JP2011247153A - 内燃機関のオイル劣化抑制装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】オイル劣化の抑制効率を高く維持してオイル劣化を長期に亘り抑制することができる内燃機関のオイル劣化抑制装置を提供する。
【解決手段】圧力源30からオイル通路を介して潤滑オイルを供給する潤滑オイル供給装置を備える内燃機関10において、オイル通路を形成する部材(35、36A、36B、37、39)のうち、外表面がブローバイガスと接触する部位が、少なくともオイル劣化抑制機能を有する機能性樹脂を含む透過性構造体で断面が閉空間の中空部材(40)によって形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は内燃機関、特に、スラッジ生成及びオイル劣化の抑制に好適な内燃機関のオイル劣化抑制装置に関する。
一般に内燃機関は潤滑オイル供給装置を備え、各運動部品の摺動部の潤滑や運動部品そのものの冷却を行うことにより、フリクションの低減などを図るようにしている。ここで用いられる潤滑オイルに対しては種々の劣化要因が知られている。例えば、ブローバイガス中のNOxとヘッドカバー内で発生し易い凝縮水とが反応することにより形成される酸性物質が潤滑オイルに混入すると、スラッジの発生や潤滑オイルの劣化を加速することになり、潤滑オイルの各機能を低下させる。
このような潤滑オイルの劣化の問題に対処するために、特許文献1には、潤滑剤(オイル)の供給経路に内燃機関内で使用可能な潤滑剤添加物の性能を置換又は補完するように調整された化学オイルフィルターを有する内燃機関用潤滑剤システムが開示されている。
特表2008−540123号公報
ところで、特許文献1に記載の技術は、内燃機関内で使用可能な洗浄剤や分散剤などの潤滑剤(オイル)添加物の性能を置換又は補完するように調整された化学オイルフィルターを用い、その化学オイルフィルターが粒子状物質を結合した多孔性構造に形成されている。したがって、その化学オイルフィルターが新しいうちは、潤滑オイルの濾過ないしは通過に支障を来たすことなく所望の効果を奏することが期待できるが、使用が継続すると潤滑オイル中に含まれる固形の異物が表面ないしは孔内に蓄積することにより、潤滑オイルの劣化抑制効果が早期に低減されるという問題がある。また、内燃機関の運転中には化学オイルフィルターと通過する潤滑オイルとの接触機会があるが、内燃機関の停止中には接触機会がほとんど無くなりオイル劣化の抑制効率が低いという問題もある。
そこで、本発明の課題は、上述の問題を解消し、オイル劣化の抑制効率を高く維持してオイル劣化を長期に亘り抑制することができる内燃機関のオイル劣化抑制装置を提供することにある。
上記課題を解決する本発明係る内燃機関のオイル劣化抑制装置の一形態は、圧力源からオイル通路を介して潤滑オイルを供給する潤滑オイル供給装置を備える内燃機関(エンジン)において、前記オイル通路を形成する部材のうち、外表面がブローバイガスと接触する部位の少なくとも一部が、少なくともオイル劣化抑制機能を有する機能性樹脂を含む透過性構造体で断面が閉空間の中空部材によって形成されていることを特徴とする。
この形態によれば、内燃機関の運転中に潤滑オイル供給装置により圧力源からオイル通路を介して潤滑オイルが供給されると、少なくともオイル劣化抑制機能を有する機能性樹脂を含む透過性構造体で断面が閉空間の中空部材によって形成されている、外表面がブローバイガスと接触する部位の少なくとも一部から、潤滑オイルがその外表面側に透過する。この結果、機能性樹脂のオイル劣化抑制機能により、潤滑オイル中に含まれる硝酸イオン、硫酸イオン等の酸性物質成分、潤滑オイル添加物から生じた成分、エンジンの構成部材の磨耗及び/又は溶出により生じた成分などを含むオイル劣化成分が潤滑オイル中から除去される。一方、内燃機関の停止中には、中空部材中の潤滑オイルがなくなり、ブローバイガスと接触している外表面側からブローバイガスが中空部材内に透過する。この結果、同じく機能性樹脂のオイル劣化抑制機能により、ブローバイガス中に含まれているオイル劣化成分が除去される。したがって、オイル劣化抑制機能を有する機能性樹脂が潤滑オイル及びブローバイガスの双方と接触する機会が多くなり、双方に含まれているオイル劣化成分が除去されるので、スラッジの生成が抑制されオイル劣化の抑制効率を高く維持してオイル劣化を長期に亘り抑制することができる。なお、本明細書においてオイル劣化抑制機能とは、潤滑オイル中に含まれる硝酸イオン、硫酸イオン等の酸性物質成分、潤滑オイル添加物から生じた成分、エンジンの構成部材の磨耗及び/又は溶出により生じた成分などを含むオイル劣化成分を潤滑オイル中から除去すること、及び/又はオイル劣化成分によるオイルの劣化作用を停止又は抑制する機能を意味する。
ここで、上記一形態において、前記オイル通路を形成する部材の外表面がブローバイガスと接触する部位は、ヘッドカバー内に配置されカムシャフトのカムノーズの摺動部に潤滑オイルを供給するオイルデリバリーパイプであってもよい。
この形態によれば、部品点数を増大させることなく、既存のオイルデリバリーパイプの機能を維持しつつオイル劣化を抑制することができる。
また、上記形態の前記オイルデリバリーパイプにおいて、カムシャフトのカムノーズの上方に位置する部位が前記中空部材によって形成されていてもよい。
この形態によれば、前記中空部材を透過した潤滑オイルがその自重によりカムシャフトのカムノーズに落下することで所定部位に給油できるので、オイルデリバリーパイプへの孔成形や孔加工が不要となる。
さらに、上記一形態において、前記オイル通路を形成する部材の外表面がブローバイガスと接触する部位は、ヘッドカバー内に配置され、オイルセパレーターの底部を構成すると共にカムシャフトのカムノーズの摺動部に潤滑オイルを供給するオイルデリバリープレートであってもよい。
この形態によれば、部品点数を増大させることなく、既存のオイルセパレーターやオイルデリバリーパイプの機能を維持しつつオイル劣化を抑制することができる。
また、前記オイル通路を形成する部材の外表面がブローバイガスと接触する部位は、ヘッドカバー内に配置された、過給器からのオイル戻しパイプであってもよい。
この形態によれば、内燃機関の自体の冷機時から高温の過給器で暖められた潤滑オイルがオイル劣化抑制機能を有する機能性樹脂と接触するので、当該機能性樹脂の劣化抑制効率を向上させることができる。
なお、前記オイル戻しパイプは、さらにシリンダーブロックのオイル戻し通路内に挿入されて配設されていることが好ましい。
この形態によれば、オイル劣化抑制機能を有する機能性樹脂が潤滑オイル及びブローバイガスの双方と接触する機会が多くなり、オイル劣化の抑制効率をさらに高くすることができる。
本発明によれば、オイル劣化の抑制効率が高く維持されオイル劣化を長期に亘り抑制することができる。
本発明に係る内燃機関のオイル劣化抑制装置の一実施形態を概略的に示す透視的斜視図である。 本発明に係る内燃機関のオイル劣化抑制装置の一実施形態に用いられる機能性樹脂を含む透過性構造体の中空部材の一例を示す一部断面図である。 図1の一実施形態において、オイルデリバリーパイプの実施形態を概略的に示す模式的側面図である。 図1の一実施形態において、過給器からのオイル戻しパイプの実施形態を概略的に示す模式的側断面図である。 オイルセパレーターの底部を構成するオイルデリバリープレートの実施形態を概略的に示す模式的側断面図である。
以下、本発明の好適実施形態を添付図面に基づいて詳述する。図1には、本発明に係る内燃機関のオイル劣化抑制装置の一実施形態を概略的に示す透視的斜視図が示されている。
当該オイル劣化抑制装置の一実施形態におけるエンジン10は、シリンダーブロック12と、シリンダーブロック12の下部に設けられたクランクケース14と、シリンダーブロック12の上部に設けられたシリンダーヘッド16と、シリンダーヘッド16の上部に設けられてこれを上方から覆うヘッドカバー18と、クランクケース14の下部に設けられてこれを下方から覆うオイルパン20とを備えている。
シリンダーヘッド16には動弁室22が区画形成されている。具体的には、動弁室22はシリンダーヘッド16とヘッドカバー18により画成され、両者に囲まれた空間領域からなる。動弁室22には、吸気ポート及び排気ポートをそれぞれ開閉する吸気弁23A及び排気弁23Bと、吸気弁23A及び排気弁23Bをそれぞれ閉方向に付勢する不図示のバルブスプリングと、吸気弁23A及び排気弁23Bをそれぞれ開方向に駆動する吸気カムシャフト25A及び排気カムシャフト25Bとからなる動弁機構が設けられている。
他方、クランクケース14とオイルパン20によりクランク室24が区画形成され、クランク室24には、後でそれぞれ詳しく説明する、ピストン15にコネクティングロッド17を介して連結されたクランクシャフト19が配設されると共に、その底部のオイルパン20にオイルが貯留される。
さらに、シリンダーブロック12とシリンダーヘッド16には、これらを上下に貫通し、動弁室22とクランク室24とを連通する後述のオイル落としないしはオイル戻し通路28(図1には示されていない)が形成されている。このオイル戻し通路28は好ましくは複数個設けられる。オイル戻し通路28は、動弁機構の潤滑を終えてシリンダーヘッド16上に滞留したオイルをクランク室24、延いてはオイルパン20へ向けて戻すための通路である。なお、本実施形態のオイル戻し通路28は、クランク室24内のブローバイガスをヘッドカバー18内に向けて上昇移動させるための通路でもある。クランク室24からヘッドカバー18に向かって上昇移動するブローバイガスには、クランク室24内でのオイルの攪拌、蒸発によって生成されたオイルミストも含まれている。
そして、このエンジン10は、圧力源としてのオイルポンプ30を含む潤滑オイル供給装置を備えている。当該オイルポンプ30はストレーナ31を介してオイルパン20内の潤滑オイルを吸引し、オイルフィルター32を介してエンジン10内に形成ないしは配置されたオイル通路を通じて、エンジン10内の各運動部品に供給し、各運動部品の軸受摺動部の潤滑や運動部品そのものの冷却を行うことにより、フリクションの低減などを図るようにしている。より具体的には、オイルフィルター32を出た潤滑オイルはメインオイルギャラリー33に送られ、そこから上述の吸気カムシャフト25A及び排気カムシャフト25Bの軸受摺動部に対し、オイル通路34を介して潤滑オイルが供給される。さらに、メインオイルギャラリー33からは、オイル通路35を介して、ヘッドカバー18内に配置されたカムシャフト25A,25Bのそれぞれのカムノーズの摺動部に、後述のように、潤滑オイルを供給する2本のオイルデリバリーパイプ36A、36Bに潤滑オイルが供給される。
また、本実施の形態では、オイルフィルター32を出た潤滑オイルがエンジン10内に形成されたメインオイルギャラリー33に送られるのとは別に、オイル供給パイプ37を介して過給器としてのターボチャージャー38の軸受け部に送られている。そして、この軸受け部を出た潤滑オイルはオイル戻しパイプ39を介してエンジン10内に戻される。さらに、このオイル戻しパイプ39はエンジン10内において、外表面がブローバイガスと接触する部位の部材が、後述するように、オイル劣化抑制機能を有する機能性樹脂を含む透過性構造体で断面が閉空間の中空部材によって形成されている。 なお、この実施形態のエンジン10では、周知のように、上述の吸気ポートに連通する吸気通路に、スロットルバルブとその上流端にエアクリーナーが設けられている。スロットルバルブの下流側にはサージタンクが設けられ、多気筒内燃機関であるエンジン10の各気筒の吸気ポートにサージタンクから吸気を分配するようになっている。また、各気筒の排気ポートには不図示の排気通路が接続される。そして、この実施形態のエンジン10は、図示を省略するが、ブローバイガス還流装置を備えており、動弁室22を画成している領域とスロットルバルブの下流の吸気通路とが、ブローバイガス還流通路により接続、連通される一方、動弁室22を画成している領域とスロットルバルブ上流側の吸気通路とが、新気導入通路により連通されている。なお、ブローバイガス還流通路の入口部には、吸気負圧の大きさに応じて開度が変更されるPCVバルブが設けられている。
なお、本実施形態では、ヘッドカバー18内にスラッジの生成または付着を抑制するための不図示のスラッジ抑制層が設けられている。このスラッジ抑制層は塗布によりヘッドカバー18内面に形成されている。スラッジ抑制層のスラッジ抑制剤は、好ましくは固体のアルカリ性物質からなり、具体的にはアルカリ性物質として炭酸カルシウム(CaCO3)が用いられている。スラッジ抑制層は、前述の酸性物質を中和するように作用する。
ここで、本発明で用いられるオイル劣化抑制機能を有する機能性樹脂を含む透過性構造体で断面が閉空間の中空部材の実施例につき図2を参照して説明する。本実施形態のオイル劣化抑制機能を有する機能性樹脂としては、イオン交換樹脂を含むことができる。イオン交換樹脂は、潤滑オイル中の所定のイオン(イオン成分)を吸着する機能、換言すると、所定のイオンを潤滑オイルから除去する機能、又は潤滑オイル中の所定のイオンを吸着する代わりに、別のイオンを放出する機能を有する。ここでのイオン交換樹脂は、潤滑オイル中に含まれている酸化防止剤、金属系洗浄剤、摩擦調整剤、無灰分散剤、pH調整剤などの添加剤や、エンジン10での燃焼による副生成物の種類に対応させて、アニオン性イオン交換樹脂及び/又はカチオン性イオン交換樹脂を用いることができる。なお、イオン交換樹脂としては、例えば、三菱化学社製ダイヤイオン(登録商標)シリーズのイオン交換樹脂、ローム・アンド・ハース社製アンバーライト(登録商標)シリーズのイオン交換樹脂を用いることができ、これらのうち粒状又は膜状のものを、例えば、ウレタンをバインダーとして固化させて、図2に示すような、多孔質の透過性構造体で断面が閉空間の中空部材40を形成することができる。この中空部材40の断面閉空間内がオイル通路として作用し、多孔質の透過性構造体であることからオイルの圧力に応じてオイルが外表面に漏出し、オイルが存在しないときにはブローバイガスと接触している外表面からブローバイガスが断面閉空間内に浸透する。
そこで、前述のオイルデリバリーパイプ36A(36B)を上記中空部材40で形成した実施形態を、図3を参照して説明する。この実施形態においては、ヘッドカバー18内に配置されたカムシャフト25A(25B)のカムノーズ25AN(25BN)の上方に位置する部位が下方に湾曲されて、中空部材40によって形成されている。もちろん、オイルデリバリーパイプ36A(36B)の全体を中空部材40によって形成してもよい。
この実施形態によれば、エンジン10の運転中に潤滑オイル供給装置によりオイルポンプ30からオイル通路35を介してオイルデリバリーパイプ36A(36B)に潤滑オイルが供給されると、潤滑オイルがその外表面側に透過する。そして、この透過した潤滑オイルは表面張力により中空部材40の外表面に保持されつつ湾曲部の下方に伝わり、最下部から自重によりカムノーズ25AN(25BN)へ滴下することになる。この結果、機能性樹脂のオイル劣化抑制機能により、潤滑オイル中に含まれる硝酸イオン、硫酸イオン等の酸性物質成分、潤滑オイル添加物から生じた成分、エンジンの構成部材の磨耗及び/又は溶出により生じた成分などを含むオイル劣化成分が潤滑オイル中から除去される。一方、エンジン10の停止中には、中空部材40中の潤滑オイルがなくなり、ヘッドカバー18内の動弁室22に残存するブローバイガスと接触している外表面側からブローバイガスが中空部材40内に透過する。この結果、同じく機能性樹脂のオイル劣化抑制機能により、ブローバイガス中に含まれているオイル劣化成分が除去される。
したがって、この形態によれば、部品点数を増大させることなく、既存のオイルデリバリーパイプの機能を維持しつつオイル劣化を抑制することができると共に、中空部材40を透過した潤滑オイルがその自重によりカムシャフト25A(25B)のカムノーズ25AN(25BN)に落下することで所定部位に給油できるので、オイルデリバリーパイプ36A(36B)への孔成形や孔加工が不要となる。
次に、前述のオイル戻りパイプ39のうち、外表面がブローバイガスと接触する部位として、ヘッドカバー内及びオイル戻し通路内に配置された部位を上述の中空部材40で形成した実施形態を、図4を参照して説明する。この実施形態においては、ヘッドカバー18内にほぼ水平に配置された部位が下方に湾曲されて、オイル戻し通路28内を通過し、オイルパン20の上方まで延在する中空部材40によって形成されている。
この実施形態によれば、エンジン10の運転中に潤滑オイル供給装置によりオイルポンプ30からオイル通路37を介してターボチャージャー38の軸受け部に潤滑オイルが送られ、そして、この軸受け部を出た潤滑オイルはオイル戻しパイプ39を介してエンジン10内に戻される。エンジン10内においては、オイル戻しパイプ39の中空部材40によって形成されている部位で、潤滑オイルがその外表面側に透過する。なお、この透過した潤滑オイルは表面張力により中空部材40の外表面に保持されつつ下方に伝わり、最下部から自重により滴下し、オイル戻し通路28を介してオイルパン20に回収されることになる。この結果、上述のオイルデリバリーパイプ36A(36B)と同様に、機能性樹脂のオイル劣化抑制機能により、潤滑オイル中に含まれる硝酸イオン、硫酸イオン等の酸性物質成分、潤滑オイル添加物から生じた成分、エンジンの構成部材の磨耗及び/又は溶出により生じた成分などを含むオイル劣化成分が潤滑オイル中から除去される。
一方、エンジン10の停止中には、オイル戻しパイプ39の中空部材40で形成されている部位中の潤滑オイルがなくなり、ヘッドカバー18内の動弁室22に残存するブローバイガス、及びクランク室24から動弁室22に向かって上昇するブローバイガスと接触している外表面側からブローバイガスが中空部材40内に透過すると共に、クランク室24に開口しているオイル戻しパイプ39の中空部材40内にブローバイガスが進入する。この結果、同じく機能性樹脂のオイル劣化抑制機能により、ブローバイガス中に含まれているオイル劣化成分が除去される。
さらに、上記のオイルデリバリーパイプ36A(36B)の形態における変形例を図5に示す。この変形例は、ヘッドカバー18内に配置されたオイルセパレーター50を備えるエンジン10に好適に用いられ、オイル通路を形成する部材の外表面がブローバイガスと接触する部位が、オイルセパレーター50の底部を構成すると共にカムシャフト25A(25B)のカムノーズ25AN(25BN)の摺動部に潤滑オイルを供給するオイルデリバリープレート52とされている。このオイルセパレーター50はブローバイガスからオイルを分離するためのものであって、本変形例では、ヘッドカバー18とオイルデリバリープレート52とによってオイルセパレーター室54が区画形成されている。このオイルセパレーター室54には、不図示のバッフルプレートなどがジグザグ路を形成すべく配置され、オイルデリバリープレート52を貫通して形成されたブローバイガス入口50Aを介して、オイルミストを含むブローバイガスが導入され、ブローバイガス出口50Bを介してブローバイガスが吸気系に戻される前にオイルミストが分離される。
一方、オイルデリバリープレート52は、上述のように多孔質の透過性構造体で断面が閉空間の中空部材40を扁平にして形成され、そして、ヘッドカバー18内でカムシャフト25A(25B)のカムノーズ25AN(25BN)の上方に配置されてこの断面閉空間内に開口52Aを介してオイル通路35から潤滑オイルが供給されるように構成されている。
この変形例によれば、エンジン10の運転中に潤滑オイル供給装置によりオイルポンプ30からオイル通路35及び開口52Aを介してオイルデリバリープレート52に潤滑オイルが供給されると、潤滑オイルがその外表面側に透過する。そして、この透過した潤滑オイルのうちオイルセパレーター室54側の分は、その上面に滞留し、下面側の分は自重によりカムノーズ25AN(25BN)へ滴下することになる。この結果、機能性樹脂のオイル劣化抑制機能により、潤滑オイル中に含まれる硝酸イオン、硫酸イオン等の酸性物質成分、潤滑オイル添加物から生じた成分、エンジンの構成部材の磨耗及び/又は溶出により生じた成分などを含むオイル劣化成分が潤滑オイル中から除去される。一方、エンジン10の停止中には、中空部材40中の潤滑オイルがなくなり、オイルデリバリープレート52の上面に滞留していた潤滑オイルと共に、オイルセパレーター室54に残存するブローバイガスが中空部材40内に透過する。また同時に、オイルデリバリープレート52の下面側からブローバイガスが中空部材40内に透過する。この結果、同じく機能性樹脂のオイル劣化抑制機能により、潤滑オイル及びブローバイガス中に含まれているオイル劣化成分が除去される。
この変形例の形態によれば、部品点数を増大させることなく、既存のオイルセパレーターやオイルデリバリーパイプの機能を維持しつつオイル劣化を抑制することができる。
ここで、前述の機能性樹脂のイオン交換樹脂としては、ブローバイガス中のNOxとヘッドカバー18の内面での結露などによる凝縮水とにより生じ得る硝酸イオン、ブローバイガス中のSOxと同じく凝縮水とにより生じ得る硫酸イオンの潤滑オイル中からの除去を図るべく、硝酸イオンや硫酸イオンを吸着する機能を有するアニオン性イオン交換樹脂が用いられる。このようなアニオン性イオン交換樹脂は、それら陰イオンを吸着し、例えば水酸化物イオンを放出する機能を有する。
また、ここでは、オイル中からCaイオンの除去を図るべく、Caイオンを吸着する機能を有するカチオン性イオン交換樹脂も用いられる。Caイオンは、上述のように、スラッジ生成を抑制するためにオイル供給系統(前述の実施形態ではヘッドカバー18の内面)に設けられたCa成分を含むオイル劣化抑制剤が消費されることで生じ得る。また、オイル中に添加剤としてカルシウムスルホネートが添加されている場合には、このカルシウムスルホネートからCaイオンが生じ得る。このようなカチオン性イオン交換樹脂は、そのような陽イオンを吸着し、水素イオン及び/またはNaイオンを放出する機能を有する。
なお、アニオン性イオン交換樹脂の使用によりオイル中から除去することが望まれるイオンには、上述の硝酸イオン(NO3 -)、硫酸イオン(SO4 2-)ばかりでなく、例えば、ブローバイガスから生じ得る酢酸イオン(CH3COO-)、同様にブローバイガスから生じ得るギ酸イオン(HCOO-)、塩化物イオン(Cl-)、クロム酸イオン(CrO4 2-)がある。これらを含む群またはこれらからなる群から選択された少なくとも1つのイオンを吸着する機能を有するアニオン性イオン交換樹脂が用いられるのが好ましい。なお、アニオン性イオン交換樹脂から放出されるイオンは、オイルの劣化を促進しないイオン、好ましくは、オイル劣化機能を抑制するイオンであるとよい。
また、カチオン性イオン交換樹脂の使用によりオイル中から除去することが望まれるイオンには、上述のCaイオン(Ca2+)のみでなく、例えば、Al3+、Fe2+、Fe3+、Cr3+、Pb2+、Ni2+、Cu2+、Mg2+、Ti+がある。これらは、潤滑オイルへの添加剤、例えばZnDTPから生じたり、エンジンの構成部材の磨耗及び/または溶出により生じたりする。特に、エンジンの運動部品の摺動部の摩耗により潤滑オイル中に生じるCuイオン、Alイオン、Feイオン等は、除去されることが望まれる。これらのうちの少なくとも1つのイオンを吸着する機能を有するカチオン性イオン交換樹脂が用いられるのが好ましい。なお、カチオン性イオン交換樹脂から放出されるイオンは、オイルの劣化を促進しない、好ましくは、オイル劣化機能を抑制するイオンであるとよい。
なお、前述のように、アニオン性イオン交換樹脂及びカチオン性イオン交換樹脂のうちの一方のみから、機能性樹脂のイオン交換樹脂が構成されてもよい。また、本発明における機能性樹脂はイオン交換樹脂に限定されず、無機イオン交換体、キレート樹脂及び/又は合成吸着剤を用いることが可能である。
本発明の実施形態は前述の実施形態のみに限らず、特許請求の範囲によって規定される本発明の思想に包含されるあらゆる変形例や応用例、均等物が本発明に含まれる。従って本発明は、限定的に解釈されるべきではなく、本発明の思想の範囲内に帰属する他の任意の技術にも適用することが可能である。
10 エンジン
12 シリンダーブロック
14 クランクケース
16 シリンダーヘッド
18 ヘッドカバー
20 オイルパン
22 動弁室
24 クランク室
25A,25B カムシャフト
28 オイル戻し通路
30 オイルポンプ
35 オイル通路
36A、36B オイルデリバリーパイプ
37 オイル供給パイプ
38 ターボチャージャー
39 オイル戻しパイプ
40 中空部材(機能性樹脂)
50 オイルセパレーター
52 オイルデリバリープレート

Claims (6)

  1. 圧力源からオイル通路を介して潤滑オイルを供給する潤滑オイル供給装置を備える内燃機関において、
    前記オイル通路を形成する部材のうち、外表面がブローバイガスと接触する部位の少なくとも一部が、少なくともオイル劣化抑制機能を有する機能性樹脂を含む透過性構造体で断面が閉空間の中空部材によって形成されていることを特徴とする内燃機関のオイル劣化抑制装置。
  2. 前記オイル通路を形成する部材の外表面がブローバイガスと接触する部位は、ヘッドカバー内に配置されカムシャフトのカムノーズの摺動部に潤滑オイルを供給するオイルデリバリーパイプであることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のオイル劣化抑制装置。
  3. 前記オイルデリバリーパイプにおいて、カムシャフトのカムノーズの上方に位置する部位が前記中空部材によって形成されていることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関のオイル劣化抑制装置。
  4. 前記オイル通路を形成する部材の外表面がブローバイガスと接触する部位は、ヘッドカバー内に配置され、オイルセパレーターの底部を構成すると共にカムシャフトのカムノーズの摺動部に潤滑オイルを供給するオイルデリバリープレートであることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のオイル劣化抑制装置。
  5. 前記オイル通路を形成する部材の外表面がブローバイガスと接触する部位は、ヘッドカバー内に配置された、過給器からのオイル戻しパイプであることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のオイル劣化抑制装置。
  6. 前記オイル戻しパイプは、さらにシリンダーブロックのオイル戻し通路内に挿入されて配設されていることを特徴とする請求項5に記載の内燃機関のオイル劣化抑制装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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