JPWO2013024589A1 - 敗血症の予防剤及び/又は治療剤 - Google Patents

敗血症の予防剤及び/又は治療剤 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2013024589A1
JPWO2013024589A1 JP2013528918A JP2013528918A JPWO2013024589A1 JP WO2013024589 A1 JPWO2013024589 A1 JP WO2013024589A1 JP 2013528918 A JP2013528918 A JP 2013528918A JP 2013528918 A JP2013528918 A JP 2013528918A JP WO2013024589 A1 JPWO2013024589 A1 JP WO2013024589A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
iron
sepsis
compound
group
therapeutic agent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2013528918A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6052736B2 (ja
Inventor
浩作 木下
浩作 木下
勝久 丹正
勝久 丹正
彰浩 野田
彰浩 野田
櫻井 淳
淳 櫻井
田中 徹
徹 田中
高橋 究
究 高橋
元夫 中島
元夫 中島
史紀 安部
史紀 安部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nihon University
SBI Pharmaceuticals Co Ltd
Original Assignee
Nihon University
SBI Pharmaceuticals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nihon University, SBI Pharmaceuticals Co Ltd filed Critical Nihon University
Publication of JPWO2013024589A1 publication Critical patent/JPWO2013024589A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6052736B2 publication Critical patent/JP6052736B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K33/00Medicinal preparations containing inorganic active ingredients
    • A61K33/24Heavy metals; Compounds thereof
    • A61K33/26Iron; Compounds thereof
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/185Acids; Anhydrides, halides or salts thereof, e.g. sulfur acids, imidic, hydrazonic or hydroximic acids
    • A61K31/19Carboxylic acids, e.g. valproic acid
    • A61K31/195Carboxylic acids, e.g. valproic acid having an amino group
    • A61K31/197Carboxylic acids, e.g. valproic acid having an amino group the amino and the carboxyl groups being attached to the same acyclic carbon chain, e.g. gamma-aminobutyric acid [GABA], beta-alanine, epsilon-aminocaproic acid or pantothenic acid
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/28Compounds containing heavy metals
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/28Compounds containing heavy metals
    • A61K31/295Iron group metal compounds
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K45/00Medicinal preparations containing active ingredients not provided for in groups A61K31/00 - A61K41/00
    • A61K45/06Mixtures of active ingredients without chemical characterisation, e.g. antiphlogistics and cardiaca
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/04Antibacterial agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P43/00Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Oncology (AREA)
  • Communicable Diseases (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Abstract

本発明は敗血症の予防及び治療に有用な敗血症治療薬を提供する。5−アミノレブリン酸(5−ALA)若しくはその誘導体又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する敗血症の予防剤及び/又は治療剤を調製する。これらALA類にクエン酸第一鉄ナトリウム等の金属含有化合物を含有させることが好ましい。上記ALA類としては、ALA、及び同メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、ペンチルエステル等の各種エステル類、並びに、これらの塩酸塩、リン酸塩、硫酸塩等を好適に例示することができる。

Description

本発明は、敗血症の予防剤及び/又は治療剤に関し、さらに詳しくは、5−アミノレブリン酸(5−ALA)若しくはその誘導体又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する敗血症の予防剤及び/又は治療剤に関する。
敗血症とは、創傷・産褥・疾患などの細菌感染によって惹起された重症度の高い全身性炎症反応症候群(systemic inflammatory response syndrome: SIRS)と位置づけられている。SIRSの本体は、高サイトカイン血症であり、炎症性物質であるサイトカインと感染した細菌の出す毒素によって、血管が拡張して血圧の低下が起きる。その血圧低下が著しく進行すると、身体各部の血流量が不足するために各臓器が機能不全を起こすリスクが高まる。多臓器不全を防ぐために心臓は血流量を増加させようと心拍数の増加が起こるが、過負荷により心機能が低下し、重要な臓器への血液供給が慢性的に不足して敗血症性ショック状態となり「多臓器不全」へと至る。抗生物質による治療が確立したにもかかわらず、敗血症患者は、米国では年間75万人以上、そのうち21万人が死亡するとされており、日本でも年間の患者数は10万人にのぼるといわれている。この様な背景から有効な敗血症の予防法、治療法の開発が切望されてきた。
敗血症の死亡率の高さの主な理由として、これまでに開発されている敗血症治療薬のすべてが、高サイトカイン血症により惹起された二次的傷害に対する対処療法を行うものにすぎず、高サイトカイン血症そのものに対する敗血症治療薬は存在しないことがあげられる。抗生物質の進歩により感染症の菌の制御は可能になってきているが、死菌であってもサイトカイン誘導能力は残り、場合によっては生菌よりサイトカイン誘導能が高い場合すらある。高サイトカイン血症に対する治療法として、血液透析療法を応用した血液浄化療法(血中のサイトカイン吸着)が考案されたが、その効果は一定でなく、生体に対する侵襲性も高い。前述した方法を含め、今日までに多くの治療法が敗血症時の高サイトカイン血症に対して試されたが、科学的に多くの患者に有効であった薬物や治療法はなかった。近年の一般病棟での処置の開始、肺動脈カテーテルの使用減による院内感染の機会減少の試み、抗生物質投与の早期化により、敗血症による死亡率は減少傾向にあるが、その幅は述べるまでもなくわずかである。敗血症治療においても、抗生物質による治療以外に何か重要な治療が未発見のままになっている可能性がある。
また従来、敗血症と同じく、細菌感染により起きる尋常性ざ瘡の治療方法の一つとして、光動力学的治療(PDT治療)が知られている。PDT治療は、光増感剤と光照射を組み合わせる治療法である。5−ALA自身は光増感性を有しないが、体内で代謝されて光増感物質プロトポルフィリンIX(PPIX)になるため、がんのPDT治療に用いられている(例えば、特許文献1〜3参照)。5−ALAを用いた尋常性ざ瘡のPDT療法について既に臨床例が報告され、著効を示している。(例えば、非特許文献1参照)。PDT治療は、確かに皮膚上の細菌感染に効果を示したが、敗血症のような血中における細菌を死滅させるためには、血中に直接光源を照射しなければならない。しかしながらPPIXの励起に好適な吸収波長は、ヘモグロビンの吸収スペクトルと重なること、励起光源をカテーテル等を介して血管に挿入する必要があり、さらなる感染を助長し感染症を増悪させてしまう恐れがあることから敗血症原因菌に対するPDT治療は議論にはなりさえすれど、非現実的で、検討は進んでいない。また、PDTは殺菌技術となり得ても上述の高サイトカイン血症には無力である。
一方、5−ALAは、動物や植物や菌類に広く存在するテトラピロール生合成経路の中間体として知られており、通常5−アミノレブリン酸合成酵素により、スクシニルCoAとグリシンとから生合成される。5−ALAを用いた光線力学的療法又は光動力学的治療(以下「ALA−PDT」ともいう)も開発され、侵襲性が低くQOLが保たれる治療法として注目されており、5−ALA等を用いた腫瘍診断・治療剤等が報告されている。また、5−ALAは、成人病、がん、男性不妊の予防改善剤や治療剤として有用であることも知られている(例えば、特許文献4〜6参照)。
特許第2731032 特開2006−124372 特表2002−512205 WO2010/050179 特開2011−16753 WO2009/139156
Arch Dermatol, Sep 2000; 136: 1093 - 1095
敗血症に対する有効な予防剤及び/又は治療剤の開発が切望されている。特に、高サイトカイン血症に真に有効で副作用が少ない敗血症の予防剤及び/又は治療剤の開発が望まれている。本発明の課題は、敗血症の予防や治療に有用な敗血症の予防剤及び/又は治療剤を提供することにある。
本発明者等は、敗血症患者の病態、重症度、経過、予後、臨床検査値、各種治療法による成績など膨大なデータを精査し、さらには過去の臨床報告例を網羅的に追跡し、敗血症の患者における病態に一番重要なのは血中サイトカイン量であるという結論に達し、炎症性サイトカインを抑制する化合物のスクリーニングに着手し、検討に検討を重ねた結果、全く意外にも5−ALAに炎症性サイトカイン抑制効果があることを発見した。なお、5−ALAは、上記背景技術で記載したように光照射でPDT殺菌出来ることが知られているが本発明では光照射を必要としない。
従来、多様な健康増進効果を有する健康食品として知られている5−ALAではあるが、高サイトカイン血症の原因物質である、炎症性サイトカインを抑制するという驚くべき効果は全くもって予想されていなかった。これは本発明者等がすでに見出している5−ALAの抗酸化効果や免疫賦活化反応とは明らかに異なるメカニズムであることは明白であるし、すでに述べたように、様々な抗生物質では高サイトカイン血症を克服した例は無いために、そもそも単なる抗菌作用では説明できない。どのようなメカニズムで5−ALAが炎症性サイトカインを抑制するかは今後の研究を待つ必要がある。
本発明者等は、さらに投与方法や、高サイトカイン血症により惹起された二次的傷害に対する薬剤との組み合わせや、投与量等に関して諸処検討を重ね、5−ALAと鉄剤を有効成分として含む敗血症の治療剤や、予防剤を確立し、ついに本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)下記式(I)で示される化合物又はその塩を含有する敗血症の予防剤及び/又は治療剤や、
Figure 2013024589
(式中、Rは、水素原子又はアシル基を表し、Rは、水素原子、直鎖若しくは分岐状アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す)
(2)R及びRが、水素原子であることを特徴とする前記(1)記載の敗血症の予防剤及び/又は治療剤や、
(3)さらに、一種又は二種以上の金属含有化合物を含むことを特徴とする前記(1)又は(2)記載の敗血症の予防剤及び/又は治療剤や、
(4)金属含有化合物が、鉄化合物、マグネシウム化合物、亜鉛化合物、ニッケル化合物、バナジウム化合物、銅化合物、クロム化合物、モリブデン化合物又はコバルト化合物であることを特徴とする前記(3)記載の敗血症の予防剤及び/又は治療剤や、
(5)金属含有化合物が、鉄化合物であることを特徴とする前記(4)記載の敗血症の予防剤及び/又は治療剤や、
(6)鉄化合物が、塩化第二鉄、三二酸化鉄、硫酸鉄、ピロリン酸第一鉄、クエン酸第一鉄、クエン酸鉄ナトリウム、クエン酸第一鉄ナトリウム、クエン酸鉄アンモニウム、ピロリン酸第二鉄、乳酸鉄、グルコン酸第一鉄、ジエチレントリアミン五酢酸鉄ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸鉄アンモニウム、エチレンジアミン四酢酸鉄ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸鉄アンモニウム、ジカルボキシメチルグルタミン酸鉄ナトリウム、ジカルボキシメチルグルタミン酸鉄アンモニウム、フマル酸第一鉄、酢酸鉄、シュウ酸鉄、コハク酸第一鉄、コハク酸クエン酸鉄ナトリウム、ヘム鉄、デキストラン鉄、トリエチレンテトラアミン鉄、ラクトフェリン鉄、トランスフェリン鉄、鉄クロロフィリンナトリウム、フェリチン鉄、含糖酸化鉄、及び硫化グリシン鉄から選ばれる1種又は2種以上の鉄化合物であることを特徴とする前記(5)記載の敗血症の予防剤及び/又は治療剤や、
(7)鉄化合物が、クエン酸第一鉄ナトリウムであることを特徴とする前記(6)記載の敗血症の予防剤及び/又は治療剤や、
(8)IL−6及び/又はIL−8の産生抑制のために使用する前記(1)〜(7)のいずれか記載の敗血症の予防剤及び/又は治療剤、
に関する。
また本発明は、(9)上記式(I)で示される化合物又はその塩を対象に投与することを特徴とする敗血症を予防及び/又は治療する方法や、(10)前記(1)〜(8)のいずれか記載の敗血症の予防剤及び/又は治療剤を対象に投与することを特徴とする敗血症を予防及び/又は治療する方法に関する。
他の(9)の態様として、R及びRが、水素原子であることを特徴とする上記方法や、さらに、一種又は二種以上の金属含有化合物を含むことを特徴とする上記方法や、金属含有化合物が、鉄化合物、マグネシウム化合物、亜鉛化合物、ニッケル化合物、バナジウム化合物、銅化合物、クロム化合物、モリブデン化合物又はコバルト化合物であることを特徴とする上記方法や、金属含有化合物が、鉄化合物であることを特徴とする上記方法や、鉄化合物が、塩化第二鉄、三二酸化鉄、硫酸鉄、ピロリン酸第一鉄、クエン酸第一鉄、クエン酸鉄ナトリウム、クエン酸第一鉄ナトリウム、クエン酸鉄アンモニウム、ピロリン酸第二鉄、乳酸鉄、グルコン酸第一鉄、ジエチレントリアミン五酢酸鉄ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸鉄アンモニウム、エチレンジアミン四酢酸鉄ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸鉄アンモニウム、ジカルボキシメチルグルタミン酸鉄ナトリウム、ジカルボキシメチルグルタミン酸鉄アンモニウム、フマル酸第一鉄、酢酸鉄、シュウ酸鉄、コハク酸第一鉄、コハク酸クエン酸鉄ナトリウム、ヘム鉄、デキストラン鉄、トリエチレンテトラアミン鉄、ラクトフェリン鉄、トランスフェリン鉄、鉄クロロフィリンナトリウム、フェリチン鉄、含糖酸化鉄、及び硫化グリシン鉄から選ばれる1種又は2種以上の鉄化合物であることを特徴とする上記方法や、鉄化合物が、クエン酸第一鉄ナトリウムであることを特徴とする上記方法を挙げることができる。
また本発明は、(11)敗血症の予防及び/又は治療に用いられるための上記式(I)で示される化合物又はその塩に関する。
他の(11)の態様として、敗血症の予防及び/又は治療に用いられるための5−ALA又はその塩や、敗血症の予防及び/又は治療に用いられるための上記式(I)で示される化合物又はその塩,及び、一種又は二種以上の金属含有化合物や、金属含有化合物が、鉄化合物、マグネシウム化合物、亜鉛化合物、ニッケル化合物、バナジウム化合物、銅化合物、クロム化合物、モリブデン化合物又はコバルト化合物であることを特徴とする上記発明や、金属含有化合物が、鉄化合物であることを特徴とする上記発明や、鉄化合物が、塩化第二鉄、三二酸化鉄、硫酸鉄、ピロリン酸第一鉄、クエン酸第一鉄、クエン酸鉄ナトリウム、クエン酸第一鉄ナトリウム、クエン酸鉄アンモニウム、ピロリン酸第二鉄、乳酸鉄、グルコン酸第一鉄、ジエチレントリアミン五酢酸鉄ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸鉄アンモニウム、エチレンジアミン四酢酸鉄ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸鉄アンモニウム、ジカルボキシメチルグルタミン酸鉄ナトリウム、ジカルボキシメチルグルタミン酸鉄アンモニウム、フマル酸第一鉄、酢酸鉄、シュウ酸鉄、コハク酸第一鉄、コハク酸クエン酸鉄ナトリウム、ヘム鉄、デキストラン鉄、トリエチレンテトラアミン鉄、ラクトフェリン鉄、トランスフェリン鉄、鉄クロロフィリンナトリウム、フェリチン鉄、含糖酸化鉄、及び硫化グリシン鉄から選ばれる1種又は2種以上の鉄化合物であることを特徴とする上記発明や、鉄化合物が、クエン酸第一鉄ナトリウムであることを特徴とする上記発明を挙げることができる。
また本発明は、(12)a)上記式(I)で示される化合物又はその塩;b)金属含有化合物;を含む敗血症を予防及び/又は治療するためのキットに関する。
また本発明は、(13)a)上記式(I)で示される化合物又はその塩;b)金属含有化合物;を同時又は前後して対象に投与することを特徴とする敗血症を予防及び/又は治療する方法に関する。
また本発明は、
(14)a)前記(1)〜(8)のいずれか記載の敗血症の予防剤及び/又は治療剤;b)敗血症の予防剤・治療剤・併用剤;を含む予防薬剤及び/又は治療薬剤の組合せや、
(15)a)上記式(I)で示される化合物又はその塩;b)金属含有化合物;c)敗血症の予防剤・治療剤・併用剤;を含む予防薬剤及び/又は治療薬剤の組合せに関する。
さらに本発明は、(16)a)上記式(I)で示される化合物又はその塩の、敗血症の予防剤及び/又は治療剤の製造における使用に関する。
本発明の他の態様としては、ALA類、又はALA類と金属含有化合物を含有するIL−6及び/又はIL−8の産生抑制剤や、ALA類、又はALA類と金属含有化合物を対象に投与することを特徴とするIL−6及び/又はIL−8の産生抑制方法や、IL−6及び/又はIL−8の産生抑制のために用いるためのALA類、又はALA類と金属含有化合物や、ALA類と金属含有化合物とを含むIL−6及び/又はIL−8の産生を抑制するためのキットや、ALA類と金属含有化合物を同時又は前後して対象に投与することを特徴とするIL−6及び/又はIL−8の産生抑制方法や、上記IL−6及び/又はIL−8の産生抑制剤と敗血症の予防剤・治療剤・併用剤とを含む予防薬剤及び/又は治療薬剤の組合せや、ALA類と金属含有化合物と敗血症の予防剤・治療剤・併用剤とを含む予防薬剤及び/又は治療薬剤の組合せや、ALA類の、IL−6及び/又はIL−8の産生抑制剤の製造における使用を挙げることができる。
本発明のALA類を有効成分とする敗血症の予防剤及び/又は治療剤は、優れた敗血症の治療効果や予防効果を有している。さらに、既存の敗血症治療薬と併用することで、手の届かなかった高サイトカイン血症治療に対する薬効を高め、もしくは副作用の強い既存敗血症治療薬の投与量を減ずる効果を有している。本発明の敗血症の予防剤及び/又は治療薬は、既存の敗血症治療薬とは全くメカニズムが異なると考えられる。
ALAの存在下、ヒト肺動脈血管内皮細胞をリポポリサッカライド(LPS)と混合培養する敗血症モデルを用いて、上清中のIL−6をELISA法で測定した結果を示す図である。 ALAの存在下、ヒト肺動脈血管内皮細胞をLPSと混合培養する敗血症モデルを用いて、上清中のIL−8をELISA法で測定した結果を示す図である。
本発明の敗血症の予防剤及び/又は治療剤としては、上記式(I)で示される化合物又はその塩(ALA類)を有効成分として含むものであれば特に制限されないが、ALA類に加えて鉄化合物等の金属含有化合物を含有させることもできる。さらに、IL−6及び/又はIL−8の産生抑制のために使用しうるものが好ましい。本発明の敗血症の予防剤及び/又は治療剤は、医薬品、医薬部外品、飲食品、飼料、餌料、ペットフードとして用いることもできる。また、本発明の敗血症を予防及び/又は治療する方法は、上記本発明の敗血症の予防剤及び/又は治療剤を、ヒトの他、家畜類・家禽類やペットなどの対象に投与することを特徴とする。上記ALA類に加えて鉄化合物等の金属含有化合物を含有せず、ALA類を単独の有効成分とする敗血症の予防剤及び/又は治療剤は、鉄化合物等を別途摂取している対象や、体中の鉄化合物等の濃度が高い対象に対して特に有効である。
また、本発明の敗血症を予防及び/又は治療するためのキットとしては、ALA類と鉄化合物等の金属含有化合物とを有効成分として個別に含むキットであれば特に制限されないが、IL−6及び/又はIL−8の産生抑制のために使用しうるものが好ましい。かかる本発明の敗血症を予防及び/又は治療するためのキットを用いる本発明の敗血症を予防及び/又は治療する方法は、ALA類と鉄化合物等の金属含有化合物とを同時又は前後してヒトの他、家畜・家禽類やペットなどの対象に投与することを特徴とする。
そしてまた、本発明の予防薬剤及び/又は治療薬剤の組合せとしては、上記本発明の敗血症の予防剤及び/又は治療剤と、敗血症の予防剤・治療剤・併用剤との組合せや、ALA類と鉄化合物等の金属含有化合物と敗血症の予防剤・治療剤・併用剤との組合せであれば特に制限されず、これら予防薬剤及び/又は治療薬剤の組合せを投与することによっても敗血症を予防及び/又は治療することができる。これら組合せの各製剤(成分)は、同時又は別々に投与することができる。
さらに本発明は、敗血症の予防及び/又は治療に用いられるためのALA類や、敗血症の予防及び/又は治療に用いられるためのALA類と鉄化合物等の金属含有化合物とに関する。また本発明は、ALA類の、敗血症の予防剤及び/又は治療剤の製造における使用や、ALA類と鉄化合物等の金属含有化合物との、敗血症の予防剤及び/又は治療剤の製造における使用に関する。
上記ALA類の中でも式(I)のR及びRが共に水素原子の場合である5−ALA又はその塩を好適に例示することができる。5−ALAは、δ−アミノレブリン酸とも呼ばれるアミノ酸の1種である。また、5−ALA誘導体としては、式(I)のRが水素原子又はアシル基であり、式(I)のRが水素原子、直鎖若しくは分岐状アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基である、5−ALA以外の化合物を挙げることができる。
式(I)におけるアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル基等の直鎖又は分岐状の炭素数1〜8のアルキル基を挙げることができる。
式(I)におけるシクロアルキル基としては、飽和または一部不飽和結合が存在してもよい炭素数3〜8のシクロアルキル、具体的には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロドデシル、1−シクロヘキセニル等を挙げることができる。
式(I)におけるアラルキル基としては、そのアリール部分は下記アリール基と同義であり、アルキル部分は前記アルキル基と同義であり、例えば、炭素数7〜15のアラルキル、具体的にはベンジル、フェネチル、フェニルプロピル、フェニルブチル、ベンズヒドリル、トリチル、ナフチルメチル、ナフチルエチル等を挙げることができる。
式(I)におけるアリール基としては、例えば、炭素数6〜14のアリール、具体的には、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル等を挙げることができる。
また、式(I)におけるアシル基としては、直鎖または分岐状の炭素数1〜8のアルカノイル基、具体的にはホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、オクタノイル、ベンジルカルボニル等、又は、炭素数7〜14のアロイル基、具体的にはベンゾイル、1−ナフトイル、2−ナフトイル等を挙げることができる。
本発明において使用されるALA誘導体としては、ALAのアミノ基がアシル化され、カルボキシル基がエステル化された化合物を例示することができる。アシル基が、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル等である化合物、またエステル基が、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、ペンチルエステル等である化合物が好ましく、さらに、ホルミルとメチルエステル、アセチルとメチルエステル、プロピオニルとメチルエステル、ブチリルとメチルエステル、ホルミルとエチルエステル基、アセチルとエチルエステル、プロピオニルとエチルエステル、ブチリルとエチルエステルとの組み合わせ等を挙げることができる。
ALA又はALA誘導体の薬理学的に許容される塩としては、薬理学的に許容される酸付加塩、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン付加塩等が挙げられる。酸付加塩としては、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、リン酸塩、硝酸塩、硫酸塩等の各無機酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、トルエンスルホン酸塩、コハク酸塩、シュウ酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、グリコール酸塩、メタンスルホン酸塩、酪酸塩、吉草酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩等の各有機酸付加塩を挙げることができる。金属塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等の各アルカリ金属塩、マグネシウム、カルシウム塩等の各アルカリ土類金属塩、アルミニウム、亜鉛等の各金属塩を挙げることができる。アンモニウム塩としては、アンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩等のアルキルアンモニウム塩等を挙げることができる。有機アミン塩としては、トリエチルアミン塩、ピペリジン塩、モルホリン塩、トルイジン塩等の各塩を挙げることができる。
ALA又はALA誘導体は、化学合成、微生物による生産、酵素による生産のいずれの方法によっても製造することができる。例えば、ALA誘導体のアミノ基におけるアシル基や、カルボキシル基におけるエステル基等は、化学合成の常法により、アミノ基のアシル化や、カルボキシル基のエステル化等により製造することができる。
式(I)で示されるALA又はALA誘導体の塩を取得したい場合、式(I)で示される化合物が塩の形で得られるときには、そのまま精製すればよく、また、遊離の形で得られるときには、適当な有機溶媒に溶解若しくは懸濁させ、酸又は塩基を加えて通常の方法により塩を形成させればよい。
ALA類は、水あるいは各種溶媒との付加物の形で存在することもあるが、これら付加物も本発明の敗血症の予防剤及び/又は治療剤等に使用することができる。
本発明の敗血症の予防剤及び/又は治療剤等に使用できるALA類として、例えば、ALA若しくはALA誘導体又はそれらの塩のいずれかを単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。ALA若しくはALA誘導体又はそれらの塩において、望ましいものは、ALA、及び同メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、ペンチルエステル等の各種エステル類、並びに、これらの塩酸塩、リン酸塩、硫酸塩等であり、ALAの塩酸塩、ALAのリン酸塩が最も望ましい化合物として例示することができる。
また、本発明の敗血症の予防剤及び/又は治療剤は、ALA類と併用して金属含有化合物を含むこともできる。金属含有化合物は、過剰症を与えない範囲で使用することができるが、例えば、ALA類に対して金属含有化合物を、モル比1:0.01〜1:10、好ましくは1:0.1〜1:5、より好ましくは、1:0.2〜1:2で使用することができる。
上記金属含有化合物としては、鉄化合物、マグネシウム化合物、亜鉛化合物、ニッケル化合物、バナジウム化合物、コバルト化合物、銅化合物、クロム化合物、モリブデン化合物などを挙げることができる。これらの中でも鉄化合物、マグネシウム化合物、亜鉛化合物が好ましく、鉄化合物が特に好ましい。これら金属含有化合物は、分子内に該金属を有する化合物を意味する。本発明の効果に害を及ぼさない限り特に制限はない。例えば、分子内に鉄を有する鉄化合物としては、クエン酸第一鉄、クエン酸鉄ナトリウム、クエン酸鉄アンモニウム、ピロリン酸第二鉄、ヘム鉄、デキストラン鉄、乳酸鉄、グルコン酸第一鉄、ジエチレントリアミン五酢酸鉄ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸鉄アンモニウム、エチレンジアミン四酢酸鉄ナトリウム、エチレンジアミン五酢酸鉄アンモニウム、トリエチレンテトラアミン鉄、ジカルボキシメチルグルタミン酸鉄ナトリウム、ジカルボキシメチルグルタミン酸アンモニウム鉄アンモニウム、ラクトフェリン鉄、トランスフェリン鉄、塩化第二鉄、三二酸化鉄、鉄クロロフィリンナトリウム、フェリチン鉄、フマル酸第一鉄、ピロリン酸第一鉄、含糖酸化鉄、酢酸鉄、シュウ酸鉄、コハク酸第一鉄、コハク酸クエン酸鉄ナトリウム、硫酸鉄、硫化グリシン鉄等を挙げることができるが、なかでもクエン酸第一鉄やクエン酸鉄ナトリウムが好ましい。
分子内にマグネシウムを有するマグネシウム化合物としては、クエン酸マグネシウム、安息香酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、酸化マグネシウム、塩化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、ジエチレントリアミン五酢酸マグネシウムジアンモニウム、エチレンジアミン四酢酸マグネシウムジナトリウム、マグネシウムプロトポルフィリンが好ましい。
分子内に亜鉛を有する亜鉛化合物としては、塩化亜鉛、酸化亜鉛、硝酸亜鉛、炭酸亜鉛、硫酸亜鉛、ジエチレントリアミン五酢酸亜鉛ジアンモニウム、エチレンジアミン四酢酸亜鉛ジナトリウム、亜鉛プロトポルフィリン、亜鉛含有酵母が好ましい。
これらの金属含有化合物は、それぞれ単独でも、2種以上を混合して用いてもよく、ALA類と同時に又は別個に投与することができる。剤型や投与方法はALA類と同様であったとしてもかまわないし、また、別々に用いてもよい。
本発明のALA類と鉄化合物等の金属含有化合物とを併用する敗血症を予防及び/又は治療する方法においては、ALA類と金属含有化合物とを含む組成物として、あるいは、それぞれ単独で同時又は前後して投与することができる。それぞれ単独で投与する場合は同時に投与することが好ましいが、それぞれ単独で前後して投与する場合は、ALA類と鉄化合物等の金属含有化合物との投与が相加的効果、好ましくは相乗的効果を奏することができるように投与することが好ましい。
本発明の敗血症の予防剤及び/又は治療剤や、本発明の敗血症を予防及び/又は治療するためのキットに、既存の敗血症の予防剤・治療剤・併用剤(予防剤・治療剤と併用される剤)、すなわち、予防剤及び/又は治療剤及び/又は併用剤を合わせ使用することができる。かかる敗血症の予防剤・治療剤・併用剤としては、例えば、ペニシリン系、β−ラクタム系、セフェム系、カルバペネム系、ペネム系、リンコマイシン系、モノバクタム系、テトラサイクリン系、クロラムフェニコール系、ホスホマイシン、ニューキノロン系、フルオロキノロン系、アミノグリコシド系、グリコペプチド系、リネゾリドなどの抗菌剤や、また、敗血症治療中に投与される可能性のあるいかなる薬剤、例えば、輸液、重炭酸、血管収縮薬、血栓防止溶解剤、強心剤、潰瘍予防薬、ステロイド、活性化プロテインC、血液製剤やアルギニン、アルギン酸、オメガ3などの免疫調節物質などを挙げることができる。これら敗血症の予防剤・治療剤・併用剤と5−ALAの敗血症に対する治療効果に関するメカニズムはそれぞれ根本的に異なると考えられるので、併用の意義は大きく、相加的な、場合によっては相乗的な効果が期待できる。これらの敗血症の予防剤・治療剤・併用剤は、それぞれ単独でも、2種以上を混合して用いてもよい。これらの敗血症の予防剤・治療剤・併用剤は、本発明の敗血症の予防剤及び/又は治療剤と同時に又は別個に投与することができる。剤型や投与方法は本発明の敗血症の予防剤及び/又は治療剤と同様であったとしてもかまわないし、また、別々に用いてもよい。
ALA類は、そのまま単独で投与することも可能であるが、必要に応じて他の薬効成分、栄養剤等、他の成分を加えることができ、通常各種の医薬製剤とすることが望ましく、該医薬製剤は、活性成分を薬理学的に許容される一種若しくは二種以上の担体と混合し、製剤学の常法により製造することができる。ALA類に配合できる担体としては、摂取するために適した有機若しくは無機の固体又は液体の、通常は不活性な製薬学的に許容できる担体材料が用いられる。具体的には、結晶性セルロース、ゼラチン、乳糖、澱粉、ステアリン酸マグネシウム、タルク、植物性若しくは動物性脂肪及び油、ガム、ポリアルキレングリコール等の担体が例示される。
本発明の敗血症の予防剤及び/又は治療剤や、本発明の敗血症を予防及び/又は治療するためのキットの各成分や、本発明の予防薬剤及び/又は治療薬剤の組合せの各成分の投与経路としては、舌下投与も含む経口投与、あるいは、点鼻投与、吸入投与、点滴を含む静脈内投与、パップ剤等による経皮投与、座薬、又は経鼻胃管、経鼻腸管、胃漏チューブ若しくは腸漏チューブを用いる強制的経腸栄養法による投与等の非経口投与などを挙げることができる。なお、本発明の予防薬剤及び/又は治療薬剤の組合せにおける既存の敗血症の予防剤・治療剤・併用剤の投与経路は、各薬剤において既に認められている投与経路を採用することが好ましい。
本発明の敗血症の予防剤及び/又は治療剤や、本発明の敗血症を予防及び/又は治療するためのキットの各成分や、本発明の予防薬剤及び/又は治療薬剤の組合せの各成分の剤型としては、上記投与経路に応じて適宜決定することができるが、注射剤、点鼻剤、点滴剤、錠剤、カプセル剤、細粒剤、散在、液剤、シロップ等に溶解した水剤、パップ剤、座剤等を挙げることができる。本発明の敗血症の予防剤及び/又は治療剤や、本発明の敗血症を予防及び/又は治療するためのキットの各成分は医薬用途の他、錠剤やカプセル剤のサプリメントの形態とすることもできる。また特に、嚥下することが困難な高齢者や乳幼児等には、口中において速やかな崩壊性を示す崩壊錠の形態や、経鼻胃管投与に適した液剤の形態が好ましい。これら製剤は、溶剤、分散剤、増量剤、賦形剤等を適宜用い、常法に従って製造することができる。
本発明の敗血症の予防剤及び/又は治療剤や、本発明の敗血症を予防及び/又は治療するためのキットを調製するために、必要に応じて、薬理学的に許容し得る担体、賦形剤、希釈剤、添加剤、崩壊剤、結合剤、被覆剤、潤滑剤、滑走剤、滑沢剤、風味剤、甘味剤、可溶化剤、溶剤、ゲル化剤、栄養剤等を添加することができ、具体的には、水、生理食塩水、動物性脂肪及び油、植物油、乳糖、デンプン、ゼラチン、結晶性セルロース、ガム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリアルキレングリコール、ポリビニルアルコール、グリセリンを例示することができる。例えば、注射剤は、水、生理食塩水、植物油、可溶化剤、保存剤等を添加し、常法に従い製造すればよく、錠剤は、例えば乳糖、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、界面活性剤、グリセリン等の、各種添加剤を混合し、常法に従い製造すればよく、吸入剤は、例えば乳糖等を添加し、常法に従い製造すればよい。なお、これら製剤を水溶液として調製する場合には、化合物(I)の分解を防ぐため、水溶液がアルカリ性とならないように留意する必要がある。アルカリ性となってしまう場合は、酸素を除去することによって有効成分の分解を防ぐことができる。
本発明の敗血症の予防剤及び/又は治療剤や、本発明の敗血症を予防及び/又は治療するためのキットは、ヒトの他、家畜・家禽類やペットなど獣医分野でも使用することができる。かかる予防剤及び/又は治療剤の投与の量・頻度・期間としては、対象がヒトの場合、敗血症患者の年齢、体重、症状等により異なるが、製剤に含まれるALA類の投与量は、モル数換算でALA類の合計が、ALA・塩酸塩換算で、通常成人一人当たり、1mg〜3000mgであればよく、望ましくは3mg〜1000mg、さらに望ましくは10mg〜700mgであり、投与は、朝でも夕でも特に投与時期を選ばないが、一日一回ないし投与量が多い場合は複数回で投与する方が好ましい。摂取の日数は症状によって異なるが、症状緩和後3〜4日は継続して摂取することが望ましい。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
ヒト肺動脈血管内皮細胞を炎症性サイトカインの分泌の促進作用を持つリポポリサッカライド(LPS)と混合培養する敗血症モデルを用いて、上清中のIL−6(図1)、IL−8(図2)をELISA法で測定する以下の実験を行なった。敗血症にて最も高頻度に障害される臓器は肺であるため本実験ではヒト肺動脈血管内皮細胞を使用した。
ヒト肺動脈血管内皮細胞(5×10 cells/ well, n=3wells)を用い、LPS、および5−ALA添加の有無で次の4群に分けた。
(1)無刺激でのコントロール(図中:コントロール)
(2)5−ALA(100μM)を添加し3時間混合培養(図中:+ALA)
(3)LPS(1μg/mL) を添加し3時間混合培養(図中:+LPS)
(4)5−ALA(100μM)とLPS(1μg/mL)を添加し3時間混合培養(図中:+ALA,LPS)
5−ALAを添加した群には、モル比で5−ALA:クエン酸第一鉄ナトリウム=1: 0.5の割合でクエン酸第一鉄ナトリウムを添加した。
その結果、ヒト肺動脈血管内皮細胞をLPSで刺激し、炎症性サイトカインの分泌を促進させ、敗血症を模したモデルにおいて、5−ALAとクエン酸第一鉄ナトリウムを添加し混合培養することで、炎症性サイトカインであるIL−6、IL−8産生の抑制がみられることを確認した。(n=3,図1、2:+ALA, LPS)
本発明の敗血症の予防剤及び/又は治療剤は、医療分野で有利に利用することができる。

Claims (16)

  1. 下記式(I)で示される化合物又はその塩を含有する敗血症の予防剤及び/又は治療剤。
    Figure 2013024589
    (式中、Rは、水素原子又はアシル基を表し、Rは、水素原子、直鎖若しくは分岐状アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す)
  2. 及びRが、水素原子であることを特徴とする請求項1記載の敗血症の予防剤及び/又は治療剤。
  3. さらに、一種又は二種以上の金属含有化合物を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の敗血症の予防剤及び/又は治療剤。
  4. 金属含有化合物が、鉄化合物、マグネシウム化合物、亜鉛化合物、ニッケル化合物、バナジウム化合物、銅化合物、クロム化合物、モリブデン化合物又はコバルト化合物であることを特徴とする請求項3記載の敗血症の予防剤及び/又は治療剤。
  5. 金属含有化合物が、鉄化合物であることを特徴とする請求項4記載の敗血症の予防剤及び/又は治療剤。
  6. 鉄化合物が、塩化第二鉄、三二酸化鉄、硫酸鉄、ピロリン酸第一鉄、クエン酸第一鉄、クエン酸鉄ナトリウム、クエン酸第一鉄ナトリウム、クエン酸鉄アンモニウム、ピロリン酸第二鉄、乳酸鉄、グルコン酸第一鉄、ジエチレントリアミン五酢酸鉄ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸鉄アンモニウム、エチレンジアミン四酢酸鉄ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸鉄アンモニウム、ジカルボキシメチルグルタミン酸鉄ナトリウム、ジカルボキシメチルグルタミン酸鉄アンモニウム、フマル酸第一鉄、酢酸鉄、シュウ酸鉄、コハク酸第一鉄、コハク酸クエン酸鉄ナトリウム、ヘム鉄、デキストラン鉄、トリエチレンテトラアミン鉄、ラクトフェリン鉄、トランスフェリン鉄、鉄クロロフィリンナトリウム、フェリチン鉄、含糖酸化鉄、及び硫化グリシン鉄から選ばれる1種又は2種以上の鉄化合物であることを特徴とする請求項5記載の敗血症の予防剤及び/又は治療剤。
  7. 鉄化合物が、クエン酸第一鉄ナトリウムであることを特徴とする請求項6記載の敗血症の予防剤及び/又は治療剤。
  8. IL−6及び/又はIL−8の産生抑制のために使用する請求項1〜7のいずれか記載の敗血症の予防剤及び/又は治療剤。
  9. 下記式(I)で示される化合物又はその塩を対象に投与することを特徴とする敗血症を予防及び/又は治療する方法。
    Figure 2013024589
    (式中、Rは、水素原子又はアシル基を表し、Rは、水素原子、直鎖若しくは分岐状アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す)
  10. 請求項1〜8のいずれか記載の敗血症の予防剤及び/又は治療剤を対象に投与することを特徴とする敗血症を予防及び/又は治療する方法。
  11. 敗血症の予防及び/又は治療に用いられるための下記式(I)で示される化合物又はその塩。
    Figure 2013024589
    (式中、Rは、水素原子又はアシル基を表し、Rは、水素原子、直鎖若しくは分岐状アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す)
  12. a)下記式(I)で示される化合物又はその塩;
    Figure 2013024589
    (式中、Rは、水素原子又はアシル基を表し、Rは、水素原子、直鎖若しくは分岐状アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す)
    b)金属含有化合物;
    を含む敗血症を予防及び/又は治療するためのキット。
  13. a)下記式(I)で示される化合物又はその塩;
    Figure 2013024589
    (式中、Rは、水素原子又はアシル基を表し、Rは、水素原子、直鎖若しくは分岐状アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す)
    b)金属含有化合物;
    を同時又は前後して対象に投与することを特徴とする敗血症を予防及び/又は治療する方法。
  14. a)請求項1〜8のいずれか記載の敗血症の予防剤及び/又は治療剤;
    b)敗血症の予防剤・治療剤・併用剤;
    を含む予防薬剤及び/又は治療薬剤の組合せ。
  15. a)下記式(I)で示される化合物又はその塩;
    Figure 2013024589
    (式中、Rは、水素原子又はアシル基を表し、Rは、水素原子、直鎖若しくは分岐状アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す)
    b)金属含有化合物;
    c)敗血症の予防剤・治療剤・併用剤;
    を含む予防薬剤及び/又は治療薬剤の組合せ。
  16. a)下記式(I)で示される化合物又はその塩;
    Figure 2013024589
    (式中、Rは、水素原子又はアシル基を表し、Rは、水素原子、直鎖若しくは分岐状アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す)
    の、敗血症の予防剤及び/又は治療剤の製造における使用。
JP2013528918A 2011-08-12 2012-08-10 敗血症の予防剤及び/又は治療剤 Active JP6052736B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011177203 2011-08-12
JP2011177203 2011-08-12
PCT/JP2012/005125 WO2013024589A1 (ja) 2011-08-12 2012-08-10 敗血症の予防剤及び/又は治療剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2013024589A1 true JPWO2013024589A1 (ja) 2015-03-05
JP6052736B2 JP6052736B2 (ja) 2016-12-27

Family

ID=47714926

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013528918A Active JP6052736B2 (ja) 2011-08-12 2012-08-10 敗血症の予防剤及び/又は治療剤

Country Status (5)

Country Link
US (1) US9474770B2 (ja)
EP (1) EP2745838B1 (ja)
JP (1) JP6052736B2 (ja)
CN (1) CN103747784B (ja)
WO (1) WO2013024589A1 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
TWI571455B (zh) * 2011-12-07 2017-02-21 Sbi Pharmaceuticals Co Ltd To prevent alcohol from causing discomfort to the human body of the hangover preventive agent and / or therapeutic agent
US9962350B2 (en) * 2014-07-11 2018-05-08 Sbi Pharmaceuticals Co., Ltd. Agent for improving normal development rate of fertilized eggs
US11123320B2 (en) * 2017-05-31 2021-09-21 Sbi Pharmaceuticals, Co., Ltd. Prophylactic or therapeutic agent for hyperaciive bladder
CN109608249A (zh) * 2019-02-02 2019-04-12 浙江科罗尼生物科技有限公司 二价铁供给液体及其应用

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006025286A1 (ja) * 2004-09-02 2006-03-09 Cosmo Oil Co., Ltd. 健康機能向上剤
WO2010050179A1 (ja) * 2008-10-27 2010-05-06 Sbiアラプロモ株式会社 5-アミノレブリン酸若しくはその誘導体、又はそれらの塩を有効成分とする成人病の予防・改善剤

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5079262A (en) 1989-07-28 1992-01-07 Queen's University At Kingston Method of detection and treatment of malignant and non-malignant lesions utilizing 5-aminolevulinic acid
FR2777782B1 (fr) 1998-04-22 2001-05-18 Alexandre Marti Solution pour la preparation d'une substance pharmaceutique pour le diagnostic et/ou le traitement de lesions tissulaires
JP5034032B2 (ja) 2004-09-29 2012-09-26 Sbiファーマ株式会社 腫瘍診断剤
KR101601669B1 (ko) 2008-05-14 2016-03-09 에스비아이 파마 가부시키가이샤 남성 불임 치료제
JP5611548B2 (ja) 2009-07-08 2014-10-22 Sbiファーマ株式会社 5−アミノレブリン酸若しくはその誘導体、又はそれらの塩を有効成分とするがんの予防・改善剤

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006025286A1 (ja) * 2004-09-02 2006-03-09 Cosmo Oil Co., Ltd. 健康機能向上剤
WO2010050179A1 (ja) * 2008-10-27 2010-05-06 Sbiアラプロモ株式会社 5-アミノレブリン酸若しくはその誘導体、又はそれらの塩を有効成分とする成人病の予防・改善剤

Non-Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6015003214; Circ. Res., 2000, Vol.87, No.4, p.289-295 *
JPN6015003215; Biofactors, 2009, Vol.35, No.1, p.5-13 *
JPN6015003216; Toxicol. Pathol., 2000, Vol.28, No.4, p.580-587 *
JPN7015000254; Crit. Care Med., 2004, Vol.32, No.2, p.342-349 *

Also Published As

Publication number Publication date
EP2745838B1 (en) 2017-07-26
WO2013024589A1 (ja) 2013-02-21
US20140186464A1 (en) 2014-07-03
EP2745838A4 (en) 2015-03-18
CN103747784A (zh) 2014-04-23
US9474770B2 (en) 2016-10-25
EP2745838A1 (en) 2014-06-25
JP6052736B2 (ja) 2016-12-27
CN103747784B (zh) 2018-01-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5920901B2 (ja) インフルエンザウイルス感染症の予防・治療剤
JP5582441B2 (ja) 5−アミノレブリン酸又はその誘導体を有効成分とする抗マラリア薬
JP5881721B2 (ja) 慢性腎臓病の改善・予防剤
JP2003040770A (ja) 豚成育促進剤及び豚成育促進方法
JP6052736B2 (ja) 敗血症の予防剤及び/又は治療剤
CN104487066B (zh) 放射线损害的预防和/或治疗剂
JP2016006121A (ja) 抗ガン剤の副作用の予防剤及び/又は治療剤
JP5818905B2 (ja) エリスロポエチン産生促進剤
WO2016163082A1 (ja) Ala類を含むウイルス感染症予防/治療剤
ES2755303T3 (es) Composición medicinal para potenciar la síntesis de protoporfirina IX
KR20070117534A (ko) 소화관으로부터의 미량 원소 흡수 장애를 예방 및 치료하는데에 사용하기 위한 영양제 및/또는 약제
TWI590823B (zh) Cancerous anemia to improve, prevention agent

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150129

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150317

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20150604

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150824

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20150824

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20150916

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20151120

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160930

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20161121

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6052736

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250