JP6239338B2 - 有機色素 - Google Patents

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本発明は、光吸収材料として有用な有機色素に関するものである。
光吸収材料として使用されている色素は、銀塩写真感光材料、感熱記録材料、光学用フィルター、CD−RやDVD−R等の光学記録媒体、光感光性樹脂用の増感剤、医療用蛍光性センサー、衣料用染色剤等、広範囲な分野に用途を有する。また、近年では、太陽電池の分野においても、色素の利用が検討されている。
光吸収材料として使用されている色素は、無機色素、有機金属色素(錯体系色素)、有機色素に大別される。このうち、有機色素は、種類が多い、色の自由度が多い、安価である等の利点を有していて、上述した用途において、有用な色素として使用されている(例えば、特許文献1〜9参照)。しかしながら、無機色素や有機金属色素と比較して、有機色素の耐久性は低く、特に、光照射によって劣化するという問題を有していた。
特開平11−238905号公報 特開2001−76773号公報 特開平10−92477号公報 国際公開第2002/045199号パンフレット 特開2004−200068号公報 特開2005−19252号公報 特開2007−115673号公報 国際公開第2010/016612号パンフレット 特開2011−6665号公報
本発明の課題は、優れた耐光性を有する有機色素を提供することである。
上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、下記発明によって、上記課題を解決した。
(1)一般式[I]で示される有機色素。
(一般式[I]において、ArとArは芳香族炭化水素残基を示し、RとR、RとRは水素原子またはアルキル基を示し、 とR が連結して、あるいはR とR が連結してシクロペンタン環またはシクロヘキサン環を形成しても良い。QとQは、活性ケトメチレン構造を有する二価の有機残基を示す。LとLは、アルキレン基を示す。Xは対アニオンを示す。)
(2)QとQが、一般式[II]、[III]、[IV]、[V]、[VI]で示される活性ケトメチレン構造を有する二価の有機残基から選択されるいずれかである上記(1)記載の有機色素。
(R、R、R10、R12、R15は、水素原子またはアルキル基である。R、R、R11、R14は、アルキレン基である。R、R13、R16、R17は、アルキル基、アラルキル基またはアリール基である。なお一般式[II]、[III]、[IV]、[V]、[VI]において、「*1」は該結合手が一般式[I]におけるインドリン環が有するベンゼン環へ結合するための結合手であることを示し、「*2」は該結合手が一般式[I]のL またはL へ結合するための結合手であることを示す。
(3)R、R、R10、R12、R15が、水素原子または炭素数1以上4以下のアルキル基であり、R、R、R11、R14が、炭素数1以上3以下のアルキレン基であり、R、R13、R16、R17が、炭素数1以上14以下のアルキル基、炭素数7以上14以下のアラルキル基または炭素数6以上14以下のアリール基である上記(2)記載の有機色素。
(4)LとLが、炭素数2以上10以下のアルキレン基である上記(1)〜(3)のいずれか記載の有機色素。
一般式[I]で示される有機色素は、電子吸引性物質である、4,4′−ビピリジニウム残基に対して、メロシアニン色素に分類される色素の残基が2個連結された化合物であり、優れた耐光性を達成することができる。
有機色素D−9の吸収スペクトル(DMF溶液)である。 有機色素D−9のH−NMRスペクトル(DMSO−d溶液)である。 有機色素D−14の吸収スペクトル(DMF溶液)である。 有機色素D−14のH−NMRスペクトル(DMSO−d溶液)である。 有機色素D−13の吸収スペクトル(DMF溶液)。 有機色素D−13のH−NMRスペクトル(DMSO−d溶液)である。 有機色素D−42の吸収スペクトル(DMF溶液)である。 有機色素D−42のH−NMRスペクトル(DMSO−d溶液)である。
一般式[I]で示される有機色素について説明する。一般式[I]において、ArとArは芳香族炭化水素残基を示す。好ましい例としては、以下に示すAR−1〜AR−22が挙げられるが、これらに限定されるものではない。ArとArにおいて、これら芳香族炭化水素残基が、置換基としてpKaが6未満の酸性基をさらに有しても良い。pKaが6未満の酸性基の具体例としては、カルボキシ基、スルホ基、スルフィノ基、スルフェノ基、フォスフォノ基、フォスフィニコ基などが挙げられる。この中でも、カルボキシ基が特に好ましい。
とR、RとRは水素原子またはアルキル基を示す。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基等の直鎖のアルキル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、イソヘキシル基等の側鎖を有するアルキル基が挙げられる。RとR、RとRは、それぞれ、同一炭素数のアルキル基であっても良いし、異なる炭素数のアルキル基であっても良い。また、RとR、RとRは、両者で結合してシクロペンタン環またはシクロヘキサン環を形成しても良い。特に好ましいのは、両者で結合してシクロペンタン環またはシクロヘキサン環を形成しているものである。
とQは、二価の電子吸引性有機残基を示す。二価の電子吸引性有機残基の具体例については、「高機能フォトケミカルズ−構造機能と応用展望−」((株)シーエムシー、1986年発行)の第101ページに記載されている活性ケトメチレン化合物を構造内に有する二価の有機残基が挙げられるが、もちろん、これらに限定されるものではない。活性ケトメチレン化合物の具体例を下記に示す。
好ましいQとQとしては、一般式[II]、[III]、[IV]、[V]、[VI]で示される二価の電子吸引性有機残基が挙げられる。
、R、R10、R12、R15は、水素原子またはアルキル基である。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等が挙げられ、好ましくは炭素数1以上4以下のアルキル基である。また、R、R、R11、R14は、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等のアルキレン基であり、好ましくは炭素数1以上3以下のアルキレン基である。
、R13、R16、R17は、アルキル基、アラルキル基またはアリール基である。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基等の直鎖のアルキル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、イソヘキシル基等の側鎖を有するアルキル基が挙げられ、好ましくは炭素数1以上14以下のアルキル基である。アラルキル基としては、ベンジル基、ヘネチル基、4−フェニルブチル基等が挙げられ、好ましくは炭素数7以上14以下のアラルキル基である。アリール基としては、フェニル基、2−ナフチル基等が挙げられ、好ましくは炭素数6以上14以下のアリール基である。
は対アニオンである。具体的には、ハロゲンアニオン、アルキル硫酸アニオン(例えば、メタンスルホン酸アニオン)、有機スルホン酸アニオン(例えばp−トルエンスルホン酸)、硫酸アニオン、テトラフルオロホウ酸アニオン、ヘキサフルオロリン酸アニオン、ヘキサフルオロケイ酸アニオン等が挙げられる。
次に、一般式[I]で示される有機色素の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
本発明の有機色素の代表的な合成方法を説明する。例えば、化合物a)を出発原料として、以下の合成スキームにしたがって合成できる。化合物a)は、例えば特開2004−200068号公報などに記載の合成方法を参考にして合成することができる。
上記合成スキームにおいて、R、R′は水素原子またはアルキル基を示す。Q、Qは電子吸引性有機残基を示す。Xは、置換反応によってX(ハロゲンアニオン、アルキル硫酸アニオン、有機スルホン酸アニオン等)を生じる基を示し、Yはハロゲン原子を示す。色素の合成及び単離後、化学的にアニオン交換処理することによって、Xを硫酸アニオン、テトラフルオロホウ酸アニオン、ヘキサフルオロリン酸アニオン、ヘキサフルオロケイ酸アニオン等に変換することができる。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
(合成例1:有機色素D−9の合成)
化合物A、化合物B及び2−ブロモエチルアミン・臭化水素酸塩を用いて、上記合成スキームにしたがって、本発明の有機色素D−9を合成した。図1は、有機色素D−9の吸収スペクトル(DMF(ジメチルホルムアミド)溶液)である。図2は、有機色素D−9のH−NMRスペクトル(DMSO(ジメチルスルホキシド)−d溶液)である。有機色素D−9の吸収スペクトルの吸収極大値:λmax=541nm、463nm、397nm(DMF溶液)。
(合成例2:有機色素D−14の合成)
化合物A、化合物C及び2−ブロモエチルアミン・臭化水素酸塩を用いて、合成スキームにしたがって、本発明の有機色素D−14を合成した。図3は、有機色素D−14の吸収スペクトル(DMF溶液)であり、図4は、有機色素D−14のH−NMRスペクトル(DMSO−d溶液)である。有機色素D−14の吸収スペクトルの吸収極大値:λmax=468nm(DMF溶液)。
(合成例3:有機色素D−13の合成)
化合物D、化合物E及び2−ブロモエチルアミン・臭化水素酸塩を用いて、合成スキームにしたがって、本発明の有機色素D−13を合成した。図5は、有機色素D−13の吸収スペクトル(DMF溶液)である。図6は、有機色素D−13のH−NMRスペクトル(DMSO−d溶液)である。有機色素D−13の吸収スペクトルの吸収極大値:λmax=532nm、389nm(DMF溶液)。
(合成例4:有機色素D−42の合成)
化合物F、化合物G及び2−ブロモエチルアミン・臭化水素酸塩を用いて、合成スキームにしたがって、本発明の有機色素D−42を合成した。図7は、有機色素D−42の吸収スペクトル(DMF溶液)である。図8は、有機色素D−42のH−NMRスペクトル(DMSO−d溶液)である。有機色素D−42の吸収スペクトルの吸収極大値:λmax=513nm、393nm(DMF溶液)。
(評価)
有機色素20mgをTHF/クロロホルム=1g/1gの混合溶液に溶解した。バインダー樹脂としてポリエステル樹脂(商品名:エリーテル(登録商標)UE3300、ユニチカ製)の40質量%トルエン/MEK(メチルエチルケトン)溶液を0.3g加えて撹拌して均一な溶液とした。この溶液を透明PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上にワイヤーバーでコートし、ドライヤーで加熱乾燥して膜厚20ミクロンの有機色素膜を形成した。この有機色素膜を晴天下の日光に3時間暴露した後、日光に未暴露の有機色素膜と目視で比較し、有機色素の耐光性を下記判定基準で評価した。結果を表1に示す。なお、有機色素D−1〜D−42は、実施例となる本発明の有機色素であり、有機色素E−1〜E−3は、比較例となる本発明外の有機色素である。
判定基準
○:有機色素の退色なし。
△:有機色素の退色あり。
表1から明らかなように、本発明の有機色素は、比較例の有機色素に比べて耐光性に優れていることがわかる。
本発明の有機色素は、銀塩写真感光材料、感熱記録材料、光学用フィルター、CD−RやDVD−R等の光学記録媒体、光感光性樹脂用の増感剤、医療用蛍光性センサー、衣料用染色剤、太陽電池、光センサー、表示用インク等の用途において利用することができる。

Claims (3)

  1. 一般式[I]で示される有機色素。
    (一般式[I]において、ArとArは芳香族炭化水素残基を示し、RとR、RとRは水素原子またはアルキル基を示し、 とR 、およびR とR は、それぞれ連結してシクロペンタン環を形成し、Q とQ は、一般式[II]、[III]、[IV]、[V]、[VI]で示される活性ケトメチレン構造を有する二価の有機残基から選択されるいずれかである。とLは、アルキレン基を示す。Xは対アニオンを示す。)
    (R 、R 、R 10 、R 12 、R 15 は、水素原子またはアルキル基である。R 、R 、R 11 、R 14 は、アルキレン基である。R 、R 13 、R 16 、R 17 は、アルキル基、アラルキル基またはアリール基である。なお一般式[II]、[III]、[IV]、[V]、[VI]において、「*1」は該結合手が一般式[I]におけるインドリン環が有するベンゼン環へ結合するための結合手であることを示し、「*2」は該結合手が一般式[I]のL またはL へ結合するための結合手であることを示す。)
  2. 、R 、R 10 、R 12 、R 15 が、水素原子または炭素数1以上4以下のアルキル基であり、R 、R 、R 11 、R 14 が、炭素数1以上3以下のアルキレン基であり、R 、R 13 、R 16 、R 17 が、炭素数1以上14以下のアルキル基、炭素数7以上14以下のアラルキル基または炭素数6以上14以下のアリール基である請求項1記載の有機色素。
  3. とL が、炭素数2以上10以下のアルキレン基である請求項1または2に記載の有機色素。
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