本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
===本発明に係る光検出装置10を具備する光ピックアップ装置1の全体構成===
以下、図2を参照しつつ、本発明に係る光検出装置10を具備する光ピックアップ装置1の全体構成について説明する。図2は、本発明に係る光検出装置10を具備する光ピックアップ装置1の全体構成の一例を示す図である。尚、図2に示す光ディスク90は、複数の情報記録層を有する多層光ディスクの一例として、情報記録層L0と半透明反射膜から形成される情報記録層L1との2つの情報記録層を有するBlu-ray Discであるものとして、以下説明する。また、光ピックアップ装置1は、例えば差動プッシュプル法に基づくトラッキング制御及び差動非点収差法に基づくフォーカス制御を行うものとして、以下説明する。
光ピックアップ装置1は、半導体レーザー2、回折格子3、偏光ビームスプリッタ4、コリメータレンズ5、1/4波長板6、対物レンズ7、アクチュエータ8、検出レンズ9、光検出装置10を有する。尚、図2に示す光ピックアップ装置1は、一般的な光ピックアップ装置が有するフロントモニタダイオード等は省略している。
半導体レーザー2は、例えばp型半導体とn型半導体とをpn接合したダイオードから構成されている。半導体レーザー2は、不図示のレーザー駆動回路からの制御電圧が印加されることにより、光ディスク90の情報記録層L0までの保護層の厚み(0.1mm〜0.075mm)に対応する波長(400nm〜410nm)であって、所定方向の直線偏光であるレーザー光を出射する。このレーザー光の光強度分布は、図2円内に示すように、中心の光強度が最も強く、中心から離れるにつれて光強度が弱くなる、所謂ガウシアン分布(正規分布)となる。
回折格子3は、半導体レーザー2からのレーザー光を基に、例えば0次光(メインビームとも称する)及び±1次回折光(正の回折次数の回折光、負の回折次数の回折光。(先行及び後行)サブビームとも称する)を発生する。この回折格子3は、0次光と±1次回折光との光量比を、例えば10〜20:1とする回折効率を有する。
偏光ビームスプリッタ4は、前述の所定方向の直線偏光を透過し、所定方向と直交する直線偏光を検出レンズ9へ反射する偏光膜を有する。このため、偏光ビームスプリッタ4は、回折格子3からの0次光及び±1次回折光を透過する。また、偏光ビームスプリッタ4は、光ディスク90の情報の再生又は記録の対象である一の情報記録層(L0又はL1。以下、対象の情報記録層という)からの0次反射光及び±1次反射光を、検出レンズ9へ反射する。更に、偏光ビームスプリッタ4は、光ディスク90の情報の再生又は記録の対象ではない他の情報記録層(L1又はL0。以下、非対象の情報記録層という)からの0次反射光(以下、迷光という。0次の反射光)及び±1次反射光を、検出レンズ9へ反射する。尚、光ディスク90の前記非対象の情報記録層からの±1次反射光の光量は、回折格子3の回折効率や前記非対象の情報記録層に対する±1次回折光の非集光等に起因して、トラッキングエラー信号及びフォーカスエラー信号の検出に影響を及ぼさない程度の光量となるため、本実施形態においては、説明を省略する。
コリメータレンズ5は、偏光ビームスプリッタ4からの0次光及び±1次回折光を略平行光に変換して、1/4波長板6に出射する。また、コリメータレンズ5は、1/4波長板6からの0次反射光及び±1次反射光、迷光を収束光に変換して、偏光ビームスプリッタ4に出射する。
1/4波長板6は、前述の所定方向の直線偏光を所定回転方向の円偏光に変換し、所定回転方向とは逆方向の円偏光を所定方向と直交する直線偏光に変換するように光軸方向が設定された、複屈折シート、ポリマー材料等の高分子材料や水晶等から構成される。このため、1/4波長板6は、コリメータレンズ5からの0次光及び±1次回折光を、所定回転方向の円偏光に変換する。また、1/4波長板6は、対物レンズ7からの所定回転方向とは逆方向の円偏光である0次反射光及び±1次反射光、迷光を、所定方向と直交する直線偏光に変換する。
対物レンズ7は、光ディスク90の規格に対応する開口数(0.85)を有し、トラッキング制御用のコイル及びフォーカス制御用のコイルを有する不図示のホルダーにて保持される。対物レンズ7は、1/4波長板6からの0次光及び±1次回折光を、光ディスク90の前記対象の情報記録層(L0又はL1)に集光する。この結果、0次光及び±1次回折光は、光ディスク90の前記対象の情報記録層(L0又はL1)に集光されるとともに、光ディスク90の前記非対象の情報記録層(L1又はL0)を照射することとなる。このため、光ディスク90において、所定回転方向とは逆方向の円偏光である、0次反射光及び±1次反射光、迷光が発生することとなる。そして、対物レンズ7は、光ディスク90からの0次反射光及び±1次反射光、迷光を略平行光に変換して、1/4波長板6に出射する。
尚、この0次反射光とは、光ディスク90の前記対象の情報記録層(L0及びL1)に螺旋状に形成されたトラックのうち、情報の再生又は記録対象のトラック(以下、目標トラックという)で0次光が反射回折されることにより発生する、例えば0次光及び±1次回折光を示すものである。そこで、本実施形態おいては、通常0次反射光と称し、必要に応じて、0次反射光を構成する0次光を0次の0次反射光と称し、±1次回折光を±1次の0次反射光と称する。また、±1次反射光とは、光ディスク90の前記対象の情報記録層の目標トラックと相反して隣接するトラック(以下、第1隣接トラック、第2隣接トラックという)で±1次回折光が反射回折されることにより発生する、例えば各0次光及び±1次回折光を示すものである。そこで、本実施形態においては、通常+1次反射光と称し、必要に応じて、+1次反射光を構成する0次光を0次の+1次反射光(0次の第1反射光)と称し、±1次回折光を±1次の+1次反射光(正の回折次数の第2反射光、負の回折次数の第3反射光)と称する。同様に、通常−1次反射光と称し、必要に応じて、−1次反射光を構成する0次光を0次の−1次反射光(0次の第4反射光)と称し、±1次回折光を±1次の−1次反射光(正の回折次数の第5反射光、負の回折次数の第6反射光)と称する。
アクチュエータ8は、トラッキング制御用の磁気部材(マグネット、ヨーク等)、フォーカス制御用の磁気部材(同様)、一端が対物レンズ7を保持するホルダーに固着されたサスペンションワイヤ等から構成される。アクチュエータ8は、不図示のサーボ制御回路からのトラッキングエラー信号に基づく制御電圧が印加されることによって発生する、トラッキング制御用の磁気部材と前述のコイルとの磁気作用により、対物レンズ7を光ディスク90の径方向へ移動する。また、アクチュエータ8は、不図示のサーボ制御回路からのフォーカスエラー信号に基づく制御電圧が印加されることによって発生する、フォーカス制御用の磁気部材と前述のコイルとの磁気作用により、対物レンズ7を光軸方向に移動する。
検出レンズ9は、シリンドリカルレンズ等で構成され、偏光ビームスプリッタ4からの0次反射光及び±1次反射光、迷光に非点収差を付与する。
光検出装置10は、後述する受光面11乃至受光面13を有し、検出レンズ9からの0次反射光及び±1次反射光、迷光を受光する。以下、光検出装置10の構成について詳述する。
===本発明に係る光検出装置10の構成===
以下、図2、図15、図17を適宜参照しつつ、図1、図3、図4を用いて、本発明に係る光検出装置10の構成について説明する。図1は、本発明に係る光検出装置10が有する受光面11乃至受光面13を示す図である。図3は、本発明に係る光検出装置10の受光面11乃至受光面13が受光する、迷光の光強度分布を示す図である。図4は、回折格子3を回転することにより、本発明に係る光検出装置10において、0次反射光と迷光のみを受光する様子を示す図である。尚、図1等に示す0次反射光及び±1次反射光は、光ディスク90の前記対象の情報記録層(L0又はL1)の目標トラックに0次光が合焦及び追従しているときの、受光面11乃至受光面13への受光の様子を示すものである。
光検出装置10は、受光面11(第1受光面)、受光面12(第2受光面)、受光面13(第3受光面)を有する。
受光面11は、全受光領域の形状が例えば正方形であって、0次反射光を受光するための受光領域A乃至受光領域Dを有する。受光領域A乃至受光領域Dは、各受光領域を正方形の形状とするために、全受光領域の中心から同一の放射角度をもって全受光領域を4分割したものである。詳述すると、受光領域A、受光領域Bと受光領域C、受光領域Dとは、光ディスク90の前記対象の情報記録層(L0又はL1)の目標トラックに0次光が合焦しているときの0次の0次反射光の中心を通り、且つ、前記対象の情報記録層の目標トラックの接線と対応する分割線で、全受光領域を分割した領域である。また、受光領域A、受光領域Dと受光領域B、受光領域Cとは、前記対象の情報記録層(L0又はL1)の目標トラックに0次光が合焦しているときの0次の0次反射光の中心を通り、且つ、光ディスク90の径と対応する分割線で、全受光領域を分割した領域である。そして、このような分割結果により、受光領域A乃至受光領域Dは、例えば従来の正方形の受光領域A乃至受光領域Dの一辺の長さと等しい一辺の長さからなる正方形の形状となる。そして、受光面11は、受光領域A、受光領域Bにおいて、前記対象の情報記録層(L0又はL1)からの0次反射光のうち、0次の0次反射光の一部と+1次の0次反射光(斜線部)を受光する。また、受光面11は、受光領域C、受光領域Dにおいて、前記対象の情報記録層(L0又はL1)からの0次反射光のうち、0次の0次反射光の他の一部と−1次の0次反射光(斜線部)を受光する。尚、受光面11は、受光領域A乃至受光領域Dにおいて、前記非対象の情報記録層(L1又はL0)からの迷光を受光することとなる。しかしながら、受光面11が受光する迷光は、例えば受光面12、受光面13が受光する迷光のように増幅されない等の理由により、トラッキングエラー信号及びフォーカスエラー信号に対する影響が受光面12、受光面13が受光する迷光の影響に比べて小さい。そこで、本実施形態においては、受光面11が受光する迷光については、説明を省略するものとする。そして、受光面11は、受光領域A乃至受光領域Dにおいて受光した0次反射光の光量に応じた光電変換信号A乃至光電変換信号Dを生成して、後段のトラッキングエラー信号を生成する演算処理回路40(後述の図5参照)、フォーカスエラー信号を形成する演算処理回路60(後述の図6参照)に出力する。
尚、前記対象の情報記録層(L0又はL1)の目標トラックに0次光が合焦及び追従している場合、受光面11は図1に示すように0次反射光を略均等に受光するため、受光領域Aにおいて受光する0次の0次反射光の一部と+1次の0次反射光の光量と、受光領域Bにおいて受光する0次の0次反射光の一部と+1次の0次反射光の光量と、受光領域Cにおいて受光する0次の0次反射光の他の一部と−1次の0次反射光の光量と、受光領域Dにおいて受光する0次の0次反射光の他の一部と−1次の0次反射光の光量とは略同一となる。
受光面12は、受光面11と所定間隔をもって隣接し、全受光領域の形状が例えばT字形である。この受光面12は、+1次反射光を受光するための受光領域E(第1受光領域)、受光領域F(第1受光領域)、受光領域G(第2受光領域)、受光領域H(第2受光領域)を有する。受光領域E乃至受光領域Hは、受光領域E、受光領域Fの形状を例えば正方形とし、受光領域G、受光領域Hの形状を例えば長方形の形状とするために、受光面12の全受光領域を4分割したものである。詳述すると、受光領域E、受光領域Fと受光領域G、受光領域Hとは、前記対象の情報記録層(L0又はL1)の目標トラックに0次光が合焦しているときの0次の+1次反射光の中心を通り、且つ、+1次回折光が集光する前記対象の情報記録層(L0又はL1)の第1隣接トラックの接線と対応する直線状の第1分割線で、受光面12の全受光領域が分割された領域である。また、受光領域E、受光領域Hと受光領域F、受光領域Gとは、前記対象の情報記録層(L0又はL1)の目標トラックに0次光が合焦しているときの0次の+1次反射光の中心を通り、且つ、第1分割線と直交し光ディスク90の径と対応する第2分割線と第3分割線とで、受光面12の全受光領域が分割され領域である。そして、このような分割結果により、受光領域E、受光領域Fは、受光領域A乃至受光領域Dの一辺の長さと等しく、且つ、図15、図17に示す従来の正方形の受光領域E´、受光領域F´の一辺の長さと等しい一辺の長さx1からなる正方形の形状となる。また、受光領域G、受光領域Hは、前述の光ディスク90の径と対応する分割方向の長さが、図15、図17に示す従来の正方形の受光領域G´、受光領域H´の一辺の長さと等しい長さx1であり、前述の第1隣接トラックの接線と対応する分割方向の長さが、従来の正方形の受光領域G´、受光領域H´の一辺の長さよりも短い長さx2である、長方形の形状となる。
この受光領域G、受光領域Hの長さx2は、当該受光領域G、受光領域Hがその面積に応じて受光する迷光の光量を、受光領域E、受光領域Fがその面積に応じて受光する迷光の光量と略同一とするために、次のように定められる。以下、図3、図4を参照しつつ、受光領域G、受光領域Hの面積について詳述する。尚、説明の便宜上、受光領域Eと受光領域Fとの和を受光領域E+Fと称し、受光領域Gと受光領域Hとの和を受光領域G+Hと称する。
半導体レーザー2が出射するレーザー光は、前述したようにガウシアン分布を示す光強度となるため、迷光もまた、図3に示すように(Z1、Z2を含む)、中心の光強度が最も強く、中心から離れるにつれて光強度が弱くなる光強度分布となる。このため、受光面11との距離が受光領域E+Fよりも短い受光領域G+Hは、受光領域E+Fが受光する迷光よりも光強度が強い迷光を受光することとなる。このため、仮に、受光領域G+Hの面積が、受光領域E+Fの面積と等しい(図3、図4太字破線内に示す面積(α/2・2=α)を受光領域G+Hに加えた)場合、当該受光領域G+Hが受光する迷光の光量(Y1+Z1)は、受光領域E+Fが受光する迷光の光量(X1)よりも光強度の差に応じて大きくなる。そこで、本実施形態においては、受光領域E+Fが受光する迷光の光量(X1)と略同一の光量(Y1)の迷光のみを受光領域G+Hが受光するように、当該受光領域G+Hの面積を受光領域G、受光領域Hの長さx2で定める。
この受光領域G、受光領域Hの長さx2は、
α/2=x1・(x1−x2)から、
x2=x1−{α/(2・x1)}
から求められる。そして、受光領域G、受光領域Hの長さx2を上式から得られる値とすることにより、受光領域E+Fが受光する迷光の光量(X1)と略同一の光量(Y1)の迷光のみを受光する受光領域G+Hの面積が設定されることとなる。尚、受光領域G、受光領域Hの長さx2は、0次の+1次反射光の半径以上であることが望ましい。何故ならば、受光領域G、受光領域Hの長さx2が、0次の+1次反射光の半径以上であることによって、受光面12が受光領域G、受光領域Hにおいて、全ての+1次反射光を受光することとなり、より正確なトラッキングエラー信号、フォーカスエラー信号を検出可能となるためである。
尚、上述の迷光を受光しない面積α/2の検出は、例えば、以下の方法を用いることで検出可能となる。図4に示すように、回折格子3を所定方向(例えば、図2紙面手前から奥方向)へ回転すると、受光面12は、受光領域E乃至受光領域Hにおいて、迷光のみを受光することとなる。従って、このとき受光面12が生成する光電変換信号E乃至光電変換信号Hは、迷光成分のみの信号となる(以下、迷光成分の光電変換信号E乃至光電変換信号Hを、光電変換信号E(2)乃至光電変換信号H(2)という)。そこで、(光電変換信号G(2)+光電変換信号H(2))−(光電変換信号E(2)+光電変換信号F(2))がゼロとなるように、受光領域G+Hの面積を、例えばシミュレーション等で調整する。この結果、受光領域E+Fが受光する迷光の光量(X1)と略同一の光量(Y1)の迷光のみを受光可能となる受光領域G+Hの面積が設定される。そして、シミュレーション等で調整する前の受光領域G+Hの面積(図15、図17に示す受光領域G´の面積+受光領域H´の面積)から、シミュレーション等で調整した後の受光領域G+Hの面積を減じることにより、上述の面積α/2を検出することが可能となる。或いは、半導体レーザー2が出射するレーザー光の光強度分布に基づくシミュレーション等により、迷光を受光しない面積α/2を検出することも可能である。
そして、受光面12は、受光領域E、受光領域Fにおいて、前記対象の情報記録層(L0又はL1)からの+1次反射光のうち、0次の+1次反射光の一部(0次の第1反射光の一部)と+1次の+1次反射光(斜線部)を受光する。また、受光面12は、受光領域G、受光領域Hにおいて、前記対象の情報記録層(L0又はL1)からの+1次反射光のうち、0次の+1次反射光の他の一部(第1反射光の他の一部)と−1次の+1次反射光(斜線部)を受光する。更に、受光面12は、受光領域E乃至受光領域Hにおいて、前記非対象の情報記録層(L1又はL0)からの迷光を受光する。そして、受光面12は、受光領域E乃至受光領域Hにおいて受光した+1次反射光及び迷光の光量に応じた光電変換信号E乃至光電変換信号Hを生成して、後段の演算処理回路40、60に出力する。尚、本実施形態において、0次の+1次反射光の一部と0次の+1次反射光の他の一部とは、図1に示すように、円形の0次の+1次反射光を二分割した一方と他方であるものとして説明しているが、これに限るものではない。例えば、0次の+1次反射光の一部は、0次の+1次反射光の一部であって、0次の+1次反射光の他の一部は、前記一部以外の0次の+1次反射光の一部であっても良い
尚、前記対象の情報記録層(L0又はL1)の目標トラックに0次光が合焦及び追従している場合、受光面12は図1に示すように+1次反射光を略同一に受光するため、受光領域Eにおいて受光する0次の+1次反射光の一部と+1次の+1次反射光の光量と、受光領域Fにおいて受光する0次の+1次反射光の一部と+1次の+1次反射光の光量と、受光領域Gにおいて受光する0次の+1次反射光の他の一部と−1次の+1次反射光の光量と、受光領域Hにおいて受光する0次の+1次反射光の他の一部と−1次の+1次反射光の光量とは略同一となる。
受光面13は、受光面12と相反する側に受光面11と所定間隔をもって隣接し、全受光領域の形状が例えば凸形である。この受光面13は、−1次反射光を受光するための受光領域I(第3受光領域)、受光領域J(第3受光領域)、受光領域K(第4受光領域)、受光領域L(第4受光領域)を有する。受光領域I乃至受光領域Lは、受光領域I、受光領域Jの形状を例えば長方形とし、受光領域K、受光領域Lの形状を例えば正方形とするために、受光面13の全受光領域を4分割したものである。詳述すると、受光領域I、受光領域Jと受光領域K、受光領域Lとは、前記対象の情報記録層(L0又はL1)の目標トラックに0次光が合焦しているときの0次の−1次反射光の中心を通り、且つ、−1次回折光が集光する前記対象の情報記録層(L0又はL1)の第2隣接トラックの接線と対応する第4分割線で、受光面13の全受光領域が分割された領域である。また、受光領域I、受光領域Lと受光領域J、受光領域Kとは、前記対象の情報記録層(L0又はL1)の目標トラックに0次光が合焦しているときの0次の−1次反射光の中心を通り、且つ、第4分割線と直交し光ディスク90の径と対応する第5分割線と第6分割線とで、受光面13の全受光領域が分割された領域である。そして、このような分割結果により、受光領域K、受光領域Lは、受光領域A乃至受光領域Dの一辺の長さと等しく、且つ、図15、図17に示す従来の正方形の受光領域K´、受光領域L´の一辺の長さと等しい長さy1からなる正方形の形状となる。また、受光領域I、受光領域Jは、前述の光ディスク90の径と対応する分割方向の長さが、図15、図17に示す従来の正方形の受光領域I´、受光領域J´の一辺の長さと等しい長さy1であり、前述の第2隣接トラックの接線と対応する分割方向の長さが、従来の正方形の受光領域I´、受光領域J´の一辺の長さよりも短い長さy2である、長方形の形状となる。
この受光領域I、受光領域Jの長さy2は、当該受光領域I、受光領域Jがその面積に応じて受光する迷光の光量を、受光領域K、受光領域Lがその面積に応じて受光する迷光の光量と略同一とするために、次のように定められる。以下、図3を参照しつつ、受光領域I、受光領域Jの面積について詳述する。尚、説明の便宜上、受光領域Iと受光領域Jとの和を受光領域I+Jと称し、受光領域Kと受光領域Lとの和を受光領域K+Lと称する。
前述したように、迷光は、中心の光強度が最も強く、中心から離れるにつれて光強度が弱くなる光強度分布となる(図3(Z1、Z2を含む)参照)。このため、受光面11との距離が受光領域K+Lよりも短い受光領域I+Jは、受光領域K+Lが受光する迷光よりも光強度が強い迷光を受光することとなる。このため、仮に受光領域I+Jの面積が、受光領域K+Lの面積と等しい(図3、図4太字破線内に示す面積(β/2・2=β)を受光領域I+Jに加えた)場合、当該受光領域I+Jが受光する迷光の光量(Y2+Z2)は、受光領域K+Lが受光する迷光の光量(X2)よりも光強度の差に応じて大きくなる。そこで、本実施形態においては、受光領域K+Lが受光する迷光の光量(X2)と略同一の光量(Y2)の迷光のみを受光領域I+Jが受光するように、当該受光領域I+Jの面積を受光領域I、受光領域Jの長さy2で定める。
この受光領域I、受光領域Jの長さy2は、
β/2=y1・(y1−y2)から、
y2=y1−{β/(2・y1)}
から求められる。そして、受光領域I、受光領域Jの長さy2を上式から得られる値とすることにより、受光領域I+Jが受光する迷光の光量(X2)と略同一の光量(Y2)の迷光のみを受光する受光領域I+Jの面積が設定されることとなる。尚、受光領域I、受光領域Jの長さy2は、0次の−次反射光の半径以上であることが望ましい。何故ならば、受光領域I、受光領域Jの長さy2が、0次の−1次反射光の半径以上であることによって、受光面13が受光領域I、受光領域Jにおいて、全ての−1次反射光を受光することとなり、より正確なトラッキングエラー信号、フォーカスエラー信号を検出可能となるためである。また、上述の迷光を受光しない面積β/2の検出は、前述した面積α/2の検出と同様の方法で検出可能である。
そして、受光面13は、受光領域I、受光領域Jにおいて、前記対象の情報記録層(L0又はL1)からの−1次反射光のうち、0次の−1次反射光の一部(0次の第4反射光の一部)と+1次の−1次反射光(斜線部)を受光する。また、受光面13は、受光領域K、受光領域Lにおいて、前記対象の情報記録層(L0又はL1)からの−1次反射光のうち、0次の−1次反射光の他の一部(第4反射光の他の一部)と−1次の−1次反射光(斜線部)を受光する。更に、受光面13は、受光領域I乃至受光領域Lにおいて、前記非対象の情報記録層(L1又はL0)からの迷光を受光する。そして、受光面13は、受光領域I乃至受光領域Lにおいて受光した−1次反射光及び迷光の光量に応じた光電変換信号I乃至光電変換信号Lを生成して、後段の演算処理回路40、60に出力する。尚、本実施形態において、0次の−1次反射光の一部と0次の−1次反射光の他の一部とは、図1に示すように、円形の0次の−1次反射光を二分割した一方と他方であるものとして説明しているが、これに限るものではない。例えば、0次の−1次反射光の一部は、0次の−1次反射光の一部であって、0次の−1次反射光の他の一部は、前記一部以外の0次の−1次反射光の一部であっても良い。
尚、前記対象の情報記録層(L0又はL1)の目標トラックに0次光が合焦及び追従している場合、受光面13は図1に示すように−1次反射光を略同一に受光するため、受光領域Iにおいて受光する0次の−1次反射光の一部と+1次の−1次反射光の光量と、受光領域Jにおいて受光する0次の−1次反射光の一部と+1次の−1次反射光の光量と、受光領域Kにおいて受光する0次の−1次反射光の他の一部と−1次の−1次反射光の光量と、受光領域Lにおいて受光する0次の−1次反射光の他の一部と−1次の−1次反射光の光量とは略同一となる。
===本発明に係る光検出装置10の受光結果による効果===
以下、図1を適宜参照しつつ、図5、図6を用いて、本発明に係る光検出装置10の受光結果による効果について説明する。
<<トラッキングエラー信号の検出における光検出装置10の効果>>
図5は、本発明に係る光検出装置10の受光結果に基づいてトラッキングエラー信号を生成する演算処理回路40の全体構成の一例を示す回路図である。
演算処理回路40は、加算器41、42、44、45、47、48、50、減算器43、46、49、52、増幅器51を有する。
加算器41、42、減算器43は、トラッキングエラー信号の基となる、0次反射光の光量に応じた信号を生成するために設けられる。
加算器41は、光検出装置10の受光面11が、受光領域Aにおいて受光した0次の0次反射光の一部と+1次の0次反射光の光量に応じた光電変換信号Aと、受光領域Bにおいて受光した0次の0次反射光の一部と+1次の0次反射光の光量に応じた光電変換信号Bと、を加算する。
加算器42は、光検出装置10の受光面11が、受光領域Cにおいて受光した0次の0次反射光の他の一部と−1次の0次反射光の光量に応じた光電変換信号Cと、受光領域Dにおいて受光した0次の0次反射光の他の一部と−1次の0次反射光の光量に応じた光電変換信号Dと、を加算する。
減算器43は、加算器41の加算結果(光電変換信号A+光電変換信号B)から、加算器42の加算結果(光電変換信号C+光電変換信号D)を減算する。この結果、減算器43は、トラッキングエラー信号の基となる、0次反射光の光量に応じた信号{(光電変換信号A+光電変換信号B)−(光電変換信号C+光電変換信号D)}を出力することとなる。
加算器44、45、減算器46は、トラッキングエラー信号の基となる、迷光を相殺した+1次反射光の光量に応じた信号を生成するために設けられる。
加算器44は、光検出装置10の受光面12が、受光領域Eにおいて受光した0次の+1次反射光の一部と+1次の+1次反射光、迷光の光量に応じた光電変換信号Eと、受光領域Fにおいて受光した0次の+1次反射光の一部と+1次の+1次反射光、迷光の光量に応じた光電変換信号Fと、を加算する。以下、光電変換信号E、光電変換信号Fのうち、0次の+1次反射光の一部と+1次の+1次反射光の光量に応じた成分を光電変換信号E(1)、光電変換信号F(1)として説明する。このため、加算器44の加算結果は、光電変換信号E(1)+光電変換信号E(2)+光電変換信号F(1)+光電変換信号F(2)となる。
加算器45は、光検出装置10の受光面12が、受光領域Gにおいて受光した0次の+1次反射光の他の一部と−1次の+1次反射光、迷光の光量に応じた光電変換信号Gと、受光領域Hにおいて受光した0次の+1次反射光の他の一部と−1次の+1次反射光、迷光の光量に応じた光電変換信号Hと、を加算する。以下、光電変換信号G、光電変換信号Hのうち、0次の+1次反射光の他の一部と−1次の+1次反射光の光量に応じた成分を光電変換信号G(1)、光電変換信号H(1)として説明する。このため、加算器45の加算結果は、光電変換信号G(1)+光電変換信号G(2)+光電変換信号H(1)+光電変換信号H(2)となる。
減算器46は、加算器44の加算結果(光電変換信号E(1)+光電変換信号E(2)+光電変換信号F(1)+光電変換信号F(2))から、加算器45の加算結果(光電変換信号G(1)+光電変換信号G(2)+光電変換信号H(1)+光電変換信号H(2))を減じる。ここで、受光領域G+Hの面積は、受光領域E+Fが受光する迷光の光量(X1)と略同一の光量(Y1)の迷光のみを受光するように設定されているため、光電変換信号E(2)+光電変換信号F(2)と光電変換信号G(2)+光電変換信号H(2)とは、略同一の光量(X1又はY1)を示す信号となる。この結果、減算器46の減算処理により、光電変換信号E(2)+光電変換信号F(2)は、光電変換信号G(2)+光電変換信号H(2)で相殺される。つまり、受光面12が、受光領域E、受光領域Fにおいて受光した迷光は、受光領域G、受光領域Hにおいて受光した迷光で相殺されることとなる。そして、このことにより減算器46の減算結果は、迷光を相殺した+1次反射光の光量に応じた、光電変換信号E(1)+光電変換信号F(1)−(光電変換信号G(1)+光電変換信号H(1))となり、受光面12が受光領域E乃至受光領域Lにおいて受光する迷光の、トラッキングエラー信号に対する影響を防止又は低減することが可能となる。
加算器47、48、減算器49は、トラッキングエラー信号の基となる、迷光を相殺した−1次反射光の光量に応じた信号を生成するために設けられる。
加算器47は、光検出装置10の受光面13が、受光領域Iにおいて受光した0次の−1次反射光の一部と+1次の−1次反射光、迷光の光量に応じた光電変換信号Iと、受光領域Jにおいて受光した0次の−1次反射光の一部と+1次の−1次反射光、迷光の光量に応じた光電変換信号Jと、を加算する。以下、光電変換信号I、光電変換信号Jのうち、0次の−1次反射光の一部と+1次の−1次反射光の光量に応じた成分を光電変換信号I(1)、光電変換信号J(1)とし、迷光の光量に応じた成分を光電変換信号I(2)、光電変換信号J(2)として説明する。
加算器48は、光検出装置10の受光面13が、受光領域Kにおいて受光した0次の−1次反射光の他の一部と−1次の−1次反射光、迷光の光量に応じた光電変換信号Kと、受光領域Lにおいて受光した0次の−1次反射光の他の一部と−1次の−1次反射光、迷光の光量に応じた光電変換信号Lと、を加算する。以下、光電変換信号K、光電変換信号Lのうち、0次の−1次反射光の他の一部と−1次の−1次反射光の光量に応じた成分を光電変換信号K(1)、光電変換信号L(1)とし、迷光の光量に応じた成分を光電変換信号K(2)、光電変換信号L(2)として説明する。
減算器49は、加算器47の加算結果(光電変換信号I(1)+光電変換信号I(2)+光電変換信号J(1)+光電変換信号J(2))から、加算器48の加算結果(光電変換信号K(1)+光電変換信号K(2)+光電変換信号L(1)+光電変換信号L(2))を減じる。ここで、受光領域I+Jの面積は、受光領域K+Lが受光する迷光の光量(X2)と略同一の光量(Y2)の迷光のみを受光するように設定されているため、光電変換信号I(2)+光電変換信号J(2)と光電変換信号K(2)+光電変換信号L(2)とは、略同一の光量(X2又はY2)を示す信号となる。この結果、減算器49の減算処理により、光電変換信号I(2)+光電変換信号J(2)は、光電変換信号K(2)+光電変換信号L(2)で相殺される。つまり、受光面13が、受光領域I、受光領域Jにおいて受光した迷光は、受光領域K、受光領域Lにおいて受光した迷光で相殺されることとなる。そして、このことにより、減算器49の減算結果は、迷光を相殺した−1次反射光の光量に応じた、光電変換信号I(1)+光電変換信号J(1)−(光電変換信号K(1)+光電変換信号L(1))となり、受光面13が受光領域I乃至受光領域Lにおいて受光する迷光の、トラッキングエラー信号に対する影響を防止又は低減することが可能となる。
加算器50は、減算器46の減算結果{光電変換信号E(1)+光電変換信号F(1)−(光電変換信号G(1)+光電変換信号H(1))}と、減算器49の減算結果{光電変換信号I(1)+光電変換信号J(1)−(光電変換信号K(1)+光電変換信号L(1))}とを加算する。
増幅器51は、加算器50の加算結果{(光電変換信号E(1)+光電変換信号F(1))−(光電変換信号G(1)+光電変換信号H(1))+(光電変換信号I(1)+光電変換信号J(1))−(光電変換信号K(1)+光電変換信号L(1))}を、増幅率Kで増幅する。この増幅率Kは、回折格子3の回折効率による0次光と±1次回折光の光強度の相違を調整するべく定まる値である。
減算器52は、減算器43の減算結果{(光電変換信号A+光電変換信号B)−(光電変換信号C+光電変換信号D)}から、増幅器51の増幅結果[K・{(光電変換信号E(1)+光電変換信号F(1))−(光電変換信号G(1)+光電変換信号H(1))+(光電変換信号I(1)+光電変換信号J(1))−(光電変換信号K(1)+光電変換信号L(1))}]を減算することにより、トラッキングエラー信号を生成する。そして、このトラッキングエラー信号は、{(光電変換信号A+光電変換信号B)−(光電変換信号C+光電変換信号D)}−K・{(光電変換信号E(1)+光電変換信号F(1))−(光電変換信号G(1)+光電変換信号H(1))+(光電変換信号I(1)+光電変換信号J(1))−(光電変換信号K(1)+光電変換信号L(1))}となり、受光面12が受光領域E乃至受光領域Hで受光した迷光、及び受光面13が受光領域I乃至受光領域Lで受光した迷光の何れもが相殺された信号となる。つまり、前記対象の情報記録層(L0又はL1)の目標トラックに対する、0次光の位置ずれに正確に対応したトラッキングエラー信号が生成されることとなる。
<<フォーカスエラー信号の検出における光検出装置10の効果>>
図6は、本発明に係る光検出装置10の受光結果に基づいてフォーカスエラー信号を生成する演算処理回路60の全体構成の一例を示す回路図である。
演算処理回路60は、加算器61、62、64、65、67、68、70、72、減算器63、66、69、増幅器71を有する。
加算器61、62、減算器63は、フォーカスエラー信号の基となる、0次反射光の光量に応じた信号を生成するために設けられる。
加算器61は、光検出装置10の受光面11が、受光領域Aにおいて受光した0次の0次反射光の一部と+1次の0次反射光の光量に応じた光電変換信号Aと、受光領域Cにおいて受光した0次の0次反射光の他の一部と−1次の0次反射光の光量に応じた光電変換信号Cと、を加算する。
加算器62は、光検出装置10の受光面11が、受光領域Bにおいて受光した0次の0次反射光の一部と+1次の0次反射光の光量に応じた光電変換信号Bと、受光領域Dにおいて受光した0次の0次反射光の他の一部と−1次の0次反射光の光量に応じた光電変換信号Dと、を加算する。
減算器63は、加算器61の加算結果(光電変換信号A+光電変換信号C)から、加算器62の加算結果(光電変換信号B+光電変換信号D)を減算する。この結果、減算器63は、フォーカスエラー信号の基となる、0次反射光の光量に応じた信号{(光電変換信号A+光電変換信号C)−(光電変換信号B+光電変換信号D)}を出力することとなる。
加算器64、65、減算器66は、フォーカスエラー信号の基となる、迷光を相殺した+1次反射光の光量に応じた信号を生成するために設けられる。
加算器64は、光検出装置10の受光面12が、受光領域Eにおいて受光した0次の+1次反射光の一部と+1次の+1次反射光の光量に応じた光電変換信号E(1)と、迷光の光量に応じた光電変換信号E(2)と、受光領域Gにおいて受光した0次の+1次反射光の他の一部と−1次の+1次反射光の光量に応じた光電変換信号G(1)と、迷光の光量に応じた光電変換信号G(2)と、を加算する。
加算器65は、光検出装置10の受光面12が、受光領域Fにおいて受光した0次の+1次反射光の一部と+1次の+1次反射光の光量に応じた光電変換信号F(1)と、迷光の光量に応じた光電変換信号F(2)と、受光領域Hにおいて受光した0次の+1次反射光の他の一部と−1次の+1次反射光の光量に応じた光電変換信号H(1)と、迷光の光量に応じた光電変換信号H(2)と、を加算する。
減算器66は、加算器64の加算結果(光電変換信号E(1)+光電変換信号E(2)+光電変換信号G(1)+光電変換信号G(2))から、加算器65の加算結果(光電変換信号F(1)+光電変換信号F(2)+光電変換信号H(1)+光電変換信号H(2))を減じる。ここで、受光領域G+Hの面積は、受光領域E+Fが受光する迷光の光量(X1)と略同一の光量(Y1)となる迷光のみを受光するように設定され、更に、受光領域Eと受光領域Fとは同一面積であり、受光領域Gと受光領域Hとは同一面積であるため、光電変換信号E(2)+光電変換信号G(2)と光電変換信号F(2)+光電変換信号H(2)とは、略同一の光量(X1又はY1)を示す信号となる。この結果、減算器66の減算処理により、光電変換信号E(2)+光電変換信号G(2)は、光電変換信号F(2)+光電変換信号H(2)で相殺される。つまり、受光面12が、受光領域E、受光領域Gにおいて受光した迷光は、受光領域F、受光領域Hにおいて受光した迷光で相殺されることとなる。そして、このことにより減算器66の減算結果は、迷光を相殺した+1次反射光の光量に応じた、光電変換信号E(1)+光電変換信号G(1)−(光電変換信号F(1)+光電変換信号H(1))となり、受光面12が受光領域E乃至受光領域Lにおいて受光する迷光の、フォーカスエラー信号に対する影響を防止又は低減することが可能となる。
加算器67、68、減算器69は、フォーカスエラー信号の基となる、迷光を相殺した−1次反射光の光量に応じた信号を生成するために設けられる。
加算器67は、光検出装置10の受光面13が、受光領域Iにおいて受光した0次の−1次反射光の一部と+1次の−1次反射光の光量に応じた光電変換信号I(1)と、迷光の光量に応じた光電変換信号I(2)と、受光領域Kにおいて受光した0次の−1次反射光の他の一部と−1次の−1次反射光の光量に応じた光電変換信号K(1)と、迷光の光量に応じた光電変換信号K(2)と、を加算する。
加算器68は、光検出装置10の受光面13が、受光領域Jにおいて受光した0次の−1次反射光の一部と+1次の−1次反射光の光量に応じた光電変換信号J(1)と、迷光の光量に応じた光電変換信号J(2)と、受光領域Lにおいて受光した0次の−1次反射光の他の一部と−1次の−1次反射光の光量に応じた光電変換信号L(1)と、迷光の光量に応じた光電変換信号L(2)と、を加算する。
減算器69は、加算器67の加算結果(光電変換信号I(1)+光電変換信号I(2)+光電変換信号K(1)+光電変換信号K(2))から、加算器68の加算結果(光電変換信号J(1)+光電変換信号J(2)+光電変換信号L(1)+光電変換信号L(2))を減じる。ここで、受光領域I+Jの面積は、受光領域K+Lが受光する迷光の光量(X2)と略同一の光量(Y2)となる迷光のみを受光するように設定され、更に、受光領域Iと受光領域Jとは同一面積であり、受光領域Kと受光領域Lとは同一面積であるため、光電変換信号I(2)+光電変換信号K(2)と光電変換信号J(2)+光電変換信号L(2)とは、略同一の光量(X2又はY2)を示す信号となる。この結果、減算器69の減算処理により、光電変換信号I(2)+光電変換信号K(2)は、光電変換信号J(2)+光電変換信号L(2)で相殺される。つまり、受光面13が、受光領域I、受光領域Kにおいて受光した迷光は、受光領域J、受光領域Lにおいて受光した迷光で相殺されることとなる。そして、このことにより減算器69の減算結果は、迷光を相殺した−1次反射光の光量に応じた、光電変換信号I(1)+光電変換信号K(1)−(光電変換信号J(1)+光電変換信号L(1))となり、受光面13が受光領域I乃至受光領域Lにおいて受光する迷光の、フォーカスエラー信号に対する影響を防止又は低減することが可能となる。
加算器70は、減算器66の減算結果{光電変換信号E(1)+光電変換信号G(1)−(光電変換信号F(1)+光電変換信号H(1))}と、減算器69の減算結果{光電変換信号I(1)+光電変換信号K(1)−(光電変換信号J(1)+光電変換信号L(1))}と、を加算する。
増幅器71は、加算器70の加算結果{(光電変換信号E(1)+光電変換信号G(1))−(光電変換信号F(1)+光電変換信号H(1))+(光電変換信号I(1)+光電変換信号K(1))−(光電変換信号J(1)+光電変換信号L(1))}を、増幅率Kで増幅する。この増幅率Kは、前述の演算処理回路40の増幅器51の増幅率Kと略同一である。
加算器72は、減算器63の減算結果{(光電変換信号A+光電変換信号C)−(光電変換信号B+光電変換信号D)}と、増幅器71の増幅結果[K・{(光電変換信号E(1)+光電変換信号G(1))−(光電変換信号F(1)+光電変換信号H(1))+(光電変換信号I(1)+光電変換信号K(1))−(光電変換信号J(1)+光電変換信号L(1))}]とを加算することにより、フォーカスエラー信号を生成する。そして、このフォーカスエラー信号は、{(光電変換信号A+光電変換信号C)−(光電変換信号B+光電変換信号D)}+K・{(光電変換信号E(1)+光電変換信号G(1))−(光電変換信号F(1)+光電変換信号H(1))+(光電変換信号I(1)+光電変換信号K(1))−(光電変換信号J(1)+光電変換信号L(1))}となり、受光面12が受光領域E乃至受光領域Hで受光した迷光、及び受光面13が受光領域I乃至受光領域Lで受光した迷光の何れもが相殺された信号となる。つまり、前記対象の情報記録層(L0又はL1)に対する、0次光の焦点ずれに正確に対応したフォーカスエラー信号が生成されることとなる。この結果、このフォーカスエラー信号に基づくフォーカス制御と前述のトラッキングエラー信号に基づくトラッキング制御を行うことにより、光ディスク90の一の情報記録層(L0又はL1)に0次光を正確に合焦及び追従させることが可能となり、光ディスク90からの良好な情報の再生又は記録を行うことが可能なる。
上述した実施形態によれば、受光領域E+F(K+L)と受光領域G+H(I+J)の面積を、光ディスク90の他の情報記録層からの迷光の光量を略同一とする面積ことにより、当該受光領域E+F(K+L)が受光する迷光と、当該受光領域G+H(I+J)が受光する迷光とを、互いに相殺させることが可能となる。この結果、良子なトラッキングエラー信号及び/又はフォーカスエラー信号を検出することが可能となり、光ディスク90の一の情報記録層に対して、0次光を正確に集光することが可能となる。このため、光ディスク90の一の情報記録層からの良好な情報の再生又は記録を行うことが可能となる。また、迷光を受光するための受光面を別途設ける必要が無いため、光検出装置10の小型化、コストダウン等を図ることが可能となる。
更に、受光面11との距離が短い受光領域H+G(I+J)の面積を、受光領域H+G(I+J)が受光する迷光の光強度よりも弱い光強度の迷光を受光する受光領域E+F(K+L)よりも小さく設定することにより、より確実に当該受光領域E+F(K+L)が受光する迷光と、当該受光領域G+H(I+J)が受光する迷光とを、互いに相殺させることが可能となる。また、受光領域G+H(I+J)の面積を、従来の受光領域G+H(I+J)の面積(受光領域G+H(I+J)の面積にα(β)を加えた面積)から面積α(β)を減じることにより設定することから、光検出装置10の小型化等を図ることが可能となる。
更に、受光領域E乃至受光領域H、受光領域I乃至受光領域Lを、受光面12、受光面13の全受光領域を前述の第1分割線乃至第6分割線で分割することにより形成することから、差動非点収差法に基づくフォーカス制御を行うことが可能となる。
更に、レーザー光を基に発生する+1次の回折光と−1次の回折光とに応じた受光面12、受光面13及び受光領域E乃至受光領域Lを設けることにより、受光領域E+Fが受光する迷光と受光領域G+Hが迷光とを互いに相殺させることが可能となり、また、受光領域I+Jが受光する迷光と受光領域K+Lが受光する迷光とを互いに相殺させることが可能となる。この結果、+1次反射光と−1次反射光とにより適したトラッキングエラー信号の検出又は/及びフォーカスエラー信号の検出をすることが可能となり、光ディスク90の一の情報記録層に対して、0次光を正確に集光することが可能となる。
また、受光領域E+F(K+L)と受光領域G+H(I+J)の面積を、光ディスク90の他の情報記録層からの迷光の光量を略同一とする面積ことにより、当該受光領域E+F(K+L)が受光する迷光と、当該受光領域G+H(I+J)が受光する迷光とを、互いに相殺させることが可能な光ピックアップ装置1を提供することができる。この結果、良子なトラッキングエラー信号及び/又はフォーカスエラー信号を検出することが可能となり、光ディスク90の一の情報記録層に対して、0次光を正確に集光することが可能となる。このため、光ディスク90の一の情報記録層からの良好な情報の再生又は記録を行うことが可能となる。また、迷光を受光するための受光面を別途設ける必要が無いため、光ピックアップ装置1が具備する光検出装置10の小型化、コストダウン等を図ることが可能となる。
以上、本発明に係る光検出装置、光ピックアップ装置について説明したが、上記の説明は、本発明の理解を容易とするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得る。
<<その他の実施形態(その1)>>
===本発明に係る光検出装置10のその他の形態===
以下、図4、図15、図17を適宜参照しつつ、図7、図8を用いて、本発明に係る光検出装置10のその他の形態について説明する。図7は、本発明に係る光検出装置10が有する受光面11、受光面14、受光面15を示す図である。図8は、本発明に係る光検出装置10の受光面11、受光面14、受光面15が受光する、迷光の光強度分布を示す図である。尚、図7、図8に示す受光面11、受光面14、受光面15において、図1と同様の構成については、同一符号を付して説明を省略する。また、図7、図8に示す各受光面を有する光検出装置10を具備する光ピックアップ装置1は(図2参照)、例えば差動プッシュプル法に基づくトラッキング制御及び非点収差法に基づくフォーカス制御を行うものとして、以下説明する。
受光面14は、受光面11と所定間隔をもって隣接し、全受光領域の形状が例えば正方形である。この受光面14は、+1次反射光を受光するための受光領域E(第1受光領域)、受光領域F(第2受光領域)を有する。受光領域E、受光領域Fは、それぞれの形状を例えば長方形とするために、受光面14の全受光領域を2分割したものである。詳述すると、受光領域Eと受光領域Fとは、+1次回折光が集光する前記対象の情報記録層(L0又はL1)の第1隣接トラックの接線と対応する線分と平行な第1分割線で、受光面14の全受光領域が分割され領域である。そして、この分割結果によって、受光領域Eは、前述の第1隣接トラックの接線と対応する分割方向の長さが、受光領域A+受光領域B(受光領域C+受光領域D)の長手の長さと等しく、且つ、図15、図17に示す従来の長方形の受光領域E´+F´の長手の長さと等しい長さx3であり、光ディスク90の径と対応する方向の長さが、従来の長方形の受光領域E´+F´の短手の長さより長い長さx4である、長方形の形状となる。また、受光領域Fは、前述の第1隣接トラックの接線と対応する分割方向の長さが、受光領域A+受光領域B(受光領域C+受光領域D)の長手の長さと等しく、且つ、図15、図17に示す従来の長方形の受光領域G´+H´の長手の長さと等しい長さx3であり、前述の光ディスク90の径と対応する方向の長さが、従来の長方形の受光領域G´+H´の短手の長さより短い長さx5である、長方形の形状となる。この受光領域Eの長さx4と受光領域Fの長さx5とは、受光領域Eがその面積に応じて受光する迷光の光量と、受光領域Fがその面積に応じて受光する迷光の光量とを略同一とするために、次のように定められる。
半導体レーザー2が出射するレーザー光は、前述したようにガウシアン分布を示す光強度となるため、迷光もまた、図8に示すように、中心の光強度が最も強く、中心から離れるにつれて光強度が弱くなる光強度分布となる。このため、受光面11との距離が受光領域Eよりも短い受光領域Fは、受光領域Eが受光する迷光よりも光強度が強い迷光を受光することとなる。このため、仮に受光領域Eの面積と受光領域Fの面積とが等しい場合(受光面14の全受光領域が図7、図8に示す破線で分割される場合)、当該受光領域Fが受光する迷光の光量(Y3+Z3)は、当該受光領域Eが受光する迷光の光量(X3)よりも光強度の差に応じて大きくなる。そこで、本実施形態においては、受光領域E、受光領域Fがその面積に応じて受光する迷光の光量を略同一とするために、受光領域Eの面積を長さx4で定め、受光領域Fの面積を長さx5で定める。尚、受光領域Eがその面積に応じて受光する迷光の光量がX3+Z3となり、受光領域Fがその面積に応じて受光する迷光の光量がY3となるとき、各迷光の光量は略同一であるものとして説明する。そして、受光領域Eの面積と受光領域Fの面積とが等しい場合の当該受光領域Eの面積に、受光領域Eが受光する迷光の光量をX3+Z3とするべく加える面積をγとする。逆に言えば、受光領域Eの面積と受光領域Fの面積とが等しい場合の当該受光領域Fの面積から、受光領域Fが受光する迷光の光量をY3とするべく減じる面積をγとする。
そして、この受光領域Eの長さx4は、
x4=γ/x3+x3/2
=(2・γ+x32)/2・x3
から求められる。
さらに、受光領域Fの長さx5は、
x5=x3−x4
=(x32−2・γ)/2・x3
から求められる。そして、受光領域Eの長さx4を上式から求められる値とし、受光領域Fの長さx5を上式から求められる値とすることにより、受光領域Eが受光する迷光の光量をX3+Z3とし、受光領域Fが受光する迷光の光量をY3とする、受光領域Eの面積と受光領域Fの面積とが設定されることとなる。尚、受光領域Eの長さx4と受光領域Fの長さx5とは、当該x4とx5によって定まる受光領域Eと受光領域Fとの分割線を、+1次の+1次反射光と−1次の+1次反射光との間とすることが望ましい。何故ならば、x4とx5とによって定まる受光領域Eと受光領域Fとの分割線を、+1次の+1次反射光と−1次の+1次反射光との間とすることにより、受光領域Eにおいて全ての+1次の+1次反射光を受光し、受光領域Fにおいて全ての−1次の+1次反射光を受光することとなり、より正確なトラッキングエラー信号を検出可能となるためである。
尚、上述の受光領域Eに加える面積γ(逆に、受光領域Fから減じる面積γ)の検出は、例えば、以下の方法を用いることで検出可能となる。図4に示すように、回折格子3を所定方向(例えば、図2紙面手前から奥方向)へ回転すると、受光面14は、受光領域E、受光領域F(尚、図4における受光領域E+Fは本実施形態における受光領域Eを示し、受光領域G+Hは本実施形態における受光領域Fを示すものである)において、迷光のみを受光することとなる。したがって、このとき受光面14が生成する光電変換信号E、光電変換信号Fは、迷光成分のみの信号となる。そこで、光電変換信号F−光電変換信号Eがゼロとなるように、面積γを、例えばシミュレーション等で調整する。この結果、受光領域Eがその面積に応じて受光する迷光の光量と、受光領域Fがその面積に応じて受光する迷光の光量と、を略同一とする面積γを検出することが可能となる。或いは、半導体レーザー2が出射するレーザー光の光強度分布に基づくシミュレーション等により、面積γを検出することも可能である。
そして、受光面14は、受光領域Eにおいて、前記対象の情報記録層(L0又はL1)からの+1次反射光のうち、0次の+1次反射光の一部と+1次の+1次反射光(斜線部)を受光する。また、受光面14は、受光領域Fにおいて、前記対象の情報記録層(L0又はL1)からの+1次反射光のうち、0次の+1次反射光の他の一部と−1次の+1次反射光(斜線部)を受光する。更に、受光面14は、受光領域E、受光領域Fにおいて、前記非対象の情報記録層(L1又はL0)からの迷光を受光する。そして、受光面14は、受光領域E、受光領域Fにおいて受光した+1次反射光及び迷光の光量に応じた光電変換信号E、光電変換信号Fを生成して、後段のトラッキングエラー信号を生成する演算処理回路20(後述の図9参照)に出力する。
受光面15は、受光面14と相反す側に受光面11と所定間隔をもって隣接し、全受光領域の形状が例えば正方形である。この受光面15は、−1次反射光を受光するための受光領域G(第3受光領域)、受光領域H(第4受光領域)を有する。受光領域G、受光領域Hは、それぞれの形状を例えば長方形とするために、受光面15の全受光領域を2分割したものである。詳述すると、受光領域Gと受光領域Hとは、−1次回折光が集光する前記対象の情報記録層(L0又はL1)の第2隣接トラックの接線と対応する線分と平行な第1分割線で、受光面15の全受光領域が分割された領域である。そして、この分割結果によって、受光領域Gは、前述の第2隣接トラックの接線と対応する分割方向の長さが、受光領域A+受光領域B(受光領域C+受光領域D)の長手の長さと等しく、且つ、図15、図17に示す従来の長方形の受光領域I´+J´の長手の長さと等しい長さy3であり、光ディスク90の径と対応する方向の長さが、従来の長方形の受光領域I´+J´の短手の長さより短い長さy4である、長方形の形状となる。また、受光領域Hは、前述の第2隣接トラックの接線と対応する分割方向の長さが、受光領域A+受光領域B(受光領域C+受光領域D)の長手の長さと等しく、且つ、図15、図17に示す従来の長方形の受光領域K´+L´の長手の長さと等しい長さy3であり、前述の光ディスク90の径と対応する方向の長さが、従来の長方形の受光領域K´+L´の短手の長さより長い長さy5である、長方形の形状となる。この受光領域Gの長さy4と受光領域Hの長さy5とは、受光領域Gがその面積に応じて受光する迷光の光量と、受光領域Hがその面積に応じて受光する迷光の光量とを略同一とするために、次のように定められる。
前述したように、迷光は、中心の光強度が最も強く、中心から離れるにつれて光強度が弱くなる光強度分布となる(図8参照)。このため、受光面11との距離が受光領域Hよりも短い受光領域Gは、受光領域Hが受光する迷光よりも光強度が強い迷光を受光することとなる。このため、仮に受光領域Gの面積と受光領域Hの面積とが等しい場合(受光面15の全受光領域が図7、図8に示す破線で分割される場合)、当該受光領域Gが受光する迷光の光量(Y4+Z4)は、当該受光領域Hが受光する迷光の光量(X4)よりも光強度の差に応じて大きくなる。そこで、本実施形態においては、受光領域G、受光領域Hがその面積に応じて受光する迷光の光量を略同一とするために、受光領域Gの面積を長さy4で定め、受光領域Hの面積を長さy5で定める。尚、受光領域Hが受光する迷光の光量がX4+Z4となり、受光領域Gが受光する迷光の光量がY4となるとき、各迷光の光量は略同一であるものとして説明する。そして、受光領域Gの面積と受光領域Hの面積とが等しい場合の当該受光領域Hの面積に、受光領域Hが受光する迷光の光量をX4+Z4とするべく加える面積をγ´とする。逆に言えば、受光領域Gの面積と受光領域Hの面積とが等しい場合の当該受光領域Gの面積から、受光領域Gが受光する迷光の光量をY4とするべく減じる面積をγ´とする。
そして、この受光領域Hの長さy5は、
y5=γ´/y3+y3/2
=(2・γ´+y32)/2・y3
から求められる。
さらに、受光領域Gの長さy4は、
y4=y3−y5
=(y32−2・γ´)/2・y3
から求められる。そして、受光領域Hの長さy5を上式から求められる値とすることにより、受光領域Gが受光する迷光の光量をY4とし、受光領域Hが受光する迷光の光量をX4+Z4とする、受光領域Gの面積と受光領域Hの面積とが設定されることとなる。尚、受光領域Gの長さy4と受光領域Hの長さy5とは、当該y4とy5とによって定まる受光領域Gと受光領域Hとの分割線を、+1次の−1次反射光と−1次の−1次反射光との間とすることが望ましい。何故ならば、y4とy5によって定まる受光領域Gと受光領域Hとの分割線を、+1次の−1次反射光と−1次の−1次反射光との間とすることにより、受光領域Gにおいて全ての+1次の−1次反射光を受光し、受光領域Hにおいて全ての−1次の−1次反射光を受光することとなり、より正確なトラッキングエラー信号を検出可能となるためである。また、上述の面積γ´の検出は、上述した面積γの検出と同様の方法で検出可能である。
そして、受光面15は、受光領域Gにおいて、前記対象の情報記録層(L0又はL1)からの−1次反射光のうち、0次の−1次反射光の一部と+1次の−1次反射光(斜線部)を受光する。また、受光面15は、受光領域Hにおいて、前記対象の情報記録層(L0又はL1)からの−1次反射光のうち、0次の−1次反射光の他の一部と−1次の−1次反射光(斜線部)を受光する。更に、受光面15は、受光領域G、受光領域Hにおいて、前記非対象の情報記録層(L1又はL0)からの迷光を受光する。そして、受光面15は、受光領域G、受光領域Hにおいて受光した−1次反射光及び迷光の光量に応じた光電変換信号G、光電変換信号Hを生成して、後段の演算処理回路20に出力する。
===本形態に係る光検出装置10の受光結果による効果===
以下、図7を適宜参照しつつ、図9を用いて、本発明に係る光検出装置10の受光結果による効果について説明する。図9は、本発明に係る光検出装置10の受光結果に基づいてトラッキングエラー信号を生成する演算処理回路20の全体構成の一例を示す回路図である。尚、図9に示す演算処理回路20において、図5に示す演算処理回路40と同様の構成については、同一符号を付して説明を省略する。
演算処理回路20は、減算器21、22、43、52、加算器41、42、50、増幅器51を有する。
減算器21は、トラッキングエラー信号の基となる、迷光を相殺した+1次反射光の光量に応じた信号を生成するために設けられる。減算器21は、光検出装置10の受光面14が、受光領域Eにおいて受光した0次の+1次反射光の一部と+1次の+1次反射光の光量に応じた光電変換信号E(1)と、迷光の光量に応じた光電変換信号E(2)とから、受光領域Fにおいて受光した0次の+1次反射光の他の一部と−1次の+1次反射光の光量に応じた光電変換信号F(1)と、迷光の光量に応じた光電変換信号F(2)とを減じる。ここで、受光領域Eの面積と受光領域Fの面積とは、受光領域Eがその面積に応じて受光する迷光の光量(X3+Z3)と、受光領域Fがその面積に応じて受光する迷光の光量(Y3)とが略同一となるように設定されているため、光電変換信号E(2)と光電変換信号F(2)とは、略同一の光量(X3+Z3又はY3)を示す信号となる。この結果、減算器21の減算処理により、光電変換信号E(2)と光電変換信号F(2)とは、互いに相殺される。つまり、受光面14が、受光領域Eにおいて受光した迷光と、受光領域Fにおいて受光した迷光とは、互いに相殺されることとなる。そして、このことにより減算器21の減算結果は、迷光を相殺した+1次反射光の光量に応じた、光電変換信号E(1)−光電変換信号F(1)となり、受光面14が受光領域E、受光領域Fにおいて受光する迷光の、トラッキングエラー信号に対する影響を防止又は低減することが可能となる。
減算器22は、トラッキングエラー信号の基となる、迷光を相殺した−1次反射光の光量に応じた信号を生成するために設けられる。減算器22は、光検出装置10の受光面15が、受光領域Gにおいて受光した0次の−1次反射光の一部と+1次の−1次反射光の光量に応じた光電変換信号G(1)と、迷光の光量に応じた光電変換信号G(2)とから、受光領域Hにおいて受光した0次の−1次反射光の他の一部と−1次の−1次反射光の光量に応じた光電変換信号H(1)と、迷光の光量に応じた光電変換信号H(2)とを減じる。ここで、受光領域Gの面積と受光領域Hの面積とは、受光領域Gがその面積に応じて受光する迷光の光量(Y4)と、受光領域Hがその面積に応じて受光する迷光の光量(X4+Z4)とが略同一となるように設定されているため、光電変換信号G(2)と光電変換信号H(2)とは、略同一の光量(Y4又はX4+Z4)を示す信号となる。この結果、減算器22の減算処理により、光電変換信号G(2)と光電変換信号H(2)とは、互いに相殺される。つまり、受光面15が、受光領域Gにおいて受光した迷光と、受光領域Hにおいて受光した迷光とは、互いに相殺されることとなる。そして、このことにより減算器22の減算結果は、迷光を相殺した−1次反射光の光量に応じた、光電変換信号G(1)−光電変換信号H(1)となり、受光面15が受光領域G、受光領域Hにおいて受光する迷光の、トラッキングエラー信号に対する影響を防止又は軽減することが可能となる。
そして、減算器52の減算結果であるトラッキングエラー信号は、{(光電変換信号A+光電変換信号B)−(光電変換信号C+光電変換信号D)}−K・{(光電変換信号E(1)−光電変換信号F(1))+(光電変換信号G(1)−光電変換信号H(1))}となり、受光面14が受光領域E、受光領域Fで受光した迷光、及び受光面15が受光領域G、受光領域Hで受光した迷光の何れもが互いに相殺された信号となる。つまり、前記対象の情報記録層(L0又はL1)の目標トラックに対する、0次光の位置ずれに正確に対応したトラッキングエラー信号が生成されることとなる。そして、このトラッキングエラー信号に基づくトラッキング制御と、フォーカスエラー信号{(光電変換信号A+光電変換信号C)−(光電変換信号B+光電変換信号D)}に基づくフォーカス制御を行うことにより、光ディスク90の一の情報記録層(L0又はL1)に0次光を正確に合焦及び追従させることが可能となり、光ディスク90からの良好な情報の再生又は記録を行うことが可能なる。つまり、上述の実施形態と同一の効果を奏することが可能となる。
<<その他の実施形態(その2)>>
図1を示して説明した上述の実施形態によれば、受光領域G、受光領域Hがその面積に応じて受光する迷光の光量と、受光領域E、受光領域Fがその面積に応じて受光する迷光の光量とを略同一とするために、受光領域G、受光領域Hの面積を設定しているがこれに限るものではない。同様に、受光領域I、受光領域Jがその面積に応じて受光する迷光の光量と、受光領域K、受光領域Lがその面積に応じて受光する迷光の光量とを略同一とするために、受光領域I、受光領域Jの面積を設定しているがこれに限るものではない。
例えば、図10に示すように、受光面11からの距離が受光領域G、受光領域Hよりも長い受光領域E、受光領域Fの面積を、受光領域G+Hが受光する迷光の光量と略同一とするように設定しても良い。図10に示す受光領域E、受光領域Fの面積は、受光領域E+Fが受光する迷光の光量を、受光領域G+Hが受光する迷光の光量(Y1+Z1)と略同一とするために、第1隣接トラックの接線と対応する分割方向の受光領域E、受光領域Fの長さを定めることにより設定されるものである。同様に、受光面11からの距離が受光領域I、受光領域Jよりも長い受光領域K、受光領域Lの面積を、受光領域I+Jが受光する迷光の光量と略同一となるように設定しても良い。図10に示す受光領域K、受光領域Lの面積は、受光領域K+Lが受光する迷光の光量を、受光領域I+Jが受光する迷光の光量(Y2+Z2)と略同一とするために、第2隣接トラックの接線と対応する分割方向の受光領域K、受光領域Lの長さを定めることにより設定されるものである。尚、受光領域E、受光領域F、受光領域K、受光領域Lの第1及び第2隣接トラックの接線と対応する分割方向のそれぞれの長さは、上述の実施形態と同様の方法により定めることが可能である。
このように、受光領域E、受光領域F、受光領域K、受光領域Lの面積を設定することにより、検出レンズ9において非点収差が付与された0次の±1次反射光を、受光面12、受光面13において全て受光することが可能となり、より正確な差動非点収差法に基づくフォーカスエラー信号を検出することが可能となる。
また、上述の図10及び図1の実施形態によれば、受光領域E、受光領域Fがその面積に応じて受光する迷光の光量と、受光領域G、受光領域Hがその面積に応じて受光する迷光の光量とを略同一とするために、受光領域E、受光領域Fの面積と受光領域G、受光領域Hの面積との何れかを設定しているがこれに限るものではない。同様に、受光領域I、受光領域Jがその面積に応じて受光する迷光の光量と、受光領域K、受光領域Lがその面積に応じて受光する迷光の光量とを略同一とするために、受光領域I、受光領域Jの面積と受光領域K、受光領域Lの面積との何れかを設定しているがこれに限るものではない。
例えば、図11に示すように、受光領域E、受光領域Fがその面積に応じて受光する迷光の光量と、受光領域G、受光領域Hがその面積に応じて受光する迷光の光量とを略同一とするために、第1隣接トラックの接線と対応する分割方向における受光領域E乃至受光領域Hのそれぞれの長さを定めることにより、受光領域E乃至受光領域Hの面積を設定しても良い。同様に、図11に示すように、受光領域I、受光領域Jがその面積に応じて受光する迷光の光量と、受光領域K、受光領域Lがその面積に応じて受光する迷光の光量とを略同一とするために、第2隣接トラックの接線と対応する分割方向における受光領域I乃至受光領域Lのそれぞれの長さを定めることにより、受光領域I乃至受光領域Lの面積を設定して良い。尚、受光領域E乃至受光領域H、受光領域I乃至受光領域Lの第1及び第2隣接トラックの接線と対応する分割方向のそれぞれの長さは、上述の実施形態と同様の方法により定めることが可能である。
また、上述の図1に示す実施形態によれば、受光領域E、受光領域Fがその面積に応じて受光する迷光の光量と、受光領域G、受光領域Hがその面積に応じて受光する迷光の光量とを略同一とするように受光領域G、受光領域Hの面積を設定するために、受光領域G、受光領域Hの第1隣接トラックの接線と対応する方向の長さを定めているが、これに限るものではない。同様に、受光領域I、受光領域Jがその面積に応じて受光する迷光の光量と、受光領域K、受光領域Lがその面積に応じて受光する迷光の光量とを略同一とするように受光領域I、受光領域Jの面積を設定するために、受光領域I、受光領域Jの第2隣接トラックの接線と対応する方向の長さを定めているが、これに限るものではない。
例えば、図12に示すように、検出レンズ9において非点収差が付与されて変化する0次の+1次反射光の受光領域以外の面積を減じることにより、受光領域E、受光領域Fがその面積に応じて受光する迷光の光量と略同一の光量の迷光を受光可能となる、受光領域G、受光領域Hの面積を設定しても良い。同様に、図12に示すように、検出レンズ9において非点収差が付与されて変化する0次の−1次反射光の受光領域以外の面積を減じることにより、受光領域K、受光領域Lがその面積に応じて受光する迷光の光量と略同一の光量の迷光を受光可能となる、受光領域I、受光領域Jの面積を設定しても良い。尚、受光領域G、受光領域H、受光領域I、受光領域Jの面積は、例えば様々な形状の受光領域G、受光領域H、受光領域I、受光領域Jをシミュレーション等することにより設定することが可能である。このように、受光領域G、受光領域H、受光領域I、受光領域Jの面積を設定することにより、図10に示す形態と同一の効果を奏することが可能となるとともに、受光面12、受光面13の大型化を防止することが可能となる。尚、図12に示す形態は、上述の図10、図11に示す形態にも適用することが可能である。
<<その他の実施形態(その3)>>
図7を示して説明した上述の実施形態によれば、受光領域Eがその面積に応じて受光する迷光の光量と、受光領域Fがその面積に応じて受光する迷光の光量とを略同一とする受光領域E、受光領域Fの面積を設定するために、第1隣接トラックの接線と対応する分割方向に全受光領域を分割しているが、これに限るものではない。同様に、受光領域Gがその面積に応じて受光する迷光の光量と、受光領域Hがその面積に応じて受光する迷光の光量とを略同一とする受光領域G、受光領域Hの面積を設定するために、第2隣接トラックの接線と対応する分割方向に全受光領域を分割しているが、これに限るものではない。
例えば、図13に示すように、第1隣接トラック方向と対応しない、曲線状の分割線で全受光領域を分割することにより、受光領域E、受光領域Fの面積を設定して良い。図13に示す受光領域E、受光領域Fの面積は、光ディスク90の径と対応する方向における前述の受光領域Eの長さx4及び受光領域Fの長さx5を、当該x4とx5とから定まる分割線が曲線となるように変化させて分割することにより設定されたものである。尚、この長さx4とx5とは、受光領域Eの面積と受光領域Fの面積とが等しい場合の当該受光領域Eの面積に、前述の面積γを加えるように変化する。逆に言えば、長さx4とx5とは、受光領域Eの面積と受光領域Fの面積とが等しい場合の当該受光領域Fの面積から、前述の面積γを減じるように変化する。同様に、第2隣接トラックと対応しない、曲線状の分割線で全受光領域を分割することにより、受光領域G、受光領域Hの面積を設定しても良い。図13に示す受光領域G、受光領域Hの面積は、光ディスク90の径と対応する方向における前述の受光領域Gの長さy4及び受光領域Hの長さy5を、当該y4とy5とから定まる分割線が曲線となるように変化させて分割することにより設定されたものである。尚、この長さy4とy5とは、受光領域Gの面積と受光領域Hの面積とが等しい場合の当該受光領域Hの面積に、前述の面積γを加えるように変化する。逆に言えば、長さy4とy5とは、受光領域Gの面積と受光領域Hの面積とが等しい場合の当該受光領域Hの面積から、前述の面積γを減じるように変化する。このように、受光領域E乃至受光領域Hの面積を設定することにより、上述の図7に示す形態と同一の効果を奏することが可能となる。また、例えば、図14に示すように、第1隣接トラック方向と対応しない、三角波状の分割方向に全受光領域を分割することにより、受光領域E乃至受光領域Hの面積を設定しても、同一の効果を奏することが可能となる。尚、上述した図1、図10乃至図12と図7、図13、図14とに示す形態を組み合わせることも可能である。
尚、上述の実施形態等においては、光ディスク90の他の情報記録層からの迷光を相殺すると説明したが、本発明に係らない演算処理回路40等を構成する加算器44等のばらつき、製造誤差等によっては完全に相殺することが出来ないこともある。しかしながら、本発明に係る光検出装置10は、迷光を相殺する目的で受光面12、受光面13等の面積が設定されているため、少なくとも迷光を低減することが可能となり、従来の光検出装置と比べて有用なものとなる。