以下、図面を参照して、本発明に係るモータ用電圧変換制御装置の実施の形態を説明する。なお、各図において同一又は相当する要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
本実施の形態では、本発明に係るモータ用電圧変換制御装置を、2個のモータを有する2モータシステムの車両(例えば、ハイブリッド車両、電気自動車、燃料電池車両)のモータECU[Electronic Control Unit]における昇圧制御機能に適用する。本実施の形態に係る2モータシステムでは、昇圧コンバータによってバッテリの直流電圧を昇圧してモータの駆動に必要となる直流高電圧に変換し、その直流高電圧が供給される各モータのインバータによって直流電力を各モータの三相交流電力にそれぞれ変換して、各三相交流電力によって各モータをそれぞれ駆動する。本実施の形態には、昇圧後の直流高電圧をサンプリングするタイミングの設定方法が異なる3つの形態があり、第1の実施の形態が基本となる形態であり、第2及び第3の実施の形態が第1の実施の形態に追加機能を加えた形態である。
図1〜図4を参照して、第1の実施の形態に係る2モータシステム1について説明する。図1は、第1の実施の形態に係る2モータシステムの構成を示すブロック図である。図2は、各モータの目標電圧の算出方法の説明図である。図3は、2モータシステムでの目標電圧の決定方法の説明図であり、(a)が決定方法の流れであり、(b)が2個のモータについてのシステム電圧とシステム損失とのマップの一例である。図4は、第1の実施の形態に係る直流高電圧のサンプリングタイミングの説明図であり、(a)が直流高電圧が高い場合及び低い場合とモータ誘起電圧との関係図であり、(b)がインバータ制御でのキャリア信号とデューティ信号であり、(c)がインバータ制御でのゲート信号であり、(d)がモータ目標電流とモータ実電流であり、(e)が直流高電圧とサンプリングタイミング要求信号である。
2モータシステム1は、バッテリ10、フィルタコンデンサ11、昇圧コンバータ12、平滑コンデンサ13、第1インバータ14、第2インバータ15、第1モータ16、第2モータ17及びモータECU18を備えている。なお、本実施の形態では、バッテリ10が請求の範囲に記載する電源に相当し、昇圧コンバータ12が請求の範囲に記載する電圧変換回路に相当し、平滑コンデンサ13が請求の範囲に記載するコンデンサに相当し、第1インバータ14及び第2インバータ15が請求の範囲に記載するモータ制御回路に相当し、第1モータ16及び第2モータ17が請求の範囲に記載する複数個のモータに相当する。
2モータシステム1では、走行制御ECU19からの各モータ16,17に対するモータトルク指令DT1,DT2に応じて、バッテリ10の直流電力を各モータ16,17に対する三相交流電力にそれぞれ変換し、その各三相交流電力をモータ16,17にそれぞれ供給する。そのために、モータECU18では、各モータ16,17の駆動に必要となる目標電圧VHT1,VHT2の中からシステムとしての目標電圧VHTを選択し、バッテリ10の直流低電圧VLからシステムとしての目標電圧VHT(直流高電圧VH)まで昇圧するために昇圧コンバータ12に対する昇圧制御を行うとともに、直流電力から各モータ16,17に対するモータトルク指令DT1,DT2を発生させるために必要な三相交流電力にそれぞれ変換するために各インバータ14,15に対するインバータ制御をそれぞれ行う。特に、モータECU18では、インバータ制御側でのスイッチングノイズの影響によるモータ電流の脈動によって引き起こされる直流高電圧VHの脈動がある場合でも安定した昇圧制御を行うために、各モータ16,17のインバータ制御のゲート信号GS1,GS2の中からシステムの目標電圧VHTとして選択されなかった方のモータのインバータ制御のゲート信号を選択し、その選択したゲート信号の連続する切り替えタイミング(連続する立ち上がりタイミングと立ち下がりタイミング)の直流高電圧(平滑コンデンサ13の両端電圧)VHの平均値VHAを算出してサンプリングしておき、VHセンササンプリングタイミング要求信号DS毎にその要求信号DS直前のゲート信号GSの連続する立ち上がりタイミングと立ち下がりタイミングの直流高電圧の平均値VHAを用いて昇圧制御を行う。
なお、走行制御ECU19は、車両の走行を制御するためのECUである。走行制御ECU19では、運転者あるいは自動運転によるアクセル要求やブレーキ要求に応じて、そのときの車両の走行状態に基づいて第1モータ16で必要となる目標のモータトルク及び第2モータで必要となる目標のモータトルクを算出し、その目標の各モータトルクをモータトルク指令DT1,DT2としてモータECU18に出力している。
バッテリ10は、直流電源であり、二次電池である。フィルタコンデンサ11は、バッテリ10と昇圧コンバータ12との間に設けられ、バッテリ10に並列に接続される。フィルタコンデンサ11では、バッテリ10の直流電圧を平滑化し、その直流電圧の電荷を蓄電する。このフィルタコンデンサ11の両端電圧が、直流低電圧VLである。なお、フィルタコンデンサ11は、スイッチングによる脈動電流をバッテリ10側に流さないようにするためのコンデンサである。
昇圧コンバータ12は、リアクトル12a、スイッチング素子12b,12c、還流ダイオード12d,12eからなる。リアクトル12aの一端には、フィルタコンデンサ11の高電圧側が接続される。リアクトル12aの他端には、スイッチング素子12bとスイッチング素子12cの接続点が接続される。ILセンサ12fでは、このリアクトル12aに流れる電流IL(アナログ値)を検出し、その検出した電流ILをモータECU18に出力する。スイッチング素子12bとスイッチング素子12cとは直列に接続され、スイッチング素子12bのコレクタに平滑コンデンサ13の高電圧側が接続され、スイッチング素子12cのエミッタに平滑コンデンサ13の低電圧側が接続される。スイッチング素子12b,12cには、還流ダイオード12d,12eがそれぞれ逆並列接続される。このような回路構成によって、昇圧コンバータ12では、モータECU18から出力されるスイッチング素子12b,12cに対する各ゲート信号に基づいてスイッチング素子12b,12cがそれぞれスイッチング制御され、フィルタコンデンサ11の直流低電圧VLを直流高電圧VHに変換する。
平滑コンデンサ13は、昇圧コンバータ12と第1インバータ14及び第2インバータ15との間に設けられる。平滑コンデンサ13は、昇圧コンバータ12で昇圧された直流電圧を平滑化し、その直流電圧の電荷を蓄電する。この平滑コンデンサ13の両端電圧が、直流高電圧VHである。VHセンサ13aでは、この平滑コンデンサ13の両端電圧(アナログ値)VHを検出し、その検出した電圧をモータECU18に出力する。
第1インバータ14は、2モータシステムにおける第1モータ16を駆動するために、直流電力を三相交流電力に変換するインバータである。第2インバータ15は、2モータシステムにおける第2モータ17を駆動するために、直流電力を三相交流電力に変換するインバータである。第1インバータ14と第2インバータ15は、同様の回路であり、直流電力を三相交流電力に変換する従来の一般的なインバータ回路であるので、詳細な回路構成については説明を省略する。第1インバータ14では、平滑コンデンサ13の直流高電圧VHが供給され、モータECU18から出力される第1モータ16の各相(U相、V相、W相)に対応したスイッチング素子に対する各ゲート信号GS1に基づいて各相のスイッチング素子がそれぞれスイッチング制御され、直流電力を三相交流電力に変換し、第1モータ16に供給する。同様に、第2インバータ15でも、モータECU18から出力される第2モータ17の各相に対応した各ゲート信号GS2に基づいて、直流電力を三相交流電力に変換し、第2モータ17に供給する。
第1モータ16及び第2モータ17は、交流モータであり、車両の駆動源である。第1モータ16は、第1インバータ14からの三相交流電力が各相のコイル(図示せず)に供給され、回転駆動する。第2モータ17は、第2インバータ15からの三相交流電力が各相のコイル(図示せず)に供給され、回転駆動する。なお、2個のモータのうち一方のモータがジェネレータあるいはモータジェネレータでもよいし、2個共にモータジェネレータでもよい。
モータECU18は、マイクロコンピュータ(マイコン)や各種メモリ等からなる電子制御ユニットであり、モータ制御を行う。特に、モータECU18は、インバータ14,15に対する制御を行うインバータ制御機能(第1モータ制御18a、第2モータ制御18b、第1モータゲート生成18c、第2モータゲート生成18d)と昇圧コンバータ12に対する制御を行う昇圧制御機能(第1モータ目標電圧算出18e、第2モータ目標電圧算出18f、電圧制御18g、電流制御18h、ゲート生成18i、ゲート選択&目標電圧選択18j、VHセンササンプリングタイミング発生器18k、VHセンサデータ更新&2値平均化処理18l)を有している。インバータ制御機能と昇圧制御機能とを同じマイコンで構成してもよいし、別々のマイコンで構成してもよい。なお、第1の実施の形態では、第1モータ目標電圧算出18e及び第2モータ目標電圧算出18fが請求の範囲に記載する目標電圧設定手段に相当し、ゲート選択&目標電圧選択18jが請求の範囲に記載する選択手段に相当し、VHセンササンプリングタイミング発生器18kが請求の範囲に記載するサンプリングタイミング発生手段に相当し、電圧制御18gが請求の範囲に記載する制御手段に相当し、VHセンサ13a、AD変換器18m及びVHセンサデータ更新&2値平均化処理18lが請求の範囲に記載するサンプリング手段に相当する。
インバータ制御機能について説明する。インバータ制御機能では、第1モータ制御18aと第1モータゲート生成18cが第1インバータ14(ひいては、第1モータ16)に対するインバータ制御を行い、第2モータ制御18bと第2モータゲート生成18dが第2インバータ15(ひいては、第2モータ17)に対するインバータ制御を行う。
第1モータ制御18aでは、走行制御ECU19から第1モータ16に対する第1モータトルク指令DT1が入力され、第1モータ16から角度センサで検出されたモータ角度及び電流センサで検出されたモータ電流を用いて、第1モータトルク指令DT1の目標となるモータトルクを発生させるための第1キャリア信号SC1と第1デューティ信号SD1を生成し、第1モータゲート生成18cに出力する。また、第1モータ制御18aでは、第1モータ16の第1モータ回転数MR1と第1モータトルク指令DT1を昇圧制御機能の第1モータ目標電圧算出18eに出力する。
第2モータ制御18bでは、走行制御ECU19から第2モータ17に対する第2モータトルク指令DT2が入力され、第2モータ17から角度センサで検出されたモータ角度及び電流センサで検出されたモータ電流を用いて、第2モータトルク指令DT2の目標となるモータトルクを発生させるための第2キャリア信号SC2と第2デューティ信号SD2を生成し、第2モータゲート生成18dに出力する。また、第2モータ制御18bでは、第2モータ17の第2モータ回転数MR2と第2モータトルク指令DT2を昇圧制御機能の第2モータ目標電圧算出18fに出力する。
第1モータゲート生成18cでは、第1モータ制御18aから第1キャリア信号SC1と第1デューティ信号SD1が入力され、第1キャリア信号SC1と第1デューティ信号SD1に基づいて第1インバータ14の各相のスイッチング素子のゲート信号GS1(例えば、PWM信号)をそれぞれ生成し、第1インバータ14に出力する。また、第1モータゲート生成18cでは、第1ゲート信号GS1を昇圧制御機能のVHセンササンプリングタイミング発生器18kに出力する。
第2モータゲート生成18dでは、第2モータ制御18bから第2キャリア信号SC2と第2デューティ信号SD2が入力され、第2キャリア信号SC2と第2デューティ信号SD2に基づいて第2インバータ15の各相のスイッチング素子のゲート信号GS2をそれぞれ生成し、第2インバータ15に出力する。また、第2モータゲート生成18dでは、第2ゲート信号GS2を昇圧制御機能のVHセンササンプリングタイミング発生器18kに出力する。図4(b)には第2モータ17のインバータ制御の第2キャリア信号SC2と第2デューティ信号SD2の一例を示しており、第2キャリア信号SC2と第2デューティ信号SD2との交点のタイミングで第2インバータ15のスイッチング素子がON/OFFするゲート信号GS2が生成され、図4(c)にそのゲート信号GS2を示す。
キャリア信号SCは、キャリア周波数であり、インバータ14,15のスイッチング素子のスイッチング周波数である。キャリア信号SCは、図4(b)に示すように、例えば、山と谷を頂点とする三角波である。モータ16,17を高回転や高トルクにするためには、キャリア周波数を高くする必要がある。しかし、インバータ14,15のスイッチング素子が高温度になる等によってシステム損失が大きくなると、キャリア周波数を低くする必要がある。デューティ信号SDは、インバータ14,15のスイッチング素子のONとOFFのデューティ比を決めるための信号である。デューティ信号SDは、図4(b)に示すように、例えば、正弦波である。ゲート信号GSは、インバータ14,15のスイッチング素子をON/OFFするための信号である。ゲート信号GSは、図4(c)に示すように、例えば、PWM信号である。
ゲート信号GS1,GS2のON/OFFの切り替えタイミングでインバータ14,15のスイッチング素子がスイッチングし、そのスイッチングの影響によってモータ電流には脈動成分が重畳する。図4(d)には、図4(c)の第2ゲート信号GS2から生成される第2モータ17の目標電流MITと、大きな脈動成分が重畳された場合の第2モータ17の実電流MIHと、小さい脈動成分が重畳された場合の第2モータ17の実電流MILを示している。図4(d)から判るように、第2モータ17の実電流MIH,MILでは、ゲート信号GS2の立ち上がりタイミングと立ち下がりタイミングで山と谷となり、脈動成分の増減の変化点となっている。
昇圧制御機能について説明する。第1モータ目標電圧算出18eでは、インバータ制御機能の第1モータ制御18aから第1モータ回転数MR1と第1モータトルク指令DT1が入力され、第1モータ回転数MR1と第1モータトルク指令DT1に基づいて第1モータ16についての第1目標電圧VHT1を算出し、ゲート選択&目標電圧選択18jに出力する。第2モータ目標電圧算出18fでは、インバータ制御機能の第2モータ制御18bから第2モータ回転数MR2と第2モータトルク指令DT2が入力され、第2モータ回転数MR2と第2モータトルク指令DT2に基づいて第2モータ17についての第2目標電圧VHT2を算出し、ゲート選択&目標電圧選択18jに出力する。
第1モータ目標電圧算出18eと第2モータ目標電圧算出18fは同様の処理で目標電圧を算出しており、その処理を以下で説明する。図2に示すように、まず、モータ回転数とモータトルクとのマップM1から、モータ回転数MR1,MR2とモータトルク指令DT1,DT2のモータトルクとの交点P1を抽出する。このマップM1には、弱め界磁制御領域A1(斜線で示す領域)とPWM制御領域A2があり、2モータシステム1のシステム電圧(直流高電圧VH)の高低によりその制御領域の範囲が変わる。図2に示す例では、交点P1が弱め界磁制御領域A1内に入っているので、弱め界磁制御となる。さらに、図2に示すように、その交点P1に応じて変わるシステム電圧とシステム損失とのマップM2から、システム損失が最小点となる目標電圧VHTを算出する。
なお、システム損失は、2モータシステム1におけるスイッチング素子等における損失である。システム電圧が高電圧になると、モータ16,17が回転し易くなるが、システム損失が大きくなる。なお、昇圧制御の目標電圧の求める方法については、上記のようにマップを利用した方法を説明したが、他の方法でもよい。
電圧制御18gでは、図4(e)に示すように、サンプリングタイミング周期PS毎にVHセンササンプリングタイミング要求信号DSをVHセンサデータ更新&2値平均化処理18lに出力し、VHセンササンプリングタイミング要求信号DSに応じてVHセンサデータ更新&2値平均化処理18lから昇圧制御で用いるためにサンプリングされた直流高電圧VH(デジタル値)の平均値VHAが入力される。サンプリングタイミング周期PSは、予め決められた固定値でもよいしあるいは可変値でもよい。サンプリングタイミング周期PSはインバータ制御とは関係なく設定されているので、VHセンササンプリングタイミング要求信号DSはインバータ制御のゲート信号GSとは同期していない。電圧制御18gでは、ゲート選択&目標電圧選択18jからシステムとしての目標電圧VHTが入力され、VHセンサデータ更新&2値平均化処理18lからの直流高電圧VH(デジタル値)の平均値VHAを用いて、平滑コンデンサ13の両端電圧(直流高電圧)が目標電圧VHTになるための制御を行う。この際、電圧制御18gでは、その制御に必要な目標電流ILTを算出し、電流制御18hに出力する。
電流制御18hでは、電圧制御18gから目標電流ILTが入力され、リアクトル12aに流れる電流IL(デジタル値)を用いて、リアクトル12aに流れる電流が目標電流ILTになるための制御を行う。制御に用いる電流IL(デジタル値)は、ILセンサ12fによって検出された電流(アナログ値)をモータECU18内のAD変換器18nでAD変換された電流(デジタル値)である。
ゲート生成18iでは、電圧制御18gでの目標電圧VHTになるための制御と電流制御18hでの目標電流ILTになるための制御に基づいて、昇圧コンバータ12のスイッチング素子12b,12cの各ゲート信号(例えば、PWM信号)をそれぞれ生成し、昇圧コンバータ12に出力する。
ゲート選択&目標電圧選択18jには、第1モータ目標電圧算出18eから第1目標電圧VHT1が入力されるとともに、第2モータ目標電圧算出18fから第2目標電圧VHT2が入力される。図3に示すように、第1モータ目標電圧算出18eでは第1モータ回転数MR1と第1モータトルク指令DT1のモータトルクとの交点に対応したマップM2aから第1モータ16側でシステム損失が最小となる第1目標電圧VHT1を算出しており、第2モータ目標電圧算出18fでは第2モータ回転数MR2と第2モータトルク指令DT2のモータトルクとの交点に対応するマップM2bから第2モータ17側でシステム損失が最小となる第2目標電圧VHT2を算出している。図3の例からも判るように、第1目標電圧VHT1と第2目標電圧VHT2とは、各モータ16,17についてのモータ回転数とモータトルク指令から別々に算出されているので、通常は異なる電圧となる。そのため、その2つの第1目標電圧VHT1と第2目標電圧VHT2から2モータシステム1としての目標電圧を選択する必要があり、システム効率が最適になるように、図3(a)で示すように第1目標電圧VHT1と第2目標電圧VHT2のうちの最大値(大きいほうの電圧)を2モータシステム1として目標電圧の指令値としている。そこで、ゲート選択&目標電圧選択18jでは、第1目標電圧VHT1と第2目標電圧VHT2が入力される毎に、第1目標電圧VHT1と第2目標電圧VHT2のうちの大きい方の電圧を2モータシステム1の目標電圧VHTとして選択する。そして、ゲート選択&目標電圧選択18jでは、その目標電圧VHTを電圧制御18gに出力する。さらに、ゲート選択&目標電圧選択18jでは、2モータシステム1の目標電圧VHTとして選択されなかった方の目標電圧のモータのゲート信号を選択するためのゲート選択信号GSSをVHセンササンプリングタイミング発生器18kに出力する。ゲート選択信号GSSとしては、例えば、第1モータ16と第2モータ17のいずれかを一方(2モータシステム1の目標電圧VHTとして選択されなかった方のモータ)を示す信号とする。
VHセンササンプリングタイミング発生器18kには、インバータ制御機能の第1モータゲート生成18cからの第1ゲート信号GS1と第2モータゲート生成18dからの第2ゲート信号GS2が入力されるとともに、ゲート選択&目標電圧選択18jからゲート選択信号GSSが入力される。そして、VHセンササンプリングタイミング発生器18kでは、ゲート選択信号GSSに基づいて、第1ゲート信号GS1と第2ゲート信号GS2から2モータシステム1の目標電圧VHTとして選択されなかった方のモータのゲート信号をVHセンササンプリングタイミングTSの発生に利用するゲート信号GSSとして選択する。さらに、VHセンササンプリングタイミング発生器18kでは、その選択したゲート信号GSSのONからOFFへの切り替えのタイミング(立ち下がりタイミング)及びOFFからONへの切り替えタイミング(立ち上がりタイミング)をVHセンササンプリングタイミングTS(AD変換起動信号)としてAD変換器18mに出力する。AD変換器18mでは、VHセンササンプリングタイミング発生器18kからVHセンササンプリングタイミングTSが入力される毎に、VHセンサ13aで検出されている直流高電圧(アナログ値)VHをAD変換し、AD変換後の直流高電圧(デジタル値)VHをVHセンサデータ更新&2値平均化処理18lに出力する。なお、第1、第2モータゲート生成18c,18dからのゲート信号としては、3相のU相、V相、W相のいずれのゲート信号でもよい。
VHセンサデータ更新&2値平均化処理18lでは、AD変換器18mから直流高電圧(デジタル値)VHが入力される毎に、その直流高電圧(デジタル値)VHを時系列で記憶しておく。さらに、VHセンサデータ更新&2値平均化処理18lでは、今回入力された直流高電圧(デジタル値)VHと時系列で記憶している前回入力された直流高電圧(デジタル値)VHとの平均値VHAを算出し、その今回と前回の直流高電圧の平均値VHAを時系列で記憶しておく。ここでは、最新の平均値VHAだけを記憶しておいてもよい。そして、VHセンサデータ更新&2値平均化処理18lでは、電圧制御18gからVHセンササンプリングタイミング要求信号DSが入力される毎に、そのVHセンササンプリングタイミング要求信号DSの直前に算出した直流高電圧の平均値VHAを昇圧制御に用いるVHセンサ値として電圧制御18gに出力する。
ここで、図4を参照して、上記のような昇圧制御機能における処理より、インバータ制御側でのスイッチングの影響によるモータ電流の脈動によって引き起こされる直流高電圧VHの脈動がある場合でも安定した昇圧制御を行うことができる理由について説明する。なお、図4に示す例は、2モータシステム1の目標電圧VHTとして選択されなかった方のモータが第2モータ17の場合である。
システム損失を抑えるためにインバータ制御におけるキャリア周波数を低くすると、インバータ制御のスイッチングノイズにより、平滑コンデンサの両端電圧(昇圧後の直流高電圧)に脈動成分が重畳される。また、モータの回転数やトルクによってモータの駆動に必要となる目標電圧が変わるが、目標電圧が高くなり、直流高電圧VHがモータ誘起電圧Vemfに対して高くなるほど、その電圧差Vdefが大きくなり、直流高電圧の脈動成分も大きくなる。
図4(a)には、直流高電圧VHが高い場合の電圧VHH及び低い場合の電圧VHLとモータ誘起電圧Vemfとの関係を示している。高い直流高電圧VHHとモータ誘起電圧Vemfとの電圧差VdefH1,VdefH2と、低い直流高電圧VHLとモータ誘起電圧Vemfとの電圧差VdefL1,VdefL2とを比較すると、電圧差Vdefは高い直流高電圧VHHのときの方が大きくなる。この電圧差Vdefが大きくなるほど、モータ電流に重畳される脈動成分が大きくなる。特に、2モータシステム1の場合、各モータ16,17の第1目標電圧VHT1と第2目標電圧VHT2のうちの大きいほうの電圧を2モータシステム1の目標電圧VHTとして選択しており、この目標電圧VHTになるように直流高電圧VHが制御されている。そのため、2モータシステム1の目標電圧VHTとして選択されなかった方のモータ側では、直流高電圧VHに対してモータ誘起電圧Vemfがより低くなり、直流高電圧VHとモータ誘起電圧Vemfとの電圧差Vdefがより大きくなる。
図4(d)には、第2モータ17の目標電流MITと、大きい電圧差VdefHの場合の第2モータ17の実電流MIHと、小さい電圧差VdefLの場合の第2モータ17の実電流MILを示している。第2モータ17の実電流MIH,MILには、第2インバータ15のスイッチング素子のスイッチングに応じて脈動成分が重畳しており、図4(c)に示すゲート信号GS2の立ち上がりタイミングと立ち下がりタイミング(図4(b)に示す第2キャリア信号SC2と第2デューティ信号SD2との交点)で脈動成分の増減が切り替わる。この図4(d)から判るように、電圧差Vdefが大きいほど、モータ電流MIに重畳される脈動成分が大きくなる。特に、上記したように、2モータシステム1の場合、2モータシステム1の目標電圧VHTとして選択されなかった方のモータ側の電圧差Vdefがより大きくなるので、2モータシステム1の目標電圧VHTとして選択されなかった方のモータの実電流MIに重畳される脈動成分がより大きくなる。
さらに、図4(e)には、大きい電圧差VdefHの場合のモータ電流MIHのときの直流高電圧VHを示している。直流高電圧VHは、モータ電流MIHの脈動成分に応じて脈動成分が重畳され、図4(c)に示すゲート信号GS2の立ち上がりタイミングと立ち下がりタイミングで脈動成分の増減が切り替わる。このように、インバータ側(特に、2モータシステム1の目標電圧VHTとして選択されなかった方のモータのインバータ側)のスイッチングの影響によってモータ電流に脈動が発生すると、昇圧後の直流高電圧にも脈動成分が重畳される。なお、2モータシステム1の目標電圧VHTとして選択された方のモータのインバータ側のスイッチングも、モータ電流の脈動(ひいては、昇圧後の直流高電圧の脈動)に影響を与えるが、2モータシステム1の目標電圧VHTとして選択されなかった方のモータのインバータ側のスイッチングによる影響と比べると非常に小さい。
つまり、インバータ制御によるスイッチングによってモータ電流MIに重畳される脈動成分(変動分)は、直流高電圧VHとモータ誘起電圧Vemfとの電圧差Vdef及びインバータ制御のキャリア周波数(キャリア信号SC(ゲート信号GS))によって決まる。そのため、電圧差Vdefが大きいときにインバータ周波数が低くなると、モータ電流MIに重畳される脈動成分が大きくなる。特に、その脈動成分は、2モータシステム1の目標電圧VHTとして選択されなかった方のモータのインバータ制御のスイッチングの影響を受ける。平滑コンデンサ13の容量が小さい場合、モータ電流MIに重畳される脈動成分が大きくなると、平滑コンデンサ13の平滑能力を超え、平滑コンデンサ13の両端電圧(直流高電圧)VHにも脈動成分が重畳され、昇圧後の直流高電圧VHが大きく変動する。なお、2モータシステム1の低コスト化や小型化を進める上、容量の大きい平滑コンデンサ13の容量を出来る限り小さくすることが求められている。したがって、その要求に応じて平滑コンデンサ13の容量を小さくすると、上記のように、直流高電圧VHに脈動が発生することになる。
上記したように、インバータ制御によるスイッチングによる脈動成分は、ゲート信号の立ち上がりタイミングと立ち下がりタイミングで脈動成分の増減が切り替わる。したがって、図4(c)、(d)からも判るように、ゲート信号GS2の立ち上がりタイミングと立ち下がりタイミングが脈動成分が重畳されているモータ電流MIの山と谷となるので、モータ電流MIの山と谷との中間値はゲート信号GS2の連続する立ち上がりタイミングと立ち下がりタイミングの中間タイミングで得られる。したがって、図4(c)、(e)からも判るように、脈動成分が重畳されている直流高電圧VHの山と谷との中間値(すなわち、昇圧制御を安定に行うための直流高電圧の期待値VHE)も、ゲート信号GS2の連続する立ち上がりタイミングと立ち下がりタイミングの中間タイミングで得られる。図4(e)に示す例からも判るように、ゲート信号GS2の連続する立ち上がりタイミングと立ち下がりタイミングでの直流高電圧VHの平均値は、直流高電圧の期待値VHEと略一致している。直流高電圧の期待値VHEは、直流高電圧VHの山と谷との中間値であり、脈動成分が略除去された直流高電圧である。
そこで、モータECU18の昇圧制御機能では、VHセンササンプリングタイミング発生器18kにおいて、モータ電流の脈動により大きな影響を与える2モータシステム1の目標電圧VHTとして選択されなかった方のモータのゲート信号GSのON/OFFの切り替えタイミング毎にVHセンササンプリングタイミングTSを発生し、VHセンササンプリングタイミングTS毎にAD変換器18mにおいてVHセンサ13aで検出されている直流高電圧(アナログ値)VHをAD変換し、直流高電圧(デジタル値)VHを取得している。
さらに、図4(e)に示す例からも判るように、VHセンササンプリングタイミング要求信号DS1、DS2,DS3のタイミングでの直流高電圧の期待値VHE1、VHE2,VHE3と、VHセンササンプリングタイミング要求信号DS1、DS2,DS3直前のゲート信号GS2の立ち上がりタイミングと立ち下がりタイミングのときの直流高電圧VHC1と直流高電圧VHC2の平均値、直流高電圧VHC3と直流高電圧VHC4の平均値、直流高電圧VHC5と直流高電圧VHC6の平均値とを比較すると、その差は非常に小さい。したがって、VHセンササンプリングタイミング要求信号DS直前のゲート信号GS2の連続する立ち上がりタイミングと立ち下がりタイミングのときの直流高電圧VH(VHセンサ値)の平均値VHAを取得することにより、VHセンササンプリングタイミング要求信号DSのタイミングのときの直流高電圧の期待値VHEに非常に近い値を得ることができる。
そこで、モータECU18の昇圧制御機能では、VHセンサデータ更新&2値平均化処理18lにおいて、電圧制御18gからVHセンササンプリングタイミング要求信号DSが入力される毎に、VHセンササンプリングタイミング要求信号DS直前にAD変換器18mから入力されたゲート信号GSのON/OFF切り替えタイミングの直流高電圧(デジタル値)VHと前回入力されたゲート信号GSのON/OFF切り替えタイミングの直流高電圧(デジタル値)VHの平均値VHAを算出し、電圧制御18gに出力している。電圧制御18gでは、このVHセンササンプリングタイミング要求信号DS直前のゲート信号GSの連続するON/OFF切り替えタイミングの直流高電圧(デジタル値)VHの平均値VHAを用いて昇圧制御を行うことにより、VHセンササンプリングタイミング要求信号DSのときの直流高電圧の期待値VHEに近い直流高電圧の平均値VHAを用いて制御を行うことができる。
この2モータシステム1(特に、モータECU18での昇圧制御)によれば、2モータシステム1の目標電圧VHTとして選択されなかった方のモータのインバータ制御のゲート信号に基づいて昇圧制御に用いる直流高電圧VH(平均値VHA)をサンプリングすることにより(インバータ制御と昇圧制御とを連携させている)、直流高電圧VHに脈動成分が重畳されている場合でも、VHセンササンプリングタイミング要求信号DSのときの直流高電圧の期待値VHEに近い直流高電圧VH(平均値VHA)をサンプリングでき、VHセンササンプリングタイミング要求信号DSのときの直流高電圧の期待値VHEと昇圧制御において実際に用いるVHセンサ値との差が小さくなり、安定した昇圧制御を行うことができる。これによって、平滑コンデンサ13の容量を限界まで低減することができ、2モータシステム1の低コスト及び小型化を図ることができる。
特に、第1の実施の形態に係る2モータシステム1では、2モータシステム1の目標電圧VHTとして選択されなかった方のモータのインバータ制御のゲート信号を選択し、その選択したゲート信号の連続する立ち上がりタイミングと立ち下がりタイミング(ON/OFF切り替えタイミング)での直流高電圧VHの平均値VHAをサンプリングしておき、VHセンササンプリングタイミング要求信号DS直前にサンプリングされたゲート信号GSの連続する立ち上がりタイミングと立ち下がりタイミングでの直流高電圧VHの平均値VHAを昇圧制御に用いることにより、VHセンササンプリングタイミング要求信号DSのときの直流高電圧の期待値VHEに近い直流高電圧VHのセンサ値を用いて昇圧制御ができ、安定した昇圧制御を行うことができる。
次に、図5〜図7を参照して、第2の実施の形態に係る2モータシステム2について説明する。図5は、第2の実施の形態に係る2モータシステムの構成を示すブロック図である。図6は、AD変換時間とゲート信号の切り替え時間との関係図である。図7は、第2の実施の形態に係る直流高電圧のサンプリングタイミングの説明図であり、(a)が直流高電圧であり、(b)がインバータ制御でのゲート信号であり、(c)がゲート信号の切り替えタイミングであり、(d)がAD変換器へのAD変換起動信号であり、(e)が平均化禁止信号であり、(f)がAD変換器からのAD変換終了信号であり、(g)がAD変換器によるAD変換値であり、(h)が2値平均化値である。
2モータシステム2は、バッテリ10、フィルタコンデンサ11、昇圧コンバータ12、平滑コンデンサ13、第1インバータ14、第2インバータ15、第1モータ16、第2モータ17及びモータECU28を備えている。2モータシステム2は、第1の実施の形態に係る2モータシステム1と比較すると、モータECU28での制御が異なる。モータECU28では、AD変換時間がゲート信号GSのON/OFFの切り替え時間よりも短い場合、AD変換を中止し、昇圧制御では直流高電圧の平均値VHAとして前回値を用いる。ここでは、モータECU28についてのみ詳細に説明する。
ここで、図6を参照して、AD変換時間とゲート信号GSのON/OFFの切り替え時間(ON時間、OFF時間)の関係について説明する。図6には、ゲート信号GS、AD変換器へのAD変換起動信号SS(VHセンササンプリングタイミングTS)、AD変換器からのAD変換終了信号ESの一例を示している。AD変換時間CHはAD変換器によって決まっており、一定の時間である。ゲート信号GSの切り替え時間SH1,SH2がある程度長い場合、ゲート信号GSのON/OFF切り替えタイミングでAD変換起動信号SS1,SS2が出力されても、切り替え時間SH1,SH2内にAD変換が終了し、ゲート信号GSの次のON/OFF切り替えタイミングになるまでにAD変換器からAD変換終了信号ES1,ES2が出力される。しかし、ゲート信号GSの切り替え時間SH3が短くなると、ゲート信号GSのON/OFF切り替えタイミングでAD変換起動信号SS3が出力されても、ゲート信号GSの次のON/OFF切り替えタイミングになるまでにAD変換が終了せず、AD変換器からAD変換終了信号ES3が出力され前にAD変換起動信号SS4が出力されることになる。このような場合、AD変換器では、AD変換起動信号SS4に対するAD変換ができない。そこで、モータECU28は、このような場合に対応できる追加機能を有している。
モータECU28は、マイクロコンピュータや各種メモリ等からなる電子制御ユニットであり、モータ制御を行う。特に、モータECU28は、インバータ14,15に対する制御を行うインバータ制御機能(第1モータ制御28a、第2モータ制御28b、第1モータゲート生成28c、第2モータゲート生成28d)と昇圧コンバータ12に対する制御を行う昇圧制御機能(第1モータ目標電圧算出28e、第2モータ目標電圧算出28f、電圧制御28g、電流制御28h、ゲート生成28i、ゲート選択&目標電圧選択28j、VHセンササンプリングタイミング発生器&切替時判定器28k、VHセンサデータ更新&2値平均化処理28l)を有している。インバータ制御機能と昇圧制御機能とを同じマイコンで構成してもよいし、別々のマイコンで構成してもよい。なお、第2の実施の形態では、第1モータ目標電圧算出28e及び第2モータ目標電圧算出28fが請求の範囲に記載する目標電圧設定手段に相当し、ゲート選択&目標電圧選択28jが請求の範囲に記載する選択手段に相当し、VHセンササンプリングタイミング発生器&切替時判定器28kが請求の範囲に記載するサンプリングタイミング発生手段に相当し、電圧制御28gが請求の範囲に記載する制御手段に相当し、VHセンサ13a、AD変換器28m及びVHセンサデータ更新&2値平均化処理28lが請求の範囲に記載するサンプリング手段に相当し、AD変換器28mが請求の範囲に記載するAD変換手段に相当する。
なお、第1モータ制御28a、第2モータ制御28b、第1モータゲート生成28c、第2モータゲート生成28d、第1モータ目標電圧算出28e、第2モータ目標電圧算出28f、電圧制御28g、電流制御28h、ゲート生成28i、ゲート選択&目標電圧選択28j、AD変換器28nについては、第1の実施の形態に係る第1モータ制御18a、第2モータ制御18b、第1モータゲート生成18c、第2モータゲート生成18d、第1モータ目標電圧算出18e、第2モータ目標電圧算出18f、電圧制御18g、電流制御18h、ゲート生成18i、ゲート選択&目標電圧選択18j、AD変換器18nと同様の処理を行うので、説明を省略する。
VHセンササンプリングタイミング発生器&切替時判定器28kには、インバータ制御機能の第1モータゲート生成28cからの第1ゲート信号GS1と第2モータゲート生成28dからの第2ゲート信号GS2が入力され、AD変換器28mからAD変換終了信号ESが入力され、ゲート選択&目標電圧選択28jからゲート選択信号GSSが入力される。そして、VHセンササンプリングタイミング発生器&切替時判定器28kでは、ゲート選択信号GSSに基づいて、第1ゲート信号GS1と第2ゲート信号GS2から2モータシステム2の目標電圧VHTとして選択されなかった方のモータのゲート信号をVHセンササンプリングタイミングTSの発生に利用するゲート信号GSSとして選択する。そして、VHセンササンプリングタイミング発生器&切替時判定器28kでは、VHセンササンプリングタイミングTS(AD変換起動信号)を出力する毎に、そのVHセンササンプリングタイミングTS(AD変換起動信号)に対するAD変換終了信号ESとゲート信号GSSの次のON/OFFの切り替えタイミングとに基づいて、AD変換終了信号ESの後にゲート信号GSSの次のON/OFFの切り替えタイミングになった場合にはその次のON/OFFの切り替えタイミングに応じてVHセンササンプリングタイミングTS(AD変換起動信号)をAD変換器28mに出力し、AD変換終了信号ESの前にゲート信号GSSの次のON/OFFの切り替えタイミングになった場合にはその次のON/OFFの切り替えタイミングに対するVHセンササンプリングタイミングTS(AD変換起動信号)をAD変換器28mに出力しない(AD変換中止)とともに平均化禁止信号RSをVHセンサデータ更新&2値平均化処理28lに出力する。平均化禁止信号RSのONタイミングはAD変換中止後のゲート信号GSSの次の切り替えタイミングであり、平均化禁止信号RSのOFFタイミングはゲート信号GSSのその次の切り替えタイミングである。AD変換器28mでは、VHセンササンプリングタイミング発生器&切替時判定器28kからVHセンササンプリングタイミングTSが入力される毎に、VHセンサ13aで検出されている直流高電圧(アナログ値)VHをAD変換し、AD変換後の直流高電圧(デジタル値)VHをVHセンサデータ更新&2値平均化処理28lに出力する。AD変換器28mでは、AD変換が終了すると、AD変換終了信号ESをVHセンササンプリングタイミング発生器&切替時判定器28kに出力する。特に、AD変換終了信号ESの前にゲート信号GSSの次のON/OFFの切り替えタイミングになった場合(AD変換時間よりゲート信号GSSの切り替え時間が短い場合)、AD変換器28mでは、AD変換を中止する。
VHセンサデータ更新&2値平均化処理28lでは、AD変換器28mから直流高電圧(デジタル値)VHが入力される毎に、その直流高電圧(デジタル値)VHを時系列で記憶しておく。さらに、VHセンサデータ更新&2値平均化処理28lでは、今回入力された直流高電圧(デジタル値)VHと時系列で記憶している前回入力された直流高電圧(デジタル値)VHとの平均値VHAを算出し、その今回と前回の直流高電圧の平均値VHAを時系列で記憶しておく。特に、VHセンササンプリングタイミング発生器&切替時判定器28kから平均化禁止信号RSが入力されている場合、VHセンサデータ更新&2値平均化処理28lでは、直流高電圧の平均値VHAの算出を禁止する。この場合、前回算出されている直流高電圧の平均値VHAが最新値として保持されている。そして、VHセンサデータ更新&2値平均化処理28lでは、電圧制御28gからVHセンササンプリングタイミング要求信号DSが入力される毎に、そのVHセンササンプリングタイミング要求信号DSの直前に算出した直流高電圧の平均値VHA(保持している最新の平均値VHA)を昇圧制御に用いるVHセンサ値として電圧制御28gに出力する。したがって、平均化禁止信号RSが入力されている場合、前回算出した直流高電圧の平均値VHAを出力することになる。
ここで、図7を参照して、上記のような昇圧制御機能において、目標電圧VHTとして選択されなかった方のモータのゲート信号GSの切り替え時間がAD変換時間より長い場合とゲート信号GSの切り替え時間がAD変換時間より短い場合のゲート信号GSの連続するON/OFF切り替えタイミングの直流高電圧VHの平均値VHAの算出過程について説明する。図7(a)には直流高電圧VHを示しており、図7(b)にはゲート信号GSを示しており、図7(c)にはゲート信号GSのON/OFFの切り替えタイミングSTを示しており、図7(a)には切り替えタイミングST1,ST2,ST3,・・・のときの直流高電圧値としてB値,C値,D値,・・・(山と谷の各値)を示している。また、図7(d)には、切り替えタイミングST1,ST2,ST3,・・・に応じてVHセンササンプリングタイミング発生器&切替時判定器28kから出力されるAD変換起動信号SS1,SS2,SS3,・・・(VHセンササンプリングタイミングTSに相当)を示している。さらに、図7(f)には、AD変換起動信号SS1,SS2,SS3,・・・に応じて行われるAD変換が終了したときにAD変換器28mから出力されるAD変換終了信号ES1,ES2,ES3,・・・を示している。また、図7(g)には、AD変換器28mから出力されてVHセンサデータ更新&2値平均化処理28lで保持されるAD変換後の直流電圧値ADCであるA値,B値,C値,D値,・・・(直流高電圧VAの山と谷の各値)を示している。さらに、図7(h)には、VHセンサデータ更新&2値平均化処理28lで算出され、保持される直流高電圧値の平均値VHAとして(A+B)/2,(B+C)/2,・・・を示している。
ゲート信号GSの切り替え時間がAD変換時間より長い場合、例えば、ゲート信号GSの切り替えタイミングST1,ST2のときで説明する。VHセンササンプリングタイミング発生器&切替時判定器28kでは切り替えタイミングST1に応じてAD変換起動信号SS1を出力し、AD変換器28mではAD変換を開始し、AD変換が終了すると直流高電圧(デジタル値)としてB値をVHセンサデータ更新&2値平均化処理28lに出力するとともにAD変換終了信号ES1をVHセンササンプリングタイミング発生器&切替時判定器28kに出力する。この場合、VHセンサデータ更新&2値平均化処理28lでは、B値を保持するとともに、前回保持しているA値と今回のB値を用いて平均値(A+B)/2を算出し、その平均値(A+B)/2を保持する。次に、VHセンササンプリングタイミング発生器&切替時判定器28kではAD変換終了信号ES1の後に切り替えタイミングST2がきたので、その切り替えタイミングST2に応じてAD変換起動信号SS2を出力し、AD変換器28mではAD変換を開始し、AD変換が終了すると直流高電圧(デジタル値)としてC値をVHセンサデータ更新&2値平均化処理28lに出力するとともにAD変換終了信号ES2をVHセンササンプリングタイミング発生器&切替時判定器28kに出力する。この場合、VHセンサデータ更新&2値平均化処理28lでは、C値を保持するとともに、前回保持しているB値と今回のC値を用いて平均値(B+C)/2を算出し、その平均値(B+C)/2を保持する。この後に、電圧制御28gからVHセンササンプリングタイミング要求信号DSが入力されると、VHセンサデータ更新&2値平均化処理28lでは、平均値(B+C)/2を電圧制御28gに出力する。
ゲート信号GSの切り替え時間がAD変換時間より短い場合、例えば、ゲート信号GSの切り替えタイミングST5,ST6のときで説明する。VHセンササンプリングタイミング発生器&切替時判定器28kでは切り替えタイミングST5に応じてAD変換起動信号SS5を出力し、AD変換器28mではAD変換を開始し、AD変換が終了すると直流高電圧(デジタル値)としてF値をVHセンサデータ更新&2値平均化処理28lに出力するとともにAD変換終了信号ES5をVHセンササンプリングタイミング発生器&切替時判定器28kに出力する。この場合、VHセンサデータ更新&2値平均化処理28lでは、F値を保持するとともに、前回保持しているE値と今回のF値を用いて平均値(E+F)/2を算出し、その平均値(E+F)/2を保持する。次に、VHセンササンプリングタイミング発生器&切替時判定器28kでは、AD変換終了信号ES5の前に切り替えタイミングST6がきたので、その切り替えタイミングST6に応じたAD変換起動信号を出力しない。したがって、AD変換器28mでは、切り替えタイミングST6に応じたAD変換が行われない。VHセンサデータ更新&2値平均化処理28lでは、最新の直流高電圧としてF値を保持し続けるとともに、最新の平均値として(E+F)/2を保持し続ける。この後に、電圧制御28gからVHセンササンプリングタイミング要求信号DSが入力されると、VHセンサデータ更新&2値平均化処理28lでは、平均値(E+F)/2を電圧制御28gに出力する。やがて、次の切り替えタイミングST7がくると、VHセンササンプリングタイミング発生器&切替時判定器28kでは、平均化禁止信号RSをその次の切り替えタイミングST8までの間出力する。VHセンサデータ更新&2値平均化処理28lでは、平均化禁止信号RSに応じて平均値の算出を禁止し、前回の平均値(E+F)/2を保持し続ける。また、VHセンササンプリングタイミング発生器&切替時判定器28kでは、切り替えタイミングST7に応じてAD変換起動信号SS7を出力し、AD変換器28mではAD変換を開始し、AD変換が終了すると直流高電圧(デジタル値)としてH値をVHセンサデータ更新&2値平均化処理28lに出力するとともにAD変換終了信号ES7をVHセンササンプリングタイミング発生器&切替時判定器28kに出力する。この場合、VHセンサデータ更新&2値平均化処理28lでは、H値を保持するが、平均値の算出を禁止している。この後に、電圧制御28gからVHセンササンプリングタイミング要求信号DSが入力されると、VHセンサデータ更新&2値平均化処理28lでは、平均値(E+F)/2を電圧制御28gに出力する。この平均値(E+F)/2は、前回値であるが、直流高電圧VHの山と谷の中間値なので、直流高電圧の期待値VHEに近い値である。
この2モータシステム2(特に、モータECU28での昇圧制御)によれば、第1の実施の形態に係る2モータシステム1と同様の効果を有する。特に、第2の実施の形態に係る2モータシステム2では、AD変換時間がゲート信号GSの切り替え時間よりも短い場合でも、AD変換を中止するとともに直流高電圧VHの平均値VHAの算出も禁止し、昇圧制御には直流高電圧VHの平均値VHAの前回値を用いる。この平均値VHAの前回値も直流高電圧の期待値VHEに近い電圧であるので、安定した電圧変換制御を行うことができる。
次に、図8及び図9を参照して、第3の実施の形態に係る2モータシステム3について説明する。図8は、第3の実施の形態に係る2モータシステムの構成を示すブロック図である。図9は、第3の実施の形態に係る直流高電圧のサンプリングタイミングの説明図であり、(a)が直流高電圧であり、(b)がインバータ制御でのゲート信号であり、(c)がゲート信号の切り替えタイミングであり、(d)がAD変換器へのAD変換起動信号であり、(e)がAD変換器からのAD変換終了信号であり、(f)がAD変換器によるAD変換値であり、(g)が2値平均化値である。
2モータシステム3は、バッテリ10、フィルタコンデンサ11、昇圧コンバータ12、平滑コンデンサ13、第1インバータ14、第2インバータ15、第1モータ16、第2モータ17及びモータECU38を備えている。2モータシステム3は、第1の実施の形態に係る2モータシステム1と比較すると、モータECU38での制御だけが異なる。モータECU38では、AD変換時間がゲート信号GSのON/OFFの切り替え時間よりも短い場合、AD変換終了直後にAD変換を直ちに開始する。ここでは、モータECU38についてのみ詳細に説明する。
モータECU38は、マイクロコンピュータや各種メモリ等からなる電子制御ユニットであり、モータ制御を行う。特に、モータECU38は、インバータ14,15に対する制御を行うインバータ制御機能(第1モータ制御38a、第2モータ制御38b、第1モータゲート生成38c、第2モータゲート生成38d)と昇圧コンバータ12に対する制御を行う昇圧制御機能(第1モータ目標電圧算出38e、第2モータ目標電圧算出38f、電圧制御38g、電流制御38h、ゲート生成38i、ゲート選択&目標電圧選択38j、VHセンササンプリングタイミング発生器&切替時判定器38k、VHセンサデータ更新&2値平均化処理38l)を有している。インバータ制御機能と昇圧制御機能とを同じマイコンで構成してもよいし、別々のマイコンで構成してもよい。なお、第3の実施の形態では、第1モータ目標電圧算出38e及び第2モータ目標電圧算出38fが請求の範囲に記載する目標電圧設定手段に相当し、ゲート選択&目標電圧選択38jが請求の範囲に記載する選択手段に相当し、VHセンササンプリングタイミング発生器&切替時判定器38kが請求の範囲に記載するサンプリングタイミング発生手段に相当し、電圧制御38gが請求の範囲に記載する制御手段に相当し、VHセンサ13a、AD変換器38m及びVHセンサデータ更新&2値平均化処理38lが請求の範囲に記載するサンプリング手段に相当し、AD変換器38mが請求の範囲に記載するAD変換手段に相当する。
なお、第1モータ制御38a、第2モータ制御38b、第1モータゲート生成38c、第2モータゲート生成38d、第1モータ目標電圧算出38e、第2モータ目標電圧算出38f、電圧制御38g、電流制御38h、ゲート生成38i、ゲート選択&目標電圧選択38j、VHセンサデータ更新&2値平均化処理38l、AD変換器38nについては、第1の実施の形態に係る第1モータ制御18a、第2モータ制御18b、第1モータゲート生成18c、第2モータゲート生成18d、第1モータ目標電圧算出18e、第2モータ目標電圧算出18f、電圧制御18g、電流制御18h、ゲート生成18i、ゲート選択&目標電圧選択18j、VHセンサデータ更新&2値平均化処理18l、AD変換器18nと同様の処理を行うので、説明を省略する。
VHセンササンプリングタイミング発生器&切替時判定器38kには、インバータ制御機能の第1モータゲート生成38cからの第1ゲート信号GS1と第2モータゲート生成38dからの第2ゲート信号GS2が入力され、AD変換器38mからAD変換終了信号ESが入力され、ゲート選択&目標電圧選択38jからゲート選択信号GSSが入力される。そして、VHセンササンプリングタイミング発生器&切替時判定器38kでは、ゲート選択信号GSSに基づいて、第1ゲート信号GS1と第2ゲート信号GS2から2モータシステム2の目標電圧VHTとして選択されなかった方のモータのゲート信号をVHセンササンプリングタイミングTSの発生に利用するゲート信号GSSとして選択する。VHセンササンプリングタイミング発生器&切替時判定器38kでは、VHセンササンプリングタイミングTS(AD変換起動信号)を出力する毎に、そのVHセンササンプリングタイミングTS(AD変換起動信号)に対するAD変換終了信号ESとゲート信号GSSの次のON/OFFの切り替えタイミングとに基づいて、AD変換終了信号ESの後にゲート信号GSSの次のON/OFFの切り替えタイミングになった場合にはその次のON/OFFの切り替えタイミングに応じてVHセンササンプリングタイミングTS(AD変換起動信号)をAD変換器38mに出力し、AD変換終了信号ESの前にゲート信号GSSの次のON/OFFの切り替えタイミングになった場合にはAD変換終了信号ESに応じてVHセンササンプリングタイミングTS(AD変換起動信号)をAD変換器38mに出力する。AD変換器38mでは、VHセンササンプリングタイミング発生器&切替時判定器38kからVHセンササンプリングタイミングTSが入力される毎に、VHセンサ13aで検出されている直流高電圧(アナログ値)VHをAD変換し、AD変換後の直流高電圧(デジタル値)VHをVHセンサデータ更新&2値平均化処理38lに出力する。AD変換器38mでは、AD変換が終了すると、AD変換終了信号ESをVHセンササンプリングタイミング発生器&切替時判定器38kに出力する。特に、AD変換終了信号ESの前にゲート信号GSSの次のON/OFFの切り替えタイミングになった場合(AD変換時間よりゲート信号GSSの切り替え時間が短い場合)、AD変換器38mでは、AD変換終了直後にAD変換を開始する。
ここで、図9を参照して、上記のような昇圧制御機能において、目標電圧VHTとして選択されなかった方のモータのゲート信号GSの切り替え時間がAD変換時間より長い場合とゲート信号GSの切り替え時間がAD変換時間より短い場合のゲート信号GSの連続するON/OFF切り替えタイミングの直流高電圧VHの平均値VHAの算出過程について説明する。図9(a)には直流高電圧VHを示しており、図9(b)にはゲート信号GSを示しており、図9(c)にはゲート信号GSのON/OFFの切り替えタイミングSTを示しており、図9(a)には切り替えタイミングST1,ST2,ST3,・・・のときの直流高電圧値としてB値,C値,D値,・・・を示している。また、図9(d)には、切り替えタイミングST1,ST2,ST3,・・・に応じてVHセンササンプリングタイミング発生器&切替時判定器38kから出力されるAD変換起動信号SS1,SS2,SS3,・・・を示している。さらに、図9(e)には、AD変換起動信号SS1,SS2,SS3,・・・に応じて行われるAD変換が終了したときにAD変換器38mから出力されるAD変換終了信号ES1,ES2,ES3,・・・を示している。また、図9(f)には、AD変換器38mから出力されてVHセンサデータ更新&2値平均化処理38lで保持されるAD変換後の直流電圧値ADCであるA値,B値,C値,D値,・・・を示している。さらに、図9(g)には、VHセンサデータ更新&2値平均化処理38lで算出され、保持される直流高電圧値の平均値VHAとして(A+B)/2,(B+C)/2,・・・を示している。なお、ゲート信号GSの切り替え時間がAD変換時間より長い場合については、第2の実施の形態での説明と同様なので、説明を省略する。
ゲート信号GSの切り替え時間がAD変換時間より短い場合、例えば、ゲート信号GSの切り替えタイミングST5,ST6のときで説明する。VHセンササンプリングタイミング発生器&切替時判定器38kでは切り替えタイミングST5に応じてAD変換起動信号SS5を出力し、AD変換器38mではAD変換を開始し、AD変換が終了すると直流高電圧(デジタル値)としてF値をVHセンサデータ更新&2値平均化処理38lに出力するとともにAD変換終了信号ES5をVHセンササンプリングタイミング発生器&切替時判定器38kに出力する。この場合、VHセンサデータ更新&2値平均化処理38lでは、F値を保持するとともに、前回保持しているE値と今回のF値を用いて平均値(E+F)/2を算出し、その平均値(E+F)/2を保持する。次に、VHセンササンプリングタイミング発生器&切替時判定器38kでは、AD変換終了信号ES5の前に切り替えタイミングST6がきたので、その切り替えタイミングST6に応じたAD変換起動信号の出力を一時待機し、AD変換終了信号ES5が入力されるとAD変換起動信号SS6を出力する。AD変換器38mでは、AD変換起動信号SS6に応じてAD変換を開始し(したがって、AD変換終了直後にAD変換を開始することになる)、AD変換が終了すると直流高電圧(デジタル値)としてG’値をVHセンサデータ更新&2値平均化処理38lに出力するとともにAD変換終了信号ES6をVHセンササンプリングタイミング発生器&切替時判定器38kに出力する。このG’値は、直流高電圧VHにおけるゲート信号GSの切り替えタイミングST6のときのG値から少し小さくなるが近い値である。この場合、VHセンサデータ更新&2値平均化処理38lでは、G’値を保持するとともに、前回保持しているF値と今回のG’値を用いて平均値(F+G’)/2を算出し、その平均値(F+G’)/2を保持する。この後に、電圧制御38gからVHセンササンプリングタイミング要求信号DSが入力されると、VHセンサデータ更新&2値平均化処理38lでは、平均値(F+G’)/2を電圧制御38gに出力する。この平均値(F+G’)/2は、G’値が直流高電圧VHの山のときのG値から少し小さいが、直流高電圧の谷のときのF値との平均値なでので、直流高電圧値の期待値に近い値である。
この2モータシステム3(特に、モータECU38での昇圧制御)によれば、第1の実施の形態に係る2モータシステム1と同様の効果を有する。特に、第3の実施の形態に係る2モータシステム3では、AD変換時間がゲート信号GSの切り替え時間よりも短い場合でも、AD変換終了直後にAD変換を行い、その直後のAD変換による直流高電圧VHを用いて平均値VHAを算出し、昇圧制御にはその平均値VHAを用いる。このAD変換直後のAD変換による直流高電圧VHを用いた平均値VHAも直流高電圧の期待値に近い電圧であるので、安定した電圧変換制御を行うことができる。
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されることなく様々な形態で実施される。
例えば、本実施の形態では2モータシステムの車両に適用したが、2モータシステムの装置や移動体等の様々なものに適用できる。また、3個以上のモータを備えるモータシステムにも適用できる。また、複数個のモータとしては、モータジェネレータやジェネレータも適用できる。
また、本実施の形態では昇圧コンバータに対する昇圧制御に適用したが、降圧コンバータに対する降圧制御、昇降圧コンバータに対する昇降圧制御にも適用可能である。
また、本実施の形態では昇圧制御に用いる直流高電圧のサンプリングのタイミングについてインバータ制御のゲート信号を利用した3つの設定方法を示したが、インバータ制御のゲート信号を利用した他の設定方法でもよい。
また、本実施の形態では2個のモータの各目標電圧から大きい方をシステムの目標電圧として選択し、目標電圧として選択されなかった方のモータのゲート信号を利用してサンプリングタイミングを設定する構成としたが、3個以上のモータを備えるシステムの場合、3個以上のモータの各目標電圧からシステムの目標電圧を選択し、目標電圧として選択されなかった複数のモータのゲート信号の中からモータ電流の脈動に最も影響を与えるモータのゲート信号を選択し、その選択したゲート信号を利用してサンプリングタイミングを設定するようにする。