JPWO2012111550A1 - 歯科用硬化性組成物 - Google Patents

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Abstract

従来の樹枝状ポリマーを用いた歯科用硬化性組成物と比較して、硬化物の着色および変色を抑制すること。ラジカル重合性単量体と重合開始剤とハイパーブランチポリマーとを含み、ハイパーブランチポリマーが一般式(I)に示す単位構造および一般式(IIA)および/または一般式(IIB)に示す単位構造を含む歯科用硬化性組成物。【化1】【化2】【化3】〔一般式(I)中、AはCとR1とを結合する単結合、>C=O、−O−または−COO−であり、R1は2価の飽和脂肪族炭化水素基または2価の芳香族炭化水素基であり、R2は水素原子またはメチル基である。一般式(IIA)および一般式(IIB)中、R3、R4、R5は水素原子、アルキル基、アルコキシカルボニル基、アリール基またはシアノ基であり、R6はアルキレン基である。〕

Description

本発明は、歯科用硬化性組成物に関するものである。
齲蝕により損傷をうけた歯牙の修復には、一般にコンポジットレジンと呼ばれる光硬化性の充填修復材料が審美性の面から広く用いられている。このようなコンポジットレジン(歯科用硬化性組成物)は、重合性単量体(モノマー)、充填材(フィラー)および光重合開始剤を主成分として含み、その他に顔料・添加剤などが必要に応じて添加された材料である。ここで、重合性単量体としては、通常、ラジカル重合性のラジカル重合性単量体が用いられる。このため、歯科用硬化性組成物の硬化、すなわち、ラジカル重合性単量体の重合反応に際しては、重合収縮が生じることは避けられない。
それゆえ、修復を要する歯牙の窩洞に対して、歯科用硬化性組成物を充填後、重合硬化させた際に、硬化した歯科用硬化性組成物と窩洞の内壁との間に間隙が形成され易い。このような間隙が生じた場合、間隙にプラークが溜まり易くなるため、二次的な齲蝕が生じ易くなる。また、硬化した歯科用硬化性組成物が窩洞内から脱落しやすくなる。よって、硬化時のコンポジットレジンの重合収縮はできる限り小さいことが好ましい。
硬化時の歯科用硬化性組成物の重合収縮を抑制する方法としては、分子量の大きなラジカル重合性単量体を用いる方法や、ラジカル重合よりも重合収縮が小さいカチオン重合性単量体を用いて、カチオン開環重合により重合性単量体を重合硬化させる方法が挙げられる。また、この他にも、ハイパーブランチポリマーやデンドリマー等のように、分子鎖が樹枝状に枝分かれした樹枝状ポリマーを用いる方法も提案されている(特許文献1〜3参照)。
樹枝状ポリマーとしては、大別してハイパーブランチポリマーおよびデンドリマーが挙げられる。従来の高分子が一般的に紐状の形状であるのに対し、これら樹枝状ポリマーは、積極的に枝分かれを導入している。このため、従来の紐状の高分子に対して、樹枝状ポリマーは、1)特異な分子構造を有すること、2)ナノメートルオーダーのサイズを有すること、3)多くの官能基を保持する表面を形成できること、4)線状ポリマーに比べて低粘度化できること、5)分子間の絡み合いが少なく微粒子的挙動を示すこと、6)分子内に空隙を有していること等の特徴を有している。ここで、ハイパーブランチポリマーはデンドリマーと比較して、その合成の簡便さの点で利点を有しており、工業的生産においてはとりわけ有利である。一般に、デンドリマーは保護−脱保護を繰り返して合成されるのに対して、ハイパーブランチポリマーは一段階での合成が可能であり、簡便に合成できる。
たとえば、特許文献1には、歯科材料の重合収縮を小さくすること等を目的として、歯科材料を構成する重合可能な樹脂として、少なくとも1つのエチレン不飽和部分を有する(メタ)アクリロイル末端超枝分かれポリエステルを用いる技術が提案されている。また、特許文献2には、歯科材料として利用可能で、低収縮な重合性組成物として、樹枝状ポリマーを用いる技術が提案されている。たとえば、この特許文献2には、ハイパーブランチポリマーとして、hyperbranched polyesteramideを用いた例が開示されている。さらに、特許文献3には、歯科材料として分子を構成するコアと第一のシェルと第二のシェルとがポリウレタン基を介して結合され、第二のシェルは(メタ)アクリレートとの反応によって変性された樹枝状化合物を用いた技術が提案されている。この技術では、不所望な重合収縮が有利な影響を受けるとされている。
また、特許文献1〜3以外にも、歯科材料を構成する結晶成分として樹枝状、ハイパーブランチドまたは星型構造を有するものを用いる技術が提案されている(特許文献4)。この歯科材料に用いる結晶成分としては、末端にヒドロキシル基を有することが好ましいとされている。
特表2001−509179号公報(請求項2、実施例4等) WO03/13379(クレーム1、発明の要約、実施例10等) 特開2006−298919号公報(請求項1、4、段落0017等) 特開2009−149685号公報(請求項15、41、段落0018、0059等)
ハイパーブランチポリマーなどの樹枝状ポリマーを用いた場合において、歯科用硬化性組成物の硬化時における重合収縮率を小さくできる理由は、以下の通りであると考えられる。まず、樹枝状ポリマーは、紐状の一般的なポリマーと異なり、球状に近い形状を有している。このため、溶液にポリマーを溶解させた場合、一般的なポリマーと比べて、樹枝状ポリマーの方が粘度の上昇が小さい。それゆえ、歯科用硬化性組成物の構成材料として樹枝状ポリマーを用いる場合、フィラーの充填率や歯科用硬化性組成物の操作性を大きく変化させることなく、歯科用硬化性組成物中に、多量の樹枝状ポリマーを添加することができる。すなわち、歯科用硬化性組成物中の構成成分として、樹枝状ポリマーの配合割合を相対的に大きくし、その代わりに、モノマーの配合割合を相対的に小さくすることが極めて容易である。
これに加えて、樹枝状ポリマーは、基本的に、モノマーのように重合に伴う大きな重合収縮が生じる余地が殆どない。したがって、樹枝状ポリマーを用いることにより、歯科用硬化性組成物中に含まれるモノマーの配合割合を小さくできれば、歯科用硬化性組成物が硬化する際の重合収縮率を小さくすることができる。
しかしながら、特許文献1〜4等に例示される従来の樹枝状ポリマーを用いた歯科用硬化性組成物では、(1)硬化後の口腔内環境において硬化物が飲食物等に曝されることにより、硬化物が着色したり、(2)硬化物が室内光や自然光に曝されることにより、硬化物が変色するという問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、従来の樹枝状ポリマーを用いた歯科用硬化性組成物と比較して、硬化物の着色および変色が小さい歯科用組成物を提供することを課題とする。
上記課題は以下の本発明により達成される。すなわち、
本発明の歯科用硬化性組成物は、ラジカル重合性単量体と、重合開始剤と、ハイパーブランチポリマーとを含み、ハイパーブランチポリマーが、下記一般式(I)に示される単位構造と、下記一般式(IIA)に示される単位構造および下記一般式(IIB)に示される単位構造から選択される少なくとも一方の単位構造と、を含むことを特徴とする。
Figure 2012111550
Figure 2012111550
Figure 2012111550
一般式(I)中、Aは、CとRとを結合する単結合、>C=O、−O−、または、−COO−であり、Rは、2価の飽和脂肪族炭化水素基、または、2価の芳香族炭化水素基であり、Rは、水素原子、または、メチル基である。
また、一般式(IIA)および一般式(IIB)中、R、R、Rは、水素原子、主鎖を構成する炭素原子の数が1個〜5個のアルキル基、主鎖を構成する炭素原子の数が1個〜5個のアルコキシカルボニル基、アリール基、または、シアノ基である。また、一般式(IIB)中、Rは、主鎖を構成する炭素原子の数が4個〜10個のアルキレン基である。
本発明の歯科用硬化性組成物の一実施形態は、フィラーを含むことが好ましい。
本発明の歯科用硬化性組成物の他の実施形態は、ハイパーブランチポリマーの分子量が、22000以上であることが好ましい。
本発明の歯科用硬化性組成物の他の実施形態は、重合開始剤が、光重合開始剤であることが好ましい。
本発明の歯科用硬化性組成物の他の実施形態は、一般式(IIA)に示される単位構造および一般式(IIB)に示される単位構造から選択される少なくとも一方の単位構造が、下記構造式Aで示される単位構造であることが好ましい。
Figure 2012111550
本発明によれば、従来の樹枝状ポリマーを用いた歯科用硬化性組成物と比較して、硬化物の着色および変色が小さい歯科用組成物を提供することができる。
本実施形態の歯科用硬化性組成物は、ラジカル重合性単量体と、重合開始剤と、ハイパーブランチポリマーとを含み、ハイパーブランチポリマーが、下記一般式(I)に示される単位構造と、下記一般式(IIA)に示される単位構造および下記一般式(IIB)に示される単位構造から選択される少なくとも一方の単位構造と、を含むことを特徴とする。
Figure 2012111550
Figure 2012111550
Figure 2012111550
ここで、一般式(I)中、Aは、CとRとを結合する単結合(すなわち、CとRとが単にσ結合で結合している状態)、>C=O、−O−、または、−COO−であり、Rは、2価の飽和脂肪族炭化水素基、または、2価の芳香族炭化水素基であり、Rは、水素原子、または、メチル基である。
また、一般式(IIA)および一般式(IIB)中、R、R、Rは、水素原子、主鎖を構成する炭素原子の数が1個〜5個のアルキル基、主鎖を構成する炭素原子の数が1個〜5個のアルコキシカルボニル基、アリール基、または、シアノ基である。また、一般式(IIB)中、Rは、主鎖を構成する炭素原子の数が4個〜10個のアルキレン基である。
なお、4つの結合手を有する一般式(I)で示される第一の単位構造は、ハイパーブランチポリマーの多分岐構造を形成する単位構造である。ここで、4つの結合手には、一般式(I)で示される第一の単位構造、または、一般式(IIA)および一般式(IIB)で示される2種類の単位構造から選択される第二の単位構造が結合することができる。また、ハイパーブランチポリマーが一般式(I)、一般式(IIA)および一般式(IIB)以外のその他の単位構造(第三の単位構造)を含む場合は、4つの結合手には、第三の単位構造も結合することができる。ここで、4つの結合手の少なくともいずれか1つの結合手を介して、第一の単位構造同士が結合することにより多分岐構造が形成される。また、多分岐構造を分断する末端基である第二の単位構造は、第一の単位構造の4つの結合手のうち、最大で3つの結合手に結合することができる。ここで、ハイパーブランチポリマーに含まれる第一の単位構造と第二の単位構造との含有比(モル比)は、特に限定されないが、3:7〜7:3の範囲内とすることが好ましく、4:6〜6:4の範囲内とすることがより好ましい。モル比を上記範囲内とすることにより、適度な分岐を持つ多分岐構造が形成できると共に、ハイパーブランチポリマーを溶媒に溶解させた溶液の粘度の著しい増加も抑制することができる。なお、ハイパーブランチポリマーに、2つ以上の結合手を有する第三の単位構造も含まれる場合、第一の単位構造および第二の単位構造に対する第三の単位構造の含有割合にも依存するものの、第一の単位構造と第二の単位構造との含有比(モル比)は、多分岐構造が形成できる範囲で、たとえば、1:9〜7:3の範囲内から選択することが好まく、2:8〜7:3の範囲内から選択することがより好ましい。なお、この場合も、第一の単位構造と第二の単位構造との含有比(モル比)は、3:7〜7:3の範囲内とすることがさらに好ましく、4:6〜6:4の範囲内とすることが特に好ましい。
なお、特許文献1〜4等に例示される従来の樹枝状ポリマーは、分子内に反応性の不飽和結合や、アミノ基、ヒドロキシル基を多数含み、これらの官能基は末端に多く存在する傾向にある。そして、これらの官能基のうち反応性の不飽和結合は、分子の末端に位置するものについては、硬化物の機械的強度向上のために、歯科用硬化性組成物に含まれるラジカル重合性単量体との反応に利用して消費することもできるが、分子内に位置するものについては未反応のまま必ず残留することになる。また、末端に多数存在する反応性の不飽和結合についても全てを消費することは難しい。このため、アミノ基、ヒドロキシル基あるいは未反応の反応性の不飽和結合に起因して特許文献1〜4等に例示される従来の樹枝状ポリマーを用いた歯科用硬化性組成物を硬化させた硬化物では、口腔内で飲食物に曝されたり、自然光や室内光に曝されると、これら反応性の官能基が反応して着色や変色が生じるものと考えられる。
しかしながら、一般式(I)に示す単位構造と、一般式(IIA)に示す単位構造および一般式(IIB)に示す単位構造から選択される少なくとも一方の単位構造と、を含むハイパーブランチポリマーは、分子内に反応性の不飽和結合や、アミノ基、ヒドロキシル基などの反応性の官能基を含まない。また、ラジカル重合性単量体は、重合反応により反応性の官能基を消失する。このため、本実施形態の歯科用硬化性組成物を硬化させた硬化物は、口腔内環境において飲食物に曝されたり、自然光や室内光に曝されても、着色や変色が生じ難い。
また、特許文献1〜4等に例示される従来の樹枝状ポリマーは、枝分かれした分子鎖が、中心側から外部へと伸びる構造を有している。すなわち、枝分かれした分子鎖の末端側程、分子鎖の運動の自由度が高くなる。このため、隣接する枝部分同士での絡みあいが生じ易い。したがって、これらの樹枝状ポリマーを用いた歯科用硬化性組成物では、粘度の上昇が生じ易くなる。一般式(I)に示す単位構造と、一般式(IIA)に示す単位構造および一般式(IIB)に示す単位構造から選択される少なくとも一方の単位構造と、を含むハイパーブランチポリマーは、一般式(I)に示す単位構造を基本とした網目状の多分岐構造を有する。すなわち、枝分かれした分子鎖の両末端の動きは非常に制約されている。このため、隣接する枝部分同士が絡み合うことは非常に困難であり、歯科用硬化性組成物の粘度上昇が生じ難しい。
なお、本実施形態の歯科用硬化性組成物に用いられるハイパーブランチポリマーには、第三の単位構造として、下記一般式(IIIA) に示される単位構造、下記一般式(IIIB)に示される単位構造、および、下記一般式(IIIC)に示される単位構造から選択される少なくともいずれか1種の単位構造が含まれていてもよい。なお、下記一般式(IIIA)に示される第三の単位構造は、ハイパーブランチポリマーを合成する際の不純成分として、ハイパーブランチポリマーに含まれることがある。
Figure 2012111550
Figure 2012111550
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ここで、一般式(IIIA)、一般式(IIIB)および一般式(IIIC)中、A、RおよびRは、一般式(I)に示すA、RおよびRと同様である。また、一般式(IIIB)中、Rは、1価の飽和脂肪族炭化水素基、または、1価の芳香族炭化水素基であり、一般式(IIIC)中、Rは、4価の飽和脂肪族炭化水素基、または、4価の芳香族炭化水素基である。
なお、一般式(IIIA)に示される第三の単位構造は、反応性の不飽和結合を含むため、硬化物の着色や変色を促進し易い。このため、ハイパーブランチポリマーが、一般式(I)に示す第一の単位構造、ならびに、一般式(IIA)に示す単位構造および一般式(IIB)に示す単位構造から選択される第二の単位構造に加えて、一般式(IIIA)に示す第三の単位構造も含む場合、全単位構造に占める一般式(IIIA)で示される第三の単位構造の割合は、20モル%以下であることが好ましく、10モル%以下であることがより好ましく、5モル%以下であることがさらに好ましい。
また、一般式(IIIA)および一般式(IIIB)に例示されるような結合手を2つ有する第三の単位構造と、一般式(I)に示される第一の単位構造との比率は、6:4〜0:10の範囲内が好ましく、4:6〜0:10の範囲内がより好ましく、0:10が最も好ましい。結合手を2つ有する第三の単位構造と、一般式(I)に示される第一の単位構造との比率を上記範囲内とすることにより、適度な分岐を持つ多分岐構造が形成できると共に、ハイパーブランチポリマーを溶媒に溶解させた溶液の粘度の著しい増加も抑制することができる。
一般式(I)に示す第一の単位構造および一般式(IIIA)に示す第三の単位構造を構成するRは、2価の飽和脂肪族炭化水素基、または、2価の芳香族炭化水素基である。ここで、2価の飽和脂肪族炭化水素基は、鎖状または環状のいずれであってもよい。また、炭素数は特に限定されないが、1〜5の範囲内が好ましく、1〜2の範囲内がより好ましい。炭素数を5以下とすることにより、Rとして示される分子鎖部分が短くなるため、歯科用硬化性組成物を構成するラジカル重合性単量体と、ハイパーブランチポリマーとの絡みあいを抑制し、ペースト状の歯科用硬化性組成物の粘度が増大するのを抑制できる。2価の鎖状飽和脂肪族炭化水素基としては、たとえば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基などが挙げられる。また、2価の環状飽和脂肪族炭化水素基としては、シクロプロピレン基、シクロブチレン基などが挙げられる。
また、2価の芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環を1つ含む単環状、ベンゼン環を2つ以上含みかつ縮環構造を有するもの、あるいは、ベンゼン環を2つ以上含みかつ縮環構造を有さないもの、のいずれであってもよい。2価の芳香族炭化水素基に含まれるベンゼン環の数は、特に限定されないが、1〜2の範囲内が好ましく、言い換えれば2価の芳香族炭化水素基が、フェニレン基であることが特に好ましい。ベンゼン環の数を2以下とすることにより歯科用硬化性組成物を構成するラジカル重合性単量体と、ハイパーブランチポリマーとの絡みあいを抑制し、ペースト状の歯科用硬化性組成物の粘度が増大するのを抑制できる。2価の芳香族炭化水素基としては、たとえば、上述したフェニレン基以外にも、ナフチレン基やビフェニレン基などを例示できる。
なお、以上に例示したRの中でも、特にフェニレン基が好ましい。フェニレン基は、歯科用硬化性組成物中に添加されるハイパーブランチポリマーの配合量を大きく変化させても、ペースト状の歯科用硬化性組成物を用いて歯科治療を行う際の操作性や、硬化物の機械的物性への悪影響が少ない。このため、操作性や機械的物性に縛られずに、歯科用硬化性組成物の組成設計を行い易くなる。また、Rとしてフェニレン基を用いた場合、歯科用硬化性組成物を硬化させた硬化物の機械的強度を向上させることができる。
また、一般式(IIIB)に示す第三の単位構造を構成するRおよび一般式(IIIC)に示す第三の単位構造を構成するRは、価数が異なる以外は、Rと同様の構造を有するものが利用できる。
一般式(IIA)および一般式(IIB)に示す第二の単位構造を構成するR、R、Rは、水素原子、主鎖を構成する炭素原子の数が1個〜5個のアルキル基、主鎖を構成する炭素原子の数が1個〜5個のアルコキシカルボニル基、アリール基、または、シアノ基である。このうち特に、主鎖を構成する炭素原子の数が1個〜5個のアルキル基、主鎖を構成する炭素原子の数が1個〜5個のアルコキシカルボニル基、または、シアノ基であるのがより好ましい。アルキル基としては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基などが挙げられ、アルコキシカルボニル基としては、たとえば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基などが挙げられ、アリール基としては、たとえば、フェニル基が挙げられる。なお、アルキル基およびアルコキシカルボニル基については、主鎖を構成する炭素原子の数を5個以下、特に、メチル基またはメトキシカルボニル基とすることにより、主鎖が短くなるため、歯科用硬化性組成物を構成するラジカル重合性単量体と、ハイパーブランチポリマーとの絡みあいを抑制し、ペースト状の歯科用硬化性組成物の粘度が増大するのを抑制できる。
また、アルキル基、アルコキシカルボニル基およびアリール基の水素原子の一部を置換基で置換してもよい。当該置換基としては、着色を招く構造・基(反応性の不飽和結合や、アミノ基、ヒドロキシル基)を含むものでなければ特に限定されないが、たとえば、メチル基などの炭素数1個〜3個のアルキル基、メトキシ基などの炭素数1個〜3個のアルコキシル基などを挙げることができる。なお、アルキル基およびアルコキシル基については、炭素数を3個以下、特に、メチル基またはメトキシ基とすることにより、主鎖が短くなるため、歯科用硬化性組成物を構成するラジカル重合性単量体と、ハイパーブランチポリマーとの絡みあいを抑制し、ペースト状の歯科用硬化性組成物の粘度が増大するのを抑制できる。
一般式(IIB)に示す第二の単位構造を構成するRは、主鎖を構成する炭素原子の数が4個〜10個のアルキレン基である。アルキレン基としては、たとえば、ブチレン基、ペンチレン基、ノニレン基などが挙げられる。また、アルキレン基の水素原子の一部を置換基で置換してもよい。当該置換基としては、着色を招く構造・基(反応性の不飽和結合や、アミノ基、ヒドロキシル基)を含むものでなければ特に限定されないが、たとえば、メチル基などの炭素数1個〜3個のアルキル基、メトキシ基などの炭素数1個〜3個のアルコキシル基などを挙げることができる。なお、アルキレン基の主鎖を構成する炭素原子の数を4個以上とすることにより、RとRの両端と結合する炭素原子とから構成される環の歪を抑制できる。このため、環が歪んで不安定化することによって周囲の物質と反応することにより、着色を招く可能性を抑制できる。また、アルキレン基の主鎖を構成する炭素原子の数を10個以下としたり、あるいは、置換基として選択されるアルキル基およびアルコキシル基の炭素数を3個以下、特に、メチル基またはメトキシ基とすることにより、主鎖が短くなるため、歯科用硬化性組成物を構成するラジカル重合性単量体と、ハイパーブランチポリマーとの絡みあいを抑制し、ペースト状の歯科用硬化性組成物の粘度が増大するのを抑制できる。歪の抑制と粘度の抑制の両立の観点からは、アルキレン基はペンチレン基が特に好ましい。
なお、一般式(IIA)および一般式(IIB)で示される第二の単位構造は、本実施形態の歯科用硬化性組成物に用いられるハイパーブランチポリマーの合成過程において用いられる原料成分(たとえば、モノマー、重合開始剤、末端基の修飾剤等)に由来する構造である。当該原料成分としては特に限定されないが、たとえば、公知の重合開始剤が挙げられ、好ましくは、国際公開第2010/126140号に開示されるアゾ系重合開始剤が挙げられる。但し、本実施形態の歯科用硬化性組成物において、上記に列挙した原料成分、重合開始剤あるいはアゾ系重合開始剤のうち、ハイパーブランチポリマーを合成し終えた後において、一般式(IIA)および/または一般式(IIB)に示す構造を取りうるもののみが採用できる。
一般式(IIA)で示される第二の単位構造の具体例としては、たとえば、下記構造式A〜構造式Kが挙げられ、一般式(IIB)で示される第二の単位構造の具体例としては、下記構造式L〜構造式Mが挙げられる。これら構造式A〜構造式Mに示される第二の単位構造は、ハイパーブランチポリマーの入手容易性という点で特に好適である。
Figure 2012111550
Figure 2012111550
Figure 2012111550
以上に説明したような分子構造を有するハイパーブランチポリマーとしては、たとえば、下記(1)〜(5)に示すものが挙げられる。
(1)T.Hirano et al.,J.Appl.Polym.Sci.,2006,100,664-670に開示されたハイパーブランチポリマー(A:CとRとを結合する単結合、R:フェニレン基、R:水素原子、R:−CH、R:−CH、R:−COOCH)。
なお、実質同一の分子構造を有する市販のハイパーブランチポリマーとして、HYPERTECH(登録商標)/HA−DVB−500(日産化学工業株式会社製、GPC法による分子量:48000、流体力学的平均直径11.7nm(in THF))が挙げられる。
(2)T.Hirano et al.,Macromol.Chem.Phys.,205,206,860-868に開示されたハイパーブランチポリマー(A:−COO−、R:−(CH−、R:−CH、R:−CH、R:−CH、R:−COOCH
なお、実質同一の分子構造を有する市販のハイパーブランチポリマーとして、日産化学工業株式会社製のHYPERTECH(登録商標);HA−DMA−200(GPC法による分子量22000、流体力学的平均直径5.2nm(in THF))、HA−DMA−50(試供サンプル品、GPC法による分子量4000)、および、HA−DMA−700(試供サンプル品、GPC法による分子量67000)が挙げられる。
(3)T.Sato et al.,Macromolecules,2005,38,1627-1632に開示されたハイパーブランチポリマー(A:−COO−、R:−(CH−、R:−H、R:−CH、R:−CH、R:−COOCH)。
(4)T.Sato et al.,Macromole.Mater.Eng.,2006,291,162-172に開示されたハイパーブランチポリマー。
なお、このハイパーブランチポリマーは、一般式(IIIB)で示す第三の単位構造も含む。ここで、一般式(I)に示す第一の単位構造はA:CとRとを結合する単結合、R:フェニレン基、R:−Hであり、一般式(IIIB)で示す第三の単位構造はA:−COO−、R:エチル基、R:−Hである。また、一般式(IIA)に示す第二の単位構造はR:−CH、R:−CH、R:−COOCHである。
(5)T.Sato et al.,Polym.Int.2004,53,1138-1144に開示されたハイパーブランチポリマー。
なお、このハイパーブランチポリマーは、一般式(IIIB)で示す第三の単位構造も含む。ここで、一般式(I)に示す第一の単位構造はA:−COO−、R:−(CH−、R:−Hであり、一般式(IIIB)で示す第三の単位構造はA:−O−、R:2−メチルプロピル基、R:−Hである。また、一般式(IIA)に示す第二の単位構造はR:−CH、R:−CH、R:−CNである。
ハイパーブランチポリマーの分子量は、特に限定されるものではないが、GPC(Gel Permeation Chromatography)法による測定で、質量平均分子量が1000以上であることが好ましく、5000以上であることがより好ましく、25000を超えることが更に好ましい。質量平均分子量を1000以上とすることにより、ハイパーブランチポリマーが球状形状を取りえることが容易となる。また、分子量の上限は特に限定されるものではないが、大きすぎる場合には、ハイパーブランチポリマーの配合量を大きく変化させた場合に、ペースト状の歯科用硬化性組成物の操作性が大きく変化しやすくなる場合がある。このため、分子量は、実用上200000以下であることが好ましく、100000以下であることがより好ましい。また、分子量を上記範囲内とした場合、動的光散乱法にて測定したTHF中での流体力学的平均直径が数nm〜40nm前後程度の球状のパイパーブランチポリマーを得ることができる。なお、流体力学的平均直径は、数nm〜20nmの範囲内が好ましく、数nm〜15nmの範囲内がより好ましい。また、ペースト状の歯科用硬化性組成物の固液分離を長期間にわたって抑制する観点からは、ハイパーブランチポリマーの質量平均分子量は22000以上とすることが好ましく、48000以上とすることが好ましい。なお、この場合、質量平均分子量の上限値は、上述した場合と同じ理由から、実用上、200000以下であることが好ましい。
ハイパーブランチポリマーの屈折率は特に限定されないが、歯科用硬化性組成物に透明性を付与する観点からは、ラジカル重合性単量体や、充填剤の屈折率に近いことが好ましい。ここで、ラジカル重合性単量体や、充填剤の屈折率は、一般的に1.4〜1.7程度である。このため、ハイパーブランチポリマーの屈折率も1.4〜1.7程度であることが好ましい。
歯科用硬化性組成物中に含まれるハイパーブランチポリマーの配合量は、特に限定されないが、ラジカル重合性単量体100質量部に対して、1〜100質量部であることが好ましく、5〜40質量部の範囲内であることがより好ましい。ハイパーブランチポリマーの配合量を1質量部以上とすることにより、歯科用硬化性組成物を硬化させる際の重合収縮率をより小さくすることが容易となる。また、ハイパーブランチポリマーの配合量を40質量部以下とすることにより、操作性の劣化を防ぐと共に、充填剤の配合割合を多くして、硬化物の機械的強度を確保することが容易となる。
次に、ハイパーブランチポリマー以外の歯科用硬化性組成物の構成材料について説明する。
−ラジカル重合性単量体−
ラジカル重合性単量体としては、公知のものが特に制限なく使用できる。一般に好適に使用されるラジカル重合性単量体としては、たとえば、下記(I)〜(III)に示されるものが挙げられる。
(I)二官能ラジカル重合性単量体
(i)芳香族化合物系の二官能ラジカル重合性単量体
2,2−ビス(メタクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(3−メタクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロポキシフェニル]プロパン(以下、bis−GMAと略記する)、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン(以下、D−2.6Eと略記する)、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシテトラエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシジプロポキシフェニル)プロパン、2(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)−2(4−メタクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2(4−メタクリロイルオキシジプロポキシフェニル)−2−(4−メタクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシイソプロポキシフェニル)プロパン及びこれらのメタクリレートに対応するアクリレート;2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のメタクリレートあるいはこれらメタクリレートに対応するアクリレートのような−OH基を有するビニルモノマーと、ジイソシアネートメチルベンゼン、4,4‘−ジフェニルメタンジイソシアネートのような芳香族基を有するジイソシアネート化合物との付加から得られるジアダクト等。
(ii)脂肪族化合物系の二官能ラジカル重合性単量体
エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート(以下、3Gと略記する)、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート(以下、HDと略記する)、1,9−ノナンジオールジメタクリレート(以下、NDと略記する)およびこれらのメタクリレートに対応するアクリレート;2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のメタクリレートあるいはこれらのメタクリレートに対応するアクリレートのような−OH基を有するビニルモノマーと、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、イソフォロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)のようなジイソシアネート化合物との付加体から得られるジアダクト;1,2−ビス(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エチル等。
(II)三官能ラジカル重合性単量体
トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、トリメチロールメタントリメタクリレート等のメタクリレート及びこれらのメタクリレートに対応するアクリレート等。
(III)四官能ラジカル重合性単量体
ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート及びジイソシアネートメチルベンゼン、ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、イソフォロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネートのようなジイソシアネート化合物とグリシドールジメタクリレートとの付加体から得られるジアダクト等。
これら多官能の(メタ)アクリレート系ラジカル重合性単量体は、必要に応じて複数の種類のものを併用しても良い。
さらに、必要に応じて、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピル
メタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレ
ート、グリシジルメタクリレート等のメタクリレート、及びこれらのメタクリレートに対
応するアクリレート等の単官能の(メタ)アクリレート系単量体や、上記(メタ)アクリ
レート系単量体以外のラジカル重合性単量体を用いても良い。
−重合開始剤−
重合開始剤としては、光重合開始剤、化学重合開始剤あるいは熱重合開始剤を用いることができ、2種類以上の重合開始剤を組み合わせて利用することもできる。なお、歯科用硬化性組成物が、通常、口腔内で使用されることを考慮すると、これら3種類の重合開始剤の中でも、光重合開始剤および/または化学重合開始剤を用いることが好ましい。さらに、取扱いが容易であることや、歯科用硬化性組成物を硬化させた硬化物中に気泡が混入する可能性が小さいなどの理由からは、光重合開始剤が最も好ましい。以下にこれら3種類の重合開始剤についてより詳細に説明する。
光重合開始剤としては、歯科用材料として用いられる公知のものが何ら制限なく使用できる。代表的な光重合開始剤としては、α−ジケトン類及び第三級アミン類の組み合わせ,アシルホスフィンオキサイド及び第三級アミン類の組み合わせ、チオキサントン類及び第三級アミン類の組み合わせ,α−アミノアセトフェノン類及び第三級アミン類の組み合わせ,アリールボレート類及び光酸発生剤類の組み合わせ等の光重合開始剤が挙げられる。
上記各種光重合開始剤に好適に使用される各種化合物を例示すると、α−ジケトン類としては、カンファーキノン、ベンジル、α−ナフチル、アセトナフテン、ナフトキノン、p,p'−ジメトキシベンジル、p,p'−ジクロロベンジルアセチル、1,2−フェナントレンキノン、1,4−フェナントレンキノン、3,4−フェナントレンキノン、9,10−フェナントレンキノン等が挙げられる。
三級アミンとしては、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジ−n−ブチルアニリン、N,N−ジベンジルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−m−トルイジン、p−ブロモ−N,N−ジメチルアニリン、m−クロロ−N,N−ジメチルアニリン、p−ジメチルアミノベンズアルデヒド、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸アミルエステル、N,N−ジメチルアンスラニリックアシッドメチルエステル、N,N−ジヒドロキシエチルアニリン、N,N−ジヒドロキシエチル−p−トルイジン、p−ジメチルアミノフェネチルアルコール、p−ジメチルアミノスチルベン、N,N−ジメチル−3,5−キシリジン、4−ジメチルアミノピリジン、N,N−ジメチル−α−ナフチルアミン、N,N−ジメチル−β−ナフチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルヘキシルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミン、N,N−ジメチルステアリルアミン、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、2,2'−(n−ブチルイミノ)ジエタノール等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を配合して使用することができる。
アシルホスフィンオキサイド類としては、ベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,3,5,6−テトラメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。
チオキサントン類としては、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等が挙げられる。
α−アミノアセトフェノン類としては、2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ベンジル−ジエチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−プロパノン−1、2−ベンジル−ジエチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−プロパノン−1、2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ペンタノン−1、2−ベンジル−ジエチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ペンタノン−1等が挙げられる。
上記光重合開始剤は単独で用いても、2種類以上のものを混合して用いても良い。
化学重合開始剤は、2成分以上からなり、使用直前に全成分が混合されることにより室温近辺で重合活性種を生じる重合開始剤である。このような化学重合開始剤としては、アミン化合物/有機過酸化物系のものが代表的である。
該アミン化合物を具体的に例示すると、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエタノール−p−トルイジンなどの芳香族アミン化合物が例示される。
代表的な有機過酸化物としては、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル、ジアリールパーオキサイドなどが挙げられる。
有機過酸化物を具体的に例示すると、ケトンパーオキサイド類としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド等が挙げられる。
パーオキシケタール類としては、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロデカン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン等が挙げられる。
ハイドロパーオキサイド類としては、P−メタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t―ヘキシルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
ジアルキルパーオキサイドとしては、α,α−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン−3等が挙げられる。
ジアシルパーオキサイド類としては、イソブチリルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアリルパーオキサイド、スクシニックアシッドパーオキサイド、m−トルオイルベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド類が挙げられる。
パーオキシカーボネート類としては、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−2−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート等が挙げられる。
パーオキシエステル類としては、α,α−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイックアシッド、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシ−m−トルオイルベンゾエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート等が挙げられる。
また、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等も好適な有機過酸化物として使用できる。
使用する有機過酸化物は、適宜選択して使用すればよく、単独又は2種以上を組み合わせて用いても何等構わないが、中でもハイドロパーオキサイド類、ケトンパーオキサイド類、パーオキシエステル類及びジアシルパーオキサイド類が重合活性の点から特に好ましい。さらにこの中でも、歯科用硬化性組成物の保存安定性の点から10時間半減期温度が60℃以上の有機過酸化物を用いるのが好ましい。
該有機過酸化物と該アミン化合物からなる開始剤系にさらに、ベンゼンスルフィン酸やp−トルエンスルフィン酸及びその塩などのスルフィン酸を加えた系、5−ブチルバルビツール酸などのバルビツール酸系開始剤を配合しても何ら問題なく使用できる。
また、アリールボレート化合物が酸により分解してラジカルを生じることを利用した、アリールボレート化合物/酸性化合物系の重合開始剤を用いることもできる。
アリールボレート化合物は、分子中に少なくとも1個のホウ素−アリール結合を有する化合物であれば特に限定されず公知の化合物が使用できるが、その中でも、保存安定性を考慮すると、1分子中に3個または4個のホウ素−アリール結合を有するアリールボレート化合物を用いることが好ましく、さらには取り扱いや合成・入手の容易さから4個のホウ素−アリール結合を有するアリールボレート化合物がより好ましい。
1分子中に3個のホウ素−アリール結合を有するボレート化合物として、モノアルキルトリフェニルホウ素、モノアルキルトリス(p−クロロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリス(p−フルオロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリス(3,5−ビストリフルオロメチル)フェニルホウ素、モノアルキルトリス[3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メトキシ−2−プロピル)フェニル]ホウ素、モノアルキルトリス(p−ニトロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリス(m−ニトロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリス(p−ブチルフェニル)ホウ素、モノアルキルトリス(m−ブチルフェニル)ホウ素、モノアルキルトリス(p−ブチルオキシフェニル)ホウ素、モノアルキルトリス(m−ブチルオキシフェニル)ホウ素、モノアルキルトリス(p−オクチルオキシフェニル)ホウ素、モノアルキルトリス(m−オクチルオキシフェニル)ホウ素(ただし、いずれの化合物においてもアルキルはn−ブチル、n−オクチル又はn−ドデシルのいずれかを示す)の、ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、トリブチルアミン塩、トリエタノールアミン塩、メチルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブチルピリジニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキノリニウム塩又はブチルキノリニウム塩等を挙げることができる。
1分子中に4個のホウ素−アリール結合を有するボレート化合物として、テトラフェニルホウ素、テトラキス(p−クロロフェニル)ホウ素、テトラキス(p−フルオロフェニル)ホウ素、テトラキス(3,5−ビストリフルオロメチル)フェニルホウ素、テトラキス[3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メトキシ−2−プロピル)フェニル]ホウ素、テトラキス(p−ニトロフェニル)ホウ素、テトラキス(m−ニトロフェニル)ホウ素、テトラキス(p−ブチルフェニル)ホウ素、テトラキス(m−ブチルフェニル)ホウ素、テトラキス(p−ブチルオキシフェニル)ホウ素、テトラキス(m−ブチルオキシフェニル)ホウ素、テトラキス(p−オクチルオキシフェニル)ホウ素、テトラキス(m−オクチルオキシフェニル)ホウ素〔ただし、いずれの化合物においてもアルキルはn−ブチル、n−オクチル又はn−ドデシルのいずれかを示す〕の、ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、トリブチルアミン塩、トリエタノールアミン塩、メチルピリジニウム塩、エチルピリジニウム塩、ブチルピリジニウム塩、メチルキノリニウム塩、エチルキノリニウム塩又はブチルキノリニウム塩等を挙げることができる。
上記で例示した各種のアリールボレート化合物は2種以上を併用しても良い。
上述したアリールボレート化合物/酸性化合物系の重合開始剤に、更に有機過酸化物及び/又は遷移金属化合物を組み合わせて用いることも好適である。有機過酸化物としては前記した通りである。遷移金属化合物としては+IV価及び/又は+V価のバナジウム化合物が好適である。該+IV価及び/又は+V価のバナジウム化合物を具体的に例示すると、四酸化二バナジウム(IV)、酸化バナジウムアセチルアセトナート(IV)、シュウ酸バナジル(IV)、硫酸バナジル(IV)、オキソビス(1−フェニル−1,3−ブタンジオネート)バナジウム(IV)、ビス(マルトラート)オキソバナジウム(IV)、五酸化バナジウム(V)、メタバナジン酸ナトリウム(V)、メタバナジン酸アンモン(V)、等のバナジウム化合物が挙げられる。
また、熱重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、トリブチルボラン、トリブチルボラン部分酸化物、テトラフェニルホウ酸ナトリウム、テトラキス(p−フロルオロフェニル)ホウ酸ナトリウム、テトラフェニルホウ酸トリエタノールアミン塩等のホウ素化合物、5−ブチルバルビツール酸、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸等のバルビツール酸類、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、p−トルエンスルフィン酸ナトリウム等のスルフィン酸塩類等が挙げられる。
−充填剤−
本実施形態の歯科用硬化性組成物には充填剤を配合することが特に好ましい。本実施形態の歯科用硬化性組成物に充填材を配合することにより、重合時の重合収縮の抑制効果をより大きくすることができる。また、充填材を用いることにより、歯科用硬化性組成物の操作性を改良したり、あるいは、硬化物の機械的物性の向上を図ることができる。
充填材としては、歯科用材料の充填材として用いられる公知の無機充填材や、有機−無機複合充填剤が何ら制限なく用いられる。無機充填材としては、たとえば、石英、シリカ、アルミナ、シリカ−チタニア、シリカ−ジルコニア、ランタンガラス、バリウムガラス、ストロンチウムガラス等の金属酸化物類が挙げられる。また、カチオン溶出性の無機充填材として、ケイ酸塩ガラス、フルオロアルミノシリケートガラス等を必要に応じて用いることもできる。これら無機充填材は、一種または二種以上を混合して用いてもよい。
また、有機−無機複合充填材としては、上記に例示した無機充填材に重合性単量体を添加してペースト状にした後に重合させ、得られた重合物を粉砕した粒状のものを利用することができる。
これら充填材の粒径は特に限定されず、一般的に歯科用材料として使用されている0.01μm〜100μm(特に好ましくは0.01〜5μm)の平均粒径の充填材が目的に応じて適宜使用できる。また、該充填材の屈折率も特に制限されず、一般的な歯科用の無機充填材が有する1.4〜1.7の範囲のものが制限なく使用でき、目的に合わせて適宜設定すればよい。粒径範囲や、屈折率の異なる複数の無機充填材を併用しても良い。
また、歯科用硬化性組成物を硬化させた硬化物の表面滑沢性を向上させる観点からは、球状の無機充填剤を用いることが好ましい。
上記無機充填材は、シランカップリング剤に代表される表面処理剤で処理することがこのましい。この場合、無機充填剤とラジカル重合性単量体との親和性が良くなり、硬化物の機械的強度や耐水性を向上させることができる。表面処理は公知の方法で行うことができる。また、シランカップリング剤としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等が好適に用いられる。
これらの充填材の配合量は、使用目的に応じて、ラジカル重合性単量体と混合したときの粘度や硬化物の機械的物性を考慮して適宜決定すればよいが、一般的には、ラジカル重合性単量体100質量部に対して50〜1500質量部の範囲内が好ましく、70〜1000質量部の範囲内がより好ましい。
−その他の添加成分−
本実施形態の歯科用硬化性組成物には、ラジカル重合性単量体、光重合開始剤、充填剤およびハイパーブランチポリマー以外にも必要に応じてその他の成分をさらに添加することができる。たとえば、硬化物の色調を、歯牙の色調に合わせるために、顔料、蛍光顔料、染料等の色材を添加することができる。また、硬化体の紫外線に対する変色防止のために紫外線吸収剤を添加することができる。また、重合禁止剤、酸化防止剤、有機溶媒、増粘剤等の公知の添加剤を必要に応じて用いることができる。
−歯科用硬化性組成物の製造方法−
本実施形態の歯科用硬化性組成物を製造する方法は特に限定されず、公知の光重合型組成物の製造方法を利用できる。一般的には、遮光下にて、配合する各成分を所定量秤とり、均一になるまで混練することで、本実施形態の歯科用硬化性組成物を得ることができる。
以下に本発明を実施例を挙げてより詳細に説明するが、本発明は以下に示す実施例のみに限定されるものではない。
(1)実施例および比較例で使用した化合物の略称
実施例および比較例で使用した化合物の略称は以下の通りである。
[ラジカル重合性単量体]
・Bis−GMA:
2,2−ビス(4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロポキシ)フェニル)プロパン
・D−2.6E:
2,2−ビス(4−(メタクリロイルオキシエトキシ)フェニル)プロパン
・3G:
トリエチレングリコールジメタクリレート
・UDMA:
1,6−ビス(メタクリルエチルオキシカルボニルアミノ)2,2,4−トリメチルヘキサン
・HD:
1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート
・ND:
1,9−ノナンジオールジメタクリレート
[重合開始剤]
(α−ジケトン)
・CQ:
カンファーキノン
(アミン化合物)
・DMBE:
p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル
[フィラー]
・10CF:
有機無機複合フィラー(bis−GMA;36質量%、3G;24質量%およびHD;40質量%を含む混合有機成分25質量部と、球状シリカ−ジルコニア(平均粒径0.2μm)75質量部とを用いて作製された複合フィラー、平均粒径:10μm)
・20CF:
有機無機複合フィラー(bis−GMA25質量部と球状シリカ−ジルコニア(平均粒径0.2μm)75質量部とを用いて作製された複合フィラー、平均粒径:20μm)
・30CF:
有機無機複合フィラー(bis−GMA;36質量%、3G;24質量%およびHD;40質量%を含む混合有機成分25質量部と、球状シリカ−ジルコニア(平均粒径0.2μm)75質量部とを用いて作製された複合フィラー、平均粒径:30μm)
・0.15Si−Zr:
球状シリカ−ジルコニア、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン表面処理物(平均粒径:0.15μm)
・0.3Si−Ti:
球状シリカ−チタニア、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン表面処理物(平均粒径:0.3μm)
・0.45Si−Zr:
球状シリカ−ジルコニア、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン表面処理物(平均粒径:0.45μm)
[ハイパーブランチポリマー]
・HA−DMA−200:
日産化学工業株式会社、GPC法による分子量:22000、流体力学的平均直径:5.2nm(in THF)
・HA−DVB−500:
日産化学工業株式会社、GPC法による分子量:48000、流体力学的平均直径:11.7nm(in THF)
・HA−DMA−50:
日産化学工業株式会社、GPC法による分子量:4000
・HA−DMA−700:
日産化学工業株式会社、GPC法による分子量:67000
・HPS−200:
日産化学工業株式会社、GPC法による分子量:23000、流体力学的平均直径7.5nm(in THF)
・PEI:
Poly(ethylenimide)、Polysciences社製、分子量:10000
・DVA−IBVE
T.Sato et al.,Polym.Int.2004,53,1138-1144の表1中のRun16に示される条件で合成したハイパーブランチポリマー
なお、HPS−200は、下記構造式1に示す分子構造を有するハイパーブランチポリマーである。ここで、構造式1中、nは1以上の整数を表す。
Figure 2012111550
(2)歯科用硬化性組成物の組成
表1〜表3に各実施例および各比較例の歯科用硬化性組成物の組成を示す。
Figure 2012111550
Figure 2012111550
Figure 2012111550
なお、表1〜表3中に示すマトリックス組成物A、マトリックス組成物B、マトリックス組成物C、フィラー組成物A、フィラー組成物Bおよびフィラー組成物Cは、以下に示す組成物である。
<マトリックス組成物A>
・D−2.6E:70質量部
・3G:20質量部
・UDMA:10質量部
・CQ:0.2質量部
・DMBE:0.35質量部
<マトリックス組成物B>
・bis−GMA:60質量部
・3G:40質量部
・CQ:0.2質量部
・DMBE:0.28質量部
<マトリックス組成物C>
・D−2.6E:60質量部
・ND:20質量部
・UDMA:20質量部
・CQ:0.2質量部
・DMBE:0.35質量部
<フィラー組成物A>
・0.45Si−Zr:70質量部
・0.3Si−Ti:30質量部
<フィラー組成物B>
・20CF:60質量部
・0.15Si−Zr:40質量部
<フィラー組成物C>
・30CF:36質量部
・10CF:24質量部
・0.15Si−Zr:40質量部
(評価結果)
各実施例および各比較例の歯科用硬化性組成物について、重合収縮率を測定すると共に、耐着色性試験および耐光性試験について評価した。また、実施例B1〜B4および比較例B1〜B3については、固液分離までの日数について評価し、実施例A1、A2については曲げ強さを評価した。結果を表4〜表7に示す。
Figure 2012111550
Figure 2012111550
Figure 2012111550
Figure 2012111550
評価結果について、同一のマトリックス組成物および同一のフィラー組成物を、実質的に同量用いた実施例および比較例の間で比較した場合、以下のことが判った。まず、ハイパーブランチポリマーを用いた実施例A1〜A3(または、実施例B1〜B5もしくは実施例C1〜C3)は、ハイパーブランチポリマーを用いていない比較例A1(または、比較例B1もしくは比較例C1)に比べて重合収縮率が小さくなっていた。また、ハイパーブランチポリマーとして、HA−DMA−200、HA−DVB−500、HA−DMA−50、HA−DMA−700、DVA−IBVEを用いた実施例A1〜A3(または、実施例B1〜B5もしくは実施例C1〜C3)は、耐着色試験、耐光性試験共にハイパーブランチポリマーを用いていないコンポジットレジン(比較例A1、比較例B1、比較例C1)と同等の結果であった。
一方、末端に二重結合を有し、アミノ基を有するハイパーブランチポリマーHPS−200を用いた比較例A2(または比較例B2もしくは比較例C2)は、ハイパーブランチポリマーを用いていない比較例A1(または比較例B1もしくは比較例C1)と比較して、耐着色試験、耐光性試験共に悪化している。また、ハイパーブランチポリマーとして、アミノ基を有しているポリエチレンイミンを用いた比較例A3(または比較例B3もしくは比較例C3)は、ハイパーブランチポリマーを用いていない比較例A1(または比較例B1もしくは比較例C1)と比較して、耐光性試験については同等の色調変化を示したが、耐着色試験においては著しく着色した。以上の結果から、親水性の高いアミノ基を有するハイパーブランチポリマーを用いた場合、硬化物の耐着色性を劣化させ、末端に反応性の高い二重結合を有するハイパーブランチポリマーを用いた場合、硬化物の耐光性を劣化させると推定される。
ハイパーブランチポリマーとして、HA−DMA−200、HA−DVB−500、HA−DMA−50、HA−DMA−700を用いた実施例B1〜B4については4週間以上、固液分離が生じることなく保存することができた。さらにハイパーブランチポリマーの分子構造が同一で、分子量のみが異なる実施例B1、B3、B4を比較すると、ハイパーブランチポリマーの分子量が大きくなると固液分離をより長期に渡って抑制できることが判った。一方、比較例B1、B2では、2〜3週間で固液分離が生じた。また、比較例B3については試験開始後、数日で歯科用硬化性組成物が硬化したため、評価ができなかった。
また、表7に示す結果からは、Rとしてフェニレン基を有するHA−DVB−500を用いた実施例A2の方が、実施例A1よりも優れた曲げ強さが得られることが判った。
なお、表4〜表6に示す、重合収縮率の測定方法、耐着色性試験および耐光性試験の試験方法および評価基準、固液分離までの日数の評価方法、ならびに、曲げ強さの測定方法は、以下の通りである。
−重合収縮率−
直径3mm、高さ7mmの孔を有するSUS製割型に、直径3mm、高さ4mmのSUS製プランジャーを填入して孔の高さを3mmに調整した。次に、この孔内に歯科用硬化性組成物を充填した後、孔の上端をポリプロピレンフィルムで圧接した。その後、SUS製割型のポリプロピレンフィルムが貼り付けられた面を下に向けた状態で、歯科用照射器(トクソーパワーライト、株式会社トクヤマデンタル製;光出力密度700mW/cm)の備え付けてあるガラス製台の上に載せた。そして、更にSUS製プランジャーの上から微小な針の動きを計測できる短針を接触させた。この状態で、歯科用照射器によって歯科用硬化性組成物を重合硬化させ、照射開始より3分後の収縮率[%]を、短針の上下方向の移動距離から算出した。
−耐着色性試験−
直径8mmの貫通孔を有する厚さ3mmのポリアセタール製型に歯科用硬化性組成物を填入した後、貫通孔の両端をポリプロピレンフィルムで圧接した。次に、歯科用光照射器(トクソーパワーライト、株式会社トクヤマデンタル製;光出力密度700mW/cm)にて10秒間光照射を行い、硬化体(試験片)を作製した。得られた試験片についてはその表面のバフ研磨を行った。その後、表面が研磨処理された試験片を、濃度が7.4質量%のコーヒー水溶液100ml中に、80℃で24時間浸漬した。浸漬後、水洗、乾燥した試験片の着色度合を、目視にて観察した。この際、同一のマトリックス組成物および同一のフィラー組成物を用いて作製されたサンプル間において、ハイパーブランチポリマーを含まない歯科用硬化性組成物を基準サンプルとして、着色度合を相対評価した。評価基準は以下の通りである。
A:評価したサンプルの着色度合が、基準サンプルの着色度合とほぼ同程度である。
B:評価したサンプルの着色度合が、基準サンプルの着色度合と比べて、僅かながら悪い。
C:評価したサンプルの着色度合が、基準サンプルの着色度合と比べて、著しく悪い。
−耐光性試験−
直径15mmの貫通孔を有する厚さ1mmのポリアセタール製型に歯科用硬化性組成物を填入した後、貫通孔の両端をポリプロピレンフィルムで圧接した。次に、歯科用光照射器(トクソーパワーライト、株式会社トクヤマデンタル製;光出力密度700mW/cm)にて、貫通孔内に充填された円形状の歯科用硬化性組成物全体に光が照射されるように、円内5箇所(円の中央部および円周近傍を円周方向に90度毎の位置)を各10秒ずつ光照射した。これにより、円板状の硬化体(試験片)を得た。次に、得られた試験片の半分をアルミ箔で覆い、キセノンウェザーメーター(スガ試験機社製、光強度40W/m)にて擬似太陽光に延べ4時間曝露した。その後、アルミ箔で覆った部分(未露光部)および擬似太陽光に曝露した部分(露光部)の色調を目視にて観察した。評価基準は以下の通りである。
A:未露光部の色調と露光部の色調とはほぼ同等である。
B:未露光部の色調と露光部の色調とに僅かな違いがある。
C:未露光部の色調と露光部の色調とに著しい違いがある。
−固液分離までの日数−
ペースト状の歯科用硬化性組成物をシリンジ(株式会社トクヤマデンタル製:パルフィークエステライトΣクイック用シリンジ)に詰め、50℃にて保管した。保管開始後、1日毎にシリンジを取り出し、キャップを開けてペーストの表面を目視にて観察し、固体成分と液体成分との分離の有無を確認した。
−曲げ強さ−
曲げ強さ測定は以下の手順で実施した。まず、ステンレス製型枠に歯科用硬化性組成物を充填し、ステンレス製型枠の表裏面の開口部に露出している歯科用硬化性組成物の両面を各々ポリプロピレンフィルムで圧接した。この状態で、歯科用光照射器(トクソーパワーライト、株式会社トクヤマデンタル製;光出力密度700mW/cm)を用いて表面および裏面側から各々光照射を行った。光照射は、片面について、1回当たり10秒間実施し、歯科用硬化性組成物全体に光が照射されるように照射位置を変えて合計5回実施した。また、光照射は、歯科用光照射器をポリプロピレンフィルムに密着させて実施した。これにより、硬化体を得た。次に、硬化体を、37℃の水中にて一晩保存した後、さらに#1500の耐水研磨紙にて研磨することで、角柱状の試験片(2mm×2mm×25mm)を得た。その後、試料片を試験機(島津製作所製、オートグラフAG5000D)に装着し、支点間距離20mm、クロスヘッドスピード1mm/分で3点曲げ破壊強度を測定した。そして、試験片5個について測定して得られた値の平均値を曲げ強さとした。

Claims (5)

  1. ラジカル重合性単量体と、重合開始剤と、ハイパーブランチポリマーとを含み、
    前記ハイパーブランチポリマーが、下記一般式(I)に示される単位構造と、下記一般式(IIA)に示される単位構造および下記一般式(IIB)に示される単位構造から選択される少なくとも一方の単位構造と、を含むことを特徴とする歯科用硬化性組成物。
    Figure 2012111550
    Figure 2012111550
    Figure 2012111550
    〔前記一般式(I)中、Aは、CとRとを結合する単結合、>C=O、−O−、または、−COO−であり、Rは、2価の飽和脂肪族炭化水素基、または、2価の芳香族炭化水素基であり、Rは、水素原子、または、メチル基である。
    また、前記一般式(IIA)および前記一般式(IIB)中、R、R、Rは、水素原子、主鎖を構成する炭素原子の数が1個〜5個のアルキル基、主鎖を構成する炭素原子の数が1個〜5個のアルコキシカルボニル基、アリール基、または、シアノ基である。
    また、前記一般式(IIB)中、Rは、主鎖を構成する炭素原子の数が4個〜10個のアルキレン基である。〕
  2. 請求項1記載の歯科用硬化性組成物において、
    フィラーを含むことを特徴とする歯科用硬化性組成物。
  3. 請求項1または2に記載の歯科用硬化性組成物において、
    前記ハイパーブランチポリマーの分子量が、22000以上であることを特徴とする歯科用硬化性組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載の歯科用硬化性組成物において、
    前記重合開始剤が、光重合開始剤であることを特徴とする歯科用硬化性組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載の歯科用硬化性組成物において、
    前記一般式(IIA)に示される単位構造および前記一般式(IIB)に示される単位構造から選択される少なくとも一方の単位構造が、下記構造式Aで示される単位構造であることを特徴とする歯科用硬化性組成物。
    Figure 2012111550
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