JPWO2012176879A1 - がんの検査用試薬及び検査方法 - Google Patents
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Abstract
Description
がんペプチドワクチン療法における主要なエフェクターと考えられている特異的T細胞による細胞性免疫はヒト白血球抗原(HLA)拘束性であり、特定のHLA型を有する患者のみを対象としたワクチン開発が発明者らを含めた世界中で実施されてきた。
既にHLA−A24、−A2、−A26およびHLA−A3スーパータイプ(HLA−A3、−A11、−A31、−A33および−A68.1)のいずれかに結合し、それぞれのHLA拘束性にCTL誘導能を有する腫瘍抗原由来のペプチドが同定され、かかるペプチドががんペプチドワクチンとして有用であることが報告されている(非特許文献1−3)。これらの腫瘍抗原由来のペプチドはHLAクラスIに結合するペプチドである。
本発明は、一つの側面において、HLAクラスI分子に結合する腫瘍抗原由来のペプチドが結合したビーズまたはELISAプレートを提供する。
本発明は、一つの側面において、HLAクラスI分子に結合する腫瘍抗原由来のペプチドを含む、HLAクラスIに結合する腫瘍抗原由来のペプチドに結合する抗体の抗体価の測定用キットを提供する。
本発明は、一つの側面において、HLAクラスI分子に結合する腫瘍抗原由来のペプチドを含む、がんの診断用キットを提供する。
本発明は、一つの側面において、HLAクラスI分子に結合する腫瘍抗原由来のペプチドを含む、がん患者の予後予測用キットを提供する。
本発明は、一つの側面において、HLAクラスIに結合する腫瘍抗原由来のペプチドからなるペプチドのセットを提供する。
HLAクラスI分子は、例えば、HLA−A分子である。HLA−A分子は、例えば、HLA−A24、 −A2、−A26およびHLA−A3スーパータイプ(HLA−A3、−A11、−A31、−A33および−A68.1)であり得る。
本明細書において、ペプチドのセットとは、ペプチドの集合であり得る。
一つの実施態様として、本発明が提供するペプチドのセットは、配列番号1−31で示すペプチドから選択される2以上の異なるペプチドで構成される。例えば、本発明により提供されるペプチドセットは、配列番号1−31で示されるアミノ酸配列からなるペプチドのうち少なくとも28種のペプチドから構成されるペプチドセットである。本発明により提供されるペプチドセットの更なる例としては、(i)配列番号1−31で示されるアミノ酸配列からなる31個のペプチドのセット、(ii)配列番号1−30で示されるアミノ酸配列からなる30個のペプチドのセット、(iii)配列番号1−29および31で示されるアミノ酸配列からなる30個のペプチドのセット、(iv)配列番号1−28、30および31で示されるアミノ酸配列からなる30個のペプチドのセット、(v)配列番号1−29で示されるアミノ酸配列からなる29個のペプチドのセット、(vi)配列番号1−28および31で示されるアミノ酸配列からなる29個のペプチドのセット、(vii)配列番号1−28および30で示されるアミノ酸配列からなる29個のペプチドのセット、(viii)配列番号1−28で示されるアミノ酸配列からなる28個のペプチドのセットが挙げられる。
配列番号1−31で示されるアミノ酸配列からなる31個のペプチドは、それぞれ9から10アミノ酸残基からなるペプチドであり、表1に示される。
CypBは各種のがん細胞(膀胱がん、子宮がん、胃がん、肺がん細胞株)において発現量には差があるものの、いずれの細胞でも広く発現が確認されている。
また、本発明に用いるペプチドは、タグが付加されたHLAクラスIに結合する腫瘍抗原由来のペプチド(例えば、配列番号1−31で示されるアミノ酸配列からなるペプチド)であってもよい。
本明細書においてタグとは、ポリペプチドの精製、検出等のためポリペプチドに付加される部分を意味し、ヒスチジン(His)、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、マルトース結合タンパク質(MBP)、myc、FLAGタグなどが例示される。タグが付加されたポリペプチドは、例えば、pET30a(Novagen社製)(Hisタグ用)、pGEX(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製)(GSTタグ用)などの発現ベクターを用いて、適当な宿主細胞で発現させることで得られる。
本発明は、一つの側面において、HLAクラスI分子に結合する腫瘍抗原由来のペプチドが結合したビーズまたはELISAプレートを提供する。
また、一つの実施態様として、本発明は、
(i)配列番号1−31;
(ii)配列番号1−30;
(iii)配列番号1−29および31;
(iv)配列番号1−28、30および31;
(v)配列番号1−29;
(vi)配列番号1−28および30;
(vii)配列番号1−28および31;または
(viii)配列番号1−28
のそれぞれを構成する各アミノ酸配列からなるペプチドが結合したビーズまたはELISAプレートを提供する。
よって、一つの実施態様として、本発明は、
(i)配列番号1−31で示されるアミノ酸配列からなる31種のペプチドがそれぞれ、本発明における測定に対して十分な量で結合した1つのビーズ;
(ii)配列番号1−30、配列番号1−29および31、または配列番号1−28、30および31で示されるアミノ酸配列からなる30種のペプチドがそれぞれ本発明における測定に対して十分な量で結合した1つのビーズ;
(iii)配列番号1−29、配列番号1−28および30、または配列番号1−28および31で示されるアミノ酸配列からなる29種のペプチドがそれぞれ本発明における測定に対して十分な量で結合した1つのビーズ;および
(iv)配列番号1−28で示されるアミノ酸配列からなる28種のペプチドがそれぞれ同量で本発明における測定に対して十分な量で結合した1つのビーズを提供する。
本明細書において、本発明における測定に対して十分な量とは、本発明が提供する測定または検査を行うことができる量であれば限定はされず、例えば、試料中(例えば、ヒト血清、ヒト血漿)におけるHLAクラスI分子に結合する腫瘍抗原由来のペプチド(例えば、配列番号1−31で示されるアミノ酸配列からなる31種のペプチド)に結合する抗体の抗体価または量を測定できる量(例えば、該抗体量の10倍、30倍、100倍、300倍または1000倍の量)であり得る。
また、一つの実施態様として、本発明は、
(i)配列番号1−31で示されるアミノ酸配列からなる31種のペプチドの各1種が1つのビーズに結合した31種類のビーズのセット;
(ii)配列番号1−30、配列番号1−29および31、または配列番号1−28、30および31で示されるアミノ酸配列からなる30種のペプチドの各1種が1つのビーズに結合した30種類のビーズのセット;
(iii)配列番号1−29、配列番号1−28および30、または配列番号1−28および31で示されるアミノ酸配列からなる29種のペプチドの各1種が1つのビーズに結合した29種類のビーズのセット;および
(iv)配列番号1−28で示されるアミノ酸配列からなる28種のペプチドの各1種が1つのビーズに結合した28種類のビーズのセットを提供する。
ペプチドは、ELISAプレートに直接結合させてもよく、タンパク質やリンカーなどを介して間接的に結合させてもよい。
よって、一つの実施態様として、本発明は、
(i)1つのwellに、配列番号1−31で示されるアミノ酸配列からなる31種のペプチドをそれぞれ本発明における測定に対して十分な量で含むELISAプレート;
(ii)1つのwellに、配列番号1−30、配列番号1−29および31、または配列番号1−28、30および31で示されるアミノ酸配列からなる30種のペプチドをそれぞれ本発明における測定に対して十分な量で含むELISAプレート;
(iii)1つのwellに、配列番号1−29、配列番号1−28および30、または配列番号1−28および31で示されるアミノ酸配列からなる29種のペプチドをそれぞれ本発明における測定に対して十分な量で含むELISAプレート;および
(iv)1つのwellに、配列番号1−28で示されるアミノ酸配列からなる28種のペプチドをそれぞれ本発明における測定に対して十分な量で含むELISAプレートを提供する。
また、一つの実施態様として、本発明は、
(i)1つのwellに配列番号1−31で示されるアミノ酸配列からなる31種のペプチドの各1種が結合した31種類のwellを含むELISAプレート;
(ii)1つのwellに配列番号1−30、配列番号1−29および31、または配列番号1−28、30および31で示されるアミノ酸配列からなる30種のペプチドの各1種が結合した30種類のwellを含むELISAプレート;
(iii)1つのwellに配列番号1−29、配列番号1−28および30、または配列番号1−28および31で示されるアミノ酸配列からなる29種のペプチドの各1種が結合した29種類のwellを含むELISAプレート;および
(iv)1つのwellに配列番号1−28で示されるアミノ酸配列からなる28種のペプチドの各1種が結合した28種類のwellを含むELISAプレートを提供する。
ELISAプレートは、ペプチドが結合できればよく、例えば、ポリスチレン製のプレートであり得る。
本発明に用いるペプチドのビーズまたはELISAプレートへの結合は、当業者が適宜実施できる。
本発明は、一つの側面において、HLAクラスI分子に結合する腫瘍抗原由来のペプチドを含む、HLAクラスIに結合する腫瘍抗原由来のペプチドに対する抗体の抗体価の測定用キットを提供する。
また、一つの側面において、本発明は、HLAクラスIに結合する腫瘍抗原由来のペプチドを含む、がんの検査用またはがん患者の予後予測の検査用キットを提供する。
(ii)配列番号1−30;
(iii)配列番号1−29および31;
(iv)配列番号1−28、30および31;
(v)配列番号1−29;
(vi)配列番号1−28および30;
(vii)配列番号1−28および31;または
(viii)配列番号1−28で示されるアミノ酸配列からなるペプチドであり得る。
キットは、さらに、例えば、緩衝液、洗浄液(例えば、界面活性剤(例えば、Tween20)を含んだPBS)、ブロッキング溶液(例えば、BSA、牛乳由来タンパク質)、標識抗体(例えば、HRP標識抗体、cy3で蛍光標識した抗体)、発色基質(例えば、TMB(3,3',5,5'−tetramethylbenzidine))、対照用の9または10のランダムなアミノ酸残基からなるペプチドおよび/または当該ペプチドが結合したビーズを含んでもよい。標識抗体は、ヒトIgG(例えば、全IgG、IgG1、IgG2、IgG3および/またはIgG4)および/またはヒトIgMに特異的に結合する抗体(例えば、抗ヒトIgG抗体、抗ヒトIgG1抗体、抗ヒトIgG2抗体、抗ヒトIgG3抗体、抗ヒトIgG4抗体、抗ヒトIgM抗体)であってもよい。
HLAクラスI分子に結合する腫瘍抗原由来のペプチドに結合する抗体は、全IgG、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4およびIgMからなる群から選択される少なくとも1つの抗体であり得る。
白血病においては、HLAクラスIに結合する腫瘍抗原由来のペプチド(例えば、(i)配列番号1−31;(ii)配列番号1−30;(iii)配列番号1−29および31;(iv)配列番号1−28、30および31;(v)配列番号1−29;(vi)配列番号1−28および30;(vii)配列番号1−28および31;または(viii)配列番号1−28で示されるアミノ酸配列からなるペプチド)に結合するIgG4を測定することで健常人または患者群の中央値を閾値とし、当該閾値以上の値を示す患者であるかどうかで生命予後が長いかどうかを予測することが可能である。白血病の患者が抗がん剤(例えば、がん化学療法剤)を投与されているとき、HLAクラスIに結合する腫瘍抗原由来のペプチドに結合するIgG4の抗体価が当該閾値より高い場合は、抗がん剤(例えば、がん化学療法剤)の治療が効果を奏していると判断できる。また、その場合は、生命予後が長いと判断できる。
がん化学療法剤は、例えば、分子標的薬(例えば、イマチニブ、リツキシマブ)、アルキル化剤(例えば、イホスファミド、シクロホスファミド)、代謝拮抗剤(例えば、テガフール、フルオロウラシル、メトトレキサート)、植物アルカロイド(例えば、イリノテカン、エトポシド、パクリタキセル、ビンブラスチン)、抗がん性抗生物質(例えば、アクチノマイシンD、マイトマイシンC)、プラチナ製剤(例えば、オキサリプラチン、カルボプラチン、シスプラチン)、または生物学的応答調節剤(例えば、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、インターロイキン2)であり得る。
なお、HLAクラスIに結合する腫瘍抗原由来のペプチド(例えば、(i)配列番号1−31;(ii)配列番号1−30;(iii)配列番号1−29および31;(iv)配列番号1−28、30および31;(v)配列番号1−29;(vi)配列番号1−28および30;(vii)配列番号1−28および31;または(viii)配列番号1−28で示されるアミノ酸配列からなるペプチド)に結合するIgMはヒト年齢に依存して血中の抗体価が減少するので、比較する健常人群と被験者の年齢を合わせることにより、正確ながんの罹患の有無の判定をすることができる。あるいは、予め健常人について測定したHLAクラスIに結合する腫瘍抗原由来のペプチドに結合するIgMの抗体価のデータに基づき、被験者と同じ年齢の健常人の95%以上が含まれると予想される抗体価の範囲を算出し、その上限値を健常人群の基準値としてもよい。健常人群と被験者の年齢を合わせる場合、同じ年齢が好ましいが、年齢の差が、例えば、5歳未満、4歳未満、3歳未満または2歳未満であってもよい。
例えば、健常人に比較し、被験者由来の試料(例えば、血清、血漿等)中の全IgG、IgG1およびIgG2が有意に低く、IgMが健常人に比較し有意に高く、IgG3およびIgG4が健常人と比較し有意な差がなければ、被験者は白血病に罹患しているのであって肝臓がん、膵臓がんおよび前立腺がんに罹患していないと判定でき;被験者由来の試料(例えば、血清、血漿等)中の全IgG、IgG3およびIgMが健常人に比較し有意に高く、IgG4が健常人為比較し有意に低く、IgG1およびIgG2が健常人と比較し有意な差がなければ、被験者は肝臓がんに罹患しているのであって白血病、膵臓がんおよび前立腺がんに罹患していないと判定でき;被験者由来の試料(例えば、血清、血漿等)中のIgG1およびIgG3が健常人に比較し有意に低く、IgG4およびIgMが健常人為比較し有意に高く、全IgGおよびIgG2が健常人と比較し有意な差がなければ、被験者は膵臓がんに罹患しているのであって白血病、肝臓がんおよび前立腺がんに罹患していないと判定でき;被験者由来の試料(例えば、血清、血漿等)中のIgMが健常人に比較し有意に高く、全IgG、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4が健常人為比較し有意な差がなければ、被験者は前立腺がんに罹患しているのであって白血病、肝臓がんおよび膵臓がんに罹患していないと判定できる。
さらに、上記、白血病、肝臓がん、膵臓がん、前立腺がんに罹患しているか否かの判定は、それらがんとHCV感染者、インフルエンザ感染者、IgA腎症、リウマチ等の鑑別診断にも利用できる。
例えば、被験者由来の試料(例えば、血清、血漿等)中の全IgG、IgG3およびIgMが健常人に比較し有意に高く、IgG4が健常人為比較し有意に低く、IgG1およびIgG2が健常人と比較し有意な差がなければ、被験者が肝臓がんを発症していると判定でき、被験者由来の試料(例えば、血清、血漿等)中の全IgG、およびIgG1が健常人に比較し有意に高く、IgG2、IgG3、IgG4およびIgMが健常人と比較し有意な差がなければ、被験者はHCVに感染しているものの、肝臓がんを発症していないと判定できる。
また、一つの実施態様において、本発明は、HLAクラスI分子に結合する腫瘍抗原由来のペプチドと試料(例えば、ヒト血清、ヒト血漿)を接触させること、HLAクラスIに結合する腫瘍抗原由来のペプチドに結合する抗体(例えば、全IgG、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM)の抗体価の測定することを含む、がんの診断方法またはがん患者の予後予測の判定方法を提供する。当該がんの診断方法またはがん患者の予後予測の判定方法はin vitroで実施することができる。
(1)以下の配列番号:
(i)配列番号1−31;(ii)配列番号1−30;(iii)配列番号1−29および31;(iv)配列番号1−28、30および31;(v)配列番号1−29;(vi)配列番号1−28および30;(vii)配列番号1−28および31;または(viii)配列番号1−28
のそれぞれを構成する各アミノ酸配列からなるペプチドにより構成されるペプチドのセット。
(2)(1)に記載のペプチドが結合したビーズ。
(3)(1)に記載のペプチドが、1個のビーズ当たり各1種ずつ結合したビーズのセット。
(4)(1)に記載の各ペプチドがそれぞれ異なるwellに結合したELISAプレート。
(5)(1)に記載の各ペプチドが等モルずつ1つのwellに結合したELISAプレート。
(6)腫瘍抗原由来のペプチドに結合する抗体の抗体価の測定に使用する、(1)に記載のペプチドセット、(2)に記載のビーズ、(3)に記載のビーズのセット、または(4)または(5)に記載のELISAプレート。
(7)がんの判定またはがん患者の予後予測に使用する、(6)に記載のペプチドセット、ビーズ、ビーズのセットまたはELISAプレート。
(8)がんが、白血病、肝臓がん、膵臓がん、前立腺がんからなる群から選択される少なくとも1つのがんである、(7)に記載のペプチドセット、ビーズ、ビーズのセットまたはELISAプレート。
(9)(1)に記載のペプチドのセットを含む、腫瘍抗原由来のペプチドに結合する抗体の抗体価の測定用組成物またはキット。
(10)(2)に記載のビーズ、(3)に記載のビーズのセット、(4)に記載のELISAプレートまたは(5)に記載のELISAプレートを含む、腫瘍抗原由来のペプチドに結合する抗体の抗体価の測定用キット。
(11)抗体が、全IgG、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4およびIgMからなる群から選択される少なくとも1つの抗体である、(9)または(10)に記載の組成物またはキット。
(12)以下の配列番号:
(i)配列番号1−31;(ii)配列番号1−30;(iii)配列番号1−29および31;(iv)配列番号1−28、30および31;(v)配列番号1−29;(vi)配列番号1−28および30;(vii)配列番号1−28および31;または(viii)配列番号1−28
のそれぞれを構成する各アミノ酸配列からなるペプチドにより構成されるペプチドのセットを含む、がんの判定用またはがん患者の予後予測用組成物またはキット。
(13)(2)に記載のビーズ、(3)に記載のビーズのセット、(4)に記載のELISAプレートまたは(5)に記載のELISAプレートを含む、がんの判定用またはがん患者の予後予測用キット。
(14)がんが、白血病、肝臓がん、膵臓がん、前立腺がんからなる群から選択される少なくとも1つのがんである、(12)または(13)に記載の組成物またはキット。
(15)さらに抗ヒトIgG抗体、抗ヒトIgG1抗体、抗ヒトIgG2抗体および抗ヒトIgM抗体からなる群から選択される少なくとも1つの抗体を含む白血病の判定用である(12)から(14)のいずれかに記載のキット;さらに抗ヒトIgG抗体、抗ヒトIgG3抗体、抗ヒトIgG4抗体および抗ヒトIgM抗体からなる群から選択される少なくとも1つの抗体を含む肝臓がんの判定用である(12)から(14)のいずれかに記載のキット;さらに抗ヒトIgG1抗体、抗ヒトIgG3抗体、抗ヒトIgG4抗体および抗ヒトIgM抗体からなる群から選択される少なくとも1つの抗体を含む膵臓がんの判定用である(12)から(14)のいずれかに記載のキット;さらに抗ヒトIgM抗体を含む前立腺がんの判定用である(12)から(14)のいずれかに記載のキット;さらに抗ヒトIgG抗体および抗ヒトIgG1抗体からなる群から選択される少なくとも1つの抗体を含む白血病または肝臓がん患者の予後予測用である(12)から(14)のいずれかに記載のキット;または、さらに抗ヒトIgG抗体、抗ヒトIgG1抗体、抗ヒトIgG3抗体、抗ヒトIgG4抗体および抗ヒトIgM抗体からなる群から選択される少なくとも1つの抗体を含む肝臓がんとHCV感染の鑑別診断用である(12)から(14)のいずれかに記載のキット。
(16)被験者から採取した試料における、以下の配列番号:
(i)配列番号1−31;(ii)配列番号1−30;(iii)配列番号1−29および31;(iv)配列番号1−28、30および31;(v)配列番号1−29;(vi)配列番号1−28および30;(vii)配列番号1−28および31;または(viii)配列番号1−28
のそれぞれを構成する各アミノ酸配列からなるペプチドに結合する抗体の抗体価の総和を測定すること含む、がんの判定方法またはがん患者の予後予測方法。
(17)がんが、白血病、肝臓がん、膵臓がん、前立腺がんからなる群から選択される少なくとも1つのがんである、(16)に記載の方法。
(18)抗体が、全IgG、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4およびIgMからなる群から選択される少なくとも1つの抗体である、(16)または(17)に記載の方法。
(19)被験者から採取した試料における抗体価の総和と健常人から採取した試料における抗体価の総和の中間値またはがん患者から採取した試料における抗体価の総和の中間値を比較することを更に含む、(16)から(18)のいずれかに記載の方法。
(20)被験者から採取した試料における抗体価の総和と、被験者と同年齢の健常人から採取した試料における抗体価の総和の中間値または被験者と同年齢のがん患者から採取した試料における抗体価の総和の中間値を比較することを更に含む、(16)から(18)のいずれかに記載の方法。
(21)被験者から採取した試料における抗体価の総和と健常人から採取した試料における抗体価の総和の基準値の上限値を比較することを更に含み、該基準値の上限値と下限値の間に95%以上の健常人の抗体価の総和が含まれる、(16)から(18)のいずれかに記載の方法。
(22)被験者から採取した試料における抗体価の総和と被検者と同年齢の健常人から採取した試料における抗体価の総和の基準値の上限値を比較することを更に含み、該基準値の上限値と下限値の間に95%以上の被検者と同年齢の健常人の抗体価の総和が含まれる、(16)から(18)のいずれかに記載の方法。
(23)試料は、血清または血漿である、(16)から(23)のいずれかに記載の方法。
(24)in vitroまたはex vivoで実施される、(16)から(23)のいずれかに記載の方法。
(25)抗体が、ヒトIgG抗体、ヒトIgG1抗体、ヒトIgG2抗体およびヒトIgM抗体からなる群から選択される少なくとも1つの抗体であり、白血病を判定する(16)から(24)のいずれかに記載の方法;抗体が、ヒトIgG抗体、ヒトIgG3抗体、ヒトIgG4抗体およびヒトIgM抗体からなる群から選択される少なくとも1つの抗体であり、肝臓がんを判定する(16)から(24)のいずれかに記載の方法;抗体が、ヒトIgG1抗体、ヒトIgG3抗体、ヒトIgG4抗体およびヒトIgM抗体からなる群から選択される少なくとも1つの抗体であり、膵臓がんを判定用する(16)から(24)のいずれかに記載の方法;抗体が、ヒトIgM抗体であり、前立腺がんを判定する(16)から(24)のいずれかに記載の方法;抗体が、ヒトIgG抗体およびヒトIgG1抗体からなる群から選択される少なくとも1つの抗体であり、白血病または肝臓がん患者の予後を予測する(16)から(24)のいずれかに記載の方法;または、抗体が、ヒトIgG抗体、ヒトIgG1抗体、ヒトIgG3抗体、ヒトIgG4抗体およびヒトIgM抗体からなる群から選択される少なくとも1つの抗体であり、肝臓がんとHCV感染を鑑別する(16)から(24)のいずれかに記載の方法。
(26)(1)に記載のペプチドのセット、(52)に記載のビーズ、(3)に記載のビーズのセット、(4)に記載のELISAプレートまたは(5)に記載のELISAプレートの、腫瘍抗原由来のペプチドに結合する抗体の抗体価の測定用キットの製造における使用。
(27)(1)に記載のペプチドのセット、(2)に記載のビーズ、(3)に記載のビーズのセット、(4)に記載のELISAプレートまたは(5)に記載のELISAプレートの、がんの判定用キットまたはがん患者の予後予測用キットの製造における使用。
(28)抗体が、全IgG、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4およびIgMからなる群から選択される少なくとも1つの抗体である、(26)に記載の使用。
(29)がんが、白血病、肝臓がん、膵臓がん、前立腺がんからなる群から選択される少なくとも1つのがんである、(27)に記載の使用。
(1)ペプチドの調製
配列番号1〜31で構成されるそれぞれのペプチドを固相合成法にて合成し、純度90%以上に精製したペプチドを準備した。
10代から90代までの健常人74名、インフルエンザ感染者20名、HCV感染者22名、IgA腎症患者20名、リウマチ患者20名、肝臓がん患者39名、すい臓がん患者20名、前立腺がん患者20名、白血病患者26名から常法に従い血清もしくは血漿(ヘパリン加血)を調製した。なお、これらの患者は配列番号1〜31のいずれかのペプチドをワクチンとして投与した経歴のない被験者である。
特に記載のないかぎり、30℃で配列番号1〜31のそれぞれで表されるペプチドを結合したビーズの調製を行った。まず、1.5mLチューブにカルボキシビーズ(Luminex社製)を1000μLで分注し、遠心して上清を除去したのちに、0.1M MES(2−モルホリノエタンスルホン酸)緩衝液(pH7.0)を添加して洗浄し、当該緩衝液を除去した。次いで、300μLの0.1M MES緩衝液(pH7.0)を加え、配列番号1〜31ペプチドをジメチルスルホキシドに10mg/mLで溶解したペプチド溶液50μLと450μLの0.1M MES緩衝液(pH7.0)を混合し、各400μLを上記の各チューブへ添加した。次いで、EDC(N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩)(10mg/mL/0.1M MES緩衝液(pH7.0))を10μLずつ添加した。
暗所で20時間・振とう反応させた。反応後、上清を除去し、1Mトリス塩酸緩衝液(pH7.0)を各チューブに500μLずつ添加し、暗所で30分間・振とう反応させた。次に、各チューブに入ったビーズを0.05%Tween−20/PBSで洗浄し、イムノブロックを入れて調製した保存用溶液で回収した。なお、ブランクビーズはペプチドを添加せずDMSOのみを用いて同様の操作を行って調製し、コントロールビーズとして、C−35ペプチド(配列番号32:YLLPRRGPRL)を用いて、同様の操作を行って調製した。
これらの33種のビーズはそれぞれビーズ数が均等となるように混合した溶液を調製した。
被験者から得た血清を10%イムノブロックで100倍に希釈した。フィルタープレートを0.05%Tween−20/PBSで洗浄し、先に作成した配列番号1〜31の各ペプチドをそれぞれ結合したビーズおよび陰性コントロールビーズの混合液を1.5μL/ウェルで添加した。ビーズを0.05%Tween−20/PBSで洗浄した後、希釈血清を100μL/ウェルで加え、30℃で1.5時間反応した。反応後、ビーズを0.05%Tween−20/PBSで洗浄し、各抗体クラスを検出するために一次抗体(ビオチン化ヤギ抗ヒトIgG(γ)抗体、抗IgM抗体、抗IgG1〜抗IgG2抗体)を100μl/ウェルで加え、室温で1時間反応した。ビーズを0.05%Tween−20/PBSで洗浄した後、ストレプトアビジン−R−フィコエリスリンコンジュゲート(SAPE)を100μl/ウェルで加え、30℃で30分間反応した。次に、Luminex蛍光フローメトリーシステムで蛍光強度を測定し、ビーズに結合した各クラスの抗体(IgM、総IgG、および各IgG1〜4)における測定値(FIU)をそれぞれ得た。
各抗体のクラスについて、被験者ごと得られた31種のペプチドのFIUそれぞれからブランクビーズおよび測定コントロール(バッファーのみの測定値)の値を差し引いた配列番号1〜31それぞれの値を合計して代表値とした。そして得られた代表値を用いて、インフルエンザ感染者群、HCV感染者群、IgA腎症患者群、リウマチ患者群、肝臓がん患者群、すい臓がん患者群、前立腺がん患者群、および白血病患者群に対してそれぞれ年齢調整を行った健常人群との間に有意な差があるかどうかをウイルコクソンの符号順位検定によって検討した
結果を表2および図1〜8に示す。
以上から、本発明の31種のペプチドからなる検査用試薬を用いてIgGおよびIgMを測定することで、健常人との有意差が見られることから、本検査用試薬によって、がんの罹患の有無等を検査しえることがわかった。
健常人との間でIgGにおいて有意差がみられた白血病および肝臓がん患者について、IgG、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4の各代表値が患者の生命予後と関連しているかどうかを患者群の中央値または健常人の中央値を閾値として2群に分けたカプランマイヤー曲線を作成し、ログランク検定により有意な差がみられるかどうかを検討した。結果を図9および10に示す。
図9および10の結果から、白血病については、白血病患者群の中央値を閾値とした場合、IgG1において、閾値以上の患者において生命予後が長いという結果が得られたことから、白血病患者群の中央値をカットオフ値とすれば、白血病患者の生命予後を予測しえることがわかった。一方、肝臓がんについては、健常人群の中央値を閾値とした場合、閾値以上の患者において生命予後が長いという結果が得られたことから、健常人の中央値をカットオフ値とすれば、白血病患者の生命予後を予測しえることがわかったのにおいて、有意な差がみられたことから、これらをカットオフ値とすることで、患者の生命予後を判断する予後予測因子となり得ることが分かった。
IgMについて、肝臓がん、前立腺がん、すい臓がん、白血病患者群のそれぞれが、健常人群に対して有意な差がみられたため、抗ペプチドIgMの測定合計値ががんの判定因子になるかどうかについて検討を行った。検討するに当たり、健常人群の年代別に検討を行ったところ、図13および図14に示す通り年代別の代表値の平均に差がみられ、一方、患者群の年齢は35歳以上であったことから、健常人群の年齢も35歳以上の被験者からなる群(46名)とした。
次いで、健常人基準値を求めるため、当該群を用いて健常人群の基準値をパーセンタイル法で求めたところ、基準値(>95%範囲)は2952〜39412(単位:FIU)であった。
この基準値の上限値(39412)以下を正常値(すなわち、がんの罹患が陰性)として設定し、基準値の上限値より高い値の場合、陽性とした場合の検出感度、偽陽性率、検査効率を以下の式1〜3によって求めた。結果を表3に示す。なお、式中のaは設定した基準値の上限値より高い値を示す被験者であって、患者であり陽性と判定される人数、bは基準値の上限値より高い値を示す被験者であって、健常人であるが陽性と判定される人数、cは基準値の上限以下であって患者であるが陰性と判定される人数、dは基準値の上限以下であって健常人であり陰性と判定される人数を示している。
(式2)偽陽性率(%) = b/(b+c)×100
(式3)検査効率(%) = (a+d)/(a+b+c+d)×100
以上のように、配列番号1〜31からなる検査用試薬を用いることで患者の予後を予測することやがんの有無を判定しえることが分かったため、当該判定が可能となる最低限必要なペプチドセットについて検討を行った。
35歳以上の健常人群46名と肝臓がん、前立腺がん、すい臓がんおよび白血病のがん患者群109名についてそれぞれのペプチドごとにIgGおよびIgMの測定値の平均値を求めた。その結果、以下の表4に示す3つのペプチドは、IgGおよびIgMのいずれにおいても、健常人群およびがん患者群において低い値を示すことが分かった。
結果を図11および12、表5に示す。
すなわち、配列番号1〜28からなるペプチドセットでも本発明が提供する検査薬として用いることが可能であり、配列番号1〜28と配列番号29〜31から選ばれる1〜3種からなるペプチドセットを用いることで予後予測やがんの判定が可能であることが分かった。
抗がん剤投与白血病患者における31ペプチドに対するIgG4抗体の総和の中央値で2群に分けた場合の全生存期間をウイルコクソンで検定したところ抗体価が高い方が有意に予後良好であった(図15参照)。
Claims (17)
- HLAクラスI分子に結合するする腫瘍抗原由来のペプチドからなるペプチドのセット。
- 腫瘍抗原由来のペプチドが、配列番号1−31のアミノ酸配列で示されるペプチドから選択される異なる2種以上のペプチドから構成される、請求項1に記載のペプチドセット。
- 腫瘍抗原由来のペプチドが、配列番号1−31のアミノ酸配列で示されるペプチドから選択される、28種以上31種以下のペプチドから構成される請求項1または請求項2に記載のペプチドセット。
- ペプチドセットが
(i)配列番号1−31;
(ii)配列番号1−30;
(iii)配列番号1−29および31;
(iv)配列番号1−28、30および31;
(v)配列番号1−29;
(vi)配列番号1−28および30;
(vii)配列番号1−28および31;または
(viii)配列番号1−28
のそれぞれを構成する各アミノ酸配列からなるペプチドにより構成されるペプチドのセットである、請求項1から3のいずれかに記載のペプチドセット。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載のペプチドが結合したビーズ。
- 請求項1から請求項4のいずれかに記載のペプチドが、1個のビーズ当たり各1種ずつ結合したビーズのセット。
- 請求項1から請求項4のいずれかに記載の各ペプチドがそれぞれ異なるwellに固相化されたELISAプレート。
- 請求項1から請求項4のいずれかに記載の各ペプチドが等モルずつ1つのwellに固相化されたELISAプレート。
- 請求項1から請求項4のいずれかに記載のペプチドのセットを含む、腫瘍抗原由来のペプチドに結合する抗体の抗体価の測定用キット。
- 請求項5に記載のビーズ、請求項6に記載のビーズのセット、請求項7に記載のELISAプレートまたは請求項8に記載のELISAプレートを含む、腫瘍抗原由来のペプチドに結合する抗体の抗体価の測定用キット。
- HLAクラスI分子に結合する腫瘍抗原由来のペプチドからなるペプチドのセットを含む、がんの判定用またはがん患者の予後予測用キット。
- 配列番号1−31のアミノ酸配列からなるペプチドから選択される28乃至31のペプチドにより構成されるペプチドのセットを含む、がんの判定用またはがん患者の予後予測用キット。
- ペプチドセットが、
(i)配列番号1−31;
(ii)配列番号1−30;
(iii)配列番号1−29および31;
(iv)配列番号1−28、30および31;
(v)配列番号1−29;
(vi)配列番号1−28および30;
(vii)配列番号1−28および31;または
(viii)配列番号1−28
のそれぞれを構成する各アミノ酸配列からなるペプチドにより構成されるペプチドのセットである、請求項11または請求項12に記載のがんの判定用またはがん患者の予後予測用キット。 - 請求項5に記載のビーズ、請求項6に記載のビーズのセット、請求項7記載のELISAプレートまたは請求項8に記載のELISAプレートを含む、がんの判定用またはがん患者の予後予測用キット。
- ヒトから採取した試料における、HLAクラスI分子に結合する腫瘍抗原由来のペプチドに結合する抗体の抗体価の総和を測定することを含む、がんの判定方法またはがん患者の予後予測方法。
- アミノ酸配列番号1−31で示されるペプチド群から選択される28乃至31のペプチドから構成されるペプチドに結合する抗体の抗体価の総和を測定すること含む、請求項15に記載のがんの判定方法またはがん患者の予後予測方法。
- ヒトから採取した試料における、以下の配列番号:
(i)配列番号1−31;
(ii)配列番号1−30;
(iii)配列番号1−29および31;
(iv)配列番号1−28、30および31;
(v)配列番号1−29;
(vi)配列番号1−28および30;
(vii)配列番号1−28および31;または
(viii)配列番号1−28
のそれぞれを構成する各アミノ酸配列からなるペプチドに結合する抗体の抗体価の総和を測定すること含む、請求項15または請求項16に記載のがんの判定方法またはがん患者の予後予測方法。
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