実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態1にかかる光ヘッド装置、および光ヘッド装置を組み込んだ光ディスク装置について説明する。
はじめに、光ヘッド装置を搭載した光ディスク装置全体の構成と動作について説明する。図1は、本発明の実施の形態1にかかる光ディスク装置の構成を示すブロック図である。図において、光ディスク装置は光ディスク101を装着する図示しないターンテーブルと、ターンテーブルを回転駆動させるスピンドルモータ102と、光ディスク101への情報の記録や光ディスク101に記録された情報の再生のためにレーザ光の集光や反射光の検知を行う光ヘッド装置103と、これらを制御したり信号を変換したりするための移動手段104、マトリクス回路105、信号再生回路106、サーボ回路107、スピンドル制御回路108、レーザ制御回路109、スレッド制御回路110、コントローラ111とを備えている。
記録・再生の対象となる光ディスク101は、2層の情報記録層を有し、図示しないターンテーブルに装着され、再生時にスピンドルモータ102によって回転駆動される。そして光ヘッド装置103によって2層の情報記録層のうち、所望の情報記録層に記録されたデータの読出が行われる。このとき、光ヘッド装置103は移動手段104により光ディスク101の半径方向に移動可能とされている。
光ディスク101からの反射光情報は光ヘッド装置103の光検知器(構成の詳細については後述する。)によって検出され、受光光量に応じた電気信号に変換されてマトリクス回路105に供給される。マトリクス回路105はマトリクス演算回路や増幅回路等を備えており、光検知器の受光部となる複数の受光素子からの出力信号をマトリクス演算処理により必要な信号に変換して出力する。例えば高周波信号の再生信号、サーボ制御のためのフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号などである。マトリクス回路105から出力される再生信号は信号再生回路106へ、フォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号はサーボ回路107へ、それぞれ供給される。信号再生回路106は、再生信号に対して2値化処理、再生クロック生成処理等を行い、再生データを生成する。再生データにまでデコードされたデータは、図示しない本光ヘッド装置に接続されたホスト機器に転送される。ホスト機器としては例えばAVシステムとしての機器やパーソナルコンピュータ等が想定される。
サーボ回路107は、マトリクス回路105から供給されたフォーカスエラー信号とトラッキングエラー信号から、フォーカス、トラッキングの各種サーボドライブ信号を生成しサーボ動作を実行させる。即ちフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号に応じてフォーカスドライブ信号、トラッキングドライブ信号を生成し、光ヘッド装置103のフォーカスコイル、トラッキングコイルを駆動することになる。これによって光ヘッド装置103、マトリクス回路105、サーボ回路107によるトラッキングサーボループ及びフォーカスサーボループが形成される。また、スピンドル制御回路108はスピンドルモータの回転制御を行う。レーザ制御回路109はレーザの強度を制御する。スレッド制御回路110は、移動手段104によって光ヘッド装置103を半径方向に移動し、所望の半径位置を光ヘッド装置103が読み出すことを可能とする。以上のようなサーボ系及び再生系の各種動作はマイクロコンピュータによって形成されたコントローラ111により制御される。コントローラ111は、ホスト機器からのコマンドに応じて各種処理を実行する。
つぎに、光ヘッド装置の構成について説明する。
図2〜図17は、本発明の実施の形態1にかかる光ヘッド装置を示すもので、図2は光ヘッド装置103の光学系の構成を示す構成図、図3は光ヘッド装置内の回折光学素子と光検知器の受光面の配置と反射光の光路を示す図、図4は光ディスクの情報記録層のうち、一方を記録・再生の対象にした時と、他方を記録・再生の対象とした場合の主光(記録・再生の対象とした情報記録層(一方)からの反射光)と迷光(記録・再生の対象としなかった情報記録層(他方)からの反射光)の光路を示す図で、図4(a)は光ディスクの(対物レンズ側から)奥側の情報記録層を一方(記録・再生の対象)とした場合、図4(b)は光ディスクの(対物レンズ側から)手前側の情報記録層を一方とした場合の図である。図5は光ディスクの情報記録層のうち奥側を記録・再生の対象にした時の主光や迷光の光路を説明に必要な光学素子以外を省略して示した図(a)と、迷光(手前側の情報記録層からの反射光)の回折光学素子面内での分布を示す図(b)、図6〜図14は図5の状態における、迷光の光検知器の受光面での入射位置を示す図である。図15は光ディスクの情報記録層のうち手前側を記録・再生の対象にした時の主光や迷光の光路を説明に必要な光学素子以外を省略して示した図(a)と、迷光(奥側の情報記録層からの反射光)の回折光学素子面内での分布を示す図(b)、図16と図17は図15の状態における、迷光の光検知器の受光面での入射位置を示す図である。
ここでもまず、図2を用いて光ヘッド装置103全体の光学的な構成と動作について説明する。光ヘッド装置103は、レーザ光を出射する光源である半導体レーザ201と、半導体レーザ201からのレーザ光を垂直方向に反射する偏光ビームスプリッタ202と、偏光ビームスプリッタ202で方向を変えた光を平行光にするコリメータレンズ203と、偏光性を変える1/4波長板204と、光ディスク101に光を集光させる対物レンズ205と、対物レンズ205をフォーカス方向、トラッキング方向に駆動する対物レンズアクチュエータ206とを備えている。さらに、光ディスクで反射された戻り光は、集光時と逆の経路により偏光ビームスプリッタ202に達するとともに偏光ビームスプリッタ202を透過した戻り光に対し、所定の回折作用を与えるホログラム回折素子207と、ホログラム回折素子を経由した戻り光を集光させるシリンドリカルレンズ208と、集光された戻り光を受光し、受光光量に応じた信号を出力する光検知器209とを備えている。
半導体レーザ201から出射されたレーザ光は直線偏光であり、偏光ビームスプリッタ202は、レーザ光の直線偏光に対しては反射する性質を有しているので、レーザ光をほぼ垂直方向(図中上方向)に反射する。偏光ビームスプリッタ202で反射されたレーザ光はコリメータレンズ203で平行光とされ、1/4波長板204を通って円偏光となる。ここで、コリメータレンズ203は光ディスク101のカバー層の厚さ誤差により生じる球面収差の補正をおこなうために、前後に位置を変化できる機構を備えおり、光ディスク101の2つの情報記録層L0とL1のうち、記録・再生の対象を情報記録層L0とすると、対物レンズ205によってレーザ光が情報記録層L0に集光されるよう、コリメータレンズ203が移動する。
光ディスク101の情報記録層L0に集光され反射した光(主光)は、対物レンズ205、1/4波長板204、コリメータレンズ203を通って偏光ビームスプリッタ202に達す。このとき、偏光ビームスプリッタ202に達した光は、その直線偏光性が半導体レーザ光源201から出射された直線偏光性と90°異なるため、偏光ビームスプリッタ202を透過する。透過した主光は、後に詳細を説明する図3に示すようにホログラム回折素子207の平面(主光の光軸に垂直)内で複数に分割された領域(301〜308)毎に異なる回折作用を受け、シリンドリカルレンズ208を透過し、0次光は光検知器209の受光素子A〜Dに、1次光は受光素子E〜Hに入射する。
本光ヘッド装置においては、これら受光素子A〜Hが受光光量に応じた出力信号により、フォーカスエラー信号として非点収差法を、またトラッキングエラー信号として1ビームプッシュプル法を用い、対物レンズ205を情報トラックに追従させる。ここで、各受光素子A〜Hが出力する信号をそれぞれSA〜SHとすると、非点収差方式のフォーカスエラー信号SFEは、光ディスク装置のマトリクス回路105において式1の演算が行われて生成され、サーボ回路107に供給される。
SFE=(SA+SC)−(SB+SD) (式1)
次にトラックエラー信号STEは、マトリクス回路105において式2の演算が行われて生成され、サーボ回路107に供給される。(kは定数)
STE=(SH−SG)−k(SE−SF) (式2)
再生信号SPは、マトリクス回路105において式3の演算が行われて生成され、信号再生回路106に供給される。
Sp=SA+SB+SC+SD (式3)
つぎに、ホログラム回折素子207および光検知器209の構成および動作について先ほど示した図3および図4〜図17を用いて説明する。なお、説明を簡略化するため、ホログラム回折素子207と光検知器209の間にあるシリンドリカルレンズ208は図では省略している。
ホログラム回折素子207の材質は石英で、図3に示すように入射光の光軸に垂直な面内において、光学的に複数の領域301〜領域308に分割されており、領域毎に所定の回折作用を有する回折格子を形成している。ホログラム回折素子207に入射した主光は各領域毎に回折作用を受ける。領域301〜領域308で回折作用を受けた1次回折光はそれぞれ回折光311〜回折光318となり、回折光311と316は受光素子Eへ、回折光312と317は受光素子Fへ、回折光313は受光素子Hへ、回折光315は受光素子Gへ入射し、回折光314と318はどの受光素子に入射しないように設定している。また、領域301〜領域307の回折効率は0次回折光:1次回折光=6.5:1であり、領域308の回折効率は0次回折光:1次回折光=0:1である。したがって、領域301〜307に入射した0次光は受光素子A〜Dに入射するが、領域308に入射した光は1次光も0次光もともに受光素子には入射しない。なお、回折光の−1次光は0次光に対して1次光と点対称な位置に回折されるが、本光ヘッド装置では−1次光をエラー検出に利用しない。
光検知器209は、受光素子として1つの4分割受光素子(A、B、C、D)と、受光素子E、F、G、Hを備えている。上述したようにホログラム回折素子207を透過した主光のうち、回折作用を受けなかった0次レーザ光は受光素子(A、B、C、D)によって受光される。回折光311、回折光316は受光素子Eによって受光され、回折光312、回折光317は受光素子Fによって受光され、回折光313は受光素子Hによって受光され、回折光315は受光素子Gによって受光される。
上述したように、主光からの光により非点収差法や1ビームプッシュプル法を行うだけでは、受光素子E、F、G、Hは、受光素子A〜Dに対し、1次光311と316の入射領域、1次光312と317の入射領域、1次光313の入射領域、1次光315の入射領域が区別できれば事足りる。しかし、本発明の実施の形態1にかかる光ヘッド装置および光ディスク装置では、迷光の回折光が光検知器209の受光面内に入射する位置が、回折光学素子207の同じ光学領域からの主光の回折光の入射位置に対して、迷光の広がりに比例して、当該回折格子面内での位置に対応した部分となる性質を利用して、迷光の1次光が各受光素子A〜Hに入射しないように各受光素子E〜Hの配置を設定し、それにあわせてホログラム回折素子207内の分割した各光学領域内の回折性能を設定する。
ここで、2種類の他層迷光について説明する。図4(a),(b)に2層ディスクの記録再生時に生じる、記録再生の対象でない情報記録層の反射光(他層迷光)を示す。なお説明に必要でない光学部品は図示していない。図4(a)はL0層を記録・再生の対象としたときの、L0層からの反射光(主光)を実線で、L1層からの反射光(他層迷光401)を点線で示している。図4(b)はL1層を記録・再生の対象としたときの、L1層からの反射光(主光)を実線で、L0層からの反射光(他層迷光402)を点線で示している。図4(a)に示すように、記録対象でない情報記録層が対物レンズ205から手前側にあるときの他層迷光401は光検知器209の後方に焦点を結ぶ。一方、図4(b)に示すように、記録対象でない情報記録層が対物レンズ205から奥側にあるときの他層迷光402は光検知器209の前方に焦点を結ぶ。
したがって、図4(b)に示すように、記録再生の対象となる情報記録層L1に対して奥側にある情報記録層L0からの他層迷光402の場合、他層迷光402が集光する位置Pに集光する部分の大きさにあわせた回折格子や遮蔽体を設置することにより、主光の損失を最小限にして他層迷光402を光検知器209に入射させないようにすることができる。
一方、図4(a)に示すように、記録再生の対象となる情報記録層L0に対して手前側にある情報記録層L1からの他層迷光401の場合、コリメータレンズ203から光検知器209の間において、主光よりも他層迷光401の方が光束の断面が広いので、この間の迷光401を単に遮蔽しようとすると主光まで光検知器209に入射しなくなってしまう。そこで、光検知器209の受光面内での受光素子を以下のコンセプトで配置した。
まず、信号検出に必要な光検知器209の受光素子に対応して、ホログラム回折格子内を光軸に垂直な面内において複数の領域に分割する。そして、主光と迷光の回折光が光検知器209の同じ位置に入射する光軸中心周辺部分の領域については、回折光が光検知器209の受光面に入射しないように設定する。つぎに、互いの信号の差分を取ることによりエラー信号を検出するため、回折光を受光する対となる受光素子については、迷光の1時回折光が他の受光素子に入射しないよう、光検知器209の受光面における主光に対する迷光の広がり基づいてそれぞれ対称的に配置する。そして、各受光素子の配置に基づいて、各受光素子に対応する領域毎に回折性能を設定する。
具体的には、ホログラム回折格子207の光軸中心を含む領域(図3の領域304)部分は、1次回折光が光検知器209の受光面に入射しないように設定する。そして、互いの信号の差分を取ることによりエラー信号を検出するため、対となる1次回折光を受光する受光素子EとF、およびHとG毎に、0次光を受光する受光素子(A〜D)に対し、対となる受光素子の対称軸(図3のS)方向において、主光の0次光透過領域(本実施の形態では、領域301〜307の範囲)を透過する他層迷光401の0次光が光検知器209の受光面に入射する入射領域の大きさの半分に相当する距離を離して、横方向(受光面内で縦方向に垂直な方向)に対称的に設置する。
これにより、2層の情報記録層を有する光ディスク101を記録・再生する場合でも迷光の影響の少ないフォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号が得られるので、正確なトラック追従が可能となる。以下、具体的に本実施の形態における迷光等の入射状況について図5〜図17を用いて説明する。
図5にホログラム回折素子207上のL0層記録再生時の他層迷光401を示す。図5(a)はコリメートレンズ203から光検知器209にかけての主光および迷光401の光路を、図5(b)は迷光401のホログラム回折素子207上の入射範囲を示す。光束の説明に必要でない光学部品は図示していない。他層迷光401は光検知器209の後方に焦点を結ぶ光なので、再生光(主光)よりも発散した光となっている。そのためホログラム回折素子207上には再生光よりも大きい面積で入射する。
図6にホログラム回折素子207を透過した他層迷光401のうち、回折作用を受けなかった0次回折光600の光検知器209上での入射範囲を示す。0次回折光600は発散しているため光検知器上で大きい面積になっている。そのため、迷光401の0次回折光600は受光素子A〜Dに入射するが、面積が広がっている分、主光と比較して強度が小さいので、影響は小さくなっている。また、受光素子E、Fの位置が受光素子A〜Dに対して、対称軸S方向(本図では縦方向、以下、図7〜図14、図16、図17といった光検知器209の受光面を示す場合「縦方向」と表記する。)において、迷光600の投影範囲のほぼ半分に相当する距離を離しているので、受光素子E、Fには、迷光600が入射することがなく、微小な信号の影響を受けやすいエラー信号を正確に検出できる。
図7に領域301で回折した他層迷光401の1次回折光601の光検知器209上での入射範囲(実線内)を示す。点線はホログラム回折素子207の領域301〜307の全てに領域301の回折格子が形成されているとした場合の他層迷光401の1次回折光を表している。回折光601は他層迷光401の一部であるため光検知器209上では図のような左上の位置に到達する。図8に領域302で回折した他層迷光401の1次回折光の光検知器209上での回折光602の図を示す。点線はホログラム回折素子207の領域301〜307の全てに領域302の回折格子が形成されているとした場合の他層迷光401の1次回折光を表している。回折光602は他層迷光401の一部であるため光検知器209上では図のような右上の位置に到達する。このとき、受光素子E、Fの位置が縦方向において、受光素子A〜Dに対し、点線で示した他層迷光401の投影範囲のほぼ半分に相当する距離を離しているので、受光素子A〜Dには、迷光601、602が入射することがない。また、領域301、302は中心より縦方向の上方に位置するので、迷光601、602は受光素子E、Fよりも上方に入射し、受光素子E、Fにも入射することがない。
なお、上述した「迷光の回折光が光検知器209の受光面内に入射する位置が、回折光学素子207の同じ光学領域からの主光の回折光の入射位置に対して、迷光の広がりに比例して、当該回折格子面内での位置に対応した部分となる」は、図7の場合で具体的に検討すると、「迷光の回折光601の入射位置(実線範囲)が、同じホログラム回折格子207を透過した主光の回折光311の入射位置(受光素子E)に対して、迷光が発散した範囲(点線範囲)内において、当該回折格子207面内での位置301に対応した部分となる」ことを示している。
図9に領域306で回折した他層迷光401の1次回折光606の光検知器209上での入射範囲を示す。点線はホログラム回折素子207の領域301〜307の全てに領域306の回折格子が形成されているとした場合の他層迷光401の1次回折光を表している。回折光606は他層迷光401の一部であるため光検知器209上では図のような左下の位置に到達する。図10に領域307で回折した他層迷光401の1次回折光607の光検知器209上での入射範囲を示す。点線はホログラム回折素子207の領域301〜307の全てに領域307の回折格子が形成されているとした場合の他層迷光401の1次回折光を表している。回折光607は他層迷光401の一部であるため光検知器209上では図のような右下の位置に到達する。このとき、受光素子H、Gの位置が縦方向において、さらに受光素子E、Fよりも、点線で示した他層迷光401の投影範囲のほぼ半分に相当する距離を離して配置しているので、受光素子H、Gには、迷光606、607が入射することがない。また、領域306、307は中心より縦方向の下方に位置するので、迷光606、607は受光素子E、Fよりも下方に入射し、受光素子E、Fにも入射することがない。
図11に領域303で回折した他層迷光401の1次回折光603の光検知器209上での入射範囲を示す。点線はホログラム回折素子207の領域301〜307の全てに領域303の回折格子が形成されているとした場合の他層迷光401の1次回折光を表している。回折光603は他層迷光401の一部であるため光検知器209上では図のような左の位置に到達する。図12に領域305で回折した他層迷光401の1次回折光605の光検知器209上での入射範囲を示す。点線はホログラム回折素子207の領域301〜307の全てに領域305の回折格子が形成されているとした場合の他層迷光401の1次回折光を表している。回折光605は他層迷光401の一部であるため光検知器209上では図のような右の位置に到達する。このとき、受光素子H、Gの位置が縦方向において、受光素子E、Fよりも、点線で示した他層迷光401の投影範囲のほぼ半分に相当する距離を離して配置しているので、受光素子E、Fには、迷光603、605が入射することがない。
さらに、横方向における領域303の光軸中心部からの距離を適宜設定することにより、回折光603が受光素子Hよりも左側に入射し、横方向における領域305の光軸中心部からの距離を適宜設定することにより、回折光605が受光素子Gよりも右側に入射するようにできた。これにより、ホログラム回折格子207面内において縦方向の中央に位置する領域からの他層迷光401の回折光であっても、受光素子H、Gへの入射を防止することができる。
図13に領域304で回折した他層迷光401の1次回折光604の光検知器209の受光面と同じ位置の面内における入射範囲を示す。点線はホログラム回折素子207の領域301〜307の全てに領域304の回折格子が形成されているとした場合の他層迷光401の1次回折光を表している。回折光604は他層迷光401の一部であるため光検知器209上では図のような中心の位置に到達する。つまり、ホログラム回折格子207面内における中央の領域304については、光検知器209の受光面において、主光と迷光が同じ位置に入射してしまう。そこで、主光についても1次光を利用しないように受光素子以外の部分に入射するように領域304の回折性能を設定したので、迷光604が受光素子A〜Hに入射することがない。
図14に領域308で回折した他層迷光401の1次回折光608の光検知器209上での入射範囲を示す。回折光608は光検知器上では図のような位置に到達する。これらの領域304、308では、元々主光の1次光が光検知器209の各受光素子A〜Hに入射しないように設定しているので、迷光604、608も各受光素子A〜Hに入射することはない。
図15にホログラム回折素子207上のL1層記録再生時の他層迷光402を示す。図15(a)はコリメートレンズ203から光検知器209にかけての主光および迷光402の光路を、図15(b)は迷光402のホログラム回折素子207上の入射範囲を示す。ここでも光束の説明に必要でない光学部品は図示していない。ホログラム回折素子207の光軸方向の配置は、ホログラム回折素子207の回折格子構造の面が他層迷光402の焦点を結ぶ位置Pに一致するようになっている。図16にホログラム回折素子207を透過した他層迷光402のうち、回折作用を受けなかった0次回折光700の光検知器上での入射範囲を示す。0次回折光はホログラム回折素子207の回折格子構造の面で1度焦点を結びそこから発散しているため、0次回折光700は光検知器上で大きい面積になっている。
そのため、迷光402の0次回折光700は受光素子A〜Dに入射するが、面積が広がっている分、主光と比較して強度が小さいので、影響は小さくなっている。また、受光素子E、Fの位置が受光素子A〜Dに対して、縦方向において、迷光700の投影範囲の半分に相当する距離を離しているので、受光素子E、Fには、迷光700が入射することがなく、微小な信号の影響を受けやすいエラー信号を正確に検出できる。なお、領域304のうち、迷光402が集光する面積部分を遮光部材に置き換えれば、迷光402の0次回折光700の光検知器209への入射を防止することもできる。
また、図17に領域304で回折した1次回折光701の光検知器209の受光面と同じ位置の面内における入射範囲を示す。回折光701は光検知器上では図のような位置に到達する。領域304では、元々主光の1次光が光検知器209の各受光素子A〜Hに入射しないように設定しているので、迷光701も各受光素子A〜Hに入射することはない。
以上のように、本発明の実施の形態1にかかる光ヘッド装置および光ディスク装置によれば、反射光のうち、光軸中心近傍の領域(図3の領域304)部分の1次回折光が光検知器209の受光面に入射しないようにするとともに、記録再生の対象となる情報記録層L0からの反射光(主光)の1次回折光を受光する対となる受光素子EとF、およびHとGの配置を、情報記録層L0より手前側に隣接する情報記録層L1からの反射光(他層迷光401)の一次光の光検知器209の受光面内での広がりを考慮し、それぞれの受光素子(E,F,G,H)に入射する主光に対応する他層迷光の一次光が入射しないように配置したので、他層迷光401の1次光が受光素子A〜Hに入射することがなく、トラッキングエラー信号を乱すことは無い。
また、記録再生の対象を情報記録層L1としたとき、L1より奥側に隣接する情報記録層L0からの反射光(他層迷光402)の回折光701が集光する位置Pにホログラム回折素子207における回折格子構造が形成された面の位置を決めているので、光検知器209の受光素子A〜Hに他層迷光402の1次光701が入射することがなく他層迷光402がトラッキングエラー信号を乱すことは無い。
また、ホログラム回折格子207の横方向における領域303の光軸中心部からの距離を適宜設定することにより、回折光603が受光素子Hよりも左側に入射し、横方向における領域305の光軸中心部からの距離を適宜設定することにより、回折光605が受光素子Gよりも右側に入射するようになり、ホログラム回折格子207面内において縦方向の中央に位置する領域からの他層迷光401の回折光であっても、受光素子H、Gへの入射を防止することができる。
また、ホログラム回折格子207面内における中央の領域304については、主光についても1次光を利用しないようにしたので、光検知器209の受光面において、主光と同じ位置に入射する迷光が受光素子A〜Hに入射することがなく、正確な信号を得ることができる。
実施の形態2.
本実施の形態に係る光ディスク装置は実施の形態1と同じものである。光ヘッド装置は実施の形態1と光検知器209内の受光素子の配置が異なっており(EとGを隣接させた)、それに合わせて、ホログラム回折素子207内の各領域の回折性能を変更しているが、その他の構成は同じである。したがって、符号は実施の形態1と同じものを使用する。
図18は光ヘッド装置内のホログラム回折光学素子207と光検知器209の受光面の配置と反射光の光路を示す図である。領域301〜領域308には回折格子が形成されている。ホログラム回折素子207に入射した主光は各領域で回折される。領域301〜領域308で回折作用を受けた1次回折光はそれぞれ回折光311〜回折光318である。また、領域301〜領域307の回折効率は0次回折光:1次回折光=6.5:1である。領域308の回折効率は0次回折光:1次回折光=0:1である。また回折光の−1次光は0次光に対して1次光と点対称な位置に回折されるが、本光ヘッド装置では−1次光をエラー検出に利用しない。
光検知器209は、受光素子として1つの4分割受光素子(A、B、C、D)と、受光素子E、F、G、Hを備えている。ホログラム回折素子207を透過した主光のうち、回折作用を受けなかった0次レーザ光は受光素子(A、B、C、D)によって受光される。回折光311、回折光316は受光素子Eによって受光され、回折光312、回折光317は受光素子Fによって受光され、回折光313は受光素子Hによって受光され、回折光315は受光素子Gによって受光される。回折光314・回折光318はどの受光素子にも受光されない方向に到達する。
図19にホログラム回折素子207を透過した他層迷光401のうち、回折作用を受けなかった0次回折光600の光検知器209上での入射範囲を示す。0次回折光600は発散しているため光検知器上で大きい面積になっている。そのため、迷光401の0次回折光600は受光素子A〜Dに入射するが、面積が広がっている分、主光と比較して強度が小さいので、影響は小さくなっている。また、受光素子E、Fの位置が受光素子A〜Dに対して、縦方向において、迷光600の投影範囲のほぼ半分に相当する距離を離しているので、受光素子E、Fには、迷光600が入射することがなく、微小な信号の影響を受けやすいエラー信号を正確に検出できる。
図20に領域301で回折した他層迷光401の1次回折光601の光検知器209上での入射範囲(実線内)を示す。点線はホログラム回折素子207の領域301〜307の全てに領域301の回折格子が形成されているとした場合の他層迷光401の1次回折光を表している。回折光601は他層迷光401の一部であるため光検知器209上では図のような左上の位置に到達する。図21に領域302で回折した他層迷光401の1次回折光の光検知器209上での回折光602の図を示す。点線はホログラム回折素子207の領域301〜307の全てに領域302の回折格子が形成されているとした場合の他層迷光401の1次回折光を表している。回折光602は他層迷光401の一部であるため光検知器209上では図のような右上の位置に到達する。このとき、受光素子E、Fの位置が縦方向において、受光素子A〜Dに対し、点線で示した他層迷光401の投影範囲のほぼ半分に相当する距離を離しているので、受光素子A〜Dには、迷光601、602が入射することがない。また、領域301、302は中心より縦方向の上方に位置するので、迷光601、602は受光素子E、Fよりも上方に入射し、受光素子E、Fにも入射することがない。
図22に領域306で回折した他層迷光401の1次回折光606の光検知器209上での入射範囲を示す。点線はホログラム回折素子207の領域301〜307の全てに領域306の回折格子が形成されているとした場合の他層迷光401の1次回折光を表している。回折光606は他層迷光401の一部であるため光検知器209上では図のような左下の位置に到達する。図23に領域307で回折した他層迷光401の1次回折光607の光検知器209上での入射範囲を示す。点線はホログラム回折素子207の領域301〜307の全てに領域307の回折格子が形成されているとした場合の他層迷光401の1次回折光を表している。回折光607は他層迷光401の一部であるため光検知器209上では図のような右下の位置に到達する。このとき、受光素子H、Gの位置が縦方向において、さらに受光素子E、Fよりも、点線で示した他層迷光401の投影範囲のほぼ半分に相当する距離を離して配置しているので、受光素子H、Gには、迷光606、607が入射することがない。また、領域306、307は中心より縦方向の下方に位置するので、迷光606、607は受光素子E、Fよりも下方に入射し、受光素子E、Fにも入射することがない。
図24に領域303で回折した他層迷光401の1次回折光603の光検知器209上での入射範囲を示す。点線はホログラム回折素子207の領域301〜307の全てに領域303の回折格子が形成されているとした場合の他層迷光401の1次回折光を表している。回折光603は他層迷光401の一部であるため光検知器209上では図のような左の位置に到達する。図25に領域305で回折した他層迷光401の1次回折光605の光検知器209上での入射範囲を示す。点線はホログラム回折素子207の領域301〜307の全てに領域305の回折格子が形成されているとした場合の他層迷光401の1次回折光を表している。回折光605は他層迷光401の一部であるため光検知器209上では図のような右の位置に到達する。このとき、受光素子H、Gの位置が縦方向において、受光素子E、Fよりも、点線で示した他層迷光401の投影範囲のほぼ半分に相当する距離を離して配置しているので、受光素子E、Fには、迷光603、605が入射することがない。
さらに、横方向における領域303の光軸中心部からの距離を適宜設定することにより、回折光603が受光素子Hよりも左側に入射し、横方向における領域305の光軸中心部からの距離を適宜設定することにより、回折光605が受光素子Gよりも右側に入射するようにできた。これにより、ホログラム回折格子207面内において縦方向の中央に位置する領域からの他層迷光401の回折光であっても、受光素子H、Gへの入射を防止することができる。
図26に領域304で回折した他層迷光401の1次回折光604の光検知器209の受光面と同じ位置の面内における入射範囲を示す。点線はホログラム回折素子207の領域301〜307の全てに領域304の回折格子が形成されているとした場合の他層迷光401の1次回折光を表している。回折光604は他層迷光401の一部であるため光検知器209上では図のような中心の位置に到達する。つまり、ホログラム回折格子207面内における中央の領域304については、光検知器209の受光面において、主光と迷光が同じ位置に入射してしまう。そこで、主光についても1次光を利用しないように受光素子以外の部分に入射するように領域304の回折性能を設定したので、迷光604が受光素子A〜Hに入射することがない。
図27に領域308で回折した他層迷光401の1次回折光608の光検知器209上での入射範囲を示す。回折光608は光検知器上では図のような位置に到達する。これらの領域304、308では、元々主光の1次光が光検知器209の各受光素子A〜Hに入射しないように設定しているので、迷光604、608も各受光素子A〜Hに入射することはない。
図28にL1層記録再生時のホログラム回折素子207を透過した他層迷光402のうち、回折作用を受けなかった0次回折光700の光検知器上での入射範囲を示す。0次回折光はホログラム回折素子207の回折格子構造の面で1度焦点を結びそこから発散しているため、0次回折光700は光検知器上で大きい面積になっている。
そのため、迷光402の0次回折光700は受光素子A〜Dに入射するが、面積が広がっている分、主光と比較して強度が小さいので、影響は小さくなっている。また、受光素子E、Fの位置が受光素子A〜Dに対して、縦方向において、迷光700の投影範囲の半分に相当する距離を離しているので、受光素子E、Fには、迷光700が入射することがなく、微小な信号の影響を受けやすいエラー信号を正確に検出できる。また、図29に領域304で回折した1次回折光701の光検知器209の受光面と同じ位置の面内における入射範囲を示す。回折光701は光検知器上では図のような位置に到達する。領域304では、元々主光の1次光が光検知器209の各受光素子A〜Hに入射しないように設定しているので、迷光701も各受光素子A〜Hに入射することはない。なお、領域304のうち、迷光402が集光する面積部分を遮光部材に置き換えれば、迷光402の0次回折光700の光検知器209への入射を防止することもできる。
以上のように、本発明の実施の形態2にかかる光ヘッド装置および光ディスク装置によれば、反射光のうち、光軸中心近傍の領域(図18の領域304)部分の1次回折光が光検知器209の受光面に入射しないようにするとともに、記録再生の対象となる情報記録層L0からの反射光(主光)の1次回折光を受光する対となる受光素子EとF、およびHとGの配置を、情報記録層L0より手前側に隣接する情報記録層L1からの反射光(他層迷光401)の一次光の光検知器209の受光面内での広がりを考慮し、それぞれの受光素子(E,F,G,H)に入射する主光に対応する他層迷光の一次光が入射しないように配置したので、他層迷光401の1次光が受光素子A〜Hに入射することがなく、トラッキングエラー信号を乱すことは無い。
なお、本実施の形態2においても実施の形態1と同様に、記録再生の対象を情報記録層L1としたとき、L1より奥側に隣接する情報記録層L0からの反射光(他層迷光402)の回折光701が集光する位置Pにホログラム回折素子207における回折格子構造が形成された面の位置を決めているので、光検知器209の受光素子A〜Hに他層迷光402の1次光701が入射することがなく他層迷光402がトラッキングエラー信号を乱すことは無い。
実施の形態3.
本実施の形態に係る光ディスク装置も実施の形態2と同様に実施の形態1と同じものである。光ヘッド装置は実施の形態1と光検知器209内の受光素子の配置が異なっており(HとGを離した)、それに合わせて、ホログラム回折素子207内の各領域の回折性能を変更しているが、その他の構成は同じである。したがって、符号は実施の形態1と同じものを使用する。
図30は光ヘッド装置内のホログラム回折光学素子207と光検知器209の受光面の配置と反射光の光路を示す図である。領域301〜領域308には回折格子が形成されている。ホログラム回折素子207に入射した主光は各領域で回折される。領域301〜領域308で回折作用を受けた1次回折光はそれぞれ回折光311〜回折光318である。また、領域301〜領域307の回折効率は0次回折光:1次回折光=6.5:1である。領域308の回折効率は0次回折光:1次回折光=0:1である。また回折光の−1次光は0次光に対して1次光と点対称な位置に回折されるが、本光ヘッド装置では−1次光をエラー検出に利用しない。
光検知器209は、受光素子として1つの4分割受光素子(A、B、C、D)と、受光素子E、F、G、Hを備えている。ホログラム回折素子207を透過した主光のうち、回折作用を受けなかった0次レーザ光は受光素子(A、B、C、D)によって受光される。回折光311、回折光316は受光素子Eによって受光され、回折光312、回折光317は受光素子Fによって受光され、回折光313は受光素子Hによって受光され、回折光315は受光素子Gによって受光される。回折光314・回折光318はどの受光素子にも受光されない方向に到達する。
図31にホログラム回折素子207を透過した他層迷光401のうち、回折作用を受けなかった0次回折光600の光検知器209上での入射範囲を示す。0次回折光600は発散しているため光検知器上で大きい面積になっている。そのため、迷光401の0次回折光600は受光素子A〜Dに入射するが、面積が広がっている分、主光と比較して強度が小さいので、影響は小さくなっている。また、受光素子E、Fの位置が受光素子A〜Dに対して、縦方向において、迷光600の投影範囲のほぼ半分に相当する距離を離しているので、受光素子E、Fには、迷光600が入射することがなく、微小な信号の影響を受けやすいエラー信号を正確に検出できる。
図32に領域301で回折した他層迷光401の1次回折光601の光検知器209上での入射範囲(実線内)を示す。点線はホログラム回折素子207の領域301〜307の全てに領域301の回折格子が形成されているとした場合の他層迷光401の1次回折光を表している。回折光601は他層迷光401の一部であるため光検知器209上では図のような左上の位置に到達する。図33に領域302で回折した他層迷光401の1次回折光の光検知器209上での回折光602の図を示す。点線はホログラム回折素子207の領域301〜307の全てに領域302の回折格子が形成されているとした場合の他層迷光401の1次回折光を表している。回折光602は他層迷光401の一部であるため光検知器209上では図のような右上の位置に到達する。このとき、受光素子E、Fの位置が縦方向において、受光素子A〜Dに対し、点線で示した他層迷光401の投影範囲のほぼ半分に相当する距離を離しているので、受光素子A〜Dには、迷光601、602が入射することがない。また、領域301、302は中心より縦方向の上方に位置するので、迷光601、602は受光素子E、Fよりも上方に入射し、受光素子E、Fにも入射することがない。
図34に領域306で回折した他層迷光401の1次回折光606の光検知器209上での入射範囲を示す。点線はホログラム回折素子207の領域301〜307の全てに領域306の回折格子が形成されているとした場合の他層迷光401の1次回折光を表している。回折光606は他層迷光401の一部であるため光検知器209上では図のような左下の位置に到達する。図35に領域307で回折した他層迷光401の1次回折光607の光検知器209上での入射範囲を示す。点線はホログラム回折素子207の領域301〜307の全てに領域307の回折格子が形成されているとした場合の他層迷光401の1次回折光を表している。回折光607は他層迷光401の一部であるため光検知器209上では図のような右下の位置に到達する。このとき、受光素子H、Gの位置が縦方向において、さらに受光素子E、Fよりも、点線で示した他層迷光401の投影範囲のほぼ半分に相当する距離を離して配置しているので、受光素子H、Gには、迷光606、607が入射することがない。また、領域306、307は中心より縦方向の下方に位置するので、迷光606、607は受光素子E、Fよりも下方に入射し、受光素子E、Fにも入射することがない。
図36に領域303で回折した他層迷光401の1次回折光603の光検知器209上での入射範囲を示す。点線はホログラム回折素子207の領域301〜307の全てに領域303の回折格子が形成されているとした場合の他層迷光401の1次回折光を表している。回折光603は他層迷光401の一部であるため光検知器209上では図のような左の位置に到達する。図37に領域305で回折した他層迷光401の1次回折光605の光検知器209上での入射範囲を示す。点線はホログラム回折素子207の領域301〜307の全てに領域305の回折格子が形成されているとした場合の他層迷光401の1次回折光を表している。回折光605は他層迷光401の一部であるため光検知器209上では図のような右の位置に到達する。このとき、受光素子H、Gの位置が縦方向において、受光素子E、Fよりも、点線で示した他層迷光401の投影範囲のほぼ半分に相当する距離を離して配置しているので、受光素子E、Fには、迷光603、605が入射することがない。
さらに、横方向における領域303の光軸中心部からの距離を適宜設定することにより、回折光603が受光素子Hよりも左側に入射し、横方向における領域305の光軸中心部からの距離を適宜設定することにより、回折光605が受光素子Gよりも右側に入射するようにできた。これにより、ホログラム回折格子207面内において縦方向の中央に位置する領域からの他層迷光401の回折光であっても、受光素子H、Gへの入射を防止することができる。
図38に領域304で回折した他層迷光401の1次回折光604の光検知器209の受光面と同じ位置の面内における入射範囲を示す。点線はホログラム回折素子207の領域301〜307の全てに領域304の回折格子が形成されているとした場合の他層迷光401の1次回折光を表している。回折光604は他層迷光401の一部であるため光検知器209上では図のような中心の位置に到達する。つまり、ホログラム回折格子207面内における中央の領域304については、光検知器209の受光面において、主光と迷光が同じ位置に入射してしまう。そこで、主光についても1次光を利用しないように受光素子以外の部分に入射するように領域304の回折性能を設定したので、迷光604が受光素子A〜Hに入射することがない。
図39に領域308で回折した他層迷光401の1次回折光608の光検知器209上での入射範囲を示す。回折光608は光検知器上では図のような位置に到達する。これらの領域304、308では、元々主光の1次光が光検知器209の各受光素子A〜Hに入射しないように設定しているので、迷光604、608も各受光素子A〜Hに入射することはない。
図40にL1層記録再生時のホログラム回折素子207を透過した他層迷光402のうち、回折作用を受けなかった0次回折光700の光検知器上での入射範囲を示す。0次回折光はホログラム回折素子207の回折格子構造の面で1度焦点を結びそこから発散しているため、0次回折光700は光検知器上で大きい面積になっている。
そのため、迷光402の0次回折光700は受光素子A〜Dに入射するが、面積が広がっている分、主光と比較して強度が小さいので、影響は小さくなっている。また、受光素子E、Fの位置が受光素子A〜Dに対して、縦方向において、迷光700の投影範囲の半分に相当する距離を離しているので、受光素子E、Fには、迷光700が入射することがなく、微小な信号の影響を受けやすいエラー信号を正確に検出できる。また、図41に領域304で回折した1次回折光701の光検知器209の受光面と同じ位置の面内における入射範囲を示す。回折光701は光検知器上では図のような位置に到達する。領域304では、元々主光の1次光が光検知器209の各受光素子A〜Hに入射しないように設定しているので、迷光701も各受光素子A〜Hに入射することはない。なお、領域304のうち、迷光402が集光する面積部分を遮光部材に置き換えれば、迷光402の0次回折光700の光検知器209への入射を防止することもできる。
以上のように、本発明の実施の形態3にかかる光ヘッド装置および光ディスク装置によれば、反射光のうち、光軸中心近傍の領域(図30の領域304)部分の1次回折光が光検知器209の受光面に入射しないようにするとともに、記録再生の対象となる情報記録層L0からの反射光(主光)の1次回折光を受光する対となる受光素子EとF、およびHとGの配置を、情報記録層L0より手前側に隣接する情報記録層L1からの反射光(他層迷光401)の一次光の光検知器209の受光面内での広がりを考慮し、それぞれの受光素子(E,F,G,H)に入射する主光に対応する他層迷光の一次光が入射しないように配置したので、他層迷光401の1次光が受光素子A〜Hに入射することがなく、トラッキングエラー信号を乱すことは無い。
なお、本実施の形態3においても実施の形態1と同様に、記録再生の対象を情報記録層L1としたとき、L1より奥側に隣接する情報記録層L0からの反射光(他層迷光402)の回折光701が集光する位置Pにホログラム回折素子207における回折格子構造が形成された面の位置を決めているので、光検知器209の受光素子A〜Hに他層迷光402の1次光701が入射することがなく他層迷光402がトラッキングエラー信号を乱すことは無い。
実施の形態4.
本実施の形態に係る光ディスク装置も実施の形態2、3と同様に実施の形態1と同じものである。光ヘッド装置は実施の形態1と光検知器209内の受光素子の配置が異なっており(EとFとを隣接させると共に、HとGとの位置を逆転させた)、それに合わせて、ホログラム回折素子207内の各領域の回折性能を変更しているが、その他の構成は同じである。したがって、符号は実施の形態1と同じものを使用する。
図42は光ヘッド装置内のホログラム回折光学素子207と光検知器209の受光面の配置と反射光の光路を示す図である。領域301〜領域308には回折格子が形成されている。ホログラム回折素子207に入射した主光は各領域で回折される。領域301〜領域308で回折作用を受けた1次回折光はそれぞれ回折光311〜回折光318である。また、領域301〜領域307の回折効率は0次回折光:1次回折光=6.5:1である。領域308の回折効率は0次回折光:1次回折光=0:1である。また回折光の−1次光は0次光に対して1次光と点対称な位置に回折されるが、本光ヘッド装置では−1次光をエラー検出に利用しない。
光検知器209は、受光素子として1つの4分割受光素子(A、B、C、D)と、受光素子E、F、G、Hを備えている。ホログラム回折素子207を透過した主光のうち、回折作用を受けなかった0次レーザ光は受光素子(A、B、C、D)によって受光される。回折光311、回折光316は受光素子Eによって受光され、回折光312、回折光317は受光素子Fによって受光され、回折光313は受光素子Hによって受光され、回折光315は受光素子Gによって受光される。回折光314・回折光318はどの受光素子にも受光されない方向に到達する。
図43にホログラム回折素子207を透過した他層迷光401のうち、回折作用を受けなかった0次回折光600の光検知器209上での入射範囲を示す。0次回折光600は発散しているため光検知器上で大きい面積になっている。そのため、迷光401の0次回折光600は受光素子A〜Dに入射するが、面積が広がっている分、主光と比較して強度が小さいので、影響は小さくなっている。また、受光素子E、Fの位置が受光素子A〜Dに対して、縦方向において、迷光600の投影範囲のほぼ半分に相当する距離を離しているので、受光素子H、Gには、迷光600が入射することがなく、微小な信号の影響を受けやすいエラー信号を正確に検出できる。
図44に領域303で回折した他層迷光401の1次回折光603の光検知器209上での入射範囲を示す。点線はホログラム回折素子207の領域301〜307の全てに領域303の回折格子が形成されているとした場合の他層迷光401の1次回折光を表している。回折光603は他層迷光401の一部であるため光検知器209上では図のような左の位置に到達する。図45に領域305で回折した他層迷光401の1次回折光605の光検知器209上での入射範囲を示す。点線はホログラム回折素子207の領域301〜307の全てに領域305の回折格子が形成されているとした場合の他層迷光401の1次回折光を表している。回折光605は他層迷光401の一部であるため光検知器209上では図のような右の位置に到達する。このとき、受光素子H、Gの位置が縦方向において、受光素子A〜Dよりも、点線で示した他層迷光401の投影範囲のほぼ半分に相当する距離を離して配置しているので、受光素子A〜Dには、迷光603、605が入射することがない。このとき、受光素子E、Fの位置が縦方向において、さらに受光素子H、Gよりも、点線で示した他層迷光401の投影範囲のほぼ半分に相当する距離を離して配置しているので、受光素子E、Fには、迷光603、605が入射することがない。
さらに、横方向における領域303の光軸中心部からの距離を適宜設定することにより、回折光603が受光素子Hよりも左側に入射し、横方向における領域305の光軸中心部からの距離を適宜設定することにより、回折光605が受光素子Gよりも右側に入射するようにできた。これにより、ホログラム回折格子207面内において縦方向の中央に位置する領域からの他層迷光401の回折光であっても、受光素子H、Gへの入射を防止することができる。
図46に領域301で回折した他層迷光401の1次回折光601の光検知器209上での入射範囲(実線内)を示す。点線はホログラム回折素子207の領域301〜307の全てに領域301の回折格子が形成されているとした場合の他層迷光401の1次回折光を表している。回折光601は他層迷光401の一部であるため光検知器209上では図のような左上の位置に到達する。図47に領域302で回折した他層迷光401の1次回折光の光検知器209上での回折光602の図を示す。点線はホログラム回折素子207の領域301〜307の全てに領域302の回折格子が形成されているとした場合の他層迷光401の1次回折光を表している。回折光602は他層迷光401の一部であるため光検知器209上では図のような右上の位置に到達する。このとき、受光素子E、Fの位置が縦方向において、受光素子H、Gに対し、点線で示した他層迷光401の投影範囲のほぼ半分に相当する距離を離しているので、受光素子H、Gには、迷光601、602が入射することがない。また、領域301、302は中心より縦方向の上方に位置するので、迷光601、602は受光素子E、Fよりも上方に入射し、受光素子E、Fにも入射することがない。
図48に領域306で回折した他層迷光401の1次回折光606の光検知器209上での入射範囲を示す。点線はホログラム回折素子207の領域301〜307の全てに領域306の回折格子が形成されているとした場合の他層迷光401の1次回折光を表している。回折光606は他層迷光401の一部であるため光検知器209上では図のような左下の位置に到達する。図49に領域307で回折した他層迷光401の1次回折光607の光検知器209上での入射範囲を示す。点線はホログラム回折素子207の領域301〜307の全てに領域307の回折格子が形成されているとした場合の他層迷光401の1次回折光を表している。回折光607は他層迷光401の一部であるため光検知器209上では図のような右下の位置に到達する。迷光606、607は受光素子E、Fよりもさらに縦方向の下側に入射するので、どの受光素子にも迷光606、607が入射することがない。
図50に領域304で回折した他層迷光401の1次回折光604の光検知器209の受光面と同じ位置の面内における入射範囲を示す。点線はホログラム回折素子207の領域301〜307の全てに領域304の回折格子が形成されているとした場合の他層迷光401の1次回折光を表している。回折光604は他層迷光401の一部であるため光検知器209上では図のような中心の位置に到達する。つまり、ホログラム回折格子207面内における中央の領域304については、光検知器209の受光面において、主光と迷光が同じ位置に入射してしまう。そこで、主光についても1次光を利用しないように受光素子以外の部分に入射するように領域304の回折性能を設定したので、迷光604が受光素子A〜Hに入射することがない。
図51に領域308で回折した他層迷光401の1次回折光608の光検知器209上での入射範囲を示す。回折光608は光検知器上では図のような位置に到達する。これらの領域304、308では、元々主光の1次光が光検知器209の各受光素子A〜Hに入射しないように設定しているので、迷光604、608も各受光素子A〜Hに入射することはない。
図52にL1層記録再生時のホログラム回折素子207を透過した他層迷光402のうち、回折作用を受けなかった0次回折光700の光検知器上での入射範囲を示す。0次回折光はホログラム回折素子207の回折格子構造の面で1度焦点を結びそこから発散しているため、0次回折光700は光検知器上で大きい面積になっている。
そのため、迷光402の0次回折光700は受光素子A〜Dに入射するが、面積が広がっている分、主光と比較して強度が小さいので、影響は小さくなっている。また、受光素子E、Fの位置が受光素子A〜Dに対して、縦方向において、迷光700の投影範囲の半分に相当する距離を離しているので、受光素子H、Gには、迷光700が入射することがなく、微小な信号の影響を受けやすいエラー信号を正確に検出できる。また、図53に領域304で回折した1次回折光701の光検知器209の受光面と同じ位置の面内における入射範囲を示す。回折光701は光検知器上では図のような位置に到達する。領域304では、元々主光の1次光が光検知器209の各受光素子A〜Hに入射しないように設定しているので、迷光701も各受光素子A〜Hに入射することはない。なお、領域304のうち、迷光402が集光する面積部分を遮光部材に置き換えれば、迷光402の0次回折光700の光検知器209への入射を防止することもできる。
以上のように、本発明の実施の形態4にかかる光ヘッド装置および光ディスク装置によれば、反射光のうち、光軸中心近傍の領域(図42の領域304)部分の1次回折光が光検知器209の受光面に入射しないようにするとともに、記録再生の対象となる情報記録層L0からの反射光(主光)の1次回折光を受光する対となる受光素子EとF、およびHとGの配置を、情報記録層L0より手前側に隣接する情報記録層L1からの反射光(他層迷光401)の一次光の光検知器209の受光面内での広がりを考慮し、それぞれの受光素子(E,F,G,H)に入射する主光に対応する他層迷光の一次光が入射しないように配置したので、他層迷光401の1次光が受光素子A〜Hに入射することがなく、トラッキングエラー信号を乱すことは無い。
なお、本実施の形態4においても上記各実施の形態と同様に、記録再生の対象を情報記録層L1としたとき、L1より奥側に隣接する情報記録層L0からの反射光(他層迷光402)の回折光701が集光する位置Pにホログラム回折素子207における回折格子構造が形成された面の位置を決めているので、光検知器209の受光素子A〜Hに他層迷光402の1次光701が入射することがなく他層迷光402がトラッキングエラー信号を乱すことは無い。
実施の形態5.
本実施の形態に係る光ディスク装置も実施の形態2〜4と同様に実施の形態1と同じものである。光ヘッド装置は実施の形態1と光検知器209内の受光素子の配置が異なっている。本実施の形態では、EとFの受光素子の対とHとGの受光素子の対とを縦方向で同じ位置に配置するとともに、横方向において所定の間隔をあけてそれぞれ対称に配置するようにした。そして、その配置に合わせてホログラム回折素子207内の各領域の回折性能を変更しているが、その他の構成は同じである。したがって、符号は実施の形態1と同じものを使用する。
図54は光ヘッド装置内のホログラム回折光学素子207と光検知器209の受光面の配置と反射光の光路を示す図である。領域301〜領域308には回折格子が形成されている。ホログラム回折素子207に入射した主光は各領域で回折される。領域301〜領域308で回折作用を受けた1次回折光はそれぞれ回折光311〜回折光318である。また、領域301〜領域307の回折効率は0次回折光:1次回折光=6.5:1である。領域308の回折効率は0次回折光:1次回折光=0:1である。また回折光の−1次光は0次光に対して1次光と点対称な位置に回折されるが、本光ヘッド装置では−1次光をエラー検出に利用しない。
光検知器209は、受光素子として1つの4分割受光素子(A、B、C、D)と、受光素子E、F、G、Hを備えている。ホログラム回折素子207を透過した主光のうち、回折作用を受けなかった0次レーザ光は受光素子(A、B、C、D)によって受光される。回折光311、回折光316は受光素子Eによって受光され、回折光312、回折光317は受光素子Fによって受光され、回折光313は受光素子Hによって受光され、回折光315は受光素子Gによって受光される。回折光314・回折光318はどの受光素子にも受光されない方向に到達する。
図55にホログラム回折素子207を透過した他層迷光401のうち、回折作用を受けなかった0次回折光600の光検知器209上での入射範囲を示す。0次回折光600は発散しているため光検知器上で大きい面積になっている。そのため、迷光401の0次回折光600は受光素子A〜Dに入射するが、面積が広がっている分、主光と比較して強度が小さいので、影響は小さくなっている。また、受光素子E・F対、およびH・G対の位置が受光素子A〜Dに対して、縦方向において、迷光600の投影範囲のほぼ半分に相当する距離を離しているので、受光素子E、F、G、Hには、迷光600が入射することがなく、微小な信号の影響を受けやすいエラー信号を正確に検出できる。
図56に領域301で回折した他層迷光401の1次回折光601の光検知器209上での入射範囲(実線内)を示す。点線はホログラム回折素子207の領域301〜307の全てに領域301の回折格子が形成されているとした場合の他層迷光401の1次回折光を表している。回折光601は他層迷光401の一部であるため光検知器209上では図のような左上の位置に到達する。図57に領域302で回折した他層迷光401の1次回折光の光検知器209上での回折光602の図を示す。点線はホログラム回折素子207の領域301〜307の全てに領域302の回折格子が形成されているとした場合の他層迷光401の1次回折光を表している。回折光602は他層迷光401の一部であるため光検知器209上では図のような右上の位置に到達する。このとき、受光素子E、Fの位置が縦方向において、受光素子A〜Dに対し、点線で示した他層迷光401の投影範囲のほぼ半分に相当する距離を離しているので、受光素子A〜Dには、迷光601、602が入射することがない。また、領域301、302は中心より縦方向の上方に位置するので、迷光601、602は受光素子E、F、G、Hよりも上方に入射し、受光素子E、F、G、Hにも入射することがない。
図58に領域306で回折した他層迷光401の1次回折光606の光検知器209上での入射範囲を示す。点線はホログラム回折素子207の領域301〜307の全てに領域306の回折格子が形成されているとした場合の他層迷光401の1次回折光を表している。回折光606は他層迷光401の一部であるため光検知器209上では図のような左下の位置に到達する。図59に領域307で回折した他層迷光401の1次回折光607の光検知器209上での入射範囲を示す。点線はホログラム回折素子207の領域301〜307の全てに領域307の回折格子が形成されているとした場合の他層迷光401の1次回折光を表している。回折光607は他層迷光401の一部であるため光検知器209上では図のような右下の位置に到達する。このとき、領域306、307は中心より縦方向の下方に位置するので、迷光606、607は受光素子E、F、G、Hよりも下方に入射し、受光素子E、F、G、Hにも入射することがない。
図60に領域303で回折した他層迷光401の1次回折光603の光検知器209上での入射範囲を示す。点線はホログラム回折素子207の領域301〜307の全てに領域303の回折格子が形成されているとした場合の他層迷光401の1次回折光を表している。回折光603は他層迷光401の一部であるため光検知器209上では図のような左の位置に到達する。図61に領域305で回折した他層迷光401の1次回折光605の光検知器209上での入射範囲を示す。点線はホログラム回折素子207の領域301〜307の全てに領域305の回折格子が形成されているとした場合の他層迷光401の1次回折光を表している。回折光605は他層迷光401の一部であるため光検知器209上では図のような右の位置に到達する。このとき、受光素子H、Gの位置が縦方向において、受光素子A〜Dよりも、点線で示した他層迷光401の投影範囲のほぼ半分に相当する距離を離して配置しているので、受光素子A〜Dには、迷光603、605が入射することがない。
さらに、受光素子HとGの対を横方向において受光素子EとGの対の外側に配置し、横方向における領域303の光軸中心部からの距離を適宜設定することにより、回折光603が受光素子Hよりも左側に入射し、横方向における領域305の光軸中心部からの距離を適宜設定することにより、回折光605が受光素子Gよりも右側に入射するようにできた。これにより、ホログラム回折格子207面内において縦方向の中央に位置する領域からの他層迷光401の回折光であっても、受光素子E、F、G、Hへの入射を防止することができる。
図62に領域304で回折した他層迷光401の1次回折光604の光検知器209の受光面と同じ位置の面内における入射範囲を示す。点線はホログラム回折素子207の領域301〜307の全てに領域304の回折格子が形成されているとした場合の他層迷光401の1次回折光を表している。回折光604は他層迷光401の一部であるため光検知器209上では図のような中心の位置に到達する。つまり、ホログラム回折格子207面内における中央の領域304については、光検知器209の受光面において、主光と迷光が同じ位置に入射してしまう。そこで、主光についても1次光を利用しないように受光素子以外の部分に入射するように領域304の回折性能を設定したので、迷光604が受光素子A〜Hに入射することがない。
図63に領域308で回折した他層迷光401の1次回折光608の光検知器209上での入射範囲を示す。回折光608は光検知器上では図のような位置に到達する。これらの領域304、308では、元々主光の1次光が光検知器209の各受光素子A〜Hに入射しないように設定しているので、迷光604、608も各受光素子A〜Hに入射することはない。
図64にL1層記録再生時のホログラム回折素子207を透過した他層迷光402のうち、回折作用を受けなかった0次回折光700の光検知器上での入射範囲を示す。0次回折光はホログラム回折素子207の回折格子構造の面で1度焦点を結びそこから発散しているため、0次回折光700は光検知器上で大きい面積になっている。
そのため、迷光402の0次回折光700は受光素子A〜Dに入射するが、面積が広がっている分、主光と比較して強度が小さいので、影響は小さくなっている。また、受光素子E、F、G、Hの位置が受光素子A〜Dに対して、縦方向において、迷光700の投影範囲の半分に相当する距離を離しているので、受光素子E、F、G、Hには、迷光700が入射することがなく、微小な信号の影響を受けやすいエラー信号を正確に検出できる。また、図65に領域304で回折した1次回折光701の光検知器209の受光面と同じ位置の面内における入射範囲を示す。回折光701は光検知器上では図のような位置に到達する。領域304では、元々主光の1次光が光検知器209の各受光素子A〜Hに入射しないように設定しているので、迷光701も各受光素子A〜Hに入射することはない。なお、領域304のうち、迷光402が集光する面積部分を遮光部材に置き換えれば、迷光402の0次回折光700の光検知器209への入射を防止することもできる。
以上のように、本発明の実施の形態5にかかる光ヘッド装置および光ディスク装置によれば、反射光のうち、光軸中心近傍の領域(図54の領域304)部分の1次回折光が光検知器209の受光面に入射しないようにするとともに、記録再生の対象となる情報記録層L0からの反射光(主光)の1次回折光を受光する対となる受光素子EとF、およびHとGの配置を、情報記録層L0より手前側に隣接する情報記録層L1からの反射光(他層迷光401)の一次光の光検知器209の受光面内での広がりを考慮し、それぞれの受光素子(E,F,G,H)に入射する主光に対応する他層迷光の一次光が入射しないように配置したので、他層迷光401の1次光が受光素子A〜Hに入射することがなく、トラッキングエラー信号を乱すことは無い。
なお、本実施の形態5においても上記各実施の形態と同様に、記録再生の対象を情報記録層L1としたとき、L1より奥側に隣接する情報記録層L0からの反射光(他層迷光402)の回折光701が集光する位置Pにホログラム回折素子207における回折格子構造が形成された面の位置を決めているので、光検知器209の受光素子A〜Hに他層迷光402の1次光701が入射することがなく他層迷光402がトラッキングエラー信号を乱すことは無い。
また、上記各実施の形態では主光の0次光が入射する受光素子A〜Dに対し、回折光が入射する受光素子E〜Hを縦方向において所定距離を離して配置する例を上げているが、例えば、H、E、(A〜D)、F、Gのように横方向に並ぶようにして配置することも可能である。この場合、E、Fに入射する主光の回折光(311、312、316、317)に対応する他層迷光の回折光(601、602、606、607)は、各受光素子が並ぶ位置に対して縦方向で離れた位置に入射するので、各受光素子に入射することはない。また、H、Gに入射する主光の回折光(313、315)に対応する他層迷光の回折光(603、606)は、各受光素子が並ぶ位置に対して横方向で外側に離れた位置に入射するので、各受光素子に入射することはない。
以上、本発明の各実施の形態にかかる光ヘッド装置および光ディスク装置によれば、レーザ光を出射する光源201と、光ディスク101にレーザ光を集光する対物レンズ205と、光ディスク101に集光させたレーザ光の反射光を受光する光検知器209と、対物レンズ205と光検知器209との間に配置され、光ディスク101の情報記録層L1またはL2のうち、記録再生の対象となる情報記録層からの反射光の回折光を光検知器209の受光面に配置された受光素子E,F,G,Hに入射させる回折素子207と、を備え、回折素子207は反射光の光軸に垂直な面内において複数の光学領域301〜308に分割され、複数の光学領域のうち、光軸の中心部分を含まない光学領域(301〜303、305〜307)からの回折光を所定の受光素子E,F,G,Hに入射させ、受光素子E,F,G,Hは、記録再生の対象となる情報記録層に隣接する情報記録層からの反射光の回折光(他層迷光)が入射しないように配置するようにしたので、他層迷光の入射を抑制して正確な信号を得ることができるようになる。そのため、情報トラックへの追従が正確にできるようになる。
とくに、光検知器207における複数の受光素子A〜Hのうち、受光素子E,F,G,Hは、当該受光素子に回折光を入射させる光学領域(Eには301と306、Fには302と307、Hには303、Gには305)の光軸の中心に対する距離と方向(位置)に応じて、当該受光素子および他の受光素子に記録再生の対象となる情報記録層L0よりも手前方向に隣接する情報記録層L1からの反射光の回折光が入射しないように、その大きさと配置を設定したので、他層迷光の入射を抑制して正確な信号を得ることができるようになる。そのため、情報トラックへの追従が正確にできるようになる。
また、回折素子207は、光軸の中心部分を含む領域については、記録再生の対象となる情報記録層L1よりも奥方向に隣接する情報記録層L0からの反射光が集光する位置Pに回折格子構造が形成されるようにしたので、主光の損失を抑えてL0からの迷光を効率的に除去することができる。
また、上記各実施の形態においては、差分により、エラー信号を得るため、対となる受光素子を有する場合についての受光素子の配置について説明したが、本発明の技術思想は差分によらず、例えば単独で回折光を受光して信号を検知する受光素子の大きさや配置に対しても適用できる。
さらに、本発明は情報記録層が2層の光ディスクに限らず、情報記録層を3層以上有する光ディスクにも適用できる。記録・再生の対象となる情報記録層から近い記録層からの迷光ほど、強度が高く、影響が大きいので、本発明の技術思想を適用すれば、少なくとも記録再生の対象となる情報記録層に隣接する情報記録層からの反射光を防止することができるので、実質的に他層迷光の影響を抑制することができる。
また、エラー信号に用いる回折光は、1次光に限られる必要はなく、−1次光や2次光を使用する場合でもよい。