ところで、車両は自由に移動することができるものであるため、車両に乗車して移動する乗員は時々刻々と変化する周辺の状況に対して、主観的な意見や感想等を有する。具体的に、車両を走行させている運転者においては、例えば、気持ちよくカーブを曲がることができたり、渋滞にかかることなく目的地まで移動できたりといった「良かった」という感想を有する場合があり、或いは、路面の凹凸を不快に感じたり、外出先で駐車場がなかったりといった「良くない」という感想を有したりする場合がある。
しかしながら、車両の車室内、特に、運転席周辺においては、車両の運転に支障をきたすことがないように、複雑な操作を要する入力手段は設けられていない。このため、上述したような主観的な意見や感想等を発信するには、従来から行われているように、乗員が所持する情報端末装置を操作して、SNS等のWebを利用して発信することが一般的である。この場合、特に、運転者にとっては、車両走行中は情報端末装置を操作することができないために車両を駐車した上で発信する必要がある。このため、車両の走行に伴って時々刻々と変化する乗車中の状況に対する主観的な意見や感想等すなわち乗員の意向(例えば、後から振り返ると忘れてしまっているような直観的な気付きも含む)を車両からリアルタイムに発信することは難しく、又、過ぎたことについてわざわざ情報端末装置を操作することは煩雑である。従って、これまで、このような乗員の意向は外部に発信され難かった。
ところが、このような乗員の意向、特に、時々刻々と変化する状況に対するリアルタイムの意向は、乗員の正直な感想や意見を含んでいる可能性が高い。このため、このような意向を表す意向情報を広く収集することにより、これら収集した意向情報から得られる情報は、例えば、乗員に有益な情報提供を行うための情報源となって乗員同士で共有するカーライフを充実させたり、社会や企業にとってもより良い街づくりや商品づくりのための有益な情報ともなり得る。
従って、このような乗員による意向情報を広くかつ効率よく収集するためには、特に、車両を運転している運転者がリアルタイムに意向を入力できることが効果的であるが、この場合には、言うまでもないが、運転に支障をきたすことなくこれらの意向を容易に入力できることが肝要である。このため、例えば、情報端末装置を操作する場合と異なり極めてシンプルな簡略化した操作体系により、運転者が意向を入力できるようにする必要がある。
一方で、このように操作体系を簡略化すると、意向情報そのものの情報量が少なくなる傾向にある。従って、小さな意向情報を広く大量に収集して有益な情報を提供するためには、足りない情報(欠落した情報)を適切に補完する必要がある。又、入力操作については、簡略化した操作体系であるが故に単調となるため、継続して意向情報が入力されない可能性がある。従って、小さな意向情報を継続して広く大量に収集し、有益な情報を提供するためには、乗員(特に、運転者)が飽きることなく継続して意向を入力できるようにする必要がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的の一つは、小さな情報を広く収集して有益な情報を提供することができる、情報入力装置、情報提供装置、及び、これらの装置を備えた情報提供システムを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、車両の車室内に設けられて、車両の乗員によって入力される入力手段を備えた情報入力装置であって、前記入力手段は、前記乗員が車両へ乗車中の状況を肯定する意向、及び、前記状況を否定する意向のうちの少なくとも一方を表す意向情報を入力することができることにある。この場合、前記乗員が車両へ乗車中の状況は、具体的には、前記乗員が車両へ乗車している実空間における状況である。そして、この場合、前記乗員は、少なくとも、車両の運転者であり、前記入力手段を、少なくとも、前記運転者によって操作されるステアリングホイール近傍にて、例えば、前記運転者が前記ステアリングホイールを把持した状態で入力操作可能な位置に設けることができる。そして、この場合、前記入力手段を、少なくとも、前記乗員によって押下操作されるボタン、前記乗員の音声を入力する音声入力ユニット、及び、前記乗員の顔の表情を画像として認識する画像認識ユニットのうちの少なくとも一つとすることができる。
これらによれば、車両に乗車している乗員は、乗車中の状況であって実空間における状況、例えば、車両の走行に伴って、或いは、車両停車中においても時々刻々と変化し得る状況(例えば、周辺状況、道路状況、車両の走行状況、或いは、乗員の健康状況等)に対して肯定する意向(良いと思う、満足する、可とする)、又は、否定する意向(悪いと思う、満足しない、否とする)を表す意向情報、すなわち、肯定又は否定という最低限の小さな情報(デジタル情報)をいつでも極めて簡略化された入力体系(ボタンの押下操作、音声入力、画像認識)によって負荷なく入力することができる。特に、入力手段がステアリングホイールに設けられて運転者によって押下操作されるボタンである場合には、運転者が車両を走行させているときであっても、時々刻々と変化する状況を肯定する意向又は否定する意向を、ステアリングホイールを把持した状態でボタンを押下操作することのみでいつでも極めて容易に入力する、言い換えれば、負荷なく入力することができる。
ここで、乗員は、上述したように従来から広く行われているような他人によって提示された対象に対して意向を示す(意見する)こととは異なり、種々の状況(すなわち、自身が置かれた実空間における状況である周辺状況、道路状況、車両の走行状況、或いは、乗員の健康状況等)に対して自発的に意向を入力して示すことができる。すなわち、乗員は、画一的な状況について意向を示す、所謂、フォローするものではなく、又は、このフォローに加えて、種々雑多な上記状況について肯定又は否定の意向を自発的に発信して示すことができる。これにより、乗員によって入力手段を介して入力される意向情報は、根本的に多様性を有する情報となる。
又、これらの場合、前記入力手段は、車両に搭載可能な車載機器と通信可能に接続されており、前記意向情報を前記乗員による入力操作に応じて前記車載機器に供給することができる。そして、この場合、前記車両に搭載可能な車載機器は、車両の外部と通信する通信手段を有しており、前記乗員による前記入力手段の操作に応じて供給された前記意向情報を前記外部に送信することができる。ここで、前記車載機器の有する通信手段は、例えば、前記乗員が前記入力手段を介して前記意向情報を入力するときに、前記車両を識別する識別情報及び前記乗員を識別する識別情報のうちの少なくとも一方を前記意向情報と関連付けて前記外部に送信することができる。そして、この場合、より具体的に、前記車載機器の有する通信手段は、例えば、所定のネットワークサービスにログインして前記外部と通信するものであり、前記所定のネットワークサービスにログインしているときに、前記乗員を識別する識別情報を前記意向情報と関連付けて前記外部に送信することができる。
これらによれば、乗員によって入力手段を介して入力された意向情報を車両に搭載された車載機器(例えば、着脱可能に車両に搭載可能とされていて、常に車両に搭載されている必要のない機器、すなわち、乗員が所持して乗車することが可能な着脱式のナビゲーション装置や携帯電話、スマートフォン等を含む)に供給することができる。これにより、入力手段自体の構成を簡略化することができて、コストを低減することができ、その結果、情報入力装置を搭載した車両を広く普及させることができる。そして、入力手段が接続される前記車載機器が有する通信手段を介して、例えば、リアルタイムに入力された意向情報を外部に送信して出力することができる。これにより、例えば、車両を走行させているときであっても、意向情報を外部に対して発信することができる。ここで、外部に意向情報を送信する際には、車両を識別する識別情報及び乗員を識別する識別情報のうちの少なくとも一方を関連付けて送信することができる。これにより、例えば、会員に専用の情報を提供するネットワークサービスや、所定のソーシャルネットワーキングサービス(SNS)等を含む所定のネットワークサービスにログインして外部に意向情報を送信する場合には、意向情報を送信する度にログインする手続を省くことができる。従って、乗員は、気軽に意向情報を外部に送信することができる。
又、この場合、前記車載機器の有する通信手段は、前記乗員が前記入力手段を介して前記意向情報を入力するときに、前記車両へ乗車中の状況に関する状況情報を前記意向情報と関連付けて前記外部に送信することができる。この場合、具体的に、前記状況情報を、前記乗員が前記入力手段を介して前記意向情報を入力したときの車両の現在位置を表す現在位置情報及び前記意向情報を入力したときの時刻を表す時刻情報のうちの少なくとも一方とすることができる。
これらによれば、乗員によって意向情報が入力されたときの状況を表す状況情報として、位置情報及び時刻情報のうちの少なくとも一方を意向情報とともに外部に送信することができる。これにより、上述したように多様性を有する意向情報の特定において、状況情報すなわち位置情報及び/又は時刻情報を効果的に利用することができる。
又、本発明の他の特徴は、前記乗員による前記入力手段を介した前記意向情報の入力に関する関連情報を前記車載機器が有する通信手段を介して前記外部から取得し、この取得した関連情報を前記乗員に通知する通知手段を備えたことにもある。
これによれば、乗員が入力手段を利用して意向情報を入力すると、この入力に関連する関連情報がフォードバックされる。そして、このようにフィードバックされた関連情報は、通知手段を介して乗員に通知される。従って、乗員は、意向情報を入力すると、フィードバックによって適切かつ有益な関連情報が得られるため、簡略化された入力手段を介した意向情報の入力であっても、飽きることなく継続して意向情報を入力することができる。又、適切なフォードバックが得らることにより、車両に乗車している乗員は外部と繋がっていることを実感することができる。
この場合、前記関連情報を、例えば、前記乗員が前記入力手段を介して前記意向情報を入力したときの前記状況に関して他の車両の乗員によって入力された意向情報に基づくものとすることができ、具体的には、前記他の車両の乗員によって入力された意向情報の数に関する情報、又は、前記他の車両の乗員によって入力された意向情報に関連する情報とすることができる。又、これらの場合、前記関連情報を、例えば、前記乗員が利用可能な所定のネットワークサービスを利用して前記外部から取得することも可能である。
これらによれば、乗員は、入力手段を利用して意向情報を入力したことに対して、例えば、他の車両の乗員が同様の状況にて入力した意向情報の数に関する情報や、他の車両の乗員は知っているもののこれまで知らなかった情報等を、フィードバックにより関連情報として得ることができる。又、この場合、他の乗員によって入力された意向情報に基づいて乗員が入力手段を介して意向情報を入力した理由を補完するための情報を関連情報としてフィードバックする、すなわち、収集された意向情報から有益な情報を得るために必要となる意向情報を入力した理由を関連情報に含めてフィードバックすることも可能であり、この場合には、乗員は、通知手段によって通知された(表示された)関連情報を肯定又は否定することを入力するのみで、意向情報を入力した理由を外部に対して示すことができる。
又、本発明の他の特徴は、複数の車両から供給された情報を収集する情報収集手段と、この情報収集手段によって収集した情報に関連する各種情報を少なくとも前記車両の乗員に対して提供する情報提供手段とを備えた情報提供装置であって、前記情報収集手段は、前記乗員が入力する、車両へ乗車中の状況を肯定する意向、及び、前記状況を否定する意向のうちの少なくとも一方を表す意向情報を前記複数の車両から収集することにもある。この場合、前記車両への乗車中の状況は、具体的には、前記乗員が車両へ乗車している実空間における状況である。
そして、これらの場合、前記情報提供手段は、前記情報収集手段が前記複数の車両のうちの一の車両から前記意向情報を収集したとき、前記複数の車両のうちの他の複数の車両から収集した意向情報に基づく情報を前記一の車両の乗員に対して提供することができる。より具体的に、この場合には、前記情報提供手段が前記一の車両の乗員に対して提供する情報は、例えば、前記情報収集手段によって前記他の複数の車両から収集された意向情報の数に関する情報、又は、前記情報収集手段によって前記他の複数の車両から収集された意向情報に関連する情報であるとよい。そして、これらの場合、前記情報提供手段は、例えば、前記情報収集手段によって前記複数の車両から収集した意向情報のうち、前記一の車両の乗員と所定の関係にある乗員の車両から収集した意向情報に基づく情報を前記一の車両の乗員に対して提供することができる。更に、これらの場合、前記情報提供手段は、例えば、前記情報収集手段が前記意向情報を収集する前記複数の車両のうちの一の車両の位置が特定の位置にあるときに、前記複数の車両のうちの他の複数の車両から収集した意向情報に基づく情報を前記一の車両の乗員に対して提供することができる。
これらによれば、情報収集手段は複数の車両から意向情報を収集することができる。そして、情報収集手段によって意向情報が収集されると、情報提供手段は、収集した意向情報に基づく情報をフィードバックとして車両の乗員に提供することができる。このようにフィードバックとして提供される情報としては、一の車両の乗員と所定の関係にある乗員、例えば、友人や知人が乗車する車両から収集した意向情報に基づく情報があり、これにより、一の車両の乗員が旅行で初めて訪れた場所であっても友人の意向情報を確認することができて、旅行が楽しくなる。又、情報収集手段が意向情報を収集したか否かに関わらず、情報提供手段は、一の車両の位置が特定の位置にあるときに他の複数の車両から収集した意向情報に基づく情報を提供することができる。これにより、一の車両の乗員は、提供された情報を好適に利用することができる。
又、本発明の他の特徴は、前記情報提供手段は、前記情報収集手段によって前記複数の車両から収集された複数の意向情報を検索可能に蓄積する意向情報蓄積手段と、前記情報収集手段によって収集された前記意向情報が入力されて車両から供給された理由を補完する理由補完手段とを有しており、前記意向情報蓄積手段は、前記情報収集手段によって収集された意向情報に関連付けて前記理由補完手段によって補完された前記理由を検索可能に蓄積することにもある。
これによれば、上述したように多様性を有する意向情報を複数の車両から収集して検索可能に蓄積することができるととも、それぞれの意向情報が車両から供給された理由(すなわち、車両の乗員によって意向情報が入力された理由)を補完し、この補完した理由を対応する意向情報に関連付けて検索可能に蓄積することができる。従って、小さな情報量である意向情報を広く大量に収集し、この収集した意向情報に関連して得られる補完された理由を用いて、極めて有益な情報を提供することができる。又、意向情報と補完した理由とを関連付けて検索可能に蓄積する、すなわち、データベースを構築することにより、このデータベースに基づいて、例えば、地図やグラフを容易に作成することができて、所謂、情報の見える化が可能となり、意向情報の利用を効果的に促進することができる。
この場合、前記意向情報蓄積手段は、前記取得された意向情報と、この意向情報が入力されたときの車両の位置を表す位置情報及び前記意向情報が入力された時刻を表す時刻情報とを関連付けて検索可能に蓄積し、前記理由補完手段は、前記意向情報蓄積手段によって検索可能に蓄積されている前記複数の意向情報と、この複数の意向情報にそれぞれ関連付けて蓄積されている複数の前記位置情報及び前記時刻情報と、前記位置情報及び前記時刻情報によって表される前記車両の周囲の環境を表す環境情報とに基づき、前記情報収集手段によって収集された前記意向情報が車両から供給された理由を補完することができる。
これによれば、意向情報が車両から供給された理由をある程度の確からしさを持って、適切に推定して(仮説を立てて)補完することができる。従って、小さな情報量である意向情報を広く大量に収集し、この収集した意向情報に関連して得られる理由をより適切に補完して、極めて有益な情報を提供することができる。
又、これらの場合、前記理由補完手段は、前記車両の乗員が利用可能な所定のネットワークサービスを利用して、前記情報収集手段によって収集された前記意向情報が車両から供給された理由の回答を促す回答フォームを提示し、この回答フォームに従う回答に基づき前記情報収集手段によって収集された前記意向情報が車両から供給された理由を補完することができる。より具体的には、前記理由補完手段は、例えば、前記意向情報蓄積手段に蓄積された前記複数の意向情報に基づき、前記情報収集手段によって収集された前記意向情報が車両から供給された理由を推定し、前記所定のネットワークサービスを利用して、前記乗員に対し、前記推定した理由を提示するとともに前記推定した理由の真偽の回答を促す回答フォームを提示し、この回答フォームに従う回答に基づき前記情報収集手段によって収集された前記意向情報が車両から供給された理由を補完することができる。この場合、前記所定のネットワークサービスは、例えば、車両の乗員が参加するクローズドコミュニティのソーシャルネットワーキングサービスである。
これによれば、所定のネットワークサービス、例えば、会員に専用の情報を提供するネットワークサービスや、所定のクローズドコミュニティであるソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を利用して、上述したように推定した(仮説を立てた)理由を、意向情報を供給した車両の乗員に回答フォームを利用して確認させて補完することができる。従って、小さな情報量である意向情報を大量に収集し、この収集した意向情報に関連して得られる理由を確定させて、極めて有益な情報を提供することができる。
これらの場合、前記理由補完手段は、前記所定のネットワークサービスを利用して、前記乗員に対し、前記情報収集手段によって収集された前記意向情報に対応する他の車両の乗員による複数の意向情報を提示するとともに前記意向情報が車両から供給された理由の回答を促す回答フォームを提示し、この回答フォームに従う回答に基づき前記情報収集手段によって収集された前記意向情報が車両から供給された理由を補完することができる。
これによれば、他の車両の乗員による意向情報を参考にして回答することが可能となるため、例えば、回答フォームによって容易に回答することができる。従って、小さな情報量である意向情報を大量に収集し、この収集した意向情報に関連して得られる理由を確定させて、極めて有益な情報を提供することができる。
この場合、前記所定のネットワークサービスは、車両の乗員以外も参加するオープンコミュニティのソーシャルネットワーキングサービスである。そして、前記オープンコミュニティであるソーシャルネットワーキングサービスを利用して提示される他の車両の乗員による複数の意向情報は、前記他の車両の乗員がニックネームにより提示されるとよい。
これらによれば、車両の乗員以外の人間の意見を反映して車両から意向情報が供給された理由を補完することができる。すなわち、この場合には、所定のネットワークサービスとして、会員に専用の情報を提供するネットワークサービスや所定のオープンコミュニティであるソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を利用して、種々雑多の人間が互いにコミュニケーションを取りながら車両から意向情報が供給された理由を議論して補完することができる。尚、この場合、意向情報に位置情報や時刻情報が関連付けられていれば、前記意向情報(提示された対象)に対してSNS参加者が意見し易くなる。これにより、より深いコミュニケーションが可能となる。従って、小さな情報量である意向情報を広く大量に収集し、この収集した意向情報に関連して得られる理由を確定させて、極めて有益なかつ実情に応じた情報を提供することができる。
又、これらの場合、前記理由補完手段によって提示された回答フォームに従って回答されたときに、この回答に対して所定のポイントを付与するポイント付与手段を備えることができる。これによれば、回答フォームに従って回答するインセンティブを与えることができ、回答率を向上させることができる。従って、小さな情報量である意向情報を広く大量に収集し、この収集した意向情報に関連して得られる理由を効率よく確定させて、極めて有益な情報を提供することができる。
更に、本発明の他の特徴は、車両の車室内に設けられて車両の乗員によって操作される入力手段を有する情報入力装置と、前記情報入力装置を有する複数の車両から供給された情報を収集する情報収集手段及び前記収集した情報に関連する各種情報を少なくとも前記車両の乗員に対して提供する情報提供手段を有する情報提供装置とを備えた情報提供システムであって、前記情報入力装置の前記入力手段は、前記乗員が車両へ乗車中の状況を肯定する意向、及び、前記状況を否定する意向のうちの少なくとも一方を表す意向情報を入力するものであり、前記情報提供装置の前記情報収集手段は、前記情報入力装置の前記入力手段を介して入力された前記意向情報を前記複数の車両から収集するものであり、前記情報提供装置の前記情報提供手段は、前記情報収集手段によって前記複数の車両から収集した複数の意向情報を検索可能に蓄積する意向情報蓄積手段と、前記情報収集手段によって収集された前記意向情報が車両から供給された理由を補完する理由補完手段とを有することにもある。この場合、前記乗員が車両へ乗車中の状況は、具体的に、前記乗員が車両へ乗車している実空間における状況である。
そして、これらの場合、前記情報入力装置の前記入力手段は、車両に搭載可能とされて、車両の外部と通信する通信手段を備えた車載機器と通信可能に接続されており、前記意向情報を前記乗員による入力操作に応じて前記車載機器に供給し、前記車載機器は、前記乗員による前記入力手段の操作に応じて供給された前記意向情報を前記情報提供装置に送信することができる。又、この場合、前記車載機器の有する通信手段は、前記乗員が前記入力手段を介して前記意向情報を入力するときに、前記車両へ乗車中の状況に関する状況情報を前記意向情報と関連付けて前記情報提供装置に送信することができる。
又、これらの場合、前記情報入力装置は、前記乗員による前記入力手段を介した前記意向情報の入力に関する関連情報を前記車載機器が有する通信手段を介して前記情報提供装置から取得し、この取得した関連情報を前記乗員に通知する通知手段を備えることができる。この場合、前記関連情報は、例えば、前記情報提供装置の前記意向情報蓄積手段に蓄積されていて、前記乗員が前記情報入力装置の前記入力手段を介して前記意向情報を入力したときの前記状況に関して他の車両の乗員によって入力された意向情報に基づくものである。そして、この場合、前記関連情報は、例えば、前記乗員が利用可能な所定のネットワークサービスを利用して前記情報提供装置から取得されるものである。
更に、これらの場合、前記情報提供装置の前記理由補完手段は、前記車両の乗員が利用可能な所定のネットワークサービス(例えば、会員に専用の情報を提供するネットワークサービスや、所定のクローズドコミュニティであるソーシャルネットワーキングサービス(SNS)、所定のオープンコミュニティであるソーシャルネットワーキングサービス等)を利用して、前記情報収集手段によって収集された前記意向情報が車両から供給された理由の回答を促す回答フォームを提示し、この回答フォームに従う回答に基づき前記情報収集手段によって収集された前記意向情報が車両から供給された理由を補完することができる。
これらによれば、車両乗員が小さな情報量の意向情報について有益な情報を提供するために必要となる入力理由を適切に補完することができ、意向情報の入力に対して有益な関連情報を適切にフィードバックすることができる。そして、特に、状況を否定する意向情報及びその入力理由をSNSを利用して広く収集することにより、状況の真の改善ポイントを明確にする極めて有益な情報を得ることができる。従って、カーメーカであればその改善ポイントを車づくりに反映させることにより、延いては、カーライフを充実させたり、社会の街づくりにも貢献することができるようになる。
以下、本発明の実施形態に係る情報入力装置、情報提供装置、及び、情報入力装置と情報提供装置とを備えた情報提供システムについて、図面を用いて説明する。図1は、本発明に係る情報提供システムを概略的に示した概略ブロック図である。
情報提供システムは、複数の車両100と、情報提供センタ200と、車両100の運転者や同乗者(以下、「乗員」又は「ユーザ」と称呼する場合がある。)が所有する携帯情報端末300とをセキュアなネットワーク回線網400(例えば、インターネット回線網や専用回線網等)を介して有機的に結び付けて、車両100の乗員に対して各種のサービスや情報を提供できるようになっている。又、この情報提供システムは、ネットワーク回線網400に接続されたクローズドコミュニティであるソーシャルネットワーキングサービス(以下、クローズドSNSと称呼する。)を提供するサービス提供センタ500を備えている。サービス提供センタ500は、情報管理センタ200を介して車両100から受け取った情報を、車両100のユーザを含むサービス提供契約を行った契約者(所謂、フォロワー等)に提供する。又、サービス提供センタ500は、オープンコミュニティである他のソーシャルネットワーキングサービス(以下、オープンSNSと称呼する。)と連携できるようにもなっている。
情報提供システムを構成する情報入力装置を搭載する車両100は、図2に示すように、車両の状態を制御する複数の電子制御装置110(以下、車両ECU110と称呼する。)が設けられている。各車両ECU110は、CAN(Controller Area Network)通信システムのCAN通信ライン120に接続され、このCAN通信ライン120を経由して各種の信号を互いに入出力できるようになっている。そして、各車両ECU110は、CPU、ROM、RAM等からなるマイクロコンピュータを主要構成部品とするものであり、メモリ、入出力インターフェース及びセンサ信号を入力して各種のアクチュエータを駆動する駆動回路を備えている。
又、車両100は、乗員(本実施形態においては、特に、運転者)によって操作されて、乗車中の状況であって走行に伴って変化する実空間における状況を肯定する意向、又は、乗車中の状況であって走行に伴って変化する実空間における状況を否定する意向を入力するための情報入力装置を構成する入力手段としてのボタン130を備えている。ボタン130は、図3に示すように、走行に伴って変化する状況を肯定する意向、言い換えれば、現在の状況(現状)に満足していることを表すために押下操作される肯定ボタン131(以下、この肯定ボタン131を「いいねボタン131」とも称呼する。)と、走行に伴って変化する状況を否定する意向、言い換えれば、現在の状況(現状)に満足していないことを表すために押下操作される否定ボタン132(以下、この否定ボタン132を「だめだねボタン132」とも称呼する。)とから構成される。
これらのいいねボタン131及びだめだねボタン132は、図3に示すように、それぞれ、運転者によって回動操作されるステアリングホイール140に組み付けられる。これにより、車両100が走行しているときに、例えば、運転者にとって何かしら良いことがあって肯定ボタン131(いいねボタン131)を押下操作する場合や、運転者にとって何かしら悪いことがあって否定ボタン132(だめだねボタン132)を押下操作する場合には、ステアリングホイールを把持した状態を維持することができ、車両100の運転に影響を与えることがない。そして、ステアリングホイール140に組み付けられたボタン130(いいねボタン131及びだめだねボタン132)は、図2に示すように、CAN通信ライン120に接続されるようになっている。
又、CAN通信ライン120には、ネットワーク回線網400を介して情報提供センタ200と通信するために、車載機器の通信手段としてのデータコミュニケーションモジュール150(以下、DCM150と称呼する。)が接続されている。DCM150は、例えば、携帯電話基地局を利用してネットワーク回線網400にアクセス(ログイン)し、情報提供センタ200の後述するサーバ210やサービス提供センタ500の後述するサーバ510とデータ通信可能とされている。ここで、DCM150には、CAN通信ライン120を介して、入力手段としての肯定ボタン131(いいねボタン131)及び否定ボタン132(だめだねボタン132)が接続され、運転者がこれらボタン131,132を押下操作したか否かを表す1bitの情報、すなわち、運転者が状況を肯定又は否定する意向を表す意向情報がDCM150に供給されるようになっている。
又、CAN通信ライン120には、携帯情報端末300と近距離通信を実現する通信インターフェースとしての近距離通信制御装置160が接続されている。ここで、本実施形態においては、この近距離通信制御装置160の通信方式として、Bluetooth(登録商標)を採用して実施するが、その他の通信方式として、例えば、Wi-Fi(登録商標)等の他の近距離無線通信方式を採用して実施可能であることは言うまでもない。
更に、CAN通信ライン120には、車両100を目的地に案内するナビゲーション装置170が接続されている。ナビゲーション装置170は、図示を省略するが、車両100の現在位置や走行方向を検出する車両位置検出ユニットと、地図データ等の各種のデータを記憶するメモリと、車両100を目的地に誘導するためのアプリケーションを実行するマイクロコンピュータと、タッチパネル式液晶ディスプレイとスピーカとからなるヒューマンインターフェース等を備えている。
ここで、情報提供システムに適用される車両100としては、バッテリの電力で走行用モータを駆動する電気自動車(EV)や、走行用モータと内燃機関とを備えバッテリを充電器により充電可能なプラグイン式ハイブリッド自動車(PHV)を採用することができる。或いは、走行用モータを備えずに内燃機関により走行する従来からの車両も採用することができ、駆動形式を問うものではない。
情報提供システムを構成する情報提供装置としての情報提供センタ200は、車両100のDCM150から意向情報を含む種々の情報を取得するとともに、少なくとも車両100のユーザに対して意向情報に関する関連情報をフィードバックとして提供する施設である。情報提供センタ200は、図4に示すように、マイクロコンピュータを主要構成部品とするサーバ210が設けられる。サーバ210は、ネットワーク回線網400と接続して通信を制御する通信制御部211と、意向情報を含む種々の情報を管理する情報管理サーバ212と、車両のユーザ情報を管理するユーザ情報管理サーバ213と、意向情報を含む種々の情報(例えば、地図情報や道路情報、施設情報等)のデータベースを記憶する情報記憶部214と、ユーザ情報(例えば、情報提供センタ200及びサービス提供センタ500が提供するクローズドSNS或いはオープンSNS(例えば、Facebook(登録商標)等)にログインするために利用するユーザ(車両100)のアカウント情報等)のデータベースを記憶するユーザ情報記憶部215とを備えている。
ここで、情報提供センタ200のサーバ210は、車両100を特定するID情報(登録番号や車台番号に相当する情報、或いは、車両100がクローズドSNSに参加するためのアカウント等)と、ユーザを特定するID情報(ユーザ名、携帯情報端末300の電話番号、メールアドレス、クローズドSNSに参加するためのアカウント情報、オープンSNSに参加するためのアカウント情報等)とを関連させてユーザ情報記憶部215のデータベースに記憶するようになっている。これにより、上記ID情報の何れ一方を特定することで、他方のID情報で特定される情報を抽出することができるようになっている。
ユーザ(乗員)が所有する携帯情報端末300は、図1及び図5に示すように、セキュアなネットワーク回線網400とサービス提供センタ500によって提供されるクローズドSNS及びオープンSNSとに接続するための通信インターフェースである外部通信制御部301と、Bluetooth(登録商標)を用いた近距離無線通信を実現するための通信インターフェースである近距離通信制御部302と、GPS衛星からの電波に基づいて携帯情報端末300(或いは、携帯情報端末300が搭載されたときの車両100)の現在位置座標を検出するGPSユニット303と、表示器と操作器とを兼用したタッチパネル式液晶ディスプレイ304と、マイクロコンピュータを主要構成部品として通信制御及び各種アプリケーションを実行する主制御部305と、アプリケーションプログラム等の各種データを記憶する不揮発性メモリ306とを備えている。ここで、携帯情報端末300としては、例えば、スマートフォン等の携帯電話や外部通信機能を備えたタブレット端末、或いは、ノートパソコン等を採用することができる。尚、本実施形態においては、ユーザが携帯することができる情報端末装置を採用して実施するが、例えば、ユーザの自宅に設置されてネットワーク回線網400に接続可能なパーソナルコンピュータ(PC)を採用することも可能である。
ここで、車両100及び携帯情報端末300のユーザ(特に、運転者)は、車両100と携帯情報端末300との間のペアリング処理を事前に設定しておくことができる。このように、車両100と携帯情報端末300とをペアリングしておくことにより、情報をシームレスにやり取りすることができる。例えば、運転者がステアリングホイール140に設けられたボタン130(いいねボタン131及びだめだねボタン132)を押下操作した場合、DCM150に代えて携帯情報端末300を利用して情報管理センタ200に意向情報を送信することが可能であったり、携帯情報端末300がネットワーク回線網400を介して情報提供センタ200からリアルタイムに提供された情報をCAN通信ライン120を介してナビゲーション装置170のタッチパネル式液晶ディスプレイ及びスピーカから出力させることが可能となる。なお、Bluetooth(登録商標)におけるペアリング処理については、本発明に直接関係しないため、以下に簡単に説明しておく。
一般に、Bluetooth(登録商標)機器を最初に使用するときには、接続先の相手を特定するためにペアリングと呼ばれる処理(操作)が必要となる。この場合、車両100のユーザ(運転者)は、例えば、車両100の近距離通信制御装置160を操作して、相手機器である携帯情報端末300を探索する探索可能状態に設定する。一方、車両100のユーザ(運転者)は、携帯情報端末300においても、主制御部305を介して近距離通信制御部302を探索可能状態に設定する。なお、このような探索可能状態に設定するのにあたり、それぞれ、認証及び暗号化の設定を合わせておく。
このように、それぞれを探索可能状態にすることにより、例えば、ナビゲーション装置170のディスプレイや携帯情報端末300のタッチパネル式液晶ディスプレイ304に周囲に存在するBluetooth(登録商標)機器、すなわち、車両100と携帯情報端末300が表示されるため、それぞれ、接続相手を指定する。そして、このように接続相手として車両100と携帯情報端末300を選択した後、それぞれに同一のパスキー(認証鍵(PIN))を入力し、この入力したパスキーが互いに交換されることにより、ペアリング処理が完了する。
このように、車両100と携帯情報端末300との間で、Bluetooth(登録商標)通信を利用するためのペアリング処理が完了した状態であれば、ユーザ(運転者)が携帯情報端末300を所持して車両100に乗車し、図示を省略する起動スイッチ(イグニッションスイッチ)をオンの操作位置に操作すると、自動的に接続が確立される。なお、このように自動的に接続(ペアリング)が確立されると、例えば、ナビゲーション装置170のディスプレイを介してユーザに対して接続が確立していることを報知するようになっている。
サービス提供センタ500は、図6に示すように、情報提供センタ200から提供される意向情報に関連する情報(具体的には、後述する回答フォームや推定された押下操作理由を表す情報)を、クローズドSNS又はオープンSNSを利用して、例えば、車両100のユーザを含みこれらSNSを契約している契約者に向けて提示(公開)して提供する施設である。サービス提供センタ500は、マイクロコンピュータを主要構成部品とするサーバ510が設けられる。サーバ510は、図1に示したように、ネットワーク網400及びオープンSNSを提供するセンタ(サーバ)と接続して通信を制御する通信制御部511と、情報提供センタ200から供給された意向情報に関連する情報を管理する情報管理サーバ512と、車両100のユーザを含むサービスの契約者情報を管理する契約者情報管理サーバ513と、供給された意向情報に関連する情報のデータベースを記憶する情報記憶部514と、契約者情報(例えば、ユーザを含む契約者を特定するID情報や、契約者(車両100を含む)がクローズドSNSに参加するために利用するアカウント情報又はユーザを含む契約者がオープンSNSに参加するために利用するアカウント情報等)のデータベースを記憶する契約者情報記憶部515とを備えている。
次に、上記のように構成された情報提供システム、より詳しくは、同システムを構成する情報入力装置及び情報提供装置を図7に基づいて説明する。情報提供システムにおいては、情報入力装置の入力手段を構成するステアリングホイール140に設けられたボタン130(具体的には、肯定ボタン131と否定ボタン132)がユーザである運転者によって押下操作されると、このボタン130の押下操作されたことが意向情報として情報提供装置である情報提供センタ200に供給される。情報提供センタ200においては、サーバ210が送信された意向情報すなわち肯定ボタン131又は否定ボタン132が押下操作されたことのみを表す1bitの情報を取得し、この意向情報を蓄積して記憶するとともに意向情報が送信された理由も関連付けて情報記憶部214に蓄積して記憶する。これにより、情報提供システムにおいては、車両100から送信された意向情報を有用な情報として提供する。以下、これらの動作を具体的に説明する。
(イ)運転者(乗員)による意向情報の入力
車両100が走行しているとき、運転者は、いつでも対象が何であれ、ステアリングホイール140に設けられたボタン130、具体的には、肯定ボタン131(いいねボタン131)と否定ボタン132(だめだねボタン132)を押下操作することができる。すなわち、乗車中の状況であって車両100の走行又は停車に伴って変化する実空間における状況、例えば、交通状態、走行環境、周辺環境(場所を含む)、或いは、運転者(乗員)の健康状態等について、この状況を肯定する(この状況に満足する、この状況がいいと思う)ときには、運転者は、とにかく、肯定ボタン131(いいねボタン131)を押下操作する。一方、乗車中の状況であって車両100の走行又は停車に伴って変化する実空間における状況について、この状況を否定する(この状況に満足しない、この状況がだめだと思う)ときには、運転者は、とにかく、否定ボタン132(だめだねボタン132)を押下操作する。
より具体的に説明すると、運転者は、車両100を走行させているときに、時々刻々と変化する周囲の状況として、例えば、渋滞することなくスムーズに走行できている状況、ワインディングロードを気持ちよく走行できている状況、気持ちよく加速して走行できている状況、段差を超えたときの乗り心地が良い状況、狭い駐車場でも問題なく車両100を駐車できた状況、行きたいお店の近傍に位置している状況、周辺に駐車し易い駐車場が存在している状況、良い景色の場所を走行している状況等、運転者が主観的にこれらの状況に満足するときには、とにかく、肯定ボタン131(いいねボタン131)を押下操作する。又、運転者は、例えば、現在渋滞に巻き込まれている或いは前方で渋滞が発生している状況、思い通りにカーブを走り抜けられない状況、思い通りに加速しない状況、ステアリングホイール140の回動操作量が多い状況、段差を越えたときの上下振動が大きい状況、行きたいお店の近傍の道路幅が狭い又は道がなくなっていて回り道を通行しなければならない状況、利用しようとした駐車場が駐車しにくかった状況、ナビゲーション装置170によって案内されたお店が変わっている(地図情報に不備が生じている)状況、或いは、腹痛や頭痛が生じた等、運転者が主観的にこれらの状況に満足できないときには、とにかく、否定ボタン132(だめだねボタン132)を押下操作する。
ここで、肯定ボタン131及び否定ボタン132は、それぞれ、ステアリングホイール140に設けられている。これにより、運転者は、ステアリングホイール140を常に把持した状態で、言い換えれば、車両100の運転に影響を及ぼすことなく集中した状態で、押下操作を行うことができる。従って、運転者は、時々刻々と変化する状況に対して、躊躇することなく、肯定ボタン131又は否定ボタン132をいつでも押下操作することができる。
このようにして、運転者によって肯定ボタン131(いいねボタン131)又は否定ボタン132(だめだねボタン132)が押下操作されると、これらボタン131,132のうちの一方が押下操作されたことを表す1bitの情報、すなわち、肯定ボタン131が操作されたことによって肯定する意向を表す意向情報又は否定ボタン132が操作されたことによって否定する意向を表す意向情報が、CAN通信ライン120を介して、DCM150に供給される。DCM150においては、供給された意向情報を情報提供センタ200に対してネットワーク回線網400を利用して送信する。
このとき、DCM150は、CAN通信ライン120を介して通信可能に設けられたナビゲーション装置170から、運転者によって肯定ボタン131又は否定ボタン132が押下操作された時の車両100の位置を表す位置情報を取得する。又、DCM150は、CAN通信ライン120を介して通信可能に設けられたナビゲーション装置170から、運転者によって肯定ボタン131又は否定ボタン132が押下操作された時、すなわち、運転者によって意向情報が入力された時の時刻を表す時刻情報を取得する。
そして、DCM150は、車両100を識別して特定するために予め割り当てられている車両アカウント情報及び運転者を識別するために予め取得されているユーザアカウント情報とともに、意向情報、位置情報及び時刻情報を、ネットワーク回線網400を介して情報提供センタ200に送信する。尚、以下の説明においては、車両100側から送信される上記情報をまとめて単に送信情報と称呼する場合がある。情報提供センタ200においては、サーバ210が送信された車両アカウント情報、ユーザアカウント情報、意向情報、位置情報及び時刻情報を受信する。
尚、車両アカウント情報は、情報提供センタ200にアクセス(ログイン)する際に必要となるものであるとともに、サービス提供センタ500が提供するクローズドSNSに参加する際に必要となるものである。ここで、本実施形態においては、車両アカウント情報には、車両100の車種(車型)を表す車種情報が含まれるものとする。又、ユーザアカウント情報は、情報提供センタ200にアクセス(ログイン)する際に必要となるものであるとともにサービス提供センタ500が提供するクローズドSNS及びオープンSNSに参加する際に必要となるものであり、例えば、運転者が車両100を走行させる前にナビゲーション装置170のタッチパネル式ディスプレイを利用して入力されるものである。
このように、ステアリングホイール140に対してボタン130(肯定ボタン131及び否定ボタン132)を設けることにより、車両100の運転者は、いつでも、極めて容易に(負荷なく)肯定ボタン131又は否定ボタン132を押下操作して、乗車中の状況であって車両100の走行に伴って時々刻々と変化する実空間における状況を肯定する(状況に満足する)意向情報、又は、乗車中の状況であって車両100の走行に伴って時々刻々と変化する実空間における状況を否定する(状況に満足しない)意向情報を情報提供センタ200と通信可能なDCM150に入力することができる。これにより、車両100を走行させる運転者の意向すなわち肯定又は否定という最低限の1bitの情報(デジタル情報)である意向情報を外部に適切に出力することができる。
従って、例えば、走行している車両100に関し、運転者が満足できないときに否定ボタン132(だめだねボタン132)を押下操作すると、情報提供センタ200のサーバ210はこの意向情報を取得することができる。そして、このような意向情報を多数の車両100から収集し、後述するように押下操作理由を明確にすることにより、例えば、カーメーカは、車両100に対する声なき声を効果的に収集することが可能となり、その結果、車両100の改善ポイント等を明らかにしてより良い車を開発することができる。又、肯定ボタン131又は否定ボタン132を押下操作することによって入力する意向情報がネットワーク回線網400を介して接続された情報提供センタ200に送信され、更に、後述するようにサービス提供センタ500によってSNSに接続されることにより、車両100の運転者は車両内でネットワーク(特にSNS)と繋がっている実感が得られる。
尚、この場合、運転者(乗員)によって、より積極的にボタン130(肯定ボタン131又は否定ボタン132)を押下操作してもらうためには、情報提供センタ200が、例えば、車両100をあるグループ(発表された新車グループ等)ごとに分け、各ブループごとに押下操作理由が判明した押下操作回数を集計するようにすることが有効である。このように、グループごとの押下操作回数を集計することにより、情報提供センタ200は、ある区切りとなる回数を超える度に、或いは、グループ間で押下操作回数の増加スピードを競いあった結果をこのグループの全運転者(乗員)に通知することができる。その結果、運転者(乗員)は、情報提供センタ200からの通知に応じて、飽きることなく積極的にボタン130を押下操作することができる。そして、カーメーカやカーディーラにおいては、例えば、新車の販売プロモーションとして、従来から行われている新車販売台数をアナウンスすることに代えて、新車の運転者(乗員)によって押下操作された「いいねボタン」の操作回数をアナウンスすることによって、新車の有意性を宣伝することができる。
ところで、本実施形態においては、上述したように、ステアリングホイール140に肯定ボタン131と否定ボタン132をそれぞれ専用ボタンとして設けるように実施する。このとき、ステアリングホイール140に設けられる肯定ボタン131と否定ボタン132については、ユーザである運転者が利き手に合わせて適宜配置する(入れ替える)ように実施することも可能である。これにより、運転者に合わせた良好な操作性を確保することができ、運転者はリアルタイムにより意向情報を入力することができる。
又、ステアリングホイール140には、車両100に搭載された機器を操作するための他のボタンが組み付けられる場合がある。このため、省スペースとコスト低減を達成するために、例えば、ステアリングホイール140のボタン数を減らして1つのボタン130を設けて実施することも可能である。この場合には、例えば、運転者がボタン130を一度押下操作したときには状況を肯定する意向を表し、ボタン130を二度押下操作したときには状況を否定する意向を表し、ボタン130を三度押下操作したときには意向情報の入力をキャンセルするように実施することができる。これにより、最も良好な操作性を確保できるステアリングホイール140において、ボタン数を適切に低減することができ、その結果、運転者は直感的にボタンを押下操作することができる。
又、ユーザである運転者が肯定ボタン131又は否定ボタン132を押下操作するとき、その押下操作態様に応じて、状況の肯定又は否定の度合いを入力できるように実施することも可能である。例えば、運転者が肯定ボタン131又は否定ボタン132を長押し操作したときには、「いいね」又は「だめだね」の度合いを大きくするようにすると良い。これにより、極めてシンプルな操作のみによって適切に運転者の意向情報を入力することができる。
又、後述するように、本実施形態においては、運転者が肯定ボタン131又は否定ボタン132を押下操作しただけでは、1bitの情報である意向情報が送信(供給)されるのみであり、情報が不足(欠落)してなぜ状況を肯定したのか、或いは、なぜ状況を否定したのかの入力理由すなわち押下操作理由が不明となる。このことは、車両100の運転に支障を及ぼすことがないように、運転者がステアリングホイール140に設けられたボタン130(肯定ボタン131又は否定ボタン132)を単に押下操作するという、極めて簡略化したシンプルな入力操作を採用したために生じるものである。
この場合、ボタン130の押下操作態様に関し、例えば、肯定ボタン131又は否定ボタン132を押下操作する回数に対応させて予め状況を肯定又は否定する理由すなわち押下操作理由を設定しておくことにより、運転者が押下操作理由を正確に入力することが可能となる。尚、このように、ボタンの押下操作回数に押下操作理由を対応させる場合には、CAN通信ライン120を介して、ボタン130(肯定ボタン131及び否定ボタン132)と通信可能に接続された車載機器、例えば、DCM150や、ナビゲーション装置170、近距離通信制御装置160を利用して接続される携帯情報端末300が押下操作回数に対応する押下操作理由を解釈し、この解釈した押下操作理由を意向情報に合わせて情報提供センタ200に送信することが可能である。これによれば、ある程度、押下操作理由を明らかにすることができるため、後述するように設定される押下操作理由の精度を向上させることができる。
又、このように、ボタン130を押下操作する回数に対応させて押下操作理由を予め決定できる場合において、より簡略化した実施態様として、例えば、押下操作回数に関わらず、肯定ボタン131又は否定ボタン132の押下操作理由を決定しておき、後述するように、後に押下操作理由を補完して確定し易くするように実施することも可能である。これにより、後述するように、例えば、運転者が押下操作理由を補完する(回答する)補完作業を容易に行うことができ、押下操作理由の確定精度を向上させることができる。
又、本実施形態においては、肯定ボタン131及び否定ボタン132からなるボタン130をステアリングホイール140に一体的に設けるように実施する。この場合、ボタン130を、例えば、アタッチメントを利用して、ステアリングホイール140に後付けするように実施することも可能である。これにより、ステアリングホイール140に設けられるボタン数を低減することができる。
又、本実施形態においては、肯定ボタン131及び否定ボタン132からなるボタン130をステアリングホイール140に専用ボタンとして設けるように実施する。この場合、ステアリングホイール140に設けられている兼用可能な他のボタンをボタン130(肯定ボタン131及び否定ボタン132)専用に設定したり、改造したりして実施することも可能である。このように、専用ボタン化することにより、ユーザである運転者は、直感的(リアルタイム)に押下操作することができる。
又、本実施形態においては、入力手段として、運転者によって押下操作されるボタン130(肯定ボタン131及び否定ボタン132)をステアリングホイール140に設けて実施する。この場合、入力手段としては、車両100の運転に対して影響を与えにくいものであれば良く、例えば、ステアリングホイール140にマイクを設けておき、乗員(運転者)の音声による入力を可能として実施することも可能である。この場合には、乗員(運転者)は、状況を肯定するときには肯定する意向を表す音声を入力し、状況を否定するときには否定する意向を表す音声を入力することができる。尚、この場合には、乗員(運転者)は、状況の肯定を入力する理由、或いは、状況の否定を入力する理由を音声により入力することが可能であり、音声入力された入力理由(押下操作理由に相当)を表す情報を情報提供センタ200に送信することができる。
更に、本実施形態においては、入力手段として、運転者によって押下操作されるボタン130(肯定ボタン131及び否定ボタン132)をステアリングホイール140に設けて実施する。この場合、入力手段として、例えば、ステアリングホイール140や車両100のフロントガラスに画像認識ユニットを設けておき、画像認識される乗員(運転者)の表情を入力するように実施することも可能である。この場合には、乗員(運転者)は、状況を肯定するときには肯定する意向を表すように予め登録された表情(例えば、笑顔)を画像認識させ、状況を否定するときには否定する意向を表すように予め登録された表情(例えば、困った顔)を画像認識させることができる。これによっても、状況を肯定する意向情報又は状況を否定する意向情報を入力することができる。
(ロ)意向情報及び押下操作理由(入力理由)を蓄積するデータベースの構築
上述したように、情報提供センタ200のサーバ210は、ネットワーク回線網400及び通信制御部211を介して、多数の車両100から送信情報を受信する。サーバ210は、ユーザ情報管理サーバ213と協働して、受信したそれぞれの送信情報に含まれている車両アカウント情報を用いてユーザ情報記憶部215を検索し、車両100を認証する。そして、情報管理サーバ212は、受信したそれぞれの送信情報について、例えば、送信情報に含まれている意向情報、位置情報及び時刻情報に基づいて、情報記憶部214の所定記憶位置に、図8に示すようなデータベースを構築して更新可能に記憶する。
すなわち、情報管理サーバ212は、位置情報によって表される座標、時刻情報によって表される時刻、車両100の車種、意向情報、前記座標と略一致する座標(位置情報)を有する意向情報が複数の車両100から送信された(複数の車両100の運転者によってボタン130が押下操作された)回数、後述するように確定(判明)された押下操作理由(以下、確定(判明)された押下操作理由を確定押下操作理由と称呼する。)、及び、後述するように推定される押下操作理由(以下、推定される押下操作理由を推定押下操作理由と称呼する。)からなるデータベースを構築する。そして、情報管理サーバ212は、図9に示すように、構築したデータベースに基づき、各種情報を表示可能に加えた地図データを作成する。具体的には、情報管理サーバ212は、各データベースについて、座標や時間帯ごとに、状況を肯定する「いいね」と状況を否定する「だめだね」の集計結果や、この集計結果を車種ごとに分類した結果を表示可能に加えた地図データを作成する。
このように、データベースを構築することにより、例えば、図9に示すような地図データを容易に作成することができる。これにより、情報の見える化が可能となり、情報の利用を効果的に促進することができる。
ここで、本実施形態においては、図8に示した全体のデータベースを座標(位置情報)に基づいて分類するように実施する。このように、座標(位置情報)に基づいて分類した場合、例えば、ある特定のお店周辺でボタン130が押下操作される等のように狭い範囲に特定される場合と、ある特定の道路に沿ってボタン130が押下操作される等のように広い範囲を同一の範囲のものとみなす必要がある場合とが生じる。すなわち、データベースを構築するときには、情報管理サーバ212は、位置(場所)や時刻等の集中度合いを考慮し、複数の位置情報(座標)を適切に束ねるようになっている。
又、本実施形態においては、情報管理サーバ212が車両100の車種を集計できるようにデータベースを構築する。この場合、より適切に集計して、最終的により有益な各種情報を提供するために、情報管理サーバ212は、車種ごとに集計する場合、車種を問わずに集計する場合、車型(具体的に、軽自動車、普通乗用車、RV車等)ごとに集計する場合等、複数の車両100から大量に収集した生データ(送信情報)の集計方法を適宜変更し、適切な傾向を把握するようになっている。
(ハ)意向情報の入力に関連する関連情報のフィードバック
情報提供センタ200においては、多数の車両100から送信情報を取得すると、上述したようなデータベースを構築して情報記憶部214に記憶する。この場合、データベースにおける情報の精度、特に、押下操作理由の確定精度を向上させることを目的として、情報提供センタ200のサーバ210は、車両100の運転者(乗員)によるボタン130の押下操作すなわち意向情報の入力に対して、意向情報の入力に関連する関連情報をフィードバックとして与えるようになっている。
具体的に説明すると、サーバ210は、情報管理サーバ212及び情報記憶部214と協働して、車両100の運転者(乗員)によってボタン130が押下操作されている(言い換えれば、送信情報を受信している)ときには図10に示すフィードバック付与プログラムを実行し、ボタン130が押下操作されていなくても車両100の走行に伴って車両100が特定の状態にあるときには図11に示すフィードバック付与プログラムを実行する。以下、まず、ボタン130が押下操作されたときに実行される図10のフィードバック付与プログラムから説明する。
サーバ210は、図10に示すフローチャートのステップS10にてフィードバック付与プログラムの実行を開始し、続くステップS11にて車両100側から送信情報に含まれる意向情報を受信している、言い換えれば、車両100の運転者によってステアリングホイール140に設けられたボタン130である肯定ボタン131(いいねボタン131)又は否定ボタン132(だめだねボタン132)が押下操作されているか否かを判定する。すなわち、サーバ210は、運転者によって肯定ボタン131又は否定ボタン132が押下操作されていれば「Yes」と判定してステップS12に進む。一方、運転者によって肯定ボタン131及び否定ボタン132の何れも押下操作されていなければ、サーバ210は「No」と判定してステップS18に進んでフィードバック付与プログラムの実行を一旦終了し、所定の短い時間の経過後、再びステップS10にて同プログラムの実行を開始する。
ステップS12においては、サーバ210は、情報管理サーバ212と協働して、送信情報に含まれる位置情報に基づき、この位置情報によって表される座標に対応して構築されたデータベースが情報記憶部214の所定記憶位置に記憶されているか、言い換えれば、運転者による肯定ボタン131又は否定ボタン132の押下操作に伴う意向情報に対応する対応データが存在するか否かを判定する。すなわち、サーバ210は、位置情報を用いた情報管理サーバ212による情報記憶部214の検索結果に基づき、対応データが存在していれば「Yes」と判定してステップS13に進む。一方、サーバ210は、情報管理サーバ212による検索結果に基づき、データベースが構築されておらず未だ対応データが存在していなければ「No」と判定してステップS16に進む。
ステップS13においては、サーバ210は、情報管理サーバ212によって検索された対応データを取得し、この対応データすなわちデータベースを構成する項目のうち、位置情報によって特定される地点でボタン130が押下操作される理由が後述するように既に確定(判明)している確定押下操作理由であるか否かを判定する。すなわち、サーバ210は、取得した対応データに関し、既に押下操作理由が確定されて(判明して)対応データであるデータベースに記憶されていれば、「Yes」と判定してステップS14に進む。一方、位置情報によって特定される地点でボタン130が押下操作される理由が後述するように未だ不明或いは不明確である推定押下操作理由であれば、サーバ210は「No」と判定してステップS15に進む。
サーバ210は、ステップS14〜ステップS17の各ステップ処理を実行することにより、運転者による肯定ボタン131(いいねボタン131)又は否定ボタン132(だめだねボタン132)の押下操作に対するフィードバックを付与する。以下、具体的に、各ステップ処理を説明する。
ステップS14においては、サーバ210は、前記ステップS13にて取得した対応データから確定押下操作理由を抽出し、この抽出した確定押下操作理由を運転者に提示する。すなわち、サーバ210は、抽出した確定押下操作理由を用いて所定の形式に従うテキストデータを生成する。このとき、サーバ210は、今回、運転者が肯定ボタン131又は否定ボタン132を押下操作した理由(意図)が確定押下操作理由と一致するか否かを問い合わせるテキストデータを生成する。そして、サーバ210は、確定押下操作理由を用いてテキストデータを生成すると、ステップS17に進む。尚、この場合、サーバ210は、確定押下操作理由のみを提示するテキストデータを生成することに代えて、又は、加えて、例えば、確定押下操作理由が「渋滞の発生」であれば、渋滞がいつ頃解消するかという情報や抜け道情報等を提示するテキストデータを生成することも可能である。
ステップS15においては、サーバ210は、前記ステップS13にて取得した対応データから推定押下操作理由を抽出し、この抽出した推定押下操作理由を運転者に提示する。すなわち、サーバ210は、抽出した推定押下操作理由を用いて所定の形式に従うテキストデータを生成する。このとき、サーバ210は、今回、運転者が肯定ボタン131又は否定ボタン132を押下操作した理由(意図)が推定押下操作理由と一致するか否かを問い合わせるテキストデータを生成する。そして、サーバ210は、推定押下操作理由を用いてテキストデータを生成すると、ステップS17に進む。
ステップS16においては、サーバ210は、前記ステップS12における判定処理に従い、対応データが存在しないことを提示する。すなわち、サーバ210は、対応データが存在しないことを示すテキストデータを所定の形式に従って生成する。そして、サーバ210は、テキストデータを生成すると、ステップS17に進む。
ステップS14〜ステップS16までの各ステップ処理が実行された後に実行されるステップS17においては、サーバ210は、前記ステップS14〜ステップS16の各ステップ処理を実行することによって生成したテキストデータに対して、乗員(運転者)がクローズドSNS及びオープンSNSのうちの少なくとも一方に参加して押下操作理由をより明確にすることを促すメッセージを表すテキストデータを付加し、関連情報としてフィードバックする最終的なフィードバック用テキストデータを生成する。そして、サーバ210は、送信情報を出力した車両100に対して、ネットワーク回線網400を介してフィードバック用テキストデータを送信する。
ここで、情報提供センタ200のサーバ210から送信される(提供される)フィードバック用テキストデータを具体的に説明する。尚、提供されるフィードバック用テキストデータは、車両100内に設けられた通知手段として表示器、例えば、ナビゲーション装置170のディスプレイ、或いは、車室内でペアリングされている携帯情報端末300のタッチパネル式液晶ディスプレイ304等に表示されるとよい。そして、このフィードバック用テキストデータを表示する際には、例えば、車両100内のスピーカから所定の報知音を鳴らすことが効果的である。
まず、確定押下操作理由を用いてフィードバック用テキストデータが生成された場合から具体的に説明する。この場合には、既に、多数の送信情報や後述するSNSにおけるコメント等に基づいて、肯定ボタン131又は否定ボタン132が押下操作される理由の傾向が確定している。このため、フィードバック用テキストデータに基づいて表示されるメッセージは、例えば、「この近辺は、駐車場が少ないと言っている人が○○人います。あなたもそう思いましたか? もし違っていたら「だめだねボタン」を押してください。 そして、是非、SNSに参加して、あなたが操作したボタンの意味を教えてね。」等となる。尚、この場合、「この近辺は、駐車場が少ないと言っている人が○○人います。」なる文言が確定押下操作理由に相当し、「あなたもそう思いましたか? もし違っていたら「だめだねボタン」を押してください。」なる文言が確定押下操作理由と一致するか否かを問い合わせる部分に相当し、「そして、是非、SNSに参加して、あなたが操作したボタンの意味を教えてね。」なる文言がクローズドSNS又はオープンSNSへの参加を促すメッセージに相当する。
次に、推定押下操作理由を用いてフィードバック用テキストデータが生成された場合を説明する。この場合には、未だ、肯定ボタン131又は否定ボタン132が押下操作される理由の傾向が推定される状態である。このため、フィードバック用テキストデータに基づいて表示されるメッセージは、例えば、「○○人の人がこの近辺でボタンを押しています。あなたは、△△という理由でボタンを押してくれましたか? もし合っていたら「いいねボタン」を押してくださいね。そして、是非、SNSに参加して、あなたが操作したボタンの意味を教えくださいね!」等となる。尚、この場合、「○○人の人がこの近辺でボタンを押しています。あなたは、△△という理由でボタンを押してくれましたか?」なる文言が推定押下操作理由に相当し、「もし合っていたら「いいねボタン」を押してくださいね。」なる文言が推定押下操作理由と一致するか否かを問い合わせる部分に相当し、「そして、是非、SNSに参加して、あなたが操作したボタンの意味を教えくださいね!」なる文言がクローズドSNS又はオープンSNSへの参加を促すメッセージに相当する。
更に、対応データが存在しないことを示すフィードバック用テキストデータが生成された場合を説明する。この場合には、未だ、位置情報によって表される座標(場所)に対応するデータベースが存在しない状態である。このため、フィードバック用テキストデータに基づいて表示されるメッセージは、例えば、「あなたが初めてここでボタンを押してくれました。是非、SNSに参加して、あなたが操作したボタンの意味を教えてくださいね!」等となる。尚、この場合、「あなたが初めてここでボタンを押してくれました。」なる文言が対応データが存在しないことを示し、「是非、SNSに参加して、あなたが操作したボタンの意味を教えてくださいね!」なる文言がクローズドSNS又はオープンSNSへの参加を促すメッセージに相当する。
そして、このようなフィードバック用テキストデータを生成して送信すると、サーバ210は、ステップS18にてフィードバック付与プログラムの実行を一旦終了し、所定の短い時間の経過後、再び、ステップS10にて同プログラムの実行を開始する。
次に、ボタン130が押下操作されていないときに実行される図11のフィードバック付与プログラムを説明する。
サーバ210は、図11に示すフローチャートのステップS30にてフィードバック付与プログラムの実行を開始し、続くステップS31にて車両100側から別途所定の短い時間間隔により送信される車両情報に基づき、本日最初に車両100を走行させる状況であるか否かを判定する。具体的には、サーバ210は、車両100側から送信される車両情報として、例えば、EVやPHVであれば起動スイッチがON状態とされたことを表す情報や内燃機関(エンジン)を有する場合にはイグニッションスイッチがON状態にされたことを表す情報に基づき、本日最初に車両100を走行させる状況であれば「Yes」と判定してステップS32に進む。一方、本日最初に車両100を走行させる状況でなければ、サーバ210は「No」と判定してステップS33に進む。
ステップS32においては、サーバ210は、情報管理サーバ212及び情報記憶部214と協働して、後述するように、最近、クローズドSNS及びオープンSNSに提示されて話題とされた対応データを検索して取得する。そして、サーバ210は、取得した対応データに関連するSNS上での話題となっている事項(トピックス)を車両100に提供する。
具体的に説明すると、サーバ210は、例えば、推定押下操作理由を含むデータベース(対応データ)に関し、後述するように、この対応データをサービス提供センタ500のサーバ510と協働してクローズドコミュニティであるSNS及びオープンコミュニティである他のSNSに提示することができる。そして、サーバ210は、対応データを提示することによって、例えば、推定押下操作理由が確定押下操作理由となると、この対応データを情報管理サーバ212を介して取得する。又、サーバ210は、推定押下操作理由を確定押下操作理由とするまでのコメント等に関連して、クローズドコミュニティであるSNS及びオープンコミュニティである他のSNS上での話題となっている事項(トピックス)をサービス提供センタ500のサーバ510から取得する。
そして、サーバ210は、取得した対応データのうち、例えば、前記ステップS31にて判定した車両100の車両アカウント情報に関連付けられているユーザアカウント情報をユーザ情報管理サーバ213と協働してユーザ情報記憶部215から取得して車両100を利用する乗員(運転者)を特定し、この乗員(運転者)すなわちユーザアカウント情報に関連している対応データを抽出する。そして、サーバ210は、この対応データに関連するSNS上での動き、例えば、「いいね」の数の増加等を示すテキストデータを所定の形式に従って生成する。又、サーバ210は、このテキストデータに加えて、SNS上で話題となっている事項を示すテキストデータを所定の形式に従って生成して、最終的な提供テキストデータを生成する。そして、サーバ210は、車両アカウント情報に基づき、ネットワーク回線網400を介して、生成した提供テキストデータを車両100に提供する。
ここで、情報提供センタ200のサーバ210から送信される(提供される)提供テキストデータとしては、具体的に、例えば、「こんにちは。今日も安全運転でお願いします。 あなたの「いいね」に対して、新たに○○人の人がいいねと言ってくれてますよ。最近、SNSでは××のお店の評判が高いらしいですよ。是非、行ってみてください。」等となる。尚、「あなたの「いいね」に対して、新たに○○人の人がいいねと言ってくれてますよ。」なる文言が対応データに関連する事項を示し、「最近、SNSでは××のお店の評判が高いらしいですよ。是非、行ってみてください。」なる文言がSNS上で話題となっている事項を示す。そして、このように、提供テキストデータを車両100に送信すると、サーバ21は、ステップS33に進む。
尚、この場合においても、提供テキストデータは、車両100内に設けられた通知手段としての表示器、例えば、ナビゲーション装置170のディスプレイ、或いは、車室内でペアリングされている携帯情報端末300のタッチパネル式液晶ディスプレイ304等に表示されるとよい。そして、この提供テキストデータを表示する際にも、例えば、車両100内のスピーカから所定の報知音を鳴らすことが効果的である。
ステップS33においては、サーバ210は、車両100側から別途送信される車両情報に基づき、乗員(運転者)によってナビゲーション装置170に対して目的地が設定されたか否かを判定する。すなわち、サーバ210は、取得した車両情報のうち、ナビゲーション装置170の作動状況を表す情報に基づき、ナビゲーション装置170に目的地が設定されたときには、「Yes」と判定してステップS34に進む。一方、ナビゲーション装置170の作動状況を表す情報に基づき、ナビゲーション装置170に目的地が設定されていないときには、サーバ210は「No」と判定してステップS35に進む。ここで、サーバ210は、ナビゲーション装置170の作動状況を表す情報に基づき、同装置170が起動しているときには、ネットワーク回線網400を介して、ナビゲーション装置170に所定の時間間隔によって検出した車両100の現在位置を表す位置情報及び車両100が走行している走行方向を表す走行方向情報を送信するように要求する。この要求に応じて、ナビゲーション装置170は、所定の時間間隔によって位置情報及び走行方向情報をネットワーク回線網400を介して情報提供センタ200に送信する。
サーバ210は、ステップS34〜ステップS36の各ステップ処理を実行することにより、運転者によってボタン130(肯定ボタン131又は否定ボタン132)が押下操作されていなくても、車両100の走行に応じたフィードバックを付与し、運転者による肯定ボタン131又は否定ボタン132の積極的な押下操作を促す。以下、具体的に、各ステップ処理を説明する。
ステップS34においては、サーバ210は、情報管理サーバ212及び情報記憶部214と協働し、前記ナビゲーション装置170の作動状況を表す情報及び同装置170から逐次送信される車両100の位置情報に基づき、設定された目的地までの探索ルート上にて対応する対応データを取得する。そして、サーバ210は、取得した対応データに基づき、目的地までの探索ルートに関連する話題(確定又は推定押下操作理由)を順次提供する。
具体的に説明すると、サーバ210は、情報管理サーバ212と協働し、ナビゲーション装置170から送信された位置情報によって表される座標を用いて情報記憶部215を検索し、この座標に略一致する座標を有する対応データを取得する。そして、サーバ210は、取得した対応データから、例えば、確定押下操作理由又は推定押下操作理由を抽出し、この抽出した確定押下操作理由又は推定押下操作理由を乗員(運転者)に提示する。すなわち、サーバ210は、抽出した確定押下操作理由又は推定押下操作理由を用いて、車両100を目的地まで走行させる際のフィードバック用テキストデータとして所定の形式に従うテキストデータを生成する。そして、サーバ210は、ネットワーク回線網400を介して、車両100に対して生成したフィードバック用テキストデータを送信する。このとき、サーバ210は、ナビゲーション装置170から逐次送信される車両100の位置情報に基づき、車両100の現在位置に対応するフィードバック用テキストデータを順次送信する。
ここで、情報提供センタ200のサーバ210から送信される(提供される)フィードバック用テキストデータとしては、具体的に、例えば、「あなたのルートは、AM7:00〜AM10:00の間、渋滞が多くて走りにくいと言っている人が○○人います。 リルートしてみて!」等となる。そして、このような情報が提供された車両100の運転者(乗員)は、提供された情報(状況)を肯定する場合には肯定ボタン131を押下操作し、否定する場合には否定ボタン132を押下操作することができる。すなわち、このような情報を提供することによって、乗員(運転者)によるボタン130の操作頻度を適切に高めることができ、その結果、このような押下操作に伴って送信される送信情報数が増加することによって、押下操作理由の確定精度を向上させることができる。尚、「あなたのルートは、AM7:00〜AM10:00の間、渋滞が多くて走りにくいと言っている人が○○人います。」なる文言が確定押下操作理由又は推定押下操作理由を示すことに相当する。そして、このように、フィードバック用テキストデータを車両100に送信すると、サーバ21は、ステップS35に進む。
尚、この場合においても、フィードバック用テキストデータは、車両100内に設けられた通知手段として表示器、例えば、ナビゲーション装置170のディスプレイ、或いは、車室内でペアリングされている携帯情報端末300のタッチパネル式液晶ディスプレイ304等に表示されるとよい。そして、このフィードバック用テキストデータを表示する際にも、例えば、車両100内のスピーカから所定の報知音を鳴らすことが効果的である。
ステップS35においては、サーバ210は、車両100のナビゲーション装置170から逐次送信される位置情報及び走行方向情報に基づき、車両100が対応データの存在する位置(場所、地点)を通過しているか否かを判定する。すなわち、サーバ210は、ナビゲーション装置170から取得した位置情報及び走行方向情報に基づき、車両100が走行している位置(場所)及び走行方向を特定する。続いて、サーバ210は、情報管理サーバ212と協働して、特定した車両100の位置(場所)及び走行方向を用いて、同位置(場所)近傍の座標に関連付けられて情報記憶部214の所定記憶位置に蓄積されて記憶されているデータベースすなわち対応データを検索して取得する。
そして、サーバ210は、車両100が対応データの存在する位置(場所、地点)を通過している、言い換えれば、対応データが検索されて取得できれば、「Yes」と判定してステップS36に進む。一方、車両100が対応データの存在する位置(場所、地点)を通過していない、言い換えれば、対応データが取得できなければ、サーバ210は「No」と判定してステップS37に進む。
ステップS36においては、サーバ210は、前記ステップS35にて情報管理サーバ212によって検索された複数の対応データに基づき、例えば、車両100の走行方向に合わせて、順次現在位置近傍における話題(確定又は推定押下操作理由)を提供する。
具体的に説明すると、サーバ210は、取得した複数の対応データのうち、ナビゲーション装置170から取得した位置情報に基づき、車両100の現在位置近傍の座標を有する対応データを抽出する。そして、サーバ210は、抽出した対応データから、例えば、確定押下操作理由又は推定押下操作理由を抽出し、この抽出した確定押下操作理由又は推定押下操作理由を乗員(運転者)に提示する。すなわち、サーバ210は、抽出した確定押下操作理由又は推定押下操作理由を用いて、車両100を走行させる際のフィードバック用テキストデータとして所定の形式に従うテキストデータを生成する。そして、サーバ210は、ネットワーク回線網400を介して、車両100に対して生成したフィードバック用テキストデータを順次送信する。
ここで、車両100を走行させているときに情報提供センタ200のサーバ210から送信される(提供される)フィードバック用テキストデータとしては、具体的に、例えば、「最近、SNS上では、近くにある××のお店の評判が良いらしいですよ。是非、行ってみてください。」等となる。そして、このような情報が提供された車両100の運転者(乗員)は、提供された情報(状況)を肯定する場合には肯定ボタン131を押下操作し、否定する場合には否定ボタン132を押下操作することができる。すなわち、このような情報を提供することによって、運転者(乗員)によるボタン130の操作頻度を適切に高めることができ、その結果、このような押下操作に伴って送信される送信情報数が増加することによって、押下操作理由の確定精度を向上させることができる。尚、「最近、SNS上では、近くにある××のお店の評判が良いらしいですよ。」なる文言が確定押下操作理由又は推定押下操作理由を示すことに相当する。そして、このように、フィードバック用テキストデータを車両100に送信すると、サーバ21は、ステップS37に進む。
尚、この場合においても、フィードバック用テキストデータは、車両100内に設けられた通知手段として表示器、例えば、ナビゲーション装置170のディスプレイ、或いは、車室内でペアリングされている携帯情報端末300のタッチパネル式液晶ディスプレイ304等に表示されるとよい。そして、このフィードバック用テキストデータを表示する際にも、例えば、車両100内のスピーカから所定の報知音を鳴らすことが効果的である。
ステップS37においては、サーバ210は、フィードバック付与プログラムの実行を一旦終了する。そして、所定の短い時間の経過後、再び、ステップS30にて同プログラムの実行を開始する。
このように、情報提供センタ200のサーバ210は、送信情報を受信する、言い換えれば、車両100の運転者によってステアリングホイール140に設けられたボタン130(肯定ボタン131又は否定ボタン132)が押下操作されて意向情報が入力されることに対して、関連情報であるフィードバック用テキストデータを提供(送信)して適切にフィードバックを付与することができる。これにより、ステアリングホイール140に設けられたボタン130(肯定ボタン131又は否定ボタン132)を押下操作する車両100の運転者にとっては、押下操作に対する適切な反応が常に得られることになり、飽きることなく継続してボタン130(肯定ボタン131又は否定ボタン132)を押下操作することができる。そして、車両100の運転者によって継続してボタン130(肯定ボタン131又は否定ボタン132)が押下操作されることにより、押下操作理由の精度を向上させることができ、その結果、より有益な関連情報(フィードバック用テキストデータ)を提供することができる。
又、情報提供センタ200のサーバ210は、車両100の運転者によってステアリングホイール140に設けられたボタン130(肯定ボタン131又は否定ボタン132)が押下操作されておらず意向情報が入力されていなくても、関連情報であるフィードバック用テキストデータを提供(送信)してフィードバックを付与することができる。これにより、運転者(乗員)によるボタン130の操作頻度を適切に高めることができ、その結果、このような押下操作に伴って送信される送信情報数が増加することによって、押下操作理由の確定精度を向上させることができる。
ここで、上述したように、情報提供センタ200からフィードバック用テキストデータが送信される場合、詳細な案内を示すフィードバック用テキストデータを提供することに代えて、簡略化したフィードバック用テキストデータを関連情報として提供することも可能である。すなわち、この場合には、必要最小限の関連情報として、例えば、「いいね:○人、だめだね:△人」や、「いいね:○人、だめだね:△人 知人の××さんは「いいね」と言っています。」等の簡略化した情報を、通知手段としてヘッドアップディスプレイ装置やメータクラスタ内に設けたディスプレイ等に表示することが可能である。これにより、情報を素早く理解できて解釈する煩雑さを解消することができる。尚、この場合、上述したような詳細な情報が必要となれば、例えば、ボタン130を所定の操作態様によって押下操作することで得られるようになることは言うまでもない。
又、フィードバック用テキストデータを提供する場合、テキストデータが提供されると直ちに車両100内に設けられた通知手段として表示器に表示されることに代えて、例えば、フィードバック用テキストデータが提供されたことを表すインジケータをまずは点灯させ、その後、必要であれば、ボタン130を所定の操作態様により押下操作することで詳細な情報を表示するようにすることも可能である。この場合、上述したように、対応データが存在する位置を通過するときにフィードバック用テキストデータを提供する状況において、運転者(乗員)に合わせた情報の提供が可能となり、好適である。
(ニ)意向情報の入力理由(押下操作理由)の補完
上述したように、運転者がステアリングホイール140に設けられたボタン130、すなわち、肯定ボタン131(いいねボタン131)又は否定ボタン132(だめだねボタン132)を押下操作して入力される意向情報は、ボタン130(対象となるボタン131,132)を単純に押下操作するのみで生成される情報であり、ボタン130(対象となるボタン131,132)が押下操作されたことを表す1bitの情報に過ぎない。従って、意向情報が情報提供センタ200に供給されると、サーバ210は、車両100の運転者(乗員)が何らかの状況を肯定(いいね)又は否定(だめだね)していることまで把握できるものの、具体的に肯定又は否定される状況までは把握できない。すなわち、車両100から供給される意向情報には、運転者がボタン130(対象となるボタン131,132)を押下操作して意向情報を入力した理由(意図)を示す情報が欠落している。
一方、上述したように、運転者がステアリングホイール140に設けられたボタン130(肯定ボタン131又は否定ボタン132)を押下操作して意向情報を入力した際に、情報提供センタ200から付与されるフィードバックでは、例えば、車両100の現在位置周辺で他の車両100の運転者(乗員)が意向情報を送信した理由(押下操作理由)に基づく関連情報が提供される。従って、サーバ210は、有益な関連情報を提供するために、取得した意向情報において欠落している入力理由(押下操作理由)を適切に補完し、情報記憶部214に蓄積されて記憶されているデータベースを構成する押下操作理由(より具体的には、確定押下操作理由又は推定押下操作理由)を精度よく維持しておく必要がある。このため、サーバ210は、以下に説明するように、意向情報の入力理由(押下操作理由)を適切に補完する。
(a)サーバ210による押下操作理由の推定
例えば、上述したように、車両100の運転者による肯定ボタン131又は否定ボタン132の押下操作に対応する対応データが存在しない、すなわち、未だ、位置情報によって表される座標(場所)に対応するデータベースが存在しない状態であるときには、車両100から送信された送信情報に基づいて、位置情報(座標)に対応するデータベースを構築する必要がある。この場合、送信情報には、意向情報が含まれるものの、押下操作理由を表す情報は含まれていないため、情報提供センタ200のサーバ210は、ある程度の確からしさにより、意向情報が入力された理由(押下操作理由)を推定してデータベースを構築する必要がある。
このため、サーバ210は、情報管理サーバ212及び情報記憶部214と協働して、図12に示す押下操作理由推定プログラムを実行する。以下、この押下操作理由推定プログラムを具体的に説明する。
サーバ210は、車両100側から送信情報を受信すると、言い換えれば、車両100の運転者によってステアリングホイール140に設けられたボタン130(詳しくは、肯定ボタン131又は否定ボタン132)が押下操作されると、図12に示すフローチャートのステップS50にて押下操作理由推定プログラムの実行を開始する。そして、サーバ210は、続くステップS51にて、情報管理サーバ212と協働して、情報記憶部214の所定記憶位置に受信した送信情報に含まれる位置情報(座標)に対応するデータベースが構築されて記憶されているか、言い換えれば、構築されているデータベースに対応する位置情報を受信したが否かを判定する。すなわち、サーバ210は、位置情報を用いて情報管理サーバ213と協働して情報記憶部214を検索し、情報記憶部214の所定記憶位置に対応するデータベースが構築されていなければ、「No」と判定してステップS52に進む。一方、情報記憶部214の所定記憶位置に対応するデータベースが構築されて記憶されていれば、「Yes」と判定してステップS53に進む。
ステップS52においては、サーバ210は、上記(ロ)で説明したように、情報管理サーバ212と協働して、例えば、送信情報に含まれている意向情報及び位置情報に基づいて、情報記憶部214の所定記憶位置に、図14に示したような、ユーザアカウントに応じたデータベースを構築する。ただし、このステップS52にて、ユーザアカウントに応じたデータベースを構築するときには、情報管理サーバ212は、まず、送信情報に含まれている位置情報によって表される座標、時刻情報によって表される時刻、車両100の車種、意向情報、前記座標と略一致する座標(位置情報)を有する意向情報が送信された回数の各項目についてのデータベースを構築する。すなわち、このステップS52においては、後述するステップS54以降の各ステップ処理によって押下操作理由が推定されるまで、押下操作理由に関する項目(推定押下操作理由)は、例えば、図8に示した全体のデータベースにて設定されている理由に基づき一時的に設定される。
ステップS53においては、サーバ210は、情報管理サーバ212と協働して情報記憶部214を検索し、送信情報に含まれる位置情報によって表される場所(座標)周辺に存在する店舗施設に関する施設情報及び周辺の道路形状(道路幅や右左折等)に関する道路情報を取得する。又、サーバ210は、例えば、ネットワーク回線網400を介して、図示を省略する外部の情報センタから、位置情報によって表される場所(座標)周辺における天気情報や、周辺の交通状況(渋滞の発生や事故の発生等)といった変動環境情報等を取得する。そして、サーバ210は、車両の周囲の環境を表す環境情報としての、施設情報、道路情報及び変動環境情報等(以下、これらの情報をまとめて特異点判断情報と称呼する。)を取得すると、ステップS54に進む。
ステップS54においては、サーバ210は、前記ステップS53にて取得した特異点判断情報を用いて、位置情報によって表されるボタン130(肯定ボタン131又は否定ボタン132)が押下操作された位置(場所)及び時刻情報によって表されるボタン130(肯定ボタン131又は否定ボタン132)が押下操作された時刻に特異点があるか否かを判定する。すなわち、例えば、ボタン130(肯定ボタン131又は否定ボタン132)が押下操作された位置(場所)の周辺にお店が存在するとか、周辺の道路幅が広く走りやすい、ボタン130(肯定ボタン131又は否定ボタン132)が押下操作された時刻には交通渋滞が解消されていた等の特異点があれば、サーバ210は「Yes」と判定してステップS55に進む。一方、サーバ210は、特異点判断情報を用いて、ボタン130が押下操作された位置及び時刻に特異点が見出せなければ、「No」と判定してステップS58に進み、一旦押下操作理由推定プログラムの実行を終了する。そして、所定の短い時間の経過後、再び、ステップS50にて同プログラムの実行を開始する。尚、この場合、サーバ210は、情報管理サーバ212と協働して、上述したように構築したデータベースにおける押下操作理由が不明であること或いは上記全体のデータベースで設定されている理由を設定する。
ステップS55においては、サーバ210は、前記ステップS54での判定処理によって見出した特異点に基づき、まず、意向情報の入力理由、すなわち、ボタン130(肯定ボタン131又は否定ボタン132)の押下操作理由が車両100の運転者(乗員)の個人的な理由であったと推定する。具体的には、例えば、あるお店の周辺で肯定ボタン131(いいねボタン131)が複数回押下操作されている場合、サーバ210は、運転者(乗員)が個人的に気に入っているお店の周辺まで近づいたから肯定ボタン131(いいねボタン131)が押下操作されたものと押下操作理由を推定する。或いは、例えば、道路上のある地点で否定ボタン132(だめだねボタン132)が複数回押下操作されている場合、サーバ210は、運転者の個人的な運転歴により走りにくい道路だから否定ボタン132(だめだねボタン132)が押下操作されたものと押下操作理由を推定する。このように、見いだされた特異点が運転者の個人的な事情に起因するものであるとの見解に基づき、押下操作理由を推定して設定する(言い換えれば、仮説を立てる)。そして、押下操作理由を推定すると、サーバ210は、ステップS56に進む。
ステップS56においては、サーバ210は、情報管理サーバ212と協働して、前記ステップS54にて見出した特異点に関し、情報記憶部215に記憶されている各ユーザアカウント(又は車両アカウント)に対応したデータベースを参照して前記特異点に関連したボタン130の押下操作の回数、言い換えれば、前記特異点の評価数、或いは、前記特異点に関連する図8に示したような全体のデータベースの評価数が一定数以上であるか否かを判定する。具体的に、サーバ210は、前記評価数が一定数以上であれば、前記ステップS54にて見出した特異点が個人的な事情によるものではなく他の車両100の運転者にも共通する特異点であるため、「Yes」と判定してステップS57に進む。一方、前記評価数が一定数未満であれば、前記ステップS54にて見出した特異点が個人的な事情によるものであるとみなすことができるため、サーバ210は「No」と判定してステップS58に進み、一旦押下操作理由推定プログラムの実行を終了する。尚、この場合、サーバ210は、情報管理サーバ212と協働して、上述したように構築したデータベースにおける推定押下操作理由として、前記ステップS55にて推定した個人的な押下操作理由を設定する。
ステップS57においては、サーバ210は、前記ステップS54での判定処理によって見出した特異点に基づき、意向情報の入力理由、すなわち、ボタン130(肯定ボタン131又は否定ボタン132)の押下操作理由が複数の車両100の運転者(乗員)に共通する理由であったと推定する。具体的には、例えば、あるお店の周辺で一定数以上の運転者(乗員)が同様に肯定ボタン131(いいねボタン131)を押下操作している場合、サーバ210は、人気のあるお店の周辺まで近づいたから複数の運転者(同乗者)が肯定ボタン131(いいねボタン131)を押下操作したものと押下操作理由を推定する。或いは、例えば、道路上のある地点で一定数以上の運転者が同様に否定ボタン132(だめだねボタン132)を押下操作している場合、サーバ210は、道路の幅が狭く車両の行き来が難しくて走りにくい道路だから複数の運転者が否定ボタン132(だめだねボタン132)を押下操作したものと押下操作理由を推定する。
すなわち、この場合には、見いだされた特異点が複数の運転者(乗員)に共通する「場所」に起因するものであるとの見解に基づき押下操作理由を推定して設定する(言い換えれば、仮説を立てる)。そして、押下操作理由を推定すると、サーバ210は、ステップS58に進み、一旦押下操作理由推定プログラムの実行を終了する。そして、所定の短い時間の経過後、再び、ステップS50にて同プログラムの実行を開始する。尚、この場合、サーバ210は、情報管理サーバ212と協働して、上述したように構築したデータベースにおける推定押下操作理由として、前記ステップS57にて推定した共通する押下操作理由を設定する。
このように、押下操作理由推定プログラムを実行することにより、情報提供センタ200のサーバ210は、押下操作理由を表す情報が完全に欠落した意向情報(1bitの情報)からある程度の確からしさを有して押下操作理由を推定して設定することができる。従って、車両100の運転者(乗員)が入力した1bitの情報である意向情報について、有益な情報を提供するために必要となる押下操作理由を適切に推定して補完することができる。これにより、車両100の運転者(乗員)によって入力される意向情報に関する極めて有益な関連情報(フィードバック用テキストデータ等)を適切にフィードバックすることができる。そして、このように適切に関連情報をフィードバックして提供することによって運転者(乗員)に意向情報を継続して入力させる(すなわち、ボタン130を継続して押下操作させる)ことができて、その結果、押下操作理由の推定精度を向上させることができる。
(b)SNSを利用した押下操作理由の更なる推定と確定
上述したように、情報提供センタ200のサーバ210によって押下操作理由が推定された状態では、予め得られている特異点判断情報を用いた推定であるために推定精度に劣る場合がある。又、特異点判断情報を用いても押下操作理由が推定できない場合もある。このため、より直接的に、かつ、リアルタイム性を有して不明な押下操作理由を推定したり、或いは、押下操作理由を確定したりするために、情報提供センタ200は、サービス提供センタ500と協働して、押下操作理由をクローズドSNS又は/及びオープンSNSを利用して推定又は確定する。
具体的に説明すると、情報提供センタ200のサーバ210は、サービス提供センタ500のサーバ510と協働して、図13に示す押下操作理由推定及び確定プログラムを実行する。以下、この押下操作理由推定及び確定プログラムを詳細に説明する。
情報提供センタ200のサーバ210は、車両100側から送信情報を受信すると、言い換えれば、車両100の運転者によってステアリングホイール140に設けられたボタン130(詳しくは、肯定ボタン131又は否定ボタン132)が押下操作されると、図13に示すフローチャートのステップS70にて押下操作理由推定及び確定プログラムの実行を開始する。
そして、サーバ210は、続くステップS71において、情報管理サーバ212と協働して、情報記憶部214の所定記憶位置に構築されて記憶されているデータベース(例えば、図14に示したデータベース)のうち、送信情報に含まれる車両アカウント情報又はユーザアカウント情報に関連付けられているデータベースを抽出し、このデータベースの推定押下操作理由が設定されているか否かを判定する。すなわち、サーバ210は、抽出したデータベースの推定押下操作理由を、例えば、上述したように推定して設定していれば、「Yes」と判定してステップS72に進む。一方、抽出したデータベースの推定押下操作理由が設定されていなければ、サーバ210は「No」と判定してステップS73に進む。
ステップS72においては、サーバ210は、クローズドSNSを利用して、送信情報を供給した車両100の運転者(乗員)に対して、現在、データベース上で推定されている押下操作理由の真偽を確認するための回答フォームを含む質問文を送信する。具体的に説明すると、クローズドSNSを利用する場合には、サーバ210がユーザ情報管理サーバ213からユーザ情報記憶部215に記憶されている車両アカウント情報を取得し、この車両アカウント情報を用いてサービス提供センタ500にログインすることが可能であり、これにより、サーバ210はさも車両100自身がメッセージを呟いているようなメッセージを送信することができる。このため、図15に概略的に示すように、サーバ210は、サービス提供センタ500のサーバ510と協働して、車両100(図15においては「XYZ」)から運転者(乗員)へのメッセージ形式により、ボタン130(肯定ボタン131又は否定ボタン132)が押下操作されたこと(意向情報が入力されたこと)及び推定押下操作理由を選択肢に含んだ回答フォームからなる質問文をクローズドSNSを介して送信する。
このとき、サービス提供センタ500のサーバ510は、契約者情報管理サーバ513と協働し、車両アカウント情報に関連付けられているユーザアカウント情報を契約者情報記憶部515から取得し、このユーザアカウント情報を用いてオープンSNSにログインすることができる。これにより、情報提供センタ200のサーバ210は、サーバ510を介して運転者(ユーザ)から知り合いを含む第三者へのメッセージ形式により、図16に概略的に示すように、ボタン130(いいねボタン131又はだめだねボタン132)が押下操作されたことを送信する。このように、質問文を送信すると、サーバ210は、ステップS74に進む。
ステップS73においては、サーバ210は、クローズドSNSを利用して、送信情報を供給した車両100の運転者(乗員)に対して、押下操作理由を問うための一般的な質問文を送信する。この場合においても、前記ステップS72のステップ処理と同様に、さも車両100自身がメッセージを呟いているようにメッセージを送信することができる。このため、サーバ210は、サービス提供センタ500のサーバ510と協働して、車両100から運転者(乗員)へのメッセージ形式により、例えば、「○○駅前付近でいいねしてたけど、どうして?」等の質問文をクローズドSNSを介して送信する。
そして、この場合においても、前記ステップS72におけるステップ処理と同様に、サービス提供センタ500のサーバ510は、契約者情報管理サーバ513及び契約者情報記憶部515と協働することによって、車両アカウント情報に関連付けられているユーザアカウント情報取得し、このユーザアカウント情報を用いてオープンSNSにログインすることができる。これにより、情報提供センタ200のサーバ210は、サーバ510を介して運転者(ユーザ)から知り合いを含む第三者へのメッセージ形式により、図16と同様に、ボタン130(いいねボタン131又はだめだねボタン132)が押下操作されたことを送信する。このように、質問文を送信すると、サーバ210は、ステップS74に進む。
ステップS74においては、サーバ210は、前記ステップS72又はステップS73のステップ処理により送信した質問文に対する回答があったか否かを判定する。具体的に説明すると、例えば、前記ステップS72のステップ処理によって質問文がクローズドSNSを利用して送信されると、この質問文は、例えば、車両100の運転者(乗員)が自身のユーザアカウント情報を用いてサービス提供センタ500にログインすることによって携帯情報端末300や自宅に設置したパーソナルコンピュータ等を利用して確認することができる。そして、この質問文に対して回答する場合には、図17に概略的に示すように、質問文に添付された推定押下操作理由を選択肢に含む回答フォームに従って、ボタン130(肯定ボタン131又は否定ボタン132)を押下操作したときの理由を選択して回答する。
このように、質問文に対して車両100の運転者(乗員)が回答すると、この回答は、サービス提供センタ500のサーバ510によって、ネットワーク回線網400を介して、情報提供センタ200に供給される。これにより、サーバ210は、車両100の運転者(乗員)から回答フォームに従った回答があれば、「Yes」と判定してステップS75に進む。一方、車両100の運転者(乗員)から回答フォームに従った回答がなければ、「No」と判定してステップS77に進み、一旦押下操作理由推定及び確定プログラムの実行を終了する。そして、所定の短い時間の経過後、再び、ステップS70にて同プログラムの実行を開始する。
ここで、クローズドSNS及び/又はオープンSNSを利用して押下操作理由を推定したり確定したりする利点を簡単に説明しておく。クローズドSNSは、上述したように、クローズドコミュニティであり、車両100の車両アカウント情報又はユーザアカウント情報を利用してログインすることによって参加することができる。従って、車両100は、車両アカウント情報を利用してクローズドSNSにログインし、所定のフィード上に各種情報を送信することができる。一方、車両100の運転者(乗員)は、所有する携帯情報端末300(例えば、スマートフォンやタブレット端末等)を利用したり、自宅のパーソナルコンピュータを利用して、ユーザアカウント情報を用いてクローズドSNSにログインすることにより、所定のフィード上で車両100からの各種情報を入手したり、フォローしている他の車両の運転者(乗員)、ディーラ、カーメーカと情報共有することが可能となる。
又、クローズドSNS(すなわち、クローズドコミュニティ)特有の機能として、過去に送信された意向情報(「いいね」や「だめだね」)に対する回答機能や、他のユーザ(運転者や乗員)と議論を行う機能が存在し、これらの機能を利用することにより、意向情報、例えば、「いいね」とした理由が明確になったり、他のユーザとのコミュニケーションが活性化されたりする効果が得られる。
このため、例えば、クローズドSNSにおいては、運転者(乗員)が車両アカウント情報を用いて車両100から意向情報(「いいね」や「だめだね」)を送信すると(より詳しくは、肯定ボタン131(いいねボタン131)又は否定ボタン132(だめだねボタン132)を押下操作して送信すると)、上述したように、情報提供センタ200を介してサービス提供センタ500が車両アカウント情報を用いて送信された意向情報に関する情報をクローズドSNSに送信する。これにより、運転者(乗員)は、ユーザアカウント情報を用いてクローズドSNSにログインすると、このSNSのフィードには、例えば、図15に示したような車両100から送信された意向情報に関する情報が表示されており、運転者(乗員)は、このフィードを確認することによって、例えば、図17に示したような回答フォームに従って、後から自身の意向情報(「いいね」や「だめだね」)について、参照したりコメントしたりすることが可能となる。又、フィードに意向情報に関する情報が表示されることにより、運転者(乗員)をフォローしている他の運転者(乗員)も意向情報に関する情報を提供することができ、その結果、車両100から意向情報を送信することが、クローズドSNSでコミュニケーションを図るためのトリガとなる得る。尚、このようなトリガについて、オープンSNSであっても可能となる。
尚、SNSを利用しない車両100の運転者(乗員)においても、上述したように、SNSによって得られた関連情報をフィードバックにより受けることが可能である。このため、ボタン130(肯定ボタン131(いいねボタン131)や否定ボタン132(だめだねボタン132)を押下操作することにより、情報収集に協力する動機とすることができる。
ステップS75においては、サーバ210は、回答フォームに従って得られた押下操作理由に従って、データベースの推定押下操作理由及び確定押下操作理由を更新する。すなわち、例えば、回答フォームにより示した推定押下操作理由が正しい(真である)として車両100の運転者(乗員)が回答している場合、ある地点でボタン130(より詳しくは、肯定ボタン131(いいねボタン131)又は否定ボタン132(だめだねボタン132))が押下操作される理由の傾向を確定することができるため、推定押下操作理由を確定押下操作理由に変更して、例えば、図14に示したデータベースを更新する。或いは、例えば、押下操作理由を推定できない状況で車両100の運転者(乗員)から押下操作理由についてのコメントが回答されると、サーバ210は、ある地点でボタン130(より詳しくは、肯定ボタン131(いいねボタン131)又は否定ボタン132(だめだねボタン132))が押下操作される理由をコメントされた理由として推定し、例えば、図14に示したデータベースを更新する。このように、車両100の運転者(乗員)からの回答に従ってデータベースの押下操作理由を更新すると、ステップS76に進む。
ステップS76においては、サーバ210は、図18に概略的に示すように、質問文に対して回答した運転者(乗員)すなわちユーザに対してポイントを付与する。この場合、サーバ210は、ユーザ情報管理サーバ213と協働してユーザ情報記憶部215からユーザのユーザアカウント情報を取得する。そして、サーバ210は、取得したユーザアカウント情報を用いて、ネットワーク回線網400を介して通信可能に接続された図示を省略するポイント管理サーバにログインし、例えば、このポイント管理サーバにユーザごとに構築されているデータベースに今回付与されたポイントを表すポイント情報を蓄積して記憶する。このように、質問文に対して回答することによってポイントが得られることにより、車両100の運転者(乗員)のインセンティブを向上させることができる。そして、サーバ210は、質問文に対して回答した運転者(乗員)すなわちユーザに対してポイントを付与すると、ステップS77に進み、一旦押下操作理由推定及び確定プログラムの実行を終了する。そして、所定の短い時間の経過後、再び、ステップS70にて同プログラムの実行を開始する。
このように、情報提供センタ200のサーバ210とサービス提供センタ500のサーバ510とが協働して、押下操作理由推定及び確定プログラムを実行することにより、サーバ210がある程度まで推定できている押下操作理由を、SNSを利用して実際にボタン130(肯定ボタン131及び否定ボタン132)を押下操作した運転者(乗員)に確認させることができ、その結果、押下操作理由を明確に確定することができる。又、サーバ210が押下操作理由を推定することが不能である場合には、SNSを利用して実際にボタン130(肯定ボタン131及び否定ボタン132)を押下操作した運転者(乗員)に押下操作理由を問い合わせることができ、その結果、押下操作理由を精度よく推定(確定)することができる。
従って、車両100の運転者(乗員)が入力した1bitの情報である意向情報について、有益な情報を提供するために必要となる押下操作理由を適切に補完することができる。これにより、車両100の運転者(乗員)によって入力される意向情報に関する極めて有益な関連情報(フィードバック用テキストデータ等)を適切にフィードバックすることができる。一方で、特に、状況を否定する意向情報及びその押下操作理由をSNSを利用して広く収集することにより、状況の真の改善ポイントを明確にする極めて有益な情報が得られ、例えば、カーメーカであればその改善ポイントを車づくりに反映させることにより、延いては、社会づくりにも貢献することができるようになる。
ここで、上述したように、サービス提供センタ500のサーバ510は、オープンSNSに対して、運転者(ユーザ)から知り合いを含む第三者へのメッセージ形式により、図16に概略的に示したように、ボタン130(いいねボタン131又はだめだねボタン132)が押下操作されたことを送信することができる。このため、例えば、ある地点で運転者(ユーザ)がボタン130(いいねボタン131又はだめだねボタン132)を押下操作したことに関し、第三者によるより詳細な見解をも収集することも可能である。
これによれば、運転者(ユーザ)がボタン130を押下操作した理由を回答しない(或いは、回答できない)場合において、情報提供センタ200のサーバ210は、上述したように、サービス提供センタ500のサーバ510と協働して、第三者の見解として、例えば、「該当地点における道路には大きな段差が存在しているために「だめだねボタン」が押下操作されたのではないか」や、「ある車種で該当地点を通過すると不快な振動が長く続くから「だめだねボタン」が押下操作されたのではないか」、或いは、「たった今、該当地点にあった大きな段差が修復されたから今後通過するときには「いいねボタン」が押下操作されるのでは」等の見解を収集することができる。これにより、特に、状況を否定する真の見解が得られやすく、例えば、カーメーカにとっては、運転者(ユーザ)に好まれる車づくりや改善ポイント等、通常の相談センタではなかなか得られないようなが声なき声が得られやすくなる。逆に、運転者(ユーザ)にとっては、自分たちの声や好みが反映された車両が開発される可能性があるため、自分たちの手で車を作り出すような実感が得られる。
又、サービス提供センタ500のサーバ510は、上述したように、車両100の運転者によってボタン130(いいねボタン131又はだめだねボタン132)が押下操作されたことをオープンSNSに対して送信することができる。これにより、車両100の運転者(乗員)は、オープンSNSにログインして参加しているユーザのうち、例えば、SNSのグループ機能を利用して知り合いの見解を確認することができる。具体的に説明すると、例えば、車両100の運転者(乗員)が、図19に示すように、クローズドSNSに参加して他の運転者(乗員)の意向情報を確認しているときには、情報記憶部214の所定記憶位置に構築されている各データベースに基づき、ある地点における「いいね」又は「だめだね」の数を表示させることができる。このとき、車両100の運転者(乗員)が、更に、詳細なコメントを確認するためにオープンSNSにログインすると、グループ機能によって、知り合いのコメントを確認することができる。このように、オープンSNSを利用して知り合い同士が寄り集まることにより、例えば、ある地点における押下操作理由に関して、より活発なコミュニケーションが生まれ、より深く議論することができる。
(ホ)意向情報のリアルタイム活用
上述したように、車両100の運転者はステアリングホイール140に設けられたボタン130(より詳しくは、肯定ボタン131又は否定ボタン132)をいつでも容易に押下操作することができる。このような良好な操作性(リアルタイムの操作性)を利用することにより、他の車両100に対して、有益でかつ正確な情報を提供することができる。
具体的に、例えば、渋滞が発生している状況を想定する。この状況では、車両100の運転者は、渋滞の出口(渋滞の終了地点)がはっきりとわからないため、渋滞出口位置でスムーズに車両100を加速させることが難しく、その結果、渋滞が速やかに解消しない場合がある。又、近年では、渋滞情報(渋滞距離や渋滞を抜けるまでの時間等)がアナウンスされるようになっているが、渋滞状況は時々刻々と変化するものであるため、提供される渋滞情報が実際の渋滞状況と異なっている場合があり、これによっても、渋滞が速やかに解消しない。
この場合、車両100が情報入力装置を備えていれば、例えば、渋滞を脱出したときに運転者がステアリングホイール140に設けられたボタン130(より詳しくは、肯定ボタン131(いいねボタン131)を押下操作する。そして、多数の車両100からこの意向情報が情報提供センタ200のサーバ210に集約されることにより、サーバ210は意向情報とともに送信される位置情報に基づき、渋滞から脱出する位置を正確に把握することができる。これにより、サーバ210は、この渋滞脱出位置を未だ渋滞により停車している他の車両100に関連情報としてフィードバックすることにより、他の車両100の運転者(乗員)は、正確な渋滞脱出位置を把握することができ、例えば、いらいらすることを効果的に防止することができる。
又、このような渋滞に巻き込まれて車両100が停車している状況では、いらいらする。このため、例えば、ステアリングホイール140に設けられたボタン130(肯定ボタン131及び否定ボタン132)を利用して、渋滞中の運転者同士でネットワークゲーム(例えば、クイズゲーム等)を行うことも可能である。この場合、情報提供センタ200のサーバ210は、例えば、近場の車両100同士をグルーピングしておき、各グループごとの正解率等を関連情報としてフィードバックする。これにより、近場の車両100同士で一体感が生まれ、無理な割り込み等をなくすことが可能であり、思いやり運転を効果的に促すことができる。又、このように、渋滞中の運転者の気を紛らわすことにより、いらいらを効果的に解消することができる。
以上の説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、ステアリングホイール140に対してボタン130(肯定ボタン131及び否定ボタン132)を設けることにより、車両100の運転者は、いつでも、極めて容易に(負荷なく)肯定ボタン131又は否定ボタン132を押下操作して、乗車中の状況であって車両100の走行に伴って時々刻々と変化する実空間における状況を肯定する(状況に満足する)意向情報、又は、乗車中の状況であって車両100の走行に伴って時々刻々と変化する実空間における状況を否定する(状況に満足しない)意向情報を情報提供センタ200と通信可能なDCM150に入力することができる。これにより、車両100を走行させる運転者の意向すなわち肯定又は否定という最低限の1bitの情報である意向情報を外部に適切に出力することができる。
又、本実施形態によれば、車両100側から送信された送信情報すなわち位置情報、時刻情報、意向情報及び押下操作理由をそれぞれ関連付けてデータベースを構築することができる。これにより、例えば、構築したデータベースに基づく地図データを容易に作成することができて情報の見える化が可能となり、意向情報の利用を効果的に促進することができる。
又、本実施形態によれば、情報提供センタ200のサーバ210は、送信情報を受信する、言い換えれば、車両100の運転者によってステアリングホイール140に設けられたボタン130(肯定ボタン131又は否定ボタン132)が押下操作されて意向情報が入力されることに対して、関連情報であるフィードバック用テキストデータを提供(送信)して適切にフィードバックを付与することができる。これにより、車両100の運転者は、飽きることなく継続してボタン130(肯定ボタン131又は否定ボタン132)を押下操作することができて押下操作理由の精度を向上させることができ、その結果、より有益な関連情報(フィードバック用テキストデータ)を提供することができる。
又、本実施形態によれば、サーバ210がある程度まで推定できている押下操作理由を、SNSを利用して実際にボタン130(肯定ボタン131及び否定ボタン132)を押下操作した運転者(乗員)に確認させることができ、その結果、押下操作理由を明確に確定することができる。又、サーバ210が押下操作理由を推定することが不能である場合には、SNSを利用して実際にボタン130(肯定ボタン131及び否定ボタン132)を押下操作した運転者(乗員)に押下操作理由を問い合わせることができ、その結果、押下操作理由を精度よく推定(確定)することができる。
これにより、車両100の運転者(乗員)が入力した1bitの情報である意向情報について有益な情報を提供するために必要となる押下操作理由を適切に補完することができ、有益な関連情報(フィードバック用テキストデータ等)を適切にフィードバックすることができる。そして、状況を否定する意向情報及びその押下操作理由をSNSを利用して広く収集することにより、真の改善ポイントを明確にする極めて有益な情報を得ることができる。従って、カーメーカであればその改善ポイントを車づくりに反映させることにより、延いては、社会づくり街づくりにも貢献することができるようになる。
本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態においては、車両100のDCM150が入力手段であるボタン130(肯定ボタン131又は否定ボタン132)を介して入力された意向情報を含む送信情報を情報提供センタ200に送信するように実施した。この場合、近距離通信制御装置160によってペアリングされた携帯情報端末300の外部通信制御部301を利用して、意向情報を含む送信情報を情報提供センタ200に送信するように実施することも可能である。
この場合、ボタン130(肯定ボタン131及び否定ボタン132)は、CAN通信ライン120を介して、近距離通信制御装置160に意向情報を供給する。近距離通信制御装置160は、供給された意向情報と、ナビゲーション装置170から供給された位置情報及び時刻情報とを近距離無線通信により、ペアリングされた携帯情報端末300に供給する。携帯情報端末300は、供給された各種の情報を外部通信制御部301及び中継局を介して、ネットワーク回線網400に接続された情報提供センタ200に送信する。従って、この場合においても、車両100から意向情報と含む送信情報をネットワーク回線網400を介して送信することができるため、上記実施形態と同様の効果が期待できる。
又、上記実施形態においては、車両10の運転者(乗員)によってボタン130(肯定ボタン131又は否定ボタン132)が押下操作されると、DCM150をはほぼリアルタイムにより、意向情報を含む送信情報を携帯電話回線を利用して情報提供センタ200に送信するように実施した。この場合、ボタン130(肯定ボタン131又は否定ボタン132)が押下操作されて入力された意向情報を送信情報にして一時的に記憶して保存しておき、例えば、所謂、ブロードバンド回線が整備されている場所(例えば、自宅や会社等)に位置するときに、Wi-Fi(登録商標)接続により保存していた意向情報を含む送信情報を出力するように実施することも可能である。或いは、車両100がEVやPHVである場合には、例えば、充電時の電力線を利用する通信(所謂、PLC)及びブロード回線を介して、保存していた意向情報を含む送信情報を出力するように実施することも可能である。これらの場合、リアルタイムのフィードバックが付与されない点で、若干利便性が悪化するが、例えば、通信費用や通信負荷を低減することができて好適である。
又、上記実施形態においては、ボタン130(肯定ボタン131(いいねボタン131)及び否定ボタン132(だめだねボタン132))をステアリングホイール140に設け、車両の運転者が押下操作することを原則として実施した。この場合、例えば、車両100の運転席を除く各座席の近傍に、それぞれ、ボタン130(肯定ボタン131(いいねボタン131)及び否定ボタン132(だめだねボタン132))を配置するように実施することも可能である。具体的には、ナビゲーション装置170のタッチパネル式液晶ディスプレイや、ペアリングされた情報端末装置300のタッチパネル式液晶ディスプレイ304、オーディオ装置のディスプレイ等に、ボタン130(肯定ボタン131(いいねボタン131)及び否定ボタン132(だめだねボタン132))を表示することが好ましい。この場合、(肯定ボタン131(いいねボタン131)及び否定ボタン132(だめだねボタン132))は、乗員によって常に操作され得るように、例えば、所定のアプリケーションが実行されていて、乗員がボタン130を押下操作するときには専用ボタンとして表示されていることが必要である。
これにより、車両100の乗車している乗員が、ボタン130(肯定ボタン131(いいねボタン131)及び否定ボタン132(だめだねボタン132))をいつでも押下操作して意向情報を入力することができる。尚、この場合、入力された意向情報を識別するために、例えば、運転者を除く他の乗員は、ナビゲーション装置170のタッチパネル式液晶ディスプレイや、ペアリングされた情報端末装置300を利用して、(押下)操作するボタン130(肯定ボタン131(いいねボタン131)及び否定ボタン132(だめだねボタン132))に自身のユーザアカウントを対応付けてDCM150等に設定しておくことが好ましい。
又、上記実施形態においては、車両100は、DCM150を利用して、ネットワーク回線網400を介して直接的に情報提供センタ200と通信するように実施した。この場合、DCM150から送信される送信情報には、互いに関連する車両アカウント情報及びユーザアカウント情報とが含まれているため、例えば、サービス提供センタ500が提供するクローズドSNSにログインし、サービス提供センタ500を介して間接的に情報提供センタ200と通信するように実施可能であることは言うまでもない。この場合においても、車両アカウント情報及びユーザアカウント情報の少なくとも一方を送信情報に含めて送信することにより、サービス提供センタ500及び情報提供センタ200にログインする手続を省くことができ、運転者(乗員)は気軽にクローズドSNS或いはオープンSNSに参加することができる。
又、上記実施形態においては、車両100が、ネットワーク回線網400を介して、情報提供センタ200にアクセス(ログイン)して意向情報を送信するように実施した。この場合、例えば、ネットワーク回線網400に接続されて、所謂、クローズドの環境下にある情報提供センタ200及びサービス提供センタ500と接続することなく、オープンSNSのみに接続し、直接的に意向情報(「いいね」や「だめだね」)を送信したり、或いは、この意向情報の送信に対して他人の意向情報(「いいね」や「だめだね」)に基づく関連情報をフィードバックとして付与するように実施することも可能である。この場合においても、例えば、オープンSNSにログインするためのユーザアカウント情報を送信情報に含めて送信することにより、オープンSNSにログインする手続を省くことができ、運転者(乗員)は気軽にオープンSNSに参加することができる。
更に、上記実施形態においては、情報提供装置を情報提供センタ200に設けて実施した。この場合、情報提供装置に機能の一部、例えば、フィードバック付与機能等を車両100側に設けて実施することも可能である。この場合、フィードバックにより提供される関連情報がリアルタイムで更新されにくい点で、若干利便性が悪化するものの、ボタン130の押下操作に対して極めて迅速なフィードバックを付与することができて好適である。