JPWO2012043443A1 - 静電容量センサ及び静電容量センサの故障判定方法 - Google Patents

静電容量センサ及び静電容量センサの故障判定方法 Download PDF

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Abstract

新たな電極や回路を設けることなく、静電容量センサの異常を判定する。静電容量を検知する検知電極(2)と、検知電極(2)の近傍に配置されたシールド電極(3)と、シールド電極(3)に第1電位と第1電位とは異なる第2電位を切り替えて印加するシールド駆動回路(31)と、検知電極(2)で検知された静電容量に応じた検知信号を出力する検知回路(21)と、この検知回路(21)から取得した、シールド駆動手段(31)がシールド電極(3)に第1電位を印加したときに検知電極(2)にて検知された静電容量に応じた第1検知信号とシールド駆動手段(31)がシールド電極に第2電位を印加したときに検知電極(2)にて検知された静電容量に応じた第2検知信号とに基づいて検知電極(2)又はシールド電極(3)の異常の有無を判定する判定回路(6)と、を有する。

Description

本発明は、静電容量センサ及び静電式容量センサの故障判定方法に関するものである。
文献の参照による組み込みが認められる指定国については、2010年9月28日に日本国に出願された特願2010−217316号、及び2010年12月28日に日本国に出願された特願2010−291780号に記載された内容を参照により本明細書に組み込み、本明細書の記載の一部とする。
電極と接地部との間の静電容量に基づいて物体を検出する静電容量検出装置において、模擬物体として機能する補助電極を別途設け、静電容量センサの故障を自己診断するものが知られている(特許文献1)。
特開2001−264448号公報
しかしながら、特許文献1のように、静電容量センサの故障を検出するための補助電極や故障検出回路などの手段を別途設けると、静電容量センサの構成部品数が増加してしまうという問題がある。
本発明が解決しようとする課題は、静電容量センサの故障を検出するための補助電極や故障検出回路などを別途設けることなく、静電容量センサの故障の有無を判定することである。
[1]第1の発明は、物体との間の静電容量を検知する検知電極と、前記検知電極の近傍に配置されたシールド電極と、前記シールド電極に第1電位と第1電位とは異なる第2電位とを切り替えて印加するシールド駆動手段と、前記検知電極で検知された静電容量に応じた検知信号を出力する検知手段と、前記検知手段から取得した、前記シールド駆動手段が前記シールド電極に前記第1電位を印加したときに前記検知電極にて検知された静電容量に応じた第1検知信号と、前記シールド駆動手段が前記シールド電極に前記第2電位を印加したときに前記検知電極にて検知された静電容量に応じた第2検知信号とに基づいて、前記検知電極又はシールド電極の異常の有無を判定する判定手段と、を有する静電容量センサを提供することにより、上記課題を解決する。
[2]上記発明において、前記判定手段は、前記第1検知信号と前記第2検知信号との差分が所定の範囲内にない場合は、前記検知電極及び/又は前記シールド電極に異常があると判定することができる。
[3]上記発明において、前記第1検知信号を得る際において、前記検知電極の電位と、前記シールド電極に印加される前記第1電位は同じ電位とすることができる。
[4]上記発明において、検知電極と検知手段との間の接続部に第1スイッチを介して第1コンデンサの一端を接続するとともに、前記第1コンデンサの他端には前記第1電位とは異なる固定電位を接続し、前記判定手段は、前記接続部に前記第1のコンデンサが接続されているときの検知信号と、前記接続部に前記第1コンデンサが接続されていないときの検知信号とを比較し、その差分が所定の範囲内にない場合は、前記検知手段の検知機能に異常があると判定することができる。
[5]上記発明において、前記検知電極とは別に設けられた参照電極と、前記参照電極で検知された静電容量に応じた参照信号を出力する参照電極制御手段と、をさらに備え、前記判定手段は、前記シールド駆動手段により前記シールド電極に前記第1電位が印加されたときに、前記検知電極にて検知された静電容量に応じた検知信号と前記参照電極にて検知された静電容量に応じた参照信号とに基づく第1検知信号と、前記シールド駆動手段により前記第1電位とは異なる第2電位が印加されたときに、前記検知電極にて検知された静電容量に応じた検知信号と前記参照電極にて検知された静電容量に応じた参照信号に基づく第2検知信号とに基づいて、前記検知電極又は前記シールド電極の異常の有無を判定することができる。
[6]上記発明において、前記参照電極と前記参照電極制御手段との間の接続部に、第2コンデンサの一端を接続するとともに、前記第2コンデンサの他端に前記第1電位とは異なる固定電位を接続し、前記判定手段は、前記第2スイッチにより前記参照電極と前記参照電極制御手段との間の接続部に前記第2コンデンサが接続されているときの検知信号と、前記第2コンデンサが接続されていないときの検知信号とを比較し、その差分が所定の範囲内にない場合は、前記検知手段の検知機能に異常があると判定することができる。
[7]上記発明において、前記検知電極若しくは前記検知手段の近傍の温度を検出し、前記検出した温度に基づいて、前記第1検知信号及び/又は前記第2検知信号を補正する機能を有する温度補償手段をさらに備えることができる。温度補償手段は、前記参照電極若しくは前記参照電極制御手段の近傍の温度を検出し、前記検出した温度に基づいて、前記第1検知信号及び/又は前記第2検知信号を補正する機能を有することもできる。
[8]上記発明において、前記第2電位は、前記第1電位の80%〜120%とすることができる。
[9]異なる観点における本発明は、検知電極の近傍に設けられたシールド電極に第1電位を印加したときに前記検知電極にて検知された静電容量に応じた第1検知信号を検知するステップと、前記シールド電極に前記第1電位とは異なる第2電位を印加したときに前記検知電極にて検知された静電容量に応じた第2検知信号を検知するステップと、前記第1検知信号と前記第2検知信号とに基づいて、前記検知電極の異常の有無を判定するステップと、を有する静電容量センサの故障判定方法を提供することにより、上記課題を解決する。
[10]上記発明において、前記検知電極と当該検知電極で検知された静電容量に応じた検知信号の出力部分との間の接続部に、第1スイッチを介して第1コンデンサの一端に接続するとともに、前記第1コンデンサの他端には前記第1電位とは異なる固定電位を接続し、前記第1スイッチにより、前記接続部に前記第1コンデンサが接続されているときの検知信号と、前記接続部に前記第1コンデンサが接続されていないときの検知信号との差分が所定の範囲内にない場合は、前記検知信号を検知する機能に異常があると判定するステップを有することを特徴とする静電容量センサの故障判定方法。
[11]第2の発明は、物体との間の静電容量を検知する検知電極と、前記検知電極の近傍に配置されたシールド電極と、前記検知電極に第1電位と第1電位とは異なる第2電位とを切り替えて印加するとともに、前記検知電極で検知された静電容量に応じた検知信号を出力する検知電極制御手段と、前記検知電極制御手段が前記検知電極に前記第1電位を印加したときに前記検知電極にて検知された静電容量に応じた第1検知信号と、前記検知電極制御手段が前記検知電極に前記第2電位を印加したときに前記検知電極にて検知された静電容量に応じた第2検知信号とに基づいて、前記検知電極及び/又はシールド電極の異常の有無を判定する判定手段と、を有する静電容量センサを提供することにより、上記課題を解決する。
[12]上記発明において、前記判定手段は、前記第1検知信号と前記第2検知信号の値の差分が所定の範囲内にない場合は、前記検知電極及び/又は前記シールド電極に異常があると判定することができる。
[13]上記発明において、前記第1検知信号を得る際において、前記検知電極に印加される前記第1電位は、前記シールド電極に印加される電位と同じ電位とすることができる。
[14]上記発明において、前記検知電極と前記検知電極制御手段との間の接続部に、第1スイッチを介して第1コンデンサの一端に接続するとともに、前記第1コンデンサの他端には前記第1電位とは異なる固定電位を接続し、前記判定手段は、前記接続部に前記第1コンデンサが接続されているときの検知信号と、前記接続部に前記第1コンデンサが接続されていないときの検知信号との差分が所定の範囲内にない場合は、前記検知電極制御手段の検知機能に異常があると判定することができる。
[15]上記発明において、前記検知電極とは別に設けられた参照電極と、前記参照電極で検知された静電容量に応じた参照信号を出力する参照電極制御手段と、をさらに備え、前記判定手段は、前記検知電極制御手段により前記検知電極に前記第1電位が印加されたときに、前記検知電極にて検知された静電容量に応じた検知信号と前記参照電極にて検知された静電容量に応じた参照信号とに基づいて求められた第1検知信号と、前記検知電極制御手段により前記第1電位とは異なる第2電位が印加されたときに、前記検知電極にて検知された静電容量に応じた検知信号と前記参照電極にて検知された静電容量に応じた参照信号に基づいて求められた第2検知信号とに基づいて、前記検知電極及び/又は前記シールド電極の異常の有無を判定することができる。
[16]上記発明において、参照電極と前記参照電極制御手段との間の接続部に、第2スイッチを介して第2コンデンサの一端に接続するとともに、前記第2コンデンサの他端には前記第1電位とは異なる固定電位を接続し、前記判定手段は、前記第2スイッチにより、前記参照電極と前記参照電極制御手段との間の接続部に前記第2コンデンサが接続されているときの検知信号と、前記第2コンデンサが接続されていないときの検知信号との差分が所定の範囲内にない場合は、前記検知電極制御手段の検知機能に異常があると判定することができる。
[17]上記発明において、さらに前記検知電極若しくは前記検知電極制御手段の近傍の温度を検出し、前記検出した温度に基づいて、前記第1検知信号及び/又は第2検知信号を補正する機能を有する温度補償手段をさらに備えるように構成することができる。また、温度補償手段は、前記参照電極若しくは前記参照電極制御手段の近傍の温度を検出し、前記検出した温度に基づいて、前記第1検知信号及び/又は第2検知信号を補正する機能を有することもできる。
[18]上記発明において、前記第2電位は、前記第1電位の80%〜120%であることを特徴とすることができる。
[19]異なる観点において、本発明は、検知電極に第1電位を印加したときに前記検知電極にて検知された静電容量に応じた第1検知信号を検知するステップと、前記検知電極に前記第1電位とは異なる第2電位を印加したときに前記検知電極にて検知された静電容量に応じた第2検知信号を検知するステップと、前記第1検知信号と前記第2検知信号とに基づいて、前記検知電極の異常の有無を判定するステップと、を有する静電容量センサの故障判定方法を提供することにより、上記課題を解決する。
[20]上記発明において、検知電極と当該検知電極で検知された静電容量に応じた検知信号の出力部分との間の接続部に、第1スイッチを介して第1コンデンサの一端に接続するとともに、前記第1コンデンサの他端には前記第1電位とは異なる固定電位を接続し、前記第1スイッチにより、前記接続部に前記第1コンデンサが接続されているときの検知信号と、前記接続部に前記第1コンデンサが接続されていないときの検知信号との差分が所定の範囲内にない場合は、前記検知信号を検知する機能に異常があると判定するステップを有することができる。
上記第1の発明によれば、シールド電極に第1電位を印加したときに検知電極にて検知された静電容量に応じた第1検知信号と、シールド電極に第2電位を印加したときに検知電極にて検知された静電容量に応じた第2検知信号とに基づいて検知電極の異常の有無を判定するので、別の手段やステップを設けることなく、検知電極及び/又はシールド電極故障を検出することができる。
上記第2の発明によれば、検知電極に第1電位を印加したときに検知された静電容量に応じた第1検知信号と、検知電極に第2電位を印加したときに検知された静電容量に応じた第2検知信号とに基づいて検知電極及び/又はシールド電極の異常の有無を判定するので、別の手段やステップを設けることなく静電容量センサの故障を検出することができる。
第1の発明の第1実施形態に係る静電容量センサの構成示す構成図である。 図1の静電容量センサの通常測定モードにおける制御手順を示すフローチャート図である。 図1の静電容量センサの電極検査モードにおけるフローチャート図である。 図1の静電容量センサの回路検査モードにおける制御手順を示すフローチャート図である。 第1の発明の第2実施形態に係る静電容量センサを示す構成図である。 第2の発明の第1実施形態に係る静電容量センサの構成図である。 図6の静電容量センサの通常測定モードにおける制御手順を示すフローチャート図である。 図6の静電容量センサの電極検査モードにおける制御手順を示すフローチャート図である。 図6の静電容量センサの回路検査モードにおける制御手順を示すフローチャート図である。 第2の発明の第2実施形態に係る静電容量センサの構成図である。
<第1発明の第1実施形態>
以下、図面に基づいて、人や物などの物体の存否及び近接を検出するとともに、電極異常や回路異常などの静電容量センサの故障を自己診断可能な第1発明の第1実施形態に係る静電容量センサ1について説明する。
図1は、静電容量センサ1の構成を示す図である。
図1に示すように、本発明の実施形態に係る静電容量センサ1は、検知電極2及び検知回路21と、検知電極2の近傍に設けられたシールド電極3及びシールド駆動回路31と、検知回路21にて検出された検知信号を増幅する増幅回路5と、得られた検知信号の値に基づいて物体検出結果及び静電容量センサ1の自己診断結果を判定する判定回路6とを備える。
また、検知電極2と検知回路21との間の接続部に、第1スイッチS4を介して第1コンデンサCd1の一端が接続され、第1コンデンサCd1の他端に、グランドなど、第1電位とは異なる電位をもつ固定電位が接続されている。
本実施形態の検知電極2は、板状の導電体であって(図面は便宜上斜視図で示す)、検知回路21により検知電極2に所定の電位(Vr)が印加されたとき、該検知電極2と物体との間の静電容量を検知する。なお、電極形状は板状に限定されず、棒状や立体形状であってもよい。
シールド電極3は、検知電極2の近傍に設けられている。本実施形態のシールド電極3は、検知電極2の検知面(板状の導電体からなる検知電極の表面)を除いて検知電極2を包囲する。これにより、検知電極2の検知面側の所定領域(以下、検知領域という)内の被検出物体(物体)の存否や物体までの距離を高い感度で検出できる。
シールド駆動回路31は、シールド電極3に所定の電位を切り替えて付与する機能を備える。本実施形態におけるシールド駆動回路31は、シールド電極3に第1電位(Vr´)を印加するとともに、第1電位とは異なる第2電位(Vd)を切り替えて印加することができる。第1電位(Vr´)は、検知電極2に印加される電位(Vr)と同じ電位であってもよいし異なる電位であってもよい。
本実施形態の検知回路21は、シールド駆動回路31がシールド電極3に第1電位(Vr´)を印加したときに検知電極2にて検知された静電容量に応じた第1検知信号を検出するとともに、シールド駆動回路31がシールド電極3に第2電位(Vd)を印加したときに検知電極2にて検知された静電容量に応じた第2検知信号を検出する。検知回路21は、検知した信号を後述する増幅回路5へ送出する。
なお、シールド電極3に印加される第1電位(Vr´)が、検知電極に印加された所定の電位(Vr)と同じ電位である場合、検知電極2とシールド電極3との間の静電容量(Cs1)は検知されず、検知回路21は、検知電極2にて検知した、検知電極2と検知領域内に存する物体との間の静電容量(C1)に応じた検知信号を検出する。
第2電位(Vd)は、特に限定されないが、第1電位の80%〜120%とすることができる。付与する電位の範囲を第1電位の+20%〜−20%の範囲とすることにより、第1電位を印加したときの静電容量に応じた第1検知信号と、第2電位を印加したときの静電容量に応じた第2検知信号とをダイナミックレンジの範囲内とすることができ、静電容量センサの故障診断を正確に行える。
また、本実施形態の静電容量センサ1は、検知電極2または検知回路21近傍の温度に基づいて、第1検知信号及び/又は第2検知信号を補正する温度補償機能を有する温度補償回路7を備える。この温度補償回路7は、増幅回路5及び判定回路6と別の回路として構成してもよいし、増幅回路5又は判定回路6がこの温度補償回路7を含むように構成してもよい。この温度補償回路7は、ダイオード素子が有する順方向の電位の温度特性を利用する手段など、一般的な手段を用いることができる。これにより、温度による検出結果(測定値)への影響を除去することができる。
さらに本実施形態では、検知電極2と検知回路21との間の接続部に、第1スイッチS4を介して、第1コンデンサCd1の一端が接続されるとともに、第1コンデンサCd1の他端に、第1電位とは異なる電位をもつ固定電位が接続されており、第1スイッチのオン/オフ状態に応じて、検知回路21から出力される検出信号が変化する。つまり、検知回路21が正常であれば、第1スイッチS4をオフからオンに切り替えたときに、第1コンデンサCd1に応じて検知信号が変化する。
ここで、第1スイッチS4は、他端に第1の固定電位とは異なる電位をもつ固定電位が接続された第1コンデンサCd1の一端を検知電極と検知回路との間に接続するか否か入切を制御するスイッチである。
増幅回路5は、検知回路21で取得した検知信号を増幅する。この増幅回路5は、ノイズ成分を除去するためのバンドパスフィルタ、リップル成分除去するためのローパスフィルタを備えることができる。そして、増幅回路5は、検知電極2で検知した静電容量に応じた検知信号を後述する判定回路6へ送出する。
本実施形態の判定回路6は、以下の3つの機能を備える。
第1の機能は、検知された物体との間の静電容量に応じた検知信号に基づいて、検知領域内の物体の存否を判断する機能及び物体との距離を判断する機能である。第2の機能は、検知電極2及び/又はシールド電極3の電極異常の有無を判定する機能である。第3の機能は、検知回路21の検知機能の異常の有無を判定する機能である。
本実施形態の静電容量センサ1の判定回路6の各機能を概説する。
第1に、判定回路6は、シールド電極3に第1電位が印加されたときに検知された静電容量に応じた第1検知信号に基づいて、検知領域内の物体の存否及び/又は物体までの距離を判断する。このとき、検知電極2に印加される電位とシールド電極3に印加される第1電位とは同じ値とすることができる。
具体的には、判定回路6は、増幅回路5から取得した第1検知信号の値が所定値以上である場合は、検知領域内に物体が存在すると判断する。
また、判定回路6は、増幅回路5から取得した第1検知信号の値に基づいて、検知電極2と物体との間の距離を算出する。検知領域内の物体の存否判断や、物体までの距離の判定手法は特に限定されず、出願時において知られている手法を適宜に用いることができる。
第2に、判定回路6は、シールド電極3に第1電位が印加されたときに検知された静電容量に応じた第1検知信号と、シールド電極3に第2電位が印加されたときに検知された静電容量に応じた第2検知信号とに基づいて、検知電極2又はシールド電極3の異常の有無、例えば検知電極2又はシールド電極3の破損や欠けや歪みや湾曲などの電極異常を判定する。
具体的には、判定回路6は、第1検知信号と第2検知信号の値を比較し、その差分(変化量)が所定の範囲内にない場合は、検知電極2及び/又はシールド電極3に異常があると判定する。
第3に、本実施形態の判定回路6は、検知電極2と検知回路21の間の接続部に第1コンデンサCd1が接続されているときの検知信号と、第1コンデンサCd1が接続されていないときの検知信号とを比較し、その差分(変化量)が予め設定された所定の範囲内にない場合は、検知回路21の検知機能に異常があると判定する。
このように、本実施形態の静電容量センサ1は、物体の存在、物体までの距離を計測する測定モードと、検知電極2及び/又はシールド電極3の欠けや割れや歪みや湾曲などの電極異常を検知する電極検査モードと、検知電極2における静電容量を検知する検知回路21の異常を検知する回路検査モードの3つの機能モードを有する。本例では、上記の機能のすべてを備える静電容量センサ1を例にして説明するが、回路検査モードの機能を省略することもできる。
以下、図2〜4に基づいて、通常測定モードA、電極検査モードB、検知回路の回路検査モードCの各制御手順を説明する。
図2は、本実施形態の静電容量センサ1の通常測定モードAのフローチャートである。
図2に示すフローチャートのステップS1において、静電容量センサ1は、検知回路21内に蓄積された電荷を放電し、初期化(リセット)する。
具体的には、図1に示す静電容量センサ1の検知回路21内にあるスイッチS1〜S3の接続を切り替え、スイッチ1により検知電極2をグランドに接続し、スイッチS2により検知回路内のオペアンプの+入力側をグランドに接続し、スイッチS3をオンにしてコンデンサCf1を短絡させる。これによって、検知回路21内に蓄積された電荷が放電される。このとき、駆動回路31内のスイッチS9により、シールド電極3はグランドに接続されている。また、第1スイッチS4はオフし、検知電極2と検知回路21との間の接続部に第1コンデンサCd1を接続しない。
次に、ステップ2において、検知電極2に所定の電位(Vr)を印加するとともに、シールド電極3に第1電位(Vr´)を印加し、検知電極2で検知した静電容量に応じた第1測定値(第1検知信号)を算出する。
具体的には、図1に示す静電容量センサ1のシールド駆動回路31内にあるスイッチS9の接続を切り替えてシールド電極3を第1電極(Vr´)に接続するとともに、検知回路21内の21内にあるスイッチS1〜S3の接続を切り替え、スイッチS1により検知電極2をオペアンプの−入力側に接続し、スイッチS2によりオペアンプの+入力側を所定の電位(Vr)に接続し、スイッチS3によりコンデンサCf1を開放することにより、コンデンサCf1に、電荷Qf1=Vr×C1+(Vr−Vr’)×Cs1を蓄え、その後、スイッチS1により検知電極2を開放し、スイッチS2によりオペアンプの+入力側をグランドに接続することにより、電位V=(Vr×C1+(Vr−Vr’)×Cs1)/Cf1を第1測定値として算出する。
なお、シールド電極3に印加される第1電位(Vr´)を、検知電極2に印加される電位(Vr)と同じ電位とすることにより、検知電極2とシールド電極3との間の静電容量(Cs1)は検知されず、検知電極2と物体との間の静電容量に応じた測定値(電位V=Vr×(C1/Cf1))を取得できる。
そして、ステップS3において、判定回路6は、第1検知信号の値に基づいて検知電極2による検知領域内に物体(被検出物体)が存在するか否かを判断するとともに、検知電極2と物体(被検出物体)との間の距離を求める。以上の処理により、物体の存在、物体までの距離を計測する測定モードAの処理が実行される。
続いて、図3に基づいて、本実施形態の静電容量センサ1の電極検査モードBの処理について説明する。
図3のステップS11において、判定回路6は、通常測定モードAを処理しつつ電極検査モードBの処理開始タイミングを待機する。電極検査モードBは、所定周期で実行してもよいし、処理終了時又は処理開始時などの所定のタイミングで実行してもよいし、出力値の変動など所定の条件が成立した場合に実行してもよい。
電極異常の判定は、通常の測定値との比較において行われるため、ステップS12では、上述した図2に示すステップS1〜S2を実行し、第1測定値(第1検知信号)を得る。本処理においては、前回出力された第1測定値(第1検知信号)を読み出してもよい。
続いて、ステップS13において、静電容量センサ1は、上述した図2に示すステップS1を実行し、図1に示す静電容量センサ1の検知回路21内にあるスイッチS1〜S3の接続を切り替え、検知回路21内に蓄積された電荷を放電し、初期化(リセット)する。
ステップS13と相前後して実行されるステップS14において、シールド駆動回路31はシールド電極3に第1電位とは異なる第2電位を印加する。そして、上述した図2に示すステップS2と同様に、図1に示す静電容量センサ1の検知回路21ないにあるスイッチS1〜S3の接続を切り替えることにより、シールド電極2に第2電位が印加されているときに、検知電極2で検知した静電容量に応じた第2測定値(第2検知信号)を算出する。
ステップS15及びS16において、判定回路6は、第1測定値と第2測定値(第1検知信号と第2検知信号)に基づいて、検知電極及び/又はシールド電極の異常を判定する。
具体的に、ステップS15において、判定回路6は、第1測定値と第2測定値の差分(変化量)Yを算出する。そして、ステップS16において、判定回路6は、第1測定値と第2測定値の差分Yが所定の範囲内(a≦Y≦b)であるか否かを判定する。
検知電極2とシールド電極3との間の静電容量(Cs1)は、検知電極やシールド電極の面積や、検知電極とシールド電極の間の距離に依存する。そのため、シールド電極3に印加する電位の切り替えにともなって生じる検知電極2とシールド電極3との間の静電容量(Cs1)の変化量が、予め設定された所定の範囲内にあるか否かにより、検知電極2又はシールド電極3に破損や断線、湾曲、歪みなどの電極異常がないか否かを判断できる。つまり、第1測定値と第2測定値の差分(変化量)が、予め設定された範囲内でない場合は、検知電極2又はシールド電極3に破損や断線や歪みや湾曲などの電極異常が生じていると判定することができる。
本実施形態の静電容量センサ1は、電極異常がない静電容量センサ1において、シールド電極3に印加する電位の切り替えにともなって生じる検知電極2とシールド電極3との間の静電容量(Cs1)の変化量の範囲を予め設定しておき(a≦Y≦b)、差分Yが所定の範囲内にあるか否かを判定し、所定の範囲内にない場合には、ステップS17に進み、判定回路6は検知電極2又はシールド電極3に異常があると判定する。他方、差分Yが所定の範囲内にある場合には、ステップS18に進み、判定回路6は検知電極2及びシールド電極3に異常なしと判定する。
このように、本実施形態の静電容量センサ1は、シールド電極3に2つの異なる電位Vr´,Vdを切り替えて与えることにより得た第1測定値と第2測定値(第1検知信号と第2検知信号)とを比較することにより、静電容量センサ1の電極異常を検知する。すなわち、検知電極2とその近傍に設けられたシールド電極3との間の静電容量(Cs1)に着目し、検知電極2の近傍に設けたシールド電極3に異なる2つの電位を与えたときの静電容量の変化により電極異常を検知するので、電極異常を高い精度で検出することができる。
最後に、図4に基づいて、本実施形態の静電容量センサ1の検知回路の回路検査モードCについて説明する。
ステップS21において、判定回路6は、回路検査モードCの起動タイミングを待機する。先述した電極検査モードBのステップS11の処理と同様に、判定回路6は所定周期、所定タイミング又は所定条件充足時において、回路検査モードCを実行する。
ステップS22において、検知電極2と検知回路21との間の接続部に固定電位を接続しない状態で、続くステップS23において第1検知信号(第1A測定値)を求める。つまり、図1に示す静電容量センサ1の、検知電極2と検知回路21との間の接続部に接続された第1スイッチS4をオフとした状態で、図2に示すステップS1〜S2を実行する。
続くステップS24において、第1スイッチS4をオンとし、検知電極2と検知回路21との間の接続部に第1コンデンサCd1の一端を接続する。第1コンデンサCd1の他端は、第1電位とは異なる電位に接続されており、該電位は、グランド電位であってもよいし、任意に設定された所定電位であってもよい。
続くステップS25において、判定回路6は、スイッチS4オンの状態であるときの第1検知信号(第1B測定値)を求める。
さらに、ステップS26において、判定回路6は、第1検知信号(第1A測定値)と(第1B測定値)との差分Zを算出する。
次に、ステップS27において、判定回路6は、差分Zが所定の範囲内にあるか否かを判定する(c≦Z≦d)。
静電容量検知に関する検知回路21が正常であれば、検知電極2と検知回路21との間の接続部に固定電位を接続したときに取得される検知信号(第1A測定値)と、固定電位を接続しないときに取得される検知信号(第1B測定値)とに、接続された固定電位に応じた変化が生じる。つまり、第1A測定値と第1B測定値の差分Zが、接続された固定電位に応じた変化の範囲内でない場合、検知回路21に故障があると推定できる。
したがって、ステップS27の判定で、差分Zが所定の範囲内にある場合は、検知回路が正常であると判断し(ステップS28)、差分Zが所定の範囲内にない場合は、検知回路に異常があると判断する(ステップS29)。
<第1発明の第2実施形態>
第1発明の第2実施形態に係る静電容量センサは、第1発明の第1の実施形態に係る静電容量センサに、さらに、参照電極4及び参照電極制御回路41を備えるとともに、増幅回路に替えて差動増幅回路5を備えるものである。
以下、第2実施形態を図5に基づいて説明する。
図5に示すように、本発明の第2実施形態に係る静電容量センサ1は、検知電極2及び検知回路21と、検知電極2の近傍に設けられたシールド電極3及びシールド駆動回路31と、参照電極4及び参照電極制御回路41と、検知回路21にて検知された検知信号と参照電極制御回路41で検知された検知信号との差分を増幅する差分増幅回路5と、得られた検知信号の値に基づいて物体検出結果及び静電容量センサ1の自己診断結果を判定する判定回路6とを有する。
また、検知電極2と検知回路21との間の接続部に、第1スイッチS4を介して第1コンデンサCd1が接続されているとともに、参照電極4と参照電極制御回路41との間の接続部に、第2スイッチS14を介して第2コンデンサCd2が接続されている。
第2実施形態における検知電極2及び検知回路21、シールド電極3及びシールド駆動回路31、判定回路6、第1スイッチS4は、上述した第1実施形態の各構成と同じ機能を備えている。ここでは、重複した説明を避けるため、第1実施形態に係る静電容量センサ1と共通する構成及びその機能に係る説明を援用して説明する。
本実施形態の参照電極4は、板状の導電体である(図面は便宜上斜視図で示す)。この参照電極4は、例えば、検知電極2よりも十分に小さく形成されたり、全周がシールド電極3で包囲されたり、被検出物体が存在しない場所に設置されたりするなど、被検知物体の影響を受けずに検出時における検知電極2の周囲の環境の静電容量を検出することができるように構成されている。なお、参照電極の電極形状は板状に限定されず、棒状、立体形状でもよい。
参照電極制御回路41は、参照電極4に所定の電位が印加されたときの静電容量に応じた参照信号を検出する。検知電極2にて検出された静電容量からこの参照電極4にて検知された静電容量を差し引くことにより、検出時における環境の影響が考慮された静電容量を検出することができる。特に限定されないが、検知電極2に印加する電位と参照電極に印加する電位とは同じであることが好ましい。なお、参照電極14及び参照電極制御回路14は、接地しなくてもよい。参照電極制御回路41は、検知した信号を後述する差動増幅回路5へ送出する。
本実施形態の差動増幅回路5は、オペアンプの反転増幅回路を備え、検知回路21にて検知された検知信号の値から参照電極制御回路41にて検知された検知信号の値を差し引いて、環境の影響を排除した物体との間の静電容量に応じた検知信号を得る機能を有する。この差動増幅回路5は、ノイズ成分を除去するためのフィルタを備えることができる。そして、差動増幅回路5は、物体との間の静電容量に応じた検知信号を後述する判定回路6へ送出する。
本実施形態の差動増幅回路5は、上述した第1測定値及び第2測定値(第1検知信号及び第2検知信号)を求める際に、参照電極4において検出された静電容量に応じた検知信号をも考慮する。具体的に、差動増幅回路5は、第1測定値(第1検知信号)を求める際に、シールド電極3に第1電位が印加されたときに検知電極2において検知された静電容量から、そのタイミングで参照電極4において検知された静電容量を差し引いて、環境の影響が排除された第1測定値(第1検知信号)を求める。
同様に、差動増幅回路5は、第2検知信号を求める際に、シールド電極3に第2電位が印加されたときに検知電極2において検知された静電容量から、そのタイミングで参照電極4において検知された静電容量を差し引いて、環境の影響が排除された第2測定値(第2検知信号)を求める。差動増幅回路5は、これらの値を判定回路6へ送出する。
上述した第1A測定値及び第1B測定値(第1A検知信号及び第1B検知信号)を求める際に、参照電極4において検出された静電容量に応じた検知信号をも考慮する。具体的に、差動増幅回路5は、第1A検知信号を求める際に、第1スイッチS4により検知電極と検知回路との間の接続部に第1コンデンサCd1が接続されていないときに検知電極2において検知された静電容量から、そのタイミングで、第2スイッチS14により参照電極と参照電極制御回路との間の接続部に第2コンデンサCd2が接続されていないときに参照電極4において検知された静電容量を差し引いて、環境の影響が排除された第1A測定値(検知信号)を求める。
同様に、差動増幅回路5は、第1B測定値(検知信号)を求める際に、第1スイッチS4により検知電極と検知回路との間の接続部に第1コンデンサCd1を接続したときに検知電極2において検知された静電容量から、そのタイミングで、第2スイッチS14により参照電極と参照電極制御回路との間の接続部に第2コンデンサCd2を接続したときに参照電極4において検知された静電容量を差し引いて、環境の影響が排除された第1B測定値(検知信号)を求める。差動増幅回路5は、これらの値を判定回路6へ送出する。
判定回路6は、差動増幅回路5から取得した静電容量に応じた第1測定値(第1検知信号の値)が所定値以上である場合は所定検知領域内に物体が存在すると判断することができる。また、第1測定値(第1検知信号の値)と人体(物体)までの距離とを対応づけた対応情報を参照し、第1検知信号の値に基づいて人体までの距離を求める。以上の処理により、第1実施形態と同様に、物体の存在、物体までの距離を計測する測定モードAの処理が実行される。
また判定回路6は、差動増幅回路5から取得した静電容量に応じた第1測定値と第2測定値(第1検知信号と第2検知信号)に基づき、第1実施形態の電極異常の検査モードと同様に、検知電極、参照電極及びシールド電極の電極異常の判定に係る検査モードBが実行される。
さらに判定回路6は、差動増幅回路5から取得した静電容量に応じた第1A測定値と第1B測定値(第1A検知信号と第1B検知信号)に基づき、第1実施形態の検知回路の検査モードと同様に、参照電極制御回路の回路異常を判定に係る回路検査モードCが実行される。
このように、本実施形態の静電容量センサ1は、シールド電極3に2つの異なる電位Vr´,Vdを切り替えて与えることにより得た第1検知信号と第2検知信号の差に基づいて、検知電極及び/又はシールド電極3の欠けや割れなどの異常を検知するので、新たな電極や回路を設けることなく、電極の異常を検知することができる。
なお、第2実施形態の静電容量センサ1にも、検知電極2若しくは検知回路21近傍の温度、又は参照電極4若しくは参照電極制御回路41近傍の温度に基づいて、第1検知信号及び/又は第2検知信号を補正する温度補償機能を有する温度補償回路7を設けることができる。この温度補償回路7は、差動増幅回路51及び判定回路6と別の回路として構成してもよいし、差動増幅回路51又は判定回路6がこの温度補償回路7を含むように構成してもよい。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
本実施形態においては、本願発明に係る検知電極と、検知手段と、シールド電極と、シールド駆動手段と、判定手段と、を備える静電容量センサの一例として、検知電極2と、検知回路21と、シールド電極3と、シールド駆動回路31と、差動増幅回路5と、判定回路6とを備える静電容量センサ1を説明したが、本願発明はこれに限定されるものではない。本実施形態では検知電極及び/又はシールド電極の異常の有無を判定する判定手段が回路により構成される例を説明したが、ソフトウェアによって構成することも可能である。
<第2発明の第1実施形態>
以下、図面に基づいて、人や物などの物体の存否及び近接を検出するとともに、電極異常や回路異常などの静電容量センサの故障を自己診断可能な第2の発明の第1実施形態に係る静電容量センサ1について説明する。
図6は、静電容量センサ1の構成を示す図である。
図6に示すように、本発明の実施形態に係る静電容量センサ1は、検知電極2及び検知電極制御回路21と、検知電極2の近傍に設けられたシールド電極3及びシールド駆動回路31と、検知電極制御回路21にて検出された検知信号を増幅する増幅回路5と、得られた検知信号の値に基づいて物体検出結果及び静電容量センサ1の自己診断結果を判定する判定回路6とを備える。
また、検知電極2と検知電極制御回路21との間の接続部には、第1スイッチS4を介して第1コンデンサCd1の一端が接続され、第1コンデンサCd1の他端に、グランドなど、第1電位とは異なる電位をもつ固定電位が接続されている。
本実施形態の検知電極2は、板状の導電体であって、検知電極制御回路21により検知電極2に所定の電位が印加されたとき、この検知電極2と物体との間の静電容量を検知する。なお、電極形状は板状に限定されず、棒状や立体形状であってもよい。
シールド電極3は、検知電極2の近傍に設けられている。本実施形態のシールド電極3は、検知電極2の検知面(板状の導電体からなる検知電極の表面)を除いて検知電極2を包囲する。これにより、検知電極2の検知面側の所定領域(以下、検知領域という)内の被検出物体(物体)の存否や物体までの距離を高い感度で検出できる。また、シールド電極3には、このシールド電極3に所定の電位(Vr´)を印加する機能を備えるシールド駆動回路31が併設されている。
検知電極制御手段21は、検知電極2に第1電位(Vr)と、この第1電位とは異なる第2電位(Vd)とを切り替えて印加する機能を有する。
また、本実施形態の検知電極制御回路21は、検知電極2に第1電位(Vr)を印加したときに検知電極2にて検知された静電容量に応じた第1検知信号を検出するとともに、検知電極2に第2電位(Vd)を印加したときに検知電極2にて検知された静電容量に応じた第2検知信号を検出する。検知電極制御回路21は、検知した信号を後述する増幅回路5へ送出する。
検知電極2に印加される電位(Vr)は、前述したシールド電極3に印加される電位(Vr´)と同じ電位であってもよいし異なる電位であってもよい。検知電極2に印加される第1電位(Vr)がシールド電極3に印加される電位(Vr´)と同じ電位である場合には、検知電極2とシールド電極3との間の静電容量(Cs1)が検知されないので、検知電極制御回路21は、検知電極2と検知領域内に存する物体との間の静電容量(C1)に応じた検知信号を検出することができる。
検知電極2に印加される第2電位(Vd)の値は、特に限定されないが、第1電位の80%〜120%とすることができる。付与する電位の範囲を第1電位の+20%〜−20%の範囲とすることにより、第1電位を印加したときの静電容量に応じた第1検知信号と、第2電位を印加したときの静電容量に応じた第2検知信号とをダイナミックレンジの範囲内とすることができ、静電容量センサの故障診断を正確に行うことができる。
また、本実施形態の静電容量センサ1は、検知電極2または検知電極制御回路21近傍の温度に基づいて、第1検知信号及び/又は第2検知信号を補正する温度補償機能を有する温度補償回路7を備える。この温度補償回路7は、増幅回路5及び判定回路6と別の回路として構成してもよいし、増幅回路5又は判定回路6がこの温度補償回路7を含むように構成してもよい。この温度補償回路7は、ダイオード素子が有する順方向の電位の温度特性を利用する手段など、一般的な手段を用いることができる。これにより、温度による検出結果(測定値)への影響を除去することができる。
さらに、本実施形態に係る静電容量センサ1は、検知電極2と検知電極制御回路21との間の接続部に第1スイッチS4を備える。この第1スイッチS4を介して、第1コンデンサCd1の一端に接続するとともに、第1コンデンサCd1の他端に第1電位(Vr)とは異なる固定電位を接続する。このため、第1スイッチS4のオン/オフ状態に応じて、検知電極制御回路21から出力される検出信号が変化する。つまり、検知電極制御回路21が正常であれば、第1スイッチS4をオフからオンに切り替えたときに、第1コンデンサCd1に応じた値の検知信号を得ることができる。ここで、第1スイッチS4は、他端に第1電位(Vr)とは異なる電位をもつ固定電位が接続された第1コンデンサCd1の一端を、検知電極2と検知電極制御回路21との間に接続するか否か入切を制御するスイッチである。
増幅回路5は、検知電極制御回路21で取得した検知信号を増幅する。この増幅回路5は、ノイズ成分を除去するためのフィルタを備えることができる。そして、増幅回路5は、検知電極2で検知した静電容量に応じた検知信号を後述する判定回路6へ送出する。
次に判定回路6の機能について説明する。本実施形態の判定回路6は、以下の3つの機能を備える。
判定回路6の第1の機能は、検知電極1において検知された静電容量に応じた検知信号に基づいて、検知領域内の物体の存否を判断し及び/又は物体との距離を判断する機能である。第2の機能は、検知電極2及び/又はシールド電極3の電極異常の有無を判定する機能である。第3の機能は、検知電極制御回路21の検知機能の異常の有無を判定する機能である。
以下、判定回路6の各機能を概説する。
第1に、判定回路6は、検知電極2に第1電位(Vr)が印加されたときに検知された静電容量に応じた第1検知信号に基づいて、検知領域内の物体の存否及び/又は物体までの距離を判断する。このとき、検知電極2に印加される第1電位(Vr)とシールド電極3に印加される電位(Vr´)とは同じ値とすることができる。
具体的に、判定回路6は、増幅回路5から取得した第1検知信号の値に基づき、検知領域内に近接した物体の大きさや距離を判定する。判定回路6は、増幅回路5から取得した第1検知信号の値が所定値以上である場合は、検知領域内に物体が存在すると判断する。また、判定回路6は、増幅回路5から取得した第1検知信号の値に基づいて、検知電極2と物体との間の距離を算出する。検知領域内の物体の存否判断や、物体までの距離の判定手法は特に限定されず、出願時において知られている手法を適宜に用いることができる。
第2に、判定回路6は、検知電極2に第1電位(Vr)が印加されたときに検知された静電容量に応じた第1検知信号と、検知電極2に第2電位(Vd)が印加されたときに検知された静電容量に応じた第2検知信号とに基づいて、検知電極2又はシールド電極3の異常の有無、例えば検知電極2又はシールド電極3の破損や欠けや歪みや湾曲などの電極異常を判定する。
具体的に、判定回路6は、第1検知信号と第2検知信号の値を比較し、その差分(変化量)が所定の範囲内にない場合は、検知電極2及び/又はシールド電極3に異常があると判定する。異常を判断するための閾値(所定の範囲)は、検知電極2に印加する第1電位(Vr)と第2電位(Vd)との差分に応じて予め定義することができる。
第3に、本実施形態の判定回路6は、検知電極2と検知電極制御回路21の間の接続部に第1コンデンサCd1が接続されているときの検知信号と、第1コンデンサCd1が接続されていないときの検知信号とを比較し、その差分(変化量)が予め設定された所定の範囲内にない場合は、検知電極制御回路21の検知機能に異常があると判定する。
このように、本実施形態の静電容量センサ1は、物体の存在、物体までの距離を計測する測定モードと、検知電極2及び/又はシールド電極3の欠けや割れや歪みや湾曲などの電極異常を検知する電極検査モードと、検知電極2における静電容量を検知する検知電極制御回路21の異常を検知する回路検査モードの3機能のモードを有する。本例では、上記の機能のすべてを備える静電容量センサ1を例にして説明するが、回路検査モードの機能を省略することもできる。
以下、図7〜9に基づいて、通常測定モードA、電極検査モードB、検知電極制御回路の回路検査モードCの各制御手順を説明する。
図7は、本実施形態の静電容量センサ1の通常測定モードAのフローチャートである。
図7に示すフローチャートのステップS101において、静電容量センサ1は、検知電極制御回路21内に蓄積された電荷を放電し、初期化(リセット)する。
具体的には、図6に示す静電容量センサ1の検知電極制御回路21内にあるスイッチS1〜S3の接続を切り替え、スイッチ1により検知電極2をグランドに接続し、スイッチS2により検知電極制御回路内のオペアンプの+入力側をグランドに接続し、スイッチS3をオンにしてコンデンサCf1を短絡させる。これによって、検知電極制御回路21内に蓄積された電荷が放電される。このとき、駆動回路31内のスイッチS9により、シールド電極3はグランドに接続されている。また、第1スイッチS4はオフし、検知電極2と検知電極制御回路21との間の接続部に第1コンデンサCd1を接続しない。
次に、ステップS102において、検知電極2に第1電位(Vr)を印加するとともに、シールド電極3に所定の電位(Vr´)を印加し、検知電極2で検知した静電容量に応じた第1測定値(第1検知信号)を算出する。
具体的には、図6に示す静電容量センサ1のシールド駆動回路31内にあるスイッチS9の接続を切り替えてシールド電極3を所定電位(Vr´)に接続するとともに、検知電極制御回路21内にあるスイッチS1〜S3の接続を切り替え、スイッチS1により検知電極2をオペアンプの−入力側に接続し、スイッチS2によりオペアンプの+入力側を所定の電位(Vr)に接続し、スイッチS3によりコンデンサCf1を開放することにより、コンデンサCf1に、電荷Qf1=Vr×C1+(Vr−Vr’)×Cs1を蓄え、その後、スイッチS1により検知電極2を開放し、スイッチS2によりオペアンプの+入力側をグランドに接続することにより、電位V=(Vr×C1+(Vr−Vr’)×Cs1)/Cf1を第1測定値として算出する。
なお、シールド電極3に印加される所定電位(Vr´)を、検知電極2に印加される第1電位(Vr)と同じ電位とすることにより、検知電極2とシールド電極3との間の静電容量(Cs1)が検知されず、検知電極2と物体との間の静電容量に応じた測定値(電位V=Vr×(C1/Cf1))を取得できる。
そして、ステップS103において、判定回路6は、第1検知信号の値に基づいて検知電極2による検知領域内に物体(被検出物体)が存在するか否かを判断するとともに、検知電極2と物体(被検出物体)との間の距離を求める。以上の処理により、物体の存在、物体までの距離を計測する測定モードAの処理が実行される。
続いて、図8に基づいて、本実施形態の静電容量センサ1の電極検査モードBの処理について説明する。
図8のステップS111において、判定回路6は、通常測定モードAを処理しつつ電極検査モードBの処理開始タイミングを待機する。電極検査モードBは、所定周期で実行してもよいし、処理終了時又は処理開始時などの所定のタイミングで実行してもよいし、出力値の変動など所定の条件が成立した場合に実行してもよい。
電極異常の判定は、通常の測定値との比較において行われるため、ステップS112では、上述した図7に示すステップS101〜S102を実行し、第1測定値(第1検知信号)を得る。本処理においては、前回出力された第1測定値(第1検知信号)を読み出してもよい。
続いて、ステップS113において、静電容量センサ1は、上述した図7に示すステップS101を実行し、図6に示す静電容量センサ1の検知電極制御回路21内にあるスイッチS1〜S3の接続を切り替え、検知電極制御回路21内に蓄積された電荷を放電し、初期化(リセット)する。
ステップS113と相前後して実行されるステップS114において、検知電極制御手段21は検知電極2に第1電位(Vr)とは異なる第2電位(Vd)を印加する。そして、上述した図7に示すステップS102と同様に、図6に示す静電容量センサ1の検知電極制御回路21内にあるスイッチS1〜S3の接続を切り替えることにより、検知電極2に第2電位(Vd)が印加されているときに、検知電極2で検知された静電容量に応じた第2測定値(第2検知信号)を算出する。
ステップS115及びS116において、判定回路6は、第1測定値と第2測定値(第1検知信号と第2検知信号)に基づいて、検知電極及び/又はシールド電極の異常を判定する。具体的に、ステップS115において、判定回路6は、第1測定値と第2測定値の差分(変化量)Yを算出する。そして、ステップS116において、判定回路6は、第1測定値と第2測定値の差分Yが所定の範囲内(a≦Y≦b)であるか否かを判定する。
検知電極2とシールド電極3との間の静電容量(Cs1)は、検知電極やシールド電極の面積や、検知電極とシールド電極の間の距離に依存する。そのため、シールド電極3に印加する電位の切り替えにともなって生じる検知電極2とシールド電極3との間の静電容量(Cs1)の変化量が、予め設定された所定の範囲内にあるか否かにより、検知電極2又はシールド電極3に破損や断線、湾曲、歪みなどの電極異常がないか否かを判断できる。つまり、第1測定値と第2測定値の差分(変化量)が、予め設定された範囲内でない場合は、検知電極2又はシールド電極3に破損や断線や歪みや湾曲などの電極異常が生じていると判定することができる。
本実施形態の静電容量センサ1は、電極異常がない静電容量センサ1において、シールド電極3に印加する電位の切り替えにともなって生じる検知電極2とシールド電極3との間の静電容量(Cs1)の変化量の範囲を予め設定しておき(a≦Y≦b)、差分Yが所定の範囲内にあるか否かを判定し、所定の範囲内にない場合には、ステップS117に進み、判定回路6は検知電極2又はシールド電極3に異常があると判定する。他方、差分Yが所定の範囲内にある場合には、ステップS118に進み、判定回路6は検知電極2及びシールド電極3に異常なしと判定する。
このように、本実施形態の静電容量センサ1は、検知電極2に2つの異なる電位Vr,Vdを切り替えて与えて得た第1測定値と第2測定値(第1検知信号と第2検知信号)とを比較することにより、静電容量センサ1の電極異常を検知する。すなわち、検知電極2とその近傍に設けられたシールド電極3との間の静電容量(Cs1)に着目し、検知電極2に異なる2つの電位を与えたときの静電容量の変化により電極異常を検知するので、電極異常を高い精度で検出することができる。
最後に、図9に基づいて、本実施形態の静電容量センサ1の検知電極制御回路の回路検査モードCについて説明する。
ステップS201において、判定回路6は、回路検査モードCの起動タイミングを待機する。先述した電極検査モードBのステップS111の処理と同様に、判定回路6は所定周期、所定タイミング又は所定条件充足時において、回路検査モードCを実行する。
ステップS202において、検知電極2と検知電極制御回路21との間の接続部に第1コンデンサCd1を接続しない状態で、続くステップS203において第1検知信号(第1A測定値)を求める。つまり、図6に示す静電容量センサ1の、検知電極2と検知電極制御回路21との間の接続部に接続された第1スイッチS4をオフとした状態で、図7に示すステップS101〜S102を実行する。
続くステップS204において、第1スイッチS4をオンとし、検知電極2と検知電極制御回路21との間の接続部に第1コンデンサCd1の一端を接続する。第1コンデンサCd1の他端は、第1電位とは異なる電位に接続されており、該電位は、グランド電位であってもよいし、任意に設定された所定電位であってもよい。
続くステップS205において、判定回路6は、スイッチS4オンの状態であるときの第1検知信号(第1B測定値)を求める。
さらに、ステップS206において、判定回路6は、第1検知信号(第1A測定値)と(第1B測定値)との差分Zを算出する。
次に、ステップS207において、判定回路6は、差分Zが所定の範囲内にあるか否かを判定する(c≦Z≦d)。
静電容量検知に関する検知電極制御回路21が正常であれば、検知電極2と検知電極制御回路21との間の接続部に第1コンデンサCd1を接続したときに取得される検知信号(第1A測定値)と、第1コンデンサCd1を接続しないときに取得される検知信号(第1B測定値)とに、接続された第1コンデンサCd1をに応じた変化が生じる。つまり、第1A測定値と第1B測定値の差分Zが、接続された第1コンデンサCd1に応じた変化の範囲内でない場合、検知電極制御回路21に故障があるとできる。
したがって、ステップS207の判定で、差分Zが所定の範囲内にある場合は、検知電極制御回路が正常であると判断し(ステップS208)、差分Zが所定の範囲内にない場合は、検知電極制御回路21に異常があると判断する(ステップS209)。
<第2発明の第2実施形態>
以下、第2発明の第2実施形態について説明する。第2発明の第2実施形態に係る静電容量センサは、第1の実施形態に係る静電容量センサに、参照電極4及び参照電極制御回路41をさらに備えるとともに、増幅回路に替えて差動増幅回路51を備えるものである。
以下、第2実施形態を図10に基づいて説明する。
図10に示すように、本発明の第2実施形態に係る静電容量センサ1は、検知電極2及び検知電極制御回路21と、検知電極2の近傍に設けられたシールド電極3及びシールド駆動回路31と、参照電極4及び参照電極制御回路41と、検知電極制御回路21にて検知された検知信号と参照電極制御回路41で検知された検知信号との差分を増幅する差動増幅回路51と、得られた検知信号の値に基づいて物体検出結果及び静電容量センサ1の自己診断結果を判定する判定回路6とを有する。
また、検知電極2と検知電極制御回路21との間の接続部に、第1スイッチS4を介して第1コンデンサCd1の一端を接続するとともに、第1コンデンサCd1の他端には第1電位とは異なる固定電位を接続するとともに、参照電極4と参照電極制御回路41との間の接続部に、第2スイッチS14を介して第2コンデンサCd2の一端を接続するとともに、第2コンデンサCd2の他端には第1電位とは異なる固定電位を接続する。
第2実施形態における検知電極2及び検知電極制御回路21、シールド電極3及びシールド駆動回路31、判定回路6、第1スイッチS4は、上述した第1実施形態の各構成と同じ機能を備えている。ここでは、重複した説明を避けるため、第1実施形態に係る静電容量センサ1と共通する構成及びその機能に係る説明を援用して説明する。
本実施形態の参照電極4は、板状の導電体である。この参照電極4は、例えば、検知電極2よりも十分に小さく形成されたり、全周がシールド電極3で包囲されたり、被検出物体が存在しない場所に設置されたりするなど、被検知物体の影響を受けずに検出時における検知電極2の周囲の環境の静電容量を検出することができるように構成されている。なお、参照電極の電極形状は板状に限定されず、棒状、立体形状でもよい。
参照電極制御回路41は、参照電極4に所定の電位が印加されたときの静電容量に応じた参照信号を検出する。検知電極2にて検出された静電容量からこの参照電極4にて検知された静電容量を差し引くことにより、検出時における環境の影響が考慮された静電容量を検出することができる。特に限定されないが、検知電極2に印加する電位と参照電極4に印加する電位とは同じであることが好ましい。参照電極制御回路41は、検知した信号を後述する差動増幅回路51へ送出する。
本実施形態の差動増幅回路51は、検知電極制御回路21にて検知された検知信号の値から参照電極制御回路41にて検知された検知信号の値を差し引いて、物体との間の静電容量に応じた検知信号を得る機能を有する。この差動増幅回路51は、ノイズ成分を除去するためのフィルタを備えることができる。そして、差動増幅回路51は、物体との間の静電容量に応じた検知信号を後述する判定回路6へ送出する。
本実施形態の差動増幅回路51は、上述した第1測定値及び第2測定値(第1検知信号及び第2検知信号)を求める際に、参照電極4において検出された静電容量に応じた検知信号をも考慮する。具体的に、差動増幅回路51は、第1測定値(第1検知信号)を求める際に、検知電極2に第1電位(Vr)が印加されたときに検知電極2において検知された静電容量から、そのタイミングで参照電極4において検知された静電容量を差し引いて、第1測定値(第1検知信号)を求める。
同様に、差動増幅回路51は、第2検知信号を求める際に、検知電極2に第2電位(Vd)が印加されたときに検知電極2において検知された静電容量から、そのタイミングで参照電極4において検知された静電容量を差し引いて、第2測定値(第2検知信号)を求める。差動増幅回路51は、これらの値を判定回路6へ送出する。なお、第1測定値を求める場合に、検知電極2に第1電位(Vr)が印加されたタイミングで、参照電極4に同じ第1電位(Vr)が印加し、第2測定値を求める場合に、検知電極2に第2電位(Vd)が印加されたタイミングで、参照電極4に同じ第2電位(Vd)を印加することができる。
上述した第1A測定値及び第1B測定値(第1A検知信号及び第1B検知信号)を求める際にも、参照電極4において検出された静電容量に応じた検知信号をも考慮することができる。具体的に、差動増幅回路51は、第1A検知信号を求める際に、第1スイッチS4により検知電極2と検知電極制御回路21との間の接続部に第1コンデンサCd1が接続されていないときに検知電極2において検知された静電容量から、そのタイミングで、第2スイッチS14により参照電極4と参照電極制御回路41との間の接続部に第2コンデンサCd2が接続されていないときに参照電極4において検知された静電容量を差し引いて、第1A測定値(検知信号)を求める。
同様に、差動増幅回路51は、第1B測定値(検知信号)を求める際に、第1スイッチS4により検知電極2と検知電極制御回路21との間の接続部に第1コンデンサCd1を接続したときに検知電極2において検知された静電容量から、そのタイミングで、第2スイッチS14により参照電極4と参照電極制御回路41との間の接続部に第2コンデンサCd2を接続したときに参照電極4において検知された静電容量を差し引いて、第1B測定値(検知信号)を求める。差動増幅回路51は、これらの値を判定回路6へ送出する。
判定回路6は、差動増幅回路51から取得した静電容量に応じた第1測定値(第1検知信号の値)が所定値以上である場合は所定検知領域内に物体が存在すると判断することができる。また、第1測定値(第1検知信号の値)と人体(物体)までの距離とを対応づけた対応情報を参照し、第1検知信号の値に基づいて人体までの距離を求める。以上の処理により、第1実施形態と同様に、物体の存在、物体までの距離を計測する測定モードAの処理が実行される。
また判定回路6は、差動増幅回路51から取得した静電容量に応じた第1測定値と第2測定値(第1検知信号と第2検知信号)に基づき、第1実施形態の電極異常の検査モードと同様に、検知電極、参照電極及びシールド電極の電極異常の判定に係る検査モードBが実行される。
さらに判定回路6は、差動増幅回路51から取得した静電容量に応じた第1A測定値と第1B測定値(第1A検知信号と第1B検知信号)に基づき、第1実施形態の検知電極制御回路21の検査モードと同様に、参照電極制御回路41の回路異常を判定に係る回路検査モードCが実行される。
このように、本実施形態の静電容量センサ1は、検知電極2に2つの異なる電位Vr,Vdを切り替えて与えることにより得た第1検知信号と第2検知信号の差に基づいて、検知電極及び/又はシールド電極3の欠けや割れなどの異常を検知するので、新たな電極や回路を設けることなく、電極の異常を検知することができる。
本実施形態に係る静電容量センサ1の処理を説明する。本実施形態の静電容量センサ1の測定モードA、電極検査モードB及び回路検査モードCの基本的な処理手順は、第1実施形態と共通するので、図7〜図9の説明を援用し、ここでは異なる点を中心に説明する。
測定モードAの動作は、図7のフローチャートに沿って進む。測定モード時において、参照電極制御回路41のスイッチS11〜S13は、検知電極制御回路21のスイッチS1〜スイッチS3と同様の動作をする。特に限定されないが、検知電極2に第1電位(Vr)が印加された時には、参照電極4にも第1電位(Vr)を印加する。
電極検査モードBの動作は、図8のフローチャートに沿って進む。電極検査モードBの処理において、参照電極制御回路41のスイッチS12は、検知電極制御回路21のスイッチS2と同様の動作をする。すなわち、検知電極2に第1電位(Vr)が印加された時には、参照電極4にも第1電位(Vr)を印加し、検知電極2に第2電位(Vd)が印加された時には、参照電極4にも第2電位(Vd)を印加する。
具体的に、図8のステップS112において、検知電極2に第1電位(Vr)を印加する時に、参照電極4にも第1電位(Vr)を印加して第1測定値を算出し、ステップS114において、検知電極2に第2電位(Vd)を印加する時に、参照電極4にも第2電位(Vd)を印加して第2測定値を算出し、この第2測定値と第1測定値とを比較して検知電極2、シールド電極3、又は参照電極4の故障判断を行うことができる(電極検査パターン1)。
スイッチS12の動作は、検知電極2と参照電極4に同じ電位を印加する態様には限定されず、以下のようにも動作させることができる。
例えば、図8のステップS114において、検知電極2に第2電位(Vd)を印加する時に、スイッチS12の接続を切り替えて、参照電極4に第1電位(Vr)を印加して第2測定値を算出し、この第2測定値と測定モード(ステップS112)において測定された第1測定値とを比較して検知電極2及び/又はシールド電極3故障判断を行うことができる(電極検査パターン2)。
また、図8のステップS114において、検知電極2に第1電位(Vr)を印加し、その時に、スイッチS12の接続を切り替えて、参照電極4に第2電位(Vd)を印加して第2測定値を算出し、この第2測定値と測定モード(ステップS112)において測定された第1測定値とを比較して参照電極4及び/又はシールド電極3故障判断を行うことができる(電極検査パターン3)。
上述した電極検査パターン1,2,3は、電極検査パターン1のみを実行してもよいし、電極検査パターン2及び3を実行してもよいし、電極検査パターン1,2及び3のすべてを実行してもよい。
回路検査モードCの動作は、図9のフローチャートに沿って実行される。
回路検査モードCの動作において、第2スイッチS14は第1スイッチS4と同様の動作をする。すなわち、図9のステップS204において、検知電極2に第1コンデンサCd1を接続した時には、同時に参照電極4に第2コンデンサCd2を接続し、この状態で第1B測定値を測定する。この第1B測定値と第1コンデンサCd1、第2コンデンサCd2をいずれも接続しない状態で測定された第1A測定値(ステップS203で計測)とを比較することにより回路検査を行う(ステップS206以降)。これにより、検知電極制御回路21及び/又は参照電極制御回路41の検査を行うことができる。
ここでは、参照電極制御回路41の第2スイッチS14が、検知電極制御回路21の第1スイッチS4と同様の動作をする態様を例にして説明したが、回路検査の態様はこれに限定されない。
たとえば、検知電極2に第1コンデンサCd1を接続した時に、参照電極4に第2コンデンサCd2を接続しない第1B1測定値を測定し、この第1B1測定値と第1コンデンサCd1、第2コンデンサCd2をいずれも接続しない状態で測定された第1A測定値とを比較することにより検知電極制御回路21の検査を行うようにしてもよい。
また、検知電極2に第1コンデンサCd1を接続しない時に、参照電極4に第2コンデンサCd2を接続して第1B2測定値を測定し、この第1B2測定値と第1コンデンサCd1、第2コンデンサCd2をいずれも接続しない状態で測定された第1A測定値とを比較することにより参照電極制御回路41の検査を行ってもよい。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
なお、第2実施形態の静電容量センサ1にも、検知電極2若しくは検知電極制御回路21近傍の温度、又は参照電極4若しくは参照電極制御回路41近傍の温度に基づいて、第1検知信号及び/又は第2検知信号を補正する温度補償機能を有する温度補償回路7を設けることができる。この温度補償回路7は、差動増幅回路51及び判定回路6と別の回路として構成してもよいし、差動増幅回路51又は判定回路6がこの温度補償回路7を含むように構成してもよい。
本実施形態においては、本願発明に係る検知電極と、検知電極制御手段と、シールド電極と、判定手段と、を備える静電容量センサの一例として、検知電極2と、検知電極制御回路21と、シールド電極3と、差動増幅回路51と、判定回路6とを備える静電容量センサ1を説明したが、本願発明はこれに限定されるものではない。また、参照電極と、参照電極制御手段を備える静電容量センサの一例として、参照電極4と、参照電極制御回路41とをさらに備える静電容量センサ1を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。加えて、温度補償手段を備える静電容量センサの一例として、温度補償回路7を備える静電容量センサ1を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、本実施形態では検知電極及び/又はシールド電極の異常の有無を判定する判定手段が回路により構成される例を説明したが、ソフトウェアによって構成することも可能である。
<第1の発明について>
1…静電容量式センサ
2…検知電極
21…検知回路
3…シールド電極
31…シールド駆動回路
4…参照電極
41…参照電極制御回路
5…増幅回路
51…差動増幅回路
6…判定回路
7…温度補償回路
S1〜S3,S11〜S13…スイッチ
S4…第1スイッチ
S14…第2スイッチ
S9…スイッチ
Vr …所定の電位
Vr´…第1電位
Vd …第2電位
<第2の発明について>
1…静電容量式センサ
2…検知電極
21…検知電極制御回路
3…シールド電極
31…シールド駆動回路
4…参照電極
41…参照電極制御回路
5…増幅回路
51…差動増幅回路
6…判定回路
7…温度補償回路
S1〜S3,S11〜S13…スイッチ
S4…第1スイッチ
S14…第2スイッチ
S9…スイッチ
Vr…第1電位
Vd …第2電位
Vr´ …所定の電位

Claims (20)

  1. 物体との間の静電容量を検知する検知電極と、
    前記検知電極の近傍に配置されたシールド電極と、
    前記シールド電極に第1電位と第1電位とは異なる第2電位とを切り替えて印加するシールド駆動手段と、
    前記検知電極で検知された静電容量に応じた検知信号を出力する検知手段と、
    前記検知手段から取得した、前記シールド駆動手段が前記シールド電極に前記第1電位を印加したときに前記検知電極にて検知された静電容量に応じた第1検知信号と、前記シールド駆動手段が前記シールド電極に前記第2電位を印加したときに前記検知電極にて検知された静電容量に応じた第2検知信号とに基づいて、前記検知電極及び/又はシールド電極の異常の有無を判定する判定手段と、を有する静電容量センサ。
  2. 請求項1に記載の静電容量センサにおいて、
    前記判定手段は、前記第1検知信号と前記第2検知信号の値の差分が所定の範囲内にない場合は、前記検知電極及び/又は前記シールド電極に異常があると判定することを特徴とする静電容量センサ。
  3. 請求項1又は2に記載の静電容量センサにおいて、
    前記第1検知信号を得る際において、前記検知電極に印加される電位と、前記シールド電極に印加される前記第1電位は同じ電位であることを特徴とする静電容量センサ。
  4. 請求項1〜3の何れか一項に記載の静電容量センサにおいて、
    前記検知電極と前記検知手段との間の接続部に、第1スイッチを介して第1コンデンサの一端に接続するとともに、前記第1コンデンサの他端には前記第1電位とは異なる固定電位を接続し、
    前記判定手段は、前記接続部に前記第1コンデンサが接続されているときの検知信号と、前記接続部に前記第1コンデンサが接続されていないときの検知信号との差分が所定の範囲内にない場合は、前記検知手段の検知機能に異常があると判定することを特徴とする静電容量センサ。
  5. 請求項1〜4の何れか一項に記載の静電容量センサにおいて、
    前記検知電極とは別に設けられた参照電極と、
    前記参照電極で検知された静電容量に応じた参照信号を出力する前記参照電極制御手段と、をさらに備え、
    前記判定手段は、
    前記シールド駆動手段により前記シールド電極に前記第1電位が印加されたときに、前記検知電極にて検知された静電容量に応じた検知信号と、前記参照電極にて検知された静電容量に応じた参照信号とに基づいて求められた第1検知信号と、
    前記シールド駆動手段により前記第1電位とは異なる第2電位が印加されたときに、前記検知電極にて検知された静電容量に応じた検知信号と、前記参照電極にて検知された静電容量に応じた参照信号に基づいて求められた第2検知信号とに基づいて、前記検知電極及び/又は前記シールド電極の異常の有無を判定する静電容量センサ。
  6. 請求項5に記載の静電容量センサにおいて、
    前記参照電極と前記参照電極制御手段との間の接続部に第2コンデンサの一端に接続するとともに、前記第2コンデンサの他端には前記第1の電位とは異なる固定電位を接続し、
    前記判定手段は、前記第2スイッチにより、前記参照電極と前記参照電極制御手段との間の接続部に前記第2コンデンサが接続されているときの検知信号と、前記第2コンデンサが接続されていないときの検知信号との差分が所定の範囲内にない場合は、前記検知手段の検知機能に異常があると判定することを特徴とする静電容量センサ。
  7. 請求項1〜6の何れか一項に記載の静電容量センサにおいて、
    前記検知電極若しくは前記検知手段の近傍の温度を検出し、前記検出した温度に基づいて、前記第1検知信号及び/又は前記第2検知信号を補正する機能を有する温度補償手段をさらに備える静電容量センサ。
  8. 請求項1〜7の何れか一項に記載の静電容量センサにおいて、
    前記第2電位は、前記第1電位の80%〜120%であることを特徴とする静電容量センサ。
  9. 検知電極の近傍に設けられたシールド電極に第1電位を印加したときに前記検知電極にて検知された静電容量に応じた第1検知信号を検知するステップと、
    前記シールド電極に前記第1電位とは異なる第2電位を印加したときに前記検知電極にて検知された静電容量に応じた第2検知信号を検知するステップと、
    前記第1検知信号と前記第2検知信号とに基づいて、前記検知電極の異常の有無を判定するステップと、を有する静電容量センサの故障判定方法。
  10. 請求項9の静電容量センサの故障判定方法において、
    前記検知電極と当該検知電極で検知された静電容量に応じた検知信号の出力部分との間の接続部に、第1スイッチを介して第1コンデンサの一端に接続するとともに、前記第1コンデンサの他端には前記第1電位とは異なる固定電位を接続し、
    前記第1スイッチにより、前記接続部に前記第1コンデンサが接続されているときの検知信号と、前記接続部に前記第1コンデンサが接続されていないときの検知信号との差分が所定の範囲内にない場合は、前記検知信号を検知する機能に異常があると判定するステップを有することを特徴とする静電容量センサの故障判定方法。
  11. 物体との間の静電容量を検知する検知電極と、
    前記検知電極の近傍に配置されたシールド電極と、
    前記検知電極に第1電位と第1電位とは異なる第2電位とを切り替えて印加するとともに、前記検知電極で検知された静電容量に応じた検知信号を出力する検知電極制御手段と、
    前記検知電極制御手段が前記検知電極に前記第1電位を印加したときに前記検知電極にて検知された静電容量に応じた第1検知信号と、前記検知電極制御手段が前記検知電極に前記第2電位を印加したときに前記検知電極にて検知された静電容量に応じた第2検知信号とに基づいて、前記検知電極及び/又はシールド電極の異常の有無を判定する判定手段と、を有する静電容量センサ。
  12. 請求項11に記載の静電容量センサにおいて、
    前記判定手段は、前記第1検知信号と前記第2検知信号の値の差分が所定の範囲内にない場合は、前記検知電極及び/又は前記シールド電極に異常があると判定することを特徴とする静電容量センサ。
  13. 請求項11又は12に記載の静電容量センサにおいて、
    前記第1検知信号を得る際において、前記検知電極に印加される前記第1電位は、前記シールド電極に印加される電位と同じ電位であることを特徴とする静電容量センサ。
  14. 請求項11〜13の何れか一項に記載の静電容量センサにおいて、
    前記検知電極と前記検知電極制御手段との間の接続部に、第1スイッチを介して第1コンデンサの一端に接続するとともに、前記第1コンデンサの他端には前記第1電位とは異なる固定電位を接続し、
    前記判定手段は、前記接続部に前記第1コンデンサが接続されているときの検知信号と、前記接続部に前記第1コンデンサが接続されていないときの検知信号との差分が所定の範囲内にない場合は、前記検知電極制御手段の検知機能に異常があると判定することを特徴とする静電容量センサ。
  15. 請求項11〜14の何れか一項に記載の静電容量センサにおいて、
    前記検知電極とは別に設けられた参照電極と、
    前記参照電極で検知された静電容量に応じた参照信号を出力する参照電極制御手段と、をさらに備え、
    前記判定手段は、
    前記検知電極制御手段により前記検知電極に前記第1電位が印加されたときに、前記検知電極にて検知された静電容量に応じた検知信号と前記参照電極にて検知された静電容量に応じた参照信号とに基づいて求められた第1検知信号と、
    前記検知電極制御手段により前記第1電位とは異なる第2電位が印加されたときに、前記検知電極にて検知された静電容量に応じた検知信号と前記参照電極にて検知された静電容量に応じた参照信号に基づいて求められた第2検知信号とに基づいて、前記検知電極及び/又は前記シールド電極の異常の有無を判定する静電容量センサ。
  16. 請求項15に記載の静電容量センサにおいて、
    前記参照電極と前記参照電極制御手段との間の接続部に第2スイッチを介して第2コンデンサの一端に接続するとともに、前記第2コンデンサの他端には前記第1電位とは異なる固定電位を接続し、
    前記判定手段は、前記第2スイッチにより、前記参照電極と前記参照電極制御手段との間の接続部に前記第2コンデンサが接続されているときの検知信号と、前記第2コンデンサが接続されていないときの検知信号との差分が所定の範囲内にない場合は、前記検知電極制御手段の検知機能に異常があると判定することを特徴とする静電容量センサ。
  17. 請求項11〜16の何れか一項に記載の静電容量センサにおいて、
    前記検知電極若しくは前記検知電極制御手段の近傍の温度を検出し、前記検出した温度に基づいて、前記第1検知信号及び/又は前記第2検知信号を補正する機能を有する温度補償手段をさらに備える静電容量センサ。
  18. 請求項11〜17の何れか一項に記載の静電容量センサにおいて、
    前記第2電位は、前記第1電位の80%〜120%であることを特徴とする静電容量センサ。
  19. 検知電極に第1電位を印加したときに前記検知電極にて検知された静電容量に応じた第1検知信号を検知するステップと、
    前記検知電極に前記第1電位とは異なる第2電位を印加したときに前記検知電極にて検知された静電容量に応じた第2検知信号を検知するステップと、
    前記第1検知信号と前記第2検知信号とに基づいて、前記検知電極の異常の有無を判定するステップと、を有する静電容量センサの故障判定方法。
  20. 請求項19の静電容量センサの故障判定方法において、
    前記検知電極と当該検知電極で検知された静電容量に応じた検知信号の出力部分との間の接続部に、第1スイッチを介して第1コンデンサの一端に接続するとともに、前記第1コンデンサの他端には前記第1電位とは異なる固定電位を接続し、
    前記第1スイッチにより、前記接続部に前記第1コンデンサが接続されているときの検知信号と、前記接続部に前記第1コンデンサが接続されていないときの検知信号との差分が所定の範囲内にない場合は、前記検知信号を検知する機能に異常があると判定するステップを有することを特徴とする静電容量センサの故障判定方法。
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