JPWO2013015359A1 - クラゲの洋上処理システム - Google Patents

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Abstract

クラゲが大量に来襲した場合においてもクラゲ貯留槽内の水質の変化を緩和し、収容されたクラゲを適切に自然消滅させることでクラゲの処理コストを更に抑制する。取水口付近に来襲したクラゲは、クラゲ移送ポンプ114で吸引され、網地により籠状に形成されたクラゲ貯留槽150に生きたまま移送される。クラゲ貯留槽は、表層部の網地を目張りする固定目張りシート160と可動目張りシート170を備え、可動目張りシートを上下させることで目張り範囲を調節し、クラゲの減容速度を制御することができる。クラゲ移送出口配管には、通過するクラゲを検知するクラゲ検知センサ140を備え、クラゲ貯留槽に流入するクラゲの量を検出し、クラゲの流入量に対応して目張り範囲を調節してクラゲの減容速度を抑えることで水質の変化を緩和する。また、クラゲ貯留槽上に注水パイプ180を備え、表層部に注水して還流の形成状況を制御する。

Description

本願発明は、発電所等の取水口に進入するクラゲを処理するシステムに関し、特に、処理対象であるクラゲを水揚げすることなく洋上で処理するクラゲの洋上処理システムに関する。
火力発電所や原子力発電所等においては、冷却水として海水を使用するが、海水を取り入れる取水口には海水とともにクラゲ等の浮遊生物が取り込まれる。このため、クラゲが大量発生すると、取水された海水から塵芥を取り除く除塵機に過負荷がかかって故障の要因となるほか、取水量が低下して負荷が抑制され、電力の安定供給が阻害される場合が生じる。
従来、発電所等の取水口に進入するクラゲを処理するために、除塵機の手前でクラゲを捕集し、捕集されたクラゲを水揚げして陸上の廃棄物処理容器で水抜きし、廃棄物として処理していたが、クラゲの処理に毎年多大なコストを要していた。
このため、捕集されたクラゲを廃棄物として処理せず、洋上で自然消滅させるクラゲの洋上処理システムが出願人によって開発された(特許文献1参照)。
特許文献1に記載された従来のクラゲの洋上処理システムは、網状の部材で籠状に形成され、洋上においてクラゲを貯留するクラゲ貯留槽と、取水口付近のクラゲを吸引し、クラゲ貯留槽に生きたまま移送するクラゲ移送手段とを備え、収容されたクラゲを水揚げすることなくクラゲ貯留槽に貯留することで自然消滅させるものである。
このようなクラゲの洋上処理システムを実用化することによって、捕集されたクラゲを水揚げして廃棄物として処理することが抑制され、クラゲを処理するためのコストが低減されるという効果が得られている。
特開2007−160154号公報
しかしながら、従来のクラゲの洋上処理システムでは、短期間に大量のクラゲがクラゲ貯留槽に流入した場合に、槽内のクラゲの密度が上昇し、クラゲが少ないときよりも早い速度でクラゲが消耗(クラゲが粘液を分泌して痩せること)し、より短期間で消滅する分、クラゲの消滅が原因で生ずる主にアンモニア、濁度、化学的酸素消費量(COD)の増加等の水質変化が大きくなり、水質基準の範囲内で実施する上で問題があった。
このため、クラゲ貯留槽内のクラゲの量が許容量を超えた場合には、クラゲ移送手段によるクラゲの移送先を陸上の廃棄物処理容器に切替えて、槽内の水質を基準内に抑えるようにすることを余儀なくされていたが、陸上の廃棄物処理容器に移送されたクラゲは、海水から分離されて水揚げされたものであるため、海洋汚染および海洋災害の防止に関する法律等に従って、結局は廃棄物として処理しなければならず、クラゲが大量に来襲した場合のクラゲ処理の費用を十分に削減できないという問題があった。
また、陸上の廃棄物処理容器に回収されたクラゲは水抜きして減容化を図る過程で、クラゲ特有の悪臭を発生し、ハエなどが集まって衛生的にも問題があった。
また、クラゲ貯留槽に短期間に大量にクラゲが流入すると、貯留槽内で海水が滞留する部分や海面付近においてクラゲ同士が接触し、クラゲの体表粘液が剥がれるため、有機物濃度が増加し、海水の粘性が増すことによって、貯留槽内のクラゲ消滅時に特有の泡等が発生し、クラゲ貯留槽周辺の景観を著しく損なう等の環境への影響という問題があった。
それ故に、本願発明の目的は、クラゲが大量に来襲した場合においてもクラゲ貯留槽内の水質の変化を緩和し、収容されたクラゲを適切に自然消滅させることで、回収されたクラゲを水揚げして廃棄物として処理しなければならなくなるケースの発生を抑制し、クラゲの処理コストを更に低減するとともに、景観等の環境への影響を改善することができるクラゲの洋上処理システムを提供することである。
この発明にかかるクラゲの洋上処理システムは、網状の部材で籠状に形成され、洋上においてクラゲを海水中に貯留するクラゲ貯留槽と、取水口付近のクラゲを吸引し、生きたまま前記クラゲ貯留槽に移送するクラゲ移送手段とを備え、取水口付近に来襲したクラゲを水揚げすることなく前記クラゲ貯留槽に貯留して自然消滅させるクラゲの洋上処理システムにおいて、前記クラゲ貯留槽は、槽内の表層部に還流を生成させるために、側面の海面から深さ方向の一部を目張りする目張り手段を備えたものであって、前記目張り手段は、前記クラゲ貯留槽内のクラゲの減容速度を制御するために、深さ方向の目張りする範囲を調節する目張り範囲調節手段を備え、前記クラゲ貯留槽に流入するクラゲの量を検出するクラゲ流入量検出手段を備え、前記クラゲ流入量検出手段により検出されたクラゲの量によって、前記目張り範囲調節手段により前記クラゲ貯留槽の目張りする範囲を調節し、前記クラゲ貯留槽内のクラゲの減容速度を制御するようにしたものである。
この発明によれば、クラゲ貯留槽は、側面の海面から深さ方向の一部を目張りする目張り手段を備えるので、クラゲ移送手段によりクラゲとともに流入する海水によって表層部に穏やかな還流が生成され、これによって表層部において運動能力の高い元気なクラゲを一定期間活かした状態に保持し、その後運動能力の低下したクラゲが下層部に降りてきて下流側の網地に張り付いて消滅するというプロセスによってクラゲの減容を図ることができ、収容されたクラゲを水質の変化を緩和しつつ自然消滅させることができる。
また、この発明によれば、目張り手段は、深さ方向の目張りする範囲を調節する目張り範囲調節手段を備えるので、クラゲ貯留槽の表層部の還流が形成される範囲を調節することができ、クラゲが大量に来襲して表層部のクラゲの密度が高くなった場合においても、海面から深さ方向の目張りする範囲を増やすことで、還流が形成された表層部の容積が拡大され、表層部のクラゲの密度を下げることができるため、クラゲの減容速度が抑えられ、水質の変化を緩和することができる。
また、この発明によれば、クラゲ貯留槽に流入するクラゲの量を検出するクラゲ流入量検出手段を備え、クラゲ流入量検出手段により検出されたクラゲ流入量によって、目張り範囲調節手段によりクラゲ貯留槽の目張りする範囲を調節するようにしたので、クラゲの来襲量に応じて目張りする範囲を調節することでクラゲ貯留槽内のクラゲの減容速度を適切に制御することができ、クラゲ貯留槽に収容されたクラゲを水質基準を満たす範囲の最適な減容速度で自然消滅させることができる。これにより、クラゲ貯留槽が持つクラゲの処理能力を最大限に活かしたクラゲの洋上処理を行うことができる。また、回収されたクラゲをクラゲ貯留槽内の水質を基準内に抑えるために水揚げして廃棄物として処理しなければならなくなるケースの発生を抑制することができ、クラゲの処理コストを更に低減することができる。
また、この発明にかかるクラゲの洋上処理システムは、前記クラゲ貯留槽の表層部に注水して表層部に還流を生成させるものであって、注水量を調節することが可能な注水手段を備え、前記クラゲ流入量検出手段により検出されたクラゲの量によって、前記注水手段により前記注水量を調節し、前記クラゲ貯留槽の表層部の還流の形成状況を制御するようにしたものである。
この発明によれば、クラゲ貯留槽の表層部に注水して還流を生成させる注水手段を備えるので、クラゲ移送手段によりクラゲとともに流入する海水によって表層部に形成される穏やかな還流に対して、注水手段による注水によって表層部の還流を補強することができ、局所的な水質の濃度差を緩和することができる。
また、この発明によれば、注水手段は、注水量を調節することができるので、クラゲ貯留槽の表層部の還流の形成状況を制御することができ、クラゲが大量に来襲して表層部のクラゲの密度が高くなった場合においても、注水量を増やすことでクラゲの減容速度を抑えることができ、水質の濃度差をより適切に緩和することができる。
また、この発明によれば、注水手段は、クラゲ流入量検出手段により検出されたクラゲの量によって注水量を調節するようにしたので、クラゲの来襲量に応じて注水量を調節することでクラゲ貯留槽の表層部の還流の形成状況を適切に制御することができ、クラゲ貯留槽に収容されたクラゲを水質基準を満たす範囲のより適切な減容速度で自然消滅させることができる。
また、この発明にかかるクラゲの洋上処理システムでは、前記注水手段は、前記クラゲ貯留槽の縁辺部の複数個所に注水ノズルを備えたものであって、各注水ノズルは個別に注水量を調節することができるものである。
この発明によれば、注水手段は、クラゲ貯留槽の縁辺部の複数個所に注水ノズルを備え、各注水ノズルは個別に注水量を調節することができるので、クラゲ貯留槽の形状等に対応して各ノズルを調節することで、局所的な水質の濃度差をより適切に緩和することができる。
また、この発明にかかるクラゲの洋上処理システムでは、前記注水手段は、前記クラゲ貯留槽の表層部においてクラゲ同士が接触することにより生ずる泡を消すための散水手段を備えたものである。
この発明によれば、注水手段は、クラゲ貯留槽の表層部においてクラゲ同士が接触することにより発生する泡を消すための散水手段を備えるので、クラゲが大量に来襲することでクラゲ貯留槽の海面に生じた泡を適切に消泡することができ、景観等の環境への影響を改善することができる。
また、この発明にかかるクラゲの洋上処理システムでは、前記クラゲ移送手段は、クラゲとともに吸引された海水を排出させるものであって、排出させる海水の量を調節することが可能な海水排出手段を備え、前記クラゲ移送手段の出口配管には、前記クラゲ移送手段の出口配管を通過するクラゲを検知するクラゲ検知センサより上流側においてクラゲとともに流入する海水を分離する海水分離手段と、前記海水分離手段により分離された海水を前記クラゲ貯留層に流入させるための海水通路を備えたものである。
この発明によれば、クラゲ移送手段は、クラゲとともに吸引された海水を排出させるものであって、排出させる海水の量を調節することが可能な海水排出手段を備えるので、クラゲ貯留槽の表層部の還流の形成状況を制御することができ、クラゲが大量に来襲して表層部のクラゲの密度が高くなった場合においても、海水排出手段により排出させる海水の量を減らすことでクラゲ貯留槽の還流の形成状況を改善することができ、クラゲの減容速度を抑制して水質の濃度差をより適切に緩和することができる。
また、この発明によれば、クラゲ移送手段の出口配管には、クラゲ検知センサより上流側においてクラゲとともに流入する海水を分離する海水分離手段を有するので、出口配管においてクラゲ検知センサによりクラゲの通過を検出する際に海水が除去されており、クラゲとともに通過する海水によってクラゲが誤検出されることを防止できるとともに、海水によってクラゲ検知センサの表面が汚損して誤動作することを防止することができる。
また、この発明によれば、クラゲ移送手段の出口配管には、海水分離手段により分離された海水をクラゲ貯留槽に流入させるための海水通路を備えるので、クラゲ移送手段の出口配管よりクラゲとともに流出する海水によってクラゲ貯留槽の表層部に還流を生成する機能を損なうことがない。
この発明にかかるクラゲの洋上処理システムでは、前記クラゲ流入量検出手段により検出されたクラゲの量によって、前記海水排出手段により前記排出させる海水の量を調節し、前記クラゲ貯留槽の表層部の還流の形成状況を制御するようにしたものである。
この発明によれば、海水排出手段は、クラゲ流入量検出手段により検出されたクラゲの量により排出させる海水の量を調節するようにしたので、クラゲの来襲量に応じて排出させる海水の量を調節することでクラゲ貯留槽の表層部の還流の形成状況を適切に制御することができ、クラゲ貯留槽に収容されたクラゲを水質基準を満たす範囲のより適切な減容速度で自然消滅させることができる。
本願発明によれば、クラゲが大量に来襲した場合においても、クラゲ貯留槽に収容されたクラゲの減容速度を来襲するクラゲの量に応じて制御することにより、水質の変化を緩和することができる。これにより、水質基準を満たす範囲内で処理可能なクラゲの量を従来よりも多くすることができ、貯留槽を小型化したり、廃棄物として処理されるクラゲの量を低減することができる。
本願発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
本願発明の一実施形態にかかるクラゲの洋上処理システムの概略構成を示す図解図である。 本願発明の一実施形態にかかるクラゲ貯留槽の目張り範囲調整機構の概略構成を示す図解図である。 本願発明の他の実施形態にかかるクラゲ貯留槽の目張り範囲調節機構の概略構成を示す図解図である。 本願発明の一実施形態にかかるクラゲ貯留槽の注水装置の概略構成を示す図解図である。 本願発明の一実施形態にかかるクラゲの洋上処理システムの制御手順の例を示すフロー図である。 目張りシートの深さ方向の目張り範囲とクラゲの減容速度の関係の測定データの例を示す図である。 取水口付近の海流状況の測定データの例を示す図である。
図1に、本願発明の一実施形態にかかるクラゲの洋上処理システムの概略構成を示す。
本願発明の一実施形態にかかるクラゲの洋上処理システム100は、洋上でクラゲを貯留するためのクラゲ貯留槽150と、取水口付近に来襲したクラゲを誘導するクラゲ誘導網110と、クラゲ誘導網により誘導されたクラゲを洋上で回収するためのクラゲ回収台船112と、クラゲ回収台船により回収されたクラゲを吸引するクラゲ吸引ポンプ114と、クラゲ吸引ポンプにより吸引されたクラゲをクラゲ貯留槽に移送するクラゲ移送パイプ116とを備える。
クラゲ吸引ポンプ114は、クラゲ回収台船により回収されたクラゲを傷つけることなくクラゲ貯留槽に移送するため、いわゆるフィッシュポンプが用いられ、洋上に設置される。
また、クラゲ移送パイプの途中には、クラゲ吸引ポンプによってクラゲとともに吸引された海水を、一部の海水を残して排出するためのセパレータ120を備える。
本願発明の一実施形態にかかるクラゲの洋上処理システム100では、クラゲ貯留槽に流入するクラゲの量を検出できるようにするため、クラゲ移送出口配管130の径方向の中央部において、配管内を通過するクラゲを検知するクラゲ検知センサ140を備える。
クラゲ検知センサ140は、例えば赤外線反射式の光センサを用いることができ、これをクラゲ移送出口配管内の上方に設置することで、配管内をクラゲが通過したときにクラゲの表面からの反射光によってクラゲの通過が検知され、クラゲ通過信号が出力される。
クラゲ検知センサ140より出力されたクラゲ通過信号は、コンピュータ190に入力され、コンピュータ190においてクラゲ流入量が演算される。
コンピュータ190によるクラゲ流入量の演算は、例えば、クラゲがクラゲ移送出口配管のクラゲ検知センサの直下を通過する標準通過速度と、平均的なクラゲの傘の直径と容積(または重量)との関係を示すクラゲ容積係数(または重量係数)をパラメータとして予め設定しておき、クラゲ検知センサにより検知されたクラゲ通過信号の信号継続時間に対して、設定されたクラゲの標準通過速度に基づいて検知されたクラゲの直径を演算し、演算されたクラゲの直径に対して、設定されたクラゲ容積係数(または重量係数)に基づいて、検知されたクラゲの容積(または重量)を演算する。
このようにして演算されたクラゲの容積(または重量)を設定された期間内で積算することでその期間内のクラゲの流入量を推定することができる。
ここで、複数のクラゲが連なってクラゲ検知センサの直下を通過する場合も考えられるので、クラゲ検知センサによるクラゲ通過信号の信号継続時間が一定時間を超えた場合は、複数のクラゲが連なっているものと判断して、平均的なクラゲの直径に相当する時間で分割してクラゲの容積(または重量)を推定する。
なお、クラゲ移送出口配管を通過するクラゲは、必ずしも配管の中央を通過するとは限らないので、配管の径方向の中央部以外の両側にもクラゲ検知センサを設け、各センサにおいてクラゲ通過信号が出力された期間とタイミングとから総合的に判断してクラゲ流入量を推定することが好ましい。
また、クラゲ検知センサとして、クラゲ移送パイプの出口配管に、配管内を径方向に走査して反射光を検出する光センサまたはラインセンサを設置し、クラゲが通過したときのクラゲの幅を検知し、その時間変化によりクラゲの大きさを計測してクラゲ流入量を検出するようにしてもよく、小型のテレビカメラを設置し、クラゲを2次元画像として検知してクラゲ流入量を検出するようにしてもよい。
クラゲ移送出口配管130には、吸引されたクラゲとともにセパレータ120によって排出されなかった海水が通過する。このため、クラゲ検知センサは、配管内をクラゲとともに通過する海水によってクラゲ以外のところで反射光を検出して誤動作する可能性があり、クラゲ流入量を正しく検出できない場合が生ずるという問題がある。また、通過する海水によって光センサの表面が汚損され、クラゲの検出が困難となる場合が生ずるという問題がある。
そこで、本実施形態では、クラゲ移送出口配管130の配管内において、クラゲ検知センサの設置位置よりも手前において海水を除去する水切りスリット132を備え、水切りスリットにより海水が除去されたクラゲはクラゲ検知センサ140が設置されたクラゲ通路134を通ってクラゲ貯留槽に流入させ、水切りスリットにより除去された海水は海水通路136を通ってクラゲ貯留槽に流入させるようにした。
このように、水切りスリットで分離された海水も海水通路を通ってクラゲ貯留槽に流入するようにしたので、クラゲ貯留槽の表層部に還流を形成する機能に影響を与えることがない。
一方、本願発明の一実施形態にかかるクラゲ貯留槽150は、網地152によって籠状に形成され、回収されたクラゲを海水中に貯留できるようにするため、上端フレームをフロート154で海面に浮揚させ、下端フレームを錘156で沈めることで網地152を海水中に伸展させる。
このようなクラゲ貯留槽を、取水口付近の海水の流れを有する洋上に設置し、収容されたクラゲを下流側の網地に張り付かせることで早期に自然消滅させる。
また、クラゲ貯留槽150は、収容されたクラゲが急速に死滅することによる水質の変化を緩和するため、側面の網地には、海面から深さ方向の一部を目張りする目張りシート160を備え、クラゲ移送出口配管130からクラゲとともに流入する海水によって表層部に穏やかな還流が形成されるように構成している。
このような表層部の穏やかな還流により、収容された直後の元気なクラゲを一定期間活かした状態に保持し、その後運動能力の低下したクラゲが下層部に降りてきて下流側の網地に張り付いて消滅するというプロセスによってクラゲの減容を図ることで、水質の変化を緩和しつつ早期にクラゲを自然消滅させる。
ここで、クラゲ貯留槽の側面に設ける目張りシートの深さ方向の目張り範囲によって、クラゲ貯留槽に収容されたクラゲの減容速度がどのように変化するかを確認するため、一辺が1mの立方形状の貯留槽を用いてクラゲの貯留実験を行った。
その結果、図6に示すように、目張りシートの深さを0.3m(貯留槽の深さの約3分の1)にしたときがクラゲの減容速度が最も早く、それ以上に深くするとクラゲの減容速度が低下していくことが確認された。
このように、クラゲ貯留槽に設ける目張りシートの深さを変えることで、クラゲ貯留槽に収容されたクラゲの減容速度を制御できることが確認されたので、本願発明では、クラゲ貯留槽の側面の目張りシートの深さ方向の目張り範囲を調節する目張り範囲調節機構を設けた。
図6の実験結果からも判るように、目張りシートの深さをクラゲ貯留槽の深さの約3分の1にしたときがクラゲの減容速度が最も早いことが確認されているので、この実施形態のクラゲ貯留槽150の目張り範囲調節機構は、図1に示すように、海面からクラゲ貯留槽の深さの約3分の1を目張りする固定の目張りシート160と、高さ方向の位置を変えることができる可動の目張りシート170とを備え、可動目張りシートの高さを下げることで、目張り範囲を深くしてクラゲの減容速度を抑制することができるようにした。
この実施形態の目張り範囲調節機構は、可動目張りシートの高さ方向の位置を調節するため、錘の役目をする可動目張りシート下端フレーム174と、可動目張りシート上端フレーム172を吊り下げる可動目張りシート高さ調節用ワイヤ176と、ワイヤ176を巻き取る巻取機178とを備え、巻取機178によるワイヤの巻取量を調節することで、可動目張りシート170を上下に移動させ、クラゲ貯留槽の目張り範囲を調節する。
従って、クラゲ検知センサ140により検出されたクラゲの流入量に応じて、巻取機178によるワイヤの巻取量を制御することで、クラゲ貯留槽の目張り範囲が調節され、最適なクラゲの減容速度を設定することができる。
この実施形態の目張り範囲調節機構においては、巻取機178はコンピュータ190に接続されており、コンピュータ190からの指令に基づいて巻取機178の巻取量を制御することで、クラゲ貯留槽の目張りシートによる目張り範囲を指定された目張り範囲に設定することができる。
また、本願発明の一実施形態にかかるクラゲの洋上処理システム100は、クラゲ貯留槽の縁辺部から表層部に注水する注水装置として注水パイプ180を備える。
注水パイプ180には、クラゲ貯留槽の縁辺部からクラゲ貯留槽の表層部に海水を注水する還流生成用注水ノズル184を複数個所に備え、クラゲ貯留槽の表層部に注水することで表層部に還流を生成させることができる。これにより、クラゲ移送出口配管130からクラゲとともに流入する海水によって生成される表層部の穏やかな還流の形成状況を改善して局所的な水質の濃度差を緩和することができる。
また、注水パイプ180には、クラゲ貯留槽の上面からクラゲ貯留槽の表面に散水する消泡用散水ノズル186を備え、クラゲ貯留槽の表層部においてクラゲ同士が接触することにより生じた泡を消泡することができ、大量のクラゲが来襲したときの景観等の環境への影響を改善することができる。
注水パイプ180は、注水パイプに海水を給水するための給水ポンプ186に接続されており、給水ポンプ186を制御することで、クラゲ貯留槽の表層部に注水する注水量を調節することができる。
従って、クラゲ検知センサ140により検出されたクラゲの流入量に応じて給水ポンプ186による給水量を制御することで、クラゲ貯留槽の表層部の還流の形成状況を最適化することができる。
この実施形態の注水装置においては、給水ポンプ186はコンピュータ190に接続されており、コンピュータ190からの指令に基づいて給水ポンプ186の給水量を制御することで、クラゲ貯留槽の表層部に注水する注水量を指定された注水量に設定することができる。
図2に、本願発明の一実施形態にかかる目張り範囲調節機構の概略構成を示す。図2(1)は側面図を示し、図2(2)は上面図を示す。
この実施形態にかかる目張り範囲調節機構は、図1のクラゲ貯留槽150において説明した目張り範囲調節機構と同じであり、図2(2)に示すように、可動目張りシート170は、円周上の3箇所において、それぞれ個別のワイヤ176によって吊り下げられ、各ワイヤ176はそれぞれ個別の巻取機178によって巻き取られる。そして、3つの巻取機178を連動して制御することで、可動目張りシート170を全体として上下に移動させ、クラゲ貯留槽の深さ方向の目張り範囲を調節する。
図3に、本願発明の他の実施形態にかかる目張り範囲調節機構の概略構成を示す。
この実施形態では、網地により籠状に形成され、上層部を目張りシート262で目張りした外側貯留槽260と、網地により籠状に形成され、上層部を目張りシート272で目張りした、直径が外側貯留槽よりも少し小さい内側貯留槽270とを備え、外側貯留槽260の中で内側貯留槽270を上下に移動させることで、クラゲ貯留槽の目張り範囲を調節する。
この実施形態では、内側貯留槽270を上下に移動させるため、内側貯留槽270を上辺に備えた浮遊体273により浮揚させ、下辺のフレーム274に固定されたワイヤ276を滑車275を介して巻取機278で巻き取るように構成し、巻取機278によるワイヤ276の巻取量を調節することにより、クラゲ貯留槽の目張り範囲を調節する。
図4に、本願発明の一実施形態にかかる注水装置の概略構成を示す。図4(1)はクラゲ貯留槽が丸型の場合の構成例であり、図4(2)はクラゲ貯留槽が角型の場合の構成例である。
図4に示すように、クラゲ貯留槽150の表層部には、クラゲ移送出口配管130からクラゲとともに流入する海水によって穏やかな還流が常時形成されている。
これに対して、クラゲ貯留槽150の縁辺部に設置された注水パイプ180の複数個所に設けられた還流生成用注水ノズル182からクラゲ貯留槽の表層部に注水することにより、クラゲ貯留槽の表層部に形成されている穏やかな還流に対して調整流が加わり、表層部の還流が補強される。これにより、クラゲが大量に来襲した場合に、還流生成用注水ノズルからクラゲ貯留槽の表層部への注水量を増やすことで、クラゲ貯留槽の表層部において生ずる局所的な水質の濃度差を緩和することができる。
また、クラゲ貯留槽150の縁辺部に設置された注水パイプ180の複数個所において、クラゲ貯留槽の上面の縁辺部から中心部に向かって延設された消泡用散水ノズル184からクラゲ貯留槽の表面に散水することによって、クラゲ貯留槽の表層部においてクラゲ同士が接触することにより生じた泡を消泡することができ、大量のクラゲが来襲したときの景観等の環境への影響を改善することができる。
図4において、還流生成用注水ノズル182は、クラゲ貯留槽の縁辺部の4箇所に設けているが、これは還流生成用注水ノズルによる還流形成の調整流の機能を説明するために例示したものであって、還流生成用注水ノズルをクラゲ貯留槽の表層部の具体的どの部分にどのように設置するかは、クラゲ貯留槽の形状や設置場所の環境条件に応じて表層部において適切に還流が形成されるように決定される。
なお、さまざまな設置条件に対応できるように多数の還流生成用注水ノズルを設け、それぞれの注入量を個別に調節できるようにしてもよい。これにより、さまざまなクラゲ貯留槽の形状や設置場所の環境条件に対応できる柔軟なクラゲの洋上処理システムを構成することができる。
また、図4において、消泡用散水ノズル184は、クラゲ貯留槽の上面において縁辺部の4箇所から中心部に向かって延設されているが、これは消泡用散水ノズルによる消泡散水の機能を説明するために例示したものであって、消泡用散水ノズルをクラゲ貯留槽の上面のどの部分にどのように設置するかについても、クラゲ貯留槽の形状や設置場所の環境条件に応じて適切に消泡できるように決定される。
また、図4において、還流生成用注水ノズル182と消泡用散水ノズル184とは、図面の簡略化のため同一の注水パイプ180に接続されるものとして説明したが、還流生成用注水ノズルと消泡用散水ノズルをそれぞれ個別に配管し、それぞれの配管に対して個別に給水ポンプを備えるようにすれば、還流形成のための注水量の調節と消泡のための散水量の調節を個別に行うことができ、クラゲ貯留槽へのクラゲの流入量の変化に対してより柔軟に対応することが可能となる。
次に、上述したようなクラゲの洋上処理システム100を用いて、クラゲ検知センサにより検出されたクラゲ流入量に対応して、クラゲ貯留槽の目張り範囲をどのように調整し、クラゲ貯留槽の表層部への注水量をどのように調節すればよいかについて説明する。
図5に、本願発明の一実施形態にかかるクラゲの洋上処理システムのコンピュータ190による制御手順の例を示す。
本願発明の一実施形態にかかる制御手順(S100)は、最初に、上述したクラゲ検知センサによるクラゲ通過信号に基づいてコンピュータ190において演算された前回から今回までのクラゲ流入量を取得する(S102)。
次に、前回のクラゲ残存量、前回の目張り範囲設定、前回の注水量設定に基づいて、前回から今回までのクラゲ減容量を推定する(S104)。このクラゲ減容量の推定は、目張り範囲とクラゲ減容速度の関係を測定したデータ(例えば、図6)、注水量とクラゲ減容速度の関係を測定したデータ等を用いて行う。
次に、取得されたクラゲ流入量と推定されたクラゲ減容量に基づいて、現在のクラゲ貯留槽内のクラゲ残存量を演算する(S106)。
そして、クラゲ貯留槽の現在のクラゲ残存量における水質負荷を予測する(S108)。この水質負荷の予測は、クラゲ残存量とクラゲ貯留槽内の水質分布の関係を測定したデータ、クラゲ貯留槽の設置環境における海流データ(例えば、図7)等を用いて行う。
その結果、クラゲ貯留槽内の水質を所定の水質基準を満たすように維持するためにクラゲ貯留槽の目張り範囲を調節する必要があると判断された場合は(S110)、目張り範囲とクラゲ減容速度の関係を測定したデータに基づいて最適な目張り範囲を演算し(S112)、クラゲ貯留槽の目張り範囲調節機構を制御して目張りシートによる目張り範囲を演算された最適な目張り範囲に設定する(S114)。
また、クラゲ貯留槽内の水質を所定の水質基準を満たすように維持するためにクラゲ貯留槽の表層部に注水する注水量を調節する必要があると判断された場合は(S116)、上記設定された目張り範囲において注水量とクラゲ減容速度の関係を測定したデータに基づいて最適な注水量を演算し(S118)、注水装置の給水ポンプを制御してクラゲ貯留槽の表層部に注入する注水量を演算された最適な注水量に設定する(S120)。
以上のような制御を、設定周期が経過する毎に(例えば、一日に一回)、最初から繰り返す(S122)。
なお、上記制御手順では説明を省略したが、予測されたクラゲ貯留槽の水質負荷が目張り範囲の調節や注水量の調節によって改善できる範囲を超えていることが確認された場合は、その旨を作業者に通知し、クラゲの移送先を陸上の廃棄物保管庫に切替えたり、クラゲ貯留槽に収容されている一部のクラゲを陸上の廃棄物保管容器に回収したりするなどの措置を行う。
また、上記制御手順では、現在のクラゲ残存量の演算は、前回のクラゲ残存量に基づいてクラゲ減容量を推定し、新たなクラゲ流入量と推定されたクラゲ減容量から現在のクラゲ残存量を決定するものとして説明したが、これは個々のクラゲの減容速度がクラゲ貯留槽における貯留期間によっては大きく変化せず、クラゲ貯留槽に残存しているクラゲの総量によってクラゲの減容量を決定できることを前提としたものである。
個々のクラゲの減容速度がクラゲ貯留槽における貯留期間によって大きく変化する場合には、各制御周期毎のクラゲ流入量に対応するクラゲ残存量の履歴を保存するようにし、各制御周期毎のクラゲ残存量についてそれぞれの貯留期間に対応したクラゲ減容量によってクラゲ残存量を更新し、各制御周期毎のクラゲ残存量の総和として全体のクラゲ残存量を演算するようにすればよい。この場合において、各制御周期毎のクラゲ残存量のなかでクラゲ残存量が一定量以下となったものについては既にクラゲが消滅したとして履歴から抹消するようにしてもよい。
以上のように、この発明のクラゲの洋上処理システム100によれば、クラゲ検知センサにより検出されたクラゲ流入量に対応して、クラゲ貯留槽の目張りシートの目張り範囲と注水量を適切に調節することで、クラゲ貯留槽において水質基準を満たす範囲の最速でクラゲを自然消滅させることができるので、クラゲが大量に来襲した場合でも、陸上に水揚げして廃棄物として処理しなければならなくなる事態を最大限に回避することができ、クラゲの処理コストを更に抑制することが可能となる。
上記実施形態では、コンピュータによって、クラゲ検知手段により検出されたクラゲ流入量に基づいてクラゲ貯留槽の目張り範囲や表層部への注水量が自動的に制御されるものとして説明したが、本願発明はこれに限定されるものではなく、コンピュータによってクラゲ検知センサからの信号に基づいてクラゲ流入量を演算して画面表示し、これに基づいて作業者がクラゲ貯留槽の目張り範囲や表層部への注水量を人為的に調節するようにしてもよい。この場合には、目張り範囲調節機構の巻取機は必ずしも電動の巻取機である必要はなく、手巻きのウインチ等を用いることもできる。
上記実施形態では、目張り範囲調節機構は、固定の目張りシートと可動の目張りシートを用い、可動の目張りシートを上下させることで目張り範囲を調節するものとして説明したが、クラゲ貯留槽の側面の海面から深さ方向の目張り範囲を調節できるものであればどのようなものでもよく、例えば巻取式の目張りシートを用いて巻取量を変化させることで目張り範囲を調節するようにしてもよい。
上記実施形態では、注水装置の注水量を調節することによってクラゲ貯留槽の表層部の還流の形成状況を制御するものとして説明したが、クラゲ吸引ポンプによりクラゲとともに吸引された海水を排出するセパレータにおいて海水排出量を調節可能なものとし、この海水排出量を調節することで、クラゲ貯留槽の表層部の還流の形成状況を制御するようにしてもよく、注水装置による注水量の調節とセパレータによる海水排出量の調節を組合せてクラゲ貯留槽の表層部の還流の形成状況を制御するようにしてもよい。
なお、セパレータにおける海水排出量の調節は、例えば、セパレータの海水を排出する部分にスライド式のシャッタを設けて排水面積を調節することによって実現することができる。
上記実施形態では、クラゲ貯留槽の表層部には、クラゲ移送出口配管からクラゲとともに流入する海水によって穏やかな還流が常時形成されており、これに対して注水装置の還流生成用注水ノズルからクラゲ貯留槽の表層部に注水することで表層部の還流を補強し、還流の形成状況を改善するものとして説明したが、本願発明はこれに限定されるものではなく、クラゲ貯留槽の表層部の還流形成に対してクラゲ移送出口配管からクラゲとともに流入する海水は寄与しないものであって、主として注水装置の還流生成用注水ノズルからクラゲ貯留槽の表層部に注水することによって表層部に還流を生成させるものであってもよい。
上記実施形態では、クラゲ検知センサとして、光センサを用いるものとして説明したが、本願発明はこれに限定されるものではなく、配管内を通過するクラゲを検知できるものである限りどのようなセンサを用いてもよく、例えばクラゲの表面からの超音波の反射を検知することによりクラゲの流入量を検出するようにしてもよい。
上記実施形態では、クラゲ流入量検出手段として、クラゲ移送出口配管にクラゲ検知センサを設けるものとして説明したが、本願発明はこれに限定されるものではなく、例えば取水口付近を撮像するテレビカメラを備え、その画像を処理することで取水口付近に来襲しているクラゲの概算量を検出し、これに基づいてクラゲ貯留槽に流入するクラゲ流入量を推定するようにしてもよく、本願発明の効果を奏する。
以上のように、本願発明によれば、クラゲが大量に来襲した場合においても、クラゲ貯留槽に収容されたクラゲの減容速度と貯留槽内の海水の流れの状況を、来襲するクラゲの量に応じて制御することにより、水質の変化を緩和することができる。これにより、水質基準を満たす範囲内で処理可能なクラゲの量を従来よりも多くすることができ、貯留槽を小型化したり、廃棄物として処理されるクラゲの量を低減することができる。また、クラゲ消滅時の景観上好ましくない泡等の発生を軽減することができ、環境への影響が可能な限り小さくなるように制御可能な状況下でクラゲの洋上処理を実施することができる。
尚、本願発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、本願発明の効果を奏する限り、各実施形態で述べた構成要素を適宜入れ替えたり、新たな構成要素を追加したり、一部の構成要素を削除したりしてもよいことはいうまでもない。
100 本願発明の一実施形態にかかるクラゲの洋上処理システム
110 クラゲ誘導網
112 クラゲ回収台船
114 クラゲ吸引ポンプ
116 クラゲ移送パイプ
120 海水排出セパレータ
130 クラゲ移送出口配管
132 水切りスリット
134 クラゲ通路
136 海水通路
140 クラゲ検知センサ
150 本願発明の一実施形態にかかるクラゲ貯留槽
152 網地
154 フロート
156 錘
160 固定目張りシート
170 可動目張りシート
172 可動目張りシート上端フレーム
174 可動目張りシート下端フレーム
176 可動目張りシート高さ調節用ワイヤ
178 巻取機
180 注水パイプ
182 還流生成用注水ノズル
184 消泡用散水ノズル
186 注水ポンプ
190 制御コンピュータ
192 表示画面
250 本願発明の他の実施形態にかかるクラゲ貯留槽
260 外側貯留槽
262 固定目張りシート
264 外側貯留槽架台
270 内側貯留槽
272 可動目張りシート
273 内側貯留槽浮力体
274 内側貯留槽下側フレーム
275 滑車
276 内側貯留槽高さ調節用ワイヤ
278 巻取機

Claims (6)

  1. 網状の部材で籠状に形成され、洋上においてクラゲを海水中に貯留するクラゲ貯留槽と、取水口付近のクラゲを吸引し、生きたまま前記クラゲ貯留槽に移送するクラゲ移送手段とを備え、取水口付近に来襲したクラゲを水揚げすることなく前記クラゲ貯留槽に貯留して自然消滅させるクラゲの洋上処理システムにおいて、
    前記クラゲ貯留槽は、槽内の表層部に還流を生成させるために、側面の海面から深さ方向の一部を目張りする目張り手段を備えたものであって、
    前記目張り手段は、前記クラゲ貯留槽内のクラゲの減容速度を制御するために、深さ方向の目張りする範囲を調節する目張り範囲調節手段を備え、
    前記クラゲ貯留槽に流入するクラゲの量を検出するクラゲ流入量検出手段を備え、
    前記クラゲ流入量検出手段により検出されたクラゲの量によって、前記目張り範囲調節手段により前記クラゲ貯留槽の目張りする範囲を調節し、前記クラゲ貯留槽内のクラゲの減容速度を制御するようにしたことを特徴とする、クラゲの洋上処理システム。
  2. 前記クラゲ貯留槽の表層部に注水して表層部に還流を生成させるものであって、注水量を調節することが可能な注水手段を備え、
    前記クラゲ流入量検出手段により検出されたクラゲの量によって、前記注水手段により前記注水量を調節し、前記クラゲ貯留槽の表層部の還流の形成状況を制御するようにしたことを特徴とする、請求項1に記載のクラゲの洋上処理システム。
  3. 前記注水手段は、前記クラゲ貯留槽の縁辺部の複数個所に注水ノズルを備えたものであって、各注水ノズルは個別に注水量を調節することができることを特徴とする、請求項2に記載のクラゲの洋上処理システム。
  4. 前記注水手段は、前記クラゲ貯留槽の表層部においてクラゲ同士が接触することにより生ずる泡を消すための散水手段を備えたことを特徴とする、請求項2または請求項3に記載のクラゲの洋上処理システム。
  5. 前記クラゲ移送手段は、クラゲとともに吸引された海水を排出させるものであって、排出させる海水の量を調節することが可能な海水排出手段を備え、
    前記クラゲ移送手段の出口配管には、前記クラゲ移送手段の出口配管を通過するクラゲを検知するクラゲ検知センサより上流側においてクラゲとともに流入する海水を分離する海水分離手段と、前記海水分離手段により分離された海水を前記クラゲ貯留層に流入させるための海水通路を備えたことを特徴とする、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のクラゲの洋上処理システム。
  6. 前記クラゲ流入量検出手段により検出されたクラゲの量によって、前記海水排出手段により前記排出させる海水の量を調節し、前記クラゲ貯留槽の表層部の還流の形成状況を制御するようにしたことを特徴とする、請求項5に記載のクラゲの洋上処理システム。
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