JPWO2012063964A1 - 近赤外線吸収シアニン色素とその用途 - Google Patents

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Abstract

新規な近赤外線吸収シアニン色素及びそれを含む近赤外線吸収剤を提供することを課題とする。下記一般式1で表されるベンゾ[cd]インドリウム系ヘプタメチンシアニン色素、及びこれを含有する近赤外線吸収剤を提供することにより上記課題を解決するものである。一般式1:(一般式1において、R1、R2は、それぞれ独立に炭素数1乃至5の直鎖状又は分岐を有するアルキル基を表す。R3、R4はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。X−は、対アニオンを表す。)

Description

この発明は、新規なベンゾ[cd]インドリウム系シアニン色素に関するものであり、とりわけ、近赤外線を吸収するベンゾ[cd]インドリウム系シアニン色素及びそれを用いた近赤外線吸収剤に関するものである。
情報化時代の到来に伴い、近赤外線を吸収する有機色素化合物の需要が急増している。その用途は、今や、半導体受光素子やプラズマディスプレーなどのフィルター用材におけるがごとく、有機色素化合物が近赤外線を遮断する性質を専ら利用する用途から、有機色素化合物を介して近赤外線エネルギーを積極的に利用する、例えば、レーザーを光源とする製版、光記録媒体、光カード、熱転写記録、感熱記録をはじめとする情報記録の分野へ拡がることとなった。レーザー光を利用した製版材料分野においては、波長700nmより長波長の光、とりわけ、波長700nm乃至1200nmの汎用レーザー光に高感度で、しかも、汎用される有機溶剤への溶解性と耐熱性に優れた近赤外線吸収化合物への要望が高まっている。
これまでに提案された代表的な近赤外線吸収化合物としては、ジチオール系金属錯体、ナフトキノン系化合物、フタロシアニン系化合物、及びナフタロシアニン系化合物などが挙げられるけれども(例えば、特開平9−309886号公報、特開2002−121167号公報、及び特開平6−157536号公報)、これら近赤外線吸収化合物は、吸光特性は良好であるものもあるが、溶剤への溶解性、耐熱性に関して難があるとされている。シアニン色素は、これまで、吸光特性、溶解性ともに比較的良好であるものの、光、熱などの耐環境特性に問題があるとされてきた。シアニン色素のうち、ベンゾ[cd]インドール環構造を分子内に有するシアニン色素は、近赤外線吸収色素として開示され(例えば、特開2009−191213号公報、特開2004−271594号公報、及び特表平09−504239号公報)、近赤外線吸収フィルター、不可視印刷用インク、光重合増感剤、レーザー製版用の光熱変換材料として使用できることが提案されている。しかしながら、これら特許文献に記載の近赤外線吸収シアニン色素は、近赤外線領域の特定波長、例えば、波長1000nm付近の発振波長レーザー光による感度が十分に得られないものや、熱、光に対する安定性に問題があるものが多く、必ずしも均一安定な製品が得られないこともあり、特定の波長領域に高感度で、かつ、耐熱性に優れた近赤外線吸収シアニン色素の提案が望まれている。
本発明の目的は、新規な近赤外線吸収シアニン色素及びそれを含む近赤外線吸収剤を提供することである。
上記課題を解決するために本発明者らが検討した結果、シクロペンテン環構造を有するヘプタメチン鎖のメソ位にジフェニルアミノ基が結合する特定化学構造のベンゾ[cd]インドリウム系ヘプタメチンシアニン色素が、汎用する溶剤に対して適度な溶解性と優れた耐熱性を有し、例えば、近赤外線を吸収する光熱変換用材料、光学フィルターなどの用途において有用であることを見出した。
即ち、この発明は、特定の化学構造を有する下記一般式1で表されるベンゾ[cd]インドリウム系ヘプタメチンシアニン色素、及び該ベンゾ[cd]インドリウム系ヘプタメチンシアニン色素を含有する近赤外線吸収剤を提供することにより上記課題を解決するものである。
一般式1:
Figure 2012063964
(一般式1において、R、Rは、それぞれ独立に炭素数1乃至5の直鎖状又は分岐を有するアルキル基を表す。R、Rは、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。Xは、対アニオンを表す。)
この発明のベンゾ[cd]インドリウム系ヘプタメチンシアニン色素は、汎用される有機溶剤における適度な溶解性を有し、耐熱性に優れ、近赤外線領域の990nm付近に吸収極大を有することから、近赤外線を吸収する有機化合物が必要とされる光学フィルター、或いは、波長1000nm付近の近赤外線発振レーザー光を用いる製版用感光材料などとして極めて有用であるという利点を有している。
図1は、実施例1の本発明のベンゾ[cd]インドリウム系ヘプタメチンシアニン色素のIR吸収スペクトルを示す。 図2は、実施例1の本発明シアニン色素のTG−DTA(熱重量測定−示唆熱分析)図を示す。
以下、この発明の近赤外線吸収シアニン色素とその用途について詳しく説明する。まず、この発明の近赤外線吸収シアニン色素である、一般式1で表されるベンゾ[cd]インドリウム系ヘプタメチンシアニン色素について説明する。
一般式1:
Figure 2012063964
一般式1において、R、Rは、それぞれ独立に、炭素数1乃至5の直鎖状又は分岐を有するアルキル基を表し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基などが挙げられる。このうち、炭素数2乃至5の直鎖状又は分岐を有するアルキル基を有するものは溶剤に対する溶解性と熱安定性の点でより好ましい。因みに、炭素数が6以上となると、熱安定性に問題が生じる場合があり、好ましくない。
、Rは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、イソプロペニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−プロピニル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などのアルキル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などの脂環式アルキル基、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基、メシチル基、o−クメニル基、m−クメニル基、p−クメニル基、ビフェニリル基などの芳香族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などアルコキシ基、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基などのハロゲン基、シアノ基、ニトロ基、さらには、それらの組合わせによる置換基が挙げられる。
については特に制限がなく、用途にもよるけれども、要は、ベンゾ[cd]インドリウム系ヘプタメチンシアニン色素の溶解性と熱安定性を勘案しながら適宜のものとすればよい。通常、ハロゲンイオン、燐酸イオン、ヘキサフルオロ燐酸イオン、過塩素酸イオン、過沃素酸イオン、六弗化アンチモン酸イオン、六弗化錫酸イオン、硼弗化水素酸イオン、四弗硼素酸イオンなどの無機酸イオンや、チオシアン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、ナフタレンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、アルキルスルホン酸イオン、ベンゼンカルボン酸イオン、アルキルカルボン酸イオン、トリハロアルキルカルボン酸イオン、アルキル硫酸イオン、トリハロアルキル硫酸イオン、ニコチン酸イオンなどの有機酸イオン、さらには、アゾ系、ビスフェニルジチオール系、チオカテコールキレート系、チオビスフェノレートキレート系、ビスジオール−α−ジケトン系の金属錯体イオンなどが採用される。このうち、ヘキサフルオロ燐酸イオン、過塩素酸イオン、四弗硼素酸イオンを対イオンとするものは、溶解性、耐熱性の点で優れている。なお、一般式1で表されるベンゾ[cd]インドリウム系ヘプタメチンシアニン色素において、構造上、シス/トランス異性体が存在する場合には、いずれの異性体もこの発明に包含されるものとする。
この発明のシアニン色素は種々の方法で製造することができるが、経済性を重視するのであれば、一般式2で表されるベンゾ[cd]インドリウム骨格を有する四級アンモニウム化合物と一般式3で表されるジフェニルアミノシクロペンテン骨格を有するアミノビニル化合物を反応させる工程を経由する方法が有利である。この方法によるときには、例えば、一般式2で表される化合物に、一般式3で表される化合物を反応させることによって、この発明のシアニン色素が好収量で生成する。
ここで、一般式2で表される化合物において、Rは上記一般式1で表される化合物のR又はRのアルキル基と同じものが挙げられ、X は、適宜の対イオンを表し、例えば、一般式1におけるXと同じ対イオンが挙げられる。また、一般式3で表される化合物のR、Rは、一般式1で表される化合物のR、Rにそれぞれ対応する置換基を表す。X は、適宜の対イオンを表し、例えば、一般式1におけるXと同じ対イオンが挙げられる。
一般式2
Figure 2012063964
一般式3
Figure 2012063964
すなわち、反応容器に一般式2及び一般式3で表される化合物をそれぞれ適量とり、酢酸、無水酢酸、無水プロピオン酸、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、クレゾール、ベンジルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、アセトン、アセトニトリル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、水などの溶剤かそれらの混液に溶解し、必要に応じて、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピペリジン、モルホリン、ピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセンなどの塩基性化合物を添加した後、加熱・攪拌しながら0.5乃至5時間反応させる。その後、反応混合物のまま、必要に応じて、通常の対イオン交換反応に供することによって、この発明のベンゾ[cd]インドリウム系ヘプタメチンシアニン色素を得る。
この発明によるベンゾ[cd]インドリウム系ヘプタメチンシアニン色素の具体例としては、例えば、化学式1乃至化学式9で表される化合物が挙げられる。これらは、いずれも、汎用の有機溶剤に対して適度な溶解性を有し、耐熱性に優れており、また波長990nm付近に吸収極大を有し、波長1000nm付近のレーザー光を感度良く吸収する。上記特性により、例えば、光学フィルター、製版用感光材料、レーザー溶着用光吸収樹脂組成物などとして極めて有用である。
化学式1
Figure 2012063964
化学式2
Figure 2012063964
化学式3
Figure 2012063964
化学式4
Figure 2012063964
化学式5
Figure 2012063964
化学式6
Figure 2012063964
化学式7
Figure 2012063964
化学式8
Figure 2012063964
化学式9
Figure 2012063964
斯くして得られるこの発明のベンゾ[cd]インドリウム系ヘプタメチンシアニン色素は、用途によっては反応混合物のまま用いられることもあるが、通常、使用に先立って、例えば、溶解、抽出、分液、傾斜、沈澱、濾過、濃縮、薄層クロマトグラフィー、カラムクロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、蒸留、結晶化、昇華などの類縁化合物を精製するための汎用の方法により精製され、必要に応じて、これらの精製方法は適宜組み合わせて適用される。
この発明の近赤外線吸収剤は、斯かるベンゾ[cd]インドリウム系ヘプタメチンシアニン色素の1又は複数を含んでなり、かつ、これらのベンゾ[cd]インドリウム系ヘプタメチンシアニン色素が近赤外線を実質的に吸収するという性質を利用する光吸収剤全般を包含するものである。したがって、この発明の近赤外線吸収剤は一般式1で表されるベンゾ[cd]インドリウム系ヘプタメチンシアニン色素からなるものであっても、一般式1で表されるベンゾ[cd]インドリウム系ヘプタメチンシアニン色素とともに、用途に応じたそれ以外の成分を1又は複数含んでなるものであってもよい。
この発明によるベンゾ[cd]インドリウム系ヘプタメチンシアニン色素は、波長990nm付近に吸収極大を有し、また、吸収極大波長における分子吸光係数も大きいことから、波長1000nm付近の発振波長を有するレーザー光を用いた場合、効率良くレーザー光を吸収する。しかも、この発明のベンゾ[cd]インドリウム系ヘプタメチンシアニン色素は、従来公知の類縁化合物と比較して、耐熱性に優れ、また、製版、光学フィルター、情報記録、情報表示、太陽光発電などの分野で頻用される、例えば、アルコール系、ケトン系の有機溶剤は勿論のこと、エーテル系、エステル系、炭化水素系、ニトリル系、ハロゲン系の有機溶剤に対して適度な溶解性を発揮する。これらの性質ゆえに、この発明のベンゾ[cd]インドリウム系ヘプタメチンシアニン色素は、近赤外線を吸収することによって、これを遮断したり、近赤外線のエネルギーを利用する有機吸光材料として、例えば、電気機械器具、電気通信器具、光学器具、衣料、建寝装用品、保健用品、農業資材をはじめとする多種多様の分野において極めて有用である。
この発明のベンゾ[cd]インドリウム系ヘプタメチンシアニン色素を近赤外線吸収剤として使用する場合、上述のとおり、この発明のベンゾ[cd]インドリウム系ヘプタメチンシアニン色素の1種又は2種以上を単独で用いてもよく、必要に応じて、バインダー樹脂、その他の近赤外線吸収物質及び発色成分等を適宜配合して使用してもよい。
バインダー樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリビニルブチラート、ポリエステル、シリコーンワニス、EB(電子ビーム)・UV(紫外線)硬化樹脂、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体、デンプン及びその誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンオキシド、アクリル酸アミド−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリアクリルアミド、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、カゼイン、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸エステル、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体及びスチレン−ブタジエン−アクリル共重合体等が挙げられる。
また、併用できる近赤外線吸収物質としては、この発明のベンゾ[cd]インドリウム系ヘプタメチンシアニン色素とは異なるシアニン色素等のポリメチン系色素、フタロシアニン色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素、トリフェニルメタン系色素、アミニウム、ジイモニウム、アゾ金属錯体、ジアミンシスエチレンチオラトニッケル錯体、ジチオール金属錯体、芳香族ジアミン金属錯体、脂肪族ジアミン金属錯体等の従来から各種用途に用いられている近赤外線吸収色素が挙げられる。
本発明の近赤外線吸収剤を製版材料用の光熱変換剤として用いる場合には、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリプロピレン、セロハン、ポリカーボネート、酢酸セルロース、トリアセチルセルロース、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ナイロン、ポリイミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、フッ素樹脂、塩化ゴム、アイオノマー等のプラスチックフィルム等の支持体の上に、近赤外線吸収剤を有機溶剤で溶解した液を塗布することによって製版用印刷原版を作成することができる。なお、塗布する溶液としては、例えば、炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、エーテル類、ケトン類、アルコール類、セルソルブ類等が挙げられるが、特に、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤が好ましい。
また、この発明の近赤外線吸収剤は、耐熱性に優れていることから、製版用印刷原版用途の他にも、レーザー溶着用光吸収樹脂組成物として使用することもできる。
上記用途のほかにも、この発明によるベンゾ[cd]インドリウム系ヘプタメチンシアニン色素は、例えば、情報記録の分野において、赤外線レーザーなどによる近赤外線を吸収し、光カード、熱転写記録、感熱記録などに用いられる重合性化合物や重合開始剤などを増感することによって、重合を促進するための増感剤又は光熱交換剤として有用である。同じく情報記録の分野において、この発明によるシアニン色素は、情報の書込、読取に波長780nm付近のレーザーを光源とするCD−Rなどの光記録媒体の記録層用材や、短波長のレーザーを光源とする、例えば、DVD−Rやブルーレイ・ディスクなどの高密度光記録媒体において、熱線が光記録媒体の記録層などへ到達し、記録した情報の読取を妨げたり、記録した情報そのものが消失したりするのを防止する遮光剤又は熱線遮断剤としても有用である。増感剤としての別の用途としては、例えば、太陽光発電の分野において、この発明によるシアニン色素を色素増感型湿式太陽電池の半導体電極へ担持せしめるときには、近赤外線に対する半導体電極の感度が向上し、かつ安定性に優れたものとなることから、太陽電池の光電変換効率を著明に改善することができる。
また、情報表示の分野においては、この発明のベンゾ[cd]インドリウム系ヘプタメチンシアニン色素は、耐熱性に優れ、近赤外領域における吸光特性が良好なことから、テレビ受像機の表示部へ取り付けて用いる前面部材の近赤外線吸収剤としても有用である。
電気通信器具、電気機械器具、光学機器の分野においては、この発明によるシアニン色素をフィルター用材として、例えば、撮像管、半導体受光素子、光ファイバーなどへ適用される。フィルター用材としての別の用途としては、農業資材の分野において、例えば、温室用のガラス板や、シート若しくはフィルム状の基材に形成したビニルハウス用プラスチック製基材へ塗布することによって、観賞植物、食用植物などの有用植物へ到達する光の波長分布を調節し、植物の生育を制御することができる。
以上の諸用途に加えて、この発明によるベンゾ[cd]インドリウム系ヘプタメチンシアニン色素と、必要に応じて、紫外領域、可視領域及び/又は赤外領域の光を吸収する他の材料の1又は複数とともに、遮光剤、熱線遮断剤、断熱剤、保温蓄熱剤などとして衣料一般、とりわけ、保温蓄熱繊維や、赤外線による偵察に対して偽装性能を有する繊維を用いる衣料や、衣料以外の、例えば、ドレープ、レース、ケースメント、プリント、ベネシャンブラインド、ロールスクリーン、シャッター、のれん、毛布、布団、布団地、布団カバー、シーツ、座布団、枕、枕カバー、クッション、マット、カーペット、寝袋、窓ガラス、建造物、車輌、電車、船舶、航空機などの内外装材、ウインドガラスなどの建寝装用品、紙おむつ、おむつカバー、眼鏡、モノクル、ローネットなどの保健用品、靴の中敷き、靴の内張り地、鞄地、風呂敷、傘地、パラソル、ぬいぐるみ、照明装置、サングラス、サンバイザー、サンルーフ、電子レンジ、オーブンなどの覗き窓、さらには、これらの物品を包装、充填又は収容するための包装用材、充填用材、容器などに用いるときに、不必要な温度変化や、近赤外線が病因となる眼精疲労、視細胞の老化、白内障をはじめとする生物や物品の障害や不都合を防止したり、低減することができるだけではなく、物品の色度、色調、色彩、風合などを整えたり、物品から反射したり透過する光を所望の色バランスに整えることができる実益がある。なお、この発明のシアニン色素は、近赤外線を吸収する従来公知の有機色素化合物と同様に、改竄防止用インキ、改竄偽造防止用バーコードインキ、近赤外線吸収インキ、近赤外線吸収塗料、写真やフィルムの位置決め用マーキング剤、プラスチックをリサイクルする際の仕分け用染色剤、PETボトルを成形加工する際のプレヒーティング助剤、さらには、熱に感受性があるとされている腫瘍一般を治療するための医薬品の有効成分などとしても有用である。
以下、この発明の実施の形態につき、実施例を挙げて説明する。なお本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<ベンゾ[cd]インドリウム系ヘプタメチンシアニン色素の製造>
反応容器に化学式10で表される化合物10g、化学式11で表される化合物8.37g、及びイソプロピルアルコール50mlを仕込み、室温分散下、無水酢酸5.84ml、トリエチルアミン6.46mlを順次加え、70℃にて加熱攪拌を90分間行なった。反応終了後、水100mlを加え、冷却後、晶析した結晶を濾過し取り出した。得られた粗結晶11.7gとジメチルフォルムアミド110mlとを反応容器に仕込み、70℃にて過熱溶解させた後に、冷却、晶析させ、結晶を濾過し取り出した。取り出した結晶を乾燥させ化学式1で表されるベンゾ[cd]インドリウム系ヘプタメチンシアニン色素5.0gを得た。
化学式10
Figure 2012063964
化学式11
Figure 2012063964
結晶の一部をとり、常法によりメタノール溶液における可視吸収スペクトルを測定したところ、本例のベンゾ[cd]インドリウム系ヘプタメチンシアニン色素は波長994nm付近に吸収極大(モル吸光係数(ε)=1.78×10)を示した。本例のシアニン色素のIR吸収スペクトルを図1に示す。なお、常法にしたがって、DMSO−dにおけるH−核磁気共鳴スペクトルを測定したところ、化学シフトδ(ppm、TMS)が0.95(6H、t、−CH)、1.34乃至1.46(4H、m、−CH−)、1.70乃至1.79(4H、q、−CH−)、3.15(4H、bs)、4.25乃至4.29(4H、t、N−CH−)、6.52(2H、bs)、6.83(2H、bs)、7.25乃至7.72(20H、m)、8.11(2H、d)の位置にそれぞれピークが観察された。
また、本例の結晶を適量とり、示差熱熱重量同時測定装置(商品名『TG/DTA220型』、セイコー電子工業株式会社製造)を用いて分析に供した。その示差熱分析及び熱重量分析(熱重量測定−示差熱分析)図を図2に示す。本発明のシアニン色素は247.7℃に特徴的な発熱ピークが観察され、また、その分解温度は242℃であることが分かった。
波長994nm付近に吸収極大を有し、熱安定性に優れる本例のシアニン色素は、近赤外線のエネルギーを利用する近赤外線吸収剤として極めて有用である。
また、本例の化学式1で表される化合物と、別途、上記化学式1の合成方法に準じて合成した化学式2、化学式4で表される化合物に関して、汎用される有機溶剤、メタノール、メチルエチルケトン、PGME(プロピレングリコールモノエチルエーテル)に対する溶解性(飽和濃度)について検討したところ、この発明のシアニン色素は、いずれの溶媒に対しても、15mg/mlを上回る溶解性を示し、この発明のシアニン色素は作業性の点でも優れていることがわかった。
<耐熱試験>
本例の化学式1、2、4で表されるシアニン色素について、耐熱性に関する試験を下記のとおり行なった。耐熱性試験は、まず、実施例1記載の化学式1、2、4で表されるシアニン色素を、それぞれ溶剤に溶解した後、ガラス基板上に塗布し製膜した。シアニン色素を製膜した上記3種類のガラス基板について、吸収極大波長(約994nm)におけるシアニン色素の透過率(T)を測定した後、180℃に熱したホットプレート(商品名『ホットプレート/スターラー PC−320』、コーニング社製造)上にそれぞれのシアニン色素を塗布した上記ガラス基板を150分間放置した。加熱後、直ちに、吸収極大波長における透過率(T)を再度測定し、斯くして得られた透過率T及びTを下記数1へ代入して色素残存率を求めた。比較例として、従来公知の比較例化合物1乃至3について同様に耐熱試験を行なった。結果を表1に示す。
化学式12(比較例化合物1)
Figure 2012063964
化学式13(比較例化合物2)
Figure 2012063964
化学式14(比較例化合物3)
Figure 2012063964
Figure 2012063964
Figure 2012063964
表1の結果に見られるとおり、本発明のベンゾ[cd]インドリウム系ヘプタメチンシアニン色素により構成した薄膜は、類縁体である比較例化合物と比較して、色素残存率が約30%以上大きく、本発明のベンゾ[cd]インドリウム系ヘプタメチンシアニン色素は耐熱性に優れていることがわかった。
<近赤外線吸収剤の製造>
バインダー樹脂としてポリビニルピロリドン樹脂10g、実施例1で得られた化学式1で表されるベンゾ[cd]インドリウム系ヘプタメチンシアニン色素0.2gをメチルエチルケトン:メチルセルソルブ=4:6混合溶剤90gに溶解し、平均厚さ約5μmのポリエチレンテレフタラート(PET)フィルムにワイヤーバーにて乾燥後の膜厚が約5μmとなるように塗布して、近赤外線吸収剤のフィルム組成物を得た。Nd:YAGレーザー(波長1064nm)のレーザー光をレンズで集光し、上記フィルム組成物の表面でビーム経10μmとなるように配置した。表面に到達するレーザーのパワーを調製し、20μsのパルス幅で単一のパルスを近赤外線フィルム組成物に照射した。照射後、光学顕微鏡で観察したところ、表面に到達するレーザーパワーが50mW時、直径約10μmの貫通溝が確認された。
この発明は、文献未記載の、新規なベンゾ[cd]インドリウム系ヘプタメチンシアニン色素の創製に基づくものである。この発明によるベンゾ[cd]インドリウム系ヘプタメチンシアニン色素は、耐熱性に優れ、波長990nm付近に吸収極大を有し、近赤外線を実質的に吸収することに加えて、諸種の有機溶剤に対して適度な溶解性を発揮することから、近赤外線を吸収することによって、これを遮断したり、近赤外線のエネルギーを利用する有機吸光材料として、例えば、製版、情報記録、情報表示、太陽光発電、電気機械器具、電気通信器具、光学器具、衣料、建寝装用品、保健用品、農業資材をはじめとする多種多様の分野において極めて有用である。

Claims (2)

  1. 一般式1で表されるベンゾ[cd]インドリウム系ヘプタメチンシアニン色素。
    一般式1:
    Figure 2012063964
    (一般式1において、R、Rは、それぞれ独立に炭素数1乃至5の直鎖状又は分岐を有するアルキル基を表す。R、Rは、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。Xは、対アニオンを表す。)
  2. 請求の範囲第1項記載のベンゾ[cd]インドリウム系シアニン色素を含有することを特徴とする近赤外線吸収剤。
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