JP6419693B2 - 腫瘍抗原ペプチド - Google Patents

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Description

本発明はがん治療並びに予防に有用な新規腫瘍抗原ペプチドに関する。
悪性腫瘍は日本人の死亡原因の第1位を占め年間約33万人が死亡しており、世界では年間約600万人ががんで死亡している。現在のがん治療においては、外科的切除、抗がん剤および放射線療法などが主に行われているが、かかる療法には再発やQOLの問題、さらにはこれらの治療法の身体的な負担と治療効果を考量した場合、デメリットが多いために治療を受けることが困難である場合等、患者の状態によって治療の選択肢が限られてしまうといった問題がある。このような中、がんに対する免疫療法(ワクチン療法)は従前から手術、化学療法、放射線療法につぐ第4の治療法として待望されおり、細胞傷害性T細胞(CTL)に認識される多くの腫瘍抗原およびそのペプチドが種々のタイプのがんより同定され、これらをペプチドワクチンとしてがん患者へ投与するがん治療法の臨床試験が進められている(非特許文献1)。
CTLはヒト白血球抗原(HLA)クラスI分子に拘束されるが、このアレルは、その構造的相同性およびペプチド結合モチーフ解析に基づき数百種類に分類されている。中でも日本人に頻度が高いアレルとして、HLA−A2、‐A24が知られており、これらのHLAを介してCTLを誘導するペプチドワクチン候補が同定されてきている。また個々の型としては少数派であるHLA−A3, −A11, −A31, −A33が共通のペプチド結合モチーフを有するHLA−A3スーパータイプに属することからHLA−A3スーパータイプ拘束性のペプチドワクチン候補についても同定が進められている。
ヘルパーT細胞は抗原提示細胞のHLAクラスII分子と抗原ペプチドとの複合体を認識して誘導、活性化される。活性化されたヘルパーT細胞はB細胞の増殖、分化を促進し、またCTLの活性化を補助する機能を有している。がんに対する免疫療法(ワクチン療法)において、HLAクラスII結合性の抗原ペプチドを介してCD4陽性T細胞(ヘルパーT細胞)を誘導すればCTLを効率的に誘導し、がんワクチンの効果が増強されると考えられ、CD4陽性T細胞を活性化するためのHLAクラスII分子に結合するペプチドが注目されている(非特許文献2)。
例えば、本発明者らはCTLを誘導するHLAクラスI分子に結合するペプチドとしてSrcチロシンキナーゼファミリーのひとつであるLck(p56Lck)に由来するペプチドを同定している。LckはT細胞の分化並びに機能に必須であることが知られているが、このタンパク質は大腸がん、小細胞肺がん、前立腺がんを含むいくつかの悪性腫瘍において異所性に発現しており、特に転移性病変部位に好発することが報告されている。このため、遠隔転移患者からのHLA−A24拘束性腫瘍反応性CTLが認識するLck由来ペプチドの同定や、HLA−A2またはHLA−A3スーパータイプ陽性の転移性がん患者に対するがんワクチンとして有用なペプチドの同定が行われてきた(特許文献1、2、非特許文献3〜5)。そして、同定されたLck由来ペプチドをHLA−A24陽性またはHLA−A2陽性がん患者に対してワクチンとして投与する臨床試験も実施してきている(非特許文献6)。しかしながら、これらの同定されたLck由来ペプチドのいくつかについては、これらのペプチドを認識するCD4陽性T細胞が患者の浸潤リンパ球より分離されることが報告されているが、今まで同定されているLck由来ペプチドはCD8陽性T細胞を誘導すべくHLAクラスI分子に最適化されたペプチドである(非特許文献7)。
がんペプチドワクチンの候補として、高いCD8陽性T細胞誘導能を有し、該ペプチドに対する抗体を産生しやすい新規エピトープを同定することが望まれている。
近年ではin silicoによるクラスIおよびクラスIIのエピトープ解析が可能となってきたが、候補に挙がるエピトープは膨大な種類であり、また、予測される結合能と実際のCD8、CD4陽性T細胞の誘導能は異なることが多く、in silicoにて得られるデータに基づいて有用なペプチドを見出すことは困難である。
例えば、SYFPEIHI、BIIMAS、NetMHCpan、およびEpiTOP等のエピトープ予測データベースを用いると、HLAクラスIIのエピトープの場合では、15merで495通、8−11merで164通の候補が得られ、HLAクラスIのエピトープの場合では、8−11merで2002通のペプチド候補が得られる。しかしながら、候補ペプチドを実際に試験すると、データベースより予測されるHLAとの結合スコアと試験により確認されるCD4、CD8陽性T細胞誘導能がかい離していることが多く、有用な活性を有するペプチドを見出すことは困難である。
いずれにせよin silicoによるエピトープの解析は今まで報告されているデータに基づき行われるため、HLAクラスIにおいては、12mer以上のペプチドについては十分なデータベースがなく、in silicoでの解析をすることができない。12mer以上のペプチドはその配列中に含まれる8〜11merのエピトープ候補を予測解析することは可能であるが、HLAクラスIに結合する際のプロセシングにより期待されるエピトープが結合できるようなプロセシングを受けるかどうかの予測は困難であり、未だ有用なペプチドを見いだすための実用に耐えるものではない。
WO01/011044 WO2009/022652
Yamada A et al., Cancer Sci 97:970-976,2006 Widenmeyer M et al., Int. J. Cancer 131(1): 140-149, 2012 Harashima N et al., Eur J Immunol 31: 323-332, 2001 Imai N et al., Int J Cancer 94: 237-242, 2001 Naito M et al., British Journal of Cancer 97: 1648 -1654, 2007 Mine T et al., Clin Cancer Res 10: 929-937, 2004 Amedei A et al., Cancer Immuno.l Immunother. 58: 1819-1830, 2009
本発明は、がん患者、特に転移性がん患者の治療並びに予防に有用ながん抗原ペプチドを提供することを目的とする。
本発明は、Lck由来の下記15merペプチドを提供する。
Lck33 KGRLLIRNGSEVRDP(配列番号1)
Lck374 DTLSCKIADFGLARL(配列番号2)
Lck487 FDYLRSVLEDFFTAT(配列番号3)
本発明はまた、本発明のペプチドをコードする核酸分子および該核酸分子を含むベクターを提供する。
本発明はまた、本発明のペプチドまたはベクターのいずれかを含む、がんを治療または予防するための医薬組成物、特に本発明のペプチドを含むがんワクチンである該医薬組成物を提供する。
本発明はさらに、がん患者より採取された末梢血単核細胞を本発明のペプチドまたはベクターと接触させることを含む、がん反応性細胞傷害性T細胞を誘導する方法を提供する。
本発明はさらに、がん患者より採取された末梢血単核細胞を本発明のペプチドまたはベクターと接触させることを含む、抗原提示細胞を調製する方法を提供する。
本発明のペプチドは高いCD8陽性T細胞誘導能示し、ペプチド特異的CTLを効率よく誘導、活性化することができる。さらに本発明のペプチドはまた液性免疫に認識されやすい。よって、本発明のペプチドはがんペプチドワクチンとして、特に患者の血清中の抗ペプチド抗体量を測定することにより投与ペプチドを決定するテーラーメイド型のペプチドワクチンとして特に好適に用いることができる。
配列番号1のペプチドで刺激したがん患者由来PBMCの、SW620細胞(Lck発現HLA−A2陽性結腸腺がん細胞株)並びにSQ−1細胞(Lck発現HLA−A11陽性肺がん細胞株)に対する細胞傷害活性を測定した結果を示す図。横軸にエフェクター細胞/標的細胞比を、縦軸に特異的放出量(細胞傷害活性)を示す(患者2、7)。 配列番号2のペプチドで刺激したがん患者由来PBMCの、SW620細胞(Lck発現HLA−A2陽性結腸腺がん細胞株)並びにSQ−1細胞(Lck発現HLA−A11陽性肺がん細胞株)に対する細胞傷害活性を測定した結果を示す図。横軸にエフェクター細胞/標的細胞比を、縦軸に特異的放出量(細胞傷害活性)を示す(患者2、5)。 配列番号3のペプチドで刺激したがん患者由来PBMCの、SW620細胞(Lck発現HLA−A2陽性結腸腺がん細胞株)並びにSQ−1細胞(Lck発現HLA−A11陽性肺がん細胞株)に対する細胞傷害活性を測定した結果を示す図。横軸にエフェクター細胞/標的細胞比を、縦軸に特異的放出量(細胞傷害活性)を示す(患者2、5)。 配列番号1のペプチドで刺激したがん患者由来PBMCの、SW620細胞(Lck発現HLA−A2陽性結腸腺がん細胞株)への細胞傷害活性に対す細胞傷害活性を示す抗HLAクラスI抗体および抗CD8抗体の影響を示す図。No Abは抗体なし、class Iは抗HLAクラスI抗体、CD8は抗CD8抗体を共存させて培養した場合それぞれの特異的放出量(細胞傷害活性)を示す(患者8)。 配列番号1のペプチドで刺激したがん患者由来PBMCの、SW620細胞(Lck発現HLA−A2陽性結腸腺がん細胞株)への細胞傷害活性に対する抗HLAクラスI抗体および抗CD8抗体の影響を示す図。No Abは抗体なし、class Iは抗HLAクラスI抗体、CD8は抗CD8抗体を共存させて培養した場合それぞれの特異的放出量(細胞傷害活性)を示す(患者9)。 配列番号1のペプチドで刺激したがん患者由来PBMCの、SW620細胞(Lck発現HLA−A2陽性結腸腺がん細胞株)への細胞傷害活性に対する抗HLAクラスI抗体および抗CD8抗体の影響を示す図。No Abは抗体なし、class Iは抗HLAクラスI抗体、CD8は抗CD8抗体を共存させて培養した場合それぞれの特異的放出量(細胞傷害活性)を示す(患者10)。 配列番号2のペプチドで刺激したがん患者由来PBMCの、SW620細胞(Lck発現HLA−A2陽性結腸腺がん細胞株)への細胞傷害活性に対する抗HLAクラスI抗体および抗CD8抗体の影響を示す図。No Abは抗体なし、class Iは抗HLAクラスI抗体、CD8は抗CD8抗体を共存させて培養した場合それぞれの特異的放出量(細胞傷害活性)を示す(患者8)。 配列番号2のペプチドで刺激したがん患者由来PBMCの、SW620細胞(Lck発現HLA−A2陽性結腸腺がん細胞株)への細胞傷害活性に対する抗HLAクラスI抗体および抗CD8抗体の影響を示す図。No Abは抗体なし、class Iは抗HLAクラスI抗体、CD8は抗CD8抗体を共存させて培養した場合それぞれの特異的放出量(細胞傷害活性)を示す(患者5)。 配列番号2のペプチドで刺激したがん患者由来PBMCの、SW620細胞(Lck発現HLA−A2陽性結腸腺がん細胞株)への細胞傷害活性に対する抗HLAクラスI抗体および抗CD8抗体の影響を示す図。No Abは抗体なし、class Iは抗HLAクラスI抗体、CD8は抗CD8抗体を共存させて培養した場合それぞれの特異的放出量(細胞傷害活性)を示す(患者10)。 配列番号1のペプチドで刺激したがん患者由来PBMCの、SW620細胞(Lck発現HLA−A2陽性結腸腺がん細胞株)への細胞傷害活性に対する抗HLAクラスI抗体および抗CD8抗体の影響を示す図。No Abは抗体なし、class Iは抗HLAクラスI抗体、CD8は抗CD8抗体を共存させて培養した場合それぞれの特異的放出量(細胞傷害活性)を示す(患者8)。 配列番号1のペプチドで刺激したがん患者由来PBMCの、SW620細胞(Lck発現HLA−A2陽性結腸腺がん細胞株)への細胞傷害活性に対する抗HLAクラスI抗体および抗CD8抗体の影響を示す図。No Abは抗体なし、class Iは抗HLAクラスI抗体、CD8は抗CD8抗体を共存させて培養した場合それぞれの特異的放出量(細胞傷害活性)を示す(患者5)。 配列番号1のペプチドで刺激したがん患者由来PBMCの、SW620細胞(Lck発現HLA−A2陽性結腸腺がん細胞株)への細胞傷害活性に対する抗HLAクラスI抗体および抗CD8抗体の影響を示す図。No Abは抗体なし、class Iは抗HLAクラスI抗体、CD8は抗CD8抗体を共存させて培養した場合それぞれの特異的放出量(細胞傷害活性)を示す(患者10)。 配列番号2(Lck374−833)のペプチドで刺激したがん患者由来PBMCの、Lck375−838を提示するT2細胞に対する細胞傷害活性を示す図(患者757)。 配列番号2(Lck374−833)のペプチドで刺激したがん患者由来PBMCの、Lck377−834を提示するT2細胞に対する細胞傷害活性を示す図(患者757)。 配列番号3(Lck487−501)のペプチドで刺激したがん患者由来PBMCの、Lck489−497を提示するT2細胞に対する細胞傷害活性を示す図(患者728)。 配列番号2(Lck374−833)または配列番号3(Lck487−501)のペプチドで刺激したがん患者由来PBMCのペプチド特異的IFN−γ産生能を示す図。 配列番号2(Lck374−833)または配列番号3(Lck487−501)のペプチドで刺激したがん患者由来PBMCのペプチド特異的IFN−γ産生能を示す図。 配列番号2(Lck374−833)または配列番号3(Lck487−501)のペプチドで刺激したがん患者由来PBMCのペプチド特異的ペプチド特異的IFN−γ産生能を示す図。 配列番号2(Lck374−833)または配列番号3(Lck487−501)のペプチドで刺激したがん患者由来PBMCのペプチド特異的ペプチド特異的IFN−γ産生能を示す図。 配列番号2(Lck374−833)または配列番号3(Lck487−501)のペプチドで刺激したがん患者由来PBMCのペプチド特異的IFN−γ産生能を示す図。 配列番号2(Lck374−833)または配列番号3(Lck487−501)のペプチドで刺激したがん患者由来PBMCのペプチド特異的IFN−γ産生能を示す図。
本発明のペプチドは、がん抗原として同定されたLckのアミノ酸配列の一部よりなるペプチドである。Lckのアミノ酸配列は、Genebank Accession No. X13529にて開示されている。
本発明のペプチドはCD8陽性T細胞を誘導することができる。ペプチドがCD8陽性T細胞を誘導するか否かは、例えば末梢血単核細胞(PBMC)をペプチドで刺激し、その後抗CD8抗体にて細胞を染色して染色された細胞の比率を調べればよい。同時に抗IFN−γ抗体にて染色してその染色細胞の割合を調べることによって、ペプチドによって細胞傷害活性の誘導が生じたことを確認できる。
本発明においてペプチド特異的CTLが誘導されたかどうかは、例えば、末梢血単核細胞(PBMC)をペプチドで刺激し、そのペプチド刺激PBMCが対応ペプチドをパルスした抗原提示細胞に反応してサイトカイン(例えばIFN−γ)を産生するかをELISA法やELISPOT(Enzyme-Linked Immuno Spot)法等により測定して調べることができる。また、51Cr放出測定法等により、誘導されたCTLの細胞傷害活性を確認することができる。
ペプチドが「液性免疫に認識される」あるいは、「抗体陽性」とは、そのペプチドに特異的なIgGが生体内に存在すること、つまりはペプチド特異的IgGががん患者の血漿から検出されることを意味する。細胞性免疫と液性免疫の両方に認識されるペプチドは、免疫原性が高くCTL誘導能に優れると期待されるため、本発明のペプチドとして好ましい。血漿中の特異的IgGは、常套的なELISA法等によって測定することができる。
本発明のペプチドは、通常のペプチド合成により製造することができる。そのような方法として、例えば、Peptide Synthesis, Interscience, New York,1966; The Proteins, Vol2, Academic Press Inc.,New York, 1976;ペプチド合成、丸善(株)、1975;ペプチド合成の基礎と実験、丸善(株)、1985;医薬品の開発続 第十四巻・ペプチド合成、広川書店、1991)などに記載されている方法が挙げられる。
本発明のペプチドは、がん患者においてがん細胞を傷害するCTLを効率的に誘導し増殖させることができる。即ち本発明のペプチドは、がん反応性CTLを誘導するため、およびがんに対する医薬組成物を製造するためなどに使用することができ、がんの治療または予防において有用である。
本発明のペプチドはがん細胞を傷害するCTLを効率的に誘導し、増殖させることができる。対象となるがんとしては大腸がん、小細胞肺がん、前立腺がん等が例示されるがこれらに限定されない。また、上記のとおり、Lckペプチドが転移性病変部位に好発することから、本発明のペプチドは特に転移性がんの制御に有用であると考えられる。本発明のペプチドはHLA−A2陽性がん患者由来のPBMCからのペプチド反応性CTLの誘導能を有していることを確認しており、特にHLA−A2陽性対象のがんの治療並びに予防に好適に用いられる。
本発明の医薬組成物は、本発明のペプチドを1または2種類以上含有し、その含有ペプチドに特異的ながん反応性CTLを誘導することにより治療効果を発揮する。本発明の医薬組成物は、がんワクチンとして使用することができる。がん患者のCTLは相異なるがん抗原ペプチドを認識する細胞の集合であることから、複数種類のペプチドを組み合わせて使用するとさらに効果的である。本発明のペプチド以外のがん抗原ペプチドと組み合わせても良い。本発明の医薬組成物は、免疫応答が効果的に成立するように、従来からワクチン投与に用いられることが知られているアジュバントとともに投与することもできる。また、リポソーム製剤、直径数μmのビーズに結合させた粒子状製剤、リピッドを結合させた製剤などにしてもよい。
投与方法は、例えば皮内投与または皮下投与などである。投与量は、疾患の状態、個々の患者の年齢、体重等により適宜調整することができるが、通常医薬組成物中の本発明のペプチドの量として0.0001mg〜1000mg、好ましくは0.0001mg〜100mg、より好ましくは0.001mg〜10mgである。これを数日、数週または数ヶ月に1回、1〜3年間継続して投与することが好ましい。
本発明の核酸分子は、本発明のペプチドを提供できるものである。本発明の核酸分子を含むベクターを抗原提示細胞に導入し発現させると、本発明のペプチドが産生され、HLA分子と複合体を形成して細胞表面に提示される。この抗原提示細胞はペプチド特異的がん反応性CTLを効率的に増殖、活性化させることができる。
本発明のベクターは、患者に投与して患者体内で本発明のペプチドを発現させるために使用できる。また、本発明のベクターを体外で適当な細胞、例えば患者由来の樹状細胞に導入した後に、その細胞を患者体内に戻しても良い。これらの方法は当業界において周知である(Hrouda D, Dalgleish AG. Gene therapy for prostate cancer. Gene Ther 3: 845-52, 1996)。
本発明のベクターとしては、各種プラスミドおよびウィルスベクター、例えばアデノウィルス、アデノ関連ウィルス、レトロウィルス、ワクシニアウィルス等が挙げられる(Liu M, Acres B, Balloul JM, Bizouarne N, Paul S, Slos P, Squiban P. Gene-based vaccines and immunotherapeutics. Proc Natl Acad Sci U S A 101 Suppl, 14567-71, 2004)。ベクターの調製方法は当業界にて周知である(Molecular Cloning: A Laboraroy Manual, 2nd edn. New York, Cold Spring Harbor Laboratory)。
本発明のベクターを、がんを治療または予防するための医薬組成物として患者に投与する場合、その投与量は、疾患の状態、個々の患者の年齢、体重等により変化するが、DNA含量として0.1μg〜100mg、好ましくは1μg〜50mgである。投与方法には、静脈注射、皮下投与、皮内投与等が挙げられる。
本発明のCTL誘導方法は、がん反応性CTLを提供するものである。本発明において「がん反応性」とは、標的がん細胞上のがん抗原ペプチドとHLA分子との複合体を認識し、その細胞を傷害しうる性質を有することを意味する。CTLの誘導は、例えば、がん患者から採取されたPBMCをin vitroで本発明のペプチドの存在下培養することにより行う。本発明の方法により誘導されるCTLは、養子免疫療法、すなわちPBMCを採取した患者体内に誘導したCTLを戻してがん細胞を傷害するがん治療法に有用である。つまり本発明の方法により誘導されるCTLは、がん、特に転移性がんを治療または予防、あるいは転移を予防するための医薬として使用可能である。
本発明のCTL誘導キットは、前記CTL誘導方法を実施するために用いられる。本発明のキットは、本発明のペプチドを1または2種類以上含み、さらに適当な緩衝液や培地などを含んでもよい。
本発明の抗原提示細胞調製方法は、がん細胞を傷害するCTLを誘導するための抗原提示細胞を提供するものである。抗原提示細胞の調製は、例えば、がん患者由来の抗原提示能を有する細胞に本発明のペプチドをパルスして取り込ませるか、あるいはそのような細胞に本発明のベクターを周知の方法により導入し発現させることにより行う。抗原提示能を有する細胞は例えば樹状細胞であり、患者より採取されたPBMCから培養プレート接着細胞を分離し、IL−4およびGM−CSFの存在下で約1週間培養することにより調製することができる。本発明の方法により調製された抗原提示細胞は、その細胞表面に提示するペプチドとHLA分子との複合体を特異的に認識するCTLを誘導することができ、患者に投与されると患者体内でがん反応性CTLの誘導を促進することができる。つまり本発明の方法により調製される抗原提示細胞は、がんを処置または予防するための医薬として使用可能である。
本発明の抗原提示細胞調製キットは、前記抗原提示細胞調製方法を行うために用いられる。本発明のキットは、本発明のペプチドを1または2種類以上含み、さらに適当な緩衝液や培地などを含むこともできる。
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はいかなる意味においてもこれら実施例により制限されるものではない。
がん患者血漿中の抗ペプチドIgG抗体の測定
本発明者らはHLA−A2結合性ならびにHLA−DR結合性を指標にin silicoスクリーニングを行い、94種類のペプチドを特定し、これらのペプチドをペプチド純度70%以上となるよう作製した。
患者血漿32例中(肺がん4例、膀胱がん3例、肝臓がん4例、前立腺がん4例、乳がん3例、膵臓がん3例、胆道がん3例、大腸がん3例、胃がん3例、食道がん2例)の、各被検ペプチドに対する抗ペプチドIgG抗体をLuminex法(Komatsu N, Shichijo S, Nakagawa M, Itoh K., Scand J Clin Invest 2004;64:1-11.)にて測定した。なお、本明細書において各ペプチドの名称は、当該ペプチドのC末端アミノ酸のLckタンパク質の配列上の位置を示す数値をLckのあとに続けたものである。また、明細書の一部においてはC末端アミノ酸の位置とN末端アミノ酸の位置をLckのあとに続きけた標記としている。
各患者の末梢血より得た希釈血清(100μL)と被検Lck由来ペプチドをコートしたカラーコードビーズ(Luminex Corp (Austin, TX, USA)(5μL)を96ウェルフィルタープレート(MABVN1250, Millipore Corp., Bedford, MA, USA)のウェルに投入し、プレートをプレートシェーカー上にて室温で1.5時間振とうしながらインキュベートした。1.5時間後、プレートのウェル内のビーズをTween−PBSにて洗浄し、ビオチン化ヤギ抗ヒトIgG(BA−3080(VECTOR LAB, CA, USA)(100μL)と添加してプレートシェーカー上で振とうしながら1時間室温で反応させた。プレート中のビーズを洗浄し、ストレプトアビジン標識PE(100μL)(S−866,Invitrogen Detection Technologies, Eugene, Oregon, USA)を加え、プレートシェーカー上で振とうしながら30分間室温で反応させた。ビーズを3回洗浄し、続いてTween−PBS(100μL)を各ウェルに添加し、100μLの試料をLuminex(商標)で測定し、測定値(蛍光強度:FIU)が50より大きい値である場合を抗体陽性とした。全32例を測定した結果、抗体陽性率が比較的高かった17種のペプドにつき、がん患者において当該ペプチドに対する抗体を産生しやすいと判断し、以下の試験に用いた。試験に用いた17ペプチドを下記表1に示す。表中IA2としたのはin silicoスクリーニングにおいてHLA−A2結合性が示唆されたペプチドを、IIDRとしたのは同HLA−DR結合性が示唆されたペプチドを意味する。
Figure 0006419693
CD8(+)INF−γ(+)細胞誘導
実施例1でがん患者において抗ペプチド抗体を産生しやすいことが分かった17ペプチドを、純度95%以上で合成した。ペプチドはDMSO溶液として培地へ添加した。各ペプチドのCD8陽性CFN−γ陽性T細胞の誘導能をIntracellular cytokine stainingにより検討した。まず、凍結保存していたHLA−A2陽性のがん患者由来のPBMCを解凍し、10μg/mLのペプチドを含む培養液にて5日間培養した(Day0−5)。次いでDay5、8、11および14に10μg/mLのペプチドを含む培養液で培地交換を行い、細胞をペプチドで刺激した。
各患者のHLAならびに癌腫を表2に示す。
Figure 0006419693
細胞の刺激終了後、培養液に10μg/mLのペプチドおよびGoligiStop(BD Bioscience、細胞外分泌物(IFN−γ等)の細胞外分泌を抑制して細胞内に留めさせる試薬)ならびにBrefeldin A(Sigma−Aldrich) を含む培養液で5時間培養後、細胞を洗浄し、蛍光標識された抗CD8抗体で4℃、20分間の染色を行った。染色後、細胞を洗浄した後に、Cytoperm/Cytofix(BD Bioscience、細胞固定液)で細胞を固定ならびに細胞膜の透過処理を4℃、20分間で行った。その後に、蛍光標識した抗IFN‐γ抗体で細胞内にあるIFN−γを染色した。
染色された細胞をFACS Canto II(BD Bioscience)で測定し、PBMC中のCD8およびIFN−γ陽性細胞の割合を算出した。従来よりペプチド特異的CTL誘導能が知られ、がんペプチドワクチンとして用いられる既存のLck由来ペプチドであるLck422、ならびにCEFペプチドプール(CEF Peptide Pool Cat#3615-1 (MABTECH))を用いて同じ試験を行った。陰性コントロールとしてはペプチドを添加しないで同じ試験を行った(DMSO)。IFN−γ陽性の細胞は、ペプチドによって細胞傷害活性が誘導された細胞を見ていることになる。結果を表3に示す。
表3に示されるように、配列番号1〜3が優れたCD8陽性T細胞の誘導能を有することが分かった。
Figure 0006419693
細胞傷害活性の検討
細胞傷害活性を検討するにあたり、PBMCからのペプチド反応性CTLの誘導は既報の方法に一部変更を加えて検出した(Hida N, Maeda Y, Katagiri K, Takasu H, Harada M, Itoh K., Cancer Immunol Immunother 2002;51:219-28.)。具体的にはU底96ウェルマイクロカルチャープレート(Nunc, Roskilde, Denmark)において各ペプチド(10μg/mL)を含む培養液200μLを用いて、がん患者由来のPBMC(1 x 10 細胞/ウェル)を2ウェル一組にて培養した。患者はいずれもHLA−A2陽性の前立腺がん患者である。
用いた培養液は45% RPMI 1640、45パーセント AIM−V培地(Gibco−BRL, Gaithersburg, MD)、10パーセント FCS、20 U/mL インターロイキン‐2(IL−2)および0.1mM MEM 非必須アミノ酸溶液(Gibco−BRL)より構成されている。培養は、3または4日毎に培養液の半分を除去して対応ペプチド(20μg/mL)およびIL−2(20 U/mL)を含む新しい培養液と交換して行った。そして培養15日目に細胞傷害活性の測定にこれらの細胞を用いた。
細胞傷害活性に用いる標的細胞は、Lckを発現するHLA−A11陽性肺がん細胞株のSQ−1およびHLA−A2陽性結腸腺がん細胞株のSW620を用いた。SQ−1は10%FCS含有RPMI1640(Invitrogen)で培養し、SW620は10%FCS含有EMEM(GIBCO)で培養した後に測定に用いた。
ペプチド刺激PBMC(エフェクター細胞)の細胞傷害活性の測定は、各標的細胞に対する51Cr放出測定法により測定した。まず、丸底96ウェルプレートにおいて各ウェルにつき2000個の51Crで標識した標的細胞を、エフェクター細胞/標的細胞の比率を変えて6時間で共培養し、培養上清中の放射線量を測定することで、細胞傷害の結果、細胞外に放出された特異的51Cr放出を以下の式により計算した。
特異的放出=(被験試料の放出‐自然放出)/(最大放出‐自然放出)X100
エフェクター細胞なしで51Cr標識細胞を培養した場合の上清中の51Cr量が自然放出であり、51Cr標識細胞を1% Triton X(Wako Pure Chemical Industries, Osaka, Japan)を添加して培養した場合の上清中の51Cr量が最大放出である。特異的放出は、傷害された標的細胞の割合、すなわち細胞傷害活性を示す。結果を図1〜3に示す。
配列番号1〜3の本発明のペプチド刺激により誘導されたT細胞は、LckHLA−A2細胞株であるSW620を傷害したが、LckHLA−A24/A11細胞であるSQ−1細胞を傷害しなかった。
配列番号1〜3のペプチドによるCTLの誘導が、HLAクラスI拘束性であるかどうかを確認するために、細胞傷害活性の測定の際に10μg/mLの抗‐HLA‐クラスI(W6/32:マウスIgG2a)または抗‐CD8(L243:マウスIgG2a)抗体をエフェクター細胞と51Cr標識した標的細胞の共培養時にウェルへ添加して、特異的放出量すなわち細胞傷害活性に与える影響も測定した。結果を図4から6に示す。
いずれの抗体を共存させた場合にも、51Crの放出量が抑制され、本願発明のペプチドがHLA−A2拘束性の細胞傷害活性を示すことが明らかとなった。
部分ペプチドを提示する細胞に対する細胞傷害活性
配列番号2または3のペプチドにより誘導したCTLの、その部分ペプチドを提示したT2細胞に対する細胞傷害活性を調べた。
ペプチドによるCTL誘導ならびに細胞傷害活性の測定は実施例3に示す方法に従って行った。
PBMCとしては患者番号757および728の患者(いずれもHLA−A2、A24陽性の大腸がん患者)から得たPBMCを用いた。実施例3と同じスケジュールで配列番号2または3のペプチドで刺激して細胞傷害性T細胞を誘導した。
細胞傷害活性の測定に用いる標的細胞として、T2細胞にHLA−A2モチーフとして知られるLck375−383(配列番号19)、Lck377−384(配列番号20)またはLck487−501(配列番号21)でパルスした細胞を用いた。また比較対象としてHLA−A2に結合するHIV由来ペプチド(Gag77 SLYNTVATL:配列番号22)でパルスしたT2細胞を用いた。T2細胞は細胞表面に発現するHLA分子にペプチド断片を結合させる過程で必要なTAP(transporter associated with antigen processing)分子が欠損している。T2細胞表面には通常ペプチドを結合しない形でHLA分子が発現されている。この細胞に、in vitroでペプチドをパルスすると、HLA―A2結合モチーフを有するペプチドが、空のHLA分子に結合する。すなわち、本試験で標的細胞として用いた細胞は、Lck375−383、Lck377−384またはLck487−501がHLA−A2に結合して表面に提示された細胞である。
結果を図7に示す。図7に示されるようにHLA−A2陽性患者由来のPBMCにおいてLck374−388(15残基)によって誘導されたT細胞がこの配列に含まれるHLAクラスI結合ペプチドLck375−383またはLck377−384(それぞれ9残基および8残基)を提示したT2細胞に対して傷害活性を示した。すなわち、前者のペプチドの刺激によって後者のペプチドを認識する細胞傷害性T細胞が誘導された。Lck487−501(15残基)も同様に、Lck489−497(9残基アミノ酸からなるペプチド)を提示したT2細胞に対して傷害活性を示すことを確認した。
マウス腫瘍モデル由来脾臓細胞のペプチド特異的細胞傷害活性の誘導
BALB/cマウスにLckを発現する腫瘍細胞株Colon26を移植した。コントロール群としては腫瘍移植を行わないマウスを用いた。
移植後36日目に腫瘍移植群(n=8)とコントロール群(n=8)(腫瘍移植無し)から脾臓を摘出した。両群から得られた脾臓細胞を10%FBS+0.1%2−メルカプトエタノール+1%ペニシリン・ストレプトマイシン/RPMI1640培地で調整し、Lck374−388(配列番号2)またはLck487−501(配列番号3)を終濃度10μg/mlとなるよう添加して3日間培養した。Mock群は各細胞を培地のみで同様に培養した。
得られた細胞のペプチド特異的CTL活性は細胞のIFN−γ産生能をELISPOT法にて測定することにより評価した。ELISPOT法はIFN−γELISPOTキット(MABTECH)を用いて実施した。
3日間の細胞培養終了後、細胞をカウントし、10%FBS+0.1%2−メルカプトエタノール+1%ペニシリン・ストレプトマイシン/RPMI1640培地中で調整した。
抗マウスIFN−γモノクローナル抗体(mAb-AN 18 Cat#3321-3-1000, MABTECH)を固相化したニトロセルロースメンブレンプレート(Multi Screen HTS Filter Plate Ca#MSHAS4510, Millipore)に、2×10/wellとなるよう調整した細胞を添加した。
ペプチドを10−20mg/mlとなるよう調製したプレートへ添加した。Mock群には何も添加しなかった。プレートを37℃、5%COの条件下で16時間以上培養した。
培養終了後、細胞を洗浄した。キット製造元の説明にしたがい、ビオチン結合抗マウスIFN−γ mAb、ストレプトアビジン−ALP、およびBCIP/NBT基質を用いてスポットを可視化した。スポット数は、ELISPOTリーダー(CTL-ImmunoSpot, Cellular Technology, Ltd.)を用いて計測した。各群のMockを1としてスポット数の相対値を比較した。結果を下記表に示す
Figure 0006419693
表4より、腫瘍移植群はコントロール群と比してIFN−γ産生細胞の増加が確認された。腫瘍の増殖により、生体内においても両ペプチドに対する細胞性免疫が活性化していることが示唆される。
癌患者由来PBMCに対する各ペプチドのCTL誘導能の評価
癌患者由来PBMCを各ペプチドで刺激した場合のCTL誘導能を、各細胞からのIFN−γの放出をELISPOT法にて測定することにより確認した。
ELISPOT法はIFN−γELISPOTキット(mAb-1-D1K、Cat#3420-3-1000, MABTECH)を用いて行った。
各患者の末梢血リンパ球(PBMC)を10%AB型ヒト血清(Gemini Biosciences)を添加したIMDM(Iscove's Modified Dulbecco's Medium, Gibco)で調整し、5×10/wellとなるよう96穴丸底プレートへ添加した。各ウエルへLck374−388(配列番号2)またはLck487−501(配列番号3)ペプチドを10−20μg/mlとなるよう添加し、37℃、5%COの条件下で4日間培養した。Mock群には何も添加せずに同様に培養した。
一方、ELISPOT用ニトロセルロースメンブレンプレート(Multi Screen HTS Filter Plate Ca#MSHAS4510, Millipore)に抗ヒトIFN−γモノクローナル抗体を固相化し、37℃、1時間ブロッキングした。
培養後のPBMCをカウントし、新たな10% AB型ヒト血清/IMDM中に懸濁し、5×10/wellとなるよう抗ヒトIFN−γ抗体を固相化したニトロセルロースメンブレンプレートへ添加した。ここへペプチドを10−20μg/ml添加し、16時間以上、37℃、5%の条件下で培養した。
培養終了後、細胞を洗浄した。洗浄後、キット製造元の説明にしたがい、ビオチン結合抗ヒトIFN−γmAb、ストレプトアビジン−ALP、およびBCIP/NBT基質を用いてIFN−γが結合したスポットを可視化した。各フィルターの画像を撮影し、スポット数を計測した。スポット数は、ELISPOTリーダー(CTL-ImmunoSpot, Cellular Technology, Ltd.)を用いて計測した。
がん患者のHLAならびに罹患しているがん種を下記表5に示す:
Figure 0006419693
ELISPOTを用いたT細胞応答の結果を図8に示す。図中の数値はスポット数を示す。配列番号2または3のペプチドで癌患者末梢血リンパ球を刺激することによってペプチド特異的にIFN−γを産生する細胞傷害性細胞が誘導された。

Claims (11)

  1. 配列番号1〜3いずれかに記載のペプチド。
  2. 配列番号1〜3いずれかに記載のペプチドをコードする核酸分子。
  3. 請求項2記載の核酸分子を含むベクター。
  4. 請求項1に記載のペプチドまたは請求項3に記載のベクターの少なくとも1種を含む、細胞傷害性T細胞を誘導するための薬剤。
  5. 請求項4に記載の細胞傷害性T細胞がHLA−A2拘束性T細胞である、薬剤。
  6. がん患者より採取された末梢血単核細胞を請求項1記載のペプチドまたは請求項3記載のベクターの少なくとも1種と接触させることを含む、がん反応性細胞傷害性T細胞を誘導する方法。
  7. がん患者より採取された末梢血単核細胞を請求項1記載のペプチドまたは請求項3記載のベクターの少なくとも1種と接触させることを含む、抗原提示細胞を調製する方法。
  8. がん患者がHLA−A2陽性がん患者である、請求項6または7記載の方法。
  9. 請求項1に記載のペプチドまたは請求項3に記載のベクターの少なくとも1種を含む、がんを治療または予防するための医薬組成物。
  10. がんワクチンである、請求項9記載の医薬組成物。
  11. HLA−A2陽性がん患者の治療またはHLA−A2陽性対象におけるがんの予防のためのものである、請求項9または10に記載の医薬組成物。
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