JPWO2013084612A1 - 光ヘッド装置 - Google Patents

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Abstract

光ヘッド装置は、光ディスク(OD)からの戻り光ビームを透過回折させて透過回折光ビームを出射する回折光学素子(21)と光検出器(22)とを備える。回折光学素子(21)は、0次回折作用及び±1次回折作用を有する主回折領域(210)と、0次回折作用及び±1次回折作用を有する副回折領域(211A,211B)とを含む。光検出器(22)は、透過回折光ビームの0次光成分を受光する主受光部(23)と、透過回折光ビームの+1次光成分及び−1次光成分のうちの一方を受光する第1副受光部24を含む。第1副受光部(24)は、所定方向に配列された複数の受光面を有する。

Description

本発明は、光ヘッド装置及びこれを有する光ディスク装置、並びに光ヘッド装置に含まれる回折光学素子の位置調整方法に関するものである。
1枚の光ディスクに記録できる情報量を拡大する1つの手段として、1枚の光ディスクの中に複数の情報記録層を積層させる方式(多層光ディスク方式)が知られている。多層光ディスク方式では、単一の情報記録層を有する光ディスクと比べて、おおよそ情報記録層の数の倍数分だけ情報記録量を増大させることが可能である。たとえば、商用化されているDVD(Digital Versatile Disc:登録商標)及びBD(Blu−ray Disc:登録商標)の規格においては、2つの情報記録層を有する2層ディスクがすでに実用化されている。
このような多層光ディスクに対する記録または再生を行う光ディスク装置では、情報の再生あるいは記録の対象となる層として選択された所望の情報記録層からの反射光以外に、他の情報記録層からの反射光が所謂迷光として光検出器で検出される。このため、所望の情報記録層に対して高速かつ正確に情報の記録または再生を行うためには、この迷光を極力排除して情報の記録または再生への迷光の影響を軽減する工夫が必要となる。たとえば、トラッキングエラー検出方式として、対物レンズシフト(対物レンズがアクチュエータによって駆動されて光ディスクのラジアル方向にシフトすると、対物レンズの位置と光検出器の位置とが互いにずれる現象)が生じた時にトラッキングエラー信号に直流オフセット成分が重畳されない方式である差動プッシュプル方式が一般に採用されている。
差動プッシュプル方式では、レーザ光源から出射された光ビームは、回折格子で1つの主ビームと2つの副ビームとからなる3つの光ビームに分割され、光ディスクの情報記録層に3つの光スポットを形成する。当該情報記録層への情報の記録または再生は、中央に形成される主ビームの光スポットを用いて実行される。また、主ビームの光スポットの両側に形成される2つの副ビームの光スポットは、トラッキングエラー信号生成のために使用される。通常、回折格子は、副ビームの光強度が主ビームの光強度に比べて充分低くなるように設計されている。
ところで、多層光ディスクにおいて記録容量をさらに拡大するためには、情報記録層の数を増やす方法が容易に考えられる。その場合、互いに隣接する情報記録層間の間隔を狭くすることも必要となるが、所望の情報記録層以外の他の情報記録層からの迷光の光強度が増加する傾向となる。たとえば、2層の情報記録層を有する光ディスクの場合には、迷光が生じる当該他の情報記録層は1つの層だけであるのに対して、N層の情報記録層を有する光ディスクでは、(N−1)層で迷光が発生するため、光検出器における迷光の光強度がますます増加する傾向となる。
上記した迷光を軽減し得る従来の光ヘッド装置としては、たとえば、国際公開第96/020473号パンフレット(特許文献1)に開示されている光ピックアップ装置が公知である。特許文献1の光ピックアップ装置は、主ビームに相当するメインビームを受光するメインビーム用ディテクタと、副ビームに相当するサイドビームを受光するサイドビーム用ディテクタとを有し、サイドビーム用ディテクタは、情報信号の読み出しの対象ではない情報記録層で反射されるメインビームの迷光が入射されない位置に配置される。これにより、トラッキングエラー信号の品質低下を抑制することができる。
国際公開第96/020473号パンフレット(第12頁、図3及び図5(A)及び図5(B)など)
しかしながら、従来の光ヘッド装置では、レーザ光源と対物レンズとの間の光路上に回折格子が配置されているため、対物レンズを透過して光ディスクに照射されるレーザ光ビームの光強度が回折格子で減衰(損失)する。
また、従来の光ヘッド装置は、回折格子によって主ビームを分割することで生成された副ビームのみからトラッキングエラー信号を生成している。副ビームの光強度は本来微弱であるので、トラッキングエラー信号の信号レベル自体が微弱となる。このため、情報の記録または再生の対象となる所望の情報記録層と他の情報記録層との間隔のばらつきに起因して迷光が変動したり、光ディスクに付着した塵や光ディスク表面の傷などの影響を受けた光ビームの乱れにより異常な迷光が発生したりすると、微弱な信号レベルを有するトラッキングエラー信号の品質が損なわれ、再生情報信号の品質も劣化するという問題がある。
さらに、従来の光ヘッド装置において対物レンズシフトが生じた場合には、対物レンズのシフト量に依存する直流オフセット成分がトラッキングエラー信号に重畳され、トラッキングエラー信号の品質を劣化させるという問題もある。
上記に鑑みて本発明の目的は、光ディスクに照射されるべき光ビームの光強度の損失を小さくして、対物レンズシフトに起因する直流オフセット成分が除去されたトラッキングエラー信号を生成することができる構成を有し、トラッキングエラー信号の品質を向上することができる光ヘッド装置及びこれを有する光ディスク装置、並びに光ヘッド装置に含まれる回折光学素子の位置調整方法を提供することである。
本発明の一態様による光ヘッド装置は、レーザ光源と、前記レーザ光源から出射される光ビームを集光して光ディスクに照射する対物レンズと、前記光ディスクで反射し前記対物レンズを透過した戻り光ビームを透過回折させて透過回折光ビームを出射する回折光学素子と、前記透過回折光ビームを受光する光検出器とを備え、前記戻り光ビームは、前記光ディスクで回折された反射回折光ビームを含み、前記回折光学素子は、前記反射回折光ビームの0次光成分の一部と前記反射回折光ビームの±1次光成分の全部もしくは一部とが入射する位置に配置され、0次回折作用及び±1次回折作用を有する主回折領域と、前記反射回折光ビームの0次光成分と前記反射回折光ビームの±1次光成分とがなす列の方向を第1の方向とするとき、前記第1の方向と直交する第2の方向において前記主回折領域の外側に、且つ前記反射回折光ビームの0次光成分の残部と前記反射回折光ビームの±1次光成分の残部とが入射する位置に配置され、0次回折作用及び±1次回折作用を有する副回折領域とを含み、前記光検出器は、前記主回折領域及び前記副回折領域の双方を透過した前記透過回折光ビームの0次光成分を受光する主受光部と、前記副回折領域の当該±1次回折作用により生成された前記透過回折光ビームの+1次光成分及び−1次光成分のうちの一方を受光する第1副受光部とを含み、前記第1副受光部は、前記第1の方向に対応する第1の配列方向に沿って配列された複数の受光面を有することを特徴とする。
本発明の他の一態様による光ディスク装置は、上記光ヘッド装置と、前記光ディスクを回転駆動させるディスク駆動部と、前記主受光部により検出された信号に基づいてプッシュプル信号を生成する信号処理部とを備え、前記信号処理部は、前記信号処理部は、前記第1副受光部により検出された信号に基づいて、前記光検出器に対する前記対物レンズの相対変位に起因するオフセット成分を生成し、前記プッシュプル信号及び前記オフセット成分に基づいてトラッキングエラー信号を生成することを特徴とする。
前記光検出器は、前記透過回折光ビームの当該+1次光成分及び当該−1次光成分のうちの他方を受光する第2副受光部をさらに含むことができる。この場合、前記第1副受光部及び前記第2副受光部の各々は、前記第1の配列方向と前記第2の方向に対応する第2の配列方向とに沿って配列された4つの受光面を有することが好ましい。本発明のさらに他の一態様による回折光学素子の位置調整方法は、前記第1副受光部の当該4つの受光面のうち前記第2の配列方向の一端側に配置された第1の組の受光面で検出された信号と前記第2副受光部の当該4つの受光面のうち前記一端側に配置された第2の組の受光面で検出された信号とを加算して第1の和信号を生成するステップと、前記第1副受光部の当該4つの受光面のうち前記第2の配列方向の他端側に配置された第3の組の受光面で検出された信号と前記第2副受光部の当該4つの受光面のうち前記他端側に配置された第4の組の受光面で検出された信号とを加算して第2の和信号を生成するステップと、前記第1の和信号の信号強度と前記第2の和信号の信号強度とが互いに等しくなるように前記第2の方向に前記回折光学素子を移動させて前記回折光学素子を位置決めするステップとを備えることを特徴とする。
本発明の一態様による光ディスク装置では、第1副受光部及び第2副受光部は、対物レンズシフトに起因する直流オフセット成分が除去されたトラッキングエラー信号の生成を可能とする受光面パターンを有している。光ヘッド装置は、トラッキングエラー信号の生成のために0次及び±1次の透過回折光を生成する回折光学素子を備えているので、トラッキングエラーの生成のためにレーザ光源と対物レンズとの間の光路上に回折格子を配置する必要がない。よって、光ディスクに照射されるべき光ビームの光強度の減衰(損失)を抑制することができる。さらに、本発明の一態様による回折光学素子の位置調整方法を使用すれば、第1副受光部及び第2副受光部の受光面で検出された信号を用いて回折光学素子の位置を最適な位置に調整することができる。これにより、従来の光ヘッド装置と比べてトラッキングエラー信号の品質を向上させることができる。
本発明に係る実施の形態1の光ディスク装置の構成を示す概略図である。 実施の形態1の光ヘッド装置の主な構成を概略的に示す斜視図である。 実施の形態1のホログラム光学素子の光入射面の構成を概略的に示す平面図である。 (A),(B)は、実施の形態1のホログラム光学素子及び光検出器の斜視図である。 実施の形態1の光検出器と光ヘッド装置の出力端子群との間の接続関係を示す図である。 BD規格で規定されている4層光ディスクの情報記録層の構成表を示す図である。 (A)〜(D)は、情報記録層L1を対象層とした場合の光検出器上の迷光分布を概略的に示す平面図である。 (A)〜(C)は、対物レンズシフトと光検出器における照射光スポットの位置との関係を示す概略図である。 (A)〜(C)は、対物レンズシフトとトラッキングエラー信号の信号成分との関係を概略的に示す特性図である。 (A)〜(D)は、情報記録層L2を対象層とした場合の迷光分布を概略的に示す平面図である。 (A)〜(D)は、情報記録層L3を対象層とした場合の迷光分布を概略的に示す平面図である。 実施の形態1の光検出器の変形例である光検出器のレイアウトを示す平面図である。 実施の形態1の光検出器のさらに他の変形例である光検出器のレイアウトを示す平面図である。 (A)〜(H)は、実施の形態1のホログラム光学素子と光スポットとの位置関係を概略的に示す平面図である。 実施の形態1のホログラム光学素子の配置に対する各種検出信号の変化を示すグラフである。 実施の形態1のホログラム光学素子の位置調整方法の手順を示すフローチャートである。 本発明に係る実施の形態2の光ヘッド装置の主な構成を概略的に示す斜視図である。 実施の形態2の光検出器と光ヘッド装置の出力端子との間の接続関係を示す図である。 (A)〜(F)は、実施の形態3のホログラム光学素子と光スポットSpとの位置関係を概略的に示す平面図である。 実施の形態3のホログラム光学素子の配置に対する各種検出信号の変化を示すグラフである。 本発明に係る実施の形態4の光検出器と光ヘッド装置の出力端子群との間の接続関係を示す図である。 実施の形態4の光検出器の変形例と光ヘッド装置の出力端子群との間の接続関係を示す図である。 本発明に係る実施の形態5の光検出器と光ヘッド装置の出力端子群との間の接続関係を示す図である。 本発明に係る実施の形態6のホログラム光学素子の構成を概略的に示す図である。 実施の形態6のホログラム光学素子の変形例の平面図である。
以下、本発明に係る種々の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明に係る実施の形態1の光ディスク装置1の構成を示す概略図である。図1に示されるように、光ディスク装置1は、スピンドルモータ2、光ヘッド装置3、スレッド機構4、マトリクス回路5、信号再生回路6、レーザ制御回路7、サーボ回路8、収差補正機構制御回路9、スレッド制御回路10、スピンドル制御回路11及びコントローラ12を備えている。コントローラ12は、ホスト機器(図示せず)からのコマンドに応じて、信号再生回路6、レーザ制御回路7、サーボ回路8、収差補正機構制御回路9、スレッド制御回路10及びスピンドル制御回路11の各動作を制御する。
光ディスクODは、スピンドルモータ2の駆動軸(スピンドル)に固定されたターンテーブル(図示せず)に着脱自在に装着されている。スピンドルモータ2は、スピンドル制御回路11の制御を受けて情報記録時または情報再生時に光ディスクODを回転させる。スピンドル制御回路11は、コントローラ12からの指令に従い、スピンドルモータ2から供給された実回転数を表すパルス信号に基づいて実回転数を目標回転数に一致させるようにスピンドルの回転制御を実行する機能を有する。光ディスクODは、単一の情報記録層を有する単層光ディスク、あるいは複数の情報記録層を有する多層光ディスクであり、たとえば、CD(Compact Disc:登録商標)、DVD(Digital Versatile Disc:登録商標)及びBD(Blu−ray Disc:登録商標)といった現世代の光ディスク、あるいは次世代の光ディスクであればよい。
光ヘッド装置3は、光ディスクODにレーザ光を照射して、光ディスクODの情報記録層への情報の記録、あるいは、光ディスクODの情報記録層からの情報の読み出しを行う機能を有する。スレッド機構4は、スレッド制御回路10による制御を受けて動作し、光ヘッド装置3を光ディスクODのラジアル方向(光ディスクODの半径方向)に移動させて、光ヘッド装置3から出射されるレーザ光が光ディスクODの所望の情報トラックに光スポットを形成できるように光ヘッド装置3の位置を制御する。
図2は、本実施の形態の光ヘッド装置3の主な構成を概略的に示す斜視図である。図2に示されるように光ヘッド装置3は、レーザ光源である半導体レーザ13と、ビームスプリッタ14と、コリメータレンズ15と、対物レンズ18と、アクチュエータ17と、シリンドリカルレンズ26と、回折光学素子であるホログラム光学素子21と光検出器22とを備えている。
半導体レーザ13は、図1に示すレーザ制御回路7による制御を受けて動作し、レーザ制御回路7は、コントローラ12からの指令に基づいて半導体レーザ13から出射されるレーザ光の光強度を制御することができる。半導体レーザ13から出射されたレーザ光は、ビームスプリッタ14で反射されてコリメータレンズ15を介して対物レンズ18に入射される。ビームスプリッタ14としては、たとえば、キューブタイプのハーフミラーを用いることができる。対物レンズ18は、光ディスクODの半径線上を走査するように配置され、ビームスプリッタ14から入射した光ビームを光ディスクODの情報記録層に集光してこの情報記録層に光スポットを形成する。
光ディスクODで反射された戻り光ビームは、対物レンズ18、コリメータレンズ15、ビームスプリッタ14及びシリンドリカルレンズ26を順に通過してホログラム光学素子21に入射される。シリンドリカルレンズ26は、フォーカスエラー検出を周知の非点収差法で行うために戻り光ビームに非点収差を付与する光学部品である。シリンドリカルレンズ26は、当該シリンドリカルレンズ26のシリンドリカル面の母線方向D2が、光ディスクODのラジアル方向(図2のX軸方向)に対応するX1軸方向に対して略斜め45度をなすように配置されている。本実施の形態では、シリンドリカルレンズ26として、たとえば凹レンズ型のものを用いることができる。ここで、図2では、光ディスクODのラジアル方向であるX軸方向と、このラジアル方向に対応するX1軸方向とが互いにほぼ直交するように示されている。これは、シリンドリカルレンズ26によって戻り光ビームに非点収差が付与されるためである。
なお、本実施の形態では、シリンドリカルレンズ26は凸レンズ型のものであるが、これに限定されるものではない。ビームスプリッタ14は、キューブタイプのハーフミラーの代わりに、平行平板形状のビームスプリッタを用いて構わない。平行平板形状のビームスプリッタは、当該ビームスプリッタの平行平板を透過する戻り光ビームに非点収差を付与することができる。
透過型回折光学素子であるホログラム光学素子21は、入射光を透過回折させて当該入射光を3本の透過回折光ビームに分割し、これら3本の透過回折光ビームを光検出器22の3つの受光部に向けてそれぞれ出射する機能を有する。図2に示されるように光検出器22は、ホログラム光学素子21の光入射面または光出射面とほぼ平行な受光面を有しており、図2に示されるX1軸方向及びY1軸方向は、光検出器22の受光面と平行である。光検出器22は、この受光面に沿って配列された主受光部23、第1副受光部24及び第2副受光部25を有する。光検出器22の受光面の面内において、第1副受光部24及び第2副受光部25は、X1軸方向に対して所定角度をなす方向(矩形状の光検出器22の対角線方向)に沿って主受光部23から互いに逆方向にそれぞれ等しい距離だけ離間するように配列されている。よって、第1副受光部24及び第2副受光部25は、図2に示されるように主受光部23を挟み込む位置に配置されている。主受光部23、第1副受光部24及び第2副受光部25の各々は、X1軸方向及びY1軸方向に沿ってマトリクス状に配列された4つの受光面を有しており、これら4つの受光面は、ホログラム光学素子21から入射した透過回折光ビームを光電変換して電気信号群を生成する。
光ヘッド装置3は、3つの出力端子群230,231,232を有しており、主受光部23の受光面で検出された電気信号群DS0は、出力端子群230を介してマトリクス回路5に出力され、第1副受光部24の受光面で検出された電気信号群DS1は、出力端子群231を介してマトリクス回路5に出力され、第2副受光部25の受光面で検出された電気信号群DS2は、出力端子群232を介してマトリクス回路5に出力される。
図1を参照すると、マトリクス回路5は、光ヘッド装置3から供給された電気信号群DS0,DS1,DS2にマトリクス演算処理を施して、情報の記録または再生に必要な各種信号、たとえば、光ディスクODにおける記録情報の検出結果を示す再生RF信号や、フォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号などのサーボ制御用の信号を生成する。再生RF信号は、信号再生回路6に出力される。信号再生回路6は、再生RF信号に2値化処理を施して変調信号を生成し、この変調信号から再生クロックを抽出するとともに、変調信号に復調処理や誤り訂正やデコード処理を施して再生情報信号を生成することができる。再生情報信号は、コントローラ12によって、映像音響機器やパーソナルコンピュータなどのホスト機器(図示せず)に転送される。
サーボ回路8は、コントローラ12からの指令に基づいて動作し、マトリクス回路5から供給されたフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号に基づいてフォーカス補正用及びトラッキング補正用の駆動信号SDを生成する。これら駆動信号SDは、光ヘッド装置3内のアクチュエータ17(図2)に供給される。アクチュエータ17は、図2に概略的に示されるように、磁気回路20A,20B、及びこれら磁気回路20Aと20Bとの間に配置される可動部19を有する。可動部19は、対物レンズ18を固定するレンズホルダ(図示せず)と、このレンズホルダに巻回されたフォーカスコイル及びトラッキングコイル(共に図示せず)とを有する。フォーカスコイルは、対物レンズ18の中心軸周りに巻回されており、トラッキングコイルは、光軸OAと光ディスクODのX軸方向とに直交する軸の周りに巻回されている。フォーカスコイルに駆動電流(駆動信号)を供給することにより対物レンズ18をフォーカス方向(光軸OAに沿った方向)に駆動することができ、トラッキングコイルに駆動電流(駆動信号)を供給することにより対物レンズ18をX軸方向に駆動することができる。以上に説明したように、レーザ制御回路7、光ヘッド装置3、マトリクス回路5及びサーボ回路8によりフォーカスサーボループ及びトラッキングサーボループが形成され、半導体レーザ13から出射されるレーザ光を光ディスクODの情報トラックに追従させることができる。
収差補正機構制御回路9は、コントローラ12に入力された再生情報信号の品質に応じて、図2に示す光ヘッド装置3内に設けられた収差補正機構16Aの動作を制御する。再生情報信号の品質の指標値として、たとえば、ビットエラーレートや信号振幅を利用することができる。コリメータレンズ15は、光ディスクODの情報記録層に集光される光スポットに発生する球面収差などの光学収差を補正する光学部品である。収差補正機構制御回路9は、このコリメータレンズ15を保持するレンズホルダ16Bを光軸OAに沿った方向D1に変位させることで光学収差を適正且つ高精度に補正することができる。なお、光スポットの球面収差の補正は、上述のようなコリメータレンズ15の変位による方式に限定されるものではない。たとえば、液晶素子を用いて、光スポットの光学収差を打ち消すように液晶素子の透過光束の位相制御を行うような方法を採用してもよい。
次に、ホログラム光学素子21の構成について説明する。図3は、ホログラム光学素子21の光入射面の構成を概略的に示す平面図である。
図3に示されるように、ホログラム光学素子21は、主回折領域210と、一対の副回折領域211A,211Bという3種類の回折領域を有している。ホログラム光学素子21は、たとえば、樹脂材料またはガラス材料からなる板状の透光性基材を用い、この透光性基材の光入射面及び光出射面の一方または双方に多数の回折格子溝を形成することで作製することができる。当該回折領域ごとに回折格子溝の形状及び方向、並びに回折格子溝間隔を個別に設定することで主回折領域210及び一対の副回折領域211A,211Bとの回折パターンを個別に形成することが可能である。副回折領域211A,211Bは、光ディスクODのタンジェンシャル方向(図2のY軸方向)に対応するY2軸方向において主回折領域210の外側に配置されている。さらに、副回折領域211A,211Bは、Y2軸方向に直交するX2軸方向(光ディスクODのラジアル方向であるX軸方向に対応する方向)の中心線21cに関して互いに線対称な形状を有している。また、主回折領域210と副回折領域211Aとは、X2軸方向に平行な境界線21daで互いに分離されており、主回折領域210と副回折領域211Bとは、X2軸方向に平行な境界線21dbで互いに分離されている。
光ディスクODからの戻り光ビームは、光ディスクODの情報記録層のラジアル方向すなわちX軸方向の構造(主に情報トラックの構造)に起因する回折光ビーム(以下「反射回折光ビーム」と呼ぶ。)を含む。ホログラム光学素子21の光入射面には戻り光ビームの光スポットSpが形成される。図3に示されるように、この光スポットSpは、実線で示される円形の0次回折光成分R0と、破線で示される円形の+1次回折光成分RP1とが重なり合って形成される光成分ORpと、0次回折光成分R0と破線で示される円形の−1次光成分RN1とが重なり合って形成される光成分ORnと、0次光成分R0のうち±1次回折光成分RP1,RN1との重なりが無い領域の光成分ORaとからなる。対物レンズ18は、光ディスクODの半径線上を走査するように配置されているので、0次回折光成分R0と+1次回折光成分RP1及び−1次回折光成分RN1とが並ぶ列の方向は、光ディスクODのラジアル方向に対応するX2軸方向と一致する。
主回折領域210は、0次回折光成分R0の一部(光スポットSpの中央部分)と、光成分ORp,ORnの全部もしくは中央部分が入射する位置に形成されていればよい。本実施の形態では、図3に示されるように、主回折領域210は、光成分ORp,ORnの全部が入射する位置に形成されている。これに対し、副回折領域211A,211Bは、少なくとも0次回折光成分R0の残部が入射し且つ光成分ORp,ORnの全部もしくは中央部分が入射しない位置に形成されていればよい。本実施の形態では、副回折領域211A,211Bは、光成分ORp,ORnの全部が入射しない位置に形成されている。
図3に示されるように、主回折領域210のY2軸方向の幅は、0次回折光成分R0のY2軸方向における光スポット径Dよりも狭く、且つ光成分ORp,ORnのY2軸方向における幅以下となるように設計されている。本実施の形態においては、境界線21da,21dbは、光成分ORp,ORnのY2軸方向外縁部と接する位置の近傍に設けられている。なお、副回折領域211A,211Bで回折される光成分の光強度を高める観点からは、光成分ORp,ORnの一部をさらに副回折領域211A,211Bに入射させるように、境界線21ea及び21ebを、Y2軸方向の主回折領域210側に移動させて、副回折領域211A,211Bの面積を拡大してもよい。
ホログラム光学素子21は、光スポットSpが丁度ホログラム光学素子21の中央部に形成されるように配置されることが動作的に理想である。光ディスクODのラジアル方向(X軸方向)に対応するX2軸方向については、ホログラム光学素子21の主回折領域210及び副回折領域211A,211Bが上述したように形成されているので、ホログラム光学素子21から光スポットSpがはみ出さなければ配置上の問題は生じない。一方、光ディスクODのタンジェンシャル方向(Y軸方向)に対応するY2軸方向については、光スポットSpの0次回折光成分R0と+1次回折光成分RP1とが重なり合って形成される光成分ORpと、0次回折光成分R0と−1次回折光成分RN1とが重なり合って形成される光成分ORnと、0次回折光成分R0のうち±1次回折光成分RP1,RN1との重なりが無い光成分ORaとが、それぞれバランス良く2つの副回折領域211A,211Bに入射するように配置調整されることが望ましい。ここで、ホログラム光学素子21のY2軸方向の幅をWとする。
図4(A),(B)は、光軸OAに沿って配列されたホログラム光学素子21及び光検出器22の斜視図である。図4(A)は、ホログラム光学素子21の斜視図であり、図4(B)は、光検出器22の模式的な斜視図である。図4(A)及び図4(B)では、光ディスクODのラジアル方向に対応するX2軸方向とX1軸方向とが互いにほぼ直交するように示されている。X1軸方向とこれに対応するX2軸方向とがほぼ直交する理由は、シリンドリカルレンズ26によって戻り光ビームに非点収差が付与されるためである。
図4(B)に示されるように、光検出器22は、光軸OAに直交する平面内で、主受光部23、第1副受光部24及び第2副受光部25を有する。第1副受光部24及び第2副受光部25は、主受光部23を挟んでX1軸方向に対して斜め方向両側に配置されている。これら主受光部23、第1副受光部24及び第2副受光部25の各々は、X1軸方向とY1軸方向とにほぼ沿ってマトリクス状に配列された4つの受光面を有している。すなわち、主受光部23は受光面23A,23B,23C,23Dを有し、第1副受光部24は受光面24E1,24F1,24F2,24E2を有し、第2副受光部25は受光面25G1,25H1,25H2,25G2を有する。
主受光部23では、受光面23A,23Bの組と受光面23C,23Dの組とは、X1軸方向にほぼ沿って配列されており、また、受光面23A,23Dの組と受光面23B及び23Cの組とがY1軸方向にほぼ沿って配列されている。第1副受光部24では、受光面24E1,24E2の組と受光面24F1,24F2の組とはY1軸方向にほぼ沿って配列されており、また、受光面24E1,24F1の組と受光面24E2,24F2の組とはX1軸方向にほぼ沿って配列されている。一方、第2副受光部25では、受光面25G1,25G2の組と受光面25H1,25H2の組とはY1軸方向にほぼ沿って配列されており、また、受光面25G1,25H1の組と受光面25G2,25H2の組とはX1軸方向にほぼ沿って配列されている。このように、主受光部23、第1副受光部24及び第2副受光部25の各々は、縦横にそれぞれ2分割されることにより形成された4つの矩形形状の受光面を有するが、分割される方向は、厳密にX1軸方向及びY1軸方向に沿っていなくてもよい。
主回折領域210は、戻り光ビームに対して主に0次及び±1次の回折効率を有し、副回折領域211A,211Bも、戻り光ビームに対して主に0次及び±1次の回折効率を有する。主回折領域210と副回折領域211A,211Bとから出射された光ビーム(以下「透過回折光ビーム」と呼ぶ。)のうち0次光成分DR0は、図4(B)に示されるように、主受光部23の受光面23A〜23Dに照射されて光スポットを形成する。この光スポットは、光ディスクODのラジアル方向の構造に起因する反射回折光ビームの0次光成分及び±1次光成分を含むものである。一方、主回折領域210から出射された透過回折光ビームの+1次光成分DRpと−1次光成分DRnとは、主受光部23よりもY1軸方向外側の領域に照射される。したがって、これら±1次光成分DRp,DRnは、光検出器22では検出されない。また、副回折領域211A,211Bから出射された透過回折光ビームの+1次光成分DRpa,DRpbは、第1副受光部24の受光面24E1,24E2,24F1,24F2に照射される。一方、副回折領域211A,211Bから出射された透過回折光ビームの−1次光成分DRna,DRnbは、第2副受光部25の受光面25G1,25G2,25H1,25H2に照射される。
図5は、実施の形態1の光検出器22と光ヘッド装置3の出力端子群230〜232との間の接続関係を示す図である。出力端子群230は、主受光部23の受光面23A,23B,23C,23Dにそれぞれ対応する4つの出力端子TA,TB,TC,TDからなり、出力端子群231は、第1副受光部24の受光面24E1,24E2,24F1,24F2にそれぞれ対応する4つの出力端子TE1,TE2,TF1,TF2からなり、出力端子群232は、第2副受光部25の受光面25G1,25G2,25H1,25H2にそれぞれ対応する4つの出力端子TG1,TG2,TH1,TH2からなる。
光検出器22における計12個の受光面23A〜23D,24E1,24E2,24F1,24F2,25G1,25G2,25H1,25H2のパターンは、トラッキングエラー信号を生成する方式として周知の差動プッシュプル方式に使用される受光面パターンに類似したものである。図5に示されるように、主受光部23の受光面23A,23B,23C,23Dは、図4(B)の0次光成分DR0を光電変換(光電流−電圧変換)してそれぞれ検出信号SA,SB,SC,SDを出力する。出力端子TA,TB,TC,Tdは、これら検出信号SA,SB,SC,SDをそれぞれ外部のマトリクス回路5に出力することができる。また、第1副受光部24においては、受光面24E1,24E2は、図4(B)の+1次光成分DRpaを光電変換してそれぞれ検出信号SE1,SE2を出力し、受光面24F1,24F2は、図4(B)の+1次光成分DRpbを光電変換してそれぞれ検出信号SF1,SF2を出力する。出力端子TE1,TE2,TF1,TF2は、これら検出信号SE1,SE2,SF1,SF2をそれぞれ外部のマトリクス回路5に出力することができる。さらに、第2副受光部25においては、受光面25G1,25G2は、図4(B)の−1次光成分DRnaを光電変換してそれぞれ検出信号SG1,SG2を出力し、受光面25H1,25H2は、図4(B)の−1次光成分DRnbを光電変換してそれぞれ検出信号SH1,SH2を出力する。出力端子TG1,TG2,TH1,TH2は、これら検出信号SG1,SG2,SH1,SH2をそれぞれ外部のマトリクス回路5に出力することができる。
マトリクス回路5は、非点収差法に従って、次式(1)により得られる信号レベルをもつフォーカスエラー信号FESを生成する。
FES=(SA+SC)−(SB+SD) ・・・(1)
また、マトリクス回路5は、次式(2)により得られる信号レベルをもつ再生RF信号を生成する。
RF=SA+SB+SC+SD ・・・(2)
また、マトリクス回路5は、次の次式(3)により得られる信号レベルをもつトラッキングエラー信号TESを生成することができる。
TES=MPP−k×SPP ・・・(3)
式(3)において、kは、ゲイン係数であり、MPPは、主プッシュプル信号を表し、SPPは、副プッシュプル信号を表している。主プッシュプル信号MPP及び副プッシュプル信号SPPは、それぞれ次式(3a)及び(3b)により与えられる。
MPP=(SA+SB)−(SC+SD) ・・・(3a)
SPP=(SE1+SF1−SE2−SF2)
+(SG1+SH1−SG2−SH2) ・・・(3b)
主プッシュプル信号MPPと副プッシュプル信号SPPとは、対物レンズシフトに関して互いに同じ位相を有しており、対物レンズシフトに起因する直流オフセット成分は、副プッシュプル信号SPPに含まれる。このため、ゲイン係数kを適宜調整して副プッシュプル信号SPPを増幅することで、対物レンズシフトに起因するオフセット成分がキャンセルされたトラッキングエラー信号TESを生成することができる。なお、上式(3),(3a),(3b)による演算を用いてトラッキングエラー信号TESを検出する方法は、一般的な差動プッシュプル方式とは異なることに留意すべきである。
ここで、一般的な差動プッシュプル方式について説明する。上述したように、従来の光ヘッド装置は、半導体レーザから出射された光ビームが対物レンズに入射するまでの光路中において回折格子を通過するように構成されている。そのため、半導体レーザから出射された光ビームは、対物レンズに入射するまでに回折格子によって3つの光ビームに分割される。これら3つの光ビームは、光ディスクの情報記録面上に1つの主光スポットと、この主光スポットを挟んで当該主光スポットの両側に一対の副光スポットとを形成する。光ディスクの情報記録面で反射した3つの戻り光ビームは、光検出器における3つの受光部にそれぞれ入射され検出される。
これに対し、本実施の形態の光ヘッド装置3においては、図2に示されるように、半導体レーザ13と対物レンズ18との間の光路中に回折格子が存在しないため、半導体レーザ13から出射された光ビームは、分割されることなく一本の光ビームとして対物レンズ18に入射され、光ディスクODの情報記録面上で1つの光スポットを形成する。光ディスクODの情報記録面で反射した戻り光ビームは、ホログラム光学素子21を透過する際に回折されることにより3本の透過回折光ビームに分割される。これら3本の透過回折光ビームは、主受光部23、第1副受光部24及び第2副受光部25にそれぞれ入射する。
このように、本実施の形態では、光ディスクODの情報記録面に形成される光スポットは1つなので、一般的な差動プッシュプル方式と区別するために、本実施の形態で用いる差動プッシュプル方式を、1ビーム差動プッシュプル方式と呼ぶこととする。また、従来の差動プッシュプル方式を3ビーム差動プッシュプル方式と呼ぶ。
図6は、複数の情報記録層を含む多層光ディスクの例として、BD規格で規定されている4層光ディスクの情報記録層L0,L1,L2,L3の構成表を示す図である。情報記録層L0,L1,L2,L3の層間隔は、図6に示されるように不等間隔となっている。情報の記録または再生の対象となる層として選択された情報記録層(以下「対象層」と呼ぶ。)以外の情報記録層で反射した光(以下「迷光」と呼ぶ。)の影響は、層間隔が小さいほど大きい。このため、対象層に隣接する情報記録層からの迷光の影響が最も大きい。また、層間隔が不等間隔であるため、BD規格の光ディスクでは、情報記録層L2を対象層としたときは情報記録層L3からの迷光の影響が最も大きく、情報記録層L3を対象層としたときには情報記録層L2からの迷光の影響が最も大きい。
図7(A)〜図7(D)は、上記4層光ディスクの情報記録層L1を対象層とした場合の光検出器22上の迷光分布を概略的に示す平面図である。図7(A)は、情報記録層L0で生じた迷光SL0の分布を、図7(B)は、対象層L1で反射した戻り光ビームの0次光成分DR0の光スポットを、図7(C)は、情報記録層L2で生じた迷光SL2の分布を、図7(D)は、情報記録層L3で生じた迷光SL3の分布をそれぞれ示している。実際には、図7(A)〜図7(D)に示した光が光検出器22に同時に照射される。図7(A),図7(C)及び図7(D)で示されるように、光検出器22上の迷光SL0,SL2,SL3は、焦点がずれた状態で主受光部23の受光面に対して充分大きい範囲に分布し、さらに斜め方向に楕円状に分布している。これらの分布は、シリンドリカルレンズ26の非点収差付与機能に起因し、楕円状に傾斜する方向はシリンドリカルレンズ26の母線の方向D2に依存する。また、焦点がずれた状態の程度は、光ヘッド装置3の光学的設計仕様や多層光ディスクの情報記録層の層間隔などに依存する。ここでは、情報記録層L1を対象層としているので、対象層L1に隣接する情報記録層L0,L2で生じたそれぞれの迷光SL0,SL2は、情報記録層L3で生じた迷光SL3と比較して高い収束度を有する。したがって、情報記録層L0,L2から生じたそれぞれの迷光SL0,SL2が第1副受光部24及び第2副受光部25に入射しないように、第1副受光部24及び第2副受光部25の中央の主受光部23からの離間距離がそれぞれ定められている。
一方、図7(D)に示されるように、対象層L1に隣接しない情報記録層L3で生じた迷光SL3の一部が第1副受光部24及び第2副受光部25に入射しているが、対象層L1と情報記録層L3の層間隔は比較的広いために、迷光SL3は充分大きく焦点がずれた状態となっている。それ故、第1副受光部24及び第2副受光部25に入射する迷光SL3の光強度は微弱となり、トラックエラー信号の品質にほとんど影響を与えない。
次に、図8(A)〜図8(C)は、対物レンズシフト(光検出器22に対する対物レンズ18のラジアル方向の変位)と光検出器22における照射光スポットの位置との関係を示す概略図である。図8(B)は、対物レンズ18の中心軸が光軸OAと一致する場合の、光検出器22の受光面に照射される光ビームの照射位置(基準位置)を示している。この場合、0次光成分DR0の光スポットは、主受光部23のX1軸方向及びY1軸方向における中心位置にあり、+1次光成分DRpa,DRpbは、第1副受光部24のX1軸方向における中心位置にある。同様に−1次光成分DRna及びDRnbは、第2副受光部25のX1軸方向における中心位置にある。次に、図8(A)は、対物レンズ18が光ディスクODの内周側に変位した場合の、光検出器22の受光面に照射される光ビームの照射位置を示す図である。この場合、0次光成分DR0の光スポットは、受光面23C,23Dの側に変位し、+1次光成分DRpa,DRpbは、受光面24E2,24F2の側に変位している。同様に−1次光成分DRna,DRnbは、受光面25G2,25H2の側に変位している。次に、図8(C)は、対物レンズ18が光ディスクODの外周側に変位した場合の、光検出器22の受光面に照射される光ビームの照射位置を示す図である。この場合、0次光成分DR0の光スポットは、受光面23A,23Bの側に変位し、+1次光成分DRpa,DRpbは、受光面24E1,24F1の側に変位している。同様に−1次光成分DRna,DRnbは、受光面25G1及び25H1の側に変位する。
図9(A)〜図9(C)は、上記対物レンズシフトとトラッキングエラー信号TESの信号成分MPP,SPPとの関係を概略的に示す特性図である。図9(A)〜図9(C)に示されるグラフにおいては、横軸は時間tを、縦軸は、主プッシュプル信号成分MPPまたは副プッシュプル信号成分SPPの信号強度を表している。図9(A)〜図9(C)の信号強度波形は、光ヘッド装置3が光ディスクODのラジアル方向に一定速度で移動したときに検出される主プッシュプル信号MPP及び副プッシュプル信号SPPの波形である。これら主プッシュプル信号MPPと副プッシュプル信号SPPとは、光ディスク装置3のフォーカス制御が実行されているが、トラッキング制御が行われていない状態で検出された信号である。
図9(A)、図9(B)及び図9(C)は、図8(A)、図8(B)及び図8(C)の状態にそれぞれ対応する波形図である。対物レンズ18の中心軸が光軸OAと一致した状態にあり対物レンズ18がラジアル方向に変位していない場合には、図9(B)に示されるように、主プッシュプル信号MPPのDC成分(直流成分)はGNDレベルに一致し、副プッシュプル信号SPPのDC成分もGNDレベルにほぼ一致する。また、副プッシュプル信号SPPの波形はほぼ直流的な波形となる。その理由は、副プッシュプル信号SPPに寄与する透過回折光ビームの+1次光成分DRpa,DRpbと−1次光成分DRna,DRnbとが、図3の光成分ORp,ORn(光ディスクODからの反射回折光ビームの0次光R0と±1次光RP1、RN1とが重なり合って形成された光成分)を一部のみ含むか、あるいは含まないためである。対物レンズ18が光ディスクODの内周方向に変位した場合には、図9(A)に示されるように、主プッシュプル信号MPPのDC成分は負側にオフセットした波形となり、副プッシュプル信号SPPの略直流的波形も負側にオフセットした波形となる。一方、対物レンズ18が光ディスクODの外周方向に変位した場合には、図9(C)に示されるように、主プッシュプル信号MPPのDC成分は正側にオフセットした波形となり、副プッシュプル信号SPPの略直流的波形も正側にオフセットした波形となる。したがって、主プッシュプル信号MPPと副プッシュプル信号SPPとは、対物レンズシフトに関して互いに同じ位相を有しており、副プッシュプル信号SPPのオフセット量は、対物レンズ18の変位量に対応する値を有することが分かる。このため、上式(3)に示したように、副プッシュプル信号SPPの値をk倍して得られる値を、主プッシュプル信号MPPの値から差し引くことによって、対物レンズシフトに起因したオフセット成分がキャンセルされたトラッキングエラー信号TESを生成することができる。
ところで、多層光ディスクでは、情報記録層L0〜L3について個別に光スポットの球面収差が発生する。そこで、光ヘッド装置3に設けられた収差補正機構16Aは、光軸OAに沿ってコリメータレンズ15を変位させることで情報記録層毎に光スポットの球面収差を適正に補正することができる。これにより、各情報記録層に対して安定した情報記録もしくは情報再生を行うことができる。
なお、上記したように、多層光ディスクにおいては、対象層と隣接する層で生じる迷光が第1副受光部24及び第2副受光部25で入射されないように、第1副受光部24及び第2副受光部25を主受光部23から離間させて光検出器22を構成していた。上述したように、迷光の光強度は、光ヘッド装置3の光学的設計仕様や多層光ディスクの情報記録層の層間隔などに依存する。図6に示すような実際のBD規格の光ディスクにおいては、層間隔が等間隔ではない。したがって、情報記録層L2を対象層とするときは情報記録層層L1,L3が対象層に隣接する層となるところ、情報記録層L3と対象層との層間隔の方が情報記録層L1と対象層との層間隔よりも狭いために、情報記録層L3で生じる迷光に対して特に配慮する必要がある。
図10(A)〜図10(D)は、上記4層光ディスクの情報記録層L2を対象層とした場合の光検出器22上の迷光分布を概略的に示す平面図である。図10(A)は、情報記録層L0で生じた迷光SL0の分布を、図10(B)は、情報記録層L1で生じた迷光SL1の分布を、図10(C)は、対象層L2で反射した戻り光ビームの0次光成分DR0の光スポットを、図10(D)は、情報記録層L3で生じた迷光SL3の分布をそれぞれ示している。実際には、図10(A)〜図10(D)に示した光が光検出器22に同時に照射される。図10(A),図10(B)及び図10(D)に示されるように、光検出器22上の迷光SL0,SL1,SL3は、焦点がずれた状態で主受光部23の受光面に対して充分大きい範囲に分布し、さらに斜め方向に楕円状に分布する。これらの分布は、シリンドリカルレンズ26の非点収差付与機能に起因し、楕円状に傾斜する方向はシリンドリカルレンズ26の母線の方向D2に依存する。ここでは、情報記録層L2を対象層としているので、対象層に隣接する情報記録層L1,L3で生じたそれぞれの迷光SL1,SL3は、情報記録層L0で生じた迷光SL0と比較して高い収束度を有する。さらに、図6で示したように、BD規格の光ディスクにおいては、情報記録層L2,L3の間隔が最も狭いため、情報記録層L3で生じた迷光SL3の収束度は、情報記録層L1で生じた迷光SL1の収束度よりも高い。したがって、本実施の形態では、対象層L2に隣接する情報記録層L3から生じた迷光SL3の全てが第1副受光部24及び第2副受光部25に入射しないように、中央の主受光部23から第1副受光部24及び第2副受光部25の離間する距離が定められている。
上記のように光検出器22が構成された場合には、図10(B)に示されるように、対象層L2に隣接する情報記録層L1で生じた迷光SL1の一部が第1副受光部24及び第2副受光部25に入射しているが、情報記録層L1,L2の層間隔が広いために迷光SL1の収束度が高くない。それ故、第1副受光部24及び第2副受光部25に入射する迷光SL1の光強度は微弱となり、トラックエラー信号品質にほとんど影響を与えない。さらに、図10(A)に示されるように情報記録層L0で生じた迷光SL0についても同様であるため、収束度のさらなる低下により迷光SL0の光強度は極めて微弱となるため、やはりトラックエラー信号品質に影響をほとんど与えない。
次に、図11(A)〜図11(D)は、上記4層光ディスクの情報記録層L3を対象層とした場合の光検出器22上の迷光分布を概略的に示す平面図である。図11(A)は、情報記録層L0で生じた迷光SL0の分布を、図11(B)は、情報記録層L1で生じた迷光SL1の分布を、図11(C)は、情報記録層L2で生じた迷光SL2の分布を、図11(D)は、対象層L3で反射した戻り光ビームの0次光成分DR0の光スポットをそれぞれ示している。実際には、図11(A)〜図11(D)に示した光が光検出器22に同時に照射される。図11(A)〜図11(C)に示されるように、図6で示した層間隔に応じて、迷光は、SL2,SL1,SL0の順で収束度が低くなる。情報記録層L2と情報記録層L3との間隔が最も狭いため、図10(D)の場合と同様に、情報記録層L2から生じた迷光SL2は全て第1副受光部24及び第2副受光部25に入射することがない。図11(B)に示されるように情報記録層L1で生じた迷光SL1の一部は、第1副受光部24及び第2副受光部25に入射しているが、情報記録層L1,L3の層間隔が広く、迷光SL1の収束度が高くない。それ故、第1副受光部24及び第2副受光部25に入射する迷光SL1の光強度は微弱となり、トラックエラー信号品質にほとんど影響を与えない。さらに、情報記録層L0で生じた迷光SL0についても同様であるので、さらなる収束度の低下により迷光SL0の光強度は極めて微弱となるため、やはりトラックエラー信号品質にほとんど影響を与えない。
多層光ディスクについて対象層以外の情報記録層からの迷光でトラッキングエラー信号TESが乱される原因は、対象層以外の情報記録層からの反射光と対象層からの反射光とが、光検出器22の面上で互いに干渉し合うことにある。干渉の大きさは、互いに干渉しあう光成分の光強度に依存し、光検出器22上で迷光の光強度が対象層からの反射光成分の光強度とほぼ同程度となるときに干渉度が最大となる。反対に、干渉しあう光成分の光強度の差が大きくなるほど干渉度は小さくなる。したがって、干渉が軽減されるように、対象層以外の情報記録層からの反射光(迷光)と、対象層からの反射光の光強度とが同程度とならないようにすることが望ましい。
上記観点から、本実施の形態では、対象層からの反射光の光強度を増減させることにより干渉の影響を軽減することができる。第1副受光部24に照射される+1次光成分DRpa,DRpbと第2副受光部25に照射される−1次光成分DRna,DRnbとは、ホログラム光学素子21の一対の副回折領域211A,211Bで回折透過された光ビームである。副回折領域211A,211Bは、光成分ORp,ORnの一部が入射する、もしくは光成分ORp,ORnの全てが入射しない位置に形成されている。これらの±1次光成分の光強度を積極的に高くさせたい場合には、光成分ORp,ORnがさらに入射するように、ホログラム光学素子21の境界線21da,21dbの位置を、Y2軸方向の主回折領域210側に移動させて、副回折領域211A,211Bの面積を拡大することが望ましい。
一方、これらの±1次光成分の光強度を積極的に大きくさせる必要がない場合には、光成分ORp,ORnが副回折領域211A,211Bに全て入射しないように、境界線21da,21dbの位置を、Y2軸方向の主回折領域210から遠ざかる方向に移動させて、副回折領域211A,211Bの面積を縮小することができる。この場合には、副プッシュプル信号SPPは、図9(A)〜図9(C)に示されるような交流成分を持たず、完全なDC成分のみを含む。このような副回折領域211A,211Bの最適位置の設定は、光ヘッド装置3の光学的設計仕様、主受光部23,第1副受光部24及び第2副受光部25の受光面積、並びに、多層光ディスクの情報記録層の層間隔に依存するため、これら光学的設計使用、受光面積及び層間隔を考慮して副回折領域211A,211Bの位置を最適位置に設定すればよい。
なお、本実施の形態においては、第1副受光部24及び第2副受光部25は、主受光部23を挟んでX1軸方向に対して斜め方向の両側に配置されているが、この配置に限定されるものではない。図12は、光検出器22の変形例である光検出器22Bのレイアウトを示す平面図である。図12に示されるように、この光検出器22Bでは、主受光部23、第1副受光部24及び第2副受光部25は、タンジェンシャル方向(Y軸方向)に対応するY1軸方向に沿って直線上に配列されている。また、図13は、光検出器22のさらに他の変形例である光検出器22Cのレイアウトを示す平面図である。図13に示されるように、この光検出器22Cでは、主受光部23、第1副受光部24及び第2副受光部25は、ラジアル方向(X軸方向)に対応するX1軸方向に沿って直線上に配列されている。
図12及び図13に示したように、第1副受光部24及び第2副受光部25の配置が変更された場合でも、その配置の変更に応じてホログラム光学素子21の一対の副回折領域211A,211Bの回折格子溝の方向を変えることで回折光の主射方向を変えることができる。これにより、+1次光成分DRpa,DRpb及び−1次光成分DRna,DRnbをそれぞれ第1副受光部24及び第2副受光部25に入射させることができる。
次に、ホログラム光学素子21の位置調整方法について説明する。以下に説明する位置調整方法では、ホログラム光学素子21の位置を光ディスクODのタンジェンシャル方向(Y軸方向)に対応するY2軸方向における最適位置に調整することができる。上記したように、Y2軸方向において、0次回折光成分R0及び光成分ORp,ORn,ORaのそれぞれがバランス良く(均等に)2つの副回折領域211A,211Bに入射するように配置調整されることが望ましい。
図14(A)〜図14(H)は、ホログラム光学素子21と光スポットSpとの位置関係を概略的に示す平面図である。さらに図15は、ホログラム光学素子21の配置に対する各種検出信号の変化を示すグラフである。ここで、ホログラム光学素子21のY2軸方向の幅をWとし、主回折領域210の幅をW1とする。また、2つの副回折領域211A,211Bの幅は、互いに等しいW2とし、光スポットSpのY2軸方向の直径をDとする。さらに、本実施の形態では、副回折領域211A,211Bの幅W2は、光スポットSpの直径Dよりも大きい。さらにまた、ホログラム光学素子21の配置調整に寄与しないX2軸方向の高さHは、光スポットSpの直径Dよりも大きいとする。したがって、上述した寸法関係を数式で表現すると、次式(4a)及び(4b)が与えられる。
W=W1+2×W2 ・・・(4a)
W2>D ・・・(4b)
図14(A)は、ホログラム光学素子21が光スポットSpに対してY2軸方向に理想的に配置調整された状態、すなわち0次光成分R0及び光成分ORp,ORn,ORaのそれぞれがバランス良く(均等に)2つの副回折領域211A,211Bに入射する理想状態を示している。また、図14(B)〜図14(H)は、図14(A)の理想状態に対して、ホログラム光学素子21がY2軸の正方向に沿って徐々に変位した場合の光スポットSpとホログラム光学素子21との間の位置関係を示している。
図15は、ホログラム光学素子21のY2軸方向における変位と各種信号の信号強度との関係を示すグラフである。図15において、横軸は、ホログラム光学素子21の変位を示し、縦軸は、各種信号の信号強度(単位:任意単位)を示している。ホログラム光学素子21の変位の値は、光スポットSpの直径で正規化した量を示している。また、4つのグラフ線のうち、2つは式(3a)及び(3b)の主プッシュプル信号MPP及び副プッシュプル信号SPPの信号強度を示す特性曲線である。他の2つのグラフ線は、第1副受光部24及び第2副受光部25で検出された信号SE1,SE2,SG1,SG2,SF1,SF2,SH1,SH2を用いて次式(5a)及び(5b)により与えられる和信号S1,S2の信号強度を表す特性曲線である。
S1=SE1+SE2+SG1+SG2 ・・・(5a)
S2=SF1+SF2+SH1+SH2 ・・・(5b)
ここで、検出信号SE1,SE2は、第1副受光部24の受光面のうちY1軸方向一端側に配置された受光面24E1,24E2の組で検出された信号であり、検出信号SF1,SF2は、第1副受光部24の受光面のうちY1軸方向他端側に配置された受光面24F1,24F2の組で検出された信号である。一方、検出信号SG1,SG2は、第2副受光部25の受光面のうちY1軸方向一端側に配置された受光面25G1,25G2の組で検出された信号であり、検出信号SH1,SH2は、第2副受光部25の受光面のうちY1軸方向他端側に配置された受光面25H1,25H2の組で検出された信号である。よって、和信号S1は、Y1軸方向一端側に配置された受光面24E1,24E2,25G1,25G2で検出された信号を加算することで生成され、和信号S2は、Y1軸方向他端側に配置された受光面24F1,24F2,25H1,25H2で検出された信号を加算することで生成される。
なお、図15のグラフは、シミュレーション計算により求めたものであり、その計算条件として次式(6a)〜(6c)に示す条件が使用された。
W1=0.5D ・・・(6a)
W2=1.25D ・・・(6b)
W=W1+2×W2=3D ・・・(6c)
また、ホログラム光学素子21の変位は、Y2軸の正方向に沿った場合の値を示している。ホログラム光学素子21の負方向側の変位については、変位がゼロの場合を中心に変位が正方向の場合の挙動と対称的な挙動となる。また、ホログラム光学素子21の外周縁分より外側の領域は、遮光されているものとする。
図14(A)に示したように、ホログラム光学素子21の変位が無い場合(図15の点Paの場合)には、図15から読み取れるように、S1=S2の関係、すなわち、和信号S1,S2の信号強度が互いに等しい関係が成立する。図14(B)は、ホログラム光学素子21の変位が0から0.25Dまでの範囲Pbに対応する位置関係を示す図である。この範囲では、光スポットSpのうち副回折領域211Aに照射される部分の光強度が減少し、逆に、光スポットSpのうち副回折領域211Bに照射される部分の光強度が増加する。和信号S1,S2はこの光強度変化に対応した信号に相当し、図15の範囲Pbで示されるように、和信号S1の信号強度は減少し、逆に和信号S2の信号強度は増加する。図14(C)は、ホログラム光学素子21が0.25Dだけ変位した場合(図15の点Pcの場合)の位置関係を示す図であり、丁度光スポットSpが副回折領域211Aに照射されなくなる。この場合に、図15の点Pcで示されるように、和信号S1の信号強度はゼロとなり、和信号S2の信号強度は一定値に到達する。図14(D)は、ホログラム光学素子21の変位が0.25Dから0.75Dまでの範囲Pdに対応する位置関係を示す図である。図15の範囲Pdに示されるように、和信号S1の信号強度はゼロから増加に転じ、和信号S2の信号強度は、一定値を維持している。図14(E)は、ホログラム光学素子21が0.75Dだけ変位した場合(図15の点Peの場合)に対応する位置関係を示す図であり、丁度光スポットSpが全て副回折領域211Bに照射され始める場合を示している。この場合に、図15の点Peで示されるように、和信号S1の信号強度は一定値に到達し、かつS1=S2の関係、すなわち和信号S1,S2の信号強度が互いに等しい関係が成立する。
次に、図14(F)は、ホログラム光学素子21の変位が0.75Dから1.0Dまでの範囲Pfに対応する位置関係を示す図である。副回折領域211Bの幅W2が光スポットの直径Dより0.25Dだけ大きいため、ホログラム光学素子21がこの範囲Pfで変位しても、図15の範囲Pfで示されるように、和信号S1,S2の信号強度は不変であり、かつS1=S2の関係は維持されている。図14(G)は、ホログラム光学素子21が1.0Dだけ変位した場合に対応する位置関係を示す図であり、丁度光スポットSpが副回折領域211Bの外縁部に接する場合を示している。この場合に、図15の点Pgで示されるように、和信号S1,S2は、S1=S2の関係を維持している。図14(H)は、ホログラム光学素子21が1.0Dを越えて変位した場合に対応する位置関係を示す図であり、光スポットSpは副回折領域211Bからはみ出ている。この場合に、図15の範囲Phで示されるように、和信号S1,S2の信号強度は、当該変位量に応じて減少に向かう。また、一定値の信号強度を維持していた主プッシュプル信号MPPも、光成分ORp,ORnが副回折領域211Bからはみ出すのと同期してその信号強度が減少していく。
以上のように、上式(5a)及び(5b)で与えられる和信号S1,S2は、ホログラム光学素子21の変位に対して特徴的な挙動を示すことが明らかである。そしてホログラム光学素子21が最適に配置調整されるべき位置は、図14(A)及び図15の点Paで示す位置である。この最適位置においては、和信号S1,S2が、S1=S2という特徴的な関係となる。このため、これらの和信号S1,S2を検出し、和信号S1,S2の信号強度が互いに等しくなるようにホログラム光学素子21の位置を調整することで、ホログラム光学素子21の配置を最適とする調整を実現することができる。
具体的な調整手順は、たとえば、以下の通りである。光ヘッド装置3の検査工程において、テスト機器(調整機)は、図16のフローチャートに示されるように、まず、光ヘッド装置3を動作させ、図2及び図5の出力端子群231,232から検出信号SE1,SE2,SG1,SG2,SF1,SF2,SH1,SH2を取り出す(ステップS1)。次に、テスト機器は、検出信号SE1,SE2,SG1,SG2,SF1,SF2,SH1,SH2に基づいて和信号S1,S2を生成する(ステップS2,S3)。ここで、和信号S1を生成するステップS2と、和信号S2を生成するステップS3との順番が入れ替わってもよい。検査工程の段階では、ホログラム光学素子21は、図2に示されるように位置調整機構220によりY2軸方向と平行な方向D3に移動自在に配置されている。テスト機器は、アクチュエータを用いて、和信号S1,S2の信号レベルが互いに等しくなる方向へ位置調整機構220を制御してホログラム光学素子21の位置を最適位置に移動させることができる(ステップS4)。ホログラム光学素子21が最適位置に配置された後は、ホログラム光学素子21の位置は、樹脂材料または固定部材を用いて光ヘッド装置3内で固定される(ステップS5)。なお、和信号S1,S2の信号レベル変化に応じてアクチュエータを手動操作することでホログラム光学素子21の位置調整を行うことも可能である。
ところで、S1=S2の関係は、ホログラム光学素子21が最適位置に配置される場合以外に、図15の点Peから点Pgまでの範囲でも発生する。さらに、Y2軸の負方向にホログラム光学素子21が変位した場合にもS1=S2の関係が発生するため、S1=S2の関係を満たすホログラム光学素子21の配置が合計3箇所存在することになる。しかしながら、図15の点Peから点Pgまでの範囲は、図14(E)〜図14(G)で示したように、光スポットSpの全体が第1副受光部24及び第2副受光部25のうちの一方のみに照射される場合に成立し、この範囲では、ホログラム光学素子21の最適な配置が実現されない。このことは、S1=S2の関係だけに着目した調整を行うと、真の最適位置以外に、図14(E)〜図14(G)で示す配置を最適位置として誤って調整される可能性があることを示している。
図15に示されるように、ホログラム光学素子21の真の最適な配置での副プッシュプル信号SPPの信号強度及び和信号S1,S2の信号強度は、図15の点Peから点Pgまでの範囲にて示される偽の最適位置での信号強度とは大きく異なっている。そこで、和信号S1,S2の信号強度が所定の範囲(所定の上限と下限との間の範囲)を超えないようにホログラム光学素子21の位置調整を行うことが望ましい。たとえば、和信号S1の信号強度が0〜0.5の範囲内に設定された閾値レベルを下回らず、かつ、和信号S2の信号強度が0.1〜0.15の範囲内に設定された閾値レベルを超えないようにホログラム光学素子21の位置調整を行うことが可能である。あるいは、副プッシュプル信号SPPの信号強度が所定の閾値レベルを超えないようにホログラム光学素子21の位置調整を行ってもよい。これにより、ホログラム光学素子21の位置が偽の最適位置に調整されることを防止することができる。
以上に説明したように、本実施の形態の光ヘッド装置3のホログラム光学素子21は、図2に示されるように、半導体レーザ13から光ディスクODに伝播するレーザ光の光路中に配置されていない。このホログラム光学素子21は、図3に示したように反射回折光ビームの0次回折光成分ORaの一部とその±1次回折光成分ORp,ORnとが入射する主回折領域210と、反射回折光ビームの±1次光成分ORp,ORnが入射しないかもしくはその一部が入射するとともに、0次光成分ORaの残部が入射する副回折領域211A,211Bとを有している。光検出器22は、主回折領域210と副回折領域211A,211Bとを透過した透過回折光ビームの0次光成分DR0を受光する主受光部23と、副回折領域211A,211Bでそれぞれ透過した透過回折光ビームの+1次光成分DRpa,DRpbを受光する第1副受光部24と、その−1次光成分DRna,DRnbを受光する第2副受光部25とを有している。したがって、光検出器22で検出される信号強度を充分に確保しつつ、対物レンズシフトに起因するオフセットがキャンセルされたトラッキングエラー信号TESを生成することができる。
また、本実施の形態の光ヘッド装置3は、第1副受光部24と第2副受光部25とで検出された信号SE1,SE2,SG1,SG2,SF1,SF2,SH1,SH2を外部に出力する出力端子群231,232を有している。このため、これら検出信号SE1,SE2,SG1,SG2,SF1,SF2,SH1,SH2から、ホログラム光学素子21の配置に依存した和信号S1,S2を生成することができ、和信号S1,S2を用いてホログラム光学素子21の位置を最適位置に調整することができる。
さらに、光ディスクODが多層光ディスクの場合には、光ディスク装置1が多層光ディスクの対象層に対して情報の記録または再生を実行する場合でも、第1副受光部24及び第2副受光部25は、図7(A)及び図7(C)に例示したように対象層と隣接する情報記録層からの迷光が入射しない位置に配置されている。また、第1副受光部24及び第2副受光部25は、図10(D)に例示したように対象層に対して最も層間隔が狭い情報記録層からの迷光が入射しない位置に配置されている。したがって、不要な迷光成分による信号が検出されないので、トラッキングエラー信号TESの品質を高めることができる。
以上により、本実施の形態の光ヘッド装置3は、光ディスクODに照射されるべき光ビームの光強度の損失を小さくして、対物レンズシフトに起因する直流オフセット成分が除去されたトラッキングエラー信号TESを生成することができる構成を有し、トラッキングエラー信号TESの品質を向上することができる。また、第1副受光部24及び第2副受光部25で検出された信号SE1,SE2,SG1,SG2,SF1,SF2,SH1,SH2に基づいて、ホログラム光学素子21の配置に依存した和信号S1,S2を生成することができ、これら和信号S1,S2を用いて、ホログラム光学素子21の最適位置調整を行うことができる。しかも、これら和信号S1,S2の検出は、比較的簡単な構成の受光面パターンをもつ光検出器22を用いて行うことができる。
実施の形態2.
次に、本発明に係る実施の形態2について説明する。図17は、本発明に係る実施の形態2の光ヘッド装置3Mの主な構成を概略的に示す斜視図である。本実施の形態の光ディスク装置の構成は、光ヘッド装置3Mの構成以外は、実施の形態1の光ディスク装置1の構成と同じである。
また、図17に示されるように、本実施の形態の光ヘッド装置3Mは、加算回路28と出力端子233,234とを備えている。光ヘッド装置3Mの構成は、これら加算回路28と出力端子233,234とを有する点以外は、実施の形態1の光ヘッド装置3の構成と同じである。
図18は、実施の形態2の光検出器22と光ヘッド装置3Mの出力端子231〜234との間の接続関係を示す図である。図18に示されるように、加算回路28は、上記和信号S1,S2を生成するための加算器281〜286を含む。すなわち、加算器281は、第1副受光部24の受光面24E1,24E2の組で検出された信号SE1,SE2を加算して加算信号(=SE1+SE2)を生成し、加算器284は、第1副受光部24の受光面24F1,24F2の組で検出された信号SF1,SF2を加算して加算信号(=SF1+SF2)を生成する。また、加算器282は、第2副受光部25の受光面25G1,25G2の組で検出された信号SG1,SG2を加算して加算信号(=SG1+SG2)を生成し、加算器285は、第2副受光部25の受光面25H1,25H2の組で検出された信号SH1,SH2を加算して加算信号(=SH1+SH2)を生成する。加算器283は、加算器281の出力と加算器282の出力とを加算することで和信号S1を生成することができる。一方、加算器286は、加算器284の出力と加算器285の出力とを加算することで和信号S2を生成することができる。これら和信号S1,S2は、出力端子233,234から外部に出力される。
テスト機器(調整機)は、光ヘッド装置3Mの出力端子233,234から和信号S1,S2を取り出し、次に、アクチュエータを用いて、和信号S1,S2の信号レベルが互いに等しくなる方向へ位置調整機構220を制御してホログラム光学素子21の位置を最適位置に移動させることができる。ホログラム光学素子21が最適位置に位置決めされた後は、ホログラム光学素子21の位置は、樹脂材料または固定部材を用いて光ヘッド装置3M内で固定される。なお、和信号S1,S2の信号レベル変化に応じてアクチュエータを手動操作することでホログラム光学素子21の位置調整を行うことも可能である。
以上に説明したように実施の形態2の光ヘッド装置3Mは、和信号S1,S2を生成する回路構成と、これら和信号S1,S2を取り出すために出力端子233,234とを有している。よって、出力端子233,234から取り出された和信号S1,S2を用いてホログラム光学素子21の位置を最適位置に調整することができる。
実施の形態3.
次に、本発明に係る実施の形態3について説明する。図19(A)は、実施の形態3のホログラム光学素子21Mの構成を概略的に示す平面図である。本実施の形態の光ヘッド装置の構成は、ホログラム光学素子21Mの寸法が実施の形態1のホログラム光学素子21の寸法と異なる点以外は、上記実施の形態1の光ヘッド装置3の構成と同じである。また、本実施の形態の光ディスク装置の構成は、上記ホログラム光学素子21に代えてホログラム光学素子21Mを有する点以外は、上記実施の形態1の光ディスク装置1の構成と同じである。
本実施の形態では、ホログラム光学素子21Mの副回折領域211A,211BのY2軸方向の幅W2が光スポットSpのY2軸方向の光スポット径(直径)Dよりも小さい。その他のホログラム光学素子21Mの寸法は、実施の形態1のホログラム光学素子21の寸法と同じである。このような寸法関係を数式で表現すると、(7a)及び(7b)が与えられる。
W=W1+2×W2 ・・・(7a)
W2<D ・・・(7b)
図19(A)〜図19(F)は、ホログラム光学素子21Mと光スポットSpとの位置関係を概略的に示す平面図である。さらに図20は、ホログラム光学素子21Mの配置に対する各種検出信号の変化を示すグラフである。
図19(A)は、ホログラム光学素子21Mが光スポットSpに対してY2軸方向に理想的に配置調整された状態、すなわち0次回折光成分R0及び光成分ORp,ORn,ORaのそれぞれがバランス良く(均等に)2つの副回折領域211A,211Bに入射する状態を示している。さらに、図19(B)〜図19(F)は、図19(A)の理想状態に対して、ホログラム光学素子21MがY2軸の正方向に沿って徐々に変位した場合の光スポットSpとホログラム光学素子21Mとの間の位置関係を示している。
図20は、ホログラム光学素子21MのY2軸方向における変位と各種信号の信号強度との関係を示すグラフである。図20において、横軸は、ホログラム光学素子21Mの変位を示し、縦軸は、各種信号の信号強度(単位:任意単位)を示している。ホログラム光学素子21Mの変位の値は、光スポットSpの直径で正規化した量を示している。また、4つのグラフ線のうち、2つは上式(3a)及び(3b)の主プッシュプル信号MPP及び副プッシュプル信号SPPの信号強度を示す特性曲線である。他の2つのグラフ線は、第1副受光部24及び第2副受光部25で検出された信号SE1,SE2,SG1,SG2,SF1,SF2,SH1,SH2を用いて上式(5a)及び(5b)により与えられる和信号S1,S2の信号強度を表す特性曲線である。
なお、図20のグラフは、シミュレーション計算により求めたものであり、その計算条件として次式(8a)〜(8c)に示す条件が使用された。
W1=0.5D ・・・(8a)
W2=0.75D ・・・(8b)
W=W1+2×W2=2D ・・・(8c)
また、ホログラム光学素子21Mの変位は、Y2軸の正方向に沿った場合の値を示している。ホログラム光学素子21Mの負方向側の変位については、変位がゼロの場合を中心に変位が正方向の場合の挙動と対称的な挙動となる。また、ホログラム光学素子21Mの外周縁分より外側の領域は、遮光されているものとする。
図19(A)に示したように、ホログラム光学素子21Mの変位が無い場合(図20の点Paの場合)には、図20から読み取れるように、S1=S2の関係、すなわち、和信号S1,S2の信号強度が互いに等しい関係が成立する。図19(B)は、ホログラム光学素子21Mの変位が0から0.25Dまでの範囲Pbに対応する位置関係を示す図である。この範囲Pbでは、光スポットSpのうち副回折領域211Aに照射される部分の光強度が減少し、逆に、光スポットSpのうち副回折領域211Bに照射される部分の光強度が増加する。和信号S1,S2はこの光強度変化に対応した信号に相当し、図20の範囲Pbに示されるように、信号S1の信号強度は減少し、逆に信号S2の信号強度は増加する。図19(C)は、ホログラム光学素子21Mが0.25Dだけ変位した場合(図20の点Pcの場合)に対応する位置関係を示し、丁度光スポットSpが副回折領域211Aに照射されなくなる。この場合に、図20の点Pcで示されるように、和信号S1の信号強度はゼロとなり、信号S2の信号強度は一定値に到達する。ここまで説明した挙動は、実施の形態1に係る図14(A)〜図14(C)及び図15に示した挙動と同じである。
次に、図19(D)は、ホログラム光学素子21Mの変位が0.25Dから0.5Dまでの範囲Pdに対応する位置関係を示し、図20の範囲Pdで示されるように、和信号S1の信号強度はゼロから増加に転じ、和信号S2の信号強度は一定値を維持している。図19(E)は、ホログラム光学素子21Mが0.5Dだけ変位した場合(図20の点Peの場合)に対応する位置関係を示し、丁度光スポットSpが副回折領域211BのY2軸方向の外縁に接する場合を示している。この場合に、図20の点Peで示されるように、和信号S1の信号強度は増加の途中にあり、和信号S2の信号強度は、一定値から減少に転じる境界にある。次に、図19(F)は、ホログラム光学素子21Mが0.5Dを越えて変位した場合に対応する位置関係を示し、丁度光スポットSpは副回折領域211Bからはみ出た場合を示している。この場合に、図20の範囲Pfで示されるように、ホログラム光学素子21Mの変位に応じて、和信号S1は増加した後、一定値を維持し、その後減少する。一方、和信号S2は単調減少を続ける。また、一定値の信号強度を維持していた主プッシュプル信号SPPの信号強度も減少し始める。ホログラム光学素子21Mの変位が0.5Dを越えた途中において、S1=S2の関係が成立する変位箇所が一点存在する。このような点は、ホログラム光学素子21MがY2軸の負方向に変位した場合にも生じるので、合計で3点のS1=S2の関係が成立する変位箇所が存在することになる。しかしながら、図20の範囲Pfでは、光スポットSpがすでにホログラム光学素子21Mからはみ出ている状態なので、かかる状態の位置は、ホログラム光学素子21Mの最適調整位置でないことは明らかである。
したがって、実施の形態1と同様に、ホログラム光学素子21Mの最適位置は、図19(A)及び図20の点Paで示される位置である。この最適位置においては、和信号S1,S2が、S1=S2という特徴的な関係となる。このため、実施の形態1の場合と同様の調整手順で、これらの和信号S1,S2を検出し、互いに等しくなるようにホログラム光学素子21Mの位置を追い込むことで、ホログラム光学素子21Mの配置を最適とする調整を実現することができる。
また、実施の形態1の場合と同様に、偽の最適位置に調整されることを防ぐために、和信号S1,S2の信号強度が所定の範囲(所定の上限と下限との間の範囲)を超えないようにホログラム光学素子21Mの位置調整を行うことが望ましい。たとえば、和信号S1の信号強度が0〜0.5の範囲内に設定された閾値レベルを下回らず、かつ、和信号S2の信号強度が0.1〜0.15の範囲内に設定された閾値レベルを超えないようにホログラム光学素子21Mの位置調整を行うことが可能である。あるいは、副プッシュプル信号SPPの信号強度が所定の閾値レベルを超えないようにホログラム光学素子21Mの位置調整を行ってもよい。
以上に説明したように、本実施の形態のホログラム光学素子21Mは、上式(8b)で規定されるように、光スポットSpのY2軸方向の直径Dに対して、副回折領域211A,211Bの幅W2が小さくなるように構成されている。このような場合でも、ホログラム光学素子21Mの配置に依存した和信号S1,S2を用いて、ホログラム光学素子21Mの最適位置調整を行うことができる。たとえば、図16に示した手順と同様の手順で、ホログラム光学素子21Mの位置調整を行うことが可能である。また、光スポットSpがホログラム光学素子21Mからはみ出さない範囲において、ホログラム光学素子21Mの最適位置を示す和信号S1,S2の信号強度の位置を一箇所Paに限定することができるので、ホログラム光学素子21Mの位置を容易に調整することができるという利点がある。
実施の形態4.
次に、本発明に係る実施の形態4について説明する。図21は、実施の形態4の光検出器22Dの構成と、この光検出器22Dに電気的に接続された出力端子群230,232D,231Dとを概略的に示す図である。本実施の形態の光ヘッド装置の構成は、図5に示した光検出器22及び出力端子群230,231,232に代えて、図21に示した光検出器22D及び出力端子群230,231D,232Dを有する点以外は、上記実施の形態1の光ヘッド装置3の構成と同じである。また、本実施の形態の光ディスク装置は、光ヘッド装置以外は、上記実施の形態1の光ディスク装置1と同様の構成を有するものとする。
光検出器22Dは、図21に示されるように、上記実施の形態1の主受光部23と同一構成の主受光部23を有し、さらに、第1副受光部34及び第2副受光部35を有する。また、主受光部23は、上記実施の形態1の主受光部23と同様に出力端子群230と電気的に接続されている。上記実施の形態1の第1副受光部24及び第2副受光部25の各々は、4分割受光面を有するのに対し、本実施の形態の第1副受光部34及び第2副受光部35の各々は、2分割受光面を有している。
第1副受光部34及び第2副受光部35は、光検出器22Dの受光面内で、X1軸方向に対し所定角度をなす方向(矩形状の光検出器22Dの対角線方向)に沿って主受光部23から互いに逆方向に等しい距離だけ離間するように配列されている。第1副受光部34は、一体化された受光面34J1,34J2を有する。これら受光面34J1,34J2は、X1軸方向に沿って配列されており、ホログラム光学素子21から入射した透過回折光ビームを光電変換して検出信号SJ1,SJ2からなる電気信号群Ds1を生成し、この電気信号群Ds1を出力端子群232Dに出力する。出力端子群232Dは、第1副受光部34の受光面34J1,34J2にそれぞれ対応する出力端子TJ1,TJ2からなる。受光面34J1,34J2は、+1次光成分DRpa,DRpbを光電変換してそれぞれ検出信号SJ1,SJ2を出力する。出力端子TJ1,TJ2は、検出信号SJ1,SJ2を外部のマトリクス回路5に出力することができる。
一方、第2副受光部35は、一体化された受光面35K1,35K2を有する。これら受光面35K1,35K2は、X1軸方向に沿って配列されており、ホログラム光学素子21から入射した透過回折光ビームを光電変換して検出信号SK1,SK2からなる電気信号群Ds2を生成し、この電気信号群Ds2を出力端子群231Dに出力する。出力端子群231Dは、第2副受光部35の受光面35K1,35K2にそれぞれ対応する出力端子TK1,TK2からなる。受光面35K1,35K2は、−1次光成分DRna,DRnbを光電変換してそれぞれ検出信号SK1,SK2を出力する。出力端子TK1,TK2は、検出信号SK1,SK2を外部のマトリクス回路5に出力することができる。
マトリクス回路5は、次式(9a)に従って副プッシュプル信号SPP3を生成する機能を有する。
SPP3=(SJ1−SJ2)+(SK1−SK2) ・・・(9a)
また、マトリクス回路5は、次式(9b)により得られる信号レベルをもつトラッキングエラー信号TES3を生成することができる。
TES3=MPP−k3×SPP3 ・・・(9b)
式(9b)において、k3は、ゲイン係数であり、MPPは、実施の形態1で使用された式(3a)で表される主プッシュプル信号である。
ところで、上述したように、上記実施の形態1では、第1副受光部24及び第2副受光部25の各々の4分割受光面の分割される方向が、厳密にX1軸方向及びY1軸方向に沿っていなくてもよい。これは、本実施の形態でも同様である。図22は、本実施の形態の光検出器22Dの変形例である光検出器22Dmの構成を概略的に示す図である。この光検出器22Dmは、主受光部23、第1副受光部34m及び第2副受光部35mを有する。図21に示した第1副受光部34及び第2副受光部35の外形は、X1軸方向に沿った2辺を有している。これに対し、図22の第1副受光部34mの外形は、X1軸方向から傾斜した方向の2辺を有し、第2副受光部35mの外形も、X1軸方向から傾斜した方向の2辺を有する。このように第1副受光部34m及び第2副受光部35mの外形は、傾斜する辺を有するので、対象層以外の情報記録層から伝播した楕円形状の迷光SL2が第1副受光部24m及び第2副受光部25mに入射することを避けることができる。なお、第1副受光部34m及び第2副受光部35mの外形を、Y1軸方向から傾斜した方向の辺を有するように変形してもよい。
以上に説明したように、本実施の形態では、第1副受光部34及び第2副受光部35の各々が2分割受光面を有する。マトリクス回路5は、その2分割受光面で生成された検出信号SJ1,SJ2,SK1,SK2に基づいて、対物レンズシフトに起因するオフセット成分がキャンセルされたトラッキングエラー信号TES3を生成することができる。
また、上記実施の形態1の光検出器22(図5)と比べて、光検出器22D,22Dmの構成の簡素化を図ることができる。しかも、図22の第1副受光部34m及び第2副受光部35mを採用する場合には、対象層以外の情報記録層からの迷光の影響を避けることができるため、信号品質を高くできるという効果がある。
実施の形態5.
次に、本発明に係る実施の形態5について説明する。図23は、実施の形態5の光検出器22Fの構成と、この光検出器22Fに電気的に接続された出力端子群230,232Dとを概略的に示す図である。
本実施の形態の光検出器22Fは、図22に示した光検出器22Dmの変形例である。光検出器22Fは、図23に示されるように、図22の光検出器22Dmと同様に主受光部23及び第1副受光部34mを有する。図23の構成は、図22の構成から第2副受光部35mと出力端子群231Dとを削除した構成である。
マトリクス回路5は、次式(10a)に従って副プッシュプル信号SPP4を生成する機能を有する。
SPP4=SJ1−SJ2 ・・・(10a)
また、マトリクス回路5は、次式(10b)により得られる信号レベルをもつトラッキングエラー信号TES4を生成することができる。
TES4=MPP−k4×SPP4 ・・・(10b)
式(10b)において、k4はゲイン係数であり、MPPは、実施の形態1で使用された式(3a)で表される主プッシュプル信号である。
以上に説明したように本実施の形態では、マトリクス回路5は、第1副受光部34mの2分割受光面で生成された検出信号SJ1,SJ2に基づいて、対物レンズシフトに起因するオフセット成分がキャンセルされたトラッキングエラー信号TES4を生成することができる。よって、実施の形態4と比べて、光検出器22Fの構成の簡素化を図ることができる。
なお、本実施の形態では、図23の構成は、図22の構成から第2副受光部35mと出力端子群231Dとを削除した構成であるが、これに代えて、図22の構成から第1副受光部34mと出力端子群232Dとを削除した構成を採用してもよい。この場合でも、検出信号SJ1,SK1は互いに同じ挙動を示す信号であり、検出信号SJ2,SK2も互いに同じ挙動を示す信号であることから、マトリクス回路5は、次式(11a),(11b)に従って副プッシュプル信号SPP5とトラッキングエラー信号TES5とを生成することができる。
SPP5=SK1−SK2 ・・・(11a)
TES5=MPP−k4×SPP5 ・・・(11b)
実施の形態6.
次に、本発明に係る実施の形態6について説明する。図24は、実施の形態6のホログラム光学素子31の構成を概略的に示す図である。本実施の形態の光ヘッド装置及び光ディスク装置の構成は、上記ホログラム光学素子21または21Mに代えて図24のホログラム光学素子31を有する点以外は、上記実施の形態1乃至5のいずれかの光ヘッド装置及び光ディスク装置の構成と同じである。
図24に示されるように、本実施の形態のホログラム光学素子31は、上記ホログラム光学素子21(または21M)の主回折領域210及び副回折領域211A,211Bの外周縁部に接し且つ該周縁部を取り囲む周辺領域310をさらに含む。この周辺領域310は、入射光を光検出器22の方向以外の方向に回折させる回折構造、あるいは、入射光を完全遮光する遮光構造(マスク部材)を有する。周辺領域310が遮光構造を有する場合は、周辺領域310は、金属または樹脂材で構成され、かつレーザ光の波長に対して、完全に不透明な部材で構成される。
なお、周辺領域310の構造は、主回折領域210及び副回折領域211A,211Bと一体的に形成された構造であってもよいし、あるいは、主回折領域210及び副回折領域211A,211Bとは別の部材で形成されてもよい。
このような周辺領域310を設けることで、主回折領域210と副回折領域211A,211B以外の領域に入射するレーザ光を遮光あるいは回折することができるため、光検出器22に不要なレーザ光が入射せず、光検出器22で検出される信号の品質が損なわれることを防止することができる。
なお、図24で示した周辺領域310の内周端部は、主回折領域210及び副回折領域211A,211Bの外縁部に接するので、矩形状を有するが、矩形状以外の別の形状を有していても構わない。図25は、ホログラム光学素子31の変形例であるホログラム光学素子41の平面図である。ホログラム光学素子41は、主回折領域210及び副回折領域211A,211Bに面する内周端部の四隅が円弧状の周辺領域410を有している。周辺領域410は、主回折領域210と副回折領域211A,211Bの外縁部に接するように設けられている。ただし、副回折領域211A,211BのY2軸方向に沿った幅W2は、所定値として確保されている。なお、周辺領域410の内周端部の形状は、円形状や楕円形状、あるいはその他の形状とされてもよい。
以上に説明したように、本実施の形態のホログラム光学素子31,41は、周辺領域310,410が主回折領域210及び副回折領域211A,211Bの外周縁部を取り囲むように形成されているので、不要なレーザ光が光検出器22に入射することを防止することができる。
実施の形態1〜6の変形例.
以上、図面を参照して本発明に係る光ヘッド装置の種々の実施の形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な形態を採用することもできる。本発明による光ヘッド装置またはこれを搭載した光ディスク装置は、業務用途、家庭用途、及び車載用途などの種々の電子機器(たとえば、テレビ受像機やゲーム機器や車載ナビゲーション装置)に組み込むことができる。
1 光ディスク装置、 2 スピンドルモータ、 3,3M 光ヘッド装置、 4 スレッド機構、 5 マトリクス回路、 6 信号再生回路、 7 レーザ制御回路、 8 サーボ回路、 9 収差補正機構制御回路、 10 スレッド制御回路、 11 スピンドル制御回路、 12 コントローラ、 13 半導体レーザ、 14 ビームスプリッタ、 15 コリメータレンズ、 16A 収差補正機構、 16B レンズホルダ、 17 アクチュエータ、 18 対物レンズ、 19 可動部、 20A,20B 磁気回路、 21,21M ホログラム光学素子、 210 主回折領域、 211A,211B 副回折領域、 22,22B,22C,22D,22Dm,22F 光検出器、 23 主受光部、 230〜232,231D,232D 出力端子群、 233,234 出力端子、 24,34,34m 第1副受光部、 25,35,35m 第2副受光部、 26 シリンドリカルレンズ、 28 加算回路、 31,41 ホログラム光学素子、 310,410 周辺領域。
本発明の一態様による光ヘッド装置は、レーザ光源と、前記レーザ光源から出射される光ビームを集光して光ディスクに照射する対物レンズと、前記光ディスクで反射し前記対物レンズを透過した戻り光ビームを透過回折させて透過回折光ビームを出射する回折光学素子と、前記透過回折光ビームを受光する光検出器とを備え、前記戻り光ビームは、前記光ディスクで回折された反射回折光ビームを含み、前記回折光学素子は、前記反射回折光ビームの0次光成分の一部と前記反射回折光ビームの±1次光成分の全部もしくは一部とが入射する位置に配置され、0次回折作用及び±1次回折作用を有する主回折領域と、前記反射回折光ビームの0次光成分と前記反射回折光ビームの±1次光成分とがなす列の方向を第1の方向とするとき、前記第1の方向と直交する第2の方向において前記主回折領域の外側に、且つ前記反射回折光ビームの0次光成分の残部と前記反射回折光ビームの±1次光成分の残部とが入射する位置に配置され、0次回折作用及び±1次回折作用を有する副回折領域とを含み、前記副回折領域は、前記第2の方向における幅が、前記反射回折光ビームの0次光成分の前記第2の方向における直径よりも小さくなるように設定され、前記光検出器は、前記主回折領域及び前記副回折領域の双方を透過した前記透過回折光ビームの0次光成分を受光する主受光部と、前記副回折領域の当該±1次回折作用により生成された前記透過回折光ビームの+1次光成分及び−1次光成分のうちの一方を受光する第1副受光部とを含み、前記第1副受光部は、前記第1の方向に対応する第1の配列方向に沿って配列された複数の受光面を有し、前記第1副受光部により検出された信号に基づいて、前記光検出器に対する前記対物レンズの相対変位に起因するオフセット成分を検出することを特徴とする。
本発明の一態様による光ヘッド装置は、レーザ光源と、前記レーザ光源から出射される光ビームを集光して光ディスクに照射する対物レンズと、前記光ディスクで反射し前記対物レンズを透過した戻り光ビームを透過回折させて透過回折光ビームを出射する回折光学素子と、前記透過回折光ビームを受光する光検出器とを備え、前記戻り光ビームは、前記光ディスクで回折された反射回折光ビームを含み、前記回折光学素子は、前記反射回折光ビームの0次光成分の一部と前記反射回折光ビームの±1次光成分の全部もしくは一部とが入射する位置に配置され、0次回折作用及び±1次回折作用を有する主回折領域と、前記反射回折光ビームの0次光成分と前記反射回折光ビームの±1次光成分とがなす列の方向を第1の方向とするとき、前記第1の方向と直交する第2の方向において前記主回折領域の外側に、且つ前記反射回折光ビームの0次光成分の残部と前記反射回折光ビームの±1次光成分の残部とが入射する位置に配置され、0次回折作用及び±1次回折作用を有する副回折領域とを含み、前記光検出器は、前記主回折領域及び前記副回折領域の双方を透過した前記透過回折光ビームの0次光成分を受光する主受光部と、前記副回折領域の当該±1次回折作用により生成された前記透過回折光ビームの+1次光成分及び−1次光成分のうちの一方を受光する受光部とを含み、前記副受光部の前記主受光部側に位置する辺は、前記第1の方向に対応する軸に対して傾斜し、前記第1の方向に対応する軸に対する前記傾斜は、前記辺と前記主受光部との間隔を増加させる向きの傾斜であることを特徴とする。
ところで、上述したように、上記実施の形態1では、第1副受光部24及び第2副受光部25の各々の4分割受光面の分割される方向が、厳密にX1軸方向及びY1軸方向に沿っていなくてもよい。これは、本実施の形態でも同様である。図22は、本実施の形態の光検出器22Dの変形例である光検出器22Dmの構成を概略的に示す図である。この光検出器22Dmは、主受光部23、第1副受光部34m及び第2副受光部35mを有する。図21に示した第1副受光部34及び第2副受光部35の外形は、X1軸方向に沿った2辺を有している。これに対し、図22の第1副受光部34mの外形は、X1軸方向から傾斜した方向の2辺を有し、第2副受光部35mの外形も、X1軸方向から傾斜した方向の2辺を有する。このように第1副受光部34m及び第2副受光部35mの外形は、傾斜する辺を有するので、対象層以外の情報記録層から伝播した楕円形状の迷光SL2が第1副受光部4m及び第2副受光部5mに入射することを避けることができる。なお、第1副受光部34m及び第2副受光部35mの外形を、Y1軸方向から傾斜した方向の辺を有するように変形してもよい。

Claims (21)

  1. レーザ光源と、
    前記レーザ光源から出射される光ビームを集光して光ディスクに照射する対物レンズと、
    前記光ディスクで反射し前記対物レンズを透過した戻り光ビームを透過回折させて透過回折光ビームを出射する回折光学素子と、
    前記透過回折光ビームを受光する光検出器と
    を備え、
    前記戻り光ビームは、前記光ディスクで回折された反射回折光ビームを含み、
    前記回折光学素子は、
    前記反射回折光ビームの0次光成分の一部と前記反射回折光ビームの±1次光成分の全部もしくは一部とが入射する位置に配置され、0次回折作用及び±1次回折作用を有する主回折領域と、
    前記反射回折光ビームの0次光成分と前記反射回折光ビームの±1次光成分とがなす列の方向を第1の方向とするとき、前記第1の方向と直交する第2の方向において前記主回折領域の外側に、且つ前記反射回折光ビームの0次光成分の残部と前記反射回折光ビームの±1次光成分の残部とが入射する位置に配置され、0次回折作用及び±1次回折作用を有する副回折領域とを含み、
    前記光検出器は、
    前記主回折領域及び前記副回折領域の双方を透過した前記透過回折光ビームの0次光成分を受光する主受光部と、
    前記副回折領域の当該±1次回折作用により生成された前記透過回折光ビームの+1次光成分及び−1次光成分のうちの一方を受光する第1副受光部とを含み、
    前記第1副受光部は、前記第1の方向に対応する第1の配列方向に沿って配列された複数の受光面を有する
    ことを特徴とする光ヘッド装置。
  2. 請求項1に記載の光ヘッド装置であって、前記光検出器は、前記透過回折光ビームの当該+1次光成分及び当該−1次光成分のうちの他方を受光する第2副受光部をさらに含み、
    前記第1副受光部の当該複数の受光面は、前記第1の配列方向と前記第2の方向に対応する第2の配列方向とに沿って配列された4つの受光面を含み、
    前記第2副受光部は、前記第1の配列方向と前記第2の配列方向とに沿って配列された4つの受光面を有する
    ことを特徴とする光ヘッド装置。
  3. 請求項2に記載の光ヘッド装置であって、
    前記第1副受光部の当該4つの受光面で検出された信号を個別に外部に出力する第1の出力端子群と、
    前記第2副受光部の当該4つの受光面で検出された信号を個別に外部に出力する第2の出力端子群と
    をさらに備えることを特徴とする光ヘッド装置。
  4. 請求項2に記載の光ヘッド装置であって、
    前記第1副受光部の当該4つの受光面のうち前記第2の配列方向の一端側に配置された第1の組の受光面で検出された信号と前記第2副受光部の当該4つの受光面のうち前記一端側に配置された第2の組の受光面で検出された信号とを加算して第1の和信号を生成する第1の加算器と、
    前記第1副受光部の当該4つの受光面のうち前記第2の配列方向の他端側に配置された第3の組の受光面で検出された信号と前記第2副受光部の当該4つの受光面のうち前記他端側に配置された第4の組の受光面で検出された信号とを加算して第2の和信号を生成する第2の加算器と、
    前記第1の和信号を外部に出力する第1の出力端子と、
    前記第2の和信号を外部に出力する第2の出力端子と
    をさらに備えることを特徴とする光ヘッド装置。
  5. 請求項3または4に記載の光ヘッド装置であって、前記回折光学素子を前記第2の方向に位置付けするための位置調整機構をさらに備えることを特徴とする光ヘッド装置。
  6. 請求項1から5のうちのいずれか1項に記載の光ヘッド装置であって、前記副回折領域の前記第2の方向における幅は、前記反射回折光ビームの0次光成分の前記第2の方向における直径よりも大きいことを特徴とする光ヘッド装置。
  7. 請求項1から5のうちのいずれか1項に記載の光ヘッド装置であって、前記副回折領域の前記第2の方向における幅は、前記反射回折光ビームの0次光成分の前記第2の方向における直径未満であることを特徴とする光ヘッド装置。
  8. 請求項1から7のうちのいずれか1項に記載の光ヘッド装置であって、
    前記回折光学素子は、前記副回折領域の外周縁部に接し該外周縁部を取り囲む周辺領域をさらに含み、
    前記周辺領域は、前記戻り光ビームのうち当該周辺領域に入射した光を前記光検出器の方向以外の方向に回折させる回折構造を有する
    ことを特徴とする光ヘッド装置。
  9. 請求項1から7のうちのいずれか1項に記載の光ヘッド装置であって、
    前記回折光学素子は、前記副回折領域の外周縁部に接し該外周縁部を取り囲む周辺領域をさらに含み、
    前記周辺領域は、前記戻り光ビームのうち当該周辺領域に入射した光を遮光する構造を有する
    ことを特徴とする光ヘッド装置。
  10. 請求項1から9のうちのいずれか1項に記載の光ヘッド装置であって、前記主回折領域は、前記反射回折光ビームの0次光成分の前記第2の方向における直径よりも狭く、且つ、前記反射回折光ビームのうちの±1次光成分と0次光成分とが重なり合う領域の前記第2の方向における幅以下の幅を有することを特徴とする請求項1に記載の光ヘッド装置。
  11. 請求項1から10のうちのいずれか1項に記載の光ヘッド装置であって、前記光ディスクは、複数の情報記録層が積層された多層光ディスクであることを特徴とする光ヘッド装置。
  12. 請求項11に記載の光ヘッド装置であって、前記第1副受光部及び前記第2副受光部の各々は、前記複数の情報記録層のうち、情報の記録または再生の対象となる情報記録層と隣り合う情報記録層からの反射光が入射しない位置に配置されていることを特徴とする光ヘッド装置。
  13. 請求項11に記載の光ヘッド装置であって、前記第1副受光部及び前記第2副受光部の各々は、前記複数の情報記録層のうち、情報の記録または再生の対象となる情報記録層との間隔が最も狭く且つ情報の記録もしくは再生の対象とならない情報記録層からの反射光が入射しない位置に配置されていることを特徴とする光ヘッド装置。
  14. 請求項1から13のうちのいずれか1項に記載の光ヘッド装置であって、前記第1の方向は、前記光ディスクのラジアル方向に対応する方向であることを特徴とする光ヘッド装置。
  15. 請求項2から5のうちのいずれか1項に記載の光ヘッド装置と、
    前記光ディスクを回転駆動させるディスク駆動部と、
    前記主受光部により検出された信号に基づいてプッシュプル信号を生成する信号処理部と
    を備え、
    前記信号処理部は、前記第1副受光部及び前記第2副受光部によりそれぞれ検出された信号に基づいて、前記光検出器に対する前記対物レンズの相対変位に起因するオフセット成分を生成し、前記プッシュプル信号及び前記オフセット成分に基づいてトラッキングエラー信号を生成する
    ことを特徴とする光ディスク装置。
  16. 請求項1から14に記載の光ヘッド装置と、
    前記光ディスクを回転駆動させるディスク駆動部と、
    前記主受光部により検出された信号に基づいてプッシュプル信号を生成する信号処理部と
    を備え、
    前記信号処理部は、前記第1副受光部により検出された信号に基づいて、前記光検出器に対する前記対物レンズの相対変位に起因するオフセット成分を生成し、前記プッシュプル信号及び前記オフセット成分に基づいてトラッキングエラー信号を生成する
    ことを特徴とする光ディスク装置。
  17. 請求項2または3に記載の光ヘッド装置に含まれる回折光学素子の位置調整方法であって、
    前記第1副受光部の当該4つの受光面のうち前記第2の配列方向の一端側に配置された第1の組の受光面で検出された信号と前記第2副受光部の当該4つの受光面のうち前記一端側に配置された第2の組の受光面で検出された信号とを加算して第1の和信号を生成するステップと、
    前記第1副受光部の当該4つの受光面のうち前記第2の配列方向の他端側に配置された第3の組の受光面で検出された信号と前記第2副受光部の当該4つの受光面のうち前記他端側に配置された第4の組の受光面で検出された信号とを加算して第2の和信号を生成するステップと、
    前記第1の和信号の信号強度と前記第2の和信号の信号強度とが互いに等しくなるように前記第2の方向に前記回折光学素子を移動させて前記回折光学素子を位置決めするステップと
    を備えることを特徴とする回折光学素子の位置調整方法。
  18. 請求項4に記載の光ヘッド装置に含まれる回折光学素子の位置調整方法であって、
    前記第1の出力端子から前記第1の和信号を取り出すステップと、
    前記第2の出力端子から前記第2の和信号を取り出すステップと、
    前記第1の和信号の信号強度と前記第2の和信号の信号強度とが互いに等しくなるように前記第2の方向に前記回折光学素子を移動させて前記回折光学素子を位置決めするステップと
    を備えることを特徴とする回折光学素子の位置調整方法。
  19. 請求項17または18に記載の回折光学素子の位置調整方法であって、前記第1の和信号及び前記第2の和信号の信号強度が所定の範囲を超えないように前記第2の方向に前記回折光学素子を位置決めするステップをさらに備えることを特徴とする回折光学素子の位置調整方法。
  20. 請求項17から19のうちのいずれか1項に記載の回折光学素子の位置調整方法であって、前記副回折領域の前記第2の方向における幅は、前記反射回折光ビームの0次光成分の前記第2の方向における直径よりも大きいことを特徴とする回折光学素子の位置調整方法。
  21. 請求項17から19のうちのいずれか1項に記載の回折光学素子の位置調整方法であって、前記副回折領域の前記第2の方向における幅は、前記反射回折光ビームの0次光成分の前記第2の方向における直径未満であることを特徴とする回折光学素子の位置調整方法。
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