JPWO2012127517A1 - 添加剤、オイルフィルター、機械の潤滑装置 - Google Patents
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Abstract
本発明は、オイルへ添加される添加剤であって、弱塩基性ハイドロタルサイトを含む添加剤を提供する。弱塩基性ハイドロタルサイトは、水素イオン指数が6〜7の範囲内にあるオイルに対して、1重量%のハイドロタルサイトと水とからなる混合物を3重量%添加して攪拌した際に、得られたオイルが6〜7の範囲内の水素イオン指数を示すハイドロタルサイトである。そして、このような添加剤は、オイルフィルター(36)に収容されて用いられ得る。
Description
本発明は、エンジン等の機械において使用されるオイルに添加される添加剤、該添加剤を備えたオイルフィルター、機械の潤滑装置に関する。
エンジン等の機械で用いられるオイルには、種々のオイル添加剤が入れられる。例えば、ジアルキルジチオりん酸亜鉛(Zinc Dialkyldithiophosphate)であるZnDTPは、オイルに添加され、酸化防止能、腐食防止能、摩耗防止能等を有する。
他方、特許文献1は、下記(1)式で表されるハイドロタルサイトをオイル添加剤として用いることを開示する。
MgxAl2(OH)6+2x−2y(CO3)y・mH2O (1)
ただし、(1)式中、xおよびyは、3<x<20、0<y<2を満足する整数であり、mは整数を示す。上記(1)式で表されるハイドロタルサイトは、特許文献1の記載によれば、オイル中の不都合な酸性汚染物質と迅速に反応する特性を有し、オイル中において酸価250以上のアルカリ価を示す。
MgxAl2(OH)6+2x−2y(CO3)y・mH2O (1)
ただし、(1)式中、xおよびyは、3<x<20、0<y<2を満足する整数であり、mは整数を示す。上記(1)式で表されるハイドロタルサイトは、特許文献1の記載によれば、オイル中の不都合な酸性汚染物質と迅速に反応する特性を有し、オイル中において酸価250以上のアルカリ価を示す。
また、特許文献2は、内燃機関用バイパスオイルフィルター用ろ材を開示する。特許文献2の記載によれば、該ろ材は上記(1)式で表されるハイドロタルサイト類化合物を含む。
ところで、上記ZnDTPは、加水分解しやすいという特性を有し、加水分解する物質である。それ故、例えば、周囲に、水酸化物イオンなどの水酸化物成分があるとき、オイル中でZnDTPは分解することがあり、その結果その効果は低減する。それ故、ZnDTPなどの加水分解する物質をオイル添加剤としてオイルに添加した場合には、オイル中の水酸化物成分の量を低減することが望まれる。
他方、上記特許文献1および2に記載のハイドロタルサイトは、オイル中で多くの水酸化物イオンを放出するという特性を有し、それ故にオイルに対して強塩基性を示す。したがって、上記特許文献1および2に記載のハイドロタルサイトは加水分解するオイル添加剤と相性がよくない。
そこで、本発明はかかる点に鑑みて創案されたものであり、その目的は、オイル中の酸性成分を除去するようにオイルに添加されることができ、かつ、オイル中で加水分解する添加剤と一緒に用いられることができる添加剤を提供することにある。
本発明の一態様は、オイルへ添加される添加剤であって、弱塩基性ハイドロタルサイトを含むことを特徴とする添加剤を提供する。この添加剤は、オイル中の酸性成分を除去するようにオイルに添加されることができ、かつ、オイル中で加水分解する添加剤と一緒に用いられることができる。
好ましくは、前記弱塩基性ハイドロタルサイトは、水素イオン指数が6〜7の範囲内にあるオイルに対して、1重量%のハイドロタルサイトと水とからなる混合物を3重量%添加して攪拌した際に、得られたオイルが6〜7の範囲内の水素イオン指数を示すハイドロタルサイトであるとよい。また、前記弱塩基性ハイドロタルサイトは、3重量%のハイドロタルサイトと水とからなる混合物が7以上10以下の水素イオン指数を示すハイドロタルサイトであるとよい。
前記弱塩基性ハイドロタルサイトは、
Mg8−xAlx(OH)y(CO3)z・mH2O
(ただし、式中、xは1以上7以下であり、y、zおよびmは正の有理数であり、zはyより大きい)
の組成を有するとよい。そして、例えば、xは2であり、yは1であり、zは16であることができる。
Mg8−xAlx(OH)y(CO3)z・mH2O
(ただし、式中、xは1以上7以下であり、y、zおよびmは正の有理数であり、zはyより大きい)
の組成を有するとよい。そして、例えば、xは2であり、yは1であり、zは16であることができる。
本発明の別の態様は、上記添加剤を含むことを特徴とするオイルフィルターを提供する。該オイルフィルターは、加水分解する添加剤をさらに含むことができる。
本発明のさらに別の態様は、上記添加剤を含むことを特徴とする機械の潤滑装置を提供する。該機械の潤滑装置は、加水分解する添加剤をさらに含むことができる。このような機械の潤滑装置は、上記オイルフィルターを備えることができる。
本発明の前述のおよび更なる特徴および利点は、添付図面の参照と共に、以下の例示的実施形態の説明から明らかになるであろう。
本発明は、オイルへ添加される添加剤に関する。本発明に係る添加剤は弱塩基性ハイドロタルサイトを含む。このような添加剤はオイル中に直接的に添加されることが可能である。例えば、添加剤は、内燃機関等の機械の潤滑装置のオイル中に直に添加されることができる。また添加剤はカートリッジ内に収容されて用いられることもできる。例えば添加剤はオイルフィルターに備えられる。このようなオイルフィルターなどのカートリッジは、内燃機関等の機械の潤滑装置のオイル通路に固定されるかまたは交換可能に設置されることができる。そして、その添加剤におけるハイドロタルサイトは、アニオン性イオン交換体であり、オイル中から酸性成分を除去する機能つまりオイル中で酸性成分を捕捉する機能を有する。加えて、そのハイドロタルサイトは、加水分解する物質と一緒に用いられることができ、添加剤は上記カートリッジまたは潤滑装置にそのような物質と一緒に適用されることができる。
以下に、本発明に係る一実施形態が適用された内燃機関(以下、エンジン)10が説明される。図1にエンジン10が概念的に示されている。ここでは、エンジン10は車両に搭載されている。ただし、本実施形態でのエンジン10は、直列4気筒形式のエンジンであるが、本発明が適用されるエンジンは、その気筒数や気筒配列形式ばかりか、火花点火式機関であるか圧縮着火式機関であるかさえも問わない。
エンジン10はクランクケースを一体的に備えたシリンダブロック12と、シリンダヘッド14と、シリンダヘッド14を上方から覆うヘッドカバー16と、オイルパン18とを備える。吸気通路20のスロットルバルブ22を介して取り込まれた空気と燃料噴射弁から噴射された燃料との混合気は燃焼室で燃焼され、排気は排気通路24を介して排出される。
エンジン10の潤滑装置26は、エンジン10内の複数の摺動部を含む複数の供給部位にオイルを供給するように構成されている。潤滑装置26は、ストレーナ28およびオイルポンプ30を備え、オイルパン18内に溜まるオイルはストレーナ28を通じてオイルポンプ30によって汲み上げられる(吸引される)。こうして汲み上げたオイルは図示しないオイルフィルターを介して、エンジン10に形成された(各供給部位に対応した複数の油路を含む)オイル通路32を通じて、エンジン10内の部位、例えばカムシャフトジャーナル、クランクジャーナル、コンロッド、ピストンに供給される。そして、こうして複数の部位に供給された潤滑油つまりオイルは自らの自重により最終的にはオイルパン18に戻る。なお、オイルがこのようにエンジン10内で循環するように流れる空間をここでは「オイル通路」と称している。
シリンダブロック12とシリンダヘッド14には、ヘッドカバー16内またはシリンダヘッド14内とクランクケース内つまりオイルパン18内とを連通するようにオイル戻し通路34が形成されている。オイル戻し通路34は、例えば動弁系の潤滑を終えたオイルをシリンダヘッド14からオイルパン18内へ向けて戻す(落とす)ための通路であると同時に、クランクケース内のブローバイガスをヘッドカバー16内に向けて上昇移動させるための通路である。なお、オイル戻し通路34の数は幾つであってもよい。
ここで、ブローバイガスとは、ピストンのピストンリングと、シリンダブロック12のシリンダボアとの隙間からクランクケース内へ漏れ出るガスのことである。このブローバイガスは多量の炭化水素や水分を含む。このため、ブローバイガスがあまりに多いとそれはエンジンオイルの早期劣化やエンジン内部の錆の原因になる。また、ブローバイガスには炭化水素が含まれているため、それをこのまま大気に解放することは環境上好ましくない。そのため、エンジン10は、図示しない既知のブローバイガス環流装置を備えている。ブローバイガスは、ヘッドカバー16内に導入された後、吸気負圧を利用して強制的に吸気系統へ戻され、燃焼室に供給される。
ところで、そのようなブローバイガス中には、例えばNOx、SOxおよび水分が含まれている。そして、例えば、ヘッドカバー16がエンジンからの熱を伝達されづらくかつその外面が外気に晒されて冷却風等によって冷却されるので、ヘッドカバー16の内面には結露等による凝縮水が生じやすい。よって、特にヘッドカバー16内では、それらの反応により、酸性物質、例えば硝酸、硫酸ができやすい。これら酸性物質は、潤滑油つまりエンジンオイルに混ざり得、エンジン内部におけるスラッジ前駆体およびスラッジの発生、付着、堆積を促し得る。
そこで、エンジンオイルからそのような酸性物質つまり酸性成分を除去するべく、エンジン10の潤滑装置26はオイルフィルター36を有する。なお、潤滑装置26は、図1においてはその一部のみが誇張して模式的に表されている。潤滑装置26は、上記オイル戻し通路34やオイルパン18内を含むオイル通路32をエンジン10において有し、オイル通路32の途中にオイルフィルター36を備える。
ただし、図1では、オイルフィルター36を含む実施形態における潤滑装置26の一部を誇張して表すべく、オイルフィルター36を含む潤滑装置26の一部がエンジン本体10´の外側に描かれている。しかし、オイルフィルター36等の設置位置は図1に表された位置に限定されるものではなく、種々の箇所に変更可能であり、例えば既存のオイルフィルターの設置位置に定められることも可能であり、例えばエンジン本体10´の各部の外側に接する部分にまたは内側に定められることが可能である。ただし、本実施形態では、オイルフィルター36は交換可能に設けられていて、外部から交換容易な位置に位置づけられている。
オイル通路32は、ここでは、エンジン10内の上記複数の供給部位にオイルを供給するための主オイル通路32aと、該主オイル通路32aにつながる副オイル通路(バイパス通路)32bとを備えている。上記オイルフィルター36は副オイル通路32bに位置づけられている。しかし、オイルフィルター36は主オイル通路32aに設けられてもよく、例えばオイル戻し通路34に設けられてもよい。なお、副オイル通路32bに流入したオイルは最終的にはその自重によりオイルパン18に流れ得る。
このような潤滑装置26における上記オイルフィルター36は、図2に示すように、フィルター部36a、36b、これらフィルター部36a、36bに挟まれるように外殻部材36cとフィルター部36a、36bとによって区画形成された収容部(収容室)36d、入口部36e、および出口部36fを有する。フィルター部36a、36bは、それぞれフィルター部材からなり、ここでは具体的に流路方向(図2の矢印a1、a2の方向)に実質的に延びるオイルが流通可能な複数の細孔を有する。フィルター部36a、36bは、オイル中の固体粒等の固形物を捕捉するように備えられている。また、フィルター部36a、36bは、収容部36dの形状、大きさを維持し、収容部36d内に設けられた複数の添加剤40つまり物質を保護および保持するように設けられている。なお、添加剤40は、反応体またはろ過体と称され得る。
なお、オイルフィルター36は、このような構成に限定されず、それら添加剤40を収容するように、かつ、エンジン10の潤滑装置26においてオイルがそこに収容された添加剤に触れることができるように、種々の形態に構成されることができる。例えば、オイルフィルターでは、金網ケース、金網や樹脂などを用いて形成された袋状ケース、メッシュタイプの(内筒と外筒との間に収納領域を有する)筒状ケース等が用いられてそれらの内部に収容部が形成され得、その中に複数の添加剤が入れられ得る。なお、オイルフィルターは種々のろ材を備えることができる。そして、それらのろ材に添加剤が混入されて保持されることが可能である。例えば、ろ材が繊維状物質からなる場合、そのようなろ材の隙間に添加剤は固定されたり保持されたりすることができる。また、オイルフィルター36は既存のオイルフィルターと同様の構成を主構成として有し、そこに添加剤40を備えることで構成されることができる。
収容部36dに収容された複数の添加剤40は、イオン交換体(イオン交換材料)である(イオン交換体の働きをする)ハイドロタルサイトを含む。ハイドロタルサイトは所定のイオン(イオン成分)を吸着する機能を有する。換言すると、所定のイオンをエンジンオイルから除去するべく、そのような所定のイオンを吸着する機能を収容部36dの添加剤40は有する。具体的には、ブローバイガス中のNOxと水とにより生じ得る硝酸イオン(NO3 −)、ブローバイガス中のSOxと水とにより生じ得る硫酸イオン(SO4 2−)をオイル中から除去するべくハイドロタルサイトは用いられる。なお、ハイドロタルサイトによってオイル中から除去されることが望まれる酸性成分は、硝酸イオン(NO3−)、硫酸イオン(SO4 2−)ばかりでなく、例えば、ブローバイガスに基づいて生じ得る酢酸イオン(CH3COO−)、同様にブローバイガスに基づいて生じ得るギ酸イオン(HCOO−)がある。ハイドロタルサイトは、これらを含む群またはこれらからなる群から選択された少なくとも1つの成分を吸着する機能を有することができる。
したがって、潤滑装置26に設けられたオイルフィルター36をオイルが通過するとき、オイルフィルター36の複数の添加剤40の作用によってオイル中の上記したような酸性成分をオイルから除去することができる。故に、エンジン10では、スラッジ前駆体およびスラッジの生成が抑制可能である。
なお、オイルフィルター36は上記したように交換可能である。そしてその交換時に、オイルフィルター36の設置部分、ここでは副オイル通路32bにオイルが流れないように、オイルフィルター36の前後に弁42、44が設けられている。これらの弁42、44は、それぞれここでは制御弁であり、エンジン10の制御装置としての機能を有する電子制御ユニット(不図示)からの信号に基づいて作動するアクチュエータの作動により開閉動作する。オイルフィルター32の交換時には、例えば、エンジン10の連続運転時間が所定時間に達したときには、弁42、44がそれぞれ閉じられて、アラームを点灯させることなどによりドライバーにその交換が促され得る。なお、弁42、44は、それぞれ手動式の開閉弁であってもよい。
ここで、添加剤40に関して説明する。オイルフィルター36には、上記したように添加剤40としてハイドロタルサイトが収容されている。添加剤40としてハイドロタルサイトに加えて他の種々の物質が含まれることができ、ここではオイルフィルター36にオイル添加剤であるZnDTPが一緒に収容されている。ただし、添加剤40としてハイドロタルサイトのみが用いられることが可能であり、オイルフィルター36に添加剤としてハイドロタルサイトのみが収容されることができる。ハイドロタルサイトは、ここでは粉状体であり、より具体的には微細粒からなり、それらはそれぞれ0.001mm以上1mm以下の範囲の大きさを有する。好ましくは、各ハイドロタルサイトは、0.1mm〜1mmの大きさを有するとよい。なお、このようなハイドロタルサイトがオイルフィルター36から漏れ出ないように、オイルフィルター36は構成される。ただし、ハイドロタルサイトは粉状体ではなく、所定形状を有する一体的なブロック体として構成されて、オイルフィルター36に収容されてもよい。そして、オイルフィルター36には、エンジンオイルが流れ得るので、エンジンオイルの温度に耐えられることが必要とされる。ハイドロタルサイトは、(例えば0℃以上)160℃以下の温度範囲での使用に絶えられ得、好ましくは100℃以下の温度で使用され得る。
さて、ここでいうハイドロタルサイトとは、特に、AlとMgとを主成分として構成された骨格部分の層と、該層の間にサンドイッチ状に挟まれた陰イオンとを含む層状化合物である。このハイドロタルサイトは、ハイドロタルサイト様化合物と称される場合もある。ハイドロタルサイトは、イオン交換体としての機能を有し、オイル中で、オイル中の(上記硝酸イオンなどの)酸性成分を吸着し、その代わりに陰イオンを放出する機能を有する。
ハイドロタルサイトは、そのような層の間に、陰イオンである、水酸化物イオン(OH−)と炭酸イオン(CO3 2−)とを含むことができる。これら水酸化物イオンおよび炭酸イオンは、ハイドロタルサイトが水中にまたはオイル中にあるとき、ハイドロタルサイトから放出されることがある。そして、これら水酸化物イオンおよび炭酸イオンは放出された液体の塩基性を高め得、特に水酸化物イオンはその液体の塩基性を強く高め得る。
ここで、本発明におけるハイドロタルサイトは、弱塩基性のハイドロタルサイトである。弱塩基性ハイドロタルサイトとは、水素イオン指数(pH)が6〜7の範囲内にあるオイルに対して、1重量%のハイドロタルサイトと水とからなる混合物を3重量%添加して攪拌した際に、得られたオイルが6〜7の範囲内のpHを示すハイドロタルサイトである。また、弱塩基性ハイドロタルサイトは、ここでは3重量%のハイドロタルサイトと水とからなる混合物が7以上10以下の水素イオン指数を示すハイドロタルサイトである。
このような弱塩基性のハイドロタルサイトは、水酸化物イオンに比べて多くの炭酸イオンを含むような組成を有する。そのようなハイドロタルサイトとしては、「Mg6Al2(OH)(CO3)16」が挙げられる。このようなハイドロタルサイトは一般には水和物として存在し得、例えばそれは「Mg6Al2(OH)(CO3)16・mH2O(ただし、mは正の有理数である。)」と表されることができる。なお、本発明におけるハイドロタルサイトにおける炭酸イオンと水酸化物イオンとの組成比率(炭酸イオン/水酸化物イオン)は1より大きく、好ましくは15または16以上であるとよい。そして、本発明では、ハイドロタルサイトにおけるMgとAlの比率は如何なる値であってもよい。
換言すると、そのような弱塩基性ハイドロタルサイトは、下記(2)式の組成を有することができる。
Mg8−xAlx(OH)y(CO3)z・mH2O (2)
ただし、(2)式中、xは1以上7以下であり、y、zおよびmは正の有理数であり、zはyより大きい。なお、xは、好ましくは2以上5以下である。
Mg8−xAlx(OH)y(CO3)z・mH2O (2)
ただし、(2)式中、xは1以上7以下であり、y、zおよびmは正の有理数であり、zはyより大きい。なお、xは、好ましくは2以上5以下である。
このようなハイドロタルサイトは、相対的に、水酸化物イオンを少量含み、炭酸イオンを多く含む。それ故、このようなハイドロタルサイトはオイル中で水酸化物イオンを多量に放出することが無い。他方、ハイドロタルサイトは炭酸イオンを放出するが、これは主に二酸化炭素などの気体になる。それ故、オイルフィルター36にハイドロタルサイトと共に添加剤として一緒に入れられたZnDTPは加水分解する物質であるが、弱塩基性ハイドロタルサイトによってそれの分解が促進されることは問題にならない程度である。したがって、ハイドロタルサイトは、加水分解する他の物質、特にオイル添加剤と一緒に用いられることができる。なお、加水分解する添加剤には、加水分解することで酸性物質を生成する添加剤がある。このような添加剤は、例えば、加水分解することでSO4 2−、NO3 −などの酸性物質、換言すると酸分解物を生成する。上記ハイドロタルサイトは、好適に、このような添加剤と一緒に用いられることができる。
以下に、上記弱塩基性ハイドロタルサイトの性質および作用効果を調べるべく行った実験のうちの数例が説明される。以下の実験では、本発明の範囲内のハイドロタルサイトとして、和光純薬工業株式会社製の上記組成の「Mg6Al2(OH)(CO3)16」(以下、「HT」と称される。)を用いた。また、実験では、比較対照される添加剤として、本発明の対象外の、Aldrich社製のハイドロタルサイト「Mg6Al2(OH)17(CO3)」(以下、「強HT」と称される。)を用いた。さらに、実験では、比較対照される添加剤として、弱塩基性のオキシ炭酸Zrつまり「ZrOCO3・ZrO2・nH2O(ただしnは整数である。)」を用いた。そして、実験では、未使用オイルとしてトヨタ自動車株式会社製のキャッスル(登録商標)の5W30を用いた。また、実験車両において市街地走行距離が30,000kmになるまで使われ続けた搭載エンジンでのオイルを、以下の実験で劣化したオイル(劣化オイル)として用いた。なお、実験車両に搭載されたエンジンではエンジンオイルとして上記5W30を用いた。
なお、オイル添加剤としてのHTの優れた性質およびHTによる優れた効果が以下に具体的に説明される。上記(2)式で表すことができるハイドロタルサイトは、当該HTを含み、HTの以下の性質と同様の性質を有し、HTによる以下の効果と同様の優れた効果を奏するだろう。
(実験例1)
まず、未使用のオイル中でのHTおよび強HTのそれぞれの性質を調べるべく行った実験の結果が説明される。その実験結果は図3に表されている。
まず、未使用のオイル中でのHTおよび強HTのそれぞれの性質を調べるべく行った実験の結果が説明される。その実験結果は図3に表されている。
この実験では、水素イオン指数が6〜7の範囲内にある未使用オイルに対して、1重量%のHTと水とからなる混合物を3重量%添加して攪拌して、被験オイル11(図3中の「未使用オイル+HT」)を作った。また、同未使用オイルに対して、1重量%の強HTと水とからなる混合物を3重量%添加して攪拌して、被験オイル12(図3中の「未使用オイル+強HT」)を作った。そして、そうして得られたオイル11、12のpHを測定した。
図3には、オイル11、12のpHと共に、未使用オイル13のpHも表されている。未使用オイル13はそのpHが6.45であるので中性であり、そこにHTを加えたオイル11もそのpHが6.48であり中性であった。このように、HTは、未使用のオイル中で問題になる程度のイオンを放出しない。これに対して、強HTを加えたオイル12は、そのpHが8.32であり、明らかにアルカリ性であった。このように、強HTは強塩基性であり、水酸化物イオンをオイルに多量に放出する特性を有し、故にZnDTPと一緒の使用には不適である。
このように、HTは、pHが6〜7の範囲内にあるオイルに対して、1重量%のHTと水とからなる混合物を3重量%添加して攪拌した際に、得られたオイルが6〜7の範囲内のpHを示すハイドロタルサイトである。
なお、3重量%のHTと水(蒸留水)とからなる混合物は7以上10以下のpHを示した。これに対して、同量の強HTと水とからなる混合物は11以上のpHを示した。
(実験例2)
次に、未使用のオイル中でのHTおよび強HTのそれぞれの性質を調べるべく行った実験の結果が説明される。この実験の結果は図4に表されている。
次に、未使用のオイル中でのHTおよび強HTのそれぞれの性質を調べるべく行った実験の結果が説明される。この実験の結果は図4に表されている。
この実験では、30gの未使用のオイルに1gのHTを添加して攪拌した混合オイルを95℃で12時間維持することで被験オイル21(図4中の「未使用オイル+HT」)を作った。同様に、30gの未使用のオイルに1gの強HTを添加して攪拌した混合オイルを95℃で12時間維持することで被験オイル22(図4中の「未使用オイル+強HT」)を作った。さらに、添加剤なしの30gの未使用のオイルを95℃で12時間維持することで被験オイル23(図4中の「未使用オイル」)を作った。そして、これらオイル21、22、23の全酸価をそれぞれ測定した。
図4から明らかなように、HTを添加したオイル21の全酸価は、添加剤なしのオイル23の全酸価とほぼ同じであった。これに対して、強HTを添加したオイル22の全酸価は、添加剤なしのオイル23の全酸価の約5%であった。これらは、HTがオイル中で弱塩基性を示すのに対して、強HTがオイル中で強塩基性を示すことに相当する。
(実験例3)
さらに、上記実験例2で用いたオイル21、22において、添加剤の分散状態を目視検査した。HTを加えたオイル21ではHTは概ね沈殿し、オイル21はほとんど濁らなかった。これに対して、強HTを加えたオイル22では強HTはオイル中に概ね分散状態にあり、それは一部コロイド化した。したがって、HTは、強HTに比べて格段に、オイルへの添加剤として用いるのに適する。
さらに、上記実験例2で用いたオイル21、22において、添加剤の分散状態を目視検査した。HTを加えたオイル21ではHTは概ね沈殿し、オイル21はほとんど濁らなかった。これに対して、強HTを加えたオイル22では強HTはオイル中に概ね分散状態にあり、それは一部コロイド化した。したがって、HTは、強HTに比べて格段に、オイルへの添加剤として用いるのに適する。
(実験例4)
オイル中での硝酸に対する吸着能力を調べるべく行った実験の結果が次に説明される。この実験結果は図5に表される。
オイル中での硝酸に対する吸着能力を調べるべく行った実験の結果が次に説明される。この実験結果は図5に表される。
この実験では、1規定度の硝酸が3mL分、27mLの未使用オイルに加えられた。そして、この硝酸入りのオイルにさらに1gのHTを添加して攪拌した混合オイルを95℃で2時間維持することで被験オイル41(図5中の「未使用オイル+HNO3+HT」)を作った。同様に、その硝酸入りのオイルにさらに1gのオキシ炭酸Zrを添加して攪拌した混合オイルを95℃で2時間維持することで被験オイル42(図5中の「未使用オイル+HNO3+オキシ炭酸Zr」)を作った。また、添加剤を加えずにその硝酸入りのオイルを95℃で2時間維持することで被験オイル43(図5中の「未使用オイル+HNO3」)を作り、添加剤を加えずに未使用オイルを95℃で2時間維持することで被験オイル44(図5中の「未使用オイル」)を作った。そして、それらオイル41、42、43、44のそれぞれのpHを測定した。
図5から明らかなように、未使用のオイル44のpHは6.45であったが、硝酸を加えたオイル43のpHは5.75であった。しかし、HTを加えたオイル41では、そのpHが6.48であった。これにより、HTによりオイル中の硝酸が十分に吸着除去されることが明らかになった。これに対して、オキシ炭酸Zrを加えたオイル42では、そのpHは5.72であり、そのようなpHの改善は起こらなかった。したがって、オキシ炭酸Zrに比べて格段に、HTはオイル中で優れた酸性成分の吸着機能を有する。
(実験例5)
また、上記実験例4で作製したオイル41、43、44のそれぞれの色および臭いを比較した。未使用のオイル44と、HTと硝酸を加えたオイル41との間には、色および臭いに関して違いは無かった。これに対して、硝酸のみを加えたオイル43は、未使用のオイル44に比べて異なる色を有し、硫黄臭を発した。このことからも、HTが、オイル中で十分な酸性成分の吸着機能を有することは明らかである。
また、上記実験例4で作製したオイル41、43、44のそれぞれの色および臭いを比較した。未使用のオイル44と、HTと硝酸を加えたオイル41との間には、色および臭いに関して違いは無かった。これに対して、硝酸のみを加えたオイル43は、未使用のオイル44に比べて異なる色を有し、硫黄臭を発した。このことからも、HTが、オイル中で十分な酸性成分の吸着機能を有することは明らかである。
(実験例6)
HTの酸性成分の吸着特性を調べるべく行った実験が次に説明される。この実験結果は図6に表される。
HTの酸性成分の吸着特性を調べるべく行った実験が次に説明される。この実験結果は図6に表される。
この実験では、所定量のHTを含む水(蒸留水)に所定濃度の硝酸水溶液を滴下し、その滴下後の水におけるpHを調べた。具体的には、50mLの蒸留水にHTを1g添加して攪拌した水W1、50mLの蒸留水にHTを0.1g添加して攪拌した水W2、50mLの蒸留水にHTを0.01g添加して攪拌した水W3、およびHTを有さない50mLの蒸留水W4を用意した。これらに対して、1M(mol/L)の硝酸水溶液H1、0.1Mの硝酸水溶液H2、0.01Mの硝酸水溶液H3を用意した。そして、水W1には硝酸水溶液H1を、水W2には硝酸水溶液H2を、水W3には硝酸水溶液H3を、そして、水W4には硝酸水溶液H3を、それぞれ所定量ずつ滴下して攪拌した。そして、滴下してから1分後の水がそれぞれ被験液61、62、63、64とされて、それぞれの被験液においてpHを測定した。
その結果、図6に示すように、全体的に、HTによる酸吸着効果が認められた。しかし、酸濃度の強い硝酸水溶液H1を水W1に添加した被験液61および酸濃度の強い硝酸水溶液H2を水W2に添加した被験液62は、酸濃度の弱い硝酸水溶液H3を水W3に添加した被験液63よりも中性に近かった。このように、HTを添加した被験液61、62、63は、弱い酸を添加した液ほど、そのpHが低下するという傾向を示した。これより、HTは弱酸に対してよりも強酸に対して優れた酸吸着性能を有し、HTは液の酸性度が高くなるほど酸性成分を捕捉する能力が高まるという特性を有することが明らかになった。それ故、HTは、ある程度、酸濃度の高まった液体、具体的には劣化オイル中で、優れた酸性成分吸着効果を発揮するに違いない。
(実験例7)
劣化オイルに対する効果を調べるべく行った実験の結果が次に説明される。この実験結果が図7に表される。
劣化オイルに対する効果を調べるべく行った実験の結果が次に説明される。この実験結果が図7に表される。
この実験では、27mLの劣化オイルに1gのHTを添加して攪拌した混合オイルを95℃で2時間維持することで被験オイル71(図7中の「劣化オイル+HT」)を作った。また、同様に、27mLの劣化オイルに1gのオキシ炭酸Zrを添加して攪拌した混合オイルを95℃で2時間維持することで被験オイル72(図7中の「劣化オイル+オキシ炭酸Zr」)を作った。そして、添加剤を加えずに劣化オイルを95℃で2時間維持することで被験オイル73(図7中の「劣化オイル」)を作り、添加剤を加えずに未使用オイルを95℃で2時間維持することで被験オイル74(図7中の「未使用オイル」)を作った。そして、それらオイル71、72、73、74のそれぞれのpHを測定した。
図5から明らかなように、未使用オイル74のpHは6.48であるのに対して、劣化オイル73のpHは3.98であった。そして、オキシ炭酸Zrを添加したオイル72のpHは3.95であったが、HTを添加したオイル71のpHは5.20であった。本実験からも、HTがオイル中で十分な酸性成分の吸着機能を有することが明らかになった。
(実験例8)
そして、HT添加による劣化オイルにおけるスラッジ抑制効果を調べるべく行った実験の結果が次に説明される。
そして、HT添加による劣化オイルにおけるスラッジ抑制効果を調べるべく行った実験の結果が次に説明される。
この実験では、上記実験例7で作ったオイル73およびHTを加えたオイル71の動粘度をそれぞれ測定した。HTを加えなかった劣化オイル73の粘度は300cP以上であった。これに対して、HTを加えた劣化オイル71の粘度は27cP程度であり、オイル71は未使用オイルのような流動特性を有した。これより、HTをオイルに添加することで、オイル中から酸性成分を吸着除去でき、その結果、優れたスラッジ抑制効果がもたらされることが明らかになった。
(実験例9)
上記エンジン10と同様の構成を有するエンジンを搭載した実験車両を用いて、HTによる効果を調べた。その実験結果が図8に表されている。
上記エンジン10と同様の構成を有するエンジンを搭載した実験車両を用いて、HTによる効果を調べた。その実験結果が図8に表されている。
この実験では、HTを収容した上記オイルフィルター36の如きオイルフィルターを作製して、所定時期に実験車両のエンジンに組み入れた。実験で用いたオイルフィルターには、平均粒径が5〜15μmのHTの粉末が80g収容された。そして、実験車両の市街地走行距離が15,000kmに達したときに、当該オイルフィルターは実験車両に導入された。
図8には、HTを有するオイルフィルターを上記所定時期に導入した場合の実験車両のエンジンにおけるオイルの酸価の変化がその走行距離に対して表されている。さらに、図8には、そのようなオイルフィルターを導入しなかった場合つまりHT無しでの実験車両のエンジンにおけるオイルの酸価の変化が同様に表されている。なお、図8では、オイルフィルターを導入した時が矢印で表されている。
図8から明らかなように、走行距離の増加にしたがって、オイル中の酸価は増大した。これに対して、オイルフィルターを導入した場合つまりHTが有る場合には、その導入直後からオイルの酸価が低下し、その後のオイルの酸価の上昇速度が遅くなった。このように、エンジンの潤滑装置のオイル中にHTを導入することは、オイル中の酸価を低減することに貢献し、これによりスラッジの生成等を抑制できる。
なお、上記実験を通じて、HTが常温(例えば20℃)以上160℃以下の温度範囲のオイル内で酸性成分の吸着機能を十分に発揮することが確かめられた。ただし、HTの使用領域は、好ましくは、100℃以下の温度範囲にされ得る。
以上、本発明を、上記実施形態、その変形例および実験例に基づいて説明した。しかし、本発明は、それら実施形態等に限定されず、他の実施形態を許容する。本発明には、特許請求の範囲によって規定される本発明の思想に包含されるあらゆる変形例や応用例、均等物が含まれる。
Claims (10)
- オイルへ添加される添加剤であって、
弱塩基性ハイドロタルサイトを含むことを特徴とする添加剤。 - 前記弱塩基性ハイドロタルサイトは、水素イオン指数が6〜7の範囲内にあるオイルに対して、1重量%のハイドロタルサイトと水とからなる混合物を3重量%添加して攪拌した際に、得られたオイルが6〜7の範囲内の水素イオン指数を示すハイドロタルサイトであることを特徴とする請求項1に記載の添加剤。
- 前記弱塩基性ハイドロタルサイトは、3重量%のハイドロタルサイトと水とからなる混合物が7以上10以下の水素イオン指数を示すハイドロタルサイトであることを特徴とする請求項1または2に記載の添加剤。
- 前記弱塩基性ハイドロタルサイトは、
Mg8−xAlx(OH)y(CO3)z・mH2O
の組成を有し、
xは1以上7以下であり、y、zおよびmは正の有理数であり、zはyより大きい
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の添加剤。 - xは2であり、yは1であり、zは16であることを特徴とする請求項4に記載の添加剤。
- 請求項1から5のいずれかに記載の添加剤を含むことを特徴とするオイルフィルター。
- 加水分解する添加剤をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載のオイルフィルター。
- 請求項1から5のいずれかに記載の添加剤を含むことを特徴とする機械の潤滑装置。
- 加水分解する添加剤をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の機械の潤滑装置。
- 請求項6または7に記載のオイルフィルターを備えることを特徴とする機械の潤滑装置。
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