JPWO2013140580A1 - 金型内の気体放出構造及び当該構造を備えた金型 - Google Patents

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Abstract

有底穴及び側面開口を有し弾性体による押圧力を受ける摺動部材と気体放出口を有する摺動部材受容体とにより構成され、金型における溶融素材流動路ないしキャビティの溶融素材流動路の末端付近に装着される気体放出構造において、溶融素材の流動先端部が入り込む隙間S1乃至S5を形成し、また有底穴の容積を拡張して摺動部材を確実に作動させ、摺動部材底面を傾斜面SF1とし、摺動部材受容体の左右内側面及び摺動部材の左右外側面を傾斜面SF2、SF3、SF4、SF5として、それぞれの傾斜面の働きにより溶融素材の流出を阻止するように構成する。そして、有底穴、側面開口、気体放出口に充填された溶融素材を取り出すためのエジェクタピンを備えている。

Description

本発明は、各種プラスチック、セラミック、ゴム系素材、ガラス系素材等を射出成形し、または金属ないし合金類をダイカスト成形する際に使用される金型の溶融素材充填空間(以下、「キャビティ」ともいう)内部において、溶融素材からの発生ガスおよび空間内部残留空気等(以下、「ガス類」ともいう)が成形品に及ぼす悪影響を低減することにより成形される製品の外観性状を改善し不良品発生を大幅に低減するための金型内の気体放出構造及び当該構造を備えた金型に関し、特にガス類の気体を確実に外部に放出させると共に溶融素材の外部への流出を確実に阻止することを可能にする金型内の気体放出構造及び当該構造を備えた金型に関する。
各種プラスチック(合成樹脂)、セラミック、ゴム系材料、ガラス系材料、液晶等を素材とする射出成形、さらにはアルミ、亜鉛、錫、銅等の各種金属を素材とするダイカスト成形では、固定・可動の組合せからなる金型により成形される。プラスチック、金属等の溶融素材を充填空間(キャビティ)内に加圧充填し、その後所定の冷却過程を経て所望形状および構造の製品が得られる。原材料であるプラスチック類、セラミック、ゴム系材料、ガラス系材料等や金属系素材を成形に適する状態まで溶融させると一般に各成分に応じたガスが発生する。発生ガスの種類や発生量は加熱温度、素材の種類、添加される副資材等によって異なり、またキャビティの容積によっても異なる。
金型キャビティは製品表面の性状や外観を改善するために精密な仕上げが施され、固定・可動金型の接合面も密接するように加工される結果気密性が高くなっている。さらに、固定・可動金型の接合面の気密性を高めるために、弾性体のパッキンなどを介在させることもある。このように高い気密性を保つキャビティ内には、前述のように溶融素材から発生するガスや金型各部内の残留空気等から成る気体成分が存在する。これら気体の存在は、溶融体の圧入に伴う圧縮時に逃げ場を失い、溶融素材のキャビティ内流動拡張が妨げられ、ショートショットや表面不斉一のような成形不良が発生しがちである。他方、気体成分の流出を自由に許容するような間隙がある場合、溶融素材が入り込み、成形品表面にバリや鋳巣(凹凸)が発生することになり製品品位を低下させる。
上述のようなキャビティ内に閉じ込められたガス類による悪影響を解消するために、発明者は、特許文献1において、外部制御手段を使用することなしに金型内を流動する溶融成形素材先端部の押圧力によって自動的に作動する金型の充填空間内部の気体放出構造並びに該気体放出構造を具備する金型を提案している。
ここで提案された気体放出構造は、図10に示すように、弾性体14による押圧力を対向面側から受ける摺動部材であって、溶融素材の流動方向Rに形成された有底穴12並びに該有底穴に連通しかつ前記溶融素材の流動方向と交差する向きに開口する少なくとも1個の側面開口13を有する摺動部材10と、前記摺動部材を溶融素材の流動方向に並行する方向に摺動可能に受容し、前記溶融素材の流動圧を受けない初期状態において前記摺動部材の側面開口13と連通していて、その後前記摺動部材が溶融素材の流動先端部によって前記弾性体に抗する方向に摺動せしめられた際に閉塞される気体放出口21を有する摺動部材受容体20とからなる金型内の気体放出構造であって、固定金型および可動金型によって形成される充填空間または該充填空間に繋がる溶融素材流動路の途中ないし末端付近に装着可能なように構成されている。また特許文献1では、流動速度が高速の低粘度溶融素材が、側面開口と気体放出口とが連通して外部へ放出されるガス類と一緒に外部に流出することを防止するために、気体放出口及び側面開口の少なくとも一方の気体流通路の形状を非直線状に形成する構成を採用している。
ここで提案された気体放出構造は、溶融素材流の先端部の押圧力によって摺動部材が移動(作動)することを前提としており、摺動部材の底面における摺動部材受容体との摺動面には勾配が形成されておらず、上端部には溶融素材の流動先端部が入り込む隙間は形成されていない。その後、発明者が前記気体放出構造並びに該気体放出構造を具備する金型について更に実験、研究開発を重ねた結果、特に流動速度が高速の低粘度溶融素材(例えば、コネクタ製品に使用されるナイロン、LCP等)を射出成形する場合に、溶融素材流の先端部の押圧力が弱いために摺動部材が円滑に移動しないケースが発生することが判明した。摺動部材が移動しない状態においては摺動部材の側面開口が摺動部材受容体に形成された気体放出口と連通しており、ガス類と共に溶融素材が当該連通穴から外部に流出されることになる。
そこで、溶融素材流の先端部の押圧力によって摺動部材を円滑に移動(作動)させると共に、溶融素材の外部への流出を確実に阻止するために、溶融素材流の先端部が当接して入り込む部分を増加する構造、並びに溶融素材が流入する空間(充填空間)の容積を拡張する気体放出構造を開発するに至った。さらに、摺動部材の有底穴、側面開口等の充填空間に流入した溶融素材を取り出すための対応策、また気体放出口に溶融素材が万一入り込んだ場合の対応策として、摺動部材受容体の底面に押出しピンとも呼ばれるエジェクタピンを挿通する穴を開口し、充填された溶融素材をエジェクタピンにより押出して取り出すように構成した気体放出構造を開発した。
特許第4455676号公報
本発明の課題は、外部制御手段を使用することなしに金型内を流動する溶融成形素材先端部の押圧力によって自動的に作動する金型の充填空間内部の気体放出構造であって、溶融素材流の先端部の押圧力によって摺動部材を確実に作動させると共に溶融素材の外部への流出を確実に阻止するように構成した気体放出構造並びに該気体放出構造を具備する金型を提供することである。なお、本発明の対象となる金型は、各種プラスチック(合成樹脂)の射出成形用金型に限定されるものではなく、溶融素材を充填空間(キャビティ)内に圧入して成形する、例えばセラミック、ゴム系材料、ガラス系材料、液晶等を素材とする成形用の金型、ならびにアルミ、亜鉛、錫、銅等の各種金属を素材とするダイカスト用金型等を包含するものである。
請求項1に記載の発明は、弾性体14による押圧力を対向面側から受ける摺動部材であって、溶融素材の流動方向に形成された有底穴12並びに該有底穴に連通しかつ前記溶融素材の流動方向Rと交差する向きに開口する少なくとも1個の側面開口13を有する摺動部材10と、前記摺動部材を溶融素材の流動方向Rに並行する方向に摺動可能に受容し、前記溶融素材の流動圧を受けない初期状態において前記摺動部材の側面開口と連通していて、その後前記摺動部材が溶融素材の流動先端部によって前記弾性体に抗する方向に摺動せしめられた際に閉塞される気体放出口21を有する摺動部材受容体20と、からなる金型内の気体放出構造であって、固定金型および可動金型によって形成される充填空間または該充填空間に繋がる溶融素材流動路の途中ないし末端付近に装着される金型内の気体放出構造において、前記摺動部材受容体の左右内側面22、23の間の前記摺動部材の前面16における摺動部材の上端部から下端部に至る区間に、溶融素材の流動先端部が入り込む隙間S1を形成すると共に、前記摺動部材の底面17における摺動部材受容体との摺動面を、上端部から下端部に至る内側向け勾配を形成する傾斜面SF1とし、前記溶融素材の流動圧を受けない初期状態において前記隙間S1が開口されており、その後前記摺動部材が溶融素材の流動先端部によって前記弾性体14に抗する方向Dに摺動せしめられるに従って前記隙間S1が密閉されるように構成された金型内の気体放出構造であることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、弾性体14による押圧力を対向面側から受ける摺動部材であって、溶融素材の流動方向に形成された有底穴12並びに該有底穴に連通しかつ前記溶融素材の流動方向Rと交差する向きに開口する少なくとも1個の側面開口13を有する摺動部材10と、前記摺動部材を溶融素材の流動方向Rに並行する方向に摺動可能に受容し、前記溶融素材の流動圧を受けない初期状態において前記摺動部材の側面開口と連通していて、その後前記摺動部材が溶融素材の流動先端部によって前記弾性体に抗する方向に摺動せしめられた際に閉塞される気体放出口21を有する摺動部材受容体20と、からなる金型内の気体放出構造であって、固定金型および可動金型によって形成される充填空間または該充填空間に繋がる溶融素材流動路の途中ないし末端付近に装着される金型内の気体放出構造において、前記摺動部材の有底穴12の縦サイズを、摺動部材の前面16から底面17に至る区間に亘る長さLとし、溶融素材流の摺動部材に対する押圧力を高めるために有底穴の容積を拡張するように構成された金型内の気体放出構造であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、前記請求項2に記載の金型内の気体放出構造において、さらに、前記気体放出構造の上端部において、前記摺動部材受容体の左右内側面22、23と摺動部材の左右外側面18、19のそれぞれの面の間に、摺動部材の前面16から底面17に至る区間に溶融素材の流動先端部が入り込む隙間S2、S3を形成し、かつ、上端部から気体放出口21の形成位置に至る間の任意の区間における摺動部材受容体の左右内側面22、23のそれぞれの面を内側向け勾配を形成する湾曲状又は直線状の傾斜面SF2、SF3とすると共に、摺動部材の左右外側面18、19のそれぞれの面を前記傾斜面SF2、SF3と係合する傾斜面SF4、SF5とし、それぞれの両傾斜面SF2、3とSF4、5との間に前記隙間S2、S3と連通する隙間S4、S5を形成して、前記溶融素材の流動圧を受けない初期状態において前記両隙間S2、S3が開口されており、その後前記摺動部材が溶融素材の流動先端部によって前記弾性体14に抗する方向Dに摺動せしめられるに従って前記それぞれの両傾斜面SF2とSF4、SF3とSF5が緊密に係合して密接し前記隙間S4、S5が密閉されるように構成された金型内の気体放出構造であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、前記請求項2、3に記載の金型内の気体放出構造において、さらに、前記摺動部材受容体の左右内側面22、23の間の前記摺動部材の前面16における摺動部材の上端部から下端部に至る区間に、溶融素材の流動先端部が入り込む隙間S1を形成すると共に、前記摺動部材の底面17における摺動部材受容体との摺動面を、上端部から下端部に至る内側向け勾配を形成する傾斜面SF1とし、前記溶融素材の流動圧を受けない初期状態において前記隙間S1が開口されており、その後前記摺動部材が溶融素材の流動先端部によって前記弾性体14に抗する方向Dに摺動せしめられるに従って前記隙間S1が密閉されるように構成された金型内の気体放出構造であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、前記請求項1乃至4に記載の金型内の気体放出構造において、前記摺動部材受容体の底部24に、有底穴12に連通しエジェクタピンEP1が挿通する開口25及び/又は気体放出口21に連通しエジェクタピンEP2が挿通する開口26を形成し、挿入されるエジェクタピンにより有底穴12、側面開口13及び/又は気体放出口21に充填された溶融素材RFを取り出すように構成された金型内の気体放出構造であることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、前記請求項1〜5のいずれかに記載の金型内の気体放出構造における前記摺動部材10を対向面に押圧する弾性体14が、コイルばね、板ばね、ゴム系弾性体、流体圧縮アクチュエータから選ばれた1種または複数の組合せから構成される金型内の気体放出構造であることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、前記請求項1〜6のいずれかに記載の金型内の気体放出構造における摺動部材10に形成される側面開口13と、前記摺動部材受容体20に形成される気体放出口21との組合せが複数組形成される金型内の気体放出構造であることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、前記請求項1〜7のいずれかに記載の金型内の気体放出構造が金型内の所要部位に形成された取付け用凹所に嵌め込み装着可能である金型内の気体放出構造であることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、前記請求項1〜8のいずれかに記載の金型内の気体放出構造における気体放出口21が非直線状又は勾配を付けた直線状の気体流通路として形成される金型内の気体放出構造であることを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、前記請求項1乃至9に記載の金型内の気体放出構造が、固定金型および可動金型によって形成される充填空間または該充填空間に繋がる溶融素材流動路の途中ないし末端付近に、予め一体的に配設された金型であることを特徴とする。
本発明に係る金型内の気体放出構造は、射出成形、ダイカスト成形等に不可欠の金型において、ゲートから遠い側に位置する溶融素材流動路の途中ないし末端付近で、溶融素材流の先端部によって押圧力を受ける部位に装着される。具体的な取り付け部位の決定には、コンピュータを援用した流動解析を利用することができる。このような気体放出構造は、溶融素材流の先端部の押圧力により移動せしめられる摺動部材10と、この摺動部材を対向面から溶融素材流の先端側に対抗する向きに押圧力を示す弾性部材14を備えた摺動部材受容体20と、から構成される。前記摺動部材には流動する溶融素材流の先端部と当接する正面に有底穴(縦向きの有底穴)12が形成され、該有底穴は少なくとも1個の側面開口13と連通している。この側面開口13は、流動してくる溶融素材流の先端部によって摺動部材10が押圧されるまでは、摺動部材受容体20に形成された気体放出口21と連通していて、キャビティ内の気体を外部に向けて何ら抵抗なく自由に放出可能となっている。その後キャビティ内への溶融素材の充填が進み、摺動部材10が溶融素材流先端によって押圧され、弾性部材14に抗して後退すると、気体放出口21が閉塞され溶融素材流の流出は遮断される。
例えば、コネクタ製品に使用されるナイロン、LCP等のように特に流動速度が高速の低粘度溶融素材は摺動部材を移動(作動)させるのに必要な押圧力が弱いため、気体放出口21が閉塞されずにガス類と共に溶融素材が連通穴から外部に流出する場合がある。そこで、溶融素材流の先端部により摺動部材10を押圧して確実に作動させて溶融素材の外部への流出を阻止する必要がある。なお、低粘度であるアルミやアルミ合金等金属は高速であり、プラスチック、セラミック、ゴム等は比較的緩速であることが知られており、さらに、プラスチック類、金属類、ゴム類であっても、基本素材、充填される副資材、用途、製品の構造、寸法等に伴う使用量の相違、本発明に係る気体放出構造の設置位置等によっても、摺動部材を作動されるに必要な押圧力にそれぞれ差異が生ずる。しかしながら、本発明に係る気体放出構造の摺動部材の作動押圧力は、溶融素材の流動先端によって直接決定される、いわゆる自力制御によって実行される。
このような溶融素材の外部への流出を阻止するために、本発明は、摺動部材の上端部から下端部に亘り溶融素材の流動先端部が入り込む隙間S1を摺動部材の前面16に形成し、また、前記摺動部材の有底穴12の縦サイズLを摺動部材の前面16から底面17に至る区間に亘る長さとして有底穴の容積を拡大している。そして、気体放出構造の上端部において摺動部材受容体の内側面22、23と摺動部材の外側面18、19のそれぞれの間の摺動部材の前面から底面に至る区間に隙間S2、S3及びこれらに連通する隙間S4、S5を形成している。このような構成により、本発明は溶融素材流の流入部分が拡張されて摺動部材を確実に作動させることが可能となり溶融素材の外部流出を確実に阻止することができる。
また、本発明においては前述したように隙間を形成するために溶融素材が外部に流出するおそれがある。そこで、摺動部材の底面17における摺動部材受容体との摺動面を上端部から下端部に至る内側向け勾配を付けた傾斜面SF1となるように構成することにより、前記摺動部材が溶融素材の流動先端部によって作動するに従って隙間S1が密閉され、溶融素材の流出を確実に阻止することができる。また、隙間S4、S5を挟んで摺動部材受容体の両内側面22、23を内側向け勾配を形成する湾曲状又は直線状の傾斜面SF2、SF3とすると共に摺動部材の両外側面18、19を前記傾斜面SF2、SF3と係合する傾斜面SF4、SF5とすることにより、前記摺動部材が溶融素材の流動先端部によって作動するに従ってそれぞれの両傾斜面SF2とSF4、SF3とSF5が緊密に係合して密接し前記隙間S4、S5が密閉され、溶融素材の流出を確実に阻止することができる。
さらに、本発明においては、前記摺動部材受容体の底部24に、有底穴12に連通しエジェクタピンEP1が挿通する開口25及び気体放出口21に連通しエジェクタピンEP2が挿通する開口26を形成する、または開口25のみ或いは開口26のみを形成して、挿入されるエジェクタピンにより有底穴、側面開口13又は気体放出口21に充填された溶融素材RFを押出して取り出すように構成することにより、摺動部材の有底穴、側面開口に充填された溶融素材と共に気体放出口等に入り込んだ溶融素材を確実に取り出してガス類の外部への放出を確実に行うことができる。上述したような構成とする本発明によれば、成形品に対するショートショット、鋳巣、バリ等の発生に起因する製品不良の発生は大幅に低減され、生産性向上に資することができる。
このような金型内の気体放出構造は、典型的な外形寸法の標準品として予め用意しておくことができる。金型作成時にはこの標準品を受容し得る装着部としての凹所を所要部位に形成しておき、事後的にねじ止め等により嵌合装着することができる。金型本体の製造工程は、装着用凹所の形成を除いて在来の手法に従い別途実施すればよい。このように形成された装着用凹所に対して上述のような標準形態に構成された本発明に係る気体放出構造を着脱可能に構成することができる。したがって、気体放出構造は単体として予め用意しておき、装着用凹所を備えた金型に装着可能となり、作業効率の向上、材料費や製造工数の削減も可能である。なお、成形対象となる溶融素材の種類や特性により気体放出構造が不要であれば、同一外形として形成されたダミー(盲部材)を嵌合固定しておけばよい。
かかる着脱可能な構成を採用することにより、製品のモデルチェンジ等による新規金型製造時には、本発明に係る気体放出構造を旧金型から取り外して、改めて製造された金型本体の取付け凹所に対して取付けて再利用することも可能であり、資源、労力、コストの節減が図れるため経済効果も大きい。なお、かかる事態を考慮する必要のない、何等の変更なしに長期間使用継続が予想される金型にあっては、同様の構造による気体放出構造を当初から組み込んだ金型を一体的に製造することができる。
本発明に係る金型内の気体放出構造の実施例1を示す図であり、(A)は初期状態における平面図、(B)は初期状態における気体放出状態を示す正面図、(C)は作動後の溶融素材が充填された状態を示す正面図、(D)は(B)の中央断面図、(E)は(C)の中央断面図である。 本発明に係る金型内の気体放出構造の実施例2を示す図であり、(A)は初期状態を示す平面図、(B)は初期状態における気体放出状態を示す正面図、(C)は作動後の溶融素材が充填された状態を示す正面図、(D)は(B)の中央断面図、(E)は(C)の中央断面図である。 本発明に係る金型内の気体放出構造の実施例3を示す図であり、(A)は初期状態を示す平面図、(B)は初期状態における気体放出状態を示す正面図、(C)は作動後の溶融素材が充填された状態を示す正面図、(D)は(B)の中央断面図、(E)は(C)の中央断面図である。 本発明に係る金型内の気体放出構造の実施例4を示す図であり、(A)は初期状態を示す平面図、(B)は初期状態における気体放出状態を示す正面図、(C)は作動後の溶融素材が充填された状態を示す正面図、(D)は(B)の中央断面図、(E)は(C)の中央断面図である。 本発明に係る金型内の気体放出構造の実施例5を示す図であり、(A)は初期状態を示す平面図、(B)は初期状態における気体放出状態を示す正面図、(C)は作動後の溶融素材が充填された状態を示す正面図、(D)は(B)の中央断面図、(E)は(C)の中央断面図である。 本発明に係る金型内の気体放出構造の実施例6を示す図であり、(A)は作動後の溶融素材が充填された状態を示す正面図、(B)は図Aの中央断面図でエジェクタピンを挿入した状態を示す図、(C)は有底穴及び側面開口並びに気体放出口に充填された溶融素材をエジェクタピンにより押出す状態を示す図、(D)は充填された溶融素材をエジェクタピンにより押出して取り出す状態を示す図である。 本発明に係る金型内の気体放出構造の他の構成例を示す図であり、(A)は実施例3における上端部に隙間を形成しない構成例を示す平面図、(B)は気体放出状態及び気体放出口を非直線状にした構成例を示す正面図、(C)は気体放出状態及び気体放出口を勾配を付けた直線状にした構成例を示す正面図である。 本発明に係る金型内の気体放出構造の有底穴の他の構成例を示す図であり、(A)は初期状態を示す平面図、(B)は初期状態における気体放出状態を示す正面図、(C)は作動後の溶融素材が充填された状態を示す正面図、(D)は(B)の中央断面図、(E)は(C)の中央断面図である。 本発明に係る金型内の気体放出構造の取付け部位の例(A)、(B)、(C)、(D)を示す概念図である。 従来技術に係る金型内の気体放出構造の構成を示す図であり、(A)は初期状態を示す平面図、(B)は初期状態における気体放出状態を示す正面図、(C)は作動後の溶融素材が充填された状態を示す正面図、(D)は(B)の中央断面図、(E)は(C)の中央断面図である。
10 摺動部材
12 有底穴
13 側面開口(側面穴)
14 弾性体(圧縮バネ)
16 摺動部材の前面
17 摺動部材の底面(摺動面)
18、19 摺動部材の外側面
20 摺動部材受容体
21 気体放出口
22、23 摺動部材受容体の内側面
24 摺動部材受容体の底部
25、26 エジェクタピン挿通開口
S1、S2、S3、S4、S5 隙間
SF1、SF2、SF3、SF4、SF5 傾斜面
L 有底穴の縦サイズ
EP1、EP2 エジェクタピン
RF 充填溶融素材
G 気体流動方向
R 溶融素材流動方向
D 摺動部材の移動方向
ES 拡張空間
A 気体放出構造
発明を実施するため最良の形態
以下、添付図を参照しつつ本発明に係る金型に装着可能な気体放出構造(以下、単に「気体放出構造」ともいう)の好適な実施例を開示する。図1は気体放出構造の実施例1を示す図であり、初期状態における平面図(A)、初期状態における気体放出状態を示す正面図(B)、作動後の溶融素材が充填された状態(気体流通路が閉塞された状態)を示す正面図(C)、図Bの中央断面図(D)および図Cの中央断面図(E)である。図1に示されるように、本発明の実施例1に係る気体放出構造は、有底穴12及び側面開口13を有し弾性体14による押圧力を受ける摺動部材10と気体放出口21を有する摺動部材受容体20に加えて、溶融素材の流動先端部が入り込む隙間S1(以下、単に「隙間S1」ともいう。)と摺動部材底面(摺動面)17に形成される傾斜面SF1(以下、単に「傾斜面SF1」ともいう。)により構成されている。なお、図面作成上、本発明に係る気体放出構造を縦形としているために、有底穴を縦向き、摺動部材の摺動方向を矢印Dのように縦方向と表現しているが、本発明に係る気体放出構造は横型、斜型とする場合は、それぞれ横又は斜め向き、横又は斜め方向となる。以下の説明においても同様である。
摺動部材10の上端部は、矢印G、Rのように図面上方から流動してくる気体並びに溶融素材の流動先端を受容するように形成されている。摺動部材10の上端部には、溶融樹脂等の先端部の接近に先立ち、混在している空気および発生ガスからなる気体を通流させるための底部が半円形状の縦向き有底穴12を有し、その下端の少し手前付近で連通する側面開口13が少なくとも1個形成されている。なお、ここでの「縦向き」や「上方」等の表現は、単に添付図面における図示された状態を表現したものに過ぎず、実際の使用状態における姿勢や配置とは無関係である。本実施例では側面開口13を左右に各1個形成しているが、用途や使用成形材料によっては1個のみ、もしくは3個以上としても良く、有底穴の底部の形状は半円形状に限られるものではなく三角形状、四角形状等とすることができる。
摺動部材10は、何等の外力が加わらない初期状態では弾性体14によって図(B、D)に示されるように上方に位置付けられ、側面開口13と気体放出口21とは連通した状態となっている。なお、図(A)(図2,3、4も同じ)に二点鎖線で示したように、摺動部材10および摺動部材受容体20は任意の部分で分割でき、一方を固定金型側、他方を可動金型側に分割して取付けることが望ましい。その結果、側面開口13および気体放出口21は穴あけ加工ではなく、開削加工による溝状体として形成することが可能となる。以下の開示では、固定金型側と可動金型側が重畳して、一体化しているものとする。
摺動部材受容体20は、図1に示すように摺動部材10の左右外側面および底面17の三方に接する状態で、図示していない案内溝や脱落防止枠等に支えられて摺動可能に受容するための受容空所が形成されている。そして摺動部材10の下端より下方の摺動部材受容体20(図B、D参照)には、摺動を許容するための空所が延長するように形成されており、その内部には摺動部材10を上方に向けて押圧する弾性体14が介在せしめられている。
本発明に係る摺動部材10を対向面に押圧する弾性体14としては、コイルばね、板ばね、ゴム系弾性体、流体圧縮アクチュエータ等が挙げられ、これらの1種または複数を組合せたものを採用することができる。また、摺動部材10に形成される側面開口13と、摺動部材受容体20に形成される気体放出口21との組合せは1組に限定されず、複数組形成してもよい。さらに、本発明に係る気体放出構造は、金型内の所要部位に形成された取付け用凹所に嵌め込み装着が可能であるように構成することができる。
摺動部材受容体20は、摺動部材10の側面開口13と少なくとも部分的に係合する気体放出口21を、図では摺動部材10の側面開口13に合わせて左右に各一個設けている。摺動部材受容体20の左右各1個の気体放出口21は、上述のように弾性体14の押圧力によって摺動部材10が上部に押し上げられている間、摺動部材10の側面開口13とそれぞれ連通するように形成されている。そのため、射出成型機、ダイカストマシン等のノズルから溶融素材が圧入される際の残留空気や溶融素材から発生するガス等の各種気体は、矢印Gのように摺動部材の有底穴12、側面開口13、摺動部材受容体20の気体放出口21の経路によりキャビティ外部へ放出される。その結果、ガス類の存在により溶融素材の流動が阻害されてキャビティ末端まで十分に到達しない場合に発生しがちなショートショット、焼けなどの製品劣化、鋳巣の発生等成形不良発生が低減する。なお、図では気体放出口を側面開口と同一平面上に形成しているが、気体放出口を側面開口と連通するように構成して上方側又は下方側のように立体的に形成することもできる。
溶融素材の流動先端部が入り込む隙間S1は、摺動部材の前面16の全ての面において、すなわち、摺動部材の上端部から下端部に至る面であって摺動部材受容体の左右内側面22と23との間に亘って摺動部材受容体の前面から凹んだ状態で形成される。そして、摺動部材受容体と接する(摺動する)摺動部材の底面17は、上端部から下端部まで内側向け勾配を形成する傾斜面SF1としている。図(D)に示すように、隙間S1は溶融素材の流動圧を受けない初期状態においては開口されてガス類が気体放出口から放出され、その後摺動部材が溶融素材の流動先端部によって弾性体に抗する方向Dに傾斜面SF1を摺動せしめられる(移動する)のに連動して、図(E)に示すように摺動部材が前面方向に移動して隙間S1が密閉されて溶融素材の外部への流出は阻止されることになる。このように溶融素材流の入り込む部分を拡張して摺動部材を確実に作動させると共に、溶融素材の外部流出を確実に阻止することが可能になる。なお、気体放出構造のサイズの大小等にもよるが、隙間S1の幅は1/1000〜7/100程度が好ましく、2/1000〜5/100程度がさらに好ましい。傾斜面SF1の傾斜角度は0.5度〜2度程度が好ましく、0.1度〜1度程度がさらに好ましい。隙間の間隔および傾斜面の勾配量は樹脂等の溶融素材の種類、性状等に応じて決定される。
図(C、E)は、図(A、B、D)に示した気体放出構造に対して、上方から矢印Rのように樹脂等の溶融素材の流動先端部が到達した状態を示すものである。その結果、摺動部材10が矢印Dのように下方に移動(作動)を開始し、摺動部材10の下面に配設された弾性体14が圧縮されて押し下げられ、摺動部材の側面開口13と摺動部材受容体の気体放出口21とが連通状態から閉塞状態に移行する。したがって、その後の溶融素材流の流動ないし外部への漏洩は阻止され、良好な成形結果が期待できる。
この場合、溶融素材の流動先端部は隙間S1にも入り込むが、その後瞬時に摺動部材は下方へ傾斜面SF1を摺動(移動)するために隙間S1が密閉されて溶融素材の外部への流出は確実に阻止される。なお、本発明に係る金型内の気体放出構造を、図(A)(図2,3、4も同じ)に二点鎖線で示したように固定金型側、可動金型側に分割して使用する場合、側面開口13と気体放出口21との開削溝の本数、幅、深さ等を、例えば固定金型側と可動金型側で差異を設けるなどの変化を付けることにより、溶融素材の性状に応じて、流動抵抗を大小さまざまに調節することも可能である。なお、図(A)(図2,3、4も同じ)では上側を固定金型側、下側を可動金型側としているが、その逆とすることは任意である。
図2は本発明に係る気体放出構造の実施例2を示す図であり、図1と同様に、図(A)〜(E)は平面図、正面図、断面図であり、図(C、E)は、図(A、B、D)に示した気体放出構造に対して溶融素材の流動先端部が到達した状態を示すものである。なお、図1と同一部位の参照符号は省略する。また図1の実施例1と同一の構成、動作等の説明は省略し実施例1と相違する構成、動作等について説明する。
図2に示されるように、本発明の実施例2に係る気体放出構造は、有底穴12及び側面開口13を有し弾性体14による押圧力を受ける摺動部材10と気体放出口21を有する摺動部材受容体20とを備える気体放出構造において、特に図(A、D)に表れるように摺動部材の有底穴12の縦サイズ(縦幅)を摺動部材の前面16から底面17に至る区間に亘る長さLとして、溶融素材流の入り込む有底穴の容積を拡張したものである。このように溶融素材流の入り込む部分を拡張することにより、溶融素材流の押圧力を高めて摺動部材を確実に作動させることができる。
図3は本発明に係る気体放出構造の実施例3を示す図であり、図1と同様に、図(A)〜(E)は平面図、正面図、断面図であり、図(C、E)は、図(A、B、D)に示した気体放出構造に対して溶融素材の流動先端部が到達した状態を示すものである。なお、図1と同一部位の参照符号は省略する。また図1の実施例1と同一の構成、動作等の説明は省略し実施例1と相違する構成、動作等について説明する。本発明の実施例3に係る気体放出構造は、図3に示されるように、前記した有底穴の縦幅を拡げて容積を拡張した構成の実施例2の構成に、さらに、溶融素材の流動先端部が入り込む隙間S2、S3及びこれに連通する隙間S4、S5を形成すると共に傾斜面SF2、SF3、SF4、SF5を形成する構成を付加した構成とするものである。
隙間S2、S3は、図(A)に示すように、気体放出構造の上端部において、摺動部材受容体の内側面22と摺動部材の外側面18との間、および摺動部材受容体の内側面23と摺動部材の外側面19との間に、それぞれ摺動部材の前面16から底面17に至る区間に亘って形成される。隙間S4、S5は、図(B)に示すように、隙間S2、S3とそれぞれ連通して、傾斜面SF2とSF4との間およびSF3とSF5との間にそれぞれ形成される。このように溶融素材流の入り込む部分となる隙間を増加することにより摺動部材を確実に作動させることができる。
図(B)に示すように、傾斜面SF2は摺動部材受容体の一方の内側面22の上端部から気体放出口21の形成位置までの任意の区間に内側向け勾配を付けて湾曲状又は直線状に形成され、傾斜面SF3は摺動部材受容体の他方の内側面23の上端部から気体放出口21の形成位置までの任意の区間に内側向け勾配を付けて湾曲状又は直線状に形成される。なお、傾斜面SF2、3は湾曲状又は直線状のみに限られず、垂直面と平坦面を接合した面等とすることができる。また、傾斜面SF4は摺動部材の一方の外側面18に、摺動部材が方向Dに向け移動した際に傾斜面SF2と係合する形状に形成され、傾斜面SF5は摺動部材の一方の外側面19に、摺動部材が方向Dに向け移動した際に傾斜面SF3と係合する形状に形成される。
そして、初期状態において両隙間S2、S3は開口されており、その後溶融素材の流動先端部が隙間S2、S3から流入して摺動部材が方向Dに移動するに従ってそれぞれの傾斜面SF2とSF4、SF3とSF5が緊密に係合して密接し隙間S4、S5が密閉され、溶融素材の外部流出を確実に阻止することができる。このように実施例3によれば、摺動部材を確実に作動させると共に溶融素材の外部流出を確実に阻止することができる。なお、実施例3においては、後述する図7に示すように摺動部材上端部の隙間S2、S3は形成せずに、隙間4、5を形成した構成とすることができる。
図4、5は本発明に係る気体放出構造の実施例4、5を示す図であり、図1と同様に、図(A)〜(E)は平面図、正面図、断面図であり、図(C、E)は、図(A、B、D)に示した気体放出構造に対して溶融素材の流動先端部が到達した状態を示すものである。なお、図1と同一部位の参照符号は省略する。また図1の実施例1と同一の構成、動作等の説明は省略し実施例1と相違する構成、動作等について説明する。
本発明の実施例4に係る気体放出構造は、図4に示されるように、上記した有底穴の容積を拡張した構成の実施例2に、さらに隙間S1および傾斜面SF1を付加したものであり、本発明の実施例5に係る気体放出構造は、図5に示されるように、上記した隙間S2〜5並びに傾斜面SF2〜5を形成した実施例3に、さらに隙間S1および傾斜面SF1を付加したものである。なお、実施例2、3の構成については前述したのでそれらの説明は省略する。このような構成により、溶融素材流の入り込む部分を更に増加して摺動部材を確実に作動させると共に溶融素材の外部流出を確実に阻止することが可能になる。
図6は本発明に係る気体放出構造の実施例6を示す図であり、(A)は作動後の溶融素材が充填された状態を示す正面図、(B)は図(A)の中央断面図でありエジェクタピンEP1、EP2を取付けた状態を示す図、(C)は有底穴及び側面開口並びに気体放出口に充填された溶融素材RFをエジェクタピンにより押出す状態を示す図、(D)は充填された溶融素材RFをエジェクタピンにより押出して取り出す状態を示す図である。なお、図1と同一部位の参照符号は省略する。また実施例1乃至5の構成、動作等の説明は省略する。本発明の実施例6に係る気体放出構造は、上記した実施例1乃至5に係る気体放出構造において、図6に示されるように、有底穴及び側面開口並びに気体放出口に充填される溶融素材を取出すためのエジェクタピンEP1、EP2を配設した構成をさらに付加したものである。
エジェクタピンEP1は、摺動部材受容体の底部24に形成され有底穴12に連通する開口25から挿通されて、有底穴12及び側面開口13に充填された溶融素材RFを押出して取り出すものであり、エジェクタピンEP2は、摺動部材受容体の底部24に形成され気体放出口21に連通する開口26から挿通されて、気体放出口に充填された溶融素材RFを押出して取り出すものである。このようなエジェクタピンEP1、EP2により、有底穴及び側面開口、又は気体放出口に充填された溶融素材を確実に取り出してその後の射出時にガス類が外部に放出されなくなる事態を防止すると共に摺動部材の円滑な作動を確保する。なお、通常は気体放出口には溶融素材が入り込む事態は殆どないが、エジェクタピンEP2は溶融素材が隙間を介して気体放出口に仮に入り込んだ場合に取り出すための手段であり、気体放出口への溶融素材の充填がない場合にはエジェクタピンEP2は開口26から挿通されるのみで取り出し処理は行わないものである。
図7は本発明に係る気体放出構造の実施例7を示す図であり、(A)は実施例3における上端部に隙間を形成しない他の構成例の初期状態を示す平面図、(B)は初期状態における気体放出状態並びに気体放出口を非直線状にした構成例を示す正面図、(C)は初期状態における気体放出状態並びに気体放出口を勾配を付けた直線状にした構成例を示す正面図である。なお、図1乃至5と同一部位の参照符号は省略する。また実施例1乃至5の構成、動作等の説明は省略する。本発明の実施例7に係る気体放出構造は、図7に示されるように実施例3における上端部に隙間を形成しない構成としている。このような構成によっても確実に摺動部材を作動させると共に溶融素材の外部流出を阻止することが可能になる。
また、本発明の実施例7に係る気体放出構造における摺動部材受容体20に形成される気体放出口21は、図7(B)に示すように非直線状、また図7(C)に示すように上方に向けて勾配を付けた直線状の気体流通路として形成されている。なお、直線状の勾配は下方に向けたものでもよい。金型や気体放出構造のサイズ、気体放出構造の取付け場所等によって、気体放出構造を金型に取付けるためのネジ穴の位置をその都度決定する必要がある。そのために気体放出口の形状は、平坦な直線状、勾配を付けた直線状、非直線状その他の形状に変更可能とすることが好ましい。なお、気体放出口のこのような形状は実施例1乃至5においても適用されるものである。
また、本発明においては、側面開口13と気体放出口21との閉塞タイミングを調整するために、側面開口および気体放出口の長さを拡張することができ、また以下の構成を採用することができる。このように外部への気体の放出量を調整することにより流動速度が高速の低粘度溶融素材の外部への流出を阻止することができる。上述のように摺動部材が溶融素材流の先端部によって押圧されて弾性部材14に抗して後退すると、気体放出口21が閉塞され溶融素材流の流出は遮断されることになり、溶融素材がプラスチック、セラミック、ゴム等は流動速度が比較的緩速であり外部への流出は生じないが、低粘度であるアルミやアルミ合金等金属は流動速度が高速であるために、側面開口13と気体放出口21とが連通し溶融素材の圧入に伴う残留空気や溶融素材から発生するガス等の各種気体が外部へ放出される際に、これら気体と一緒に外部に流出する可能性がある。そこで、気体放出口21からの気体放出効果を溶融素材の粘度に応じて変更可能にすることが好ましい。
気体放出口21および側面開口13の少なくとも一方の気体流通路の形状を非直線状、例えば、カギ形状、先方がテーパー状の略三角形状等とすることによって外部への気体の放出量を調整することにより、流動速度が高速の低粘度溶融素材の外部への流出を阻止することができる。また、前記気体放出口21と側面開口13とによって形成される開口部の断面積を摺動部材10の移動量に応じて経時的に変化するように形成することにより、上記と同様の効果を得ることができる。例えば、側面開口13を、異なる内径の、大流量開口と小流量開口の2個の複数開口とし、或いは大流量開口、中流量開口、小流量開口のように3個の複数開口として、摺動部材の摺動量に応じて複数開口の中のいずれかの開口が対向する気体放出口と連通することによって、外部との導通状態が形成される。このように構成することにより、気体の放出量が経時的に変化し、最終的に開口のない閉塞域に達して完全に閉塞されることになる。開口の個数、それぞれの寸法、隣接開口との間隔等は、加熱温度、滞留時間等の成形条件を考慮した溶融素材の粘度、発生ガス量等を勘案して決定すればよい。
また、気体放出口21と側面開口13のいずれか一方を寸法の異なる複数の開口として形成し、当該時点において他方の開口部と係合する開口の寸法および/または割合によって決まる実質的開口部面積が、摺動部材10と摺動部材受容体20との相対的移動量に応じて経時的に変化するように形成することによって、気体放出量を低減させるような経時的放出量調整を行うことも可能である。開口の寸法等は、各溶融素材の成形条件における溶融素材の粘度、発生ガス量等を勘案して決定すればよい。
本実施例では、摺動部材10に形成された側面開口13と気体放出口21との摺動面における開口部の接離によって気体の流動および閉塞を制御しているが、例えば、摺動部材側に内径に段差ないし絞りのある丸穴を形成し、摺動部材受容体20の下方から丸棒を突出させて放出・閉塞を実現することもできる。このような構成では、摺動部材10が初期状態にある際は、摺動部材受容体20側の丸棒の先端は、丸穴の大径部分に位置するため、気体成分の流動は自由である。しかし、溶融素材の流動先端Rが図2のように摺動部材10を押圧するようになると、下降する摺動部材10側の丸穴の狭小部ないし絞り部と摺動部受容体側から突出している丸棒とが緊密に係合した場合に閉塞状態となる。このような構成では、金型内部からの気体放出は摺動部材10の運動方向に沿って流動し排出されることになる。
図8は本発明に係る気体放出構造の有底穴の他の構成例を示す図であり、図1と同様に、図(A)〜(E)は平面図、正面図、断面図であり、図(C、E)は、図(A、B、D)に示した気体放出構造に対して溶融素材の流動先端部が到達した状態を示すものである。なお、図1と同一部位の参照符号は省略する。また図1の実施例1と同一の構成、動作等の説明は省略し実施例1と相違する構成等について説明する。この構成例に係る有底穴は、図(A)に示すように摺動部材上端部におけるガス類及び溶融素材が当接する有底穴部を中央に狭小にして摺動部材受容体から区画して形成し、そして図(C、D、E)に示すように、その下方部における溶融素材が流入する空間ESを実施例2と同様の縦幅として有底穴の容積を拡張している。なお、この構成例においても実施例1の隙間S1および傾斜面SF1を付加するように構成してもよい。このような構成によっても摺動部材の円滑な作動を確保することができ、溶融素材の外部流出を阻止することができる。
図9は、本発明に係る金型内の気体放出構造Aの金型内部への配置例を模式的に図示したものであり、図中、実線矢印は溶融素材の流動方向を、破線矢印は気体の流動方向を表している。図(A)は、シングルゲートである左端ゲートから溶融素材を圧入する例である。溶融素材の流動方向も単一の最も簡単な構成例であり、溶融素材の流れ方向の末端側に気体放出構造Aを配設する例を示している。図(B)は、シングルゲートで左右2方向に分岐して溶融素材を流動させる実施例であり、それぞれの溶融素材流動末端付近に気体放出構造Aをそれぞれ配設している。図(C)は主として大型成形品の成形を、多点(2)ゲートで成形する例であり、左右のゲート1およびゲート2から流動する溶融素材の合流点付近に1個の気体放出構造Aを配設した例を示すものである。
図(D)は、シングルゲートから分岐路に至り溶融素材流動路を二分して、2方向からキャビティに充填する実施例を示すものである。この例では、2個の気体放出構造Aを溶融素材流動路の屈曲部位における溶融素材の流動方向先端に配設している。左右に分岐した溶融素材流動部先端が気体放出構造Aに到達するまでの間、溶融素材流動路およびキャビティ内部の気体成分を流動放出させる。溶融素材の流動先端が有底穴12に衝突するまでの間、溶融素材が低粘度で流動速度が高い場合には強力な放出作用を呈し、ベンチュリー効果により残余の流動路ならびにキャビティ内部を低圧(負圧)に減圧する効果が期待できる。その結果、キャビティ内への流動素材圧入が容易となり、成形作用に良好な影響をもたらす。溶融素材の流動先端が有底穴12に衝突して摺動部材10を摺動させることにより、前述の実施例と同様に気体放出口21は閉塞され、溶融素材はキャビティ内に充填される。
これら典型的な実施例のように、溶融素材を圧入するゲートからの流動方向を見極め、好ましくはコンピュータを援用する流動解析等を駆使して、流動末端に本発明に係る気体放出構造Aを配設して、溶融素材の流動を円滑かつ理想的な形態に保持することにより成形不良を大幅に低減し、成形作業の効率向上、時間および資材、労力、エネルギーの節減を図ることが可能となる。また、上述した実施例並びにその他の構成例に係る金型内の気体放出構造を、固定金型および可動金型によって形成される充填空間または該充填空間に繋がる溶融素材流動路の途中ないし末端付近に、予め一体的に配設した金型とすることができる。
本発明に係る金型内の気体放出構造は、摺動部材と摺動部材受容体からなる簡潔な構成に加えて、溶融素材が入り込む隙間、隙間を係合して密閉する傾斜面を形成した構成であるので、溶融素材の流動部先端が該気体放出構造に到達した際に時間遅れもなく確実に自力作動して溶融素材の外部流出を阻止する。この金型内部の気体放出構造では、摺動体自体が作動タイミングを決定するセンサとなり、同時に制御機構として機能する、いわゆる自力制御が行われる。したがって、現象を検知するためのセンサはもとより弁類を駆動するためのソレノイド手段、油圧シリンダ等の操作駆動部等は不要である。そのため、使用材料、加工時間、製作費用等の点で有利であり、作動上の時間遅れもほとんど無視できるため、キャビティ内ガスに起因する成形不良を大幅に低減することができる。
本発明に係る金型内の気体放出構造は、摺動部材および摺動部材受容体の両者に対する開削加工並びに摺動を円滑にするための摺動部加工が初期の精度で行われる限り、高精度でかつ時間的な遅延無しに自力作動により気体放出が行われる。なお、金型内での正確な配設部位はキャビティの形状、大きさ、ゲート数、使用溶融素材等の所要条件を定め、コンピュータを援用した溶融素材の流動解析により正確に設定することが可能である。
また、本発明のように金型内の気体放出構造を単体で用意可能とした結果、新規金型はもとより、従来の金型の適宜部位に取り付け部としての凹所を形成する改造を行って装着することにより成形加工効率を大幅に向上させることも期待できる。気体放出構造の単体を配設した金型が不要となった際は、本機構のみを取り外し、他の金型において流用することもできる。特に季節モノと呼ばれて流行を取り入れ、あるいは短期間のみの需要を満たすための金型等は出来るだけ廉価に仕上げる必要があるが、本発明に係る気体放出構造が流用可能であるため、経済的にも製作時間等の点からも好ましい。また、長期間使用継続が可能な金型にあっては、同様の構造による気体放出構造を当初から組み込んだ金型を一体的に製造することも可能であり、経済性が高まる。
請求項4に記載の発明は、前記請求項2又は3のいずれかに記載の金型内の気体放出構造において、さらに、前記摺動部材受容体の左右内側面22、23の間の前記摺動部材の前面16における摺動部材の上端部から下端部に至る区間に、溶融素材の流動先端部が入り込む隙間S1を形成すると共に、前記摺動部材の底面17における摺動部材受容体との摺動面を、上端部から下端部に至る内側向け勾配を形成する傾斜面SF1とし、前記溶融素材の流動圧を受けない初期状態において前記隙間S1が開口されており、その後前記摺動部材が溶融素材の流動先端部によって前記弾性体14に抗する方向Dに摺動せしめられるに従って前記隙間S1が密閉されるように構成された金型内の気体放出構造であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、前記請求項1〜4のいずれかに記載の金型内の気体放出構造において、前記摺動部材受容体の底部24に、有底穴12に連通しエジェクタピンEP1が挿通する開口25及び/又は気体放出口21に連通しエジェクタピンEP2が挿通する開口26を形成し、挿入されるエジェクタピンにより有底穴12、側面開口13及び/又は気体放出口21に充填された溶融素材RFを取り出すように構成された金型内の気体放出構造であることを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、前記請求項1〜9のいずれかに記載の金型内の気体放出構造が、固定金型および可動金型によって形成される充填空間または該充填空間に繋がる溶融素材流動路の途中ないし末端付近に、予め一体的に配設された金型であることを特徴とする。

Claims (10)

  1. 弾性体による押圧力を対向面側から受ける摺動部材であって、溶融素材の流動方向に形成された有底穴並びに該有底穴に連通しかつ前記溶融素材の流動方向と交差する向きに開口する少なくとも1個の側面開口を有する摺動部材と、前記摺動部材を溶融素材の流動方向に並行する方向に摺動可能に受容し、前記溶融素材の流動圧を受けない初期状態において前記摺動部材の側面開口と連通していて、その後前記摺動部材が溶融素材の流動先端部によって前記弾性体に抗する方向に摺動せしめられた際に閉塞される気体放出口を有する摺動部材受容体と、からなる金型内の気体放出構造であって、固定金型および可動金型によって形成される充填空間または該充填空間に繋がる溶融素材流動路の途中ないし末端付近に装着される金型内の気体放出構造において、
    前記摺動部材受容体の左右内側面の間の前記摺動部材の前面における摺動部材の上端部から下端部に至る区間に、溶融素材の流動先端部が入り込む隙間S1を形成すると共に、前記摺動部材の底面における摺動部材受容体との摺動面を、上端部から下端部に至る内側向け勾配を形成する傾斜面SF1とし、
    前記溶融素材の流動圧を受けない初期状態において前記隙間が開口されており、その後前記摺動部材が溶融素材の流動先端部によって前記弾性体に抗する方向に摺動せしめられるに従って前記隙間が密閉されるように構成されたことを特徴とする金型内の気体放出構造。
  2. 弾性体による押圧力を対向面側から受ける摺動部材であって、溶融素材の流動方向に形成された有底穴並びに該有底穴に連通しかつ前記溶融素材の流動方向と交差する向きに開口する少なくとも1個の側面開口を有する摺動部材と、前記摺動部材を溶融素材の流動方向に並行する方向に摺動可能に受容し、前記溶融素材の流動圧を受けない初期状態において前記摺動部材の側面開口と連通していて、その後前記摺動部材が溶融素材の流動先端部によって前記弾性体に抗する方向に摺動せしめられた際に閉塞される気体放出口を有する摺動部材受容体と、からなる金型内の気体放出構造であって、固定金型および可動金型によって形成される充填空間または該充填空間に繋がる溶融素材流動路の途中ないし末端付近に装着される金型内の気体放出構造において、
    前記摺動部材の有底穴の縦サイズを、摺動部材の前面から底面に至る区間に亘る長さLとし、溶融素材流の摺動部材に対する押圧力を高めるために有底穴の容積を拡張するように構成されたことを特徴とする金型内の気体放出構造。
  3. 請求項2に記載の金型内の気体放出構造において、
    さらに、前記気体放出構造の上端部において、前記摺動部材受容体の左右内側面と摺動部材の左右外側面のそれぞれの面の間に、摺動部材の前面から底面に至る区間に溶融素材の流動先端部が入り込む隙間S2、S3を形成し、
    かつ、上端部から気体放出口の形成位置に至る間の任意の区間における摺動部材受容体の左右内側面のそれぞれの面を内側向け勾配を形成する湾曲状又は直線状の傾斜面SF2、SF3とすると共に、摺動部材の左右外側面のそれぞれの面を前記傾斜面と係合する傾斜面SF4、SF5とし、それぞれの両傾斜面との間に前記隙間と連通する隙間S4、S5を形成して、
    前記溶融素材の流動圧を受けない初期状態において前記両隙間が開口されており、その後前記摺動部材が溶融素材の流動先端部によって前記弾性体に抗する方向に摺動せしめられるに従って前記それぞれの両傾斜面が緊密に係合して前記隙間S4、S5が密閉されるように構成されたことを特徴とする金型内の気体放出構造。
  4. 請求項2、3に記載の金型内の気体放出構造において、
    さらに、前記摺動部材受容体の左右内側面の間の前記摺動部材の前面における摺動部材の上端部から下端部に至る区間に、溶融素材の流動先端部が入り込む隙間S1を形成すると共に、前記摺動部材の底面における摺動部材受容体との摺動面を、上端部から下端部に至る内側向け勾配を形成する傾斜面SF1とし、
    前記溶融素材の流動圧を受けない初期状態において前記隙間が開口されており、その後前記摺動部材が溶融素材の流動先端部によって前記弾性体に抗する方向に摺動せしめられるに従って前記隙間が密閉されるように構成されたことを特徴とする金型内の気体放出構造。
  5. 請求項1乃至4に記載の金型内の気体放出構造において、
    前記摺動部材受容体の底部に、有底穴に連通しエジェクタピンEP1が挿通する開口及び/又は気体放出口に連通しエジェクタピンEP2が挿通する開口を形成し、挿入されるエジェクタピンにより有底穴、側面開口及び/又は気体放出口に充填された溶融素材RFを取り出すように構成されたことを特徴とする金型内の気体放出構造。
  6. 前記摺動部材を対向面に押圧する弾性体が、コイルばね、板ばね、ゴム系弾性体、流体圧縮アクチュエータから選ばれた1種または複数の組合せから構成されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の金型内の気体放出構造。
  7. 前記摺動部材に形成される側面開口と、前記摺動部材受容体に形成される気体放出口との組合せが複数組形成されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の金型内の気体放出構造。
  8. 前記気体放出構造が金型内の所要部位に形成された取付け用凹所に嵌め込み装着可能であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の金型内の気体放出構造。
  9. 前記気体放出口が非直線状又は勾配を付けた直線状の気体流通路として形成されることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の金型内の気体放出構造。
  10. 請求項1乃至9に記載の金型内の気体放出構造が、固定金型および可動金型によって形成される充填空間または該充填空間に繋がる溶融素材流動路の途中ないし末端付近に、予め一体的に配設されたことを特徴とする金型。
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