JPWO2013132998A1 - 画像処理装置、顕微鏡システム、及び画像処理方法 - Google Patents

画像処理装置、顕微鏡システム、及び画像処理方法 Download PDF

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Abstract

標本に対して特殊染色を施すことなく、顕微鏡観察画像から弾性繊維と、血球等の弾性繊維以外の標本構成要素とを同時に抽出して観察することができる画像処理装置等を提供する。画像処理装置は、HE染色が施された標本の蛍光観察画像を表す画像情報を取得する画像取得部32と、蛍光観察画像内の複数の画素における蛍光強度の波長分布をそれぞれ表す複数のスペクトルを生成するスペクトル生成部351と、複数の画素から、特定のスペクトルの特徴を有する画素群を少なくとも2つ抽出する波長分離/画素抽出部352と、抽出された画素群に基づいて画像を生成する画像生成部353とを備える。

Description

本発明は、生体標本の顕微鏡観察画像を処理する画像処理装置、顕微鏡システム、及び画像処理方法に関する。
従来、生体標本を顕微鏡により観察する際には、観察対象や観察目的に応じて染色の種類や検鏡法が選択して用いられている(例えば、特許文献1参照)。例えば、組織や細胞の形態を観察するための形態観察染色として、ヘマトキシリン及びエオシンの2つの色素を用いるヘマトキシリン・エオシン染色(以下、「HE染色」と記す)や、パパニコロウ染色(Pap染色)等の非蛍光染色が知られている。このような形態観察染色が施された標本は、通常、光学顕微鏡において透過照明による明視野観察が行われる。
また、病理観察においては、形態情報に基づく形態診断における情報不足を補完したり、薬投与の適否判断を行うために、特殊染色や免疫染色と呼ばれる染色が行われることもある。例えば、標的分子(特定の遺伝子やタンパク)の発現異常といった機能異常を診断する分子学的病理検査を行う場合、IHC(immunohistochemistry:免疫組織化学)法、ICC(immunocytochemistry:免疫細胞化学)法、ISH(in situ hybridization)法等で標的分子に蛍光標識(染色)を施し、落射照明による蛍光観察を行ったり、酵素標識を施して明視野観察を行ったりする。
しかしながら、このような特殊染色や免疫染色は、標本作製に時間や手間がかかると共に、コスト上昇の要因にもなる。そのため、これらの染色を用いることなく目的の組織を観察する手法も検討されている。
また、特許文献2には、生体組織に紫外線を照射し、それによって発生した弾性繊維の自家蛍光を検出する内視鏡システムが開示されている。
特開2011−2341号公報 特開2003−102671号公報
ところで、弾性繊維においては、癌等の病変が初期の段階であっても変質が見られるので、診断において弾性繊維の観察を行うことにより病変の早期発見が期待される。しかしながら、従来の弾性繊維の観察手法においては、弾性繊維を単独でしか抽出することができず、標本中の弾性繊維以外の構成要素(以下、標本構成要素という)を参照したり、弾性繊維とそれ以外の構成要素とを比較観察したりすることが困難であった。例えば、弾性繊維と併せて、血流と関連する血球を同時に観察することができれば、病理診断等において非常に有用と考えられるが、従来の観察手法では、弾性繊維及び血球を同時に抽出することができなかった。
また、特許文献2においては、弾性繊維のマクロの状態しか検出することができない。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、標本に対して特殊染色を施すことなく、顕微鏡観察画像から弾性繊維と、血球等の弾性繊維以外の標本構成要素とを同時に抽出して観察することができる画像処理装置、顕微鏡システム、及び画像処理方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る画像処理装置は、ヘマトキシリン・エオシン染色が施された標本の蛍光観察画像を表す画像情報を取得する画像取得部と、前記蛍光観察画像内の複数の画素における蛍光強度の波長分布をそれぞれ表す複数のスペクトルを生成するスペクトル生成部と、前記複数の画素から、特定のスペクトルの特徴を有する画素群を少なくとも2つ抽出する画素抽出部と、抽出された前記画素群に基づいて画像を生成する画像生成部と、を備えることを特徴とする。
上記画像処理装置において、前記画素抽出部は、前記標本内の少なくとも2種類の構成要素に関して予めそれぞれ取得された少なくとも2つの蛍光強度のスペクトルを参照して、前記少なくとも2つの画素群を抽出することを特徴とする。
上記画像処理装置において、前記画素抽出部は、前記少なくとも2つの蛍光強度のスペクトルにおけるピーク波長と同じピーク波長を有する画素群をそれぞれ、前記少なくとも2つの画素群として抽出することを特徴とする。
上記画像処理装置において、前記画素抽出部は、前記ピーク波長が560nmである画素群を、前記標本内の弾性繊維を表す画素群として抽出し、前記ピーク波長が570nmである画素群を、前記標本内の血球を表す画素群として抽出することを特徴とする。
上記画像処理装置において、前記画素抽出部は、前記ピーク波長が560nmである前記画素群内の複数の画素のうち、ピーク波長における蛍光強度が所定の閾値以上である画素群を、前記弾性繊維を表す画素群として抽出することを特徴とする。
上記画像処理装置において、前記画像取得部は、ヘマトキシリン・エオシン染色が施された標本の明視野観察画像を表す第2の画像情報をさらに取得し、前記画像生成部は、前記第2の画像情報に基づく第2の画像をさらに生成することを特徴とする。
上記画像処理装置は、前記画像と前記第2の画像との内の少なくとも1つを表示する画像表示部をさらに備えることを特徴とする。
上記画像処理装置は、前記第2の画像に対して前記画像を重畳した合成画像を生成する画像合成部をさらに備えることを特徴とする。
上記画像処理装置は、前記画像と、前記第2の画像と、前記合成画像との内の少なくとも1つを表示する画像表示部をさらに備えることを特徴とする。
本発明に係る画像処理装置は、明視野観察用の染色が施された標本の蛍光観察画像を表す画像情報を取得する画像取得部と、前記蛍光観察画像内の複数の画素の画素値に基づいて、前記標本内の特定の構成要素に対応する画素群を抽出する画素抽出部と、前記画素群に基づいて画像を生成する画像生成部と、を備えることを特徴とする。
上記画像処理装置は、前記弾性繊維を表す画素群に基づいて、前記蛍光観察画像に写った血管における異常の有無を判定する異常判定部をさらに備えることを特徴とする。
上記画像処理装置において、前記異常判定部は、前記弾性繊維を表す画素群に基づいて、血管の形態特徴量を算出する血管特徴量算出部と、前記血管の形態特徴量に基づいて、前記血管の異常の有無を判定する判定部と、を備えることを特徴とする。
上記画像処理装置において、前記異常判定部は、前記弾性繊維の連続性を判定する弾性繊維連続性判定部と、前記連続性の判定結果に基づいて、前記血管における異常の有無を判定する判定部と、を備えることを特徴とする。
上記画像処理装置において、前記弾性繊維連続性判定部は、前記弾性繊維によって囲まれる領域の面積及び前記弾性繊維の円形度に基づいて、前記弾性繊維の連続性を判定する、ことを特徴とする。
上記画像処理装置において、前記異常判定部は、前記弾性繊維をもとに、前記血管の脈壁の厚みを算出する脈壁厚算出部と、前記厚みに基づいて、前記血管が正常であるか又は異常であるかを判定する判定部と、を備えることを特徴とする。
上記画像処理装置において、前記脈壁厚算出部は、前記弾性繊維をもとに前記血管の外径を測定し、前記弾性繊維をもとに前記弾性繊維の内側の領域を抽出し、前記内側の領域をもとに前記血管の内径を測定し、前記血管の外径及び前記血管の内径をもとに前記脈壁の厚みを算出する、ことを特徴とする。
上記画像処理装置は、前記血管の形態特徴量と前記血管における異常の有無及び/又は異常の程度の判定結果とを関連付けたルックアップテーブルを記憶する記憶部をさらに備え、前記判定部は、前記ルックアップテーブルを参照して前記異常の有無及び/又は異常の程度を判定する、ことを特徴とする。
上記画像処理装置は、前記弾性繊維の連続性の判定結果と前記血管における異常の有無及び/又は異常の程度の判定結果とを関連付けたルックアップテーブルを記憶する記憶部をさらに備え、前記判定部は、前記ルックアップテーブルを参照して前記異常の有無及び/又は異常の程度を判定する、
ことを特徴とする。
上記画像処理装置は、前記脈壁の厚みに関する評価値と前記血管における異常の有無及び/又は異常の程度の判定結果とを関連付けたルックアップテーブルを記憶する記憶部をさらに備え、前記判定部は、前記ルックアップテーブルを参照して前記異常の有無及び/又は異常の程度を判定する、ことを特徴とする。
本発明に係る顕微鏡システムは、上記画像処理装置と、前記標本が載置されるステージと、前記ステージに向けて励起光を照射する落射照明光学系と、前記ステージと対向して設けられ、前記標本の方向からの光を入射させる対物光学系と、前記対物光学系を透過した前記光から蛍光光を抽出するフィルタと、前記対物光学系を透過した光の光路上に設けられ、前記標本の観察像を撮像して画像情報を生成する撮像部と、を備えることを特徴とする。
本発明に係る顕微鏡システムは、上記画像処理装置と、前記標本が載置されるステージと、前記ステージに向けて励起光を照射する落射照明光学系と、前記ステージに向けて照明光を照射する透過照明光学系と、前記標本に照射される前記励起光と前記照明光とを切り換える切換手段と、前記ステージと対向して設けられ、前記標本の方向からの光を入射させる対物光学系と、前記対物光学系を透過した光の光路上に挿脱可能に設けられ、該光から所定の波長帯域の蛍光光を抽出するフィルタと、前記対物光学系を透過した光の光路上に設けられ、前記標本の観察像を撮像して画像情報を生成する撮像部と、を備えることを特徴とする。
上記顕微鏡システムにおいて、前記励起光の波長帯域は、300nm以上400nm以下であることを特徴とする。
上記顕微鏡システムにおいて、前記蛍光光の波長帯域は、520nm以上650nm以下であることを特徴とする。
上記顕微鏡システムにおいて、前記撮像部は、複数の波長帯域において撮像可能なカメラであることを特徴とする。
本発明に係る画像処理方法は、ヘマトキシリン・エオシン染色が施された標本の蛍光観察画像を表す画像情報を取得する画像取得ステップと、前記蛍光観察画像内の複数の画素における蛍光強度の波長分布をそれぞれ表す複数のスペクトルを生成するスペクトル生成ステップと、前記複数の画素から、特定のスペクトルの特徴を有する画素群を少なくとも2つ抽出する画素抽出ステップと、抽出された前記画素群に基づいて画像を生成する画像生成ステップと、を含むことを特徴とする。
上記画像処理方法は、前記スペクトルが所定の波長においてピークを示す画素を前記標本内の弾性繊維を表す画素として抽出し、該画素に基づいて、前記蛍光観察画像に写った血管における異常の有無を判定する異常判定ステップをさらに含むことを特徴とする。
本発明によれば、明視野観察用の染色法であるHE染色が施された標本を蛍光観察することによって取得した画像から、自家蛍光を発する弾性繊維及び弾性繊維以外の標本構成要素を検出することができる。従って、標本に対して特殊染色を施すことなく、簡単な処理で、弾性繊維及びそれ以外の標本構成要素を同時に観察することが可能となる。
図1は、本発明の実施の形態1に係る顕微鏡システムの構成を示す図である。 図2は、本発明の実施の形態1に係る標本観察方法を示すフローチャートである。 図3は、HE染色を施した標本の明視野観察画像の一例を示す写真である。 図4は、図3と同じ標本の蛍光観察画像の一例を示す写真である。 図5は、蛍光観察画像から特定の標本構成要素に対応する画素群を抽出する処理を示すフローチャートである。 図6は、図4に示す蛍光観察画像における蛍光強度スペクトルの一部を示すグラフである。 図7は、図4に示す蛍光観察画像から抽出された弾性繊維及び血球を示す抽出画像の表示例である。 図8は、変形例1に係る演算部の構成を示すブロック図である。 図9は、本発明の実施の形態2に係る標本観察方法を示すフローチャートである。 図10は、実施の形態2における明視野観察画像及び抽出画像の表示例を示す模式図である。 図11は、本発明の実施の形態3に係る演算部の構成を示すブロック図である。 図12は、本発明の実施の形態3に係る標本観察方法を示すフローチャートである。 図13は、画像合成処理を示すフローチャートである。 図14は、エオシンのみで染色された標本の蛍光観察画像における蛍光強度スペクトルの一部を示すグラフである。 図15は、図14に示す蛍光強度スペクトルに基づいて蛍光観察画像から抽出された弾性繊維及び血球を示す抽出画像の表示例である。 図16は、図3と同じ標本の蛍光観察画像の別の表示例である。 図17は、図3と同じ標本の蛍光観察画像のさらに別の表示例である。 図18は、HDABNF染色が施された標本の明視野観察画像の一表示例である。 図19は、図18と同じ標本の蛍光観察画像の一表示例である。 図20は、図18と同じ標本の蛍光観察画像の別の表示例である。 図21は、図18と同じ標本の蛍光観察画像のさらに別の表示例である。 図22は、本発明の実施の形態4に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。 図23は、実施の形態4に係る標本観察方法を示すフローチャートである。 図24Aは、ヒト正常大腸の未染色標本の明視野観察画像である。 図24Bは、図24Aと同じ未染色標本の蛍光観察画像である。 図25Aは、ヒト正常大腸のHE染色標本の明視野観察画像である。 図25Bは、図25Aと同じHE染色標本の蛍光観察画像である。 図26は、図22に示す弾性繊維抽出部が実行する処理を示すフローチャートである。 図27は、図25Bに示す未染色標本の蛍光観察画像における蛍光強度スペクトルを示すグラフである。 図28は、本発明の実施の形態5に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。 図29は、本発明の実施の形態5に係る標本観察方法を示すフローチャートである。 図30Aは、ヒト正常大腸の未染色標本を紫外光により励起して蛍光を発生させた蛍光観察画像である。 図30Bは、図30Aに示す蛍光観察画像に対してガウシアンフィルタ処理を施した画像である。 図30Cは、図30Bに示す画像に対して二値化処理を施した画像である。 図30Dは、図30Cに示す画像から、ブロブ解析により連続性のある弾性繊維を抽出する処理を施した結果を示す画像である。 図31Aは、大腸癌の未染色標本を紫外光により励起して蛍光を発生させた蛍光観察画像である。 図31Bは、図31Aに示す蛍光観察画像に対してガウシアンフィルタ処理を施した画像である。 図31Cは、図31Aに示す画像に対して二値化処理を施した画像である。 図31Dは、図31Cに示す画像から、ブロブ解析により連続性のある弾性処理を抽出する処理を施した結果を示す画像である。 図32は、本発明の実施の形態6に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。 図33は、本発明の実施の形態6に係る標本観察方法を示すフローチャートである。 図34Aは、血管の脈壁厚及び脈管径を示す画像である。 図34Bは、血管の平均脈壁厚及び最小脈管径を示す画像である。 図35は、本発明の実施の形態7に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。 図36Aは、弾性繊維の円形度と病態リスクとを関連付けたルックアップテーブルである。 図36Bは、脈壁厚/脈管径比と病態リスクとを関連付けたルックアップテーブルである。 図37Aは、弾性繊維の円形度と動脈硬化リスクとを関連付けたルックアップテーブルである。 図37Bは、脈壁厚/脈管径比と動脈硬化リスクとを関連づけたルックアップテーブルである。 図38Aは、弾性繊維の円形度と癌浸潤リスクとを関連付けたルックアップテーブルである。 図38Bは、脈壁厚/脈管径比と癌浸潤リスクとを関連付けたルックアップテーブルである。 図39は、本発明の実施の形態7に係る標本観察方法を示すフローチャートである。 図40は、弾性繊維の連続性の度合いと血管の異常度とを関係付けたルックアップテーブルである。 図41は、本発明の実施の形態8に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
以下、本発明に係る画像処理装置、顕微鏡システム、及び画像処理方法の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、これらの実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、各図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して示している。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る顕微鏡システムの構成を示す図である。図1に示すように、実施の形態1に係る顕微鏡システム1は、顕微鏡装置10と、該顕微鏡装置10において観察される標本の画像(顕微鏡観察画像)に対する処理を行う画像処理装置30とを備える。
顕微鏡装置10は、略C字形のアーム部11と、該アーム部11に設けられた落射照明用光源12及び落射照明光学系12aと、透過照明用光源13及び透過照明光学系13aと、アーム部11に取り付けられた標本ステージ14と、観察光路L0上に標本ステージ14と対向して配置された対物レンズ151を含む対物レンズユニット15と、観察光路L0上に設けられたキューブユニット16と、観察光路L0上に設けられた三眼鏡筒ユニット17と、該三眼鏡筒ユニット17を介して設けられた接眼レンズユニット18と、三眼鏡筒ユニット17に連結された結像レンズユニット19とを有する。この結像レンズユニット19の端部には、撮像部20が設けられている。
落射照明光学系12aは、落射照明用光源12から出射した落射照明光を集光して観察光路L0の方向に導く種々の光学部材(フィルタユニット、シャッタ、視野絞り、開口絞り等)を含む。一方、透過照明光学系13aは、透過照明用光源13から出射した透過照明光を集光して観察光路L0の方向に導く種々の光学部材(コレクタレンズ、フィルタユニット、視野絞り、シャッタ、開口絞り、コンデンサ光学素子ユニット、トップレンズユニット等)を含む。
対物レンズユニット15は、倍率が互いに異なる複数の対物レンズ151、152と、これらの対物レンズ151、152を保持するレボルバ153とを含む。レボルバ153を回転させて、観察光路L0上の標本ステージ14と対向する位置に配置される対物レンズ151、152を切り換えることにより、顕微鏡観察画像の倍率を変化させることができる。なお、図1においては、対物レンズ151が観察光路L0上に配置された状態を示している。
キューブユニット16は、複数の光学キューブ161、162と、これらの光学キューブ161、162を切換可能に保持するキューブ切換部163とを含み、検鏡法に応じて、観察光路L0上に配置される光学キューブ161、162を切り換える。例えば、顕微鏡装置10において蛍光観察を行う場合には、落射照明用光源12から出射して落射照明光学系12aを通過した光のうち、特定の波長帯域の光(励起光)を選択的に透過させる励起フィルタ16aと、励起フィルタ16aによって選択された励起光を反射すると共に、標本Sにおいて発生した蛍光を透過させるダイクロイックミラー16bと、標本Sの方向から入射する光の内、特定の波長帯域の光(蛍光光)のみを選択的に透過させる吸収フィルタ16cとをキューブ状に組み合わせた光学キューブ(蛍光キューブ)161が用いられる。なお、顕微鏡装置10において透過明視野観察を行う場合には、キューブ切換部163により、光学キューブ161、162が観察光路L0から外された位置に移動させられる。
三眼鏡筒ユニット17は、対物レンズ151の方向から入射した標本Sの観察光(透過光又は蛍光光)を、接眼レンズユニット18の方向と結像レンズユニット19の方向とに分岐する。接眼レンズユニット18は、ユーザが標本Sを直接観察する際に用いられる。
結像レンズユニット19には、複数のズームレンズと、これらのズームレンズの位置を変化させる駆動部(図示せず)とを含むズーム部が設けられている。ズーム部は、ズームレンズの位置を調整することにより、撮像視野内の撮像対象を拡大又は縮小させる。
撮像部20は、例えばCCD等の撮像素子を含み、各画素において互いに異なる複数の波長帯域(バンド)における画素レベル(画素値)を持つカラー画像を撮像可能なマルチバンドカメラによって構成される。実施の形態1においては、撮像部20として、可視領域から近赤外領域の範囲である約400nm〜約900nmにおいて、少なくとも3バンドで撮像可能なマルチバンドカメラを用いる。なお、撮像部20が実際に撮像を行う際の撮像波長帯域は、標本を染色する色素や蛍光キューブの種類等に応じて適宜変更しても良い。
撮像部20は、対物レンズ151から出射し、結像レンズユニット19を介して入射した観察光を受光する受光面20aを有し、受光面20aに入射した観察光を電気信号に変換することにより画像データを生成して画像処理装置30に出力する。
なお、上述した顕微鏡装置10の各部に対する操作並びに撮像タイミング、露光時間、撮像波長帯域の変更といった撮像部20の動作を、画像処理装置30により制御可能な構成としても良い。
画像処理装置30は、当該画像処理装置30に対する指示や情報の入力を受け付ける入力部31と、撮像部20から出力された画像データの入力を受け付けるインタフェースである画像取得部32と、顕微鏡画像やその他の情報を表示する画像表示部33と、記憶部34と、顕微鏡画像に対して所定の画像処理を施す演算部35と、これらの各部の動作及び撮像部20の動作を制御する制御部36とを備える。
入力部31は、キーボード、各種ボタン、各種スイッチ等の入力デバイスや、マウスやタッチパネル等のポインティングデバイスを含み、これらのデバイスに対するユーザの操作に応じた信号を制御部36に入力する。
画像取得部32は、標本Sに対して落射照明光を照射して蛍光観察を行うことにより生成された顕微鏡画像(以下、蛍光観察画像という)を表す画像データや、標本Sに対して透過照明光を照射して明視野観察を行うことにより生成された顕微鏡画像(以下、明視野観察画像という)を表す画像データを撮像部20から取得する。
画像表示部33は、例えば、LCD、ELディスプレイ、CRTディスプレイ等の表示装置によって構成され、制御部36から出力された制御信号に従って、種々の情報や顕微鏡画像が所定の形式で配置された各種画面を表示する。
記憶部34は、更新記録可能なフラッシュメモリ、RAM、ROM等の半導体メモリや、内蔵若しくはデータ通信端子で接続されたハードディスク、MO、CD−R、DVD−R等の記録媒体及び該記録媒体に記録された情報を読み取る読取装置等によって構成される。記憶部34は、撮像部20から出力された画像データや、演算部35及び制御部36がそれぞれ実行する各種プログラムや各種設定情報を記録する。具体的には、記憶部34は、蛍光観察画像における蛍光光の強度(以下、蛍光強度という)に基づいて、特定の標本構成要素が抽出された画像を生成する画像処理プログラムを記憶する画像処理プログラム記憶部341を備える。ここで、標本構成要素とは、標本Sを構成する各種要素のことであり、例えば、弾性繊維や膠原繊維のような生体を構成する組織のほか、血球(赤血球、白血球(好中球、好酸球、好塩基球、リンパ球、単球)、血小板等の血液細胞)や、細胞膜、細胞核等の細胞を構成する構造物等を含む。また、記憶部34は、画像処理プログラム記憶部341に記憶された画像処理プログラムの実行に際して使用される各種データとして、例えば、上記標本構成要素に関して予め取得された標準的なデータ(後述する蛍光強度スペクトル等のデータ)を記憶する。
演算部35は、例えばCPU等のハードウェアによって構成され、画像処理プログラム記憶部341に記憶された画像処理プログラムを読み込むことにより、記憶部34に記録された画像データに基づいて、HE染色等の明視野観察用の染色が施された標本Sの蛍光観察画像における蛍光強度に基づいて、特定の標本構成要素が抽出された画像を生成する画像処理を実行する。
より詳細には、演算部35は、画像取得部32によって取得された画像データに基づいて、蛍光観察画像内の複数の画素における蛍光強度の波長分布(以下、蛍光強度スペクトルという)を取得するスペクトル生成部351と、各画素の蛍光強度スペクトルに基づいて、上記複数の画素から特定の蛍光強度スペクトルの特徴を有する画素群を抽出する波長分離/画素抽出部352と、画像取得部32によって取得された画像データや、波長分離/画素抽出部352によって抽出された画素群に対応する画像データに基づいて画像を生成する画像生成部353とを有する。
制御部36は、例えばCPU等のハードウェアによって構成され、記憶部34に記憶された各種プログラムを読み込むことにより、入力部31から入力される操作信号等に従って、画像処理装置30を構成する各部への指示やデータの転送等を行い、画像処理装置30全体の動作を統括的に制御する。
次に、実施の形態1に係る画像処理方法について説明する。図2は、実施の形態1に係る画像処理方法を含む標本観察方法を示すフローチャートである。
まず、ステップS10において、観察対象である標本Sに対して明視野観察用の染色を施す。本実施の形態1においては、HE染色を行う。図3に示す画像M1は、標本Sの例として、ヒト肺のパラフィン切片をスライドグラス上に固定した標本にHE染色を施したものを顕微鏡により観察した画像である。なお、HE染色が施された標本に対しては、通常、透過明視野観察が行われるので、図3においても明視野観察画像を示している。
続くステップS11において、顕微鏡システム1は、染色された標本Sの蛍光観察画像を撮像する。より詳細には、顕微鏡システム1は、顕微鏡装置10の観察光路L0に蛍光観察用の光学キューブ161を配置した状態で、落射照明用光源12及び落射照明光学系12aから標本Sを照明する。それにより、光学キューブ161を透過した所定の波長成分が励起光として標本Sに照射され、標本S内の特定の標本構成要素が励起されて蛍光光が発生する。この蛍光光は、観察光路L0に沿って対物レンズ151及び光学キューブ161等を通過し、撮像部20の受光面20aに入射する。撮像部20は、このような蛍光光が表す標本Sの観察像を複数バンドで撮像し、各バンドの画像データを画像処理装置30に出力する。これら画像データは、画像取得部32を介して画像処理装置30に入力され、記憶部34に記録される。
なお、HE染色された標本の蛍光観察画像を撮像する場合、300nm〜400nm近傍である紫外領域の励起光を選択して標本Sの方向に反射すると共に、520nm〜650nm近傍の蛍光光を選択して撮像部20の方向に透過させる蛍光キューブを用いると良い。
図4は、図3に示す画像M1と同じ標本を、オリンパス株式会社製の蛍光キューブU−MWUを用いて蛍光観察することによって取得された蛍光観察画像である。蛍光観察画像M2において蛍光強度の強い領域は、標本構成要素のうち、弾性繊維(黄緑色系)及び血球(オレンジ色系)を表している。また、弾性繊維及び血球よりは蛍光強度が弱いが、細胞質(緑色系)の領域も観察することができる。
続くステップS12において、画像処理装置30は、ステップS11において撮像された蛍光観察画像の画像データを記憶部34から読み出し、蛍光観察画像から特定の標本構成要素に対応する画素群を抽出する処理を実行する。図5は、蛍光観察画像から特定の標本構成要素に対応する画素群を抽出する処理を示すフローチャートである。
図5のステップS121において、スペクトル生成部351は、蛍光観察画像内の各画素の画素値から蛍光強度スペクトルを生成する。具体的には、画像データの各バンドにおける画素値を取得すれば良い。
続くステップS122において、波長分離/画素抽出部352は、記憶部34に予め記憶されている特定の標本構成要素の蛍光強度スペクトルを表すデータを読み出し、ステップS121において生成した各画素の蛍光強度スペクトルを、記憶部34から読み出した蛍光強度スペクトルと比較する。以下の説明においては、特定の標本構成要素の例として血球及び弾性繊維について説明する。
図6は、記憶部34から読み出された蛍光強度スペクトルの一例を示すグラフである。図6に示す各曲線は、HE染色が施された標本に対し、300nm〜400nm近傍の紫外線を照射したときに、血球、弾性繊維、及び細胞質の領域から発生する蛍光の標準的なスペクトルを表している。このうち、血球は、570nm近傍に最大ピーク波長を有するスペクトル波形を示す。弾性繊維は、560nm近傍に最大ピーク波長を有するスペクトル波形を示す。細胞質は、弾性繊維と同様、560nm近傍に最大ピーク波長を有するが、蛍光強度は全体的に弾性繊維よりも弱くなっている。
続いて、波長分離/画素抽出部352は、ループAの処理を、蛍光観察画像内の全画素について実行する。
ステップS123において、波長分離/画素抽出部352は、処理対象の画素の蛍光強度スペクトルが血球の蛍光強度スペクトルと一致するか否かを判断する。この判断は、蛍光強度スペクトルのピーク波長及び波形に基づいて行われる。
当該画素の蛍光強度スペクトルが血球の蛍光強度スペクトルと一致する場合(ステップS123:Yes)、波長分離/画素抽出部352は、当該処理対象の画素を、血球を表す画素として抽出する(ステップS124)。その後、波長分離/画素抽出部352の動作は、次の処理対象画素に対する処理に移る。
一方、当該画素の蛍光強度スペクトルが血球の蛍光強度スペクトルと一致しない場合(ステップS123:No)、波長分離/画素抽出部352は、続いて、当該画素の蛍光強度スペクトルが弾性繊維の蛍光強度スペクトルと一致するか否かを判断する(ステップS125)。この判断も、蛍光強度スペクトルのピーク波長及び波形に基づいて行われる。
当該画素の蛍光強度スペクトルが弾性繊維の蛍光強度スペクトルと一致しない場合(ステップS125:No)、波長分離/画素抽出部352の動作は、当該画素を抽出することなく、次の処理対象画素に対する処理に移る。
一方、当該画素の蛍光強度スペクトルが弾性繊維の蛍光強度スペクトルと一致する場合(ステップS125:Yes)、波長分離/画素抽出部352はさらに、当該画素のピーク波長における蛍光強度(画素値)が所定の閾値以上であるか否かを判断する(ステップS126)。ここで、図6に示すように、細胞質は、弾性繊維のピーク波長(560nm)と同じピーク波長を有するが、当該ピーク波長における蛍光強度は弾性繊維と比較してかなり弱い(例えば、弾性繊維の半分以下)。そこで、波長分離/画素抽出部352は、ピーク波長における蛍光強度に基づいて、弾性繊維の領域と細胞質の領域とを分離する。
当該画素のピーク波長における蛍光強度が閾値以上である場合(ステップS126:Yes)、波長分離/画素抽出部352は、当該画素を、弾性繊維を表す画素として抽出する(ステップS127)。
一方、当該画素のピーク波長における蛍光強度が閾値未満である場合(ステップS126:No)、波長分離/画素抽出部352の動作は、当該画素を抽出することなく、次の処理対象画素に対する処理に移る。なお、波長分離/画素抽出部352は、当該画素を、細胞質を表す画素として、弾性繊維とは別に抽出しておいても良い。
蛍光観察画像内の全ての画素に対してループAの処理が終了すると、処理はメインルーチンに戻る。
ステップS12に続くステップS13において、演算部35は、特定の標本構成要素に対応する画素群が抽出されたか否かを判断する。画素群が抽出された場合(ステップS13:Yes)、画像生成部353は、抽出された画素群に基づく画像(以下、抽出画像という)を生成する(ステップS14)。この際、ステップS13において複数の画素群が抽出された場合、画像生成部353は、画素群ごとに画像を生成しても良いし、抽出された全画素群を用いて画像を生成しても良い。また、画像生成部353は、各画素群に対して異なる色を割り当てることにより、抽出画像において特定の標本構成要素を区別できるようにしても良い。
続くステップS15において、制御部36は、生成された抽出画像を画像表示部33に表示させる。図7は、図4に示す蛍光観察画像から抽出された弾性繊維及び血球を表す抽出画像の表示例である。なお、図7においては、参考として、弾性繊維を表す画素から分離抽出された細胞質の領域を併せて表示している。
一方、特定の標本構成要素に対応する画素群が抽出されない場合(ステップS13:No)、処理は終了する。
以上説明したように、実施の形態1によれば、明視野観察用の染色が施された標本の蛍光観察画像から、自家蛍光を発生する標本構成要素を簡単且つ的確に、安定して抽出することができる。この際、蛍光観察画像における各画素の蛍光強度スペクトルを、予め記憶されている特定の標本構成要素の蛍光強度スペクトルと比較し、各標本構成要素を表す画素群を分離抽出するので、自家蛍光を発する標本構成要素を定量的に分析することができ、詳細且つ精密で客観的な分析を行うことが可能となる。
特に、実施の形態1によれば、従来は特殊染色でしか観察することができなかった弾性繊維を、手間や時間をかけることなく簡単に画像から抽出して観察することができる。この際、弾性繊維を観察するための特殊染色では情報が失われてしまう血球についても、弾性繊維とは分離して抽出することができる。従って、実施の形態1によれば、弾性繊維及び血球をそれぞれ正確に分析したり、両者を対比観察したりすることが可能となる。
また、実施の形態1によれば、自家蛍光を発する標本構成要素を、種類ごとに分離抽出することができるので、抽出された複数種類の標本構成要素を別々の画像に表示したり、それらの標本構成要素をまとめて表示したりすることができる。即ち、標本構成要素を様々な形式で表示することができるので、画像診断の幅を広げることが可能となる。
また、実施の形態1によれば、マルチバンドカメラを用いて標本Sを撮像するので、バンド数に応じたスペクトル情報を蛍光観察画像から取得して、自家蛍光を容易に分離抽出することが可能となる。
(変形例1)
次に、実施の形態1の変形例1について説明する。
図8は、変形例1に係る演算部の構成を示すブロック図である。変形例1に係る顕微鏡システム1は、図1に示す演算部35の代わりに、図8に示す演算部37を備える。なお、演算部37以外の顕微鏡システムの各部の構成については、実施の形態1と同様である。
演算部37は、図1に示すスペクトル生成部351及び波長分離/画素抽出部352の代わりに、画素クラス分類部371及び画素抽出部372を有する。以下、このような演算部37の動作について説明する。
画素クラス分類部371は、明視野観察用の染色が施された標本Sを、R、G、Bの3バンドでそれぞれ撮像した蛍光観察画像を表す画像データを取得し、これらの画像データから、蛍光観察画像の各画素における画素値(R値、G値、及びB値)を取得する。続いて、画素クラス分類部371は、これらの画素値をRGB色空間に写像し、RGB色空間における画素値分布を作成する。画素クラス分類部371は、この画素値分布に対してクラスタリングを行うことにより、蛍光観察画像内の画素を画素値に応じた複数のクラスに分類する。
画素抽出部372は、分類されたクラスごとに画素群を抽出する。このクラスごとの画素群が、蛍光観察画像における各種標本構成要素の領域に対応する。
この場合、画像生成部353は、画素抽出部372に抽出された画素群に基づいて画像を生成する。
以上説明した変形例1によれば、RGB色空間におけるクラスごとに蛍光観察画像内の画素を抽出するので、自家蛍光の色に応じて標本構成要素を分類することが可能となる。従って、各標本構成要素の状態を正確に把握することが可能となる。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。
図9は、実施の形態2に係る画像処理方法を含む標本観察方法を示すフローチャートである。なお、図9に示すステップS10、S11、及びS12における処理は、実施の形態1と共通である。また、実施の形態2に係る顕微鏡システムの構成は、図1に示すものと同様である。
ステップS10に続くステップS21において、顕微鏡システム1は、明視野観察用の染色(例えば、HE染色)が施された標本Sを標本ステージ14上に載置し、透過照明用光源13及び透過照明光学系13aから標本Sを照明して、標本Sの明視野観察画像を撮像する。なお、この際、顕微鏡装置10の観察光路L0からは光学キューブ161を抜去しておく。撮像部20において生成された画像データは、画像取得部32を介して画像処理装置30に入力され、記憶部34に記録される。
ステップS12に続くステップS22において、演算部35は、特定の標本構成要素に対応する画素群が抽出されたか否かを判断する。画素群が抽出された場合(ステップS22:Yes)、画像生成部353は、ステップS21における撮像により生成された画像データを記憶部34から読み出して明視野観察画像を生成すると共に、ステップS12において抽出された画素群に基づく抽出画像を生成する(ステップS23)。なお、この際、画像生成部353は、ステップS12において複数の画素群が抽出されている場合、画素群ごとに抽出画像を生成しても良いし、抽出された全画素群をもとに抽出画像を生成しても良い。
一方、特定の標本構成要素に対応する画素群が抽出されない場合(ステップS22:No)、画像生成部353は、明視野観察画像のみを生成する(ステップS24)。
ステップS25において、制御部36は、画像生成部353が生成した明視野観察画像及び/又は抽出画像を画像表示部33に表示させる。
図10は、明視野観察画像及び抽出画像の表示例を示す模式図である。明視野観察画像m10及び抽出画像m20を1つの画面M3に表示する場合、明視野観察画像m10及び抽出画像m20の配置は特に限定されないが、好ましくは、ユーザが明視野観察画像m10及び抽出画像m20を対比観察できるように、例えば、同じ倍率で縦又は横に並べて表示すると良い。なお、複数の抽出画像(例えば、弾性繊維の抽出画像と血球の抽出画像)が生成された場合、明視野観察画像及び複数の抽出画像の全てを1つの画面に表示しても良いし、明視野観察画像と共に表示される抽出画像をユーザが選択できるようにしても良い。
以上説明したように、実施の形態2によれば、標本Sの明視野観察画像と、蛍光観察画像から抽出された抽出画像とを同時に表示するので、ユーザは、標本Sの全体像と、標本S内の特定の標本構成要素とを対比させて観察することが可能となる。
(変形例2)
次に、実施の形態2の変形例2について説明する。
実施の形態2においては、顕微鏡装置10に設けられた落射照明光学系12aを介した落射照明により蛍光観察画像を撮像し、透過照明光学系13aを介した透過照明により明視野観察画像を撮像した。しかしながら、透過照明光学系13aに対して励起フィルタ及び暗視野コンデンサを挿入することにより暗視野観察用の照明を行って、標本Sの蛍光観察画像を撮像しても良い。この場合、透過照明光学系のみを備えた顕微鏡装置を用いて、明視野観察画像及び蛍光観察画像の両方を取得することができる。従って、安価な装置構成で、標本Sに対する画像分析を行うことが可能となる。
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について説明する。
図11は、実施の形態3に係る顕微鏡システムが備える演算部の構成を示すブロック図である。図11に示すように、実施の形態3に係る顕微鏡システムは、図1に示す演算部35の構成に対し、蛍光強度比較判定部381及び画像合成部382をさらに有する演算部38を備える。なお、実施の形態3における蛍光強度比較判定部381及び画像合成部382以外の演算部38の構成、及び顕微鏡システム全体の構成は、実施の形態1と同様である。
蛍光強度比較判定部381は、蛍光観察画像から抽出された特定の標本構成要素に対応する画素群のうち、明視野観察用の染色が施された標本Sの明視野観察画像に重畳すべき画素を、蛍光強度に基づいて選択する。
画像合成部382は、標本Sの明視野観察画像に対して特定の標本構成要素を重畳した合成画像を生成する。
次に、実施の形態3に係る画像処理方法を説明する。図12は、実施の形態3に係る画像処理方法を含む標本観察方法を示すフローチャートである。なお、図12において、ステップS10、S11、S12における処理は、実施の形態1と共通である。
ステップS10に続くステップS31において、顕微鏡システム1は、明視野観察用の染色(例えば、HE染色)が施された標本Sを標本ステージ14上に載置し、透過照明用光源13及び透過照明光学系13aから標本Sを照明して、標本Sの明視野観察画像を撮像する。なお、この際、顕微鏡装置10の観察光路L0からは光学キューブ161を抜去しておく。撮像部20において生成された画像データは、画像取得部32を介して画像処理装置30に入力され、記憶部34に記録される。
ステップS12に続くステップS32において、演算部38は、特定の標本構成要素に対応する画素群が抽出されたか否かを判定する。画素群が抽出された場合(ステップS32:Yes)、画像生成部353は、ステップS31における撮像により生成された画像データを記憶部34から読み出して明視野観察画像を生成すると共に、抽出された画素群に基づいて抽出画像を生成する(ステップS33)。なお、画像生成部353は、複数の画素群が抽出された場合、画素群ごとに画像を生成しても良いし、抽出された全画素群を用いて画像を生成しても良い。
続くステップS34において、画像合成部382は、明視野観察画像に特定の標本構成要素が重畳された合成画像を生成する画像合成処理を実行する。図13は、ステップS34における画像合成処理を詳細に示すフローチャートである。ステップS34においては、明視野観察画像に対して、ステップS12において抽出された画素群を単に重畳するだけでも良いが、抽出された画素群におけるノイズ等の影響を低減するために、以下に説明する処理を実行することがより好ましい。以下においては、一例として、ステップS12において図6に示す蛍光強度スペクトルを参照して、血球及び弾性繊維を表す画素群が抽出された場合について説明する。
まず、ステップS341において、画像合成部382は、蛍光観察画像から血球を表すものとして抽出された画素(ステップS124参照)を明視野観察画像に重畳する。
続くステップS342において、蛍光強度比較判定部381は、ステップS12において蛍光観察画像から弾性繊維を表すものとして抽出された画素(ステップS127参照)のピーク波長(560nm)における蛍光強度(画素値)を取得する。
続くステップS343において、蛍光強度比較判定部381は閾値aを設定する。閾値aとしては、ステップS342において取得された蛍光強度の最大値に対し、例えば70%の値が設定される。
続いて、演算部38は、弾性繊維を表すものとして抽出された全ての画素について、ループBの処理を実行する。
ステップS344において、蛍光強度比較判定部381は、処理対象の画素の蛍光強度が閾値a以上であるか否かを判定する。蛍光強度が閾値a以上である場合(ステップS344:Yes)、画像合成部382は、当該処理対象の画素を明視野観察画像に重畳する(ステップS345)。一方、蛍光強度が閾値aよりも小さい場合(ステップS344:No)、演算部38の動作は、そのまま次の処理対象画素に対する処理に移る。
ここで、弾性繊維の蛍光強度スペクトルにおけるピーク波長帯域は、血球とは異なり、他の標本構成要素(例えば細胞質)やノイズのピーク波長帯域と類似している。このため、本実施の形態3においては、閾値を設定して、当該ピーク波長帯域において蛍光強度が著しく大きい画素のみを弾性繊維として抽出することにより、他の標本構成要素やノイズの影響を排除している。
弾性繊維を表すものとして抽出された全ての画素に対してループBの処理が終了すると、処理はメインルーチンに戻る。
ステップS34に続くステップS35において、制御部36は、画像生成部353が生成した明視野観察画像と、抽出画像と、合成画像との内の少なくとも1つを画像表示部33に表示させる。この場合、1つの画面に表示される画像の数や配置は特に限定されない。例えば、明視野観察画像、抽出画像、及び合成画像の全てを1画面に表示しても良いし、合成画像のみを1画面に表示しても良いし、合成画像とユーザにより選択された標本構成要素が写った抽出画像とを1画面に表示しても良い。
一方、ステップS32において特定の標本構成要素に対応する画素群が抽出されない場合(ステップS32:No)、制御部36は、明視野観察画像のみを画像表示部33に表示させる(ステップS36)。
以上説明したように、実施の形態3によれば、特定の標本構成要素を明視野観察画像に重畳した合成画像を生成するので、ユーザは、標本Sの全体像と特定の標本構成要素とを正確に対比させて観察することが可能となる。
(変形例3)
次に、本発明の実施の形態1〜3の変形例3について説明する。
上記実施の形態1〜3においては、蛍光観察画像内に、互いに異なる波長の自家蛍光を発生する複数の標本構成要素が存在する場合について説明した。しかしながら、標本Sを染色する明視野観察用の色素の種類や標本構成要素、或いはそれらの組み合わせによっては、複数の標本構成要素が発生する自家蛍光の波長が一致してしまう場合がある。
例えば、ヘマトキシリンのみで染色された標本に対して波長帯域が300nm〜400nm程度の励起光を照射すると、図14に示すように、弾性繊維及び血球から460nm近傍の自家蛍光が発生することが、本発明者の実験により明らかになった。
このような標本に対しては、蛍光観察画像内の各画素における蛍光強度スペクトルを取得する処理(図5のステップS121参照)において、ピーク強度が最も強い1つの波長を選択し、当該波長において蛍光強度がピークとなる画素群を抽出する。それにより、自家蛍光を発生する標本構成要素(弾性繊維及び血球)を表す画素群をまとめて抽出することができる。
また、このような標本に対し、ピーク強度が最も強い波長を選択し、当該波長において蛍光強度がピークとなる画素群を抽出した上で、当該波長における蛍光強度の強さに応じて画素を分類することにより、抽出された画素群を標本構成要素ごとに分離することができる。例えば、図14の場合、選択された波長における蛍光強度の最大値の75%程度を閾値として、抽出された画素群を分類すれば良い。それにより、血球を表す画素群(ピーク強度が閾値よりも大きい画素群)と弾性繊維を表す画素群(ピーク強度が閾値よりも小さい画素群)とを分離抽出することができる。
図15は、図14に示す蛍光強度スペクトルに基づいて蛍光観察画像から抽出された弾性繊維及び血球を示す抽出画像の表示例である。なお、この場合、抽出された標本構成要素は同系色となるため、抽出画像を表示する際には、いずれか一方の標本構成要素を表す画素に対して異なる色を割り当てると良い。
以上説明したように、蛍光観察画像内の複数種類の標本構成要素が同程度の波長を有する自家蛍光を発生する場合には、蛍光強度の強さに基づいて画素群を分類することにより、標本構成要素を種類ごとに正確に分離することが可能となる。
(変形例4)
次に、本発明の実施の形態1〜3の変形例4について説明する。
上記実施の形態1〜3においては、明視野観察用の染色が施された標本の蛍光観察画像を撮像する際に、蛍光キューブU−MWUを用いたが、それ以外にも、オリンパス株式会社製の蛍光キューブU−MWIBAやU−MWIG等の種々の蛍光キューブを用いることができる。図16は、図3に示す画像M1に対応する標本を同蛍光キューブU−MWIBAを用いて撮像した蛍光観察画像であり、全体として緑色系をなしている。また、図17は、画像M1に対応する標本を同蛍光キューブU−MWIGを用いて撮像した蛍光観察画像であり、全体としてオレンジ色系をなしている。
図16及び図17に示すように、これらの蛍光キューブを用いた場合、蛍光観察画像全体が同系色となるため、弾性繊維の領域における蛍光強度スペクトルにおけるピーク波長と、血球の領域における蛍光強度スペクトルにおけるピーク波長とは互いに近傍となる。このような場合には、上記変形例3と同様に、蛍光強度スペクトルのピーク波長に基づいて弾性繊維を表す画素及び血球を表す画素を抽出した上で、各蛍光強度の強さに基づいて弾性繊維を表す画素と血球を表す画素とを分離すれば良い。
(変形例5)
次に、本発明の実施の形態1〜3の変形例5について説明する。
上記実施の形態1〜3においては、標本に対して形態観察用の染色として知られるHE染色を施したが、明視野観察可能な染色であれば、どのような染色を施しても良い。
例えば、図18は、明視野観察用のHDABNF染色(H:ヘマトキシリン、DAB:ジアミノベンジジン、NF:ニューフクシン)が施された標本の明視野観察画像の表示例である。この明視野観察画像M4と同じ標本に対し、蛍光キューブU−MWUを用いて蛍光観察を行うと、図19に示すような蛍光観察画像を取得することができる。この蛍光観察画像において、ヘマトキシリンによって染色された弾性繊維及び血球の領域は青色系で表示される。また、DABによって染色された領域は、背景やヘマトキシリンによって染色された領域よりも黒っぽく表示される。さらに、NFによって染色された領域は、赤色系で表示される。
この場合、弾性繊維の領域における蛍光強度スペクトルにおけるピーク波長と、血球の領域における蛍光強度スペクトルにおけるピーク波長とは互いに近傍となる。このような場合には、上記変形例3と同様に、蛍光強度スペクトルのピーク波長に基づいて弾性繊維を表す画素及び血球を表す画素を抽出した上で、各蛍光強度の強さに基づいて弾性繊維を表す画素と血球を表す画素とを分離すれば良い。
また、例えば、図18に示す明視野観察画像M4と同じ標本に対し、蛍光キューブU−MWIBAを用いて蛍光観察を行うと、図20に示すような蛍光観察画像を取得することができる。この蛍光観察画像において、ヘマトキシリンによって染色された弾性繊維及び血球の領域は共に黄緑色系で表示される。また、DABによって染色された領域は、背景やヘマトキシリンによって染色された領域よりも黒っぽく表示される。なお、NFによって染色された領域は、図20に示すような蛍光観察画像上では判別することができない。
この場合も、弾性繊維の領域における蛍光強度スペクトルにおけるピーク波長と、血球の領域における蛍光強度スペクトルにおけるピーク波長とは互いに近傍となるため、変形例3と同様にして、弾性繊維を表す画素と血球を表す画素とを分離抽出すれば良い。
また、例えば、図18に示す明視野観察画像M4と同じ標本に対し、蛍光キューブU−MWIGを用いて蛍光観察を行うと、図21に示すような蛍光観察画像を取得することができる。この蛍光観察画像において、ヘマトキシリンによって染色された弾性繊維及び血球の領域は共に赤色系で表示される。また、ヘマトキシリンによって染色されるが自家蛍光を発生しない核は、薄黒い色で表示される。DABによって染色された領域は、背景やヘマトキシリンによって染色された領域よりも黒っぽく表示される。さらに、NFによって染色された部分は、最も蛍光強度が強い。
この場合、弾性繊維及び血球を表す画素を抽出する際には、まず、蛍光強度のピーク強度が2番目に強い波長を選択し、当該波長において蛍光強度がピークとなる画素を抽出した上で、蛍光強度に基づいて弾性繊維を表す画素と血球を表す画素とを分離すれば良い。
この他にも、本実施の形態1〜3において適用可能な染色としては、ヘマトキシリン−DAB染色、ヘマトキシリン−ニューフクシン染色、ヘマトキシリン単染色等が挙げられる。ここで、標本を染色する色素がヘマトキシリンを含む場合、当該標本の明視野観察画像には細胞核が表示される。そのため、そのような染色が施された標本を用いる場合、明視野観察画像に表示された細胞核と、蛍光観察画像から抽出した弾性繊維及び血球とを対比観察することが可能となる。なお、この場合、450nm〜550nm近傍の蛍光光を選択する蛍光キューブを用いると良い。それにより、弾性繊維及び血球がそれぞれ発生する自家蛍光のスペクトルにおいて、ピーク波長を最も良く分離することができる。従って、弾性繊維を表す画素と血球を表す画素とを精度良く分離抽出することが可能となる。
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4について説明する。
上記実施の形態1〜3においては、蛍光観察画像から標本構成要素として弾性繊維及び血球を抽出して表示する画像処理について説明したが、本実施の形態4においては、抽出された弾性繊維に基づく病変の自動診断について説明する。
ここで、特表2003−506016号公報には、動脈壁破裂障害の診断方法が開示されている。特表2003−506016号公報においては、当該診断を行うために、遺伝子検査やマーカーに結合する抗体による検査が必要となっており、試薬のコスト及び人件費を要してしまう。このため、試薬等のコストを要することなく、動脈壁破裂障害等の血管に関する異常を簡単に診断できる技術が望まれている。しかしながら、従来、血管に関する異常の指標となる動脈や静脈の厚みや連続性等を、特殊染色が施されていない標本(未染色標本やHE染色標本)に基づいて判定することは、極めて困難であった。
そこで、本実施の形態4においては、特殊染色が施されていない標本を撮像した画像に基づいて、当該標本における血管の異常、具体的には脈管侵襲の判別を自動で行うことができる画像処理装置、顕微鏡システム及び画像処理方法を説明する。
図22は、実施の形態4に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態4に係る顕微鏡システムは、図1に示す画像処理装置30の代わりに、図22に示す画像処理装置40を備える。なお、顕微鏡装置10及び撮像部20の構成及び動作は、実施の形態1と同様である。
画像処理装置40は、入力部31と、画像取得部32と、画像表示部33と、記憶部34と、制御部36と、演算部41とを備える。このうち、演算部41以外の各部の構成及び動作は、実施の形態1と同様である。また、本実施の形態4において、画像処理プログラム記憶部341には、蛍光観察画像における蛍光強度に基づいて、脈管侵襲の有無を判定する画像処理プログラムが記憶されている。
演算部41は、例えばCPU等のハードウェアによって構成され、記憶部34に記憶された画像処理プログラム記憶部341に記憶された画像処理プログラムを読み込むことにより、画像取得部32により取得されて記憶部34に記憶された画像データに基づいて、未染色又はHE染色等の明視野観察用の染色が施された標本Sの蛍光観察画像における蛍光強度に基づいて、脈管侵襲の有無を判別する画像処理を実行する。
演算部41は、蛍光観察画像の画像情報(画像データ)に基づいて、励起光が照射された標本が発生する蛍光の強度に対応する値を蛍光強度として算出する蛍光強度算出部411と、蛍光強度算出部411により算出された蛍光強度に基づいて弾性繊維を抽出する弾性繊維抽出部412と、抽出された弾性繊維の形態に基づいて、蛍光観察画像に写った血管における異常の有無を判定する異常判定部413とを備える。
実施の形態4において、異常判定部413は、抽出された弾性繊維から、当該弾性繊維を含む血管の形態特徴量を算出する血管特徴量算出部413aと、該血管の形態特徴量に基づいて血管の異常の有無を判定する判定部413bとを備える。
ここで、血管の形態特徴量とは、血管の大きさや形状といった形態の特徴を数値化したものである。本実施の形態4においては、形態特徴量として血管の断面形状の円形度を用いる。円形度は、値が1に近づくほど形状が真円に近づく。正常な血管の場合、断面形状は円形に近く、円形度の値は1に近づく。反対に、異常な血管の場合、断面形状は扁平になり、円形度の値は1から乖離する。
次に、実施の形態4に係る画像処理方法について説明する。図23は、実施の形態4に係る画像処理方法を含む標本観察方法を示すフローチャートである。
まず、ステップS40において、特殊染色が施されていない標本の蛍光観察画像を撮像する。即ち、未染色又はHE染色が施された病理標本(標本S)を標本ステージ14(図1参照)に載置し、落射照明用光源12及び落射照明光学系12aから標本Sに励起光を照射し、撮像部20により複数バンドで撮像を行う。それにより、標本Sから発生した蛍光光によって表される観察像の画像データが、画像取得部32を介して画像処理装置40に入力され、記憶部34に記憶される。なお、撮像動作の詳細は、実施の形態1のステップS11と同様である。
図24Aは、ヒト正常大腸の未染色標本の明視野観察画像であり、図24Bは、同じ未染色標本の蛍光観察画像である。これらの画像は、採取した病理標本をパラフィン胞埋してミクロトームにより薄切した後、スライドグラス上に固定し、封入剤にてカバーガラスを接着することにより作成したプレパラートを撮像したものである。また、蛍光観察画像は、波長が300nm〜400nmの励起光を照射し、撮像波長が400nm〜700nmのCCDカメラにより撮像したものである。
図25Aは、図24Aと同じ病理標本のHE染色標本の明視野観察画像であり、図25Bは、同じHE染色標本の蛍光観察画像である。これらの画像は、病理標本の薄切標本をスライドグラス上に固定した後、HE染色を施して作成したプレパラートを撮像したものである。なお、蛍光観察画像における励起光及び撮像波長は、図24Bと同様である。
図24Aに示すように、未染色標本の明視野観察画像においては、標本構成要素をほとんど視認することができない。それに対して、図24Bに示す蛍光観察画像においては、自家蛍光を発生する弾性繊維が抽出されている。
また、図25Aに示すように、HE染色標本の明視野観察画像においては、種々の標本構成要素が表示されているものの、弾性繊維はほとんど視認することができない。それに対して、図25Bに示す蛍光観察画像においては、標本構成要素のうち、自家蛍光を発生する弾性繊維及び血球が抽出されている。
続くステップS41において、演算部41は、ステップS40において撮像された蛍光観察画像の画像データを記憶部34から読み出し、蛍光強度算出部411により各画素の蛍光強度を算出する。各画素の蛍光強度は、例えば、画素値又は画素値から算出される輝度値によって与えられる。
続くステップS42において、弾性繊維抽出部412は、蛍光観察画像から弾性繊維に対応する画素を抽出する。図26は、弾性繊維抽出部412が実行する処理を示すフローチャートである。弾性繊維抽出部412は、蛍光観察画像内の各画素についてループCの処理を実行する。
ステップS421において、弾性繊維抽出部412は、処理対象の画素の蛍光強度が所定の閾値以上であるか否かを判定する。
蛍光強度が閾値以上である場合(ステップS421:Yes)、弾性繊維抽出部412は、当該画素を、弾性繊維を表す画素として抽出する(ステップS422)。一方、蛍光強度が閾値未満である場合(ステップS421:No)、弾性繊維抽出部412は当該画素を抽出することなく、次の画素に対する処理に移行する。
ここで、図27は、図24Bに示す未染色標本の蛍光観察画像における蛍光強度スペクトルを示すグラフである。未染色標本の蛍光観察画像においては、図27に示すように、弾性繊維を表すスペクトル波形が、その他の組織を表すスペクトル波形に対して、際立って高い強度で観察される。従って、この場合、各画素の蛍光強度を閾値と比較することで、弾性繊維を表す画素を抽出することができる。
一方、HE染色標本の蛍光観察画像においては、図6に示すように、560nm近傍にピークを有する弾性繊維のスペクトル波形と、570nm近傍にピークを有する血球のスペクトル波形とが観察される。この場合、各画素の蛍光強度を閾値と比較すると、弾性繊維を表す画素と血球を表す画素とが混在して抽出される可能性がある。しかしながら、一般に、血球のサイズは弾性繊維と比較して小さいため、後述する円形度の算出処理において血球を表す画素が除去され、結果として、560nm近傍にスペクトル波形のピークを有する弾性繊維を抽出することができる。
蛍光観察画像内の全画素に対してループCの処理が終了した後、演算部41の動作はメインルーチンに戻る。
ステップS42に続くステップS43において、異常判定部413は、弾性繊維抽出部412により画素が抽出されか否かを判定する。画素が抽出されない場合(ステップS43:No)、異常判定部413は、当該蛍光観察画像内には弾性繊維が存在しないと判定し(ステップS44)、動作を終了する。
一方、弾性繊維抽出部412により画素が抽出された場合(ステップS43:Yes)、血管特徴量算出部413aは、抽出された画素領域(即ち、弾性繊維)の円形度を算出する(ステップS45)。この際、円形度の算出対象とする画素領域の面積(画素数)の下限を予め設定しておくと良い。それにより、弾性繊維と共に抽出された血球を表す画素を演算対象から除去することができる。
続くステップS46において、判定部413bは、算出された円形度が所定の閾値以上であるか否かを判定する。円形度が閾値以上である場合(ステップS46:Yes)、判定部413bは、当該弾性繊維を含む血管は正常であると判定する(ステップS47)。例えば図24B及び図25Bに示す蛍光観察画像の場合、抽出された弾性繊維の形状は円形に近いため、血管は正常であると判定される。
一方、円形度が閾値未満である場合(ステップS46:No)、判定部413bは、当該弾性繊維を含む血管は異常であると判定する(ステップS48)。
ステップS49において、演算部41は、判定部413bによる判定結果を出力し、画像表示部33に表示させると共に、記憶部34に記憶させる。この際、弾性繊維が抽出された蛍光観察画像を画像表示部33に表示させても良い。その後、演算部41は、当該蛍光観察画像に対する処理を終了する。
以上説明したように、実施の形態4によれば、未染色又はHE染色が施された標本の蛍光観察画像を用いて、該標本における血管の異常(脈管侵襲)の有無を自動判別することができる。即ち、実施の形態4においては、未染色又はHE染色が施された標本から発生する自家蛍光を検出することにより、血管を形成する弾性繊維を抽出し、該弾性繊維に基づいて血管の形態を表す特徴量を算出するので、血管における異常の有無を自動処理によって推定することができる。
従って、実施の形態4によれば、特殊染色標本の画像を解析する場合と比較して、簡単且つ低コストで、同等又はそれ以上の診断情報を取得することができ、血管に対する安定した診断支援を、人的労力をかけることなく行うことが可能となる。
(実施の形態5)
次に、本発明の実施の形態5について説明する。
図28は、実施の形態5に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態5に係る顕微鏡システムは、図1に示す画像処理装置30の代わりに、演算部51を有する画像処理装置50を備える。なお、顕微鏡装置10及び撮像部20の構成及び動作、並びに、演算部51以外の画像処理装置50の各部の構成及び動作は、実施の形態4と同様である。
演算部51は、図22に示す異常判定部413の代わりに、異常判定部511を備える。実施の形態5において、異常判定部511は、弾性繊維連続性判定部511aと、判定部511bとを備える。弾性繊維連続性判定部511aは、弾性繊維抽出部412により蛍光観察画像から抽出された弾性繊維が連続性を有するか否かを判定する。判定部511bは、弾性繊維連続性判定部511aによる判定結果に基づいて、当該弾性繊維を含む血管が異常であるか否かを判定する。
ここで、弾性繊維が連続性を有するとは、弾性繊維として抽出された領域が途切れずに輪になっていることをいい、弾性繊維の領域の面積(以下、エリア面積ともいう)及び円形度によって判断される。
次に、実施の形態5に係る画像処理方法について説明する。図29は、実施の形態5に係る画像処理方法を含む標本観察方法を示すフローチャートである。なお、図29に示すステップS40〜S44は、実施の形態4と同様である。
ステップS43において、弾性繊維を表す画素が抽出されたと判定された場合(ステップS43:Yes)、弾性繊維連続性判定部511aは、例えばブロブ(Blob)解析により、ステップS42において抽出された画素領域のエリア面積及び円形度を算出する(ステップS50)。ここで、ブロブ(Blob)解析とは、処理対象の画像を2値化した2値画像において、2値(白及び黒)のいずれかを塊(ブロブ)として扱い、ブロブの有無、数、面積、長さ、周囲長、円形度等の形状の特徴を解析する画像処理のことである。
続くステップS51において、弾性繊維連続性判定部511aは、弾性繊維のエリア面積及び円形度に基づいて、弾性繊維が途切れずに輪になっているか否かを判定する。この判定においては、公知の様々な手法を用いることができる。本実施の形態5においては、一例として、ステップS42において抽出された各画素領域に対し、エリア面積が所定の閾値以上であり、且つ円形度が所定の閾値以上であるか否かを判別する。エリア面積が閾値以上、且つ円形度が閾値以上である場合、弾性繊維は途切れずに輪になっていると判定される。一方、エリア面積が閾値未満、又は円形度が閾値未満である場合、弾性繊維が途切れていると判定される。
弾性繊維が途切れずに輪になっている場合(ステップS51:Yes)、判定部511bは、当該弾性繊維を含む血管は正常であると判定する(ステップS52)。一方、弾性繊維が途切れている場合(ステップS51:No)、判定部413bは、当該弾性繊維を含む血管は異常であると判定する(ステップS53)。
その後のステップS49は、実施の形態4と同様である。
次に、実施の形態5に係る画像処理方法の具体的な実施例を説明する。なお、以下の実施例においては、アメリカ国立衛生研究所(National Institutes of Health)が開発したオープンソースの画像処理ソフトウェアである「イメージジェイ(Image J)」を用いて解析を行った。
図30Aは、ヒト正常大腸の未染色標本を紫外光により励起して蛍光を発生させた蛍光観察画像である。この蛍光観察画像に対し、ガウシアンフィルタ処理を施し(図30B参照)、さらに二値化処理を施した(図30C参照)。図30Cに示す画素値がゼロの領域(即ち、黒色の領域)が、図30Aにおける蛍光強度が高い領域、即ち、弾性繊維を表す画素の領域に対応する。
図30Cに示す画像に対し、ブロブ解析(「Image J」におけるAnalyze particles処理)により連続性のある弾性繊維を抽出する処理を行った。この際、抽出条件として、エリア面積の閾値を7000、円形度の閾値を0.02に設定した。この場合、画素数が7000画素以上、且つ、円形度が0.02〜1である画素領域が、連続性のある弾性繊維として抽出される。図30Dは、その結果を示す画像である。図30Dに示すように、当該画像からは、連続性のある弾性繊維E1及びE2、即ち、正常な血管を2箇所から抽出することができた。
図31Aは、大腸癌の未染色標本を紫外光により励起して蛍光を発生させた蛍光観察画像である。この蛍光観察画像に対し、ガウシアンフィルタ処理を施し(図31B参照)、さらに二値化処理を施した(図31C参照)。図31Cに示す画素値がゼロの領域(即ち、黒色の領域)が、図31Aにおける蛍光強度が強い領域、即ち、弾性繊維と見られる画素の領域に対応する。
図31Cに示す画像に対し、ブロブ解析によりエリア面積7000以上、円形度0.02〜1の条件で弾性繊維を抽出する処理を行った。図31Dは、その結果を示す画像である。図31Dに示すように、当該画像からは、連続性のある弾性繊維を抽出することができなかった。言い換えると、図31Dに示す弾性繊維E3に対応する蛍光観察画像(図31A参照)内の領域は、脈管が侵襲された異常な血管であると判断することができる。
以上説明したように、実施の形態5によれば、未染色又はHE染色が施された標本から発生する自家蛍光を検出することにより、血管を形成する弾性繊維を抽出し、該弾性繊維の連続性を判定することにより、血管における異常の有無を自動処理によって推定することができる。従って、血管に対する正確且つ安定した診断支援を、人的労力をかけることなく行うことが可能となる。
(実施の形態6)
次に、本発明の実施の形態6について説明する。
図32は、実施の形態6に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態6に係る顕微鏡システムは、図1に示す画像処理装置30の代わりに、演算部61を有する画像処理装置60を備える。なお、顕微鏡装置10及び撮像部20の構成及び動作、並びに、演算部61以外の画像処理装置60の各部の構成及び動作は、実施の形態4と同様である。
演算部61は、図22に示す異常判定部413の代わりに異常判定部611を備える。実施の形態6において、異常判定部611は、弾性繊維連続性判定部511aと、脈壁厚算出部611aと、判定部611bとを備える。脈壁厚算出部611aは、弾性繊維連続性判定部511aにより連続性があると判定された弾性繊維を含む血管の脈壁の厚みを算出する。判定部611bは、算出された脈壁の厚みに基づいて、当該血管が異常であるか否かを判定する。
次に、実施の形態6に係る画像処理方法について説明する。図33は、実施の形態6に係る画像処理方法を含む標本観察方法を示すフローチャートである。なお、図33に示すステップS40〜S44、S50及びS51は、実施の形態5と同様である。
ステップS51において弾性繊維が途切れずに輪になっていると判定された場合(ステップS51:Yes)、脈壁厚算出部611aは、当該弾性繊維を含む血管の脈壁の厚み(脈壁厚)を測定し(図34A参照)、脈壁厚の代表値を算出する(ステップS60)。より詳細には、脈壁厚算出部611aは、ブロブ解析により、弾性繊維の領域をもとに血管の外径を測定すると共に、血管の管内に相当する弾性繊維の内側の領域を抽出して血管の内径を測定し、これらの外径と内径との差を取ることにより脈壁厚を算出する。本実施の形態6においては、脈壁厚の代表値として平均値(平均脈壁厚)を算出する。なお、図34Aは、図30Dに示す弾性繊維E2を含む領域に対応する蛍光観察画像(図30A)の部分を拡大した画像である。
続くステップS61において、判定部611bは、平均脈壁厚と血管の内径(脈管径)の最小値との比(平均脈壁厚/最小脈管径)が所定の閾値以下であるか否かを判定する(図34B参照)。なお、図34Bは、図34Aを蛍光強度により閾値処理した画像である。ここで、平均脈壁厚/最小脈管径は脈壁厚に関する評価値であり、値が大きいほど、血管がつぶれて扁平になる度合いが大きくなることを示し、異常と判定される可能性が高くなる。
平均脈壁厚/最小脈管径が閾値以下である場合(ステップS61:Yes)、判定部611bは、当該血管は正常であると判定する(ステップS62)。
一方、ステップS51において弾性繊維が途切れていると判定された場合(ステップS51:No)、又は、ステップS61において平均脈壁厚/最小脈管径が閾値よりも大きいと判定された場合(ステップS61:No)、判定部611bは、当該血管は異常であると判定する(ステップS63)。
その後のステップS49は、実施の形態4と同様である。
次に、実施の形態6に係る画像処理方法の具体的な実施例を説明する。なお、以下の実施例においても、実施の形態5と同様に「Image J」を用いて解析を行った。
ステップS51において途切れずに輪になっていると判定された弾性繊維E1及びE2(図30D参照)に対し、ブロブ解析により外径を測定したところ、以下の結果が得られた。
弾性繊維E1
最大脈管径(外径):519画素
最小脈管径(外径):309画素
弾性繊維E2
最大脈管径(外径):307画素
最小脈管径(外径):210画素
そこで、各弾性繊維E1、E2の最小脈管径の位置において各種測定を行い、ステップS61の判定を行ったところ、以下の結果が得られた。なお、当該判定における閾値を40%としている。
弾性繊維E1
脈管の外径:309画素
脈管の内径:230画素
脈壁厚 :79画素
平均脈壁厚/最小脈管径(%):
(79/230)×100=34.3%
判定結果:正常
弾性繊維E2
脈管の外径:210画素
脈管の内径:191画素
脈壁厚 :19画素
平均脈壁厚/最小脈管径(%):
(19/191)×100=9.9%
判定結果:正常
以上説明したように、実施の形態6によれば、未染色又はHE染色が施された標本から発生する自家蛍光を検出することにより、血管を形成する弾性繊維を抽出し、該弾性繊維の連続性を判定すると共に脈壁厚を算出して脈壁厚を評価することにより、血管における異常の有無を自動処理によって推定することができる。従って、血管に対する正確且つ安定した診断支援を、人的労力をかけることなく行うことが可能となる。
(実施の形態7)
次に、本発明の実施の形態7について説明する。
図35は、実施の形態7に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態7に係る顕微鏡システムは、図1に示す画像処理装置30の代わりに、図35に示す画像処理装置70を備える。この画像処理装置70は、図32に示す演算部61及び記憶部34の代わりに、演算部71及び記憶部72をそれぞれ備える。なお、顕微鏡装置10及び撮像部20の構成及び動作、並びに、演算部71及び記憶部72以外の画像処理装置70の各部の構成及び動作は、実施の形態6と同様である。
演算部71は、図32に示す異常判定部611の代わりに、異常判定部711を備える。実施の形態7において、異常判定部711は、弾性繊維連続性判定部511aと、脈壁厚算出部611aと、判定部711aとを備える。このうち、弾性繊維連続性判定部511a及び脈壁厚算出部611aの動作は、実施の形態6と同様である。
判定部711aは、弾性繊維連続性判定部511aにより算出された円形度及び脈壁厚算出部611aにより算出された脈壁厚/脈管径比に基づいて、当該弾性繊維を含む血管が異常であるか否かを判定すると共に、後述する記憶部72に記憶されたルックアップテーブルを参照して、病態等のリスクの程度を判定する。
記憶部72は、画像処理プログラム記憶部341に加えて、ルックアップテーブル(LUT)記憶部721をさらに備える。図36A〜図38Bは、LUT記憶部721に記憶されているルックアップテーブルを示す。
図36Aに示すルックアップテーブルT11は、弾性繊維の円形度と病態リスクとを関連付けたものである。図36Bに示すルックアップテーブルT12は、平均脈壁厚と最小脈管径との比(以下、脈壁厚/脈管径比という)と病態リスクとを関連付けたものである。病態リスクは、円形度が小さいほど、又は、脈壁厚/脈管径比が大きいほど高くなる。
図37Aに示すルックアップテーブルT21は、弾性繊維の円形度と動脈硬化リスクとを関連付けたものである。図37Bに示すルックアップテーブルT22は、脈壁厚/脈管径比と動脈硬化リスクとを関連づけたものである。動脈硬化リスクは、円形度が小さいほど、又は、脈壁厚/脈管径比が大きいほど高くなる。
図38Aに示すルックアップテーブルT31は、弾性繊維の円形度と癌浸潤リスクとを関連付けたものである。図38Bに示すルックアップテーブルT32は、脈壁厚/脈管径比と癌浸潤リスクとを関連付けたものである。癌浸潤リスクは、円形度が小さいほど、又は、脈壁厚/脈管径比が大きいほど高くなる。
なお、図36A〜図38Bに示す具体的な数値は、単に一例を示している。
次に、実施の形態7に係る画像処理方法について説明する。図39は、実施の形態7に係る画像処理方法を含む標本観察方法を示すフローチャートである。なお、図39に示すステップS40〜S44、S50、S51及びS60〜S62は、実施の形態5と同様である。
ステップS51において弾性繊維が途切れていると判定された場合(ステップS51:No)、又は、ステップS61において平均脈壁厚/最小脈管径が閾値よりも大きいと判定された場合(ステップS61:No)、判定部711aは、ルックアップテーブルT11〜T32を参照し、弾性繊維の円形度及び脈壁厚/脈管径比に応じたリスクの程度を返す(ステップS70)。この際、病態リスクであればルックアップテーブルT11及びT12を、動脈硬化リスクであればルックアップテーブルT21及びT22と、癌浸潤リスクであればルックアップテーブルT31及びT32をそれぞれ参照する。
続くステップS49において、演算部71は、判定部711aによる判定結果並びに病態リスク、動脈硬化リスク及び癌浸潤リスクの程度を出力し、画像表示部33に表示させると共に、記憶部34に記憶させる。なお、円形度に基づくリスクの判定結果と脈壁厚/脈管径比に基づくリスクの判定結果とが異なる場合、両方の判定結果を表示することとしても良いし、いずれか一方(例えば、リスクの程度が高い方)の判定結果を出力することとしても良い。或いは、リスクの程度の平均値を出力することとしても良い。
その後、演算部71は当該蛍光観察画像に対する処理を終了する。
以上説明したように、実施の形態7によれば、ルックアップテーブルを参照することにより、血管における異常に関するより詳細な診断情報を取得することができる。従って、血管に対する正確且つ詳細な診断支援を、人的労力をかけることなく安定的に行うことが可能となる。
以上説明したルックアップテーブルに基づく血管の異常の判定は、実施の形態4又は5に適用しても良い。例えば、実施の形態4において、血管の形態特徴量(例えば、円形度)に応じた異常の有無又は異常の程度(病態リスク、動脈硬化リスク、癌浸潤リスク)を、予め記憶部に記憶させたルックアップテーブルを参照して判定しても良い。或いは、実施の形態5において、弾性繊維の連続性の有無や程度に応じた血管の異常の有無及び程度を、予め記憶部に記憶させたルックアップテーブルを参照して判定しても良い。具体例として、図29に示すステップS51において弾性繊維が途切れていると判定された場合(ステップS51:No)に、弾性繊維のエリア面積(画素数)と弾性繊維の輪郭の長さ(周囲長の画素数)とをブロブ解析により測定し、エリア面積と輪郭の長さとの比を連続性の度合いとして求め、図40に例示するようなルックアップテーブルを参照して、連続性の度合いに応じた血管の異常度を判定する。
(実施の形態8)
次に、本発明の実施の形態8について説明する。
図41は、実施の形態8に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態8に係る顕微鏡システムは、図1に示す画像処理装置30の代わりに、図41に示す画像処理装置80を備える。なお、顕微鏡装置10及び撮像部20の構成及び動作は、実施の形態1と同様である。
ここで、上記実施の形態4〜7においては、未染色又はHE染色が施された標本の蛍光観察画像における蛍光強度に基づいて、弾性繊維を表す画素を抽出した。しかしながら、弾性繊維を表す画素は、実施の形態1と同様に、蛍光観察画像の各画素における蛍光強度のスペクトル波形に基づいて抽出することもできる。
図41に示すように、画像処理装置80は、図1に示す演算部35に対して異常判定部511をさらに設けた演算部81を備える。演算部81において、波長分離/画素抽出部352は、蛍光観察画像内の各画素に対し、蛍光強度スペクトルのピーク波長及び波形が弾性繊維のスペクトルと一致するか否かを判定し、さらに、ピーク波長における蛍光強度が所定の閾値以上であるか否かを判定する。それにより、当該蛍光観察画像から弾性繊維を表す画素を、それ以外の標本構成要素(血球等)を表す画素と分離して抽出する。異常判定部511は、波長分離/画素抽出部352により抽出された弾性繊維に基づいて、当該弾性繊維を含む血管が異常であるか否かを判定する。なお、異常判定部511の詳細な動作は、実施の形態5と同様である。
以上説明したように、実施の形態8によれば、未染色又はHE染色が施された標本の蛍光観察画像から、蛍光強度のスペクトル波形に基づいて弾性繊維を表す画素を抽出するので、弾性繊維をより正確に抽出することができる。従って、血管に対する診断支援の精度をさらに向上させ、血管の診断支援を適切に行うことが可能となる。
なお、本実施の形態8の変形例として、異常判定部511の代わりに、実施の形態4と同様に血管の形態特徴量に基づいて血管の異常を判定する異常判定部413(図22参照)を設けても良いし、実施の形態6と同様に、弾性繊維の脈壁厚に基づいて血管の異常を判定する異常判定部611(図32に参照)を設けても良い。さらには、実施の形態7と同様に、ルックアップテーブルを参照して各種リスクを推定する異常判定部711(図35参照)を設けても良い。
以上説明した実施の形態4〜8においては、未染色又はHE染色が施された標本の蛍光観察画像に対する画像処理を説明した。しかしながら、同様の画像処理は、弾性繊維の自家蛍光が検出できれば、例えば、HDABNF染色(H:ヘマトキシリン、DAB:ジアミノベンジジン、NF:ニューフクシン)、ヘマトキシリン−DAB染色、ヘマトキシリン−ニューフクシン染色、ヘマトキシリン単染色等のように、HE染色以外の明視野観察用の染色を施した標本の蛍光観察画像に対しても適用することができる。各染色標本に対する励起光の波長帯域及び撮像波長並びに弾性繊維を表す画素の抽出方法については、変形例3〜5において説明したとおりである。
以上説明した実施の形態1〜8及びこれらの変形例はそのままに限定されるものではなく、各実施の形態及び変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を除外して形成してもよい。あるいは、異なる実施の形態に示した構成要素を適宜組み合わせて形成してもよい。
(付記1)
未染色またはヘマトキシリン・エオシン染色が施された標本の蛍光観察画像を表す画像情報を取得する画像取得部と、
前記画像情報に基づいて、前記標本が発生する前記蛍光の強度に対応する値を蛍光強度として算出する蛍光強度算出部と、
前記蛍光強度算出部により算出された前記蛍光強度に基づいて、前記蛍光観察画像に写った血管における異常の有無を判定する異常判定部と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
(付記2)
前記異常判定部は、
前記蛍光強度に基づいて、血管の形態特徴量を算出する血管特徴量算出部と、
前記血管の形態特徴量に基づいて、前記血管の異常の有無を判定する判定部と、
を備えることを特徴とする付記1に記載の画像処理装置。
(付記3)
前記蛍光強度に基づいて、前記蛍光観察画像から弾性繊維を抽出する弾性繊維抽出部をさらに備え、
前記異常判定部は、
前記弾性繊維の連続性を判定する弾性繊維連続性判定部と、
前記連続性の判定結果に基づいて、前記血管における異常の有無を判定する判定部と、
を備えることを特徴とする付記1に記載の画像処理装置。
(付記4)
前記弾性繊維連続性判定部は、前記弾性繊維によって囲まれる領域の面積及び前記弾性繊維の円形度に基づいて、前記弾性繊維の連続性を判定する、
ことを特徴とする付記3に記載の画像処理装置。
(付記5)
前記蛍光強度に基づいて、前記蛍光観察画像から弾性繊維を抽出する弾性繊維抽出部をさらに備え、
前記異常判定部は、
前記弾性繊維をもとに、前記血管の脈壁の厚みを算出する脈壁厚算出部と、
前記厚みに基づいて、前記血管が正常であるか又は異常であるかを判定する判定部と、
を備えることを特徴とする付記1に記載の画像処理装置。
(付記6)
前記脈壁厚算出部は、
前記弾性繊維をもとに前記血管の外径を測定し、
前記弾性繊維をもとに前記弾性繊維の内側の領域を抽出し、
前記内側の領域をもとに前記血管の内径を測定し、
前記血管の外径及び前記血管の内径をもとに前記脈壁の厚みを算出する
ことを特徴とする付記5に記載の画像処理装置。
(付記7)
前記血管の形態特徴量と前記血管における異常の有無及び/又は異常の程度の判定結果とを関連付けたルックアップテーブルを記憶する記憶部をさらに備え、
前記判定部は、前記ルックアップテーブルを参照して前記異常の有無及び/又は異常の程度を判定する、
ことを特徴とする付記2に記載の画像処理装置。
(付記8)
前記弾性繊維の連続性の判定結果と前記血管における異常の有無及び/又は異常の程度の判定結果とを関連付けたルックアップテーブルを記憶する記憶部をさらに備え、
前記判定部は、前記ルックアップテーブルを参照して前記異常の有無及び/又は異常の程度を判定する、
ことを特徴とする付記3又は4に記載の画像処理装置。
(付記9)
前記脈壁の厚みに関する評価値と前記血管における異常の有無及び/又は異常の程度の判定結果とを関連付けたルックアップテーブルを記憶する記憶部をさらに備え、
前記判定部は、前記ルックアップテーブルを参照して前記異常の有無及び/又は異常の程度を判定する、ことを特徴とする付記5又は6に記載の画像処理装置。
(付記10)
前記蛍光観察画像内の各画素の分光スペクトルを生成するスペクトル生成部をさらに備え、
前記蛍光強度算出部は、前記スペクトル生成部により生成された分光スペクトルが所定の特徴を有する画素の領域に対して、前記蛍光強度を算出する、
ことを特徴とする付記1〜9のいずれか1項に記載の画像処理装置。
(付記11)
前記蛍光観察画像は、波長帯域が300nm以上400nm以下の励起光の下で撮像され、
前記蛍光強度算出部は、前記分光スペクトルのピーク波長が560nmである画素の領域に対して、前記蛍光強度を算出する、
ことを特徴とする付記10に記載の画像処理装置。
(付記12)
付記1〜11のいずれか1項に記載の画像処理装置と、
標本が載置されるステージと、
前記ステージに向けて前記励起光を照射する照明光学系と、
前記ステージと対向して設けられ、前記標本の方向からの光を入射させる対物光学系と、
前記対物光学系を通過した前記標本の観察光を撮像して画像情報を生成する撮像部と、
を備えることを特徴とする顕微鏡システム。
(付記13)
前記撮像部は、互いに異なる複数の波長帯域における画像を撮像可能なカメラからなることを特徴とする付記12に記載の顕微鏡システム。
(付記14)
未染色またはヘマトキシリン・エオシン染色が施された標本に励起光を照射し、前記標本から発生する蛍光を観察することにより取得された画像を表す画像情報を取得する画像取得ステップと、
前記画像情報に基づいて、前記標本が発生する前記蛍光の強度に対応する値を蛍光強度として算出する蛍光強度算出ステップと、
前記蛍光強度算出ステップにおいて算出された前記蛍光強度に基づいて、前記画像に写った血管における異常の有無を判定する異常判定ステップと、
を含むことを特徴とする画像処理方法。
1 顕微鏡システム
10 顕微鏡装置
11 アーム部
12 落射照明用光源
12a 落射照明光学系
13 透過照明用光源
13a 透過照明光学系
14 標本ステージ
15 対物レンズユニット
151、152 対物レンズ
153 レボルバ
16 キューブユニット
16a 励起フィルタ
16b ダイクロイックミラー
16c 吸収フィルタ
161、162 光学キューブ
163 キューブ切換部
17 三眼鏡筒ユニット
18 接眼レンズユニット
19 結像レンズユニット
20 撮像部
20a 受光面
30、40、50、60、70、80 画像処理装置
31 入力部
32 画像取得部
33 画像表示部
34、72 記憶部
341 画像処理プログラム記憶部
35、37、38、41、51、61、71、81 演算部
351 スペクトル生成部
352 波長分離/画素抽出部
353 画像生成部
36 制御部
371 画素クラス分類部
372 画素抽出部
381 蛍光強度比較判定部
382 画像合成部
411 蛍光強度算出部
413、511、611、711 異常判定部
412 弾性繊維抽出部
413a 血管特徴量算出部
413b、511b、611b、711a 判定部
511a 弾性繊維連続性判定部
611a 脈壁厚算出部
721 ルックアップテーブル(LUT)記憶部

Claims (26)

  1. ヘマトキシリン・エオシン染色が施された標本の蛍光観察画像を表す画像情報を取得する画像取得部と、
    前記蛍光観察画像内の複数の画素における蛍光強度の波長分布をそれぞれ表す複数のスペクトルを生成するスペクトル生成部と、
    前記複数の画素から、特定のスペクトルの特徴を有する画素群を少なくとも2つ抽出する画素抽出部と、
    抽出された前記画素群に基づいて画像を生成する画像生成部と、
    を備えることを特徴とする画像処理装置。
  2. 前記画素抽出部は、前記標本内の少なくとも2種類の構成要素に関して予めそれぞれ取得された少なくとも2つの蛍光強度のスペクトルを参照して、前記少なくとも2つの画素群を抽出することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  3. 前記画素抽出部は、前記少なくとも2つの蛍光強度のスペクトルにおけるピーク波長と同じピーク波長を有する画素群をそれぞれ、前記少なくとも2つの画素群として抽出することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
  4. 前記画素抽出部は、
    前記ピーク波長が560nmである画素群を、前記標本内の弾性繊維を表す画素群として抽出し、
    前記ピーク波長が570nmである画素群を、前記標本内の血球を表す画素群として抽出することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
  5. 前記画素抽出部は、
    前記ピーク波長が560nmである前記画素群内の複数の画素のうち、ピーク波長における蛍光強度が所定の閾値以上である画素群を、前記弾性繊維を表す画素群として抽出することを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
  6. 前記画像取得部は、ヘマトキシリン・エオシン染色が施された標本の明視野観察画像を表す第2の画像情報をさらに取得し、
    前記画像生成部は、前記第2の画像情報に基づく第2の画像をさらに生成することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
  7. 前記画像と前記第2の画像との内の少なくとも1つを表示する画像表示部をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
  8. 前記第2の画像に対して前記画像を重畳した合成画像を生成する画像合成部をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
  9. 前記画像と、前記第2の画像と、前記合成画像との内の少なくとも1つを表示する画像表示部をさらに備えることを特徴とする請求項8に記載の画像処理装置。
  10. 明視野観察用の染色が施された標本の蛍光観察画像を表す画像情報を取得する画像取得部と、
    前記蛍光観察画像内の複数の画素の画素値に基づいて、前記標本内の特定の構成要素に対応する画素群を抽出する画素抽出部と、
    前記画素群に基づいて画像を生成する画像生成部と、
    を備えることを特徴とする画像処理装置。
  11. 前記弾性繊維を表す画素群に基づいて、前記蛍光観察画像に写った血管における異常の有無を判定する異常判定部をさらに備えることを特徴とする請求項4又は5に記載の画像処理装置。
  12. 前記異常判定部は、
    前記弾性繊維を表す画素群に基づいて、血管の形態特徴量を算出する血管特徴量算出部と、
    前記血管の形態特徴量に基づいて、前記血管の異常の有無を判定する判定部と、
    を備えることを特徴とする請求項11に記載の画像処理装置。
  13. 前記異常判定部は、
    前記弾性繊維の連続性を判定する弾性繊維連続性判定部と、
    前記連続性の判定結果に基づいて、前記血管における異常の有無を判定する判定部と、
    を備えることを特徴とする請求項11に記載の画像処理装置。
  14. 前記弾性繊維連続性判定部は、前記弾性繊維によって囲まれる領域の面積及び前記弾性繊維の円形度に基づいて、前記弾性繊維の連続性を判定する、
    ことを特徴とする請求項13に記載の画像処理装置。
  15. 前記異常判定部は、
    前記弾性繊維をもとに、前記血管の脈壁の厚みを算出する脈壁厚算出部と、
    前記厚みに基づいて、前記血管が正常であるか又は異常であるかを判定する判定部と、
    を備えることを特徴とする請求項11に記載の画像処理装置。
  16. 前記脈壁厚算出部は、
    前記弾性繊維をもとに前記血管の外径を測定し、
    前記弾性繊維をもとに前記弾性繊維の内側の領域を抽出し、
    前記内側の領域をもとに前記血管の内径を測定し、
    前記血管の外径及び前記血管の内径をもとに前記脈壁の厚みを算出する、
    ことを特徴とする請求項15に記載の画像処理装置。
  17. 前記血管の形態特徴量と前記血管における異常の有無及び/又は異常の程度の判定結果とを関連付けたルックアップテーブルを記憶する記憶部をさらに備え、
    前記判定部は、前記ルックアップテーブルを参照して前記異常の有無及び/又は異常の程度を判定する、
    ことを特徴とする請求項12に記載の画像処理装置。
  18. 前記弾性繊維の連続性の判定結果と前記血管における異常の有無及び/又は異常の程度の判定結果とを関連付けたルックアップテーブルを記憶する記憶部をさらに備え、
    前記判定部は、前記ルックアップテーブルを参照して前記異常の有無及び/又は異常の程度を判定する、
    ことを特徴とする請求項13又は14に記載の画像処理装置。
  19. 前記脈壁の厚みに関する評価値と前記血管における異常の有無及び/又は異常の程度の判定結果とを関連付けたルックアップテーブルを記憶する記憶部をさらに備え、
    前記判定部は、前記ルックアップテーブルを参照して前記異常の有無及び/又は異常の程度を判定する、
    ことを特徴とする請求項15又は16に記載の画像処理装置。
  20. 請求項1〜5及び11〜19のいずれか1項に記載の画像処理装置と、
    前記標本が載置されるステージと、
    前記ステージに向けて励起光を照射する落射照明光学系と、
    前記ステージと対向して設けられ、前記標本の方向からの光を入射させる対物光学系と、
    前記対物光学系を透過した前記光から蛍光光を抽出するフィルタと、
    前記対物光学系を透過した光の光路上に設けられ、前記標本の観察像を撮像して画像情報を生成する撮像部と、
    を備えることを特徴とする顕微鏡システム。
  21. 請求項1〜9及び11〜19のいずれか1項に記載の画像処理装置と、
    前記標本が載置されるステージと、
    前記ステージに向けて励起光を照射する落射照明光学系と、
    前記ステージに向けて照明光を照射する透過照明光学系と、
    前記標本に照射される前記励起光と前記照明光とを切り替える切換手段と、
    前記ステージと対向して設けられ、前記標本の方向からの光を入射させる対物光学系と、
    前記対物光学系を透過した光の光路上に挿脱可能に設けられ、該光から所定の波長帯域の蛍光光を抽出するフィルタと、
    前記対物光学系を透過した光の光路上に設けられ、前記標本の観察像を撮像して画像情報を生成する撮像部と、
    を備えることを特徴とする顕微鏡システム。
  22. 前記励起光の波長帯域は、300nm以上400nm以下であることを特徴とする請求項20又は21に記載の顕微鏡システム。
  23. 前記蛍光光の波長帯域は、520nm以上650nm以下であることを特徴とする請求項22に記載の顕微鏡システム。
  24. 前記撮像部は、複数の波長帯域において撮像可能なカメラであることを特徴とする請求項20〜23のいずれか1項に記載の顕微鏡システム。
  25. ヘマトキシリン・エオシン染色が施された標本の蛍光観察画像を表す画像情報を取得する画像取得ステップと、
    前記蛍光観察画像内の複数の画素における蛍光強度の波長分布をそれぞれ表す複数のスペクトルを生成するスペクトル生成ステップと、
    前記複数の画素から、特定のスペクトルの特徴を有する画素群を少なくとも2つ抽出する画素抽出ステップと、
    抽出された前記画素群に基づいて画像を生成する画像生成ステップと、
    を含むことを特徴とする画像処理方法。
  26. 前記スペクトルが所定の波長においてピークを示す画素を前記標本内の弾性繊維を表す画素として抽出し、該画素に基づいて、前記蛍光観察画像に写った血管における異常の有無を判定する異常判定ステップをさらに含むことを特徴とする請求項25に記載の画像処理方法。
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