JP2012035158A - クラゲ処理システム及びクラゲ処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】クラゲの来襲を監視する必要がなく、洋上で自動的に処理することができるクラゲ処理システム及びクラゲ処理方法を提供する。
【解決手段】他の装置に海水を供給するための取水機構1へのクラゲの流入を規制するクラゲ処理システムである。取水機構1にて発生する取水機構側への海水の流速が取水機構1に向かって加速されて、取水機構側にクラゲを誘導する第1誘導手段5と、第1誘導手段5にて誘導されたクラゲを取水機構側に誘導してクラゲを集める第2誘導手段6と、第2誘導手段6の取水機構側に設けられて、第2誘導手段にて集めたクラゲを滞留させる滞留槽7とを備えた。
【選択図】図1
【解決手段】他の装置に海水を供給するための取水機構1へのクラゲの流入を規制するクラゲ処理システムである。取水機構1にて発生する取水機構側への海水の流速が取水機構1に向かって加速されて、取水機構側にクラゲを誘導する第1誘導手段5と、第1誘導手段5にて誘導されたクラゲを取水機構側に誘導してクラゲを集める第2誘導手段6と、第2誘導手段6の取水機構側に設けられて、第2誘導手段にて集めたクラゲを滞留させる滞留槽7とを備えた。
【選択図】図1
Description
本発明は、海水を汲み上げる取水機構へ流入するクラゲの流入を規制するためのクラゲ処理システム及びクラゲ処理方法に関する。
火力・原子力発電所等では、使用済みの蒸気を海水で冷却することにより、タービン後段に真空を作り出すことで圧力差を拡大して発熱効率を向上させている。このため、海水を導いて冷却水を確保する必要がある。この場合、海水中に含まれているクラゲ等の海生生物を引き込むと、揚水能力や熱交換の低下により、冷却効率が悪くなったり、機器が損傷したりして、発電機出力の低下や電力安定供給の阻害という問題が発生する。このため、汲み上げポンプの上流側に、クラゲを処理して汲み上げた海水中にクラゲの混入を規制するための設備がある(特許文献1)。
特許文献1のものは、汲み上げポンプ等からなる取水機構よりも上流側に、複数の取水機構を取り巻くようにクラゲ流入防止手段を設けている。このクラゲ流入防止手段は、洋上に設けられた網部材と、網部材の下流側に設けられるパイプと、網部材のクラゲをパイプに吸引するポンプと、パイプに吸引したクラゲを貯留させる貯留槽とから構成されている。すなわち、網部材にクラゲが誘導されているのが確認されると、ポンプを起動させてクラゲをパイプ及びその先にある貯留槽へ誘導させる。そして、貯留槽内のクラゲは自然消滅する。また、貯留槽内のクラゲが処理できる限界を超えて来襲した場合、クラゲを陸上で回収し、陸上で処理する。
しかしながら、特許文献1のものでは、クラゲを移送するためのポンプを洋上に設けるため、ポンプは長期にわたって海水に曝されることになる。このため、波浪や塩分等のある環境にポンプが存在することになり、ポンプの性能が低下したり、故障が生じたりするおそれがある。従って、ポンプのメンテナンスが必要となり、コスト高となる。しかも、網状体にクラゲが誘導されたときにポンプを起動させるため、網状体にクラゲが誘導されたか常に監視が必要となり、手間がかかるという問題があった。特に、海水温度が上昇傾向にある昨今では、クラゲの大量来襲時期が予測し難い状況にある。このため、常に監視しなければクラゲの大量来襲に対応できない。
クラゲを処理する場合、例えば、クラゲ体組成(95%以上水分)を利用して天日等で乾燥する等して陸上で処理すると、広大な設備と臭気が発生するという問題がある。従って、クラゲが大量来襲した場合であっても、洋上で処理するのが望ましい。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑みて、クラゲの来襲を監視する必要がなく、洋上で自動的に処理することができるクラゲ処理システム及びクラゲ処理方法を提供する。
本発明のクラゲ処理システムは、他の装置に海水を供給するための取水機構へのクラゲの流入を規制するクラゲ処理システムにおいて、取水機構にて発生する取水機構側への海水の流速が取水機構に向かって加速されて、取水機構側にクラゲを誘導する第1誘導手段と、前記第1誘導手段にて誘導されたクラゲを取水機構側に誘導してクラゲを集める第2誘導手段と、前記第2誘導手段の取水機構側に設けられて、前記第2誘導手段にて集めたクラゲを滞留させる滞留槽とを備えたものである。
本発明のクラゲ処理システムでは、取水機構にて発生する取水機構側への海水の流速を、取水機構に向かって加速させる第1誘導手段を備えているので、この第1誘導手段は、海水の流速をクラゲの移動速度よりも大きくすることができて、クラゲの逆流を防止することができる。これにより、取水機構の運転時の流速を利用して、海水の流速だけで第2誘導手段にてクラゲを集めて滞留槽に滞留させることができる。
前記第1誘導手段は、海底に設けられて海底側から海面側に向かって海水を上昇させる上昇部と、この上昇部の上方に設けられて上昇した海水の流れを前記滞留槽に向かって調整する整流部とを備えることができる。これにより、海底のクラゲを浮上させて、滞留槽に向かって案内することができる。
前記整流部は、海水の流通が規制されて、前記滞留槽への海水の流路を形成するシート状の水平流路形成体にて構成することができる。これにより、上昇した海水の流れを水平流路形成体の内側に形成することができ、海水の流路を一定の方向として海流を整えることができる。
前記上昇部は、アンカーと、このアンカーにて下端が支持されて、海水内で、その下端を中心に揺動して上方への海水の流路を形成するシート状の垂直流路形成体と、垂直流路形成体の上端縁を浮力によって任意の高さ位置に維持するフロートとを備えたものとできる。これにより、クラゲが大量に来襲して第1誘導手段に侵入した場合に、大量のクラゲによって垂直流路形成体が下端を中心に取水機構側に傾き、第1誘導手段に、クラゲが逃げる隙間が形成される。これにより、この隙間から処理能力を超えたクラゲを逃がすことができるため、自動的に処理能力分のクラゲのみ滞留槽に誘導することができる。
前記フロートは、エアの供給又は排出により浮力を調節して、前記垂直流路形成体の上端縁の高さ位置を調節するものとできる。すなわち、フロート内部のエアの量を多くすると、フロートの浮力が大きくなって、垂直流路形成体が起立する向きにフロートが揺動する。また、フロート内部のエアの量を少なくすると、フロートの浮力が小さくなって、垂直流路形成体が傾倒する向きにフロートが揺動する。このようにして、エアの量により垂直流路形成体の傾きを調節することができて、クラゲの処理量を調節することができる。例えば、クラゲが大量来襲しやすい時期にはフロート内部のエアの量を多くすることにより、垂直流路形成体の傾きを大きくする。これにより、処理能力を超えたクラゲを第1誘導手段の隙間から逃がすことができて、前記滞留槽に案内するクラゲの量を処理能力の範囲内とすることができる。また、フロートを設置する際、海面から沈める作業が必要でなくなる。
前記第2誘導手段は、誘導路の断面積が取水機構側に向かって小さくなる網状体にて構成することができる。
本発明のクラゲ処理方法は、クラゲを洋上に留めることにより、他の装置に海水を供給するための取水機構へのクラゲの流入を規制するクラゲ処理方法において、取水機構を作動させて、取水機構近傍で反取水機構側から取水機構側へ流速を発生させて、海底側から海面側に海水及び海水中のクラゲを上昇させ、前記取水機構にて発生させた流速を加速させて、誘導されたクラゲを反取水機構側から取水機構側へ向かって案内して、案内されたクラゲを取水機構の上流側の滞留部位に滞留させるものである。
本発明のクラゲ処理方法では、取水機構にて発生する取水機構側への海水の流速を、取水機構に向かって加速させるので、海水の流速をクラゲの移動速度よりも大きくすることができる。これにより、取水機構の運転時の流速を利用して、海水の流速だけでクラゲを集めて処理することができる。
本発明のクラゲ処理システム及びクラゲ処理方法によれば、取水機構の運転時の流速を利用して、海水の流速だけで第2誘導手段にてクラゲを集めて滞留槽に滞留させて自然消滅させるため、クラゲの来襲を監視することがなく、洋上で自動的に処理することができる。また、クラゲを誘導するための動力を別途必要としないため、全体としてコンパクトであるとともに設置が簡易となり、コストの低減を図ることができ、メンテナンス性に優れたものとなる。しかも、クラゲを陸上に運搬する必要がなくなり、洋上の処理のみとしているため、臭気が発生することがないとの利点もある。
前記第1誘導手段は、上昇部と整流部とを備えたものとすると、海底のクラゲを浮上させることができて、海面付近のクラゲだけではなく海底近傍のクラゲを処理することができる。
整流部は、シート状の水平流路形成体にて構成することにより、上昇した海水の流れを水平流路形成体の内側に形成することができ、海水の流路を一定の方向として海流を整えることができて、第2誘導手段及び滞留槽にクラゲを誘導することができるとともに、クラゲの逆流も防止することができる。これにより、クラゲの処理効率を高めることができる。
前記上昇部は、アンカーと、シート状の垂直流路形成体と、垂直流路形成体の上端縁を任意の高さ位置に維持するフロートとを備えたものとすると、自動的に処理能力分のクラゲのみ滞留槽に誘導することができ、処理能力を超えたか否かの監視をする必要がなくなり、作業の簡略化、低コスト化を図ることができる。
前記フロートは、エアの供給又は排出により浮力を調節して、前記垂直流路形成体の上端縁の高さ位置を調節するものとすると、エアの量により垂直流路形成体の傾きを調節して、クラゲの処理量を調節することができ、クラゲの来襲量にかかわりなく適用可能なものとなる。また、フロートを設置する際、海面から沈める作業が必要でなくなるため、設置作業が簡単になるとともに、メンテナンス性の向上を図ることができる。
前記第2誘導手段は、誘導路の断面積が取水機構側に向かって小さくなる網状体にて構成すると、クラゲを集め易いものとできる。また、第2誘導手段の抵抗を小さくすることができて、海流が大きくなった場合や、クラゲが大量に来襲した場合に、第2誘導手段が反転するのを防止して、長期にわたってその形状を維持することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
本発明のクラゲ処理システムは、海50(図1参照)に複数設けられるとともに、カーテンウォール20からなるクラゲ流入防止手段と取水機構1との間に配設され、カーテンウォール20を通過したクラゲの取水機構1への流入を規制するものである。取水機構1は、図示省略の他の装置(例えば、発電所に備えられるタービン)に、冷却水としての海水を供給する機構であり、図2に示すように、汲み上げポンプ2、ロータリースクリーン3等から構成されている。
カーテンウォール20は、図2に示すように、海底側を開口させる開口部21を有する壁面であり、水面側の流路を遮断するものである。カーテンウォール20は、複数の取水機構1を取り巻くように設置されており、本実施形態では、海底に埋設される鋼管杭24と、この鋼管杭24の上部に設けられる桟橋23とでカーテンウォール20が構成されている。このようなカーテンウォール20を設けることにより、水面付近に浮上するクラゲや異物の下流側への進入を遮断するとともに、低温である深層水のみを取水機構1へ送出することができる。
本発明のクラゲ処理装置は、図2に示すように、カーテンウォール20の下流側に設けられるものであり、第1誘導手段5と、第2誘導手段6と、滞留槽7とを備えている。
第1誘導手段5は、図2に示すように、カーテンウォール20の下流側の海底に設けられる上昇部8と、カーテンウォール20の下流側の海面付近に設けられる整流部9とから構成されている。
上昇部8は、図3及び図4に示すように、アンカー10と、垂直流路形成体11と、フロート12とで構成されている。すなわち、例えばポリエチレン素材のように海水の流通が規制されるシート状の垂直流路形成体11の幅方向一端部に、長尺のアンカー10が取付けられるとともに、垂直流路形成体11の幅方向他端部に、長尺のフロート12が取付けられている。これにより、垂直流路形成体11の幅方向一端部は海底に沈み、垂直流路形成体11の幅方向他端部は浮いた状態となって、垂直流路形成体11の上端縁を任意の高さ位置に維持する。カーテンウォール20の開口部21からの海流にてクラゲが侵入すると、上昇部8が壁となって海水が海底側から海面側に向かって上昇し、この部位における海水の流れは図3や図4の矢印Aのような向きとなる。
フロート12は、ポリエチレン素材の垂直流路形成体11を円柱状として軸方向両端部が密閉されたものである。フロート12は、図示省略のエア供給口が設けられており、エア供給口を介して内部にエアを供給したり排出したりして、内部のエアの量を調節できるようになっている。これにより、フロート12内部のエアの量を多くすると、フロート12の浮力が大きくなって、図4の矢印Bのように垂直流路形成体11が起立する向きにフロート12が揺動する。このとき、第1誘導手段5に形成される隙間18(フロート12と第2誘導手段6との間に形成される隙間)は小さくなる。また、フロート12内部のエアの量を少なくすると、フロート12の浮力が小さくなって、図4の矢印Cのように垂直流路形成体11が傾倒する向きにフロート12が揺動する。このとき、隙間18は大きくなる。このようにして、フロート12は、エアの供給又は排出により浮力を調節することができ、垂直流路形成体11の傾きを調節して上端縁の高さ位置を調節することができる。従って、例えば、クラゲの来襲しやすい時期にはフロート内部のエアの量を多くすることにより、図4の二点鎖線のように垂直流路形成体11の傾きを大きくする。これにより、処理能力を超えたクラゲを隙間18から逃がすことができて、前記滞留槽7に案内するクラゲの量を処理能力の範囲内とすることができる。また、フロート12を設置する際、フロート浮力に抗して海面から沈める作業量が小さくなる。
整流部9は、図3に示すように、上昇部8の上方に設けられて、海水の流通が規制される例えばポリエチレン素材の一対のシート状の水平流路形成体13a、13bにて構成されている。水平流路形成体13a、13bは、図4に示すように、側面視において、カーテンウォール側から取水機構側に向かって幅が小さくなる。また、一対の水平流路形成体13a、13bは、図5に示すように、平面視において、カーテンウォール側から取水機構側に向かって幅が小さくなるようにして取付けられている。この水平流路形成体13a、13bの上方には、夫々2つずつフロート14が取付けられている。この整流部9により、上昇部8にて上昇した海水の流れを水平流路形成体13a、13bの内側に形成することができ、海水の流路を一定の方向(滞留槽側)として海流を整えることができる。
第2誘導手段6は、網状体15にて構成されている。網状体15は、図3に示すように、一方の水平流路形成体13aから連続する側部15aと、他方の水平流路形成体13bから連続する側部15bと、水平流路形成体13a、13bの中間位置から側部15a、15bの端部に沿って設けられる底部15cとからなる。側部15a、15bは、図4に示すように、側面視において、カーテンウォール側から取水機構側に向かって幅が小さくなる。底部15cは、図5に示すように、平面視において、カーテンウォール側から取水機構側に向かって幅が小さくなるような台形状となっている。このように、第2誘導手段6は、誘導路の断面積が取水機構側に向かって小さくなっている。側部15a、15bの上方には、夫々2つずつフロート14が取付けられている。
図4に示すように、第1誘導手段5における水平流路形成体13a、13bの長さ寸法と、第2誘導手段6における網状体の側部15a、15bの長さ寸法との比は約1:1としている。また、網状体15と水平流路形成体13a、13bとの面積比は、約6:1となっており、水平流路形成体の割合を少なくしている。
滞留槽7は、網状体にて構成される4つの周壁16a〜16dと底16eとからなる。この滞留槽7には、2つのアンカー17が取付られており、海中で形状を維持している。滞留槽7は、クラゲの来襲量に応じて異なる容積のものを使用するのが好ましい。すなわち、クラゲの大量来襲時期には、滞留槽7は容積が大きなものを使用し、大量来襲時期以外の時期には、容積が小さなものを使用する。
次に、前記本発明のクラゲ処理システムを利用して、クラゲを処理する方法について説明する。まず、汲み上げポンプ2を作動させる等して、取水機構1を作動させて、取水機構近傍で、図2の矢印に示すように反取水機構側から取水機構側へ海水の流れを発生させる。これにより、クラゲが海水とともにカーテンウォール20の開口部21から取水機構側へ誘導される。
カーテンウォール20の下流側では、海水は第1誘導手段5により誘導される。すなわち、上昇部8にて図3〜図5の矢印Aに示す向き(海底側から海面側)に海水が上昇してクラゲが浮上する。このとき、クラゲの来襲量によって、アンカー10を中心に垂直流路形成体11が揺動する。すなわち、クラゲが大量に来襲した場合に、垂直流路形成体11が図4の矢印Cの向き(取水機構側)に傾き、第2誘導手段6と垂直流路形成体11との間に隙間18が形成される。これにより、この隙間18から処理能力を超えたクラゲを逃がすことができるため、自動的に処理能力分のクラゲのみ浮上させることができる。また、クラゲの大量来襲時期に備えて、予めフロート12のエアの供給量を多くして、隙間18を形成してもよい。
整流部9は、上昇部8にて上昇した海水の流れを水平流路形成体13a、13bの内側に形成して、海水の流路を一定の方向として海流を整える。これにより、海水は、整流部9にて流速が加速され、取水機構側に案内される。このように海水が第1誘導手段5にて加速されることにより、海水の流速をクラゲの移動速度よりも大きくすることができて、クラゲの逆流を防止することができる。これにより、浮上したクラゲを直ちに下流側へ誘導することができる。
第1誘導手段5にて誘導されたクラゲは、第2誘導手段6にてさらに誘導される。すなわち、第2誘導手段6では、第1誘導手段5で誘導されたクラゲを取水機構側へ誘導して矢印Eのようにクラゲを集める。このとき、網状体15と水平流路形成体13a、13bとの面積比は、約6:1となっており、水平流路形成体13a、13bの割合を少なくしている。このため、海水が流通できる部分が多くなり、海水の流れによる押圧力への抵抗を全体として少なくすることができる。これにより、水平流路形成体13a、13bと網状体の側部15a、15bとが倒れたり、反転したりするのを防止できて、海流が大きくなった場合等でもクラゲを滞留槽7に誘導することができる。
第2誘導手段6にて集めたクラゲは滞留槽7の中に留まる。このとき、海水の流速は反取水機構側から取水機構側へ加速されているため、クラゲが逆流して第2誘導手段6へ抜け出すのを防止することができる。滞留槽7の中に留まったクラゲは、滞留槽7の中で自然消滅する。このようにして、取水機構1の運転時の流速を利用して、海水の流速だけで自動的にクラゲを滞留槽7に滞留させることができる。
本発明では、取水機構1の運転時の流速を利用して、海水の流速だけで第2誘導手段6にてクラゲを集めて滞留槽7に滞留させて自然消滅するため、クラゲの来襲を監視することがなく、洋上で自動的に処理することができる。また、クラゲを誘導するための動力を別途必要としないため、全体としてコンパクトであるとともに設置が簡易となり、コストの低減を図ることができ、メンテナンス性に優れたものとなる。しかも、クラゲを陸上に運搬する必要がなくなり、洋上の処理のみとしているため、臭気が発生することがないとの利点もある。
第1誘導手段5は、上昇部8と整流部9とを備えたものとすると、海底のクラゲを浮上させることができて、海面付近のクラゲだけではなく海底近傍のクラゲを処理することができる。
整流部9は、シート状の水平流路形成体13にて構成することにより、上昇した海水の流れを水平流路形成体13の内側に形成することができ、海水の流路を一定の方向として海流を整えることができる。これにより、第2誘導手段6及び滞留槽7にクラゲを誘導することができるとともに、クラゲの逆流も防止することができて、クラゲの処理効率を高めることができる。
上昇部9は、アンカー10と、シート状の垂直流路形成体11と、垂直流路形成体11の上端縁を任意の高さ位置に維持するフロート12とを備えたものとすると、自動的に処理能力分のクラゲのみ滞留槽に誘導することができる。これにより、処理能力を超えたか否かを監視をする必要がなくなり、作業の簡略化、低コスト化を図ることができる。
フロート12は、エアの供給又は排出により浮力を調節して、前記垂直流路形成体11の上端縁の高さ位置を調節するものとすると、エアの量により垂直流路形成体11の傾きを調節して、クラゲの処理量を調節することができる。これにより、クラゲの来襲量にかかわりなく適用可能なものとなる。また、フロート12を設置する際、海面から沈める作業が必要でなくなるため、設置作業が簡単になるとともに、メンテナンス性の向上を図ることができる。
第2誘導手段6は、誘導路の断面積が取水機構側に向かって小さくなる網状体15にて構成すると、クラゲを集め易いものとできる。また、第2誘導手段6の抵抗を小さくすることができて、海流が大きくなった場合や、クラゲが大量に来襲した場合に、第2誘導手段6が反転するのを防止して、長期にわたってその形状を維持することができる。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、例えば、図1の平面視において、水平流路形成体13a、13bとウォールカーテン20とのなす角は種々の角度とすることができる。網状体15の素材やメッシュの大きさは種々のものとすることができ、流路形成体11、13の素材も種々のものとすることができる。滞留槽7の大きさは、クラゲの大量来襲時期では大きいものとしたり、大量来襲時期でないときには小さいものとしたりして、クラゲの来襲時期に応じて種々の大きさとすることができる。
1 取水機構
5 第1誘導手段
6 第2誘導手段
7 滞留槽
8 上昇部
9 整流部
10 アンカー
11 垂直流路形成体
12 フロート
13 水平流路形成体
15 網状体
50 海
5 第1誘導手段
6 第2誘導手段
7 滞留槽
8 上昇部
9 整流部
10 アンカー
11 垂直流路形成体
12 フロート
13 水平流路形成体
15 網状体
50 海
Claims (7)
- 他の装置に海水を供給するための取水機構へのクラゲの流入を規制するクラゲ処理システムにおいて、
取水機構にて発生する取水機構側への海水の流速が取水機構に向かって加速されて、取水機構側にクラゲを誘導する第1誘導手段と、
前記第1誘導手段にて誘導されたクラゲを取水機構側に誘導してクラゲを集める第2誘導手段と、
前記第2誘導手段の取水機構側に設けられて、前記第2誘導手段にて集めたクラゲを滞留させる滞留槽とを備えたことを特徴とするクラゲ処理システム。 - 前記第1誘導手段は、海底に設けられて海底側から海面側に向かって海水を上昇させる上昇部と、この上昇部の上方に設けられて上昇した海水の流れを前記滞留槽に向かって調整する整流部とを備えたことを特徴とする請求項1のクラゲ処理システム。
- 前記整流部は、海水の流通が規制されて、前記滞留槽への海水の流路を形成するシート状の水平流路形成体にて構成したことを特徴とする請求項2のクラゲ処理システム。
- 前記上昇部は、アンカーと、このアンカーにて下端が支持されて、海水内で、その下端を中心に揺動して上方への海水の流路を形成するシート状の垂直流路形成体と、垂直流路形成体の上端縁を浮力によって任意の高さ位置に維持するフロートとを備えたことを特徴とする請求項2又は請求項3のクラゲ処理システム。
- 前記フロートは、エアの供給又は排出により浮力を調節して、前記垂直流路形成体の上端縁の高さ位置を調節することを特徴とする請求項4のクラゲ処理システム。
- 前記第2誘導手段は、誘導路の断面積が取水機構側に向かって小さくなる網状体にて構成したことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項のクラゲ処理システム。
- クラゲを洋上に留めることにより、他の装置に海水を供給するための取水機構へのクラゲの流入を規制するクラゲ処理方法において、
取水機構を作動させて、取水機構近傍で反取水機構側から取水機構側へ流速を発生させて、
海底側から海面側に海水及び海水中のクラゲを上昇させ、
前記取水機構にて発生させた流速を加速させて、誘導されたクラゲを反取水機構側から取水機構側へ向かって案内して、案内されたクラゲを取水機構の上流側の滞留部位に滞留させることを特徴とするクラゲ処理方法。
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WO2013015359A1 (ja) * | 2011-07-28 | 2013-01-31 | 東北電力株式会社 | クラゲの洋上処理システム |
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2010
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