JPWO2012124763A1 - 組織評価方法 - Google Patents

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Abstract

免疫組織化学画像を効率的に評価する。本発明における組織評価方法は、蛍光物質を内包した粒子に生体物質認識部位が結合された染色試薬を用いて組織切片を染色する工程と、当該染色された組織切片上の3mm2以上の視野の顕微鏡画像から蛍光輝点の数を計測する工程と、当該計測された蛍光輝点の数に基づいて生体物質認識部位に対応する生体物質の発現レベルを評価する工程と、を含む。

Description

本発明は、免疫組織化学の組織評価方法に関する。より詳しくは、広視野での評価により、より精度を高めた組織評価方法に関する。
病理診断では、まず採取した組織を固定するために脱水し、パラフィンによるブロック化といった処理を行った後、2〜8μmの厚さの薄片に切り、パラフィンを取り除き、染色して顕微鏡観察を行う。病理医は、この顕微鏡画像の中で、細胞の核の大きさや形の変化、組織としてのパターンの変化等の形態学的な情報、染色情報をもとに診断を行っている。画像のデジタル化技術の発達に伴い、病理診断の分野においても、顕微鏡やデジタルカメラ等を用いてデジタルカラー画像として入力された病理画像から、病理医が病理診断を行う際に必要となる情報を抽出・計測して表示する自動化された病理診断支援装置が普及してきている。
例えば、特許文献1には、病理画像から細胞核領域及び細胞質領域をそれぞれ特定する核・細胞質分布推定手段と、病理画像から腺腔領域(細胞組織を殆ど含まない領域)を特定する腺腔分布抽出手段と、癌細胞が存在するか否かを判定する癌部位推定手段と、癌の進行度を判定する進行度判定手段と、癌細胞の分布図や進行度等を表示する画像表示手段と、を有する病理診断支援装置が開示されている。
また、特許文献2には、正常部位と癌部位をそれぞれ選択的に染色するような2種類の染料で病理標本を染色し、更にスペクトル画像からランベルト・ベールの法則を用いて染色濃度を評価し、癌細胞の有無を判定する癌細胞の検出方法が開示されている。
しかし、いずれの評価法を用いた場合でも、組織染色方法は従来の色素染色法(例えばヘマトキシリン−エオジン染色)、酵素を用いた色素染色法(例えばDAB染色)であり、その染色濃度は温度、時間等の環境条件により大きく左右され、病理診断支援装置の正確な定量測定性能を生かし切れていない。
また、色素に代わる標識試薬として定量性能が高い蛍光色素が組織染色の研究に用いられているが(非特許文献1参照)、その発光輝度は組織の発する自家蛍光と比較して暗く、極微量のバイオマーカーを発光レベルによって自動判別することはできない。
また、乳癌の新しい薬物療法として、HER2(human epidermal growth factor receptor type 2)の抗体であるトラスツズマブ(ハーセプチン)を用いる抗体療法が注目されている。この薬剤の適応を決めるためには、乳癌組織におけるHER2過剰発現の有無を確かめる必要がある。
HER2は、ヒト上皮細胞増殖因子受容体(EGFR)遺伝子と類似の構造を有する癌遺伝子として発見された。HER2遺伝子のコードするHER2タンパクは、細胞膜を貫通する受容体型糖タンパクであり、細胞外、膜貫通、細胞内の3ドメインから構成されている。増殖因子が結合すると、チロシン残基のリン酸化により活性化され、シグナル伝達経路を介して細胞の増殖や悪性化に関与するとされている。肺癌、大腸癌、胃癌、膀胱癌等でもHER2過剰発現がみられる。乳癌では、HER2タンパク過剰発現の原因の90%がHER2遺伝子の増幅とされている。その他、転写異常、転写後のタンパク合成異常等も原因と考えられている。
HER2は乳癌の予後因子であるとされており、特にリンパ節転移陽性例では、HER2陽性例の予後が有意に不良であることが知られている。HER2は、トラスツズマブの適応を決める重要な因子として、また、アンスラサイクリン系、タキサン系等の抗癌剤の効果予測因子として注目されている。
トラスツズマブは、遺伝子組み換えしたHER2のモノクローナル抗体であり、再発乳癌の治療薬として使用されている。ジェネンティック社は、トラスツズマブの副作用を軽減するために、IgGの大部分をヒト由来にして、HER2レセプターと結合する一部だけをマウス由来にした。トラスツズマブの主な作用はHER2レセプターに結合して癌細胞の増殖を抑制することであるが、その他にNK細胞や単球を介して癌細胞を破壊する作用もあるといわれている。
特開2004−286666号公報 特表2001−525580号公報
「病理と臨床 Vol.25 2007年臨時増刊号 診断に役立つ免疫組織化学」文光堂 2007年
近年、抗体医薬を中心とした分子標的薬治療の広がりに伴い、分子標的薬をより効率的に使用するため、正確な診断法の必要性が高まってきている。病理診断においても、より正確に疾病の診断を行うため、極微量のバイオマーカーを組織切片上で定量的に検出することが求められている。
一般的に、HER2タンパクの過剰発現は免疫組織化学的方法(IHC法)で検査され、HER2遺伝子の過剰発現はFISH法で検査されている。HER検査のガイドラインによると、まず簡便なIHC法で陽性、陰性、境界領域を選別し、陽性の場合にはトラスツズマブの投与を決定する。IHC法で境界領域のものについては、さらにFISH法で陽性、陰性を選別する。
IHC法とFISH法を比べると、IHC法は簡便だが、精度が低いという問題があった。一方、FISH法は精度が高いが、作業が煩雑でありコストが高い。つまり、IHC法でFISH法と同様の精度を出せる手法の開発が望まれている。
本発明は、上記の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、免疫組織化学画像を効率的に評価することを課題とする。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、蛍光物質を内包した粒子に生体物質認識部位が結合された染色試薬を用いて組織切片を染色する工程と、当該染色された組織切片上の3mm2以上の視野の顕微鏡画像から蛍光輝点の数を計測する工程と、当該計測された蛍光輝点の数に基づいて前記生体物質認識部位に対応する生体物質の発現レベルを評価する工程と、を含むことを特徴とする組織評価方法である。
請求項2に記載の発明は、蛍光物質を内包した粒子に生体物質認識部位が結合された染色試薬を用いて組織切片を染色する工程と、当該染色された組織切片上の30mm2以上の視野の顕微鏡画像から蛍光輝点の数を計測する工程と、当該計測された蛍光輝点の数に基づいて前記生体物質認識部位に対応する生体物質の発現レベルを評価する工程と、を含むことを特徴とする組織評価方法である。
請求項3に記載の発明は、蛍光物質を内包した粒子に生体物質認識部位が結合された染色試薬を用いて組織切片を染色する工程と、当該染色された組織切片上の300mm2以上の視野の顕微鏡画像から蛍光輝点の数を計測する工程と、当該計測された蛍光輝点の数に基づいて前記生体物質認識部位に対応する生体物質の発現レベルを評価する工程と、を含むことを特徴とする組織評価方法である。
本発明によれば、免疫組織化学画像を効率的に評価することができる。
標識材料Aを用いた場合の輝点数とFISHスコアとの関係を示す図である。 標識材料Bを用いた場合の輝点数とFISHスコアとの関係を示す図である。 標識材料Cを用いた場合の輝点数とFISHスコアとの関係を示す図である。 標識材料Dを用いた場合の輝点数とFISHスコアとの関係を示す図である。 各標識材料A〜Dについて、各視野の顕微鏡画像から計測された輝点数とFISHスコアとの相関係数の2乗値を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態について説明するが、本発明はこれらに限定されない。
本実施の形態では、生体物質認識部位が結合した蛍光物質を内包したナノ粒子を用いる。
〔蛍光物質〕
本発明で用いられる蛍光物質としては、有機蛍光色素及び量子ドット(半導体粒子)を挙げることができる。200〜700nmの範囲内の波長の紫外〜近赤外光により励起されたときに、400〜900nmの範囲内の波長の可視〜近赤外光の発光を示すことが好ましい。
有機蛍光色素としては、フルオレセイン系色素分子、ローダミン系色素分子、Alexa Fluor(インビトロジェン社製)系色素分子、BODIPY(インビトロジェン社製)系色素分子、カスケード系色素分子、クマリン系色素分子、エオジン系色素分子、NBD系色素分子、ピレン系色素分子、Texas Red系色素分子、シアニン系色素分子等を挙げることができる。
具体的には、5−カルボキシ−フルオレセイン、6−カルボキシ−フルオレセイン、5,6−ジカルボキシ−フルオレセイン、6−カルボキシ−2’,4,4’,5’,7,7’−ヘキサクロロフルオレセイン、6−カルボキシ−2’,4,7,7’−テトラクロロフルオレセイン、6−カルボキシ−4’,5’−ジクロロ−2’,7’−ジメトキシフルオレセイン、ナフトフルオレセイン、5−カルボキシ−ローダミン、6−カルボキシ−ローダミン、5,6−ジカルボキシ−ローダミン、ローダミン 6G、テトラメチルローダミン、X−ローダミン、及びAlexa Fluor 350、Alexa Fluor 405、Alexa Fluor 430、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 500、Alexa Fluor 514、Alexa Fluor 532、Alexa Fluor 546、Alexa Fluor 555、Alexa Fluor 568、Alexa Fluor 594、Alexa Fluor 610、Alexa Fluor 633、Alexa Fluor 635、Alexa Fluor 647、Alexa Fluor 660、Alexa Fluor 680、Alexa Fluor 700、Alexa Fluor 750、BODIPY FL、BODIPY TMR、BODIPY 493/503、BODIPY 530/550、BODIPY 558/568、BODIPY 564/570、BODIPY 576/589、BODIPY 581/591、BODIPY 630/650、BODIPY 650/665(以上インビトロジェン社製)、メトキシクマリン、エオジン、NBD、ピレン、Cy5、Cy5.5、Cy7等を挙げることができる。単独でも複数種を混合したものを用いてもよい。
量子ドットとしては、II−VI族化合物、III−V族化合物、又はIV族元素を成分として含有する量子ドット(それぞれ、「II−VI族量子ドット」、「III−V族量子ドット」、「IV族量子ドット」ともいう。)のいずれかを用いることができる。単独でも複数種を混合したものを用いてもよい。
具体的には、CdSe、CdS、CdTe、ZnSe、ZnS、ZnTe、InP、InN、InAs、InGaP、GaP、GaAs、Si、Geが挙げられるが、これらに限定されない。
上記量子ドットをコアとし、その上にシェルを設けた量子ドットを用いることもできる。以下、本明細書中シェルを有する量子ドットの表記法として、コアがCdSe、シェルがZnSの場合、CdSe/ZnSと表記する。例えば、CdSe/ZnS、CdS/ZnS、InP/ZnS、InGaP/ZnS、Si/SiO2、Si/ZnS、Ge/GeO2、Ge/ZnS等を用いることができるが、これらに限定されない。
量子ドットは必要に応じて、有機ポリマー等により表面処理が施されているものを用いてもよい。例えば、表面カルボキシ基を有するCdSe/ZnS(インビトロジェン社製)、表面アミノ基を有するCdSe/ZnS(インビトロジェン社製)等が挙げられる。
〔蛍光物質を内包したナノ粒子〕
本発明において蛍光物質を内包したナノ粒子とは、蛍光物質がナノ粒子内部に分散されたものをいい、蛍光物質とナノ粒子自体とが化学的に結合していても、結合していなくてもよい。
ナノ粒子を構成する素材は特に限定されるものではなく、ポリスチレン、ポリ乳酸、シリカ等を挙げることができる。
本発明で用いられる蛍光物質を内包したナノ粒子は、公知の方法により作製することが可能である。例えば、有機蛍光色素を内包したシリカナノ粒子は、ラングミュア8巻2921ページ(1992)に記載されているFITC内包シリカ粒子の合成を参考に合成することができる。FITCの代わりに所望の有機蛍光色素を用いることで種々の有機蛍光色素内包シリカナノ粒子を合成することができる。
量子ドットを内包したシリカナノ粒子は、ニュー・ジャーナル・オブ・ケミストリー33巻561ページ(2009)に記載されているCdTe内包シリカナノ粒子の合成を参考に合成することができる。
有機蛍光色素を内包したポリスチレンナノ粒子は、米国特許4326008(1982)に記載されている重合性官能基をもつ有機色素を用いた共重合法や、米国特許5326692(1992)に記載されているポリスチレンナノ粒子への有機蛍光色素の含浸法を用いて作製することができる。
量子ドットを内包したポリマーナノ粒子は、ネイチャー・バイオテクノロジー19巻631ページ(2001)に記載されているポリスチレンナノ粒子への量子ドットの含浸法を用いて作製することができる。
本発明で用いられる蛍光物質を内包したナノ粒子の平均粒径は特に限定されないが、30〜800nm程度のものを用いることができる。また、粒径のばらつきを示す変動係数(=(標準偏差/平均値)×100%)は特に限定されないが、20%以下のものを用いることができる。平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて電子顕微鏡写真を撮影し十分な数の粒子について断面積を計測し、各計測値を円の面積としたときの円の直径を粒径として求めた。本願においては、1000個の粒子の粒径の算術平均を平均粒径とした。変動係数も、1000個の粒子の粒径分布から算出した値とした。
〔生体物質認識部位と蛍光物質を内包したナノ粒子との結合〕
本発明に係る生体物質認識部位とは、目的とする生体物質と特異的に結合及び/又は反応する部位である。例えば、ヌクレオチド鎖、タンパク質、抗体等が挙げられる。具体的には、細胞表面に存在するタンパク質であるHER2に特異的に結合する抗HER2抗体、細胞核に存在するエストロゲン受容体(ER)に特異的に結合する抗ER抗体、細胞骨格を形成するアクチンに特異的に結合する抗アクチン抗体等が挙げられる。中でも抗HER2抗体及び抗ER抗体を蛍光物質内包ナノ粒子に結合させたものは、乳癌の投薬選定に用いることができ、好ましい。
生体物質認識部位と蛍光物質内包ナノ粒子の結合の態様としては特に限定されず、共有結合、イオン結合、水素結合、配位結合、物理吸着及び化学吸着等が挙げられる。結合の安定性から共有結合等の結合力の強い結合が好ましい。
また、生体物質認識部位と蛍光物質内包ナノ粒子の間を連結する有機分子があってもよい。例えば、生体物質との非特異的吸着を抑制するため、ポリエチレングリコール鎖を用いることができ、Thermo Scientific社製SM(PEG)12を用いることができる。
蛍光物質内包シリカナノ粒子へ生体物質認識部位を結合させる場合、蛍光物質が有機蛍光色素の場合でも、量子ドットの場合でも同様の手順を適用することができる。例えば、無機物と有機物を結合させるために広く用いられている化合物であるシランカップリング剤を用いることができる。このシランカップリング剤は、分子の一端に加水分解でシラノール基を与えるアルコキシシリル基を有し、他端に、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、アルデヒド基等の官能基を有する化合物であり、上記シラノール基の酸素原子を介して無機物と結合する。具体的には、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ポリエチレングリコール鎖をもつシランカップリング剤(例えば、Gelest社製PEG−silane no.SIM6492.7)等が挙げられる。シランカップリング剤を用いる場合、二種以上を併用してもよい。
有機蛍光色素内包シリカナノ粒子とシランカップリング剤との反応手順は、公知の手法を用いることができる。例えば、得られた有機蛍光色素内包シリカナノ粒子を純水中に分散させ、アミノプロピルトリエトキシシランを添加し、室温で12時間反応させる。反応終了後、遠心分離又はろ過により表面がアミノプロピル基で修飾された有機蛍光色素内包シリカナノ粒子を得ることができる。続いてアミノ基と抗体中のカルボキシル基とを反応させることで、アミド結合を介し抗体を有機蛍光色素内包シリカナノ粒子と結合させることができる。必要に応じて、EDC(1−Ethyl−3−[3−Dimethylaminopropyl]carbodiimide Hydrochloride:Pierce(登録商標)社製)のような縮合剤を用いることもできる。
必要により、有機分子で修飾された有機蛍光色素内包シリカナノ粒子と直接結合しうる部位と、分子標的物質と結合しうる部位とを有するリンカー化合物を用いることができる。具体例として、アミノ基と選択的に反応する部位とメルカプト基と選択的に反応する部位の両方をもつsulfo−SMCC(Sulfosuccinimidyl 4[N−maleimidomethyl]−cyclohexane−1−carboxylate:Pierce社製)を用いると、アミノプロピルトリエトキシシランで修飾した有機蛍光色素内包シリカナノ粒子のアミノ基と、抗体中のメルカプト基を結合させることで、抗体結合した有機蛍光色素内包シリカナノ粒子ができる。
蛍光物質内包ポリスチレンナノ粒子へ生体物質認識部位を結合させる場合、蛍光物質が有機蛍光色素の場合でも、量子ドットの場合でも同様の手順を適用することができる。すなわち、アミノ基等の官能基をもつポリスチレンナノ粒子へ有機蛍光色素、量子ドットを含浸することにより、官能基をもつ蛍光物質内包ポリスチレンナノ粒子を得ることができ、以降EDC又はsulfo−SMCCを用いることで、抗体結合した蛍光物質内包ポリスチレンナノ粒子ができる。
〔染色方法〕
以下、本発明の染色方法について述べる。本発明の染色方法は病理切片組織に限定せず、細胞染色にも適用可能である。
本発明の染色方法が適用できる切片の作製法は特に限定されず、公知の方法により作製されたものを用いることができる。
1)脱パラフィン工程
キシレンを入れた容器に病理切片を浸漬させ、パラフィンを除去する。温度は特に限定されるものではないが、室温で行うことができる。浸漬時間は、3分以上30分以下であることが好ましい。また、必要により浸漬途中でキシレンを交換してもよい。
次いで、エタノールを入れた容器に病理切片を浸漬させ、キシレンを除去する。温度は特に限定されるものではないが、室温で行うことができる。浸漬時間は、3分以上30分以下であることが好ましい。また、必要により浸漬途中でエタノールを交換してもよい。
次いで、水を入れた容器に病理切片を浸漬させ、エタノールを除去する。温度は特に限定されるものではないが、室温で行うことができる。浸漬時間は、3分以上30分以下であることが好ましい。また、必要により浸漬途中で水を交換してもよい。
2)賦活化処理
公知の方法にならい、目的とする生体物質の賦活化処理を行う。賦活化条件に特に定めはないが、賦活液としては、0.01Mクエン酸緩衝液(pH6.0)、1mMEDTA溶液(pH8.0)、5%尿素、0.1Mトリス塩酸緩衝液等を用いることができる。加熱機器は、オートクレーブ、マイクロウェーブ、圧力鍋、ウォーターバス等を用いることができる。温度は特に限定されるものではないが、室温で行うことができる。温度は50−130℃、時間は5−30分で行うことができる。
次いで、PBS(Phosphate Buffered Saline:リン酸緩衝生理食塩水)を入れた容器に、賦活化処理後の切片を浸漬させ、洗浄を行う。温度は特に限定されるものではないが、室温で行うことができる。浸漬時間は、3分以上30分以下であることが好ましい。また、必要により浸漬途中でPBSを交換してもよい。
3)生体物質認識部位が結合された蛍光物質内包ナノ粒子を用いた染色
生体物質認識部位が結合された蛍光物質内包ナノ粒子のPBS分散液を病理切片に載せ、目的とする生体物質と反応させる。蛍光物質内包ナノ粒子と結合させる生体物質認識部位を変えることにより、さまざまな生体物質に対応した染色が可能となる。数種類の生体物質認識部位が結合された蛍光物質内包ナノ粒子を用いる場合には、それぞれの蛍光物質内包ナノ粒子PBS分散液を予め混合しておいてもよいし、別々に順次病理切片に載せてもよい。
温度は特に限定されるものではないが、室温で行うことができる。反応時間は、30分以上24時間以下であることが好ましい。
蛍光物質内包ナノ粒子による染色を行う前に、BSA含有PBS等、公知のブロッキング剤を滴下することが好ましい。
次いで、PBSを入れた容器に、染色後の切片を浸漬させ、未反応蛍光物質内包ナノ粒子の除去を行う。温度は特に限定されるものではないが、室温で行うことができる。浸漬時間は、3分以上30分以下であることが好ましい。また、必要により浸漬途中でPBSを交換してもよい。
組織の形態観察のため、ヘマトキシリン−エオジン染色を行ってもよい。
カバーガラスを切片に載せ、封入する。必要に応じて市販の封入剤を使用してもよい。
4)蛍光顕微鏡下の観察
染色した病理切片に対し蛍光顕微鏡を用いて、広視野の顕微鏡画像から蛍光輝点の数又は発光輝度を計測する。用いた蛍光物質の吸収極大波長及び蛍光波長に対応した励起光源及び蛍光検出用光学フィルターを選択する。輝点数又は発光輝度の計測は、市販の画像解析ソフト、例えば、株式会社ジーオングストローム社製の全輝点自動計測ソフトG−Countを用いて行うことができる。
顕微鏡画像の視野は、3mm2以上であることが好ましく、30mm2以上であることがさらに好ましく、300mm2以上であることがさらに好ましい。
顕微鏡画像から計測された輝点数又は発光輝度に基づいて、目的とする生体物質の発現レベルを評価する。具体的には、輝点数が多いほど、生体物質の発現レベルが高いと評価することができる。また、発光輝度が高いほど、生体物質の発現レベルが高いと評価することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
〔蛍光物質内包ナノ粒子の合成〕
(合成例1:有機蛍光色素内包シリカ:Cy5内包シリカナノ粒子の合成)
下記工程(1)〜(5)の方法により、Cy5内包シリカナノ粒子(以下、ナノ粒子1という。)を作製した。
工程(1):Cy5のN−ヒドロキシスクシンイミドエステル誘導体(GEヘルスケア社製)1mg(0.00126mmol)とテトラエトキシシラン400μL(1.796mmol)を混合した。
工程(2):エタノール40mLと14%アンモニア水10mLを混合した。
工程(3):工程(2)で作製した混合液を室温下で撹拌しているところに、工程(1)で調製した混合液を添加した。添加開始から12時間撹拌を行った。
工程(4):反応混合物を10000Gで60分遠心分離を行い、上澄みを除去した。
工程(5):エタノールを加え、沈降物を分散させ、再度遠心分離を行った。同様の手順でエタノールと純水による洗浄を1回ずつ行った。
得られたナノ粒子1を走査型電子顕微鏡(SEM;日立(登録商標)社製S−800型)で観察したところ、平均粒径は110nm、変動係数は12%であった。
(合成例2:量子ドット内包シリカ:発光波長655nmのCdSe/ZnS内包シリカナノ粒子の合成)
下記工程(1)〜(5)の方法により、CdSe/ZnS内包シリカナノ粒子(以下、ナノ粒子2という。)を作製した。
工程(1):CdSe/ZnSデカン分散液(インビトロジェン社Qdot655)10μLとテトラエトキシシラン40μLを混合した。
工程(2):エタノール4mLと14%アンモニア水1mLを混合した。
工程(3):工程(2)で作製した混合液を室温下で撹拌しているところに、工程(1)で作製した混合液を添加した。添加開始から12時間撹拌を行った。
工程(4):反応混合物を10000Gで60分遠心分離を行い、上澄みを除去した。
工程(5):エタノールを加え、沈降物を分散させ、再度遠心分離を行った。同様の手順でエタノールと純水による洗浄を1回ずつ行った。
得られたナノ粒子2を走査型電子顕微鏡で観察したところ、平均粒径は130nm、変動係数は13%であった。
〔蛍光物質内包シリカナノ粒子への抗体の結合〕
下記工程(1)〜(12)の方法により、蛍光物質内包シリカナノ粒子に対して抗体を結合させた。ここでは、ナノ粒子1を用いた例を示すが、ナノ粒子2についても同様である。
工程(1):1mgのナノ粒子1を純水5mLに分散させた。次いで、アミノプロピルトリエトキシシラン水分散液100μLを添加し、室温で12時間撹拌した。
工程(2):反応混合物を10000Gで60分遠心分離を行い、上澄みを除去した。
工程(3):エタノールを加え、沈降物を分散させ、再度遠心分離を行った。同様の手順でエタノールと純水による洗浄を1回ずつ行った。
得られたアミノ基修飾したシリカナノ粒子のFT−IR測定を行ったところ、アミノ基に由来する吸収が観測でき、アミノ基修飾されたことが確認できた。
工程(4):工程(3)で得られたアミノ基修飾したシリカナノ粒子を、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)を2mM含有したPBSを用いて3nMに調整した。
工程(5):工程(4)で調整した溶液に、最終濃度10mMとなるようSM(PEG)12(サーモサイエンティフィック社製、succinimidyl−[(N−maleomidopropionamid)−dodecaethyleneglycol]ester)を混合し、1時間反応させた。
工程(6):反応混合液を10000Gで60分遠心分離を行い、上澄みを除去した。
工程(7):EDTAを2mM含有したPBSを加え、沈降物を分散させ、再度遠心分離を行った。同様の手順による洗浄を3回行った。最後に500μLのPBSを用いて再分散させた。
工程(8):抗HER2抗体100μgを100μLのPBSに溶解させたところに、1Mジチオスレイトール(DTT)を添加し、30分反応させた。
工程(9):反応混合物についてゲルろ過カラムにより過剰のDTTを除去し、還元化抗HER2抗体溶液を得た。
工程(10):ナノ粒子1を出発原料として工程(7)で得られた粒子分散液と工程(9)で得られた還元化抗HER2抗体溶液とをPBS中で混合し、1時間反応させた。
工程(11):10mMメルカプトエタノール4μLを添加し、反応を停止させた。
工程(12):反応混合物を10000Gで60分遠心分離を行い、上澄みを除去した後、EDTAを2mM含有したPBSを加え、沈降物を分散させ、再度遠心分離を行った。同様の手順による洗浄を3回行った。最後に500μLのPBSを用いて再分散させ、抗HER2抗体が結合された蛍光物質内包シリカナノ粒子を得た。
ナノ粒子1を出発原料として得られた抗HER2抗体が結合された蛍光物質内包シリカナノ粒子を標識材料A、ナノ粒子2を出発原料として得られた抗HER2抗体が結合された蛍光物質内包シリカナノ粒子を標識材料Bとする。
〔蛍光物質への抗体結合〕
比較例として、下記工程(1)〜(7)の方法により、Cy5に抗HER2抗体を結合させた。
工程(1):抗HER2抗体100μgを100μLのPBSに溶解させたところに、1Mジチオスレイトール(DTT)を添加し、30分反応させた。
工程(2):反応混合物についてゲルろ過カラムにより過剰のDTTを除去し、還元化抗HER2抗体溶液を得た。
工程(3):Cy5のN−ヒドロキシスクシンイミドエステル誘導体(GEヘルスケア社製)1mg(0.00126mmol)を、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)を2mM含有したPBSを用いて3nMに調整した。
工程(4):工程(3)で調整した溶液に、最終濃度10mMとなるようSM(PEG)12(サーモサイエンティフィック社製、succinimidyl−[(N−maleomidopropionamid)−dodecaethyleneglycol]ester)を混合し、1時間反応させた。
工程(5):工程(4)で得られた反応混合物に、工程(2)で得られた還元化抗HER2抗体溶液をPBS中で混合し、1時間反応させた。
工程(6):10mMメルカプトエタノール4μLを添加し、反応を停止させた。
工程(7):ゲルろ過カラムにより過剰のメルカプトエタノールを除去し、Cy5結合した還元化抗HER2抗体溶液(標識材料D)を得た。
Cy5の場合と同様にして、CdSeに抗HER2抗体を結合させたものを標識材料Cとする。
〔蛍光物質内包ナノ粒子を用いた組織染色〕
下記工程(1)〜(10)の方法により、作製した抗体結合標識材料A〜Dを用い、予めFISHスコアを測定したヒト乳房組織の隣接切片を用いて免疫染色を行った。染色切片はコスモバイオ社製の組織アレイスライド(CB−A712)を用いた。FISHスコアで1〜9の24切片を用いた。
工程(1):キシレンを入れた容器に病理切片を30分浸漬させた。途中3回キシレンを交換した。
工程(2):エタノールを入れた容器に病理切片を30分浸漬させた。途中3回エタノールを交換した。
工程(3):水を入れた容器に病理切片を30分浸漬させた。途中3回水を交換した。
工程(4):10mMクエン酸緩衝液(pH6.0)に病理切片を30分浸漬させた。
工程(5):121度で10分オートクレーブ処理を行った。
工程(6):PBSを入れた容器に、オートクレーブ処理後の切片を30分浸漬させた。
工程(7):1%BSA含有PBSを組織に載せて、1時間放置した。
工程(8):1%BSA含有PBSで0.05nMに希釈した抗HER2抗体が結合された標識材料A〜Dを、各組織切片に載せて3時間放置した。
工程(9):PBSを入れた容器に、染色後の切片をそれぞれ30分浸漬させた。
工程(10):Merck Chemicals社製Aquatexを滴下後、カバーガラスを載せ封入した。
〔実験結果〕
各標識材料A〜Dを用いて染色した組織切片について、視野(観察面積)を変えて複数の顕微鏡画像を取得し、画像解析ソフトにより、各顕微鏡画像から蛍光輝点の数を計測した。
また、各標識材料A〜Dについて、各視野において、計測された輝点数とFISHスコアとの相関係数Rを算出した。FISHスコアは、HER2遺伝子の過剰発現レベルと対応しており、FISHスコアの値が大きいほど、HER2遺伝子の過剰発現レベルが高いことを示している。
図1は、標識材料A(Cy5内包標識材料)を用いた場合の、複数の異なる視野(0.3mm2、3mm2、32mm2、324mm2)の顕微鏡画像から計測された輝点数と、FISHスコアとの関係を示す図である。図中に示すR2の値は、輝点数とFISHスコアとの相関係数の2乗値である。
図2は、標識材料B(CdSe内包標識材料)を用いた場合の、複数の異なる視野(0.3mm2、3mm2、32mm2、324mm2)の顕微鏡画像から計測された輝点数と、FISHスコアとの関係を示す図である。
図3は、標識材料C(CdSe)を用いた場合の、複数の異なる視野(0.3mm2、3mm2、32mm2、324mm2)の顕微鏡画像から計測された輝点数と、FISHスコアとの関係を示す図である。
図4は、標識材料D(Cy5)を用いた場合の、複数の異なる視野(0.3mm2、3mm2、32mm2、324mm2)の顕微鏡画像から計測された輝点数と、FISHスコアとの関係を示す図である。
表1及び図5に、各標識材料A〜Dについて、各視野(観察面積)の顕微鏡画像から計測された輝点数とFISHスコアとの相関係数の2乗値(R2)を示す。
Figure 2012124763
標識材料Aを用いて組織切片を染色し、0.3mm2の視野の顕微鏡画像から輝点数を計測した場合には、輝点数とFISHスコアとの相関係数の2乗値(R2)は0.1241であり、輝点数とFISHスコアには、相関が見られなかった。0.3mm2の視野では、視野が狭すぎ、ばらつきが大きいためであると考えられる。
標識材料Aを用いて組織切片を染色し、3mm2の視野の顕微鏡画像から輝点数を計測した場合には、輝点数とFISHスコアとの相関係数の2乗値(R2)は0.5387であった。この値は、相関係数Rに換算すると約0.734となり、輝点数とFISHスコアには、強い相関があるといえる。
標識材料Aを用いて組織切片を染色し、32mm2の視野の顕微鏡画像から輝点数を計測した場合には、輝点数とFISHスコアとの相関係数の2乗値(R2)は0.9011であった。視野が32mm2の場合には、視野が3mm2の場合と比較して、さらに相関が強いといえる。
標識材料Aを用いて組織切片を染色し、324mm2の視野の顕微鏡画像から輝点数を計測した場合には、輝点数とFISHスコアとの相関係数の2乗値(R2)は0.9887であった。視野が324mm2の場合には、視野が32mm2の場合と比較して、さらに相関が強いといえる。
標識材料Bを用いた場合も同様に、3mm2以上の視野では、輝点数とFISHスコアには相関があり、視野が広いほど相関係数が大きくなることがわかった。
また、標識材料A,Bを用いた場合の結果から、324mm2の視野では輝点数とFISHスコアとの相関係数の2乗値(R2)が十分1に近いことがわかった。
一方、標識材料C又は標識材料Dを用いて組織切片を染色した場合には、輝点数とFISHスコアには、相関が見られなかった。
以上の結果から、標識材料A,Bを用いて広視野で組織切片を観察した場合に、輝点数とFISHスコアとの相関が良好であり、輝点数に基づいてHER2の発現レベルを評価することが可能であることがわかった。すなわち、FISH法のような手間のかかる方法を用いなくても、3mm2以上の視野の画像から輝点数を計測することにより、特定の生体物質の発現レベルを評価することができ、FISH法に代わる方法として有効である。したがって、免疫組織化学画像を効率的に評価することができる。
より好ましくは、30mm2以上の視野の画像から輝点数を計測し、輝点数に基づいて特定の生体物質の発現レベルを評価することにより、免疫組織化学画像を効率的に評価することができる。
さらに好ましくは、300mm2以上の視野の画像から輝点数を計測し、輝点数に基づいて特定の生体物質の発現レベルを評価することにより、免疫組織化学画像を効率的に評価することができる。
標識材料A,Bは、蛍光物質を内包した粒子を用いており、蛍光物質単体を用いた標識材料C,Dと比較して高輝度であるため、画像から輝点の1点1点を捉えやすく、輝点数を精度良く計測することができる。
このように、高輝度の蛍光標識材料を免疫組織化学の標識材料として用いることにより、汎用の蛍光顕微鏡システムにおいて、対物レンズが20倍程度の低倍率画像でも、標的分子と結合している標識材料が認識可能となる。
また、低倍率の蛍光画像を複数枚以上組み合わせることにより、組織切片上の大きな面積領域を観察可能となる。このことにより、従来見逃されていたような微量の生体物質の検出、及び、定量評価が可能となったと考えられる。
なお、上記実施例では、蛍光輝点の数に基づいてHER2の発現レベルを評価する場合について説明したが、顕微鏡画像から蛍光輝点の発光輝度を計測し、発光輝度に基づいてHER2の発現レベルを評価することも可能である。
本発明に係る組織評価方法は、免疫組織化学画像を評価する病理診断分野において利用可能性がある。

Claims (3)

  1. 蛍光物質を内包した粒子に生体物質認識部位が結合された染色試薬を用いて組織切片を染色する工程と、
    当該染色された組織切片上の3mm2以上の視野の顕微鏡画像から蛍光輝点の数を計測する工程と、
    当該計測された蛍光輝点の数に基づいて前記生体物質認識部位に対応する生体物質の発現レベルを評価する工程と、
    を含むことを特徴とする組織評価方法。
  2. 蛍光物質を内包した粒子に生体物質認識部位が結合された染色試薬を用いて組織切片を染色する工程と、
    当該染色された組織切片上の30mm2以上の視野の顕微鏡画像から蛍光輝点の数を計測する工程と、
    当該計測された蛍光輝点の数に基づいて前記生体物質認識部位に対応する生体物質の発現レベルを評価する工程と、
    を含むことを特徴とする組織評価方法。
  3. 蛍光物質を内包した粒子に生体物質認識部位が結合された染色試薬を用いて組織切片を染色する工程と、
    当該染色された組織切片上の300mm2以上の視野の顕微鏡画像から蛍光輝点の数を計測する工程と、
    当該計測された蛍光輝点の数に基づいて前記生体物質認識部位に対応する生体物質の発現レベルを評価する工程と、
    を含むことを特徴とする組織評価方法。
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