JPWO2013089161A1 - 液状硬化性樹脂組成物、これを用いた画像表示用装置の製造方法、及び画像表示用装置 - Google Patents
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Abstract
Description
このような光の散乱を防止する方法として、特許文献1では、保護パネルと液晶パネルの間の空間にオイル状材料を充填する方法が、特許文献2では、アクリルモノマーを共重合してなるシートを保護パネルと液晶パネルとの間に介在させる方法がそれぞれ提案されている。
このようなディスプレイの割れの防止や光の散乱等を防止する方法として、特許文献3及び4では、保護パネルと、プラズマ表示板や液晶パネル等の画像表示ユニットとの間の空間、保護パネルとタッチパネルとの間の空間、及びタッチパネルと画像表示ユニットとの間の空間(以下、まとめて「保護パネルと画像表示ユニット等との間の空間」ともいう。)に特定の樹脂からなる光学フィルムを介在させる方法が提案されている。
また、特許文献3に開示された樹脂からなる光学フィルムでは、ディスプレイに適用後、短時間の耐湿熱試験を行うと白濁してしまうという問題がある。
即ち、本発明は、下記の〔1〕〜〔4〕を提供する。
〔1〕(A)分子内にエチレン性不飽和結合を有する重合体(A1)を含む重合体成分、
(B)分子内に1個のエチレン性不飽和基を有する低分子量単量体、及び
(C)重合開始剤、
を含有し、
(B)成分が、下記一般式(I)で表される化合物を含む、液状硬化性樹脂組成物。
〔2〕画像表示ユニットと、保護パネルと、を備える画像表示用装置の製造方法であって、
前記画像表示ユニットと前記保護パネルとの間に、上記〔1〕に記載の液状硬化性樹脂組成物を介在させる工程と、
前記保護パネル側から光照射して前記液状硬化性樹脂組成物を硬化させる工程と、を備える、画像表示用装置の製造方法。
〔3〕画像表示ユニットと、タッチパネルと、保護パネルと、を備える画像表示用装置の製造方法であって、
前記画像表示ユニットとタッチパネルとの間及び前記タッチパネルと前記保護パネルとの間の少なくとも一方に、上記〔1〕に記載の液状硬化性樹脂組成物を介在させる工程と、
前記保護パネル側から光照射して前記液状硬化性樹脂組成物を硬化させる工程と、を備える、画像表示用装置の製造方法。
〔4〕上記〔1〕又は〔2〕に記載の製造方法により製造される、画像表示用装置。
また、本発明の画像表示用装置の製造方法によれば、画像表示ユニットに与える応力を軽減することができ、耐衝撃性を有し、二重写りがなく鮮明でコントラストの高い画像が得られる画像表示用装置を提供することができる。
本発明の液状硬化性樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」ともいう)は、(A)分子内にエチレン性不飽和結合を有する重合体(A1)を含む重合体成分、(B)分子内に1個のエチレン性不飽和基を有する低分子量単量体、及び(C)重合開始剤を含有し、(B)成分が、上記一般式(I)で表される化合物を含む。
なお、本発明において「液状硬化性樹脂組成物」とは、25℃で液状であって、光や熱等の放射によって硬化し得る樹脂組成物を意味する。
また、本発明において「重合体」とは、重量平均分子量が3000以上の化合物を意味し、「低分子量単量体」とは、重量平均分子量が3000未満の化合物を意味する。
さらに、本発明の樹脂組成物は、(B)成分を含有するため、液状で存在するので、保護パネルと画像表示ユニット等との間の空間に均一に充填することができる。
ここでいう「実質的に有機溶媒を含まない」とは、意図的に有機溶媒を添加しないという意味であり、本発明の特性を著しく低下させない程度であれば、微量の有機溶媒が存在してもよい。具体的には、有機溶媒の含有量が、樹脂組成物の総量に対し、1000ppm以下であればよく、好ましくは500ppm以下、より好ましくは100ppm以下、更に好ましくは有機溶媒を全く含有しない。なお、ここでいう「有機溶媒」とは、分子内にエチレン性不飽和基を有さず、25℃において液状であり、且つ、大気圧における沸点が250℃以下の有機化合物を意味する。
なお、25℃における粘度は、E型粘度計(東機産業製、製品名「RE−80L」)より、Cone rotor(3°×R17.65)を用いて、回転数1rpmで測定した値であり、具体的には実施例に記載の測定方法に基づく値である。
以下、各成分について説明する。
(A)成分は、分子内にエチレン性不飽和結合を有する重合体(A1)を含む重合体成分である。なお、(A)成分の重合体成分は、分子内にエチレン性不飽和結合を有する重合体(A1)のみなるものであってもよく、(A1)成分以外に分子内にエチレン性不飽和結合を有さない重合体を含むものであってもよい。
また、(A)成分の重合体成分の重量平均分子量は、通常3,000以上である。
(A)成分の重量平均分子量は、硬化性、耐湿熱信頼性及び作業性の観点から、好ましくは3,000〜40,000、より好ましくは4,000〜30,000、更に好ましくは5,000〜20,000、より更に好ましくは6,000〜10,000である。
重量平均分子量が3,000以上であれば、十分な硬化性が得られ、硬化物の耐湿熱信頼性にも優れる。一方、40,000以下であれば、作業性も良好となる。
これらの中でも、樹脂組成物の硬化物の強靭性及び接着性を向上させる観点から、(メタ)アクリロイル基を有するウレタン重合体が好ましい。
これらの中でも、応力及び衝撃の緩和性、透明性、接着性、並びに他の成分との相溶性の観点から、ポリエーテルジオールが好ましい。
これらの中でも、透明性をより向上させる観点から、炭素数1〜20の脂肪族基又は炭素数5〜20の脂環式基が好ましく、炭素数5〜20の脂環式基がより好ましい。
なお、上記の炭素数1〜20の脂肪族基としては、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であることが好ましい。
なお、これらのジイソシアネート化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
ブロック剤としては、特に制限はないが、例えば、ヒドロキシアクリレート、ブタノール等のアルコール類、フェノール、オキシム等が挙げられる。
また、(メタ)アクリロイル基を有するモノイソシアネート化合物としては、例えば、2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、(A)成分中の分子内にエチレン性不飽和結合を有する重合体(A1)は、上述の成分を用いて従来公知の方法、例えば、p−メトキシフェノール等の重合禁止剤及びジブチル錫ジラウレート等の触媒の存在下で上述の成分を反応させる方法で製造することができる。
ここで、「官能基数」とは(A)成分の重合体成分の1分子中の官能基((メタ)アクリロイル基)の数を示し、「平均官能基数」とは、(A)成分全体における分子当たりの官能基数((メタ)アクリロイル基数)の平均値を示す。平均官能基数は、(A)成分を合成するときの各構成成分のモル数から算出できる。また、(A)成分の1H−NMRの積分値からも平均官能基数を算出することができる。
ここで、本発明において、エチレン性不飽和結合を有する重合体の合成時に、エチレン性不飽和結合を有しない重合体も生成される場合、エチレン性不飽和結合を有する重合体(A1)とエチレン性不飽和結合を有しない重合体の混合物も(A)成分とする。
当該アクリル系重合体は、例えば、(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物をラジカル重合させることにより製造された重合体や、スチレン;ビニルトルエン及びα−メチルスチレン等のα−位若しくは芳香族環において置換されている重合可能なスチレン誘導体、ビニルアルキルエーテル、ビニルアルコールのエステル類等の1種又は2種以上の重合性単量体を共重合体して製造された重合体が挙げられる。
上記(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物としては、例えば、アルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、分子内に(メタ)アクリロイル基及び、水酸基若しくはエーテル結合を有する化合物が挙げられる。
(A1)成分と分子内にエチレン性不飽和結合を有しない以外は(A1)成分と同じ構造を有する重合体との合計含有量は、(A)成分の総量に対して、好ましくは70〜100質量%、より好ましくは85〜100質量%、更に好ましくは95〜100質量%、より更に好ましくは実質100質量%である。
(B)成分は、分子内に1個のエチレン性不飽和基を有する低分子量単量体であり、当該低分子単量体の重量平均分子量は通常3,000未満である。
(B)成分の重量平均分子量は、好ましくは100〜2800、より好ましくは150〜2000、更に好ましくは200〜1500である。
(B)成分である分子内に1個のエチレン性不飽和基を有する低分子量単量体は、常温(25℃)で液状であることが好ましく、本発明においては、(B)成分として、下記一般式(I)で表される化合物を含む。
R2は炭素数4以上のアルキル基である。当該アルキル基の炭素数は、好ましくは4〜12、より好ましくは5〜11、更に好ましくは6〜10である。炭素数4未満のアルキル基であると、硬化収縮性が高くなるため好ましくない。一方、炭素数12以下のアルキル基であることで、(A)成分との相溶性が良好となる。
nは、エチレンオキサイドの付加モル数の平均値に相当するものである。
nは1〜20の正の数であるが、硬化収縮性を低く抑える観点から、好ましくは3〜20、より好ましくは4〜20、更に好ましくは7〜20である。
なお、nが20を超えると、粘度が高くなり過ぎ、又は、常温で液状にならずに固体となり、液状硬化性樹脂組成物として調整することが困難になるため好ましくない。
なお、前記一般式(I)において、R1が水素原子であり、R2がノニル基であり、nの平均値が4である化合物は、FA−314A(日立化成工業(株)製、商品名)として、また、前記一般式(I)において、R1が水素原子であり、R2がノニル基であり、nの平均値が8である化合物は、FA−318A(日立化成工業(株)製、商品名)としてそれぞれ商業的に入手可能である。
このような低分子量単量体としては、例えば、下記一般式(3)で表されるアルキル(メタ)アクリレート(以下、「(B1)成分」ともいう。)、及び、分子内に(メタ)アクリロイル基及び、水酸基若しくはエーテル結合を有する化合物(以下、「(B2)成分」ともいう。)等が挙げられる。
上記一般式(3)で表されるアルキル(メタ)アクリレートしては、例えば、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
分子内に(メタ)アクリロイル基及び、水酸基若しくはエーテル結合を有する化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート;ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等の水酸基含有(メタ)アクリルアミド;ジエチレングリコールやトリエチレングリコール等のポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート;ジプロピレングリコールやトリプロピレングリコール等のポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート;ジブチレングリコールやトリブチレングリコール等のポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート;アクリロイルモルホリン等のモルホリン基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。
これらの中でも、耐湿熱信頼性及び塗工時の作業性の観点から、水酸基含有(メタ)アクリレート、モルホリン基含有(メタ)アクリレートが好ましく、4−ヒドロキシブチルアクリレート、アクリロイルモルホリンがより好ましい。
これらの化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(B)成分の含有量が5質量%以上であれば、適度な粘度を有する樹脂組成物とすることができ、塗工時の作業性を良好とすることができると共に、硬化収縮率を低くすることができる。また、40質量%以下であれば、硬化収縮率が高くなることがない。
本発明で用いる(C)重合開始剤としては、(C1)光重合開始剤、若しくは(C2)熱重合開始剤のいずれも使用することができ、これらを併用してもよい。
これらの(C1)光重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(C2)熱重合開始剤の具体例としては、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシビバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ジアセチルパーオキシドのような有機過酸化物;2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4'−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2'−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]のようなアゾ系化合物が挙げられる。
これらの(C2)熱重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
なお、(C)成分として、(C1)光重合開始剤を使用する場合、(C1)光重合開始剤の含有量は、樹脂組成物中の全成分の総量に対して、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.2〜3質量%、更に好ましくは0.3〜2質量%である。
一方、(C)成分として、(C2)熱重合開始剤を使用する場合、(C2)熱重合開始剤の含有量は、樹脂組成物中の全成分の総量に対して、好ましくは0.01〜1質量%である。
なお、(C1)光重合開始剤と(C2)熱重合開始剤とを併用するときは、それぞれ上記の範囲で使用することが好ましい。
硬化反応は、活性エネルギー線の照射による硬化反応、熱による硬化反応、又はこれらの併用により行うことができる。活性エネルギー線とは、紫外線、電子線、α線、β線等をいう。これらの方法は、(A)成分の重合体成分の合成にも利用できる。
また、上記硬化物のヘイズは、好ましくは1.0%以下、より好ましくは0.7%以下、更に好ましくは0.4%以下である。
なお、上記硬化物の光透過率及びヘイズの値は、実施例に記載の方法により測定された値を意味する。
以下、本発明の硬化性樹脂組成物を用いて製造することが可能な画像表示用装置の一例である液晶表示装置について説明する。
図1は、本発明の画像表示用装置の一例である液晶表示装置の一実施形態を模式的に示す側面断面図である。図1に示す液晶表示装置は、バックライトシステム50、偏光板22、液晶表示セル10及び偏光板20がこの順で積層されてなる画像表示ユニット1と、液晶表示装置の視認側となる偏光板20の上面に設けられた透明樹脂層32と、その表面に設けられた保護パネル40とから構成される。なお、透明樹脂層32は、本発明の液状硬化性樹脂組成物の硬化物から構成される。
偏光板の表面には、反射防止、防汚、ハードコート等の表面処理がなされていてもよい。上記の表面処理は、偏光板の片面に対して、又はその両面に対して実施されていてよい。
また、タッチパネル30としては、当技術分野で一般的に用いられているものを使用することができる。
光学用透明基材としては、例えば、ガラス板、石英板等の無機物の板、アクリル板、ポリカーボネート板等の樹脂板、厚手のポリエステルシート等の樹脂シート等が挙げられる。これらの中でも、高い表面硬度を有するとの観点から、ガラス板、アクリル板が好ましく、ガラス板がより好ましい。
なお、保護パネル40の表面には、反射防止、防汚、ハードコート等の表面処理がなされていてもよい。上記の表面処理は、保護パネルの片面のみでも両面とも行われていてもよい。また、保護パネルは、複数枚の基板を組み合わせて使用することもできる。
本発明の液状硬化性樹脂組成物を用いた、上記の図1、2に示されたような画像表示装置は、例えば、以下の方法により製造することができる。
まず、図1に示されたような、画像表示ユニットと、保護パネルと、を備える画像表示用装置は、画像表示ユニットと保護パネルとの間に、本発明の液状硬化性樹脂組成物を介在させる工程(以下、「工程(1a)」ともいう)と、当該保護パネル側から光照射して液状硬化性樹脂組成物を硬化させ、透明樹脂層を形成する工程(以下、「工程(2a)」ともいう)とを経て、製造することができる。
なお、硬化性樹脂組成物を注型する際には、画像表示ユニット及び保護パネルの周囲にダムを形成してもよい。
なお、露光量とは、紫外線照度計「製品名「UV−M02」(受光器:UV−36)、オーク社製」等で測定される照度に、照射時間(秒)を掛けた値をいう。
紫外線照射用の光源としては、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、LEDランプ等が挙げられる。これらの中でも、高圧水銀灯、メタルハライドランプが好ましい。
特に、画像表示用装置が10インチサイズ以上において、本発明の液状硬化性樹脂組成物を用いて透明樹脂層を作製することがより好適である。
本発明を適用した画像表示用装置に使用し得る樹脂組成物の調製例について以下に説明する。なお、以下の実施例において、重量平均分子量は、以下の方法に基づいて測定した値である。
テトラヒドロフラン(THF)を溶媒としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を使用して行い、ポリスチレンを標準物質として使用して、3次式で近似して決定した。以下、GPC条件を示す。
装置:
・ポンプ:L−2130型(日立ハイテクノロジーズ(株)製)
・検出器:L−2490型RI(日立ハイテクノロジーズ(株)製)
・カラムオーブン:L−2350(日立ハイテクノロジーズ(株)製)
カラム:「Gelpack GL−R440」+「Gelpack GL−R450」+「Gelpack GL−R400M」(計3本)(日立化成工業(株)製、商品名)
カラムサイズ:10.7mmI.D×300mm
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
試料濃度:10mg/2mL
注入量:200μL
流量:2.05mL/分
測定温度:40℃
(ポリウレタンアクリレート1の合成)
冷却管、温度計、攪拌装置、滴下漏斗及び空気注入管を備える反応容器に、上記(a1)成分としてポリテトラメチレングリコール(分子量850)520.8g(0.613mol)、ジエチレングリコール1.06g(0.01mol)、上記(a3)成分として2−ヒドロキシエチルアクリレートのカプロラクトン2モル付加物(ダイセル化学工業株式会社製、商品名「プラクセルFA2D」)275.2g(0.8mol)、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.5g、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.3gを添加した。反応容器製に空気を流しながら70℃に昇温後、70〜75℃で攪拌しつつ、上記(a2)成分としてイソホロンジイソシアネート222g(1mol)を2時間かけて均一滴下し、反応を行った。
滴下終了後、5時間反応させたところで、IR(赤外吸収分析)測定(装置名:JIR−6500、日本電子社製)によりイソシアネートが消失したことを確認して反応を終了し、ポリテトラメチレングリコールとイソホロンジイソシアネートを繰り返し単位として有し、エチレン性不飽和結合を有するポリウレタンアクリレート1(重量平均分子量7,000、平均官能基数=2(計算値))を得た。
(ポリウレタンアクリレート2の合成)
冷却管、温度計、攪拌装置、滴下漏斗及び空気注入管を備える反応容器に、上記(a1)成分としてポリテトラメチレングリコール(分子量850)520.8g(0.613mol)、ジエチレングリコール1.06g(0.01mol)、上記(a3)成分として2−ヒドロキシエチルアクリレートのカプロラクトン2モル付加物(ダイセル化学工業株式会社製、商品名「プラクセルFA2D」)137.6g(0.4mol)、ブロック剤としてブタノール34.9g(0.47mol)、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.5g、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.3gを添加した。反応容器内に空気を流しながら70℃に昇温後、70〜75℃で攪拌しつつ、上記(a2)成分としてイソホロンジイソシアネート222g(1mol)を2時間かけて均一滴下し、反応を行った。
滴下終了後、5時間反応させたところで、IR(赤外吸収分析)測定(装置名:JIR−6500、日本電子社製)によりイソシアネートが消失したことを確認して反応を終了し、ポリテトラメチレングリコールとイソホロンジイソシアネートを繰り返し単位として有し、エチレン性不飽和結合を有するポリウレタンアクリレート2(重量平均分子量7,000、平均官能基数=1(計算値))を得た。
(ポリウレタンアクリレート3の合成)
冷却管、温度計、攪拌装置、滴下漏斗及び空気注入管を備える反応容器に、上記(a1)成分としてポリテトラメチレングリコール(分子量850)520.8g(0.613mol)、ジエチレングリコール1.06g(0.01mol)、上記(a3)成分として2−ヒドロキシエチルアクリレートのカプロラクトン2モル付加物(ダイセル化学工業株式会社製、商品名「プラクセルFA2D」)137.6g(0.4mol)、ブロック剤としてブタノール34.9g(0.47mol)、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.5g、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.3gを添加した。反応容器内に空気を流しながら70℃に昇温後、70〜75℃で攪拌しつつ、上記(a2)成分としてTMDI(2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートと2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートの混合物、混合比 4:6(質量比))209.8g(1mol)を2時間かけて均一滴下し、反応を行った。
滴下終了後、5時間反応させたところで、IR(赤外吸収分析)測定(装置名:JIR−6500、日本電子社製)によりイソシアネートが消失したことを確認して反応を終了し、ポリテトラメチレングリコールとTMDIを繰り返し単位として有し、エチレン性不飽和結合を有するポリウレタンアクリレート3(重量平均分子量7,000、平均官能基数=1(計算値))を得た。
(ポリウレタンアクリレート4の合成)
冷却管、温度計、攪拌装置、滴下漏斗及び空気注入管を備える反応容器に、上記(a1)成分としてポリテトラメチレングリコール(分子量850)520.8g(0.613mol)、ジエチレングリコール1.06g(0.01mol)、上記(a3)成分として2−ヒドロキシエチルアクリレートのカプロラクトン2モル付加物(ダイセル化学工業株式会社製、商品名「プラクセルFA2D」)68.8g(0.2mol)、ブロック剤としてブタノール52.3g(0.71mol)、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.5g、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.3gを添加した。反応容器内に空気を流しながら70℃に昇温後、70〜75℃で攪拌しつつ、上記(a2)成分として、TMDI(2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートと2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートの混合物、混合比 4:6(質量比))209.8g(1mol)を2時間かけて均一滴下し、反応を行った。
滴下終了後、5時間反応させたところで、IR(赤外吸収分析)測定(装置名:JIR−6500、日本電子社製)によりイソシアネートが消失したことを確認して反応を終了し、ポリテトラメチレングリコールとTMDIを繰り返し単位として有し、エチレン性不飽和結合を有するポリウレタンアクリレート4(重量平均分子量7,000、平均官能基数=0.5(計算値))を得た。
(NP−15EO−A(ノニルフェノールエチレンオキサイド(15モル)変性アクリレート)の合成)
攪拌機、温度計、空気導入管、及び精留塔(15段)を取り付けた4リットルフラスコに、p−ノニルフェノールエチレンオキサイド15モル変性アルコール1800g(1.92モル)、アクリル酸エチル2100g(11モル)、重合禁止剤としてヒドロキノンモノメチルエーテル0.57gを仕込み、常圧下、乾燥空気を100ml/分の速度で吹き込みながら加熱還流し、系内の水分を除去した。次に、触媒としてオルトチタン酸イソプロピル(チタンテトライソプロポキシド)16gを加え、エステル交換反応を行った。始めは反応混合物を加熱還流し、精留塔の塔頂温度はアクリル酸エチルの沸点である100℃であったが、反応の進行と共に、エタノールとアクリル酸エチルの共沸混合物の沸点に近づいたので、塔頂温度が70℃になるように還流比を調節してエタノールをアクリル酸エチルの共沸物として留去しながら反応を行った。触媒を加えて3時間程経過した頃から塔頂温度が上昇し始め約90℃まで上昇したので、それに合わせて還流比を徐々に大きくし、最終的には還流比を15にして反応を続けた。反応開始後6時間目の反応液を液体クロマトグラフィーで分析したところ、原料であるp−ノニルフェノールエチレンオキサイド15モル変性アルコールは検出されず、目的生成物であるノニルフェノールエチレンオキサイド15モル変性アクリレートが97%(面積%)得たため反応を終了した。反応液を75℃まで冷却し、17重量%食塩水300gを加えて触媒を加水分解し不溶化した。30分静置後、デカンテーションにより有機層をナス型フラスコにとり、ロータリーエバポレーターを用いて過剰なアクリル酸エチルを減圧下留去して、吸引ろ過によりナスフラスコ内液をろ過したところ、淡黄色透明のノニルフェノールエチレンオキサイド15モル変性アクリレート(上記一般式(I)において、R1が水素原子、R2 がノニル基、nの平均値が15である化合物)を得た。なお、収量は1826g(収率96%)であった。
(NP−20EO−A(ノニルフェノールエチレンオキサイド(20モル)変性アクリレート)の合成)
「p−ノニルフェノールエチレンオキサイド15モル変性アルコール」の代わりに、「p−ノニルフェノールエチレンオキサイド20モル変性アルコール」を用いた以外は、製造例5と同様にして、ノニルフェノールエチレンオキサイド20モル変性アクリレート(上記一般式(I)において、R1が水素原子であり、R2がノニル基、nの平均値が20である化合物)を得た。
表1及び表2に示す配合比で、(A)〜(C)成分を配合し、攪拌混合して、実施例1〜10及び比較例1〜7の液状硬化性樹脂組成物を調製した。なお表中、(A)〜(C)成分についての数値の単位は質量部である。
なお、表1及び2中の(A)成分として用いている「ポリウレタンアクリレート1〜4」は、それぞれ上記製造例1〜4記載の方法にて合成されたポリウレタンアクリレートである。
また、(B)成分として用いられている「FA−314A」「FA−318A」「FA−310A」「NP−15EO−A」「NP−20EO−A」は、以下に示す化合物である。
・FA−314A:日立化成工業(株)製、商品名。上記一般式(I)において、R1が水素原子であり、R2がノニル基であり、nの平均値が4である化合物。
・FA−318A:日立化成工業(株)製、商品名。上記一般式(I)において、R1が水素原子であり、R2がノニル基であり、nの平均値が8である化合物。
・FA−310A:日立化成工業(株)製、商品名。上記一般式(I)において、R1が水素原子であり、R2が水素原子であり、nの平均値が1である化合物。
・NP−15EO−A:製造例5記載の方法で合成されたノニルフェノールエチレンオキサイド(15モル)変性アクリレート。上記一般式(I)において、R1が水素原子であり、R2がノニル基であり、nの平均値が15である化合物。
・NP−20EO−A:製造例6記載の方法で合成されたノニルフェノールエチレンオキサイド(20モル)変性アクリレート。上記一般式(I)において、R1が水素原子であり、R2がノニル基であり、nの平均値が20である化合物。
25℃における粘度を、JIS Z 8803に準じて、E型粘度計(東機産業製、製品名「RE−80L」)を用いて、Cone rotor(3°×R17.65)、回転数が1rpm、試料量が1mlの条件で測定した。
縦85mm×横55mm×厚さ0.7mmのガラス基板上に、175μmの枠状のスペーサーを設けて、硬化後の膜厚が175μmとなるように、実施例1〜10及び比較例1〜7のそれぞれの液状硬化性樹脂組成物を枠状のスペーサーの内側に塗布し塗膜を形成し、形成した塗膜上に、上記と同じガラス基板を貼り合わせた。そして、紫外線照射装置(製品名:ELM−3000B−6N、オーク社製)を用いて紫外線を2,000mJ/cm2照射して、硬化性樹脂組成物の塗膜を硬化させ、2枚のガラス基板に挟まれた膜厚が175μmの硬化物を作製した。
上記と同様にして、実施例1〜10及び比較例1〜7のそれぞれの液状硬化性樹脂組成物を用いて、硬化後の膜厚が20μmとなるようにし、2つのガラス基板で挟まれたレファレンス用の試料を作製した。この膜厚が20μmの硬化物が2枚のガラス基板に挟まれた試料をレファレンスとして、当該リファレンスに対応する上記の2枚のガラス基板に挟まれた膜厚175μmの硬化物の波長400nmにおける光透過率を、分光光度計(島津製作所製、製品名「UV−2400PC」)を用いて測定した。
また、前記ガラス基板に挟まれた膜厚175μmの硬化物のヘイズを、JIS K 7136に準じて、ヘイズメーター(日本電色工業(株)製、製品名「NDH5000W」)を用いて測定した。
ヘイズ(%)=(Td/Tt)×100
(ただし、Td:拡散透過率、Tt:全光線透過率を示す。)
実施例1〜10及び比較例1〜7のそれぞれの液状硬化性樹脂組成物を、4インチのガラス基板上に、175μmのスペーサーを介して、同じガラス基板と該塗膜とを貼合した。そして、紫外線照射装置を用いて紫外線を2,000mJ/cm2照射して、塗膜を硬化させ、膜厚175μmの試験片を得た。この試験片を85℃/85%RH(相対湿度)の試験槽に50時間投入し、剥がれ、気泡発生の有無を目視で観察し、下記の基準で評価した。
A:目視で変化なし。
F:目視で剥がれ、気泡が確認された。
上記の光透過率及びヘイズの測定で用いたものと同じ膜厚175μmの硬化物(硬化後の樹脂組成物)と、硬化前の樹脂組成物の比重を、電子比重計(アルファーミラージュ(株)SD−200L)を用いて測定し、下式より硬化収縮率を算出し、下記の基準で評価した。
硬化収縮率(%)={(硬化物の比重−硬化前の樹脂組成物の比重)/硬化物の比重}×100
A:1.0%未満
B:1.0%以上1.4%未満
C:1.4%以上1.8%未満
D:1.8%以上
10 液晶表示セル
20、22 偏光板
30 タッチパネル
31、32 透明樹脂層
40 保護パネル
50 バックライトシステム
Claims (11)
- (A1)成分が(メタ)アクリロイル基を有するウレタン重合体である、請求項1に記載の液状硬化性樹脂組成物。
- 実質的に有機溶媒を含有せず、25℃における粘度が500〜5000mPa・sである、請求項1又は2に記載の液状硬化性樹脂組成物。
- (A)成分の重量平均分子量が3,000以上であり、(B)成分の重量平均分子量が3,000未満である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の液状硬化性樹脂組成物。
- 前記液状硬化性樹脂組成物中の全成分の総量に対する、(A)成分の含有量が60〜95質量%であり、(B)成分の含有量が5〜40質量%であり、(C)成分の含有量が0.01〜5質量%である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の液状硬化性樹脂組成物。
- (A)成分の平均官能基数が0.3〜2.0である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の液状硬化性樹脂組成物。
- 画像表示ユニットと、保護パネルと、を備える画像表示用装置の製造方法であって、
前記画像表示ユニットと前記保護パネルとの間に、請求項1〜6のいずれか一項に記載の液状硬化性樹脂組成物を介在させる工程と、
前記保護パネル側から光照射して前記液状硬化性樹脂組成物を硬化させる工程と、を備える、画像表示用装置の製造方法。 - 画像表示ユニットと、タッチパネルと、保護パネルと、を備える画像表示用装置の製造方法であって、
前記画像表示ユニットと前記タッチパネルとの間及び前記タッチパネルと前記保護パネルとの間の少なくとも一方に、請求項1〜6のいずれか一項に記載の液状硬化性樹脂組成物を介在させる工程と、
前記保護パネル側から光照射して前記液状硬化性樹脂組成物を硬化させる工程と、を備える、画像表示用装置の製造方法。 - 請求項7又は8に記載の製造方法により製造される、画像表示用装置。
- 画像表示部を有する画像表示ユニットと、保護パネルと、前記画像表示ユニットと前記保護パネルとの間に存在する樹脂層とを含む積層構造を有する画像表示用装置であって、
前記樹脂層が、請求項1〜6のいずれか一項に記載の液状硬化性樹脂組成物の硬化物よりなる、画像表示用装置。 - 画像表示部を有する画像表示ユニットと、タッチパネルと、保護パネルと、前記タッチパネルと前記保護パネルとの間に存在する樹脂層とを含む積層構造を有する画像表示用装置であって、
前記樹脂層が、請求項1〜6のいずれか一項に記載の液状硬化性樹脂組成物の硬化物よりなる、画像表示用装置。
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