JP2014044780A - 光ピックアップ及びディスク装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】迷光に起因するオフセット成分の発生を防止し、対物レンズのレンズシフトに起因するオフセット成分が取り除かれた良好なトラッキングエラー信号を得ることができる光ピックアップ、及びディスク装置を提供する。
【解決手段】回折光学素子の第1及び第2回折部の各0次回折光に基づいて主受光部信号が生成され、第2回折部の±1次回折光のうちの少なくとも一方に基づいて副受光部信号が生成される。トラッキングエラー信号は主受光部信号及び副受光部信号に基づいて生成される。さらに、情報の読み取り又は書き込み処理が行われる第1記録層以外の記録層から反射される第1及び第2迷光が、回折光学素子の第1及び第2遮光部により、少なくとも光検出部の副受光部に入射しないようにされる。
【選択図】図4
【解決手段】回折光学素子の第1及び第2回折部の各0次回折光に基づいて主受光部信号が生成され、第2回折部の±1次回折光のうちの少なくとも一方に基づいて副受光部信号が生成される。トラッキングエラー信号は主受光部信号及び副受光部信号に基づいて生成される。さらに、情報の読み取り又は書き込み処理が行われる第1記録層以外の記録層から反射される第1及び第2迷光が、回折光学素子の第1及び第2遮光部により、少なくとも光検出部の副受光部に入射しないようにされる。
【選択図】図4
Description
本発明は、光ディスクに記録される情報の読み取りや光ディスクへの情報の書き込みを行う際に用いられる光ピックアップ、及びこの光ピックアップを備えるディスク装置に関する。
従来、BD(Blu-ray Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、CD(Compact Disc)などの光ディスクに対して、情報の読み取りや書き込みを行う光ピックアップが知られている。この光ピックアップでは、光源から出射される光が、対物レンズにより光ディスクの記録層に集光される。
光ピックアップにより、光ディスクに情報を読み取り又は書き込む場合には、対物レンズにより記録層に集光される光スポットが光ディスクに形成されるトラックに常に追従するようにトラッキング制御する必要がある。そのため、光ピックアップでは、光検出器から出力される信号に基づいて、光スポットと目標のトラックとのずれ量を表すトラッキングエラー信号が算出される。そして、対物レンズのトラッキング方向の位置をレンズシフト移動させる制御(トラッキング制御)がトラッキングエラー信号に基づいて行われる。
トラッキングエラー信号を算出する方法としては、従来、PP(Push-Pull)法、DPP(Differential Push-Pull)法などが知られている。特に、DPP法は、対物レンズのトラッキング方向へのレンズシフトに起因するオフセット成分の影響を抑制してトラッキングエラー信号を得ることができるため、従来の光ピックアップに広く採用されている。ところが、DPP法では、光源から出射される光を回折格子(グレーディング)により主光と2つの副光とからなる3つの光に分けて光ディスクに照射する。そのため、たとえばPP法と比べて、光の利用効率が低い。また、光ピックアップの構成も複雑となる。
これらの点を改善すべく、DPP法よりも簡単な構成で光の利用効率をより高めた方法でトラッキングエラー信号を得るための光ピックアップが開発されている。たとえば特許文献1の光ピックアップでは、回折光学素子の主回折領域にて光ディスクからの反射光の0次光の一部及び±1次光が回折され、副回折領域にて0次光の他の一部が回折される。光検出部の主受光部では、主回折領域及び副回折領域からの各0次回折光が受光され、主プッシュプル信号が生成される。副受光部では、副回折領域からの±1次回折光が受光され、副プッシュプル信号が生成される。そして、主プッシュプル信号から増幅した副プッシュプル信号を除くことにより、トラッキングエラー信号が生成される。
しかしながら、光ディスクには、単一の記録層を有する単層タイプの他に、複数の記録層を有する多層タイプがある。この多層タイプの光ディスクにて情報の読み取り又は書き込み処理が行われる場合、その処理が行われている記録層とは異なる記録層で反射された光が迷光として光検出器に入射する。この迷光が光検出器で受光されると、トラッキングエラー信号に迷光に起因するオフセット成分が発生するため、良好なトラッキングエラー信号を得ることができなくなる。
このような問題に対し、特許文献1では、回折光学素子に、主回折領域を挟んで設けられる2つの矩形の副回折領域の両外側に矩形の遮光領域を設けることにより、光検出器への迷光の入射を低減している。ところが、この遮光領域では、情報の読み取り処理又は書き込み処理が行われる記録層よりも光ディスクの光入射表面に近い側の記録層からの迷光の一部は遮光できるが、光入射表面から遠い側の記録層からの迷光は遮光できない。従って、特許文献1では、迷光に起因するオフセット成分がトラッキングエラー信号に発生することを十分に防止することはできない。
本発明は、このような状況を鑑みてなされたものであり、迷光に起因するオフセット成分の発生を防止し、対物レンズのレンズシフトに起因するオフセット成分が取り除かれた良好なトラッキングエラー信号を得ることができる光ピックアップ、及びディスク装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明の光ピックアップは、光ディスクに光を集光する対物レンズと、情報の読み取り又は書き込みが行われる前記光ディスクの第1記録層で反射された戻り光の0次光の一部、及び前記戻り光の±1次光を回折する第1回折部と、前記0次光の残りの一部を回折する第2回折部と、を有する回折光学素子と、前記第1回折部及び前記第2回折部から入射する各0次回折光に基づいて主受光部信号を生成する主受光部と、前記第2回折部から入射する±1次回折光のうちの少なくとも一方に基づいて副受光部信号を生成する副受光部と、を有する光検出部と、前記主受光部信号及び前記副受光部信号に基づいてトラッキングエラー信号を生成する信号処理部と、を備え、前記回折光学素子はさらに、前記第1記録層よりも前記光ディスクの光入射表面から遠い側に設けられた前記光ディスクの第2記録層から反射される第1迷光を前記光検出部に入射させないようにするための第1遮光部と、前記第1記録層よりも前記光入射表面に近い側に設けられた前記光ディスクの第3記録層から反射される第2迷光を少なくとも前記光検出部の前記副受光部に入射させないようにするための第2遮光部と、を有することを特徴とする。
この構成によれば、回折光学素子の第1及び第2回折部の各0次回折光に基づいて主受光部信号が生成され、第2回折部の±1次回折光のうちの少なくとも一方に基づいて副受光部信号が生成される。トラッキングエラー信号は主受光部信号及び副受光部信号に基づいて生成される。さらに、情報の読み取り又は書き込み処理が行われる第1記録層以外の記録層から反射される第1及び第2迷光が、回折光学素子の第1及び第2遮光部により、少なくとも光検出部の副受光部に入射しないようにされる。そのため、第1及び第2迷光に起因するオフセット成分がトラッキングエラー信号に発生することを防止することができる。よって、迷光に起因するオフセット成分の発生を防止し、対物レンズのレンズシフトに起因するオフセット成分が取り除かれた良好なトラッキングエラー信号を得ることができる。
上記構成において、前記第1遮光部の形状は、前記対物レンズのレンズシフト方向に対応する方向が長手方向となる略矩形状であってもよい。
こうすれば、対物レンズのレンズシフトに伴って第1迷光が移動しても、第1遮光部により、第1迷光が光検出器に入射しないようにすることができる。
また、上記構成において、前記第2遮光部は、前記戻り光が前記回折光学素子に入射する方向から見た平面視において、四辺形状、円形状、及び楕円形状のうちのいずれか1つの形状の領域の外側領域に設けられてもよい。
こうすれば、戻り光が第2遮光部と重なる位置を越えて対物レンズがレンズシフトした場合の主受信部信号の強度の変化率を大きくすることができる。従って、対物レンズをレンズシフトさせる際の基準位置が設定し易くなる。
また、上記構成において、前記第2遮光部は、前記平面視において、2つの対角線のうちの一方が前記対物レンズのレンズシフト方向に対応する方向と略平行となる平行四辺形状、又は、長径が前記レンズシフト方向に対応する方向と略平行となる楕円形状の領域の外側領域に設けられてもよい。
こうすれば、戻り光が第2遮光部と重なる位置を越えて対物レンズがレンズシフトした場合の主受信部信号の強度の変化率をより大きくすることができる。従って、対物レンズをレンズシフトさせる際の基準位置がより設定し易くなる。
また、上記構成において、前記対物レンズのレンズシフト方向において、前記対物レンズを予め設定した基準位置に移動させることにより、前記回折光学素子と前記光検出器との間の位置調整を行ってもよい。
こうすれば、レンズシフトの際、対物レンズを予め設定した基準位置にオフセット移動させるだけで回折光学素子と光検出器との間の位置調整ができる。従って、回折光学素子のレンズシフト方向の位置調節を行う機構を設ける必要がないため、光ピックアップの構成を簡易化することができる。
また、上記目的を達成するために本発明のディスク装置は、上述の光ピックアップを備えることを特徴とする。
この構成によれば、回折光学素子の第1及び第2回折部の各0次回折光に基づいて主受光部信号が生成され、第2回折部の±1次回折光のうちの少なくとも一方に基づいて副受光部信号が生成される。トラッキングエラー信号は主受光部信号及び副受光部信号に基づいて生成される。さらに、情報の読み取り又は書き込み処理が行われる第1記録層以外の記録層から反射される第1及び第2迷光が、回折光学素子の第1及び第2遮光部により、少なくとも光検出部の副受光部に入射しないようにされる。そのため、第1及び第2迷光に起因するオフセット成分がトラッキングエラー信号に発生することを防止することができる。よって、迷光に起因するオフセット成分の発生を防止し、対物レンズのレンズシフトに起因するオフセット成分が取り除かれた良好なトラッキングエラー信号を得ることができる。
本発明によれば、迷光に起因するオフセット成分の発生を防止し、対物レンズのレンズシフトに起因するオフセット成分が取り除かれた良好なトラッキングエラー信号を得ることができる光ピックアップ、及びディスク装置を提供することができる。
以下に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。本実施形態の光ピックアップ1は、光ディスクDに対して情報の読み取り処理及び/又は書き込み処理を行うためのデバイスである。光ピックアップ1は、たとえば、BDレコーダ、DVDレコーダ、BDプレイヤ、DVDプレイヤなどのディスク装置に搭載される。光ピックアップ1に利用可能な光ディスクDの種類としては、たとえば、単層タイプ又は2層タイプのBD(Blu-ray Disc)又はDVD(Digital versatile Disc)、3層以上の記録層を有するBDXL(登録商標)、CD(Compact Disc)などを挙げることができる。
図1は、本実施形態の光ピックアップの構成図である。図1に示すように、本実施形態の光ピックアップ1は、第1半導体レーザ素子11aと、第2半導体レーザ素子11bと、1/2波長板12と、ビームスプリッタ13と、偏光ビームスプリッタ14と、1/4波長板15と、コリメートレンズ16と、第1立ち上げミラー17aと、第2立ち上げミラー17bと、第1対物レンズ18aと、第2対物レンズ18bと、フロントモニタフォトディテクタ19と、ホログラム素子20と、シリンドリカルレンズ21と、フォトディテクタ22と、信号処理部23と、を備える。
第1半導体レーザ素子11aは、DVD用のレーザ光を出射する第1光源であり、たとえば波長650nm帯のレーザ光を出射する。第2半導体レーザ素子11bは、BD用のレーザ光を出射する第2光源であり、たとえば波長405nm帯のレーザ光を出射する。
1/2波長板12は、DVD用のレーザ光のS偏光(又はP偏光)をP偏光(又はS偏光)に変換する。ビームスプリッタ13は、入射するレーザ光の一部を反射し、他の一部を透過させる。
偏光ビームスプリッタ14は、入射するレーザ光のS偏光(又はP偏光)を反射し、P偏光(又はS偏光)を透過させる。なお、偏光ビームスプリッタ14は、BD用のレーザ光に作用する光学部材であり、DVD用のレーザ光はその偏光状態(S偏光であるかP偏光であるか)にかかわらず透過する。1/4波長板15は、レーザ光の直線偏光(S偏光、P偏光)を円偏光に変換し、円偏光を直線偏光に変換する。
コリメートレンズ16は、レーザ光の収束発散状態を変更可能とするために、レーザ光の光軸方向(図1の左右方向M)に移動可能に設けられている。コリメートレンズ16の位置は、光ディスクDの種類や、レイヤージャンプ等に応じて適宜移動される。これにより、光ピックアップ1では、球面収差の影響が適切に抑制される。
第1及び第2立ち上げミラー17a、17bはダイクロイックミラーである。第1立ち上げミラー17aは、コリメートレンズ16を通過したDVD用のレーザ光を第1対物レンズ18aへと反射する。なお、第1立ち上げミラー17aでは、BD用のレーザ光は透過可能となっている。第2立ち上げミラー17bは、コリメートレンズ16及び第1立ち上げミラー17aを通過したBD用のレーザ光を第2対物レンズ18bへと反射する。
第1対物レンズ18aは、第1立ち上げミラー17aの上方に配置されており、第1立ち上げミラー17aから入射するDVD用のレーザ光を光ディスクDの記録層に集光する。また、第2対物レンズ18bは、第2立ち上げミラー17bの上方に配置されており、第2立ち上げミラー17bから入射するBD用のレーザ光を光ディスクDの記録層に集光する。
図2は、光ディスクに対する第1及び第2対物レンズの配置を示す概略平面図である。図2に示すように、第1及び第2対物レンズ18a、18bは、光ディスクDのタンジェンシャル方向に並列配置されている。なお、タンジェンシャル方向は、光ディスクDの記録層に形成される同心円状又は螺旋状のトラックの略接線方向である。光ディスクDの主面の法線方向から見た平面視において、第1対物レンズ18aは、光ディスクDの回転中心Oを通る基準面A上にその中心が載る位置に配置されている。また、第2対物レンズ18bは、基準面Aからタンジェンシャル方向にずれた位置に配置されている。この基準面Aは、光ディスクDの主面に垂直であるとともに、光ディスクDのラジアル方向に平行である。なお、ラジアル方向は、タンジェンシャル方向と略垂直な方向である。第1及び第2対物レンズ18a、18bは、トラッキング制御される際、ラジアル方向に駆動(レンズシフト)される。そのため、第1及び第2対物レンズ18a、18bのレンズシフト方向Xはラジアル方向に略平行である。
フロントモニタフォトディテクタ19は、第1及び第2半導体レーザ素子11a、11bから出射されるレーザ光のレーザパワーを検出するための光検出部であり、受光したDVD用又はBD用のレーザ光から光電変換信号を生成する。この光電変換信号に基づいて、制御部(不図示)により、第1及び第2半導体レーザ素子11a、11bのレーザパワーが制御される。
ホログラム素子20は、光ディスクDの記録層にて反射された光を回折する回折光学素子である。なお、以下では、光ディスクDで反射される各レーザ光の反射光を戻り光Rと呼ぶ。このホログラム素子20の詳細な構成については、後述する。
シリンドリカルレンズ21は、DVD用又はBD用のレーザ光の戻り光Rから非点収差法によりフォーカスエラー信号を得るために、シリンドリカル面が設けられたセンサーレンズである。ホログラム素子20にて回折された回折光はシリンドリカルレンズ21を介してフォトディテクタ22に入射する。
フォトディテクタ22は、受光した光信号(ホログラム素子20で回折された回折光)を電気信号(光電変換信号)に変換する光電変換手段として機能する光検出部である。フォトディテクタ22は、主受光部221及び2つの副受光部222を含んで構成される(後述の図5参照)。なお、フォトディテクタ22の詳細な構成については、後述する。フォトディテクタ22から出力された光電変換信号は、信号処理部23に送られる。
信号処理部23は、フォトディテクタ22の出力信号(たとえば、後述する主受光部信号及び副受光部信号)に基づいて、再生信号、フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号TEなどを生成する。なお、信号処理部23で生成されたフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号TEは光ピックアップ1の制御部(不図示)に出力される。光ピックアップ1の制御部(不図示)は、フォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号TEに基づいて、フォーカシング制御及びトラッキング制御を行うべく、アクチュエータ(不図示)に第1及び第2対物レンズ18a、18bを駆動させる。
図1のように構成される光ピックアップ1では、第1又は第2半導体レーザ素子11a、11bから出射されるレーザ光を光ディスクDに導くとともに、光ディスクDで反射される戻り光Rをフォトディテクタ22に導く光路が形成されている。以下に、各レーザ光の光路について説明する。
まず、DVD用の光路について説明する。第1半導体レーザ素子11aからDVD用のレーザ光が出射され、DVD用のレーザ光のS偏光が1/2波長板12によってP偏光に変換される。このP偏光は、ビームスプリッタ13にて反射され、偏光ビームスプリッタ14を通過した後、1/4波長板15にて円偏光に変換される。変換された円偏光は、コリメートレンズ16を通過した後、第1立ち上げミラー17aで反射される。第1立ち上げミラー17aで反射された円偏光は、第1対物レンズ18aにより光ディスクD(DVD)の記録層に集光される。集光された円偏光は記録層で反射され、戻り光Rとして第1対物レンズ18aを通過する。そして、戻り光Rは、第1立ち上げミラー17aで反射され、コリメートレンズ16を通過した後、1/4波長板15で円偏光から直線偏光(S偏光、P偏光)に変換される。変換された戻り光Rは、偏光ビームスプリッタ14、ビームスプリッタ13を通過した後、ホログラム素子20及びシリンドリカルレンズ21からなるセンサー光学系を介してフォトディテクタ22に至る。
次に、BD用の光路について説明する。第2半導体レーザ素子11bからBD用のレーザ光が出射され、BD用のレーザ光のS偏光(又はP偏光)が偏光ビームスプリッタ14にて反射される。反射されたS偏光は、1/4波長板15にて円偏光に変換される。変換された円偏光は、コリメートレンズ16及び第1立ち上げミラー17aを通過した後、第2立ち上げミラー17bで反射される。第2立ち上げミラー17bで反射された円偏光は、第2対物レンズ18bにより光ディスクD(BD)の記録層に集光される。集光された円偏光は記録層で反射され、戻り光Rとして第1対物レンズ18aを通過する。そして、戻り光Rは、第2立ち上げミラー17bで反射され、第1立ち上げミラー17a及びコリメートレンズ16を通過した後、1/4波長板15で円偏光から直線偏光(S偏光、P偏光)に変換される。変換された戻り光Rは、偏光ビームスプリッタ14及びビームスプリッタ13を通過した後、ホログラム素子20及びシリンドリカルレンズ21からなるセンサー光学系を介してフォトディテクタ22に至る。
このように、DVD用及びBD用の光路では、各レーザ光が光ディスクDへと導かれる往路において、偏光ビームスプリッタ14、1/4波長板15、コリメートレンズ16、及び第1立ち上げミラー17aが共用されている。また、各レーザ光の戻り光Rがフォトディテクタ22に至る復路において、第1立ち上げミラー17a、コリメートレンズ16、1/4波長板15、偏光ビームスプリッタ14、ビームスプリッタ13、ホログラム素子20、及びシリンドリカルレンズ21が共用されている。
次に、ホログラム素子20に入射する各レーザ光の戻り光Rについて説明する。光ディスクDの記録層では、トラックが同心円状又は螺旋状に形成されている。このトラックは、光ディスクDに入射する光に対して回折格子として作用する。このため、光ディスクDの記録層で反射される戻り光Rは、0次光及び±1次光などに分光された後に、ホログラム素子20に入射する。
図3は、ホログラム素子に入射する戻り光の状態を示す概略平面図である。図3は、3層の記録層を有するBDXLの記録層L1に集光されたBD用のレーザ光の戻り光Rを示している。3層のBDXLでは、その基板上に設けられる各記録層は、最も基板側に設けられる記録層から光入射表面に向かう順に、L0、L1、L2と呼ばれる。図3の例では、光ディスクDの記録層L1にレーザ光が集光されているため、記録層L1が本発明の第1記録層の一例となり、記録層L0が本発明の第2記録層の一例となり、記録層L2は本発明の第3記録層の一例となる。なお、光ディスクDの記録層L0にレーザ光が集光される場合には、記録層L0が本発明の第1記録層の一例となり、記録層L1及びL2が本発明の第3記録層の一例となる。また、光ディスクDの記録層L2にレーザ光が集光される場合には、記録層L2が本発明の第1記録層の一例となり、記録層L0及びL1が本発明の第2記録層の一例となる。
図3に示すように、ホログラム素子20に入射する戻り光Rでは、0次光の一部が±1次光と重なっている。以下では、戻り光Rのうち、0次光に±1次光が重ならない光束を第1戻り光R1と呼び、0次光と±1次光とが重なる光束を第2戻り光R2と呼ぶ。ホログラム素子20には、第1戻り光R1と、2つの第2戻り光R2とが入射する。
戻り光Rの中央に存在する第1戻り光R1(図3では2つの斜線部に挟まれた部分)は、0次光は含むが±1次光は含まない光束であり、光ディスクDの反射率に応じた光量を示す領域である。すなわち、この光束は、光ディスクDに入射する光がトラックを横切る際に発生する交流信号(トラック横断信号)成分を含まず、たとえば第1又は第2対物レンズ18a、18bのレンズシフト等に起因して発生するオフセット成分を含む光束に該当する。一方、戻り光Rの中央両端部側に存在する2つの第2戻り光R2(図3では斜線を施した部分)は、0次光及び±1次光を含む光束であり、トラック横断信号成分を含む光束に該当する。
なお、図3では、戻り光R(特に第2戻り光R2)が、レンズシフト方向Xに対応する方向X1に対して左回り(反時計回り)に傾いているが、これは第2対物レンズ18bが光ディスクDの回転中心Oを通る基準面Aからタンジェンシャル方向にずれた位置に配置されているためである(図2参照)。また、方向X1は、第1又は第2対物レンズ18a、18bがトラッキング方向(レンズシフト方向X)に移動(レンズシフト)された場合に、ホログラム素子20の光入射表面上において、戻り光Rが移動する方向である。
また、3層のBDXLの記録層L1に集光されたレーザ光は、記録層L1だけでなく、記録層L0及び記録層L2でも反射される。これらの反射光は迷光としてホログラム素子20に入射する。以下では、レーザ光が集光される記録層L1よりもBDXLの光入射表面から遠い位置(すなわち基板側)に設けられる記録層L0からホログラム素子20に入射する迷光を第1迷光SL1と呼ぶ。また、記録層L1よりもBDXLの光入射表面に近い位置(すなわち光入射表面側)に設けられる記録層L2からホログラム素子20に入射する迷光を第2迷光SL2と呼ぶ。図3に示すように、第1迷光SL1は、ホログラム素子20の光入射表面上において、記録層L1から反射される第1戻り光R1の入射領域の一部であるとともに、戻り光Rの光軸と交差する位置を含む領域に入射する。また、第2迷光SL2は、ホログラム素子20の光入射表面上において、記録層L1から反射される戻り光Rが入射する領域を全て含む領域に入射する。
次に、ホログラム素子20について詳細に説明する。図4は、本実施形態のホログラム素子の構成例を示す概略平面図である。なお、図4では、ホログラム素子20と、戻り光R、第1迷光SL1、及び第2迷光SL2との関係を理解し易くするために、戻り光R、第1迷光SL1、及び第2迷光SL2を破線で示している。また、図4は、第2対物レンズ18bによって集光されたBD用のレーザ光が3層のBDXLの記録層L1のトラックの中心に当たって反射されたことを想定した図となっている。
図4に示すように、ホログラム素子20は、回折部201及び遮光部202を有している。回折部201は、BDXLからの戻り光Rを回折し、その回折光をフォトディテクタ22の受光面に入射させるための回折パターンが形成された領域である。この回折部201は第1回折部201aと2つの第2回折部201bとを含んで構成されている。第1及び第2回折部201a、201bに形成される回折パターンは、たとえば、矩形の回折溝から成るレリーフ格子、鋸歯状の回折溝から成るブレーズド格子などを用いて形成されている。
第1回折部201aは、情報の読み取り処理又は書き込み処理が行われる記録層L1で反射された戻り光Rの0次光の一部、及び戻り光Rの±1次光を回折する。具体的に説明すると、第1回折部201aは、第1戻り光R1(図3の2つの斜線部分に挟まれた部分)の一部と第2戻り光R2(図3の2つの斜線部分)とが入射するように形成される。入射した光の0次回折光はフォトディテクタ22の主受光部221に受光される。また、第1回折部201aに形成された回折溝により、±1次回折光は、フォトディテクタ22の主受光部221及び2つの副受光部222の各受光面以外の領域に入射する(後述の図5参照)。
第2回折部201bは、記録層L1で反射された戻り光Rの0次光の残りの一部を回折する。具体的に説明すると、第2回折部201bは、第1戻り光R1の残りの一部が入射するように形成される。入射した光の0次回折光はフォトディテクタ22の主受光部221に受光される。また、第2回折部201bに形成された回折溝により、±1次回折光はそれぞれフォトディテクタ22の各副受光部222に受光される(後述の図5参照)。2つの第2回折部201bは、図4において方向X1の直交方向Y1から左回り(反時計回り)に傾いた方向に、第1回折部201aを挟んで並列配置されている。
遮光部202は、多層構造の光ディスクD(たとえば3層のBDXL)において、レーザ光が集光される記録層(たとえば記録層L1)以外の記録層(たとえば記録層L0及びL2)から反射される迷光を遮光するための遮光パターンが形成された領域である。この遮光部202は、第1遮光部202aと第2遮光部202bとを含んで構成されている。
第1遮光部202aは、情報の読み取り又は書き込みが行われる記録層(たとえば記録層L1)よりもBDXLの光入射表面から遠い側に設けられた記録層(たとえば記録層L0)から反射される第1迷光SL1を遮光するために設けられる。これにより、第1迷光SL1をフォトディテクタ22に入射させないようにしている。また、第1遮光部202aは第1回折部201a内に形成される略矩形状の遮光パターンである。第1遮光部202aの方向Y1の幅は、ホログラム素子20の表面上の第1迷光SL1の方向Y1のサイズ以上となっている。また、第1遮光部202aの長手方向は第2対物レンズ18bのレンズシフト方向Xに対応する方向X1と略平行となっている。こうすれば、第2対物レンズ18bのレンズシフトに伴って第1迷光SL1が移動しても、第1遮光部202aにより、第1迷光SL1がフォトディテクタ22に入射しないようにすることができる。
第2遮光部202bは、情報の読み取り又は書き込みが行われる記録層(たとえば記録層L1)よりもBDXLの光入射表面に近い側に設けられた記録層(たとえば記録層L2)から入射する第2迷光SL2を遮光するために設けられる。これにより、第2迷光SL2を少なくともフォトディテクタ22の副受光部222(後述の図5参照)に入射させないようにしている。また、第2遮光部202bは、図4に示すように、戻り光Rがホログラム素子20に入射する方向から見た平面視において、菱形形状(又は正方形状)の領域の外側領域に形成された遮光パターンである。
第1及び第2遮光部202a、202bは、たとえば、金属材料(Alなど)、誘電体材料、不透明材料、光吸収材料を用いて形成されている。また、第1及び第2遮光部202a、202bは、たとえば、上述の材料を塗布又は蒸着する方法、シートの貼り付けなどの方法により形成することができる。或いは、第1及び第2遮光部202a、202bに対応するホログラム素子20の部分を上述の材料を用いて形成してもよい。なお、第1及び第2遮光部202a、202bの形状は図3に限定されない。第1及び第2遮光部202a、202bがとり得る形状については後に詳しく説明する。
次に、フォトディテクタ22について詳細に説明する。図5は、本実施形態のフォトディテクタの構成例を示す概略平面図である。なお、図5では、フォトディテクタ22と入射する回折光との関係を理解し易くするために、単層タイプのBDにおいて、BD用のレーザ光が記録層のトラックの中心に当たって反射されたことを想定した図としている。また、図5では、戻り光Rの回折光を実線で示している。
図5に示すように、フォトディテクタ22は、主受光部221と、同一形状及び同一サイズの2つの副受光部222とを含んで構成される。2つの副受光部222は、主受光部221を挟んで、レンズシフト方向Xに対応する方向X2に対して斜めの方向に並んで配置されている。なお、方向X2は、第1又は第2対物レンズ18a、18bがトラッキング方向(レンズシフト方向X)に移動(レンズシフト)された場合に、フォトディテクタ22の受光面に形成される光スポットが移動する方向である。
主受光部221は、第1回折部201a及び第2回折部201bから入射する各0次回折光を受光し、受光した光に基づいて主受光部信号を生成する。主受光部221は、略正方形状の受光領域を、方向X2及びその直交方向Y2にそれぞれ2等分して得られる4つの分割領域M1〜M4を有する。
2つの副受光部222は、第2回折部201bから入射する±1次回折光を受光し、受光した光に基づいて副受光部信号を生成する。なお、この副受光部信号は、第2対物レンズ18bのレンズシフトに起因するオフセット成分を表わしている。また、第1副受光部222aは、略正方形状の受光領域を分割線DLで2等分して得られる2つの分割領域BE1及びBE2を有し、第2副受光部222bは、略正方形状の受光領域を分割線DLで2等分して得られる2つの分割領域BF1及びBF2を有する。また、2つの副受光部222は、それぞれ、図5において方向X2に対して右回り(時計回り)に傾いた状態で配置されている。これは、第2対物レンズ18bが、光ディスクDの主面に垂直且つラジアル方向に平行な基準面Aからタンジェンシャル方向にずれた位置に配置されているためである(図2参照)。
図5では、2つの副受光部222の分割線DLはそれぞれ、第2対物レンズ18bがレンズシフトされていない場合に、第2回折部201bから入射する第1戻り光R1の±1次回折光を2等分する位置に設けられている。このために、以下の演算式(1)により、第2対物レンズ18bのレンズシフトのオフセット成分の影響がキャンセルされたトラッキングエラー信号TEを得ることができる。
TE=MP−k*SP
=((SM1+SM2)-(SM3+SM4))-k*((SBE1−SBE2)+(SBF1−SBF2)) (1)
なお、式(1)のkは係数である。また、MPは主受光部221で生成される主受光部信号であり、SPは2つの副受光部222で生成される副受光部信号である。また、式(1)では、主受光部221及び2つの副受光部222の各分割領域から出力される各光電変換信号は、各分割領域の名前の前に「S」を付して示されている。
=((SM1+SM2)-(SM3+SM4))-k*((SBE1−SBE2)+(SBF1−SBF2)) (1)
なお、式(1)のkは係数である。また、MPは主受光部221で生成される主受光部信号であり、SPは2つの副受光部222で生成される副受光部信号である。また、式(1)では、主受光部221及び2つの副受光部222の各分割領域から出力される各光電変換信号は、各分割領域の名前の前に「S」を付して示されている。
式(1)では、主受光部信号MPと適宜増幅した副受光部信号SPとの差を求めることにより、第2対物レンズ18bのレンズシフトのオフセット成分の影響がキャンセルされたトラッキングエラー信号TEを得ている。
このように、図5では、単層タイプのBDにおいてトラッキングエラー信号TEを得る方法を説明した。ところが、複数の記録層を有する光ディスクD(たとえば、3層のBDXLなど)では、主受光部221及び2つの副受光部222に、情報の読み取り又は書き込みを行う記録層以外から反射される第1迷光SL1及び第2迷光SL2も入射する。そのため、トラッキングエラー信号TEに迷光に起因するオフセット成分が発生する。特に、このオフセット成分が副受光部信号SPに発生すると、トラッキングエラー信号TEからレンズシフトのオフセット成分の影響を正確にキャンセルできなくなる。このような迷光の影響を防止するために、本実施形態では、ホログラム素子20に第1及び第2遮光部202a、202bが設けられる。以下に、ホログラム素子20に第1及び第2遮光部202a、202bを設けることの効果について、比較例を挙げて順に説明する。
比較例のホログラム素子200は、第1及び第2遮光部202a、202bを有していないこと以外、本実施形態のホログラム素子20と同様である。図6は、比較例のホログラム素子の構成を示す概略平面図である。また、図7は、比較例におけるフォトディテクタの受光パターンを示す概略平面図である。なお、図6では、ホログラム素子200に入射する戻り光R、第1迷光SL1及び第2迷光SL2を破線で示している。また、図6及び図7は、BD用のレーザ光が3層のBDXLの記録層L1に集光されることを想定した図となっている。
比較例では、図6及び図7に示すように、記録層L0から反射された第1迷光SL1は、第1回折部201aで回折され、その回折光はフォトディテクタ22の主受光部221及び2つの副受光部222の各受光面を全て含む領域に入射する。また、記録層L3から反射された第2迷光SL2は、第1回折部201a及び2つの第2回折部201bで回折され、その回折光はフォトディテクタ22の主受光部221の受光面の全てと、2つの副受光部222の受光面の少なくとも一部と、を含む領域に入射する。なお、第1迷光SL1及び第2迷光SL2の回折光は、シリンドリカルレンズ21を通過した後にフォトディテクタ22に受光されるため、それらの入射領域は楕円形状となっている。
このように、比較例では、2つの副受光部222は第1迷光SL1及び第2迷光SL2の回折光を受光する。そのため、比較例では、第1迷光SL1及び第2迷光SL2に起因するオフセット成分が副受信部信号SPに発生するため、第2対物レンズ18bのレンズシフトのオフセット成分の影響をトラッキングエラー信号TEから正確にキャンセルできなくなる。
対して、本実施形態のホログラム素子20では、第1迷光SL1及び第2迷光SL2を遮光するための遮光部202が設けられる(図4参照)。そのため、これらの迷光がフォトディテクタ22の主受光部221及び2つの副受光部222に入射しないようにすることができる。図8は、本実施形態におけるフォトディテクタの受光パターンを示す概略平面図である。なお、図8は、BD用のレーザ光が3層のBDXLの記録層L1に集光されることを想定した図となっている。
本実施形態では、記録層L0から反射される第1迷光SL1は第1遮光部202aにて完全に遮光される(図4参照)。そのため、図8に示すように、フォトディテクタ22には第1迷光SL1は入射しない。また、記録層L2から反射される第2迷光SL2の一部は第2遮光部202bで遮光される(図4参照)。そのため、第2迷光SL2の残りの一部の回折光は、フォトディテクタ22の主受光部221には入射するが、少なくとも2つの副受光部222には入射しない。従って、第1迷光SL1及び第2迷光SL2に起因するオフセット成分がトラッキングエラー信号TEに発生することを防止することができる。よって、第1迷光SL1及び第2迷光SL2に起因するオフセット成分の発生を防止し、第2対物レンズ18bのレンズシフトに起因するオフセット成分が取り除かれた良好なトラッキングエラー信号TEを得ることができる。また、主受光部221は第1迷光SL1を受光しないため、トラッキングエラー信号TEの誤差をさらに少なくすることができる。
なお、第2対物レンズ18bがレンズシフト方向Xに移動すると、ホログラム素子20の表面に入射する戻り光Rが第2遮光部202bと重なる場合がある。この場合、戻り光Rのうちの第2遮光部202bと重なった部分は回折されないので、主受光部信号MPや副受光部信号SPの強度が低下する。そのため、ホログラム素子20とフォトディテクタ22との間の位置関係には、第2対物レンズ18bのレンズシフトを考慮する必要がある。以下に、ホログラム素子20とフォトディテクタ22との間の位置関係を調整する方法について説明する。
図9は、第2対物レンズが一方の方向にレンズシフトしたときのホログラム素子に対する戻り光の入射状態を示す概略平面図である。図10は、第2対物レンズが他方の方向にレンズシフトしたときのホログラム素子に対する戻り光の入射状態を示す概略平面図である。また、図11は、第2対物レンズのレンズシフト方向の位置に対する主受光部信号の強度の変化率を示すグラフである。なお、図11において、位置P0は、光ピックアップ1を組み立てたときの第2対物レンズ18bの初期位置を示している。また、位置P1は、図9に示すように、ホログラム素子20に入射する戻り光Rが第2遮光部202bと重なる直前の第2対物レンズ18bの位置を示している。また、位置P2は、図10に示すように、ホログラム素子20に入射する戻り光Rが第2遮光部202bと重なる直前の第2対物レンズ18bの位置を示している。
まず、第2対物レンズ18bを初期位置P0からレンズシフト方向Xの一方の方向及び他方の方向にそれぞれ移動させ、第2対物レンズ18bのレンズシフト方向Xの位置毎の主受光部信号MPを信号処理部23に計測させる。信号処理部23は、各レンズシフト位置での主受光部信号MPの強度の変化率を求める。
第2対物レンズ18bが、レンズシフト方向Xの位置P1(図9)又は位置P2(図10)を越える位置までレンズシフトすると、ホログラム素子20に入射する戻り光Rが第2遮光部202bと重なる。すると、戻り光Rの0次回折光の一部が欠けるため、主受光部信号MPの強度が小さくなり、図11に示すようにその変化率が低下する。信号処理部23は、主受光部信号MPの強度の変化率が所定の閾値(たとえば−15%)以下となるときの第2対物レンズ18bの位置P3及びP4を検出し、位置P3及びP4の中点となる位置Pcを求める。そして、この位置Pcは、第2対物レンズ18bをレンズシフトさせる際の基準位置として予め設定される。
本実施形態の光ピックアップ1では、たとえば工場出荷時においてこの基準位置Pcを予め求めている。そして、第2対物レンズ18bをレンズシフトさせる際、第2対物レンズ18bを予め設定した基準位置Pcにオフセット移動させることにより、ホログラム素子20とフォトディテクタ22との間の位置調整を行っている。こうすれば、レンズシフトの際、第2対物レンズ18bをこの基準位置Pcにオフセット移動させるだけでホログラム素子20とフォトディテクタ22との間の位置調整ができる。そのため、ホログラム素子20のレンズシフト方向Xの位置調節が不要となる。従って、ホログラム素子20の位置調節機構などを設ける必要がないため、光ピックアップ1の構成を簡易化することができる。
なお、この構成では、第2対物レンズ18bがレンズシフトしない場合、第2対物レンズ18bは基準位置Pcにオフセット移動されないので、ホログラム素子20及びフォトディテクタ22の位置が調整できていない状態となることがある。しかしながら、光ピックアップ1を装置(たとえばディスク装置など)に組み込んで使用する場合には、光ディスクDがディスク装置内に装着(ロード)されるごとに毎回、レンズシフトのオフセット調整が行われるため、問題はない。
また、戻り光Rと第1及び第2遮光部202a、202bとの重なりを抑制するためには、第1及び第2遮光部202a、202bの形状も考慮する必要がある。以下に、ホログラム素子20の第1及び第2遮光部202a、202bがとり得る形状について説明する。図12及び図13は、本実施形態のホログラム素子の他の構成例を示す概略平面図である。
前述のように、第2遮光部202bは、第1迷光SL1及び第2迷光SL2がフォトディテクタ22の少なくとも2つの副受光部222に入射しない形状であればよい。そのため、図12のように、戻り光Rを挟んでその両側に第2遮光部202bを設けてもよい。但し、この場合、戻り光Rを囲む領域の外側領域に第2遮光部202bを設ける場合(たとえば図4、図13参照)と比較して、位置P1又はP2を越える位置に第2対物レンズ18bをレンズシフトさせる際の主受信部信号MPの強度の変化率が小さくなる。
よって、第2遮光部202bは、戻り光Rがホログラム素子20に入射する方向から見た平面視において、四辺形状、円形状、及び楕円形状のうちのいずれか1つの形状の領域の外側領域に設けることが望ましい。こうすれば、戻り光Rが第2遮光部202bと重なる位置P1又はP2を越えて第2対物レンズ18bがレンズシフトした場合の主受信部信号MPの強度の変化率を大きくすることができる。従って、この変化率が所定の閾値以下となる位置P3及びP4を検出し易くなるため、第2対物レンズ18bをレンズシフトさせる際の基準位置Pcが設定し易くなる。
また、第2遮光部202bは、2つの対角線のうちの一方がレンズシフト方向Xに対応する方向X1と平行となる平行四辺形状(たとえば正方形状、菱形形状など)の領域の外側領域(図4参照)に設けられるとより望ましい。或いは、長径がレンズシフト方向Xに対応する方向X1と平行となる楕円形状の領域の外側領域(たとえば図13参照)に設けられてもよい。こうすれば、位置P1又はP2を越えて第2対物レンズ18bがレンズシフトした場合の主受信部信号MPの強度の変化率をより大きくすることができる。従って、第2対物レンズ18bをレンズシフトさせる際の基準位置Pcがより設定し易くなる。
また、第2対物レンズ18bをレンズシフトさせると、第1遮光部202aが第2戻り光R2と重なることがある。第1戻り光R1及び第2戻り光R2はそれぞれ光量が異なるため、第1遮光部202aが第2戻り光R2と重なると、主受光部信号MPに誤差が生じ、良好なトラッキングエラー信号TEを得ることができなくなる恐れがある。そのため、第1遮光部202aのレンズシフト方向Xに対応する方向X1の幅は、一方の第2戻り光R2の端(たとえば図4の左側の第2戻り光R2の右端)と他方の第2戻り光R2の端(たとえば図4の右側の第2戻り光R2の左端)との間の方向X1の最短距離よりも小さく設定される。さらに、この幅は、少なくとも第2対物レンズ18bが位置P1及び位置P2にレンズシフトしても、第1遮光部202aが第2戻り光R2と重ならない程度の長さ以下に設定されることが望ましい。
以上、本発明について実施形態をもとに説明した。この実施形態は例示であり、その各構成要素や各処理の組み合わせに色々な変形が可能であり、本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
たとえば、上述の実施形態では、3層のBDXLで発生する迷光の影響を防止する構成を説明したが、本発明の適用範囲はこの構成に限らない。本発明は、複数の記録層を有する光ディスク(たとえば、2層タイプのBD及びDVD、3層以上のBDXLなど)に対して適用可能である。
また、上述の実施形態のホログラム素子20の各回折部201の構成(回折パターン)は一例にすぎず、それらの構成は適宜変更可能である。たとえば、上述の実施形態では、ホログラム素子20の第2回折部201bに入射した光の±1次回折光がそれぞれフォトディテクタ22の各副受光部222に受光される構成としたが、本発明の適用範囲はこの構成に限らない。たとえば、±1次回折光の一方がフォトディテクタ22の2つの副受光部222の一方のみに受光される構成であってもよい。
また、上述の実施形態のフォトディテクタ22の各受光部及びそれらの受光面の構成は一例にすぎず、それらの構成は適宜変更可能である。たとえば、上述の実施形態では、2つの副受光部222が、主受光部221を挟んで、レンズシフト方向Xに対応する方向X2に対して斜めの方向に並んで配置される構成をとしたが、本発明の適用範囲はこの構成に限らない。たとえば、主受光部221及び2つの副受光部222が方向X2に並んで配置される構成であってもよい。
また、上述の実施形態では、第1対物レンズ18aと第2対物レンズ18bとが光ディスクDのタンジェンシャル方向に配置される構成(図2)としたが、本発明の適用範囲はこの構成に限らない。たとえば、第1対物レンズ18aと第2対物レンズ18bがラジアル方向に配置される場合等にも本発明は適用可能である。また、光ピックアップ1が備える対物レンズの数が2つ以外の場合にも、本発明は適用可能である。
本発明が適用される光ピックアップ1によって対象となる光ディスクDの種類は、以上に示した実施形態のものに限定されないのは言うもでもない。また、光ピックアップ1が、BD及びDVDに加えてCDにも対応するような、3種類(場合によっては3以上の種類)の光ディスクDに対応するものである場合にも、本発明は適用可能である。
本発明は、たとえばBD及びDVDを互換する光ピックアップに対して好適である。
1 光ピックアップ
11a 第1半導体レーザ素子
11b 第2半導体レーザ素子
12 1/2波長板
13 ビームスプリッタ
14 偏光ビームスプリッタ
15 1/4波長板
16 コリメートレンズ
17a 第1立ち上げミラー
17b 第2立ち上げミラー
18a 第1対物レンズ
18b 第2対物レンズ
19 フロントモニタフォトディテクタ
20 ホログラム素子
201 回折部
201a 第1回折部
201b 第2回折部
202 遮光部
202a 第1遮光部
202b 第2遮光部
21 シリンドリカルレンズ
22 フォトディテクタ
221 主受光部
222 副受光部
23 信号処理部
R 戻り光
R1 第1戻り光
R2 第2戻り光
SL1 第1迷光
SL2 第2迷光
D 光ディスク
L0、L1、L2 記録層
A 基準面
11a 第1半導体レーザ素子
11b 第2半導体レーザ素子
12 1/2波長板
13 ビームスプリッタ
14 偏光ビームスプリッタ
15 1/4波長板
16 コリメートレンズ
17a 第1立ち上げミラー
17b 第2立ち上げミラー
18a 第1対物レンズ
18b 第2対物レンズ
19 フロントモニタフォトディテクタ
20 ホログラム素子
201 回折部
201a 第1回折部
201b 第2回折部
202 遮光部
202a 第1遮光部
202b 第2遮光部
21 シリンドリカルレンズ
22 フォトディテクタ
221 主受光部
222 副受光部
23 信号処理部
R 戻り光
R1 第1戻り光
R2 第2戻り光
SL1 第1迷光
SL2 第2迷光
D 光ディスク
L0、L1、L2 記録層
A 基準面
Claims (6)
- 光ディスクに光を集光する対物レンズと、
情報の読み取り又は書き込みが行われる前記光ディスクの第1記録層で反射された戻り光の0次光の一部、及び前記戻り光の±1次光を回折する第1回折部と、前記0次光の残りの一部を回折する第2回折部と、を有する回折光学素子と、
前記第1回折部及び前記第2回折部から入射する各0次回折光に基づいて主受光部信号を生成する主受光部と、前記第2回折部から入射する±1次回折光のうちの少なくとも一方に基づいて副受光部信号を生成する副受光部と、を有する光検出部と、
前記主受光部信号及び前記副受光部信号に基づいてトラッキングエラー信号を生成する信号処理部と、を備え、
前記回折光学素子はさらに、前記第1記録層よりも前記光ディスクの光入射表面から遠い側に設けられた前記光ディスクの第2記録層から反射される第1迷光を前記光検出部に入射させないようにするための第1遮光部と、前記第1記録層よりも前記光入射表面に近い側に設けられた前記光ディスクの第3記録層から反射される第2迷光を少なくとも前記光検出部の前記副受光部に入射させないようにするための第2遮光部と、を有することを特徴とする光ピックアップ。 - 前記第1遮光部の形状は、前記対物レンズのレンズシフト方向に対応する方向が長手方向となる略矩形状であることを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ。
- 前記第2遮光部は、前記戻り光が前記回折光学素子に入射する方向から見た平面視において、四辺形状、円形状、及び楕円形状のうちのいずれか1つの形状の領域の外側領域に設けられることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光ピックアップ。
- 前記第2遮光部は、前記平面視において、2つの対角線のうちの一方が前記対物レンズのレンズシフト方向に対応する方向と略平行となる平行四辺形状、又は、長径が前記レンズシフト方向に対応する方向と略平行となる楕円形状の領域の外側領域に設けられることを特徴とする請求項3に記載の光ピックアップ。
- 前記対物レンズのレンズシフト方向において、前記対物レンズを予め設定した基準位置に移動させることにより、前記回折光学素子と前記光検出器との間の位置調整を行うことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の光ピックアップ。
- 請求項1〜請求項5のいずれかに記載の光ピックアップを備えることを特徴とするディスク装置。
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