表わされる官能基である。ここで、X3aおよびX3bは、それぞれ独立に、2〜4のアルキレン基であり、該アルキレン基は、直鎖であっても、分岐していてもよい。高い比吸光度(質量あたりの紫外線の吸光度)を発揮できるという観点からは、X3aおよびX3bは、それぞれ独立に、炭素数2〜4のアルキレン基(たとえば、アルキレン基がメチレン基(―CH2―)またはエチレン基(―CH2CH2―)であることが好ましい。
親水性をより向上できるという観点からは、A2は、水素原子、ヒドロキシル基で置換された炭素数1〜8のヒドロキシルアルキル基、官能基(1)、官能基(2)または官能基(3)であることが好ましく、ヒドロキシル基で置換された炭素数1〜8のヒドロキシルアルキル基、官能基(1)、官能基(2)または官能基(3)であることがより好ましく、官能基(1)または官能基(3)であることがさらに好ましい。
上述のように、A3は、水素原子、ヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキル基、官能基(1)〜(3)のいずれかであるために、ベンゼン環部分(i)に結合している「A3−O−」は、電子供与性の基である。そのために、上記構造式(I)で表わされる本発明のベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩に、UVが照射された場合、共鳴効果によって「A3−O―」からベンゼン環に電子が供与され、ベンゼン環の共役系が有効に拡張する。そのため、本発明のベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩は、長波長の紫外線(たとえば、UVA)のUV吸収性が良好である。
(上記構造式(II)中、n´は、0〜4の整数であり、n´が1〜4の整数である場合、複数存在するA3−O−は、同一でも異なっていてもよい。A3は、水素原子、炭素数1〜8の、ヒドロキシル基で置換されているアルキル基、官能基(1)、官能基(2)、または官能基(3)である。)
A4は、よりUV吸収性と親水性を向上できるという観点からは、水素原子または官能基(3)であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
高い吸光度と高い安全性とをバランスよく発揮できるという観点からは、本発明のベンジリデンヒダントイン誘導体の分子量は、通常250〜1000であり、好ましくは300〜500である。なお、上記分子量は、皮膚を透過して体内に吸収されて刺激性や毒性を示すといった悪影響を及ぼすリスクを低減するためには、300以上であることが好ましい。
本発明の紫外線吸収剤は、上述した、本発明のベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩を必須成分として含む。そのため、本発明の紫外線吸収剤は、紫外線の吸収能力および光安定性に優れるとともに、高い親水性を有しているために、特に、水系組成物(水系溶液やエマルション)に好適に用いられる。なお、本発明の紫外線吸収剤は、ベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩の他に、必要に応じて後述するような任意成分を含んでいてもよい。
イソオクチルp−ジメチルアミノ安息香酸などの安息香酸誘導体、
3−(4’−メチルベンジリデン)−カンファーなどのカンファー誘導体、
イソオクチルp−メトキシシンナメートなどのケイ皮酸誘導体、
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン誘導体、
4−t−ブチル−メトキシ−ジベンゾイルメタンなどのジベンゾイルメタン誘導体、
サリチル酸オクチルなどのサリチル酸誘導体、
フェニルベンズイミダゾールNaスルホネートなどのベンズイミダゾール誘導体、
2,2’−メチレンビス(6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールなどのトリアゾール誘導体、および
2,4,6−トリス[4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]−1,3,5−トリアジンなどのトリアジン誘導体、
が挙げられる。
本発明の皮膚外用組成物は、以上説明した本発明のベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩を必須成分として含む。皮膚外用組成物としては、化粧料、日焼け止め組成物などが挙げられる。特に好適には、水系皮膚外用組成物(水溶液型またはエマルション型の皮膚外用組成物)が挙げられる。
本発明のベンジリデンヒダントイン誘導体またはその塩は、皮膚外用組成物以外の製品、例えば、塗料、染料、顔料、各種樹脂、合成ゴム、ラテックス、包装材料(フィルム、合成樹脂製容器等)、コンタクトレンズまたは繊維等に配合して各種の組成物または製品として、これら塗料等を紫外線から防御することも可能である。
たとえば、化学反応式(1)に示されるように、下記式(a)で表される化合物(a)と、下記式(b)で表される化合物(b)を、塩基の存在下で反応させて、下記式(c)で表される化合物(c)を合成し、次いで、化学反応式(2)に示されるように、下記式(c)で表される化合物を、下記式(d)で表される化合物(d)を、塩基の存在下に反応させることにより、本発明のベンジリデンアゾリジン誘導体を合成することができる。
(1)化合物1の製造
300mLナス型フラスコ中で、4−ヒドロキシベンズアルデヒド14.7g(120mmol)に、2−(2−クロロエトキシ)エタノール16.4g(132mmol)、炭酸カリウム33.2g(240mmol)、アセトニトリル150mLを加えて、105℃で14時間撹拌しながら加熱した。さらに、2−(2−クロロエトキシ)エタノール1.49g(12.0mmol)を加えて、105℃で30時間撹拌しながら加熱した。反応混合液が室温まで冷えた後、セライト濾過によって固形物を除去した。溶剤を減圧下にて留去し、白い固形物の混ざった黄色粘性物質を34.6g得た。これに水を80mL加えて、別に用意した200mLナス型フラスコ中に移し替え、ヒダントイン15.6g(156mmol)、28%アンモニア水14.4gを加えて、90℃で12時間撹拌しながら加熱した。反応混合液が室温まで冷えた後、濾過によって析出した結晶を回収した。その後、水で2回、エタノールで2回、結晶の洗浄を行った。乾燥後、5−[4−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]ベンジリデン]ヒダントインを29.6g得た。続いて、得られたうちの17.5g(60.0mmol)に、200mLナス型フラスコ中で、2−(2−クロロエトキシ)エタノール7.47g(60mmol)、炭酸カリウム20.0g(145mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド80mLを加えて、110℃で3時間撹拌しながら加熱した。反応混合液が室温まで冷えた後、セライト濾過によって固形物を除去した。溶剤を減圧下にて留去し、白い固形物の混ざった黄色粘性物質を30.5g得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;イソプロパノール:トルエン=1:3)によって精製し、黄色の結晶を9.21g得た。これをエタノールで活性炭処理し、再結晶させることで、化合物1を6.56g得た(収率;25%)。
5−[4−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]ベンジリデン]−3−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]ヒダントイン
<測定条件>
・測定装置:プロトン核磁気共鳴スペクトル測定装置(日本電子(株)製JNM−ECP500)
・内部標準:テトラメチルシラン
・溶媒:DMSO―d6(ヘキサジュウテロジメチルスルホキシド)
DMSO―d6(標準物質)に対する、化合物1の主な化学シフトピークは、以下のとおりである。
3.41−3.46(m,4H),3.48−3.53(m,4H),3.60(m,2H),3.64(m,2H),3.75(t,2H),4.15(t,2H),4.61(t,1H),4.67(t,1H),6.52(s,1H),6.99(d,2H),7.62(d,2H),10.71(s,1H)
<UV吸収性>
得られた化合物1を、化合物1の濃度が5ppmになるように、溶媒としてのエタノールに溶解して、試料液を調製した。調製された試料液を、石英セル(光路長:1cm)に注入し、分光光度計を用いて((株)島津製作所製UV−2450)を用いて、UVスペクトルを測定して、最大吸収波長(λmax)および最大吸収波長における吸光度を測定した。なお、最大吸収波長が紫外線の波長範囲にあって、かつ最大吸収波長の吸光度が大きいほど、UV吸収性に優れていることを示す。得られた結果を表1に示す。
得られた化合物1を、以下に示す試験溶媒に溶解させ、性状確認を行うとともに、試験溶媒100g対する25℃における溶解度(g/100g試験溶媒)を測定した。
・試験溶媒:ジプロピレングリコール、エタノール、および精製水を、それぞれ10質量%、10質量%および80質量%の量で含む混合溶媒(ただし、ジプロピレングリコール、エタノール、および精製水の合計量を100質量%とする。)
・1.0以上(g/100g試験溶媒)の場合:親水性が特に高い
・0.2以上〜1.0未満(g/100g試験溶媒)の場合:親水性が高い
・0.1以上〜0.2未満(g/100g試験溶媒)の場合:親水性が乏しい
・0.1未満(g/100g試験溶媒)の場合、固体浮遊物のある場合:親水性がない
「2−(2−クロロエトキシ)エタノール」の代わりに、「2−[2−(2−クロロエトキシ)エトキシ]エタノール」を用いたことを除いては、実施例1と同様にして、まず、5−[4−[2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]ベンジリデン]ヒダントインを27.2g得た。続いて、得られたうちの2.24g(6.67mmol)に、100mLナス型フラスコ中で、2−[2−(2−クロロエトキシ)エトキシ]エタノール2.53g(15.0mmol)、炭酸カリウム2.07g(15.0mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド30mLを加えて、110℃で15時間撹拌しながら加熱した。反応混合液が室温まで冷えた後、セライト濾過によって固形物を除去した。溶剤を減圧下にて留去し、白い固形物の混ざった黄色粘性物質を6.53g得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;クロロホルム:メタノール=20:1)によって精製し、化合物2(黄色の油状物質)を1.08g得た(収率;35%)。
5−[4−[2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]ベンジリデン]−1,3−ビス[2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エチル]ヒダントイン
3.06(t,2H),3.25(t,2H),3.31−3.34(m,4H),3.39−3.43(m,8H),3.48−3.55(m,8H),3.59−3.61(m,4H),3.67(t,2H),3.71−3.76(m,4H),4.13(t,2H),4.59(br,1H×3),6.80(s,1H),7.00(d,2H),7.37(d,2H)
200mLナス型フラスコ中で、4−ヒドロキシベンズアルデヒド14.7g(120mmol)に、ヒダントイン15.6g(156mmol)、水80mL、28%アンモニア水14.4gを加えて、90℃で12時間撹拌しながら加熱した。反応混合液が室温まで冷えた後、濾過によって析出した結晶を回収した。その後、水で2回、エタノールで2回、結晶の洗浄を行った。乾燥後、5−(4−ヒドロキシベンジリデン)ヒダントインを20.3g得た。続いて、得られたうちの18.8g(92.2mmol)を、500mLナス型フラスコ中で、N,N−ジメチルホルムアミド180mLに溶かした後、クロロ酢酸エチル27.1g(221mmol)、炭酸カリウム30.5g(221mmol)を加えて、120℃で2時間撹拌しながら加熱した。反応混合液が室温まで冷えた後、溶剤を減圧下にて留去し、水を加えて、酢酸エチルで3回抽出を行った。有機層をあわせて、水で2回、飽和食塩水で1回洗浄した後、有機層を硫酸ナトリウムにて乾燥させた。その後、硫酸ナトリウムを濾過して除去し、溶剤を減圧下にて留去した後、得られた茶褐色の結晶を、酢酸エチルとへキサンの混合溶媒で再結晶を行い、乾燥後、5−[4−(2−エトキシ−2−オキソエトキシ)ベンジリデン]−3−(2−エトキシ−2−オキソエチル)ヒダントインを9.96g得た。続いて、得られたうちの4.50g(12.0mmol)に、50mLナス型フラスコ中で、ジエタノールアミン7.57g(72.0mmol)を加えて、120℃で1時間撹拌しながら加熱した。反応混合液が室温まで冷えた後、析出した黄色の結晶をエタノールと水の混合溶媒で再結晶を行い、乾燥後、化合物3を4.46g得た(収率;18%)。
5−[4−[2−[ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−オキソエトキシ]ベンジリデン]−3−[2−[ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−オキソエチル]ヒダントイン
3.33−3.36(m,4H),3.42−3.51(m,8H),3.57−3.60(m,4H),4.49(s,2H),4.71−4.74(t,1H×2),4.97(s,2H),5.00(t,1H),5.05(t,1H),6.53(s,1H),6.94(d,2H),7.60(d,2H),10.72(s,1H)
実施例1の過程で得られた、5−[4−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]ベンジリデン]ヒダントイン5.84g(20.0mmol)に、200mLナス型フラスコ中で、アクリル酸エチル2.40g(24.0mmol)、水酸化カリウム0.112g(2.00mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド45mLを加えて、110℃で6時間撹拌しながら加熱した。反応混合液が室温まで冷えた後、セライト濾過によって固形物を除去した。溶剤を減圧下にて留去し、黄色粘性物質を得た。これに別の100mLナス型フラスコ中で、ジエタノールアミン6.31g(60.0mmol)を加えて、120℃で17時間撹拌しながら加熱した。反応混合液が室温まで冷却した後、得られた橙色粘性物質にアセトニトリル及びイソプロパノールを加えることで結晶が析出し、濾過によって析出した結晶を回収した。その後、イソプロパノールと水で活性炭処理し、再結晶させることで、化合物4を3.52g得た(収率;39%)。
5−[4−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]ベンジリデン]−3−[3−[ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−3−オキソプロピル]ヒダントイン
2.72(t,2H),3.32−3.38(m,4H),3.46−3.52(m,8H),3.66(t,2H),3.75(t,2H),4.14(t,2H),4.69(s,2H),4.85(s,1H),6.47(s,1H),6.98(d,2H),7.62(d,2H),10.60(s,1H)
「ジエタノールアミン」の代わりに、「ジエチレングリコール」を用いたことを除いては、実施例3と同様にして、化合物5を得た。
5−[4−[2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]−2−オキソエトキシ]ベンジリデン]−3−[2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]−2−オキソエチル]ヒダントイン
3.43−3.45(m,4H),3.48−3.51(m,4H),3.63−3.66(m,4H),4.23−4.27(m,4H),4.34(s,2H),4.89(s,2H),4.62−4.65(t,1H×2),6.60(s,1H),6.99(d,2H),7.64(d,2H),10.91(s,1H)
「4−ヒドロキシベンズアルデヒド」の代わりに、「4−メトキシベンズアルデヒド」を用いたことを除いては、実施例1と同様にして、まず、5−(4−メトキシベンジリデン)ヒダントインを24.6g得た。続いて、得られた5−(4−メトキシベンジリデン)ヒダントイン24.4g(112mmol)を、300mLナス型フラスコ中で、N,N−ジメチルホルムアミド110mLに溶かした後、クロロ酢酸エチル28.8g(235mmol)、炭酸カリウム32.5g(235mmol)を加えて、120℃で30分撹拌しながら加熱した。反応混合液が室温まで冷えた後、溶剤を減圧下にて留去し、水を加えて、酢酸エチルで3回抽出を行った。有機層をあわせて、水で2回、飽和食塩水で1回洗浄した後、有機層を硫酸ナトリウムにて乾燥させた。その後、硫酸ナトリウムを濾過して除去し、溶剤を減圧下にて留去した後、得られた黄色の油状物質48.6gのうち、24.3gに別の200mLナス型フラスコ中で、ジエタノールアミン47.1g(448mmol)を加えて、120℃で6時間撹拌しながら加熱した。反応混合液が室温まで冷却した後、得られた橙色粘性物質をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;クロロホルム:メタノール=5:1)によって精製し、化合物6(黄色の油状物質)を6.75g得た(収率;22%)。
5−(4−メトキシベンジリデン)−1,3−ビス[2−[ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−オキソエチル]ヒダントイン
3.33−3.36(m,4H),3.45−3.51(m,6H),3.54−3.66(m,6H),3.79(s,3H),4.53(s,2H),4.73(t,2H),4.75(s,2H),4.99(t,1H),5.24(t,1H),6.37(s,1H),6.95(d,2H),7.95(d,2H)
「ジエタノールアミン」の代わりに、「ジエチレングリコール」を用いたことを除いては、実施例6と同様にして、化合物7を得た。
5−(4−メトキシベンジリデン)−1,3−ビス[2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]−2−オキソエチル]ヒダントイン
3.40−3.47(m,8H),3.50(t,2H),3.64(t,2H),3.80(s,3H),3.98(t,2H),4.25(t,2H),4.33(s,2H),4.43(s,2H),4.59(t,1H),4.64(t,1H),6.90(s,1H),6.99(d,2H),7.30(d,2H)
化合物1の代わりに、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル(ソフトシェードDH(登録商標)/味の素株式会社製)を用いて、実施例1と同様にして、該化合物のUV吸収性を評価し、得られた結果を表1に示すとともに、親水性についても評価した。なお、以後、「ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル」は、「化合物1´」と称する。
Claims (7)
- 下記構造式(I)で表わされることを特徴とする、ベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩。
(構造式(I)中、nは1〜5の整数であり、A1は、O、S、またはN−A4であり、A2、A3およびA4は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキル基、下記構造式(1)で表わされる官能基(1)、下記構造式(2)で表わされる官能基(2)、または下記構造式(3)で表わされる官能基(3)である(ただし、少なくともA2、A3およびA4のいずれかに1つ以上のヒドロキシル基を含むものとする)。また、nが2〜5の整数である場合、複数存在するA3O−は、同一でも異なっていてもよい。)
(構造式(1)中、X1は、炭素数2〜4のアルキレン基であり、R1は、炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基であり、mは、1〜4の整数である。mが2〜4の整数である場合、複数存在するX1は、同一でも異なっていてもよい。)
(構造式(2)中、X2は、炭素数2〜4のアルキレン基であり、R2は炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基であり、pは1または2であり、qは、0〜4の整数であり、qが2〜4の整数である場合、複数存在するX1は、同一でも異なっていてもよい。)
(構造式(3)中、X3aおよびX3bは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数2〜4のアルキレン基であり、R3aおよびR3bは、それぞれ独立に炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基であり、rは1または2であり、sおよびtは、それぞれ独立に0〜4の整数である。sが2〜4の整数である場合、複数存在するX3aは、同一でも異なっていてもよいし、tが2〜4の整数である場合、複数存在するX3bは、同一でも異なっていてもよい。) - 前記構造式(I)中、A2、A3およびA4のうち、少なくとも1つは、前記官能基(1)、前記官能基(2)、または前記官能基(3)であることを特徴とする、請求項1に記載のベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩。
- 前記構造式(I)中、A2および/またはA3が、水素原子、ヒドロキシル基で置換された炭素数1〜8のアルキル基、前記官能基(1)、前記官能基(2)、または前記官能基(3)であることを特徴とする、請求項1または2に記載のベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載のベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩を含むことを特徴とする、紫外線吸収剤。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載のベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩を含むことを特徴とする、皮膚外用組成物。
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