JPWO2012104956A1 - 質量分析方法及び装置 - Google Patents

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Abstract

目的物質に対する実測のマススペクトルから分子量を求め、データベース検索により分子量に対応した化学構造式の候補を抽出する(S2、S3)。解離パターン予測アルゴリズムを用い、化学構造式の候補毎に解離操作で生成されるプロダクトイオンを予測する(S4)。その予測されたプロダクトイオンのパターンと実測のMS2スペクトルとを比較し、パターンの一致性を示す類似度を算出する(S5)。化学構造式の候補が複数ある場合には、類似度に応じて候補を順位付けして表示する(S6)。MS2分析結果による上記処理で類似度が低い場合等には、MS3分析結果による同様の処理を実行する(S7、S8)。これにより、MSnスペクトルのデータベースが整備されていない場合でも、未知物質のMSnスペクトルに基づいて該物質の同定や構造解析を行うことができる。

Description

本発明は、MSn(nは2以上の整数)分析可能な質量分析装置を用いて未知物質の同定や構造解析を行う質量分析方法及び装置に関する。
イオントラップ型質量分析装置などを用いた質量分析においてはMS/MS分析(タンデム分析)という手法が知られている。一般的なMS/MS(=MS2)分析では、まず分析対象物から目的とする特定の質量電荷比(m/z)を有するイオンをプリカーサイオンとして選別し、その選別したイオンをCID(Collision Induced Dissociation:衝突誘起解離)によって解離させ、1又は複数のプロダクトイオンを生成する。このときの解離の態様は元の化合物の構造に依存する。そこで、解離によって生じたプロダクトイオンを質量分析してMS2スペクトルを取得し、これを解析することにより目的とする化合物を同定したりその化学構造を把握したりすることができる。また、1段階のCID操作によって十分に小さな質量電荷比までイオンが解離しない場合には、CID操作を複数回繰り返し、最終的に生じたプロダクトイオンを質量分析するMSn分析が行われることもある。
特許文献1に記載の分子同定方法では、上述したようなMSn分析により得られたデータ(MSnスペクトルデータ)から未知の化合物を同定したりその化学構造を推定したりする際に、スペクトルパターンや断片構造などを予め登録しておいたデータベース(ライブラリとも呼ばれる)を参照するデータベース検索が利用されている。しかしながら、こうした方法を利用するためにはMSnスペクトルのデータベースが整備されている必要がある。
近年、液体クロマトグラフ(LC)とMS2型(又はMSn型)質量分析装置とを組み合わせた液体クロマトグラフ質量分析装置(LC/MS)が数多く市販され、様々な分野で広く利用されるようになってきているが、こうした装置ではMSnスペクトルのデータベースが十分に整備されているとは言い難い。その理由の一つは、LC/MSでは観測可能な分子種が非常に多く(数百万種)、こうした膨大な数の分子種の全てについて網羅的にMSnスペクトルデータベースを作成することが困難であるためである。また、LC/MSでは、同一物質であっても、LCの移動相の種類、イオン化法、イオン化条件、CID条件などの分析条件や装置構成によって解離の態様が変化し易く、MSnスペクトルのピークパターンに大きな差が生じることもデータベース化が困難な理由の一つである。
こうしたことから、特にMSn型質量分析装置を用いたLC/MSでは、MSnスペクトルに対するデータベース検索を用いた物質の同定は困難であり、またそうした同定が可能な場合であっても同定可能な物質の種類はかなり限定される。そのため、LC/MSにおけるMSn分析において、全く未知である物質の同定にはMSnスペクトルのデータベース検索は実質的に利用できないという問題があった。
米国特許第7197402号明細書
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、MSnスペクトルのデータベースが十分に整備されていない場合であってもMSn分析により収集された質量分析データに基づいて物質の同定や構造解析を高い精度で行うことができる質量分析方法及び装置を提供することにある。
上記課題を解決するために成された第1発明は、測定対象の物質に由来するイオンをn−1(nは2以上の整数)段階に解離させるMSn分析を実行してMSnスペクトルを取得可能な質量分析装置を用い、未知物質の同定や構造解析を行う質量分析方法であって、
a)未知物質に対する質量分析を実行して得られたマススペクトルから求まる該未知物質の分子量又はその分子量から推定される組成式に基づいて、該未知物質の化学構造式を推定する構造式推定ステップと、
b)前記構造式推定ステップで推定された化学構造式に基づいて前記未知物質由来のイオンの解離パターンを予測することにより、該未知物質に対するMSn分析によって検出されるプロダクトイオンを推定する解離状態推定ステップと、
c)前記解離状態推定ステップで推定されたプロダクトイオンによるスペクトルパターンと前記未知物質に対するMSn分析を実行して得られたMSnスペクトルとを比較し、両者の類似性に基づいて前記構造式推定ステップによる化学構造式の推定の信頼度を評価する評価ステップと、
を有することを特徴としている。
また上記課題を解決するために成された第2発明は、上記第1発明に係る質量分析方法を実施するための装置であって、測定対象の物質に由来するイオンをn−1(nは2以上の整数)段階に解離させるMSn分析を実行してMSnスペクトルを取得可能であって、未知物質に対する質量分析を実行して得られたマススペクトル及び該未知物質に対するMSn分析を実行して得られたMSnスペクトルを用いて該未知物質の同定や構造解析を行う質量分析装置において、
a)未知物質に対する実測のマススペクトルから求まる該未知物質の分子量又はその分子量から推定される組成式に基づいて、該未知物質の化学構造式を推定する構造式推定手段と、
b)前記構造式推定手段で推定された化学構造式に基づいて前記未知物質由来のイオンの解離パターンを予測することにより、該未知物質に対するMSn分析によって検出されるプロダクトイオンを推定する解離状態推定手段と、
c)前記解離状態推定手段で推定されたプロダクトイオンによるスペクトルパターンと前記未知物質に対する実測のMSnスペクトルとを比較し、両者の類似性に基づいて前記構造式推定手段による化学構造式の推定の信頼度を評価する評価手段と、
を備えることを特徴としている。
第1発明に係る質量分析方法の一態様として、前記構造式推定ステップでは、各種化合物の化学構造情報が登録されたデータベースを利用して、未知物質の分子量又は組成式に対応した化学構造式を求めるようにすることができる。膨大な数の化合物についての構造情報データベースは様々な組織や機関から提供されており非常に充実している。したがって、こうしたデータベースを用いた検索により、目的とする分子量や組成式から化学構造式を容易に導出することができる。また、特定成分や基の付加や脱離が容易に生じることが分かっている場合には、起こり得る構造変化をリスト化して設定しておき、データベースに登録されている化合物の化学構造式がそのリストに挙げられている構造変化を生じた状態の化学構造式まで検索範囲を拡げるようにすれば、より適切な化学構造式が推定される可能性が高まる。
一般に、質量分析装置における質量精度の制約のために、或る1つの化合物についてマススペクトルから求まる分子量には或る程度の数値の幅が生じることが避けられない。一方、複数の異なる化合物の分子量が非常に近いということはよくある。したがって、多くの場合、構造式推定ステップでは、未知物質に対して実際の化学構造式ではないものを含む複数の化学構造式が候補として挙げられることになる。
解離状態推定ステップでは、上記のように分子量などから推定された化学構造式に基づいて目的とする未知物質由来のイオンの解離パターンを予測する。化学構造式の候補が複数ある場合には、それぞれについて解離パターンを予測する。こうした予測のために既存のソフトウエア(例えばアドバンス・ケミストリー・デベロップメント社製の「ACD/MS Manager」、「ACD/MS Fragmenter」)を利用すると便利である。そして、解離パターンの予測結果に基づいて、MSn分析によって検出されるプロダクトイオンを推定する。或る1つの化学構造式から予測される解離パターンは1つとは限らない。
評価ステップでは、予測解離パターンに基づいて推定されたプロダクトイオンによるスペクトルパターンと未知物質に対する実測で得られたMSnスペクトルとを比較し、例えば両者の類似性を示す類似度を算出し、その類似度に従って元の化学構造式の推定の信頼度を評価する。例えば、化学構造式の候補が複数ある場合には、それぞれについて類似度を求め、その類似度に従って候補の信頼性の順位付けを行う。こうした評価結果は例えば表示部の画面上に表示され、分析者はこれを見て未知物質を特定したりその構造を把握したりすることができる。
ただし、複数の化学構造式の候補に対する類似度が全て低い場合(例えばいずれも規定の閾値を下回っている場合)や、複数の候補に対する類似度に有意の差がなく候補を選択することが難しいような場合には、nを増加させたMSn分析を利用するとよい。例えば、1段階の解離パターンの予測に基づくプロダクトイオンによるスペクトルパターンとMS2分析で得られたMS2スペクトルとの比較の結果得られる類似度で適切な候補の選択ができない場合に、2段階の解離パターンの予測に基づくプロダクトイオンによるスペクトルパターンとMS3分析で得られたMS3スペクトルとを比較し類似度を求め、この類似度を利用して候補の順位付けを行うようにすることができる。
また、上述したnを増加させたMSn分析の利用は、必ずしも複数の化学構造式の候補に対する類似度が全て低い場合や複数の候補に対する類似度に有意の差がなく候補を選択することが難しい場合に限るものではない。即ち、nを増加させた解離パターンの予測に基づくプロダクトイオンによるスペクトルパターンとMSn分析で得られたMSnスペクトルとの比較を行ってその類似度を求めるようにすれば、その類似度を用い、既に行われた化学構造式推定の信頼度評価に対する検証を行うことができる。これによって、同定や構造推定の信頼性を一層向上させることができる。
また上記課題を解決するためになされた第3発明は、測定対象の物質に由来するイオンをn−1(nは2以上の整数)段階に解離させるMSn分析を実行してMSnスペクトルを取得可能な質量分析装置を用い、未知物質の同定や構造解析を行う質量分析方法であって、
a)各種物質の複数の化学構造式に基づいてそれぞれ解離パターンを予測することにより各物質に対するMSn分析の結果として得られるMSnスペクトルを求め、これをデータベース化して保持しておく仮想データベース構築ステップと、
b)未知物質に対するMSn分析を実行して得られたMSnスペクトルのスペクトルパターンを、予め指定された絞り込み条件の下で前記仮想データベース構築ステップにより保持されている仮想データベースに照らし、類似性の高い化学構造式を前記未知物質の同定候補として抽出する候補抽出ステップと、
を有することを特徴としている。
また上記課題を解決するために成された第4発明は、上記第3発明に係る質量分析方法を実施するための装置であって、測定対象の物質に由来するイオンをn−1(nは2以上の整数)段階に解離させるMSn分析を実行してMSnスペクトルを取得可能であって、未知物質に対する質量分析を実行して得られたマススペクトル及び該未知物質に対するMSn分析を実行して得られたMSnスペクトルを用いて該未知物質の同定や構造解析を行う質量分析装置において、
a)各種物質の複数の化学構造式に基づいてそれぞれ解離パターンを予測することにより各物質に対するMSn分析の結果として得られるMSnスペクトルを求め、これをデータベース化して保持しておく仮想データベース構築手段と、
b)未知物質に対するMSn分析を実行して得られたMSnスペクトルのスペクトルパターンを、予め指定された絞り込み条件の下で前記仮想データベース構築手段に保持されている仮想データベースに照らし、類似性の高い化学構造式を未知物質の同定候補として抽出する候補抽出手段と、
を備えることを特徴としている。
第1及び第2発明では、未知物質に対する実測結果から推定される化学構造式に基づいて該物質由来のイオンの解離パターンが予測され、その予測に基づいてMSn分析で得られるであろうMSnスペクトルが導出される。これに対し、第3及び第4発明では、実測に依らず、予め様々な化学構造式に対してそれぞれ解離パターンが予測され、その予測に基づいてMSn分析で得られるであろうMSnスペクトルが導出されて仮想的なMSnスペクトルのデータベースが構築される。ここで「仮想」と称するのは、スペクトルデータのデータベースは実測結果に基づくものであるのが一般的であるのに対し、ここでは実測に依らないものであるからである。
候補抽出ステップでは、未知物質に対するMSn分析結果であるMSnスペクトルのスペクトルパターンが与えられると、予め指定された絞り込み条件の下で上記仮想データベース中のスペクトルパターンとのマッチングを実行する。そして、類似性の高いMSnスペクトルを見出し、該スペクトルの導出元である化学構造式を未知物質の同定候補として抽出する。
この候補抽出ステップにおいては例えば、予め指定された絞り込み条件の下で、仮想データベース中のMSnスペクトルと未知物質に対する実測で得られたMSnスペクトルとを比較して両者の類似性を示す類似度を算出し、その類似度に従って複数の候補の信頼性の順位付けを行うようにするとよい。こうした評価結果を例えば表示部の画面上に表示すれば、分析者はこれを見て未知物質を特定したりその構造を把握したりすることができる。
第3発明に係る質量分析方法の一態様として、前記仮想データベース構築ステップでは、各種化合物の化学構造情報が登録されたデータベースを利用し、該データベースに登録されている各化合物に対して予測されるMSnスペクトルを求めて仮想データベースを構築するようにすることができる。上述したように、膨大な数の化合物についての構造情報データベースは様々な組織や機関から提供されており非常に充実している。したがって、こうした既存のデータベースに基づいて仮想データベースを構築することにより、仮想データベース自体が充実したものとなる。
また、仮想データベース構築ステップでは、各種化合物の化学構造情報が登録された既存の原データベースとは別につまり独立に仮想データベースを構築してもよいが、原データベース中の情報は保存したまま、各化合物について予測されるMSnスペクトルパターン自体や該スペクトルパターンから得られる情報(例えば生成イオンの質量電荷比のみなど)を元の化合物に対応付けて原データベースに追加登録するようにしてもよい。この場合には、原データベースに仮想データベースが追加されたものとなる。一般的に、質量分析の際に用いられる原データベースには、様々な化合物の化学構造情報とMS2スペクトル(又はフラグメンテーションが生じた状態のマススペクトル)とが登録されている。このMS2スペクトルやマススペクトルは実測により得られたものであり質量精度が良好ではない場合もあるが、上述したように化合物の組成式から予測されるMSnスペクトルは理論値の精度を持つため、こうした高精度のMSnスペクトルを原データベースに追加登録することにより、高精度の質量電荷比を入力としたデータベース検索にも対応可能となる。
なお、原データベースは化合物の化学構造情報が登録されていさえすれば、質量分析とは関連のないものでもよく、この原データベースに各化合物について予測されるMSnスペクトルパターン自体や該スペクトルパターンから得られる情報を追加登録することにより仮想データベースを作成するようにしてもよい。
さらにまた、仮想データベースに格納されるMSnスペクトルは、様々な化学構造が予測される解離パターンに従って解離すると想定した場合の計算上のスペクトルであって、実測で得られるスペクトルではない。そのため、様々な事情や制約によって実測できないような或いは実測では観察が難しいようなMSnスペクトルも仮想データベースには含まれることになり、それだけMSnスペクトルの種類は多くなる。こうしたことから、同定候補を抽出する際に対応するものが見つからずに同定不能となったり或いは誤同定が起こったりする確率を小さくすることができる。
なお、仮想データベース構築ステップにおける解離パターンの予測には、第1及び第2発明と同様に、既存のソフトウエア(例えば上述のアドバンス・ケミストリー・デベロップメント社製の「ACD/MS Manager」、「ACD/MS Fragmenter」など)を利用するとよい。
また、例えばMS2スペクトルの比較を行う場合であっても、仮想データベース構築ステップでは、1段階の解離だけではなく2段階以上の解離で生じる解離パターンも予測し、その予測に基づくMSnスペクトルも仮想データベースに格納しておくようにするとよい。実際のイオンの解離では、条件によっては1回の解離操作によって2段階以上の解離が連続的に生じることもあり得るが、上記のように仮想データベースを構築しておくことにより、意図せずに2段階以上の解離が起こった場合でもそれによって生成されたプロダクトイオンのスペクトルパターンを検索することが可能となる。
一般に、或る1つの化学構造に対して予測される解離パターンは多数存在するため、仮想データベース中に格納されるMSnスペクトルの総数は膨大なものとなる。また、或る2つのMSnスペクトルが類似していてもその導出元の化学構造は全く異なる化合物であるといったケースもある。そのため、データベース検索に要する時間を短縮するため、及び、誤同定を極力避けるためには、絞り込み条件を適切に設定することが好ましい。
絞り込み条件の具体的な一例として、同位体分布、一部の組成式又は構造式、構成元素の種類及び個数、マスディフェクト(質量欠損)フィルタ、などが考えられる。質量分析装置の前段に液体クロマトグラフやガスクロマトグラフを接続した構成の場合には、クロマトグラフにおける溶出時間(保持時間)を絞り込み条件とすることもできる。
また、質量分析装置以外の別の分析装置で測定された情報、例えば、酸解離定数(pKa)、中性条件下での水/オクタノール系分配係数(LogP)、各pHにおける水/オクタノール系分配係数(LogD)などの物性値を絞り込み条件としてもよい。もちろん、複数の種類の絞り込み条件を組み合わせることも可能である。
原データベースに上記のような物性値が各化合物に対応した情報の1つとして格納されている場合には、未知物質に対する実測の物性値を原データベースに格納されている物性値と比較することで検索の絞り込みを行うことができる。また、原データベースに物性値が情報として格納されていない場合でも、既知の計算手法により構造式から各種物性値を計算により求め、未知物質に対する実測の物性値をこの計算により求めた物性値と比較することで検索の絞り込みを行うことができる。
また複数の同定候補に対する類似度に有意の差がなく候補を選択することが難しいような場合には、nを増加させたMSn分析を利用するとよい。例えば、1段階の解離パターンの予測に基づくプロダクトイオンによるスペクトルパターンとMS2分析で得られたMS2スペクトルとの比較の結果得られる類似度で適切な候補の選択ができない場合に、MS3分析で得られたMS3スペクトルパターンを2段階以上の解離パターンの予測に基づくMSnスペクトルを格納した仮想データベースに照らして、類似度の高い候補を選択したり類似度を利用した候補の順位付けを行ったりすることができる。もちろん、nを4以上としたMSn分析を行ってもよい。
なお、通常、MSnスペクトルはプロダクトイオンの強度情報であるが、第1乃至第4発明でいうところの「MSnスペクトル」は、解離に伴ってイオンから脱離した中性断片(ニュートラルロス)も含むようにすることができる。ニュートラルロスは、プリカーサイオンとプロダクトイオンとの質量電荷比差に相当する。
第1発明に係る質量分析方法及び第2発明に係る質量分析装置によれば、MSnスペクトルのピークパターンを照合するようなデータベースが存在しない場合であっても、実測で得られたマススペクトルやMSnスペクトルから未知物質を同定したりその化学構造を把握したりすることが可能となる。また、膨大な数の化合物に対するMSnスペクトルのデータベースを作成する必要がなく、分析条件や装置構成によるMSnスペクトルの変動も気にする必要がなくなるので、ユーザ、装置メーカ共にそうした作業の負担が軽減される。
第3発明に係る質量分析方法及び第4発明に係る質量分析装置によれば、MSnスペクトルのピークパターンを照合するための実測に基づくデータベースが作成できない場合であっても、コンピュータを利用した計算上で作成した仮想データベースを利用して、実測で得られたマススペクトルやMSnスペクトルから未知物質を同定したりその化学構造を把握したりすることが可能となる。これにより、実測に基づくデータベースを作成する必要がなく、分析条件や装置構成によるMSnスペクトルの変動も気にする必要がなくなるので、ユーザ、装置メーカ共にそうした作業の負担が軽減される。また、実測では得られにくいような計算上の膨大な種類のMSnスペクトルに対するデータベース検索が可能となるので、同定漏れや誤同定の確率が下がり、化合物同定の精度向上を図ることができる。
本発明の第1実施例による質量分析装置の概略構成図。 第1実施例による質量分析装置における特徴的な物質同定方法の手順を示すフローチャート。 図2のフローチャートに従った物質同定の一例を示す模式図。 本発明の第2実施例による質量分析装置の概略構成図。 第2実施例による質量分析装置における特徴的な物質同定方法の手順を示すフローチャート。
[第1実施例]
以下、本発明に係る質量分析方法を実施するための質量分析装置の一実施例(第1実施例)について添付図面を参照して説明する。図1はこの第1実施例による質量分析装置の概略構成図である。
本実施例の質量分析装置において、質量分析部10は、大気圧下で液体試料中の物質をイオン化するESI(エレクトロスプレイイオン化)イオン源11と、生成されたイオン流に混じる溶媒を除去するとともにイオンを真空室(図示せず)内へと導く加熱キャピラリ管12と、イオンを収束させつつ後段へと送るイオン輸送光学系13と、3次元四重極型のイオントラップ14と、該イオントラップ14から放出された各種イオンをその飛行時間によって質量分離する飛行時間型質量分析器(TOFMS)15と、質量分離されたイオンを検出する検出器16と、を含む。ESIイオン源11の入口には通常の液体試料を導入することができるほか、液体クロマトグラフ(LC)のカラム出口を接続してLCで成分分離された液体試料を連続的に導入することもできる。なお、ESIイオン源11に代えてAPCI(大気圧化学イオン化)イオン源やAPPI(大気圧光イオン化)イオン源を用いてもよい。
上記検出器16による検出信号は処理・制御部20に入力され、図示しないA/D変換器でデジタルデータに変換された後に所定のデータ処理が実行される。処理・制御部20は、データ処理を行うために、スペクトル作成部21、データ解析部22、解離パターン予測部23、データベース(DB)検索部24、物質データベース(DB)25などを含むほか、質量分析部10の各部を制御する分析制御部26を含む。また、処理・制御部20には、ユーザインターフェイスとしての入力部30や表示部31が接続されている。なお、処理・制御部20の機能の大部分は、専用の制御・処理ソフトウエアを搭載したパーソナルコンピュータにより具現化することができる。
また、図示しないが、イオントラップ14には外部からCIDガスを導入可能であり、イオントラップ14内に特定の質量電荷比を持つイオンを選択的に捕捉した後にCIDガスを導入し、上記捕捉したイオンを高周波電場により共鳴励起させることによって、該イオンをCIDガスに衝突させて解離させることが可能である。さらに、特定の質量電荷比を持つイオンの選別と上記のようなCID操作とを繰り返すことにより、イオンを複数段に解離させて小さな断片とすることができる。即ち、この質量分析装置はMSn分析が可能な質量分析装置である。
物質データベース25は、様々な化合物の化合物名、分子量、組成式、化学構造式などが登録されたものであり、例えば、米国の国立生物工学情報センターが管理するPubChem(インターネット<http://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/>参照)等を用いることができる。もちろん、物質データベース25はこれに限るものではなく、一般に提供されているもののほか、ユーザ自身が構築したものでもよい。
解離パターン予測部23は、与えられた化学構造式に基づいて、その構造を持つ物質(化合物)由来のイオンの解離(フラグメンテーション)パターンを網羅的に予測するものであり、例えば、アドバンス・ケミストリー・デベロップメント(Advanced Chemistry Development)社が提供している「ACD/MS Manager」、「ACD/MS Fragmenter」、ウォーターズ(Waters)社が提供している「MassFragment」(インターネット<URL : http://www.waters.com/waters/nav.htm?locale=ja_JP&cid=1000943>参照)、ヘルシンキ大学が提供している「Fragment Identificator」(インターネット<URL : http://www.cs.helsinki.fi/group/sysfys/software/fragid/>参照)などの既存のソフトウエアを利用することが可能である。
本実施例の質量分析装置における未知物質の同定方法について図2及び図3に従って説明する。図2は物質同定方法の手順を示すフローチャート、図3は図2のフローチャートに従った物質同定の一例を示す模式図である。
入力部30を通してユーザから分析開始が指示されると、分析制御部26の制御の下に、質量分析部10では未知物質を含む被検試料に対するMS1分析〜MS3分析が実行され、スペクトル作成部21はそれら分析により得られた検出信号に基づいてMS1〜MS3スペクトルを作成する(ステップS1)。
即ち、質量分析部10では被検試料に対するMS1分析がまず実行され、スペクトル作成部21はMS1分析により検出器16で得られた検出信号に基づいてMS1(マス)スペクトルを作成する。データ解析部22はMS1スペクトル上に現れたピークの中で目的とする未知物質由来の特徴的なピークを検出し、分析制御部26の制御の下に質量分析部10は、このピークに対応したイオンをプリカーサイオンに設定した1段階のCID操作を伴うMS2分析を実行する。ESIイオン化やAPCIイオン化はいわゆるソフトなイオン化であるため、分子にプロトンが付加した又はプロトンが脱離したイオンが最も多く生成される傾向にある。このため、上記の特徴的なピークとは、通常、信号強度が最大のピークである。ただし、妨害成分が既知である場合には、そうした妨害成分由来のピークを除いた上で信号強度が最大のピークを探索すればよい。
スペクトル作成部21は、MS2分析により得られた検出信号に基づいてMS2スペクトルを作成する。さらに、データ解析部22はMS2スペクトル上に現れたピークの中で特徴的なピークを検出し、分析制御部26の制御の下に質量分析部10は、このピークに対応したイオンを2段目のプリカーサイオンに設定した2段階のCID操作を伴うMS3分析を実行し、スペクトル作成部21はMS3分析により得られた検出信号に基づいてMS3スペクトルを作成する。
MS1〜MS3スペクトルデータが収集されると、データ解析部22はMS1スペクトル上の特徴的なピーク(MS2分析のためのプリカーサイオンピーク)のm/z値(又はそれに対応した組成式)を取得し、データベース検索部24がその収集した情報を物質データベース25に照合することにより、m/z値(又は組成式)に対応する化学構造式を求める(ステップS2、S3)。この際、質量分析装置の質量精度などを見込んだ数値幅のm/z値を用いたデータベース検索を行う。一般に、m/z値がほぼ同一であって化学構造式が相違する化合物は幾つか存在する。そのため、PubChemのような膨大な数の化合物が登録されているデータベースを用いた場合には、1つのm/z値に対し複数の化学構造式が検索結果として抽出される。図3に示した例では、m/z=Mについてデータベース検索を行った結果、A、B、Cの互いに異なる3つの化学構造式が導出されたものとする。これらが化学構造式の候補である。
化学構造式の候補が決定されると、解離パターン予測部23はその化学構造式の候補毎にフラグメンテーションパターンを予測し、データ解析部22はその予測結果に基づいてMS2分析において生成されるプロダクトイオンを予測する(ステップS4)。なお、解離パターン予測部23には、イオン化方法、イオン化の正/負モード、イオン化条件などの実際の分析条件が与えられるため、それによって予測の幅が或る程度絞られる。図3の例では、A、B、Cの3つの化学構造式の候補に対しそれぞれ、3つのプロダクトイオン群、例えば、化学構造式Aに対して[a11、a12、…]、[a21、a22、…]、[a31、a32、…]の3つのプロダクトイオン群が予測される。同様に、化学構造式Bに対して[b11、b12、…]、[b21、b22、…]、及び[b31、b32、…]の3つのプロダクトイオン群が予測され、化学構造式Cに対して[c11、c12、…]、[c21、c22、…]、及び[c31、c32、…]の3つのプロダクトイオン群が予測される。したがって、この場合には、目的とする物質に対するMS2スペクトルのピークパターンの候補は全部で9個となる。
続いてデータ解析部22は、上記のように予測されたプロダクトイオン群(に基づいて予測されるMS2スペクトルのピークパターン)とステップS1において実測により得られたMS2スペクトルのピークパターンとを比較し、それぞれのm/z及び強度の一致の度合いに基づいて数値化した類似度を算出する(ステップS5)。そして、算出した類似度の高さに従って化学構造式の候補を順位付けし、表示部31の画面上に解析結果として表示する(ステップS6)。分析者はこの表示を見て、例えば最高順位が与えられた化学構造式が目的物質の化学構造式であると判断することができる。
ただし、最も高い類似度でも類似度の数値自体がかなり低い場合、具体的には予め定めておいた類似度の閾値を下回る場合や、複数の化学構造式の候補に与えられた類似度に有意な差がなく(例えば類似度差が所定の閾値以内の場合)いずれの化学構造式を選択すべきか判断が下せないような場合には、分析者が入力部30で所定の操作を行うと、データ解析部22は引き続き解析処理を実行する。
即ち、解離パターン予測部23は、化学構造式の各候補について、2段目の解離パターンを予測し、データ解析部22はその予測結果に基づいてMS3分析において生成されるプロダクトイオンを予測する。そして、上記のように予測されたプロダクトイオン群(に基づいて予測されるMS3スペクトルのピークパターン)とステップS1において実測により得られたMS3スペクトルのピークパターンとを比較し、それぞれのm/z及び強度の一致の度合いに基づいて数値化した類似度を算出する。これにより得られた類似度に基づいて、化学構造式の候補を順位付けしたり或いは一部の候補のみを抽出したりして、その結果を表示部31に表示する(ステップS8)。
もちろん、MS2スペクトルにおいて十分に高い類似度で特定の化学構造式を選択することが可能であった場合でも、つまりステップS7でNoと判断される場合であってもステップS8の解析処理を実行し、その結果を利用してステップS5、S6におけるMS2スペクトルを用いた同定の検証を行うようにしてもよい。これにより、偶然の一致による誤った同定の可能性を小さくすることができる。
また上記実施例では、MS3スペクトルデータもデータ解析処理前に、つまりステップS1において収集しているが、ステップS7でNoと判断されてそのまま処理が終了する場合にはMS3スペクトルデータは無駄になる。そこで、ステップS1では未知物質に対するMS1スペクトル及びMS2スペクトルのみを測定しておき、ステップS7においてYesと判断されたときに、未知物質に対するMS3スペクトルを測定するようにしてもよい。ただし、必要なスペクトルデータを収集した後にバッチ処理でデータ解析を行う場合にはこうした方法は採用できないし、LC/MSのように測定に時間が掛かる場合にもこうした方法は採用しにくい。したがって、一般的にはステップS1においてMS3スペクトルも取得しておくほうが望ましい。
また上記実施例では、予め用意された物質データベース25を利用して未知物質の化学構造式を推定するようにしていたが、例えば特定の成分の付加(例えば酸素付加)や脱離(例えばメチル基の脱離)が起こり易い場合に、そうしたことによる構造の変化の予測をリスト化してこれを登録しておき、物質データベース25に登録されている化学構造式に対しそのリストに挙げられた構造変化が生じた変形化学構造式もデータベース検索の対象とするとよい。これにより、物質データベース25に登録されている化合物に留まらず、その化合物に近い化学構造式を同定候補として挙げることができ、未知物質の化学構造の推定の精度が向上する。
また上記実施例では、単一の未知物質由来のMS2スペクトル、MS3スペクトルがそれぞれ1つであることを前提としていたが、例えばMS2スペクトル上に特徴的なピークが複数観測される場合に、その各ピークに対応したイオンをプリカーサイオンとするMS3分析をそれぞれ実行し、複数のMS3スペクトルを作成することができる。こうした場合、それらMS3スペクトルは元の物質の互いに異なる部分構造の情報をそれぞれ有しているとみなせるから、2段階の解離パターンの予測に基づく異なる組合せのプロダクトイオンのパターンと複数のMS3スペクトルとを相互に比較したり、或いはそれらを統合したりして総合的に類似度を求めるようにすることができる。
また、表示部31に解析結果として化学構造式の候補を表示する際に、複数の候補がある場合には、化学構造の異なる部分や逆に化学構造が共通している部分を他の部分とは識別可能な特定の色で示す等、明示するようにするとよい。それによって、分析者が物質の構造を推定するのに有用が情報を提供することができる。
また、目的物質に対するMS1スペクトルから求めた分子量や組成式のみからデータベース検索により化学構造式を求めるのではなく、それ以外の目的物質に関する情報を与えて検索の精度を上げるようにしてもよい。この情報は質量分析装置以外の別の分析装置で被検試料中の未知物質が測定された情報であり、例えば、酸解離定数(pKa)、中性条件下での水/オクタノール系分配係数(LogP)、各pHにおける水/オクタノール系分配係数(LogD)、水溶解度、沸点、蒸気圧、σ値(ハメット定数)などの物性値を用いることができる。これにより、化学構造式の候補自体が絞られるので、精度の高い物質同定、構造解析が可能となる。
[第2実施例]
本発明に係る質量分析方法を実施するための質量分析装置の他の実施例(第2実施例)について添付図面を参照して説明する。図4はこの第2実施例による質量分析装置の概略構成図である。図1に示した第1実施例の構成と同一又は相当する構成要素には同一符号を付している。この第2実施例の質量分析装置において、質量分析部10の構成は第1実施例と同じである。
検出器16による検出信号は処理・制御部20に入力され、図示しないA/D変換器でデジタルデータに変換された後に所定のデータ処理が実行される。処理・制御部20は、データ処理を行うために、スペクトル作成部21、データ解析部22、データベース(DB)検索部201、解離パターン予測部202、物質データベース(DB)203、仮想データベース(DB)構築部204、仮想MSnデータベース(DB)205、などを含むほか、質量分析部10の各部を制御する分析制御部26を含む。また、処理・制御部20には、ユーザインターフェイスとしての入力部30や表示部31が接続されている。なお、処理・制御部20の機能の大部分は、専用の制御・処理ソフトウエアを搭載したパーソナルコンピュータにより具現化することができる。
物質データベース203は第1実施例における物質データベース25と同じく、様々な化合物の化合物名、分子量、組成式、化学構造式などが登録されたものであり、例えば、米国の国立生物工学情報センターが管理するPubChem(インターネット<http://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/>参照)等を用いることができる。もちろん、物質データベース203はこれに限るものではなく、一般に提供されているもののほか、ユーザ自身が構築したものでもよい。また、解離パターン予測部202は第1実施例における解離パターン予測部23と同様の機能を持つ。
次に、第2実施例の質量分析装置における未知物質の同定方法について、図5に示すフローチャートに従って説明する。
入力部30を通してユーザから仮想データベース構築の実行が指示されると、仮想データベース構築部204は物質データベース203に登録されている各化合物について、その化学構造式を解離パターン予測部202に順次与える。解離パターン予測部202はその化学構造式毎にフラグメンテーションパターンを予測し、仮想データベース構築部204はその予測結果に基づいてMS2分析において生成されるプロダクトイオン群を予測してMS2スペクトルを作成する。この場合、解離パターン予測部202が解離パターンを予測する際には、上記第1実施例の場合とは異なり、イオン化方法、イオン化の正/負モード、イオン化条件などの分析条件の制約を課さない。そのため、或る1つの化学構造式から複数の(通常は多数の)解離パターンが予測され、1つの化学構造式に対応するMS2スペクトルは複数存在する。また、解離パターン予測部23は1段階の解離のみならず、1段階の解離により生じたプロダクトイオンがさらに解離して別のプロダクトイオンを生じる複数段階の解離パターンについても予測し、仮想データベース構築部204はそうした予測結果に基づくMSnスペクトルも作成する。
何段階の解離まで予測するのかは適宜に定めることができるが、ここでは後述するようにMS3スペクトルのパターンの類似性まで判定することを想定して、少なくとも2段階の解離パターンまでを予測して計算上のMS3スペクトルを求めるものとする。したがって、一般に1つの化学構造式から多数のMSnスペクトルが作成され、物質データベース203に登録されている全ての化合物に対して生成されるMSnスペクトルは膨大なものとなる。こうしたMSnスペクトルを構成するデータが派生元の化学構造式や化合物名などの情報と対応付けて記憶された仮想MSnデータベース205が構築される(ステップS11)。
その後に、入力部30を通してユーザから分析実行が指示されると、分析制御部26の制御の下に、質量分析部10では未知物質を含む被検試料に対するMS1分析及びMS2分析が実行され、スペクトル作成部21はそれら分析により得られた検出信号に基づいてMS1スペクトル及びMS2スペクトルを作成する(ステップS12)。即ち、質量分析部10では被検試料に対するMS1分析がまず実行され、スペクトル作成部21はMS1分析により検出器16で得られた検出信号に基づいてMS1スペクトルを作成する。データ解析部22はMS1スペクトル上に現れたピークの中で目的とする未知物質由来の特徴的なピークを検出し、分析制御部26の制御の下に質量分析部10は、このピークに対応したイオンをプリカーサイオンに設定した1段階のCID操作を伴うMS2分析を実行する。ESIイオン化やAPCIイオン化はいわゆるソフトなイオン化であるため、分子にプロトンが付加した又はプロトンが脱離したイオンが最も多く生成される傾向にある。このため、上記の特徴的なピークとは、通常、信号強度が最大のピークである。ただし、妨害成分が既知である場合には、そうした妨害成分由来のピークを除いた上で信号強度が最大のピークを探索すればよい。スペクトル作成部21は、MS2分析により得られた検出信号に基づいてMS2スペクトルを作成する。
実測によるMS1スペクトル及びMS2スペクトルが得られると、データベース検索部201は予め与えられた絞り込み条件の下で、その実測によるMS2スペクトルのピークパターンを仮想MSnデータベース205に照らしてデータベース検索し、未知物質の化学構造式の候補を挙げる(ステップS13)。絞り込み条件としては、例えば、同位体分布、一部の組成式や構造式、構成元素の種類と数、質量欠損(マスディフェクト)、結合様式や開裂様式、開裂条件、他の分析装置で測定される物性値などが利用可能である。また、質量分析部10の前段に液体クロマトグラフやガスクロマトグラフが設けられている場合には、それらクロマトグラフでの溶出時間(保持時間)も絞り条件とすることができる。
同位体分布を利用した絞り込みとは、例えば、同一物質イオン由来の同位体ピークが存在することを条件としたり、或いは、同一物質イオン由来の同位体ピークであると推定される複数のピークの信号強度比が所定の範囲に収まっていることを条件としたりする絞り込みである。また、マスディフェクトによる絞り込みとは、MS1スペクトル上のピーク(MS2分析のためのプリカーサイオンピーク)のm/z値から求まる分子量の小数点部分に対し一定の許容幅を設定し、その許容幅内の小数点部分を持つ分子量範囲内に分子量が収まるような化合物(構造式)を選択する絞り込みである。他の分析装置で測定される物性値とは、上述した、酸解離定数(pKa)、中性条件下での水/オクタノール系分配係数(LogP)、各pHにおける水/オクタノール系分配係数(LogD)、水溶解度、沸点、蒸気圧、σ値(ハメット定数)などである。
物質データベース203に上記のような物性値が格納されている場合には、被検試料中の未知物質に対して質量分析装置以外の適宜の分析装置を用いた実測により得られた物性値を物質データベース203に登録されている物性値と比較することで化合物の絞り込みを行うことができる。ただし、上記のような物性値は質量分析とは直接的に関連しない情報であるため、ここで一般に使用される物質データベース203には始めから格納されていない場合もある。そうした場合でも、上記のような物性値の少なくとも一部は既知の方法(例えば理論的な計算式など)により構造式から求めることが可能であるから、物質データベース203に格納されている各化合物の構造式に基づいて求めた物性値と未知物質に対し実測により得られた物性値とを比較することで、化合物の絞り込みを行うようにすることもできる。これは、第1実施例についても同様である。
上記絞り込み条件は例えば予めユーザが入力部30から手動で設定しておくようにしてもよいし、或いは、マスディフェクトなどMS1分析結果に基づいて導出される絞り込み条件については分析結果から自動的に絞り込み条件を設定することもできる。
データベース検索部201は上述のように絞り込み条件に基づいて検索範囲を狭めながら、実測により得られたMS2スペクトルのピークパターンと仮想MSnデータベース205に登録されているMS2スペクトルのピークパターンとを比較し、それぞれのm/z及び強度の一致の度合いに基づいて数値化した類似度を算出する(ステップS14)。そして、データ解析部22は、算出した類似度の高さに従って未知物質に対する化学構造式の候補を順位付けし、表示部31の画面上に解析結果として表示する(ステップS15)。分析者はこの表示を見て、例えば最高順位が与えられた化学構造式が目的物質の化学構造式であると判断することができる。
最も高い類似度でも類似度の数値自体がかなり低い場合、具体的には予め定めておいた類似度の閾値を下回る場合や、複数の異なる化学構造式の候補に与えられた類似度に有意な差がなく(例えば類似度差が所定の閾値以内の場合)いずれの化学構造式を選択すべきか判断が下せない場合には、分析者が入力部30で所定の操作を行うと、質量分析部10は分析制御部26の制御の下に未知物質を含む被検試料に対するMS2分析を実行し、スペクトル作成部21は該分析により得られた検出信号に基づいてMS3スペクトルを作成する(ステップS17)。即ち、MS2分析により得られたプロダクトイオンのうちの特徴的なものをプリカーサイオンとして選択してMS3分析を実行する。なお、第1実施例で説明したように、この第2実施例の質量分析装置でも、未知物質を含む被検試料に対する実測を行う際に、即ちステップS12において、MS2スペクトルだけでなくMS3スペクトルも併せて取得するようにしてもよい。
いずれにしても実測のMS3スペクトルが得られたならば、ステップS13〜S15と同様に、データベース検索部201は与えられた絞り込み条件の下で仮想MSnデータベース205を参照したデータベース検索を実行し、類似度の高い化学構造式の候補を抽出して類似度により順位付けして表示部31の画面上に解析結果として表示する(ステップS18)。分析者はこの表示を見て、例えば最高順位が与えられた化学構造式が目的物質の化学構造式であると判断することができる。
もちろん、MS2スペクトルにおいて十分に高い類似度で特定の化学構造式を選択することが可能であった場合でも、つまりステップS16でNoと判断される場合であってもステップS17、S18の処理を実行し、その結果によりMS2スペクトルを用いた同定の検証を行うようにしてもよい。これにより、偶然の一致による誤った同定の可能性を小さくすることができる。
上記第2実施例では、予め用意された物質データベース203に登録されている化合物の化学構造式から元の物質由来のイオンの解離パターンを予測するようにしていたが、例えば特定の成分の付加(例えば酸素付加)や脱離(例えばメチル基の脱離)が起こり易い場合に、そうしたことによる構造の変化の予測をリスト化してこれを登録しておき、物質データベース203に登録されている化学構造式に対しそのリストに挙げられた構造変化が生じた変形化学構造式も解離パターンの予測の対象とするとよい。これにより、物質データベース203に登録されている化合物に留まらず、その化合物に近い化学構造式を持つ物質も同定候補として挙げることができ、化学構造の推定の精度が向上する。
また、単一の未知物質由来のMS2スペクトルやMS3スペクトルがそれぞれ1つではなく、例えばMS1スペクトル上に特徴的なピークが複数観測される場合に、ステップS12では、その各ピークに対応したイオンをプリカーサイオンとするMS2分析をそれぞれ実行し、複数のMS2スペクトルを作成することができる。こうした場合、それら複数のMS2スペクトルは元の未知物質の互いに異なる部分構造の情報をそれぞれ有していると推定できるから、それぞれの実測によるMS2スペクトルに対するデータベース検索の結果を比較したり或いはそれらを統合したりして総合的に類似度を求めるようにしてもよい。
また、表示部31に解析結果として化学構造式の候補を表示する際に、複数の候補がある場合には、化学構造の異なる部分や逆に化学構造が共通している部分を他の部分と識別可能であるように、特定の色で示す等、明示するようにするとよい。それによって、分析者が物質の構造を推定するのに有用な情報を提供することができる。
また、図4に示した第2実施例の構成では、仮想データベース構築部204は既存の物質データベース203とは別に仮想MSnデータベース205を作成しているが、仮想MSnデータベース205を物質データベース203と実質的に一体とすることもできる。即ち、ステップS11の処理において、物質データベース203に登録されている化合物の化学構造式から解離パターン予測によりMSnスペクトルを求めたならば、そのMSnスペクトルデータを、その予測元である化合物に対応付けて物質データベース203中の所定の領域に格納する。これにより、仮想MSnデータベース205と実質的に同じデータベースが物質データベース203中に構築されることになる。
上記第1及び第2実施例はいずれも本発明の一例であって、本発明の趣旨の範囲で適宜に修正、変更、追加などを行っても本願特許請求の範囲に包含されることは明らかである。
10…質量分析部
11…ESIイオン源
12…加熱キャピラリ管
13…イオン輸送光学系
14…イオントラップ
15…飛行時間型質量分析器(TOFMS)
16…検出器
20…処理・制御部
21…スペクトル作成部
22…データ解析部
23、202…解離パターン予測部
24、201…データベース検索部
25、203…物質データベース
26…分析制御部
204…仮想データベース構築部
205…仮想MSnデータベース
30…入力部
31…表示部

Claims (13)

  1. 測定対象の物質に由来するイオンをn−1(nは2以上の整数)段階に解離させるMSn分析を実行してMSnスペクトルを取得可能な質量分析装置を用い、未知物質の同定や構造解析を行う質量分析方法であって、
    a)未知物質に対する質量分析を実行して得られたマススペクトルから求まる該未知物質の分子量又はその分子量から推定される組成式に基づいて、該未知物質の化学構造式を推定する構造式推定ステップと、
    b)前記構造式推定ステップで推定された化学構造式に基づいて前記未知物質由来のイオンの解離パターンを予測することにより、該未知物質に対するMSn分析によって検出されるプロダクトイオンを推定する解離状態推定ステップと、
    c)前記解離状態推定ステップで推定されたプロダクトイオンによるスペクトルパターンと前記未知物質に対するMSn分析を実行して得られたMSnスペクトルとを比較し、両者の類似性に基づいて前記構造式推定ステップによる化学構造式の推定の信頼度を評価する評価ステップと、
    を有することを特徴とする質量分析方法。
  2. 請求項1に記載の質量分析方法であって、
    前記構造式推定ステップでは、各種化合物の化学構造情報が登録されたデータベースを利用して、未知物質の分子量又は組成式に対応した化学構造式を求めることを特徴とする質量分析方法。
  3. 請求項2に記載の質量分析方法であって、
    前記構造式推定ステップでは複数の化学構造式の候補を求め、前記評価ステップでは化学構造式の候補毎に類似性の指標値を算出し、その指標値に基づいて化学構造式の候補を順位付けすることを特徴とする質量分析方法。
  4. 請求項3に記載の質量分析方法であって、
    前記評価ステップにより算出される指標値が低い場合には、さらにnを増加させた解離パターンの予測に基づくプロダクトイオンによるスペクトルパターンとMSn分析で得られたMSnスペクトルとの比較を行い、両者の類似性に基づいて化学構造式の推定の信頼度を評価することを特徴とする質量分析方法。
  5. 請求項3に記載の質量分析方法であって、
    前記評価ステップは、さらにnを増加させた解離パターンの予測に基づくプロダクトイオンによるスペクトルパターンとMSn分析で得られたMSnスペクトルとの比較を行い、両者の類似性に基づいて、既に行われた化学構造式推定の信頼度評価に対する検証を行うことを特徴とする質量分析方法。
  6. 測定対象の物質に由来するイオンをn−1(nは2以上の整数)段階に解離させるMSn分析を実行してMSnスペクトルを取得可能であって、未知物質に対する質量分析を実行して得られたマススペクトル及び該未知物質に対するMSn分析を実行して得られたMSnスペクトルを用いて該未知物質の同定や構造解析を行う質量分析装置において、
    a)未知物質に対する実測のマススペクトルから求まる該未知物質の分子量又はその分子量から推定される組成式に基づいて、該未知物質の化学構造式を推定する構造式推定手段と、
    b)前記構造式推定手段で推定された化学構造式に基づいて前記未知物質由来のイオンの解離パターンを予測することにより、該未知物質に対するMSn分析によって検出されるプロダクトイオンを推定する解離状態推定手段と、
    c)前記解離状態推定手段で推定されたプロダクトイオンによるスペクトルパターンと前記未知物質に対する実測のMSnスペクトルとを比較し、両者の類似性に基づいて前記構造式推定手段による化学構造式の推定の信頼度を評価する評価手段と、
    を備えることを特徴とする質量分析装置。
  7. 測定対象の物質に由来するイオンをn−1(nは2以上の整数)段階に解離させるMSn分析を実行してMSnスペクトルを取得可能な質量分析装置を用い、未知物質の同定や構造解析を行う質量分析方法であって、
    a)各種物質の複数の化学構造式に基づいて解離パターンを予測することにより各物質に対するMSn分析の結果として得られるMSnスペクトルパターンを求め、これをデータベース化して保持しておく仮想データベース構築ステップと、
    b)未知物質に対するMSn分析を実行して得られたMSnスペクトルのスペクトルパターンを、予め指定された絞り込み条件の下で前記仮想データベース構築ステップにより保持されている仮想データベースに照らし、類似性の高い化学構造式を未知物質の同定候補として抽出する候補抽出ステップと、
    を有することを特徴とする質量分析方法。
  8. 請求項7に記載の質量分析方法であって、
    前記仮想データベース構築ステップでは、各種化合物の化学構造情報が登録されたデータベースを利用し、該データベースに登録されている各化合物に対して予測されるMSnスペクトルパターンを求めて仮想データベースを構築することを特徴とする質量分析方法。
  9. 請求項8に記載の質量分析方法であって、
    前記仮想データベース構築ステップでは、各種化合物の化学構造情報が登録された原データベース中の各化合物に対して予測されるMSnスペクトルパターンを求め、該スペクトルパターン自体又は該スペクトルパターンから得られる情報を元の化合物に対応付けて原データベースに追加登録することを特徴とする質量分析方法。
  10. 請求項7〜9のいずれかに記載の質量分析方法であって、
    前記絞り込み条件は、同位体分布、一部の組成式又は構造式、構成元素の種類及び個数、マスディフェクト(質量欠損)フィルタ、の少なくともいずれか一つであることを特徴とする質量分析方法。
  11. 請求項7〜10のいずれかに記載の質量分析方法であって、
    前記絞り込み条件は、質量又は質量電荷比以外の化合物に関する物性値であることを特徴とする質量分析方法。
  12. 請求項11に記載の質量分析方法であって、
    未知物質を同定する際の絞り込み条件として用いられる前記物性値は、各種化合物の化学構造情報として登録されている構造式から計算により得られるものであることを特徴とする質量分析方法。
  13. 測定対象の物質に由来するイオンをn−1(nは2以上の整数)段階に解離させるMSn分析を実行してMSnスペクトルを取得可能であって、未知物質に対する質量分析を実行して得られたマススペクトル及び該未知物質に対するMSn分析を実行して得られたMSnスペクトルを用いて該未知物質の同定や構造解析を行う質量分析装置において、
    a)各種物質の複数の化学構造式に基づいて解離パターンを予測することにより各物質に対するMSn分析の結果として得られるMSnスペクトルパターンを求め、これをデータベース化して保持しておく仮想データベース構築手段と、
    b)未知物質に対するMSn分析を実行して得られたMSnスペクトルのスペクトルパターンを、予め指定された絞り込み条件の下で前記仮想データベース構築手段に保持されている仮想データベースに照らし、類似性の高い化学構造式を未知物質の同定候補として抽出する候補抽出手段と、
    を備えることを特徴とする質量分析装置。
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